露光量制御装置および露光量制御方法
【課題】可視光および赤外光での撮影を同時に行なう際の露光量を制御する露光量制御装置において、現在の絞り値情報が取得できない場合であっても簡易な構成で可視光系、赤外光系とも好ましい露出を得られるようにする。
【解決手段】絞り手段を介して入射する入射光から分光された可視光を受光し設定された露光時間にしたがって撮像する可視光撮像手段、および入射光から分光された赤外光を受光し設定された露光時間にしたがって撮像する赤外光撮像手段のそれぞれについて露出評価値を算出し、露出評価値とそれぞれの露光時間とに基づいて絞り手段の変化量と可視光撮像手段および赤外光撮像手段それぞれの露光時間との組合せを設定する露出条件判定手段と、設定された組合せに係る絞り手段の変化量にしたがって絞り手段を制御する絞り制御手段と、可視光系露光時間設定手段と、赤外光系露光時間設定手段とを備えた露光量制御装置。
【解決手段】絞り手段を介して入射する入射光から分光された可視光を受光し設定された露光時間にしたがって撮像する可視光撮像手段、および入射光から分光された赤外光を受光し設定された露光時間にしたがって撮像する赤外光撮像手段のそれぞれについて露出評価値を算出し、露出評価値とそれぞれの露光時間とに基づいて絞り手段の変化量と可視光撮像手段および赤外光撮像手段それぞれの露光時間との組合せを設定する露出条件判定手段と、設定された組合せに係る絞り手段の変化量にしたがって絞り手段を制御する絞り制御手段と、可視光系露光時間設定手段と、赤外光系露光時間設定手段とを備えた露光量制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視光および赤外光での撮影を同時に行なう際に、可視光系、赤外光系とも好ましい露出を得られるようにする露光量制御装置および露光量制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、特許文献2に記載されているように、1台で可視光での撮像と赤外光での撮像とを行なえるようにした撮像装置が知られており、監視カメラ等に用いられている。このような撮像装置では、夕刻のように少し暗い撮影条件の下でも、被写体を明瞭に映すことができる赤外光での撮影と、被写体のカラー情報を得ることができる可視光による撮影とを同時に行なうことができる。
【0003】
撮像装置では、撮像の際に被写体の明るさに応じた露出制御が行なわれる。露出制御は主として絞り値とシャッター速度とで定められるEV値を調整することで行なわれる。一般に、撮像素子の可視光に対する感度と赤外光に対する感度とは異なり、また、被写体における可視光の反射率と赤外光の反射率も異なるため、可視光についての適正露出と赤外光についての適正露出は一致しないことが多い。このため、一方に適正露出を与えるように露出制御した場合に、他方が露光不足になったり飽和したりする場合があるという問題がある。
【0004】
双方が適正露出で撮像を行なうためには、可視光撮像系と赤外光撮像系とで独立に露出制御を行なうことが好ましい。特許文献1には、異なる波長帯の光量を制御できる絞り機構を用いることで、可視光系と赤外光系とで絞り値を独立に制御することが記載されている。また、特許文献2には、分光光学系の後段に可視光用と赤外光用の独立した絞り機構を設けることが記載されている。このように、可視光系と赤外光系とで絞り値を独立に制御することで、可視光系、赤外光系とも良好な撮像結果を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−369049号公報
【特許文献2】特開2005−4181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、撮像装置では、撮像素子から電荷を取り出す時間をコントロールすることでシャッター速度を変化させる電子シャッター方式が広く採用されており、可視光系と赤外光系とでシャッター速度を独立に制御することはコストアップを招くことなく容易に行なうことができる。
【0007】
しかしながら、可視光系と赤外光系とで絞りを独立に制御するためには特許文献1に記載されているように異なる波長帯の光量を制御できる絞り機構を用いたり、特許文献2に記載されているように複数の絞り機構を設けたりする必要があり、構成が複雑になって撮像装置のコストアップを招くことになる。特許文献2には、絞りを1つだけ用いる構成についても触れられているが、好ましい露出を得るための制御については記載されていない。
【0008】
また、近年、監視カメラ用の撮影光学系として、絞りの開閉を外部から電気的に制御できる自動絞りレンズが広く流通している。このような自動絞りレンズを可視光と赤外光とで撮像を行なえる撮像装置にも利用できることは産業上好ましいと考えられる。
【0009】
しかし、一般に自動絞りレンズは、露出制御を行なう際に現在の絞り値や開放絞り値、絞り込み値等の情報を取得することができず、また、絞り値を直接設定することができない場合が多い。このため、簡易な構成で、可視光系、赤外光系とも好ましい露出を得ることが一層困難となっている。
【0010】
そこで、本発明は、可視光および赤外光での撮影を同時に行なう際に、現在の絞り値情報が取得できない場合であっても簡易な構成で可視光系、赤外光系とも好ましい露出を得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様である露光量制御装置は、絞り手段を介して入射する入射光から分光された可視光を受光し設定された露光時間にしたがって撮像する可視光撮像手段、および前記入射光から分光された赤外光を受光し設定された露光時間にしたがって撮像する赤外光撮像手段のそれぞれについて露出評価値を算出し、算出された露出評価値と、この露出評価値に係る前記可視光手段および前記赤外光撮像手段のそれぞれの前記露光時間とに基づいて前記絞り手段の変化量と前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段それぞれの露光時間との組合せを設定する露出条件判定手段と、前記設定された組合せに係る前記絞り手段の変化量にしたがって前記絞り手段を制御する絞り制御手段と、前記設定された組合せに係る前記可視光撮像の露光時間に基づいて、前記可視光撮像手段の露光時間を設定する可視光系露光時間設定手段と、前記設定された組合せに係る前記赤外光撮像の露光時間に基づいて、前記赤外光撮像手段の露光時間を設定する赤外光系露光時間設定手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
ここで、前記露出条件判定手段は、算出した前記露出評価値に基づいて、前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段の少なくとも一方が適正露出となる前記絞り手段の変化量と前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段それぞれの露光時間との組合せを選択対象として抽出し、その選択対象の中からいずれかの組合せを選択して設定することができる。
【0013】
このとき、前記露出条件判定手段は、前記絞り手段の絞り状態が開放側の絞り限界に達したことを検出した場合は、前記絞り手段の開放側の変化量に係る組合せを前記選択対象から除外し、前記絞り手段の絞り状態が絞り込み側の絞り限界に達したことを検出した場合は、前記絞り手段の絞り込み側の変化量に係る組合せを前記選択対象から除外することができる。
【0014】
また、前記露出条件判定手段は、前記抽出した組合せの中に、前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段の両方が適正露出となる組合せがある場合には、その適正露出となる組合せの中からいずれかの組合せを選択して設定し、前記抽出した組合せの中に、前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段の両方が適正露出となる組合せがない場合には、前記可視光撮像手段が適正露出となる組合せの中で最も開放側の変化量に係る組合せと、前記赤外光撮像手段が適正露出となる組合せの中で最も開放側の変化量に係る組合せのうち、より絞り込み側の変化量に係る組合せを選択して設定することができる。
【0015】
上記課題を解決するため、本発明の第2の態様である露光量制御方法は、絞り手段を介して入射する入射光から分光された可視光を受光し設定された露光時間にしたがって撮像する可視光撮像手段、および前記入射光から分光された赤外光を受光し設定された露光時間にしたがって撮像する赤外光撮像手段のそれぞれについて露出評価値を算出し、算出された露出評価値と、この露出評価値に係る前記可視光手段および前記赤外光撮像手段のそれぞれの前記露光時間とに基づいて前記絞り手段の変化量と前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段それぞれの露光時間との組合せを設定する露出条件判定ステップと、前記設定された組合せに係る前記絞り手段の変化量にしたがって前記絞り手段を制御する絞り制御ステップと、前記設定された組合せに係る前記可視光撮像の露光時間に基づいて、前記可視光撮像手段の露光時間を設定する可視光系露光時間設定ステップと、前記設定された組合せに係る前記赤外光撮像の露光時間に基づいて、前記赤外光撮像手段の露光時間を設定する赤外光系露光時間設定ステップとを有することを特徴とする。
