電線の端末構造
【課題】ゴム栓の筒状取付部が所望位置でかしめ圧着されたか否かを簡単にかつ正確に確認できるようにする。
【解決手段】底板32の側縁からバレル片31が立ち上がり形成されたインシュレーションバレル30を有する端子金具20と、電線10に挿通され前面に筒状取付部43が突設されたゴム栓40と、が具備され、電線10における絶縁被覆12の端末にゴム栓40の筒状取付部43が外嵌され、絶縁被覆12の端末と筒状取付部43とに亘って端子金具20のインシュレーションバレル30がかしめ圧着されることで電線10の端末に端子金具20とゴム栓40とが固着される電線10の端末構造において、端子金具20のインシュレーションバレル30におけるバレル片31には、その前縁31Aよりも後方位置においてゴム栓40の筒状取付部43の有無を目視可能な検査孔35が開口されている。
【解決手段】底板32の側縁からバレル片31が立ち上がり形成されたインシュレーションバレル30を有する端子金具20と、電線10に挿通され前面に筒状取付部43が突設されたゴム栓40と、が具備され、電線10における絶縁被覆12の端末にゴム栓40の筒状取付部43が外嵌され、絶縁被覆12の端末と筒状取付部43とに亘って端子金具20のインシュレーションバレル30がかしめ圧着されることで電線10の端末に端子金具20とゴム栓40とが固着される電線10の端末構造において、端子金具20のインシュレーションバレル30におけるバレル片31には、その前縁31Aよりも後方位置においてゴム栓40の筒状取付部43の有無を目視可能な検査孔35が開口されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線の端末に端子金具ともどもゴム栓を固着した端末構造に関する。
【背景技術】
【0002】
防水コネクタに適用するべく電線の端末に端子金具ともどもゴム栓を固着した端末構造の一例として、下記特許文献1に記載されたものが知られている。このものは被覆電線を備え、同被覆電線の端末が皮剥きされて芯線が露出される端末処理が施される。端子金具は、防水コネクタのハウジングのキャビティに挿通されるものであって、相手端子と接続される接続部の後方に、被覆電線における芯線の端末にかしめ圧着されるワイヤバレルと、残った絶縁被覆の端末にかしめ圧着されるインシュレーションバレルとが設けられた構造である。ワイヤバレルとインシュレーションバレルとは、共に底板の両側縁から一対のバレル片を立ち上げた構造である。ゴム栓は、キャビティの入口に緊密に嵌合可能であって、被覆電線に挿通可能でかつ前面に環状取付部が突設されている。
【0003】
被覆電線には予めゴム栓が挿通され、皮剥きの端末処理が施されたのちゴム栓が被覆電線の端末側に移動されて、絶縁被覆の端末にゴム栓の筒状取付部が外嵌される。この状態から、被覆電線における芯線の端末に端子金具のワイヤバレルが、また、絶縁被覆の端末とそれに外嵌された筒状取付部とに亘ってインシュレーションバレルがかしめ圧着され、これにより電線の端末に端子金具とゴム栓とが固着される。
端子金具がハウジングのキャビティ内の正規位置まで挿入されて抜け止めされると、ゴム栓がキャビティの入口に嵌ってこれを塞ぐことにより、防水機能を果たすようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−203636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来例におけるゴム栓の取付構造において、例えばゴム栓の筒状取付部の先端が、インシュレーションバレルのバレル片の前縁よりも前方に突出した位置関係においてインシュレーションバレルがかしめられると、筒状取付部の先端が、跳ね上がりと称して斜め上方(外方)を向いてかしめられることがある。この場合、跳ね上がり量によっては、端子金具がキャビティに挿入される際に跳ね上がり部分が入口の口縁に引っ掛かったり、あるいはキャビティの内面に擦られることによって、挿入作業がし辛くなるおそれがある。それを避けるために、ゴム栓の筒状取付部の位置を後退させてかしめた場合、後退量が多過ぎると筒状取付部のかしめ範囲が短くなり、固着力が不足する嫌いがある。
【0006】
したがって好ましくは、筒状取付部の先端が、インシュレーションバレルにおけるバレル片の前縁の直後に位置した状態でかしめられると、跳ね上がりもなく、大きな固着力が得られるのであるが、かしめられた後では筒状取付部の先端の位置を確認しようがなく、所望位置で固着されていることを正確に確認できる手段の出現が切望されていた。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、ゴム栓の筒状取付部が所望位置でかしめ圧着されたか否かを簡単にかつ正確に確認できる手段を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、底板の側縁からバレル片が立ち上がり形成されたインシュレーションバレルを有する端子金具と、電線に挿通され前面に筒状取付部が突設されたゴム栓と、が具備され、電線における絶縁被覆の端末に前記ゴム栓の前記筒状取付部が外嵌され、前記絶縁被覆の端末と前記筒状取付部とに亘って前記端子金具の前記インシュレーションバレルがかしめ圧着されることで電線の端末に前記端子金具と前記ゴム栓とが固着される電線の端末構造において、前記端子金具の前記インシュレーションバレルにおける前記バレル片には、その前縁よりも後方位置において前記ゴム栓の前記筒状取付部の有無を目視可能な検査孔が開口されているところに特徴を有する。
