説明

露光装置及び画像形成装置

【課題】例えば、レンズホルダと、LEDアレイが搭載されてレンズホルダに支持された基板と、LEDアレイに対向してレンズホルダに支持され、LEDアレイから放射される光を収束させるロッドレンズアレイ等を備えた露光装置は、高温環境に放置した場合、感光体ドラム方向へのロッドレンズアレイの反り変化や、レンズホルダとロッドレンズアレイ間の接着剥がれが起きる場合があった。
【解決手段】発光素子から放射される光を収束させるレンズアレイ2と、レンズアレイ2を支持するレンズホルダ1と、レンズホルダ1にレンズアレイ2を接着する接着剤34とを有するLEDヘッド15において、接着剤34の、伸び率を40%から80%までの範囲とし、硬度(ショア−D)を40から90まで範囲とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置、及び画像形成装置に採用されるLEDヘッド等の露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置において、例えば、プリンタで用いられている例えばLEDヘッド等の露光装置は、帯電された感光体ドラムに対して光を照射して露光し、静電潜像を形成するものである。従来の露光装置は、例えば、レンズホルダと、LEDアレイが搭載されてレンズホルダに支持された基板と、LEDアレイに対向してレンズホルダに支持され、LEDアレイから放射される光を収束させるロッドレンズアレイ等を備えている。そして、基板に搭載されたLEDアレイから放射された光が、ロッドレンズアレイを通過して収束され、そのロッドレンズアレイの結像位置に配設された感光体ドラムを露光することにより、静電潜像を形成する構成となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、ロッドレンズアレイをレンズホルダに固定する際には、ロッドレンズアレイを、高精度の真直性を保持した状態で固定する必要があるため、ロッドレンズアレイを、高い真直度のロッドレンズアレイ当接面を持つ治具を使って矯正しながら、短時間で接着可能な接着剤(例えば、UV接着剤)を使用して、レンズホルダに固着している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−64426号公報(第3,6頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記したような構成の露光装置は、高温環境に放置した場合、感光体ドラム方向へのロッドレンズアレイの反り変化や、レンズホルダとロッドレンズアレイ間の接着剥がれが起きる場合があった。これにより、感光体ドラムに対する光の結像状態が変化して良好な静電潜像が得られないため、印字品質の低下を招くことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による露光装置は、
発光素子から放射される光を収束させる光学系部材と、前記光学系部材を支持する光学系支持部と、前記光学系支持部に前記光学系部材を固定するための固定部材とを有する露光装置において、
前記固定部材の、伸び率が40%から80%までの範囲、硬度(ショア−D)が40から90まで範囲であることを特徴とする。
【0007】
本発明による別の露光装置は、
発光素子から放射される光を収束させる光学系部材と、前記光学系部材を支持する光学系支持部と、前記光学系支持部に前記光学系部材を固定するための固定部材とを有する露光装置において、
前記光学系支持部は、前記光学系部材の両端部近傍にそれぞれ対応して配置されて長手方向に摺動可能な摺動部を保持し、前記光学系部材の前記両端部近傍は前記固定部材によって前記摺動部に固定され、前記光学系部材の中央部近傍は前記固定部材によって前記光学系支持部本体に固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の露光装置によれば、環境温度が変化した場合にも、感光体ドラムに対する光の結像状態を良好に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による露光装置としてLEDヘッドを備えた画像形成装置の実施の形態1の要部構成を概略的に示す要部構成図である。
【図2】実施の形態1のLEDヘッドの要部構成を、感光体ドラムと共にX軸マイナス側からみた要部構成図である。
【図3】実施の形態1のLEDヘッドの要部構成を、感光体ドラムと共にY軸プラス側からみた要部構成図である。
【図4】レンズアレイ接着治具を用いて、レンズホルダにレンズアレイを固定する手順を説明するための参照図である。
【図5】実施の形態1において、接着剤による接着箇所を示すため、LEDヘッドを下方からみた概略構成図である。
【図6】レンズアレイを上方からみた概略構成図である。
【図7】実施の形態1において、伸び率と硬度(ショア−D)の異なる接着剤によってレンズホルダとレンズアレイとを接着した複数の試験試料に対して行った接着剤評価試験での反り変化量の評価結果を記した相関関係図である。
【図8】(a)は、本発明に基づく実施の形態2のLEDヘッドの要部構成を下方からみた概略構成図であり、(b)はその左端部周辺の部分拡大図であり、(c)はその右端部周辺の部分拡大図である。
