説明

霧化装置及びそれを用いた霧化方法

【課題】超音波振動によって粘度の高い液体であってもサブミクロンオーダーのミストを生成することが可能な霧化装置及びそれを用いた霧化方法を提供する。
【解決手段】霧化装置は、上部が開放され,内部に液体1が満たされた液槽2と、この液槽2の内部に対向するように,かつ、液体1の液面1aと法線4a,4bとがそれぞれ所定の角度α、αをなすように傾斜した状態で配置される超音波発振子3a,3bと、この超音波発振子3a,3bを駆動する駆動手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体に超音波振動を与えて霧化させる装置とそれを用いた霧化方法に係り、特に、サブミクロンオーダーの液体微粒子(以下、ミストという。)を生成することが可能な霧化装置及びそれを用いた霧化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体の霧化技術は、医療用吸入器や加湿器あるいは液体燃料燃焼装置等に代表されるように様々な分野で用いられている。そして、液体を霧化する方法には、例えば、ノズル等を用いた圧力エネルギーによるもの、高速気流を利用するもの、高速で回転する物体に液体を供給して回転体周縁や表面から微粒化させるもの、超音波振動によるものなどがある。一般的に、粘度1mPa・secの水から生成されるミストの平均粒径は、ノズルによる方法では数10μmであり、超音波振動による方法では5μm程度である。通常、ノズルによる方法が最も安価であるため、ハンドリングの容易さにウェイトを置く場合などのように生成されるミストの粒径が比較的大きくても良い場合には、ノズルによる方法が用いられる。これに対し、粒径の小さなミストを必要とする場合には、構造が簡単な超音波振動による方法が用いられる。
このような超音波振動によって液体を霧化する技術について、近年、盛んに研究や開発がなされている。そして、それらに関して既にいくつかの発明や考案が開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、「液体霧化装置及び液体霧化方法」という名称で、被検体の所定の部位に投与される液体を無化する装置とその霧化方法に関する発明が開示されている。
特許文献1に開示された発明は、薬液保持部内の薬液に電圧を印加する電圧印加部と、尖端部に超音波振動を加える超音波発生部とを備えるものである。
このような構造によれば、液体に電圧を印加することで尖端部が形成され、この尖端部にさらに超音波振動を加えることによって液体が霧化されて微細な粒径を有するミストが安定して吐出されるという作用を有する。
【0004】
次に、特許文献2には、「超音波霧化器」という名称で、超音波振動子と多数の微細孔を有する噴霧メッシュを用いた医用噴霧装置に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示された発明は、小径部が設けられたステップ小型超音波ホーンを有する超音波振動子と、この超音波振動子の振動面と所定の間隔を持って対向するように配置され,超音波振動子とともに噴霧液層の一部を構成する噴霧メッシュと、噴霧液槽と、この噴霧液槽の上方に設けられた噴霧液補給用のボトルとを備えるものである。
このような構造によれば、超音波が照射された液体が噴霧メッシュの微細孔を通過する際に霧化されてミストとなって吐出されるという作用を有する。
【0005】
さらに、特許文献3には、「超音波霧化装置」という名称で、重力によって微粒子を選別して噴出させる霧化装置に関する発明が開示されている。
特許文献3に開示された発明は、霧化される液体が所定の液面まで注入された霧化容器と、発振器から発振出力が供給されるとともに,霧化容器の下部に装着される超音波振動子とが筐体の内部に設置され、筐体の側壁にファンが装着されるとともに、上端に傘状部材が装着されたパイプ部材が,霧化容器の上部の筐体にほぼ垂直に装着され、パイプ部材と傘状部材の間に噴出口が設けられた構造となっている。
このような構造によれば、霧化容器内の液体が超音波で霧化され、ファンからの送風によって液柱から千切れた後、パイプ部材の中を上昇する際に大きな径の粒子は落下し、小さな粒子のみが噴出口から噴出されるという作用を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−168223号公報
【特許文献2】特開平8−196965号公報