【0008】
上記構成によれば、検査孔がゴム栓の筒状取付部で埋まり、かつ同筒状取付部の先端がインシュレーションバレルのバレル片の前縁から出ていないことを目視することによって、ゴム栓の筒状取付部の先端がバレル片の前縁の直後に位置する所望位置でかしめられていることが確認される。
【0009】
他の発明は、底板の側縁からバレル片が立ち上がり形成されたインシュレーションバレルを有する端子金具と、電線に挿通され前面に筒状取付部が突設されたゴム栓と、が具備され、電線における絶縁被覆の端末に前記ゴム栓の前記筒状取付部が外嵌され、前記絶縁被覆の端末と前記筒状取付部とに亘って前記端子金具の前記インシュレーションバレルがかしめ圧着されることで電線の端末に前記端子金具と前記ゴム栓とが固着される電線の端末構造において、前記端子金具の前記インシュレーションバレルにおける前記底板には、前記バレル片の前縁と一致した位置から後方に向かって開口した検査孔が形成されているところに特徴を有する。
【0010】
上記構成によれば、ゴム栓の筒状取付部の先端が検査孔にあることを目視することによって、ゴム栓の筒状取付部の先端がバレル片の前縁の直後に位置する所望位置でかしめられていることが確認される。検査孔を一度見るだけでゴム栓の筒状取付部の先端が所望位置でかしめ圧着されたか否かを確認することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ゴム栓の筒状取付部が所望位置でかしめ圧着されたか否かを簡単にかつ正確に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態1に係る端末構造の固着動作を示す側面図
【図2】雌端子の平面図
【図3】固着後の端末構造を示す側面図
【図4】本発明の実施形態2に係る雌端子の側面図
【図5】同平面図
【図6】固着後の端末構造を示す側面図
【図7】同底面図
【図8】本発明の実施形態3に係る雌端子の側面図
【図9】同平面図
【図10】固着後の端末構造を示す側面図
【図11】同底面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図3によって説明する。
本実施形態では、被覆電線10の端末に、雌側の端子金具20(以下、雌端子20)と、ゴム栓40とが固着された端末構造を例示している。
雌端子20は、図示しない雌ハウジングのキャビティ内に挿入されて抜け止めされて収容され、それに伴いゴム栓40が同キャビティの入口に緊密に嵌着されることでシールが採られるようになっている。
【0014】
被覆電線10は、図1に示すように、複数本の金属素線からなる芯線11の回りが合成樹脂製の絶縁被覆12で覆われた構造となっている。
被覆電線10の端末に雌端子20とゴム栓40とを固着するに当たっては、被覆電線10の端末において絶縁被覆12が所定長さに亘って切除され、いわゆる皮剥きがなされ、芯線11の端末が所定長さ露出された端末処理が施されるようになっている。
【0015】
雌端子20は、導電性に優れた金属板をプレス加工することで形成され、図2にも示すように、相手の雄端子(図示せず)と電気的に接続される略角筒形をなす端子接続部21の後方に、ワイヤバレル25とインシュレーションバレル30とが設けられた構造である。
端子接続部21の内部には、底板22の前縁から折り返されるようにして弾性接触片23が設けられており、同端子接続部21に対して相手の雄端子のタブが前方から挿入され、弾性接触片23と弾性的に接触することにより、雄端子と雌端子20とが電気的に接続されるようになっている。
【0016】
ワイヤバレル25は、オープンバレル形式であって、左右一対の幅広のバレル片26が、底板27の左右の側縁から互いに対向するようにして立ち上がり形成されている。ワイヤバレル25は、上記した被覆電線10の芯線11の端末にかしめ圧着されるものであって、両バレル片26がそれぞれの突出端を突き合わせつつ、芯線11の端末の外周を左右両側から抱き込むようにして、いわゆるハート型にかしめられるようになっている。底板27の内面にはセレーション28が形成されている。
【0017】
インシュレーションバレル30は、同じくオープンバレル形式であって、ワイヤバレル25側のバレル片26よりも幅狭で逆に背が高い左右一対のバレル片31が、同じく底板32の左右の側縁から互いに対向するようにして立ち上がり形成されている。
一方、被覆電線10の残された絶縁被覆12の端末には、後記するゴム栓40の筒状取付部43が嵌装され、上記したインシュレーションバレル30は、絶縁被覆12の端末並びにゴム栓40の筒状取付部43に亘ってかしめ圧着されるものである。インシュレーションバレル30は、例えば、両バレル片31がそれぞれの突出端を重ねつつ、ゴム栓40の筒状取付部43の外周を左右両側から抱き込むようにして、いわゆるオーバラップ型にかしめられるようになっている。
【0018】
ゴム栓40は、含油シリコン等を素材とし、図1に示すように、全体として前後方向に長い円筒状に形成されている。このゴム栓40の中心孔内に、被覆電線10の絶縁被覆12が緊密に挿通されるようになっている。
ゴム栓40は、大径(厚肉)の本体部41を有しており、同本体部41の外周面、詳細には本体部41における前半部分の外周面には、上記した雌ハウジングのキャビティの内周面の全周に亘って弾性的に密着する環形のリップ42が、前後に間隔を開けて2条形成されている。
【0019】
