説明

露光方法及び露光装置

【課題】大型の無地の基板にパターンを精度良く且つ低コストで露光する。
【解決手段】基板を一定方向に移動しながら、前記基板上のパターン形成領域にフォトマスクを介して予め定められたパターンを順次露光する露光方法であって、前記基板上に前記パターンを露光する一方、基板移動方向と交差方向の前記パターン形成領域外にレーザ光を照射し、前記基板面に一定形状の傷を付けてアライメントマークを形成する段階と、前記基板移動方向後方位置で予め定められた基準位置に対する前記アライメントマークの基板移動方向と交差方向への位置ずれを検出する段階と、前記位置ずれを補正するように前記基板及び前記フォトマスクを相対移動する段階と、前記パターンの後続位置に次のパターンを露光する段階と、を実行するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無地の基板を一定方向に移動しながらパターンを順次露光する露光方法及び露光装置に関し、詳しくは、大型の無地の基板にパターンを精度良く且つ低コストで露光しようとする露光方法及び露光装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の露光方法は、露光位置の基準となる基準パターンを予め形成した基準基板上に無地の被露光体を重ね合わせて両者を一緒に搬送しながら、被露光体の上下いずれか一方の側から撮像手段により上記基準パターンを撮像して該基準パターンに予め設定された基準位置を検出し、該基準位置を基準にして基板搬送方向と直交方向に走査する光ビームの照射開始又は照射停止の制御を行って無地の被露光体上にパターンを順次形成するようになっていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−316167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような従来の露光方法においては、基準パターンを予め形成した基準基板を準備する必要があり、この基準基板を形成する手間がかかり、露光工程のコストが高くなるおそれがあった。
【0005】
また、被露光体が大型である場合には、該大型の被露光体に合わせて基準基板も大型化し、結果的に大型の無地の基板に基準パターンを形成するために大型のマスクや大型の露光装置が必要となって基準基板が高価なものとなるおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、このような問題点に対処し、大型の無地の基板にパターンを精度良く且つ低コストで露光しようとする露光方法及び露光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明による露光方法は、基板を一定方向に移動しながら、前記基板上のパターン形成領域にフォトマスクを介して予め定められたパターンを順次露光する露光方法であって、前記基板上に前記パターンを露光する一方、基板移動方向と交差方向の前記パターン形成領域外にレーザ光を照射し、前記基板面に一定形状の傷を付けてアライメントマークを形成する段階と、前記基板移動方向後方位置で予め定められた基準位置に対する前記アライメントマークの基板移動方向と交差方向への位置ずれを検出する段階と、前記位置ずれを補正するように前記基板及び前記フォトマスクを相対移動する段階と、前記パターンの後続位置に次のパターンを露光する段階と、を実行するものである。
【0008】
このような構成により、基板を一定方向に移動しながら、フォトマスクを介して基板上のパターン形成領域にパターンを露光する一方、基板移動方向と交差方向の前記パターン形成領域外にレーザ光を照射し、基板面に一定形状の傷を付けてアライメントマークを形成し、基板移動方向後方位置で予め定められた基準位置に対するアライメントマークの基板移動方向と交差方向への位置ずれを検出し、該位置ずれを補正するように基板及びフォトマスクを相対移動し、上記パターンの後続位置に次のパターンを露光する。
【0009】
また、前記フォトマスクは、前記基板移動方向と交差方向のマスクパターン領域外に、前記レーザ光を通過させて前記基板上に前記アライメントマークを形成させる開口窓を形成し、該開口窓の前記基板移動方向後方位置に前記アライメントマークを検出するためのアライメント用窓を形成したものである。これにより、フォトマスクの基板移動方向と交差方向のマスクパターン領域外に形成した開口窓を通してレーザ光を基板上に照射させてアライメントマークを形成し、上記開口窓の基板移動方向後方位置に形成したアライメント用窓を通してアライメントマークを検出する。
【0010】
