説明

電解質組成物および電池

(1)必要により存在する、エーテル結合を有するポリマーと、(2)必要により存在する、エチレンオキシド単位を有するエーテル化合物からなる添加剤と、(3)リチウム塩化合物と、(4)不飽和基を有する環状カーボネートからなることを特徴とする電解質組成物は、加工性、成形性、機械的強度、柔軟性や耐熱性などに優れており、かつそのリチウム金属への電気化学的特性は著しく改善されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、リチウム塩化合物と不飽和基を有する環状カーボネートを含んでなる電解質組成物に関し、特に、電池、キャパシター、センサー等の電気化学デバイス用材料として好適な電解質組成物に関する。
【背景技術】
従来、電池、キャパシター、センサーなどの電気化学デバイスを構成する電解質は、イオン伝導性の点から電解液または電解液を含有させてゲル状にしたポリマー電解質が用いられているが、電解液の液漏れによる機器の損傷の恐れがあること、また電解液が正極や負極と反応して、電気化学的特性が低下する等の問題点が指摘されている。これに対し無機結晶性物質、無機ガラス、有機高分子系物質などの固体電解質が提案されている。有機高分子系物質は一般に加工性、成形性に優れ、得られる固体電解質が柔軟性、曲げ加工性を有し、応用されるデバイスの設計の自由度が高くなることなどの点からその進展が期待されている。しかしながら、イオン伝導性の面では他の材質より劣っているのが現状である。
エチレンオキシドの単独重合体とアルカリ金属イオン系におけるイオン伝導性の発見より、高分子固体電解質の研究は活発に行われるようになった。その結果、ポリマーマトリックスとしては、その運動性の高さ及び金属カチオンの溶解性の点でポリエチレンオキシドなどのポリエーテルが最も有望と考えられている。イオンの移動はポリマーの結晶部ではなくアモルファス部分で起こることが予測されている。それ以来、ポリエチレンオキシドの結晶性を低下させるために、種々のエポキシドとの共重合が行われてきている。米国特許USP4,818,644号公報にはエチレンオキシドとメチルグリシジルエーテルとの共重合体からなる固体電解質が示されている。しかしながら、いずれもイオン伝導度は必ずしも満足のいくものではなかった。
このため、ジエチレングリコールメチルグリシジルエーテル−エチレンオキシド架橋体に特定のアルカリ金属塩を含有させて高分子固体電解質に応用する試みが特開平9−324114号公報に提案されているが、実用的に充分な伝導度の値は得られていない。このイオン伝導度を更に向上させるために、非プロトン性有機溶媒または分岐型ポリエチレングリコールの誘導体などを含む高分子固体電解質も本出願人を含むWO98/07772号公報に提案されている。しかし、これらの電解質は電極にリチウム金属を用いた場合、リチウム金属と反応あるいはリチウム金属の表面にデンドライドが析出し、電気化学的特性が著しく低下する。
【発明の開示】
(発明が解決しようとする技術的課題)
本発明の目的は、イオン伝導性および電気化学特性が優れた電解質組成物、特にポリマー電解質を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(1)必要により存在する、エーテル結合を有するポリマーと、
(2)必要により存在する、エチレンオキシド単位を有するエーテル化合物からなる添加剤と、
(3)リチウム塩化合物と、
(4)不飽和基を有する環状カーボネート
からなり、成分(1)および(2)の少なくとも一方が存在することを特徴とする電解質組成物を提供する。
加えて、本発明は、前記電解質組成物を用いた電池をも提供する。
本発明の電解質組成物を用いると、リチウム金属に安定な高性能の電池が得られることも見いだした。
(従来技術より有利な効果)
本発明の固体電解質組成物は加工性、成形性、機械的強度、柔軟性や耐熱性などに優れており、かつそのリチウム金属への電気化学的特性は著しく改善されている。したがって固体電池(特に、二次電池)をはじめ、大容量コンデンサー、表示素子、例えばエレクトロクロミックディスプレイなど電子機器へ応用できる。
発明の好ましい態様
本発明の電解質組成物は、ポリマー(1)および添加剤(2)の少なくとも一方を含む。電解質組成物は、ポリマー(1)と添加剤(2)の両方を含んでよい。
エーテル結合を有するポリマー(1)は、下記式(i)で表される構成単位と、下記式(ii)で表される構成単位とを有してなる共重合体、あるいは構成単位(i)、構成単位(ii)、および下記式(iii)で表される架橋可能な構成単位を有してなる共重合体であることが好ましい。更にはランダム共重合体の方が好ましい。

[式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基または−CHO−Rを表し、Rは炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基または−(−CH−CH−O−)−R2’または−CH[CH−O−(−CH−CH−O−)−R2’を表し、R2’は炭素数1〜6のアルキル基、aおよびbは0〜12の整数である。]

