説明

露光装置、液体保持方法、デバイス製造方法、プログラム、及び記録媒体

【課題】露光不良の発生を抑制できる露光装置を提供する。
【解決手段】露光装置は、液体を介して露光光で基板を露光する。露光装置は、露光光が射出される射出面を有し、物体と射出面との間に液体が保持される第1空間を形成する光学部材と、光学部材の周囲の少なくとも一部に配置され、射出面の周囲に配置される光学部材の第1面との間で第1空間の液体の少なくとも一部が流入可能な第2空間を形成する第2面を有する液浸部材と、第2空間の圧力変動を抑制するバッファ装置と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置、液体保持方法、デバイス製造方法、プログラム、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス、電子デバイス等のマイクロデバイスの製造工程において、例えば下記特許文献に開示されているような、液体を介して光学部材からの露光光で基板を露光する液浸露光装置が使用される。
【0003】
【特許文献1】米国特許公開第2006/0139614号明細書
【特許文献2】米国特許第7199858号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液浸露光装置において、例えば液体が光学部材に不測の力を及ぼす可能性がある。その結果、露光不良が発生し、不良デバイスが発生する可能性がある。
【0005】
本発明の態様は、露光不良の発生を抑制できる露光装置、及び液体保持方法を提供することを目的とする。また本発明の態様は、不良デバイスの発生を抑制できるデバイス製造方法、プログラム、及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に従えば、液体を介して露光光で基板を露光する露光装置であって、露光光が射出される射出面を有し、物体と射出面との間に液体が保持される第1空間を形成する光学部材と、光学部材の周囲の少なくとも一部に配置され、射出面の周囲に配置される光学部材の第1面との間で第1空間の液体の少なくとも一部が流入可能な第2空間を形成する第2面を有する液浸部材と、第2空間の圧力変動を抑制するバッファ装置と、を備える露光装置が提供される。
【0007】
本発明の第2の態様に従えば、液体を介して露光光で基板を露光する露光装置であって、露光光が射出される射出面を有し、物体と射出面との間に液体が保持される第1空間を形成する光学部材と、光学部材の周囲の少なくとも一部に配置され、射出面の周囲に配置される光学部材の第1面との間で第1空間の液体の少なくとも一部が流入可能な第2空間を形成する第2面を有する液浸部材と、少なくとも一部が第1面と第2面との間に配置され、第2空間の液体の少なくとも一部を回収する第1回収口を有する回収部材と、を備える露光装置が提供される。
【0008】
本発明の第3の態様に従えば、第1及び第2のいずれか一方の態様の露光装置を用いて基板を露光することと、露光された基板を現像することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
【0009】
本発明の第4の態様に従えば、露光光が射出される光学部材の射出面と物体との間の第1空間に液体を保持する液体保持方法であって、射出面の周囲に配置される光学部材の第1面と光学部材の周囲の少なくとも一部に配置される液浸部材の第2面との間に形成され、第1空間の液体の少なくとも一部が流入可能な第2空間の圧力変動を抑制することを含む液体保持方法が提供される。
【0010】
本発明の第5の態様に従えば、露光光が射出される光学部材の射出面と物体との間の第1空間に液体を保持する液体保持方法であって、射出面の周囲に配置される光学部材の第1面と光学部材の周囲の少なくとも一部に配置される液浸部材の第2面との間に形成され、第1空間の液体の少なくとも一部が流入可能な第2空間に面するように配置された回収部材の回収口から、第2空間の液体の少なくとも一部を回収して、第2空間における液体の表面の位置を調整することを含む液体保持方法が提供される。
【0011】
本発明の第6の態様に従えば、第4及び第5のいずれか一方の態様の液体保持方法で第1空間に液体を保持することと、第1空間の液体を介して射出面からの露光光で基板を露光することと、露光された基板を現像することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
【0012】
本発明の第7の態様に従えば、コンピュータに、露光光が射出される光学部材の射出面と基板との間の第1空間に保持された液体を介して射出面からの露光光で基板を露光する露光装置の制御を実行させるプログラムであって、射出面の周囲に配置される光学部材の第1面と光学部材の周囲の少なくとも一部に配置される液浸部材の第2面との間に形成され、第1空間の液体の少なくとも一部が流入可能な第2空間の圧力変動を抑制することと、第1空間の液体を介して基板を露光することと、を実行させるプログラムが提供される。
【0013】
本発明の第8の態様に従えば、コンピュータに、露光光が射出される光学部材の射出面と基板との間の第1空間に保持された液体を介して射出面からの露光光で基板を露光する露光装置の制御を実行させるプログラムであって、射出面の周囲に配置される光学部材の第1面と光学部材の周囲の少なくとも一部に配置される液浸部材の第2面との間に形成され、第1空間の液体の少なくとも一部が流入可能な第2空間に面するように配置された回収部材の回収口から、第2空間の液体の少なくとも一部を回収して、第2空間における液体の表面の位置を調整することと、第1空間の液体を介して基板を露光することと、を実行させるプログラムが提供される。
【0014】
本発明の第9の態様に従えば、第7及び第8のいずれか一方の態様のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の態様によれば、露光不良の発生を抑制できる。また本発明の態様によれば、不良デバイスの発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態に係る露光装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】第1実施形態に係る液浸部材の一例を示す側断面図である。
【図3】第1実施形態に係る液浸部材の一部を示す側断面図である。
【図4】第2実施形態に係る液浸部材の一部を示す側断面図である。
【図5】第3実施形態に係る液浸部材の一部を示す側断面図である。
【図6】第4実施形態に係る液浸部材の一部を示す側断面図である。
【図7】第5実施形態に係る液浸部材の一部を示す側断面図である。
【図8】第5実施形態に係る液浸部材の一部を示す側断面図である。
【図9】マイクロデバイスの製造工程の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、そのXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
【0018】
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る露光装置EXの一例を示す概略構成図である。本実施形態の露光装置EXは、液体LQを介して露光光ELで基板Pを露光する液浸露光装置である。本実施形態においては、露光光ELの光路の少なくとも一部が液体LQで満たされるように液浸空間LSが形成される。液浸空間とは、液体で満たされた部分(空間、領域)をいう。基板Pは、液浸空間LSの液体LQを介して露光光ELで露光される。本実施形態においては、液体LQとして、水(純水)を用いる。
【0019】
図1において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動可能なマスクステージ1と、基板Pを保持して移動可能な基板ステージ2と、マスクステージ1を移動する駆動システム4と、基板ステージ2を移動する駆動システム5と、マスクMを露光光ELで照明する照明系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板Pに投影する投影光学系PLと、液体LQで液浸空間LSを形成可能な液浸部材7と、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置8と、制御装置8に接続され、露光に関する各種の情報を記憶する記憶装置100とを備えている。記憶装置100は、例えばRAM等のメモリ、ハードディスク、CD−ROM等の記録媒体を含む。記憶装置100には、コンピュータシステムを制御するオペレーティングシステム(OS)がインストールされ、露光装置EXを制御するためのプログラムが記憶されている。
【0020】
マスクMは、基板Pに投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含む。マスクMは、例えばガラス板等の透明板と、その透明板上にクロム等の遮光材料を用いて形成されたパターンとを有する透過型マスクを含む。なお、マスクMとして、反射型マスクを用いることもできる。
【0021】
基板Pは、デバイスを製造するための基板である。基板Pは、例えば半導体ウエハ等の基材と、その基材上に形成された感光膜とを含む。感光膜は、感光材(フォトレジスト)の膜である。また、基板Pが、感光膜に加えて別の膜を含んでもよい。例えば、基板Pが、反射防止膜を含んでもよいし、感光膜を保護する保護膜(トップコート膜)を含んでもよい。
【0022】
また、露光装置EXは、基板Pが処理される空間102の環境(温度、湿度、圧力、及びクリーン度の少なくとも一つ)を調整するチャンバ装置103を備えている。チャンバ装置103は、空間102を形成するチャンバ部材104と、その空間102の環境を調整する空調システム105とを有する。空調システム105は、空間102に気体を供給して、その空間102の環境を調整する。本実施形態においては、少なくとも基板ステージ2、投影光学系PL、及び液浸部材7が、空間102に配置される。本実施形態においては、空間102に、基板ステージ2、投影光学系PL、及び液浸部材7のみならず、マスクステージ1、及び照明系ILの少なくとも一部も配置される。露光光ELは、空間102の少なくとも一部を進行する。
【0023】