本体部41の前面には筒状取付部43が、中心孔は共通として本体部41と同心に連設されている。筒状取付部43は例えば、被覆電線10の外径と、ゴム栓40の本体部41の外径とのほぼ中間の外径寸法を有し、また長さは、ゴム栓40の本体部41の長さの2割強である。
この筒状取付部43が絶縁被覆12の端末に嵌った状態において、上記したインシュレーションバレル30がかしめられるようになっている。
【0020】
なお、ワイヤバレル25とインシュレーションバレル30とでは、かしめる対象が被覆電線10の芯線11と、ゴム栓40の筒状取付部43といった外径が大小異なるものであるから、かしめられた後でも、被覆電線10の軸線が真直姿勢を維持できるように、それぞれの底板27,32の高さ位置が上下にずれて形成されている。
【0021】
さてこの実施形態では、ゴム栓40の筒状取付部43が被覆電線10における絶縁被覆12の端末とともにインシュレーションバレル30でかしめられる場合に、筒状取付部43がインシュレーションバレル30に対して所望の位置でかしめ圧着されたか否かを目視により確認し得る手段が講じられている。
本実施形態において筒状取付部43の所望のかしめ位置とは、筒状取付部43の先端43Aが、インシュレーションバレル30におけるバレル片31の前縁31Aの直後に位置していることを意味する。筒状取付部43が上記位置でかしめられていれば、筒状取付部43の先端43Aがインシュレーションバレル30(バレル片31)の前縁31Aから飛び出ることに起因して、かしめられたときに先端43Aが跳ね上がることが未然に防止され、また、筒状取付部43のかしめ範囲が長い寸法確保されて、十分な固着力が得られるためである。
【0022】
そのため、インシュレーションバレル30を構成する一対のバレル片31に対して、それぞれ検査孔35が開口されている。検査孔35は、バレル片31の幅の1/3弱の幅を持った縦長の長方形に形成され、バレル片31の高さ方向の途中位置において、バレル片31の前縁31Aから同検査孔35の幅に匹敵する所定寸法だけ後方に入った位置に形成されている。
【0023】
続いて、本実施形態の作用を説明する。被覆電線10の端末に雌端子20並びにゴム栓40を圧着する手順は、以下のようである。
被覆電線10の端末に対してゴム栓40が先通しされ、ゴム栓40が一旦後方に退避された状態で被覆電線10の絶縁被覆12の端末が皮剥きされ、芯線11の端末が所定長さに亘って露出状態とされる。そののち図1に示すように、ゴム栓40が前方に移動されて、筒状取付部43が残された絶縁被覆12の端末の外周に嵌められた状態となる。この実施形態では、筒状取付部43の先端43Aが、絶縁被覆12の先端縁から同筒状取付部43の長さよりも少し短い所定長さ後方に来るような位置に設定されている。
【0024】
そうしたら、圧着装置を用いて、被覆電線10の端末に雌端子20がゴム栓40ともども圧着接続される。詳細には、圧着装置にはアンビルとクリンパとが設けられ、図1の矢線に示すように、雌端子20のワイヤバレル25に対して、露出された芯線11の端末が、またインシュレーションバレル30に対して、残された絶縁被覆12の端末並びにそこに嵌められたゴム栓40の筒状取付部43がそれぞれ配された状態でセットされ、両バレル25,30は、アンビルとクリンパとの間で挟圧されてかしめられる。
これにより、被覆電線10の端末に雌端子20がゴム栓40ともども圧着固定された状態となる。
【0025】
そして検査工程では、被覆電線10の端末部分、特にインシュレーションバレル30のかしめ部分を目視し、インシュレーションバレル30のバレル片31に開口された検査孔35がゴム栓40の筒状取付部43で埋まり、かつ同筒状取付部43の先端43Aがインシュレーションバレル30のバレル片31の前縁31Aから出ていないことが目視できたら、ゴム栓40の筒状取付部43の先端43Aが、バレル片31の前縁31Aの直後に位置する正規位置でかしめられていることが確認される。
【0026】
一方、何らかの事情、例えばゴム栓40の被覆電線10の端末への装着位置がずれていたり、圧着装置において雌端子20へのセット位置がずれていたりすると、ゴム栓40の筒状取付部43の先端43Aの位置がインシュレーションバレル30に対してばらつき、その状態でかしめ圧着されることがある。
例えば、筒状取付部43が前に出過ぎていると、筒状取付部43の先端43Aがバレル片31の前縁31Aから飛び出て跳ね上がってかしめられ、このような状態が目視されたら、不良品として処理される。
逆に、筒状取付部43が後に引っ込み過ぎていると、筒状取付部43の先端43Aが検査孔35に臨んでいたり、検査孔35が開いた状態であることが目視でき、このようなときは固着力の不足が懸念されるため、同様に不良品として処理される。
【0027】
このように本実施形態によれば、かしめ圧着後の被覆電線10の端末構造において、インシュレーションバレル30のバレル片31に開口された検査孔35がゴム栓40の筒状取付部43で埋まり、かつ同筒状取付部43の先端43Aがインシュレーションバレル30のバレル片31の前縁31Aから出ていないことを目視することによって、ゴム栓40の筒状取付部43の先端43Aがバレル片31の前縁31Aの直後に位置する所望位置でかしめられていることを、簡単にかつ正確に確認できる。
【0028】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図4ないし図7によって説明する。この実施形態2では、インシュレーションバレル30を含めて雌端子20の全体構造は上記実施形態1のものと同様であり、かつゴム栓40の筒状取付部43の所望のかしめ位置が、筒状取付部43の先端43Aがインシュレーションバレル30におけるバレル片31の前縁31Aの直後に位置していることも同様であるが、かしめ圧着位置を確認する手段が実施形態1とは異なっている。