[式中、Rは(a)反応性ケイ素基、(b)メチルエポキシ基、(c)エチレン性不飽和基または(d)ハロゲン原子を有する反応性基を表す]
ポリマー(1)における構成単位(i)を構成する単量体は、エチレンオキシドである。
ポリマー(1)における構成単位(ii)を構成するオキシラン化合物には、置換基を有していてもよいアルキレンオキサイド、グリシジルエーテル化合物などがある。具体的には、プロピレンオキシド、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、スチレンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、1,2−エポキシヘキサンなどのオキシラン化合物、エチレングリコールメチルグリシジルエーテル、ジエチレングリコールメチルグリシジルエーテル、トリエチレングリコールメチルグリシジルエーテル、1,3−ビス(2−メトキシエトキシ)プロパン2−グリシジルエーテル、1,3−ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]プロパン2−グリシジルエーテルが挙げられる。
ポリマー(1)における架橋可能な構成単位(iii)を形成するオキシラン化合物の反応性官能基は、(a)反応性ケイ素基、(b)メチルエポキシ基、(c)エチレン性不飽和基、または(d)ハロゲン原子である。
反応性ケイ素基(a)を有するオキシラン化合物には、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、4−グリシドキシブチルメチルトリメトキシシラン、3−(1,2−エポキシ)プロピルトリメトキシシラン、4−(1,2−エポキシ)ブチルトリメトキシシラン、5−(1,2−エポキシ)ペンチルトリメトキシシラン、1−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらの中で、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランおよび3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランが特に好ましい。
メチルエポキシ基(b)を有するオキシラン化合物には、2,3−エポキシプロピル−2’,3’−エポキシ−2’−メチルプロピルエーテル、エチレングリコール−2,3−エポキシプロピル−2’,3’−エポキシ−2’−メチルプロピルエーテル、及びジエチレングリコール−2,3−エポキシプロピル−2’,3’−エポキシ−2’−メチルプロピルエーテル、2−メチル−1,2,3,4−ジエポキシブタン、2−メチル−1,2,4,5−ジエポキシペンタン、2−メチル−1,2,5,6−ジエポキシヘキサン、ヒドロキノン−2,3−エポキシプロピル−2’,3’−エポキシ−2’−メチルプロピルエーテル、カテコール−2,3−エポキシプロピル−2’,3’−エポキシ−2’−メチルプロピルエーテルなどが挙げられる。
その中でも、特に2,3−エポキシプロピル−2’,3’−エポキシ−2’−メチルプロピルエーテル、及びエチレングリコール−2,3−エポキシプロピル−2’,3’−エポキシ−2’−メチルプロピルエーテルが好ましい。
エチレン性不飽和基(c)を有するオキシラン化合物には、アリルグリシジルエーテル、4−ビニルシクロヘキシルグリシジルエーテル、α−テルピニルグリシジルエーテル、シクロヘキセニルメチルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、アリルフェニルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、3,4−エポキシ−1−ブテン、3,4−エポキシ−1−ペンテン、4,5−エポキシ−2−ペンテン、1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエン、3,4−エポキシ−1−ビニルシクロヘキセン、1,2−エポキシ−5−シクロオクテン、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、ソルビン酸グリシジル、ケイ皮酸グリシジル、クロトン酸グリシジル、グリシジル−4−ヘキセノエートが用いられる。
好ましくは、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルが挙げられる。
ハロゲン原子(d)を有するオキシラン化合物には、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン、エピクロロヒドリンなどが挙げられる。
エーテル結合を有するポリマーの重合法は、エチレンオキサイド部分の開環反応により多元共重合体を得る重合法であり、特開昭63−154736号公報および特開昭62−169823号公報に記載の方法と同様にして行われる。
重合反応は次のようして行える。開環重合用触媒として有機アルミニウムを主体とする触媒系、有機亜鉛を主体とする触媒系、有機錫−リン酸エステル縮合物触媒系などを用いて、各モノマーを溶媒の存在下又は不存在下、反応温度10〜80℃、撹拌下で反応させることによってポリエーテル共重合体が得られる。なかでも、重合度、あるいは作られる共重合体の性質などの点から、有機錫−リン酸エステル縮合物触媒系が特に好ましい。重合反応において反応性官能基は反応せず、反応性官能基を有するポリマー(1)が得られる。
本発明の電解質組成物に使われるエーテル結合を有するポリマー(1)に対して、構成単位(i)を構成するエチレンオキシドの割合は10〜95重量%、好ましくは20〜90重量%、構成単位(ii)を構成するオキシラン化合物の量は90〜5重量%、好ましくは80〜10重量%、架橋可能な構成単位(iii)を構成するオキシラン化合物は0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%、特に0.1〜20重量%である。
架橋可能な構成単位(iii)を構成するオキシラン化合物の量が30重量%以下である場合に、架橋されたポリマーは、イオン伝導度が良好である。
構成単位(i)を構成するエチレンオキシドの量が10重量%以上である場合に、低温でもリチウム塩化合物が溶けやすいために、イオン伝導度が高い。
一般にガラス転移温度を下げることによりイオン伝導性が向上することは知られているが、本発明のポリマー電解質組成物の場合はイオン伝導性の向上効果は格段に大きいことがわかった。
ポリマー電解質組成物に使われるポリマーの分子量は、良好な加工性、成形性、機械的強度、柔軟性を得るために、重量平均分子量10〜10の範囲内、好ましくは10〜10の範囲内のものが適する。
反応性官能基が反応性ケイ素基(a)であるポリマー(1)の架橋方法としては、反応性ケイ素基と水との反応によって架橋できる。反応性を高めるには、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレート等のスズ化合物、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン化合物、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート等のアルミニウム等のアルミニウム化合物などの有機金属化合物、あるいは、ブチルアミン、オクチルアミン等のアミン系化合物などを触媒として用いても良い。
反応性官能基がメチルエポキシ基(b)であるポリマー(1)の架橋方法においてはポリアミン類、酸無水物類などが用いられる。
ポリアミン類としては、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミンなどの脂肪族ポリアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、キシリレンジアミンなどの芳香族ポリアミン等が挙げられる。ポリアミンの添加量はポリアミンの種類により異なるが、通常、可塑剤(即ち、添加剤(2))を除いたポリマー電解質組成物100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲である。
酸無水物類としては、無水マレイン酸、無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラメチレン無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。酸無水物類の添加量は酸無水物の種類により異なるが、通常、可塑剤を除いたポリマー電解質組成物100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲である。これらの架橋には促進剤を用いても良く、ポリアミン類の架橋反応にはフェノール、クレゾール、レゾルシンなどがあり、酸無水物類の架橋反応にはベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノエチル)フェノール、ジメチルアニリンなどがある。促進剤の添加量は促進剤により異なるが、通常、架橋剤100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲である。
反応性官能基がエチレン性不飽和基(c)であるポリマー(1)の架橋方法としては、有機過酸化物、アゾ化合物等から選ばれるラジカル開始剤、紫外線、電子線等の活性エネルギー線が用いられる。更には、水素化ケイ素を有する架橋剤を用いる事もできる。
有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル等、通常架橋用途に使用されているものが用いられ、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ベンゾイルパーオキサイド、等が挙げられる。有機過酸化物の添加量は有機過酸化物の種類により異なるが、通常、可塑剤を除いたポリマー電解質組成物100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲内である。
アゾ化合物としてはアゾニトリル化合物、アゾアミド化合物、アゾアミジン化合物等、通常架橋用途に使用されているものが用いられ、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等が挙げられる。アゾ化合物の添加量はアゾ化合物の種類により異なるが、通常、可塑剤を除いたポリマー電解質組成物100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲内である。
紫外線等の活性エネルギー線照射による架橋においては、アクリル酸グリシジルエーテル、メタクリル酸グリシジルエーテル、ケイ皮酸グリシジルエーテルが特に好ましい。また、増感助剤としてジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、フェニルケトン等のアセトフェノン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン等のチオキサントン類、3−スルホニルアジド安息香酸、4−スルホニルアジド安息香酸等のアジド類等を任意に用いることができる。
架橋助剤としてエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、オリゴエチレングリコールジアクリレート、オリゴエチレングリコールジメタクリレート、アリルメタリクレート、アリルアクリレート、ジアリルマレート、トリアリルイソシアヌレート、ビスフェニルマレイミド、無水マレイン酸等を任意に用いることができる。
エチレン性不飽和基(c)を架橋する水素化ケイ素を有する化合物としては、少なくとも2個の水素化ケイ素を有する化合物が用いられる。特にポリシロキサン化合物またはポリシラン化合物が良い。
ヒドロシリル化反応の触媒の例としては、パラジウム、白金などの遷移金属あるいはそれらの化合物、錯体が挙げられる。また、過酸化物、アミン、ホスフィンも用いられる。最も一般的な触媒はジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)、塩化白金酸が挙げられる。
反応性官能基がハロゲン原子(d)であるエーテル結合を有するポリマー(1)の架橋方法としては、ポリアミン類、メルカプトイミダゾリン類、メルカプトピリミジン類、チオウレア類、ポリメルカプタン類等の架橋剤が用いられる。ポリアミン類としては、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。メルカプトイミダゾリン類としては2−メルカプトイミダゾリン、4−メチル−2−メルカプトイミダゾリン等が挙げられる。メルカプトピリミジン類としては2−メルカプトピリミジン、4,6−ジメチル−2−メルカプトピリミジン、等が挙げられる。チオウレア類としてはエチレンチオウレア、ジブチルチオウレアなどが挙げられる。ポリメルカプタン類としては2−ジブチルアミノ−4,6−ジメチルカプト−s−トリアジン、2−フェニルアミノ−4,6−ジメルカプトトリアジン、等が挙げられる。架橋剤の添加量は架橋剤の種類により異なるが、通常、可塑剤を除いたポリマー電解質組成物100重量部に対して0.1〜30重量部の範囲である。
また、高分子固体電解質に更に受酸剤となる金属化合物を添加することは、ハロゲン含有ポリマーの熱安定性の見地から有効である。このような受酸剤となる金属酸化物としては、周期律表第II族金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、亜リン酸塩、周期律表VIa族金属の酸化物、塩基性炭酸塩、塩基性カルボン酸塩、塩基性亜リン酸塩、塩基性亜硫酸塩、三塩基性硫酸塩等がある。具体的な例としては、マグネシア、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、鉛丹、ステアリン酸錫、等を挙げることができる。上記酸受酸剤となる金属化合物の配合量は種類により異なるが、通常、可塑剤を除いたポリマー電解質組成物100重量部に対して0.1〜30重量部の範囲である。
エチレンオキシド単位を有するエーテル化合物を含む添加剤(2)は、可塑剤として機能する。ポリマー電解質組成物にエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物を含む添加剤(2)を入れると、ポリマーの結晶化が抑制されガラス転移温度が低下し、低温でも無定形相が多く形成されるためにイオン伝導度が高くなる。
エチレンオキシド単位を有するエーテル化合物を含む添加剤(2)の例は下記式(iv)〜(vii)のいずれかで表される添加剤が好ましい。


