説明

電話装置

【課題】受話器及び補聴器の双方に受話音声信号を伝送可能な電話装置において、補聴器の所持者が使用するときには、受話音声を補聴器のみから出力できるようにする。
【解決手段】 通話制御部7から出力される受話音声信号は、それぞれスイッチ26、27を通してハンドセット2のスピーカ部22、近距離無線通信部23へ出力される。近距離無線通信部32を内蔵した補聴器3のユーザがハンドセット2を取り上げると、スイッチ26を開き、スイッチ27を閉じることで、受話音声信号が補聴器3のイヤホン33から出力され、スピーカ部22からは出力されないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話装置に関し、詳細には、補聴器のユーザの使用に好適な電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
補聴器には大別して下記a〜cに示す3つのタイプがある。
a.補聴器の本体を耳の後側に引っ掛け、本体に取り付けられたイヤホンを耳の中に入れるタイプ(引っ掛け型)
b.胸ポケットにカード型の本体を入れ、本体にケーブルで接続されたイヤホンを耳の中に入れるタイプ(カード型)
c.補聴器本体を小型化し、補聴器自体を耳の中に入れるタイプ(内挿型)
【0003】
このような補聴器のユーザが電話機を使用するときには、以下のような問題がある。
引っ掛け型の場合、補聴器のマイクロホン(以下、マイクと言う)は、補聴器の装着時に耳の上部に位置する。そのため、受話器を耳に密着させると、受話音の漏れが少なくなり、補聴器のマイクに受話音が入らなくなる。このため、受話器を耳から少し離して故意に音漏れを起こす、電話機の受話音量を最大にする等、電話機の使用時に不便な思いをしている。
カード型の場合、補聴器のマイクは胸ポケット内の本体に設けられているため、補聴器のイヤホンを外し(補聴器を使用しない)、電話機の受話音量を最大にして使用する。
内挿型の場合、受話器に耳を密着させるとハウリングを起こすことがため、受話器を耳から少し離して使用し、電話機の受話音量を大きくする必要がある。
つまり、何れのタイプの補聴器も、受話音量を大きくすることで、通話の内容を周囲の人に聞かれたり、周囲の人に騒音で迷惑をかけたりするという問題がある。
【0004】
そこで、このような問題を解決するため、図8に示すように、裏面にマイク用音孔を備え、側面に音溝チューブ41及び耳栓42が接続された補聴器43を電話機のハンドセット44の受話部45にゴムバンド46により固定するようにしたものが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−56696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の補聴器は、電話機を使用するときにそのハンドセットに固定する操作が必要であるため、使い勝手が悪いという問題がある。また、補聴器を使用していることを周囲の人に気付かれてしまうという問題もある。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、補聴器のユーザが電話機を使用するときに、ハンドセットに対する着脱操作を不要にし、かつ補聴器を使用していることを気付かれずに電話機の使用を可能にし、さらに受話音声を補聴器のみから出力できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、受話音声信号を受話器に供給する第1の手段と、前記受話音声信号を非接触で外部の補聴器に供給する第2の手段と、前記第2の手段の動作に応じて前記第1の手段の動作を禁止する制御手段とを備えたことを特徴とする電話装置である。
請求項2に係る発明は、請求項1記載の電話装置において、前記第2の手段は近距離無線により前記受話音声信号を供給することを特徴とする電話装置である。
請求項3に係る発明は、請求項2記載の電話装置において、前記補聴器と前記第2の手段との間の無線リンクの確立を検出するリンク確立検出手段を備え、前記制御手段は、該リンク確立検出手段の出力に基づいて前記第1の手段の動作を禁止することを特徴とする電話装置である。
請求項4に係る発明は、受話音声信号を受話器に供給する第1の手段と、前記受話音声信号を非接触で外部の補聴器に供給する第2の手段と、前記第2の手段を動作させるか否かを設定する設定手段と、該設定手段により第2の手段を動作させることが設定されているとき、前記第1の手段の動作を禁止する制御手段とを備えたことを特徴とする電話装置である。