照明系ILは、所定の照明領域IRに露光光ELを照射する。照明領域IRは、照明系ILから射出される露光光ELが照射可能な位置を含む。照明系ILは、照明領域IRに配置されたマスクMの少なくとも一部を、均一な照度分布の露光光ELで照明する。照明系ILから射出される露光光ELとして、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、及びFレーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)等が用いられる。本実施形態においては、露光光ELとして、紫外光(真空紫外光)であるArFエキシマレーザ光を用いる。
【0024】
マスクステージ1は、マスクMを保持した状態で、照明領域IRを含むベース部材9のガイド面9G上を移動可能である。駆動システム4は、ガイド面9G上でマスクステージ1を移動するための平面モータを含む。平面モータは、例えば米国特許第6452292号明細書に開示されているような、マスクステージ1に配置された可動子と、ベース部材9に配置された固定子とを有する。本実施形態においては、マスクステージ1は、駆動システム4の作動により、ガイド面9G上において、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。なお、マスクステージ1を移動するための駆動システム4は、平面モータでなくてもよい。例えば、駆動システム4がリニアモータを含んでもよい。
【0025】
投影光学系PLは、所定の投影領域PRに露光光ELを照射する。投影光学系PLは、露光光ELが射出される射出面13を有する。射出面13は、投影光学系PLの像面に向けて露光光ELを射出する。投影領域PRは、射出面13から射出される露光光ELが照射可能な位置を含む。投影光学系PLは、投影領域PRに配置された基板Pの少なくとも一部に、マスクMのパターンの像を所定の投影倍率で投影する。本実施形態の投影光学系PLは、その投影倍率が例えば1/4、1/5、又は1/8等の縮小系である。なお、投影光学系PLは、等倍系及び拡大系のいずれでもよい。本実施形態においては、投影光学系PLの光軸は、Z軸と平行である。また、投影光学系PLは、反射光学素子を含まない屈折系、屈折光学素子を含まない反射系、反射光学素子と屈折光学素子とを含む反射屈折系のいずれであってもよい。また、投影光学系PLは、倒立像と正立像とのいずれを形成してもよい。
【0026】
投影光学系PLの複数の光学素子は、保持部材3で保持される。保持部材3は、露光光ELが通る投影光学系PLの光学素子を保持する光学部品を含む。本実施形態において、保持部材3は、例えば鏡筒を含む。なお、保持部材3が、鏡筒と光学素子との間に配置される部材を含んでもよい。
【0027】
基板ステージ2は、投影光学系PLから射出される露光光ELが照射可能な位置(投影領域PR)に移動可能である。基板ステージ2は、基板Pを保持した状態で、投影領域PRを含むベース部材10のガイド面10G上を移動可能である。
【0028】
基板ステージ2を移動するための駆動システム5は、ガイド面10G上で基板ステージ2を移動するための平面モータを含む。平面モータは、例えば米国特許第6452292号明細書に開示されているような、基板ステージ2に配置された可動子と、ベース部材10に配置された固定子とを有する。本実施形態においては、基板ステージ2は、駆動システム5の作動により、ガイド面10G上において、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。なお、基板ステージ2を移動するための駆動システム5は、平面モータでなくてもよい。例えば、駆動システム5がリニアモータを含んでもよい。
【0029】
基板ステージ2は、基板Pをリリース可能に保持する基板保持部31を有する。基板保持部31は、基板Pの表面が+Z方向を向くように基板Pを保持する。本実施形態において、基板保持部31に保持された基板Pの表面と、その基板Pの周囲に配置される基板ステージ2の上面2Uとは、同一平面内に配置される(面一である)。上面2Uは、平坦である。本実施形態において、基板保持部31に保持された基板Pの表面、及び基板ステージ2の上面2Uは、XY平面とほぼ平行である。
【0030】
なお、基板保持部31に保持された基板Pの表面と基板ステージ2の上面2Uとが同一平面内に配置されてなくてもよいし、基板Pの表面及び上面2Uの少なくとも一方がXY平面に対して非平行でもよい。また、上面2Uは平坦でなくてもよい。例えば、上面2Uが曲面を含んでもよい。
【0031】
また、本実施形態において、基板ステージ2は、例えば米国特許出願公開第2007/0177125号明細書、及び米国特許出願公開第2008/0049209号明細書等に開示されているような、カバー部材Tをリリース可能に保持するカバー部材保持部32を有する。本実施形態において、基板ステージ2の上面2Uは、カバー部材保持部32に保持されたカバー部材Tの上面を含む。
【0032】
なお、カバー部材Tがリリース可能でなくてもよい。その場合、カバー部材保持部32は省略可能である。また、基板ステージ2の上面2Uが、基板ステージ2に搭載されているセンサ、計測部材等の表面を含んでもよい。
【0033】
本実施形態において、マスクステージ1及び基板ステージ2の位置が、レーザ干渉計ユニット11A、11Bを含む干渉計システム11によって計測される。レーザ干渉計ユニット11Aは、マスクステージ1に配置された計測ミラー1Rを用いて、マスクステージ1の位置を計測可能である。レーザ干渉計ユニット11Bは、基板ステージ2に配置された計測ミラー2Rを用いて、基板ステージ2の位置を計測可能である。基板Pの露光処理を実行するとき、あるいは所定の計測処理を実行するとき、制御装置8は、干渉計システム11の計測結果に基づいて、駆動システム4、5を作動し、マスクステージ1(マスクM)、及び基板ステージ2(基板P)の位置制御を実行する。
【0034】
図2は、本実施形態に係る液浸部材7の一例を示す側断面図である。図3は、図2の一部を拡大した図である。本実施形態において、液浸部材7は、投影光学系PLの複数の光学素子のうち、投影光学系PLの像面に最も近い終端光学素子12の周囲の少なくとも一部に配置される。
【0035】
本実施形態において、終端光学素子12が、露光光ELが射出される射出面13を有する。本実施形態において、射出面13は、−Z方向を向いており、XY平面と平行である。なお、−Z方向を向いている射出面13は、凸面であってもよいし、凹面であってもよい。本実施形態において、射出面13から射出される露光光ELは、−Z方向に進行する。また、本実施形態において、終端光学素子12の光軸は、Z軸と平行である。
【0036】
本実施形態において、液浸部材7は、終端光学素子12の周囲の少なくとも一部、及び射出面13から射出される露光光ELの光路Kの周囲の少なくとも一部に配置される。本実施形態において、液浸部材7は、環状の部材である。液浸部材7の一部は、終端光学素子12の周囲に配置され、液浸部材7の一部は、射出面13から射出される露光光ELの光路Kの周囲に配置される。
【0037】
液浸部材7は、下面14を有する。下面14の少なくとも一部は、−Z方向を向いている。本実施形態において、下面14の少なくとも一部は、XY平面と平行である。なお、下面14の少なくとも一部が、XY平面に対して非平行でもよい。なお、−Z方向を向いている下面14の少なくとも一部が、凸面であってもよいし、凹面であってもよい。
【0038】
終端光学素子12は、射出面13から射出される露光光ELが照射可能な位置に配置される物体との間に液体LQが保持される第1空間SP1を形成可能である。第1空間SP1は、射出面13と、その射出面13が対向する物体の表面(上面)との間の空間を含む。終端光学素子12は、物体の表面と射出面13との間に液体LQが保持される第1空間SP1を形成する。終端光学素子12の射出面13は、物体の表面との間で液体LQを保持可能である。本実施形態において、第1空間SP1は、射出面13と物体との間の露光光ELの光路Kを含む。例えば基板Pの露光において、射出面13と基板Pとの間の露光光ELの光路Kが液体LQで満たされるように、第1空間SP1に液体LQが保持される。
【0039】
液浸部材7は、終端光学素子12との間で、第1空間SP1の液体LQの少なくとも一部が流入可能な第2空間SP2を形成可能である。第2空間SP2は、射出面13の周囲に配置される終端光学素子12の第1面51と、その第1面51が対向する液浸部材7の第2面52との間の空間を含む。第1面51は、露光光ELを射出しない面(露光光ELが通らない面)である。液浸部材7の第2面52は、第1面51との間で第1空間SP1の液体LQの少なくとも一部が流入可能な第2空間SP2を形成する。液浸部材7の第2面52は、終端光学素子12の第1面51との間で液体LQを保持可能である。
【0040】
また、液浸部材7は、射出面13から射出される露光光ELが照射可能な位置に配置される物体との間に液体LQが保持される第3空間SP3を形成可能である。第3空間SP3は、下面14と、その下面14が対向する物体の表面(上面)との間の空間を含む。液浸部材7は、物体の表面と下面14との間に液体LQが保持される第3空間SP3を形成する。液浸部材7の下面14は、物体の表面との間で液体LQを保持可能である。
【0041】
本実施形態において、射出面13から射出される露光光ELが照射可能な位置は、投影領域PRを含む。また、射出面13から射出される露光光ELが照射可能な位置は、射出面13と対向する位置を含む。本実施形態において、射出面13と対向する位置に配置可能な物体、換言すれば、投影領域PRに配置可能な物体は、基板ステージ2、及び基板ステージ2(基板保持部31)に保持された基板Pの少なくとも一方を含む。本実施形態において、その物体は、射出面13及び下面14と対向可能である。物体は、射出面13及び下面14の一方と対向するとき、他方の少なくとも一部と対向可能である。
【0042】
本実施形態においては、終端光学素子12の射出面13と投影領域PRに配置される物体の表面との間の露光光ELの光路Kが液体LQで満たされるように液浸空間LSが形成される。本実施形態において、液浸空間LSの液体LQは、少なくとも第1空間SP1の液体LQを含む。本実施形態においては、液浸空間LSの液体LQは、第1空間SP1の液体LQ及び第3空間SP3の液体LQを含む。なお、液浸空間LSの液体LQが、第1空間SP1の液体LQ、第2空間SP2の液体LQ、及び第3空間SP3の液体LQを含む概念でもよい。
【0043】
すなわち、本実施形態において、液浸空間LSの液体LQの一部は、終端光学素子12と、その終端光学素子12の射出面13に対向するように配置された物体との間に保持され、液浸空間LSの液体LQの一部は、液浸部材7と、その液浸部材7の下面14に対向するように配置された物体との間に保持される。本実施形態において、一方側の終端光学素子12及び液浸部材7と、他方側の物体との間に液体LQが保持されることによって、終端光学素子12と物体との間の露光光ELの光路Kが液体LQで満たされるように液浸空間LSが形成される。
