説明

露光装置隔離システム

基板(42)を製造するための精密装置(10)は、精密製造装置(12)と、ペデスタル体(14)と、緩衝系(16)とを備える。精密製造装置(12)は、基板(42)を製造する。ペデスタル体(14)は、製造装置(12)の少なくとも一部を支持する。緩衝系(16)は、前記搭載ベース(20)と前記ペデスタル体(14)との間での動きの伝達を抑制する。緩衝系(16)は、(1)搭載ベース(20)及びペデスタル体(14)に接続され、搭載ベース(20)及びペデスタル体(14)の少なくとも1つに枢動可能に接続された第1ブーム材(380)と、(2)搭載ベース(20)と第1ブーム材(380)及びペデスタル体(14)の少なくとも1つとの間で接続された第1弾性体(382)と、を含むことができる。第1弾性体(382)は、弾性体(382)の作動範囲においてゼロ長スプリングと同様に機能できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年9月4日に出願された米国仮出願61/094,182号、2008年9月18日に出願された米国仮出願61/098,009号、2008年9月18日に出願された米国仮出願61/098,016号、2008年9月18日に出願された米国仮出願61/098,029号、2008年9月18日に出願された米国仮出願61/098,039号、2008年9月18日に出願された米国仮出願61/098,047号、2008年9月18日に出願された米国仮出願61/098,057号、2008年9月18日に出願された米国仮出願61/234,734号、及び2009年8月27日に出願された米国出願12/548,895号に基づく優先権を主張し、それらのすべてが本出願に援用される。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体処理において、レチクルの像を半導体ウエハに転写するために半導体処理用の露光装置が使用される。通常、露光装置は、(1)照明源及び照明光学装置を含む照明系、(2)レチクルを位置付けるレチクルステージ装置、(3)投影光学機器、及び(4)半導体ウエハを位置付けるウエハステージ装置を有する。この構成において、照明系は、ウエハに像を転写するためにレチクルを照明する。高密度ウエハ用に、これらの機器を正確に位置決めかつ機能させる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
残念ながら、地震においては露光装置の機器の配置が変化しかつ装置損傷を受ける可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、基板を製造するための精密装置に関する。一実施形態において、精密装置は、精密製造機、ペデスタル体(pedestal assembly)、及び緩衝系を含む。精密製造機は、基板を製造するように構成される。ペデスタル体は、製造機の少なくとも一部を支持する。緩衝系は、搭載ベースとペデスタル体との間での動きの伝達を抑制する。一実施形態において、緩衝系は、(1)搭載ベース及びペデスタル体につながった第1ブーム材(boom)であって、搭載ベース及びペデスタル体の少なくとも1つに枢動可能につながった前記第1ブーム材と、(2)第1ブーム材及びペデスタル体の少なくとも1つと搭載ベースとの間につながった第1弾性体と、を備える。
【0005】
ここで、第1弾性体は、弾性体の作動範囲においてゼロ長スプリングと同様に機能できる。例えば、第1弾性体は、ゼロ長スプリングにできる。代替的に、第1弾性体は、ピストンシリンダと、ピストンシリンダに対して移動可能なピストンとを含むことができる。
【0006】
一実施形態において、緩衝系は、(1)前記搭載ベース及び前記ペデスタル体につながった第2ブーム材であり、前記搭載ベース及び前記ペデスタル体の少なくとも1つに枢動可能につながった前記第2ブーム材と、(2)前記第2ブーム材及び前記ペデスタル体の少なくとも1つと搭載ベースとの間につながった第2弾性体と、も含む。この実施形態において、各弾性材は、作動範囲にわたり、ゼロ長スプリングと同様に機能できる。
【0007】
別の実施形態において、緩衝系は、負の剛性を有する。この実施形態において、緩衝系は、前記第1弾性体を前記搭載ベースに移動可能につなぐ移動マウントと、前記ブームを前記搭載ベースに枢動可能につなぐブームコネクタと、前記移動マウントを前記ブームコネクタから離した状態に維持するマウント弾性体と、を含むことができる。
【0008】
代替的に、緩衝系は、実質的なゼロ剛性を有することができる。ここで、ゼロ剛性メカニズムは位置や動きにかからず、一定の力を発揮するメカニズムを意味する。
【0009】
本発明は、また、緩衝系システムに関し、それは(1)第1物体が搭載されるペデスタル体と、(2)ペデスタル体を前記第2物体に接続し、実質的ゼロ剛性で前記ペデスタルを支持する緩衝体とを含む。この実施形態において、前記緩衝体は、正剛性の弾性メカニズムと負剛性の弾性メカニズムを含むことができる。
【0010】
本発明は、また、サスペンションに関し、それは、第1マウント、第2マウント、第1補材、及び第2補材を含む。前記第1マウントは前記第1物体に取り付けられ、前記第2マウントは前記第2物体に取り付けられる。前記第1補材及び前記第2補材は、前記第1マウントの動きが前記第2マウントに伝わるのを抑制する。第1補材は、前記第1マウントから枢動可能に張り出した第1ブーム材と、前記第1マウントと前記第1ブーム材と間で接続された第1弾性材とを含むことができる。同様に、前記第2補材は、前記マウントの1つから枢動可能に張り出した第2ブーム材と、前記マウントの1つと前記第2ブーム材との間でつながった第2弾性材とを含む。マウントを共有したマルチなシステムの利用は、コンパクト、ゼロ剛性、モジュール、露光装置を含む多くの異なる精密装置に容易に組み込むことができるサスペンションを可能とする。
【0011】
一実施形態において、第2ブーム材は、第1マウントに枢動可能に接続され、第2弾性材は、第1マウントと第2ブーム材と間で接続される。この実施形態において、第1及び第2補材は、平行配置されたラコスト型システムである。別の実施形態において、(1)第2ブーム材は、第2マウントに枢動可能に接続され、(2)第2弾性材は、第2マウントと第2ブーム材との間に接続され、第1ブームコネクタを用いて、第1ブーム材の先端部が第2ブーム材の先端部に機械的に接続される。この実施形態において、第1及び第2補材は、平行配置されたラコスト型システムである。
【0012】
また、本発明は第1物体と第2物体との間の動きの伝達を抑制する弾性メカニズムである。一実施形態において、サスペンションは、第1マウント、第1支持部、及び第1緩衝体を含む。第1マウントは第1物体に取り付けられ、第1支持部は第2物体に取り付けられる。第1緩衝体は、第1マウントを第1支持部に接続し、第1弾性体は、第1軸に沿ったかつ第2軸に沿った動きの伝達を抑制する。いくつかの実施形態において、平行配置された、第1緩衝体は、第1ラコスト型システム及び第1ガーデンゲート型構造を規定する。
【0013】
ここで、ラコスト型システムとは、実質的にゼロ剛性を有し、動きにかかわらず、実質的に一定の力を発揮する緩衝系を意味する。
【0014】
また、ガーデンゲート型構造は、ゲートのようにヒンジ動作可能に枢動するシステムを意味する。
【0015】
一実施形態において、ラコスト型システムは、第1マウントに取り付けられ、ガーデンゲート型構造は、ラコスト型システムと第1支持部との間で延びかつそれらをヒンジ動作可能に接続する。
【0016】
本発明は、また、弾性メカニズムに関し、それはブームコネクタ、ブーム材、移動マウント、及び第1ブーム弾性体を含む。ブームコネクタは、第1物体に固定される。ブーム材は、ブームコネクタから枢動可能に張り出し、ブーム材のブーム先端部は、第2物体に接続される。移動マウントは、ブームコネクタ及び第1物体に対して移動可能である。第1ブーム弾性体は、移動マウントとブームとの間で接続される。この構成において、弾性メカニズムは、作動範囲全体にわたって完全にリニアな負剛性を有し、弾性メカニズムは、大振幅の外乱に対する防振に用いることができる。
【0017】
ここで、「負剛性」は、以下のような位置依存性の力特性を意味する:ゼロ位置で力がゼロであり、ゼロ位置から離れるに従って直線的に力の規模が増え、ゼロ位置でない場合の力の方向がゼロ位置から離れる向きである。
【0018】
いくつかの実施形態において、負剛性の弾性メカニズムは、精密製造機を隔離するための1以上の正剛性のサスペンションを含む緩衝系の一部として利用できる。この構成において、負の剛性の弾性メカニズムは、1以上の正剛性サスペンションにおける正剛性に対抗し、緩衝系の全体的な剛性を低減する。
【0019】
負剛性の弾性メカニズムは、一定の同じ力を維持しながら、固有の正剛性を減らす又は取り除くべき用途に適用できる。弾性メカニズムは、広い動作範囲にわたって一定の力が必要とされ、負の剛性によってシステムに対する固有の剛性を解消又は低減する必要があれば、どのような用途にも使用可能である。
【0020】
一実施形態において、第1ブーム弾性体は、第1ブーム弾性体の作動範囲においてゼロ長スプリングと実質的に同様に機能する。また、弾性メカニズムは、移動マウントをブームコネクタから離間した状態に維持するマウント弾性体を含むことができる。また、移動マウントは、移動軸に沿って、ブームコネクタに対して移動可能である。
【0021】
ここで、弾性メカニズムは、第1物体とブームとの間で接続される第2ブーム弾性体も含むことができる。この実施形態において、各ブーム弾性体は、作動範囲にわたり、ゼロ長スプリングと実質的同様に機能できる。また、この実施形態において、(1)軸心軸の周りをブームが枢動する、(2)第1ブーム弾性体によって、第1回転方向の軸心軸周りにブームを枢動させる、(3)第2ブーム弾性体によって、第1回転方向と反対の第2回転方向の軸心軸周りにブームを枢動させる。
【0022】
また、いくつかの実施形態において、(1)ほぼゼロ、(2)正、又は(3)負の予荷重を弾性メカニズムが有するように、マウント弾性体の剛性、第1ブーム弾性体の剛性、及び第2ブーム弾性体の剛性を選択できる。換言すると、いくつかの実施形態において、弾性メカニズムは、負の剛性の供給に加えて、正、負、又はゼロに調整可能な一定のプリセット予荷重を供給するように構成できる。
【0023】
ここで、正の予荷重とは、第1方向に沿った実質的に一定の力を意味し、その力はメカニズムの位置とは無関係であり、負剛性の位置依存性の力に追加的である。負の予荷重とは、第1方向に対向する第2方向に沿った実質的に一定の力を意味し、その力はメカニズムの位置とは無関係であり、負剛性の位置依存性の力に追加的である。ゼロ予荷重とは、負剛性の位置依存性の力以外の力が実質的に無いことを意味する。
【0024】
本発明は、さらに精密装置に関し、それは、基板を製造するための精密製造機と、製造機の少なくとも一部を支持するペデスタル体と、搭載ベースとペデスタル体との間での動きの伝わりを抑制する隔離システムとを含む。ここで、ペデスタル体は、第1ペデスタルと、離間した第2ペデスタルとを含む。一実施形態において、精密製造機は、第1ペデスタルに固定された少なくとも1つの第1部品と、第2ペデスタルに固定された少なくとも1つの第2部品とを含む。隔離システムは以下を含む:(1)搭載ベースと第1ペデスタルとの間でつながり、搭載ベースと第1ペデスタルとの間での動きの伝達を抑制する第1隔離体、及び(2)搭載ベースと第2ペデスタルとの間につながり、搭載ベースと第2ペデスタルとの間での動きの伝達を抑制する第2隔離体。この構成において、隔離システムは、精密製造装置の標準的な操作中において、ペデスタル間の振動の伝達を抑制する。
【0025】
いくつかの実施形態において、第1ペデスタルの振動の第1モードが第2ペデスタルの振動の第1モードとほぼ等しくなるように、1つ又は双方の隔離体の剛性が調整される。追加的又は代替的に、精密装置は、地震性擾乱中に、第1ペデスタルを第2ペデスタルと実質的に一緒に移動させるペデスタル同期システムを備えることができる。この構成は、地震性擾乱中に、ペデスタル及びペデスタルの部品が互いにノッキングするのを抑制する。また、この構成は、地震性擾乱中において、ペデスタル上の部品間で、物理的なつながりが張りつめた又はシビアになるのを抑制する。また、これは振動擾乱中における部品の相対移動を原因とした精密製造機の部品の損傷及び位置ずれの可能性を抑える。
【0026】
一実施形態において、ペデスタル同期システムは、地震性擾乱に先立って、第1ペデスタルを第2ペデスタルに選択的にロックするペデスタルロック体を有する。追加的又は代替的に、ペデスタル同期システムは、振動発生中に、第1ペデスタルを第2ペデスタルと実質的に一緒に(トラック及びフロー)移動させるペデスタル移動装置を含むことができる。例えば、ペデスタル移動装置は、ペデスタル間に直接的に接続される1以上の移動体、及び/又はペデスタルの1つと搭載ベースとの間に直接的に接続される1以上の移動体を含むことができる。
【0027】
追加的に、精密装置は、ペデスタルの少なくとも1つの位置に関する位置情報を供給するペデスタル計測システムと、位置情報に基づいて、ペデスタル移動装置を制御して、ペデスタルの1つ又は双方の位置を調整するペデスタル制御システムとを含むことができる。
【0028】
本発明の特徴は、発明内容はもちろん、その構成及び動作のいずれも、同種の特徴が同種の部分として言及された、添付の図面及び以下の説明から最良に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本発明の特徴を有する、精密装置の一実施形態の簡略化した模式図である。
【図2A】図2Aは、本発明の特徴を有する、精密装置の別の実施形態の簡略化した模式図である。
【図2B】図2Bは、本発明の特徴を有する、精密装置の別の実施形態の簡略化した模式図である。
【図3A】図3Aは、本発明の特徴を有する、サスペンションの斜視図である。
【図3B】図3Bは、図3Aのサスペンションの上面図である。
【図3C】図3Cは、図3Aのサスペンションの一部を拡大した斜視図である。
【図3D】図3Dは、図3Aのサスペンションの一部断面を示す斜視図である。
【図3E】図3Eは、図3Aのサスペンションの一部について異なる状況を示す側面図である。
【図3F】図3Fは、図3Aのサスペンションの一部について異なる状況を示す側面図である。
【図3G】図3Gは、図3Aのサスペンションの一部について異なる状況を示す側面図である。
【図3H】図3Hは、ラコスト型サスペンションの模式図である。
【図4】図4は、本発明の特徴を有する、サスペンションの別の実施形態の上面図である。
【図5】図5は、本発明の特徴を有する、サスペンションの別の実施形態の上面図である。
【図6】図6は、本発明の特徴を有する、サスペンションの別の実施形態の上面図である。
【図7】図7は、本発明の特徴を有する、サスペンションの別の実施形態の上面図である。
【図8】図8は、本発明の特徴を有する、サスペンションの別の実施形態の上面図である。
【図9】図9は、本発明の特徴を有する、サスペンションの別の実施形態の斜視図である。
【図10】図10は、本発明の特徴を有する、精密装置の簡略化した模式図である。
【図11】図11は、本発明の特徴を有する、サスペンションの斜視図である。
【図12】図12は、図11のメカニズムの模式的な上面図である。
【図13A】図13Aは、複数の緩衝体を含むメカニズムの模式的な上面図である。
【図13B】図13Bは、図13Aのメカニズムの斜視図である。
【図13C】図13Cは、図13Aのメカニズムの別の斜視図である。
【図14A】図14Aは、本発明の特徴を有するメカニズムの別の実施形態の模式図である。
【図14B】図14Bは、図14Aのメカニズムの一部の斜視図である。
【図14C】図14Cは、図14Aのメカニズムの一部の別の斜視図である。
【図15A】図15Aは、複数の緩衝体を有するセルの模式的な上面図である。
【図15B】図15Bは、図15Aの複数のセルを有するラティスの模式的な上面図である。
【図16A】図16Aは、複数のユニットを有するセルのさらに別の実施形態を示す模式的な上面図である。
【図16B】図16Bは、図16Aの複数のセルを含むラティスの模式的な上面図である。
【図17A】図17Aは、複数のユニットを有するセルのさらに別の実施形態を示す模式的な上面図である。
【図17B】図17Bは、図17Aの複数のセルを含むラティスの模式的な上面図である。
【図18】図18は、図17Aの複数のセルを含む別のラティスの模式的な上面図である。
【図19】図19は、図17Aの複数のセルを含むさらに別のラティスの模式的な上面図である。
【図20A】図20Aは、複数の緩衝体を有するセルのさらに別の実施形態を示す模式的な上面図である。
【図20B】図20Bは、図20Aの複数のセルを含むラティスの模式的な上面図である。
【図21A】図21Aは、複数の緩衝体を有するセルのさらに別の実施形態を示す模式的な上面図である。
【図21B】図21Bは、図21Aの複数のセルを含むラティスの模式的な上面図である。
【図22A】図22Aは、本発明の特徴を有するメカニズムの別の実施形態を示す斜視図である。
【図22B】図22Bは、図22Aの複数のユニットを有するセルの斜視図である。
【図22C】図22Cは、図22Bの複数のセルを含むラティスの斜視図である。
【図23】図23は、本発明の特徴を有する精密装置の概略的な模式図である。
【図24】図24は、本発明の特徴を有する弾性メカニズムの一実施形態を示す斜視図である。
【図25A】図25Aは、第1位置における図24の弾性メカニズムの側面図である。
【図25B】図25Bは、第2位置における図24の弾性メカニズムの側面図である。
【図25C】図25Cは、第3位置における図24の弾性メカニズムの側面図である。
【図26A】図26Aは、図24の弾性メカニズムの概略的な模式図である。
【図26B】図26Bは、図24の弾性メカニズムの概略的な模式図である。
【図26C】図26Cは、図24の弾性メカニズムの概略的な模式図である。
【図26D】図26Dは、図24の弾性メカニズムの概略的な模式図である。
【図26E】図26Eは、図24の弾性メカニズムの概略的な模式図である。
【図26F】図26Fは、図24の弾性メカニズムの概略的な模式図である。
【図27】図27は、本発明の特徴を有する弾性メカニズムの別の実施形態を示す斜視図である。
【図28】図28は、図27の弾性メカニズムを含む精密装置の模式図である。
【図29】図29は、本発明の特徴を有する精密装置の概略的な模式図である。
【図30】図30は、本発明の特徴を有する、精密装置の一実施形態を示す概略的な模式図である。
【図31】図31は、本発明の特徴を有する、精密装置のさらに別の実施形態を示す概略的な模式図である。
【図32】図32は、本発明の特徴を有する、精密装置のさらに別の実施形態を示す概略的な模式図である。
【図33】図33は、本発明の特徴を有する、精密装置の別の実施形態を示す概略的な模式図である。
【図34】図34は、本発明の特徴を有する、精密装置の別の実施形態を示す概略的な模式図である。
【図35】図35は、本発明の特徴を有する隔離機の一実施形態を示す模式的な斜視図である。
【図36】図36は、本発明の特徴を有する隔離機の別の実施形態を示す模式的な斜視図である。
【図37】図37は、本発明の特徴を有する隔離機の別の実施形態を示す模式的な斜視図である。
【図38】図38は、本発明の特徴を有する、隔離システム及びペデスタルの別の実施形態を示す模式図である。
【図39A】図39Aは、ロック状態における本発明の特徴を有するロックの一実施形態を示す模式図である。
【図39B】図39Bは、アンロック状態における図39Aのロックの模式図である。
【図40A】図40Aは、ロック状態における本発明の特徴を有するロックの別の実施形態を示す模式図である。
【図40B】図40Bは、アンロック状態における図40Aのロックの模式図である。
【図41A】図41Aは、本発明におけるデバイスを製造するためのプロセスを説明するためのフローチャートである。
【図41B】図41Bは、デバイス処理をより詳しく説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明の特徴を有する精密装置10の模式図であり、精密製造機12、精密製造機12の部品を保持するペデスタル(pedestal、基台)14(適宜に、プラットフォームと称する)、及び緩衝系16を含む。全体として、いくつかの実施形態において、精密装置10は、地震性擾乱中の精密装置10を防御及び/又は隔離するために独自に設計された1又はそれ以上の部品を含む。例えば、図1に示す実施形態において、緩衝系16は、地震性擾乱中のペデスタル14及び精密製造機12を支持しかつ隔離する1又はそれ以上のラコスト型のサスペンション16A、16Bを含む。ラコスト型サスペンション16A、16Bは、実質的にゼロ剛性を有しかつ、ペデスタル14の動きにかかわらず、実質的に一定の力をペデスタル14に及ぼすよう構成できる。その結果、精密製造機12の部品は、地震性擾乱中により良く防御される。これは地震性擾乱中の精密製造機12の部品の損傷及び位置ずれの可能性を抑える。
【0031】
一実施形態において、精密製造機12は、地震性擾乱が生じていないときに、搭載ベース20に対してペデスタル14を選択的にロックする1又はそれ以上のロック体18(図1では箱状に示す)をさらに含む。この構成において、精密製造機12の通常操作中に、ロック体18は、精密製造機12を固定して保持する。また、ロック体18は、精密製造機12を守るため、搭載ベース20からの振動が精密製造機12に伝わるのを緩衝系16によって抑制できるように、精密製造機12を素早く開放できる。適切なロック体18についてそのいくつかの非排他的な例を後でより詳しく説明する。
【0032】
複数の図において、X軸と、X軸に直交するY軸と、X軸及びY軸に直交するZ軸とが設定された座標系を採用している。なお、これらの軸は、第1、第2、及び第3軸としても参照される。
【0033】
搭載ベース20は、地面、土台、建物の床、あるいは他の支持構造物などにできる。
【0034】
精密製造機12の構成は、所望の製造工程を達成するために変更できる。例えば、精密製造機12は、ウエハ、精密部品、及び/又は液晶ディスプレイ、回路基板、MEMS応用を含む応用のためにパターン処理される他の基板の製造に使用できる。非排他的な一実施形態において、精密製造機12は、露光装置22及び搬送機構24を含むことができる。代替的に、例えば、精密製造機12は、光学テーブルにできる。それらの各構成部品の構成は、ここで提供される技術に従って様々に変更可能である。
【0035】
一実施形態において、露光装置22は、装置フレーム26、照明系(照射装置)28、投影光学装置30、レチクルステージ装置32、ウエハステージ装置34、計測システム36、及びリソグラフィック制御システム38を含む。この構成において、露光装置22は、集積回路のパターン(不図示)をレチクル40から半導体ウエハ42上に転写するリソグラフィック装置として特に有用である。しかしながら、ここで提供される露光装置22の利用は、半導体製造用のフォトリソグラフィシステムに限定されない。この露光装置22は、例えば、液晶表示装置のパターンを矩形ガラス基板に露光するLCDフォトリソグラフィシステム、あるいは、薄膜磁気ヘッド製造用のフォトリソグラフィシステムとしても使用可能である。さらに、ここに開示されるサスペンション16A、16Bは、他のタイプの精密設備の隔離にも利用できる。
【0036】
装置フレーム26は、剛体であり、露光装置22の部品の多くをペデスタル14に固定する。
【0037】
照明系28は、照明源28Aと、照明光学装置28Bとを含む。照明源28Aは、レチクル40の異なる部分を選択的に露光しかつウエハ42を露光するビーム(照射)を発する。図1では、照明源28Aは、装置フレーム26に近いペデスタルに固定されるように示されている。
【0038】
照明源28Aは、g線源(436nm)、i線源(365nm)、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)、あるいは、F2レーザ(157nm)にできる。代替的に、例えば、照明源28Aは、極紫外線、X線、又はイオンビームのようなビームを発することができる。
【0039】
照明光学装置28Bは、照明源28Aからのビームを、(1)部分的に透明なレチクル40用にレチクル40の上方、及び(2)反射レチクル40用にレチクル40の下方、のいずれかに導く。
【0040】
投影光学装置30は、レチクル40からの光をウエハ42に投影及び/又は集束させる。露光装置22の構成に応じて、投影光学装置30は、レチクル40上に照明された像を拡大または縮小できる。また、等倍(1倍)システムにもできる。
【0041】
レチクルステージ装置32は、レチクル40を保持しかつ投影光学装置30及びウエハ42に対してそのレチクル40を位置付ける。レチクルステージ装置32は、レチクル40を保持するレチクルステージ32A、1又はそれ以上の自由度でレチクル40を移動させるレチクルステージ移動体32B、及びレチクルステージ32Aを支持するレチクルステージベース32Cを含むことができる。
【0042】
同様に、ウエハステージ装置34は、ウエハ42を保持するとともに、レチクル40の照明部分の投影像に対してそのウエハ42を位置づける。ウエハステージ装置34は、ウエハ42を保持するウエハステージ34A、1又はそれ以上の自由度でウエハ32を移動させるウエハステージ移動体34B、及びウエハステージ34Aを支持するウエハステージベース34Cを含むことができる。
【0043】
装置測定システム36は、光学装置30又は他の参照物に対するレチクル40及びウエハ42の動きをモニターする。例えば、装置測定システム36は、マルチレーザ干渉計、エンコーダ、及び/又は他の測定器を利用できる。
【0044】