以下には、実施形態1との相違部分について主に説明し、共通の機能を有する部位、部材については、実施形態1と同一符号を付すことで重複した説明は省略する。
【0029】
この実施形態の検査孔37は、上記実施形態1の検査孔35と比較すると、同幅でかつ長さが少し大きい長方形をなしている。この検査孔37が、図5に示すように、その長さ方向が同雌端子20の軸線と直交する姿勢を採った上で、インシュレーションバレル30の底板32における幅方向の中央部で、特にその前縁が、バレル片31の前縁31Aと一致した位置に開口されている。
【0030】
この実施形態2では、かしめ圧着工程後の検査工程において、図7に示すように、雌端子20を裏返しにしてインシュレーションバレル30の底板32に開口された検査孔37を目視し、ゴム栓40の筒状取付部43の先端43Aが同検査孔37にあることが目視できたら、ゴム栓40の筒状取付部43の先端43Aがバレル片31の前縁31Aの直後に位置する正規位置でかしめられていることが確認される。
検査孔37を一度見るだけで、ゴム栓40の筒状取付部43の先端43Aが所望位置でかしめ圧着されたか否かを確認することができる。
【0031】
<実施形態3>
図8ないし図11は本発明の実施形態3を示す。実施形態3は実施形態2の変形例とも言うべきものであって、雌端子20Aに設けられたインシュレーションバレル50の形状が異なっている。
実施形態3の雌端子20Aのインシュレーションバレル50は、底板53の左右の側縁から、一対のバレル片51,52が当該雌端子20Aの軸線方向である前後方向にずれた形態で立ち上がり形成されている。両バレル片51,52は、共に幅狭で先端がやや尖った形状に形成され、ゴム栓40の筒状取付部43に対して、前後にずれた形態で左右から巻き付くようにかしめられる。特に前側のバレル片51は、その前縁51Aが雌端子20Aの軸線と直角をなして切り立つように形成されている。
【0032】
そして、実施形態3では、ゴム栓40の筒状取付部43の所望のかしめ位置が、筒状取付部43の先端43Aがインシュレーションバレル50における前側のバレル片51の前縁51Aの直後に位置していることである。
上記の所望のかしめ位置に基づき、検査孔37は、インシュレーションバレル50の底板53における幅方向の中央部において、特にその前縁37Aが、前側のバレル片51の前縁51Aと一致した位置に開口形成されている。
【0033】
この実施形態3においても、かしめ圧着工程後の検査工程において、図11に示すように、雌端子20Aを裏返しにしてインシュレーションバレル50の底板53に開口された検査孔37を目視し、ゴム栓40の筒状取付部43の先端43Aが同検査孔37内にあることが目視できたら、ゴム栓40の筒状取付部43の先端43Aが、前側のバレル片51の前縁51Aの直後に位置する正規位置でかしめられていることが確認される。
同じく検査孔37を一度見るだけで、ゴム栓40の筒状取付部43の先端43Aが所望位置でかしめ圧着されたか否かを確認することができる。
【0034】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施形態1において、検査孔の形状は長方形に限らず、三角形、円形等の任意の形状に形成することができる。
(2)実施形態2,3においても、検査孔の形状は任意に選定できるが、その前縁にバレル片の前縁と平行をなす直線部を有している形状とすることが好ましい。
【0035】
(3)本発明は、インシュレーションバレルの形状が底板の一側縁から一枚のバレル片が立ち上がり形成されて、同バレル片がゴム栓の筒状取付部の全周に巻き付けられるようにかしめられる構造のものにも、同様に適用することが可能である。
(4)本発明は、被覆電線の端末に雄端子ともどもゴム栓がかしめ圧着されるものにも同様に適用できる。
(5)電線は被覆電線に限らずシールド電線であってもよく、要するところ本発明は、電線の端末に端子金具ともどもゴム栓を固着した端末構造全般に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
10…被覆電線
12…絶縁被覆
20,20A…雌端子(端子金具)
30…インシュレーションバレル
31…バレル片
31A…(バレル片31の)前縁
32…底板
35…検査孔
37…検査孔
37A…(検査孔37の)前縁
40…ゴム栓
43…筒状取付部
43A…(筒状取付部43の)先端
50…インシュレーションバレル
51,52…バレル片
51A…(前側のバレル片51の)前縁
53…底板
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線の端末に端子金具ともどもゴム栓を固着した端末構造に関する。
【背景技術】
【0002】
防水コネクタに適用するべく電線の端末に端子金具ともどもゴム栓を固着した端末構造の一例として、下記特許文献1に記載されたものが知られている。このものは被覆電線を備え、同被覆電線の端末が皮剥きされて芯線が露出される端末処理が施される。端子金具は、防水コネクタのハウジングのキャビティに挿通されるものであって、相手端子と接続される接続部の後方に、被覆電線における芯線の端末にかしめ圧着されるワイヤバレルと、残った絶縁被覆の端末にかしめ圧着されるインシュレーションバレルとが設けられた構造である。ワイヤバレルとインシュレーションバレルとは、共に底板の両側縁から一対のバレル片を立ち上げた構造である。ゴム栓は、キャビティの入口に緊密に嵌合可能であって、被覆電線に挿通可能でかつ前面に環状取付部が突設されている。