【0044】
本実施形態においては、基板Pに露光光ELが照射されているとき、投影領域PRを含む基板Pの表面の一部の領域が液体LQで覆われるように液浸空間LSが形成される。液体LQの界面(メニスカス、エッジ)LGの少なくとも一部は、液浸部材7の下面14と基板Pの表面との間に形成される。界面LGの周囲の空間は、気体空間である。すなわち、本実施形態の露光装置EXは、局所液浸方式を採用する。
【0045】
本実施形態において、液体LQは、第1空間SP1と第2空間SP2との間を流通可能である。すなわち、第1空間SP1の液体LQの少なくとも一部は、第2空間SP2に流入可能である。第2空間SP2の液体LQの少なくとも一部は、第1空間SP1に流入可能である。また、液体LQは、第1空間SP1と第3空間SP3との間を流通可能である。すなわち、第1空間SP1の液体LQの少なくとも一部は、第3空間SP3に流入可能である。第3空間SP3の液体LQの少なくとも一部は、第1空間SP1に流入可能である。
【0046】
本実施形態において、露光装置EXは、第2空間SP2の圧力変動を抑制するバッファ装置6を備えている。バッファ装置6は、第2空間SP2の圧力変動を和らげる。バッファ装置6は、第2空間SP2に通じるバッファ空間60を有する。バッファ空間60は、開口15を介して、第2空間SP2に通じる。換言すれば、開口15を介して、第2空間SP2とバッファ空間60とが結ばれる。開口15は、第2空間SP2に面するように配置される。また、第1空間SP1と第2空間SP2とは通じており、バッファ装置6は、第1空間SP1の圧力変動を抑制可能である。
【0047】
液体LQは、第2空間SP2とバッファ空間60との間を流通可能である。すなわち、第2空間SP2の液体LQの少なくとも一部は、バッファ空間60に流入可能である。バッファ空間60の液体LQの少なくとも一部は、第2空間SP2に流入可能である。
【0048】
本実施形態においては、液浸部材7が、バッファ空間60を有する。例えば、第3空間SP3の液体LQが流動することにより、第1空間SP1及び第2空間SP2の一方又は両方の圧力変動が発生する可能性がある。すなわち、第3空間SP3の液体LQが流動することにより、終端光学素子12と接触する液体LQが存在する第1空間SP1及び第2空間SP2の一方又は両方の圧力変動が発生する可能性がある。本実施形態においては、例えば第2空間SP2の圧力が上昇する場合、第2空間SP2の液体LQの少なくとも一部がバッファ空間60に移動することによって、あるいはバッファ空間60から第2空間SP2への液体LQの移動が抑制されることによって、第2空間SP2の圧力上昇が抑制される。一方、第2空間SP2の圧力が低下する場合、第2空間SP2からバッファ空間60への液体LQの移動が抑制されることによって、あるいはバッファ空間60の液体LQの少なくとも一部が第2空間SP2に移動することによって、第2空間SP2の圧力低下が抑制される。また、第1空間SP1の圧力上昇や圧力低下も抑制される。
【0049】
本実施形態において、バッファ装置6は、バッファ空間60の少なくとも一部を形成する弾性部材61を含む。本実施形態において、バッファ空間60の内面の少なくとも一部は、弾性部材61によって形成される。
【0050】
例えば、第2空間SP2の圧力が上昇する場合、バッファ空間60の容積が大きくなるように、弾性部材61が変位(変形)する。これにより、第2空間SP2の圧力上昇が抑制される。一方、第2空間SP2の圧力が低下する場合、弾性部材61の変位(変形)が抑制され、第2空間SP2の圧力低下が抑制される。また、第1空間SP1の圧力上昇及び圧力低下も抑制される。
【0051】
本実施形態において、第1面51は、射出面13から射出される露光光ELの光路K(終端光学素子12の光軸)に対する放射方向に関して外側に向かって上方へ傾斜する第1部分51Aと、第1部分51Aの周囲の少なくとも一部に配置され、第1部分51Aと異なる方向を向く第2部分51Bとを含む。
【0052】
本実施形態において、第1部分51Aは、射出面13の周囲に配置される。第2部分51Bは、第1部分51Aの周囲に配置される。射出面13の外縁は、第1部分51Aの下端に接続される。第2部分51Bの内縁は、第1部分51Aの上端に接続される。
【0053】
本実施形態において、第2部分51Bは、射出面13とほぼ平行である。なお、第2部分51Bが、XY平面に対して傾斜していてもよい。なお、第1部分51Aが、終端光学素子12の光軸(Z軸)とほぼ平行でもよい。
【0054】
なお、第1面51が、終端光学素子12とは異なる部材の表面を含んでもよい。例えば、第1面51の少なくとも一部が、終端光学素子12を保持する保持部材3の表面でもよい。例えば、第2部分51Bが、保持部材3の表面の一部でもよいし、第1部分51Aが、保持部材3の表面の一部でもよい。
【0055】
なお、本実施形態においては、XZ平面内(YZ平面内)において、第1面51が、第1の方向を向く第1部分51Aと、第1の方向とは異なる第2の方向を向く第2部分51Bとを含むこととするが、異なる3以上の方向を向く複数の部分を含んでもよい。
【0056】
本実施形態において、第2面52は、第1部分51Aが対向する第3部分52Aと、第3部分52Aの周囲に配置され、第2部分51Bが対向する第4部分52Bと有する。第4部分52Bの内縁は、第3部分52Aの上端に接続される。
【0057】
本実施形態において、第1部分51Aと第3部分52Aとは、ほぼ平行である。第2部分51Bと第4部分52Bとは、ほぼ平行である。なお、第1部分51Aと第3部分52Aの少なくとも一部が非平行でもよいし、第2部分51Bと第4部分52Bの少なくとも一部とが非平行でもよい。
【0058】
なお、本実施形態においては、XZ平面内(YZ平面内)において、第2面52が、第3の方向を向く第3部分52Aと、第3の方向とは異なる第4の方向を向く第4部分52Bとを含むこととするが、異なる3以上の方向を向く面を含んでもよい。
【0059】
以下の説明において、終端光学素子12又は保持部材3が有する第1面51の第1部分51Aを適宜、外側面51A、と称し、第2部分51Bを適宜、下面51B、と称する。また、液浸部材7が有する第2面52の第3部分52Aを適宜、内側面52A、と称し、第4部分52Bを適宜、上面52B、と称する。
【0060】
本実施形態において、射出面13と物体の表面との間に間隙G1が形成される。第1面51と第2面52との間に間隙G2が形成される。下面14と物体の表面との間に間隙G3が形成される。
【0061】
本実施形態において、第1面51と第2面52との距離(間隙G2の寸法)は、下面14と物体の表面との距離(間隙G3の寸法)よりも大きい。
【0062】
本実施形態において、射出面13と物体の表面との距離(間隙G1の寸法)は、下面14と物体の表面との距離(間隙G3の寸法)よりも大きい。
【0063】
本実施形態において、射出面13と物体の表面との距離(間隙G1の寸法)は、第1面51と第2面52との距離(間隙G2の寸法)よりも大きい。なお、射出面13と物体の表面との距離(間隙G1の寸法)が、第1面51と第2面52との距離(間隙G2の寸法)よりも小さくてもよい。
【0064】
本実施形態において、液浸部材7は、射出面13と物体の表面との間の光路Kを囲むように配置されるプレート部71と、少なくとも一部が終端光学素子12を囲むように配置される本体部72とを有する。本実施形態において、本体部72が、内側面52A及び上面52Bを有する。
【0065】
本実施形態において、プレート部71及び本体部72は、実質的に剛体である。本実施形態において、プレート部71及び本体部72は、例えばチタン等を含む金属製である。
【0066】
プレート部71の少なくとも一部は、射出面13と物体の表面との間に配置される。プレート部71は、物体が対向可能な下面71Bと、下面71Bの反対方向を向く上面71Aと、下面71Bと上面71Aとの結ぶ孔(開口)71Hとを有する。孔71Hは、射出面13と対向する。射出面13から射出された露光光ELは、孔71Hを通過可能である。射出面13から射出された露光光ELは、孔71Hを通過して、物体(基板P)に照射可能である。
【0067】
上面71Aは、孔71Hの上端の周囲に配置される。下面71Bは、孔71Hの下端の周囲に配置される。上面71Aの周囲に、内側面51Aが配置される。上面71Aの外縁は、内側面51Aの下端に接続される。上面71Aの少なくとも一部は、射出面13と対向する。本実施形態において、上面71A及び下面71Bは、平坦である。上面71A及び下面71Bは、XY平面とほぼ平行である。なお、上面71A及び下面71Bの一方又は両方が、XY平面に対して傾斜していてもよいし、曲面を含んでもよい。
【0068】
液浸部材7は、終端光学素子12と物体との間の露光光ELの光路Kが液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成するための処理を実行可能である。液浸部材7は、例えば基板Pの露光において、基板Pに照射される露光光ELの光路Kが液体LQで満たされるように、液浸空間LSを形成するための処理を実行する。
【0069】
本実施形態において、液浸部材7は、液体LQを供給可能な供給口15と、液体LQを回収可能な回収口16とを備えている。
【0070】
供給口15は、第1空間SP1に送られる液体LQを供給する。本実施形態において、供給口15は、液浸部材7において、外側面51Aと内側面52Aとの間の第2空間SP2に面する位置に配置される。供給口15は、第2空間SP2に液体LQを供給可能である。本実施形態において、供給口15は、終端光学素子12の光軸に対して+Y側及び−Y側に配置されている。なお、供給口15は、終端光学素子12の光軸に対して+X側及び−X側に配置されてもよいし、終端光学素子12の光軸の周囲において3以上配置されてもよい。
【0071】
上述のように、液体LQは、第1空間SP1と第2空間SP2との間を流通可能である。供給口15から第2空間SP2に供給された液体LQの少なくとも一部は、射出面13と物体の表面との間の第1空間SP1に送られる。供給口15から第1空間SP1に送られた液体LQによって、光路Kが液体LQで満たされる。
【0072】
回収口16は、物体上の液体LQの少なくとも一部を回収可能である。回収口16は、液浸部材7において物体が対向可能な位置に配置される。回収口16は、液浸部材7において、下面14と物体との間の第3空間SP3に面する位置に配置される。回収口16は、第3空間SP3の液体LQを回収可能である。上述のように、液体LQは、第1空間SP1と第3空間SP3との間を流通可能である。回収口16から回収される第3空間SP3の液体LQは、第1空間SP1から第3空間SP3に送られた液体LQを含む。