【0008】
(作用)
請求項1に係る発明によれば、第1の手段により音声信号を受話器に供給し、第2の手段により音声信号を非接触で補聴器に供給する。また、第2の手段の動作に応じて、第1の手段の動作を禁止する。
請求項2に係る発明によれば、第2の手段は、受話音声信号を近距離無線により補聴器に供給する。
請求項3に係る発明によれば、第1の手段により音声信号を受話器に供給し、第2の手段により音声信号を非接触で補聴器に供給する。また、補聴器と、第2の手段との間の近距離無線のリンクの確立の検出に基づいて、第1の手段の動作を禁止する。
請求項4に係る発明によれば、第1の手段により音声信号を受話器に供給し、第2の手段により音声信号を非接触で補聴器に供給する。また、第2の手段が動作するように設定されているとき、第1の出力の動作を禁止する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電話装置から補聴器に非接触で受話音声信号が供給されるため、補聴器の使用者が電話装置を使用するときに、ハンドセットに対する着脱操作が不要になり、かつ補聴器を使用していることを気付かれずに電話機を使用することができる。また、受話音声信号を補聴器に非接触で供給する手段の動作に応じて、受話音声信号の受話器への供給を禁止するため、受話音声を補聴器のみから出力させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は本発明の第1の実施形態に係る電話装置の構成を示す図である。
この電話装置は、電話装置本体(以下、本体と言う)1及びハンドセット2からなる。本体1は、この電話装置全体の制御等を行う制御部(CPU)5と、電話回線4に接続されており、電話回線の閉結、開放等を行う外線インタフェース部6と、本体1及びハンドセット2の通話制御を行う通話制御部7と、フックスイッチ8と、制御部5が各種動作を行うときに使用するプログラムが記憶されたROM、制御部5が各種動作を行うときのワークエリアとなるRAM、各種データを記憶するためのEEPROM等からなる記憶部9と、数字キー、機能キー等からなるキー入力部10と、本体1の各部に動作用電力を供給するための電源部12と、ハンズフリー通話(オンフック通話)時に使用するためのマイク部15及びスピーカ部16とを備えている。ここで、マイク部15は、音声を音声信号(音声に対応する電気信号)に変換するマイク及びその音声信号を増幅するアンプからなり、スピーカ部16は通話制御部7から供給される受話音声信号を増幅するアンプ及びその出力を音声に変換するスピーカからなる。
【0011】
ハンドセット2は、音声を音声信号に変換するマイク及びその音声信号を増幅するアンプからなるマイク部21と、通話制御部7からスイッチ26を通して供給される受話音声信号を増幅するアンプ及びその出力を音声に変換するスピーカからなるスピーカ部(受話器)22と、通話制御部7からスイッチ27を通して供給される受話音声信号をBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信により補聴器3へ送信する近距離無線通信部23と、電源スイッチ28がオンになったときに近距離無線通信部23に動作用電力を供給する電池24と、制御部5の制御に従って、それぞれ通話制御部7とマイク部21、スピーカ部22、近距離無線通信部23との間の音声信号伝送路(送話パス、受話パス)を断続するためのスイッチ25、26、27と、制御部5の制御に従って開閉(オン/オフ)される電源スイッチ28とを備えている。
【0012】
補聴器3は、周囲等の音声を音声信号に変換するマイク及びその音声信号を増幅するアンプからなるマイク部31と、ハンドセットの近距離無線通信部23との間で近距離無線通信を行うと共に、近距離無線通信部23から送信された音声信号を受信する近距離無線通信部部32と、マイク部31からスイッチ34を通して入力される音声信号、近距離無線通信部32からスイッチ35を通して入力される音声信号を音声に変換するイヤホン33と、マイク部31とイヤホン33との間の音声信号伝送路を断続するスイッチ34と、近距離無線通信部32とイヤホン33との間の音声信号伝送路を断続するスイッチ35とを備えている。
【0013】