リソグラフィ制御システム38は、レチクルステージ装置32、ウエハステージ装置34、及び計測システム36に電気的に接続される。リソグラフィ制御システム38は、測定システム22からの情報を受信し、レチクル40及びウエハ42を正確に位置付けるようにステージ移動装置32、34を制御する。制御システム24は、1又はそれ以上のプロセッサ及び回路を備えることができる。
【0045】
追加的に、露光装置22は、様々な部品を他の部品から隔離するために、1又はそれ以上の隔離装置を含むことができる。例えば、露光装置22は、(1)第1ペデスタル段部(first pedestal level)14Aから装置フレーム26を隔離する1又はそれ以上のフレーム隔離器(frame isolators)46Aと、(2)装置フレーム26からレチクルステージ装置32を隔離する1又はそれ以上のレチクルステージ隔離器(reticle stage isolators)46Bと、(3)装置フレーム26からウエハステージ装置34を隔離する1又はそれ以上のウエハステージ隔離器(wafer stage isolators)46Cと、(4)装置フレーム26から投影光学装置30を隔離する1又はそれ以上のレンズ隔離器(wafer stage isolators)46Dと、を含む。例えば、1又はそれ以上のフレームサスペンション46A、ステージサスペンション46B、46C、及びレンズサスペンション46Dを、AVISサスペンションシステムと一般に呼ばれるアクティブ振動緩衝系にできる。さらに、AVISシステムは、ラコスト型のサスペンション16A、又は図23に示される負剛性機構2321を含む構成にできる。
【0046】
また、露光装置22は、1又はそれ以上の流体源48(図1にはその1つのみが箱状に示されている)、及び1又はそれ以上の温度制御系50(図1にはその1つのみが箱状に示されている)を含むことができる。非排他的な一例として、流体源48は、(1)レチクルステージベース32Cに対するレチクルステージ32A、及び(2)ウエハステージベース34Cに対するウエハステージ34A、を支持する流体ベアリングを形成するように加圧流体を供給できる。また、非排他的な一例として、温度制御系50は、レチクルステージ移動体32C及びウエハステージ移動体34Cの部品の温度を制御するために、それらに冷却流体を供給できる。
【0047】
搬送機構24は、レチクル40及び/又はウエハ42をロード及びアンロードするのに使用できる。搬送機構24は、1又はそれ以上のロボットアームを有することができる。
【0048】
ペデスタル14は、地震性擾乱から守るべき1又はそれ以上の精密部品を支持する。ペデスタル14の大きさ、形状、及び構成は、支持する部品に合うように変更可能である。図1において、ペデスタル14は、露光装置22及び搬送機構4を支持する。本実施形態において、ペデスタル14、露光装置22、及び搬送機構24を、ここではまとめて漂体(suspended assembly)44と呼ぶ。ペデスタル14は剛体であり、ペデスタル14に適した材料の非排他的ないくつかの例として、スチール、セメント、エポキシ・グラナイト(epoxy granite)、ポリマー・コンクリート(polymer concrete)、又は鋳鉄を含む。
【0049】
緩衝系16は、第1物体(例えば、搭載ベース20)から第2物体(例えば、漂体44)に伝わる振動を抑制する。こうして、図1において、緩衝系16は、漂体44の部品を守るために、地震性擾乱中においてペデスタル14及び漂体44を隔離する。換言すると、緩衝系16は、地震中において搭載ベース20から漂体44に伝わる振動を抑制する。その結果、緩衝系16は、地震中における漂体44の加速や運動を低減する。
【0050】
いくつかの実施形態において、地震における鉛直方向の動きを減衰させるために、漂体44の重量を漂わせる又は浮かべた状態にし、漂体44に対して搭載ベース20が動けるようにする必要がある。一実施形態において、緩衝系16は比較的柔らかく、また、漂体44は比較的重い。その結果、漂体44は、比較的低い共振周波数を有するようになる。緩衝系16の剛性を下げることは、漂体44に伝わる力を減らし、これにより地震中における漂体44の加速及び運動を低減する。一実施形態において、緩衝系16は、実質的ゼロ剛性を有する構成にできる、また、漂体44の動きに関係なく、一定の鉛直力を漂体44の重量に与えるように構成できる。
【0051】
そうしたゼロ剛性の緩衝系16上に漂体44が置かれている場合、クリーンルーム内で人が歩いたりあるいはペデスタル14に乱れを与えたりするときに、漂体44に大きな動きが生じやすい。この配置において、ロック体18を使用しなければ、ペデスタル14上を何かが歩くと、漂体44が移動しかつ活発化する可能性がある。これは、ウエハ42に転写される像形状の精度を下げる可能性がある。
【0052】
緩衝系16の構成は、漂体44の共振周波数を所望のレベルにするために、あるいは運動の減衰を所望の方向とするために、変更可能である。一実施形態において、緩衝系16は、(1)Z軸に沿った、X軸周り、及びY軸周りの搭載ベース20の動きがペデスタル14及び漂体44に伝わるのを抑制する1又はそれ以上の離間した鉛直サスペンション16Aと、(2)X及びY軸に沿った、及びZ軸周りの搭載ベース20の動きがペデスタル14及び漂体44に伝わるのを抑制する1又はそれ以上の離間した水平サスペンション16Bとを含む。この構成において、緩衝系16は、6自由度の振動を減衰させる。
【0053】
代替的に、例えば、緩衝系16は、3自由度のみの振動を減衰するように構成できる。
【0054】
なお、いくつかの実施形態において、地震時における第1物体から第2物体への振動の伝達を抑制するために、サスペンション16A、16Bが比較的長いストロークを有する必要がある。非排他的な一例において、ここで開示されたサスペンションは、少なくとも約10、15、30、又は50cmのストロークを有することができる。適切なサスペンション16A、16Bについて後で詳しく説明する。
【0055】
ロック体18は、精密製造機12の通常動作中において、搭載ベース20に対する漂体44の望まない大きな動きを抑制しかつ阻止する。また、ロック体18は、ペデスタル14及び漂体44を高い剛性で堅固につかみ、そして地震性擾乱の前に又はその間には漂体44を開放する。一実施形態において、ロック体18は、(1)Z軸に沿った、X軸周りの、及びY軸周りの搭載ベース20に対する漂体44の動きを選択的に、協働して抑制する1又はそれ以上の離間した鉛直ロック(vertical locks)52A(箱状に図示している)と、(2)X軸に沿った、Y軸に沿った、及びZ軸周りの搭載ベース20に対する漂体44の動きを協働して抑制する1又はそれ以上の水平ロック(horizontal locks)52Bと、(3)ロック52A、52Bの動きを制御する制御システム54とを含む。この構成において、作動中のロック体18は、漂体44の6自由度の動きを抑制する。
【0056】
ロック制御システム54は、搭載ベース20に対するペデスタル14のロック及びアンロックを選択的に行うために、ロック52A、52Bに電気的に接続されかつそれらを制御する。ロック制御システム54は、1又はそれ以上のプロセッサ及び回路を備えることができる。
【0057】
一実施形態において、制御システム54は、地震性擾乱が搭載ベース20をまさに乱そうとしていることを示す早期警報通知信号を供給する通知システム54A(箱状に図示されている)に電気的につながっている。早期警報通知信号の受信に基づき、ロック制御システム54は、ロック52A、52Bをアンロックし、地震性擾乱が搭載ベース20に達する前に、ペデスタル14及び漂体44を開放できる。
【0058】
この通知システム54Aの構成は変更可能である。例えば、通知システム54Aは、精密装置10の周囲の約5−10kmの範囲で精密装置10を囲む1又はそれ以上の離間した地震センサ(seismic sensor、不図示)を含むことができる。また代替的に、通知システム54Aは、1又はそれ以上の地震センサにアクセスする公共施設でもよく、ロック制御システム54に送信可能な通知信号がその公共施設から供給される。
【0059】
いくつかの実施形態において、低度の正剛性を望む場合に、機械動特性の調整のために、緩衝系16とともに、ソフトスプリングシステム(図1では不図示)を用いることができる。
【0060】
図2Aは、別の実施形態である精密装置210Aの模式図であり、上記の図1に示した精密装置10と概ね同様である。一方、図2においては、ペデスタル214Aは、複数のペデスタル部、すなわち第1ペデスタル部214AA、第2ペデスタル部214AB、及び第3ペデスタル214ACを含む。本実施形態において、(1)第1ペデスタル部214AAは搬送機構24及び温度制御システム50を支持し、(2)第2ペデスタル部214ABは、流体源48、照明系28の一部、及び制御システム38を支持し、(3)第3ペデスタル部214ACは、露光装置22のその他の部品を支持する。代替的に、ペデスタル214Aは、さらに多くの又は少ないペデスタル部によって構成できる、及び/又は、ペデスタル部上の部品の配置は、図2Aに示したものと異なってもよい。
【0061】
追加的に、図2Aにおいて、緩衝系216Aは、ペデスタル部214AA,214AB、及214ACごとに分かれた複数のサスペンション16Aを含む。
【0062】
図2Bは、別の実施形態である精密装置210Bの模式図であり、上記の図1に示した精密装置10と概ね同様である。一方、図2Bにおいては、ペデスタル214Bは、複数のペデスタル部、すなわち第1ペデスタル上段部214BA、及び第2ペデスタル下段部214BBを含み、これらは互いに堅くつながっている。本実施形態において、(1)第2ペデスタル段部214BBは、温度制御システム50、流体源48、及び制御システム38を支持し、(2)第1ペデスタル段部214BAは、露光装置22の他の部品を支持する。代替的に、ペデスタル214Aは、さらに多くの又は少ないペデスタル段部によって構成できる、及び/又は、ペデスタル段部上の部品の配置は、図2Bに示したものと異なってもよい。
【0063】
追加的に、図2Bにおいて、緩衝系216Bは、2つのペデスタル段部214Aを浮かせる複数のサスペンション16Aを含む。
【0064】
本実施形態において、1又はそれ以上の電線管、例えばワイヤ及びホース(不図示)が第1ペデスタル段部214BAの1又はそれ以上の開口を通って延びてもよく、これにより、第1ペデスタル段部214BAに固定された部品と、第2ペデスタル段部2144Bに固定された部品との間を電気的及び機械的につなぐことが可能になる。また、第1ペデスタル段部214BA上の部品は、クリーンルーム環境内に維持でき、第2ペデスタル段部214BB上の部品は、比較的汚れた環境内としてもよい。
【0065】
ペデスタル段部214BA、214BBが地震性擾乱中に同時に動くことにより、地震性擾乱中の電線管の損傷や位置ずれの可能性が低減される。
【0066】
サスペンションは、第1物体と第2物体との間の振動の伝達を抑制する。図1、2A、及び2Bにおいて、第1物体は、漂体44又はその一部であり、第2物体は搭載ベース20である。代替的に、第1物体を搭載ベース20、第2物体を漂体44にできる。また、代替的に、ここに開示されたサスペンション16Aは、精密装置10内の他の2つの物体の間の振動伝達の抑制に使用できる。
【0067】
図3Aは斜視図、図3Bは上面図、図3Cは部分分解側面図、及び図3Dは斜視図であり、図1、2A、及び2Bに示す精密装置10、210A、210B又は別の種類の精密装置における、物体間での動きの伝達を抑えるために使用されるサスペンション296を部分的に切り取った様子を示す。本実施形態において、サスペンション296は、第1マウント364、第2マウント366、第1弾性体368、第2弾性体1270、及び第3弾性体372を含む。これらの部品の構成、形状、及び大きさは、精密装置10の残りの構成要求に合わせて変更可能である。例えば、サスペンション296は、3より多い又は少ない弾性体368、370、372を有する構成にできる。
【0068】
第1マウント364は剛体であり、第1物体に固定される。図3A−3Dに示す実施形態において、第1マウント364は、物体接触部364A、第1ガイド364B、及び第1ガイド364Bから離れた第2ガイド364C、を含む。この実施形態において、物体接触部364Aは第1物体に固定され、第1ガイド364Bは第2マウント366に対する第1マウント364の動きを移動軸374に沿って案内し、第2ガイド364Cは第2マウント366に対する第1マウント364の動きを移動軸374に沿って案内する。この構成により、第1マウント364が第2マウント366を覆って取り付けられるとともに、第2マウント366によって移動軸374に沿って案内される。
【0069】
非排他的な一実施形態において、(1)物体接触部364Aは、全体として円板形状であり、(2)第1ガイド364Bは、全体として円筒形状でありかつ、第2マウント366の一部を包んではめ合わされる大きさからなりかつ、物体接触部364Aに固定され、(3)第2ガイド364Cも、全体として円筒形状からなりかつ第2マウント366の一部を包んではめ合わされる大きさからなる。代替的に、例えば、ガイド364B、364Cを矩形筒形状にでき、及び/又は、ガイド364B、364Cを一体化して単数の部品にしてもよい。ガイド364B、364Cは、弾性体368、370、372の一部を第1マウント364に枢動自在に取り付けのための、複数の離間した第1マウント支持部364Dを含むことができる。一実施形態において、各第1マウント支持部364Dは、支持孔364Eを有するフランジと、支持孔364E及び弾性体368、370、372に挿入される軸ピン364Fとを含む。
【0070】
同様に、第2マウント366は剛体であり第2物体262に固定される。図3A−3Eに示す実施形態において、第2マウント366は、移動軸374に沿った、第1マウント364のガイド364B、364Cの第2マウント366に対する移動を案内する。第2マウント366は、ガイド364B、364Cの形状に合う形状を有する。非排他的な一実施形態において、第2マウント366は、第1マウント364のチューブ状のガイド364B、364C内に挿入される、全体として円筒状のビーム材366Aを含む。代替的に、例えば、ビーム材366Aは、ガイド364B、364Cの形状に合うように、全体として矩形状の断面又は別の形状の断面形状を有することができる。
【0071】
追加的に、第2マウント366は、ビーム材366Aに固定的に取り付けられた一対の離間した取り付けリング366Bを有することができ、これらリング366B間の相対移動はない。各取り付けリング366Bは、弾性体368、370、372の一部を第2マウント366に枢動自在に取り付けるための、複数の離間した第2マウント支持部366Cを含むことができる。一実施形態において、各第2マウント支持部366Bは、支持孔366Cを有するフランジと、支持孔366C及び弾性体368、370、372に挿入される軸ピン366Dとを含む。
【0072】
弾性体368、370、372はともにマウント364、366にフレキシブルにつながり、また、弾性体368、370、372は、第2マウント366の動きが第1マウント364に伝わるのを抑える。図3A−3Eに示す実施形態において、(1)各弾性体368、370、372は、大きさ、形状、及び構成が似ており、(2)弾性体368、370、372は、マウント364、366の外周周りで等間隔であり(それぞれの間が約120°)、(3)弾性体368、370、372は、マウント364、366から径方向に張り出している。この構成において、マウント364、366間での動きの伝達を抑えるために、弾性体368、370、372が並列に配置される。代替的に、例えば、1又はそれ以上の弾性体368、370、372が、異なる構成及び/又はわずかなオフセットを含む離間状態でもよい。
【0073】
一実施形態において、各弾性体368、370、372は、第1補材376、第2補材378、及びブームコネクタ379を含むことができ、これらは移動軸374に実質的に平行な一面内に配される。本実施形態において、(1)第1マウント364から枢動可能に張り出した第1補材380と、(2)第1マウント364と第1ブーム材380との間につながった第1上部弾性材382とを含むことができる。また、第2補材378は、(1)第2マウント366から枢動可能に張り出した第2下部ブーム材384と、(2)第2マウント366と第2ブーム材384との間につながった第2弾性材386とを含むことができる。また、ブームコネクタ379は、ブーム材380、384が同時に動くように、第1ブーム材380を第2ブーム材384に物理的及び機械的につなげる。このように、3つの弾性体368、370、372を用いる本実施形態において、全部で6つの補材376、378、6つのブーム材380、384、6つの弾性材382、386、及び3つのブームコネクタ379がある。
【0074】
ここで、「第1」及び「第2」とは、弾性体368、370、372における、補材376、378、ブーム材380、384、及び弾性材382、386の説明に便宜的に用いるものである。一方、代替的に、弾性体368、370、372のいずれかの補材376、378、ブーム材380、384、及び弾性材382、386を、「第3」、「第4」、「第5」、又は「第6」の補材、ブーム材、又は弾性材と称することもできる。例えば、第1弾性体368の補材、ブーム材、弾性材を、「第1」及び「第2」の補材、ブーム材、弾性材と称し、第2弾性補材1270のブーム材、及び弾性材を「第3」及び「第4」の補材、ブーム材、弾性材と称し、第3弾性補材372のブーム材、弾性材を、「第5」及び「第6」の補材、ブーム材、及び弾性材と称することができる。
【0075】
第1ブーム材380は、(1)ブーム近位端部380A付近のブーム開口を通って延びる枢動ピン364Fを介して、第1マウント364の第1ガイド364Bに枢動可能につながったブーム近位端部380Aと、(2)ブーム先端部380B付近のブーム開口(不図示)を通って延びるピン380Cを介して、第1弾性材382及びブームコネクタ379に枢動可能につながったブーム先端部380Bとを含む剛ビーム材である。第1弾性材382は、(1)枢動ピン364Fを介して、第1マウント364の第2ガイド364Cに固定された部材近位端部382Aと、ピン380Cを介して、ブーム先端部380Bにつながった部材先端部382Bとを含む。
【0076】
同様に、第2ブーム材384は、(1)ブーム近位端部384A付近のブーム開口を通って延びる枢動ピン366Eを介して、第2マウント366の下側取り付けリング366Bに枢動可能につながったブーム近位端部384Aと、(2)ブーム先端部384B付近のブーム開口384Cを通って延びるピン384Cを介して、第2弾性材386及びブームコネクタ379に枢動可能につながったブーム先端部384Bとを含む剛ビーム材である。第2弾性材386は、(1)ピン366Eを介して、第2マウント366の上側取り付けリング366Aに固定された部材近位端部386Aと、また、ピン384Cを介して、ブーム先端部384Bにつながった部材先端部386Bとを含む。
【0077】
ブームコネクタ379は、ブーム材380、384の先端部が同時に動くように、第1ブーム材380のブーム先端部380Bを第2ブーム材384のブーム先端部384Bに物理的及び機械的につなげる。また、ブームコネクタ379は、(1)第1ブーム材380を第2マウント366に、また、第2ブーム材384を第1マウント364に、機械的に接続及び結合する。一実施形態において、ブームコネクタ379は、移動軸374と実質的平行に延びている。本実施形態において、ブームコネクタ379は、ピン380Cを介して枢動可能に第1ブーム材380につながった上端部と、ピン384Cを介して枢動可能に第2ブーム材384につながった先端部と、を含む剛ビーム材である。
【0078】
代替的な一実施形態において、ここで開示されたコネクタは、モノリシック・フレクシャにできる。
【0079】
一実施形態において、各弾性材382、386は、各弾性材382、386の作動範囲においてゼロ長スプリングと同様に機能する又は同様の特性を有する。例えば、一実施形態において、各弾性材382、386は、ゼロ長スプリングである。ゼロ長スプリングは、その長さに比例する力を発するスプリングである。換言すると、伸びる量はその全体の長さによって定まる。こうしたスプリングは、仮に弛んだ長さがゼロのときに、ゼロ力を発する。実際には、ゼロ長スプリングは、力が作用していないときにコイルが接触しかつコイルを離す動作の開始に所定の力が必要となるように、予荷重が与えられている(preloaded)スプリングである。予荷重の量は、力の置換曲線をシフトさせるために調整され、その結果、基点での仮想交差を有しかつスプリング長に相当する力を発する。ゼロ長は、負の長さを持ったスプリング(スプリングが弛んだときにコイルが互いに押されている)と、長さを延ばす非弾性材とを組み合わせることにより作成できる。ゼロ長スプリングのサイズは、システムに要求される力を得るために変更可能である。
【0080】
別の実施形態において、1つまたは両方の弾性材382、386を流体型ピストン体にできる。
【0081】
ここで使用される「作動範囲」という用語は、漂体44を隔離するのに必要な範囲を意味し、地震などの地震性擾乱からの振動振幅に対応する 代替的な非排他的実施形態において、作動範囲は、約1、2、5、10、15、20、又は30cmにできる。
【0082】
追加的に、各補材376、378は、安定化剛ビーム材(rigid stabilization beam)388と、マウント支持剛ビーム材(rigid mount support beam)390とを含むことができる。本実施形態において、安定化ビーム材388は、マウント364、366の1つとブームコネクタ379との間で枢動可能につながっており、また、マウント364、366とブームコネクタ379との間の別の接続も行う。この構成において、安定化ビーム材388は、ブームコネクタ379を適切な姿勢に維持する。
【0083】
また、第1補材376のマウント支持剛ビーム材390は、第1ガイド364Bと第2ガイド364Cとの間で延びかつそれらを固定し、また、第2補材378の剛マウント支持ビーム材390は、第2マウント支持部366C同士の間で延びかつそれらを固定する。
いくつかの実施形態において、補材376、378のそれぞれに対して、安定化ビーム材388、マウント支持ビーム材390、ブーム材380、384、及びブームコネクタ379の半分が組み合わさって全体として矩形状の4柱リンクを形成する。また、弾性材382、386は、その矩形形状の対角に延びる。
【0084】
一実施形態において、補材376、378の各々がラコスト型システムを示し、これにより、弾性体368、370、372のそれぞれは、直列的に作動する2つのラコスト型の緩衝系をなし、マウント364、366間での動きの伝達を抑える。換言すると、本実施形態のサスペンション296は、実質的にゼロ剛性を提供する6つのラコスト型サスペンションをなす1つの群である。従って、ラコスト型補材376、378をそれぞれ含む複数の群296を用いて、漂体44(図1に図示)を同時に支持することができる。サスペンション296の1つの群に基づくラコストは、剛性を追加することなく、荷重を支持するための鉛直方向の力を提供し、また、プラットフォーム、ペデスタル、又はクリーンルームフロアに容易に組み込まれる実用的なコンパクトモジュールとなる。換言すると、図3A−3Dに示すサスペンション296は、ゼロ剛性を有しかつ、ペデスタル14の動きにかかわらず、減衰したペデスタル14の重量に相当する一定の鉛直力を発することができる。
【0085】
図3A、3C、及び3Dに示す実施形態において、第2補材378は、第1補材376の鏡像(mirror image)をなす。鏡像状態のラコスト型サスペンションは、横方向の寄生運動を取り除くために用いることができる。換言すると、補材376、378は、径方向外方に向けてその後に径方向内方に向けて直列的に搭載されている。これはラコストサスペンションの径方向の寄生運動を相殺する。
【0086】
サスペンション296の各群は、漂体44の下に配置可能なモジュール構成である。また、漂体44(図1に図示)の支持に必要な、緩衝系16、216A、216B(図1、2A、2Bに図示)におけるサスペンション296の数は、漂体44の特性及びサスペンション296の特性に応じて定めることができる。より重い漂体44のために、より多くの数のサスペンション296の群が使用可能である、あるいは、代替的に、発生する鉛直力を変化させるために、ブーム材380、384の軸心の高さを変更できる。代替的に、非排他的な実施形態において、緩衝系16、216A、216Bは、約10、20、30、又は50の離間したサスペンション296を有することができる。
【0087】
図3E−3Gは、図3Aのサスペンション296の一部について異なる状況を示す側面図である。より具体的には、図3Eは、第1状況392のサスペンション296を示し、図3Eは第1状況392から縮んだ第2状況394のサスペンション296を示し、図3Gは第1状況392から拡張した第3状況396のサスペンション296を示す。これらの図は、マウント364、366が互いに相対的に移動可能であり、振動の伝達を抑制するために第1弾性体368が動く様子を示す。状況392、394、396のいずれもニュートラル・ポジションとみなすことが可能である。
【0088】
図3Hは、ラコスト型システムの模式図であり、上述の第1補材376及び第2補材378と機能的に等価である。この構成において、部品要素を、第1補材376としている。また、この図において、(1)「x」は弾性材382(すなわち、ゼロ長スプリング)の長さを表し、(2)「s」はブーム材380及び弾性材382用の支持点間の鉛直方向の離間距離(例えば、第1ガイド364Bと第2ガイド364Cとの間の距離)、)(3)「F」はブーム先端部380Bにおける力、(4)「B」はブーム材380の長さを表し、(5)「k」は弾性材382のためのバネ定数、及び(5)「θ」は横軸に対するブーム材380の角度である。
【0089】
式1は、ブーム支持部364周りの動きの合計を表す、
【0090】
【数1】