【0073】
本実施形態において、液浸部材7は、物体が面する位置に開口72Kを有する。開口72Kは、下面71Bの周囲に形成されている。開口72Kに、多孔部材19が配置されている。本実施形態において、多孔部材19は、プレート状である。多孔部材19は、物体が対向可能な下面19Bと、下面19Bの反対方向を向く上面19Aと、下面19Bと上面19Aとを結ぶ複数の孔19Hとを有する。本実施形態において、回収口16は、多孔部材19の孔19Hを含む。物体上の液体LQは、多孔部材19の孔19Hを介して回収される。
【0074】
本実施形態において、下面14は、プレート部71の下面71B及び多孔部材19の下面19Bを含む。なお、開口72Kに、網目状に多数の小さい孔が形成された多孔部材であるメッシュフィルタが配置されてもよい。なお、開口72Kに多孔部材19が配置されていなくてもよい。また、多孔部材19が配置されない開口72Kが、物体上の液体LQを回収する回収口として機能してもよい。
【0075】
供給口15は、供給流路17を介して、液体供給装置18と接続されている。液体供給装置18は、清浄で温度調整された液体LQを送出可能である。供給口15に送られる液体LQは、供給流路17を流れる。液体供給装置18から送出された液体LQは、供給流路17を介して供給口15に供給される。
【0076】
本実施形態において、供給流路17は、液浸部材7が有する供給流路171と、その供給流路171と液体供給装置18とを接続する供給管172Pが有する供給流路172とを含む。供給流路171は、液浸部材7の内部に形成される。
【0077】
回収口16は、回収流路21を介して、液体回収装置22と接続されている。液体回収装置22は、回収口16を真空システムに接続可能であり、回収口16を介して液体LQを吸引可能である。回収口16からの液体LQは、回収流路21を流れる。回収口16から回収された液体LQは、回収流路21を介して、液体回収装置22に回収される。
【0078】
本実施形態において、回収流路21は、液浸部材7が有する回収流路211と、その回収流路211と液体回収装置22とを接続する回収管212Pが有する回収流路212とを含む。回収流路211は、液浸部材7の内部に形成される。多孔部材19の上面19Aは、流路211に面する。
【0079】
本実施形態においては、制御装置8は、供給口15からの液体LQの供給動作と並行して、回収口16からの液体LQの回収動作を実行することによって、一方側の終端光学素子12及び液浸部材7と、他方側の物体との間に液体LQで液浸空間LSを形成可能である。
【0080】
本実施形態において、露光装置EXは、第1面51及び第2面52のそれぞれに接触するように配置される環状のシール部材30を備える。シール部材30は、第2空間SP2の液体LQの流出を抑制する。本実施形態において、シール部材30の一部は、第2面52に固定される。シール部材30の一部は、第1面51に接触する。なお、シール部材30の一部が、第1面51に固定され、シール部材30の一部が、第2面52に接触してもよい。
【0081】
本実施形態において、シール部材30は、第2空間SP2の液体LQが、液浸部材7の上方の空間を介して流出することを抑制する。本実施形態において、シール部材30は、第2空間SP2の液体LQが、下面51Bと上面52Bとの間から流出することを抑制する。本実施形態において、シール部材30は、第2空間SP2の液体LQが液浸部材7の上方の空間を介して流出しないように、下面51B及び上面52Bのそれぞれに接触(接続)するように配置される。なお、シール部材30が、外側面51A及び内側面52Aのそれぞれに接触(接続)するように配置されてもよい。なお、シール部材30が、外側面51A及び上面52Bのそれぞれに接触(接続)するように配置されてもよいし、下面51B及び内側面52Bのそれぞれに接触(接続)するように配置されてもよい。
【0082】
本実施形態において、シール部材30は、環状の部材であり、第2空間SP2の液体LQの流出を抑制可能である。また、シール部材30は、終端光学素子12の光軸に対してシール部材30の外側の空間102の流体(気体)が、シール部材30の内側の第2空間SP2に流入することを抑制する。すなわち、環状のシール部材30は、第2空間SP2と空間102との間における流体の流通を抑制可能である。
【0083】
なお、シール部材30が、液浸部材7と終端光学素子12及び保持部材3の少なくとも一方との間の空間において、終端光学素子12の光軸を囲むように複数配置されてもよい。換言すれば、シール部材30が、環状の部材でなくてもよい。また、第2空間SP2が、液浸部材7の周囲の雰囲気(空間102)に開放されていてもよい。
【0084】
本実施形態において、第2空間SP2は、液浸部材7と終端光学素子12及び保持部材3の少なくとも一方との間の空間のうち、シール部材30よりも射出面13側(第1空間SP1側)の空間を含む。
【0085】
本実施形態において、バッファ装置6は、シール部材30よりも射出面13側の第2空間SP2の圧力変動を抑制する。
【0086】
本実施形態において、バッファ装置6は、液浸部材7の内部に形成され、開口15を介して第2空間SP2に通じるバッファ空間60を有する。本実施形態において、バッファ空間60と第2空間SP2とを結ぶ開口15は、供給口15として機能する。また、本実施形態において、バッファ空間60は、供給口15に供給される液体LQが流れる供給流路17(171)として機能する。
【0087】
バッファ空間60の内面の少なくとも一部は、弾性部材61によって形成される。本実施形態においては、液浸部材7が、弾性部材61を有する。液浸部材7は、上方を向く開口72Bを有する。弾性部材61は、開口72Bに配置される。弾性部材61は、開口72Bを塞ぐように、液浸部材7の本体部72に配置される。バッファ空間60は、液浸部材7の本体部72と弾性部材61との間の空間を含む。
【0088】
本実施形態において、弾性部材61は、シート状(膜状)の部材である。本実施形態において、弾性部材61は、ベローズを含む。
【0089】
なお、バッファ空間60の内面の少なくとも一部を形成する部材が、弾性部材でなくてもよく、塑性部材でもよい。また、バッファ空間60の内面の少なくとも一部を形成する部材が、可撓性部材でもよい。また、バッファ空間60の内面の少なくとも一部を形成する部材が、シート状(膜状)の部材でなくてもよく、例えばブロック状の部材でもよい。
【0090】
本実施形態において、供給口15に送られる液体LQは、バッファ空間60を流れる。すなわち、本実施形態においては、供給流路171の少なくとも一部が、バッファ空間60として機能する。本実施形態においては、液体供給装置18からの液体LQは、バッファ空間60の少なくとも一部を介して、供給口15に供給される。本実施形態において、供給流路171の少なくとも一部が、弾性部材61で形成される。本実施形態において、供給流路171(バッファ空間60)の内面は、弾性部材61及び本体部72によって形成される。
【0091】
図3に示すように、本実施形態において、供給流路171は、流路172が接続される第1流路部分171Aと、供給口15が接続される第2流路部分171Bと、第1流路部分171Aと第2流路部分171Bとの間の第3流路部分171Cとを含む。第3流路部分171Cの大きさ(断面積、容積)は、第1、第2流路部分171A、171Bの大きさ(断面積、容積)よりも十分に大きい。本実施形態において、第1流路部分171Aの大きさ(断面積)は、供給管172Pの流路172の大きさ(断面積)とほぼ等しい。第2流路部分171Bの大きさ(断面積)は、供給口15の大きさとほぼ等しい。本実施形態において、第3流路部分171Cの内面の少なくとも一部が、弾性部材61によって形成される。本実施形態において、バッファ空間60は、第3流路部分171Cを含む。
【0092】
図3に示すように、弾性部材61は、供給流路171(バッファ空間60)に面する下面61Bと、下面61Bの反対方向を向く上面61Aとを有する。上面61Aは、第2空間SP2に面しない。弾性部材61の上面61Aは、終端光学素子12の光軸に対する放射方向に関して、シール部材30の外側に配置される。すなわち、弾性部材61の上面61Aは、第2空間SP2の液体LQと接触しない。弾性部材61の上面61Aは、空間102の気体と接触する。
【0093】
次に、上述の構成を有する露光装置EXの動作の一例について説明する。
【0094】
制御装置8は、露光前の基板Pを基板保持部31に搬入(ロード)するために、基板ステージ2を、終端光学素子12及び液浸部材7から離れた基板交換位置に移動する。
なお、例えば露光後の基板Pが基板保持部31に保持されている場合、その露光後の基板Pが基板保持部31から搬出(アンロード)する処理が実行された後、露光前の基板Pを基板保持部31に搬入(ロード)する処理が実行される。
【0095】
露光前の基板Pが基板保持部31に保持された後、終端光学素子12及び液浸部材7と基板P(基板ステージ2)との間に液体LQで液浸空間LSが形成される。制御装置8は、液浸空間LSを形成するために、供給口15からの液体LQの供給動作を実行するとともに、その供給口15からの液体LQの供給と並行して、回収口16からの液体LQの回収動作を実行する。
【0096】
供給口15からの液体LQの少なくとも一部は、第1空間SP1に保持される。これにより、射出面13と基板Pとの間の露光光ELの光路Kが液体LQで満たされる。また、供給口15からの液体LQの少なくとも一部は、第1空間SP1を介して第3空間SP3に送られる。回収口16は、第3空間SP3の液体LQを回収する。
【0097】
本実施形態においては、下面14と基板Pの表面との距離(間隙G3の寸法)は、例えば第1面51と第2面52との距離(間隙G2の寸法)よりも小さい。したがって、液体LQは、第3空間SP3に良好に保持される。すなわち、間隙G3の寸法が小さいため、液浸空間LSの液体LQ(第3空間SP3の液体LQ)が、第3空間SP3の外側(液浸部材7と基板Pとの間の空間の外側)に流出することが抑制される。
【0098】
また、第1空間SP1の液体LQの少なくとも一部は、第2空間SP2に流入する。本実施形態においては、シール部材30が配置されているため、液浸空間LSの液体LQ(第2空間SP2の液体LQ)が、第2空間SP2の外側(終端光学素子12及び保持部材3の少なくとも一方と液浸部材7との間の空間の外側)に流出することが抑制される。
【0099】
