説明

露光装置の製造方法

【課題】露光部材と、感光ドラムの表面との間隔を容易に調整することができる露光装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】
各LED40から出射される光Lの焦点FにCCDセンサ64を配置させて、第1焦点位置群G1(光軸方向(上下方向)に投影したときの各LED40の焦点Fの集合)と、第2焦点位置群G2(直交方向(前後方向)に投影したときの各LED40の焦点Fの集合)とを測定し、測定された第1焦点位置群G1および第2焦点位置群G2のそれぞれと、感光ドラム15の表面を想定する仮想面との、光軸方向における間隔(各Z座標(ZL1)、(ZL2)、(ZR1)および(ZR2)の絶対値)に基づいて計算される調整距離(調整距離DL、DR)の分、LEDヘッド31を、その直交方向における位置を維持しつつ光軸方向に移動させて、LEDヘッド31と仮想面との距離を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置の製造方法、詳しくは、電子写真方式が採用される画像形成装置に用いられる露光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置として、各色に対応して装置本体内に並列配置される4つの感光ドラムと、各感光ドラムに対応して設けられるLEDヘッドとを備え、LEDヘッドからの光によって感光ドラムの表面を露光するLED露光方式のカラープリンタが知られている。
【0003】
このようなLED露光方式のカラープリンタでは、LEDヘッドからの光を感光ドラムの表面で結像させるために、LEDヘッドの感光ドラムに対する相対配置が調整されている。
【0004】
例えば、LEDなどの発光素子を有するラインヘッド(発光素子アレイ、レンズアレイおよび発光素子支持部材)の感光体に対する相対配置を、感光体に対して近接または離間させるように調整するとともに、副走査方向(感光体の回転方向)に調整する方法が提案されている(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−83467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、上記した特許文献1に記載の方法では、ラインヘッドを、感光体に対して近接または離間する方向と、副走査方向との2方向に移動させて、その感光体に対する相対配置を調整している。
【0007】
そのため、ラインヘッドを感光ドラムに対して位置調整するには、感光体に対して近接または離間する方向における相対配置と、副走査方向における相対配置とを交互に微調整することとなる。
【0008】
その結果、ラインヘッドの感光ドラムに対する位置調整が煩雑になるという不具合がある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、露光部材と、感光ドラムの表面との間隔を容易に調整することができる露光装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記した課題を解決するため、本発明の露光装置の製造方法は、画像形成装置において感光ドラムを露光するために用いられ、感光ドラムの軸線方向に沿って並列配置される複数の発光素子を有する露光部材を備える露光装置の製造方法である。
【0011】
本発明の露光装置の製造方法は、焦点位置群測定工程と、ズレ量計算工程と、調整距離計算工程と、調整工程とを含む。
【0012】
焦点位置群測定工程では、各発光素子から出射される光の焦点に検知部材を配置させて、検知部材により、光の光軸方向における各発光素子の焦点位置の集合としての第1焦点位置群と、光軸方向および軸線方向の両方と直交する直交方向における各発光素子の焦点位置の集合としての第2焦点位置群とを測定する。
【0013】
また、ズレ量計算工程では、測定された第1焦点位置群および第2焦点位置群のそれぞれと、感光ドラムの表面を想定する仮想面との、光軸方向における間隔を計算する。
【0014】
また、調整距離計算工程では、計算された間隔に基づいて、光軸方向における露光部材の調整距離を、焦点が仮想面と一致するように計算する。
【0015】
また、調整工程では、露光部材を、その直交方向における位置を維持しつつ、計算された調整距離の分、光軸方向に移動させて、露光部材と仮想面との距離を調整する。
【0016】
この露光装置の製造方法によれば、ズレ量計算工程において、第1焦点位置群と仮想面との光軸方向におけるズレ量(間隔)と、第2焦点位置群と仮想面との光軸方向におけるズレ量(間隔)とを計算し、調整距離計算工程において、それらを合算して得られる各発光素子の焦点位置と仮想面とのズレ量に基づいて、光軸方向における露光部材の調整距離を計算している。
【0017】
これにより、調整工程において、予め計算された調整距離に基づいて、露光部材を、直交方向における位置を維持しつつ、光軸方向へ移動させて、露光部材と仮想面との距離を調整することができる。
【0018】
そのため、直交方向および光軸方向の両方に移動させて、露光部材と、感光ドラムの表面との間隔を調整する場合と比べて、露光部材と、感光ドラムの表面との間隔を容易に調整することができる。
(2)ズレ量計算工程は、第1焦点位置群の近似直線としての第1近似直線を計算し、仮想面と第1近似直線との光軸方向における第1間隔を計算する工程と、第2焦点位置群の近似直線としての第2近似直線を計算し、仮想面と第2近似直線との前記光軸方向における第2間隔を計算する工程とを含んでもよい。この場合、調整距離計算工程において、第1間隔と第2間隔とを加算または減算することにより、調整距離を計算してもよい。
【0019】