[式中、R〜R18は、炭素数1〜6のアルキル基、c〜rは0〜12の数である。]
添加剤(2)の配合割合は任意であるが、ポリマー(1)および添加剤(2)の合計が100重量部である。
本発明において用いられるリチウム塩化合物(3)は、ポリマー(1)、添加剤(2)からなる混合物および環状カーボネート(4)に可溶であることが好ましい。本発明においては、以下に挙げるリチウム塩化合物が好ましく用いられる。
陽イオンのリチウムイオンと、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、テトラフルオロホウ素酸イオン、硝酸イオン、AsF、PF、ステアリルスルホン酸イオン、オクチルスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン、ドデシルナフタレンスルホン酸イオン、7,7,8,8−テトラシアノ−p−キノジメタンイオン、XSO、[(XSO)(XSO)N]、[(XSO)(XSO)(XSO)C]、及び[(XSO)(XSO)YC]から選ばれた陰イオンとからなる化合物が挙げられる。但し、X、X、X及びYは電子吸引性基である。好ましくはX、X、及びXは各々独立して炭素数が1から6迄のパーフルオロアルキル基又はパーフルオロアリール基であり、Yはニトロ基、ニトロソ基、カルボニル基、カルボキシル基又はシアノ基である。X、X及びXは各々同一であっても、異なっていてもよい。
本発明において、リチウム塩化合物(3)の使用量は、ポリマー(1)および添加剤(2)の合計100重量部に対して、0.1〜1000重量部、好ましくは1〜500重部の範囲であってよい。この値が1000重量部以下にあると、加工性、成形性及び得られた固体電解質の機械的強度や柔軟性が高く、さらにイオン伝導性も高い。
電解質組成物を使用する際に難燃性が必要な場合には、難燃剤を使用できる。難燃剤として、臭素化エポキシ化合物、テトラブロムビスフェノールA、塩素化パラフィン等のハロゲン化物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、リン酸エステル、ポリリン酸塩、及びホウ酸亜鉛から選択して有効量(例えば、ポリマー(1)および添加剤(2)の合計100重量部に対して10重量部以下)を添加する。
不飽和基を有する環状カーボネート(4)において、不飽和基は、一般に、炭素−炭素二重結合である。
リチウム金属電池の場合、環状カーボネート(4)は負極の金属リチウムと反応して安定な皮膜を形成し、電解質と金属リチウムの反応およびデンドライドの成長を抑制する。
環状カーボネート(4)は、ビニレンカーボネートまたはその誘導体、あるいは不飽和基を有するエチレンカーボネートであることが好ましい。
本発明において、ビニレンカーボネートまたはその誘導体の例は下記式(viii−1)で表される化合物であることが好ましい。

[式中、R19およびR20は、水素または炭素数が1〜6のアルキル基である。]
本発明において、不飽和基を有するエチレンカーボネートの例は下記式(viii−2)で表される化合物であることが好ましい。