【0016】
ここで、前記露出条件判定ステップは、算出した前記露出評価値に基づいて、前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段の少なくとも一方が適正露出となる前記絞り手段の変化量と前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段それぞれの露光時間との組合せを選択対象として抽出し、その選択対象の中からいずれかの組合せを選択して設定することができる。
【0017】
このとき、前記露出条件判定ステップは、前記絞り手段の絞り状態が開放側の絞り限界に達したことを検出した場合は、前記絞り手段の開放側の変化量に係る組合せを前記選択対象から除外し、前記絞り手段の絞り状態が絞り込み側の絞り限界に達したことを検出した場合は、前記絞り手段の絞り込み側の変化量に係る組合せを前記選択対象から除外することができる。
【0018】
また、前記露出条件判定ステップは、前記抽出した組合せの中に、前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段の両方が適正露出となる組合せがある場合には、その適正露出となる組合せの中からいずれかの組合せを選択して設定し、前記抽出した組合せの中に、前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段の両方が適正露出となる組合せがない場合には、前記可視光撮像手段が適正露出となる組合せの中で最も開放側の変化量に係る組合せと、前記赤外光撮像手段が適正露出となる組合せの中で最も開放側の変化量に係る組合せのうち、より絞り込み側の変化量に係る組合せを選択して設定することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、可視光および赤外光での撮影を同時に行なう際に、現在の絞り値情報が取得できない場合であっても簡易な構成で可視光系、赤外光系とも好ましい露出を得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図2】光源毎の波長に対する相対強度の例を示す図である。
【図3】CCDの波長に対する相対感度の例を示す図である。
【図4】EV値表を示す図である。
【図5】本実施形態の露出制御処理の流れを説明するフローチャートである。
【図6】絞りとシャッター速度の組合せ候補の抽出を説明する図である。
【図7】絞りとシャッター速度の組合せ候補の補正を説明する図である。
【図8】組合せ設定の第1の方法を説明するフローチャートである。
【図9】組合せ設定の第2の方法を説明するフローチャートである。
【図10】組合せ設定の第1の方法による設定結果の例を示す図である。
【図11】組合せ設定の第2の方法による設定結果の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明を適用した撮像装置の構成を示すブロック図である。本撮像装置は、1台で可視光での撮影と赤外光での撮影とを同時に行なえるようにしており、可視光を受光する撮像素子と赤外光を受光する撮像素子を独立して備えるとともに、共通の絞り機構を1つ備えている。この撮像装置では、絞り機構を可視光系と赤外光系とで別々に設けずに、共通させることで構成を簡易にし、コストアップを防いでいる。
【0022】
本図に示すように、撮像装置10は、レンズと入射光量を調節する絞り機構12とを有する撮影光学系11と、入射光を可視光と赤外光に分離する分光光学系13と、分離された可視光を受光する、シャッター速度を調節可能な可視光撮像部14と、分離された赤外光を受光する、シャッター速度を調節可能な赤外光撮像部15と、可視光撮像部14が出力する可視光系信号に対する処理を行ない、可視光映像信号を生成する可視光系信号処理部16と、赤外光撮像部15が出力する赤外光系信号に対する処理を行ない、赤外光映像信号を生成する赤外光系信号処理部17と、シャッター速度と絞りとで定まる露出を制御する露出制御部18と、絞り機構12を駆動する絞り駆動部19とを備えている。
【0023】
撮影光学系11は、自動絞りレンズを採用している。自動絞りレンズでは、絞り機構12の現在の絞り値を取得することができない。すなわち、現在の絞り値が、例えば、F5.6であるとかF11であるとかという情報を取得することができない。このため、絞り駆動部19は、制御電圧にしたがって絞り機構12を相対的に開閉する動作を行なう。
【0024】
具体的には、現在印加されている制御電圧よりも高い電圧が印加されると、現在よりも閉じるように絞り機構12を駆動し、現在印加されている制御電圧よりも低い電圧が印加されると、現在よりも開くように絞り機構12を駆動する。このとき、制御電圧と絞り値との関係は、絞り機構12の形状やNDフィルタ併用の有無等によって異なり、直線的な特性になるとは限らない。また、絞りが開放側あるいは絞り込み側の限界に達した場合には、制御電圧を低くあるいは高く変化させても、それ以上の開閉は行なわれない。
【0025】
本実施形態において、撮影光学系11および絞り機構12を駆動する絞り駆動部19は、一般的なDCアイリスとしており、現在の絞り値に加え、開放絞り値、最小絞り値等の情報を電気的に得ることができないものとする。
【0026】
なお、多くのDCアイリスでは、絞り駆動部19に印加する制御電圧が0.5Vで絞り開放、4.5Vで絞り最小となるように設計されているが、例えば、0.7Vで絞り開放、3.3Vで絞り最小となるようなDCアイリスも存在する。このため、制御電圧に基づいて、絞りが限界に達したかどうかの判断ができる場合とできない場合とがある。
【0027】
また、開放絞り値、最小絞り値については、キャリブレーションシステム等を用いることにより取得できるようになるが、本発明は、開放絞り値、最小絞り値を取得できる場合にも取得できない場合にも適用することができる。
【0028】
分光光学系13は、ダイクロイックミラーや色分離プリズム等を用いることができる。本実施形態では、波長700nmを境界として分光するようにする。
【0029】
可視光撮像部14および赤外光撮像部15は、CCD、CMOS等の受光素子と周辺回路とを備え、可視光撮像部14は少なくとも可視光領域に感度を有し、赤外光撮像部15は少なくとも赤外光領域に感度を有するものとする。また、可視光撮像部14および赤外光撮像部15は、例えば、撮像素子から電荷を取り出す時間をコントロールすることでシャッター速度を変化させる電子シャッター方式を用いることができる。
【0030】
可視光系信号処理部16および赤外光系信号処理部17は、γ補正、輝度信号処理、色信号処理、エンコード等の一般的な信号処理を行なうことで映像信号を生成する。
【0031】
露出制御部18は、可視光撮像部14および赤外光撮像部15それぞれについて適正露出条件を判定する露出条件判定部20と、それぞれについての適正露出条件に基づいて、絞り機構12の絞りを制御する絞り制御部23と、可視光撮像部14におけるシャッター速度を設定する可視光系シャッター速度設定部21と、赤外光撮像部15におけるシャッター速度を設定する赤外光系シャッター速度設定部22とを備えている。
【0032】
露出条件判定部20は、既存の測光方式、例えば、全面平均測光を用いて露出条件を判定することができる。もちろん、中央部重点測光、多分割測光等を用いてもよい。全面平均測光では、全画面の平均輝度を算出し、あらかじめ定められた適正露光時の輝度値との比をとり、この値の2を底とする対数値をもって露出評価値とする。ここで、適正露光時の輝度値は、アナログ値であれば50IRE、デジタル8ビットの場合は118/255を用いることができる。
【0033】
例えば、平均輝度値がデジタル59/255である場合は、上述の算出法により露出評価値は−1となる。この値は測光時の絞り値とシャッター速度から得られるEV値に対して、適正露出になるように補正すべきEV値と等価である。しかしながら、本実施形態では、測光時の絞り値を取得することができないため、適正EV値の絶対値を得ることができず、適正EV値に対する補正値(=露出評価値)のみが得られることになる。
【0034】
また、露出条件判定部20は、絞り機構12の絞り状態が限界に達したことを判定するために、直前の露出評価値を記憶する評価値記憶部20aを備えている。すなわち、シャッター速度一定のまま、絞り駆動部19に印加する制御電圧を変化させた場合の露出評価値が直前の露出評価値から変化しない場合には、絞り機構12の絞り状態が限界に達したと判定することができる。なお、制御電圧値によって絞り機構12の絞り状態が限界に達したことを判断できる場合には、評価値記憶部20aは不要である。
【0035】
ここで、図2に示す光源毎の波長に対する相対強度例のグラフから分かるように、可視光と赤外光の強度分布は、光源の種類によって大きく異なる。なお、図2は、太陽光(図2(a))、蛍光灯(図2(b))、白熱灯蛍光灯(図2(c))のそれぞれについて波長に対する相対強度例を示している。
