説明

電話機及び充電装置

【課題】外部の壁面に近接して電話機を設置した場合であっても、使用者が子機を掴むために必要な空間を確保することが可能な電話機を提供することにある。
【解決手段】電話機100は、親機10及び子機101を備え、上記親機10は、上記子機101を収容可能な収容部18と、上記親機10を構成する筺体の外周面のうち、上記収容部18を囲う第1外周面領域Aに対して上記筺体の外方に突出した突出部25と、を有し、上記第1外周面領域Aの一部には、上記収容部18に収容された上記子機101を露出させる切り込み部24を有して構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話機及び充電装置に関し、特に、電話機及び充電装置を設置する際、壁際に設置しても、使用者が電子機器を掴握可能な電話機及び充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電話機は、使用者の利便性を向上させるために、子機に無線機能を搭載して、親機から離れた位置でも通信可能な、いわゆる、コードレス電話としたり、受話部の音声を外部に放音して通話可能な、いわゆる、ハンドレス電話としたものが一般的に知られている。
【0003】
近年、電話機には、使用者の利便性を向上させたものだけでなく、電話機自体のデザイン性を考慮したものが求められている。デザイン性を考慮した電話機として、例えば、特許文献1には、ケースに電話機を収納することで、ケースと電話機とに一体感を持たせることが可能なハンドセット型電話機の充電装置が開示されている。このように、特許文献1は、ケースと電話機とに一体感を持たせることで、電話機自体をスマートに見せることを可能にしてデザイン性を向上させている。
【0004】
また、特許文献2には、電話機本体に受話器を収納することで、電話機本体と受話器とに一体感を持たせることが可能であるとともに、電話機本体を設置する際、電話機本体を壁掛け、横置き等、設置態様に制約されない電話機が開示されている。このように、特許文献2は、電話機本体と受話器とに一体感を持たせることで、電話機自体をスマートに見せることを可能にしているとともに、電話機本体の設置態様に制限されないことで、使用者の好みに応じて設置することを可能にしてデザイン性を向上させている(例えば、壁掛け、横置きで子機が上下方向、横置きで子機が左右方向に設置など。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−243069号公報(図1及び図2参照。)
【特許文献2】特開平7−283854号公報(段落0007参照。)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1では、ケースの長手方向に切り込み部が設けられているため、使用者が電話機を掴み易いようになっている。また、上記特許文献2では、呼び出し信号の受信を契機として、受話器が上方に持ち上がるように構成されているため、使用者が受話器を掴み易いようになっている。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1及び2では、ケース(特許文献2では、電話機。)を設置する際、このケースの長手方向、すなわち、電話機の長手方向が壁際となるように設置した場合、この壁の壁面と電話機(特許文献2では、受話器。)との距離が近接するため、使用者が壁面と電話機との間に指を入れにくくなってしまうという課題がある。
【0008】
このため、上記特許文献1及び2では、ケース(以下、親機という。)を壁際に設置した場合、使用者が電話機(以下、子機という。)を掴み難いという課題がある。これにより、上記特許文献1及び2では、例えば、使用者が子機を掴む際、掴み損ねて落してしまい、子機を破損させてしまう可能性が考えられる。
【0009】
本発明の目的は、上記従来の実状を鑑みて、壁際である外部の壁面に親機を近接させて設置した場合であっても、使用者が子機を掴むために必要な空間を確保することが可能な電話機及び充電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、本体機器及び受話機器を備えた電話機であって、上記本体機器は、上記受話機器を収容可能な収容部と、上記本体機器を構成する筺体の外周面のうち、上記収容部を囲う第1外周面領域に対して上記筺体の外方に突出した突出部と、を有し、上記第1外周面領域の一部には、上記収容部に収容された上記受話機器を露出させる切り込み部を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態である電話機の構成について、この電話機の正面部側を模式的に示す正面側斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態である電話機の構成について、この電話機の背面部側を模式的に示す背面側斜視図である。
