露光装置
【課題】高精度のパターンを形成しながら、スループット向上を実現する。
【解決手段】基板に直接描画パターンを形成することが可能な露光装置の投影光学系に画像分割光学系27を設ける。画像分割光学系27により、第一結像光学系によって形成されたパターン像MPを第1結像光学系の結像面FSにおいて3分割し、3つの分割パターン像を、主走査方向Xに関して互いに間隔を空けながら、副走査方向Yに沿って並ぶように形成する。
【解決手段】基板に直接描画パターンを形成することが可能な露光装置の投影光学系に画像分割光学系27を設ける。画像分割光学系27により、第一結像光学系によって形成されたパターン像MPを第1結像光学系の結像面FSにおいて3分割し、3つの分割パターン像を、主走査方向Xに関して互いに間隔を空けながら、副走査方向Yに沿って並ぶように形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DMD(Digital Micro-mirror Device)などによってパターンを直接描画するマスクレス露光装置に関し、特に、露光面にパターン像を投影する光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
DMDを備えたマスクレス露光装置では、光変調素子(セル)をマトリクス状に2次元配列させた光変調素子アレイを制御して露光動作を行い、パターンを基板の描画面へ直接形成する。具体的には、光源から放射された照明光がDMDに導かれると、投影対象となるエリアに形成すべきパターンに従い、DMDの各マイクロミラーがON/OFF制御される。DMD上で反射した光は投影光学系によって結像され、パターン像が露光面に形成される。
【0003】
露光装置においては、DMDにより反射したパターン光を分割し、副走査方向に沿って複数の分割パターン像を投影することが可能である。例えば、DMDで反射した光を2つのミラーによって分割し、2つのパターン像を互いに離れた位置に形成する(特許文献1参照)。
【0004】
そこでは、中間部のミラーを除いてDMDを2つの領域に分割し、互いに反対方向へ光を導く2つのミラーを交差するように隣り合わせに配置する。DMDの各分割領域のミラー群は、別々に用意されるデータ処理部が作成する露光データに基づいてON/OFF制御され、パターン像が別々に形成される。
【0005】
一方、3分割ミラーを配置して、3つのパターン像を副走査方向に並べて配置することも可能である(特許文献2参照)。3分割ミラーは、DMDを3等分して規定される分割エリアに従い、それぞれ配置角度の異なる3つの反射面を備えており、3つの分割像を副走査方向に隣接させながら投影する。
【0006】
分割された画像の境界ライン付近では、3分割ミラーの影響によって光量不足となる。特に、高精度のパターン像が要求される場合、その影響が顕著に現れる。そのため、投影光学系の境界付近のミラー群からの反射光が通過する部分に遮光膜を設ける、あるいは境界付近に配列されたミラー群をあらかじめ除外し、光量不足のないミラー群だけからの反射光によってパターン像を投影する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−087995号公報
【特許文献2】特開2007−304517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した投影光学系では、DMDのミラー群全体を有効に利用できず、分割されたパターン像の露光エリアサイズはその分制限される。一連の分割パターン像はそれぞれ異なる走査バンドに渡って投影されるため、露光エリアサイズの制限は描画処理スピードアップを制限する。特に、露光ピッチが露光エリア幅より短い多重露光の場合、その影響が大きい。
【0009】
したがって、画像の鮮明さを損なうことなくパターン像を分割し、分割パターン像をそれぞれ十分な解像度で露光面に形成することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の露光装置用露光ヘッドは、露光装置に1つ、あるいは複数個配置される露光デバイスであり、複数の光変調素子を2次元配列させた光変調素子アレイと、光変調素子アレイで反射した光を、被描画体の露光面に結像させる投影光学系とを備える。露光装置による描画処理では、露光ヘッドからの光による投影エリア(露光エリア)は、基板移動等により、基板に対して相対移動する。露光エリア位置に合わせたパターン光を生成するように露光動作処理、描画処理が行われる。
【0011】
本発明の投影光学系は、光変調素子アレイで反射した光を、結像面(以下では、第1結像面という)に結像させる第1光学系と、第1結像面に形成されるパターン像を、第1結像面において分割し、複数の部分的パターン像(以下、分割パターン像という)を形成する画像分割光学系と、形成された複数の分割パターン像の光を露光面に結像させる第2光学系を備える。例えば、第1結像面において2つ、あるいは3つに分割する。
【0012】
本発明では、第1光学系によって形成されたパターン像は、第1結像面上に規定される分割領域に従って分割される。パターン像の光は、第1結像面上において複数のパターン像に応じた光束に分けられることから、パターン像の光は、分割ライン(境界ライン)を含めて実質的にすべて合焦位置(パターン像のピントが合う位置)で分割される。その結果、画像輪郭付近での光量不足が生じない。
【0013】
第1結像面以外のところでパターン光は分割されず、第1結像面上においてパターン像全体が分割されるため、分割パターン像それぞれが境界ラインを含めて合焦画像(ピントの合った画像)とすることが可能となる。その結果、複数の光変調素子の中で分割ライン付近に該当する光変調素子群についても、光量不足がなく分割パターン像形成にそのまま使用できる。すなわち、光量不足を生じさせることなくパターン像を分割することができる。
【0014】
なお、第1光学系、第2光学系では、パターン像、複数の分割パターン像を拡大あるいは縮小させてもよい。
【0015】
スループット向上のためには、露光面上において、複数の分割パターン像を副走査方向に沿って配列させ、複数の走査バンドに沿って同時進行でパターン像を形成するのがよい。画像分割光学系は、第1結像面において副走査方向に沿った分割ラインを規定し、パターン像を分割するのがよい。ただし、露光エリアの基板など被描画体に対する相対移動方向を主走査方向とし、露光面に平行かつ主走査方向とほぼ直交する方向を副走査方向とする。
【0016】
例えば画像分割光学系は、複数の分割パターン像を、主走査方向に関して互いに距離間隔を設けるように配列することができる。あるいは、複数の分割パターン像を一列に揃えて並べることも可能である。
【0017】
画像分割光学系としては、例えば、第1結像面に対し傾斜する反射面を少なくとも1つ設けるように構成することが可能であり、反射面の1辺が、第1結像面に位置し、副走査方向に沿うように配置される。反射面は第1結像面と交差せず、接することになり、第1結像面に位置する反射面の1辺(縁)が分割ラインとして規定される。
【0018】
分割パターン像については、収差のないように平面の光学系によって形成するのがよい。例えば、画像分割光学系には、平行平面関係にある少なくとも1つの反射面対を設けるのが望ましい。
【0019】
複数の分割パターン像を副走査方向に沿って配列させる場合、画像分割光学系は、特定の分割パターン像について投影位置を移動(シフト)させればよい。第1結像面上で規定されたパターン像を主走査方向に沿って移動させる第1反射面対と、第1反射面対によって移動された分割パターン像の一部を副走査方向に沿って移動させる第2反射面対とを有する反射光学系を設けることができる。これにより、分割パターン像の投影位置は、回転せず、平行移動のみによって移動する。
【0020】
このような反射光学系を2つ備えた画像分割光学系を構成することにより、2つ、あるいは、3つの分割パターン像を規則的に配列させることが可能となる。例えば、3分割する場合、パターン像の中間部に当たる光を反射光学系に入射させず、両端部の光を反射光学系に入射させればよい。像の移動方向を互いに(正負)逆方向にすることで、複数の分割パターン像が、回転移動なく副走査方向に沿って配列させることができる。
【0021】
一方、画像分割光学系は、第1結像面において規定される分割パターン像の光を直角に反射させる第1反射光学系と、第1反射光学系によって反射された分割パターン像の光を更に直角に反射させる第2反射光学系を設けてもよい。この場合、第1結像面と露光面は直交する。
【0022】
分割されたパターン像については、分割されたパターン像の一部だけを移動させるように構成してもよく、あるいは、分割部分すべてを移動させることも可能である。分割部分の光がそれぞれ異なる光学系を通過する場合、画像分割光学系は、複数の分割パターン像をそれぞれ合焦画像として同一平面に形成する、すなわち光路長(光学的な距離)を等しくするように、パターン像を分割するのが望ましい。例えば、第1結像面から各分割パターン像の形成される露光面までの光路長を互いに等しくする光路長調整光学部材が設けられる。
【0023】
複数の分割パターン像の副走査方向に沿った投影エリア(露光エリア)の長さ(高さ)を大きく、一度の露光でより大きな領域にパターン像を形成するのが望ましい。この場合、画像分割光学系は、複数の分割パターン像を、副走査方向に沿って分割パターン像全体の露光エリア長さが拡大するように、副走査方向に沿って間隔を空けずに並べるのがよい。
【0024】
本発明の基板の製造方法は、プリント基板製造の回路パターン形成工程、ソルダーレジスト工程などに適用可能であり、感光材料を塗布もしくは貼り付けた基板に対し、パターンを形成する描画処理を実行し、描画処理された基板に対して現像処理を施す製造方法であって、上記露光装置を用いて描画処理を行う。回路パターン形成工程などにおいては、さらに、現像処理された基板に対してエッチングまたはメッキ処理を施し、エッチングまたはメッキ処理された基板に対して感光材料の剥離処理を行う。
【0025】
本発明の露光方法は、複数の光変調素子を2次元配列させた光変調素子アレイを用いて被描画体の露光を行う露光方法において、光変調素子アレイで反射したパターン像の光を、第1光学系を用いて第1結像面に結像させ、第1結像面に結像されるパターン像を、画像分割光学系を用いて、第1結像面上で分割して複数の分割パターン像を形成し、第2光学系を用いて、複数の分割パターン像の光を、被描画体の露光面に結像させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、高精度のパターンを形成しながら、スループット向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1の実施形態である露光装置を模式的に示した斜視図である。
【図2】露光ヘッドの内部構成を模式的に示した図である。
【図3】3つの分割パターン像に応じたDMDにおける分割領域を示した図である。