【0091】
代数を用いることで式1は式2のように簡素化できる。
【0092】
【数2】

【0093】
この構成において、支持点364B、364Cの間の離間距離sは、固定であるものの、異なる荷重に対して調整可能である。力Fは、荷重の鉛直位置と無関係であり、よってゼロ剛性である。
【0094】
図4は、サスペンション416の別の実施形態の上面図であり、図3A−3Dに示した上記のサスペンション296と似ている。一方、本実施形態において、サスペンション416は、等間隔(対称的に方向付けられた)な2つのみ、弾性体468、470を含む。弾性体468、470は、図3A−3Dに示した上記の弾性体368、370、372に似ている。よって、本実施形態において、各弾性体468、470は、2つの補材376、378(図4には不図示)を含む。
【0095】
図5は、サスペンション516の別の実施形態の上面図であり、図3A−3Dに示した上記のサスペンション296と似ている。一方、本実施形態において、サスペンション516は、等間隔(対称的に方向付けられた)な4つの弾性体568、570、572、574を含む。弾性体568、570、572、574は、図3A−3Dに示した上記の弾性体368、370、372と似ている。よって、本実施形態において、弾性体568、570、572、574は各々が、2つの補材376、378(図5では不図示)を含む。
【0096】
図6は、サスペンション616の別の実施形態の上面図であり、図3A−3Dに示した上記のサスペンション296と似ている。一方、本実施形態において、サスペンション616は、等間隔(対称的に方向付けられた)な5つの弾性体668、670、672、674、676を含む。弾性体668、670、672、674、676は、図3A−3Dに示した上記の弾性体368、370、372と似ている。よって、本実施形態において、弾性体668、670、672、674、676は各々が、2つの補材376、378(図6では不図示)を含む。
【0097】
図7は、サスペンション716の別の実施形態の上面図であり、図3A−3Dに示した上記のサスペンション296と似ている。一方、本実施形態において、サスペンション716は、等間隔(対称的に方向付けられた)な6つの弾性体768、770、772、774、776、778を含む。弾性体768、770、772、774、776、778は、図3A−3Dに示した上記の弾性体368、370、372と似ている。よって、本実施形態において、弾性体768、770、772、774、776、778は各々が、2つの補材376、378(図7では不図示)を含む。
【0098】
図8は、サスペンション816の別の実施形態の上面図であり、図3A−3Dに示した上記のサスペンション296と似ている。一方、本実施形態において、サスペンション816は、等間隔(対称的に方向付けられた)な7つの弾性体868、870、872、874、876、878、880を含む。これらの弾性体868、870、872、874、876、878、880は、図3A−3Dに示した上記の弾性体368、370、372と似ている。よって、本実施形態において、弾性体868、870、872、876、878、880は各々が、2つの補材376、378(図8では不図示)を含む。
【0099】
図9は、別の実施形態におけるサスペンション916を示す斜視図であり、サスペンション916は離間した3つの弾性体989、970、972を含み、図3A−3Dに示した。サスペンション296に似ている。より具体的には、本実施形態において、弾性体968、970、972のそれぞれが直列的に作動する2つの補材976、978をさらに含む。一方、本実施形態において、補材976、978は、鉛直方向の積み重ねに代わり、実質的に横に隣り合う(互いに隣接する)ように配置されている。本実施形態において、鏡像状態のラコステ補材976、978は、並列的に並び、これは省スペース、及び実質的に一定の力のサスペンション群916における積み重ね高さの低減につながる。
【0100】
本実施形態において、第1補材976は、第1マウント964の第1ガイド964B及び第2ガイド964Cに取り付けられ、また、第2補材978は、第2マウント966の取り付けリング966Bに取り付けられる。また、本実施形態において、ブームコネクタ979は、補材976、978を接続する。その結果、補材979、978は、マウント964、966間での動きの伝達を抑制する。
【0101】
図9において、ブームコネクタ979は、一対の環状の接続リング979A、979Bと、複数の接続ビーム979Cとを含む。より具体的には、本実施形態において、(1)上側接続リング979Aが第1補材976の第1ブーム材980と第2補材978の安定化ビーム材988とを機械的につなぎ、(2)下側接続リング979Bが第2補材978の第2ビーム材984と第1補材976の安定化ビーム材988とを機械的につなぎ、(3)接続ビーム979Cが接続リング979Aと979Bとを機械的につなぐ。本実施形態において、リング979A、979Bは協働して(1)第1補材976の安定化ビーム材988を第2補材978の安定化ビーム材988に直列的に接続し、また(2)第1補材976のビーム980を第2補材978のブーム材980に直列的に接続する。
【0102】
本実施形態において、サスペンションの直列セットが径方向外方及び径方向内方のペアを構成することができる。しかしながら、多様のペアでなくてもよい。例えば、3つのラコスト補材976を、径方向外方に向かう段において直列的に搭載し、その後に3つのラコステ補材978を径方向内側に向かう段において直列的に搭載することができる。径方向外方及び径方向内方に向けた直列的なサスペンションのペアは、キネマティックとして、好ましく構成できる。
【0103】
上記のすべての実施形態において、ラコスト補材は、マウントの外側に固定され、1つの段において径方向外側に延び、第2段において径方向内側に延びる。代替的な一実施形態において、ラコスト補材は、環状のマウントの内側に固定され、マウントから径方向内側延び、その後に第2段で径方向外側に延びる。
【0104】
図10は、精密装置1010の別の実施形態の模式図であり、精密装置1010は、精密製造機1012、精密製造機1012の部品を保持するペデスタル1014、及び、ペデスタル1014と精密製造機1012を支持するメカニズム(適宜、サスペンションと称する)を含む。本実施形態において、精密製造機1012は、図1に示した上記の露光装置10と同様の露光装置1022である。また、ペデスタル1014は、図1に示した上記のペデスタル14と同様である。
【0105】
本実施形態において、メカニズム1016は、ラコステ型システムとガーデンゲート構造との組み合わせを1又はそれ以上含み、地震性擾乱時においてペデスタル1014及び精密製造機1012を支持しかつ隔離する。メカニズム1016は、第1軸、第2軸、及び第3軸に沿って実質的にゼロ剛性を有するように構成でき、ペデスタル1014の動きにもかかわらず、実質的に一定の力をペデスタル1014に与えることができる。換言すると、メカニズム1016は、鉛直方向及び両水平方向における地震の減衰をもたらし、3つの並進自由度のすべてにおいて減衰が達成される。その結果、精密製造機1012の部品は、地震性擾乱時において、メカニズム1016を介して良好に守られる。これは地震性擾乱中の精密製造機1012の部品の損傷及び位置ずれの可能性を抑える。
【0106】
追加的に、精密製造機1012は、地震性擾乱が生じていないときに、搭載ベース1020に対してペデスタル1014を選択的にロックする1又はそれ以上のロック体1018(図1では箱状に示す)をさらに含む。この構成において、精密製造機12の通常操作中に、ロック体1018は、精密製造機12を固定して保持する。また、ロック体18は、精密製造機12を守るため、搭載ベース20からの振動が精密製造機12に伝わるのをメカニズム16によって抑制できるように、精密製造機12を素早く開放できる
【0107】
また、精密製造機1012は、1又はそれ以上のアクチュエータを有する移動装置1021(箱状に図示されている)を任意に含むことができ、アクチュエータは、地震性擾乱後において搭載ベース1020に対するペデスタル1014の位置を選択的にリセットするのに使用できる。
【0108】
ここで、本実施形態において、ペデスタル1014及び露光装置1011をまとめて漂体1044と称する。
【0109】
メカニズム1016は、漂体1044の部品を守るために、地震性擾乱中において漂体1044を隔離する。換言すると、メカニズム1016は、地震中において搭載ベース1020から漂体1044に伝わる振動を抑制する。このように、メカニズム1016、地震中における漂体1044の加速や運動を低減する
【0110】
いくつかの実施形態において、地震における鉛直方向の動きを減衰させるために、漂体1044の重量を漂わせる又は浮かべた状態にし、漂体1044に対して搭載ベース1020が動けるようにする必要がある。一実施形態において、メカニズム1016は比較的柔らかく、また、漂体1044は比較的重い。その結果、漂体1044は、比較的低い共振周波数を有するようになる。一実施形態において、メカニズム1016は、実質的ゼロ剛性を有する構成にできる、また、漂体1044の動きに関係なく、一定の鉛直力を漂体1044の重量に与えるように構成できる。
【0111】
図10において、メカニズム1016は、Z軸に沿った、X軸に沿った、及びY軸に沿った、搭載ベース1020の動きがペデスタル1014及び漂体1044に伝わるのを抑制する。この構成において、メカニズム16は3自由度の振動を減衰する。適切なメカニズム16について後で詳しく説明する。
【0112】
いくつかの実施形態において、低度の正剛性を望む場合に、機械動特性の調整のために、メカニズム1016とともに、ソフトスプリングシステム(図1では不図示)を用いることができる。
【0113】
メカニズム1016は、他の構成にも使用可能である。例えば、メカニズム1016は、サスペンション16Aの代わりに多数のペデスタル214Aを配置した構成(図2Aに図示)、あるいは、サスペンション16Aの代わりに統合したレベル及び統合したペデスタル214Bを配置した構成(図2Bに図示)に用いることができる。
【0114】
図11は、メカニズム1016(図10に図示)又はその一部として使用できる一実施形態におけるユニット1116の斜視図である。本実施形態において、ユニット1116は、マウント1150、支持部1152、及び緩衝体1154を含み、これらは協働して図10、2A、2Bに示す精密装置1010、210A、210B又は他の種類の精密装置における物体間の運動の伝達を抑制する。これらの部品の構成、形状、及び大きさは、精密装置1010の残りの構成要求に合わせて変更可能である。
【0115】
マウント1150は剛体であり、第1物体に固定される(例えば、図10に示す搭載ベース1020)。図11において、マウント1150は第1物体に固定された搭載ベース1150Aと、Z軸に沿って延在しかつ搭載ベース1150から上方に張り出した搭載ビーム1150Bとを含む。例えば、搭載ベース1150Aは、全体として円板状にでき、搭載ビーム1150は全体としてシリンダ状のビーム形状にできる。代替的に、これらの部品は図1に示したものと異なる形態を有することができる。
【0116】
支持部1152は、剛体であり、第2物体(例えば、図10に示すペデスタル1014)に固定された先端部を含む。図11において、支持部1152は全体としてシリンダー状のビーム形状である。代替的に、支持部1152は、図11に示したものと異なる形態を有することができる。
【0117】
緩衝機1154は、マウント1150と支持部1152との間で延び、緩衝機1154は、少なくとも1つのラコスト型システム1156及び少なくとも1つのガーデンゲート型構造1158をなす。図11に示す実施形態において、緩衝機1154は、単数のラコスト型システム1156と一対のガーデンゲート型構造1158とを規定する。本実施形態において、(1)ラコスト型システム1156は第1軸(例えば図11のZ軸に沿った上向き及び下向き)に沿って実質的にゼロ剛性を有し、実質的に一定の鉛直力をペデスタルに及ぼし、(2)ガーデンゲート型構造1158は、第2軸に沿って(例えば、図11のX軸に沿って)及び第3軸に沿って(例えば、図11のY軸に沿って)実質的にゼロ剛性を有し、ペデスタル1014と搭載ベース1020との間において無制限の相対的な水平運動を許容する。ラコスト型システム1156とガーデンゲート型構造1158の1つとが直列的に接続され、これにより、ガーデンゲート型構造1158は、ラコスト型システム1156の鉛直力をペデスタル1014に伝える。
【0118】
図11において、緩衝機1154は、(1)ブーム取付部1160、(2)ブーム取付部1160から上方に離れて位置するビーム取付部1162、(3)サスペンションブーム材1164、(4)弾性体1166、(5)安定化ビーム材1168、(6)接続体1170、(7)ゲートフレーム1172、及び(8)ゲート取付部1174を含む。代替的に、緩衝機1154は、図11に示すものより多くの又は少ない部品で構成できる。
【0119】
ブーム取付部1160は、サスペンションビーム材1164をマウント1150に枢動可能に取り付ける。ビーム取付部1162は、安定化ビーム材1168をマウント1150に枢動可能に取り付ける。本実施形態において、(1)ブーム取付部1160は、全体として筒状からなり搭載ビーム材1150Bを囲む取付リング1160Aと、リング1160A及びブーム材1164の開口(不図示)を通して延びかつ機械的及び枢動可能にブーム材1164を搭載ビーム材1150Bにつなぐピン1160Bとを有し、(2)ビーム取付部1162は、全体として筒状からなり搭載ビーム材1150Bを囲む取付リング1162Aと、リング1162A及びビーム材1168の開口(不図示)を通して延びかつ機械的及び枢動可能に安定化ビーム材1168を搭載ビーム材1150Bにつなぐピン1162Bとを含む。この構成において、(1)ブーム取付部1160は、マウント1150に対してブーム材1164がX軸周りに枢動自在であるとともに、マウント1150から張り出しているときに、ブーム材1164をマウント1150に接続し、(2)ビーム取付部1162は、マウント1150に対してX軸周りにビーム1168が枢動可能であるとともに、マウント1150から張り出しているときに、ビーム材1168をマウント1150に接続する。
【0120】
取付リング1160A、1162Aは、搭載ビーム材1150Bと合うような形状からなる。図11において、搭載ビーム1150Bは全体としてシリンダ形状からなり、各取付リング1160A、1162Aは全体として円環状からなる。
【0121】
追加的に、ブーム取付部1160及びビーム取付部1162を、マウント1150にそれぞれ回転自在に取り付けることができる。この構成において、取付部1160、1162、ブーム材1164、及びビーム材1168をマウント1150に対して相対的にZ軸周りに回転させることができる。その結果、ブーム材1164及びビーム材1168を、ガーデンゲート型構造1158として機能させることができる。
【0122】
サスペンションブーム材1164は、枢動可能かつマウント1150から張り出した剛体ビームである。サスペンションブーム1164は、(1)ブーム取付部1160に枢動可能につながったブーム近位端部1164Aと、(2)接続体1170及び弾性体1166に枢動可能につながったブーム先端部1164Bとを有する。
【0123】
弾性体1166は、ブーム材1164にフレキシブルに接続し、マウント1150の動きが支持部1152に伝わるのを抑制する。図11において、弾性体1166はピン1162Bを介してビーム取付部1162に固定された部材近位端部1166Aとブーム先端部1164Bに接続された部材先端部1166Bとを有する弾性材である。
【0124】
一実施形態において、弾性材1166は、弾性材のそれぞれの作動範囲においてゼロ長スプリングと同様に機能する又は同様の特性を有する。例えば、一実施形態において、弾性材1166は、ゼロ長スプリングである。ゼロ長スプリングは、その長さに比例する力を発するスプリングである。換言すると、伸びる量はその全体の長さによって定まる。こうしたスプリングは、仮に弛んだ長さがゼロのときに、ゼロ力を発する。実際には、ゼロ長スプリングは、力が作用していないときにコイルが接触しかつコイルを離す動作の開始に所定の力が必要となるように、予荷重が与えられている(preloaded)スプリングである。予荷重の量は、始点での仮想交差を有しかつスプリング長と等しい力を発するように、力の置換曲線をシフトさせるために調整される。ゼロ長は、負の長さを持ったスプリング(スプリングが弛んだときにコイルが互いに押されている)と、長さを延ばす非弾性材とを組み合わせることにより作ることができる。ゼロ長スプリングのサイズは、システムに要求される力を達成するために変更可能である。
【0125】
別の実施形態において、弾性材を流体型ピストン体(不図示)にできる。
【0126】
ここで使用される「作動範囲」という用語は、漂体1044(図10に示す)を隔離するのに必要な範囲を意味し、地震などの地震性擾乱からの振動振幅に対応する。代替的な非排他的実施形態において、作動範囲は、約1、2、5、10、15、20、又は30cmにできる。
【0127】
安定化ビーム材1168は、枢同可能かつマウント1150から張り出した剛体ビームであり、マウント1150と接続体1170との間で延び、また、マウント1150と接続体1170との間の別の接続も行う。この構成において、安定化ビーム材1168は、接続体1170を適切な姿勢に維持する。図11において、安定化ビーム材1168は、(1)ビーム取付部1162に枢動可能につながったビーム近位端部1168Aと、(2)接続体1170に枢動可能につながったビーム先端部1168Bとを有する。
【0128】
いくつかの実施形態において、マウント1150、サスペンションブーム材1164、接続体1170、及び安定化ビーム材1168は協働して全体として矩形状の4柱リンクを形成する。また、弾性材1166は、その矩形形状の対角に延びる。
【0129】
接続体1170は、(Z軸周りに)ヒンジ動作可能にブーム材1164及びビーム材1168をゲートフレーム1172に接続する。一実施形態において、接続体1170は、接続ビーム材1170A、ブームコネクタ1170B、ビームコネクタ1170C、及びブームコネクタ1170Bとビームコネクタ1170Cとの間に配置されたゲートコネクタ1170Dを有する。本実施形態において、(1)接続ビーム材1170Aは、円柱ロッドであり、(2)ブームコネクタ1170Bは接続ビーム材1170Aの底に固定され、(3)ビームコネクタ1170Cはコネクタビーム材1170Bの頂部に固定され、また(4)ゲートコネクタ1170Dは筒状であり、接続ビーム材1170Aを覆う位置にあり、Z軸周りに接続ビーム材1170Aに対して回転する。
【0130】
ブームコネクタ1170Bは、ブーム材1164を接続体1170に枢動可能に接続するブームピン1170Eと、ビーム材1168を接続体1170に枢動可能に接続するビームピン1170Fと、を有する。この構成において、接続体1170をマウント1150に対して相対的にZ軸に沿って上下に移動させることができる。また、ゲートコネクタ1170Dは、ゲートフレーム1172に固定され、ラコスト型システム1156に対してゲートフレーム1172をZ軸周りに枢動可能にする。
【0131】
ゲートフレーム1172は、剛体であり、接続体1170と支持部1152との間で延び、ラコスト型システム1156を支持部1152に機械的に接続する。非排他的一実施形態において、ゲートフレーム1172は、上部部材1172A、下部部材1172B、及び上部部材1172Aと下部部材1172Bとの間で対角に延びた一対の交差部材1172Cとを含む。一実施形態において、部材1172A−1172Cの近位端部がゲートコネクタ1170Dに固定され、部材1172A−1172Cの先端部がゲート取付部1174に固定される。
【0132】
ゲート取付部1174は、ゲートフレーム1172の先端部を枢動可能に支持部1152に取り付ける。一実施形態において、ゲート取付部1174は、下部取付リング1174Aと、ゲートフレーム1172の先端部に固定され、支持部1152を囲む、離間した上部取付リング1174Bとを含む。この構成において、ゲート取付部1174は、ゲートフレーム1172を支持部1152に対して相対的にZ軸周りに回転させることができる。
【0133】
なお、ラコスト型システム1156及びガーデンゲート型構造1158の順序を反対にしてもよい。
【0134】
図12は、マウント150、支持部1152、及び緩衝体1154を含むユニット1116を示す模式的な上面図であり、緩衝体1154はラコスト型システム1156、ガーデンゲート型構造1158、及び接続体1170を有する。本実施形態において、(1)緩衝体1154はマウント1150に対してZ軸周りに枢動する、(2)ラコスト型システム1156及びガーデンゲート型構造1158は、他に対してZ軸周りに枢動する、また(3)緩衝体1154は支持部1152に対してZ軸周りに枢動する。
【0135】
図13Aは、結合してメカニズム1370をなす複数のユニット1296を示す模式的な上面図である。メカニズム1370はここではセルと称する。本実施形態において、各ユニット1296は、1つのラコスト型システム1356と2つのガーデンゲート構造1358を有する緩衝体1354を含み、各セル1370は、互いに接続された複数のユニット1296を含む。換言すると、各セル1370は、共有するマウント1350を持つ複数の緩衝体1354を含み、コンパクト、ゼロ剛性、モジュール、多くの異なる精密装置1010(図10に示す)に容易に組み込むことができるメカニズムを可能とする。代替的に、セル1370は共通の支持部1352を共有するように構成できる。
【0136】
図13Aに示す実施形態において、セル1370は、(1)単数の共通マウント1350、(2)6つの等間隔(対称的に方向付けられた)で共通マウント1350から張り出した緩衝体1354、及び(3)6つの離間した支持部1352、を含む。このように、図13Aのセル1370は、6つのラコスト型システム1356及び12のガーデンゲート型構造1358を含む。この実施形態を六角セルと称する。本実施形態において、共通マウント1350は第1物体(図13Aでは不図示)に接続でき、複数の離間した支持部1352は第2物体(図13Aでは不図示)に接続でき、緩衝体1354のそれぞれは支持部1352の1つを共通マウント1350に接続する。また、この構成において、マルチな緩衝体1354が並列的である。
【0137】
追加的に、本実施形態において、マウント1350、各支持部1352、及び各緩衝体1354は、図11に示した上記の対応する部品と同様にできる。
【0138】
ここで、(1)マルチマウント1350(図14A参照)を用いた実施形態のために、マウント1350のいずれかを「第1」、「第2」、「第3」、「第4」、「第5」、又は「第6」マウント1350と称することができる;(2)マルチ支持部1352を用いた実施形態のために、支持部1352のいずれかを「第1」、「第2」、「第3」、「第4」、「第5」、又は「第6」支持部1352と称することができる;(3)マルチ緩衝体1354を用いた実施形態のために、緩衝体1354のいずれかを「第1」、「第2」、「第3」、「第4」、「第5」、又は「第6」緩衝体1354と称することができる;(4)マルチラコスト型システムを用いた実施形態のために、ラコスト型システム1356のいずれかを「第1」、「第2」、「第3」、「第4」、「第5」、又は「第6」ラコスト型システム1356と称することができる;及び/又は(5)マルチガーデンゲート型構造1358を用いた実施形態のために、「第1」、「第2」、「第3」、「第4」、「第5」、「第6」、…「第12」ガーデンゲート型構造1358と称することができる。
【0139】
図13及び13Cは、図13Aの六角セル1370の代替的な斜視図であり、支持部1352(図13Aに示す)がない。これらの図に示される6つのユニット1296において、6つのラコスト型システム1356が鉛直方向に積み重ねられるとともに、Z軸に沿って互いにオフセットしており、これにより、共通マウント1350に対してユニット1296がZ軸周りに回転するときに、それらが互いに干渉しない。
【0140】
図14Aは、結合してメカニズム1472をなす複数のセル1470を示す模式的な上面図である。メカニズム1472はここではラティスと称する。本実施形態において、各セル1470は6つのユニット1416を有する六角セル(図13Aに示したように)であり、複数のセル1470が互いに接続してラティス1472を形成している。換言すると、各ラティス1472は、共有する支持部1452を持つ複数のセル1470を含み、コンパクト、ゼロ剛性、モジュール、多くの異なる精密装置1010(図10に示す)に容易に組み込むことができるメカニズムを可能とする。本実施形態において、六角セル1470はラティス1472において結合され、ペデスタル1014(図10に示す)の下で使用できる。