【図9】図8(a)に示すクランプ部を通るF−F線で切るLEDヘッドの要部断面を示す要部断面図である。
【図10】実施の形態2において、LEDヘッドを高温環境下に放置した際の挙動を説明するための動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明による露光装置としてLEDヘッドを備えた画像形成装置の実施の形態1の要部構成を概略的に示す要部構成図である。
【0011】
画像形成装置11は、例えば、電子写真カラープリンタとしての構成を備え、4つの独立した画像形成部を構成する画像形成ユニット12K、12Y、12M、12C(特に区別する必要がない場合は単に画像形成ユニット12と称す場合がある)が記録媒体としての用紙の挿入側から排出側に沿って配設されている。画像形成ユニット12Kはブラック(K)の画像を形成し、画像形成ユニット12Yはイエロー(Y)の画像を形成し、画像形成ユニット12Mはマゼンタ(M)の画像を形成し、画像形成ユニット12Cはシアン(C)の画像を形成する。なお、記録媒体として、用紙の他に、OHP用紙、封筒、複写紙、特殊紙等を使用することができる。
【0012】
各画像形成ユニット12K、12Y、12M、12Cには、像担持体としての感光体ドラム13K、13Y、13M、13C(特に区別する必要がない場合は単に感光体ドラム13と称す場合がある)と、対応する感光体ドラム13K、13Y、13M、13Cの表面を一様に、且つ、均一に帯電させる帯電器としての帯電ローラ14K、14Y、14M、14C(特に区別する必要がない場合は単に帯電ローラ14と称す場合がある)と、対応する感光体ドラム13K、13Y、13M、13Cの表面に形成された静電潜像に図示しない現像剤(例えば、トナー)を付着させ、可視像である各色のトナー像を形成する現像剤担持体としての現像ローラ16K、16Y、16M、16C(特に区別する必要がない場合は単に現像ローラ16と称す場合がある)と、対応する現像ローラ16K、16Y、16M、16Cに圧接させて現像剤供給部材としてのトナー供給ローラ18K、18Y、18M、18C(特に区別する必要がない場合は単にトナー供給ローラ18と称す場合がある)とが配設されている。
【0013】
各トナー供給ローラ18K、18Y、18M、18Cは、対応するトナーカートリッジ20K、20Y、20M、20C(特に区別する必要がない場合は単にトナーカートリッジ20と称す場合がある)から供給された各色のトナーを対応する現像ローラ16K、16Y、16M、16Cに供給するローラである。各現像ローラ16K、16Y、16M、16Cには、それぞれ対応する現像ブレード19K、19Y、19M、19C(特に区別する必要がない場合は単に現像ブレード19と称す場合がある)が圧接されている。現像ブレード19は、現像ローラ16上において、トナー供給ローラ18から供給されたトナーを薄層化するものである。
【0014】
各画像形成ユニット12K、12Y、12M、12Cにおける、感光体ドラム13K、13Y、13M、13Cの上方には、それぞれ対応する露光装置としてのLEDヘッド15K、15Y、15M、15C(特に区別する必要がない場合は単にLEDヘッド15と称す場合がある)が、感光体ドラム13K、13Y、13M、13Cと対向する位置に配設されている。各LEDヘッド15は、対応する色の画像データに従って、感光体ドラム13を露光し、静電潜像を形成する装置である。
【0015】
尚、4つのLEDヘッド15の内部は同じ構成であり、各LEDヘッド15は、後述する図2及び、図3に示すように、複数個の発光素子を持つLEDアレイチップ5、LEDアレイチップ5を搭載した基板6、LEDアレイチップ5から放射される光を収束させる光学系部材としてのレンズアレイ2、基板6とレンズアレイ2を支持する光学系支持部としてのレンズホルダ1、及び基板6をレンズホルダ1内部の基板当接面4に押し付けるための押圧材であるベース7で構成されている。
【0016】
4つの画像形成ユニット12の各感光体ドラム13の下方には、転写ユニット21が配設されている。転写ユニット21は、転写装置としての転写ローラ17K、17Y、17M、17C(特に区別する必要がない場合は単に転写ローラ17と称す場合がある)と、図1中の矢印A方向へ走行自在に配設された搬送部材としての搬送ベルト26を備えている。各転写ローラ17は、搬送ベルト26を介してそれぞれ対応する感光体ドラム13に対向して配置され、用紙をトナーと逆の極性に帯電させ、対応する感光体ドラム13に形成された各色のトナー像を順次用紙に重ねて転写する。
【0017】
尚、図1中のX、Y、Zの各軸は、印刷媒体が各画像形成ユニット12を通過する際の搬送方向にX軸をとり、各感光体ドラム13の回転軸方向にY軸をとり、これら両軸と直交する方向にZ軸をとっている。また、後述する他の図においてX、Y、Zの各軸が示される場合、これらの軸方向は、共通する方向を示すものとする。即ち、各図のX、Y、Z軸は、各図の描写部分が、図1に示す画像形成装置11を構成する際の配置方向を示している。またここでは、Z軸が略鉛直方向となるように配置されるものとする。
【0018】