【図3】本発明の一実施の形態である電話機の構成について、この電話機を上面部側から模式的に示す平面図である。
【図4】本発明の一実施の形態である電話機の親機の構成について、この親機の背面部側を模式的に示す背面斜視図である。
【図5】本発明の一実施の形態である電話機の親機の構成について、この親機を上面部側から模式的に示す平面図である。
【図6】図5における線I−I´を模式的に示す断面図である。
【図7】図5における線II−II´を模式的に示す断面図である。
【図8】本発明の一実施の形態である電話機について、この電話機を壁際に設置した状態を正面部側から模式的に示す正面側斜視図である。
【図9】本発明の一実施の形態である電話機について、この電話機を壁際に設置した状態を側面部側から模式的に示す側面側断面図である。
【図10】本発明の他の実施の形態である電話機について、この電話機を上面部側から模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態1)
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。まず、本発明の一実施の形態である電話機100の構成について、図1乃至図3を用いて説明する。図1は、本発明の一実施の形態である電話機100の構成について、この電話機100の正面部11側を模式的に示す正面側斜視図であり、図2は、本発明の一実施の形態である電話機100の構成について、この電話機100の背面部12側を模式的に示す背面側斜視図であり、図3は、本発明の一実施の形態である電話機100の構成について、この電話機100を上面部側から模式的に示す平面図である。
【0013】
図1乃至図3に例示されるように、本実施の形態において、電話機100は、通信回線網に接続可能な通信部(接続手段)を具備する親機(本体機器)と、この親機10に無線回線で接続することで、通信回線網に接続可能な子機(受話機器)と、を備えて構成されている。
【0014】
子機101は、通常、親機10の後述する収容部18に収容されている。そして、子機101は、使用者が使用時に収容部18から取り出し可能となるよう収容部18に収容されている。
【0015】
この子機101の外郭は、外観視すると、略直方体形状をなして形成された筺体により構成されている。そして、子機101の筺体の内部には、図示しない送話器、受話器及び通信部等が設けられている。
【0016】
送話器は、筺体の長手方向の一方側に設けられており、受話器は、筺体の長手方向の他方側に設けられている。通信部は、送話器と受話器との間に設けられている。なお、これら送話器、受話器及び通信部については、周知の技術であるため、その説明を省略する。
【0017】
この子機101は、上述したように、外観視すると、略直方体形状をなして形成された筺体により構成されている。すなわち、略直方体形状をなして形成された子機101の筺体は、この子機101を親機10の収容部18に収容する際、後述する親機10の収容部18の底面部側に位置する図示しない正面部と、子機101を親機10の収容部18に収容する際、親機10の外方側に位置する背面部102と、これら正面部及び背面部102の縁部間を繋ぐ側面部103と、により構成されている。
【0018】
この子機101を構成する筺体の正面部における長手方向の一方側には、送話器に使用者の声音を入力し易くするための図示しない送話器孔が形成されている。そして、この長手方向の端部には、親機10の充電部に接続可能な図示しない送話側凹部が形成されている。
【0019】
一方、子機101を構成する筺体の正面部における長手方向の他方側には、受話器から出力される音声を使用者が聞き取り易くするための図示しない受話器孔が形成されている。そして、この長手方向の端部には、親機10の充電部に接続可能な図示しない受話側凹部が形成されている。
【0020】
これら送話器側凹部及び受話器側凹部は、略同形状をなして形成されている。このため、親機10の収容部18に子機101を収容する際、収容する向きを一方向に限定されることなく収容することが可能になる。これにより、親機10の収容部18に子機101を入れ易くなり、使用者が使用する際の利便性を向上させることができる。
【0021】
また、子機101を構成する筺体の背面部102には、LED等のランプ104が設けられている。このランプ104は、例えば、子機101が充電状態である場合等、所定の状態のときに、点灯して使用者に報知するようになっている。
【0022】