さらに、前記フォトマスクは、前記基板移動方向と交差方向のマスクパターン領域外にて露光用レーザ光の照射領域内に開口窓を形成し、該開口窓に集光レンズを備え、前記露光用レーザ光により露光すると同時に該レーザ光を前記フォトマスクの集光レンズを通して前記基板に照射して前記アライメントマークを形成するものである。これにより、基板移動方向と交差方向のマスクパターン領域外にて露光用レーザ光の照射領域内に形成したフォトマスクの開口窓に設けた集光レンズで露光用レーザ光を基板上に集光し、アライメントマークを形成する。
【0011】
さらにまた、前記フォトマスクは、前記基板移動方向と交差方向に複数の単位マスクを互い違いに配列したものであり、前記アライメントマークの位置ずれ補正段階において、前記各単位マスクの隣接端部に形成したマスク間アライメントマークを検出して各単位マスクの配列ピッチが一定値となるように各単位マスクの位置調整をするものである。これにより、基板移動方向と交差方向に互い違いに配列した複数の単位マスクの隣接端部に形成したマスク間アライメントマークを検出し、各単位マスクの配列ピッチが一定値となるように各単位マスクの位置を調整しながら露光する。
【0012】
また、本発明による露光装置は、基板を一定方向に移動しながら、前記基板上のパターン形成領域にフォトマスクを介して予め定められたパターンを順次露光する露光装置であって、前記基板上にフォトマスクを介して光源光を照射して露光させる露光用光源と、前記基板にレーザ光を照射して基板移動方向と交差方向の前記パターン形成領域外の基板面に一定形状の傷を付けてアライメントマークを形成するレーザ光源と、前記基板移動方向後方位置で予め定められた基準位置に対する前記アライメントマークの基板移動方向と交差方向への位置ずれを検出し、該位置ずれを補正するように前記基板及び前記フォトマスクを相対移動して露光の位置ずれを補正するアライメント手段と、を備えたものである。
【0013】
このような構成により、基板を一定方向に移動しながら、該基板上に露光用光源からフォトマスクを介して光源光を照射して上記基板上のパターン形成領域にパターンを露光する一方、レーザ光源から基板にレーザ光を照射して基板移動方向と交差方向の上記パターン形成領域外の基板面に一定形状の傷を付けてアライメントマークを形成し、アライメント手段により基板移動方向後方位置で予め定められた基準位置に対する上記アライメントマークの基板移動方向と交差方向への位置ずれを検出し、該位置ずれを補正するように基板及びフォトマスクを相対移動して露光の位置ずれを補正し、上記パターンの後続位置に次のパターンを露光する。
【0014】
さらに、前記フォトマスクは、前記基板移動方向と交差方向のマスクパターン領域外に、前記レーザ光を通過させて前記基板上に前記アライメントマークを形成させる開口窓を形成し、該開口窓の前記基板移動方向後方位置に前記アライメントマークを検出するためのアライメント用窓を形成したものである。これにより、フォトマスクの基板移動方向と交差方向のマスクパターン領域外に形成した開口窓を通してレーザ光を基板上に照射させてアライメントマークを形成し、上記開口窓の基板移動方向後方位置に形成したアライメント用窓を通してアライメントマークを検出する。
【0015】
さらにまた、前記フォトマスクは、前記基板移動方向と交差方向のマスクパターン領域外にて露光用レーザ光の照射領域内に開口窓を形成し、該開口窓に集光レンズを備え、前記露光用光源とレーザ光源とは、同じ波長のレーザ光を放射する一つのパルスレーザ光源であり、前記パルスレーザ光源から放射されるレーザ光により露光すると同時に該レーザ光を前記フォトマスクの集光レンズを通して前記基板に照射し、前記アライメントマークを形成する。これにより、基板移動方向と交差方向のマスクパターン領域外にて露光用レーザ光の照射領域内に形成したフォトマスクの開口窓に設けた集光レンズで露光用レーザ光を基板上に集光し、アライメントマークを形成する。
【0016】
そして、前記フォトマスクは、前記基板移動方向と交差方向に複数の単位マスクを互い違いに配列したものであり、前記各単位マスクの隣接端部に形成したマスク間アライメントマークを検出して各単位マスクの配列ピッチが一定値となるように各単位マスクの位置調整をする単位マスクアライメント手段をさらに備えたものである。これにより、基板移動方向と交差方向に互い違いに配列した複数の単位マスクの隣接端部に形成したマスク間アライメントマークを単位マスクアライメント手段により検出して、各単位マスクの配列ピッチが一定値となるように各単位マスクの位置を調整する。
【発明の効果】
【0017】