終端光学素子12及び液浸部材7と基板P(基板ステージ2)との間に液浸空間LSが形成された後、制御装置8は、基板Pの露光処理を開始する。なお、基板Pの露光処理が開始される前の所定のタイミングにおいて、例えば露光光ELの計測等、所定の計測処理が実行されてもよい。
【0100】
基板Pの露光処理を実行するとき、制御装置8は、終端光学素子12及び液浸部材7と基板P(基板ステージ2)とを対向させ、終端光学素子12と基板Pとの間の露光光ELの光路Kが液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成する。制御装置8は、照明系ILから露光光ELを射出し、マスクMを露光光ELで照明する。マスクMからの露光光ELは、投影光学系PL及び液体LQを介して基板Pに照射される。これにより、基板Pは、液浸空間LS(第1空間SP1)の液体LQを介して射出面13からの露光光ELで露光され、マスクMのパターンの像が基板Pに投影される。
【0101】
本実施形態の露光装置EXは、マスクMと基板Pとを所定の走査方向に同期移動しつつ、マスクMのパターンの像を基板Pに投影する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)である。本実施形態においては、基板Pの走査方向(同期移動方向)をY軸方向とし、マスクMの走査方向(同期移動方向)もY軸方向とする。制御装置8は、基板Pを投影光学系PLの投影領域PRに対してY軸方向に移動するとともに、その基板PのY軸方向への移動と同期して、照明系ILの照明領域IRに対してマスクMをY軸方向に移動しつつ、投影光学系PLと液浸空間LS(第1空間SP1)の液体LQとを介して基板Pに露光光ELを照射する。
【0102】
基板Pの露光処理が終了した後、制御装置8は、基板ステージ2を基板交換位置に移動する。制御装置8は、露光後の基板Pを基板保持部31から搬出(アンロード)する。その後、制御装置8は、露光前の基板Pを基板保持部31に搬入(ロード)し、その基板Pの露光を実行する。制御装置8は、上述の処理を繰り返して、複数の基板Pを順次露光する。
【0103】
本実施形態においては、第2空間SP2の圧力変動を抑制するバッファ装置6が設けられている。本実施形態においては、液浸空間LSが形成されている状態の少なくとも一部の期間において、バッファ装置6が第2空間SP2の圧力変動を抑制する。例えば、液浸空間LSが形成されている状態で、基板Pの露光処理及び所定の計測処理の少なくとも一方が実行される期間の少なくとも一部において、バッファ装置6によって第2空間SP2の圧力変動が抑制される。
【0104】
バッファ装置6は、第2空間SP2に通じ、少なくとも一部が弾性部材61で形成されるバッファ空間60を有する。例えば、第2空間SP2の圧力が上昇する場合、バッファ空間60(第3流路部分171C)の容積が大きくなるように弾性部材61が変位(変形)する。また、第2空間SP2の液体LQの少なくとも一部がバッファ空間60に移動する。また、バッファ空間60から第2空間SP2への液体LQの移動が抑制される。これにより、第2空間SP2の圧力の上昇が抑制される。一方、第2空間SP2の圧力が低下する場合、弾性部材61の変位(変形)が抑制される。また、第2空間SP2からバッファ空間60への液体LQの移動が抑制される。また、バッファ空間60の液体LQの少なくとも一部が第2空間SP2に移動する。これにより、第2空間SP2の圧力の低下が抑制される。また、第1空間SP1と第2空間SP2とは通じており、第1空間SP1の圧力上昇及び圧力低下も抑制される。
【0105】
以上説明したように、本実施形態によれば、バッファ装置6を設けたので、露光不良の発生、及び不良デバイスの発生を抑制することができる。例えば、第2空間SP2(及び/又は第1空間SP1)において圧力変動が発生した場合、終端光学素子12に不測の力が作用される可能性がある。その結果、終端光学素子12の光学特性が変化し、露光不良が発生する可能性がある。本実施形態によれば、バッファ装置6を用いて、第2空間SP2(及び/又は第1空間SP1)の圧力変動を抑制するため、露光不良の発生、及び不良デバイスの発生を抑制できる。
【0106】
本実施形態においては、例えば露光処理及び計測処理の少なくとも一部において、制御装置8は、終端光学素子12の射出面13と物体の表面との距離(間隙G1の寸法)、あるいは液浸部材7の下面14と物体の表面との距離(間隙G3の寸法)を調整する可能性がある。間隙G1、G3の寸法が変化することによって、第2空間SP2の圧力が変動する可能性がある。例えば、間隙G1、G3の寸法を小さくした場合、第2空間SP2の圧力が上昇する可能性があり、間隙G1、G3の寸法を大きくした場合、第2空間SP2の圧力が低下する可能性がある。本実施形態においては、間隙G1、G3の寸法を変化させる処理が実行されても、バッファ装置6によって、第2空間SP2の圧力変動が抑制される。
【0107】
また、例えば、間隙G1、G3の寸法が小さい場合、液体LQが第2空間SP2に流入し、その結果、第2空間SP2の圧力が上昇する可能性がある。本実施形態によれば、間隙G1、G3の寸法が小さくなっても、バッファ装置6によって、第2空間SP2の圧力が過剰に上昇することが抑制される。
【0108】
本実施形態においては、シール部材30が配置されているため、液体LQの流出が抑制される。本実施形態においては、シール部材30よりも射出面13側の第2空間SP2の圧力変動がバッファ装置6によって十分に抑制される。
【0109】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0110】
図4は、第2実施形態に係る露光装置EXの一例を示す図である。図4において、露光装置EXは、液浸部材7Bと、第2空間SP2(及び/又は第1空間SP1)の圧力変動を抑制するバッファ装置6とを備えている。バッファ装置6は、第2空間SP2に通じるバッファ空間60を有する。
【0111】
第2実施形態の液浸部材7Bが第1実施形態の液浸部材7と異なる部分は、プレート部71を有しない点である。また、図4に示す例では、シール部材30が、外側面51Aと内側面52Aとの間に配置されている。本実施形態においても、露光装置EXは、バッファ装置6有するので、露光不良の発生及び不良デバイスの発生を抑制することができる。
【0112】
なお、上述の第1、第2実施形態においては、液浸部材7、7Bがバッファ空間60を有することとしたが、例えば供給管172Pが、バッファ空間60を有してもよい。換言すれば、供給流路172が、バッファ空間60を含んでもよい。例えば、供給管172Pの一部が、弾性部材によって形成されてもよい。
【0113】
なお、上述の各実施形態において、供給流路17(171、172)の少なくとも一部がバッファ空間として機能することとしたが、例えば液浸部材7に、供給流路17及び回収流路20とは異なる、第2空間SP2に通じるバッファ空間を形成してもよい。
【0114】
なお、上述の各実施形態においては、供給口15が第2空間SP2に面するように配置されることとしたが、例えば第1空間SP1に面するように配置されてもよい。換言すれば、供給口15が、射出面13と物体の表面との間の露光光ELの光路Kに面するように配置されてもよい。その場合、供給口15とは異なる位置において第2空間SP2に面するように開口を配置し、その開口を介して第2空間SP2に通じるバッファ空間を形成してもよい。
【0115】
なお、上述の各実施形態においては、供給口15が外側面51Aに対向するように配置されることとしたが、例えば下面51Bに対向するように配置されてもよい。
【0116】
なお、上述の各実施形態において、バッファ空間が、液浸部材7、7Bとは異なる部材に設けられてもよい。例えば、保持部材3の内部にバッファ空間が形成されてもよい。また、第2空間SP2に面する保持部材3の表面の所定位置に、保持部材3に形成されたバッファ空間と第2空間SP2とを結ぶ開口が形成されてもよい。もちろん、液浸部材7及び保持部材3の両方に、バッファ空間が形成されてもよい。
【0117】
なお、バッファ空間、及びバッファ空間と第2空間SP2とを結ぶ開口が、液浸部材7及び保持部材3とは異なる部材に配置されてもよい。
【0118】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0119】
図5は、第3実施形態に係る露光装置EXの一例を示す図である。図5において、露光装置EXは、液浸部材7Cと、バッファ装置6Cとを備えている。バッファ装置6Cは、第2空間SP2の圧力を調整する圧力調整装置80を備える。
【0120】
圧力調整装置80は、第2空間SP2に気体を供給可能な給気装置80A、及び空間SP2の気体を吸引可能な吸引装置80Bを含む。圧力調整装置80は、第2空間SP2に面する位置に配置された開口81を介して、第2空間SP2に対する気体の供給及び第2空間SP2からの気体の吸引を実行する。本実施形態において、開口81は、供給口15及び回収口16とは異なる開口である。
【0121】
液浸部材7Cは、気体が流れることができる内部流路82を有する。内部流路82の一端に開口81が形成される。内部流路82の他端は、管部材83Pが有する流路83を介して、圧力調整装置80と接続される。内部流路82は、供給流路171及び回収流路211とは異なる流路である。
【0122】
圧力調整装置80は、流路83、及び内部流路82(開口81)を介して、第2空間SP2の圧力を調整可能である。
【0123】
本実施形態において、内部流路82は、第2空間SP2の圧力変動を抑制するバッファ空間60Cとして機能する。例えば、開口81を介して第2空間SP2の流体が内部流路82に流入することにより、第2空間SP2の圧力上昇が抑制される。なお、本実施形態において、内部流路82の内面は、液浸部材7Cの本体部72によって形成されているが、内部流路82の内面の少なくとも一部が、弾性部材で形成されてもよい。
【0124】
開口81は、第2空間SP2における液体LQの表面よりも上方に配置される。開口81は、シール部材30よりも射出面13側に配置される。本実施形態において、第2空間SP2は、液体LQが存在する空間(液体空間)LPと、気体が存在する空間(気体空間)GPとを含む。本実施形態において、液体LQの表面は、外側面51Aと内側面52Aとの間に位置する。気体空間GPは、液体空間LPよりも上方に位置する。開口81は、第2空間SP2の気体空間GPに面するように配置される。第2空間SP2の液体LQが開口81に流入することが抑制されている。圧力調整装置80は、開口81を介して、第2空間PS2の気体空間GPに気体を供給可能である。また、圧力調整装置80は、開口81を介して、第2空間SP2の気体空間GPの気体を吸引可能である。