このランプ104は、子機101の背面部102に形成された凹状部に埋め込まれている。ここで、凹状部は、子機101の外方に向かって広がって形成されている。これにより、ランプ104が発する光を広角に照射可能にしているため、使用者にとって視認し易いようになっている。
【0023】
また、ランプ104は、受話器側寄りに設けられている。これにより、子機101の背面部102側からでも子機101の受話器と送話器との位置関係を把握することができる。なお、本実施の形態では、ランプ104は、受話器側寄りに設けられているが、これに限定されず、送話器側に設けて、受話器と送話器との位置関係を把握することができるようにしても良い。
【0024】
また、子機101を構成する筺体の側面部103には、スピーカ孔105が形成されている。このスピーカ孔105は、子機101が親機10の収容部18に収容された際、親機10の上面部17よりも上方、すなわち、スピーカから発する音が収容部18により遮蔽されない位置に配置されている。ここで、スピーカ孔105は、親機10の上面部17よりも上方に配置されることで、スピーカから発する音が収容部18により遮蔽されない位置である反面、塵、埃等が入り易い位置に配置されることになる。
【0025】
このため、スピーカ孔105は、ハニカム状をなして形成されている。これにより、スピーカ孔105から子機101の内部に、塵、埃等が入り込まないようになっている。このように、スピーカ孔105は、スピーカから発する音が収容部18により遮蔽されない位置に配置されるという利点を維持しながら、塵、埃等が入り込まないようになっている。
【0026】
次に、本実施の形態の親機10について、図4乃至図7を用いて説明する。図4は、本発明の一実施の形態である電話機100の親機10の構成について、この親機10の背面部12側を模式的に示す背面斜視図であり、図5は、本発明の一実施の形態である電話機100の親機10の構成について、この親機10を上面部17側から模式的に示す平面図であり、図6は、図5における線I−I´を模式的に示す断面図であり、図7は、図5における線II−II´を模式的に示す断面図である。
【0027】
図4乃至図7に例示されるように、本実施の形態の親機10は、外観視すると、略直方体形状をなして形成されている。そして、親機10は、この親機10を設置した際、親機10の正面側となる正面部11に表示部15を備えて構成されている。表示部15は、例えば、透過性のパネル等により構成され、着信履歴等を表示可能にしている。
【0028】
また、親機10の正面部11には、操作部16が配設されている。この操作部16は、第1操作部16aから第7操作部16gにより構成されており、このうち、正面部11には、第1操作部16a、第2操作部16b、第3操作部16c及び第4操作部16dが配設されている。
【0029】
これら第1操作部16a、第2操作部16b、第3操作部16c及び第4操作部16dは、ゴム材等を用いて構成され、第1操作部16aは、例えば、使用者がこの第1操作部16aを押圧することで、親機10に記憶された情報の消去を実行可能にしている。また、第2操作部16bは、例えば、使用者がこの第2操作部16bを押圧することで、親機10に録音された音声メッセージの再生、或いは、停止を実行可能にしている。また、第3操作部16cは、例えば、使用者がこの第3操作部16cを押圧することで、留守番設定を実行可能にしている。また、第4操作部16dは、例えば、使用者がこの第4操作部16dを押圧することで、表示部15に着信履歴を表示可能にしている。
【0030】
また、親機10は、この親機10を設置した際、親機10の上面側となる上面部17に子機101を収容可能な収容部18を備えて構成されている。この収容部18は、親機10を断面視すると、凹状をなして形成され、底面部19及び底面部19の外周縁から上方に立設する壁面部20により構成されている。なお、収容部18の内側の大きさは、子機101が収容された際に所定の遊び(クリアランス)が生じる程度の大きさとなっている。
【0031】
収容部18の底面部19における略中央部には、操作部16を構成する第1操作部16aから第7操作部16gのうち、第5操作部16e、第6操作部16f及び第7操作部16gが配設されている。
【0032】
第5操作部16eは、例えは、機能/選択ボタンであり、使用者がこの第5操作部16eを押圧することで、親機10に搭載された機能を表示部15に表示可能にしている。また、第6操作部16f及び第7操作部16gは、例えば、使用者がこの第6操作部16f及び第7操作部16gを押圧することで、第5操作部16eにより表示部15に表示された機能を選択可能にしている。
【0033】
また、収容部18の底面部19における長手方向の一方側には、子機101に設けられた送話器側凹部に対応した送話器側凸部21が形成されている。一方、他方側には、子機101に設けられた受話器側凹部に対応して受話器側凸部22が形成されている。