この場合には、第1間隔と第2間隔とを簡易に求めることができる。
【0020】
そのため、それらを加算または減算することにより、容易に調整距離を計算することができる。
(3)ズレ量計算工程は、仮想面と第1焦点位置群との光軸方向における第3間隔を計算する工程と、仮想面と第2焦点位置群との光軸方向における第4間隔を計算する工程と、第3距離と第4距離とを加算または減算することにより、第3焦点位置群を算出する工程とを含んでもよい。この場合、調整距離計算工程において、第3焦点位置群の近似直線としての第3近似直線を計算し、仮想面と第3近似直線との光軸方向における第5間隔を調整距離としてもよい。
【0021】
この場合には、第3間隔および第4間隔を加算または減算した上で、第3近似直線を計算することができる。
【0022】
そのため、精度よく、調整距離を計算することができる。
(4)また、調整工程において、調整距離に相当する光軸方向長さを調整する間隔調整部材を、露光部材に設けてもよい。
【0023】
この場合には、露光部材の感光ドラムに対する相対配置を、露光部材と仮想面との距離を調整した状態で保持することができる。
(5)また、露光部材は、複数の発光素子を有する発光素子集合体を、並列方向に沿って複数備えていてもよい。この場合、焦点位置群測定工程において、検知部材は、各発光素子集合体の並列方向両端に配置される発光素子の焦点を検知してもよい。
【0024】
この場合には、全ての発光素子の焦点を検知することなく、効率よく、第1焦点位置群と第2焦点位置群とを測定することができる。
(6)また、露光装置は、さらに、各発光素子の第1焦点位置群と第2焦点位置群とを予め記憶する記憶手段を備えていてもよい。
【0025】
この場合、本発明の露光装置の製造方法は、ズレ量計算工程と、調整距離計算工程と、調整工程とを含み、ズレ量計算工程において、記憶手段に記憶されている第1焦点位置群および第2焦点位置群のそれぞれと、感光ドラムの表面を想定する仮想面との、発光素子からの光の光軸方向における間隔を計算する。
【0026】
この場合には、予め記憶装置に記憶された第1焦点位置群と第2焦点位置群とを利用して調整距離を計算することができる。
【0027】
そのため、焦点位置群測定工程を省略して、効率よく、露光装置を製造することができる。
(7)また、記憶手段は、光軸方向における露光部材の調整距離を予め記憶していてもよい。
【0028】
この場合、本発明の露光装置の製造方法は、調整工程を含み、調整工程において、露光部材を、その直交方向における位置を維持しつつ、記憶手段に記憶された調整距離の分、光軸方向に移動させて、露光部材と仮想面との距離を調整する。
【0029】
この場合には、予め記憶装置に記憶された調整距離を利用して露光部材と仮想面との距離を調整することができる。
【0030】
そのため、焦点位置群測定工程、ズレ量計算工程および調整距離計算工程を省略して、より効率よく、露光装置を製造することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の露光装置の製造方法によれば、露光部材と、感光ドラムの表面との間隔を容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】LEDユニットを備えるカラープリンタを示す断面図である。
【図2】図1に示すLEDユニットの正面図である。
【図3】LEDアレイの底面図である。
【図4】図1に示すLEDユニットによる感光ドラム表面の露光を説明する説明図である。
【図5】図4に示す感光ドラム表面の露光において、感光ドラム表面上の基準点と、LEDの焦点との前後方向における位置ずれを説明する説明図であって、(a)は、露光の様子を示す右側面図であり、(b)は、第1焦点位置群の模式図である。
【図6】図4に示す感光ドラム表面の露光において、感光ドラム表面上の基準点と、LEDの焦点との光軸方向における位置ずれを説明する説明図である。
【図7】本発明のLEDユニットの製造方法における焦点位置測定工程を説明する説明図であって、(a)は、焦点位置を測定する測定装置の斜視図である。(b)は、LEDユニットが載置された測定装置の側面図である。
【図8】本発明のLEDユニットの製造方法の第2実施形態を説明する説明図であって、ズレ量計算工程において、第3間隔を計算する工程を説明する説明図である。
【図9】図8に続き、本発明のLEDユニットの製造方法の第2実施形態を説明する説明図であって、ズレ量計算工程において、第3焦点位置群を算出する工程を説明する説明図である。
【図10】図9に続き、本発明のLEDユニットの製造方法の第2実施形態を説明する説明図であって、調整距離計算工程において、第3近似直線を計算して、調整距離計算する工程を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
1.カラープリンタの全体構成
図1に示すように、画像形成装置の一例としてのカラープリンタ1は、横置きタイプのダイレクトタンデム型カラープリンタである。
【0034】
なお、以下の説明において、方向について言及する場合には、カラープリンタ1を水平に載置した状態を基準として、図1における紙面左側を前側とし、図1における紙面右側を後側とする。また、カラープリンタ1を前側から見たときを左右の基準とする。すなわち、図1の紙面手前側が右側であり、紙面奥側が左側である。
【0035】
カラープリンタ1は、本体ケーシング2内において、用紙Sを給紙するための給紙部3と、給紙された用紙Sに画像を形成するための画像形成部4とを備えている。
(1)本体ケーシング