【図4】露光面に投影される3つの分割パターン像の位置を示した図である。
【図5】画像分割光学系の概略的斜視図である。
【図6】画像分割光学系の概略的分解斜視図である。
【図7】画像分割光学系の一部構成を示した図である。
【図8】描画装置に設けられた描画制御部のブロック図である。
【図9】バッファメモリの容量およびラスタデータ生成位置を示した図である。
【図10】分割パターン像の投影位置を示した図である。
【図11】ラスタデータ生成処理を示したフローチャートである。
【図12】露光データ生成処理、露光動作処理を示したフローチャートである。
【図13】第2の実施形態における画像分割光学系の概略的斜視図である。
【図14】第2の実施形態における分割パターン像の投影位置を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0029】
図1は、第1の実施形態である露光装置を模式的に示した斜視図である。
【0030】
露光装置10は、フォトレジストなどの感光材料を塗布した(あるいは貼り付けた)基板SWへパターン光を直接照射するマスクレス露光装置であって、ゲート状構造体12、基台14を備える。基台14には、描画テーブル18を支持するX−Yステージ駆動機構56が搭載され、描画テーブル18上に基板SWが設置される。
【0031】
ゲート状構造体12には光源20a、20bが備えられており、また、パターン形成用の露光ヘッド201、202が基板SWの上方に並んで配設されている。露光ヘッド201は、DMD(Digital Micro-mirror Device)、投影光学系(ここでは図示せず)を備え、光源20aから放射される光に基づいてパターン像を基板SWに投影する。露光ヘッド202も同様の構成であり、光源20bの光によってパターン像を投影する。
【0032】
矩形状の基板SWは、例えばプリント基板、ドライフィルム、ガラス基板などの電子回路用基板であり、プリベイク処理、感光剤慮の塗布/貼り付け処理等が施されたブランクスの状態で描画テーブル18に搭載される。基板SW(描画テーブル18)には、互いに直交するX−Y−Z座標系が規定されており、描画テーブル18はX、Y方向に沿って移動可能であり、さらに、Z軸周りに回転可能である。ここでは、X方向を主走査方向、Y方向を副走査方向と規定する。
【0033】
露光装置10は、露光動作を制御する描画制御部(ここでは図示せず)を備える。描画制御部には、ここで図示しないモニタ、キーボードなどが接続されており、オペレータの操作に従って描画処理に関するセッティングが行われる。突出部31に設けられたCCD19は、基板SWの変形状態を検出し、アライメントが調整された後に露光動作が行われる。
【0034】
図2は、露光ヘッド201の内部構成を模式的に示した図である。露光ヘッド202も同様の内部構成になっている。
【0035】
光源である超高圧水銀ランプ20aは、紫外光である照明光を放射し、照明光学系32へ導かれる。照明光学系32によって平行光に成形された光は、ミラー群(図示せず)を経てDMD22に導かれる。DMD22は、数μm〜数十μmの微小矩形状マイクロミラーをマトリクス状に2次元配列させた光変調デバイスであり、ここでは1024×768のマイクロミラーによって構成される。なお、光源20aは超高圧水銀ランプに限らず、LD、LEDなど他の光源を用いることも可能である。また、光源20bについても、光源20aと同様の構成となっている。
【0036】
DMD22では、メモリセルに格納される制御信号(露光データ)に基づいて、各マイクロミラーがそれぞれ選択的にON/OFF制御される。ON状態のマイクロミラーで反射した光は投影すべきパターンに応じた光束であり、ミラー(図示せず)を介して投影光学系24へ導かれる。
【0037】
投影光学系24は、パターン光を基板SWの露光面に結像させる光学系であり、第1結像光学系26、画像分割光学系27、第2結像光学系28を備える。第1結像光学系26は、DMD22からのパターンに応じた光を焦点位置にある結像面(第1結像面)に結像させるとともに、パターン像全体を所定倍率で拡大する。
【0038】
画像分割光学系27は、後述するように、第1結像光学系26の結像面に形成されるパターン像を、結像面上において3分割し、3つのパターン像(以下、分割パターン像という)を形成する。画像分割光学系27によって形成された3つの分割パターン像は、第2結像光学系28によって露光面に形成される。像形成に関して言えば、画像分割光学系27は第2結像光学系28に組み込まれた光学系とみなすことができ、第2結像光学系28の前側焦点位置にある結像面は第1結像光学系26の結像面(焦点位置)に一致し、また、後側焦点位置にある結像面は、基板SWの露光面と一致する。
【0039】
基板SWが主走査方向Xに沿って移動するのに伴い、DMD22による投影エリア(露光エリア)は基板SWに対して相対的に移動する。投影エリアの位置に応じたパターン光を照射するように露光動作が定められた露光ピッチに従って実行される。これにより、パターンが主走査方向に沿って形成されていく。
【0040】
他の露光ヘッド202も同様であり、ラスタ走査をしながら露光動作が行われ、基板全体にパターンが形成されていく。描画処理が終了すると、現像処理、エッチング又はメッキ、レジスト剥離処理などが施され、パターンの形成された基板が製造される。
【0041】
ここでは基板SWの移動方向を主走査方向に一致させているが、基板SWを主走査方向Xに対し微小傾斜した状態で描画テーブル18に配置してもよい。この場合、描画テーブル18が主走査方向Xに沿って移動するとき、露光エリアは基板SWの長手方向(X方向)に対し傾斜した状態で相対移動する。
【0042】
露光方式としては、ステップ&リピート方式あるいは連続移動方式による多重露光方式が適用可能である。ステップ&リピート方式では、描画テーブル18は間欠的にX方向に沿って移動し、それに合わせて各マイクロミラーがON/OFF制御される。一方、連続移動方式では、描画テーブル18が連続的に移動しながら露光ピッチに応じて各マイクロミラーがON/OFF制御される。ここでは、連続移動方式が適用されている。
【0043】
次に、図3、4を用いて、パターン像の分割および投影位置について説明する。
【0044】
図3は、3つの分割パターン像に応じたDMDにおける分割領域を示した図である。図4は、露光面に投影される3つの分割パターン像の位置を示した図である。
【0045】
図3に示すように、DMD22の反射面には、主走査方向に応じた横方向に関して3等分した部分領域DM1、DM2、DM3(以下、分割反射領域という)が規定されている。DMD22全体によるパターン像は、画像分割光学系27によって部分領域DM1、DM2、DM3ごとに異なる位置へ投影される。
【0046】
図4に示すように、画像分割光学系27によって生成される3つの分割パターン像MP1、MP2、MP3は、副走査方向Yに沿って配列し、それぞれ走査バンドSB1〜SB3に投影される。
【0047】
画像分割光学系27が設けられない場合、DMD22全体から成る投影エリア(露光エリア)は、走査バンドSB2に沿って相対移動するが(図4では符号TAで表す)、本実施形態では、DMD22の部分領域DM1、DM3に応じた投影エリアTA1、TA3(以下、部分投影エリアという)が、走査バンドSB2の上下に隣接する走査バンドSB1、SB3に沿ってそれぞれ相対移動し、中間部の部分投影エリアTA2だけが走査バンドSB2に沿って相対移動する。
【0048】
3つの部分投影エリアTA1、TA2、TA3は、一度に投影できるエリアであって、全体として3つの走査バンドSB1〜SB3に渡る露光幅Kをもち、同時にパターン形成可能となる。DMD22の部分領域DM1、DM2、DM3では、それぞれ走査バンドSB1、SB2、SB3に形成すべきパターン像の描画データに基づき、各マイクロミラーがON/OFF制御される。
【0049】
また、露光動作中の部分投影エリアTA1、TA2、TA3は、主走査方向に沿って互いに所定間隔Lだけ離れている。DMD22の部分領域DM1に応じた部分投影エリアTA1が先頭の投影位置に該当し、部分投影エリアTA2、TA3が所定時間遅れて同じX方向座標位置を通過していく。
【0050】
次に、図5〜7を用いて、画像分割光学系の構成について説明する。
【0051】
図5は、画像分割光学系の概略的斜視図である。図6は、画像分割光学系の概略的分解斜視図である。図7は、画像分割光学系の一部構成を示した図である。
【0052】
画像分割光学系27は、プリズムなどの光学部材から構成されており、一対の反射光学系によって構成される。ただし、図5、6では、一方の反射光学系27Aのみ図示している。
【0053】
画像分割光学系27は、露光面SWに平行な第1結像光学系26の結像面FSに形成されるパターン像MPを、結像面FS上において3分割する。反射光学系27Aは、DMD22の部分領域DM1に応じた分割パターン像MP1を形成し、投影する光学系であり、図示しない他方の反射光学系は、部分領域DM3に応じた分割パターン像MP3を形成する。
【0054】
反射光学系27Aは、2つのプリズム42、44と、光路長調整光学部材46から構成される。プリズム42は、互いに平行平面関係にある一対の反射面42R1、42R2を有し、また、プリズム44も、互いに平行平面関係にある一対の反射面44R1、44R2を有する(図5、6参照)。
【0055】
反射光学系27Aの光入射面となるプリズム表面42Sは、第1結像光学系26の結像面FSに位置し、DMD22の部分領域DM1(図4参照)からの反射光によって形成される画像部分MP01の光、すなわち分割パターン像の光がプリズム42に入射する。他方の反射光学系には、部分領域DM3からの反射光によって形成される画像部分MP03の光が入射する。部分領域DM2に応じた画像部分MP02の光は、どちらの反射光学系にも入射せずそのまま直進する。
【0056】
図7に示すように、プリズム42に設けられた反射面42R1は、第1結像光学系26の結像面FSに対して交差せず、接している。具体的には、その一辺42REがプリズム表面42Sに位置し、プリズム表面42Sに対し傾斜している。また、反射面42R1の辺42REは、副走査方向に応じた方向に沿って延び、DMD22に規定された分割領域DM1〜DM3の境界ライン方向に対応している。
【0057】
反射面42R1は、パターン像MPの画像部分MP01における境界ライン全体を結像面FSに規定する。他の反射光学系においても同様に反射面が配置構成されており、パターン像MPの画像部分MP03を規定する境界ライン全体が反射面の一辺に対応し、結像面FS上に位置する。
【0058】
このようにパターン像MPは、結像面FSに位置する反射面の辺(境界ライン)に従い、結像面FS上で3つの画像部分MP01〜MP03に分割され、それぞれ分割パターン像として規定される。画像部分MP01を形成する反射光は、反射光学系27Aに入射すると、プリズム42の反射面42R1で反射する。