請求項1又は請求項5に係る発明によれば、フォトマスクを介して露光する一方、基板移動方向と交差方向のパターン形成領域外に形成されたアライメントマークを基準に露光位置の調整をして次の露光を実行しているので、基板が無地であっても露光パターンを位置精度よく順次接続して行くことができる。また、従来技術のような基準パターンを予め形成した基準基板を準備する必要がないので、大型の無地の基板であってもパターンを精度良く且つ低コストで露光することができる。
【0018】
また、請求項2又は6に係る発明によれば、一つ前に露光された露光パターンとフォトマスクのマスクパターンとの位置合わせをより高精度に行なうことができ、各露光パターンの接続精度をより向上することができる。
【0019】
さらに、請求項3又は7に係る発明によれば、集光レンズを設けることによって基板上に照射する光のエネルギー密度を増すことができる。したがって、露光用光源としてレーザ光源を使用すれば、露光用レーザ光の一部を基板上に集光してアライメントマークの形成に使用することができる。これにより、光源を露光用レーザ光源の一つにすることができ、装置を簡素化することができる。
【0020】
そして、請求項4又は8に係る発明によれば、形状の小さい複数の単位マスクを使用して大型の基板に露光することができる。したがって、フォトマスクの製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による露光装置の第1の実施形態を示す正面図である。
【図2】上記第1の実施形態に使用するフォトマスクを示す平面図である。
【図3】制御手段の概略構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の露光方法を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の露光方法による露光を示す説明図である。
【図6】本発明による露光装置の第2の実施形態を示す図であり、フォトマスクの一構成例を示した平面図である。
【図7】開口窓及びアライメント用窓をマスクステージに設けた例を示す平面図であり、(a)は露光用光の照射領域内に上記開口窓を設けた例であり、(b)は露光用光の照射領域外に上記開口窓を設けた例である。
【図8】図7のマスクステージを使用した露光を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明による露光装置の第1の実施形態を示す正面図である。この露光装置は、無地の基板としてのフィルム1を一定方向に移動しながらパターンを順次露光するもので、供給リール2と、巻取りリール3と、レーザ光源4と、フォトマスク5と、アライメント手段6と、制御手段7とを備えて構成されている。
【0023】
上記供給リール2は、例えば長尺のフィルム1を巻き上げたものであり、供給側回転軸8に回転可能に保持されている。また、供給側回転軸8には、回転を規制する図示省略のブレーキが取り付けられており、フィルム1に一定の張力を付与すべくバックテンションがかかるようになっている。
【0024】
上記供給側回転軸8と水平方向に所定距離だけ離れて平行に設けられた巻取り側回転軸9には、巻取りリール3が回転可能に保持されている。この巻取りリール3は、供給リール2から供給されるフィルム1を巻き取るものであり、巻取り側回転軸9に回転軸を連結して備えた巻取りモータ10によって回転するようになっている。
【0025】
また、上記供給リール2と巻取りリール3との間には、一対のガイドポール11が設けられており、フィルム1を水平に支持できるようになっている。
【0026】
上記一対のガイドポール11間に水平に掛け渡されたフィルム1の上方には、レーザ光源4が設けられている。このレーザ光源4は、波長が約355nmの露光用のレーザ光Lを放射するパルスレーザ光源である。そして、レーザ光源4のレーザ光Lの進行方向下流側には、カップリング光学部材12が配置されており、レーザ光Lの光束径を拡大すると共に強度分布を均一化した後、平行光を後述のフォトマスク5に照射できるようになっている。なお、レーザ光源4に替えて波長が313nmの水銀ランプやキセノンフラッシュランプを使用してもよいが、以下の説明においては露光用光源がレーザ光源4である場合について述べる。
【0027】