ここで、補聴器3は前述した引っ掛け型、カード型、内挿型の何れのタイプでもよい。また、スイッチ34及び35は、図示されていないボタンの操作により、補聴器3をマイクモードで動作させるときは、スイッチ34を閉じてスイッチ35を開くと共に近距離無線通信部32の電源をオフにし、電話モードで動作させるときはスイッチ34を開いてスイッチ35を閉じると共に近距離無線通信部32の電源をオンにする。
【0014】
以上の構成を有する電話装置の動作について説明する。
図2は着信時又は発信時にオフフックされたときの制御部5の処理を示すフローチャートである。
ユーザがハンドセット2を取り上げると、フックスイッチ8が閉じることで制御部5によりオフフックが検出され、図2に示す処理がスタートする。制御部5は、オフフックを検出すると、スイッチ28を閉じて近距離無線通信部23の電源をオンにし(ステップS1)、次いでスイッチ25及び26を閉じることで、通話制御部7とマイク部21との間を送話パスで接続すると共に、通話制御部7とスピーカ部22との間を受話パスで接続する(ステップS2)。
【0015】
次いで、近距離無線通信部23がリンクを確立したか否かを判定する(ステップS3)。このとき、ハンドセット2を取り上げたユーザが補聴器3を所持し、その電源スイッチをオンにし、電話モードで動作させていると、ハンドセット2内の近距離無線通信部23と補聴器3内の近距離無線通信部32との間で所定の手順によりリンクが確立される(ステップS3でYES)。
【0016】
制御部5は近距離無線通信部23のリンクが確立されると、スイッチ27を閉じることで、通話制御部7と近距離無線通信部23との間を受話パスを接続し(ステップS4)、次いでスイッチ26を開くことで、通話制御部7とスピーカ部22との間の受話パスを切断し(ステップS5)、通話状態とする。
【0017】
従って、補聴器3を電話モードで使用しているユーザがハンドセット2を取り上げ、ハンドセット2の受話部を耳に密着させると、接続相手先からの受話音声信号は通話制御部3からスイッチ27を通って近距離無線通信部23へ送られ、ここから無線で補聴器3の近距離無線通信部32へ送信される。補聴器3では、近距離無線通信部32が受話音声信号を受信し、スイッチ35を通してイヤホン33へ出力し、イヤホン33が受話音声信号を受話音声に変換する。補聴器3のユーザはイヤホン33から出力される受話音声を聞くことができる。また、このときスイッチ26は開いているため、受話音声はスピーカ22からは出力されない。このため、補聴器3を使用しているユーザに聞こえる受話音声は、従来のようにスピーカ及びイヤホンの2箇所ではなく、イヤホン33から出力されるものだけになるので、違和感なく、容易に聞くことができる。補聴器3のユーザが発声した音声はマイク部21で音声信号とされ、スイッチ25、通話制御部7、外線インタフェース部6を通して電話回線4へ送出される。
【0018】
なお、以上の説明では、補聴器3のスイッチ34及び34の開閉はユーザが設定した動作モード(マイクモード/電話モード)に基づいて行うものとしたが、近距離無線通信部32と近距離無線通信部部23との間のリンクの確立を検出したときに、スイッチ34を開き、スイッチ35を閉じることで自動的に電話モードになるように構成してもよい。
【0019】
図2では、オフフックされたときに近距離無線通信部23の電源をオンにするように動作させたが、着信時に近距離無線通信部23の電源をオンにするように構成することもできる。図3はその場合の動作のフローチャートである。
電話回線4からの着信が外線インタフェース部6を通して制御部5に通知されると、制御部5はスイッチ28を閉じて近距離無線通信部23の電源をオンにし(ステップS11)、次いで近距離無線通信部23がリンクを確立したか否かを判定する(ステップS12)。
【0020】
ここで、着信時に補聴器3を電話モードで使用中のユーザがハンドセット2の近くにいれば、ハンドセット2の近距離無線通信部23と補聴器3の近距離無線通信部32との間で所定の手順によりリンクが確立される(ステップS12でYES)のに対し、そうでない場合はリンクが確立されない。そして、一定時間内にリンクが確立したときは近距離無線通信モードに設定し(ステップS14)、確立しなかったときは電話機モードに設定する(ステップS13)。これらのモード設定情報は記憶部9に記憶される。
【0021】