【0036】
また、図3に示すCCDの波長に対する相対感度例のグラフから分かるように、波長に対する感度分布はCCDの種類によって大きく異なる。なお、図3は、異なる種類のCCD1(図3(a))、CCD2(図3(b))について、波長に対する相対感度例を示している。
【0037】
以上の特性から、可視光と赤外光とを同時に記録する場合に、一方に適正露出を与えるように露出制御した場合に、他方が露光不足になったり飽和したりする場合が起こり得る。特に、露出オーバーになって飽和してしまうと、いわゆる白飛び状態となって後の画像処理によっても救うことができなくなってしまう。この露光不足や飽和の傾向は図2、図3に示したように光源の種類や撮像素子の感度によって変わってくるため、一律に制御することはできない。そこで、本実施形態では以下に示すような露出制御を行なうようにする。
【0038】
まず、撮像装置10の露出可能範囲について説明する。図4(a)は、公知のEV値表であり、撮像装置10の露出可能範囲は、図4(b)の網掛け部分であるとする。すなわち、可能な絞り値は、開放側絞り値F2.0、絞込み側絞り値F22とした。また、高速側のシャッター速度を1/4000秒、低速側のシャッター速度を1/60秒とした。撮像装置10は、これらの可能な絞り値とシャッター速度の組合せで露出制御を行なう。ただし、上述のように絞り値については、その値を取得することはできない。
【0039】
次に、図5のフローチャートを参照して、本実施形態における露出制御処理について説明する。まず、撮像に際し、露出条件判定部20が可視光撮像部14および赤外光撮像部15の露出評価値を算出する(S101)。露出評価値の算出は、上述の手順によって行なうことができる。すなわち、現在の絞り機構12の絞りと、現在の可視光撮像部14のシャッター速度で測光を行ない、可視光撮像部14の露出評価値を算出する。また、現在の絞り機構12の絞りと、現在の赤外光撮像部15のシャッター速度で測光を行ない、赤外光撮像部15の露出評価値を算出する。
【0040】
次に、露出条件判定部20は、算出された露出評価値に基づいて、可視光系と赤外光系のそれぞれについて、適正露出を与える絞りとシャッター速度との組合せおよびその周辺の組合せを組合せ候補として抽出する(S102)。ここで、絞りは現在の絞りに対する相対値で表わし、シャッター速度は絶対値で表わすものとする。
【0041】
例えば、露出評価値を算出した際の可視光系のシャッター速度が1/1000で、露出評価値が±0であり、赤外光系のシャッター速度が1/1000で、露出評価値が−2であったときの組合せ候補の抽出について図6(a)を参照して説明する。この場合、可視光系と赤外光系との差は2EVである。
【0042】
まず、可視光系について説明する。可視光系では、シャッター速度1/1000で露出評価値が±0であるため、絞りを変化させないとすると、シャッター速度は1/1000のままで適正露出が得られることになる。また、絞りを現在より1EV開くとすると、シャッター速度は1/2000で適正露出が得られる。同様に、絞りを2EV開くとすると、シャッター速度は1/4000で適正露出が得られる。しかし、絞りを3EV開くとすると、シャッター速度は1/8000で適正露出が得られるが、シャッター速度の上限が1/4000であるため、適正露出は得られず、露出評価値は+1になる。
【0043】
逆に、絞りを現在より1EV閉じるとすると、シャッター速度は1/500で適正露出が得られる。同様に、絞りを2EV閉じるとすると、シャッター速度は1/250で適正露出が得られ、絞りを3EV閉じるとすると、シャッター速度は1/125で適正露出が得られ、絞りを4EV閉じるとすると、シャッター速度は1/60で適正露出が得られることになる。
【0044】
次に、赤外光系について説明する。赤外光系では、シャッター速度1/1000で露出評価値が−2であるため、絞りを変化させないとすると、シャッター速度は2段遅くした1/250で適正露出が得られることになる。また、絞りを現在より1EV開くとすると、シャッター速度は1/500で適正露出が得られる。同様に、絞りを2EV開くとすると、シャッター速度は1/1000で適正露出が得られ、絞りを3EV開くとすると、シャッター速度は1/2000で適正露出が得られる。
【0045】
逆に、絞りを現在より1EV閉じるとすると、シャッター速度は1/125で適正露出が得られる。同様に、絞りを2EV閉じるとすると、シャッター速度は1/60で適正露出が得られる。しかし、絞りを3EV閉じるとすると、シャッター速度は1/30で適正露出が得られるが、シャッター速度の下限が1/60であるため、適正露出は得られず、露出評価値は−1になる。同様に、絞りを4EV閉じるとすると、シャッター速度は1/60で、露出評価値は−2となる。
【0046】
別の例として、露出評価値を算出した際の可視光系のシャッター速度が1/1000で、露出評価値が+1であり、赤外光系のシャッター速度が1/500で、露出評価値が−5であったときの組合せ候補の抽出について図6(b)を参照して説明する。この場合、可視光系と赤外光系との差は6EVである。
【0047】
まず、可視光系について説明する。可視光系では、シャッター速度が1/1000で露出評価値が+1であるため、絞りを変化させないとすると、シャッター速度は1段速くした1/2000で適正露出が得られることになる。また、絞りを現在より1EV開くとすると、シャッター速度は1/4000で適正露出が得られる。しかし、シャッター速度の上限が1/4000であるため、絞りを2EV開くとすると、露出評価値は+1になり、絞りを3EV開くとすると、露出評価値は+2になり、絞りを4EV開くとすると、露出評価値は+3になり、絞りを5EV開くとすると、露出評価値は+4になる。
【0048】
逆に、絞りを現在より1EV閉じるとすると、シャッター速度は1/1000で適正露出が得られる。同様に、絞りを2EV閉じるとすると、シャッター速度は1/500で適正露出が得られることになる。
【0049】
次に、赤外光系について説明する。赤外光系では、シャッター速度が1/1000で露出評価値が−5であるため、絞りを変化させないとすると、シャッター速度は5段遅くした1/15で適正露出が得られることになる。しかし、シャッター速度の下限は1/60であるため、露出評価値は−2となる。また、絞りを現在より1EV開くとすると、シャッター速度1/60で露出評価値−1となる。そして、絞りを現在より2EV開くとすると、シャッター速度1/60で適正露出が得られることになる。同様に、絞りを3EV開くとすると、シャッター速度は1/125で適正露出が得られ、絞りを4EV開くとすると、シャッター速度は1/250で適正露出が得られ、絞りを5EV開くとすると、シャッター速度は1/500で適正露出が得られる。
【0050】
逆に、絞りを現在より1EV閉じるとすると、シャッター速度1/60で露出評価値−3となり、絞りを2EV閉じるとすると、シャッター速度1/60で露出評価値−4となる。
【0051】
以上に示したように適正露出を与える絞りとシャッター速度との組合せおよび周辺の組合せを組合せ候補として抽出すると、露出条件判定部20は、絞り機構12が開放側あるいは絞り込み側で絞り限界の状態にあるかどうかを判定する(S103)。
【0052】
絞り駆動部19に印加する制御電圧によって絞り機構12が絞り限界であることを判別できる場合には、制御電圧に基づいて絞り限界の状態にあるかどうかを判定する。例えば、撮影光学系11の特性情報が既知であり、制御電圧が0.5Vで開放、4.5Vで最小絞り込みとなる撮影光学系11であれば、制御電圧が0.5Vあるいは4.5Vであるかによって絞り限界を判定することができる。
【0053】
撮影光学系11の特性情報が得られず、制御電圧によって絞り機構12が絞り限界であることを判別できない場合には、評価値記憶部20aに記憶した直前の露出評価値と、最新に算出した露出評価値とを比較することによって、絞り機構12が開放側あるいは絞り込み側で絞り限界の状態であるかどうかを判定することができる。
【0054】
具体的には、絞り機構12を開放側に制御したにもかかわらず、露出評価値が変化していない場合には、開放側の絞り限界に達していると判定することができる。逆に、絞り機構12を絞り込み側に制御したにもかかわらず、露出評価値が変化していない場合には、絞り込み側の絞り限界に達していると判定することができる。なお、この判定は、直前の露出評価値が評価値記憶部20aに記憶されている場合に有効である。このため、制御の開始時においてはこの判定は行なわない。
【0055】
絞り限界に達している場合には、取り得ない組合せ候補を除外することで、抽出した組合せ候補を補正する(S104)。例えば、図6(a)に示した例の場合に、絞りが開放側の限界に達している場合には、図7(a)の網掛け部分に示すように、開放側の組合せを候補から除く補正を行なう。逆に、絞りが絞り込み側の限界に達している場合には、図7(b)の網掛け部分に示すように、絞り込み側の組合せを候補から除く補正を行なう。絞り限界に達していない場合には、これらの補正は不要である。