【0059】
上述したように、プリズム42の一対の反射面42R1、42R2は、平行平面関係にあり、入射光が反射面42R1、反射面42R2によって順に反射することにより、画像部分MP01の投影位置は、主走査方向Xに沿って移動(シフト)する。反射面42R2において反射した光は、プリズム44に入射する。
【0060】
ブロック44A、44Bから成るプリズム44に入射した光は、平行平面関係にある一対の反射面44R1、44R2によって順次反射する。これにより、主走査方向Xに沿って移動された画像部分MP01の投影位置が、さらに副走査方向Yに沿って移動する。
【0061】
他方の反射光学系も反射光学系27Aと同一形状の光学系で構成されており、同様に2つのプリズムを備え、各プリズムには平行平面関係にある1対の反射面が設けられている。ただし、他方の反射光学系は反射光学系27Aと対向するように回転して配置されている。そのため、反射光学系27Aでは、画像部分MP01の投影位置を、主走査方向Xに関してプラス方向、副走査方向Yに関してマイナス方向に移動させるに対し、他方の反射光学系では、画像部分MP03の投影位置を、主走査方向Xに関してマイナス方向、副走査方向Yに関してプラス方向に移動させる。
【0062】
反射光学系27Aのプリズム44から出射した光は、光路長調整光学部材46に入射する。光路長調整光学部材46は、2つの反射光学系いずれにも入射しない画像部分MP02の光に対する露光面SWまでの光路長と、反射光学系27Aに入射する画像部分MP01の光の光路長を一致させるように、所定のサイズ、屈折率を有する。
【0063】
そして、他方の反射光学系にも、同じように光路長調整光学部材が設けられている。これにより、第1結像面FSにおいて分割規定された3つの分割パターン像MP1、MP2、MP3は、第2結像光学系28により露光面SWに合焦画像(ピントの合った画像)として形成される。
【0064】
なお、画像部分MP01と画像部分MP03の光に対しそれぞれ光路長の調整を行う代わりに、画像部分MP02の光にのみ光路長の調整を行ってもよい。また、光路長調整光学部材は、所定のサイズ、屈折率を有する透明体を用いる代わりに、複数の反射面を組み合わせて光路長を調整する反射光学系を用いても良いし、リレーレンズなどの屈折光学系、あるいはそれらの組み合わせを用いても良い。
【0065】
図8は、描画装置に設けられた描画制御部のブロック図である。
【0066】
描画制御部50は、外部のワークステーション(図示せず)と接続され、モニタ50B、キーボード50Cが接続される露光制御部52を備える。露光制御部52は、露光動作処理を制御し、露光データ生成部76、タイミングコントロール回路73、描画テーブル制御回路53、光源制御部61などの回路へ制御信号を出力する。露光動作処理を制御するプログラムは、露光制御部52内のROM(図示せず)に格納されている。
【0067】
ワークステーション(図示せず)から露光制御部52に入力されるパターンデータは、描画パターンの位置情報(輪郭位置情報)をもつベクタデータ(CAD/CAMデータ)であり、X−Y座標系に基づいた位置座標データとして表される。
【0068】
第1、第2、第3ラスタデータ生成部72A、72B、72Cは、ベクタデータを変換し、それぞれ、走査バンドSB1、SB2、SB3に描画すべきパターンのラスタデータを順次生成する。生成されたラスタデータは、それぞれ第1、第2、第3バッファメモリ74A、74B、74Cに一時的に格納される。
【0069】
各バッファメモリに一時的に格納されるラスタデータは、露光ピッチにあわせて出力される。すなわち、露光ピッチ分だけ部分投影エリアが移動して次の露光動作を実行可能となったとき、ラスタデータ出力が行なわれる。第1、第2、第3ラスタデータ生成部72A、72B、72Cにおけるラスタデータの出力制御は、露光制御部52に設けられたアドレス制御回路(図示せず)から出力される制御信号に基づいて行われる。
【0070】
ラスタデータが露光データ生成部76へ送られると、露光データ生成部76では、部分投影エリアTA1、TA2、TA3の位置に応じたラスタデータが統合し、DMD22の各マイクロミラーをON/OFF制御する信号が、DMD22全体に対する1つの露光データとして生成される。DMD22では、露光データ生成部76から出力される露光データに基づき、マイクロミラーがON/OFF制御される。
【0071】
タイミングコントロール回路73は、バッファメモリ74A、74B、74C、露光データ生成部76等に対し、タイミング調整のためクロックパルス信号を同期信号として出力する。また、CCDセンサ19から出力される画像信号に基づき、画像処理部62は基板SWに形成されたアライメントマークの位置を検出する。
【0072】
描画テーブル制御回路53は、駆動回路54を介してモータ(図示せず)を備えたX−Yステージ駆動機構56を制御し、これによって描画テーブル18の移動速度、基板送り方向等が制御される。位置検出センサ55は、描画テーブル18の位置、すなわち部分投影エリアTA1、TA2、TA3の描画テーブル18に対する相対的位置を検出する。
【0073】
露光ヘッド202に対しても、同様にラスタデータ変換処理、DMD駆動処理等に関する回路(図示せず)が設けられており、同様の露光動作処理が行われる。
【0074】
次に、図9、10を用いて、バッファメモリの構造と、ラスタデータ生成処理および露光データ生成処理について説明する。
【0075】
図9は、バッファメモリの容量およびラスタデータ生成位置を示した図である。図10は、露光面上の分割パターン像の投影位置を示した図である。
【0076】
ラスタデータの生成処理と、DMD22を駆動制御する露光データ生成処理は、別々かつ非同期で行なわれている。本実施形態では、ラスタデータ生成処理において、主走査方向Xに沿って共通の基準位置X0に従い、ラスタデータを生成する。露光制御部52は、ラスタデータ生成部72A、72B、72Cに対し、共通の同期信号でラスタデータ出力タイミングを調整する。
【0077】
一方で、バッファメモリ74A、74B、74Cを設けることにより、露光データ生成部76に入力されるラスタデータのタイミングが、部分投影エリアTA1、TA2、TA3の実際の位置に合わせて調整される。
【0078】
バッファメモリ74A、74B、74Cは、シフトレジスタによって構成されるFIFO型、同期型メモリであり、メモリ容量は、それぞれ部分投影エリアの位置に従って異なる。DMD22の部分領域DM1に応じたバッファメモリ74Aのメモリ容量(サイズ)が最も少なく、部分投影エリアTA2、TA3のメモリ容量が相対的に大きい。
【0079】
各バッファメモリはシフトレジスタで構成されることから、メモリ容量が多いほど、入力した露光データの出力タイミングが遅くなる。その結果、部分領域DM2、DM3に対するラスタデータは、部分領域DM1のラスタデータよりもタイミングが遅れて露光データ生成部76へ出力される。第2バッファメモリ74B、第3バッファメモリ74Cのメモリ容量は、部分投影エリアTA1に対する部分投影エリアTA2、TA3の距離間隔L、2Lに合わせた容量に定められている。
【0080】
部分投影エリアTA1の位置が基準位置X0として定められており、対応するバッファメモリ74Aのメモリサイズは、例えば部分領域DM1のサイズに相当する容量に設定できる。一方、部分投影エリアTA2は主走査方向Xに沿って部分投影エリアTA1よりも距離間隔Lだけ後方に位置するため、その距離間隔L分だけメモリ容量が大きい。さらに、部分投影エリアTA2は、距離間隔2L分だけメモリ容量が大きい。
【0081】
バッファメモリ74Aとバッファメモリ74Bのメモリ容量の差は、以下の式によって表すことができる。ただし、部分投影エリアTA2のX座標をX1、露光ピッチをPP、そして、MA、MBは、それぞれ第1バッファメモリ74A、第2バッファメモリ74Bのメモリ容量を示す。また、[・・]は整数部分の値を表す。
[(X0−X1)/PP]=MB−MA ・・・・(1)
【0082】
同様に、バッファメモリ74Aとバッファメモリ74Cのメモリ容量の差は、以下の式によって表すことができる。ただし、MCはバッファメモリ74Cのメモリ容量を表す。
[(X0−X2)/PP]=MC−MA ・・・・(2)
【0083】
したがって、(1)、(2)式に基づき、データ処理上で座標単位となる露光ピッチPP、第1バッファメモリ74のメモリ容量が定められると、部分投影エリアTA1、TA2、TA3の相互の距離間隔に基づき、第2、第3バッファメモリ74B、74Cのメモリ容量を定めることができる。その結果、バッファメモリ74A、74B、74Cから出力されるラスタデータは、実際の部分投影エリアTA1、TA2、TA3の位置に対応するデータとなる。
【0084】
なお、[(X0−X1)/PP]、[(X0−X2)/PP]の小数値については、あらかじめオフセット値として設定され、露光位置に加算されている。
【0085】
図11は、ラスタデータ生成処理を示したフローチャートである。
【0086】
最初の露光位置が設定されて描画処理が開始されると、走査バンドSB1〜SB3に対するラスタデータが生成される。生成される3つのラスタデータは、走査バンドSB1を相対移動する部分投影エリアTA1の基準位置X0に合わせて順次生成される(S101、S102)。
【0087】
第1〜第3バッファメモリ74A〜74Cにデータ書き込み可能な空き容量がある場合、生成された3つのラスタデータを第1〜第3バッファメモリ74A〜74Cに送信する(S103、S104)。ラスタデータが送信されると、次の新たなラスタデータが生成される。描画が終了するまで、ラスタデータの生成処理が繰り返し実行される(S105)。
【0088】
図12は、露光データ生成処理、露光動作処理を示したフローチャートである。
【0089】
最初の露光位置が設定されて描画処理が開始されると、描画ステージ18が所定速度で移動するように制御される(S201、S202)。露光位置に到達すると、対応するラスタデータが、第1〜第3バッファメモリ74A〜74Cから読み出され、露光データ生成部76へ送られる。これにより、DMD22全体に対する1つの露光データが生成される(S203、S204)。
【0090】
露光動作処理は、露光データに基づいて各マイクロミラーがON/OFF制御されることによって実行される。ここでは多重露光方式が適用されているため、露光ピッチは部分投影エリア幅より短い。露光時間は、露光ピッチよりも短い時間に定められている。
【0091】
描画テーブル18は連続的に移動しており、露光ピッチPP分の距離だけ描画テーブル18がさらに移動すると、新たな露光位置に応じたラスタデータが、第1〜第3バッファメモリ74A〜74Cから読み出される。描画が終了するまで、露光データ生成処理および露光動作処理が繰り返し行われる。
【0092】