画像形成装置11の下部には、搬送ベルト26に用紙を供給するための給紙機構が配設されている。給紙機構は、ホッピングローラ22、レジストローラ対23、媒体収容部としての用紙収容カセット24、及びこの用紙収容カセット24内の用紙の色を測色する用紙色測色部25等を備えている。
【0019】
更に、搬送ベルト26の排出側には、定着器28が設けられている。定着器28は、加熱ローラ及びバックアップローラを有し、用紙上に転写されたトナーを加圧、加熱することによって定着させる装置であり、この排出側に、図示しない排出ローラ、ピンチローラ、及び用紙スタッカ部29等が設けられている。
【0020】
以上のように構成された画像形成装置11における印刷動作について、簡単に説明する。先ず、用紙収容カセット24内の用紙は、ホッピングローラ22によって繰り出され、レジストローラ23へ送られて斜行が矯正され、続いてレジストローラ23から搬送ベルト26に送られ、この搬送ベルト26の走行に伴って、画像形成ユニット12K、12Y、12M、12Cへと順次搬送される。
【0021】
一方、各画像形成ユニット12において、感光体ドラム13の表面は、帯電ローラ14によって帯電された後、対応するLEDヘッド15によって露光され、この露光によって表面に静電潜像が形成される。静電潜像が形成された部分には、現像ローラ16上で薄層化されたトナーが静電的に付着されて対応する色のトナー像が形成される。各感光体ドラム13に形成されたトナー像は、対応する転写ローラ17によって用紙に順次重ねて転写され、用紙上にカラーのトナー像を形成する。転写後に、各感光体ドラム13上に残留したトナーは、それぞれ図示しないクリーニング装置によって除去される。
【0022】
カラーのトナー像が形成された用紙は、定着器28に送られる。この定着器28において、カラーのトナー像が用紙に定着され、カラー画像が形成される。カラー像が形成された用紙は、図示しない排出ローラ及びピンチローラに挟持され、用紙スタッカ部29へ排出される。以上のような過程を経て、カラー画像が用紙上に形成される。
【0023】
図2は、本発明に基づく実施の形態1のLEDヘッド15の要部構成を、感光体ドラム13と共にX軸マイナス側からみた要部構成図であり、図3は、同じくY軸プラス側からみた要部構成図である。また、図2は、主に図3のE−E断面部の構成を示し、図3は、主に図2のD−D断面部の構成を示す。これらの図を参照しながらLEDヘッド15について更に説明する。尚、4つのLEDヘッド15は、同じ構成を有し、それぞれが対応する各感光体ドラム13との位置関係も同じであるため、ここではブラック(K)のLEDヘッド15Kを例にして説明する。
【0024】
図2、図3に示すように、LEDヘッド15Kは、感光体ドラム13Kに対向して配置されている。このLEDヘッド15Kは、長手方向(ここではY軸方向)に形成されて両端が閉塞された溝状部を有する光学系支持部としてのレンズホルダ1を有し、このレンズホルダ1の中央部には、レンズアレイ2を搭載するための開口部3が、長手方向に沿って形成されている。
【0025】
また、直線状に複数の発光素子としてのLEDを配列したLEDアレイチップ5を実装した基板6は、LEDアレイチップ5がLEDヘッド15Kの長手方向に沿うように配置され、レンズホルダ1内の同方向全域に形成された基板当接面4(図3)に、短手方向の両縁が当接した状態で支持されており、基板6を基板当接面4に押し付けるための押圧材であるベース7により、固定されている。
【0026】
このベース7は、基板6の対向面略全域を覆う平板状部材であり、短手方向の両端部には、長手方向の複数個所で、対向する位置にコ字状の切欠き部7aが形成され、この切欠き部7aには、図示しない付勢部材及び規制部材によってそれぞれ突き出る方向に付勢された状態で、図3に示すように、ベース7の両側から突き出る位置に規制されたフック7bが配設されている。一方、レンズホルダ1の切欠き部7aに対向する位置には、フック7bが嵌入する係合溝1aが形成されている。従って、ベース7を装着する際には、フック7bのテーパ部がレンズホルダ1の溝にかかる位置で上方からに嵌め込むように押し下げる。この時ベース7は、そのフック7bが、付勢に抗して内方に引っ込んで、レンズホルダ1の内側面と摺動しながら下方に移動し、やがて基板6に当接してこれを下方に押圧する位置でフック7bが係合溝1aに内に嵌入し、図3に示すようにレンズホルダ1に固定される。レンズアレイ2は、後述するように、レンズホルダ1の開口部3の所定の位置に配置され、複数個所で固定部材としての接着剤34によってレンズホルダ1に固着される。
【0027】
ここで、LEDアレイチップ5から出光する光を、対応する感光体ドラム13K上に正確に光を結像させるには、LEDアレイチップ5からレンズアレイ2の入射端面までの距離Loと、レンズアレイ2の出射端面から光を結像させる感光体ドラム13Kの表面までの距離Liとを等しく(Lo=Li)する必要がある。
【0028】
このため、先ずLEDヘッド15の長手方向(ここではY軸方向)において、レンズアレイ2は、その全域にわたってLEDアレイチップ5との距離Loがバラツキなく高精度の真直度を保った状態でレンズホルダ1に固定される。その固定方法については、後で説明する。
【0029】