【0056】
そして、露出条件判定部20は、残った組合せ候補の中から、1つの組合せを選択して設定する(S105)。本実施形態では、組合せの設定方法として、第1の方法と第2の方法とを説明する。
【0057】
まず、図8のフローチャートを参照して、組合せ設定の第1の方法について説明する。組合せ設定の第1の方法では、可視光系、赤外光系とも露出評価値±0の適正露出の組合せ候補があるかどうかを判断する(S201)。
【0058】
その結果、両系とも適正露出の組合せがある場合(S201:Yes)には、両系とも適正露出の組合せの中からいずれかの組合せを設定する(S202)。ここで、両系とも適正露出の組合せのどの組合せを採用するかは、状況や撮像装置10の監視目的等に応じて決定することができる。
【0059】
例えば、監視対象が奥行きの広い範囲である場合には、被写界深度が深くなるように、両系とも適正露出の組合せの中で絞り込み側の組合せを設定することができる。また、監視対象物の動きが速い場合には被写体ブレを防ぐために、両系とも適正露出の組合せの中で開放側の組合せを設定することができる。これらの組合せは、可視光系、赤外光系とも露出評価値±0となるため、簡易な構成で可視光系、赤外光系とも適正な露出を得ることができる。
【0060】
一方、両系とも適正露出の組合せがない場合(S201:No)には、可視光系、赤外光系それぞれの適正露出の最小相対F値(開放側)のうち、大きい方(絞り込み側)の相対F値を含む組合せを設定する(S203)。この組合せは、いずれか一方の系が適正露出となり、他方の系が飽和を防ぎなるべく明るくなるような露出となるため、簡易な構成で可視光系、赤外光系とも好ましい露出を得ることができる。
【0061】
例えば、図10(a)に示したような組合せ候補で第1の方法を適用した場合について説明する。本図の例では、2EV開から2EV閉までの組合せ候補において両系とも適正露出となっている。このため、2EV開から2EV閉までのいずれの組合せも設定することができる。
【0062】
また、図10(b)に示したような組合せ候補で第1の方法を適用した場合について説明する。本図の例では、両系とも適正露出の組合せ候補がない。そして、可視光系において適正露出の最小相対F値は1EV開である。一方、赤外光系において適正露出の最小相対F値は5EV開以下である。このため、絞り込み側(相対F値の大きい方)の1EV開を含む組合せを設定する。
【0063】
次に、図9のフローチャートを参照して、組合せ設定の第2の方法について説明する。組合せ設定の第2の方法でも、可視光系、赤外光系とも露出評価値±0の適正露出の組合せ候補があるかどうかを判断する(S301)。
【0064】
その結果、両系とも適正露出の組合せ候補がある場合(S301:Yes)には、両系とも適正露出の組合せの中から、最も相対F値の大きい(絞り込み側)絞り値を含む組合せを設定する(S302)。絞り値設定の第2の方法では、適正露出の範囲内で可能な限り絞り込むことによって、レンズ収差の影響を低減することができる。特に、屈折率の小さい赤外光側のレンズ収差の影響を抑止し、先鋭度の高い映像を得ることができる。
【0065】
一方、両系とも適正露出の組合せ候補がない場合(S301:No)には、第1の方法と同様に、可視光系、赤外光系それぞれの適正露出の最小F値(開放側)のうち、大きい方(絞り込み側)の相対F値を含む組合せを設定する(S303)。この組合せは、いずれか一方の系が適正露出となり、他方の系が飽和を防ぎなるべく明るくなるような露出となるため、簡易な構成で可視光系、赤外光系とも好ましい露出を得ることができる。
【0066】
例えば、図11(a)に示したような組合せで第2の方法を適用した場合について説明する。本図の例では、2EV開から2EV閉までの組合せ候補において両系とも適正露出となっている。このため、最も絞り込み側の2EV閉を設定する。
【0067】
また、図11(b)に示したような組合せで第2の方法を適用した場合について説明する。本図の例では、両系とも適正露出の組合せ候補がない。そして、可視光系において適正露出の最小相対F値は1EV開である。一方、赤外光系において適正露出の最小相対F値は5EV開以下である。このため、絞り込み側(相対F値の大きい方)の1EV開を含む組合せを設定する。
【0068】
図5のフローチャートの説明に戻って、上述の手順によって組合せが設定されると、可視光系、赤外光系のそれぞれについて設定された組合せに対応したシャッター速度を設定する(S106)。
【0069】
また、設定された組合せに対応した方向に絞りを駆動する(S107)。ここで、撮影光学系11の特性情報が既知あるいは特定でき、相対絞り値に基づいて絞り値を制御できる場合には、設定された組合せに対応した絞り値に直接変化させる。一方、撮影光学系11の特性情報が得られない場合には、例えば、0.1V等の所定の制御電圧で絞り駆動部19を駆動させる。
【0070】
そして、設定したシャッター速度と、変化後の絞りとで可視光系と赤外光系との撮像を同時に実行する(S108)。そして、この時の可視光撮像部14および赤外光撮像部15の露出評価値を算出する(S109)。この結果、算出された両系の露出評価値が、上記の手順にしたがって設定された組合せの露出評価値に収束している場合(S110:Yes)には、可視光系、赤外光系とも好ましい露出が得られており、制御を終了する。
【0071】
一方、算出された両系の露出評価値が、設定された組合せの露出評価値に収束していない場合(S110:No)には、最新の露出評価値を評価値記憶部20aに記憶させ(S111)、処理(S102)以降の処理を、露出評価値が収束するまで繰り返し行なう。ただし、制御電圧に基づいて絞り限界の状態にあるかどうかを判定できる場合には、評価値記憶部20aへの露出評価値の記憶は不要である。
【0072】
なお、露出評価値が収束していない場合、処理の繰り返し毎に組合せ候補を抽出して設定し直すのではなく、設定した組合せを固定したまま、絞りを段階的に変化させて露出評価値を収束させるようにしてもよい。この場合は、収束させる途中で絞りが限界に達したことを検出したときに、最新の露出評価値で組合せ候補を再抽出し、再設定するようにする。
【0073】
以上説明したように、単独の絞り機構12を備えた撮像装置10は、可視光撮像部14、赤外光撮像部15の双方に適正な露出を与える絞りとシャッター速度を可能な限り設定するようにし、双方に適正な露出を与える絞りとシャッター速度が得られない場合には、いずれか一方に適正露出を与え、他方が飽和を防ぎ、なるべく明るくなるような露出とすることで、現在の絞り値情報が取得できない場合であっても簡易な構成で可視光系、赤外光系とも好ましい露出を得られるようにしている。
【符号の説明】
【0074】
10…撮像装置
11…撮影光学系
12…絞り機構
13…分光光学系
14…可視光撮像部
15…赤外光撮像部
16…可視光系信号処理部
17…赤外光系信号処理部
18…露出制御部
19…絞り駆動部
20…露出条件判定部
20a…評価値記憶部
21…可視光系シャッター速度設定部
22…赤外光系シャッター速度設定部
23…絞り制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視光および赤外光での撮影を同時に行なう際に、可視光系、赤外光系とも好ましい露出を得られるようにする露光量制御装置および露光量制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、特許文献2に記載されているように、1台で可視光での撮像と赤外光での撮像とを行なえるようにした撮像装置が知られており、監視カメラ等に用いられている。このような撮像装置では、夕刻のように少し暗い撮影条件の下でも、被写体を明瞭に映すことができる赤外光での撮影と、被写体のカラー情報を得ることができる可視光による撮影とを同時に行なうことができる。
【0003】
撮像装置では、撮像の際に被写体の明るさに応じた露出制御が行なわれる。露出制御は主として絞り値とシャッター速度とで定められるEV値を調整することで行なわれる。一般に、撮像素子の可視光に対する感度と赤外光に対する感度とは異なり、また、被写体における可視光の反射率と赤外光の反射率も異なるため、可視光についての適正露出と赤外光についての適正露出は一致しないことが多い。このため、一方に適正露出を与えるように露出制御した場合に、他方が露光不足になったり飽和したりする場合があるという問題がある。
【0004】
双方が適正露出で撮像を行なうためには、可視光撮像系と赤外光撮像系とで独立に露出制御を行なうことが好ましい。特許文献1には、異なる波長帯の光量を制御できる絞り機構を用いることで、可視光系と赤外光系とで絞り値を独立に制御することが記載されている。また、特許文献2には、分光光学系の後段に可視光用と赤外光用の独立した絞り機構を設けることが記載されている。このように、可視光系と赤外光系とで絞り値を独立に制御することで、可視光系、赤外光系とも良好な撮像結果を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−369049号公報