このように本実施形態によれば、画像分割光学系27により、パターン像MPが第1結像光学系26の結像面FSにおいて3分割される。そして、第1結像光学系の結像面FSに規定された分割パターン像の光を露光面SWに結像させる過程において、中間部の画像部分MP02以外の両側の画像部分MP01、MP03が、画像分割光学系27により、主走査方向、そして副走査方向へ順に移動する。これにより、3つの分割パターン像MP1、MP2、MP3が、主走査方向Xに関して互いに間隔を空けながら、副走査方向Yに沿って並んで形成される。
【0093】
パターン像MPの分割ライン(境界ライン)は、アパーチャーの枠部分に相当し、光量不足になると分割画像周辺の不鮮明になる。反射光学系27Aの反射面42R1が結像面FSに交差せず、一辺42REが結像面FS上に位置することにより、パターン像MPの分割ライン全体が合焦位置(パターン像のピントが合う位置)にある。そのため、光量不足になることなく、各分割パターン像とも全体的に鮮明な合焦画像として形成することができる。
【0094】
さらに、本実施形態では、ラスタデータ生成部72A、72B、72Cにおいて共通する基準位置に基づくラスタデータが生成された後、ラスタデータが一時的にバッファメモリ74A、74B、74Cに格納される。シフトレジスタで構成されるバッファメモリ74A、74B、74Cは、部分投影エリアTA1、TA2、TA3の相互距離間隔に応じてそれぞれメモリ容量が相違し、ラスタデータの入力から出力するまでにかかる時間が相違することによって、分割パターン像の投影位置が結果的に等距離間隔で互いに離れた位置になる。
【0095】
ラスタデータ生成、露光データ生成を含めた一連のデータ処理では、ラスタデータ生成処理と露光データ生成処理が非同期で独立している構成を採用し、ラスタデータ生成処理がタクトタイムに影響しないように構成されている。そして、ラスタデータの生成、読み出しは共通の基準位置に合わせて実行し、バッファメモリ74A、74B、74Cからの出力タイミングを別々に調整することにより、実際の部分投影エリアTA1、TA2、TA3の位置に応じたラスタデータが統合され、DMD22全体に対する1つの露光データが生成される。
【0096】
ラスタデータ生成処理においては、部分投影エリアTA1、TA2、TA3の主走査方向Xに沿った位置の相違に関係なく共通の基準位置に基づいてラスタデータ生成処理を行なうことができるため、主走査方向Xに関する描画開始位置、終了位置付近で余分なデータ処理をする必要がなくなる。
【0097】
また、共通の基準位置に基づいてラスタデータ生成処理を行なうため、部分投影エリアごとに読み出しアドレス演算する必要がなく、1つのアドレス制御回路によるアドレス制御によって複数のラスタデータ生成処理、読み出し処理を行うことができる。
【0098】
さらに、露光データの入力(統合)タイミングはバッファメモリの容量サイズによって調整されるため、1つの部分投影エリアだけを必要な位置情報として検出すれば、他の部分投影エリアの位置情報については特に検出する必要がなく、自動的に部分投影エリアの位置にあわせたパターン像が投影される。
【0099】
また、シフトレジスタで構成されるバッファメモリの容量サイズを調整することによってラスタデータの出力タイミング調整を行なうことにより、バッファメモリ容量を必要最低限の容量に抑えることができる。
【0100】
画像分割に関しては、パターン像を2つに分割してもよい。この場合、パターン像を2等分されてそれぞれ上述した反射光学系により移動させてよく、あるいは、一方の分割部分だけを反射光学系によって移動させるように構成してもよい。
【0101】
分割パターン像MP1、MP2、MP3については、副走査方向に沿って互いにオーバラップするように副走査方向に沿って配列させることも可能であり、あるいは、副走査方向に沿って互いに間隔が設けられるように投影位置を移動させることも可能である。
【0102】
副走査方向に沿った複数の部分画像の配列については、反射光学系以外の光学系を用いて特定の画像部分を移動させるようにすることも可能である。また、移動させる画像部分および移動方向については、上述した構成以外でも可能であり、例えば、パターン像の一方の端部側にある画像部分を移動させず、中間部、他方の端部の画像部分を移動させるように構成してもよい。
【0103】
バッファメモリについては、入力タイミングと出力タイミングを非同期にするFIFO型バッファメモリを代わりに使用することにより、複数のラスタデータの出力タイミングをそれぞれ調整することも可能である。
【0104】
次に、図13、14を用いて第2の実施形態である露光装置について説明する。第2の実施形態では、パターン像を90度回転して露光面に投影する画像分割光学系が用いられ、分割パターン像が副走査方向に沿って一列に並ぶ。それ以外の構成については、第1の実施形態とほぼ同じである。
【0105】
図13は、第2の実施形態における画像分割光学系の概略的斜視図である。図14は、第2の実施形態における分割パターン像の投影位置を示した図である。
【0106】
画像分割光学系127は、プリズム142と、プリズム142に対して対称的に配置される一対のプリズム144、146を備える。DMDからのパターン光は、第1の実施形態と異なり、露光面に平行な方向に沿ってプリズム142に入射する。
【0107】
三角柱状のプリズム142の1辺は、ここでは図示しない第1結像光学系の結像面上に位置し、副走査方向に沿っている。これにより、パターン像MPが結像面上において2分割される。ただし、第1結像光学系の結像面は、露光面に直交する。
【0108】
分割パターン像となる画像部分MP01、MP02の光は、プリズム142の表面に形成された反射面によって互いに逆方向に導かれる。このとき、反射面は、入射した光を直角に反射させる。さらに、プリズム142からの光は、プリズム144、146の表面にそれぞれ形成された反射面に反射することにより、画像部分MP01、MP02の光は、直角に反射し、これによって分割パターン像MP1、MP2が露光面に形成される。
【0109】
図14に示すように、分割パターン像MP1、MP2は、主走査方向Xに関して同じ位置に投影される。また、分割パターン像MP1、MP2は、副走査方向Yに沿って互いに離れた位置に投影される。なお、第2の実施形態では、バッファメモリによるラスタデータの出力タイミング調整は行われず、また、光路長補正用光学部材も配置されない。
【0110】
なお、画像分割光学系を特徴とした露光装置を考慮すれば、上述したような、ラスタデータ生成処理と露光データ生成処理の間にバッファメモリを設けてタイミング調整する構成だけでなく、ラスタデータ生成処理、露光データ生成処理を一体的な処理とし、ラスタデータの生成、出力タイミングを走査バンドごとに異なるタイミングに設定してもよい。
【符号の説明】
【0111】
10 描画装置(露光装置)
22 DMD(光変調素子アレイ)
24 投影光学系
26 第1結像光学系(第1光学系)
27 画像分割光学系
27A 反射光学系
28 第2結像光学系(第2光学系)
42R1、42R2 反射面
42RE 辺
44R1、44R2 反射面
50 描画制御部
72A、72B、72C ラスタデータ生成部
74A、74B、74C バッファメモリ
76 露光データ生成部
TA1、TA2、TA3 部分投影エリア
SW 基板、露光面
FS 結像面
MP パターン像
MP1、MP2、MP3 分割パターン像
【技術分野】
【0001】
本発明は、DMD(Digital Micro-mirror Device)などによってパターンを直接描画するマスクレス露光装置に関し、特に、露光面にパターン像を投影する光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
DMDを備えたマスクレス露光装置では、光変調素子(セル)をマトリクス状に2次元配列させた光変調素子アレイを制御して露光動作を行い、パターンを基板の描画面へ直接形成する。具体的には、光源から放射された照明光がDMDに導かれると、投影対象となるエリアに形成すべきパターンに従い、DMDの各マイクロミラーがON/OFF制御される。DMD上で反射した光は投影光学系によって結像され、パターン像が露光面に形成される。
【0003】
露光装置においては、DMDにより反射したパターン光を分割し、副走査方向に沿って複数の分割パターン像を投影することが可能である。例えば、DMDで反射した光を2つのミラーによって分割し、2つのパターン像を互いに離れた位置に形成する(特許文献1参照)。
【0004】
そこでは、中間部のミラーを除いてDMDを2つの領域に分割し、互いに反対方向へ光を導く2つのミラーを交差するように隣り合わせに配置する。DMDの各分割領域のミラー群は、別々に用意されるデータ処理部が作成する露光データに基づいてON/OFF制御され、パターン像が別々に形成される。
【0005】
一方、3分割ミラーを配置して、3つのパターン像を副走査方向に並べて配置することも可能である(特許文献2参照)。3分割ミラーは、DMDを3等分して規定される分割エリアに従い、それぞれ配置角度の異なる3つの反射面を備えており、3つの分割像を副走査方向に隣接させながら投影する。
【0006】
分割された画像の境界ライン付近では、3分割ミラーの影響によって光量不足となる。特に、高精度のパターン像が要求される場合、その影響が顕著に現れる。そのため、投影光学系の境界付近のミラー群からの反射光が通過する部分に遮光膜を設ける、あるいは境界付近に配列されたミラー群をあらかじめ除外し、光量不足のないミラー群だけからの反射光によってパターン像を投影する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−087995号公報
【特許文献2】特開2007−304517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した投影光学系では、DMDのミラー群全体を有効に利用できず、分割されたパターン像の露光エリアサイズはその分制限される。一連の分割パターン像はそれぞれ異なる走査バンドに渡って投影されるため、露光エリアサイズの制限は描画処理スピードアップを制限する。特に、露光ピッチが露光エリア幅より短い多重露光の場合、その影響が大きい。
【0009】
したがって、画像の鮮明さを損なうことなくパターン像を分割し、分割パターン像をそれぞれ十分な解像度で露光面に形成することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の露光装置用露光ヘッドは、露光装置に1つ、あるいは複数個配置される露光デバイスであり、複数の光変調素子を2次元配列させた光変調素子アレイと、光変調素子アレイで反射した光を、被描画体の露光面に結像させる投影光学系とを備える。露光装置による描画処理では、露光ヘッドからの光による投影エリア(露光エリア)は、基板移動等により、基板に対して相対移動する。露光エリア位置に合わせたパターン光を生成するように露光動作処理、描画処理が行われる。
【0011】