【0125】
本実施形態において、開口81は、液浸部材7Cの上面52Bに配置される。なお、開口81が、液浸部材7Cの内側面52Aに配置されてもよい。
【0126】
なお、第2空間SP2の液体LQが、開口81に接触してもよい。また、圧力調整装置80が、開口81を介して、第2空間SP2の液体LQを吸引してもよい。
【0127】
圧力調整装置80は、制御装置8に制御される。制御装置8は、圧力調整装置80を制御して、第2空間SP2に気体を供給することによって、第2空間SP2の圧力を上昇させることができる。また、開口81から第2空間SP2(気体空間GP)に気体が供給されることによって、第2空間SP2の液体LQ(液体空間LPの液体LQ)が、上側(シール部材30側)に移動することが抑制される。
【0128】
また、制御装置8は、圧力調整装置80を制御して、第2空間SP2から気体を吸引することによって、第2空間SP2の圧力を低下させることができる。また、開口81からの吸引が実行されることによって、第2空間SP2の気体のみならず、液体LQを第2空間SP2から吸引(回収)することができる。
【0129】
本実施形態においては、露光装置EXは、第2空間SP2の圧力を検出する検出装置84を備えている。検出装置84の少なくとも一部は、第2空間SP2に配置される。検出装置84の検出結果は、制御装置8に出力される。制御装置8は、検出装置84の検出結果に基づいて、圧力調整装置80を制御する。例えば、制御装置8は、第2空間SP2の圧力が目標値(許容範囲)になるように、検出装置84の検出結果に基づいて、圧力調整装置80を制御する。
【0130】
また、第2空間SP2の圧力変動が抑制されることによって、第1空間SP1の圧力変動も抑制される。
【0131】
本実施形態においても、液体LQの流出が抑制されつつ、例えば終端光学素子12に不測の力が作用することが抑制される。
【0132】
なお、本実施形態においては、内部流路82が、第2空間SP2の圧力変動を抑制するバッファ空間として機能することとしたが、バッファ空間を介さずに、圧力調整装置80が第2空間SP2の圧力を調整してもよい。
【0133】
なお、本実施形態においては、検出装置84の検出結果に基づいて、圧力調整装置80が制御されることとしたが、検出装置84の検出結果を用いずに、圧力調整装置80が第2空間SP2の圧力を制御してもよい。また、検出装置84が省略されてもよい。
【0134】
なお、液浸部材7及び保持部材3とは異なる部材が有する流路の先端の開口を第2空間SP2に配置し、その部材の開口及び流路を介して、第2空間SP2の圧力を調整してもよい。すなわち、その開口及び流路を介して、第2空間SP2に対する気体の供給及び第2空間SP2からの気体の吸引の一方又は両方が実行されてもよい。
【0135】
なお、本実施形態において、第2空間SP2の圧力調整のために気体を供給及び吸引する開口81が、例えば保持部材3に配置されてもよい。また、開口81と圧力調整装置80とを接続する内部流路が、保持部材3に形成されてもよい。
【0136】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0137】
図6は、第4実施形態に係る露光装置EXの一例を示す図である。図6において、露光装置EXは、露光光ELが射出される射出面13を有し、物体と射出面13との間に液体LQが保持される第1空間SP1を形成する終端光学素子12と、終端光学素子12の周囲の少なくとも一部に配置され、射出面13の周囲に配置される終端光学素子12の第1面51との間で第1空間SP1の液体LQの少なくとも一部が流入可能な第2空間SP2を形成する第2面52を有する液浸部材7Dと、少なくとも一部が第1面51と第2面52との間に配置され、第2空間SP2の液体LQの少なくとも一部を回収する回収口90を有する回収部材91とを備えている。
【0138】
回収口90は、第1空間SP1よりも上方において、第2空間SP2に面するように配置される。回収口90は、第2空間SP2の液体LQの少なくとも一部を回収して、第2空間SP2における液体LQの表面の位置を調整する。
【0139】
本実施形態において、第2空間SP2は、周囲の雰囲気(空間102)に開放されている。
【0140】
本実施形態において、回収部材91は、管部材を含む。以下の説明において、回収部材91を適宜、管部材91、と称する。
【0141】
管部材91は、液体LQ及び気体が流れることができる内部流路92を有する。回収口90は、管部材91(内部流路92)の先端の開口を含む。
【0142】
本実施形態において、回収口90は、液浸部材7Dの上面52Bよりも下方に配置される。また、回収口90は、供給口15よりも上方に配置される。
【0143】
回収口90は、内部流路92を介して、液体回収装置93に接続される。液体回収装置93は、回収口90を介して、第2空間SP2の液体LQを回収可能である。
【0144】
液体回収装置93は、制御装置8に制御される。制御装置8は、第2空間SP2の液体LQの流出を抑制するように、液体回収装置93を制御して、回収口90からの液体LQの回収を実行する。すなわち、制御装置8は、第2空間SP2の液体LQが、液浸部材7Dの上方の空間を介して流出しないように(下面51Bと上面52Bとの間から流出しないように)、回収口90からの液体LQの回収を実行する。
【0145】
例えば、第2空間SP2の液体LQの表面の位置(高さ、液位)が上昇すると、その液体LQは、回収口90に接触する。回収口90は、その接触した液体LQを回収可能である。本実施形態において、回収口90は、外側面51Aと内側面52Aとの間において、所定の位置(高さ)に配置されている。回収口90から第2空間SP2の液体LQの少なくとも一部の回収が実行されることによって、第2空間SP2の液体LQの表面の位置が回収口90よりも高い位置に配置されないように、第2空間SP2における液体LQの表面の位置が調整される。これにより、第2空間SP2の液体LQの流出が抑制される。
【0146】
本実施形態において、露光装置EXは、管部材(回収部材)91を移動可能な駆動装置94を備えている。駆動装置94は、管部材91の位置を調整可能である。駆動装置94は、例えばZ軸方向に関する管部材91(回収口90)の位置を調整可能である。これにより、第2空間SP2における液体LQの表面の位置が調整される。
【0147】
また、駆動装置94を用いて、例えば光路K(終端光学素子12の光軸)に対する放射方向に関する回収口90の位置が調整されてもよい。また、駆動装置94を用いて、XY平面内における回収口90の位置が調整されてもよいし、θX、θY、θZ方向における回収口90の位置(向き)が調整されてもよい。
【0148】
なお、駆動装置94が省略されてもよい。なお、管部材91(回収口90)が移動可能でなくてもよい。
【0149】
次に、本実施形態に係る露光装置EXの動作の一例について説明する。露光前の基板Pが基板保持部31に保持され、基板P(基板ステージ2)上に液浸空間LSが形成される。制御装置8は、基板Pの露光処理を開始する。
【0150】
本実施形態においては、基板Pの露光処理において、回収口90からの回収動作が継続される(連続的に実行される)。例えば、回収口90に液体LQが接触しない場合(液体LQの表面の位置が回収口90の位置よりも低い場合)、回収口90から気体が回収(吸引)されてもよい。
【0151】
なお、回収口90からの回収動作が、断続的に実行されてもよい。なお、例えば、回収口90に液体LQが接触しない場合(液体LQの表面の位置が回収口90の位置よりも低い場合)、回収口90からの回収動作(吸引動作)が停止されてもよい。なお、例えば回収口90又はその近傍に、液体LQを検出可能なセンサを配置し、そのセンサが液体LQを検出したときに、回収口90からの液体LQの回収動作が実行されてもよい。一方、そのセンサが液体LQを検出しないときに、回収口90からの液体LQの回収動作が停止されてもよい。
【0152】
<第5実施形態>
次に、第5実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0153】
図7は、第5実施形態に係る露光装置EXの一例を示す図である。図8は、図7の一部を拡大した図である。図7及び図8において、露光装置EXは、終端光学素子12と、終端光学素子12の第1面51との間で第1空間SP1の液体LQの少なくとも一部が流入可能な第2空間SP2を形成する第2面52を有する液浸部材7Dと、少なくとも一部が第1面51と第2面52との間に配置され、第2空間SP2の液体LQの少なくとも一部を回収する回収口95を有する回収部材96とを備えている。
【0154】
回収口95は、第1空間SP1よりも上方において、第2空間SP2に面するように配置される。回収口95は、第2空間SP2の液体LQの少なくとも一部を回収して、第2空間SP2における液体LQの表面の位置を調整する。
【0155】
本実施形態において、第2空間SP2は、周囲の雰囲気(空間102)に開放されている。
【0156】
本実施形態において、回収部材96は、多孔部材を含む。以下の説明において、回収部材96を適宜、多孔部材96、と称する。
【0157】
多孔部材96は、複数の孔を有する。液体LQは、多孔部材96の孔を流れることができる。回収口95は、多孔部材96の孔(孔の先端の開口)を含む。
【0158】
多孔部材96(多孔部材96の孔)は、管部材97が有する内部流路98を介して液体回収装置99と接続されている。液体回収装置99が作動することによって、内部流路98が負圧になる。これにより、多孔部材96は、その多孔部材96に接触した液体LQを回収することができる。
【0159】
本実施形態において、多孔部材96の表面は、第2空間SP2の液体LQの表面が対向可能な下面96A、外側面51Aが対向する第1側面96B、下面51Bが対向する上面96C、及び管部材97に接続される第2側面96Dを含む。下面96A、第1側面96B、及び上面96Cは、第2空間SP2に面する。第2側面96Dの少なくとも一部は、内部流路98に面する。多孔部材96の孔は、下面96A、第1側面96B、上面96C、及び第2側面96Dのそれぞれに複数存在する。多孔部材96は、下面96Aに接触した第2空間SP2の液体LQを、その下面96Aの回収口95(多孔部材96の孔)から回収することができる。また、多孔部材96は、第1側面96Bに接触した第2空間SP2の液体LQを、その第1側面96Bの回収口95(多孔部材96の孔)から回収することができる。また、多孔部材96は、上面96Cに接触した第2空間SP2の液体LQを、その上面96Cの回収口95(多孔部材96の孔)から回収することができる。多孔部材96の回収口95から回収された第2空間SP2の液体LQは、多孔部材96の第2側面96Dの孔から、内部流路98に流入する。
