説明

電話機

【課題】電話機の中でも人目を引く箇所を光らせることにより、光による報知の目的が十分に達成されるようにする。
【解決手段】電話機1は、基台10と、基台10に連結された本体部20とを備える。本体部20は操作部22とハンドセット40を保持するクレイドル部23とが設けられる。ハンドセット40には送話部と受話部の間に穴43が形成されており、クレイドル部23には穴43に嵌合してハンドセット40を保持する隆起部27が形成されている。隆起部27は頂部に透光部29を有し、内部にはLED30により構成される内部照明を備えている。LED30は回線の接続状態に応じて照明状態が変わる。ハンドセット40の穴43は、ハンドセット40の筐体背面と面一をなす透明パネル45で塞がれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は固定電話として使用される電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
固定電話として用いられる卓上型や壁掛け型の電話機は、以前は呼び出し音で着信を報知するのみであったが、発光ダイオードの低価格化が進むに従い、光による報知も盛んに行われるようになっている。例えば特許文献1には、コードレス子機を有する親子電話機において、着信があった場合、親機から子機に発信者の電話番号情報を送信し、子機のダイヤルキーを電話番号順に順次点灯して電話番号表示を行わせるようにしたものが記載されている。
【特許文献1】特開平11−355420号公報([0041]、図1−4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
光で報知を行うのであれば、できるだけ目立つ形で報知するのが望ましい。本発明はこの点に鑑みなされたもので、電話機の中でも人目を引く箇所を光らせることにより、報知の目的を十分に達成できるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)上記目的を達成するために本発明の電話機は、ハンドセットを保持するクレイドル部を本体部に設け、前記クレイドル部には、前記ハンドセットの送話部と受話部の間に形成された穴に嵌合する隆起部を形成し、前記隆起部は少なくともその頂部に透光部を設けるとともに、この隆起部に、回線の接続状態に応じて照明状態が変わる内部照明を配設したことを特徴としている。
【0005】
この構成によると、ハンドセットに形成された穴を通じて隆起部の照明状態が認識されるものであり、通常は光を発することのないハンドセットの背面から光が見えるので、人目につきやすく、報知の目的を十分に達成することができる。また発光部の面積を大きくとり、視認性を高めることができる。そしてクレイドル部は、単なる載置や引っ掛けでハンドセットを保持するのでなく、穴と隆起部の嵌合でハンドセットを保持するから、多次元の振動にも耐えてハンドセットの保持を維持できる。
【0006】
(2)また本発明は、上記構成の電話機において、前記ハンドセット筐体背面と面一をなす透明パネルで前記穴を塞いだことを特徴としている。
【0007】
この構成によると、ハンドセットを握ったとき、穴のない通常のハンドセットを握ったのと同じ感覚になり、違和感がない。またハンドセットを隆起部にかぶせたとき、透明カバーがストッパの役割を果たしてハンドセットと隆起部の嵌合深さが常に一定となり、外観品質を一定に維持できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、ハンドセットに形成された穴にクレイドル部の隆起部を嵌合させることにより、しっかりとした保持構造を形成するとともに、その隆起部の少なくとも頂面を内部照明で光らせて報知を行うものであるから、人目につきやすく、報知の目的を十分に達成することができる。また発光部の面積を大きくとり、視認性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を図に基づき説明する。図1は正面側から見た電話機の斜視図、図2は図1からハンドセットを取り除いた状態の斜視図、図3は卓上載置状態の電話機の側面図、図4は壁掛け状態の電話機の側面図、図5は本体部及びハンドセットの正面図、図6は図5のA−A部断面図、図7は電話機のブロック構成図、図8は電話機の動作フローチャートである。
【0010】
