説明

電線に取り付けられる部材の防水構造

【課題】防水剤が充填された後でも、グロメット、コネクタ、端子等を取り外し可能にして、メンテナンス作業を容易にすることができるグロメットの防水構造を提供する。
【解決手段】防水剤充填槽2cは、コネクタ嵌着部2aに連設された中空部2bとは独立した部屋状に仕切られて形成されている。防水剤充填槽2cには、グリス2gが注入される注入口2d、中空部2bと防水剤充填槽2c内とを連通する第1貫通孔2e、防水剤充填槽2c内と外部とを連通する第2貫通孔2fとが穿設されている。そして、電線4は、中空部2bを通過すると共に、第1貫通孔2e及び第2貫通孔2fに密着しつつ第1貫通孔2e及び第2貫通孔2fを貫通して防水剤充填槽2cを通過する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタやグロメット等のような、電線に取り付けられる部材の防水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
コネクタやグロメット等のような、車両内に配策される電線に取り付けられる部材の中には、従来から種々の防水構造が施されているものがある。図14及び図15を用いて、この種の部材としてグロメットを例示し、このグロメットに施されている従来の防水構造について説明する。図14は、従来のグロメット及びこれが装着されるコネクタを示す斜視図である。図15は、図14においてグロメットが装着された状態を示す断面図である。
【0003】
図14及び図15に示すように、従来のグロメットは、端部に端子96が取り付けられた電線95を収容するコネクタ本体91の端子収容室97に挿着され、その電線95を後方(図15中右側)に引き出すコネクタ本体91の後端部分に嵌め着ける環状のコネクタ取着部93を有し、更に、電線95を中空部に挿通させて後方へ引き出す蛇腹状の電線管部94が連設された、ゴム製の外茎管体をしている。
【0004】
そして、グロメット92の中空部に所要の電線95を挿通し、その電線95の端子96をコネクタ本体91の端子収容室97に装着した後、コネクタ取着部93をコネクタ本体91に嵌め着けて接続装着が完了する。この後、コネクタ本体91の正面にグリス注入機90を当て、防水剤としてのグリス99を、コネクタ本体91を介して、グロメット92の内部に注入して、電線95の防水構造を施している。このようなグロメット92は、例えば、車両のドア等に配置され、主に、図15中、電線管部94の右側からの水の侵入を防止する。
【0005】
なお、上記従来のグロメットは下記特許文献1においても開示されている。
【特許文献1】特開平8−148219号公報(図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、コネクタ本体91側は、後述するが、実際には、端子、プレート、コネクタ、アウターハウジング等が組み合わされて構成されていることが多い。そして、メンテナンス時等において、グロメットとアウターハウジング、アウターハウジングとコネクタ、コネクタとプレート、プレートと端子、それぞれの取り外しが必要なことがある。
【0007】
しかしながら、上述のような従来のグロメット92の防水構造では、いったん、グリス99を充填してしまうと、その後に、コネクタ本体91とグロメット92とを取り外すこと、すなわち、上記コネクタ本体91の構成部品をそれぞれ取り外すことは、非常に困難である。要するに、従来のグロメット92の防水構造では、グリス補填後のメンテナンス作業が非常に困難或いは不可能であるという問題があった。
【0008】
よって本発明は、上述した現状に鑑み、防水剤が充填された後でも、グロメット、コネクタ、端子等を取り外し可能にして、メンテナンス作業を容易にすることができるグロメットの防水構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載のグロメットの防水構造は、コネクタに装着されるグロメットの防水構造であって、前記グロメットは、前記コネクタに嵌め着けられるコネクタ嵌着部と、前記コネクタ嵌着部に連設され、前記コネクタからの引き出し電線が挿通される中空部と、前記中空部に連設され、前記中空部と独立した部屋状に仕切られた防水剤充填槽と、前記防水剤充填槽に穿設され、防水剤が注入される注入口と、前記防水剤充填槽に穿設され、前記中空部と前記防水剤充填槽内とを連通する第1貫通孔と、前記防水剤充填槽に穿設され、前記防水剤充填槽内と外部とを連通する第2貫通孔と、を有し、前記電線は、前記中空部を通過すると共に、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔に密着しつつ該第1貫通孔及び第2貫通孔を貫通して前記防水剤充填槽を通過する、ことを特徴とする。
【0010】