本体ケーシング2は、給紙部3および画像形成部4を収容する側面視略矩形状のボックス形状に形成されている。本体ケーシング2の上端部には、各プロセスカートリッジ11(後述)を着脱するための本体開口部5が形成されている。また、本体ケーシング2の上端部には、本体開口部5を開閉するトップカバー6が、その後端部を支点として揺動可能に設けられている。
(2)給紙部
給紙部3は、用紙Sを収容する給紙トレイ7を備えている。給紙トレイ7は、本体ケーシング2の底部に着脱自在に装着されている。給紙トレイ7の前端部上側には、ピックアップローラ8と、1対の給紙ローラ9とが設けられている。また、両給紙ローラ9の上側には、1対のレジストローラ10が設けられている。
【0036】
給紙トレイ7に収容されている用紙Sは、ピックアップローラ8、両給紙ローラ9の回転により、両レジストローラ10間に向けて1枚ずつ給紙され、所定のタイミングで、画像形成部4(感光ドラム15(後述)と搬送ベルト19(後述)との間)に向けて搬送される。
(3)画像形成部
画像形成部4は、各色に対応するプロセスカートリッジ11、露光装置の一例としてのLEDユニット12、転写ユニット13および定着ユニット14を備えている。
(3−1)プロセスカートリッジ
各プロセスカートリッジ11は、給紙部3の上側において、互いに前後方向に沿って間隔を隔てて並列配置されている。また、各プロセスカートリッジ11は、感光ドラム15および現像ローラ16を備えている。
【0037】
感光ドラム15は、左右方向に長手の円筒形状に形成されており、プロセスカートリッジ11に回転可能に設けられている。なお、感光ドラム15の後側には、スコロトロン型帯電器(図示せず)が間隔を隔てて対向配置されている。
【0038】
現像ローラ16は、感光ドラム15に対して前上側から接触されるように、回転可能に支持されている。
(3−2)LEDユニット
各LEDユニット12は、対応するプロセスカートリッジ11の後上側において、対応する感光ドラム15に上側から対向するように設けられている。各LEDユニット12は、所定の画像データに基づいて、対応する感光ドラム15の表面を露光する。
(3−3)転写ユニット
転写ユニット13は、給紙部3の上側であって、各プロセスカートリッジ11の下側に、前後方向に沿って配置されている。転写ユニット13は、互いに前後方向に間隔を隔てて対向配置される駆動ローラ17および従動ローラ18と、各感光ドラム15に対して下側から対向され、その上側部分が各感光ドラム15と接触するように、駆動ローラ17および従動ローラ18の周りに掛け渡される搬送ベルト19とを備えている。搬送ベルト19は、駆動ローラ17の駆動により、各感光ドラム15と接触する上側部分が前側から後側に向かって移動するように、周回移動されている。
【0039】
なお、転写ユニット13は、搬送ベルト19の上側部分を挟んで各感光ドラム15に対向する4つの転写ローラ20を備えている。
(3−4)定着ユニット
定着ユニット14は、転写ユニット13の後側に配置され、加熱ローラ22、および、加熱ローラ22に圧接される加圧ローラ21を備えている。
(4)画像形成動作
各感光ドラム15の表面は、スコロトロン型帯電器(図示せず)によって一様に帯電された後、LEDユニット12によって露光される。これにより、各感光ドラム15の表面には、画像データに基づく静電潜像が形成される。そして、現像ローラ16に担持されるトナーが各感光ドラム15の表面上の静電潜像に供給されることにより、感光ドラム15の表面上にトナー像(現像剤像)が担持される。
【0040】
一方、給紙部3から給紙された用紙Sは、搬送ベルト19によって、前側から後側に向かって搬送される。用紙Sには、各感光ドラム15と各転写ローラ20との間(転写位置)を通過するときに各色のトナー像が順次転写され、カラー画像が形成される。
【0041】
そして、転写ユニット13において用紙Sに転写されたカラー画像は、用紙Sが加熱ローラ22と加圧ローラ21との間を通過するときに、加熱および加圧されることによって用紙Sに熱定着される。
【0042】
その後、用紙Sは、前上側へUターンするように搬送されて、トップカバー6に設けられる排紙トレイ23に排紙される。
2.LEDユニット
(1)LEDユニットの構成
LEDユニット12は、図2に示すように、露光部材の一例としてのLEDヘッド31と、支持フレーム32と、間隔調整部材の一例としての左右1対の偏心カム33と、左右1対のガイドローラ34と、左右1対の線ばね41とを備えている。
【0043】
LEDヘッド31は、左右方向に長手の略ボックス形状に形成され、筐体36と、筐体36内に収容されるLEDアレイ35と、筺体36の下端部においてLEDアレイ35に対向配置されるレンズアレイ38と、筐体36の上端部を閉鎖する蓋部材37とを備えている。
【0044】
筐体36は、左右方向に延び、上側および下側が開放された略矩形枠形状に形成されている。
【0045】
LEDアレイ35は、図3に示すように、左右方向に延びる平面視略矩形平板形状に形成されている。LEDアレイ35は、左右方向に延びる回路基板30上に複数の発光素子集合体の一例としてのLEDチップ39を備えている。なお、LEDアレイ35には、回路基板30の右端部において、図示しないCPUに電気的に接続される帯状のハーネス43が設けられている。LEDアレイ35には、ハーネス43を介してCPUから画像データに応じた信号が送信される。
【0046】
各LEDチップ39は、平面視略矩形平板形状に形成されており、互いに左右方向に間隔を隔てて並列配置されている。また、各LEDチップ39は、複数の発光素子の一例としてのLED40を備えている。なお、各LEDチップ39は、それらの相対配置において、前後方向に互いにわずかに誤差を有している。
【0047】