本発明の投影光学系は、光変調素子アレイで反射した光を、結像面(以下では、第1結像面という)に結像させる第1光学系と、第1結像面に形成されるパターン像を、第1結像面において分割し、複数の部分的パターン像(以下、分割パターン像という)を形成する画像分割光学系と、形成された複数の分割パターン像の光を露光面に結像させる第2光学系を備える。例えば、第1結像面において2つ、あるいは3つに分割する。
【0012】
本発明では、第1光学系によって形成されたパターン像は、第1結像面上に規定される分割領域に従って分割される。パターン像の光は、第1結像面上において複数のパターン像に応じた光束に分けられることから、パターン像の光は、分割ライン(境界ライン)を含めて実質的にすべて合焦位置(パターン像のピントが合う位置)で分割される。その結果、画像輪郭付近での光量不足が生じない。
【0013】
第1結像面以外のところでパターン光は分割されず、第1結像面上においてパターン像全体が分割されるため、分割パターン像それぞれが境界ラインを含めて合焦画像(ピントの合った画像)とすることが可能となる。その結果、複数の光変調素子の中で分割ライン付近に該当する光変調素子群についても、光量不足がなく分割パターン像形成にそのまま使用できる。すなわち、光量不足を生じさせることなくパターン像を分割することができる。
【0014】
なお、第1光学系、第2光学系では、パターン像、複数の分割パターン像を拡大あるいは縮小させてもよい。
【0015】
スループット向上のためには、露光面上において、複数の分割パターン像を副走査方向に沿って配列させ、複数の走査バンドに沿って同時進行でパターン像を形成するのがよい。画像分割光学系は、第1結像面において副走査方向に沿った分割ラインを規定し、パターン像を分割するのがよい。ただし、露光エリアの基板など被描画体に対する相対移動方向を主走査方向とし、露光面に平行かつ主走査方向とほぼ直交する方向を副走査方向とする。
【0016】
例えば画像分割光学系は、複数の分割パターン像を、主走査方向に関して互いに距離間隔を設けるように配列することができる。あるいは、複数の分割パターン像を一列に揃えて並べることも可能である。
【0017】
画像分割光学系としては、例えば、第1結像面に対し傾斜する反射面を少なくとも1つ設けるように構成することが可能であり、反射面の1辺が、第1結像面に位置し、副走査方向に沿うように配置される。反射面は第1結像面と交差せず、接することになり、第1結像面に位置する反射面の1辺(縁)が分割ラインとして規定される。
【0018】
分割パターン像については、収差のないように平面の光学系によって形成するのがよい。例えば、画像分割光学系には、平行平面関係にある少なくとも1つの反射面対を設けるのが望ましい。
【0019】
複数の分割パターン像を副走査方向に沿って配列させる場合、画像分割光学系は、特定の分割パターン像について投影位置を移動(シフト)させればよい。第1結像面上で規定されたパターン像を主走査方向に沿って移動させる第1反射面対と、第1反射面対によって移動された分割パターン像の一部を副走査方向に沿って移動させる第2反射面対とを有する反射光学系を設けることができる。これにより、分割パターン像の投影位置は、回転せず、平行移動のみによって移動する。
【0020】
このような反射光学系を2つ備えた画像分割光学系を構成することにより、2つ、あるいは、3つの分割パターン像を規則的に配列させることが可能となる。例えば、3分割する場合、パターン像の中間部に当たる光を反射光学系に入射させず、両端部の光を反射光学系に入射させればよい。像の移動方向を互いに(正負)逆方向にすることで、複数の分割パターン像が、回転移動なく副走査方向に沿って配列させることができる。
【0021】
一方、画像分割光学系は、第1結像面において規定される分割パターン像の光を直角に反射させる第1反射光学系と、第1反射光学系によって反射された分割パターン像の光を更に直角に反射させる第2反射光学系を設けてもよい。この場合、第1結像面と露光面は直交する。
【0022】
分割されたパターン像については、分割されたパターン像の一部だけを移動させるように構成してもよく、あるいは、分割部分すべてを移動させることも可能である。分割部分の光がそれぞれ異なる光学系を通過する場合、画像分割光学系は、複数の分割パターン像をそれぞれ合焦画像として同一平面に形成する、すなわち光路長(光学的な距離)を等しくするように、パターン像を分割するのが望ましい。例えば、第1結像面から各分割パターン像の形成される露光面までの光路長を互いに等しくする光路長調整光学部材が設けられる。
【0023】
複数の分割パターン像の副走査方向に沿った投影エリア(露光エリア)の長さ(高さ)を大きく、一度の露光でより大きな領域にパターン像を形成するのが望ましい。この場合、画像分割光学系は、複数の分割パターン像を、副走査方向に沿って分割パターン像全体の露光エリア長さが拡大するように、副走査方向に沿って間隔を空けずに並べるのがよい。
【0024】
本発明の基板の製造方法は、プリント基板製造の回路パターン形成工程、ソルダーレジスト工程などに適用可能であり、感光材料を塗布もしくは貼り付けた基板に対し、パターンを形成する描画処理を実行し、描画処理された基板に対して現像処理を施す製造方法であって、上記露光装置を用いて描画処理を行う。回路パターン形成工程などにおいては、さらに、現像処理された基板に対してエッチングまたはメッキ処理を施し、エッチングまたはメッキ処理された基板に対して感光材料の剥離処理を行う。
【0025】
本発明の露光方法は、複数の光変調素子を2次元配列させた光変調素子アレイを用いて被描画体の露光を行う露光方法において、光変調素子アレイで反射したパターン像の光を、第1光学系を用いて第1結像面に結像させ、第1結像面に結像されるパターン像を、画像分割光学系を用いて、第1結像面上で分割して複数の分割パターン像を形成し、第2光学系を用いて、複数の分割パターン像の光を、被描画体の露光面に結像させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、高精度のパターンを形成しながら、スループット向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1の実施形態である露光装置を模式的に示した斜視図である。
【図2】露光ヘッドの内部構成を模式的に示した図である。
【図3】3つの分割パターン像に応じたDMDにおける分割領域を示した図である。
【図4】露光面に投影される3つの分割パターン像の位置を示した図である。
【図5】画像分割光学系の概略的斜視図である。
【図6】画像分割光学系の概略的分解斜視図である。
【図7】画像分割光学系の一部構成を示した図である。
【図8】描画装置に設けられた描画制御部のブロック図である。
【図9】バッファメモリの容量およびラスタデータ生成位置を示した図である。
【図10】分割パターン像の投影位置を示した図である。
【図11】ラスタデータ生成処理を示したフローチャートである。
【図12】露光データ生成処理、露光動作処理を示したフローチャートである。
【図13】第2の実施形態における画像分割光学系の概略的斜視図である。
【図14】第2の実施形態における分割パターン像の投影位置を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0029】
図1は、第1の実施形態である露光装置を模式的に示した斜視図である。
【0030】
露光装置10は、フォトレジストなどの感光材料を塗布した(あるいは貼り付けた)基板SWへパターン光を直接照射するマスクレス露光装置であって、ゲート状構造体12、基台14を備える。基台14には、描画テーブル18を支持するX−Yステージ駆動機構56が搭載され、描画テーブル18上に基板SWが設置される。
【0031】
ゲート状構造体12には光源20a、20bが備えられており、また、パターン形成用の露光ヘッド201、202が基板SWの上方に並んで配設されている。露光ヘッド201は、DMD(Digital Micro-mirror Device)、投影光学系(ここでは図示せず)を備え、光源20aから放射される光に基づいてパターン像を基板SWに投影する。露光ヘッド202も同様の構成であり、光源20bの光によってパターン像を投影する。
【0032】
矩形状の基板SWは、例えばプリント基板、ドライフィルム、ガラス基板などの電子回路用基板であり、プリベイク処理、感光剤慮の塗布/貼り付け処理等が施されたブランクスの状態で描画テーブル18に搭載される。基板SW(描画テーブル18)には、互いに直交するX−Y−Z座標系が規定されており、描画テーブル18はX、Y方向に沿って移動可能であり、さらに、Z軸周りに回転可能である。ここでは、X方向を主走査方向、Y方向を副走査方向と規定する。
【0033】
露光装置10は、露光動作を制御する描画制御部(ここでは図示せず)を備える。描画制御部には、ここで図示しないモニタ、キーボードなどが接続されており、オペレータの操作に従って描画処理に関するセッティングが行われる。突出部31に設けられたCCD19は、基板SWの変形状態を検出し、アライメントが調整された後に露光動作が行われる。
【0034】
図2は、露光ヘッド201の内部構成を模式的に示した図である。露光ヘッド202も同様の内部構成になっている。
【0035】
光源である超高圧水銀ランプ20aは、紫外光である照明光を放射し、照明光学系32へ導かれる。照明光学系32によって平行光に成形された光は、ミラー群(図示せず)を経てDMD22に導かれる。DMD22は、数μm〜数十μmの微小矩形状マイクロミラーをマトリクス状に2次元配列させた光変調デバイスであり、ここでは1024×768のマイクロミラーによって構成される。なお、光源20aは超高圧水銀ランプに限らず、LD、LEDなど他の光源を用いることも可能である。また、光源20bについても、光源20aと同様の構成となっている。
【0036】
DMD22では、メモリセルに格納される制御信号(露光データ)に基づいて、各マイクロミラーがそれぞれ選択的にON/OFF制御される。ON状態のマイクロミラーで反射した光は投影すべきパターンに応じた光束であり、ミラー(図示せず)を介して投影光学系24へ導かれる。
【0037】
投影光学系24は、パターン光を基板SWの露光面に結像させる光学系であり、第1結像光学系26、画像分割光学系27、第2結像光学系28を備える。第1結像光学系26は、DMD22からのパターンに応じた光を焦点位置にある結像面(第1結像面)に結像させるとともに、パターン像全体を所定倍率で拡大する。
【0038】
画像分割光学系27は、後述するように、第1結像光学系26の結像面に形成されるパターン像を、結像面上において3分割し、3つのパターン像(以下、分割パターン像という)を形成する。画像分割光学系27によって形成された3つの分割パターン像は、第2結像光学系28によって露光面に形成される。像形成に関して言えば、画像分割光学系27は第2結像光学系28に組み込まれた光学系とみなすことができ、第2結像光学系28の前側焦点位置にある結像面は第1結像光学系26の結像面(焦点位置)に一致し、また、後側焦点位置にある結像面は、基板SWの露光面と一致する。