請求項1記載の発明によれば、防水剤充填槽は、コネクタ嵌着部に連設された中空部とは独立した部屋状に仕切られて形成されている。防水剤充填槽には、防水剤が注入される注入口、中空部と防水剤充填槽内とを連通する第1貫通孔、防水剤充填槽内と外部とを連通する第2貫通孔とが穿設されている。そして、電線は、中空部を通過すると共に、第1貫通孔及び第2貫通孔に密着しつつ第1貫通孔及び第2貫通孔を貫通して防水剤充填槽を通過する。このように、電線が通過する防水剤充填槽が他とは独立して形成されているので、防水剤充填槽に防水剤が充填された後でも、防水性に影響無く、グロメット、コネクタ、端子等が取り外し可能になる。
【0011】
上記課題を解決するためになされた請求項2記載のグロメットの防水構造は、請求項1記載のグロメットの防水構造において、前記防水剤充填槽は、前記中空部よりも小容積になっている、ことを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、防水剤充填槽は中空部よりも小容積になっているので、防水剤を節約することができる。
【0013】
上記課題を解決するためになされた請求項3記載のグロメットの防水構造は、請求項1又は2記載のグロメットの防水構造において、前記防水剤充填槽は、前記コネクタ嵌着部とは反対側の他端近傍に形成されている、ことを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、防水剤充填槽は、コネクタ嵌着部とは反対側の他端近傍に形成されている。すなわち、コネクタ嵌着部と防水剤充填槽とは互いに遠く離れて形成されている。
【0015】
上記課題を解決するためになされた請求項4記載のグロメットの防水構造は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のグロメットの防水構造において、前記コネクタは、前記電線の端部に取り付けられる端子を保持するプレートと、前記プレートが内装されるサブコネクタと、前記サブコネクタが内装されると共に、前記コネクタ嵌着部が嵌着されるアウターハウジングと、が組み合わされて構成されている、ことを特徴とする。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、コネクタは、プレート、サブコネクタ及びアウターハウジングが組み合わされて構成されるが、上述したように、防水剤充填槽が他とは独立して形成されているので、防水剤充填槽に防水剤が充填された後でも、防水性に影響無く、コネクタを構成部品に分解してメンテナンス作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の発明によれば、防水剤充填槽は、コネクタ嵌着部に連設された中空部とは独立した部屋状に仕切られて形成されている。防水剤充填槽には、防水剤が注入される注入口、中空部と防水剤充填槽内とを連通する第1貫通孔、防水剤充填槽内と外部とを連通する第2貫通孔とが穿設されている。そして、電線は、中空部を通過すると共に、第1貫通孔及び第2貫通孔に密着しつつ第1貫通孔及び第2貫通孔を貫通して防水剤充填槽を通過する。このように、電線が通過する防水剤充填槽が他とは独立して形成されているので、防水剤充填槽に防水剤が充填された後でも、防水性に影響無く、グロメット、コネクタ、端子等が取り外し可能になる。したがって、防水剤が充填された後での、各パーツのメンテナンスが可能になる。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、防水剤充填槽は中空部よりも小容積になっているので、防水剤を節約しつつ、上記効果を得ることができる。
【0019】
請求項3記載の発明によれば、防水剤充填槽は、コネクタ嵌着部とは反対側の他端近傍に形成されている。すなわち、コネクタ嵌着部と防水剤充填槽とは互いに遠く離れて形成されている。したがって、防水剤充填槽に影響を与えることなく、安全に各パーツのメンテナンスを行うことができるようになる。
【0020】
請求項4記載の発明によれば、コネクタは、プレート、サブコネクタ及びアウターハウジングが組み合わされて構成されるが、上述したように、防水剤充填槽が他とは独立して形成されているので、防水剤充填槽に防水剤が充填された後でも、防水性に影響無く、コネクタを構成部品に分解してメンテナンス作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。まず、図1〜図4を用いて、本発明のグロメットの防水構造の一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るグロメット及びこれが装着されたコネクタを示す斜視図である。図2は、図1に対応する断面図である。図3は、プレートと端子の取り付け方法及び分解方法を説明するための断面図である。図4は、サブコネクタとプレートの取り付け方法及び分解方法を説明するための断面図である。
【0022】