【0141】
図14Aに示す非排他的な実施形態において、ラティス1472は結合した10のセル1470を含む。代替的に、ラティス1472は、10より多くの又は少ない結合したセル1470を用いて構成できる。
【0142】
本実施形態において、各セル1470のマウント1450は第1物体(図14Aでは不図示)に接続でき、複数の離間した支持部1452は第2物体(図14Aでは不図示)に接続でき、緩衝体1454のそれぞれは支持部1452の1つをマウント1452に接続する。また、この構成において、マルチな緩衝体1454が並列的である。
【0143】
本実施形態において、ラティス1472は完全一致ラティス(perfect matching lattice)である。完全一致ラティス1472は、隣接するセル1470からの支持部1452のすべてが1つの支持部につながることを意味する。よって、各支持部1452は、ラティス1472の周囲から離れて配置され、少なくとも2つのセル1470に接続される。換言すると、完全一致ラティスにおいて、ラティス1472の中央において、2未満のセル1470と接続する支持部1452はない。
【0144】
追加的に、本実施形態において、マウント1450、各支持部14522、及び各緩衝体1454は、図11に示した上記の対応する部品と同様にできる。
【0145】
ラティス1472におけるセル1470のサイズ、形状、数は、ペデスタル1014のフットプリントの下に合うように調整可能である。通常、重い荷重はより多くのユニットと大きいラティス1472を必要とする。荷重点の集中に応じて、ペデスタル14についてラティス1472のフットプリントを完全に含む必要はないかもしれない。
【0146】
図14B及び14Cは、図14Aのラティス1472又はその一部の代替的な斜視図である。セル1470の積み重ねは、ラティスレベルにおいて、緩衝体1454が互いに干渉しないように行われる。より具体的には、緩衝体1454は、マウント1450及び支持部1452に接続され、鉛直方向に積み重ねられ、Z軸に沿ってオフセットしており、これにより、ラティスの動作中において緩衝体1454が互いに干渉しない。
【0147】
本実施形態において、各支持部1452は、接続する緩衝体1454が3を超えない。
【0148】
ここで、他のセルやラティス構造も可能である。例えば、図15Aは、3つのユニット1516を有するセル1570の簡易的な上面図であり、互いに結合されて三角セル1570を形成する。本実施形態において、ユニット1516の各々は図11に示した上記のユニット1116と同様である。
【0149】
図15Bは、ラティス1572の簡易的な上面図であり、互いに結合されてラティス1572を形成する複数の三角セル1570を含む。
【0150】
図16Aは、4つのユニット1616を有するセル1670の簡易的な上面図であり、互いに結合されて四角セル1670を形成する。本実施形態において、ユニット1616の各々は図11に示した上記のユニット1616と同様である。
【0151】
図16Bは、ラティス1672の簡易的な上面図であり、互いに結合されてラティス1672を形成する複数の四角セル1670を含む。本実施形態において、ラティス1672は完全一致ラティス(perfect matching lattice)である。
【0152】
図17Aは、5つのユニット1716を有するセル1770の簡易的な上面図であり、互いに結合されて五角セル1770を形成する。本実施形態において、ユニット1716の各々は図11に示した上記のユニット1116と同様である。
【0153】
図17Bは、ラティス1772の簡易的な上面図であり、互いに結合されてラティス1772を形成する複数の五角セル1770を含む。本実施形態において、ラティス1772は完全一致ラティスではない。本実施形態において、隣接するセル1770の荷重に対し、1つの接続支持部につながる接続部がすべてとはならない。しかしながら、マルチのサスペンションの間で荷重のバランスが取れていれば、完全一致ラティスを必要としない。
【0154】
図18は、ラティス1872の簡易的な上面図であり、互いに結合されてラティス1872を形成する複数の五角セル1770を含む。本実施形態において、ラティス1872は完全一致ラティスではない。
【0155】
図19は、ラティス1972の簡易的な上面図であり、互いに結合されてラティス1972を形成する複数の五角セル1770を含む。本実施形態において、ラティス1972は完全一致ラティスではない。また、本実施形態において、ラティス1972は、五角セル870による円形パターンを構成する。
【0156】
異なる数のユニットからなる他のセル配置も可能である。例えば、図20Aは、7つのユニット2016を有するセル2070の簡易的な上面図であり、互いに結合されて7セル(a seven cell)2070を形成する。本実施形態において、ユニット2016の各々は図11に示した上記のユニット1116と同様である。
【0157】
図20Bは、ラティス2072の簡易的な上面図であり、互いに結合されてラティス2072を形成する複数の7セル2070を含む。本実施形態において、ラティス2072は完全一致ラティスではない。
【0158】
図21Aは、8つのユニット2116を有するセル2170の簡易的な上面図であり、互いに結合されて8セル(an eight cell)2170を形成する。本実施形態において、ユニット2116の各々は図11に示した上記のユニット1116と同様である。
【0159】
図21Bは、ラティス2172の簡易的な上面図であり、互いに結合されてラティス2172を形成する複数の8セル2170を含む。本実施形態において、ラティス2172は完全一致ラティスではない。
【0160】
いくつかの実施形態において、完全一致ラティスは、ペデスタルのピッチ及びロールに対してより安定したサスペンションかもしれない。より重いペデスタルに対して、より多くの数のユニットが使用される、あるいは代替的に、発生する鉛直力を変化させるために、ラコスト型サスペンションの各々の軸心の高さを変更できる。
【0161】
図22Aは、メカニズム1016(図10に図示)又はその一部として使用できる別の実施形態におけるユニット2216の斜視図である。本実施形態において、ユニット2216は、マウント2250、支持部2252、及び緩衝体2254を含み、これらは協働して物体間の運動の伝達を抑制する。本実施形態において、マウント2250及び支持部2252は、図11に示した上記の対応する部品と同様である。緩衝機2254は、マウント2250と支持部2252との間で延び、緩衝機2254は、少なくとも1つのラコスト型システム2256及び少なくとも1つのガーデンゲート型構造2258を規定する。緩衝体2254は、緩衝体2254を支持部2252に枢動可能に取り付ける取付リング2274を1つのみゲート取付部2274が有する点を除き、上述した対応する部品と同様である。
【0162】
図22Bは、6つのユニット2216(図22A参照)を有するセル2270を示す模式的な上方斜視図であり、互いに結合されて6セル(a six cell)2270を形成する。
【0163】
図22Cは、ラティス2272の簡易的な上面図であり、互いに結合されてラティス2272を形成する複数の6セル2270を含む。本実施形態において、ラティス2272は完全一致ラティス(perfect matching lattice)である。
【0164】
この構成において、漂体1044(図10に示す)を同時に支持するのにマルチのラコスト型システム及びマルチのガーデンゲート型構造が使用可能である。
【0165】
図23は、精密装置2310の模式図であり、精密製造機2292、精密製造機2292の部品を保持するペデスタル2294、及び緩衝系2296を含む。全体として、いくつかの実施形態において、緩衝系2296は、負の剛性を有する1又はそれ以上の弾性メカニズム2321、及び協働して搭載ベース2320に対してペデスタル2294を支持する1又はそれ以上の正の剛性のサスペンション2299を有し、地震性擾乱中にペデスタル2294及精密製造機2292を隔離する。
【0166】
この構成において、負の剛性の弾性メカニズム2321は正剛性のサスペンション2299の剛性を打ち消すのに利用され、緩衝系2296の全体的な剛性を低減する。このメカニズム2321の負の剛性は、これらの構造体の荷重積載能力を落とすことなく、緩衝系2296の剛性を低減するために既存のサスペンション2299と並行して使用できる。
【0167】
代替的に、例えば、正の剛性のサスペンション2299を省いたシステムとしてもよい。この構成において、精密装置2310のケーブルやホースの剛性によって生じる正の剛性を打ち消すために負の剛性の緩衝系2296が用いられる。
【0168】
弾性メカニズム2321の負の剛性は、緩衝系2296の共振周波数を低下させ、緩衝系2296の性能を改善するのに利用できる。換言すると、負剛性メカニズム2321は、既存の緩衝系2296に追加することができ、これにより、緩衝系2296の剛性を下げ、ゼロ剛性に近づけ、ペデスタル2294の動きにかかわらず、ペデスタル2294に実質的に一定の力が作用するようにできる。その結果、精密製造機2292の部品は、地震性擾乱時において、緩衝系2296を介して良好に守られる。これは地震性擾乱中の精密製造機2292の部品の損傷及び位置ずれの可能性を抑える。
【0169】
図23において、精密製造機2312は、図1に示した上記の露光装置10と同様の露光装置2322である。また、ペデスタル2314は、図1に示した上記のペデスタル14と同様である。本実施形態において、ペデスタル2314及び露光装置2322をまとめて漂体2344と称する。
【0170】
いくつかの実施形態において、低度の正剛性を望む場合に、機械動特性の調整のために、緩衝系2316とともに、ソフトスプリングシステム(図23では不図示)を用いることができる。
【0171】
弾性メカニズム2321は、他の構成にも使用可能である。例えば、メカニズム2321は、多数のペデスタル214Aを配置した構成(図2Aに図示)、あるいは、統合したマルチレベル及び統合したペデスタル214Bを配置した構成(図2Bに図示)に用いることができる。
【0172】
また、負の剛性の弾性メカニズム2321は、実質的に一定の力を同じに維持しながら、固有の正剛性を減らす又は取り除くべき用途に好ましく適用できる。基本的に、本発明は、広い動作範囲にわたって実質的に一定の力が必要とされ、負の剛性によってシステムに対する固有の剛性を解消又は低減する必要があれば、どのような用途にも使用可能である。例えば、弾性メカニズム2321は、振動検知機器や設備について前例のないレベルでの実行を可能にするのに使用できる。例えば、弾性メカニズム2321は、顕微鏡、微小テスタ、他の振動検知機器及び設備に使用できる。
【0173】
負の剛性の供給に加えて、いくつかの実施形態において、弾性メカニズム2321によって、正、負、又はゼロに調整可能な一定のプリセット予荷重を供給する構成にできる。いくつかの実施形態において、負の剛性は作動範囲全体にわたって完全に直線であり、大振幅擾乱に対する防振に用いることができる。
【0174】
一実施形態において、精密装置2310は、地震性擾乱が生じていないときに、搭載ベース2320に対してペデスタル2314を選択的にロックする1又はそれ以上のロック体2318(図1では箱状に示す)をさらに含む。この構成において、精密製造機2312の通常操作中に、ロック体2318は、精密製造機2312を固定して保持する。また、ロック体2318は、精密製造機2312を守るため、搭載ベース2320からの振動が精密製造機2312に伝わるのを緩衝系2316によって抑制できるように、精密製造機2312を素早く開放できる。
【0175】
緩衝系2316は、漂体2344の部品を守るために、地震性擾乱中においてペデスタル2314及び漂体2344を隔離する。図23において、緩衝系2316は、Z軸に沿った、搭載ベース2320の動きがペデスタル2314及び漂体2344に伝わるのを抑制する。この構成において、緩衝系2316は、1自由度の振動を減衰させる。代替的に、例えば、緩衝系2316は、1自由度より多くでき、例えば3自由度の振動を減衰するように構成できる。
【0176】
図23において、緩衝系2316は、負の剛性を有する1又はそれ以上の弾性メカニズム2321、及び協働して搭載ベース2320に対してペデスタル2314を支持する並列に配置された1又はそれ以上の正の剛性のサスペンション2319を有し、地震性擾乱中にペデスタル2314及精密製造機2312を隔離する。
【0177】
正剛性のサスペンション2319は、弾性スプリング、流体ピストン、弾性材、振動隔離システム(例えば、AVISシステム)、又は別のタイプの隔離機にできる。図23において、負の剛性の弾性メカニズム2321は、正の剛性のサスペンション2319から離間して描かれている。代替的に、例えば、負の剛性メカニズム2321及び正の剛性メカニズム2319が互いに接近していてもよい。例えば、AVISシステムは、負の剛性メカニズム2321及び正の剛性メカニズム2319の両方を組み込む構成にできる。
【0178】
また、システムの正の剛性が生じる原因は、製造装置2312における部品をつなぐケーブル及びホース、又は漂体2344上の他の部品である。
【0179】
図24は、弾性メカニズム2421の一実施形態の斜視図であり、図1、2、3に示した緩衝系16、216、296、又は別の種類のシステムを隔離するのに使用できる。例えば、弾性メカニズム2421は、第1物体(図24では不図示)及び第2物体(図24では不図示)の間での動きの伝達を抑制するのに使用できる。いくつかの実施形態において、負の剛性の供給に加えて、弾性メカニズム2421によって、正、負、又はゼロに調整可能な一定のプリセット予荷重を供給することができる。
【0180】
弾性メカニズム2421の負の剛性は、振動隔離機の共振周波数を下げ、その性能を改善するのに使用できる。弾性メカニズム2421は直線的な負の剛性を有し、大振幅擾乱の振動隔離に用いることができる。弾性メカニズム2421の負の剛性は、圧力制御及び他の流体アプリケーションに使用されるベローズの正の剛性を解消するのに使用できる。同時に、弾性メカニズム2421のプリセット予荷重を、ベローズを用いてプリセット圧力の維持に使用できる。このメカニズム2421の負の剛性は、既存の支持構造と並行して使用でき、それら構造の荷重積載能力を落とすことなく、それらの剛性を低減し、また、支持荷重の共振周波数を低減できる。
【0181】
弾性メカニズム2421のサイズ、形状、及び構成は、メカニズム2421の構成要求を達成するために変更可能である。一実施形態において、弾性メカニズム2421は、機構フレーム2454、ブーム材2456、移動マウント2458、マウント弾性体2460、第1ブーム弾性体2462、及び第2ブーム弾性体2464を含む。
【0182】
機構フレーム2454は、弾性メカニズム2421の部品を支持する。また、機構フレーム2454を、第1物体と見なすことができる。例えば、機構フレーム2454を、搭載ベース2320に固定された剛体ビーム材にできる。非排他的な一実施形態において、ビーム材は直線状、固体、全体として円柱ロッドであり、搭載ベース2320から延在して離れた上方先端部2454A、搭載ベース2320に固定された下方近位端部2454B、ブームコネクタ2454C、固定マウント2454D、及びガイド領域2454Eを含む。
【0183】
図24において、(1)ブームコネクタ2454Cが筒状のリングであり、ロッドにおける先端部2454Aと近位端部2454Bとの中間に固定されている、また(2)固定マウント2454Dが筒状のリングであり、ロッドにおける近位端部2454Bの付近に固定されている。また、本実施形態において、ブームコネクタ2454Cは、ロッドから張り出しかつブームコネクタ2454Cに対してブーム材2456を枢動可能に固定するためのピン2467を受け入れる一対の枢動フランジ2466を追加的に含む。同様に、固定マウント2454Dは、ロッドから張り出しかつ機構フレーム2454に第2ブーム弾性材2464の近位端部2464Aを取り付けるための一対の離間した搭載フランジ2468を含む。
【0184】
代替的な一実施形態において、ブームコネクタ2454Cは、ブーム材2456をブームコネクタ2454Cに枢動可能に取り付けるモノリシック・フレクシャにできる。この実施形態において、フレクシャ2454Cは多少の剛性を有する可能性がある。フレクシャ2454Cの剛性や弾性メカニズム2421の残りの部品の構成に応じて、弾性メカニズム2421は以下を有するように構成できる;(1)負の剛性:フレクシャ2454Cの剛性が小さいとき(残りのメカニズム2421によって生じる負の剛性よりもフレクシャ2454Cの剛性が小さい)、(2)約ゼロ剛性:フレクシャ2454Cの剛性が残りのメカニズム2421によって生じる負の剛性とほぼ等しいとき、(3)正の剛性:フレクシャ2454Cの剛性が残りのメカニズム2421によって生じる負の剛性よりも大きいとき。
【0185】
ガイド領域2454Eは、移動軸2470に沿った移動マウント2458の移動を案内する。ガイド領域2454Eの構成は、移動マウント2458の構成に応じて変更できる。例えば、図24において、ガイド領域2454Eは、全体として円柱状の領域2454EAと、移動軸2470に沿って延びる矩形状の案内レール2454EBとを有する。この実施形態において、移動マウント2458は、円柱領域2454EAに沿ってスライドし、案内レール2454EBは、軸2470(すなわちZ軸)周りに移動マウント2458が回転するのを抑制する。代替的に、例えば、移動マウント2458は、1又はそれ以上のローラ2480(図26Aに示す)を含むことができ、ガイド領域2454Eは、1又はそれ以上のローラ2680を案内する1又はそれ以上のトラック2682(図26Aに示す)を含むことができる。
【0186】
一実施形態において、ブーム材2456は、(1)機構フレーム2454に枢動可能に接続されかつヒンジされたブーム近位端部2456Aと、(2)ペデスタル2294(図23に示す)又は別の物体に回転可能に接続されたブーム先端部2456Bとを有する剛体ビームである。この構成において、ブーム材2456は、ブーム軸心軸2456C周りに枢動する。
【0187】
移動マウント2458は、移動軸2470に沿ってブームコネクタ2454Cに対して移動する(例えば、図24のZ軸に沿って上下する)。一実施形態において、移動マウント2458は、円柱領域2454EAを囲みかつそれに沿ってスライドする筒状のリングである。また、移動マウント2458は、移動マウント2458の回転を抑制するための案内レール2454EBを受け入れるスロット2458Aを含むことができる。代替的に、例えば、移動マウント2458は、1つ又はそれ以上のローラ2680(図26Aに示す)を含むことができる。
【0188】
マウント弾性体2460は、移動マウント2458をブームコネクタ2454Cから移動軸2470に沿って離すように作用し、また、マウント弾性体2460は、移動マウント2458がブームコネクタ2454C及びブーム材2456に対して移動軸2470に沿って移動するのを可能にする。非排他的な一実施形態において、マウント弾性体2460は、ガイド領域2454Eを囲み、移動マウント2458とブームコネクタ2454Cとの間に直接位置する標準的なスプリングである。この実施形態において、スプリングの近位端部4260Aは、移動マウントと物理的に直接接し、スプリングの先端部2460Bはブームコネクタ2454Cと物理的に直接接する。代替的に、マウント弾性体2460を、別の種類の弾性体にしてもよい。
【0189】
弾性体2421の特性は、マウント弾性体2469の特性に応じて調整できる。例えば、下により詳細に示すように、弾性メカニズム2421が正、負、又はゼロの一定のプリセット予荷重を有するようにマウント弾性体2460のバネ定数Kyが選択される。なお、k1又はk2を変えるなどの、予荷重を変更するための他の方法もある。
【0190】
第1ブーム弾性体2462は、移動マウント2458に取り付けられる近位端部2462Aと、ブーム先端部2456Bに取り付けられる先端部2462Bとを有する。この構成において、第1ブーム弾性体2462は、移動マウント2458とブーム材2456との間で対角に延びる。また、この構成において、マウント弾性体2460、第1ブーム弾性体2462、及びブーム材2456は協働的に、全体として三角形状を有する。
【0191】
いくつかの実施形態において、漂体2344がニュートラル位置に支持されているときにブーム材2456が実質的に横向きに維持される。代替的に、漂体2344がニュートラル位置に支持されているときに、ブーム材2456を水平に対して角度を付けた状態に維持できる。
【0192】
一実施形態において、第1ブーム弾性体2462は、第1ブーム弾性体2462の作動範囲においてゼロ長スプリングと同様に機能する又は同様の特性を有する。例えば、一実施形態において、第1ブーム弾性体2462は、ゼロ長スプリングである。ゼロ長スプリングのサイズは、システムに要求される力を達成するために変更可能である。
【0193】
別の実施形態において、第1ブーム弾性体2462を、ゼロ長スプリングとほぼ同様に作動するように構成された流体式ピストン構造(不図示)にできる。
【0194】
第2ブーム弾性体2464は、第1マウント2454Dに取り付けられた近位端部2464Aとブーム先端部2456Bに取り付けられた先端部2464Bとを有する。この構成において、第2ブーム弾性体2464は、固定マウント2454Dとブーム材2456との間で対角に延びる。また、この構成において、機構フレーム2454の一部(ブームコネクタ2454Cと固定マウント2454Dとの間)、第2ブーム弾性体2462、及びブーム材2456は協働的に、全体として三角形状を有する。
【0195】
一実施形態において、第2ブーム弾性体2464は、上記の第1ブーム弾性体2462と同様に機能しかつその構成も同様である。例えば、一実施形態において、第2ブーム弾性体2464は、ゼロ長スプリングである。
【0196】
この構成において、第1ブーム弾性体2462は、ブーム軸心軸2456C周りの第1回転方向2456Dにブーム材2456が枢動するように作用し、第2ブーム弾性体2464は、ブーム軸心軸2456C周りで第1回転方向2456Dとは逆の第2回転方向4256Eにブーム材2456が枢動するように作用する。
【0197】
また、下により詳細に示すように、弾性メカニズム2421が正(図25におけるZ軸に沿って上向き)、負(図24におけるZ軸に沿って下向き)、又はゼロの一定のプリセット予荷重を有するように、第1ブーム弾性体4262のバネ定数k1及び/又は第2ブーム弾性体2464のバネ定数k2が選択される。
【0198】
なお、負の剛性、弾性メカニズム2421の構成は変更可能である。例えば、(1)又は(2)に位置する鉛直方向のスプリングを用いて、ブームコネクタ2454Cがガイド領域2454Eに沿ってスライドする間における、移動マウント2458を固定できる;(1)移動マウント2458とブームコネクタ2454Cとの間:圧縮状態のスプリングで荷重が下がるとき、又は(2)ブームコネクタ2454Cと固定マウント2454Dとの間:引張状態のスプリングで荷重が下がるとき。代替的に、上の枢軸を固定し下の枢軸が上下スライドし、鉛直スプリングを下の枢軸とブームコネクタとの間にすることで、メカニズム2421を上下逆にしてもよい。
【0199】
図25Aは、第1ニュートラル状況2561における弾性体2421の模式的な側面図であり、図25Bは、第2後退状況2563における弾性体2421の側面図であり、図25Cは、第3拡張状況2565における弾性体2421の別の側面図である。状況2561、2562、2563のいずれもニュートラル・ポジションとみなすことが可能である。これらの図はブームコネクタ2454Cに対して移動マウント2458がどのように移動するかをさらに示す。
【0200】
図26A−26Fは、図24の弾性メカニズム2421の簡素化した模式図である。これらの図は、弾性メカニズム2421によって負の剛性がどのように達成されるかを説明するのに役立つ。これらの例において、移動マウント2458は、トラック2682によって案内される複数のローラ2680を含む。
【0201】
まず、図26A−26Bを参照し、ブームコネクタ2454Cについて移動の合計は以下のように表すことができる:
【0202】
【数3】