【0003】
被覆電線には予めゴム栓が挿通され、皮剥きの端末処理が施されたのちゴム栓が被覆電線の端末側に移動されて、絶縁被覆の端末にゴム栓の筒状取付部が外嵌される。この状態から、被覆電線における芯線の端末に端子金具のワイヤバレルが、また、絶縁被覆の端末とそれに外嵌された筒状取付部とに亘ってインシュレーションバレルがかしめ圧着され、これにより電線の端末に端子金具とゴム栓とが固着される。
端子金具がハウジングのキャビティ内の正規位置まで挿入されて抜け止めされると、ゴム栓がキャビティの入口に嵌ってこれを塞ぐことにより、防水機能を果たすようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−203636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来例におけるゴム栓の取付構造において、例えばゴム栓の筒状取付部の先端が、インシュレーションバレルのバレル片の前縁よりも前方に突出した位置関係においてインシュレーションバレルがかしめられると、筒状取付部の先端が、跳ね上がりと称して斜め上方(外方)を向いてかしめられることがある。この場合、跳ね上がり量によっては、端子金具がキャビティに挿入される際に跳ね上がり部分が入口の口縁に引っ掛かったり、あるいはキャビティの内面に擦られることによって、挿入作業がし辛くなるおそれがある。それを避けるために、ゴム栓の筒状取付部の位置を後退させてかしめた場合、後退量が多過ぎると筒状取付部のかしめ範囲が短くなり、固着力が不足する嫌いがある。
【0006】
したがって好ましくは、筒状取付部の先端が、インシュレーションバレルにおけるバレル片の前縁の直後に位置した状態でかしめられると、跳ね上がりもなく、大きな固着力が得られるのであるが、かしめられた後では筒状取付部の先端の位置を確認しようがなく、所望位置で固着されていることを正確に確認できる手段の出現が切望されていた。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、ゴム栓の筒状取付部が所望位置でかしめ圧着されたか否かを簡単にかつ正確に確認できる手段を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、底板の側縁からバレル片が立ち上がり形成されたインシュレーションバレルを有する端子金具と、電線に挿通され前面に筒状取付部が突設されたゴム栓と、が具備され、電線における絶縁被覆の端末に前記ゴム栓の前記筒状取付部が外嵌され、前記絶縁被覆の端末と前記筒状取付部とに亘って前記端子金具の前記インシュレーションバレルがかしめ圧着されることで電線の端末に前記端子金具と前記ゴム栓とが固着される電線の端末構造において、前記端子金具の前記インシュレーションバレルにおける前記バレル片には、その前縁よりも後方位置において前記ゴム栓の前記筒状取付部の有無を目視可能な検査孔が開口されているところに特徴を有する。
【0008】
上記構成によれば、検査孔がゴム栓の筒状取付部で埋まり、かつ同筒状取付部の先端がインシュレーションバレルのバレル片の前縁から出ていないことを目視することによって、ゴム栓の筒状取付部の先端がバレル片の前縁の直後に位置する所望位置でかしめられていることが確認される。
【0009】
他の発明は、底板の側縁からバレル片が立ち上がり形成されたインシュレーションバレルを有する端子金具と、電線に挿通され前面に筒状取付部が突設されたゴム栓と、が具備され、電線における絶縁被覆の端末に前記ゴム栓の前記筒状取付部が外嵌され、前記絶縁被覆の端末と前記筒状取付部とに亘って前記端子金具の前記インシュレーションバレルがかしめ圧着されることで電線の端末に前記端子金具と前記ゴム栓とが固着される電線の端末構造において、前記端子金具の前記インシュレーションバレルにおける前記底板には、前記バレル片の前縁と一致した位置から後方に向かって開口した検査孔が形成されているところに特徴を有する。
【0010】
上記構成によれば、ゴム栓の筒状取付部の先端が検査孔にあることを目視することによって、ゴム栓の筒状取付部の先端がバレル片の前縁の直後に位置する所望位置でかしめられていることが確認される。検査孔を一度見るだけでゴム栓の筒状取付部の先端が所望位置でかしめ圧着されたか否かを確認することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ゴム栓の筒状取付部が所望位置でかしめ圧着されたか否かを簡単にかつ正確に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態1に係る端末構造の固着動作を示す側面図
【図2】雌端子の平面図
【図3】固着後の端末構造を示す側面図
【図4】本発明の実施形態2に係る雌端子の側面図
【図5】同平面図
【図6】固着後の端末構造を示す側面図
【図7】同底面図
【図8】本発明の実施形態3に係る雌端子の側面図
【図9】同平面図
【図10】固着後の端末構造を示す側面図
【図11】同底面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図3によって説明する。
本実施形態では、被覆電線10の端末に、雌側の端子金具20(以下、雌端子20)と、ゴム栓40とが固着された端末構造を例示している。