図1及び図2において、グロメット2は、例えば、ゴム製であり外茎形状をしている。グロメット2は、アウターハウジング1の嵌着部1aに嵌め着けられるコネクタ嵌着部2aと、コネクタ嵌着部2aに連設され、コネクタ7から引き出された電線4が挿通される中空部2bと、中空部2bに連設され、中空部2bと独立した部屋状に仕切られた防水剤充填槽2cと、を有して構成されている。コネクタ嵌着部2aは、グロメット2の開口面に沿って形成されており、ハウジング側の嵌着部1aに嵌め着けられる。グロメット2は、この開口面から徐々に口径を狭くして、防水剤充填槽2cに至る中空部2bを有している。したがって、グロメット2の外形は、コネクタ嵌着部2aを最大径として防水剤充填槽2cに向かうと共に湾曲しつつ先細り状になっている。
【0023】
防水剤充填槽2cには、防水剤が注入される注入口2d、中空部2bと防水剤充填槽2c内とを連通する第1貫通孔2e、及び防水剤充填槽2c内と外部とを連通する第2貫通孔2fが穿設されている。注入口2dは、図示しない防水剤を注入する注入機の注入針に対応した孔である。第1貫通孔2e及び第2貫通孔2fは、略同等の円形をした孔であり、横からみると直線的に穿設されている。第1貫通孔2e及び第2貫通孔2fは、束ねられた複数の電線4の太さに対応した大きさをしている。詳しくは、グロメット2自体がゴム製であり弾力性があるので、第1貫通孔2e及び第2貫通孔2fは束ねられた複数の電線4の太さよりもやや小さい方が好ましく、第1貫通孔2e及び第2貫通孔2fに複数の電線4が全て挿通されると、これらを締め付けるようになっている。
【0024】
これにより、コネクタから引き出された電線4は、中空部2bを通過すると共に、第1貫通孔2e及び第2貫通孔2fに密着しつつ第1貫通孔2e及び第2貫通孔2fを貫通して防水剤充填槽2cを通過するようになっている。
【0025】
一方、コネクタ側は、図2に示すように、アウターハウジング1、プレート6及びサブコネクタ7が組み合わされて基本構成されている。詳しくは、図3及び図4に示すように、プレート6は、複数の電線4の端部に取り付けられた端子5近傍に対応してそれぞれ並行に仕切られた収容部6aが形成されて各端子5近傍を保持し、雄端子が挿入される孔も有している(図13では、43に対応)。そして、各プレート6が箱型に段積みされる(図12では、43aに対応)。サブコネクタ7は、このような形状のプレート6を内装するように箱型になっており(図12では、42aに対応)、更にこのような形状のサブコネクタ7を箱型のアウターハウジング1が内装する(図12では、41に対応)。アウターハウジング1にはまた、グロメット2のコネクタ嵌着部2aに嵌め着けられる嵌着部1aも形成されている。
【0026】
このように、複数の部材が組み合わされて構成されているコネクタは、メンテナンス時等において、グロメット2とアウターハウジング1、アウターハウジング1とサブコネクタ7の取り外し、更に、図3及び図4の矢印で示すように、サブコネクタ7とプレート6、プレート6と端子5、それぞれの取り外しが必要なことがある。上記グロメット2は、このようなメンテナンス作業を容易にすることができる。この理由は以下の説明で明らかになる。
【0027】
上記構成において、図2に示すように、電線4は、中空部2bを通過すると共に、第1貫通孔2e及び第2貫通孔2fに密着しつつこれら第1貫通孔2e及び第2貫通孔2fを貫通して防水剤充填槽2cを通過するように組み付けられる。そして、グロメット2のコネクタ嵌着部2aをアウターハウジング1の嵌着部1aに嵌め着ける。この後、防水剤充填槽2cの注入口2dにグリス注入機の注入部を差し込み、防水剤としてのグリス2gを、防水剤充填槽2cに注入する。なお、グロメット2の嵌め着けは、グリス2gの注入後であってもよい。
【0028】
このように組み付けられた後に、メンテナンス等のために、図2におけるグロメット2とアウターハウジング1、アウターハウジング1とサブコネクタ7の取り外し、更には、図3及び図4の矢印で示すように、サブコネクタ7とプレート6、プレート6と端子5、それぞれの取り外しが必要なことがある。このときには、図2に示すように、電線4が通過する防水剤充填槽2cが他部位とは独立して形成されているので、防水剤充填槽2cにグリス2gが注入及び充填された後でも影響無く、グロメット、コネクタ、端子等が取り外し及び分解が可能になる。したがって、グリス2gが充填された後での、各パーツのメンテナンスが可能になる。
【0029】
また、図2に示すように、防水剤充填槽2cは、中空部2bよりも小容積になっている。したがって、グリス2gを節約しつつ、上記効果を得ることができる。更に、防水剤充填槽2cは、コネクタ嵌着部2aとは反対側の他端近傍に形成されている。すなわち、防水剤充填槽2cとメンテナンス作業が行われるコネクタ嵌着部2a近傍とは互いに遠く離れて形成されている。したがって、防水性に影響を与えることなく、安全に各パーツのメンテナンスを行うことができるようになる。
【0030】
