説明

電磁石を用いた人形駆動装置

【課題】密閉された容器中の人形を磁気力を用いてより正確で繊細に駆動させることによって様々な動作を表現できるようにした、電磁石を用いた人形駆動装置を提供する。
【解決手段】本発明は、複数の補助磁極を装着している人形20を、液体が充填されている密閉容器10に入れ、電磁石33により極性が決定される可変磁極35を容器の周囲に配置することによって、人形20の各部位に引力または斥力を作用させる。各可変磁極の極性は電磁石33に流れる電流の方向を調節して任意に制御できるので、容器内部11の人形20を様々な動作にさせることができる。これにより、人形20を複雑なロボットの形態にせずとも、音楽に合わせて踊らせる等、色々なおもしろい動作が表現可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁石を用いた人形駆動装置に係り、特に、密閉された容器中の人形を磁気力を用いて踊らせるなど、様々な動作をさせることができる電磁石を用いた人形駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
固定された形態だけでなく、動けるような人形が製作されている。従来の踊る人形は、人形の関節を機械的に動かせるものが大部分であるが、人形を音楽に合わせて踊らせるためには、人形内部の関節を動かせるためのモーターやギアなどの複雑な機械的な構造が必要とされる。近年、ヒューマノイドロボットと呼ばれる直立多関節の2足歩行ロボットが開発され、ロボットが歩いたり階段を上がったりする他、踊る動作も表現可能になった。
【0003】
しかしながら、2足歩行ロボットは、倒れやすいために過激な動作は表現できず、腕動作が大部分であり、簡単なステップ動作しか表現することができない。これまで提案された多数の歩行ロボットは、次の通りである。
【0004】
歩行ロボットの一例として、特許文献1、特許文献2、特許文献3には、多数のセンサーとアクチュエータを装着した2足歩行ロボットが開示されているが、これら文献に記載の歩行ロボットは、人間の動作を再現するには限界があった。また、市販中のヒューマノイドロボットは非常に高価なため、踊る人形という玩具の概念としては使用しにくい実情である。そこで、より柔軟で繊細な動作を表現できる玩具や装飾品として液体中に入れて動けるようにした人形が開示された。
【0005】
その一例として、特許文献4は、液体が充填されている容器中に人形を入れ、磁石を用いて人形を回転させる装置を開示しており、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8では、浮力を持つ人形を紐にぶら下げておいた後、液体中で磁気力を用いて動作させる装置を開示している。
【0006】
他の例として、特許文献9、特許文献10、特許文献11では、魚人形の体中に永久磁石を入れた後、外部から磁力を与えて水中で魚人形が自由に動けるようにした水族館玩具を開示している。
【0007】
それらの従来の人形は、動作がごく単純であるか、人形が紐にぶら下がっていて単純動作を反復するレベルに止まっているため、ブレイクダンスのように自由自在にステップを踏んだり回転したり等の複雑で高難度の動作は表現できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,802,382号明細書
【特許文献2】米国特許第7,053,577号明細書
【特許文献3】米国特許第7,061,200号明細書
【特許文献4】米国特許第5,435,086号明細書
【特許文献5】米国特許第4,578,044号明細書
【特許文献6】米国特許第5,272,681号明細書
【特許文献7】米国特許第6,675,513号明細書
【特許文献8】米国特許第6,814,646号明細書
【特許文献9】米国特許第5,301,444号明細書
【特許文献10】米国特許第5,685,096号明細書
【特許文献11】米国特許第6,665,964号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、密閉された容器中の人形を磁気力を用いてより正確で繊細に駆動させることによって様々な動作を表現できるようにした、電磁石を用いた人形駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記のような目的を達成するために、本発明による電磁石を用いた人形駆動装置は、密閉された内部空間に液体が充填されている容器;前記容器の内部に配置され、一つ以上の永久磁石が装着されている人形;リング状のコアに沿って配置され、制御電流によってそれぞれ独立して極性が決定される複数の電磁石;前記複数の電磁石にそれぞれ制御電流を印加する制御部;隣接している電磁石と電磁石の間におけるコアから突出して前記容器の一定地点にそれぞれ配置される複数の可変磁極;及び、前記制御部に電源を供給する電源供給部を含んでなる。