【0203】
ここでの式において、(1)s1はブームコネクタ2454Cと移動マウント2458との間の距離、(2)s2はブームコネクタ2454Cと固定マウント2454Dとの間の距離、(3)x1は第1ブーム弾性体2462の長さ、(4)x2は第2ブーム弾性体2464の長さ、(5)k1は第1ブーム弾性体2462のバネ定数、(6)k2は第2ブーム弾性体2464のバネ定数、(7)kyはマウント弾性体2460のバネ定数、(8)Bはブーム材2456の長さ、(9)θは水平軸に対するブーム材2456の角度(10)Fは力、である。
【0204】
また、ブーム先端部2456Bに作用する力Fは以下の式で表すことができる:
【0205】
【数4】

【0206】
なお、ブームコネクタ2454Cに対して移動マウント2458が上下移動するのでs1は変化できる。したがって、力Fは一定ではない。実際には、s1はFの関数として以下のように表すことができる:
【0207】
【数5】

【0208】
図26C及び図26Dを参照して、1つの方向(例えば、実施形態における鉛直方向)において、移動マウント458における力の合計は以下で表すことができる:
【0209】
【数6】

【0210】
この式において、s0は弾性体460における伸びのない長さである。式5を用いて、式6を以下のように書き換えることができる:
【0211】
【数7】

【0212】
代数を用いて、式7は以下のように表すことができる:
【0213】
【数8】

【0214】
図24に示した実施形態において、(1)約ゼロ、(2)正、又は(3)負の予荷重を弾性メカニズム2421が有するように、マウント弾性体2460の剛性(例えば、バネ定数ky)、第1ブーム弾性体2462の剛性(例えば、バネ定数k1)、及び第2ブーム弾性体2464の剛性(例えば、バネ定数k2)を選択できる。換言すると、いくつかの実施形態において、弾性メカニズム2421は、負の剛性の供給に加えて、正、負、又はゼロに調整可能な一定のプリセット予荷重を供給するように構成できる。
【0215】
より具体的には、ゼロの予荷重を得るために、弾性メカニズム2421は、式9に示すように構成される:
【0216】
【数9】

【0217】
この構成において、力は以下の式で算出できる:
【0218】
【数10】

【0219】
この例において、弾性メカニズム2421は、ゼロ予荷重での作動範囲の全体を通して、鉛直方向又は図24のZ軸に沿った完全にリニアな負の剛性を供給できる。
【0220】
代替的に、弾性メカニズム2421は、負の剛性と組み合わせて一定の正の予荷重を供給するように構成できる。これは弾性メカニズム2421を以下のように構成することで達成できる:
【0221】
【数11】

【0222】
さらに代替的に、弾性メカニズム2421は、以下のとき、負の剛性と組み合わせて一定の負の予荷重を供給するように構成できる:
【0223】
【数12】

【0224】
なお、弾性メカニズム2421の所望の作動範囲においてマウント弾性体2460が底割れしないように(s1>0)、弾性メカニズム2421を構成すべきである。
【0225】
所望の作動範囲yを関数としてキネマティックのs1は、以下のように表すことができる:
【0226】
【数13】

【0227】
代数を用いて、これは以下のように書き換えることができる:
【0228】
【数14】

【0229】
ブーム材2456に作用する、ブーム材に沿った力、F、FBについて、常に一定であるとともに、ブーム材2456が座屈、塑性変形、又は破壊しないことを確実にするために、大荷重の適用を考慮する必要がある。図26E及び26Fを参照して、ブーム材に作用する力FBは、ブーム2456に沿った力の合計を取ることにより以下のように算出できる:
【0230】
【数15】

【0231】
式4を用いて、式15を以下のように書き換えることができる:
【0232】
【数16】

【0233】
式16は以下のようにさらに簡略化できる:
【0234】
【数17】

【0235】
図27は、本発明の特徴を有する、負の剛性の弾性メカニズム2721の別の実施形態の斜視図である。弾性メカニズム2721は、振動隔離機の共振周波数を下げ、その性能を改善するのに使用できる。例えば、弾性メカニズム2721は、精密装置2310(図23に示す)又は別の精密システムに使用できる。
【0236】
図27に示す実施形態において、弾性メカニズム2721は、ブーム材2756、移動マウント2758、マウント弾性体2760、及び第1ブーム弾性体2762、を含み、これらは図24に示した対応する部品の構成と同様である。ただし、本実施形態では、機構フレーム2754が固定マウント2454Dを含まず、弾性メカニズム2721は第2弾性体2464を含まない。
【0237】
ここで、図27の弾性メカニズム2721は、負の剛性に組み合わされた一定の正の予荷重を必要とする応用のみに使用できる。次の式18のように、図24に示す弾性メカニズム2421の代わりに、次のように弾性メカニズム2418を構成することにより達成可能である。
【0238】
【数18】