【0039】
基板SWが主走査方向Xに沿って移動するのに伴い、DMD22による投影エリア(露光エリア)は基板SWに対して相対的に移動する。投影エリアの位置に応じたパターン光を照射するように露光動作が定められた露光ピッチに従って実行される。これにより、パターンが主走査方向に沿って形成されていく。
【0040】
他の露光ヘッド202も同様であり、ラスタ走査をしながら露光動作が行われ、基板全体にパターンが形成されていく。描画処理が終了すると、現像処理、エッチング又はメッキ、レジスト剥離処理などが施され、パターンの形成された基板が製造される。
【0041】
ここでは基板SWの移動方向を主走査方向に一致させているが、基板SWを主走査方向Xに対し微小傾斜した状態で描画テーブル18に配置してもよい。この場合、描画テーブル18が主走査方向Xに沿って移動するとき、露光エリアは基板SWの長手方向(X方向)に対し傾斜した状態で相対移動する。
【0042】
露光方式としては、ステップ&リピート方式あるいは連続移動方式による多重露光方式が適用可能である。ステップ&リピート方式では、描画テーブル18は間欠的にX方向に沿って移動し、それに合わせて各マイクロミラーがON/OFF制御される。一方、連続移動方式では、描画テーブル18が連続的に移動しながら露光ピッチに応じて各マイクロミラーがON/OFF制御される。ここでは、連続移動方式が適用されている。
【0043】
次に、図3、4を用いて、パターン像の分割および投影位置について説明する。
【0044】
図3は、3つの分割パターン像に応じたDMDにおける分割領域を示した図である。図4は、露光面に投影される3つの分割パターン像の位置を示した図である。
【0045】
図3に示すように、DMD22の反射面には、主走査方向に応じた横方向に関して3等分した部分領域DM1、DM2、DM3(以下、分割反射領域という)が規定されている。DMD22全体によるパターン像は、画像分割光学系27によって部分領域DM1、DM2、DM3ごとに異なる位置へ投影される。
【0046】
図4に示すように、画像分割光学系27によって生成される3つの分割パターン像MP1、MP2、MP3は、副走査方向Yに沿って配列し、それぞれ走査バンドSB1〜SB3に投影される。
【0047】
画像分割光学系27が設けられない場合、DMD22全体から成る投影エリア(露光エリア)は、走査バンドSB2に沿って相対移動するが(図4では符号TAで表す)、本実施形態では、DMD22の部分領域DM1、DM3に応じた投影エリアTA1、TA3(以下、部分投影エリアという)が、走査バンドSB2の上下に隣接する走査バンドSB1、SB3に沿ってそれぞれ相対移動し、中間部の部分投影エリアTA2だけが走査バンドSB2に沿って相対移動する。
【0048】
3つの部分投影エリアTA1、TA2、TA3は、一度に投影できるエリアであって、全体として3つの走査バンドSB1〜SB3に渡る露光幅Kをもち、同時にパターン形成可能となる。DMD22の部分領域DM1、DM2、DM3では、それぞれ走査バンドSB1、SB2、SB3に形成すべきパターン像の描画データに基づき、各マイクロミラーがON/OFF制御される。
【0049】
また、露光動作中の部分投影エリアTA1、TA2、TA3は、主走査方向に沿って互いに所定間隔Lだけ離れている。DMD22の部分領域DM1に応じた部分投影エリアTA1が先頭の投影位置に該当し、部分投影エリアTA2、TA3が所定時間遅れて同じX方向座標位置を通過していく。
【0050】
次に、図5〜7を用いて、画像分割光学系の構成について説明する。
【0051】
図5は、画像分割光学系の概略的斜視図である。図6は、画像分割光学系の概略的分解斜視図である。図7は、画像分割光学系の一部構成を示した図である。
【0052】
画像分割光学系27は、プリズムなどの光学部材から構成されており、一対の反射光学系によって構成される。ただし、図5、6では、一方の反射光学系27Aのみ図示している。
【0053】
画像分割光学系27は、露光面SWに平行な第1結像光学系26の結像面FSに形成されるパターン像MPを、結像面FS上において3分割する。反射光学系27Aは、DMD22の部分領域DM1に応じた分割パターン像MP1を形成し、投影する光学系であり、図示しない他方の反射光学系は、部分領域DM3に応じた分割パターン像MP3を形成する。
【0054】
反射光学系27Aは、2つのプリズム42、44と、光路長調整光学部材46から構成される。プリズム42は、互いに平行平面関係にある一対の反射面42R1、42R2を有し、また、プリズム44も、互いに平行平面関係にある一対の反射面44R1、44R2を有する(図5、6参照)。
【0055】
反射光学系27Aの光入射面となるプリズム表面42Sは、第1結像光学系26の結像面FSに位置し、DMD22の部分領域DM1(図4参照)からの反射光によって形成される画像部分MP01の光、すなわち分割パターン像の光がプリズム42に入射する。他方の反射光学系には、部分領域DM3からの反射光によって形成される画像部分MP03の光が入射する。部分領域DM2に応じた画像部分MP02の光は、どちらの反射光学系にも入射せずそのまま直進する。
【0056】
図7に示すように、プリズム42に設けられた反射面42R1は、第1結像光学系26の結像面FSに対して交差せず、接している。具体的には、その一辺42REがプリズム表面42Sに位置し、プリズム表面42Sに対し傾斜している。また、反射面42R1の辺42REは、副走査方向に応じた方向に沿って延び、DMD22に規定された分割領域DM1〜DM3の境界ライン方向に対応している。
【0057】
反射面42R1は、パターン像MPの画像部分MP01における境界ライン全体を結像面FSに規定する。他の反射光学系においても同様に反射面が配置構成されており、パターン像MPの画像部分MP03を規定する境界ライン全体が反射面の一辺に対応し、結像面FS上に位置する。
【0058】
このようにパターン像MPは、結像面FSに位置する反射面の辺(境界ライン)に従い、結像面FS上で3つの画像部分MP01〜MP03に分割され、それぞれ分割パターン像として規定される。画像部分MP01を形成する反射光は、反射光学系27Aに入射すると、プリズム42の反射面42R1で反射する。
【0059】
上述したように、プリズム42の一対の反射面42R1、42R2は、平行平面関係にあり、入射光が反射面42R1、反射面42R2によって順に反射することにより、画像部分MP01の投影位置は、主走査方向Xに沿って移動(シフト)する。反射面42R2において反射した光は、プリズム44に入射する。
【0060】
ブロック44A、44Bから成るプリズム44に入射した光は、平行平面関係にある一対の反射面44R1、44R2によって順次反射する。これにより、主走査方向Xに沿って移動された画像部分MP01の投影位置が、さらに副走査方向Yに沿って移動する。
【0061】
他方の反射光学系も反射光学系27Aと同一形状の光学系で構成されており、同様に2つのプリズムを備え、各プリズムには平行平面関係にある1対の反射面が設けられている。ただし、他方の反射光学系は反射光学系27Aと対向するように回転して配置されている。そのため、反射光学系27Aでは、画像部分MP01の投影位置を、主走査方向Xに関してプラス方向、副走査方向Yに関してマイナス方向に移動させるに対し、他方の反射光学系では、画像部分MP03の投影位置を、主走査方向Xに関してマイナス方向、副走査方向Yに関してプラス方向に移動させる。
【0062】
反射光学系27Aのプリズム44から出射した光は、光路長調整光学部材46に入射する。光路長調整光学部材46は、2つの反射光学系いずれにも入射しない画像部分MP02の光に対する露光面SWまでの光路長と、反射光学系27Aに入射する画像部分MP01の光の光路長を一致させるように、所定のサイズ、屈折率を有する。
【0063】
そして、他方の反射光学系にも、同じように光路長調整光学部材が設けられている。これにより、第1結像面FSにおいて分割規定された3つの分割パターン像MP1、MP2、MP3は、第2結像光学系28により露光面SWに合焦画像(ピントの合った画像)として形成される。
【0064】
なお、画像部分MP01と画像部分MP03の光に対しそれぞれ光路長の調整を行う代わりに、画像部分MP02の光にのみ光路長の調整を行ってもよい。また、光路長調整光学部材は、所定のサイズ、屈折率を有する透明体を用いる代わりに、複数の反射面を組み合わせて光路長を調整する反射光学系を用いても良いし、リレーレンズなどの屈折光学系、あるいはそれらの組み合わせを用いても良い。
【0065】
図8は、描画装置に設けられた描画制御部のブロック図である。
【0066】
描画制御部50は、外部のワークステーション(図示せず)と接続され、モニタ50B、キーボード50Cが接続される露光制御部52を備える。露光制御部52は、露光動作処理を制御し、露光データ生成部76、タイミングコントロール回路73、描画テーブル制御回路53、光源制御部61などの回路へ制御信号を出力する。露光動作処理を制御するプログラムは、露光制御部52内のROM(図示せず)に格納されている。
【0067】
ワークステーション(図示せず)から露光制御部52に入力されるパターンデータは、描画パターンの位置情報(輪郭位置情報)をもつベクタデータ(CAD/CAMデータ)であり、X−Y座標系に基づいた位置座標データとして表される。
【0068】
第1、第2、第3ラスタデータ生成部72A、72B、72Cは、ベクタデータを変換し、それぞれ、走査バンドSB1、SB2、SB3に描画すべきパターンのラスタデータを順次生成する。生成されたラスタデータは、それぞれ第1、第2、第3バッファメモリ74A、74B、74Cに一時的に格納される。
【0069】
各バッファメモリに一時的に格納されるラスタデータは、露光ピッチにあわせて出力される。すなわち、露光ピッチ分だけ部分投影エリアが移動して次の露光動作を実行可能となったとき、ラスタデータ出力が行なわれる。第1、第2、第3ラスタデータ生成部72A、72B、72Cにおけるラスタデータの出力制御は、露光制御部52に設けられたアドレス制御回路(図示せず)から出力される制御信号に基づいて行われる。
【0070】
ラスタデータが露光データ生成部76へ送られると、露光データ生成部76では、部分投影エリアTA1、TA2、TA3の位置に応じたラスタデータが統合し、DMD22の各マイクロミラーをON/OFF制御する信号が、DMD22全体に対する1つの露光データとして生成される。DMD22では、露光データ生成部76から出力される露光データに基づき、マイクロミラーがON/OFF制御される。
【0071】
タイミングコントロール回路73は、バッファメモリ74A、74B、74C、露光データ生成部76等に対し、タイミング調整のためクロックパルス信号を同期信号として出力する。また、CCDセンサ19から出力される画像信号に基づき、画像処理部62は基板SWに形成されたアライメントマークの位置を検出する。
