説明

電話装置

【課題】重要な情報が記載されたメモを容易に作成することができる電話装置を提供する。
【解決手段】情報取得手段172は、通話相手の発信者情報163を取得する。メモ生成手段173は、当該発信者情報163を含む通話メモをプリンタに出力させる。これにより、発信者名や通話相手の電話番号という重要な情報が記載された伝言メモを作成することができる。この伝言メモは、音声認識技術等を必要としないで作成することが可能となるので、低コスト化を実現することができる。また、発信者名や電話番号のみならず、チェック項目や時刻についても記載することができるので、ユーザはより重要な情報を取得することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話装置に関するものであり、より詳しくは通話相手の情報を出力することができる電話装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オフィス等において、着信に応答したものの発呼者が通話を望む相手が不在の場合、その着信に応答した者は、発呼者の名前や要件等をメモすることが行われている(例えば、特許文献1参照。)。このメモの作成は、紙片を手元に置いておいたり、発呼者の名前や要件を記憶したりしなければならないために煩わしく、容易にメモを作成できる装置が望まれていた。そこで、例えば、伝言メッセージ等を印字する電話装置などが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この電話装置では、音声認識により録音された伝言メッセージを文字データに変換し、これをファックスやメモで出力する。
【0003】
【特許文献1】特開平8−211828号公報
【特許文献2】特開平7−203011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、未だ音声認識技術は発展途上にあるため、一般への普及率が低い、装置に対する演算負荷が高い、音声認識の完成度が低いなどの問題があり、この結果、装置自体が高価であるのみならず、誤字が多いものとなっていた。また、録音された伝言メッセージは、途中で録音が終了していたり発信者の発言内容が不明瞭であったりして、必ずしも重要な情報が含まれているとは限らない。
【0005】
そこで、本発明は、上述したような課題を解決するためになされたものであり、重要な情報が記載されたメモを容易に作成することができる電話装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述したような課題を解決するために、本発明に係る電話装置は、通話相手の情報を取得する取得手段と、前記情報をプリンタに出力する出力手段とを有することを特徴とする。
【0007】
上記電話装置において、出力手段は、前記通話相手との通話の終了に応じて、前記通話相手の情報を出力するようにしてもよい。
【0008】
上記電話装置において、通話相手との通話中に新たな通話相手から着信があると、この新たな通話相手に通話を切り替える呼制御手段をさらに備え、前記取得手段は、前記新たな通話相手の情報を取得し、前記出力手段は、前記新たな通話相手との通話の終了に応じて、前記新たな通話相手の情報を出力するようにしてもよい。
【0009】
上記電話装置において、出力手段は、前記ユーザにより選択されたメッセージとともに前記情報を出力するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、通話相手の情報が取得され、当該情報がプリンタに出力することにより、通話相手の情報という重要な情報が記載されたメモを低コストで容易に作成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[電話装置の構成]
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る電話装置1は、外線I/F部11と、操作入力部12と、表示部13と、音声処理部14と、機器I/F部15と、記憶部16と、制御部17とから構成される。
【0012】
外線I/F部11は、インターフェース回路からなり、外線ネットワーク2を介して外部の電話装置と音声データ等のやりとりを行う。
【0013】
操作入力部12は、ダイヤルキーや機能キーやフックスイッチからなり、ユーザの操作を検出して制御部17へ出力する。
【0014】
表示部13は、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置からなり、制御部17からの指示に応じて通話状態や保留状態などの各種可視表示を行う。
【0015】
音声処理部14は、信号処理回路からなり、外線I/F部11から入力された音声データを復号してHS(Hand Set)141から出力するとともに、HS141から入力された音声を音声データに符号化して外線I/F部11に出力する。
【0016】