【0239】
図27の実施形態において、第2マウント弾性体は除かれている。よって、第2マウント弾性体のバネ定数K2はゼロの値を有する。
【0240】
ここで開示された弾性メカニズム2421、2721は、電源ケーブル、ホース、又は他の荷重に接続されたラインの剛性を解消するような、他の応用例に使用可能である。また、弾性メカニズム2421、2721における、直線的で大レンジの負の剛性をフレクシャ案内運動を用いた振動隔離装置の性能改善にも使用可能である。高精密応用のための振動隔離機構のいくつかは、固有の剛性を追加し隔離性能を下げることになるフレクシャを採用している。弾性メカニズム2421、2721は、こうしたフレクシャの剛性の解消及び性能改善に使用できる。
【0241】
また、弾性メカニズム2421、2721における、直線的で大レンジの負の剛性をベローズを用いた圧力制御用途にも使用できる。図28は、精密装置2810の簡略化した斜視図であり、囲いチャンバ2884、ベローズセット2886、及び図27の弾性メカニズム2721を有する。本実施形態において、ベローズ2886は、チャンバ2884と流体的につながり、また、ベローズ2886はコネクタビーム材2888を用いて弾性メカニズム2721に機械的に接続されている。この実施形態において、ベローズ2886は、チャンバ2884内の流体(不図示)の圧力を制御するために伸縮エリアを提供する。
【0242】
しかしながら、金属ベローズ2886を含む多くのベローズ2886が固有の剛性を有し、これがベローズ2886の動き方やチャンバ2884内の圧力制御に逆に影響を及ぼす可能性がある。この実施形態において、弾性メカニズム2721の負の剛性を、圧力制御や他の流体用途に使用されるベローズ2886の正の剛性を解消するのに使用できる。このように、ベローズ2886の固有の剛性の解消に弾性メカニズム2721を使用することで、理想的な一定圧力源を提供することができる。また、負の剛性に加えてプリセット予荷重をベローズに与えることで、チャンバ2884内のその時点の圧力が維持されるように、弾性メカニズム2721を構成できる。
【0243】
換言すると、図28において、弾性メカニズム2721はベローズ2886に接続され、一定の引っ張り力と負の剛性をベローズ2886に与え、これにより、ベローズ2886の剛性が解消されるとともに、ベローズ2886が引っ張られることで、外部に対する一定の負の圧力差がチャンバ2884内部に与えられる。ベローズ2886に対する実質的に一定の力及び負の剛性により、外部に対する一定圧力差が得られる。別の実施形態において、同様のベローズ2886を用いた同様の方法で、ベローズ2886に対して一定の押圧及び負の剛性を与え、圧力チャンバ2884における外部に対する一定の正の圧力差を得るのに、図24の弾性メカニズム2421を使用できる。
【0244】
ここで記載したゼロ剛性及び負の剛性メカニズムは、次に示す他の多くの用途に使用できる:(1)LCD露光用のマスクのレベリングなどの圧力制御用途、(2)ベローズの剛性の解消、(3)AVISシステム、(4)移動ステージに接続されたチューブやワイヤの剛性の解消、(5)他の精密設備の振動隔離、(6)光学テーブル及び製造設備の振動隔離、(7)フェイルセーフ用途のための機械的トリガー機構、(8)カメラやビデオ録画装置におけるレンズ構造の振動抑制システム(性能改善及び省力化)(例えば、モノリシック、フレクシャベースの近接・近似(a monolithic, flexure-based approximation)がレンズ素子の保持に用いられる)、(9)写真機材における振動隔離三脚又は三脚用付属品、(10)ツールとしてのカウンター重量用途、及び/又は(11)カウンター重量用途用に正の剛性を解消する、カウンターバランス式のウエハカセットの昇降機や電気的又は手動での移動が必要な他の重量設備。ただし、これらに限定するものではない。
【0245】
ここで開示された負の剛性メカニズムは、共通のマウントに対する複数の負の剛性メカニズムを含むモジュールユニットとして再構成可能である。
【0246】
図29は、本発明の特徴を有する精密装置2910の模式図であり、精密製造機2912、精密製造機2912の部品を保持するペデスタル体2914、隔離システム2916(箱状に図示する)、及びペデスタル同期システム2925を含む。全体として、いくつかの実施形態において、ペデスタル体2914は、隔離システム2916を用いて搭載ベース2920に対して独立的に支持されたマルチなペデスタル(例えば、第1ペデスタル2914A及び第2ペデスタル2914B)を含む。また、ペデスタル同期システム2925は、例えば所定の許容範囲を超える擾乱発生時などの振動が起きた際に、独立的なペデスタル2914A、2914Bを同時に移動させる。非排他的ないくつかの例において、所定の許容範囲は、約50μm、100μm、500μm、又は1mmにできる。
【0247】
この構成において、隔離システム2916は、精密製造装置2912の標準的な操作中において、ペデスタル2914A及び2914Bの間の振動の伝達を抑制できる。また、ペデスタル同期システム2925は、激しい振動が起きているときに、ペデスタル2914A及び2914Bを同時に移動させ、それらが互いに突き当たるのを防ぎ、ペデスタル2914A及び2914B上の部品の間で物理的な接続が損傷したり切断されたりするのを防ぐ。これは地震性擾乱中における部品の相対移動を原因とした精密製造機2912の部品の損傷及び位置ずれの可能性を抑える。
【0248】
一実施形態において、搭載ベース2920は、第1フロア2920Aを含み、これは精密部品の製造用に制御された環境が維持されたクリーンルーム2920Cのフロアにできる。例えば、クリーンルーム2920Cは、環境汚染物質(例えば、塵、化学粒子)を極めて低いレベルに維持できる。また、搭載ベース2920は、第2フロア2920Bを含むことができ、これはクリーンルーム2920Cに比べて環境汚染物質をより多く含む非クリーンルーム2920Dの環境である。
【0249】
ここでは、精密製造装置2912の第1部品2921Aは第1ペデスタル2914Aに取り付けられ、製造装置2912の第2部品2921Bが第2ペデスタル2914Aに取り付けられる。例えば、図29において、第1部品2921Aが比較的クリーンな動作に対応し、第2部品2921Bが比較的汚れた動作に対応する。一実施形態において、比較的汚れた動作に対応する部品は、塵(dust)、破片(debris)、熱(heat)、騒音(noise)を発生し、それらがクリーンルーム2920Cにおける制御された環境に悪影響を及ぼす可能性がある。クリーンルーム2920Cの外に置かれた汚染部品2921Bを用いて、クリーンルーム2920Cを容易に維持し、製造装置2912を用いて高品質の製品を製造できる。この実施形態において、第1ペデスタル2914Aはクリーンルーム2920Cの一部であり、第1ペデスタル2914あの底部は非クリーンルーム2920Dの一部である。
【0250】
フロア2920A、2920Bの位置づけは逆でもよい。例えば、クリーンルーム2920Cが、汚染動作部品2921Bを含む非クリーンルーム2920Dの底部に位置してもよい。
【0251】
精密製造機2912の構成は、所望の製造工程を達成するために変更できる。非排他的な一実施形態において、精密製造機装置2912は、露光装置2922及び搬送機構2924を含むことができ、それらは図1に示した上記の同様の名前の装置と同様の構成である。
【0252】
本実施形態において、露光装置2922は、1又はそれ以上の流体源2948(図29にはその1つのみが示されている)、1又はそれ以上の温度制御系2950(図29にはその1つのみが示されている)、及び/又は露光装置2922の適切な運転に必要な他の部品を含むことができる。一般に、これらの種類の部品は塵(dust)、破片(debris)、及び/又は熱(heat)を発生する。図29において、流体源2948及び温度制御システム2950は、装置フレーム2926及び非クリーンルーム2920Dの下方の第2ペデスタル2914Bに取り付けられているように示されている。
【0253】
非排他的な一例として、流体源2948は、ステージ装置2932、2934用の流体ベアリングをつくるための予圧流体を提供できる。流体源2948は、流体源2948をステージ装置2932、2934に流体的につなぐための1又はそれ以上の導管2948Aを含むことができる。
【0254】
また、非排他的な一例として、温度制御系2950は、ステージ装置2932、2934に冷却流体を供給できる。温度制御システム2950は、温度制御システム2950をステージ装置2932、2934に流体的につなぐための1又はそれ以上の温度導管2950Aを含むことができる。
【0255】
図29において、導管2948A、2950Aは、第1ペデスタル2914A内の1又はそれ以上の開口(図29には不図示)を通って延びており、(1)流体導管2948Aによって流体源2948(非クリーンルーム2920D内)がステージ装置2932、2934(クリーンルーム2920C内)に流体的につながり、また(2)温度導管2950Aによって温度制御システム2950(非クリーンルーム2920D内)がステージ装置2932、2934(クリーンルーム20C内)に流体的につながる。
【0256】
ここでは、ペデスタル同期システム2925を用いて、ペデスタル2914A、2914Bを地震性擾乱中に同時に移動させる。これは地震性擾乱中の導管2948A、2950Aの損傷及び位置ずれの可能性を抑える。各導管2948A、2950Aの外周辺は、クリーンルーム2920Cの清潔さを維持するために第1ペデスタル2914Aに対してシールされている。
【0257】
図29において、(1)搬送機構2924、装置フレーム2926、照明光学装置2928B、投影光学装置2930、レチクルステージ装置2932、ウエハステージ装置2934、計測システム2936、及びリソグラフィック制御システム2938は第1部品2921Aとみなされ、第1ペデスタル2914Aに取り付けられて支持され、また(2)照明源2928A、流体源2948、及び温度制御システム2950は、第2部品2921Bとみなされ、第2ペデスタル2914Bに取り付けられて支持されている。他の部品を第1ペデスタル2914A又は第2ペデスタル2914Bに取り付けて支持してもよい。
【0258】
また、ここで、本実施形態において、(1)第1ペデスタル2914A及び第1部品2921Aを統合して第1漂体2944Aと称し、(2)第2ペデスタル2914b及び第2部品2921Bを統合して第2漂体2944Bと称する。
【0259】
図29の部品の配置は、単に非排他的な1つの例であり、ペデスタル2914A、2914Bの部品の他の配置を利用でき、2より多くのペデスタル2914A、2914Bを利用できる。
【0260】
各ペデスタル2914A、2914Bの大きさ、形状、及び構成は、支持する部品に合うように変更可能である。図29において、第1ペデスタル2914Aは、複数の離間したパススルー開口(不図示)を含むことができ、これにより、照明光学装置2928Bや導管2948、2950Aなどの設備が第1ペデスタル2914Aを通って延在し、第2部品2921Bが第1部品2921Aに接続される。
【0261】
隔離システム2916は、漂体2944A、2944Bの部品を守るために、地震性擾乱中においてペデスタル2944A及び漂体2944Bを隔離する。図29において、隔離システム2916は以下を含む:(1)搭載ベース2920と第1ペデスタル2914Aとの間につながり、搭載ベース2920と第1ペデスタル2914Aとの間での動きの伝達を抑制する第1隔離体2916A、及び(2)搭載ベース2920と第2ペデスタル2914Bとの間につながり、搭載ベース2920と第2ペデスタル2914Bとの間での動きの伝達を抑制する第2隔離体2916B。この構成において、隔離システム2916は、精密製造装置2912の標準的な運転時において、第1ペデスタル2914上の第1部品2921Aと第2ペデスタル2914B上の第2部品2921Bとの間での振動の伝達を抑制する。
【0262】
また、この構成において、ペデスタル2914A、2914Bは離間して支持されており、ペデスタル2914A、2914B及びそれらの部品2921A、2921Bは、異なる振動特性を有する可能性がある。換言すると、漂体2944A、2944Bのそれぞれは、離間して支持されているので異なる振動特性を有する可能性がある。
【0263】
ここで、隔離システム2916A、2916Bのそれぞれは、第1漂体2944A(第1ペデスタル2914A及び第1部品2921Aを含む)の第1モード振動特性が第2漂体2944B(第2ペデスタル2914B及び第2部品2921Bを含む)の第1モード振動特性とほぼ等しくなるように、剛性が調整された構成にできる。換言すると、隔離システム2916A、2916Bのそれぞれは、第1漂体2944A及び第2漂体2944Bが実質的に同じ共振周波数を有するように、剛性が調整された構成にできる。
【0264】
一実施形態において、支持される想定質量に基づいてスプリングにおける適切な剛性の値を設計し、その後に小さい調整スプリングを用いて共振モードを微調整することにより、剛性を調整できる。調整可能なスプリングは、ブレードの底部のローラを動かして枢動点を変化させることでブレードの長さが変化するブレード・スプリング(blade spring)とすることができる。剛性を変える別の方法において、スクロール式の固定部を有する通常のスプリングを用いて、巻き上げ又は下げることで、スプリングの螺旋部の長さを変化させる。より高い周波数を有する重量/質量をシステムに加えることによっても、共振モードを精密に調整することが可能である。
【0265】
代替的に、いくつかの構成において、隔離システム2916A、2916Bの調整を必要としない可能性がある。
【0266】
隔離装置2916A、2916Bの構成は、漂体2944A、2944Bの共振周波数を所望のレベルにするために、あるいは運動の減衰を所望の方向とするために、変更可能である。いくつかの実施形態において、地震における鉛直方向の動きを減衰させるために、漂体2944A、2944Bの重量を漂わせる又は浮かべた状態にし、漂体2944A、2944Bに対して搭載ベース2920が動けるようにする必要がある。
【0267】
一実施形態において、隔離装置2916A、2916Bの各々は以下を含む:(1)Z軸に沿った、X軸周り、及びY軸周りの搭載ベース2920の動きがペデスタル2914A、2914Bのそれぞれに伝わるのを抑制する1又はそれ以上の離間した鉛直向きの第1隔離機2952A(スプリングとして2つのみ図示している)と、(2)X軸に沿った、Y軸に沿った、及びZ軸周りの搭載ベース2920の動きがペデスタル2914A、2914Bのそれぞれに伝わるのを抑制する1又はそれ以上の離間した水平向きの第2隔離機2952B(スプリングとして2つのみ図示している)とを含む。この構成において、隔離装置2916A、2916Bは、6自由度の振動を減衰させる。代替的に、1つ又は両方の隔離装置2916A、2916Bが6より少ない自由度の振動を減衰するように構成できる。
【0268】
適切な隔離機2952A、2952Bは、流体ベローズ、流体ピストン、スプリング、ゼロ剛性隔離機(上記)、負剛性の隔離機(上記)、及び/又はアクチュエータを含みかつ組み込むことができる。各ペデスタル2914A、2914B用の、2つの第1隔離機2952Aのみ、及び2つの第2隔離機2952Bのみが図示されているが、いくつかの構成において、各ペデスタル2914A、2914Bをそれぞれより多くの隔離機2952A、2952Bで支持することができる。
【0269】
ペデスタル同期システム2925によって、激しい振動が発生しているときに、ペデスタル2914A、2914Bが同時に動き、これにより、互いに衝突するのが抑制/防止されるとともに、物理的な接続(例えば、第1部品2921Aと第2部品2921Bの間の照明光学装置2928B、及び導管2948A、2950A)が損傷したり切断されたりするのが防止される。これは地震性擾乱中における部品の相対移動を原因とした精密製造機2912の部品の損傷及び位置ずれの可能性を抑える。
【0270】
ペデスタル同期システム2925の構成は、ペデスタル2914A、2914Bの構成に応じて変更できる。上記したように、隔離システム2916A、2916Bのそれぞれは、第1漂体2944A及び第2漂体2944Bが実質的に同じ共振周波数を有するように、剛性が調整された構成にできる。しかしながら、これらのシステム2916A、2916Bを、普通は完全には調整できない。よって、ペデスタル同期システム2925は、激しい振動の発生している間、ペデスタル2914A、2914Bが同時に動くことの確実性が要求され得る。
【0271】
図29において、ペデスタル同期システム2925は以下を含む:(1)振動発生中に、漂体2944A、2944Bを選択的かつ独立的に移動させるペデスタル移動装置2954(箱状に図示)、(2)ペデスタル2914A、2914Bの位置及び/又は漂体2944、2944Bの別の部分の位置をモニターするペデスタル計測システム2956(箱状に図示)、及び(3)ペデスタル制御システム2958。この構成において、振動発生中、ペデスタル計測システム2956は、ペデスタル2914A、2914Bの相対位置及び/又は漂体2944A、2944Bの別の部分の相対位置をモニターしかつ位置情報を供給でき、また、ペデスタル移動装置2954は、漂体2944A、2944Bがほぼ同時に移動するように、ペデスタル2914A、2914Bを移動させることができる。
【0272】
図29において、各ペデスタル2914Aに対して、ペデスタル移動装置2954は、以下を含む:(1)搭載ベース2920とペデスタル2914A,2914Bの間で延びかつ、Z軸に沿った、X軸周りの、及びY軸周りの、搭載ベース2920に対するそれぞれのペデスタル2914A、2914Bの位置を調整する、1又はそれ以上の第1移動体2954A(各ペデスタル2914A、2914Bに対して2つを図示)、及び(2)搭載ベース2920とペデスタル2914A,2914Bの間で延びかつ、X軸に沿った、Y軸に沿った、及びZ軸周りの、搭載ベース2920に対するそれぞれのペデスタル2914A、2914Bの位置を調整する、1又はそれ以上の第2移動体2954B(各ペデスタル2914A、2914Bに対して2つを図示)。
【0273】
例えば、各移動体は、リニアモータ、ロータリアクチュエータ、流体アクチュエータ、又は別の種類のアクチュエータにできる。ペデスタル移動装置2954は、ペデスタル制御システム2958に電気的に接続されかつそれにより制御される。
【0274】
ペデスタル計測システム2956は、ペデスタル2914A、2914Bの、及び/又は、漂体2944A、2944Bの別の部分の、互いの又は搭載ベース2920に対する動きをモニターする。例えば、ペデスタル計測システム2956は、マルチレーザー干渉計、エンコーダー、及び/又は他の測定器を利用できる。
【0275】
ペデスタル制御システム2958(又は別の制御器)は、ペデスタル計測システム56から位置情報を受け取り、ペデスタル移動装置2954を制御し、これにより、振動発生中に、ペデスタル2914A、2914Bが一緒に動く(互いに追随する)ように、ペデスタル2914A、2914Bの位置を精密に制御する。
【0276】
上述した構成において、ペデスタル同期システム2925は、6自由度におけるペデスタル2914A、2914Bの相対位置を制御できる。代替的に、ペデスタル同期システム2925は、6より少ない自由度における、ペデスタル2914A、2914Bの相対位置を制御できる。
【0277】
上記したように、一実施形態において、隔離装置2916A、2916Bは比較的柔らかく、また、漂体2944A、2944Bは比較的重い。
【0278】
いくつかの実施形態において、精密装置2910はベースクランプ構造2960(箱状に図示)、及びクランプ制御システム2962(箱状に図示)も含むことができ、これにより、激しい振動が生じていないときに、漂体2944A、2944Bの望まない動きを抑制する。この配置において、ベースクランプ構造2960を使用しなければ、ペデスタル2914A、2914B上を何かが動くと、漂体2944A、2944Bが移動しかつ活気付く可能性がある。これは、ウエハ2942に転写される像形状の精度を下げる可能性がある。
【0279】
この構成において、隔離システム2916は、地震性擾乱中における、プラットフォーム2914A、2914B及び精密製造装置2912を支持し隔離し、また、ベースクランプ構造2960は、地震擾乱が生じていないときに、プラットフォーム2914A、2914B及び精密製造装置2912を選択的に搭載ベース20にロックする。また、この構成において、ベースクランプ構造2960がロック状態のとき、搭載ベース2920が漂体2944A、2944Bの間での振動の伝達を抑制する大きなローパスフィルタとして作動する。
【0280】
ベースクランプ構造2960の構成は、地震性擾乱中における、漂体2944A、2944Bのロックを所望のレベルとするために、また漂体2944A、2944Bの動きを所望の自由度にするために、変更可能である。一実施形態において、ベースクランプ構造2960は、以下を含む:(1)Z軸に沿った、X軸周りの、及びY軸周りの搭載ベース2920に対する漂体2944A、2944Bの動きを選択的に、協働して抑制する1又はそれ以上の離間した鉛直クランプ(vertical clamps)2960A(各ペデスタル2914A、2914Bに対して2つを図示)と、(2)X軸に沿った、Y軸に沿った、及びZ軸周りの、搭載ベース2920に対する漂体2944A、2944Bの動きを選択的に、協働して抑制する1又はそれ以上の離間した水平クランプ(horizontal clamps)2960B(各ペデスタル2914A、2914Bに対して2つを図示)とを含む。この構成において、ベースクランプ構造2960は、漂体2944A、2944Bの6自由度の動きを抑制する。代替的に、ベースクランプ構造2960は、6より少ない自由度で、漂体2944A、2944Bをロックするように構成できる。
【0281】
非排他的な一実施形態において、各クランプ2960A、2960Bは、ディスクブレーキシステムに似た構成にでき、選択的に移動ターゲットをクランプする一対のキャリパーを含むことができる。各クランプ2960A、2960Bを、異なる構成にできる。例えば、各クランプ2960A、2960Bを磁性流体(不図示)内に配置されたプランジャ(不図示)にできる。この構成において、磁性流体を通じて電流が流れないときには、プランジャは自由に動くことができる。一方、磁性流体を通じて電流が流れると、プランジャの動きが抑制される。
【0282】
クランプ制御システム2962は、ベースクランプ2960A、2960Bに電気的に接続されかつそれらを制御し、これにより、ペデスタル2914A、2914Bを搭載ベース2920に選択的にロック及びアンロックする。クランプ制御システム2962は、1又はそれ以上のプロセッサ及び回路を備えることができる。
【0283】
一実施形態において、クランプ制御システム2962は、地震性擾乱が搭載ベース20をまさに乱そうとしていることを示す早期警報通知信号を供給する通知システム2964(箱状に図示)に電気的につながっている。早期警報通知信号の受信に基づき、クランプ制御システム2962は、ベースクランプ2960A、2960Bをアンロックし、地震性擾乱が搭載ベース2920に達する前に、ペデスタル2914A、2914B及び漂体2944A、2944Bを開放できる。
【0284】
追加的に、通知信号は、リソグラフィ制御システム2938に送られる。この情報を用いて、リソグラフィ制御システム2938は、(1)ウエハステージ装置2934を制御し、ウエハ2942を安全な位置に移動させ、(2)照明源2928Aを消し、及び/又は(3)ロック体2918がペデスタル体2914を開放する直前に、露光装置2922の隔離機2946A−2946Dを調整する、ことができる。
【0285】
図30は、別の実施形態である精密装置3010の模式図であり、上記の図29に示した精密装置2910と概ね同様である。ただし、図30において、精密装置3010の多くの部品、すなわち、露光装置3022、搬送機構3024、照明源3028A、制御システム3038、流体源3048、及び温度制御システム3959が箱状に示されている。
【0286】
一方、図30においては、ペデスタル体3014は、第1ペデスタル3014A、第2ペデスタル3014B、及び第3ペデスタル3014Cを含み、それらは同一レベル上で隣接して配置されている。本実施形態において、(1)第1ペデスタル3014Aは露光装置3022を支持し、(2)第2ペデスタル3014Bは搬送機構3025を支持し、また(2)第3ペデスタル3014Cは照明源3028A、制御システム3038、流体源3048、及び温度制御システム3050を支持する。代替的に、ペデスタル体3014は、さらに多くの又は少ないペデスタルによって構成できる、及び/又は、ペデスタル上の部品の配置は、図30に示したものと異なってもよい。
【0287】
追加的に、図30において、ペデスタル3014A、3014B、3014Cのそれぞれは、隔離システム3016を用いて、搭載ベース3020に対して独立的に支持される。より具体的には、本実施形態において、隔離システム3016は以下を含む:(1)搭載ベース3020と第1ペデスタル3014Aとの間でつながり、搭載ベース3020と第1ペデスタル3014Aとの間での動きの伝達を抑制する第1隔離体3016A、(2)搭載ベース3020と第2ペデスタル3014Bとの間につながり、搭載ベース3020と第2ペデスタル3014Bとの間での動きの伝達を抑制する第2隔離体3016B、及び(3)搭載ベース3020と第3ペデスタル3014Cとの間につながり、搭載ベース3020と第3ペデスタル3014Cとの間での動きの伝達を抑制する第3隔離体3016C。この構成において、隔離システム3016は、第1ペデスタル3014A、第2ペデスタル3014B、及び第3ペデスタル3014C上の部品の間での振動の伝達を抑制する。
【0288】
図30の模式的な図示において、隔離システム3016は、3自由度におけるペデスタル3014A、3014B、3014Cを隔離するのみである。しかしながら、隔離システム3016は、3より多い自由度で隔離するように構成できる。
【0289】
また、図30において、精密装置3010は、ベースクランプ構造3060を含み、これにより、地震性擾乱が生じていないときに、プラットフォーム3014A、3014B、3014Cを搭載ベース3020に選択的にロックする。
【0290】
図30において、精密装置3010は、ペデスタル同期システム3018も含み、これにより、激しい振動が起きているときに、ペデスタル3014A、3014B、3014Cを同時に移動させ、それらが互いに衝突するのを防ぎ、ペデスタル3014A、3014B、3014C上の部品の間で物理的な接続が損傷したり切断されたりするのを防ぐ。
【0291】