電話機1は基台10と本体部20を備える。平面形状円形の基台10は本体部20を垂直面内で傾動可能に支持する。基台10と本体部20は図示しない角度調節装置で連結されている。電話機1は図3のように卓上載置状態で使用することが可能であり、基台10の底面の図示しない壁掛け穴を利用して、図4のように壁掛け状態で使用することも可能である。また卓上載置状態でも壁掛け状態でも、前記角度調節装置により基台10に対する本体部20の角度を調節することができる。
【0011】
本体部20の筐体21の正面は、全体の中で右側3分の2ほどが操作部22として構成され、左側3分の1ほどがクレイドル部23として構成される。操作部22には、テンキーやそれ以外の機能キーなどのキー群24と、液晶パネルによる表示部25が配置される。クレイドル部23には、後述する通話スイッチのアクチュエータとなるスイッチレバー26と、ハンドセット40を保持する隆起部27とが設けられている。ハンドセット40は図示しないカールコードで本体部20に接続される。
【0012】
隆起部27によるハンドセット40の保持につき説明する。隆起部27は、正面から見ると上下方向に長い長円形をなしており、上端には長円形の長軸方向に突き出す突起28が形成されている。ハンドセット40の送話部41と受話部42(図6参照)の間には、隆起部27を受け入れる長円形の穴43が形成される。穴43の上端には突起28を受け入れる凹部44が形成されている。穴43に隆起部27を嵌合させ、凹部44に突起28を係合させることにより、ハンドセット40はがたつきの少ない状態でクレイドル部23に保持される。保持されたハンドセット40は、それを斜め上にずらすことによってしか隆起部27から外れない。従ってこの保持構造は、地震のような多次元の振動にも強い。そして角度調節装置により本体部20の角度がどのように調節されたとしても、隆起部27と突起28の組み合わせでハンドセット40を保持することができる。
【0013】
穴43は透明合成樹脂からなる透明パネル45で塞がれ、素通しではない。透明パネル45はハンドセット40の筐体背面(送話口や受話口のない側)の表面と面一をなし、筐体表面の一部を構成する。このように透明パネル45が存在するので、ハンドセット40を握ったとき、穴のない通常のハンドセットを握ったのと同じ感覚になり、違和感がない。またハンドセット40を隆起部27にかぶせたとき、透明カバー45がストッパの役割を果たしてハンドセット40と隆起部27の嵌合深さが常に一定となり、外観品質を一定に維持できる。
【0014】
隆起部26の頂部は透光性の合成樹脂からなる透光部29で構成される。透光部29は隆起部26の内部に配設され、隆起部27の内部照明を構成するLED(light-emitting diode)30で照明される。LED30は本体部20の中に配置された電子回路基板31の表面に実装されている。LED30にはリフレクタ32が組み合わされ、LED30の放つ光が透光部29に集中するようになっている。
【0015】
クレイドル部22には、隆起部27より上の箇所にスイッチレバー26が設けられている。スイッチレバー26の先端はクレイドル部23に形成された貫通孔33から突き出す。ハンドセット40を隆起部27に掛けると受話部42でスイッチレバー26が押し込まれて通話スイッチがオフ状態となる。これが電話機1のオンフック(回線開放)状態である。ハンドセット40を隆起部27から外すとスイッチレバー26が突出して通話スイッチがオン状態となる。これが電話機1のオフフック(回線閉結)状態である。
【0016】
電話機1のブロック構成は図7に示す通りである。電話通信部50は電話回線51に接続され、後述するベースバンド部からの信号を電話局に送信したり、電話局からの信号を受信したりする。
【0017】
ベースバンド部52は音声コーデック(codec)53を有する。音声コーデック53は音声の圧縮(符号化)、音声の伸張(復号化)、アナログとディジタルの変換などを行い、また内部の増幅回路(図示せず)により受話音量やマイクロフォンの感度を変更したりする。
【0018】
ベースバンド部52には切替回路54を介してスピーカ55、マイクロフォン56、及び拡声スピーカ57が接続される。スピーカ55はハンドセット40の受話部42に配置され、マイクロフォン56はハンドセット40の送話部41に配置される。拡声スピーカ57は本体部20に配置される。拡声スピーカ57は受話音を拡声して周囲の人に聞かせたるためのものであり、増幅回路60で増幅されたベースバンド部52の電気信号を音声に変換する。拡声スピーカ57は着信報知の鳴動も行う。
【0019】