続いて、図5〜図13を用いて、コネクタに関する防水構造について、いくつかの例を以下に示す。図5〜図8はコネクタ防水構造の第1の例を説明するための図であり、図9〜図10は第2の例を説明するための図であり、図11〜図13は第3の例を説明するための図である。
【0031】
第1のコネクタの例においては、図5の斜視図に示すように、電線23が取り付けられたコネクタ21、治具22及び防水剤としてのウレタン等の発泡剤25a(図7参照)を有して構成される。治具22は、図6の分解斜視図に示すように、2分割されて、それぞれ引き出し電線23に対応する切り込み部221が形成されている。そして、図7の断面図に示すように発泡剤25aが注入された後、2分割された治具22が電線23を挟み込むように結合されて、コネクタ21の上部に覆設される。
【0032】
ここで、第1の例の防水原理について、図8を用いて説明する。図8(A)に示すように、注入槽25′内の発泡剤25aは、フリー発泡させると、発泡後には約3倍の体積になるものとする。そこで、図8(B)に示すように、フリー発泡ではなく、同発泡剤25aを2倍〜2.5倍程度に圧縮して発泡させるように、治具22′で蓋をして発泡させ発砲後の密度を向上させる。この密度の向上と発泡力の向上により、電線間等のようにフリー発泡では回り込むことが困難な隙間にも、発泡剤25aを回り込ませてシール性を高めるようにする。
【0033】
このような防水原理を用いることにより、図7において、治具22に抑え込まれて注入槽25内で発泡した発泡剤25aは、電線23間に確実に回り込んで、良好なシール特性を満たすことができる。また、発泡剤25aの量も節約することができる。なお、治具22は発泡後には取り外して再利用することができる。
【0034】
次に、第2のコネクタの例においては、図9の斜視図に示すように、電線33が取り付けられたコネクタ31、治具32及び防水剤としてのウレタン等の発泡剤35a(図10参照)を有して構成される。治具32は、図6で示した治具22と同様の構成をしている。そして、図10の断面図に示すように発泡剤35aが注入された後、2分割された治具32が電線33を挟み込むように結合されて、コネクタ31の上部に覆設されている。
【0035】
ここで、第2の例の防水原理は、発泡剤35aの選定に特徴がある。すなわち、図10の断面図における端子34の接点部(図10の電線33、端子34の下部)近傍に侵入及び到達していかないような、粘土及び量の発泡剤35aを選定する。
【0036】
このような防水原理を用いることにより、図10において、治具32に抑え込まれて注入槽35内で発泡した発泡剤35aは、発泡力により、電線33間にも確実に回り込んで、良好なシール特性を満たすことができる。このように、発泡剤の選定だけで良好なシール特性が得られるので、コネクタ31の形状が非常にシンプルになる。また、作業性も向上する。なお、治具32は発泡後には取り外して再利用することができる。
【0037】
次に、第3のコネクタの例においては、図11の斜視図及び図12の分解斜視図に示すように、電線46が取り付けられたサブコネクタ42a、42b、サブコネクタ42a、42bを内装するハウジング41、ハウジング41に嵌着されるサイドカバー44、ハウジング41の回転軸411を中心に回転するレバー45を有して構成される。このような構成において、図示しない相手コネクタに設けられたガイドピンがレバー45のガイド溝にはめ込まれて、レバーの回転と共にガイドピンが引き上げられ、相手コネクタがハウジング41に嵌合される。
【0038】
防水剤としてのウレタン等の発泡剤は、サイドカバー44内に流し込まれ、発泡力を利用して、このコネクタ内の電線間、その他防水の必要な隙間にまんべんなく発泡剤が回り込むようになっている。
【0039】
なお、この第3のコネクタの例においては、組立作業性を向上させるための工夫も施されている。すなわち、組立時には、図13の分解斜視図に示すように、電線46が接続された端子47がプレート43に矢印の方向から組み付けられる。プレート43は、各端子47に対応して仕切られた収容部431が設けられている。次に、このような複数のプレートが段積みされて、図12の43a及び43bに示すような状態になり、サブコネクタ42a及び42bにそれぞれ嵌め込まれる。そして、この状態で、誤配線検知、半挿入検知を同時に行うことができる。端子の種類や極数が変わる時には、プレート、サブコネクタ数の増減、サイズ変更により対応する。
【0040】
誤配線検知、半挿入検知が実施された後、ハウジング41に上記サブコネクタ42a及び42bが嵌め込まれ、その後、電線46a、46bを束ねて、サイドカバー44、レバー45を順に、ハウジング41に嵌め込む。この結果、図11で示したような状態になり、発泡剤が注入される。このように、第3のコネクタによれば、確実な防水効果が得られると共に、サブコネクタに端子、電線を挿入した状態で誤配線検知、半挿入検知を同時に行うことができる。また、サブコネクタを用いることで、比較的キャビティ数の少ない状態で端子を挿入できる。したがって、端子の誤挿入が防止でき、作業性が向上する。