【0011】
前記人形は、前記永久磁石と電線で連結される一つ以上の磁性体補助磁極をさらに含むことができる。
【0012】
前記人形は、人の形状を有し、頭及び両足にそれぞれ垂直に装着される永久磁石と、両ひじ及び両手に、反対側の足における永久磁石と電線で連結される補助磁極と、を含むことができる。
【0013】
前記人形は、両ひざに、同一側の足における永久磁石と電線で連結される補助磁極をさらに含むことができる。
【0014】
ここで、右側足に装着された永久磁石の足の裏方向の極性と左足に装着された永久磁石の足の裏方向の極性とが反対になることができる。
【0015】
前記容器は、下部が開放された一定形態の透明なカバー;前記カバーの開放された部分に密着されて前記カバーの内部空間を封止する床板;及び、前記カバーの一部と床板を取り囲みながら前記容器を支持し、収納用の内部空間を有する支持ケースを含むことができる。
【0016】
ここで、前記可変磁極は、前記床板の下側と前記カバーの外部面に一つ以上配置されることができる。
【0017】
前記可変磁極は、可変磁極の磁気力を特定地点に集中させるために、前記容器に向かう部分の先端を尖った形態にすることができる。
【0018】
前記液体は、腐食防止のための殺菌剤が添加された脱気した液体とすることができる。
【0019】
前記電源供給部は、外部電源及び乾電池のうち一つ以上から電源を供給することができる。
【0020】
前記電磁石を用いた人形駆動装置は、サウンドデータを記憶するサウンド記憶部;及び、前記サウンド記憶部に記憶されているサウンドデータを処理して、スピーカーから出力される信号を生成するサウンド再生部をさらに含むことができる。
【0021】
ここで、前記電磁石を用いた人形駆動装置は、前記サウンド再生部で生成された信号を外部スピーカーに伝達するスピーカー出力ポート、及び前記サウンド再生部で生成された信号を出力するスピーカーのうち一つ以上をさらに含むことができる。
【0022】
前記電磁石を用いた人形駆動装置は、音響を感知する音響センサーと、前記音響センサーが感知した音響をデジタル信号に変換するA/D変換部と、をさらに含み、前記制御部は、前記A/D変換部により変換されたデジタル信号によって前記各電磁石に制御電流を印加することができる。
【0023】
ここで、前記電磁石を用いた人形駆動装置は、光源制御信号によって光を発する一つ以上の光源;及び、前記A/D変換部で変換されたデジタル信号によって前記各光源に光源制御信号を伝達する光源制御部をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、密閉された容器中の人形を駆動させるための磁気力を電磁石を用いて容易に発生させることができ、様々な位置で人形の各部位に引力と斥力を加えることができるので、人形の動作をより繊細に制御することができる。
【0025】
人形を人の形状にする場合、複雑なロボットの形態にせずとも、音楽に合わせて人の動作と略同様に踊る動作を表現でき、ブレイクダンスのような高難度の踊り動作も表現可能になる。
【0026】
特に、人形駆動のための電磁石制御を音響に応じて行うと、音楽の種類別に異なる動作を具現できる。なお、光や音響と共に人形を駆動させるとより動的な効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による電磁石を用いた人形駆動装置の一実施例を示す図である。
【図2】本発明による容器を構成する具体的な一実施例である。
【図3】本発明による可変磁極を構成する具体的な一実施例である。
【図4】各電磁石の状態によって可変磁極に形成される磁極の例を示す図である。
【図5】本発明による人形の具体的な構成例を示す図である。
【図6】本発明による可変磁極の配置例を示す図である。
【図7】人形を前進または後進させる方法例を示す図である。
【図8】本発明による人形が逆立ちして動作する様子を示す図である。
【図9】本発明による電磁石を用いた人形駆動装置の他の実施例を示す図である。
【図10】本発明による電磁石を用いた人形駆動装置の他の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の好適な実施例を詳細に説明する。
【0029】
まず、本明細書及び請求の範囲に使われる用語や単語は、通常的または辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者は自身の発明を最も最善の方法で説明するために用語の概念を適宜定義することができるという原則に立って、本発明の技術的思想に符合する意味と概念として解釈しなければならない。
【0030】