この実施形態において、ペデスタル同期システム3025は、以下を含む:(1)振動発生中に、ペデスタル3014A、3014B、3014Cを移動させるペデスタル移動装置3054、(2)ペデスタル3014A、3014B、3014Cの互いの相対的な位置をモニターするペデスタル計測システム3056(箱状に図示)、及び(3)ペデスタル移動装置3054を制御するペデスタル制御システム3058。
【0292】
図30において、ペデスタル移動装置3054は、以下を含む:(1)隣接するペデスタル3014A、3014B、3014Cの間で延びかつ、Z軸に沿った、X軸周りの、及びY軸周りの、ペデスタル3014A、3014B、3014Cの相対位置を調整する、2つの第1移動体3054A、(2)隣接するペデスタル3014A、3014B、3014Cの間で延びかつ、X軸に沿った、Y軸周りの、及びZ軸周りの、ペデスタル3014A、3014B、3014Cの相対位置を調整する、2つの第2移動体3054B。この構成において、ペデスタル同期システム3025は、ペデスタル3014A、3014B、3014Cの相対位置を6自由度で制御できる。
【0293】
図31は、別の実施形態である精密装置3190の模式図であり、上記の図31に示した精密装置3110と概ね同様である。図31において、露光装置3122は、搬送機構3124、照明源3128A、制御システム3138、流体源3148、及び温度制御システム3150が箱状に示されている。同様に、図31において、(1)ペデスタル体3194が、第1ペデスタル3194A、第2ペデスタル3194B、及び第3ペデスタル3194Cを含み、(2)隔離システム3116が、第1隔離体3116A、第2隔離体3116B、及び第3隔離体3116Cを含み、これらはペデスタル3114A、3114B、3114Cの間での振動の伝達を抑制し、(3)地震性擾乱が生じていないときに、プラットフォーム3114A、3114B、3114Cを搭載ベース3120に選択的にロックするベースクランプ構造3160。
【0294】
図31において、精密装置3110は、ペデスタル同期システム3118も含み、これにより、激しい振動が起きているときに、ペデスタル3114A、3114B、3114Cを同時に移動させ、それらが互いに衝突するのを防ぎ、ペデスタル3114A、3114B、3114C上の部品の間の物理的な接続が損傷したり切断されたりするのを防ぐ。ただし、本実施形態において、ペデスタル同期システム3125は、異なる構成である。より具体的には、本実施形態において、ペデスタル同期システム3198は、ペデスタルロック体3166、及びペデスタルロック体3166を制御するロック制御システム3168を含む。
【0295】
一実施形態において、ペデスタルロック体3166は、以下を含む:(1)第1ペデスタル3114Aと第3ペデスタル3114Cとの間で延びかつ第1ペデスタル3114Aを第3ペデスタル3114Cに選択的にロックする第1ロック3166A、及び(2)第1ペデスタル3114Aと第2ペデスタル3114Bとの間で延びかつ第1ペデスタル3114Aを第2ペデスタル3114Bに選択的にロックする第2ロック3166B。ロック3166A、3166Bが作動すると、ペデスタル3114A、3114B、3114Cが同時に動き、ロック3166A、3166Bが解除されると、ペデスタル3114A、3114B、3114Cが独立して自由に動く。
【0296】
非排他的な一実施形態において、各ロック3166A、3166Bは、ディスクブレーキシステムに似た構成にでき、選択的に移動ターゲットをクランプする一対のキャリパーを含むことができる。代替的に、各ロック3166A、3166Bを、異なる構成にできる。例えば、各ロック3166A、3166Bを、磁性流体(不図示)内に配置されたプランジャ(不図示)にできる。この構成において、磁性流体を通じて電流が流れないときには、プランジャは自由に動くことができる。一方、磁性流体を通じて電流が流れると、プランジャの動きが抑制される。
【0297】
ロック制御システム3168は、ペデスタル3114A、3114B、3114Cを一緒にロック及びアンロックを選択的に行うために、ロック3166A、3166Bに電気的に接続されかつそれらを制御する。ロック制御システム3168は、1又はそれ以上のプロセッサ及び回路を備えることができる。
【0298】
一実施形態において、ロック制御システム3168は、地震性擾乱が搭載ベース3120をまさに乱そうとしていることを示す早期警報通知信号を供給する通知システム3164(箱状に図示されている)に電気的につながっている。早期警報通知信号の受信に基づき、ロック制御システム3168は、ベースクランプ構造3160をアンロックしかつペデスタル3114A、3114B、3114Cを開放し、地震性擾乱が搭載ベース3120に達する前に、ロック3166A、3166Bによってペデスタル3114A、3114B、3114Cを一緒に取り付ける、ことができる。
【0299】
別の実施形態において、ペデスタル同期システムは、ロック3066A、3066B及び移動体3054A、3054B(図30に図示)を組み合わせた構成にできる。
【0300】
図32は、別の実施形態である精密装置3210の模式図であり、上記の図31に示した精密装置3210と概ね同様である。図32において、露光装置3222は、搬送機構3224、照明源3228A、制御システム3238、流体源3248、及び温度制御システム3250が箱状に示されている。
【0301】
図32において、(1)ペデスタル体3214が、第1ペデスタル3214A、第2ペデスタル3214B、第3ペデスタル3214C、及び第4ペデスタル3214Dを含み、(2)隔離システム3216が、第1隔離体3216A、第2隔離体3216B、第3隔離体3216C、及び第4隔離体3216Dを含み、これらはペデスタル3214A、3214B、3214C、3214Dの間での振動の伝達を抑制し、(3)地震性擾乱が生じていないときに、プラットフォーム3214A,3214B、3214C、3214Dを搭載ベース3220に選択的にロックするベースクランプ構造3260。この実施形態において、(1)第1及び第2ペデスタル3214A、3214Bが同じレベルで隣接し、(2)第3及び第4ペデスタル3214C、3214Dが同じレベルで隣接し、また(3)第1及び第2ペデスタル3214A、3214Bが第3、第4ペデスタル3214C、3214Dの上方に位置する。
【0302】
追加的に、図32において、精密装置3210は、ペデスタル同期システム3225も含み、これにより、激しい振動が生じているときに、ペデスタル3214A、3214B、3214C、3214Dを同時に移動させ、それらが互いに衝突するのを防ぎ、部品の間の物理的な接続が損傷したり切断されたりするのを防ぐ。ただし、一実施形態において、ペデスタル同期システム3225は、以下を含む:(1)第1ペデスタル3214Aと第2ペデスタル3214Bとの間で延びかつ第1ペデスタル3214Aを第2ペデスタル3214Bに選択的にロックする第1ロック3266A、及び第3ペデスタル3214Cと第4ペデスタル3214Dとの間で延びかつ第3ペデスタル3214Cを第4ペデスタル3214Dに選択的にロックする第2ロック3266B、を有するペデスタルロック体3266、(2)搭載ベース3220に対する、第1及び第2ペデスタル3214A、3214Bのロックの位置を調整する第1移動体3254A、及び搭載ベース3220に対する、第3及び第4ペデスタル3214C、3214Dのロックの位置を調整する第2移動体3254B、を有するペデスタル移動体3254、及び(3)ペデスタル3214A、3214B、3214C、3214Dの位置をモニタするペデスタル計測システム3256。上述した構成において、ペデスタル同期システム3225は、ペデスタル3214A、3214B、3214C、3214Dの相対位置を制御できる。
【0303】
図33は、別の実施形態である精密装置3310の模式図であり、上記に示した精密装置と概ね同様である。図33において、露光装置3322は、搬送機構3324、照明源3328A、制御システム3338、流体源3348、及び温度制御システム3350が箱状に示されている。
【0304】
図33において、(1)ペデスタル体3314が、第1ペデスタル3314A、第2ペデスタル3314B、第3ペデスタル3314C、及び第4ペデスタル3314Dを含み、(2)隔離システム3316が、第1隔離体3316A、第2隔離体3316B、第3隔離体3316C、及び第4隔離体3316Dを含み、これらはペデスタル3314A、3314B、3314C、3314Dの間での振動の伝達を抑制する。この実施形態において、(1)第1及び第2ペデスタル3314A、3314Bが同じレベルで隣接し、(2)第3及び第4ペデスタル3314C、3314Dが同じレベルで隣接し、また(3)第1及び第2ペデスタル3314A、3314Bが第3及び第4ペデスタル3314C、3314Dの上方に位置し、(4)ペデスタル3314A、3314B、3314C、3314Dのそれぞれが概ねL字状である。
【0305】
さらに、図33において、搭載ベース3320が離間した一対の垂直の壁3329A、3320Bを含む。
【0306】
追加的に、図33において、隔離機3316A、3316B、3316Cの各々はラコスト型サスペンションであり、それはペデスタル3314A、3314B、3314C、3314Dの1つを壁3320A、3320Bの1つに接続する、 この実施形態において、隔離機3316A、3316B、3316C、3316Dの各々は以下を含む:(1)ブーム枢軸3370Aを介して搭載ベース3320に枢動可能に接続した近位端部と、ペデスタル枢軸3370Bを介してペデスタル3314A、3314B、3314C、3314Dの1つに枢動可能に接続した先端部と、を有する、剛体ヒンジブーム3370、及び(2)搭載ベース3320及びブーム材3370の先端部に接続した弾性体3372。非排他的な例として、各枢軸3370A、3370B、3374Aは、ヒンジ又はボール型の連結にできる。代替的に、いくつかの非排他的な実施形態において、ブーム材3370は、少なくとも約40、60、100、又は200cmの長さである。
【0307】
一実施形態において、弾性体3372は、ゼロ長でゼロ力を発する、予め圧縮されたゼロ長スプリングである。この実施形態において、搭載ベース3320、ブーム材3370、及び弾性体3372は協働的に、全体として三角形状を有する。この構成において、ヒンジブーム材3380Aは、極めて長い周期で基枢軸3381A周りに枢動する振り子として機能する。
【0308】
また、この実施形態において、各隔離体3316A、3316B、3316C、3316Dは、剛体の、安定化ビーム材3374を含み、これは搭載ベース3320とペデスタル3314A、3314B、3314C、3314Dのそれぞれの間で延びかつ、枢軸3374Aを介してそれらに枢動可能に接続されている。この実施形態において、搭載ベース3320、ブーム材3370、安定化ビーム材3374、及びそれぞれのペデスタル3314A、3314B、3314C、3314Dは協働的に、全体として四角形状を有する。また、ブーム材3370及び安定化ビーム材3374は、離間しかつ実質的に平行である。安定化ビーム材3374は、搭載ベース3320及びそれぞれのペデスタル3314A、3314B、3314C、3314Dの間の別の接続を提供する。この構成において、安定化ビーム材3374は、それぞれのペデスタル3314A、3314B、3314C、3314DをX軸周りの適した向きに維持する。代替的に、ペデスタル枢軸3370Bの代わりに、ブーム材3370とそれぞれのペデスタル3314A、3314B、3314C、3314Dの間で極めて剛の接続が使用されれば、安定化ビーム材3374を省略することが可能だろう。
【0309】
図33において、精密装置3310は、ペデスタル同期システム3318も含み、これにより、激しい振動が起きているときに、ペデスタル3314A、3314B、3314C、3314Dをほぼ同時に動かし、それらが互いに衝突するのを防ぎ、ペデスタル3314A、3314B、3314C、3314D上の部品の間の物理的な接続が損傷したり切断されたりするのを防ぐ。
【0310】
この実施形態において、ペデスタル同期システム3318は以下を含む:(1)振動発生中に、ペデスタル3314A、3314B、3314C、3314Dを移動させるペデスタル移動装置3354(箱状に図示)、(2)ペデスタル3314A、3314B、3314C、3314Dの互いの相対的な位置をモニターするペデスタル計測システム3356(箱状に図示)、及び(3)ペデスタル移動装置3354を制御するペデスタル制御システム3358。
【0311】
図33において、ペデスタル移動装置3354は以下を含む:(1)第1及び第2ペデスタル3314A、3314Bの間で延びかつ、それらの2つのペデスタル3314A、3314Bの相対位置を調整する、1又はそれ以上の第1移動体3354A、(2)第2及び第4ペデスタル3314B、3314Dの間で延びかつ、それらの2つのペデスタル3314B、3314Dの相対位置を調整する、1又はそれ以上の第2移動体3354B、(3)第3及び第4ペデスタル3314C、3314Dの間で延びかつ、それらの2つのペデスタル3314C、3314Dの相対位置を調整する、1又はそれ以上の第3移動体3354C、(4)第1及び第3ペデスタル3314A、3314Cの間で延びかつ、それらの2つのペデスタル3314A、3314Cの相対位置を調整する、1又はそれ以上の第4移動体3354D。
【0312】
図34は、別の実施形態である精密装置3410の模式図であり、上記の図33に示した精密装置3310と概ね同様である。図34において、露光装置3422は、搬送機構3424、照明源3428A、制御システム3438、流体源3448、及び温度制御システム3450が箱状に示されている。
【0313】
また、図34において、(1)ペデスタル体3414が、第1ペデスタル3414A、第2ペデスタル3414B、第3ペデスタル3414C、及び第4ペデスタル3414Dを含み、(2)隔離システム33416が、第1隔離体3416A、第2隔離体3416B、第3隔離体3416C、及び第4隔離体3416Dを含み、これらはペデスタル3414A、3414B、3414C、3414Dの間での振動の伝達を抑制する。さらに、図34において、搭載ベース3420が離間した一対の垂直の壁3420A、3420Bを含む。
【0314】
また、図34において、隔離機3416A、3416B、3416C,3416Dの各々は、ラコスト型サスペンションであり、それはペデスタル3414A、3414B、3414C、3414Dの1つを壁3420A、3420Bの1つに接続する。この実施形態において、隔離機3416A、3416B、3416C、3416Dの各々は以下を含む:(1)搭載ベース3420、及びペデスタル3414A、3414B、3414C、3414Dの1つに接続した先端部に、枢動可能に接続した剛体ヒンジブーム3470、(2)搭載ベース3420及びブーム材3470の先端部に接続した弾性体3472、及び(3)搭載ベース3420及びそれぞれのペデスタル3414A、3414B、3414C、3414Dに枢動可能に接続した安定化ビーム材3474。
【0315】
この実施形態において、弾性材3472は、サスペンションの作動範囲にわたり、ゼロ長スプリングと同様に機能する。より具体的には、この実施形態において、弾性体3472は、ピストンシリンダ3480、ピストン3482、追加的なチャンバ3484、シリンダコネクタ3485A、及びピストンコネクタ3485Bを有する流体ピストン構造である。これらの部品の構成、形状、及び大きさは、弾性体3472の要求特性を達成するために変更可能である。
【0316】
ピストンシリンダ3480は、ピストン3482を受け入れ、ピストン3482と協働して、ピストンチャンバ3480Aを作る。ピストン3482は、全体としてディスク状であり、ピストン3482はピストンシリンダ3480内でスライドし、これにより、ピストンチャンバ3480Aのサイズが調整される。追加的に、ピストン3482は、ピストン3482をピストンシリンダ3480に対してシールする1又はそれ以上のシール(不図示)を有することができる。
【0317】
追加チャンバ3484は、流体導管を介して、ピストンチャンバ3480に流体的につながる、流体3484Aの追加的な体積(小さい円として図示)を提供する。この構成において、ピストン3482とピストンシリンダ3480との間の相対移動は、ピストンチャンバ3480A及び追加チャンバ3484内の流体3484Aに圧力変化をもたらす。相対移動による流体3484Aの圧力の変化量は、流体3484Aの量と流体3484Aの種類に応じて変化する。よって、追加チャンバ3484のサイズ、及び形状は、弾性体3472の性能特性を達成するように、構成できる。
【0318】
また、流体3484Aの種類は、弾性体3472の性能特性を達成するように選ぶことができる。非排他的ないくつかの例において、可能な流体1084Aは、空気、窒素、又はアルゴンを含む。
【0319】
シリンダコネクタ3485Aは、ピストンシリンダ3480を搭載ベース3420に機械的に接続し、ピストンコネクタ3485Bはピストン3482をブーム材3470に機械的に接続する。非排他的な一例において、各コネクタ3484A、3485Bは、ケーブル又は剛体ビームにできる。
【0320】
また、図34において、精密装置3410は、ペデスタル同期システム3418も含み、これにより、激しい振動が生じているときに、ペデスタル3414A、3414B、3414C、3414Dを同時に動かすことができる。本実施形態において、ペデスタル同期システム3425は、ペデスタルロック体3466、ペデスタルロック体3466を制御するロック制御システム3468、及び地震性擾乱が搭載ベース20をまさに乱そうとしていることを示す早期警報通知信号を供給する通知システム3464(箱状に図示)を含む。図34において、ペデスタルロック体3466は、以下を含む:(1)第1及び第2ペデスタル3414A、3414Bの間で延びかつそれらを一緒に選択的にロックする第1ロック3466A、(2)第2及び第4ペデスタル3414B、3414Dの間で延びかつそれらを一緒に選択的にロックする第2ロック3466B、(3)第3及び第4ペデスタル3414C、3414Dの間で延びかつそれらを一緒に選択的にロックする第3ロック3466C、及び(4)第1及び第3ペデスタル3414A、3414Cの間で延びかつそれらを一緒に選択的にロックする第4ロック3466D。これらのロック3466A−3466Dは、上記したロックと同様の構成にできる。
【0321】
図35は、別の実施形態である隔離機3352の模式図であり、上記した隔離システムと概ね同様である。この実施形態において、隔離機3352は、シリンダボディ3570A、シリンダボディ3570内で移動可能なピストン3570B、及びピストン3570とピストンシリンダボディ3570Aの間に形成されたピストンチャンバ3570D内に圧縮された流体3570C(円として図示)を有する。流体型サスペンションである。例えば、流体3570Cは、空気又は別のガスにできる。
【0322】
一実施形態において、ピストン3570Bは、ペデスタル(図35では不図示)に固定され、シリンダボディ3570Aは、搭載ベース(図35では不図示)に固定されている。代替的に、隔離機3552は、ピストン3570Bが搭載ベースに固定され、シリンダボディ3570Aがペデスタルに固定されるように、逆にできる。
【0323】
図36は、別の実施形態である隔離機3652の模式図であり、上記した隔離システムと概ね同様である。この実施形態において、隔離機3652は、ダンパ3643、及び弾性サスペンション3655(スプリングとして図示)を含み、それらは平行に接続されている。この実施形態において、ダンパ3653は、運動を弱めさせ、弾性体3655は運動の伝達を抑制する。非排他的ないくつかの例において、弾性サスペンション3655は、スプリング、図35に示したような流体型サスペンション、又は上記したラコスト型サスペンションにできる。
【0324】
図36において、ダンパ3653は、シリンダボディ3670A、シリンダボディ3670A内で移動可能なピストン3670B、及び(1)ピストン3670Bの底部とシリンダボディ3670Aの間に形成される第1ピストンチャンバ3670D、及び(2)ピストン3670Bの頂部とシリンダボディ3670Aの間に形成される第2ピストンチャンバ3670E、に位置する流体3670C(丸として図示)、を含む。チキソトロピック流体(Thixotropic fluid)、せん断薄流体(shear thinning fluid)、磁性流体、電気的レオロジー流体(electro-rheological fluid)、又は別の種類の流体にできる。流体3670Cは、低応力又は流速において、非線形な粘性、又は非常に高い粘性(又は弾性挙動)を有することができる。
【0325】
また、この実施形態において、運動を弱めるために、流体3670Cは、例えば、ピストン3670B内の1又はそれ以上のオリフィスを介して、又はピストン3670Bとシリンダボディ3670Aの間の漏れシールを介して、ピストンをバイパスできる。
この構成において、ダンパ3653は、標準の運転中に、ピストンを固定又は保持するように作動できる。一方、地震がせん断応力を超えて生じた場合、流体が流れ、相対運動可能にする。磁性流体は、磁性流体の強さに応じて、弾性及び粘性の両方を発揮することもできる。
【0326】
一実施形態において、ピストン3670B及び弾性体3655の頂部は、ペデスタル(図36では不図示)に固定され、シリンダボディ3670及び弾性体3655の底部は、搭載ベース(図36では不図示)に固定されている。代替的に、隔離機3616Aは、ピストン3670Bが搭載ベースに固定され、シリンダボディ3670Aがペデスタルに固定されるように、逆にできる。
【0327】
図37は、別の実施形態である隔離機3752の模式図であり、上記した隔離システムと概ね同様である。この実施形態において、隔離機3752は、シリンダボディ3770A、及びシリンダボディ3770A内で移動可能なピストン3770Bを含み、ピストンチャンバ3770Cを形成する。また、この実施形態において、隔離機3752は、制御システム3754によって制御される流体開放システム3772を含み、これにより、圧縮流体(図37では不図示)をピストンチャンバ3770C内に選択的に開放する。一実施形態において、流体開放システム3772は、複数の即時焼成推進パッケージ(quick burning propellant package)3774を含み、エアバッグ型の即時焼成推進と同様にできる。
【0328】
また、図37において、シリンダボディ3770Aは1又はそれ以上のシリンダ開口3770D及びストップ3770Dを含む。シリンダ開口3770Dは、シリンダボディ3770Aを通して延び、ピストンチャンバ3770Bに向かう。ストップ3770Eは、シリンダボディ3770Aの内径部分に取り付けられ、ピストン3770Bと係合し、ピストン3770Bの下向きの所定の距離における軸(図37のZ軸)に沿った運動を抑制する。
【0329】
この構成において、標準的な動作中に、及び地震擾乱の前に、ピストン3770Bの運動及びペデスタルの下向きを抑制するためにピストン3770Bがストップ3770Eに対して休止する。これは、本実施形態におけるベースクランプ構造の必要を除く。その後、地震性擾乱中、制御システム3754は、連続的に即時焼成推進パッケージ(quick burning propellant packages)3774を駆動する電気信号を必要に応じて送る。例えば、各推進パッケージ3774は、アジカナトリウム(sodium azide)のような化学的推進材を含むことができる。この構成において、起動すると、化学的推進によって即時化学反応が生じ、窒素ガスをピストンチャンバ3770C内に発生させ、ピストン3770Bをピストンストップ3770Eから持ち上げる。ピストンチャンバ3770Cにガスが充満するので、シリンダ開口3770Dからそれが出る。推進パッケージ3774の連続的な駆動は、地震擾乱中において、ピストン3770Bに一定の圧力を与える。
【0330】
一実施形態において、ピストン3770Bは、ペデスタル(図37では不図示)に固定され、シリンダボディ3770Aは、搭載ベース(図37では不図示)に固定されている。代替的に、隔離機3752は、ピストン3770Bが搭載ベースに固定され、シリンダボディ3770Aがペデスタルに固定されるように、逆にできる。
【0331】
隔離システムに使用される隔離機の数は、支持されているものの特性及び隔離機の特性による。代替的に、非排他的ないくつかの実施形態において、隔離システムは、約10、20、30、又は50の離間した隔離機を含むことができる。一般に、重い漂体は、軽い漂体に比べて、より多くの隔離機を必要とする。
【0332】
図38は、隔離システム3816の別の実施形態の模式図であり、それはペデスタル814と接続可能でありかつ漂体を支持するのに使用可能である。この実施形態において、隔離システム3816は、第2ペデスタルレベルの代わりに、第1ペデスタルレベルに固定される。また、この実施形態において、隔離システム3816は以下を含む:(1)Z軸に沿ってかつX及びY軸周りに隔離する複数の縦隔離補機3816A、及び(2)X及びY軸に沿ってかつZ軸周りに隔離する1以上の横隔離補機3816B(図38では1つのみ示す)。この構成において、緩衝系3816は、6自由度の振動を減衰させる。
【0333】
この実施形態において、例えば、搭載ベース3820Bは、離間した複数のビーム3820A(図38では1つのみ示す)のペアを含むことができ、それらはペデスタル3814の反対側に位置する また、縦隔離補機3816Aは、隔離する弾性体3816Cと、X軸及びY軸に沿ったペデスタル814の移動を許容するローラ体3816Dとを含むことができる。弾性体816C及び横隔離補機3816Bは、1以上のスプリング、及び/又はダンパを含むことができ、上記の構成と同様にできる。
【0334】
図39Aは、ロック位置990Aにおけるロック3952の非排他的な一実施形態を示す模式的な側面図であり、軸(例えば図39AにおけるZ軸)に沿った漂体の下方への動きを選択的に抑制する機構に使用できる。図39Bは、アンロック位置3990Bにおけるロック3952の模式的な側面図である。
【0335】
この実施形態において、縦ロック3952は、ロックビーム3991と、1以上のロック補機3992(図39A及び39Bでは1つのみ示す)とを含む。例えば、ロックビーム3991は、長く、概ね矩形形状のビームにできる。また、この実施形態において、ロックビーム991は、第1ビーム側面991Aと、対向する第2ビーム側面3991Bとを含み、それらはロック補機3992と選択的に係合し、ロックビーム991に対してロック補機3992を選択的にロックする。この実施形態において、各ビーム側面3991A、3991Bは、概ね平坦な面でありそれぞれZ軸(動きが抑制される軸)に実質的に平行である。追加的に、ビーム側面3991A、3991Bの1つ又は双方は、ビーム側面3991A、3991Bとロック補機3992との間の摩擦を増大させる、1以上のビーム面特性(不図示)を有する。