機器I/F部15は、インターフェース回路からなり、制御部17からの指示に応じてメモを印刷させるための信号をプリンタ3に出力する。
【0017】
記憶部16は、メモリやハードディスクなどの記憶装置からなり、制御情報161、電話帳情報162、発信者情報163、フォーム情報164およびプログラム165を格納する。
【0018】
制御情報161は、当該電話装置1の制御に用いる情報である。
電話帳情報162とは、電話番号とこの電話番号の電話装置のユーザ名とを対応付けた情報である。
発信者情報163とは、外線ネットワーク2を介して受信した発信者の電話番号などに関する情報である。
フォーム情報164とは、プリンタ3に出力させる伝言メモのひな形に関する情報である。
なお、プログラム165は、製造時に予め記憶部16に格納される。
【0019】
制御部17は、CPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路からなり、記憶部16からプログラム165を読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラム165を協働させ、呼制御手段171、情報取得手段172、計時手段173およびメモ生成手段174を実現させる。
【0020】
呼制御手段171は、制御情報161に基づき当該電話装置1の動作を制御する。
情報取得手段172は、外線ネットワーク2を介した着信に対応する発信者の情報を取得し、この情報を記憶部16に発信者情報163として格納する。
計時手段173は、公知の計時方法で現在時刻を計る。
メモ生成手段174は、情報取得手段172により取得した発信者情報163と、操作入力部12を介したユーザの指示に基づいて、フォーム情報164に基づく伝言メモをプリンタ3に印刷させる。
【0021】
[電話装置の動作]
次に、図2,図3を参照して、本発明に電話装置の動作について説明する。なお、本実施の形態においては、1の電話装置(以下、電話装置Aという)と通話中に他の電話装置(以下、電話装置Bという)から着信があった場合を例に説明する。
【0022】
まず、電話装置Aから電話装置1に対して着信があると(ステップS1)、電話装置1は、制御部17の呼制御手段171により、電話装置1のスピーカ(図示せず)を鳴動させたり、電話装置Aの発信者情報を表示部13に着信が入った旨を表示させたりする。これにより、電話装置Aのユーザは、着信が入ったことを認識することができる。
【0023】
着信が入ると、電話装置1は、制御部17の情報取得手段172により、外線ネットワーク2側から送られてくる電話装置Aに関する情報を取得させ、記憶部16に発信者情報163として格納させる(ステップS2)。ここで、外線ネットワーク2から送られてくる情報としては、電話装置Aの電話番号が挙げられる。なお、電話装置Aが公衆電話機であったり、発信者番号通知が非通知と設定していたりした場合には、それらの旨も送られてくる。また、呼制御手段171は、情報取得手段172により取得された発信者情報163を表示部13に表示させるようにしてもよい。
【0024】
HS141をオフフックにするなど、電話装置Aからの着信に応答する旨の操作入力が操作入力部12により検出されると、電話装置1は、制御部17の呼制御手段171により、外線ネットワーク2を介して電話装置Aと通話パスを形成させ、電話装置Aとの通話を実現させる(ステップS3)。
【0025】
このような電話装置Aとの通話が行われている最中に、電話装置Bから着信が入ると(ステップS4)、電話装置1は、呼制御手段171により、電話装置1のHS141のスピーカを鳴動させたり、電話装置Aの発信者情報を表示部13に着信が入った旨を表示させたりする。これにより、電話装置Aのユーザは、通話中に着信が入ったことを認識することができる。
【0026】
着信が入ると、電話装置1は、制御部17の情報取得手段172により、外線ネットワーク2側から送られてくる電話装置Bに関する情報を取得させ、記憶部16に発信者情報163として格納させる(ステップS5)。このとき、情報取得手段172は、既に格納した電話装置Aに関する発信者情報と、今回取得した電話装置Bに関する発信者情報とを区別して記憶部16に格納する。この区別は、例えば、着信した順番や着信した時刻などにより行われる。
【0027】
電話装置1のフックが押下されるなど電話装置Bからの着信に応答する旨の操作入力が操作入力部12により検出されると、電話装置1は、制御部17の呼制御手段171により、その操作入力を外線ネットワーク2側に出力する。すると、外線ネットワーク2の交換局により、電話装置1と電話装置Bとの間で通話パスが形成され、電話装置Bとの通話を実現される(ステップS6)。このとき、電話装置Aは、外線ネットワーク2側の交換局により保留にされる。
【0028】
電話装置Bとの通話を終話にするために、ユーザにより電話装置1のフックが押下されるなど、電話装置Bとの通話を終話にする旨の操作入力が操作入力部12により検出されると、電話装置1は、その操作入力を外線ネットワーク2側に出力する。すると、外線ネットワーク2側の交換局により、電話装置1と電話装置Bとの通話パスが切断され、電話装置Bとの通話が終了する(ステップS7)。