【0072】
描画テーブル制御回路53は、駆動回路54を介してモータ(図示せず)を備えたX−Yステージ駆動機構56を制御し、これによって描画テーブル18の移動速度、基板送り方向等が制御される。位置検出センサ55は、描画テーブル18の位置、すなわち部分投影エリアTA1、TA2、TA3の描画テーブル18に対する相対的位置を検出する。
【0073】
露光ヘッド202に対しても、同様にラスタデータ変換処理、DMD駆動処理等に関する回路(図示せず)が設けられており、同様の露光動作処理が行われる。
【0074】
次に、図9、10を用いて、バッファメモリの構造と、ラスタデータ生成処理および露光データ生成処理について説明する。
【0075】
図9は、バッファメモリの容量およびラスタデータ生成位置を示した図である。図10は、露光面上の分割パターン像の投影位置を示した図である。
【0076】
ラスタデータの生成処理と、DMD22を駆動制御する露光データ生成処理は、別々かつ非同期で行なわれている。本実施形態では、ラスタデータ生成処理において、主走査方向Xに沿って共通の基準位置X0に従い、ラスタデータを生成する。露光制御部52は、ラスタデータ生成部72A、72B、72Cに対し、共通の同期信号でラスタデータ出力タイミングを調整する。
【0077】
一方で、バッファメモリ74A、74B、74Cを設けることにより、露光データ生成部76に入力されるラスタデータのタイミングが、部分投影エリアTA1、TA2、TA3の実際の位置に合わせて調整される。
【0078】
バッファメモリ74A、74B、74Cは、シフトレジスタによって構成されるFIFO型、同期型メモリであり、メモリ容量は、それぞれ部分投影エリアの位置に従って異なる。DMD22の部分領域DM1に応じたバッファメモリ74Aのメモリ容量(サイズ)が最も少なく、部分投影エリアTA2、TA3のメモリ容量が相対的に大きい。
【0079】
各バッファメモリはシフトレジスタで構成されることから、メモリ容量が多いほど、入力した露光データの出力タイミングが遅くなる。その結果、部分領域DM2、DM3に対するラスタデータは、部分領域DM1のラスタデータよりもタイミングが遅れて露光データ生成部76へ出力される。第2バッファメモリ74B、第3バッファメモリ74Cのメモリ容量は、部分投影エリアTA1に対する部分投影エリアTA2、TA3の距離間隔L、2Lに合わせた容量に定められている。
【0080】
部分投影エリアTA1の位置が基準位置X0として定められており、対応するバッファメモリ74Aのメモリサイズは、例えば部分領域DM1のサイズに相当する容量に設定できる。一方、部分投影エリアTA2は主走査方向Xに沿って部分投影エリアTA1よりも距離間隔Lだけ後方に位置するため、その距離間隔L分だけメモリ容量が大きい。さらに、部分投影エリアTA2は、距離間隔2L分だけメモリ容量が大きい。
【0081】
バッファメモリ74Aとバッファメモリ74Bのメモリ容量の差は、以下の式によって表すことができる。ただし、部分投影エリアTA2のX座標をX1、露光ピッチをPP、そして、MA、MBは、それぞれ第1バッファメモリ74A、第2バッファメモリ74Bのメモリ容量を示す。また、[・・]は整数部分の値を表す。
[(X0−X1)/PP]=MB−MA ・・・・(1)
【0082】
同様に、バッファメモリ74Aとバッファメモリ74Cのメモリ容量の差は、以下の式によって表すことができる。ただし、MCはバッファメモリ74Cのメモリ容量を表す。
[(X0−X2)/PP]=MC−MA ・・・・(2)
【0083】
したがって、(1)、(2)式に基づき、データ処理上で座標単位となる露光ピッチPP、第1バッファメモリ74のメモリ容量が定められると、部分投影エリアTA1、TA2、TA3の相互の距離間隔に基づき、第2、第3バッファメモリ74B、74Cのメモリ容量を定めることができる。その結果、バッファメモリ74A、74B、74Cから出力されるラスタデータは、実際の部分投影エリアTA1、TA2、TA3の位置に対応するデータとなる。
【0084】
なお、[(X0−X1)/PP]、[(X0−X2)/PP]の小数値については、あらかじめオフセット値として設定され、露光位置に加算されている。
【0085】
図11は、ラスタデータ生成処理を示したフローチャートである。
【0086】
最初の露光位置が設定されて描画処理が開始されると、走査バンドSB1〜SB3に対するラスタデータが生成される。生成される3つのラスタデータは、走査バンドSB1を相対移動する部分投影エリアTA1の基準位置X0に合わせて順次生成される(S101、S102)。
【0087】
第1〜第3バッファメモリ74A〜74Cにデータ書き込み可能な空き容量がある場合、生成された3つのラスタデータを第1〜第3バッファメモリ74A〜74Cに送信する(S103、S104)。ラスタデータが送信されると、次の新たなラスタデータが生成される。描画が終了するまで、ラスタデータの生成処理が繰り返し実行される(S105)。
【0088】
図12は、露光データ生成処理、露光動作処理を示したフローチャートである。
【0089】
最初の露光位置が設定されて描画処理が開始されると、描画ステージ18が所定速度で移動するように制御される(S201、S202)。露光位置に到達すると、対応するラスタデータが、第1〜第3バッファメモリ74A〜74Cから読み出され、露光データ生成部76へ送られる。これにより、DMD22全体に対する1つの露光データが生成される(S203、S204)。
【0090】
露光動作処理は、露光データに基づいて各マイクロミラーがON/OFF制御されることによって実行される。ここでは多重露光方式が適用されているため、露光ピッチは部分投影エリア幅より短い。露光時間は、露光ピッチよりも短い時間に定められている。
【0091】
描画テーブル18は連続的に移動しており、露光ピッチPP分の距離だけ描画テーブル18がさらに移動すると、新たな露光位置に応じたラスタデータが、第1〜第3バッファメモリ74A〜74Cから読み出される。描画が終了するまで、露光データ生成処理および露光動作処理が繰り返し行われる。
【0092】
このように本実施形態によれば、画像分割光学系27により、パターン像MPが第1結像光学系26の結像面FSにおいて3分割される。そして、第1結像光学系の結像面FSに規定された分割パターン像の光を露光面SWに結像させる過程において、中間部の画像部分MP02以外の両側の画像部分MP01、MP03が、画像分割光学系27により、主走査方向、そして副走査方向へ順に移動する。これにより、3つの分割パターン像MP1、MP2、MP3が、主走査方向Xに関して互いに間隔を空けながら、副走査方向Yに沿って並んで形成される。
【0093】
パターン像MPの分割ライン(境界ライン)は、アパーチャーの枠部分に相当し、光量不足になると分割画像周辺の不鮮明になる。反射光学系27Aの反射面42R1が結像面FSに交差せず、一辺42REが結像面FS上に位置することにより、パターン像MPの分割ライン全体が合焦位置(パターン像のピントが合う位置)にある。そのため、光量不足になることなく、各分割パターン像とも全体的に鮮明な合焦画像として形成することができる。
【0094】
さらに、本実施形態では、ラスタデータ生成部72A、72B、72Cにおいて共通する基準位置に基づくラスタデータが生成された後、ラスタデータが一時的にバッファメモリ74A、74B、74Cに格納される。シフトレジスタで構成されるバッファメモリ74A、74B、74Cは、部分投影エリアTA1、TA2、TA3の相互距離間隔に応じてそれぞれメモリ容量が相違し、ラスタデータの入力から出力するまでにかかる時間が相違することによって、分割パターン像の投影位置が結果的に等距離間隔で互いに離れた位置になる。
【0095】
ラスタデータ生成、露光データ生成を含めた一連のデータ処理では、ラスタデータ生成処理と露光データ生成処理が非同期で独立している構成を採用し、ラスタデータ生成処理がタクトタイムに影響しないように構成されている。そして、ラスタデータの生成、読み出しは共通の基準位置に合わせて実行し、バッファメモリ74A、74B、74Cからの出力タイミングを別々に調整することにより、実際の部分投影エリアTA1、TA2、TA3の位置に応じたラスタデータが統合され、DMD22全体に対する1つの露光データが生成される。
【0096】
ラスタデータ生成処理においては、部分投影エリアTA1、TA2、TA3の主走査方向Xに沿った位置の相違に関係なく共通の基準位置に基づいてラスタデータ生成処理を行なうことができるため、主走査方向Xに関する描画開始位置、終了位置付近で余分なデータ処理をする必要がなくなる。
【0097】
また、共通の基準位置に基づいてラスタデータ生成処理を行なうため、部分投影エリアごとに読み出しアドレス演算する必要がなく、1つのアドレス制御回路によるアドレス制御によって複数のラスタデータ生成処理、読み出し処理を行うことができる。
【0098】
さらに、露光データの入力(統合)タイミングはバッファメモリの容量サイズによって調整されるため、1つの部分投影エリアだけを必要な位置情報として検出すれば、他の部分投影エリアの位置情報については特に検出する必要がなく、自動的に部分投影エリアの位置にあわせたパターン像が投影される。
【0099】
また、シフトレジスタで構成されるバッファメモリの容量サイズを調整することによってラスタデータの出力タイミング調整を行なうことにより、バッファメモリ容量を必要最低限の容量に抑えることができる。
【0100】
画像分割に関しては、パターン像を2つに分割してもよい。この場合、パターン像を2等分されてそれぞれ上述した反射光学系により移動させてよく、あるいは、一方の分割部分だけを反射光学系によって移動させるように構成してもよい。
【0101】
分割パターン像MP1、MP2、MP3については、副走査方向に沿って互いにオーバラップするように副走査方向に沿って配列させることも可能であり、あるいは、副走査方向に沿って互いに間隔が設けられるように投影位置を移動させることも可能である。
【0102】
副走査方向に沿った複数の部分画像の配列については、反射光学系以外の光学系を用いて特定の画像部分を移動させるようにすることも可能である。また、移動させる画像部分および移動方向については、上述した構成以外でも可能であり、例えば、パターン像の一方の端部側にある画像部分を移動させず、中間部、他方の端部の画像部分を移動させるように構成してもよい。
【0103】
バッファメモリについては、入力タイミングと出力タイミングを非同期にするFIFO型バッファメモリを代わりに使用することにより、複数のラスタデータの出力タイミングをそれぞれ調整することも可能である。
【0104】
次に、図13、14を用いて第2の実施形態である露光装置について説明する。第2の実施形態では、パターン像を90度回転して露光面に投影する画像分割光学系が用いられ、分割パターン像が副走査方向に沿って一列に並ぶ。それ以外の構成については、第1の実施形態とほぼ同じである。