[式中、R21は、Hまたは炭素数が1〜6のアルキル基、R22は炭素数が1〜6のアルケニル基または−CHOR22’であり、R22’は炭素数が1〜6のアルケニル基である。]
環状カーボネート(4)の使用量は、成分(1)及び(2)の合計100重量部に対して、1〜100重量部、好ましくは5〜80重量部の範囲がよい。最適量は金属リチウムの表面が環状カーボネートと反応して、安定な被膜を形成できる量でよい。過剰の環状カーボネートがポリマー電解質組成物中に存在すると、電気化学的性質が低下する。
環状カーボネート(4)の含有方法は、成分(1)、(2)及び(3)からなる電解質化合物を架橋しない場合は、特に制約されない。
しかし、成分(1)、(2)及び(3)からなる電解質化合物を架橋して用いる場合は、環状カーボネート(4)は、成分(1)、(2)及び(3)からなる電解質化合物を架橋した後に、含浸する必要がある。成分(1)、(2)及び(3)からなる電解質化合物の架橋前に、環状カーボネート(4)を含有後、架橋した場合、電気化学的特性が改善されない。これは、架橋によって、環状カーボネート(4)のエチレン性不飽和基が消失していることが考えられる。
成分(1)、(2)及び(3)からなる電解質化合物を架橋して用いる場合は環状カーボネート(4)を含浸する方法は特に制約されないが、成分(1)、(2)及び(3)からなる電解質化合物の架橋体に環状カーボネート(4)を直接含浸する方法、添加剤(2)と混合したものを含浸する方法、有機溶媒と混合したものを含浸する方法、あるいはこれらの中に成分(1)、(2)及び(3)からなる電解質化合物を混合したものを含浸する方法などがある。
本発明のポリマーポリマー電解質組成物の製造方法は特に制約はないが、通常夫々の成分を機械的に混合すればよい。架橋を必要とするポリマー(1)の場合には、それぞれの成分を機械的に混合後、架橋させるなどの方法によって製造されるが、架橋後に添加剤に長時間浸漬して含浸させても良い。機械的に混合する手段としては、各種ニーダー類、オープンロール、押出機などを任意に使用できる。
反応性官能基が反応性ケイ素基である場合に、架橋反応に用いられる水の量は、雰囲気中の湿気によっても容易に起こるので特に制限されない。短時間冷水又は温水浴に通すか、又はスチーム雰囲気にさらす事で架橋する事もできる。
反応性官能基がエチレン性不飽和基である場合に、ラジカル開始剤を利用すると、10℃〜200℃の温度条件下1分〜20時間で架橋反応が終了する。また、紫外線等のエネルギー線を利用する場合、一般には増感剤が用いられる。通常、10℃〜150℃の温度条件下0.1秒〜1時間で架橋反応が終了する。水素化ケイ素を有する架橋剤では10℃〜180℃の温度条件下10分〜10時間で架橋反応が終了する。
リチウム塩化合物(3)および添加剤(2)をポリマー(1)(即ち、ポリエーテル多元共重合体)に混合する方法は特に制約されないが、必要に応じて有機溶媒を使うことができる。有機溶媒を使用して製造する場合は、各種の極性溶媒、例えばテトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が単独、或いは混合して用いられる。
本発明で示されたポリマー電解質組成物は機械的強度と柔軟性に優れており、その性質を利用して大面積薄膜形状の固体電解質とすることが容易に得られる。例えば本発明のポリマー電解質組成物を用いた電池の作製が可能である。この場合、正極材料としてはリチウム−マンガン複合酸化物、コバルト酸リチウム、五酸化バナジウム、オリビン型リン酸鉄、ポリアセチレン、ポリピレン、ポリアニリン、ポリフェニレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリピロール、ポリフラン、ポリアズレン等がある。負極材料としてはリチウムがグラファイトあるいはカーボンの層間に吸蔵された層間化合物、リチウム金属、リチウム−鉛合金等がある。また高いイオン伝導性を利用してアルカリ金属イオン、Cuイオン、Caイオン、及びMgイオン等の陽イオンのイオン電極の隔膜としての利用も考えられる。本発明のポリマー電解質組成物は特に電池、キャパシター、センサー等の電気化学デバイス用材料として好適である。
【実施例】
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
ポリエーテル共重合体のモノマー換算組成はH NMRスペクトルにより求めた。ポリエーテル共重合体の分子量測定にはゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定を行い、標準ポリスチレン換算により分子量を算出した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定は(株)島津製作所の測定装置RID−6A、昭和電工(株)製カラムのショウデックスKD−807、KD−806、KD−806M及びKD−803、及び溶媒ジメチルホルムアミド(DMF)を用いて60℃で行った。ガラス転移温度はセイコー電子工業(株)製DSC220を用い、融解熱量はパーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC7を用い、窒素雰囲気中、温度範囲−100〜80℃、昇温速度10℃/minで測定した。導電率σを測定するためにサンプルフィルムを事前に30℃、12時間真空乾燥を行った。導電率の測定は10℃で行い、フィルムをSUS製の電極ではさみ、電圧30mV、周波数範囲10Hz〜10MHzの交流法を用い、複素インピーダンス法により算出した。
電池系でのリチウム金属との安定性評価には、リチウム析出溶解効率試験により求めた。リチウム析出溶解効率試験には(株)ナガノ製充放電試験器BTS−2004Wを用いた。銅箔と対極に金属リチウムを用い、両極間にポリマー電解質組成物を挟んで試験セルを作製した。室温下で電流密度0.1mA/cmで10時間Liを析出後、電流密度0.1mA/cmで終止電圧2.0VまでLiの溶解を行った。リチウム析出溶解効率は以下の式より求めた。
リチウム析出溶解効率(%)=(nサイクル目の溶解に要した時間/nサイクル目の析出に要した時間)×100
合成例(触媒の製造)
撹拌機、温度計及び蒸留装置を備えた3つ口フラスコにトリブチル錫クロライド10g及びトリブチルホスフェート35gを入れ、窒素気流下に撹拌しながら250℃で20分間加熱して留出物を留去させ残留物として固体状の縮合物質を得た。以後これを重合用触媒として使用した。
重合例1(ポリマーの製造)
内容量3Lのガラス製4つ口フラスコの内部を窒素置換し、これに触媒として触媒の製造例で示した縮合物質2gと水分10ppm以下に調整したメチルグリシジルエーテル100g、及び溶媒としてn−ヘキサン1,000gを仕込み、エチレンオキシド200gはメチルグリシジルエーテルの重合率をガスクロマトグラフィーで追跡しながら、逐次添加した。重合反応はメタノールで停止した。デカンテーションによりポリマーを取り出した後、常圧下40℃で24時間、更に減圧下45℃で10時間乾燥してポリマー275gを得た。この共重合体のガラス転移温度は−65℃、重量平均分子量は110万、融解熱量は7J/gであった。H NMRスペクトルによるこの共重合体のモノマー換算組成分析結果はエチレンオキシド67wt%、メチルグリシジルエーテル33wt%であった。
重合例2(ポリマーの製造)
内容量3Lのガラス製4つ口フラスコの内部を窒素置換し、これに触媒として触媒の製造例で示した縮合物質2gと水分10ppm以下に調整したプロピレンオキシド100g、メタクリル酸グリシジル10g及び溶媒としてn−ヘキサン1,000gを仕込み、エチレンオキシド200gはプロピレンオキシドの重合率をガスクロマトグラフィーで追跡しながら、逐次添加した。重合反応はメタノールで停止した。デカンテーションによりポリマーを取り出した後、常圧下40℃で24時間、更に減圧下45℃で10時間乾燥してポリマー283gを得た。この共重合体のガラス転移温度は−68℃、重量平均分子量は170万、融解熱量は7J/gであった。H NMRスペクトルによるこの共重合体のモノマー換算組成分析結果はエチレンオキシド67wt%、プロピレンオキシド30wt%、メタクリル酸グリシジル3wt%であった。
重合例3(ポリマーの製造)
内容量3Lのガラス製4つ口フラスコの内部を窒素置換し、これに触媒として触媒の製造例で示した縮合物質2gと水分10ppm以下に調整した下記式(ix)のオキシラン化合物(EM)180g、アリルグリシジルエーテル20g及び溶媒としてn−ヘキサン1,000gを仕込み、エチレンオキシド120gはEMの重合率をガスクロマトグラフィーで追跡しながら、逐次添加した。重合反応はメタノールで停止した。デカンテーションによりポリマーを取り出した後、常圧下40℃で24時間、更に減圧下45℃で10時間乾燥してポリマー298gを得た。この共重合体のガラス転移温度は−72℃、重量平均分子量は130万、融解熱量は3J/gであった。H NMRスペクトルによるこの共重合体のモノマー換算組成分析結果はエチレンオキシド37wt%、EM57wt%、アリルグリシジルエーテル6wt%であった。