したがって、本明細書に記載された実施例と図面に示された構成は、本発明の好適な一実施例に過ぎず、本発明の技術的思想を限定するものではないので、本出願時点においてそれらに取って代わる様々な均等物と変形例がありうることは明らかである。
【0031】
図1を参照すると、電磁石を用いた人形駆動装置100は、密閉された内部空間11に液体が充填されている容器10、容器10の内部に配置される人形20、複数の電磁石33、複数の可変磁極35、制御部40、及び電源供給部50を含んでなる。
【0032】
容器10は、球形、ドーム形、シリンダー形を含む様々な形態とすることができる。
【0033】
図2を参照して、球形のカバー10−1、床板10−2、支持ケース10−3を含んで構成される容器10の一例を説明する。
【0034】
カバー10−1は、下部が部分的に開放された形態の透明材質で構成することができ、特に、透明または半透明のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートなどのプラスチック材質やガラス材質などとすることができる。
【0035】
床板10−2は、カバー10−1の開放された部分に密着されて、カバー10−1の内部空間を封止する役割を果たす。支持ケース10−3は、カバー10−1の一部と床板10−2を取り囲んで、容器自体を支持する役割を果たすもので、人形20の駆動のために使用される各種部品を収容できるような内部空間を有する。
【0036】
カバー10−1と床板10−2は様々な方法で支持ケース10−3に結合させることができる。例えば、カバー10−1の下側にねじを形成し、支持ケース10−3には、カバー10−1に形成されたねじと噛み合う溝を形成し、ねじ方式で互いに結合または分離するように構成することができる。
【0037】
容器の内部11に充填される液体は、かびや微生物の繁殖により腐食したりすることを防止するために殺菌剤を添加することができ、温度変化によって溶存気体が気泡に変化しないように脱気(Degassing)した液体とすることができる。また、人体に無害な水を液体として使用することができ、人形20の動きを円滑にするために粘度の低い液体を使用することが好ましく、無色液体も有色液体も使用可能である。
【0038】
人形20は、人の形状の他、動物、植物、事物のいずれの形状にしてもよく、必要に応じて様々な形状を有することができる。人形20には一つ以上の永久磁石が装着される。また、人形20には、永久磁石と電線で連結される磁性体(以下、補助磁極という)を一つ以上装着することができる。ここで、磁性体とは、電線で連結された永久磁石により磁性を帯びる物質のことをいい、磁化可能な金属板がその一例である。永久磁石と連結される補助磁極には磁極が形成される。永久磁石は、ネオジウム(NdFeB磁石)のように強い磁力を有する磁石を使用することができる。
【0039】
人形は複数の電磁石33を有しており、各電磁石は、リング状のコア31に沿って配置され、制御電流によってそれぞれ極性が決定される。すなわち、各電磁石に流れる制御電流の方向によって該当の電磁石の極性が決定される。
【0040】
制御部40は、各電磁石に制御電流を印加する役割を果たす。制御部40は、電源供給部50から電源を受け、各電磁石が該当の極性を有するように制御電流を印加する。電源供給部50は、外部電源や乾電池を用いて電源を供給することができ、電源をオン/オフ(ON/OFF)するためのスイッチなどを含んで構成される。
【0041】
一方、可変磁極35は、複数個設けられるもので、隣接する電磁石と電磁石との間におけるコアから突出して容器10の各地点に配される。
【0042】
図3を参照すると、リング状のコア31に沿って複数個の電磁石33が配置される。隣接する電磁石と電磁石との間には可変磁極35の一端が接続され、その他端は容器10の周囲に配される。可変磁極35は、磁気力を特定地点に集中させるように、容器10に面する部分の先端を尖った形状にすることができる。図3には、コア31に電磁石33と可変磁極35がそれぞれ16個ずつ配置されている例を示すが、コア31に配置される電磁石33と可変磁極35の数は、必要に応じて様々に構成可能である。
【実施例】
【0043】
図4を参照して、電磁石と可変磁極の個数をそれぞれ8個とした例を取り上げて各可変磁極に現れる極性について説明する。
【0044】
制御部40は、図示された極性が各電磁石に現れるように制御電流を印加し、N極やS極として磁極が形成される可変磁極は星(★)で表示した。この場合、同一極性が向かい合う隣接電磁石の間に位置する可変磁極にのみ極性が現れ、それ以外の可変磁極には極性が現れない。
【0045】
図4aでは、8個の電磁石のうち、5個の電磁石に同一方向の制御電流を印加し、残り3個の電磁石には反対方向の制御電流を印加した。こうすると、第1可変磁極と第5可変磁極にのみそれぞれN極とS極が形成される。この時、第1可変磁極と第5可変磁極における磁気力の強度は、個別の電磁石に現れる磁気力よりも大きく、約8倍程度となる。