【0105】
図13は、第2の実施形態における画像分割光学系の概略的斜視図である。図14は、第2の実施形態における分割パターン像の投影位置を示した図である。
【0106】
画像分割光学系127は、プリズム142と、プリズム142に対して対称的に配置される一対のプリズム144、146を備える。DMDからのパターン光は、第1の実施形態と異なり、露光面に平行な方向に沿ってプリズム142に入射する。
【0107】
三角柱状のプリズム142の1辺は、ここでは図示しない第1結像光学系の結像面上に位置し、副走査方向に沿っている。これにより、パターン像MPが結像面上において2分割される。ただし、第1結像光学系の結像面は、露光面に直交する。
【0108】
分割パターン像となる画像部分MP01、MP02の光は、プリズム142の表面に形成された反射面によって互いに逆方向に導かれる。このとき、反射面は、入射した光を直角に反射させる。さらに、プリズム142からの光は、プリズム144、146の表面にそれぞれ形成された反射面に反射することにより、画像部分MP01、MP02の光は、直角に反射し、これによって分割パターン像MP1、MP2が露光面に形成される。
【0109】
図14に示すように、分割パターン像MP1、MP2は、主走査方向Xに関して同じ位置に投影される。また、分割パターン像MP1、MP2は、副走査方向Yに沿って互いに離れた位置に投影される。なお、第2の実施形態では、バッファメモリによるラスタデータの出力タイミング調整は行われず、また、光路長補正用光学部材も配置されない。
【0110】
なお、画像分割光学系を特徴とした露光装置を考慮すれば、上述したような、ラスタデータ生成処理と露光データ生成処理の間にバッファメモリを設けてタイミング調整する構成だけでなく、ラスタデータ生成処理、露光データ生成処理を一体的な処理とし、ラスタデータの生成、出力タイミングを走査バンドごとに異なるタイミングに設定してもよい。
【符号の説明】
【0111】
10 描画装置(露光装置)
22 DMD(光変調素子アレイ)
24 投影光学系
26 第1結像光学系(第1光学系)
27 画像分割光学系
27A 反射光学系
28 第2結像光学系(第2光学系)
42R1、42R2 反射面
42RE 辺
44R1、44R2 反射面
50 描画制御部
72A、72B、72C ラスタデータ生成部
74A、74B、74C バッファメモリ
76 露光データ生成部
TA1、TA2、TA3 部分投影エリア
SW 基板、露光面
FS 結像面
MP パターン像
MP1、MP2、MP3 分割パターン像
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光変調素子を2次元配列させた光変調素子アレイと、
前記光変調素子アレイで反射した光を、被描画体の露光面に結像させる投影光学系とを備え、
前記投影光学系が、
前記光変調素子アレイで反射したパターン像の光を、第1結像面に結像させる第1光学系と、
前記第1結像面に形成されるパターン像を、前記第1結像面において分割し、複数の分割パターン像を形成する画像分割光学系と、
前記複数の分割パターン像の光を前記露光面に結像させる第2光学系と
を備えることを特徴とする露光装置用露光ヘッド。
【請求項2】
前記画像分割光学系が、前記第1結像面において副走査方向に沿った分割ラインに従い、前記パターン像を分割することを特徴とする請求項1に記載の露光装置用露光ヘッド。
【請求項3】
前記画像分割光学系が、前記第1結像面に対し傾斜する反射面を少なくとも1つ備え、
前記反射面の1辺が、前記第1結像面に位置し、副走査方向に沿っていることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の露光装置用露光ヘッド。
【請求項4】
前記画像分割光学系が、平行平面関係にある少なくとも1つの反射面対を有することを特徴とする請求項3に記載の露光装置用露光ヘッド。
【請求項5】
前記画像分割光学系が、特定の分割パターン像を主走査方向に沿って移動させる第1反射面対と、前記第1反射面対によって移動された分割パターン像を副走査方向に沿って移動させる第2反射面対とを有する反射光学系を備えることを特徴とする請求項1乃至4に記載の露光装置用露光ヘッド。
【請求項6】
前記画像分割光学系が、前記複数の分割パターン像をそれぞれ合焦画像として同一平面に形成するように、パターン像を分割することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の露光装置用露光ヘッド。
【請求項7】
前記画像分割光学系が、各分割パターン像に対する前記露光面までの光路長を等しくする光路長調整光学部材を有することを特徴とする請求項6に記載の露光装置用露光ヘッド。
【請求項8】
前記画像分割光学系が、前記複数の分割パターン像を、分割パターン像全体の副走査方向に沿った露光エリア長さが拡大するように、副走査方向に関し間隔を設けずに並べることを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載の露光装置用露光ヘッド。
【請求項9】
前記画像分割光学系が、前記第1結像面において規定される分割パターン像の光を直角に反射させる第1反射光学系と、前記第1反射光学系によって反射された分割パターン像の光を更に直角に反射させる第2反射光学系を備え、前記第1結像面と前記露光面は直交することを特徴とする請求項1に記載の露光装置用露光ヘッド。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の露光装置用露光ヘッドを備えることを特徴とする露光装置。
【請求項11】
感光材料を塗布もしくは貼り付けた基板に対し、パターンを形成する描画処理を実行する工程を含む基板の製造方法において、
請求項10に記載された露光装置を用いて描画処理を行うことを特徴とする基板の製造方法。
【請求項12】
複数の光変調素子を2次元配列させた光変調素子アレイを用いて被描画体に対する描画処理を行う露光方法において、
前記光変調素子アレイで反射したパターン像の光を、第1光学系を用いて第1結像面に結像させ、
前記第1結像面に結像されるパターン像を、画像分割光学系を用いて、前記第1結像面上で分割して複数の分割パターン像を形成し、
第2光学系を用いて、前記複数の分割パターン像の光を、前記被描画体の露光面に結像させる
ことを特徴とする露光方法。
【請求項1】
複数の光変調素子を2次元配列させた光変調素子アレイと、
前記光変調素子アレイで反射した光を、被描画体の露光面に結像させる投影光学系とを備え、
前記投影光学系が、
前記光変調素子アレイで反射したパターン像の光を、第1結像面に結像させる第1光学系と、
前記第1結像面に形成されるパターン像を、前記第1結像面において分割し、複数の分割パターン像を形成する画像分割光学系と、
前記複数の分割パターン像の光を前記露光面に結像させる第2光学系と
を備えることを特徴とする露光装置用露光ヘッド。
【請求項2】
前記画像分割光学系が、前記第1結像面において副走査方向に沿った分割ラインに従い、前記パターン像を分割することを特徴とする請求項1に記載の露光装置用露光ヘッド。
【請求項3】
前記画像分割光学系が、前記第1結像面に対し傾斜する反射面を少なくとも1つ備え、
前記反射面の1辺が、前記第1結像面に位置し、副走査方向に沿っていることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の露光装置用露光ヘッド。
【請求項4】
前記画像分割光学系が、平行平面関係にある少なくとも1つの反射面対を有することを特徴とする請求項3に記載の露光装置用露光ヘッド。
【請求項5】
前記画像分割光学系が、特定の分割パターン像を主走査方向に沿って移動させる第1反射面対と、前記第1反射面対によって移動された分割パターン像を副走査方向に沿って移動させる第2反射面対とを有する反射光学系を備えることを特徴とする請求項1乃至4に記載の露光装置用露光ヘッド。
【請求項6】
前記画像分割光学系が、前記複数の分割パターン像をそれぞれ合焦画像として同一平面に形成するように、パターン像を分割することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の露光装置用露光ヘッド。
【請求項7】
前記画像分割光学系が、各分割パターン像に対する前記露光面までの光路長を等しくする光路長調整光学部材を有することを特徴とする請求項6に記載の露光装置用露光ヘッド。
【請求項8】
前記画像分割光学系が、前記複数の分割パターン像を、分割パターン像全体の副走査方向に沿った露光エリア長さが拡大するように、副走査方向に関し間隔を設けずに並べることを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載の露光装置用露光ヘッド。
【請求項9】
前記画像分割光学系が、前記第1結像面において規定される分割パターン像の光を直角に反射させる第1反射光学系と、前記第1反射光学系によって反射された分割パターン像の光を更に直角に反射させる第2反射光学系を備え、前記第1結像面と前記露光面は直交することを特徴とする請求項1に記載の露光装置用露光ヘッド。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の露光装置用露光ヘッドを備えることを特徴とする露光装置。
【請求項11】
感光材料を塗布もしくは貼り付けた基板に対し、パターンを形成する描画処理を実行する工程を含む基板の製造方法において、
請求項10に記載された露光装置を用いて描画処理を行うことを特徴とする基板の製造方法。
【請求項12】
複数の光変調素子を2次元配列させた光変調素子アレイを用いて被描画体に対する描画処理を行う露光方法において、
前記光変調素子アレイで反射したパターン像の光を、第1光学系を用いて第1結像面に結像させ、
前記第1結像面に結像されるパターン像を、画像分割光学系を用いて、前記第1結像面上で分割して複数の分割パターン像を形成し、
第2光学系を用いて、前記複数の分割パターン像の光を、前記被描画体の露光面に結像させる
ことを特徴とする露光方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−247711(P2012−247711A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121026(P2011−121026)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000128496)株式会社オーク製作所 (175)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000128496)株式会社オーク製作所 (175)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]