【特許文献2】特開2005−4181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、撮像装置では、撮像素子から電荷を取り出す時間をコントロールすることでシャッター速度を変化させる電子シャッター方式が広く採用されており、可視光系と赤外光系とでシャッター速度を独立に制御することはコストアップを招くことなく容易に行なうことができる。
【0007】
しかしながら、可視光系と赤外光系とで絞りを独立に制御するためには特許文献1に記載されているように異なる波長帯の光量を制御できる絞り機構を用いたり、特許文献2に記載されているように複数の絞り機構を設けたりする必要があり、構成が複雑になって撮像装置のコストアップを招くことになる。特許文献2には、絞りを1つだけ用いる構成についても触れられているが、好ましい露出を得るための制御については記載されていない。
【0008】
また、近年、監視カメラ用の撮影光学系として、絞りの開閉を外部から電気的に制御できる自動絞りレンズが広く流通している。このような自動絞りレンズを可視光と赤外光とで撮像を行なえる撮像装置にも利用できることは産業上好ましいと考えられる。
【0009】
しかし、一般に自動絞りレンズは、露出制御を行なう際に現在の絞り値や開放絞り値、絞り込み値等の情報を取得することができず、また、絞り値を直接設定することができない場合が多い。このため、簡易な構成で、可視光系、赤外光系とも好ましい露出を得ることが一層困難となっている。
【0010】
そこで、本発明は、可視光および赤外光での撮影を同時に行なう際に、現在の絞り値情報が取得できない場合であっても簡易な構成で可視光系、赤外光系とも好ましい露出を得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様である露光量制御装置は、絞り手段を介して入射する入射光から分光された可視光を受光し設定された露光時間にしたがって撮像する可視光撮像手段、および前記入射光から分光された赤外光を受光し設定された露光時間にしたがって撮像する赤外光撮像手段のそれぞれについて露出評価値を算出し、算出された露出評価値と、この露出評価値に係る前記可視光手段および前記赤外光撮像手段のそれぞれの前記露光時間とに基づいて前記絞り手段の変化量と前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段それぞれの露光時間との組合せを設定する露出条件判定手段と、前記設定された組合せに係る前記絞り手段の変化量にしたがって前記絞り手段を制御する絞り制御手段と、前記設定された組合せに係る前記可視光撮像の露光時間に基づいて、前記可視光撮像手段の露光時間を設定する可視光系露光時間設定手段と、前記設定された組合せに係る前記赤外光撮像の露光時間に基づいて、前記赤外光撮像手段の露光時間を設定する赤外光系露光時間設定手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
ここで、前記露出条件判定手段は、算出した前記露出評価値に基づいて、前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段の少なくとも一方が適正露出となる前記絞り手段の変化量と前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段それぞれの露光時間との組合せを選択対象として抽出し、その選択対象の中からいずれかの組合せを選択して設定することができる。
【0013】
このとき、前記露出条件判定手段は、前記絞り手段の絞り状態が開放側の絞り限界に達したことを検出した場合は、前記絞り手段の開放側の変化量に係る組合せを前記選択対象から除外し、前記絞り手段の絞り状態が絞り込み側の絞り限界に達したことを検出した場合は、前記絞り手段の絞り込み側の変化量に係る組合せを前記選択対象から除外することができる。
【0014】
また、前記露出条件判定手段は、前記抽出した組合せの中に、前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段の両方が適正露出となる組合せがある場合には、その適正露出となる組合せの中からいずれかの組合せを選択して設定し、前記抽出した組合せの中に、前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段の両方が適正露出となる組合せがない場合には、前記可視光撮像手段が適正露出となる組合せの中で最も開放側の変化量に係る組合せと、前記赤外光撮像手段が適正露出となる組合せの中で最も開放側の変化量に係る組合せのうち、より絞り込み側の変化量に係る組合せを選択して設定することができる。
【0015】
上記課題を解決するため、本発明の第2の態様である露光量制御方法は、絞り手段を介して入射する入射光から分光された可視光を受光し設定された露光時間にしたがって撮像する可視光撮像手段、および前記入射光から分光された赤外光を受光し設定された露光時間にしたがって撮像する赤外光撮像手段のそれぞれについて露出評価値を算出し、算出された露出評価値と、この露出評価値に係る前記可視光手段および前記赤外光撮像手段のそれぞれの前記露光時間とに基づいて前記絞り手段の変化量と前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段それぞれの露光時間との組合せを設定する露出条件判定ステップと、前記設定された組合せに係る前記絞り手段の変化量にしたがって前記絞り手段を制御する絞り制御ステップと、前記設定された組合せに係る前記可視光撮像の露光時間に基づいて、前記可視光撮像手段の露光時間を設定する可視光系露光時間設定ステップと、前記設定された組合せに係る前記赤外光撮像の露光時間に基づいて、前記赤外光撮像手段の露光時間を設定する赤外光系露光時間設定ステップとを有することを特徴とする。
【0016】
ここで、前記露出条件判定ステップは、算出した前記露出評価値に基づいて、前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段の少なくとも一方が適正露出となる前記絞り手段の変化量と前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段それぞれの露光時間との組合せを選択対象として抽出し、その選択対象の中からいずれかの組合せを選択して設定することができる。
【0017】
このとき、前記露出条件判定ステップは、前記絞り手段の絞り状態が開放側の絞り限界に達したことを検出した場合は、前記絞り手段の開放側の変化量に係る組合せを前記選択対象から除外し、前記絞り手段の絞り状態が絞り込み側の絞り限界に達したことを検出した場合は、前記絞り手段の絞り込み側の変化量に係る組合せを前記選択対象から除外することができる。
【0018】
また、前記露出条件判定ステップは、前記抽出した組合せの中に、前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段の両方が適正露出となる組合せがある場合には、その適正露出となる組合せの中からいずれかの組合せを選択して設定し、前記抽出した組合せの中に、前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段の両方が適正露出となる組合せがない場合には、前記可視光撮像手段が適正露出となる組合せの中で最も開放側の変化量に係る組合せと、前記赤外光撮像手段が適正露出となる組合せの中で最も開放側の変化量に係る組合せのうち、より絞り込み側の変化量に係る組合せを選択して設定することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、可視光および赤外光での撮影を同時に行なう際に、現在の絞り値情報が取得できない場合であっても簡易な構成で可視光系、赤外光系とも好ましい露出を得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図2】光源毎の波長に対する相対強度の例を示す図である。
【図3】CCDの波長に対する相対感度の例を示す図である。
【図4】EV値表を示す図である。
【図5】本実施形態の露出制御処理の流れを説明するフローチャートである。
【図6】絞りとシャッター速度の組合せ候補の抽出を説明する図である。
【図7】絞りとシャッター速度の組合せ候補の補正を説明する図である。
【図8】組合せ設定の第1の方法を説明するフローチャートである。
【図9】組合せ設定の第2の方法を説明するフローチャートである。
【図10】組合せ設定の第1の方法による設定結果の例を示す図である。
【図11】組合せ設定の第2の方法による設定結果の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明を適用した撮像装置の構成を示すブロック図である。本撮像装置は、1台で可視光での撮影と赤外光での撮影とを同時に行なえるようにしており、可視光を受光する撮像素子と赤外光を受光する撮像素子を独立して備えるとともに、共通の絞り機構を1つ備えている。この撮像装置では、絞り機構を可視光系と赤外光系とで別々に設けずに、共通させることで構成を簡易にし、コストアップを防いでいる。