【0046】
図4bでは、8個の電磁石のうち、7個の電磁石に同一方向の制御電流を印加し、残り1個の電磁石には反対方向の制御電流を印加した。こうすると、第1可変磁極と第2可変磁極にのみそれぞれN極とS極が形成される。この時、第1可変磁極と第2可変磁極における磁気力の強度は、個別の電磁石に現れる磁気力よりも大きく、約8倍程度となる。
【0047】
図4cでは、8個の電磁石のうち、隣接する二つの電磁石が同一の磁極方向を有し、各電磁石対ごとに磁極方向が変わるように制御電流を印加した。こうすると、第1可変磁極、第3可変磁極、第6可変磁極、第8可変磁極を含む4個の可変磁極にそれぞれN極、S極、S極、N極が形成される。この時、第1可変磁極、第3可変磁極、第6可変磁極、第8可変磁極における磁気力の強度は、個別の電磁石に現れる磁気力よりも大きく、約4倍程度となる。
【0048】
図4dでは、8個の電磁石のうち、一つおきに配置された電磁石が同一の磁極方向を有するように制御電流を印加した。こうすると、8個の全ての可変磁極に磁極が形成される。この時、各可変磁極における磁気力の強度は、個別の電磁石に現れる磁気力よりも大きく、約2倍程度となる。
【0049】
このように各電磁石に流れる電流の方向を適切に調節することによって、所望の可変磁極に所望の極性の磁気力を供給することができ、磁極が現れる位置を時間によって順次に変化させることができる。これにより、人形に装着されている永久磁石と補助磁極に引力または斥力を印加できるので、踊る動作を含む様々な動作を人形が行えるように自在に制御することができる。
【0050】
次に、人の形状をした人形を使用する具体的な実施例について説明する。
【0051】
人形20は、初期には、容器10の内部空間11に充填されている液体の上に浮かび上がる状態でもなければ、液体中に沈む状態でもない中性浮力の状態で収容されるように構成することができる。
【0052】
図5を参照すると、人形20の頭23と両足22−1、22−2にそれぞれ垂直に永久磁石21−1、21−2を装着する。また、両ひじ25−1、25−2と両手26−1、26−2には、反対側の足における永久磁石と電線で連結される補助磁極を装着し、両ひざ24−1、24−2には、同一側の足における永久磁石と電線で連結される補助磁極を装着する。この時、右足22−1に配置された永久磁石21−1の足の裏方向の磁極は、左足22−2に配置された永久磁石21−2の足の裏方向の磁極と相互反対となるように構成することができる。
【0053】
すなわち、人形20の右足の裏側がS極となるように永久磁石21−1を配置すると、左足の裏側がN極になるように永久磁石21−2を配置する。人形20の頭23に垂直に配置された永久磁石21−3の極性は、必要に応じて任意に設定することができる。
【0054】
図5では右足22−1に装着された永久磁石21−1が、右ひざ24−1、左ひじ25−2、左手26−2に装着された補助磁極とそれぞれ電線28−1に連結されているので、右ひざ24−1、左ひじ25−2、左手26−2に装着された各補助磁極27−11、27−22、27−23にはN極が形成される。
【0055】
また、左足22−2に装着された永久磁石21−2は、左ひざ24−2、右ひじ25−1、右手26−1に装着された補助磁極とそれぞれ電線28−2で連結されており、左ひざ24−2、右ひじ25−1、右手26−1に装着された各補助磁極27−21、27−12、27−13にはS極が形成される。
【0056】
一方、図2に示す実施例で、可変磁極35は床板10−2の下部とカバー10−1の一定部分に配置されることができる。
【0057】
図6を参照して、可変磁極35の配置例について説明する。
【0058】
床板10−2を9個の四角形に等分し、真中央の四角形を除いて8個の四角形の中心に可変磁極を配置する。そして、真中央の四角形の各頂点に4個の可変磁極を配置する。カバー10−1の周囲にも4個の可変磁極を配置する。各地点は可変磁極の尖った先端が配置される位置である。真中央の四角形の各頂点に配置した4個の可変磁極は、人形20が直立した状態で前後及び対角線方向に短いステップを踏んでからだを揺するようにするためのものであり、カバー10−1に配置した4個の可変磁極は、人形20を倒したり人形20が倒れた状態で大きく回転させたりするためのものである。
【0059】
図7を参照して、上記の可変磁極の配置による人形20の駆動状態について説明する。
【0060】
図7aは、人形20の両足に装着された永久磁石21−1、21−2に引力を作用させる可変磁極の位置を、地点(1,2)、(3,4)、(5,6)の順に変更し、最初に地点(1,2)の位置に立っていた人形20に矢印方向に移動(前進)するステップを踏ませる方法を示す。
【0061】