雌端子20は、図示しない雌ハウジングのキャビティ内に挿入されて抜け止めされて収容され、それに伴いゴム栓40が同キャビティの入口に緊密に嵌着されることでシールが採られるようになっている。
【0014】
被覆電線10は、図1に示すように、複数本の金属素線からなる芯線11の回りが合成樹脂製の絶縁被覆12で覆われた構造となっている。
被覆電線10の端末に雌端子20とゴム栓40とを固着するに当たっては、被覆電線10の端末において絶縁被覆12が所定長さに亘って切除され、いわゆる皮剥きがなされ、芯線11の端末が所定長さ露出された端末処理が施されるようになっている。
【0015】
雌端子20は、導電性に優れた金属板をプレス加工することで形成され、図2にも示すように、相手の雄端子(図示せず)と電気的に接続される略角筒形をなす端子接続部21の後方に、ワイヤバレル25とインシュレーションバレル30とが設けられた構造である。
端子接続部21の内部には、底板22の前縁から折り返されるようにして弾性接触片23が設けられており、同端子接続部21に対して相手の雄端子のタブが前方から挿入され、弾性接触片23と弾性的に接触することにより、雄端子と雌端子20とが電気的に接続されるようになっている。
【0016】
ワイヤバレル25は、オープンバレル形式であって、左右一対の幅広のバレル片26が、底板27の左右の側縁から互いに対向するようにして立ち上がり形成されている。ワイヤバレル25は、上記した被覆電線10の芯線11の端末にかしめ圧着されるものであって、両バレル片26がそれぞれの突出端を突き合わせつつ、芯線11の端末の外周を左右両側から抱き込むようにして、いわゆるハート型にかしめられるようになっている。底板27の内面にはセレーション28が形成されている。
【0017】
インシュレーションバレル30は、同じくオープンバレル形式であって、ワイヤバレル25側のバレル片26よりも幅狭で逆に背が高い左右一対のバレル片31が、同じく底板32の左右の側縁から互いに対向するようにして立ち上がり形成されている。
一方、被覆電線10の残された絶縁被覆12の端末には、後記するゴム栓40の筒状取付部43が嵌装され、上記したインシュレーションバレル30は、絶縁被覆12の端末並びにゴム栓40の筒状取付部43に亘ってかしめ圧着されるものである。インシュレーションバレル30は、例えば、両バレル片31がそれぞれの突出端を重ねつつ、ゴム栓40の筒状取付部43の外周を左右両側から抱き込むようにして、いわゆるオーバラップ型にかしめられるようになっている。
【0018】
ゴム栓40は、含油シリコン等を素材とし、図1に示すように、全体として前後方向に長い円筒状に形成されている。このゴム栓40の中心孔内に、被覆電線10の絶縁被覆12が緊密に挿通されるようになっている。
ゴム栓40は、大径(厚肉)の本体部41を有しており、同本体部41の外周面、詳細には本体部41における前半部分の外周面には、上記した雌ハウジングのキャビティの内周面の全周に亘って弾性的に密着する環形のリップ42が、前後に間隔を開けて2条形成されている。
【0019】
本体部41の前面には筒状取付部43が、中心孔は共通として本体部41と同心に連設されている。筒状取付部43は例えば、被覆電線10の外径と、ゴム栓40の本体部41の外径とのほぼ中間の外径寸法を有し、また長さは、ゴム栓40の本体部41の長さの2割強である。
この筒状取付部43が絶縁被覆12の端末に嵌った状態において、上記したインシュレーションバレル30がかしめられるようになっている。
【0020】
なお、ワイヤバレル25とインシュレーションバレル30とでは、かしめる対象が被覆電線10の芯線11と、ゴム栓40の筒状取付部43といった外径が大小異なるものであるから、かしめられた後でも、被覆電線10の軸線が真直姿勢を維持できるように、それぞれの底板27,32の高さ位置が上下にずれて形成されている。
【0021】
さてこの実施形態では、ゴム栓40の筒状取付部43が被覆電線10における絶縁被覆12の端末とともにインシュレーションバレル30でかしめられる場合に、筒状取付部43がインシュレーションバレル30に対して所望の位置でかしめ圧着されたか否かを目視により確認し得る手段が講じられている。
本実施形態において筒状取付部43の所望のかしめ位置とは、筒状取付部43の先端43Aが、インシュレーションバレル30におけるバレル片31の前縁31Aの直後に位置していることを意味する。筒状取付部43が上記位置でかしめられていれば、筒状取付部43の先端43Aがインシュレーションバレル30(バレル片31)の前縁31Aから飛び出ることに起因して、かしめられたときに先端43Aが跳ね上がることが未然に防止され、また、筒状取付部43のかしめ範囲が長い寸法確保されて、十分な固着力が得られるためである。
【0022】
そのため、インシュレーションバレル30を構成する一対のバレル片31に対して、それぞれ検査孔35が開口されている。検査孔35は、バレル片31の幅の1/3弱の幅を持った縦長の長方形に形成され、バレル片31の高さ方向の途中位置において、バレル片31の前縁31Aから同検査孔35の幅に匹敵する所定寸法だけ後方に入った位置に形成されている。
【0023】
続いて、本実施形態の作用を説明する。被覆電線10の端末に雌端子20並びにゴム栓40を圧着する手順は、以下のようである。
被覆電線10の端末に対してゴム栓40が先通しされ、ゴム栓40が一旦後方に退避された状態で被覆電線10の絶縁被覆12の端末が皮剥きされ、芯線11の端末が所定長さに亘って露出状態とされる。そののち図1に示すように、ゴム栓40が前方に移動されて、筒状取付部43が残された絶縁被覆12の端末の外周に嵌められた状態となる。この実施形態では、筒状取付部43の先端43Aが、絶縁被覆12の先端縁から同筒状取付部43の長さよりも少し短い所定長さ後方に来るような位置に設定されている。