各LED40は、所定の画素ピッチに応じて左右方向に沿って並列配置されている。各LED40は、CPU(図示せず)からの信号に基づいて、選択的に駆動されて、感光ドラム15に向かって光を出射する。
【0048】
レンズアレイ38は、LEDアレイ35と同じ左右方向長さで左右方向に延びる略杆状に形成されている。レンズアレイ38には、複数の屈折率分布型レンズ(例えば、セルフォック(登録商標))が、LEDアレイ35のLED40に対応して左右方向に並列配置されている。レンズアレイ38は、各LED40から出射された光を感光ドラム15の表面に結像させる。
【0049】
支持フレーム32は、図2に示すように、左右方向に延びる正面視略矩形平板形状に形成されている。支持フレーム32には、左右1対の脚部46と、左右1対の位置決めボス47と、左右1対のカム支持部48(図2拡大図参照)と、左右1対のばね支持ボス42とが設けられている。
【0050】
両脚部46は、支持フレーム32の左右方向両端部の下端部から、感光ドラム15に向かって下側へ延びる略杆形状に形成されており、互いに、LEDヘッド31の左右方向長さよりも長い左右方向間隔を隔てて対向配置されている。
【0051】
両位置決めボス47は、互いに左右方向に間隔を隔てるように、それぞれ、脚部46の左右方向内側に間隔を隔てて配置されている。また、両位置決めボス47は、支持フレーム32の左右方向両端部の下端部から、感光ドラム15に向かって下側へ延びる略円筒形状に形成されている。
【0052】
両カム支持部48は、それぞれ、左右方向において、位置決めボス47と脚部46との間に配置されている。また、両カム支持部48は、支持フレーム32の下端部から、感光ドラム15に向かって下側へ延びる略杆形状に形成されている。
【0053】
両ばね支持ボス42は、互いに左右方向に間隔を隔てるように、それぞれ、カム支持部48の上側に配置されている。両ばね支持ボス42は、支持フレーム32の前後方向両面から前後方向両側へ突出する略円筒形状に形成されている。
【0054】
両偏心カム33は、それぞれ、カム支持部48の下端部に回転可能に設けられている。両偏心カム33は、前後方向に延びる略円筒形状に形成されており、その中心軸線よりも径方向外側へずれた(偏心された)位置に設けられる回転軸49を中心に回転される。
【0055】
ガイドローラ34は、左右方向に厚みを有する略円板形状に形成されている。ガイドローラ34は、その中心軸線を共有するように左右方向に延びる回転軸50を介して、脚部46の下端部に回転可能に支持されている。ガイドローラ34は、感光ドラム15の左右方向両端部に当接される。
【0056】
そして、LEDヘッド31は、両脚部46間において、支持フレーム32の両位置決めボス47が、それぞれ、蓋部材37に設けられた位置決め穴45(図7(a)参照)に挿通され、蓋部材37の上面が両偏心カム33に当接されるように、支持フレーム32の下端部に配置され、線ばね41を介して支持フレーム32に支持されている。
(2)LEDユニットによる感光ドラムの露光
図4に示すように、LEDユニット12で感光ドラム15を露光すると、各LED40から感光ドラム15へ向かって出射された光Lが、レンズアレイ38によって感光ドラム15の表面に結像される。なお、図4において、光Lの焦点Fを明確に示すために、光Lを強調しているものであり、各光Lは、1つのLED40から出射された光を示すものとする。
【0057】
このとき、各光Lは、各LEDチップ39の前後方向に配置誤差に起因して、図5(a)および図6に示すように、感光ドラム15表面上の基準点P(LED40の露光目標である点)に対して、感光ドラム15の周方向(本実施形態では、前後方向と同じ方向。図5(a)参照)、および、LEDヘッド31と感光ドラム15との対向方向(本実施形態では、上下方向と同じ方向。図6参照)において、わずかにずれる場合がある。
【0058】
そこで、後で詳述するが、LEDユニット12の製造方法において、これらの各焦点Fの基準点Pからのずれを最小限とするように、LEDヘッド31の感光ドラム15に対する相対配置を調整する。
3.LEDユニットの組み立て
次いで、LEDユニット12の製造方法の第1実施形態について、説明する。
(1)焦点位置群の測定
LEDユニット12を製造するには、まず、第1焦点位置群G1(上下方向(光Lの光軸方向)に投影したときの各LED40の焦点Fの集合)と、第2焦点位置群G2(前後方向に投影したときの各LED40の焦点Fの集合)とを測定する(焦点位置群測定工程)。
【0059】
第1焦点位置群G1と第2焦点位置群G2とを測定するには、図7に示すように、LEDヘッド31をセンサユニット61で測定する。
【0060】
センサユニット61は、ベースユニット62を備えている。
【0061】
ベースユニット62は、正面視略L字形状に形成され、左右方向に延びる計測台65と、計測台65の右端部から上側へ突出する側壁66とを備えている。
【0062】
計測台65は、LEDヘッド31よりも長い前後方向長さおよび左右方向長さを有する略ボックス形状に形成されている。計測台65には、側壁66の左側において、左右方向に延びる凹部68が形成されている。
【0063】
凹部68は、計測台65の上端縁から下側へ向かって凹むように形成されている。凹部68は、LEDヘッド31の左右方向長さよりも少し短い左右方向長さに形成されている。
【0064】
そして、計測台65には、凹部68の底面において、検知部材の一例としてのCCDセンサ64が左右方向に移動可能に設けられている。CCDセンサ64は、解析装置63に電気的に接続されており、検知した画像データを解析装置63に送信する。
【0065】
また、センサユニット61は、LEDヘッド31を左右方向に位置決めする位置決め部材67を備えている。
【0066】