図7bは、人形20の両足に装着された永久磁石21−1、21−2に引力を作用させる可変磁極の位置を、地点(5,6)、(3,4)、(1,2)の順に変更し、最初に地点(5,6)の位置に立っていた人形20に後進ステップを踏ませる方法を示す。
【0062】
図8は、人形20が逆立ちをした状態を示す図である。
【0063】
このために、人形20の頭23に装着された永久磁石21−3と床板10−2に配置された該当の可変磁極の間に引力を発生させ、また、人形20の両手に配置されている補助磁極27−13、27−23と該当の可変磁極との間に引力を発生させる。そして、カバー10−1を囲みながら配置された可変磁極が、人形20の両足22−1、22−2に配置された永久磁石21−1、21−2に引力を作用させると、人形20はヘッドスピン動作をするために逆立ちの姿勢となる。
【0064】
この時、カバー10−2を囲みながら配置された各可変磁極に形成される磁極を順に変化させると、人形20が回転しつつヘッドスピンをすることになる。このように、各可変磁極に形成される磁極を適切に変化させると、人形にブレイクダンスを踊らせる等、人の踊る動作にごく類似する様々な動作ができるように人形20を駆動させることができる。
【0065】
図9を参照すると、本発明による電磁石を用いた人形駆動装置100は、サウンド記憶部91とサウンド再生部92をさらに含み、人形20の駆動と共にサウンドを出力させる。
【0066】
サウンド記憶部91は、デジタルデータ形態のサウンドデータ(例:MP3ファイル)を記憶する構成要素であり、サウンド再生部92は、サウンド記憶部91に記憶されているサウンドデータを処理して、スピーカー93から出力される信号を生成する役割を果たす。
【0067】
制御部40は、各電磁石33に制御電流を印加する役割に加えて、サウンド再生部92を制御して、サウンド記憶部91に記憶されているサウンドデータを処理する役割を果たす。また、制御部40は、サウンドを再生するか否かを設定するスイッチ(図示せず)と連動することができる。
【0068】
本実施例で、電磁石を用いた人形駆動装置100は、サウンド再生部92で生成された信号を外部スピーカーに伝達するスピーカー出力ポート(図示せず)を備え、外部スピーカーと連動するように構成することができる。また、サウンド再生部92で生成された信号を出力するスピーカーを自体的に備えることもできる。
【0069】
図10を参照すると、本発明による電磁石を用いた人形駆動装置100は、音響センサー95とA/D変換部96をさらに備えて、音響によって人形20を駆動させるように構成することができる。
【0070】
すなわち、音響センサー95が音響を感知すると、A/D変換部96は、音響センサー95で感知された音響をデジタル信号に変換して制御部40に伝達し、制御部40はA/D変換部96から伝達されたデジタル信号に応じて各電磁石に制御電流を印加する。したがって、感知される音響のタイプによって人形20の動作が決定される。
【0071】
この実施例は、光源98及び光源制御部97をさらに含み、特殊な視覚的効果を奏することもできる。
【0072】
光源98は様々な色の光を発する構成要素であり、光源制御部97は、A/D変換部96で変換されたデジタル信号によって光源98の動作を制御して、音響にしたがってそれぞれ異なる色の光を発生させる。
【0073】
こうすると、使用者の好む音楽によって人形20を踊らせながら音楽別に異なる光を視覚的に感じることができ、より面白い効果を奏することができ、暗い所では人形20を照明手段として使用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明による電磁石を用いた人形駆動装置は、密閉された容器中の人形を駆動させるための磁気力を、電磁石を用いて容易に発生させることができ、人形の各部位に引力と斥力を加えることができるので、人形の細密な制御が可能になり、これにより、人間の形状をした人形は、複雑なロボットの形態にせずとも、音楽に合わせて人間のように踊る動作を表現でき、ブレイクダンスのような高難度の踊り動作も表現可能になる点で産業上の利点を有する。特に、人形駆動のための電磁石制御を音響に応じて行うと、音楽の種類別に異なる動作を具現できる。なお、光や音響と共に人形を駆動させるとより動的な効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0075】
10 容器
10−1 カバー
10−2 床板
10−3 支持ケース
11 内部空間
20 人形
21−1,21−2 永久磁石
22−1,22−2 足
24−1,24−2 ひざ
25−1,25−2 ひじ
26−1,26−2 手
27−11,27−22,27−23 補助磁極
31 コア
33 電磁石
35 可変磁極
40 制御部
50 電源供給部
91 サウンド記憶部
92 サウンド再生部
93 スピーカー