一方、レンズアレイ2の出射端面から光を結像させる感光体ドラム13Kの表面までの距離Liは、調整機構としての偏心カム機構によって調整可能に構成されている。即ち、レンズホルダ1の長手方向の両端部付近には、調整機構としての偏心カム機構が配設され、この偏心カム8、9と、感光体ドラム13Kの表面上に配設されたスペーサ30,31とが当接させられる。この偏心カム機構を使用することで、レンズアレイ2の出射端面から、光を結像させる感光体ドラム13Kの表面までの距離Liを調整する。
【0030】
このため、ベース7の両端部付近には、画像形成装置1本体或いは画像形成ユニット12K本体の所定箇所(図示せず)との間に、付勢部材として一対のコイルバネ32,33が配設され、このコイルバネ32,33が、図2に示すように、LEDヘッド15Kを、感光体ドラム13Kの方向に向けて付勢し、スペーサ30,31の当接面に、回転角が調整された偏心カム8、9を押し当て、レンズアレイ2の出射端面から、光を結像させる感光体ドラム13Kの表面までの距離Liを一定に保つ。尚、偏心カム8,9は、その回転角によって、回転角を調整可能に保持するレンズホルダ1と、偏心カム8,9がそれぞれ当接するスペーサ30,31の各当接面との距離を可変するものであるが、ここでは、その詳細な説明は省略する。
【0031】
次に、LEDヘッド15の長手方向(ここではY軸方向)において、レンズアレイ2を、その全域にわたってLEDアレイチップ5との距離Loがバラツキなく高精度の真直度を保った状態で、レンズホルダ1に固定する方法について、以下に説明する。
【0032】
レンズアレイ2をレンズホルダ1に固定する際には、レンズアレイ接着治具200を用いる。図4は、レンズアレイ接着治具200を用いて、レンズホルダ1にレンズアレイ2を固定する手順を説明するための参照図であり、レンズホルダ1の長手方向の、偏心カム9を備える一端側を部分拡大した図である。
【0033】
同図に示すように、レンズアレイ接着治具200は、上下を逆にしたレンズホルダ1の長手方向両端部に形成された基板当接面4を載置する基準面200aと、レンズホルダ1に取り付けるレンズアレイ2の基板5(図3)に対向する側の面を載置するレンズアレイ当接面200bを備えている。レンズアレイ当接面200bは、基準面200aに対して所定の高さ(例えば(距離Lo+LEDアレイチップ5の厚さ))に形成され、載置されるレンズアレイ2の真直度を出すため、その長手方向(図4ではY軸方向)において高精度の真直度が保たれている。尚、ここでのLEDアレイチップ5の厚さとは、LEDアレイチップ5が基板6に取り付けられた際の、基板6の表面からLEDアレイチップ5の出光面までの高さのことである。
【0034】
従って、レンズホルダ1にレンズアレイ2を固定する際には、先ず基板6等がまだ装着されていないレンズホルダ1を、上下を逆にした状態で、その溝部にレンズアレイ接着治具200を収めるように被せ、図4に示すように、両側において基準面200aに基板当接面4が当接するように位置決めして載置する。次に固定するレンズアレイ2を開口部3(図3参照)に嵌入させてレンズアレイ当接面200bに載置し、更に高精度の真直度を出すために密着させた、矯正・保持した状態で、硬化時間の短い接着剤34(ここではUV接着剤)を使用してレンズホルダ1とレンズアレイ2とを接着して固定する。
【0035】
図5は、接着剤34による接着箇所を示すため、LEDヘッド15Kを下方からみた概略構成図である。
【0036】
接着剤34による接着は、図3に示すように、レンズホルダ1の開口部3の下方端部とレンズアレイ2間であって、図5に示すように、レンズアレイ2の短手方向の両側の対向する位置で、且つ長手方向の両端部と中央部を含めた略等間隔に位置する7箇所(合計14箇所)で行われる。その後、レンズアレイ2とレンズホルダ1の開口部3との間にある隙間から、光や異物がLEDアレイチップ5上に流入しないようにするため、この隙間を封止材35(例えば、シリコンゴム)により封止する。
【0037】
ここで、図3,5に示す接着位置の設定理由について説明する。ここに示す接着位置は、図5に示すようにレンズアレイ2の両面を、UV接着剤でレンズホルダ1に接着したLEDヘッド15を、後述する高温放置試験した際に、レンズアレイレンズの真直度変化が少なくなる接着位置として、実験的に求めたものである。
【0038】
まず、レンズアレイ2の反りによって最も変位の差が大きくなるレンズアレイ2の両端部と中央部を固定させるため、少なくともレンズアレイ2の両端部と中央部を接着位置とする。更に好ましくは、両端部と中央部で接着されたレンズアレイ2が高温環境下において発生する反りや変形によって、レンズアレイ2の中央部又は端部の何れかに集中して発生する接着剤への引き剥がし力を分散させるため、レンズアレイ2の中央部と端部との間を等間隔に接着固定するのがよい。更に、引き剥がし力を分散させるためには、レンズアレイ2の接着剤の固定間隔を40mm以内とすることが好ましい。
【0039】
以上の理由により、ここでは長さ219mmのレンズアレイ2において、図5に示すように、中央部と両端部を接着箇所とし、さらに中央部と端部との間の接着箇所を2箇所とし、合計7箇所(両サイドで14箇所)接着した。ここではレンズアレイ2の接着箇所を、両端部と中央部を基準としているが、中央部については中央部近傍であれば良い。また両端部に関しても両端部近傍であれば良く、特にレンズアレイ2の端部から少し内側に入った箇所で接着する方が、接着面が得られるため安定した接着力が得られる。例えばレンズアレイの端部から10mm以内、中央部から±5mm以内で固定されていれば同様の効果が得られる。また、接着箇所はレンズアレイ2の反りによって生じる引き剥がし力を分散させるために、均等間隔とすることが好ましい。