【0034】
これら送話器側凸部21及び受話器側凸部22は、互いに同形状をなして形成されている。そして、これら送話器側凸部21及び受話器側凸部22には、充電端子がそれぞれ設けられている。このように、収容部18の長手方向の両端に充電端子が設けられ、同形状をなして形成されることで、子機101の挿入方向が左右のいずれの場合であっても、子機101の充電端子が親機10の充電端子のいずれか一方に接触するものである。
【0035】
すなわち、子機101の受話器側が右で、充電端子が設けられている送話器側が左でも良く、子機101の受話器側が左で、充電端子が設けられている送話器側が右でも良い。これにより、使用者が収容部18に子機101を収容する際、子機101の向きを気にせずに収容することが可能になり、利便性を向上させることができる。
【0036】
なお、本実施の形態の親機10の充電端子は、例えば金属線からなる捩りコイルバネ等の付勢手段によって形成されており、子機101が収容部18に収容された際、子機101の充電端子と確実に接触するようになっている。
【0037】
また、収容部18の開口部の外周縁部には、第1リブ部23a及び第2リブ部23bが設けられている。これら第1リブ部23a及び第2リブ部23bは、親機10の上面部17に対し、上方に向かって立設して形成されている。
【0038】
これら第1リブ部23a及び第2リブ部23bは、使用者が親機10の収容部18に子機101を収容する際、子機101の収容部18への進入方向を位置決めする役目を果たしている。
【0039】
すなわち、収容部18の外縁に第1リブ部23a及び第2リブ部23bが上面部17の上方に向かって立設して形成されることで、使用者が収容部18に子機101を収容する際、斜め方向から入れても、第1リブ部23a及び第2リブ部23bにより位置決めされ、上方から入るようになっている。ここで、収容部18は、上述したように、子機101に対し、クリアランスが生じる程度の大きさにより形成されている。このため、収容部18に子機101を収容する際、斜めから入ると、子機101の四隅の一つ、或いは二つが収容部18の壁面部20に当たってしまい、所定の位置に収容されない可能性がある。
【0040】
このため、使用者が収容部18に子機101を収容する際、第1リブ部23a及び第2リブ部23bにより子機101を上方から入れることが可能になることで、子機101の収容部18への進入方向を決めることが可能になる。これにより、収容部18に子機101を収容する際、親機10の送話器側凸部21及び受話器側凸部22に子機101の送話器側凹部及び受話器側凹部を確実に挿嵌させることができる。
【0041】
本実施の形態において、収容部18の壁面部20には、切り込み部24が形成されている。具体的には、切り込み部24は、収容部18の壁面部20のうち、親機10の背面部12側の壁面部20に形成されている。
【0042】
そして、切り込み部24は、親機10の背面部12側から背面視すると、凹状をなして形成されている。ここで、切り込み部24は、この切り込み部24を親機10の背面部12側から背面視した幅長を、使用者の人指し指から小指までが入る幅長で形成されている。このように、親機10の背面部12側に切り込み部24が形成されることで、使用者が子機101を掴み易いようになっている。
【0043】
また、切り込み部24の底面部24aは、親機10の背面部12側に向かって下方に傾斜して形成されている。このため、使用者が収容部18に収容された子機101を掴む際、切り込み部24の傾斜面上で指を滑らせながら掴むことが可能になる。これにより、使用者が子機101を掴み易いようになっているとともに、使用者の指への感触を和らげることができる。
【0044】
本実施の形態において、親機10は、この親機10の正面部11、背面部12、側面部13及び側面部14からなる外周面のうち、収容部18を囲う第1外周面領域Aに対して突出した突出部25を備えて構成されている。
【0045】
具体的には、この突出部25は、親機10を設置した際、親機10の背面側となる背面部12に親機10の背面から後方に突出している。この突出部25は、親機10の背面部12側から外方に向かって突出する複数の突出面により構成され、上面部26、下面部、側面部27及び側面部28と、これら上面部26、下面部、側面部27及び側面部28を繋ぐ背面部29とにより構成されている。
【0046】
このため、親機10を外部の壁面40に近接させて設置する際、この外部の壁面40と子機101との間に空間が形成される。そして、壁面部20に形成された切り込み部24も外部の壁面40から離して配置されている。
【0047】