【0160】
本実施形態において、多孔部材96は、供給口15よりも上方に配置されている。また、本実施形態においては、多孔部材96の下面96Aは、液浸部材7Dの上面52Bとほぼ同じ位置(高さ)に配置されている。なお、多孔部材96の下面96Aが、上面52Bよりも下方に配置されてもよいし、上方に配置されてもよい。
【0161】
液体回収装置99は、制御装置8に制御される。制御装置8は、第2空間SP2の液体LQの流出が抑制されるように、液体回収装置99を制御して、回収口95からの液体LQの回収を実行する。
【0162】
例えば、第2空間SP2の液体LQの表面の位置(高さ、液位)が上昇すると、その液体LQは、回収口95(多孔部材96)に接触する。回収口95は、その接触した液体LQを回収可能である。本実施形態において、回収口95(多孔部材96)は、所定の位置(高さ)に配置されている。回収口95から第2空間SP2の液体LQの少なくとも一部の回収が実行されることによって、第2空間SP2の液体LQの表面の位置が回収口95よりも高い位置に配置されないように、第2空間SP2における液体LQの表面の位置が調整される。これにより、第2空間SP2の液体LQの流出が抑制される。
【0163】
なお、本実施形態において、回収部材96が移動可能でもよい。例えば、回収部材96を移動可能な駆動装置が配置されてもよい。なお、駆動装置が配置されなくてもよいし、回収部材96が移動可能でなくてもよい。
【0164】
本実施形態においても、液体LQの流出を抑制することができる。
【0165】
なお、上述の第3〜第5実施形態においては、液浸部材7C、7D、7Dがプレート部を有することとしたが、例えば第2実施形態で説明した液浸部材7Bのように、プレート部がなくてもよい。
【0166】
なお、上述の第1〜第5実施形態において、液浸部材(7等)は、環状の部材でなくてもよい。例えば、液浸部材7(7等)、終端光学素子12の周囲の一部、及び光路Kの周囲の一部に配置されていてもよい。また、液浸部材(7等)が、終端光学素子12の周囲の少なくとも一部に配置されていなくてもよい。例えば、液浸部材(7等)が、射出面13から射出される露光光ELの光路Kの周囲の少なくとも一部に配置され、終端光学素子12の周囲に配置されていなくてもよい。また、液浸部材(7等)が、射出面13から射出される露光光ELの光路Kの周囲の少なくとも一部に配置されていなくてもよい。例えば、液浸部材(7等)が、終端光学素子12の周囲の少なくとも一部に配置され、射出面13から射出される露光光ELの光路Kの周囲に配置されていなくてもよい。
【0167】
なお、上述の各実施形態においては、供給口15が液浸部材7に配置されることとしたが、例えば保持部材3に供給口15が配置されてもよい。第2空間SP2に面する保持部材3の表面の所定位置に供給口15を設けることによっても、液浸空間LSを形成することができる。なお、液浸部材7及び保持部材3の両方に供給口15を設けてもよい。
【0168】
なお、上述の各実施形態において、「光路Kに対する放射方向」は、投影領域PR近傍における投影光学系PLの光軸に対する放射方向とみなしてもよい。
【0169】
なお、上述したように、制御装置8は、CPU等を含むコンピュータシステムを含む。また、制御装置8は、コンピュータシステムと外部装置との通信を実行可能なインターフェースを含む。記憶装置100は、例えばRAM等のメモリ、ハードディスク、CD−ROM等の記録媒体を含む。記憶装置100には、コンピュータシステムを制御するオペレーティングシステム(OS)がインストールされ、露光装置EXを制御するためのプログラムが記憶されている。
【0170】
なお、制御装置8に、入力信号を入力可能な入力装置が接続されていてもよい。入力装置は、キーボード、マウス等の入力機器、あるいは外部装置からのデータを入力可能な通信装置等を含む。また、液晶表示ディスプレイ等の表示装置が設けられていてもよい。
【0171】
記憶装置100に記録されているプログラムを含む各種情報は、制御装置(コンピュータシステム)8が読み取り可能である。記憶装置100には、制御装置8に、露光液体LQを介して露光光ELで基板Pを露光する露光装置EXの制御を実行させるプログラムが記録されている。
【0172】
記憶装置100に記録されているプログラムは、上述の実施形態に従って、制御装置8に、射出面13の周囲に配置される終端光学素子12の第1面51と終端光学素子12の周囲の少なくとも一部に配置される液浸部材7の第2面52との間に形成され、第1空間SP1の液体LQの少なくとも一部が流入可能な第2空間SP2の圧力変動を抑制する処理と、第1空間SP1の液体LQを介して基板Pを露光する処理と、を実行させてもよい。
【0173】
また、記憶装置100に記録されているプログラムは、上述の実施形態に従って、制御装置8に、射出面13の周囲に配置される終端光学素子12の第1面51と終端光学素子12の周囲の少なくとも一部に配置される液浸部材7の第2面52との間に形成され、第1空間SP1の液体LQの少なくとも一部が流入可能な第2空間SP2に面するように配置された回収部材の回収口から、第2空間SP2の液体LQの少なくとも一部を回収して、第2空間SP2における液体LQの表面の位置を調整する処理と、第1空間SP1の液体LQを介して基板Pを露光する処理と、を実行させてもよい。
【0174】
記憶装置100に記憶されているプログラムが制御装置8に読み込まれることにより、基板ステージ2、及び液浸部材7等、露光装置EXの各種の装置が協働して、液浸空間LSが形成された状態で、基板Pの液浸露光等、各種の処理を実行する。
【0175】
なお、上述の各実施形態においては、投影光学系PLの終端光学素子12の射出側(像面側)の光路が液体LQで満たされているが、例えば国際公開第2004/019128号パンフレットに開示されているように、終端光学素子12の入射側(物体面側)の光路も液体LQで満たされる投影光学系PLを採用することができる。
【0176】
なお、上述の各実施形態においては、液体LQとして水を用いているが、水以外の液体であってもよい。液体LQとしては、露光光ELに対して透過性であり、露光光ELに対して高い屈折率を有し、投影光学系PLあるいは基板Pの表面を形成する感光材(フォトレジスト)などの膜に対して安定なものが好ましい。例えば、液体LQとして、ハイドロフロロエーテル(HFE)、過フッ化ポリエーテル(PFPE)、フォンブリンオイル等を用いることも可能である。また、液体LQとして、種々の流体、例えば、超臨界流体を用いることも可能である。
【0177】
なお、上述の各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
【0178】
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
【0179】
さらに、ステップ・アンド・リピート方式の露光において、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第1パターンの縮小像を基板P上に転写した後、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第2パターンの縮小像を第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光してもよい(スティッチ方式の一括露光装置)。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
【0180】
また、例えば米国特許第6611316号明細書に開示されているように、2つのマスクのパターンを、投影光学系を介して基板上で合成し、1回の走査露光によって基板上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置などにも本発明を適用することができる。また、プロキシミティ方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナーなどにも本発明を適用することができる。
【0181】
また、上述の各実施形態において、露光装置EXが、米国特許第6341007号明細書、米国特許第6208407号明細書、米国特許第6262796号明細書等に開示されているような、複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置でもよい。その場合、終端光学素子12との間で液浸空間LSを形成可能な物体は、複数の基板ステージの少なくとも一つを含む。
【0182】
また、上述の各実施形態において、露光装置EXが、例えば米国特許第6897963号明細書、及び欧州特許出願公開第1713113号明細書等に開示されているような、基板ステージと、基板を保持せずに、計測器(計測部材)を搭載する計測ステージとを備えた露光装置でもよい。その場合、終端光学素子12との間で液浸空間LSを形成可能な物体は、基板ステージ及び計測ステージの少なくとも一つを含む。
【0183】
また、上述の各実施形態において、露光装置EXが、複数の基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置でもよい。
【0184】
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
【0185】
なお、上述の各実施形態においては、レーザ干渉計を含む干渉計システムを用いて各ステージの位置情報を計測するものとしたが、これに限らず、例えば各ステージに設けられるスケール(回折格子)を検出するエンコーダシステムを用いてもよい。
【0186】
なお、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6778257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する可変成形マスク(電子マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれる)を用いてもよい。また、非発光型画像表示素子を備える可変成形マスクに代えて、自発光型画像表示素子を含むパターン形成装置を備えるようにしても良い。
【0187】
上述の各実施形態においては、投影光学系PLを備えた露光装置を例に挙げて説明してきたが、投影光学系PLを用いない露光装置及び露光方法に本発明を適用することができる。例えば、レンズ等の光学部材と基板との間に液浸空間を形成し、その光学部材を介して、基板に露光光を照射することができる。
【0188】