【特許文献3】特開平9−10643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
切削加工や研削加工においてミストを散布し、その気化熱の吸収によって冷却する、いわゆるミスト冷却では、冷却効果を高めるために、ミストとなる液体粒子をサブミクロンオーダーまで小さくして、その総表面積を大きくすることが求められている。また、切削加工では、冷却効果と同時に潤滑性を付与するためになるべく粘度の高い液体からミストを生成することが望ましい。しかしながら、超音波振動によって生成されるミストの粒径は、その粘性に依存する。すなわち、超音波振動による霧化方法では、液体の粘度が3mPa・sec以上になるとミストの生成が急激に困難となる。そして、上述の従来技術である特許文献1に開示された発明は、何らこのような課題に対処するものではないため、切削加工や研削加工における上述のミスト冷却には使用することができない。また、超音波発生部に加えて電圧印加部を必要とするため、構造が大型で複雑なものとなり、製造コストも高くなってしまうという課題があった。
【0008】
また、特許文献2に開示された発明においては、噴霧液の乾燥や不純物の混入により噴霧メッシュの孔が詰まってしまうという課題があった。なお、不純物等を詰まり難くするために、噴霧メッシュの孔を大きくすることもできるが、その場合にはミストの粒径が大きくなったり、ミストの生成量が減少したりするおそれがある。
【0009】
また、特許文献3に開示された発明は、噴出口から噴出される粒子の平均粒径は小さくなるものの、最小粒子径を従来技術の場合よりもさらに小さくする構造とはなっていないため、切削加工等のミスト冷却の用途には適さないという課題があった。また、パイプ部材を設ける必要があるため、装置が大型化するという課題があった。
【0010】
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたものであり、超音波振動によって粘度の高い液体であってもサブミクロンオーダーのミストを生成することが可能な霧化装置及びそれを用いた霧化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明である霧化装置は、上部に気層を有し,下部に液体が収容される液槽と、液体の内部にその液面に対して傾斜した状態で設置される複数の超音波発振手段と、この超音波発振手段を駆動する駆動手段とを備え、超音波発振手段は液面近傍の同一箇所に向けて超音波振動をそれぞれ放射可能に,かつ,液面を平面視した場合に同一箇所を中心として点対称をなすように配置され、駆動手段は超音波発振手段を互いに異なる周波数で振動させることを特徴とするものである。
このような構造の霧化装置においては、液中にキャビテーションが発生しない程度に高い周波数で超音波発振手段を振動させると、液面近傍の所定の箇所に噴水状態の液柱が生じ、この液柱の表面に発生したキャピラリ波(毛細表面波)の波頭から分裂した液滴が霧となって気体中に飛散してミストが生成されるという作用を有する。そして、異なる周波数の超音波振動が干渉し合うことにより液面に非定常的な振動が生じ、より高い周波成分を含んだキャピラリ波が発生する。
なお、本願における同一箇所とは、略同一箇所を含む概念であり、「点対称をなす」とは、「略点対称をなす」を含む概念である。
【0012】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の霧化装置において、超音波発振手段はその発振面の法線が液面に対して50〜60°の角度をなすように傾斜して設置されることを特徴とするものである。
このような構造の霧化装置においては、複数の超音波発振手段からそれぞれ放射される超音波振動同士が無駄なく干渉し合い、請求項1記載の発明の作用がより一層発揮される。
【0013】
請求項3記載の発明である霧化方法は、液面近傍の所定の箇所に向けて、その斜め下方にあって,液面を平面視した場合に所定の箇所を中心として点対称をなす複数の箇所から,異なる周波数の超音波振動をそれぞれ放射させることを特徴とするものである。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明を方法の発明としてとらえたものであり、請求項1記載の発明である霧化装置と同様の作用を有する。