ここで、本実施の形態の親機10の一態様として、突出部25の上面部26及び下面部は、親機10の背面部12からおよそ10mm突出して形成されている(図5及び図6のa幅。)。また、切り込み部24は、およそ12mmで形成されている(図5及び図6のb幅。)。
【0048】
すなわち、外部の壁面40と切り込み部24との距離は、上面部26及び下面部の突出量である10mmとなり、外部の壁面40と子機101との距離は、およそ22mmとなる。このため、使用者が指を入れても充分に曲げることが可能になる。これにより、本実施の形態の電話機100は、親機10を外部の壁面40に近接させて設置しても、子機101を掴み易いため、子機101の掴み損ねによる落下を抑止することができる。
【0049】
また、突出部25は、正面部11、背面部12、側面部13及び側面部14からなる外周面にうち、第1外周面領域A以外の領域に設けられている。具体的には、切り込み部24の底面部24aの面上から引き出した延長戦より下方に配設されている。ここで、本実施の形態の親機10の一態様として、突出部25は、上面部17からおよそ35mm下がった位置に配設されている。このため、突出部25は、親機10を設置した際、使用者からほぼ見えない位置に配置されている。
【0050】
そして、突出部25の上面部26は、切り込み部24の底面部24aと同様に、親機10の背面部12側に向かって下方に傾斜して形成されている。このため、親機10を設置した際、使用者から突出部25が見えないようになっている。これにより、本実施の形態の電話機100によれば、電話機100の外観を維持しつつ、外部の壁面40から子機101を離すことが可能になる。
【0051】
よって、本実施の形態の電話機100によれば、この電話機100を外部の壁面40に設置した場合であっても、電話機100の外観性を維持しつつ、親機10に収容された子機101を掴むための空間を十分に確保することができる。
【0052】
また、突出部25の側面部27及び側面部28は、親機10の内側に向かって傾斜して形成されている。そして、これら側面部27及び側面部28と背面部29との縁部は、円弧状をなして形成されている。
【0053】
このため、親機10を設置した際、使用者から突出部25が見えないようになっている。これにより、親機10の外観を維持しつつ、外部の壁面40から切り込み部24を離すことが可能になる。
【0054】
また、突出部25の背面部29には、凹部30が形成されている。そして、凹部30には、電源端子を挿入可能な電源端子孔31、通信回線網との接続手段である通信端子を挿入可能な通信端子孔32及び、電源端子コード及び通信端子コードを巻き付け可能なコード巻き付け部33が配設されている。
【0055】
このように、これら電源端子孔31、通信端子孔32及びコード巻き付け部33が凹部30に配設されることで、親機10を外部の壁面40に近接させて設置しても、電源端子孔31、通信端子孔32及びコード巻き付け部33を外部の壁面40から離して配設することが可能になる。これにより、電源端子孔31、通信端子孔32及びコード巻き付け部33の耐久性を向上させることができる。
【0056】
また、親機10の背面部12には、スピーカ孔34が形成されている。スピーカ孔34は、親機10の背面部12のうち、突出部25とは異なる位置に形成されている。このため、電話機100を外部の壁面40に近接して設置した際、上述したように、外部の壁面と背面部12との間に空間が形成されるため、スピーカ孔34が外部の壁面により遮蔽されないようになっている。
【0057】
以上、本実施の形態の電話機100について、図1乃至図7を用いて説明したが、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。一例として、突出部25の形状を半球面状にしても良い。
【0058】
次に、本実施の形態の電話機100の使用状態について、図8及び図9を用いて説明する。図8は、本発明の一実施の形態である電話機100について、この電話機100を壁際に設置した状態を正面部側から模式的に示す正面側斜視図であり、図9は、本発明の一実施の形態である電話機100について、この電話機100を壁際に設置した状態を側面部側から模式的に示す側面側断面図である。
【0059】
図8及び図9に例示されるように、本実施の形態の電話機100は、親機10の背面部12側に突出部25を備えて構成されている。なお、本実施の形態の突出部25は、上述したように、親機10の背面部12と外部の壁面40との間に配置されており、外部の壁面40の近傍に配置した際、使用者から目視し難い位置に配置されている。このため、図8では、突出部25を不図示としている。
【0060】