【0041】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、非常に秀れたコネクタ及びグロメットの防水構造を得ることができる。特に、最初に例示したグロメットの防水構造では、防水剤が充填された後でも、グロメット、コネクタ、端子等の取り外し及び分解が可能になり、メンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0042】
なお、実施形態で例示したグロメットは、円筒状の外茎管体であってもよいし、蛇腹状になっていてもよい。本発明のグロメットの防水構造は、適宜小変更されたものも含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態に係り、グロメット及びこれが装着されたコネクタを示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係り、図1に対応する断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係り、プレートと端子の取り付け方法及び分解方法を説明するための断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係り、サブコネクタとプレートの取り付け方法及び分解方法を説明するための断面図である。
【図5】第1のコネクタの防水構造を説明するための斜視図である。
【図6】図5の分解斜視図である。
【図7】第5の断面図である。
【図8】図8(A)及び図8(B)は、第1のコネクタの防水構造の原理を説明するための図である。
【図9】第2のコネクタの防水構造を説明するための斜視図である。
【図10】図9の断面図である。
【図11】第3のコネクタの防水構造を説明するための斜視図である。
【図12】図11の分解斜視図である。
【図13】図12におけるプレートの分解斜視図である。
【図14】従来のグロメット及びこれが装着されるコネクタを示す斜視図である。
【図15】図14においてグロメットが装着された状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 アウターハウジング
2 グロメット
2a コネクタ嵌着部
2b 中空部
2c 防水剤充填槽
2d 注入口
2e 第1貫通孔
2f 第2貫通孔
2g グリス(防水剤)
4 電線
6 プレート
7 サブコネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタに装着されるグロメットの防水構造であって、
前記グロメットは、
前記コネクタに嵌め着けられるコネクタ嵌着部と、
前記コネクタ嵌着部に連設され、前記コネクタからの引き出し電線が挿通される中空部と、
前記中空部に連設され、前記中空部と独立した部屋状に仕切られた防水剤充填槽と、
前記防水剤充填槽に穿設され、防水剤が注入される注入口と、
前記防水剤充填槽に穿設され、前記中空部と前記防水剤充填槽内とを連通する第1貫通孔と、
前記防水剤充填槽に穿設され、前記防水剤充填槽内と外部とを連通する第2貫通孔と、を有し、
前記電線は、前記中空部を通過すると共に、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔に密着しつつ該第1貫通孔及び第2貫通孔を貫通して前記防水剤充填槽を通過する、
ことを特徴とするグロメットの防水構造。
【請求項2】
請求項1記載のグロメットの防水構造において、
前記防水剤充填槽は、
前記中空部よりも小容積になっている、
ことを特徴とするグロメットの防水構造。
【請求項3】
請求項1又は2記載のグロメットの防水構造において、
前記防水剤充填槽は、
前記コネクタ嵌着部とは反対側の他端近傍に形成されている、
ことを特徴とするグロメットの防水構造。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のグロメットの防水構造において、
前記コネクタは、
前記電線の端部に取り付けられる端子を保持するプレートと、
前記プレートが内装されるサブコネクタと、
前記サブコネクタが内装されると共に、前記コネクタ嵌着部が嵌着されるアウターハウジングと、が組み合わされて構成されている、
ことを特徴とするグロメットの防水構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−197744(P2006−197744A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−7466(P2005−7466)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】