95 音響センサー
96 A/D変換部
97 光源制御部
98 光源
100 人形駆動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉された内部空間に液体が充填されている容器と、
前記容器の内部に配置され、一つ以上の永久磁石が装着されている人形と、
リング状のコアに沿って配置され、制御電流によってそれぞれ独立して極性が決定される複数の電磁石と、
前記複数の電磁石にそれぞれ制御電流を印加する制御部と、
隣接している電磁石と電磁石の間におけるコアから突出して前記容器の一定地点にそれぞれ配置される複数の可変磁極と、
前記制御部に電源を供給する電源供給部と、
を含んでなる、電磁石を用いた人形駆動装置。
【請求項2】
前記人形は、前記永久磁石と電線で連結される一つ以上の補助磁極をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の電磁石を用いた人形駆動装置。
【請求項3】
前記人形は人の形状を有し、頭及び両足にそれぞれ垂直に装着される永久磁石、及び両ひじ及び両手に反対側の足の永久磁石と電線で連結される補助磁極を含むことを特徴とする、請求項2に記載の電磁石を用いた人形駆動装置。
【請求項4】
前記人形は、両ひざに同一側の足における永久磁石と電線で連結される補助磁極をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載の電磁石を用いた人形駆動装置。
【請求項5】
右側足に装着された永久磁石の足の裏方向の極性と左足に装着された永久磁石の足の裏方向の極性は互いに反対であることを特徴とする、請求項3に記載の電磁石を用いた人形駆動装置。
【請求項6】
前記容器は、下部が開放された一定形態の透明なカバーと、前記カバーの開放された部分に密着されて、前記カバーの内部空間を封止する床板と、前記カバーの一部と床板を取り囲みながら前記容器を支持し、収納用内部空間を有する支持ケースと、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の電磁石を用いた人形駆動装置。
【請求項7】
前記可変磁極は、前記床板の下側に一つ以上配置されるともに、前記カバーの外部面に一つ以上配置されることを特徴とする、請求項6に記載の電磁石を用いた人形駆動装置。
【請求項8】
前記可変磁極は、前記容器に向かう部分の先端が尖っていることを特徴とする、請求項1に記載の電磁石を用いた人形駆動装置。
【請求項9】
前記液体は、腐食防止のための殺菌剤が添加された脱気した液体であることを特徴とする、請求項1に記載の電磁石を用いた人形駆動装置。
【請求項10】
前記電源供給部は、外部電源及び乾電池のうち一つ以上を通じて電源を供給することを特徴とする、請求項1に記載の電磁石を用いた人形駆動装置。
【請求項11】
サウンドデータを記憶するサウンド記憶部と、
前記サウンド記憶部に記憶されているサウンドデータを処理して、スピーカーから出力される信号を生成するサウンド再生部と、
をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の電磁石を用いた人形駆動装置。
【請求項12】
スピーカー出力ポート及びスピーカーのうち一つ以上をさらに含むことを特徴とする、請求項11に記載の電磁石を用いた人形駆動装置。
【請求項13】
音響を感知する音響センサーと、前記音響センサーが感知した音響をデジタル信号に変換するA/D変換部と、をさらに含み、
前記制御部は、前記A/D変換部で変換されたデジタル信号によって前記各電磁石に制御電流を印加することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の電磁石を用いた人形駆動装置。
【請求項14】
光源制御信号によって光を発する一つ以上の光源と、
前記A/D変換部により変換されたデジタル信号によって前記各光源に光源制御信号を伝達する光源制御部と、
をさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載の電磁石を用いた人形駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−537710(P2010−537710A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522823(P2010−522823)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際出願番号】PCT/KR2008/005213
【国際公開番号】WO2009/031832
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(510057970)
【Fターム(参考)】