説明

電話交換システム

【課題】転送先として設定した電話番号からの着呼信を、転送元以外の他の内線電話機に着信させることが可能な電話交換システムを提供する。
【解決手段】転送元として設定された内線電話機の電話番号と転送先として設定された携帯電話機等の電話番号とが格納されたテーブル103を具備する。呼制御部106は外線着信時にテーブル103を参照し、転送先として設定された電話番号から転送元として設定された内線電話機への着信呼を、転送元の内線電話機に着信させずに、他の内線電話機に転送着信させるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボタン電話装置、PBX等の電話交換システムに関し、特に、転送電話の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ボタン電話装置等において、自動的に外線転送を行う場合には、転送先の電話番号からの電話は無条件で転送先の電話番号へ転送しているため、転送先はビジーとなる。また、外出先から会社等のオフィスの内線電話機に電話した場合には、転送電話先からの着信は外線転送の対象外としても、着信先が自席の場合には外出していて応答されることはない。
【0003】
例えば、個人の内線電話機へ着信があった場合の転送先番号に自己の携帯電話機を登録したとする。そして、外出時に転送電話を設定し、外出先で携帯電話機から会社に電話すると、転送電話が起動し、転送先が携帯電話機のためビジーとなる。つまり、一般的に転送設定先が使用中なのでビジーとなる。
【0004】
従来、転送電話に関する技術としては、特許文献1〜5等に記載されたものがある。特許文献1には、所定の電話番号に対して通話を要求する発信元からの電話を所定の転送先電話番号に転送することが記載されている。
【0005】
特許文献2には、エレベータ作業員が所持する電話機を作業員電話機、エレベータ利用者が利用する電話機を利用者電話機とし、中継装置は発信信号に含まれる発信元電話番号が作業員電話機の電話番号であるのか利用者電話機の電話番号であるのかを判別し、判別結果に応じて転送制御を行うことが記載されている。特許文献3には、利用者の不在情報に基づいて外線電話に対して不在応答することが記載されている。その他に特許文献4、5等に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−236284号公報
【特許文献2】特開2007−153582号公報
【特許文献3】特開2008−118391号公報
【特許文献4】特開2008−022170号公報
【特許文献5】特開2008−048290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のボタン電話装置・PBX等の電話交換システムにおいて、自動的に外線発信を行う場合、転送先の電話番号から着信があることは想定されていなかった。そのため、転送先として設定されている携帯電話機等から転送元に設定されている内線電話機への着呼信はビジーとなってしまう。
【0008】
本発明の目的は、転送先として設定した電話番号からの着呼信を、転送電話を起動することなく、転送元以外の他の内線電話機に着信させることが可能な電話交換システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、転送元として設定された内線電話機の電話番号と転送先として設定された電話番号とが格納されたテーブルを有し、外線着信時にそのテーブルを参照し、転送先として設定された電話番号から転送元として設定された内線電話機への着信呼を、転送元の内線電話機に着信させずに他の内線電話機に転送着信させるように制御する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、外線着信時に転送先として設定された電話番号から転送元として設定された内線電話機への着信呼を、転送元の内線電話機に着信させずに他の内線電話機に転送着信させることにより、従来のようにビジーになることがなく、確実にオフィス内の誰かと連絡が取れるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る電話交換システムの一実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係る電話交換システムの一実施形態を示すブロック図である。本発明に係る電話交換システムは、例えば、ボタン電話装置、PBX等の構内交換機に好適に使用することが可能である。
【0013】
図中101は本発明に係るキーテレホンシステム(ボタン電話システム)である。キーテレホンシステム101には、キーテレホン1、2、…、nで示すように複数の内線電話機が接続され、それぞれの内線電話機にはダイヤルイン電話番号が設定されている。本発明に係る電話交換シスムは転送電話機能を有し、自己の内線電話機に転送電話を設定することで、使用者の不在時に着信があった場合には、転送先の電話番号(携帯電話機等)に転送する。
【0014】
システム101内のメモリ102には、転送先電話番号テーブル103が設けられ、転送元として設定された内線電話機の電話番号と転送先として設定された携帯電話機等の電話番号とが格納されている。例えば、キーテレホン(内線電話機)1の所有者が外出する場合にはキーテレホン1に転送電話を設定し、転送元として自己の内線電話機の電話番号を、転送先として携帯電話機等の電話番号を設定する。
【0015】
また、ボタン電話システム101内には、着信の制御等を行う外線インターフェース部104、内線電話機の制御等を行う内線インターフェース部105、呼制御を行う呼制御部106が設けられている。なお、図中107はISDNアナログVoIP外線網(電話網)を示す。
【0016】