次いでフックスイッチ8の開閉状態に基づいて、オフフックされたか否かを判定する(ステップS15)。オフフックされた場合は、近距離無線通信モードに設定されているか否かを判定し(ステップS16)、近距離無線通信モードに設定されている場合(ステップS16でYES)は、スイッチ25及びスイッチ27を閉じることで、通話制御部7とマイク部21との間を送話パスで接続すると共に、通話制御部7と近距離無線通信部23との間を受話パスで接続し(ステップS18)、近距離無線通信モードに設定されていない(電話機モードに設定されている)場合は(ステップS16でNO)、スイッチ25及び26を閉じることで、通話制御部7とマイク部21との間を送話パスで接続すると共に、通話制御部7とスピーカ部22との間を受話パスで接続する(ステップS19)。どちらのモードに設定されている場合も通話状態となる。
【0022】
従って、電話装置に着信があったときに、ハンドセット2の近くに補聴器3を電話モードで使用中のユーザがいて、そのユーザがハンドセット2を取り上げた場合は、図2を参照しながら説明した場合と同様に、受話音声はイヤホン33のみから出力される。また、電話装置に着信があったときに、補聴器3のユーザでない人がハンドセット2を取り上げた場合は、受話音声はスピーカ25のみから出力される。
【0023】
ステップS15にてオフフックが検出されなかった場合は、着信が無くなったか否かを判定し(ステップS17)、着信が無くなった場合は、スイッチ28を開いて近距離無線通信部23の電源をオフにし(ステップS20)、終話処理を行う。
【0024】
なお、図3は着信検出時に近距離無線通信部23の電源をオンにするように構成したものであるが、ユーザがキー入力部10の外線ボタンを押したときに、近距離無線通信部23の電源をオンにするように構成することもできる。
【0025】
本実施形態に係る電話装置は、補聴器3のユーザがハンドセット2を用いて近距離無線通信を用いた通話を行っているときに、所定の操作により、近距離無線通信を用いた通話を解除できるように構成されている。さらに、この所定の操作として、キー入力部10におけるスピーカボタンの操作、又はそのスピーカボタンの操作及びそれに続くオンフック操作の何れにするかを、キー入力部10からの設定操作により設定できる。以下、それらの2つの場合について図4に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0026】
図4Aは前者のフローチャートである。この場合、スピーカボタンが押下されると、制御部5はスイッチ25及びスイッチ27を開くことで、通話制御部7とマイク部21との間の送話パス及び通話制御部7と近距離無線通信部23との間の受話パスを切断すると共に、通話制御部7とマイク部15との間の送話パス及び通話制御部7とスピーカ部16との間の受話パスを接続する(ステップS21)。この結果、補聴器3のイヤホン33から受話音声は出力されなくなり、代わりに本体1のスピーカ部16から受話音声が出力されるようになる。
【0027】
図4Bは後者のフローチャートである。この場合は、スピーカボタンが押され、オンフックされると(ステップS31でYES)、制御部5はスイッチ25及びスイッチ27を開くことで、通話制御部7とマイク部21との間の送話パス及び通話制御部7と近距離無線通信部23との間の受話パスを切断すると共に、通話制御部7とマイク部15との間の送話パス及び通話制御部7とスピーカ部16との間の受話パスを接続する(ステップS32)。この結果、補聴器3のイヤホン33から受話音声は出力されなくなり、代わりに本体1のスピーカ部16から受話音声が出力されるようになる。
【0028】
[第2の実施形態]
図5は本発明の第2の実施形態に係る電話装置の構成を示す図である。この図において、図1と同一又は対応する構成要素には図1におけるそれらの構成要素と同じ符号を付した。第1の実施形態と比較した本実施形態の特徴は、ハンドセット2と補聴器3との間の受話音声信号の伝送を電磁誘導により行う点、及び受話音声をハンドセット2のスピーカ部22から出力させるか又は補聴器3のイヤホン33から出力させるかを予めユーザが設定しておくか又はオフフック時に選択するようにした点であり、それ以外は第1の実施形態と同様であるから、これらの特徴点を中心に説明する。
【0029】
図5に示すように、本実施形態に係る電話装置のハンドセット2は、図1のハンドセット2における近距離無線通信部23に代えて、受話音声信号を増幅するアンプ29及びその出力が供給される磁気コイル30を設けたものである。また、本実施形態に係る補聴器3は、図1の補聴器3における近距離無線通信部32に代えて磁気コイル36及びその出力を増幅するアンプ37を設けたものである。