【0022】
本図に示すように、撮像装置10は、レンズと入射光量を調節する絞り機構12とを有する撮影光学系11と、入射光を可視光と赤外光に分離する分光光学系13と、分離された可視光を受光する、シャッター速度を調節可能な可視光撮像部14と、分離された赤外光を受光する、シャッター速度を調節可能な赤外光撮像部15と、可視光撮像部14が出力する可視光系信号に対する処理を行ない、可視光映像信号を生成する可視光系信号処理部16と、赤外光撮像部15が出力する赤外光系信号に対する処理を行ない、赤外光映像信号を生成する赤外光系信号処理部17と、シャッター速度と絞りとで定まる露出を制御する露出制御部18と、絞り機構12を駆動する絞り駆動部19とを備えている。
【0023】
撮影光学系11は、自動絞りレンズを採用している。自動絞りレンズでは、絞り機構12の現在の絞り値を取得することができない。すなわち、現在の絞り値が、例えば、F5.6であるとかF11であるとかという情報を取得することができない。このため、絞り駆動部19は、制御電圧にしたがって絞り機構12を相対的に開閉する動作を行なう。
【0024】
具体的には、現在印加されている制御電圧よりも高い電圧が印加されると、現在よりも閉じるように絞り機構12を駆動し、現在印加されている制御電圧よりも低い電圧が印加されると、現在よりも開くように絞り機構12を駆動する。このとき、制御電圧と絞り値との関係は、絞り機構12の形状やNDフィルタ併用の有無等によって異なり、直線的な特性になるとは限らない。また、絞りが開放側あるいは絞り込み側の限界に達した場合には、制御電圧を低くあるいは高く変化させても、それ以上の開閉は行なわれない。
【0025】
本実施形態において、撮影光学系11および絞り機構12を駆動する絞り駆動部19は、一般的なDCアイリスとしており、現在の絞り値に加え、開放絞り値、最小絞り値等の情報を電気的に得ることができないものとする。
【0026】
なお、多くのDCアイリスでは、絞り駆動部19に印加する制御電圧が0.5Vで絞り開放、4.5Vで絞り最小となるように設計されているが、例えば、0.7Vで絞り開放、3.3Vで絞り最小となるようなDCアイリスも存在する。このため、制御電圧に基づいて、絞りが限界に達したかどうかの判断ができる場合とできない場合とがある。
【0027】
また、開放絞り値、最小絞り値については、キャリブレーションシステム等を用いることにより取得できるようになるが、本発明は、開放絞り値、最小絞り値を取得できる場合にも取得できない場合にも適用することができる。
【0028】
分光光学系13は、ダイクロイックミラーや色分離プリズム等を用いることができる。本実施形態では、波長700nmを境界として分光するようにする。
【0029】
可視光撮像部14および赤外光撮像部15は、CCD、CMOS等の受光素子と周辺回路とを備え、可視光撮像部14は少なくとも可視光領域に感度を有し、赤外光撮像部15は少なくとも赤外光領域に感度を有するものとする。また、可視光撮像部14および赤外光撮像部15は、例えば、撮像素子から電荷を取り出す時間をコントロールすることでシャッター速度を変化させる電子シャッター方式を用いることができる。
【0030】
可視光系信号処理部16および赤外光系信号処理部17は、γ補正、輝度信号処理、色信号処理、エンコード等の一般的な信号処理を行なうことで映像信号を生成する。
【0031】
露出制御部18は、可視光撮像部14および赤外光撮像部15それぞれについて適正露出条件を判定する露出条件判定部20と、それぞれについての適正露出条件に基づいて、絞り機構12の絞りを制御する絞り制御部23と、可視光撮像部14におけるシャッター速度を設定する可視光系シャッター速度設定部21と、赤外光撮像部15におけるシャッター速度を設定する赤外光系シャッター速度設定部22とを備えている。
【0032】
露出条件判定部20は、既存の測光方式、例えば、全面平均測光を用いて露出条件を判定することができる。もちろん、中央部重点測光、多分割測光等を用いてもよい。全面平均測光では、全画面の平均輝度を算出し、あらかじめ定められた適正露光時の輝度値との比をとり、この値の2を底とする対数値をもって露出評価値とする。ここで、適正露光時の輝度値は、アナログ値であれば50IRE、デジタル8ビットの場合は118/255を用いることができる。
【0033】
例えば、平均輝度値がデジタル59/255である場合は、上述の算出法により露出評価値は−1となる。この値は測光時の絞り値とシャッター速度から得られるEV値に対して、適正露出になるように補正すべきEV値と等価である。しかしながら、本実施形態では、測光時の絞り値を取得することができないため、適正EV値の絶対値を得ることができず、適正EV値に対する補正値(=露出評価値)のみが得られることになる。
【0034】
また、露出条件判定部20は、絞り機構12の絞り状態が限界に達したことを判定するために、直前の露出評価値を記憶する評価値記憶部20aを備えている。すなわち、シャッター速度一定のまま、絞り駆動部19に印加する制御電圧を変化させた場合の露出評価値が直前の露出評価値から変化しない場合には、絞り機構12の絞り状態が限界に達したと判定することができる。なお、制御電圧値によって絞り機構12の絞り状態が限界に達したことを判断できる場合には、評価値記憶部20aは不要である。
【0035】
ここで、図2に示す光源毎の波長に対する相対強度例のグラフから分かるように、可視光と赤外光の強度分布は、光源の種類によって大きく異なる。なお、図2は、太陽光(図2(a))、蛍光灯(図2(b))、白熱灯蛍光灯(図2(c))のそれぞれについて波長に対する相対強度例を示している。
【0036】
また、図3に示すCCDの波長に対する相対感度例のグラフから分かるように、波長に対する感度分布はCCDの種類によって大きく異なる。なお、図3は、異なる種類のCCD1(図3(a))、CCD2(図3(b))について、波長に対する相対感度例を示している。
【0037】
以上の特性から、可視光と赤外光とを同時に記録する場合に、一方に適正露出を与えるように露出制御した場合に、他方が露光不足になったり飽和したりする場合が起こり得る。特に、露出オーバーになって飽和してしまうと、いわゆる白飛び状態となって後の画像処理によっても救うことができなくなってしまう。この露光不足や飽和の傾向は図2、図3に示したように光源の種類や撮像素子の感度によって変わってくるため、一律に制御することはできない。そこで、本実施形態では以下に示すような露出制御を行なうようにする。
【0038】
まず、撮像装置10の露出可能範囲について説明する。図4(a)は、公知のEV値表であり、撮像装置10の露出可能範囲は、図4(b)の網掛け部分であるとする。すなわち、可能な絞り値は、開放側絞り値F2.0、絞込み側絞り値F22とした。また、高速側のシャッター速度を1/4000秒、低速側のシャッター速度を1/60秒とした。撮像装置10は、これらの可能な絞り値とシャッター速度の組合せで露出制御を行なう。ただし、上述のように絞り値については、その値を取得することはできない。
【0039】
次に、図5のフローチャートを参照して、本実施形態における露出制御処理について説明する。まず、撮像に際し、露出条件判定部20が可視光撮像部14および赤外光撮像部15の露出評価値を算出する(S101)。露出評価値の算出は、上述の手順によって行なうことができる。すなわち、現在の絞り機構12の絞りと、現在の可視光撮像部14のシャッター速度で測光を行ない、可視光撮像部14の露出評価値を算出する。また、現在の絞り機構12の絞りと、現在の赤外光撮像部15のシャッター速度で測光を行ない、赤外光撮像部15の露出評価値を算出する。
【0040】
次に、露出条件判定部20は、算出された露出評価値に基づいて、可視光系と赤外光系のそれぞれについて、適正露出を与える絞りとシャッター速度との組合せおよびその周辺の組合せを組合せ候補として抽出する(S102)。ここで、絞りは現在の絞りに対する相対値で表わし、シャッター速度は絶対値で表わすものとする。
【0041】
例えば、露出評価値を算出した際の可視光系のシャッター速度が1/1000で、露出評価値が±0であり、赤外光系のシャッター速度が1/1000で、露出評価値が−2であったときの組合せ候補の抽出について図6(a)を参照して説明する。この場合、可視光系と赤外光系との差は2EVである。
【0042】
まず、可視光系について説明する。可視光系では、シャッター速度1/1000で露出評価値が±0であるため、絞りを変化させないとすると、シャッター速度は1/1000のままで適正露出が得られることになる。また、絞りを現在より1EV開くとすると、シャッター速度は1/2000で適正露出が得られる。同様に、絞りを2EV開くとすると、シャッター速度は1/4000で適正露出が得られる。しかし、絞りを3EV開くとすると、シャッター速度は1/8000で適正露出が得られるが、シャッター速度の上限が1/4000であるため、適正露出は得られず、露出評価値は+1になる。
【0043】