【0029】
このような終話にするための操作入力が検出されると、電話装置1は、メモ生成手段174により、電話装置Bとの通話に関する伝言メモの作成動作を行わせる(ステップS8)。例えば、電話装置Bのユーザが通話したい相手が不在のときにその不在の相手にメモを残したい場合や電話装置1のユーザが電話装置Bとの会話の内容をメモしたい場合、本実施の形態に係る電話装置1では、当該メモ生成手段174により、容易に伝言メモを作成することができる。この伝言メモ作成動作は、後述する。
【0030】
また、終話にするための操作入力が検出されると、外線ネットワーク2側の交換局により、保留にされていた電話装置Aと電話装置1との通話パスが接続され、再び電話装置1と電話装置Aとの通話が実現される(ステップS9)。
【0031】
電話装置Aとの通話を終話にするために、ユーザにより電話装置1のフックが押下されるなど、電話装置Aとの通話を終話にする旨の操作入力が操作入力部12により検出されると、電話装置1は、その操作入力を外線ネットワーク2側に出力する。すると、外線ネットワーク2側の交換局により、電話装置1と電話装置Aとの通話パスが切断され、電話装置Aとの通話が終了する(ステップS10)。
【0032】
このような終話にするための操作入力が検出されると、電話装置1は、メモ生成手段174により、電話装置Aとの通話に関する伝言メモの作成動作を行わせる(ステップS11)。この伝言メモ作成動作は、上述したステップS8の処理と同等である。
【0033】
このように、本実施の形態によれば、通話相手との通話が終了すると、その通話に関する伝言メモが作成される。
【0034】
(伝言メモ作成動作)
次に、図3を参照して、本実施の形態に係る電話装置1による伝言メモ作成動作について説明する。
【0035】
まず、メモ生成手段174は、電話装置1のユーザに対して、伝言メモを作成するか否か選択させる(ステップS21)。例えば、メモ生成手段174は、表示部13により、図4に示すように伝言メモを印刷するか否かを選択させる表示を行わせる。この表示に対して、ユーザは、操作入力部12を操作することにより、伝言メモを印刷するか否かを選択する。
【0036】
操作入力部12により伝言メモを作成しない旨の操作入力が検出されると(ステップS21:NO)、メモ生成手段174は、伝言メモの作成動作を終了する。
【0037】
操作入力部12により伝言メモを作成する旨の操作入力が検出されると(ステップS21:NO)、メモ生成手段174は、電話装置1のユーザに対して、伝言メモに記載するチェック項目を選択させる(ステップS22)。このチェック項目とは、伝言メモを渡す相手への連絡事項や電話があった旨を示す内容などに関するものであり、例えば、「電話をかけてください」、「改めて電話します」、「伝言をお伝えします」、「電話があったことを伝えてください」などが挙げられる。このようなチェック項目は、フォーム情報164により予め設定される。チェック項目の選択は、表示部13により上述したようなチェック項目を表示させ、ユーザが操作入力部12を操作することにより、何れかまたは複数のチェック項目を選択することにより行われる。
【0038】
チェック項目が選択されると(ステップS22:YES)、メモ生成手段174は、記憶部16に記憶された発信者情報163を参照し、終話にした電話装置の電話番号を取得しているか否かを確認する(ステップS23)。
【0039】
電話番号を取得していない場合(ステップS23:NO)、メモ生成手段174は、フォーム情報164による伝言メモのひな形に基づいて、ステップS22により選択されたチェック項目と現在時刻を記載した伝言メモのデータを作成し、これを機器I/F部15を介してプリンタ3から出力させる。これにより、チェック項目と、現在時刻とが記載された伝言メモが印刷される。なお、現在時刻は、計時手段173により計測された値に基づいて記載される。
【0040】
一方、電話番号を取得している場合(ステップS23:YES)、メモ生成手段174は、電話帳情報162を参照して、終話にした電話装置の発信者名を確認する(ステップS24)。この確認は、電話帳情報162と発信者情報163とを比較し、この発信者情報163の電話番号に対応する発信者名が電話帳情報162に登録されているか否かを検出することにより行われる。
【0041】
発信者名が登録されていない場合(ステップS24:NO)、メモ生成手段174は、フォーム情報164による伝言メモのひな形に基づいて、発信者情報163より特定される電話番号と、ステップS22により選択されたチェック項目と、現在時刻とを記載した伝言メモのデータを作成し、これを機器I/F部15を介してプリンタ3から出力させる。これにより、電話番号と、チェック項目と、現在時刻とが記載された伝言メモが印刷される。
【0042】