なお、本願において所定の箇所とは、予め定められた任意の箇所を意味するものであり、「点対称をなす」とは、「略点対称をなす」を含む概念である。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の霧化方法において、液面を側面視した場合に、超音波振動が液面に対して50〜60°の角度をなすように放射されることを特徴とするものである。
このような霧化方法によれば、異なる周波数の超音波振動同士が無駄なく干渉し合うことから、請求項3記載の発明の作用がより一層発揮される。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明の請求項1記載の霧化装置においては、粘性の高い液体であってもサブミクロンオーダーのミストを生成することができる。また、装置の構造が簡単であるため、安価に製造することが可能である。
【0016】
本発明の請求項2記載の霧化装置においては、請求項1記載の発明よりもさらに粒径の小さなミストを生成することができる。
【0017】
本発明の請求項3記載の霧化方法によれば、請求項1記載の発明と同様の効果を奏する。
【0018】
本発明の請求項4記載の霧化方法によれば、請求項3記載の発明の効果をより一層発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る霧化装置の実施例の構成を模式的に示した図である。
【図2】超音波発振子の角度とミストの粒径との関係を示すグラフである。
【図3】ミストの粒径分布を示すヒストグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本実施例の霧化装置の構成について図1乃至図3を用いて具体的に説明する。
【実施例】
【0021】
図1は本発明の実施の形態に係る霧化装置の実施例の構成を模式的に示した図である。
図1に示すように、本実施例の霧化装置は、上部が開放され,内部に液体1が満たされた液槽2と、超音波発振手段として,この液槽2の内部に対向配置される超音波発振子3a,3bと、この超音波発振子3a,3bを駆動する駆動手段(図示せず)とを備えており、超音波発振子3a,3bは、その発振面を液体1の液面1aとそれぞれ所定の角度α、αをなすように傾斜した状態で、固定具(図示せず)を用いて液槽2に取り付けられている。そして、超音波発振子3a,3bは互いに異なる周波数で振動する。
なお、本願明細書において、上記角度α、αは、超音波発振子3a,3bの発振面の法線4a,4bが液体1の液面1aとなす角度のうち、鋭角の方を表すものとする。また、「超音波発振子3a,3bが対向配置される」とは、「互いの法線4a,4bが上方で交差するように超音波発振子3a,3bが配置される」ことを意味している。
【0022】
上記構造の霧化装置においては、キャビテーションが発生しない範囲で超音波発振子3a,3bを高い周波数で振動させ、液体1に超音波振動を放射させると、図1に示すような噴水状態の液柱5が生じる。そして、この液柱5にはキャピラリ波(毛細表面波)と呼ばれる細かな波が発生し、その波頭から分裂した液滴が霧となって気体中に飛散する。これにより、ミスト6が生成される。
なお、このとき生成されるミスト6の粒径は、液体1が水の場合には以下の式で表される。
【0023】
【数1】

【0024】
式(1)において、dはミストの平均粒径(m)、fは超音波発振子3a,3bによって液体1に放射される超音波の周波数(Hz)であり、γ及びρはそれぞれ液体1の表面張力(N/m)及び密度(kg/m)である。この式(1)は、周波数fが高いほど、生成されるミストの粒径dが小さくなることを示している。
【0025】
前述したように、本実施例の霧化装置は、超音波発振子3a,3bが互いに異なる周波数で振動する構成となっている。この場合、超音波発振子3a,3bから放射された超音波によって液面1aに非定常的な振動が生じ、液柱5の表面に高周波成分を含んだキャピラリ波が発生する。これにより、超音波発振子3a,3bを同一周波数で振動させた場合よりもさらに粒径dの小さいミスト6が生成される。
【0026】