両位置決め部材67は、計測台65の上側において、互いに左右方向に間隔を隔てて設けられている、両位置決め部材67には、それぞれ、その下端部において、蓋部材37に設けられた位置決め穴45に挿通される挿通部71が設けられている。挿通部71は、位置決めボス47と同形状に形成されている。
【0067】
そして、LEDヘッド31をセンサユニット61で測定するには、LEDヘッド31を、その右端部を側壁66に当接させるように、計測台65の上に載置し、両位置決め部材67の挿通部71を、それぞれ、蓋部材37の位置決め穴45に挿通する。これにより、LEDヘッド31をセンサユニット61に対して位置固定する。
【0068】
そして、LEDアレイ35の所定のLED40(各LEDチップ39の左右方向両端に配置されるLED40)を点灯させて、CCDセンサ64を、各LED40の焦点Fを検知するように、前後方向、左右方向、および上下方向に移動させる。
【0069】
すると、各光Lの焦点FがCCDセンサ64で検知される。このとき、CCDセンサ64の前後方向、左右方向および上下方向への移動量は、各焦点Fの位置データとして、解析装置63に送信され、記録される。なお、以下の説明において、左右方向(軸線方向)をX方向、前後方向(直交方向)をY方向、上下方向(光軸方向)をZ方向とする場合がある。
【0070】
これにより、第1焦点位置群G1として、X−Y平面における各焦点Fの座標データを得る。なお、以下の説明において、X−Y平面におけるy=0の直線に各基準点Pが含まれると仮定する。
【0071】
また、同時に、第2焦点位置群G2として、X−Z平面における各焦点Fの座標データを得る。なお、以下の説明において、X−Z平面におけるz=0の直線に各基準点Pが含まれると仮定する。
(2)調整距離の計算
次いで、LEDユニット12を製造するには、LEDヘッド31の調整距離を計算する。
【0072】
LEDヘッド31の調整距離を計算するには、得られた第1焦点位置群G1および第2焦点位置群G2のそれぞれと、感光ドラム15の表面を想定する仮想面との、Z方向(光軸方向)における間隔を計算する(ズレ量計算工程)。
【0073】
なお、仮想面は、Y−Z平面において、原点(基準点P)を通過する円周の関数(fd:z=f(y))として定義される(図5(a)参照)。また、仮想面は、X−Z平面において、z=0の直線として定義される(図6参照)。
【0074】
第1焦点位置群G1と仮想面とのZ方向間隔を計算するには、まず、図5(b)に示すように、第1焦点位置群G1の近似直線としての第1近似直線L1を計算する。
【0075】
第1近似直線L1を計算するには、まず、第1焦点位置群G1を最小二乗法により線形回帰する。これにより、第1近似直線L1を、X−Y平面における一次関数(f1:y=f(x))として得る。
【0076】
次いで、得られた第1近似直線L1に、最も左側の焦点FのX座標(X)を代入して、第1近似直線L1の(X)におけるY座標(Y)を算出する。
【0077】
次いで、得られたY座標(Y)を仮想面の関数(fd)に代入し、左端部(X)における、仮想面上のZ座標(ZL1)を得る。このZ座標(ZL1)の絶対値が、仮想面と第1近似直線L1との左端部におけるZ方向間隔(第1間隔)である。
【0078】
同様にして、最も右側の焦点FのX座標(X)における(すなわち、右端部における)、仮想面上のZ座標(ZR1)を得る。このZ座標(ZR1)の絶対値が、仮想面と第1近似直線L1との右端部におけるZ方向間隔(第1間隔)である。
【0079】
また、第2焦点位置群G2と仮想面とのZ方向間隔を計算するには、まず、図6に示すように、第2焦点位置群G2の近似直線としての第2近似直線L2を計算する。
【0080】
第2近似直線L2を計算するには、まず、第2焦点位置群G2を最小二乗法により線形回帰する。これにより、第2近似直線L2を、X−Z平面における一次関数(f2:z=f(x))として得る。
【0081】
次いで、得られた第2近似直線L2に、最も左側の焦点FのX座標(X)を代入して、左端部(X)におけるZ座標(ZL2)を得る。このZ座標(ZL2)の絶対値が、仮想面(z=0)と第2近似直線L2との左端部におけるZ方向間隔(第2間隔)である。
【0082】
同様にして、最も右側の焦点FのX座標(X)における(すなわち、右端部における)Z座標(ZR2)を得る。このZ座標(ZR2)の絶対値が、仮想面(z=0)と第2近似直線L2との右端部におけるZ方向間隔(第2間隔)である。
【0083】
次いで、LEDヘッド31の左端部における調整距離DLを計算するには、左端部における各Z座標の値(ZL1)および(ZL2)を加算する(調整距離計算工程)。
【0084】
また、LEDヘッド31の右端部における調整距離DRを計算するには、右端部における各Z座標の値(ZR1)および(ZR2)を加算する(調整距離計算工程)。
(3)LEDヘッドの位置調整
次いで、LEDユニット12を製造するには、LEDヘッド31と仮想面との距離を調整する(調整工程)。
【0085】
LEDヘッド31と仮想面との距離を調整するには、上記したように、LEDヘッド31を支持フレーム32に組み付けて、その前後方向における位置を維持しつつ、両偏心カム33をそれぞれ回転させて、LEDヘッド31の左右方向両端部を、計算された各調整距離(調整距離DR、調整距離DL)の分、上下方向(光軸方向)に移動させる。
【0086】
これにより、LEDユニット12の製造を完了する。
【0087】
得られたLEDユニット12は、図示しない支持機構により、カラープリンタ1のトップカバー6に支持され、トップカバー6の閉動作により、感光ドラム15に対向される。
4.作用効果