【0030】
以上の構成を有する電話装置の動作について、図6及び図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。ここで、図6は、予めユーザがキー入力部11からの設定操作により、受話音声信号を磁気コイル30から補聴器3へ送信する動作モードに設定したか否かに基づいて、受話音声をハンドセット2のスピーカ部22から出力させるか又は補聴器3のイヤホン33から出力させるかの選択を行う場合の処理であり、図7は、オフフックしたときに、ユーザがキー入力部11に割り付けられた、受話音声信号を磁気コイル30から補聴器3へ送信する動作モードで動作させるための所定の切換キーを押したか否かに基づいて、受話音声をハンドセット2のスピーカ部22から出力させるか又は補聴器3のイヤホン33から出力させるかの選択を行う場合の処理である。以下、順に説明する。
【0031】
ユーザがハンドセット2を取り上げると、フックスイッチ8が閉じ、制御部5がそれを検出することで図6に示す処理がスタートする。制御部5は、オフフックを検出すると、記憶部9の記憶内容を参照して、磁気コイル30をオンにする設定がなされているか否かを判定する(ステップS41)。ここで、ユーザは、磁気コイル30をオンにして、通話制御部7からの受話音声信号を補聴器3へ送信したいときは、予めキー入力部10を用いて設定操作を行っておく。この設定操作情報は制御部5により、記憶部9に記憶されるので、その記憶内容を参照することで、上記設定の有無を判定できる。
【0032】
制御部5は、磁気コイル30をオンにする設定がなされていると判定した場合(ステップS41でYES)、スイッチ25を閉じることで、通話制御部7とマイク部21との間を送話パスで接続する(ステップS42)。次いで電源スイッチ28を閉じることでアンプ29に対する動作用電力の供給を開始し(ステップS43)、さらにスイッチ27を閉じることで、通話制御部7と磁気コイル30との間を受話パスで接続する(ステップS44)。
【0033】
このとき、補聴器3のユーザハンドセット2の受話部を耳に密着させると、接続相手先からの受話音声信号は通話制御部3からスイッチ27を通ってアンプ29へ送られ、ここで増幅されて、磁気コイル30から電磁誘導により補聴器3の磁気コイル部36へ送られる。補聴器3では、磁気コイル部36が受話音声信号を再生し、アンプ37で増幅し、スイッチ35を通してイヤホン33へ出力し、イヤホン33が受話音声信号を受話音声に変換する。補聴器3のユーザはイヤホン33から出力される受話音声を聞くことができる。このとき、第1の実施形態と同様、補聴器3のユーザに聞こえる受話音声は、イヤホン33から出力されるものだけになるので、違和感なく、容易に聞くことができる。補聴器3を使用しているユーザが発声した音声はマイク部21で音声信号とされ、電話回線4へ送出される。
【0034】
磁気コイル30をオンにする設定がなされていないと判定した場合(ステップS41でNO)、制御部5はスイッチ25及び26を閉じることで、通話制御部7とマイク部21とを送話パスで接続すると共に、通話制御部7とスピーカ部22との間を受話パスで接続する(ステップS45)。このとき、ユーザがハンドセット2の受話部を耳に密着させると、接続相手先からの受話音声信号は通話制御部3からスイッチ26を通ってスピーカ部22へ送られ、受話音声が出力される。また、ユーザが発声した音声はマイク部21で音声信号とされ、電話回線4へ送出される。
【0035】
図7に示す処理も図6に示す処理と同様に、制御部5がオフフックを検出することでスタートする。制御部5は、オフフックを検出すると、スイッチ25及び26を閉じることで、通話制御部7とマイク部21との間の送話パスを接続し、通話制御部7とスピーカ部22との間の受話パスを接続する(ステップS51)。次いで制御部5は、キー入力部10に割り付けられた磁気コイルをオン又はオフにするための切換キーをユーザがオンにしている否かを判定する(ステップS52)。
【0036】
そして、オンにしていると判定した場合は(ステップS52でYES)、電源スイッチ28を閉じてアンプ29に対する動作用電力の供給を開始し(ステップS53)、さらにスイッチ25を開くことで通話制御部7とスピーカ部22との間の受話パスを切断すると共に、スイッチ27を閉じることで、通話制御部7と磁気コイル30との間の受話パスを接続する(ステップS54)。これにより、受話音声がハンドセット2のスピーカ部22から出力される状態となる。この状態において、磁気コイル30をオフにするための切換キーの操作を行った場合は(ステップS55でYES)、スイッチ26を閉じることで、通話制御部7とスピーカ部22との間を受話パスで接続すると共に、スイッチ27を開くことで、通話制御部7と磁気コイル30との間の受話パスを切断し(ステップS56)、ステップS52へ移行する。