上記レーザ光源4の光軸上には、一対のガイドポール11間に水平に掛け渡されたフィルム1に近接対向してフォトマスク5が設けられている。このフォトマスク5は、図2に示すように、フィルム1上に形成される露光パターンの原版となるもので、略中央部に露光パターンに対応したマスクパターンの開口を形成したマスクパターン領域13を備え、図1において矢印Xで示すフィルム1の移動方向(以下「X方向」という)と交差方向(以下「Y方向」という)に平行なマスクパターン領域13の中心線上にて該マスクパターン領域13外で且つ上記露光用レーザ光Lの照射領域14内に開口窓15を形成し、該開口窓15に集光レンズ16を設けてレーザ光Lをフィルム1上に集光し、フィルム1上に一定形状の傷を付けてアライメントマーク17(図5参照)を形成できるようになっている。また、上記開口窓15のX方向後方には、開口窓15の中心から距離Dだけ離れてアライメント用窓18を形成している。この場合、開口窓15とアライメント用窓18の間隔Dは、マスクパターン領域13のX方向の幅W以下(D≦W)に設定される。これにより、露光パターンをX方向に連続して繋げて形成することができる。そして、フォトマスク5は、Y方向に移動可能に形成されたマスクステージ19によって保持されている。
【0028】
上記フォトマスク5とフィルム1とをY方向に相対移動可能にアライメント手段6が設けられている。このアライメント手段6は、露光の位置ずれを補正するためのものであり、撮像手段20と、マスクステージ駆動手段21とを備えている。なお、図1において符号29は、平面反射ミラーである。
【0029】
上記撮像手段20は、フィルム1上に形成された上記アライメントマーク17を撮像するもので、CCDカメラであり、フォトマスク5のアライメント用窓18の中心に視野中心を合致させて配設されている。また、上記マスクステージ駆動手段21は、マスクステージ19をY方向に移動させるものであり、ステッピングモータとギアとを組み合わせて構成したものや、電磁アクチュエータや、リニアモータ等である。
【0030】
上記巻取りモータ10、レーザ光源4、撮像手段20、及びマスクステージ駆動手段21に電気的に結線して制御手段7が設けられている。この制御手段7は、フィルム1の移動誤差による上記アライメントマーク17のY方向への位置ずれ量を算出し、これを補正するように上記フォトマスク5を移動させるものであり、図3に示すように画像処理部22と、演算部23と、メモリ24と、モータ駆動制御部25と、光源駆動部26と、マスクステージ駆動制御部27と、制御部28とを備えている。
【0031】
上記画像処理部22は、撮像手段20で撮像されたアライメントマーク17の画像を処理し、例えばアライメントマーク17の中心位置を検出するものである。また、上記演算部23は、アライメント用窓18の中心(基準位置)とアライメントマーク17の中心との間の位置ずれ量を演算するものである。さらに、上記メモリ24は、上記アライメントマーク17の中心位置や上記演算結果等を記憶するものである。また、上記モータ駆動制御部25は、モータの回転速度や駆動及び停止の制御をするものである。さらに、上記光源駆動部26は、レーザ光源4のパワー、発振周波数、点灯及び消灯の制御をするものである。さらにまた、上記マスクステージ駆動制御部27は、マスクステージ駆動手段21の駆動を制御してマスクステージ19の移動方向及び移動量を制御するものである。そして、上記制御部28は、装置全体が適切に駆動するように上記各要素の駆動を制御するものである。
【0032】
次に、このように構成された露光装置の動作及び該露光装置を使用して行う露光方法について、図4を参照して説明する。
先ず、供給リール2から表面に感光材を塗布したフィルム1を引き出して一対のガイドポール11に水平に掛け渡した後、先端部を巻取りリール3の軸に固定する。
この状態で、ステップS1においては、モータ駆動制御部25により巻取りモータ10を駆動してフィルム1をX方向に一定速度で巻き取る。
【0033】
次に、ステップS2においては、光源駆動部26を駆動してレーザ光源4を一定時間だけ点灯させ、フォトマスク5に露光用レーザ光Lを照射する。この露光用レーザ光Lは、フォトマスク5のマスクパターンの開口を通過してフィルム1上に照射し、フィルム1上に上記マスクパターンに対応したパターンを露光する。同時に、上記露光用レーザ光Lの一部は、フォトマスク5の開口窓15を通過した後、集光レンズ16によりフィルム1上に集光され、フィルム1上に一定形状の傷を付けてアライメントマーク17を形成する。
【0034】
ステップS3においては、フィルム1が距離Dだけ移動してフィルム1上に形成された上記アライメントマーク17がフォトマスク5のアライメント用窓18の真下に達すると、該アライメント用窓18を通して撮像手段20により上記アライメントマーク17が撮像される。この撮像画像は、画像処理部22において画像処理され、アライメントマーク17の中心位置が検出される。そして、演算部23においては、アライメント用窓18の中心(基準位置)に対するアライメントマーク17の中心のY方向の位置ずれ量が演算される。
【0035】