(1)このLEDユニット12の製造方法によれば、焦点位置群測定工程において、第1焦点位置群G1(X−Y平面における各LED40の焦点Fの集合)と、第2焦点位置群G2(X−Z平面における各LED40の焦点Fの集合)とを測定し、ズレ量計算工程および調整距離計算工程において、測定された第1焦点位置群G1および第2焦点位置群G2のそれぞれと、感光ドラム15の表面を想定する仮想面との、Z方向における間隔(各Z座標(ZL1)、(ZL2)、(ZR1)および(ZR2)の絶対値)に基づいて、Z方向におけるLEDヘッド31の調整距離(調整距離DL、DR)を計算している。
【0088】
つまり、ズレ量計算工程において、第1焦点位置群G1と仮想面とのZ方向におけるズレ量((ZL1)および(ZR1))と、第2焦点位置群G2と仮想面とのZ方向におけるズレ量((ZL2)および(ZR2))とを計算し、調整距離計算工程において、それらを合算して、Z方向におけるLEDヘッド31の調整距離(調整距離DL、DR)を計算している。
【0089】
これにより、調整工程において、予め計算された調整距離(調整距離DL、DR)に基づいて、LEDヘッド31を、前後方向(Y方向)における位置を維持しつつ、上下方向(Z方向)へ移動させて、LEDヘッド31と仮想面との距離を調整することができる。
【0090】
そのため、前後方向(Y方向)および上下方向(Z方向)の両方に移動させて、LEDヘッド31と、感光ドラム15の表面との間隔を調整する場合と比べて、LEDヘッド31と、感光ドラム15の表面との間隔を容易に調整することができる。
(2)また、このLEDユニット12の製造方法によれば、ズレ量計算工程において、第1近似直線L1(第1焦点位置群G1の近似直線)および第2近似直線L2(第2焦点位置群G2の近似直線)を、それぞれ、仮想面上に投影し、仮想面上のZ座標((ZL1)、(ZR1)、(ZL2)および(ZR2))を計算している。そして、調整距離計算工程において、(ZL1)と(ZL2)とを加算して、左端部における調整距離DLを計算するとともに、(ZR1)と(ZR2))とを加算して、右端部における調整距離DRを計算している。
【0091】
そのため、容易に調整距離DL、DRを計算することができる。
(3)また、このLEDユニット12の製造方法によれば、調整工程において、偏心カム33を回転させて、調整距離に相当する上下方向長さを調整している。
【0092】
そのため、LEDヘッド31の感光ドラム15に対する相対配置を、LEDヘッド31と仮想面との距離を調整した状態で保持することができる。
(4)また、このLEDユニット12の製造方法によれば、焦点位置群測定工程において、CCDセンサ64が、各LEDチップ39の左右方向両端に配置されるLED40の焦点Fを検知している。
【0093】
そのため、全てのLEDの焦点Fを検知することなく、効率よく、第1焦点位置群G1と第2焦点位置群G2とを測定することができる。
5.第2実施形態
図8〜図10を参照して、LEDユニット12の製造方法の第2実施形態を説明する。なお、第2実施形態において、上記した第1実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0094】
上記した第1実施形態では、ズレ量計算工程において、まず、第1焦点位置群G1の近似直線としての第1近似直線L1を、各基準点Pを含むX−Y平面上の直線として計算し、第2焦点位置群G2の近似直線としての第2近似直線L2を、各基準点Pを含むY−Z平面上の直線として計算している。そして、調整距離計算工程において、第1近似直線L1の左右方向両端部((X)、(X))の仮想面上のZ座標((ZL1)、(ZR1))と、第2近似直線L2の左右方向両端部((X)、(X))のZ座標((ZL2)、(ZR2))とを加算して、Z方向におけるLEDヘッド31の調整距離(調整距離DL、DR)を計算している。
【0095】
しかし、第2実施形態では、ズレ量計算工程において、第1焦点位置群G1を仮想面上に投影し、投影された第1焦点位置群G1の各Z座標に、第2焦点位置群G2の各Z座標を加算して、第3焦点位置群G3を算出する。そして、調整距離計算工程において、第3焦点位置群の近似直線としての第3近似直線を計算し、第3近似直線L3の左右方向両端部((X)、(X))のZ座標((ZL3)、(ZR3))をZ方向におけるLEDヘッド31の調整距離(調整距離DL、DR)とする。
【0096】
詳しくは、第2実施形態では、まず、焦点位置群測定工程として、上記した第1実施形態と同様にして、第1焦点位置群G1と第2焦点位置群G2とを測定する。
【0097】
次いで、図8に示すように、ズレ量計算工程において、第1焦点位置群G1の各座標(Xn,Yn)のY座標を仮想面の関数(fd:z=f(y))に代入して、第1焦点位置群G1を仮想面上に投影する。投影された第1焦点位置群G1’の各座標は、(Xn,f(Yn))で表される。すなわち、投影された第1焦点位置群G1’は、X−Z平面上の点群である。投影された第1焦点位置群G1’の各Z座標の絶対値が、仮想面と第1焦点位置群G1との各Z方向間隔(第3間隔)である。
【0098】
次いで、投影された第1焦点位置群G1’の各Z座標(f(Yn))に、第2焦点位置群G2(図6参照)の対応する(同じX座標を有する)座標(Xn,Zn)のZ座標の値(Zn)を加算して、第3焦点位置群G3を得る。
【0099】
ここで、第2焦点位置群G2の各Z座標の絶対値が、仮想面と第2焦点位置群G2との各Z方向間隔(第4間隔)である。また、第3焦点位置群G3の各座標は、(Xn,f(Yn)+Zn)で表される。
【0100】
次いで、調整距離計算工程において、第3焦点位置群G3を最小二乗法により線形回帰する。これにより、第3近似直線L3を、X−Z平面における一次関数(f3:z=f(x))として得る。
【0101】