次に、本実施例の霧化装置を用いてミストを生成し、その粒径を測定する実験を行った結果について図2を用いて説明する。なお、液体1を水とし、その液面1aより30mm程度の深さに超音波発振子3a,3bを設置して角度α、αが同一角度(45°、50°、55°、60°)になるように固定するとともに、4通りの周波数でそれぞれを振動させた。また、粒径の測定には、位相ドップラー式粒子測定装置(TSI社製2D−PDPA)を用いた。この装置は、ミストに向けてアルゴンレーザ光を照射し、回折現象や散乱現象によって生じた光を検出し、その光強度の角度依存性や時間的変動パターンを解析して粒径分布を推定するものである。従って、測定可能な最小粒径は、照射光であるアルゴンレーザの波長と同程度(0.5μm)となっている。
図2は超音波発振子3a,3bの角度α、αとミストの粒径との関係を示すグラフである。横軸は、超音波発振子3a,3bが液面1aとなす角度α、αであり、縦軸はザウタ平均粒径(μm)である。なお、ザウタ平均粒径SMD(Sauter’s mean diameter)は、粒子数をn、粒子直径をdとすると、次の式で表わされる。
【0027】
【数2】

【0028】
また、図2において、記号「□」及び記号「○」は超音波発振子3a,3bの一方のみをそれぞれ2.4MHz及び1.6MHzで振動させた場合の測定データであり、記号「◇」及び記号「△」は超音波発振子3a,3bをそれぞれ2.4MHz及び1.6MHzの同一周波数で振動させた場合の測定データであり、記号「*」は超音波発振子3a,3bをそれぞれ2.4MHz及び1.6MHzの異なる周波数で振動させた場合の測定データである。
図2に示すように、超音波発振子3a,3bの設定周波数が高いほど、生成されるミストの粒径が小さくなる傾向が認められた。そして、超音波発振子3a,3bを異なる周波数で振動させた場合には、生成されるミストの粒径はさらに小さくなる傾向が認められた。なお、超音波発振子3a,3bの一方のみを振動させた場合と、両方を振動させた場合とで、生成されるミストの粒径にほとんど差はないものの、前者よりも後者の方が生成されるミストの量は多かった。また、超音波発振子3a,3bが液面1aとなす角度を55°に設定した場合に、生成されるミストの粒径が最も小さい結果となった。
【0029】
超音波発振子3a,3bの発振面の法線4a,4bが液面1aとなす角度が90°に近い場合には、超音波発振子3a,3bによって生じる超音波振動の一部が互いに干渉せず、液中5の表面にキャピラリ波を発生させる作用が十分に発揮されないおそれがある。また、超音波発振子3a,3bの発振面の法線4a,4bが液面1aとなす角度が45°より小さいと、超音波発振子3a,3bによって生じる超音波振動を互いに打ち消し合う作用の方が勝って、上述のキャピラリ波が発生しなくなる。従って、超音波発振子3a,3bの発振面の法線4a,4bが液面1aとなす角度は少なくとも45°以上とし、可能であれば50〜60°に設定することが望ましい。この場合、超音波発振子3a,3bから放射される超音波振動同士が無駄なく干渉し合うため、粒径の小さなミストを生成するという作用が十分に発揮される。
【0030】
液面1aとなす角度を55°に設定し、超音波発振子3a,3bをそれぞれ2.4MHz及び1.6MHzの異なる周波数で振動させた場合に生成されるミストの粒径分布を測定した結果について説明する。
図3はミストの粒径分布を示すヒストグラムであり、横軸は個々の粒子の直径(μm)である。測定には、前述の位相ドップラー式粒子測定装置(TSI社製2D−PDPA)を用いた。なお、既に説明したように、本装置で測定可能な最小粒径が0.5μmであることから、図中左側のヒストグラムが直径0.5μmの部分で中断した状態となっている。
図3は、ミストの粒径分布がサブミクロンの範囲にまで及んでいることを示している。
【0031】
さらに、粘性の高い液体を霧化する実験を行った結果を表1に示す。なお、液体1として粘度の異なる3種類のアルギン酸水溶液を使用し、霧化の確認(ミストの発生の有無)は目視で行い、粒径の測定には位相ドップラー式粒子測定装置(TSI社製2D−PDPA)を用いた。また、角度α、αを4通り(45°、50°、55°、60°)に設定し、超音波発振子3a,3bの一方のみを1.6MHzと2.4MHzで振動させる場合及び超音波発振子3a,3bを1.6MHzと2.4MHzの異なる周波数でそれぞれ振動させる場合の3種類について実験を行った。
【0032】
【表1】

【0033】