【0024】
そうしたら、圧着装置を用いて、被覆電線10の端末に雌端子20がゴム栓40ともども圧着接続される。詳細には、圧着装置にはアンビルとクリンパとが設けられ、図1の矢線に示すように、雌端子20のワイヤバレル25に対して、露出された芯線11の端末が、またインシュレーションバレル30に対して、残された絶縁被覆12の端末並びにそこに嵌められたゴム栓40の筒状取付部43がそれぞれ配された状態でセットされ、両バレル25,30は、アンビルとクリンパとの間で挟圧されてかしめられる。
これにより、被覆電線10の端末に雌端子20がゴム栓40ともども圧着固定された状態となる。
【0025】
そして検査工程では、被覆電線10の端末部分、特にインシュレーションバレル30のかしめ部分を目視し、インシュレーションバレル30のバレル片31に開口された検査孔35がゴム栓40の筒状取付部43で埋まり、かつ同筒状取付部43の先端43Aがインシュレーションバレル30のバレル片31の前縁31Aから出ていないことが目視できたら、ゴム栓40の筒状取付部43の先端43Aが、バレル片31の前縁31Aの直後に位置する正規位置でかしめられていることが確認される。
【0026】
一方、何らかの事情、例えばゴム栓40の被覆電線10の端末への装着位置がずれていたり、圧着装置において雌端子20へのセット位置がずれていたりすると、ゴム栓40の筒状取付部43の先端43Aの位置がインシュレーションバレル30に対してばらつき、その状態でかしめ圧着されることがある。
例えば、筒状取付部43が前に出過ぎていると、筒状取付部43の先端43Aがバレル片31の前縁31Aから飛び出て跳ね上がってかしめられ、このような状態が目視されたら、不良品として処理される。
逆に、筒状取付部43が後に引っ込み過ぎていると、筒状取付部43の先端43Aが検査孔35に臨んでいたり、検査孔35が開いた状態であることが目視でき、このようなときは固着力の不足が懸念されるため、同様に不良品として処理される。
【0027】
このように本実施形態によれば、かしめ圧着後の被覆電線10の端末構造において、インシュレーションバレル30のバレル片31に開口された検査孔35がゴム栓40の筒状取付部43で埋まり、かつ同筒状取付部43の先端43Aがインシュレーションバレル30のバレル片31の前縁31Aから出ていないことを目視することによって、ゴム栓40の筒状取付部43の先端43Aがバレル片31の前縁31Aの直後に位置する所望位置でかしめられていることを、簡単にかつ正確に確認できる。
【0028】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図4ないし図7によって説明する。この実施形態2では、インシュレーションバレル30を含めて雌端子20の全体構造は上記実施形態1のものと同様であり、かつゴム栓40の筒状取付部43の所望のかしめ位置が、筒状取付部43の先端43Aがインシュレーションバレル30におけるバレル片31の前縁31Aの直後に位置していることも同様であるが、かしめ圧着位置を確認する手段が実施形態1とは異なっている。
以下には、実施形態1との相違部分について主に説明し、共通の機能を有する部位、部材については、実施形態1と同一符号を付すことで重複した説明は省略する。
【0029】
この実施形態の検査孔37は、上記実施形態1の検査孔35と比較すると、同幅でかつ長さが少し大きい長方形をなしている。この検査孔37が、図5に示すように、その長さ方向が同雌端子20の軸線と直交する姿勢を採った上で、インシュレーションバレル30の底板32における幅方向の中央部で、特にその前縁が、バレル片31の前縁31Aと一致した位置に開口されている。
【0030】
この実施形態2では、かしめ圧着工程後の検査工程において、図7に示すように、雌端子20を裏返しにしてインシュレーションバレル30の底板32に開口された検査孔37を目視し、ゴム栓40の筒状取付部43の先端43Aが同検査孔37にあることが目視できたら、ゴム栓40の筒状取付部43の先端43Aがバレル片31の前縁31Aの直後に位置する正規位置でかしめられていることが確認される。
検査孔37を一度見るだけで、ゴム栓40の筒状取付部43の先端43Aが所望位置でかしめ圧着されたか否かを確認することができる。
【0031】
<実施形態3>
図8ないし図11は本発明の実施形態3を示す。実施形態3は実施形態2の変形例とも言うべきものであって、雌端子20Aに設けられたインシュレーションバレル50の形状が異なっている。
実施形態3の雌端子20Aのインシュレーションバレル50は、底板53の左右の側縁から、一対のバレル片51,52が当該雌端子20Aの軸線方向である前後方向にずれた形態で立ち上がり形成されている。両バレル片51,52は、共に幅狭で先端がやや尖った形状に形成され、ゴム栓40の筒状取付部43に対して、前後にずれた形態で左右から巻き付くようにかしめられる。特に前側のバレル片51は、その前縁51Aが雌端子20Aの軸線と直角をなして切り立つように形成されている。
【0032】
そして、実施形態3では、ゴム栓40の筒状取付部43の所望のかしめ位置が、筒状取付部43の先端43Aがインシュレーションバレル50における前側のバレル片51の前縁51Aの直後に位置していることである。
上記の所望のかしめ位置に基づき、検査孔37は、インシュレーションバレル50の底板53における幅方向の中央部において、特にその前縁37Aが、前側のバレル片51の前縁51Aと一致した位置に開口形成されている。