【0040】
上記した組み立て方法で高精度の真直度に矯正されたレンズアレイ2と、上記した偏心カム機構を備えたLEDヘッド15Kを用いて、距離Loと距離Li(図3)とが等しくなるように設定した場合であっても、LEDヘッド15Kを高温環境下に放置すると、レンズホルダ1とレンズアレイ2の熱膨張係数の差により、レンズホルダ1とレンズアレイ2の接着箇所に熱応力が発生し、これにより、高精度の真直度に矯正されたレンズアレイ2が、感光体ドラム13K(図2)方向に対して反り変化を起こすことがある。このとき感光体ドラム13Kの表面に対する光の結像位置がずれ、印字品質の低下を引き起こす。
【0041】
ここで、レンズアレイ2の構造について説明する。図6は、レンズアレイ2を上方からみた概略構成図である。
【0042】
同図に示すように、レンズアレイ2は、対向配置された、ガラス繊維エポキシ樹脂積層板である一対の側板40と、一対の側板40の間に複数配置されたレンズ41を有する。分布屈折レンズである複数のレンズ41は、図6に示すように2列に配置され、更に各列のレンズ41が、長手方向(ここではY軸方向)において交互に位置するように配置されている。また、レンズ41間の隙間、側板40とレンズ41間の隙間には、シリコン樹脂からなる接着剤を充填、硬化させることで形成されている。
【0043】
レンズホルダ1と接着する、レンズアレイ2の側板40の材料であるガラス繊維エポキシ樹脂積層板の一般的な熱膨張係数は、12〜14(10−6/℃)である。このレンズアレイ2の熱膨張係数と、レンズホルダ1の母材の熱膨張係数の差が大きいほど、レンズホルダ1とレンズアレイ2の接着箇所に発生する熱応力が大きくなり、高温環境下に放置した時、レンズアレイ2の反り変化や、レンズホルダ1とレンズアレイ2の接着剥がれが発生し易くなる。
【0044】
また、画像形成装置11において、良好な印刷結果を得るための、感光体ドラム13K上に結ばれる光の結像の真直度の許容範囲は、60μm以内である。例えば、レンズホルダ1に形成された基板当接面4の平面度のスペック上の許容範囲を30μm、上記したようにレンズアレイ接着治具200を使用して固定した時点のレンズアレイ2の真直度のスペック上の許容範囲を10μmとした場合、感光体ドラム13K上に結ばれる光の結像の真直度は50μmの範囲でバラツクことになる。従って上記した条件下では、高温環境に放置した場合も含め、常に良好な印刷結果を得るために必要なレンズアレイ2の反り変化量の許容範囲は、10μm以内であり、この反り変化量は小さいほどよい。
【0045】
そこで、本実施の形態のLEDヘッドでは、後述する所定の高温環境下においても、レンズアレイ2の反り変化量を10μm以内に収めることができる特性の接着剤を選定し、接着剤34として使用する。以下、接着剤34の選定方法について説明する。
【0046】
接着剤34の選定のため、JIS2号ダンベル試験法を用いて測定した伸び率(以下、単に伸び率と称す)と、ショア−D試験法を用いて測定した硬度(以下、硬度(ショア−D)と称す)に注目し、伸び率と硬度(ショア−D)の異なる接着剤によってレンズホルダ1とレンズアレイ2とを接着した試験試料を用意し、それぞれ高温環境下に放置して反り変化量を測定する接着剤評価試験を行った。
【0047】
この接着剤評価試験で使用する接着剤の成分及び特性について説明する。ここで使用する接着剤は、紫外線硬化型のUV接着剤であり、成分としてガラスフィラー等を充填したアクリレート系接着剤を使用した。硬度(ショア−D)及び伸び率については、ガラスフィラー等の充填量を調整することで変化させた。例えば、接着剤の硬度、粘度は、ガラスフィラー量を調整(多いほど硬度が上がり、粘度が低下する傾向)して制御し、接着剤の伸び率は、アクリル系母剤(アクリレートモノマー等)の成分を調整して制御した。
【0048】
接着剤評価試験の主な試験条件は以下の通りである。
1)本評価試験で使用する接着剤は、硬化時間の短い、紫外線硬化型のUV接着剤である。
2)本評価試験で使用するレンズアレイ2の側板の材料は、熱膨張係数が12〜14(10−6/℃)のガラス繊維エポキシ樹脂積層板である。
3)本評価試験で使用するレンズホルダ1は、レンズアレイ2の熱膨張係数に比較的近い、電気亜鉛めっき鋼板(熱膨張係数:11.7(10−6/℃))を母材としたものである。
尚、レンズホルダ1とレンズアレイ2との熱膨張係数は略同程度であり、±20%の範囲で設定されていればよい。
4)本評価試験で使用するレンズアレイ2の長さは、A4サイズに対応した長さ、219mmのものである。
5)高温環境での放置条件については、70℃環境に96時間放置という条件で、評価した。
6)反り変化量は、高温環境での放置前と放置後の状態を測定して算出した。
7)レンズホルダ1とレンズアレイ2と接着箇所は、図5で説明した箇所(合計14箇所)とした。
【0049】