表1に示すように、アルギン酸水溶液は、超音波発振子3a,3bの設定周波数が高いほど、高粘度まで霧化される傾向が認められた。また、超音波発振子3a,3bの発振面の法線4a,4bが液面1aとなす角度を55°に設定した場合又は超音波発振子3a,3bを1.6MHzと2.4MHzの異なる周波数で振動させた場合に、アルギン酸水溶液が高粘度まで霧化された。特に、超音波発振子3a,3bを1.6MHzと2.4MHzの異なる周波数で振動させた場合には、超音波発振子3a,3bの発振面の法線4a,4bが液面1aとなす角度が55°でなくとも、0.2wt%(粘度は約10mPa・sec)のアルギン酸水溶液の霧化が可能であった。
【0034】
以上説明したように、本実施例の霧化装置においては、粘度が3mPa・secを超えるような粘性の高い液体についてもサブミクロンオーダーのミストを生成することが可能である。また、構造が簡単であるため、安価に製造することができる。
【0035】
なお、本願発明の霧化装置は本実施例に限定されるものではない。例えば、超音波発振子3a,3bの液面1aに対する距離や角度α、αは個別に適宜変更可能である。また、超音波発振子は3個以上設置することもできる。この場合、液面1aを平面視して液面1aの近傍の所定の箇所と各超音波発振子とを結ぶ線分とのなす角度をそれぞれ120°とし、超音波発振子が4個の場合には、所定の箇所と各超音波発振子とを結ぶ線分がなす角度をそれぞれ90°とし、超音波発振子がn個の場合には上記角度が360°/nとなるように、すなわち、液面1aを平面視した場合に液面1aの近傍の所定の箇所を中心として点対称をなすように各超音波発振子を配置することが望ましい。ただし、これらの角度は厳密に120°や90°である必要はなく、それぞれ略120°及び略90°であっても良い。さらに、液体1の上部に気層を有していれば、液槽2の上部は開放されていなくとも良い。
また、本実施例の霧化装置によって実現される霧化方法は、方法の発明としてもとらえることができる。すなわち、液面を平面視した場合に液面近傍の所定の箇所を中心として点対称をなす液体内部の複数の箇所から、その所定の箇所に向けて斜め下方から一斉に、異なる周波数の超音波振動をそれぞれ放射させるのである。なお、この場合の「点対称をなす」とは、「略点対称をなす」を含む概念である。
さらに、上記の霧化方法において、液面を側面視した場合に、液面に対し50〜60°の角度をなすように各超音波振動を放射させた場合には、本実施例で説明した霧化装置と同様の作用及び効果が発揮される。
【産業上の利用可能性】
【0036】
請求項1乃至請求項4に記載された発明は、医療用の吸入器や加湿器、切削加工現場等で用いられるミスト冷却装置あるいは液体燃料燃焼装置等に適用可能である。
【符号の説明】
【0037】
1…液体 1a…液面 2…液槽 3a,3b…超音波発振子 4a,4b…法線 5…液柱 6…ミスト α、α…角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に気層を有し,下部に液体が収容される液槽と、
前記液体の内部にその液面に対して傾斜した状態で設置される複数の超音波発振手段と、
この超音波発振手段を駆動する駆動手段とを備え、
前記超音波発振手段は前記液面近傍の同一箇所に向けて超音波振動をそれぞれ放射可能に,かつ,前記液面を平面視した場合に前記同一箇所を中心として点対称をなすように配置され、
前記駆動手段は前記超音波発振手段を互いに異なる周波数で振動させることを特徴とする霧化装置。
【請求項2】
前記超音波発振手段はその発振面の法線が前記液面に対して50〜60°の角度をなすように傾斜して設置されることを特徴とする請求項1記載の霧化装置。
【請求項3】
液面近傍の所定の箇所に向けて、その斜め下方にあって,前記液面を平面視した場合に前記所定の箇所を中心として点対称をなす複数の箇所から,異なる周波数の超音波振動をそれぞれ放射させることを特徴とする霧化方法。
【請求項4】
前記液面を側面視した場合に、前記超音波振動が前記液面に対して50〜60°の角度をなすように放射されることを特徴とする請求項3記載の霧化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−194471(P2010−194471A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−43151(P2009−43151)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(509164164)地方独立行政法人山口県産業技術センター (22)
【出願人】(304020177)国立大学法人山口大学 (579)
【Fターム(参考)】