逆に、絞りを現在より1EV閉じるとすると、シャッター速度は1/500で適正露出が得られる。同様に、絞りを2EV閉じるとすると、シャッター速度は1/250で適正露出が得られ、絞りを3EV閉じるとすると、シャッター速度は1/125で適正露出が得られ、絞りを4EV閉じるとすると、シャッター速度は1/60で適正露出が得られることになる。
【0044】
次に、赤外光系について説明する。赤外光系では、シャッター速度1/1000で露出評価値が−2であるため、絞りを変化させないとすると、シャッター速度は2段遅くした1/250で適正露出が得られることになる。また、絞りを現在より1EV開くとすると、シャッター速度は1/500で適正露出が得られる。同様に、絞りを2EV開くとすると、シャッター速度は1/1000で適正露出が得られ、絞りを3EV開くとすると、シャッター速度は1/2000で適正露出が得られる。
【0045】
逆に、絞りを現在より1EV閉じるとすると、シャッター速度は1/125で適正露出が得られる。同様に、絞りを2EV閉じるとすると、シャッター速度は1/60で適正露出が得られる。しかし、絞りを3EV閉じるとすると、シャッター速度は1/30で適正露出が得られるが、シャッター速度の下限が1/60であるため、適正露出は得られず、露出評価値は−1になる。同様に、絞りを4EV閉じるとすると、シャッター速度は1/60で、露出評価値は−2となる。
【0046】
別の例として、露出評価値を算出した際の可視光系のシャッター速度が1/1000で、露出評価値が+1であり、赤外光系のシャッター速度が1/500で、露出評価値が−5であったときの組合せ候補の抽出について図6(b)を参照して説明する。この場合、可視光系と赤外光系との差は6EVである。
【0047】
まず、可視光系について説明する。可視光系では、シャッター速度が1/1000で露出評価値が+1であるため、絞りを変化させないとすると、シャッター速度は1段速くした1/2000で適正露出が得られることになる。また、絞りを現在より1EV開くとすると、シャッター速度は1/4000で適正露出が得られる。しかし、シャッター速度の上限が1/4000であるため、絞りを2EV開くとすると、露出評価値は+1になり、絞りを3EV開くとすると、露出評価値は+2になり、絞りを4EV開くとすると、露出評価値は+3になり、絞りを5EV開くとすると、露出評価値は+4になる。
【0048】
逆に、絞りを現在より1EV閉じるとすると、シャッター速度は1/1000で適正露出が得られる。同様に、絞りを2EV閉じるとすると、シャッター速度は1/500で適正露出が得られることになる。
【0049】
次に、赤外光系について説明する。赤外光系では、シャッター速度が1/1000で露出評価値が−5であるため、絞りを変化させないとすると、シャッター速度は5段遅くした1/15で適正露出が得られることになる。しかし、シャッター速度の下限は1/60であるため、露出評価値は−2となる。また、絞りを現在より1EV開くとすると、シャッター速度1/60で露出評価値−1となる。そして、絞りを現在より2EV開くとすると、シャッター速度1/60で適正露出が得られることになる。同様に、絞りを3EV開くとすると、シャッター速度は1/125で適正露出が得られ、絞りを4EV開くとすると、シャッター速度は1/250で適正露出が得られ、絞りを5EV開くとすると、シャッター速度は1/500で適正露出が得られる。
【0050】
逆に、絞りを現在より1EV閉じるとすると、シャッター速度1/60で露出評価値−3となり、絞りを2EV閉じるとすると、シャッター速度1/60で露出評価値−4となる。
【0051】
以上に示したように適正露出を与える絞りとシャッター速度との組合せおよび周辺の組合せを組合せ候補として抽出すると、露出条件判定部20は、絞り機構12が開放側あるいは絞り込み側で絞り限界の状態にあるかどうかを判定する(S103)。
【0052】
絞り駆動部19に印加する制御電圧によって絞り機構12が絞り限界であることを判別できる場合には、制御電圧に基づいて絞り限界の状態にあるかどうかを判定する。例えば、撮影光学系11の特性情報が既知であり、制御電圧が0.5Vで開放、4.5Vで最小絞り込みとなる撮影光学系11であれば、制御電圧が0.5Vあるいは4.5Vであるかによって絞り限界を判定することができる。
【0053】
撮影光学系11の特性情報が得られず、制御電圧によって絞り機構12が絞り限界であることを判別できない場合には、評価値記憶部20aに記憶した直前の露出評価値と、最新に算出した露出評価値とを比較することによって、絞り機構12が開放側あるいは絞り込み側で絞り限界の状態であるかどうかを判定することができる。
【0054】
具体的には、絞り機構12を開放側に制御したにもかかわらず、露出評価値が変化していない場合には、開放側の絞り限界に達していると判定することができる。逆に、絞り機構12を絞り込み側に制御したにもかかわらず、露出評価値が変化していない場合には、絞り込み側の絞り限界に達していると判定することができる。なお、この判定は、直前の露出評価値が評価値記憶部20aに記憶されている場合に有効である。このため、制御の開始時においてはこの判定は行なわない。
【0055】
絞り限界に達している場合には、取り得ない組合せ候補を除外することで、抽出した組合せ候補を補正する(S104)。例えば、図6(a)に示した例の場合に、絞りが開放側の限界に達している場合には、図7(a)の網掛け部分に示すように、開放側の組合せを候補から除く補正を行なう。逆に、絞りが絞り込み側の限界に達している場合には、図7(b)の網掛け部分に示すように、絞り込み側の組合せを候補から除く補正を行なう。絞り限界に達していない場合には、これらの補正は不要である。
【0056】
そして、露出条件判定部20は、残った組合せ候補の中から、1つの組合せを選択して設定する(S105)。本実施形態では、組合せの設定方法として、第1の方法と第2の方法とを説明する。
【0057】
まず、図8のフローチャートを参照して、組合せ設定の第1の方法について説明する。組合せ設定の第1の方法では、可視光系、赤外光系とも露出評価値±0の適正露出の組合せ候補があるかどうかを判断する(S201)。
【0058】
その結果、両系とも適正露出の組合せがある場合(S201:Yes)には、両系とも適正露出の組合せの中からいずれかの組合せを設定する(S202)。ここで、両系とも適正露出の組合せのどの組合せを採用するかは、状況や撮像装置10の監視目的等に応じて決定することができる。
【0059】
例えば、監視対象が奥行きの広い範囲である場合には、被写界深度が深くなるように、両系とも適正露出の組合せの中で絞り込み側の組合せを設定することができる。また、監視対象物の動きが速い場合には被写体ブレを防ぐために、両系とも適正露出の組合せの中で開放側の組合せを設定することができる。これらの組合せは、可視光系、赤外光系とも露出評価値±0となるため、簡易な構成で可視光系、赤外光系とも適正な露出を得ることができる。
【0060】
一方、両系とも適正露出の組合せがない場合(S201:No)には、可視光系、赤外光系それぞれの適正露出の最小相対F値(開放側)のうち、大きい方(絞り込み側)の相対F値を含む組合せを設定する(S203)。この組合せは、いずれか一方の系が適正露出となり、他方の系が飽和を防ぎなるべく明るくなるような露出となるため、簡易な構成で可視光系、赤外光系とも好ましい露出を得ることができる。
【0061】
例えば、図10(a)に示したような組合せ候補で第1の方法を適用した場合について説明する。本図の例では、2EV開から2EV閉までの組合せ候補において両系とも適正露出となっている。このため、2EV開から2EV閉までのいずれの組合せも設定することができる。
【0062】
また、図10(b)に示したような組合せ候補で第1の方法を適用した場合について説明する。本図の例では、両系とも適正露出の組合せ候補がない。そして、可視光系において適正露出の最小相対F値は1EV開である。一方、赤外光系において適正露出の最小相対F値は5EV開以下である。このため、絞り込み側(相対F値の大きい方)の1EV開を含む組合せを設定する。
【0063】
次に、図9のフローチャートを参照して、組合せ設定の第2の方法について説明する。組合せ設定の第2の方法でも、可視光系、赤外光系とも露出評価値±0の適正露出の組合せ候補があるかどうかを判断する(S301)。
【0064】
その結果、両系とも適正露出の組合せ候補がある場合(S301:Yes)には、両系とも適正露出の組合せの中から、最も相対F値の大きい(絞り込み側)絞り値を含む組合せを設定する(S302)。絞り値設定の第2の方法では、適正露出の範囲内で可能な限り絞り込むことによって、レンズ収差の影響を低減することができる。特に、屈折率の小さい赤外光側のレンズ収差の影響を抑止し、先鋭度の高い映像を得ることができる。
【0065】
一方、両系とも適正露出の組合せ候補がない場合(S301:No)には、第1の方法と同様に、可視光系、赤外光系それぞれの適正露出の最小F値(開放側)のうち、大きい方(絞り込み側)の相対F値を含む組合せを設定する(S303)。この組合せは、いずれか一方の系が適正露出となり、他方の系が飽和を防ぎなるべく明るくなるような露出となるため、簡易な構成で可視光系、赤外光系とも好ましい露出を得ることができる。