スピーカ55、マイクロフォン56、及び拡声スピーカ57はそれぞれ増幅回路58、59、60を介して切替回路54に接続される。切替回路54は増幅回路58、59、60とベースバンド部52との接続を制御回路70の制御によりオン/オフする。なお増幅回路58、59、60はいずれもゲイン固定であり、受話音量やマイクロフォンの感度を変更することはできない。スピーカ55と拡声スピーカ57の音量調整やマイクロフォン56の感度調整は制御部70からの指令によりベースバンド部52の音声コーデック53が行う。
【0020】
制御部70はマイクロプロセッサ(図示せず)を主たる構成要素とし、ROM71に記憶させた動作プログラムに基づき各部を制御する。ROM71は不揮発性メモリであり、動作プログラム以外に電話帳情報や時刻情報なども記憶する。ストップウォッチの情報など、プログラム実行中一時的に保持する必要の生じたデータはRAM72に保存される。
【0021】
制御部70は表示部駆動回路73とLED点灯回路74を備える。表示部駆動回路73は表示部25の表示を司り、LED点灯回路74はLED30の点灯を司る。
【0022】
また制御部70には操作部22のテンキー24Aと機能キー24B、及びクレイドル部23のスイッチレバー26により開閉せしめられる通話スイッチ75が接続され、これらのスイッチからの信号が伝えられる。
【0023】
続いて図8に基づき電話機1の動作を説明する。待機中、LED30は消灯状態にある。ステップS111で外線又は内線の着信を検出するとステップS112に進み、LED30が点滅する。また拡声スピーカ57が鳴動して呼出音を出す。ステップS113でハンドセット40をオフフックにするとステップS114に進み、LED30が連続点灯状態となる。また電話回線51が閉結状態となる。この状態で通話を行う。通話終了後、ステップS115でハンドセット40をオンフックにすると、ステップS116に進み、LED30が消灯する。また電話回線51が開放する。
【0024】
外線又は内線で電話をかけるときは、未着信状態でハンドセット40を取り上げる。これはステップS111からステップS117に進み、オフフックにしたことを意味する。ハンドセット40がオフフックになるとステップS118に進み、LED30が連続点灯する。また電話回線51が閉結する。ステップS119でダイヤル発信を行うとステップS120に進み、通話が可能となる。通話終了後、ステップS121でハンドセット40をオンフックにするとステップS122に進み、LED30が消灯する。また電話回線51が開放する。
【0025】
LED30の照明状態を変えるにあたり、本実施形態では「消灯」「点滅」「連続点灯」の三通りに切り替えることとしたが、これ以外のやり方も可能である。例えばLED30の光度を変えたり、赤・青・緑の三色のLEDを一組とし、各色の組み合わせで任意の色相を得たりしてもよい。また本実施形態では隆起部27の頂部のみを透光部29としたが、透光部29の範囲を隆起部27の側面にまで広げて発光部の面積を拡大することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は固定電話として用いられる電話機に広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】正面側から見た電話機の斜視図
【図2】図1からハンドセットを取り除いた状態の斜視図
【図3】卓上載置状態の電話機の側面図
【図4】壁掛け状態の電話機の側面図
【図5】本体部及びハンドセットの正面図
【図6】図5のA−A部断面図
【図7】電話機のブロック構成図
【図8】電話機の動作フローチャート
【符号の説明】
【0028】
1 電話機
10 基台
20 本体部
22 操作部
23 クレイドル部
27 隆起部
29 透光部
30 LED
40 ハンドセット
43 穴
45 透明パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドセットを保持するクレイドル部を本体部に設け、前記クレイドル部には、前記ハンドセットの送話部と受話部の間に形成された穴に嵌合する隆起部を形成し、前記隆起部は少なくともその頂部に透光部を設けるとともに、この隆起部に、回線の接続状態に応じて照明状態が変わる内部照明を配設したことを特徴とする電話機。
【請求項2】
前記ハンドセット筐体背面と面一をなす透明パネルで前記穴を塞いだことを特徴とする請求項1に記載の電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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