図7は、伸び率と硬度(ショア−D)の異なる接着剤によってレンズホルダ1とレンズアレイ2とを接着した複数の試験試料に対して行った接着剤評価試験での反り変化量の評価結果を記した相関関係図である。反り変化量の評価は、図7の相関関係図に「◎」、「○」、「×」を用いて評価した。
「◎」は、(反り変化量)≦5μm であったことを示す。
「○」は、5μm<(反り変化量)≦10μm であったことを示す。
「×」は、反り変化量が10μmより大きいか、接着が剥がれた場合を示す。
【0050】
図7の相関関係図を参照しながら、評価結果「×」となった要因について考察する。
(1)伸び率40%未満の場合、
常温では、レンズアレイ2とレンズホルダ1とを接着した際の、矯正したレンズアレイ2の真直度(=レンズアレイ当接面200b(図4)の真直度)を維持できるが、高温放置時に、レンズアレイ2とレンズホルダ1間の接着が剥がれてしまう。
(2)伸び率80%より大きい場合、
常温で、レンズアレイ2とレンズホルダ1とを接着した際の、レンズアレイ2単体の反りが矯正できず、レンズアレイ2の真直度が保てない。即ちレンズアレイ2をレンズアレイ接着治具200(図4)で矯正しても、接着によりこの矯正を維持できない。
(3)硬度(ショア−D)が90より大きい場合、
常温では、レンズアレイ2とレンズホルダ1とを接着した際の、矯正したレンズアレイ2の真直度(=レンズアレイ当接面200b(図4)の真直度)を維持できるが、高温放置時に、レンズアレイ2とレンズホルダ1間の接着が剥がれてしまう。
(4)硬度(ショア−D)が40未満の場合、
常温で、レンズアレイ2とレンズホルダ1とを接着した際の、レンズアレイ2単体の反りが矯正できず、レンズアレイ2の真直度が保てない。即ちレンズアレイ2をレンズアレイ接着治具200(図4)で矯正しても、接着によりこの矯正を維持できない。
【0051】
従って、上記試料の評価結果は、接着剤の伸び率及び硬度によって以下の傾向を示す。即ち、接着剤が軟らかい(伸び率が大きい又は硬度(ショア−D)が低い)場合、接着した時点で、レンズアレイ2単体の反りが矯正できず、レンズアレイ2の真直度が保てない。一方、硬すぎる(伸び率が小さい又は硬度(ショア−D)が高い)場合、高温放置時に、バイメタル効果により、接着位置に負荷がかかった際に剥がれ易くなる。
【0052】
以上のことから、
40≦(硬度(ショア−D))≦90 且つ
40%≦伸び率≦80%、
の接着剤を使用することによって、常温でレンズアレイ2とレンズホルダ1とを接着した際、レンズアレイ2の真直度(=レンズアレイ当接面200b(図4)の真直度)を維持し、且つ高温環境に放置した後でも、レンズアレイの感光体ドラム13Bk方向への反り変化量を10μm以内に抑えることができる。これにより、良好な印刷結果を得ることができる。
【0053】
更に、図7に示す相関関係図から、
60≦(硬度(ショア−D))≦70 且つ
50%≦伸び率≦70%、
の接着剤を使用することによって、常温でレンズアレイ2とレンズホルダ1とを接着した際、レンズアレイ2の真直度(=レンズアレイ当接面200b(図4)の真直度)を維持し、且つ高温環境に放置した後でも、レンズアレイの感光体ドラム13Bk方向への反り変化量を5μm以内に抑えることができた。本範囲内であれば、理論上A4サイズの媒体に対応する幅219mmの2倍の幅まで対応することが可能である。
【0054】
以上の結果から、本実施の形態のレンズホルダ1は、レンズアレイ2を接着に使用する接着剤34として、環境温度変化によるレンズアレイ2の反り変化率を10μm以内に抑えることができる、硬度(ショア−D)が40〜90、且つ伸び率が40%〜80%のものを使用するものである。又本実施の形態のレンズホルダ1は、レンズアレイ2を接着に使用する接着剤34として、環境温度変化によるレンズアレイ2の反り変化率を5μm以内に抑えることができる硬度(ショア−D)が60〜70、且つ伸び率が50%〜70%のものを使用するものである。
【0055】
尚、本実施の形態では、接着剤34として紫外線硬化型の接着剤について説明したが、他の種類の接着剤(例えば、エポキシ系やアクリル系)でも、同等の条件を備えているものであれば、適用可能である。
また、上記試験で、A4サイズに対応した長さ219mmのレンズアレイ2の反り変化率を5μm以内に抑えることができる、硬度(ショア−D)が60〜70且つ伸び率が50%〜70%の接着剤を用いた場合、長さ219mm±30mmのレンズアレイ2に対しても有効である。
【0056】
以上のように、本実施の形態のLEDヘッドによれば、環境温度変化によるレンズアレイ2の反り変化量を10μm以内、更には5μm以内に抑えることが出来るため、例えば、レンズホルダ1上の基板当接面4の平面度のスペック上の許容範囲を30μmとし、レンズアレイ接着治具200を使用して固定した時点のレンズアレイ2の真直度のスペック上の許容範囲を10μmとした場合においても、感光体ドラム13K上に結ばれる光の結像の真直度を許容範囲の60μm以内に収めることができる。尚、環境温度変化によるレンズアレイ2の反り変化量を5μm以内とした場合には、上記結像の真直度を50μm以内に収めることができ、結像の精度をより高めることができる。以上の理由により、環境温度変化にかかわらず高精度で且つ信頼性の高いLEDヘッド及び画像形成装置を提供することができる。
【0057】
実施の形態2.