【0037】
ステップS52にて、磁気コイル30をオンにするように切換キーを操作していないと判定した場合は、オンフックされたか否かを判定する(ステップS57)。そして、オンフックされていない場合はステップS52へ戻り、オンフックされた場合は、スイッチ25及び26を開くことで、通話制御部7とマイク部21及びスピーカ部22との間の送受話パスを切断し、通話を終了する。
【0038】
ステップS55にて磁気コイルをオフにするためのボタンの操作を行っていないと判定された場合は、オンフックされたか否かを判定する(ステップS59)。そして、オンフックされていない場合はステップS55へ戻り、オンフックされた場合は、スイッチ25及び26を開くことで、通話制御部7とマイク部21及びスピーカ部22との間の送受話パスを切断し、通話を終了する。
【0039】
なお、図4に示す処理は本実施形態に係る電話装置においても適用可能である。また、第1及び第2の実施形態では、ハンドセット2が電池を内蔵するものとしたが、本体1からハンドセット2へ電源電力を供給するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電話装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る電話装置がオフフックされたときの処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施形態において着信検出時に近距離無線通信部の電源をオンにするように構成した場合の動作のフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施形態において所定の操作により近距離無線通信部を用いた通話を解除する処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る電話装置の構成を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る電話装置がオフフックされたときの処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る電話装置がオフフックされたときの処理の別の一例を示すフローチャートである。
【図8】従来の電話機用補聴器をハンドセットに固定した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
2・・・ハンドセット、3・・・補聴器、5・・・制御部、7・・・通話制御部、22・・・スピーカ部、23・・・近距離無線通信部、26,27・・・スイッチ、30・・・磁気コイル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受話音声信号を受話器に供給する第1の手段と、
前記受話音声信号を非接触で外部の補聴器に供給する第2の手段と、
前記第2の手段の動作に応じて前記第1の手段の動作を禁止する制御手段と
を備えたことを特徴とする電話装置。
【請求項2】
請求項1記載の電話装置において、
前記第2の手段は近距離無線により前記受話音声信号を供給することを特徴とする電話装置。
【請求項3】
請求項2記載の電話装置において、
前記補聴器と前記第2の手段との間の無線リンクの確立を検出するリンク確立検出手段を備え、
前記制御手段は、該リンク確立検出手段の出力に基づいて前記第1の手段の動作を禁止することを特徴とする電話装置。
【請求項4】
受話音声信号を受話器に供給する第1の手段と、
前記受話音声信号を非接触で外部の補聴器に供給する第2の手段と、
前記第2の手段を動作させるか否かを設定する設定手段と、
該設定手段により第2の手段を動作させることが設定されているとき、前記第1の手段の動作を禁止する制御手段と
を備えたことを特徴とする電話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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