ステップS4においては、マスクステージ駆動制御部27によりマスクステージ駆動手段21を駆動してマスクステージ19の移動方向及び移動量を制御し、上記位置ずれ量が略ゼロとなるようにフォトマスク5をY方向に移動する。
【0036】
ステップS5においては、フィルム1に対する全ての露光が終了したか否かが判定される。ここで、“NO”判定の場合には、ステップS2に戻って次の露光が実行され、同時にアライメントマーク17が形成される。そして、ステップS5において、“YES”判定となるまでステップS2〜S5が実行される。これにより、フィルム1上には、図5に示すように、パターン30がX方向に連続的に繋がって露光されることになる。
【0037】
なお、上記第1の実施形態においては、フィルム1を連続的に移動しながら露光する場合について説明したが、フィルム1が距離Dだけ移動する毎にフィルム1を一端停止させ、この停止状態で位置ずれ補正及び露光をするというステップ露光を実施してもよい。これにより、パターン30をフィルム1の移動方向により精度良く繋ぐことができる。
【0038】
また、上記第1の実施形態においては、開口窓15、集光レンズ16及びアライメント用窓18をフォトマスク5の両端部に設けた場合について説明したが、一方の端部側にだけ設けてもよい。また、開口窓15及び集光レンズ16は、マスクパターン領域13のY方向の外側部分であれば、Y方向に平行なマスクパターン領域13の中心線上以外のいかなる位置に設けられてもよい。
【0039】
さらに、上記第1の実施形態においては、1枚のフォトマスク5により露光する場合について説明したが、X方向に先後して複数枚のフォトマスク5を配置し、先頭側のフォトマスク5による露光パターン間を後続のフォトマスク5により補完して露光するようにしてもよい。
【0040】
そして、上記第1の実施形態においては、フォトマスク5をY方向に移動して露光の位置ずれ補正をする場合について説明したが、フィルム1側をY方向に移動してもよく、両者を移動してもよい。
【0041】
次に、本発明による露光装置の第2の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態と異なる部分について説明する。
この第2の実施形態においては、フォトマスク5がY方向に複数の単位マスクをX方向に見て隣接端部が重なるように互い違いに一定間隔で配列したものであり、上記各単位マスクの隣接端部に形成したマスク間アライメントマークを検出して各単位マスクの配列ピッチが一定値となるように各単位マスクの位置調整をする単位マスクアライメント手段をさらに備えたものである。
【0042】
具体的には、上記フォトマスク5は、図6に示すように最側端部の単位マスク31sの外寄り端部に上記開口窓15、集光レンズ16及びアライメント用窓18を設け、中央寄り端部にマスク間アライメントマーク32(同図中△で示す)を形成し、2番目以降偶数番目に配列された各単位マスク31eの同図において上側端部に上記マスク間アライメントマーク32に対応してマスク間アライメント用窓33を形成した窓用部材34を予め定められた位置に位置決めして接合し、下側端部に上記と同じマスク間アライメントマーク32を形成し、3番目以降奇数番目に配列された各単位マスク31oの同図において上側端部に上記偶数番目の単位マスク31eに形成されたマスク間アライメントマーク32に対応してマスク間アライメント用窓33を形成した窓用部材34を予め定められた位置に位置決めして接合し、下側端部に上記と同じマスク間アライメントマーク32を形成し、対応するマスク間アライメントマーク32とマスク間アライメント用窓33とが上下に重なるように各単位マスク31s,31e,31oを配列したものである。この場合、各単位マスク31s,31e,31oに対応して複数のレーザ光源4が設けられることになる。
【0043】
また、各単位マスク31s,31e,31oは、夫々個別の単位マスクステージ(図示省略)によってY方向に移動可能に保持されている。さらに、上記各窓用部材34の上方には、夫々、マスク間アライメントマーク32を撮像するカメラが設けられている。そして、上記単位マスクステージとカメラとにより単位マスクアライメント手段を構成している。
【0044】
このように構成したことにより、上記第2の実施形態においては、第1の実施形態と同様に、最側端部の単位マスク31sに形成した開口窓15及び集光レンズ16を通して露光用レーザ光Lをフィルム1上に集光し、フィルム1上にアライメントマーク17を形成し、アライメント用窓18を通してアライメントマーク17のY方向への位置ずれ量を検出した後、最側端部の単位マスク31sをY方向に移動して上記位置ずれ量を補正する。このとき、上記カメラにより撮像して、マスク間アライメントマーク32の中心が各マスク間アライメント用窓33の中心に合致するように2番目以降の各単位マスク31e,31oをY方向に移動し、各単位マスク31s,31e,31oの配列ピッチを一定値に維持する。