図8(a)は、本発明に基づく実施の形態2のLEDヘッド115の要部構成を下方からみた概略構成図であり、同図(b)は、その左端部周辺の部分拡大図であり、同図(c)は、その右端部周辺の部分拡大図である。また図9は、図8(a)に示すクランプ106部を通るF−F線で切るLEDヘッド115の要部断面を示す要部断面図である。
【0058】
このLEDヘッド115を採用する画像形成装置が、前記した図2、図3に示す実施の形態1のLEDヘッド15と主に異なる点は、摺動部としてのクランプ105,106を追加した点にある。従って、このLEDヘッド115を採用する画像形成装置が、前記した実施の形態1の画像形成装置11(図1)と共通する部分には同符号を付して、或いは図面を省いて説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。尚、本実施の形態の画像形成装置の要部構成は、LEDヘッド115以外において図1に示す実施の形態1の画像形成装置11の要部構成と共通するため、必要に応じて図1を参照する。
【0059】
前記した実施の形態1のLEDヘッド15(図5参照)の場合、レンズホルダ1とレンズアレイ2を接着剤34で固定する際、レンズアレイ2の長手方向(Y軸方向)において、レンズアレイ2の両端部も含めて所定の間隔で直接レンズホルダ1に接着している。これは、レンズホルダ1に対し、レンズアレイ2の真直度を保持した状態で固定するのに必要な処置であるが、このような接着方法では、高温環境に放置した場合に、レンズホルダ1とレンズアレイ2の熱膨張係数の差により発生する、レンズホルダ1とレンズアレイ2の接着部への熱応力は、レンズアレイ2の中央部の接着箇所よりも、レンズアレイ2の両端部の接着箇所の方が大きくなる。
【0060】
そのため、レンズアレイ2の両端部は、レンズアレイ2の中央部に比べてレンズホルダ1とレンズアレイ2の間の接着剥がれを起こしやすい傾向がある。レンズホルダ1とレンズアレイ2の間の接着剥がれが生じた場合、レンズアレイ2が、感光体ドラム13方向への反り変化を起こす場合があり、それにより感光体ドラム13上への光の結像状態が変わり、印字品質に影響がでる場合がある。
【0061】
そこで本実施の形態では、レンズホルダ101とレンズアレイ2の両端部の接着を、レンズホルダ101に嵌合したクランプ105,106との間で行うことで、レンズホルダ101とレンズアレイ2の熱膨張の差による、レンズアレイ2の両端部の接着箇所に対する熱応力を緩和する構成になっている。以下、その構成について説明する。
【0062】
接着剤34による接着は、図9に示すように、レンズホルダ101の開口部3の下方端部(図9では、上下逆に配置されている)とレンズアレイ2間であって、図8(a)に示すように、レンズアレイ2の短手方向の両側の対向する位置で、且つ長手方向の両端部と中央部を含めた略等間隔に位置する7箇所(合計14箇所)で行われる。但し、長手方向の両端部では、それぞれ対向する位置に配設されたクランプ105,106とレンズアレイ2間で行ない、他の箇所ではレンズホルダ101とレンズアレイ2間で直接行っている。
【0063】
図8(b)、(c)及び図9に示すように、レンズホルダ101の、レンズアレイ2の両端部に対向する位置には、それぞれクランプ105、クランプ106に嵌入してこれを装着する幅Dの2対の凸部101a、凸部101bが形成されている。凸部101aには幅Dより幅狭のクランプ105が、また凸部101bには幅Dより幅狭のクランプ106がそれぞれ、接着剤34による接着が行われる前に予め装着される。図9に示すように、クランプ105、クランプ106は、それぞれ凸部101a、凸部101bを挟むように、且つ上下方向(Z軸方向)に移動できないように装着され、図8(b)、(c)に示すように、それぞれ凸部101a、凸部101bの幅Dの領域内において、レンズホルダ101の長手方向(Y軸方向)にのみスライドできるようにレンズホルダ101によって保持されている。
【0064】
レンズホルダ101にレンズアレイ2を固定する時は、実施の形態1の場合と同様に、図4に示すような、真直度を出したレンズアレイ当接面200bを持つレンズアレイ接着治具200を用意し、レンズアレイ2の真直度を出した状態で矯正・保持を行いながら、レンズホルダ101の上記した箇所に、硬化時間の短い接着剤34(ここではUV接着剤)を使用して固定する。その後、レンズアレイ2とレンズホルダ101の開口部3との間にある隙間から、光や異物がLEDアレイチップ5上に流入しないようにするため、この隙間を封止材35(例えば、シリコンゴム)により封止する。
【0065】
図10は、図8に示すレンズホルダ101の左端部周辺の部分拡大図であり、LEDヘッド115を高温環境下に放置した際の挙動を説明するための動作説明図である。図10を参照しながら、LEDヘッド115を高温環境下に放置した際の挙動について説明する。
【0066】
前記したようにクランプ105,106は、それぞれ凸部101a,101bの幅Dより幅狭に形成され、この間に生じる隙間Eで許容される範囲でスライドできるように構成されている。一方、LEDヘッド115を、高温環境に放置すると、レンズホルダ101とレンズアレイ2の熱膨張係数の差により、レンズホルダ101とレンズアレイ2の接着部に熱応力が発生する。その際、レンズアレイ2の両端部は、特にその影響を受けて、図10に示すようにレンズホルダ101の長手方向(図10に矢印で示す方向)に移動しようとする。レンズホルダ101では、レンズアレイ2の両端部が接着剤34で上記したクランプ105,106に固定されているため、クランプ105,106がレンズアレイ2の両端部の移動に追従して図10の矢印方向に移動するため、レンズアレイ2の両端の接着箇所に発生する、熱応力による影響(レンズアレイ2の反りや接着剤の剥がれの発生)を軽減する働きをする。
【0067】