このように、本実施の形態の電話機100は、親機10の背面部12側に突出部25を備えているため、電話機100を外部の壁面40に近接して設置した場合であっても、子機101と外部の壁面40との間に空間が形成される。このように、子機101と外部の壁面40との間に空間が形成されることで、この空間に使用者が指を入れることが可能になる。さらに、この空間で使用者が指を曲げることが可能になる。
【0061】
したがって、本実施の形態の電話機100は、親機10の背面部12側に、この背面部12側から外部の壁面40側に向かって突出する突出部25が形成されることで、電話機100を外部の壁面40に近接して設置する際、親機10の収容部18に収容された子機101を掴むための空間を確保することが可能になる。
【0062】
よって、本実施の形態の電話機100によれば、使用者が親機10の収容部18に収容された子機101を掴む際、子機101の掴み損ねを抑止することができ、使用時の利便性及び安全性を向上させることができる。
【0063】
さらに、本実施の形態の電話機100によれば、従来のような、外部の壁面40に近接して設置することが困難であるという設置時の制約を解消することが可能になり、電話機100を設置する設置時の手間を軽減することができる。
【0064】
また、本実施の形態の電話機100は、親機10の背面部12側に切り込み部24を備えて構成されている。このように、親機10の背面部12側に切り込み部24が形成されることで、使用者が子機101を掴む際、この切り込み部24に指を入れて掴むことが可能になる。これにより、使用者が子機101を掴み易くなり、子機101の掴み損ねをより抑止することができ、使用時の利便性及び安全性をより向上させることができる。
【0065】
このとき、切り込み部24の底面部24aは、親機10の背面部12側に向かって下方に傾斜して形成されている。これにより、使用者が子機101を掴む際、指を傾斜面上で滑らせて掴むことが可能になり、使用者の指への感触を和らげることができる。
【0066】
また、本実施の形態の突出部25は、親機10の背面部12の下方側に配設されている。そして、突出部25の上面部26は、外部の壁面40側に向かって、切り込み部24の底面部と同じ角度で下方に傾斜して形成されている。また、突出部25の側面部28及び側面部27は、親機10を平面視すると、互いに交差する角度をなして形成されている。これら側面部28及び側面部27と突出部25の背面部とは、円弧状をなして形成されている。
【0067】
これにより、電話機100を設置した際、突出部25が見え難くなる。このように、親機10を設置した際、突出部25を見えにくい位置に形成することで、親機10の外観上のデザイン性を維持することができる。
【0068】
(実施の形態2)
本発明の他の実施の形態について、図10を用いて説明する。図10は、本発明の他の実施の形態である電話機200について、この電話機200を上面部218から模式的に示す平面図である。本実施の形態の電話機200は、上述の実施の形態1の突出部25に代わって、切り込み部223の幅を広げることで、外部の壁面40と子機101との間の空間を画成した点が異なり、他の構成は、同様である。したがって、実施の形態1と同一又は相当する部分については、同様の符号を付してその説明を省略する。
【0069】
図10に例示されるように、本実施の形態の電話機200の親機210は、この親機210を外部の壁面40に近接させて設置する際、この外部の壁面40と収容部18との間に介在して配置され、使用者が子機101を掴握可能な空間を画成する介在部を備えて構成されている。
【0070】
具体的には、この介在部は、電話機200の切り込み部223を上述の実施の形態1の切り込み部24及び突出部25の幅と同様の幅をなして形成された壁面部220である。この切り込み部223の幅は、およそ22mmである。これにより、上述の実施の形態1と同様に、電話機200を外部の壁面40に近接して設置した場合であっても、子機101と外部の壁面40との間に空間が形成される。
【0071】
このように、子機101と外部の壁面40との間に空間が形成されることで、この空間に使用者が指を入れることが可能になる。さらに、この空間で使用者が指を曲げることが可能になる。すなわち、本実施の形態の切り込み部223の幅は、使用者が子機101を掴握可能となるような幅を有して形成されている。
【0072】
したがって、本実施の形態の電話機200は、使用者が子機101を掴握可能となるような幅を有して切り込み部223を形成することで、親機210を外部の壁面40に近接して設置しても、親機210の収容部18に収容された子機101を掴むための空間を確保することが可能になる。
【0073】
よって、本実施の形態の電話機200によれば、使用者が親機210の収容部18に収容された子機101を掴む際、子機101を掴み易くなっているため、使用時の利便性を向上させることができる。これにより、子機101の掴み損ねによる子機101の落下を抑止することができ、使用時の安全性を向上させることができる。