【0045】
このように第2の実施形態によれば、大きさの小さい単位マスク31s,31e,31oをY方向に複数配列することにより、幅広の無地のフィルム1に対してもパターンを位置精度よく露光することができる。
【0046】
また、図6に示すように、2つのマスク間アライメントマーク32及びマスク間アライメント用窓33をY方向に並べて設ければ、2つのマスク間アライメントマーク32のX方向への位置ずれ量の差から単位マスク31s,31e,31oのX方向に対する傾き角θを計測することができ、単位マスク31s,31e,31oの傾き補正も行なうことができる。これにより、露光パターンの位置精度をより向上することができる。この場合、単位マスク31sの単位マスクステージには、傾き補正の機能が備わっていなくてもよい。
【0047】
さらに、各単位マスク31の隣接端部の重なり量を予め大きくしておき、マスク間アライメントマーク32のY方向への移動量を計測可能にしておけば、配列の中央に位置する単位マスク31を中心に各単位マスク31をY方向に夫々一定量だけ移動して露光領域の幅を広げることができる。
【0048】
なお、上記第1及び第2の実施形態においては、露光用のレーザ光源4から放射されるレーザ光Lをフィルム1上に集光してアライメントマーク17を形成する場合について説明したが、本発明はこれに限られず、アライメントマーク専用のレーザ光源を別に設けてもよい。この場合は、フォトマスク5の開口窓15に集光レンズ16を設ける必要は無く、また露光用光源としては、レーザ光源に限られず水銀ランプやキセノンランプ等であってもよい。また、露光用レーザ光源4とアライメントマーク専用のレーザ光源とは、放射するレーザ光の波長が異なってもよい。
【0049】
さらに、上記第1及び第2の実施形態においては、フォトマスク5にアライメント用窓18を設け、また単位マスク31s,31e,31oにマスク間アライメント用窓33を設けた場合について説明したが、本発明はこれに限られず、アライメント用窓に替えてアライメントマークを設けてもよい。
【0050】
さらにまた、上記第1及び第2の実施形態においては、開口窓15、集光レンズ16及びアライメント用窓16をフォトマスク5に設けた場合について説明したが、本発明はこれに限られず、図7に示すようにフォトマスク5を位置決めして保持するマスクステージ19側に設けてもよい。この場合、開口窓15は、同図(a)に示すように露光用レーザ光Lの照射領域14内、又は同図(b)に示すように照射領域14外のいずれに設けられてもよい。開口窓15を露光用レーザ光Lの照射領域14内に設けたときには、開口窓15に集光レンズ16を設けてアライメントマーク17の形成を露光用レーザ光源4で兼用することができる(同図(a)参照)。また、開口窓15を露光用レーザ光Lの照射領域14外に設けたときには、アライメントマーク17形成用の専用のレーザ光源を備えるとよい。この場合、集光レンズ16は無くてもよい(同図(b)参照)。
【0051】
図7に示すマスクステージ19を使用した露光は、図8に示すように、フィルム1上にフォトマスク5のマスクパターンを通してパターン30を露光する一方、Y方向のパターン形成領域外にマスクステージ19の開口窓15を通してレーザ光を照射し、フィルム1の面上に一定形状の傷を付けてアライメントマーク17を形成し、X方向後方位置で予め定められた基準位置(例えばアライメント用窓18の中心位置)に対するアライメントマーク17のY方向への位置ずれを検出し、この位置ずれを補正するようにマスクステージ19をフォトマスク5と一体的にY方向に移動し、一つ前に露光されたパターン30に接続して次のパターン30を露光する。これを繰り返し実行することにより、パターン30を位置精度よく接続して露光することができる。
【0052】
そして、以上の説明においては、基板がフィルム1である場合について述べたが、本発明はこれに限られず、基板は板状の部材やプリント基板等であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…フィルム(基板)
4…レーザ光源(露光用光源)
5…フォトマスク
6…アライメント手段
13…マスクパターン領域
14…露光用レーザ光の照射領域
15…開口窓
16…集光レンズ
17…アライメントマーク
18…アライメント用窓
30…露光パターン
31,31s,31e,31o…単位マスク
32…マスク間アライメントマーク