発信者名が登録されている場合(ステップS24:YES)、メモ生成手段174は、フォーム情報164による伝言メモのひな形に基づいて、電話帳情報162に登録した発信と、ステップS22により選択されたチェック項目と、現在時刻とを記載した伝言メモのデータを作成し、これを機器I/F部15を介してプリンタ3から出力させる。これにより、発信者名と、チェック項目と、現在時刻とが記載された伝言メモが印刷される。なお、このとき、電話番号も伝言メモに印刷するようにしてもよい。
【0043】
上述したような伝言メモ作成動作により、例えば図5に示すような電話があった旨を示す伝言メモが印刷される。この図5に示す伝言メモにおいて、符号aは、終話にした時刻を表している。また、符号bは、発信者名を表しており、電話帳情報162に基づいて記載される。なお、発信者名が電話帳情報162に登録されていない場合には、発信者情報163に基づき、電話番号、非通知、公衆電話等を記載するようにしてもよい。符号cは、チェック項目を表しており、上記ステップS22で選択されたチェック項目に丸が付けられる。符号dは、電話番号を表しており、発信者情報163に基づいて記載される。
【0044】
このように、本実施の形態によれば、情報取得手段172により通話相手の発信者情報を取得し、メモ生成手段173により当該発信者情報を含む通話メモをプリンタに出力させることにより、発信者名や通話相手の電話番号という重要な情報が記載された伝言メモを作成することができる。この伝言メモは、音声認識技術等を必要としないで作成することが可能となるので、低コスト化を実現することができる。また、発信者名や電話番号のみならず、チェック項目や時刻についても記載することができるので、ユーザはより重要な情報を取得することができる。
【0045】
なお、本実施の形態では、電話装置1とは別にプリンタ3が設けられるようにしたが、プリンタ3は電話装置1に内蔵するようにしてもよい。
【0046】
また、本実施の形態において、着信時に外線ネットワーク2側から受信する発信者情報を伝言メモに記載するようにしたが、伝言メモに記載する発信者情報はこれに限定されず、適宜自由に設定することができる。例えば、電話装置1から電話装置Aに対して発信を行った際、電話装置1の操作入力部12が検出した電話装置Aのダイヤルを記憶部16の発信者情報163として記憶しておき、これを伝言メモに記載するようにしてもよい。これにより、外部から着信した場合のみならず、外部に対して発信した場合であっても、伝言メモを作成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、プリンタを備えた電話装置やプリンタに接続可能な電話装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の電話装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の電話装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の電話装置のメモ生成動作を示すフローチャートである。
【図4】伝言メモ生成動作における表示部の表示例を示す図である。
【図5】伝言メモの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1…電話装置、2…外線ネットワーク、3…プリンタ、11…外線I/F部、12…操作入力部、13…表示部、14…音声処理部、15…機器I/F部、16…記憶部、17…制御部、141…HS、161…制御情報、162…電話帳情報、163…発信者情報、164…フォーム情報、165…プログラム、171…呼制御手段、172…情報取得手段、173…計時手段、174…メモ生成手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通話相手の情報を取得する取得手段と、
前記情報をプリンタに出力する出力手段と
を有することを特徴とする電話装置。
【請求項2】
前記出力手段は、前記通話相手との通話の終了に応じて、前記通話相手の情報を出力する
ことを特徴とする請求項1記載の電話装置。
【請求項3】
前記通話相手との通話中に新たな通話相手から着信があると、この新たな通話相手に通話を切り替える呼制御手段
をさらに備え、
前記取得手段は、前記新たな通話相手の情報を取得し、
前記出力手段は、前記新たな通話相手との通話の終了に応じて、前記新たな通話相手の情報を出力する
ことを特徴とする請求項1または2記載の電話装置。
【請求項4】
前記出力手段は、前記ユーザにより選択されたメッセージとともに前記情報を出力する
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の電話装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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