以上のように、本実施の形態のLEDヘッドによれば、環境温度変化によって、レンズホルダ101とレンズアレイ2との両端部の接着箇所に発生する熱応力による影響が軽減され、特にレンズアレイ2の両端部で多く発生していた、熱応力による接着剥がれ、レンズアレイ2の感光体ドラム方向への反り変化を抑制することができる。このため、環境温度変化にかかわらず感光体ドラム上への光の結像状態の変化を小さくすることができるため、高精度で且つ信頼性の高いLEDヘッド及び画像形成装置を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
上記した各実施の形態では、電子写真カラープリンタに適用した例を用いて説明したが本発明はこれに限定されず、ファクシミリ装置、複写機、MFP(Multifunction Peripheral)等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 レンズホルダ、 1a 係合溝、 2 レンズアレイ、 3 開口部、 4 基板当接面、 5 LEDアレイチップ、 6 基板、 7 ベース、 7a 切欠き部、 7b フック、 8 偏心カム、 9 偏心カム、 11 画像形成装置、 12 画像形成ユニット、 13 感光体ドラム、 14 帯電ローラ、 15 LEDヘッド、 16 現像ローラ、 17 転写ローラ、 18 トナー供給ローラ、 19 現像ブレード、 20 トナーカートリッジ、 21 搬送ベルト、 22 ホッピングローラ、 23 レジストローラ対、 24 用紙収容カセット、 25 用紙色測色部、 26 搬送ベルト、 28 定着器、 29 スタッカ部、 30 スペーサ、 31 スペーサ、 32 コイルバネ、 33 コイルバネ、 34 接着剤、 35 封止材、 40 側板、 41 レンズ、 101 レンズホルダ、 101a 凸部、 101b 凸部、 105 クランプ、 106 クランプ、 115 LEDヘッド、 200 レンズアレイ接着治具、 200a 基準面、 200b レンズアレイ当接面。








【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子から放射される光を収束させる光学系部材と、
前記光学系部材を支持する光学系支持部と、
前記光学系支持部に前記光学系部材を固定するための固定部材と
を有する露光装置において、
前記固定部材の、伸び率が40%から80%までの範囲、硬度(ショア−D)が40から90まで範囲であることを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記固定部材の、伸び率が50%から70%までの範囲、硬度(ショア−D)が60から70まで範囲であることを特徴とする請求項1記載の露光装置。
【請求項3】
前記光学系支持部は、前記光学系部材の両端部近傍にそれぞれ対応して配置された摺動部を摺動可能に保持し、
前記光学系部材の前記両端部近傍は前記固定部材によって前記摺動部に固定され、前記光学系部材の中央部近傍は前記固定部材によって前記光学系支持部本体に固定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の露光装置。
【請求項4】
前記光学系支持部と前記光学系部材との固定箇所は、少なくとも前記光学系部材の両端部近傍と中央部近傍であることを特徴とする請求項1又は2記載の露光装置。
【請求項5】
前記光学系支持部と前記光学系部材とは、前記光学系部材の両端部近傍と前記中央部近傍との間において固定されていることを特徴とする請求項3又は4記載の露光装置。
【請求項6】
前記固定部材は、UV接着剤であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の露光装置。
【請求項7】
前記UV接着剤はガラスフィラーを含有していることを特徴とする請求項6記載の露光装置。
【請求項8】
前記光学系部材がレンズアレイであることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の露光装置。
【請求項9】
前記光学系部材の熱膨張係数と前記光学系支持部の熱膨張係数が略同程度であることを特徴とする請求項8記載の露光装置。
【請求項10】
前記光学系部材がレンズアレイであって、該レンズアレイの側板の材料は熱膨張係数が12〜14(10−6/℃)のガラス繊維エポキシ樹脂積層板であり、前記光学系支持部の材料は熱膨張係数が11.7(10−6/℃)の電気亜鉛めっき鋼板を母材としていることを特徴とする請求項9記載の露光装置。
【請求項11】
前記光学系支持部は、前記発光素子を備えた基板を載置する基板当接面を備え、前記基板当接面の平面度の許容範囲が30μmであり、前記光学系支持部に固定した時点での前記光学系部材の真直度の許容範囲が10μmであることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の露光装置。
【請求項12】
発光素子から放射される光を収束させる光学系部材と、
前記光学系部材を支持する光学系支持部と、
前記光学系支持部に前記光学系部材を固定するための固定部材と
を有する露光装置において、
前記光学系支持部は、前記光学系部材の両端部近傍にそれぞれ対応して配置されて長手方向に摺動可能な摺動部を保持し、
前記光学系部材の前記両端部近傍は前記固定部材によって前記摺動部に固定され、前記光学系部材の中央部近傍は前記固定部材によって前記光学系支持部本体に固定されていることを特徴とする露光装置。
【請求項13】
前記発光素子としてLEDを用いたLEDヘッドであることを特徴とする請求項1乃至12の何れか1項に記載の露光装置。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れか1項に記載の露光装置を採用したことを特徴とする画像形成装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−61666(P2012−61666A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206629(P2010−206629)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【出願人】(500002571)株式会社沖デジタルイメージング (186)
【Fターム(参考)】