L…レーザ光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を一定方向に移動しながら、前記基板上のパターン形成領域にフォトマスクを介して予め定められたパターンを順次露光する露光方法であって、
前記基板上に前記パターンを露光する一方、基板移動方向と交差方向の前記パターン形成領域外にレーザ光を照射し、前記基板面に一定形状の傷を付けてアライメントマークを形成する段階と、
前記基板移動方向後方位置で予め定められた基準位置に対する前記アライメントマークの基板移動方向と交差方向への位置ずれを検出する段階と、
前記位置ずれを補正するように前記基板及び前記フォトマスクを相対移動する段階と、
前記パターンの後続位置に次のパターンを露光する段階と、
を実行することを特徴とする露光方法。
【請求項2】
前記フォトマスクは、前記基板移動方向と交差方向のマスクパターン領域外に、前記レーザ光を通過させて前記基板上に前記アライメントマークを形成させる開口窓を形成し、該開口窓の前記基板移動方向後方位置に前記アライメントマークを検出するためのアライメント用窓を形成したことを特徴とする請求項1記載の露光方法。
【請求項3】
前記フォトマスクは、前記基板移動方向と交差方向のマスクパターン領域外にて露光用レーザ光の照射領域内に開口窓を形成し、該開口窓に集光レンズを備え、
前記露光用レーザ光により露光すると同時に該レーザ光を前記フォトマスクの集光レンズを通して前記基板に照射して前記アライメントマークを形成することを特徴とする請求項1記載の露光方法。
【請求項4】
前記フォトマスクは、前記基板移動方向と交差方向に複数の単位マスクを互い違いに配列したものであり、
前記アライメントマークの位置ずれ補正段階において、前記各単位マスクの隣接端部に形成したマスク間アライメントマークを検出して各単位マスクの配列ピッチが一定値となるように各単位マスクの位置調整をすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の露光方法。
【請求項5】
基板を一定方向に移動しながら、前記基板上のパターン形成領域にフォトマスクを介して予め定められたパターンを順次露光する露光装置であって、
前記基板上にフォトマスクを介して光源光を照射して露光させる露光用光源と、
前記基板にレーザ光を照射して基板移動方向と交差方向の前記パターン形成領域外の基板面に一定形状の傷を付けてアライメントマークを形成するレーザ光源と、
前記基板移動方向後方位置で予め定められた基準位置に対する前記アライメントマークの基板移動方向と交差方向への位置ずれを検出し、該位置ずれを補正するように前記基板及び前記フォトマスクを相対移動して露光の位置ずれを補正するアライメント手段と、
を備えたことを特徴とする露光装置。
【請求項6】
前記フォトマスクは、前記基板移動方向と交差方向のマスクパターン領域外に、前記レーザ光を通過させて前記基板上に前記アライメントマークを形成させる開口窓を形成し、該開口窓の前記基板移動方向後方位置に前記アライメントマークを検出するためのアライメント用窓を形成したことを特徴とする請求項5記載の露光装置。
【請求項7】
前記フォトマスクは、前記基板移動方向と交差方向のマスクパターン領域外にて露光用レーザ光の照射領域内に開口窓を形成し、該開口窓に集光レンズを備え、
前記露光用光源とレーザ光源とは、同じ波長のレーザ光を放射する一つのパルスレーザ光源であり、
前記パルスレーザ光源から放射されるレーザ光により露光すると同時に該レーザ光を前記フォトマスクの集光レンズを通して前記基板に照射し、前記アライメントマークを形成することを特徴とする請求項5記載の露光装置。
【請求項8】
前記フォトマスクは、前記基板移動方向と交差方向に複数の単位マスクを互い違いに配列したものであり、
前記各単位マスクの隣接端部に形成したマスク間アライメントマークを検出して各単位マスクの配列ピッチが一定値となるように各単位マスクの位置調整をする単位マスクアライメント手段をさらに備えたことを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の露光方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−221241(P2011−221241A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89608(P2010−89608)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(500171707)株式会社ブイ・テクノロジー (283)
【Fターム(参考)】