【0033】
この実施形態3においても、かしめ圧着工程後の検査工程において、図11に示すように、雌端子20Aを裏返しにしてインシュレーションバレル50の底板53に開口された検査孔37を目視し、ゴム栓40の筒状取付部43の先端43Aが同検査孔37内にあることが目視できたら、ゴム栓40の筒状取付部43の先端43Aが、前側のバレル片51の前縁51Aの直後に位置する正規位置でかしめられていることが確認される。
同じく検査孔37を一度見るだけで、ゴム栓40の筒状取付部43の先端43Aが所望位置でかしめ圧着されたか否かを確認することができる。
【0034】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施形態1において、検査孔の形状は長方形に限らず、三角形、円形等の任意の形状に形成することができる。
(2)実施形態2,3においても、検査孔の形状は任意に選定できるが、その前縁にバレル片の前縁と平行をなす直線部を有している形状とすることが好ましい。
【0035】
(3)本発明は、インシュレーションバレルの形状が底板の一側縁から一枚のバレル片が立ち上がり形成されて、同バレル片がゴム栓の筒状取付部の全周に巻き付けられるようにかしめられる構造のものにも、同様に適用することが可能である。
(4)本発明は、被覆電線の端末に雄端子ともどもゴム栓がかしめ圧着されるものにも同様に適用できる。
(5)電線は被覆電線に限らずシールド電線であってもよく、要するところ本発明は、電線の端末に端子金具ともどもゴム栓を固着した端末構造全般に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
10…被覆電線
12…絶縁被覆
20,20A…雌端子(端子金具)
30…インシュレーションバレル
31…バレル片
31A…(バレル片31の)前縁
32…底板
35…検査孔
37…検査孔
37A…(検査孔37の)前縁
40…ゴム栓
43…筒状取付部
43A…(筒状取付部43の)先端
50…インシュレーションバレル
51,52…バレル片
51A…(前側のバレル片51の)前縁
53…底板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板の側縁からバレル片が立ち上がり形成されたインシュレーションバレルを有する端子金具と、
電線に挿通され前面に筒状取付部が突設されたゴム栓と、が具備され、
電線における絶縁被覆の端末に前記ゴム栓の前記筒状取付部が外嵌され、前記絶縁被覆の端末と前記筒状取付部とに亘って前記端子金具の前記インシュレーションバレルがかしめ圧着されることで電線の端末に前記端子金具と前記ゴム栓とが固着される電線の端末構造において、
前記端子金具の前記インシュレーションバレルにおける前記バレル片には、その前縁よりも後方位置において前記ゴム栓の前記筒状取付部の有無を目視可能な検査孔が開口されていることを特徴とする電線の端末構造。
【請求項2】
底板の側縁からバレル片が立ち上がり形成されたインシュレーションバレルを有する端子金具と、
電線に挿通され前面に筒状取付部が突設されたゴム栓と、が具備され、
電線における絶縁被覆の端末に前記ゴム栓の前記筒状取付部が外嵌され、前記絶縁被覆の端末と前記筒状取付部とに亘って前記端子金具の前記インシュレーションバレルがかしめ圧着されることで電線の端末に前記端子金具と前記ゴム栓とが固着される電線の端末構造において、
前記端子金具の前記インシュレーションバレルにおける前記底板には、前記バレル片の前縁と一致した位置から後方に向かって開口した検査孔が形成されていることを特徴とする電線の端末構造。
【請求項1】
底板の側縁からバレル片が立ち上がり形成されたインシュレーションバレルを有する端子金具と、
電線に挿通され前面に筒状取付部が突設されたゴム栓と、が具備され、
電線における絶縁被覆の端末に前記ゴム栓の前記筒状取付部が外嵌され、前記絶縁被覆の端末と前記筒状取付部とに亘って前記端子金具の前記インシュレーションバレルがかしめ圧着されることで電線の端末に前記端子金具と前記ゴム栓とが固着される電線の端末構造において、
前記端子金具の前記インシュレーションバレルにおける前記バレル片には、その前縁よりも後方位置において前記ゴム栓の前記筒状取付部の有無を目視可能な検査孔が開口されていることを特徴とする電線の端末構造。
【請求項2】
底板の側縁からバレル片が立ち上がり形成されたインシュレーションバレルを有する端子金具と、
電線に挿通され前面に筒状取付部が突設されたゴム栓と、が具備され、
電線における絶縁被覆の端末に前記ゴム栓の前記筒状取付部が外嵌され、前記絶縁被覆の端末と前記筒状取付部とに亘って前記端子金具の前記インシュレーションバレルがかしめ圧着されることで電線の端末に前記端子金具と前記ゴム栓とが固着される電線の端末構造において、
前記端子金具の前記インシュレーションバレルにおける前記底板には、前記バレル片の前縁と一致した位置から後方に向かって開口した検査孔が形成されていることを特徴とする電線の端末構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−54832(P2013−54832A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190340(P2011−190340)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]