重合例4(ポリマーの製造)
内容量3Lのガラス製4つ口フラスコの内部を窒素置換し、これに触媒として触媒の製造例で示した縮合物質2gと水分10ppm以下に調整した下記式(x)のオキシラン化合物(GM)100g、アリルグリシジルエーテル10g及び溶媒としてn−ヘキサン1,000gを仕込み、エチレンオキシド120gはGMの重合率をガスクロマトグラフィーで追跡しながら、逐次添加した。重合反応はメタノールで停止した。デカンテーションによりポリマーを取り出した後、常圧下40℃で24時間、更に減圧下45℃で10時間乾燥してポリマー205gを得た。この共重合体のガラス転移温度は−74℃、重量平均分子量は115万、融解熱量は3J/gであった。H NMRスペクトルによるこの共重合体のモノマー換算組成分析結果はエチレンオキシド53wt%、GM43wt%、アリルグリシジルエーテル4wt%であった。

【実施例1】
重合例1で得られた重量平均分子量が110万であるエチレンオキシド/メチルグリシジルエーテル2元共重合体1g、下記式(iv−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物を含む添加剤2g、リチウム塩化合物としてリチウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド(LiTFSI)0.7gをアセトニトリル50g中で均一になるまで混合させ、厚さ20μmの多孔質膜に両面塗工した後、30℃で12時間減圧乾燥し、多孔質膜を含む60μmの電解質フィルムを得た。

【実施例2】
重合例2で得られた重量平均分子量が170万であるエチレンオキシド/プロピレンオキシド/メタクリル酸グリシジル3元共重合体1g、上記式(iv−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物を含む添加剤2g、リチウム塩化合物としてリチウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド(LiTFSI)0.7g、開始剤として過酸化ベンゾイル0.015g、架橋助剤としてエチレングリコールジアクリレート0.3gをアセトニトリル50g中で均一になるまで混合させた後、PETフィルムに均一に塗布した。その後、30℃で12時間減圧乾燥し、更に、100℃、3時間、窒素雰囲気下で加熱を行い、50μmの電解質架橋フィルムを得た。
【実施例3】
重合例3で得られた重量平均分子量が130万であるエチレンオキシド/EM/アリルグリシジルエーテル3元共重合体1g、下記式(vii−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物を含む添加剤2g、リチウム塩化合物としてリチウムビス(パーフルオロエチルスルフォニル)イミド(LiBETI)0.8g、開始剤として過酸化ベンゾイル0.015g、架橋助剤としてエチレングリコールジアクリレート0.3gをアセトニトリル50g中で均一になるまで混合させた後、PETフィルムに均一に塗布した。その後、30℃で12時間減圧乾燥し、更に、100℃、3時間、窒素雰囲気下で加熱を行い、50μmの電解質架橋フィルムを得た。