次に、本実施形態の動作を図2を用いて説明する。図2は図1のシステムの動作を説明するためのフローチャートである。以下の説明では、例えば、内線電話機(キーテレホン1)の使用者が自己の内線電話機に転送電話の設定を行い、転送先として自己の携帯電話機の電話番号を設定し、外出先で転送先として設定した携帯電話機から転送元として設定した自己の内線電話機にダイヤルイン着信させたものとする。
【0017】
まず、図2に示すように、例えば、発信者(キーテレホン1の使用者)が外出先で自己の携帯電話機から発信操作を行い、この発信操作により電話網107からボタン電話システム101に外線着信したものとする。呼制御部106は外線着信時に該当する転送元の内線電話機(本例ではキーテレホン1)に予め転送電話が設定されているかどうかを判定する(S1)。
【0018】
呼制御106は、転送元電話番号に転送電話が設定されていない場合には(S1がFalse)、通常の外線着信処理を行う。一方、転送元電話番号に転送電話が設定されている場合には(S1がTrue)、転送先電話番号テーブル103を参照して発信元電話番号の分析を行い(S2)、発信元電話番号が転送電話に設定されている転送先電話番号と一致しない場合には(S3がFalse)、転送電話を起動して転送先電話番号に外線発信を行う。
【0019】
一方、発信元電話番号が転送電話に設定されている転送先電話番号と一致する場合には(S3がTrue)、ボタン電話システム101内の在籍中のいずれかの内線電話機へ着信を行う(S4)。例えば、転送先電話番号テーブル103を参照して転送電話が設定されていない内線電話機(転送電話が設定されていない内線電話機には社員等が在席している可能性が高い)に外線着信を行う。転送電話が設定されていなければどの内線電話機に着信させても良い。
【0020】
また、その場合には、発信元の携帯電話機から所定の内線番号を入力するガイダンスを送出することにより任意の内線電話機へ着信させることができる。また、発信元の携帯電話機から所定の外線番号を入力するガイダンスを送出することにより任意の外線へ更に転送することができる。
【0021】
この結果、在席中のキーテレホン(内線電話機)が鳴動し(S5)、例えば、図1に示すキーテレホン2が鳴動し、転送先として設定されている携帯電話機等からの着信呼がビジーになることはない。つまり、外線着信時に発信元が転送先電話番号であるかを判断し、転送先電話番号である場合には、転送電話を起動せずに転送電話対象の電話機とは別の内線電話機に外線着信する。そのため、着信呼がビジーにならずに必ずオフィス内の誰かの内線電話機に着信させることが可能となる。
【0022】
このように外線着信時に転送先として設定された電話番号から転送元の内線電話機への着信呼を、転送元の内線電話機に着信させずに、他の内線電話機に着信させるように制御することで、従来のように着信呼がビジーになることはなく、必ず別の内線電話機に着信させることが可能となる。
【0023】
例えば、不在時の着信に対して携帯電話機等に転送電話を設定しているオフィス環境において、外出時にオフィスの誰(社員等)かと連絡を取りたいのだが、誰が在席しているのか不明の場合には、自己の内線電話機にダイヤルイン着信させることでオフィス内の他の内線電話機に転送着信させるため、必ずオフィスに在席している社員と連絡を取ることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、ボタン電話システムやPBX等の電話交換システムに好適に使用することが可能である。
【符号の説明】
【0025】
1、2、…、n キーテレホン(内線電話機)
101 ボタン電話システム
102 メモリ
103 転送先電話テーブル
104 外線インターフェース部
105 内線インターフェース部
106 呼制御部
107 ISDNアナログVoIP外線網(電話網)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれダイヤルイン電話番号が設定された複数の内線電話機を有し、着信呼を予め設定された外線に転送する電話交換システムであって、
転送元として設定された内線電話機の電話番号と転送先として設定された電話番号とが格納されたテーブルと、
外線着信時に、前記テーブルを参照し、前記転送先として設定された電話番号から前記転送元として設定された内線電話機への着信呼を、前記転送元の内線電話機に着信させずに他の内線電話機に転送着信させるように制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする電話交換システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記転送先として設定された電話番号からの着信呼を、前記転送先の電話機からガイダンスを送出することにより任意の内線電話機に着信させることを特徴とする請求項1に記載の電話交換システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記転送先として設定された電話番号からの着信呼を、前記転送先の電話機からガイダンスを送出することにより任意の外線に転送することを特徴とする請求項1に記載の電話交換システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記転送先として設定された電話機の電話番号からの着信呼を、転送電話が設定されていない内線電話機に着信させることを特徴とする請求項1に記載の電話交換システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−199467(P2011−199467A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62369(P2010−62369)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】