【0336】
この実施形態において、ロックビーム3991は、(例えば、溶接、ボルト、又は別の固定手段によって)ペデスタルに固定され、ロック補機3992は、(例えば、溶接、ボルト、又は別の固定手段によって)搭載ベースに固定される。代替的に、ロックビーム3991を搭載ベースに固定し、ロック補機3992をペデスタルに固定することもできる。
【0337】
ロック補機3992は、選択的にロックビーム3991を保持する。一実施形態において、ロック補機3992は、(1)ロックベース3994、(2)第1ビーム係合部3995、(3)第2ビーム係合部3996、(4)第1接続体3997、(5)第2接続体3998、及び(6)連絡移動体3999を含む。これらの部品の構成、形状、及び大きさは、ロック3952のロック及び開放仕様を達成するために変更可能である。また、それらの1以上の部品が任意に選択され得る。
【0338】
ロックベース3994は、ペデスタル又は搭載ベースに対して、接続されかつロック補機3992を固定する。一実施形態において、ロックベース3994は、頂部が切り取られた三角形のような形状である。
【0339】
ビーム係合部3995、3996は、ロック位置3990Aとアンロック位置3990Bとの間で移動可能であり、ロック位置ではビーム係合部3995、3996がビーム側面3991A、3992Bとそれぞれ係合しかつ保持し、アンロック位置3990Bでは、ビーム係合部3995、3996がビーム側面3991A、3991Bと十分に係合せず、ロックビーム3994がビーム係合部3995、3996に対して自由に移動する。
【0340】
接続体3997、3998は、ロック位置3990Aとアンロック位置3990Bとの間でビーム係合部3995、3996が移動及び枢動可能となるように、ロックベース3994に対してビーム係合部3995、3996を移動可能にかつ枢動可能に接続する。一実施形態において、各接続体3997、3998は、接続ビーム3997A、3998A(ペアごとに1つのみ示す)の2つのペアを含み、それらは概ね楕円のフラット板のような形状である。この実施形態において、接続ビーム3997Aの各々は、ロックベース3994に最も近い端部に枢動可能に接続されるとともに、ビーム係合部3995、3996の1つの先端部に枢動可能に接続される。
【0341】
いくつかの実施形態において、ビーム係合部3995、3996がロックビーム3991を係合しているとき、(1)第1軸に沿った第1方向(図39A及び39BにおけるZ軸に沿った下向き)のロックビーム3991の動き(又は力)によって、ビーム係合部3995、3996を互いに向かうよう促し、(2)第1軸に沿った第2方向(Z軸に沿った上向き)のロックビーム3991の動き(又は力)によって、ビーム係合部3995、3996を互いに離れるよう促す、ように、接続体3997、3998が方向付けられる。この構成の結果、ロック3952は、最小の開放力で非常に大きな荷重を支持することができる、自己保持、クイック開放メカニズムである。また、それ自身の荷重はロック配置の保持/拘束に使用される。
【0342】
連絡移動体3999は、位置3990Aと3990Bの間でビーム係合部3995、3996を移動させる。一実施形態において、連絡移動体3999は次を含む:(1)第1ビーム係合部3995に接続されかつ第1ビーム係合部3995を位置3990A、3990Bとロックベース3991の間で素早く移動させる第1移動体3999A、(2)第2ビーム係合部3996に接続されかつ第2ビーム係合部3996を位置3990A、3990Bとロックベース3991の間で素早く移動させる第2移動体3999B。例えば、各移動体3999A、3999Bは、リニアモータ、ソレノイド、ロータリアクチュエータ、流体アクチュエータ、又は別の種類のアクチュエータにできる。
【0343】
追加的に、連絡移動体3999は、次を含むことができる:(1)第1ビーム係合部3995に接続されかつ第1ビーム側面3991A及びロック位置3990Aに対して第1ビーム係合部3995を向かわせる(付勢する)第1荷重3999C、(2)第2ビーム係合部3996に接続されかつ第2ビーム側面3991B及びロック位置3990Aに対して第2ビーム係合部3996を向かわせる(付勢する)第2荷重3999D。例えば、各荷重3999C、3999Dは、スプリング、又は別の弾性部材にできる。
【0344】
図40Aは、ロック位置4090Aにおけるロック4052の非排他的な別の実施形態を示す模式的な側面図であり、軸(例えば図40AにおけるZ軸)に沿った両方向への漂体の動きを選択的に抑制する図29の機構に使用できる。図40Bは、アンロック位置4090Bにおけるロック4052の模式的な側面図である。
【0345】
この実施形態において、縦ロック4052は、ロックビーム4091と、1以上のロック補機4092(図40A及び40Bでは1つのみ示す)とを含む。この実施形態において、ロックビーム4091は、第1ビーム側面4091Aと、対向する第2ビーム側面4091Bとを含み、それらはロック補機4092と選択的に係合する。
【0346】
一実施形態において、ロック補機4092は以下を含む:(1)ロックベース4094、(2)第1ビーム係合部4095のペア、(3)第2ビーム係合部4096のペア、(4)第1接続体4097のペア、(5)第2接続体4098のペア、(6)図39A及び39Bに示しかつ上記した対応部品と同様の連絡移動体4099。しかし、この実施形態において、ビーム係合部4095、4096及び接続体4097、4098は、Z軸に沿った両方向の動きを選択的に抑制するように方向付けられている。
【0347】
非排他的なさらに別の実施形態において、各ロックは、ディスクブレーキシステムに似た構成にでき、選択的に移動ターゲットをクランプする一対のキャリパーを含むことができる。代替的に、各ロックを、異なる構成にできる。例えば、各ロックを、磁性流体(不図示)内に配置されたプランジャ(不図示)にできる。この構成において、磁性流体を通じて電流が流れないときには、プランジャは自由に動くことができる。一方、磁性流体を通じて電流が流れると、プランジャの動きが抑制される。
【0348】
上記したように、上記実施形態に係るフォトリソグラフィシステム(露光装置)は、添付の特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造することができる。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、すべての光学系について、光学的精度を達成するための調整が行われる。同様に、すべての機械系及び電気系について、機械的精度及び電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムからフォトリソグラフィシステムへの組み立て工程は、各サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、及び気圧回路の配管接続等を含む。この各種サブシステムからフォトリソグラフィシステムへの組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムを用いてフォトリソグラフィシステムが組み立てられると、フォトリソグラフィシステム全体としてのすべての精度を確保するための、総合調整が行われる。なお、露光システムの製造は温度及び湿度等が管理されたクリーンルーム内で行うことが望ましい。
【0349】
半導体デバイスは、図41Aに概略的に示すプロセスによって、上記のシステムを用いて製造される。ステップ4101において、デバイスの機能及び特性の設計が行われる。次に、ステップ4102において、前記設計ステップに従ったパターンを有するマスク(レチクル)が設計され、平行したステップ4103において、シリコン材料からウエハが製造される。ステップ4104において、本発明のいくつかの実施形態に係る上記のフォトリソグラフィシステムによって、ステップ4102で設計されたマスクパターンが、ステップ4103からのウエハ上に露光される。ステップ4105において、半導体デバイスが組み立てられ(ダイシング工程、ボンティング工程、及びパッケージング工程を含む)、最後に、ステップ4106においてデバイスが検査される。
【0350】
図41Bは、半導体デバイスの製造の場合における上記のステップ4104の詳細なフローの一例を示す。図41Bにおいて、ステップ4111(酸化工程)において、ウエハ表面が酸化される。ステップ4112(CVD工程)において、ウエハ表面に絶縁膜が形成される。ステップ4113(電極形成工程)において、蒸着によってウエハ上に電極が形成される。ステップ4114(イオン打込み工程)において、ウエハにイオンが打ち込まれる。以上のステップ4111〜4114は、ウエハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択される。
【0351】
ウエハ処理の各段階では、上記の前処理工程が完了すると、続いて後処理工程が実行される。後処理工程において、まず、ステップ4115(フォトレジすと形成工程)において、フォトレジストがウエハに塗布される。次に、ステップ4116(露光工程)において、上記の露光装置を用いてマスク(レチクル)の回路パターンがウエハに転写される。その後、ステップ4117(現像工程)において、露光された基板が現像され、ステップ4118(エッチング工程)において、レジストが残存している部分以外の部分(露光された材料表面)がエッチングにより取り除かれる。ステップ4119(フォトレジスト除去工程)において、エッチング後の不要なフォトレジストが取り除かれる。こうした前処理工程と後処理工程との繰り返しによって、多数の回路パターンが形成される。
【0352】
ここでは、前述した目的を達成し効果を得るための詳細な説明について可能な限り開示しており、それは本発明の好ましい現時点での実施形態の単なる具体例であって、添付されたクレーム以外に、構造や構成の詳細についてここで示したものに限定する意図はない。
例えば、ここで開示されたサスペンションは、他の地震性隔離又は振動隔離システムに使用可能である。より具体的には、サスペンションは、重力に逆らって重い物体の動きを制御するために、電磁気アクチュエータのようなアクチュエータが使用される用途、及び/又はアクティブ自動サスペンションに使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭載ベースに支持された、基板を製造するための精密装置であって、
前記基板を製造するように構成された精密製造機と、
前記精密製造機の少なくとも一部を支持するペデスタル体と、
前記搭載ベースと前記ペデスタル体との間での動きの伝達を抑制する緩衝系であって、(1)前記搭載ベース及び前記ペデスタル体につながった第1ブーム材であり、前記搭載ベース及び前記ペデスタル体の少なくとも1つに回転可能につながった前記第1ブーム材と、(2)前記第1ブーム材及び前記ペデスタル体の少なくとも1つと前記搭載ベースとの間につながった第1弾性体とを備える、前記緩衝系と、
を備えた精密装置。
【請求項2】
前記第1弾性体は、前記弾性体の作動範囲においてゼロ長スプリングと同様に機能する、請求項1に記載の精密装置。
【請求項3】
前記第1弾性体は、ゼロ長スプリングである、請求項1に記載の精密装置。
【請求項4】
前記第1弾性体は、ピストンシリンダと、前記ピストンシリンダに対して移動可能なピストンとを含む、請求項1に記載の精密装置。
【請求項5】
前記緩衝系は、(1)前記搭載ベース及び前記ペデスタル体につながった第2ブーム材であり、前記搭載ベース及び前記ペデスタル体の少なくとも1つに枢動可能につながった前記第2ブーム材と、(2)前記第2ブーム材及び前記ペデスタル体の少なくとも1つと搭載ベースとの間につながった第2弾性体と、を備える、請求項1に記載の精密装置。
【請求項6】
各弾性部材が作動範囲においてゼロ長スプリングと同様に機能する、請求項5に記載の精密装置。
【請求項7】
前記緩衝系は、負の剛性を有する、請求項1に記載の精密装置。
【請求項8】
前記緩衝系は、前記第1弾性体を前記搭載ベースに移動可能につなぐ移動マウントと、前記ブームを前記搭載ベースに枢動可能につなぐブームコネクタと、前記移動マウントを前記ブームコネクタから離した状態に維持するマウント弾性体と、を備える、請求項7に記載の精密装置。
【請求項9】
前記緩衝系は、実質的にゼロ剛性を有する、請求項1に記載の精密装置。
【請求項10】
前記緩衝系は、前記第1ブームにつながったガーデンゲート型構造を有する、請求項1に記載の精密装置。
【請求項11】
前記ガーデンゲート型構造は、前記第1ブームと前記ペデスタル体との間で延びかつ前記第1ブームをヒンジ動作可能に前記ペデスタル体につなぐ、請求項1に記載の精密装置。
【請求項12】
前記ペデスタル体は、第1ペデスタルとそれから離間した第2ペデスタルとを有し、
前記精密製造機は、前記第1ペデスタルに固定されて第1漂体をなす少なくとも1つの第1部品と、前記第2ペデスタルに固定されて第2漂体をなす少なくとも1つの第2部品と、を有し、
前記緩衝系は、(1)前記搭載ベースと前記第1ペデスタルとの間につながった第1隔離体であり、前記搭載ベースと前記第1ペデスタルとの間での前記動きの伝達を抑制する前記第1隔離体と、(2)前記搭載ベースと前記第2ペデスタルとの間につながった第2隔離体であり、前記搭載ベースと前記第2ペデスタルとの間での前記動きの伝達を抑制する前記第2隔離体と、を有する、請求項1に記載の精密装置。
【請求項13】
前記第1漂体の振動の第1モードが前記第2漂体の振動の第1モードとほぼ等しくなるように、前記隔離体の少なくとも1つの剛性が調整される、請求項12に記載の精密装置。
【請求項14】
地震性擾乱中に、前記第1ペデスタルを前記第2ペデスタルと実質的に一緒に移動させるペデスタル同期システムをさらに備える、請求項12に記載の精密装置。
【請求項15】
前記ペデスタル同期システムは、前記第1ペデスタルを前記第2ペデスタルに選択的にロックするペデスタルロック構造を含む、請求項14に記載の精密装置。
【請求項16】
前記ペデスタル同期システムは、振動発生中に、前記第1ペデスタルを前記第2ペデスタルと実質的に一緒に移動させるペデスタル移動装置を含む、請求項14に記載の精密装置。
【請求項17】
前記精密製造装置は、前記基板に前記像を転写するのに適用される露光装置であり、
前記露光装置は、複数の第1レベル部品と、複数の第2レベル部品を含み、
前記ペデスタル体は、互いに固定されかつ離間した、第1ペデスタルレベル及び第2ペデスタルレベルを含み、
前記ペデスタルレベルのうちの一方の動きによって他方のペデスタルレベルが動き、
前記第1ペデスタルレベルは前記第1レベル部品を支持し、
前記第2ペデスタルレベルは前記第2レベル部品を支持し、
前記ペデスタルレベルの一方が少なくとも部分的に前記ペデスタルレベルの他方の上方に位置する、請求項1に記載の精密装置。
【請求項18】
第1軸に沿った第1方向に、前記ペデスタル体を前記搭載ベースに選択的に取り付けるロック体をさらに備え、
前記ロック体は、(1)前記ペデスタル体及び前記搭載ベースの1つに接続され、第1ビーム側及びその反対の第2ビーム側を含むロックビーム材と、(2)前記ロックビーム材を選択的に保持するロック補機とを有し、
前記ロック補機は、(1)前記ペデスタル体及び搭載ベースの1つと接続されるロックベースと、(2)第1ビーム係合部であり、前記第1ビーム係合部が前記第1ビーム側と係合するロック位置と、前記第1ビーム係合部に対して前記第1ビーム側が移動するのを前記第1ビーム係合部が許容するアンロック位置との間で移動可能である前記第1ビーム係合部と、(3)第2ビーム係合部であり、前記第2ビーム係合部が前記第2ビーム側と係合するロック位置と、前記第2ビーム係合部に対して前記第2ビーム側が移動するのを前記第2ビーム係合部が許容するアンロック位置との間で移動可能である前記第2ビーム係合部と、(4)前記第1ビーム係合部が前記ロック位置と前記アンロック位置の間で移動できるように、前記第1ビーム係合部を前記ロックベースに移動可能に接続する第1接続体と、(5)前記第2ビーム係合部が前記ロック位置と前記アンロック位置の間で移動できるように、前記第2ビーム係合部を前記ロックベースに移動可能に接続する第2接続体と、を有し、
前記ビーム係合部が前記ロックベースと係合するときに、前記ロックビームの前記第1軸に沿った前記第1方向の動きによって前記ビーム係合部が互いに向かうように促すように、前記接続体が方向付けられる、請求項1に記載の精密装置。
【請求項19】
前記精密製造装置は、像を前記基板に転写し、前記ペデスタル体に搭載される露光装置を含む、請求項1に記載の精密装置。
【請求項20】
基板を用意する工程と、請求項19の前記精密装置を用いて像を前記基板に転写する工程と、を含む、ウエハの形成方法。
【請求項21】
第1物体と第2物体との間での動きの伝達を抑制するための隔離システムであって、
前記第1物体が搭載されるペデスタル体と、
前記ペデスタル体及び前記第2物体に接続されるとともに、前記ペデスタル体を実質的にゼロ剛性で支持する緩衝体と、
を備える隔離システム。
【請求項22】
前記緩衝体は、正剛性の弾性メカニズムと負剛性の弾性メカニズムを含む、請求項21に記載の隔離システム。
【請求項23】
前記負剛性の弾性メカニズムは、(1)前記第1物体に固定されるブームコネクタと、(2)前記ブームコネクタから枢動可能に張り出し、前記第2物体に接続される、ブーム材と、(3)前記ブームコネクタに対して移動可能な移動マウントと、(4)前記移動マウントと前記ブーム材との間でつながったブーム弾性体と、を含む、請求項21に記載の隔離システム。
【請求項24】
前記ブーム弾性体は、前記第1ブーム弾性体の作動範囲において、ゼロ長スプリングと実質的に同様に機能する、請求項23に記載の隔離システム。
【請求項25】
前記移動マウントを前記ブームコネクタから離間した状態に維持するマウント弾性体をさらに備える、請求項24に記載の隔離システム。
【請求項26】
前記緩衝系は、(1)前記第1物体に接続される第1マウントと、(2)前記第2物体に接続される第2マウントと、(3)前記第1マウントの動きが前記第2マウントに伝わるのを抑制するとともに、前記第1マウントから枢動可能に張り出した第1ブーム材と、前記第1マウントと前記第1ブーム材との間で接続された第1弾性材と、を有する、第1補材と、(4)前記第1マウントの動きが前記第2マウントに伝わるのを抑制するとともに、前記マウントの1つから枢動可能に張り出した第2ブーム材と、前記マウントの1つと前記第2ブーム材との間で接続された第2弾性材と、を有する、第2補材と、を含む、請求項21に記載の隔離システム。
【請求項27】
前記第1ブーム材は、前記第2マウントに機械的に接続されたブーム先端部を有し、前記第2ブーム材は、枢動可能に前記第1マウントに接続され、前記第2弾性材は、前記第1マウントと前記第ブーム材との間で接続され、前記弾性材のそれぞれは、作動範囲にわたってゼロ長スプリングとして機能し、前記補材のそれぞれは、ラコスト型システムであり、前記第1及び第2補材は、平行に配置される、請求項26に記載の隔離システム。
【請求項28】
前記緩衝体は、(1)前記第1物体に取り付けられた第1マウントと、(2)前記第2物体に取り付けられた第1支持部と、(3)前記第1マウントを前記支持部に接続するとともに、第1軸に沿いかつ第2軸に沿った動きの伝達を抑制し、ラコスト型システム及びガーデンゲート型構造を規定するメカニズムと、を含む、請求項21に記載の隔離システム。
【請求項29】
ラコスト型システムは、前記第1マウントに取り付けられ、前記ガーデンゲート型構造は、ラコスト型システムと前記第1支持部との間で延びかつそれらをヒンジ動作可能に接続する、請求項28に記載の隔離システム。
【請求項30】
前記ペデスタル体は、第1ペデスタル及び第2ペデスタルを有し、前記緩衝体は、前記搭載ベースと前記第1ペデスタルとの間で接続された第1サスペンションと、前記搭載ベースと前記第2ペデスタルとの間で接続された第2サスペンションとを有し、前記隔離システムは、擾乱が所定の許容範囲を超えている間、前記第1ペデスタルを前記第2ペデスタルと実施的に一緒に移動させるペデスタル同期システムをさらに備える、請求項21に記載の隔離システム。
【請求項31】
前記ペデスタル同期システムは、前記第1ペデスタルを前記第2ペデスタルに選択的にロックするペデスタルロック体を有する、請求項30に記載の隔離システム。
【請求項32】
前記ペデスタル同期システムは、激しい出来事が生じた間に、前記第1ペデスタルを前記第2ペデスタルと実質的に一緒に移動させるペデスタル移動装置を有する、請求項30に記載の隔離システム。
【請求項33】
前記第1物体は、像を前記基板に転写するとともに、前記ペデスタル体に搭載される露光装置である、請求項21に記載の精密装置。
【請求項34】
第1物体と第2物体との間で動きの伝達を抑制するための方法であって、
ペデスタル体に前記第1物体を搭載する工程と、
前記ペデスタル体を実質的にゼロ剛性で支持する緩衝体を用いて、前記ペデスタル体を前記第2物体に接続する工程と、を含む方法。
【請求項35】
前記接続する工程は、正剛性の弾性メカニズムを用いて前記ペデスタル体を前記第2物体に接続する工程と、負剛性の弾性メカニズムを用いて前記ペデスタル体を前記第2物体に接続する工程と、を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記接続する工程は、(1)第1マウントを前記第1物体に接続する工程と、(2)第2マウントを前記第2物体に接続する工程と、(3)第1補材を用いて、前記第1マウントの動きが前記第2マウントに伝わるのを抑制する工程であり、前記第1補材は、前記第1マウントから枢動可能に張り出した第1ブーム材と前記第1マウントと前記第1ブーム材との間で接続された第1弾性材とを有し、(4)第2補材を用いて、前記第1マウントの動きが前記第2マウントに伝わるのを抑制する工程であり、前記第2弾性補材は、前記マウントの1つから枢動可能に張り出した第2ブーム材と前記マウントの1つと前記第2ブーム材との間で接続された第2弾性材とを有する、前記工程と、を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記接続する工程は、(1)第1マウントを前記第1物体に取り付ける工程と、(2)第1支持部を前記第2物体に取り付ける工程と、(3)第1軸に沿ってかつ第2軸に沿った動きを抑制しかつラコスト型システム及びガーデンゲート型構造を規定するメカニズムを用いて、前記第1マウントを前記第1支持部に取り付ける工程と、を有する、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記ペデスタル体は、第1ペデスタル及び第2ペデスタルを有し、前記緩衝体は、前記搭載ベースと前記第1ペデスタルとの間で接続された第1サスペンションと、前記搭載ベースと前記第2ペデスタルとの間で接続された第2サスペンションとを有し、前記方法は、ペデスタル同期システムを用いて、擾乱が所定の許容範囲を超えている間、前記第1ペデスタルを前記第2ペデスタルと実施的に一緒に移動させる工程を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
第1物体と第2物体との間の動きの伝達を抑制する弾性メカニズムであって、
前記第1物体に固定されるブームコネクタと、
前記ブームコネクタから枢動可能に張り出し、前記第2物体に接続されるブーム材と、
前記ブームコネクタに対して移動可能である移動マウントと、
前記移動マウントと前記ブームとの間で接続された第1ブーム弾性体と、を備える弾性メカニズム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22A】
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【図22B】
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【図22C】
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【図23】
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【図24】
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【図25A】
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【図25B】
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【図25C】
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【図26A】
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【図26B】
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【図26C】
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【図26D】
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【図26E】
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【図26F】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39A】
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【図39B】
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【図40A】
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【図40B】
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【図41A】
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【図41B】
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【公表番号】特表2012−502448(P2012−502448A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510599(P2011−510599)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際出願番号】PCT/JP2009/065785
【国際公開番号】WO2010/027100
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】