【実施例4】
重合例4で得られた重量平均分子量が130万であるエチレンオキシド/GM/アリルグリシジルエーテル3元共重合体1g、上記式(vii−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物を含む添加剤2g、リチウム塩化合物としてリチウムビス(パーフルオロエチルスルフォニル)イミド(LiBETI)0.8g、開始剤として過酸化ベンゾイル0.015g、架橋助剤としてエチレングリコールジアクリレート0.3gをアセトニトリル50g中で均一になるまで混合させた後、PETフィルムに均一に塗布した。その後、30℃で12時間減圧乾燥し、更に、100℃、3時間、窒素雰囲気下で加熱を行い、50μmの電解質架橋フィルムを得た。
【実施例5】
実施例1の電解質フィルム0.01gに対して5wt%のビニレンカーボネートを含む上記式(iv−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物0.02gを含浸した電解質組成物のリチウム析出溶解効率の平均値は83%であった。その結果を表1に示す。
【実施例6】
実施例2の電解質架橋フィルム0.01gに対して10wt%のビニレンカーボネートと1Mのリチウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド(LiTFSI)を含む上記式(vii−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物0.02gを含浸した電解質組成物のリチウム析出溶解効率の平均値は84%であった。その結果を表1に示す。
【実施例7】
実施例3の電解質架橋フィルム0.01gに対して20wt%のビニレンカーボネートを含む上記式(vii−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物0.02gを含浸した電解質組成物のリチウム析出溶解効率の平均値は92%であった。その結果を表1に示す。
【実施例8】
実施例3の電解質架橋フィルム0.01gに対して40wt%のビニレンカーボネートを含む上記式(vii−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物0.02gを含浸した電解質組成物のリチウム析出溶解効率の平均値は91%であった。その結果を表1に示す。
【実施例9】
実施例4の電解質架橋フィルム0.01gに対して60wt%のビニレンカーボネートを含む上記式(vii−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物0.02gを含浸した電解質組成物のリチウム析出溶解効率の平均値は91%であった。その結果を表1に示す。
比較例1
実施例2の電解質フィルム0.01gに対してビニレンカーボネートを含まない上記式(vii−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物0.02gを含浸した電解質組成物のリチウム析出溶解効率の平均値は62%であった。その結果を表1に示す。
比較例2
重合例3で得られた重量平均分子量が130万であるエチレンオキシド/EM/アリルグリシジルエーテル3元共重合体1g、上記式(iv−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物を含む添加剤2g、リチウム塩化合物としてリチウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド(LiTFSI)0.7g、開始剤として過酸化ベンゾイル0.015g、架橋助剤としてエチレングリコールジアクリレート0.3gおよび電解質に対して20wt%のビニレンカーボネートをアセトニトリル50g中で均一になるまで混合させた後、PETフィルムに均一に塗布した。その後、30℃で12時間減圧乾燥し、更に、100℃、3時間、窒素雰囲気下で加熱を行い、50μmの電解質架橋組成物を得た。この電解質架橋組成物のリチウム析出効率の平均値は60%であった。その結果を表1に示す。
比較例3
重合例4で得られた重量平均分子量が130万であるエチレンオキシド/GM/アリルグリシジルエーテル3元共重合体1g、上記式(vii−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物を含む添加剤2g、リチウム塩化合物としてリチウムビス(パーフルオロエチルスルフォニル)イミド(LiBETI)0.8g、開始剤として過酸化ベンゾイル0.015g、架橋助剤としてエチレングリコールジアクリレート0.3gおよび電解質に対して50wt%のビニレンカーボネートをアセトニトリル50g中で均一になるまで混合させた後、PETフィルムに均一に塗布した。その後、30℃で12時間減圧乾燥し、更に、100℃、3時間、窒素雰囲気下で加熱を行い、55μmの電解質架橋フィルムを得た。この電解質架橋組成物のリチウム析出効率の平均値は67%であった。その結果を表1に示す。
比較例4
実施例2の電解質架橋フィルム0.01gに対して120wt%のビニレンカーボネートを含む上記式(vii−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物0.02gを含浸した電解質組成物のリチウム析出効率の平均値は71%であった。その結果を表1に示す。

【実施例10】
実施例6で得られた電解質組成物、負極としてリチウム金属箔、及び正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO)を用いて二次電池を構成した。
コバルト酸リチウムは所定量の炭酸リチウム及び炭酸コバルト粉体を混合した後900℃で5時間焼成することにより調製した。次にこれを粉砕し、得られたコバルト酸リチウム85重量部に対してアセチレンブラック5重量部と重合例2で得られたポリマー10重量部、リチウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド(LiTFSI)5重量部を加えロールで混合した後、30MPaの圧力でプレス成形して電池の正極とした。
実施例6で得られた電解質組成物をリチウム金属箔と正極板ではさみ、界面が密着するように1MPaの圧力をかけながら室温で電池の充放電特性を調べた。充電は4.2Vまでの定電流定電圧で行い、放電は定電流で行った。放電電流は0.1mA/cmであり、0.1mA/cmで充電を行った。100サイクルの充放電後の放電容量は初期容量の90%を示した。
【実施例11】
実施例7で得られた電解質組成物、負極としてリチウム金属箔、及び実施例10で作成した正極を用いて二次電池作成し、同様に充放電特性を調べた。100サイクルの充放電後の放電容量は初期容量の91%を示した。
比較例5
比較例1で得られた電解質組成物、負極としてリチウム金属箔、及び実施例10で作成した正極を用いて二次電池作成し、同様に充放電特性を調べた。100サイクルの充放電後の放電容量は初期容量の80%を示した。
比較例6
比較例3で得られた電解質組成物、負極としてリチウム金属箔、及び実施例10で作成した正極を用いて二次電池作成し、同様に充放電特性を調べた。100サイクルの充放電後の放電容量は初期容量の78%を示した。
【実施例12】
ビニレンカーボネート0.004g(3wt%)と下記式(iv−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物0.116g(97wt%)と、リチウムビス(パーフルオロエチルスルフォニル)イミド(LiBETI)0.08gを含む電解質のリチウム析出溶解効率の平均値は86%であった。その結果を表2に示す。

【実施例13】
ビニレンカーボネート0.006g(5wt%)と上記式(iv−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物0.114g(95wt%)を使用し、それ以外は実施例12と同様の電解質のリチウム析出溶解効率の平均値は91%であった。その結果を表2に示す。
【実施例14】
ビニレンカーボネート0.012g(10wt%)と上記式(iv−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物0.108g(90wt%)を使用し、それ以外は実施例12と同様の電解質のリチウム析出溶解効率の平均値は92%であった。その結果を表2に示す。
【実施例15】
ビニレンカーボネート0.014g(10wt%)と下記式(vii−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物0.126g(90wt%)と、リチウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド(LiTFSI)0.06gを含む電解質のリチウム析出溶解効率の平均値は92%であった。その結果を表2に示す。

【実施例16】
ビニレンカーボネート0.024g(20wt%)と上記式(vii−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物0.096g(80wt%)を使用し、それ以外は実施例12と同様の電解質のリチウム析出溶解効率の平均値は91%であった。その結果を表2に示す。
【実施例17】
ビニレンカーボネート0.060g(50wt%)と上記式(vii−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物0.060g(50wt%)を使用し、それ以外は実施例12と同様の電解質のリチウム析出溶解効率の平均値は91%であった。その結果を表2に示す
【実施例18】
ビニレンカーボネート0.096g(80wt%)と上記式(vii−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物0.024g(20wt%)を使用し、それ以外は実施例12と同様の電解質のリチウム析出溶解効率の平均値は88%であった。その結果を表2に示す。
比較例7
上記式(iv−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物0.12gと、LiBETI0.08gを含む電解質のリチウム析出溶解効率の平均値は71%であった。その結果を表2に示す。
比較例8
上記式(vii−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物0.14gと、LiTFSI0.06gを含む電解質のリチウム析出溶解効率の平均値は54%であった。その結果を表2に示す。