【0074】
さらに、本実施の形態の電話機200によれば、従来のような、外部の壁面40に近接して設置することが困難であるという設置時の制約を解消することが可能になり、電話機200を設置する設置時の手間を軽減することができる。
【0075】
また、本実施の形態の電話機200は、上述の実施の形態1のように、背面部12側に突出部が形成されていないため、電話機200を外部の壁面40に近接して設置しても、子機101を掴むための空間を確保しつつ、電話機100自体の外観を維持することができる。
【符号の説明】
【0076】
10 親機(本体機器)
11 正面部(外周面)
12 背面部(外周面)
13 側面部(外周面)
14 側面部(外周面)
15 表示部
16 操作部
18 収容部
24 切り込み部
24a 底面部(切り込み部の底面)
25 突出部
26 上面部(突出部の上面)
27 側面部(側面)
27 側面部(側面)
40 外部の壁面
100 電話機
101 子機(受話機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体機器及び受話機器を備えた電話機であって、
前記本体機器は、前記受話機器を収容可能な収容部と、
前記本体機器を構成する筺体の外周面のうち、前記収容部を囲う第1外周面領域に対して前記筺体の外方に突出した突出部と、を有し、
前記第1外周面領域の一部には、前記収容部に収容された前記受話機器を露出させる切り込み部を有すること、
を特徴とする電話機。
【請求項2】
前記突出部は、前記外周面のうち、前記第1外周面領域以外の領域に設けられたこと、
を特徴とする請求項1記載の電話機。
【請求項3】
前記本体機器は、前記外周面を構成する面のうち、一つの面に表示部又は操作部を有し、
前記突出部は、前記表示部又は操作部を有する面の反対側の面に設けられたこと、
を特徴とする請求項1又は2記載の電話機。
【請求項4】
前記切り込み部は、前記収容部と連通しており、
前記切り込み部の底面は、前記収容部側から前記筺体の外方に向かって下方に傾斜して形成されること、
を特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の電話機。
【請求項5】
前記突出部は、前記本体機器を外部の壁面に接して配置した際に、前記外部の壁面と前記収容部との間に使用者が前記受話機器を掴握可能な空間を画成すること、
を特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の電話機。
【請求項6】
前記突出部は、前記切り込み部の底面の面上から引き延ばした延長線より下方に設けられたこと、
を特徴とする請求項4又は5に記載の電話機。
【請求項7】
前記突出部は、前記筺体の外方に向かって突出する複数の突出面を有して構成され、
複数の前記突出面のうち、前記切り込み部の底面側に位置する上面は、前記切り込み部の底面と同角度をなして形成されたこと、
を特徴とする請求項4から6の何れか1項に記載の電話機。
【請求項8】
前記突出部は、複数の前記突出面のうち、前記本体機器を設置する設置面に対し、直交方向に起立して配置された側面は、前記本体機器の内側に向かって傾斜して形成されたこと、
を特徴とする請求項7記載の電話機。
【請求項9】
本体機器及び受話機器を備えた電話機であって、
前記本体機器は、前記受話器機を収容可能な収容部を備え、
前記本体機器を外部の壁面に接して配置した際、前記外部の壁面と前記収容部との間に介在して配置され、当該外部の壁面と収容部との間に、使用者が前記受話機器を掴握可能な空間を画成する介在部をさらに備えたこと、
を特徴とする電話機。
【請求項10】
電子機器を保持して充電するための充電装置であって、
前記電子機器を収容可能な収容部を有する本体機器を備え、
前記本体機器は、当該本体機器を外部の壁面に近接して設置する際、前記外部の壁面と前記収容部との間に介在して配置され、当該外部の壁面と収容部との間に、使用者が前記電子機器を掴握可能な空間を画成する介在部を備えたこと、
を特徴とする充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−129926(P2012−129926A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281731(P2010−281731)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(000111878)パイオニアコミュニケーションズ株式会社 (44)
【Fターム(参考)】