また、例えば国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞を基板P上に形成することによって、基板P上にライン・アンド・スペースパターンを露光する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
【0189】
上述の実施形態の露光装置EXは、各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0190】
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図9に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、上述の実施形態に従って、マスクのパターンからの露光光で基板を露光すること、及び露光された基板を現像することを含む基板処理(露光処理)を含む基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
【0191】
なお、上述の各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態及び変形例で引用した露光装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【符号の説明】
【0192】
2…基板ステージ、6…バッファ装置、7…液浸部材、8…制御装置、12…終端光学素子、13…射出面、14…下面、15…供給口、16…回収口、30…シール部材、60…バッファ空間、61…弾性部材、80…圧力調整装置、84…検出装置、90…回収口、91…回収部材、95…回収口、96…回収部材、100…記憶装置、171…供給流路、EL…露光光、EX…露光装置、LQ…液体、LS…液浸空間、P…基板、SP1…第1空間、SP2…第2空間、SP3…第3空間、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を介して露光光で基板を露光する露光装置であって、
前記露光光が射出される射出面を有し、物体と前記射出面との間に液体が保持される第1空間を形成する光学部材と、
前記光学部材の周囲の少なくとも一部に配置され、前記射出面の周囲に配置される前記光学部材の第1面との間で前記第1空間の液体の少なくとも一部が流入可能な第2空間を形成する第2面を有する液浸部材と、
前記第2空間の圧力変動を抑制するバッファ装置と、を備える露光装置。
【請求項2】
前記第1面及び前記第2面のそれぞれに接触するように配置される環状部材を備え、
前記第2空間は、前記環状部材よりも前記射出面側の空間を含む請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記バッファ装置は、前記第2空間に通じるバッファ空間を有する請求項1又は2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記液浸部材が、前記バッファ空間を有する請求項3に記載の露光装置。
【請求項5】
前記バッファ装置は、前記バッファ空間の少なくとも一部を形成する弾性部材を含む請求項3又は4に記載の露光装置。
【請求項6】
前記第1空間に送られる前記液体を供給する供給口を備え、
前記バッファ空間の少なくとも一部を介して、前記供給口に前記液体が供給される請求項3〜5のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項7】
前記バッファ装置は、前記バッファ空間に接続され、前記バッファ空間を介して前記第2空間の圧力を調整する圧力調整装置を含む請求項3〜6のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項8】
前記バッファ装置は、前記第2空間の圧力を調整する圧力調整装置を含む請求項1又は2に記載の露光装置。
【請求項9】
前記第2空間の圧力を検出する検出装置を備え、
前記検出装置の検出結果に基づいて、前記圧力調整装置が制御される請求項7又は8に記載の露光装置。
【請求項10】
前記第1空間に送られる前記液体を供給する供給口と、
少なくとも一部が弾性部材で形成され、前記供給口に送られる前記液体が流れる供給流路と、を備える請求項1〜9のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項11】
前記第1空間よりも上方において前記第2空間に面するように配置され、前記第2空間の液体の少なくとも一部を回収して、前記第2空間における前記液体の表面の位置を調整する第1回収口を備える請求項1〜10のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項12】
少なくとも一部が前記第1面と前記第2面との間に配置される回収部材を備え、
前記回収部材が、前記第1回収口を有する請求項11に記載の露光装置。
【請求項13】
液体を介して露光光で基板を露光する露光装置であって、
前記露光光が射出される射出面を有し、物体と前記射出面との間に液体が保持される第1空間を形成する光学部材と、
前記光学部材の周囲の少なくとも一部に配置され、前記射出面の周囲に配置される前記光学部材の第1面との間で前記第1空間の液体の少なくとも一部が流入可能な第2空間を形成する第2面を有する液浸部材と、
少なくとも一部が前記第1面と前記第2面との間に配置され、前記第2空間の液体の少なくとも一部を回収する第1回収口を有する回収部材と、を備える露光装置。
【請求項14】
前記第1回収口は、前記第1空間よりも上方において前記第2空間に面するように配置され、前記第2空間の液体の少なくとも一部を回収して、前記第2空間における前記液体の表面の位置を調整する請求項13に記載の露光装置。
【請求項15】
前記回収部材は、移動可能である請求項12〜14のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項16】
前記回収部材は、管部材を含み、
前記第1回収口は、前記管部材の先端の開口を含む請求項12〜15のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項17】
前記回収部材は、多孔部材を含み、
前記第1回収口は、前記多孔部材の孔を含む請求項12〜16のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項18】
前記第1面は、前記射出面から射出される前記露光光の光路に対する放射方向に関して外側に向かって上方へ傾斜する第1部分と、前記第1部分の周囲の少なくとも一部に配置され、前記第1部分と異なる方向を向く第2部分とを含む請求項1〜17のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項19】
前記第2空間は、周囲の雰囲気に開放される請求項1〜18のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項20】
前記物体との間で液体を保持可能な保持面を有し、
前記第1面と前記第2面との距離は、前記物体の表面と前記保持面との距離よりも大きい請求項1〜19のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項21】
前記液浸部材において前記物体が対向可能な位置に配置され、前記物体上の前記液体を回収可能な第2回収口を有する請求項1〜20のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか一項に記載の露光装置を用いて基板を露光することと、
露光された前記基板を現像することと、を含むデバイス製造方法。
【請求項23】
露光光が射出される光学部材の射出面と物体との間の第1空間に液体を保持する液体保持方法であって、
前記射出面の周囲に配置される前記光学部材の第1面と前記光学部材の周囲の少なくとも一部に配置される液浸部材の第2面との間に形成され、前記第1空間の液体の少なくとも一部が流入可能な第2空間の圧力変動を抑制することを含む液体保持方法。
【請求項24】
露光光が射出される光学部材の射出面と物体との間の第1空間に液体を保持する液体保持方法であって、
前記射出面の周囲に配置される前記光学部材の第1面と前記光学部材の周囲の少なくとも一部に配置される液浸部材の第2面との間に形成され、前記第1空間の液体の少なくとも一部が流入可能な第2空間に面するように配置された回収部材の回収口から、前記第2空間の液体の少なくとも一部を回収して、前記第2空間における前記液体の表面の位置を調整することを含む液体保持方法。
【請求項25】
請求項23又は24に記載の液体保持方法で前記第1空間に液体を保持することと、
前記第1空間の液体を介して前記射出面からの前記露光光で基板を露光することと、
露光された前記基板を現像することと、を含むデバイス製造方法。
【請求項26】
コンピュータに、露光光が射出される光学部材の射出面と基板との間の第1空間に保持された液体を介して前記射出面からの前記露光光で前記基板を露光する露光装置の制御を実行させるプログラムであって、
前記射出面の周囲に配置される前記光学部材の第1面と前記光学部材の周囲の少なくとも一部に配置される液浸部材の第2面との間に形成され、前記第1空間の液体の少なくとも一部が流入可能な第2空間の圧力変動を抑制することと、
前記第1空間の液体を介して前記基板を露光することと、を実行させるプログラム。
【請求項27】
コンピュータに、露光光が射出される光学部材の射出面と基板との間の第1空間に保持された液体を介して前記射出面からの前記露光光で前記基板を露光する露光装置の制御を実行させるプログラムであって、
前記射出面の周囲に配置される前記光学部材の第1面と前記光学部材の周囲の少なくとも一部に配置される液浸部材の第2面との間に形成され、前記第1空間の液体の少なくとも一部が流入可能な第2空間に面するように配置された回収部材の回収口から、前記第2空間の液体の少なくとも一部を回収して、前記第2空間における前記液体の表面の位置を調整することと、
前記第1空間の液体を介して前記基板を露光することと、を実行させるプログラム。
【請求項28】
請求項26又は27に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−174733(P2012−174733A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32468(P2011−32468)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】