そして、得られた第3近似直線L3に、最も左側の焦点FのX座標(X)を代入して、第3近似直線L3の(X)におけるZ座標(ZL3)を、LEDヘッド31の左端部における調整距離DLとして得る。このZ座標(ZL3)の絶対値が、仮想面(z=0)と第3近似直線L3との左端部におけるZ方向間隔(第5間隔)である。
【0102】
同様にして、最も右側の焦点FのX座標(X)における(すなわち、右端部における)、Z座標(ZR3)を、LEDヘッド31の右端部における調整距離DRとして得る。このZ座標(ZR3)の絶対値が、仮想面(z=0)と第3近似直線L3との右端部におけるZ方向間隔(第5間隔)である。
【0103】
次いで、調整工程において、上記した第1実施形態と同様に、LEDヘッド31と仮想面との距離を調整し、LEDユニット12の製造を完了する。
【0104】
第2実施形態のLEDユニット12の製造方法によれば、ズレ量計算工程において、ズレ量計算工程において、第1焦点位置群G1を仮想面上に投影し、投影された第1焦点位置群G1の各Z座標に、第2焦点位置群G2の各Z座標を加算して、第3焦点位置群G3を算出している。そして、調整距離計算工程において、第3焦点位置群の近似直線としての第3近似直線を計算し、第3近似直線L3の左右方向両端部((X)、(X))のZ座標((ZL3)、(ZR3))をZ方向におけるLEDヘッド31の調整距離(調整距離DL、DR)としている。
【0105】
そのため、投影された第1焦点位置群G1の各Z座標に、第2焦点位置群G2の各Z座標を加算して、第3焦点位置群G3を計算することができる。
【0106】
そのため、精度よく、Z方向におけるLEDヘッド31の調整距離(調整距離DL、DR)を計算することができる。
6.第3実施形態
また、上記した各実施形態では、焦点位置群測定工程において、第1焦点位置群G1と第2焦点位置群G2とを測定しているが、第3実施形態では、図3に示すように、焦点位置群(第1焦点位置群G1および第2焦点位置群G2)のデータを、LEDアレイ35に設けられる記憶手段の一例としてのメモリ81に、予め記憶させておくこともできる。
【0107】
詳しくは、メモリ81は、第1焦点位置群G1および第2焦点位置群G2のデータを、ハーネス43を介して解析装置63に送信できるように、LEDアレイ35の回路基板30に電気的に接続されている。
【0108】
第3実施形態では、メモリ81に記憶されている第1焦点位置群G1および第2焦点位置群G2のデータを用いて、上記した各実施形態と同様にして、ズレ量調整工程および調整距離計算工程を実施し、LEDヘッド31の調整距離(調整距離DL、DR)を計算する。
【0109】
そして、調整工程において、上記した各実施形態と同様に、LEDヘッド31と仮想面との距離を調整し、LEDユニット12の製造を完了する。
【0110】
第3実施形態のLEDユニット12の製造方法によれば、予めメモリに記憶された第1焦点位置群G1と第2焦点位置群G2とを利用して調整距離(調整距離DL、DR)を計算することができる。
【0111】
そのため、焦点位置群測定工程を省略して、効率よく、LEDユニット12を製造することができる。
7.第4実施形態
また、上記した第3実施形態では、メモリ81に、焦点位置群(第1焦点位置群G1および第2焦点位置群G2)のデータを記憶させたが、第4実施形態では、メモリ81に、上記した各実施形態と同様にして計算された調整距離(調整距離DL、DR)を記憶させることもできる。
【0112】
第4実施形態のLEDユニット12の製造方法によれば、予めメモリ81に記憶された調整距離(調整距離DL、DR)を利用して、LEDヘッド31と仮想面との距離を調整することができる。
【0113】
そのため、焦点位置群測定工程、ズレ量計算工程および調整距離計算工程を省略して、より効率よく、LEDユニット12を製造することができる。
8.その他の実施形態
上記の各実施形態の製造方法では、カラープリンタに用いられるLEDユニット12を製造したが、モノクロプリンタに用いられるLEDユニット12を、上記の各実施形態の製造方法によって製造することもできる。
【符号の説明】
【0114】
1 カラープリンタ
12 LEDユニット
31 LEDヘッド
33 偏心カム
39 LEDチップ
40 LED
64 CCDセンサ
81 メモリ
L 光
F 焦点
G1 第1焦点位置群
G2 第2焦点位置群
G3 第3焦点位置群
L1 第1近似直線
L2 第2近似直線
L3 第3近似直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置において感光ドラムを露光するために用いられ、前記感光ドラムの軸線方向に沿って並列配置される複数の発光素子を有する露光部材を備える露光装置の製造方法であって、
各前記発光素子から出射される光の焦点に検知部材を配置させて、前記検知部材により、前記光の光軸方向における各前記発光素子の焦点位置の集合としての第1焦点位置群と、前記光軸方向および前記軸線方向の両方と直交する直交方向における各前記発光素子の焦点位置の集合としての第2焦点位置群とを測定する焦点位置群測定工程と、
測定された前記第1焦点位置群および前記第2焦点位置群のそれぞれと、前記感光ドラムの表面を想定する仮想面との、前記光軸方向における間隔を計算するズレ量計算工程と、
計算された前記間隔に基づいて、前記光軸方向における前記露光部材の調整距離を、前記焦点が前記仮想面と一致するように計算する調整距離計算工程と、
前記露光部材を、その前記直交方向における位置を維持しつつ、計算された前記調整距離の分、前記光軸方向に移動させて、前記露光部材と前記仮想面との距離を調整する調整工程と
を含むことを特徴とする、露光装置の製造方法。
【請求項2】