【実施例19】
実施例13の電解質を含浸させた多孔質セパレータ(東燃タピルス(株)製E25MMS厚み25μm、気孔率38%)、負極としてリチウム金属箔、及び正極活物質としてコバルト酸リチウムを用いて二次電池を構成した。
コバルト酸リチウムは所定量の炭酸リチウム及び炭酸コバルト粉体を混合した後900℃で5時間焼成することにより調製した。次にこれを粉砕し、得られたコバルト酸リチウム90重量部に対してアセチレンブラック4重量部とポリフッ化ビニリデン6重量部を加えロールで混合した後、30MPaの圧力でプレス成形して電池の正極とした。
実施例13の電解質を含浸させた多孔質セパレータをリチウム金属箔と正極板ではさみ、界面が密着するように1MPaの圧力をかけながら25℃で電池の充放電特性を調べた。充電は電流密度0.1mA/cm、上限電圧4.2Vまでの定電流定電圧で行い、放電は電流密度0.1mA/cmの定電流で行った。100サイクルの充放電後の放電容量は初期容量の86%を示した。
【実施例20】
実施例15の電解質を含浸させた多孔質セパレータ、負極としてリチウム金属箔、及び実施例19で作成した正極を用いて二次電池を作成し、実施例19と同様に充放電特性を調べた。100サイクルの充放電後の放電容量は初期容量の88%を示した。
比較例9
比較例7の電解質を含浸させた多孔質セパレータ、負極としてリチウム金属箔、及び実施例19で作成した正極を用いて二次電池を作成し、実施例19と同様に充放電特性を調べた。100サイクルの充放電後の放電容量は初期容量の64%を示した。
比較例10
比較例8の電解質を含浸させた多孔質セパレータ、負極としてリチウム金属箔、及び実施例19で作成した正極を用いて二次電池を作成し、実施例19と同様に充放電特性を調べた。100サイクルの充放電後の放電容量は初期容量の43%を示した。
【実施例21】
重合例1で得られた重量平均分子量が110万であるエチレンオキシド/メチルグリシジルエーテル2元共重合体1g、下記式(iv−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物を含む添加剤2g、リチウム塩化合物としてリチウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド(LiTFSI)0.7gをアセトニトリル50g中で均一になるまで混合させ、厚さ20μmの多孔質膜に両面塗工した後、30℃で12時間減圧乾燥し、多孔質膜を含む60μmの電解質フィルムを得た。

【実施例22】
重合例2で得られた重量平均分子量が170万であるエチレンオキシド/プロピレンオキシド/メタクリル酸グリシジル3元共重合体1g、上記式(iv−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物を含む添加剤2g、リチウム塩化合物としてLiTFSI0.7g、開始剤として過酸化ベンゾイル0.015g、架橋助剤としてエチレングリコールジアクリレート0.3gをアセトニトリル50g中で均一になるまで混合させた後、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)フィルムに均一に塗布した。その後、30℃で12時間減圧乾燥し、更に、100℃、3時間、窒素雰囲気下で加熱を行い、50μmの電解質架橋フィルムを得た。
【実施例23】
重合例3で得られた重量平均分子量が130万であるエチレンオキシド/EM/アリルグリシジルエーテル3元共重合体1g、下記式(vii−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物を含む添加剤2g、リチウム塩化合物としてリチウムビス(パーフルオロエチルスルフォニル)イミド(LiBETI)0.8g、開始剤として過酸化ベンゾイル0.015g、架橋助剤としてエチレングリコールジアクリレート0.3gをアセトニトリル50g中で均一になるまで混合させた後、PETフィルムに均一に塗布した。その後、30℃で12時間減圧乾燥し、更に、100℃、3時間、窒素雰囲気下で加熱を行い、50μmの電解質架橋フィルムを得た。

【実施例24】
重合例4で得られた重量平均分子量が130万であるエチレンオキシド/GM/アリルグリシジルエーテル3元共重合体1g、上記式(vii−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物を含む添加剤2g、リチウム塩化合物としてLiBETI0.8g、ホウフッ化リチウム(LiBF)0.05g、開始剤として過酸化ベンゾイル0.015g、架橋助剤としてエチレングリコールジアクリレート0.3gをアセトニトリル50g中で均一になるまで混合させた後、PETフィルムに均一に塗布した。その後、30℃で12時間減圧乾燥し、更に、100℃、3時間、窒素雰囲気下で加熱を行い、5μmの電解質架橋フィルムを得た。
【実施例25】
実施例21の電解質フィルム0.01gに対して6wt%のビニルエチレンカーボネートを含む上記式(iv−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物0.02gを含浸したポリマー電解質組成物のリチウム析出溶解効率の平均値は75%であった。その結果を表3に示す。
【実施例26】
実施例22のPETフィルムを除いた電解質架橋フィルム0.01gに対して12wt%のビニルエチレンカーボネートと1mol/kgのLiTFSIを含む上記式(vii−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物0.02gを含浸したポリマー電解質組成物のリチウム析出溶解効率の平均値は82%であった。その結果を表3に示す。
【実施例27】
実施例23の電解質架橋フィルム0.01gに対して18wt%のビニルエチレンカーボネートを含む上記式(vii−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物0.02gを含浸したポリマー電解質組成物のリチウム析出溶解効率の平均値は91%であった。その結果を表3に示す。
【実施例28】
実施例24の電解質架橋フィルム0.01gに対して20wt%のビニルエチレンカーボネートを含む上記式(vii−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物0.02gを含浸したポリマー電解質組成物のリチウム析出溶解効率の平均値は93%であった。その結果を表3に示す。
【実施例29】
実施例24の電解質架橋フィルム0.01gに対して50wt%のビニルエチレンカーボネートを含む上記式(vii−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物0.02gを含浸したポリマー電解質組成物のリチウム析出溶解効率の平均値は90%であった。その結果を表3に示す。
比較例11
実施例22の電解質架橋フィルム0.01gに対してビニルエチレンカーボネートを含まない上記式(vii−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物0.02gを含浸したポリマー電解質組成物のリチウム析出溶解効率の平均値は62%であった。その結果を表3に示す。
比較例12
実施例23の電解質架橋フィルム0.01gに対して20wt%のエチレンカーボネートを含む上記式(vii−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物0.02gを含浸したポリマー電解質組成物のリチウム析出溶解効率の平均値は58%であった。その結果を表3に示す。
比較例13
実施例23の電解質架橋フィルム0.01gに対して20wt%のプロピレンカーボネートを含む上記式(vii−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物0.02gを含浸したポリマー電解質組成物のリチウム析出溶解効率の平均値は38%であった。その結果を表3に示す。
比較例14
実施例22の電解質架橋フィルム0.01gに対して120wt%のビニルエチレンカーボネートを含む上記式(vii−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物0.02gを含浸したポリマー電解質組成物のリチウム析出効率の平均値は65%であった。その結果を表3に示す。