前記ズレ量計算工程は、前記第1焦点位置群の近似直線としての第1近似直線を計算し、前記仮想面と前記第1近似直線との前記光軸方向における第1間隔を計算する工程と、前記第2焦点位置群の近似直線としての第2近似直線を計算し、前記仮想面と前記第2近似直線との前記光軸方向における第2間隔を計算する工程とを含み、
前記調整距離計算工程において、前記第1間隔と前記第2間隔とを加算または減算することにより、前記調整距離を計算することを特徴とする、請求項1に記載の露光装置の製造方法。
【請求項3】
前記ズレ量計算工程は、前記仮想面と前記第1焦点位置群との前記光軸方向における第3間隔を計算する工程と、前記仮想面と前記第2焦点位置群との前記光軸方向における第4間隔を計算する工程と、前記第3距離と前記第4距離とを加算または減算することにより、第3焦点位置群を算出する工程とを含み、
前記調整距離計算工程において、前記第3焦点位置群の近似直線としての第3近似直線を計算し、前記仮想面と前記第3近似直線との前記光軸方向における第5間隔を前記調整距離とすることを特徴とする、請求項1に記載の露光装置の製造方法。
【請求項4】
前記調整工程において、前記調整距離に相当する前記光軸方向長さを調整する間隔調整部材を、前記露光部材に設けることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の露光装置の製造方法。
【請求項5】
前記露光部材は、複数の発光素子を有する発光素子集合体を、前記並列方向に沿って複数備えており、
前記焦点位置群測定工程において、前記検知部材は、各前記発光素子集合体の前記並列方向両端に配置される発光素子の焦点を検知することを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の露光部材の製造方法。
【請求項6】
画像形成装置において感光ドラムを露光するために用いられ、前記感光ドラムの軸線方向に沿って並列配置される複数の発光素子を有する露光部材と、各前記発光素子の焦点位置の集合としての焦点位置群を記憶する記憶手段とを備える露光装置の製造方法であって、
前記記憶手段は、前記焦点位置群として、前記光軸方向における各前記発光素子の第1焦点位置群と、前記光軸方向および前記軸線方向の両方と直交する直交方向における各前記発光素子の第2焦点位置群とを予め記憶しており、
前記記憶手段に記憶されている前記第1焦点位置群および前記第2焦点位置群のそれぞれと、前記感光ドラムの表面を想定する仮想面との、前記発光素子からの光の光軸方向における間隔を計算するズレ量計算工程と、
計算された前記間隔に基づいて、前記光軸方向における前記露光部材の調整距離を、前記焦点が前記仮想面と一致するように計算する調整距離計算工程と、
前記露光部材を、その前記直交方向における位置を維持しつつ、計算された前記調整距離の分、前記光軸方向に移動させて、前記露光部材と前記仮想面との距離を調整する調整工程と
を含むことを特徴とする、露光装置の製造方法。
【請求項7】
前記ズレ量計算工程は、前記第1焦点位置群の近似直線としての第1近似直線を計算し、前記仮想面と前記第1近似直線との前記光軸方向における第1間隔を計算する工程と、前記第2焦点位置群の近似直線としての第2近似直線を計算し、前記仮想面と前記第2近似直線との前記光軸方向における第2間隔を計算する工程とを含み、
前記調整距離計算工程において、前記第1間隔と前記第2間隔とを加算または減算することにより、前記調整距離を計算することを特徴とする、請求項6に記載の露光装置の製造方法。
【請求項8】
前記ズレ量計算工程は、前記仮想面と前記第1焦点位置群との前記光軸方向における第3間隔を計算する工程と、前記仮想面と前記第2焦点位置群との前記光軸方向における第4間隔を計算する工程と、前記第3距離と前記第4距離とを加算または減算することにより、第3焦点位置群を算出する工程とを含み、
前記調整距離計算工程において、前記第3焦点位置群の近似直線としての第3近似直線を計算し、前記仮想面と前記第3近似直線との前記光軸方向における第5間隔を前記調整距離とすることを特徴とする、請求項6に記載の露光装置の製造方法。
【請求項9】
画像形成装置において感光ドラムを露光するために用いられ、前記感光ドラムの軸線方向に沿って並列配置される複数の発光素子を有する露光部材と、前記発光素子から出射される光の光軸方向における前記露光部材の調整距離を予め記憶する記憶手段とを備える露光装置の製造方法であって、
前記調整距離は、
前記光軸方向における各前記発光素子の焦点位置の集合としての第1焦点位置群と、前記光軸方向および前記軸線方向の両方と直交する直交方向における各前記発光素子の焦点位置の集合としての第2焦点位置群とを測定し、
前記第1焦点位置群および前記第2焦点位置群のそれぞれと、前記感光ドラムの表面を想定する仮想面との、前記発光素子からの光の光軸方向における間隔を計算し、
計算された前記間隔に基づいて、前記光軸方向における前記露光部材の調整距離を、前記焦点が前記仮想面と一致するように計算されることにより予め求められたものであり、
前記露光部材を、その前記直交方向における位置を維持しつつ、前記記憶手段に記憶された前記調整距離の分、前記光軸方向に移動させて、前記露光部材と前記仮想面との距離を調整する調整工程と
を含むことを特徴とする、露光装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−250443(P2012−250443A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124934(P2011−124934)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】