【実施例30】
実施例26で得られたポリマー電解質組成物、負極としてリチウム金属箔、及び正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)を用いて二次電池を構成した。
コバルト酸リチウムは所定量の炭酸リチウム及び炭酸コバルト粉体を混合した後900℃で5時間焼成することにより調製した。次にこれを粉砕し、得られたコバルト酸リチウム85重量部に対してアセチレンブラック5重量部と重合例2で得られたポリマー10重量部、LiTFSI5重量部を加えロールで混合した後、30MPaの圧力でプレス成形して電池の正極とした。
実施例26で得られたポリマー電解質組成物をリチウム金属箔と正極板ではさみ、界面が密着するように1MPaの圧力をかけながら室温で電池の充放電特性を調べた。充電は4.2Vまでの定電流定電圧で行い、放電は定電流で行った。放電電流は0.1mA/cmであり、0.1mA/cmで充電を行った。100サイクルの充放電後の放電容量は初期容量の90%を示した。
【実施例31】
実施例28で得られたポリマー電解質組成物、負極としてリチウム金属箔、及び実施例30で作成した正極を用いて二次電池作成し、同様に充放電特性を調べた。100サイクルの充放電後の放電容量は初期容量の91%を示した。
比較例15
比較例11で得られたポリマー電解質組成物、負極としてリチウム金属箔、及び実施例30で作成した正極を用いて二次電池作成し、同様に充放電特性を調べた。100サイクルの充放電後の放電容量は初期容量の80%を示した。
【実施例32】
ビニルエチレンカーボネート0.004g(3wt%)と下記式(iv−2)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物0.116g(97wt%)と、リチウムビス(パーフルオロエチルスルフォニル)イミド(LiBETI)0.08gを含む電解質のリチウム析出溶解効率の平均値は82%であった。その結果を表4に示す。

【実施例33】
ビニルエチレンカーボネート0.006g(5wt%)と上記式(iv−2)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物0.114g(95wt%)を使用し、それ以外は実施例32と同様の電解質のリチウム析出溶解効率の平均値は88%であった。その結果を表4に示す。
【実施例34】
ビニルエチレンカーボネート0.012g(10wt%)と上記式(iv−2)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物0.108g(90wt%)を使用し、それ以外は実施例32と同様の電解質のリチウム析出溶解効率の平均値は93%であった。その結果を表4に示す。
【実施例35】
ビニルエチレンカーボネート0.014g(10wt%)と下記式(vii−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物0.126g(90wt%)と、リチウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド(LiTFSI)0.054gとホウフッ化リチウム(LiBF)0.001gを含む電解質のリチウム析出溶解効率の平均値は90%であった。その結果を表4に示す。

【実施例36】
ビニルエチレンカーボネート0.024g(20wt%)と上記式(vii−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物0.096g(80wt%)を使用し、それ以外は実施例35と同様の電解質のリチウム析出溶解効率の平均値は89%であった。その結果を表4に示す。
【実施例37】
ビニルエチレンカーボネート0.060g(50wt%)と上記式(vii−1)のエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物0.060g(50wt%)を使用し、それ以外は実施例32と同様の電解質のリチウム析出溶解効率の平均値は92%であった。その結果を表4に示す。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)必要により存在する、エーテル結合を有するポリマーと、
(2)必要により存在する、エチレンオキシド単位を有するエーテル化合物からなる添加剤と、
(3)リチウム塩化合物と、
(4)不飽和基を有する環状カーボネート
からなり、成分(1)および(2)の少なくとも一方が存在することを特徴とする電解質組成物。
【請求項2】
エーテル結合を有するポリマー(1)が、下記式(i)で表される構成単位と、下記式(ii)で表される構成単位とを有してなる共重合体、および/または構成単位(i)、構成単位(ii)、および下記式(iii)で表される架橋可能な構成単位を有してなる共重合体である請求項1に記載の電解質組成物。

[式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基または−CHO−Rを表し、Rは炭素数1〜6のアルキル基またはフェニル基または−(−CH−CH−O−)−R2’または−CH[CH−O−(−CH−CH−O−)−R2’を表し、R2’は炭素数1〜6のアルキル基、aおよびbは0〜12の整数である。]

[式中、Rは(a)反応性ケイ素基、(b)メチルエポキシ基、(c)エチレン性不飽和基または(d)ハロゲン原子を有する反応性基を表す]
【請求項3】
エチレンオキシド単位を有するエーテル化合物からなる添加剤(2)は(iv)〜(vii)のいずれかで表される添加剤である請求項1に記載の電解質組成物。

[式中、R〜R18は、炭素数1〜6のアルキル基、c〜rは0〜12の数である。]
【請求項4】
不飽和基を有する環状カーボネート(4)が、ビニレンカーボネートもしくはその誘導体、または不飽和基を有するエチレンカーボネートである請求項1に記載の電解質組成物。
【請求項5】
ビニレンカーボネートまたはその誘導体は下記式(viii−1)で表される化合物である請求項4に記載の電解質。

[式中、R19およびR20は、水素または炭素数が1〜6のアルキル基である。]
【請求項6】
不飽和基を有するエチレンカーボネートは下記式(viii−2)で表される化合物である請求項4に記載の電解質組成物。

[式中、R21は、Hまたは炭素数が1〜6のアルキル基、R22は炭素数が1〜6のアルケニル基または−CHOR22’であり、R22’は炭素数が1〜6のアルケニル基である。]
【請求項7】
環状カーボネート(4)の含有量は、(1)エーテル結合を有するポリマーと、(2)エチレンオキシド単位を有するエーテル化合物からなる添加剤と、(3)リチウム塩化合物の合計100重量部に対して、1〜100重量部であることを特徴とする請求項1に記載の電解質組成物。
【請求項8】
エーテル結合を有するポリマー(1)は重量平均分子量が10〜10である請求項1に記載の電解質組成物。
【請求項9】
電解質組成物が、ポリマー(1)を含み、成分(1)〜(3)からなる架橋体に、環状カーボネート(4)を含浸させることによって製造されている請求項1に記載の電解質組成物。
【請求項10】
添加剤(2)および/またはリチウム塩化合物(3)を含んだ状態でポリマー(1)が架橋されているか、あるいは添加剤(2)および/またはリチウム塩化合物(3)が架橋体に含浸される請求項9に記載の電解質組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の電解質組成物、正極および負極からなる電池。
【請求項12】
負極がリチウム金属である請求項11に記載の電池。

【国際公開番号】WO2004/092269
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【発行日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−505441(P2005−505441)
【国際出願番号】PCT/JP2004/005370
【国際出願日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(000108993)ダイソー株式会社 (229)
【Fターム(参考)】