【0066】
例えば、図11(a)に示したような組合せで第2の方法を適用した場合について説明する。本図の例では、2EV開から2EV閉までの組合せ候補において両系とも適正露出となっている。このため、最も絞り込み側の2EV閉を設定する。
【0067】
また、図11(b)に示したような組合せで第2の方法を適用した場合について説明する。本図の例では、両系とも適正露出の組合せ候補がない。そして、可視光系において適正露出の最小相対F値は1EV開である。一方、赤外光系において適正露出の最小相対F値は5EV開以下である。このため、絞り込み側(相対F値の大きい方)の1EV開を含む組合せを設定する。
【0068】
図5のフローチャートの説明に戻って、上述の手順によって組合せが設定されると、可視光系、赤外光系のそれぞれについて設定された組合せに対応したシャッター速度を設定する(S106)。
【0069】
また、設定された組合せに対応した方向に絞りを駆動する(S107)。ここで、撮影光学系11の特性情報が既知あるいは特定でき、相対絞り値に基づいて絞り値を制御できる場合には、設定された組合せに対応した絞り値に直接変化させる。一方、撮影光学系11の特性情報が得られない場合には、例えば、0.1V等の所定の制御電圧で絞り駆動部19を駆動させる。
【0070】
そして、設定したシャッター速度と、変化後の絞りとで可視光系と赤外光系との撮像を同時に実行する(S108)。そして、この時の可視光撮像部14および赤外光撮像部15の露出評価値を算出する(S109)。この結果、算出された両系の露出評価値が、上記の手順にしたがって設定された組合せの露出評価値に収束している場合(S110:Yes)には、可視光系、赤外光系とも好ましい露出が得られており、制御を終了する。
【0071】
一方、算出された両系の露出評価値が、設定された組合せの露出評価値に収束していない場合(S110:No)には、最新の露出評価値を評価値記憶部20aに記憶させ(S111)、処理(S102)以降の処理を、露出評価値が収束するまで繰り返し行なう。ただし、制御電圧に基づいて絞り限界の状態にあるかどうかを判定できる場合には、評価値記憶部20aへの露出評価値の記憶は不要である。
【0072】
なお、露出評価値が収束していない場合、処理の繰り返し毎に組合せ候補を抽出して設定し直すのではなく、設定した組合せを固定したまま、絞りを段階的に変化させて露出評価値を収束させるようにしてもよい。この場合は、収束させる途中で絞りが限界に達したことを検出したときに、最新の露出評価値で組合せ候補を再抽出し、再設定するようにする。
【0073】
以上説明したように、単独の絞り機構12を備えた撮像装置10は、可視光撮像部14、赤外光撮像部15の双方に適正な露出を与える絞りとシャッター速度を可能な限り設定するようにし、双方に適正な露出を与える絞りとシャッター速度が得られない場合には、いずれか一方に適正露出を与え、他方が飽和を防ぎ、なるべく明るくなるような露出とすることで、現在の絞り値情報が取得できない場合であっても簡易な構成で可視光系、赤外光系とも好ましい露出を得られるようにしている。
【符号の説明】
【0074】
10…撮像装置
11…撮影光学系
12…絞り機構
13…分光光学系
14…可視光撮像部
15…赤外光撮像部
16…可視光系信号処理部
17…赤外光系信号処理部
18…露出制御部
19…絞り駆動部
20…露出条件判定部
20a…評価値記憶部
21…可視光系シャッター速度設定部
22…赤外光系シャッター速度設定部
23…絞り制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絞り手段を介して入射する入射光から分光された可視光を受光し設定された露光時間にしたがって撮像する可視光撮像手段、および前記入射光から分光された赤外光を受光し設定された露光時間にしたがって撮像する赤外光撮像手段のそれぞれについて露出評価値を算出し、算出された露出評価値と、この露出評価値に係る前記可視光手段および前記赤外光撮像手段のそれぞれの前記露光時間とに基づいて前記絞り手段の変化量と前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段それぞれの露光時間との組合せを設定する露出条件判定手段と、
前記設定された組合せに係る前記絞り手段の変化量にしたがって前記絞り手段を制御する絞り制御手段と、
前記設定された組合せに係る前記可視光撮像の露光時間に基づいて、前記可視光撮像手段の露光時間を設定する可視光系露光時間設定手段と、
前記設定された組合せに係る前記赤外光撮像の露光時間に基づいて、前記赤外光撮像手段の露光時間を設定する赤外光系露光時間設定手段とを備えたことを特徴とする露光量制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の露光量制御装置であって、
前記露出条件判定手段は、算出した前記露出評価値に基づいて、前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段の少なくとも一方が適正露出となる前記絞り手段の変化量と前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段それぞれの露光時間との組合せを選択対象として抽出し、その選択対象の中からいずれかの組合せを選択して設定することを特徴とする露光量制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の露光量制御装置であって、
前記露出条件判定手段は、
前記絞り手段の絞り状態が開放側の絞り限界に達したことを検出した場合は、前記絞り手段の開放側の変化量に係る組合せを前記選択対象から除外し、
前記絞り手段の絞り状態が絞り込み側の絞り限界に達したことを検出した場合は、前記絞り手段の絞り込み側の変化量に係る組合せを前記選択対象から除外することを特徴とする露光量制御装置。
【請求項4】
請求項2に記載の露光量制御装置であって、
前記露出条件判定手段は、前記抽出した組合せの中に、前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段の両方が適正露出となる組合せがある場合には、その適正露出となる組合せの中からいずれかの組合せを選択して設定し、
前記抽出した組合せの中に、前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段の両方が適正露出となる組合せがない場合には、前記可視光撮像手段が適正露出となる組合せの中で最も開放側の変化量に係る組合せと、前記赤外光撮像手段が適正露出となる組合せの中で最も開放側の変化量に係る組合せのうち、より絞り込み側の変化量に係る組合せを選択して設定することを特徴とする露光量制御装置。
【請求項5】
絞り手段を介して入射する入射光から分光された可視光を受光し設定された露光時間にしたがって撮像する可視光撮像手段、および前記入射光から分光された赤外光を受光し設定された露光時間にしたがって撮像する赤外光撮像手段のそれぞれについて露出評価値を算出し、算出された露出評価値と、この露出評価値に係る前記可視光手段および前記赤外光撮像手段のそれぞれの前記露光時間とに基づいて前記絞り手段の変化量と前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段それぞれの露光時間との組合せを設定する露出条件判定ステップと、
前記設定された組合せに係る前記絞り手段の変化量にしたがって前記絞り手段を制御する絞り制御ステップと、
前記設定された組合せに係る前記可視光撮像の露光時間に基づいて、前記可視光撮像手段の露光時間を設定する可視光系露光時間設定ステップと、
前記設定された組合せに係る前記赤外光撮像の露光時間に基づいて、前記赤外光撮像手段の露光時間を設定する赤外光系露光時間設定ステップとを有することを特徴とする露光量制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の露光量制御方法であって、
前記露出条件判定ステップは、算出した前記露出評価値に基づいて、前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段の少なくとも一方が適正露出となる前記絞り手段の変化量と前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段それぞれの露光時間との組合せを選択対象として抽出し、その選択対象の中からいずれかの組合せを選択して設定することを特徴とする露光量制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の露光量制御方法であって、
前記露出条件判定ステップは、
前記絞り手段の絞り状態が開放側の絞り限界に達したことを検出した場合は、前記絞り手段の開放側の変化量に係る組合せを前記選択対象から除外し、
前記絞り手段の絞り状態が絞り込み側の絞り限界に達したことを検出した場合は、前記絞り手段の絞り込み側の変化量に係る組合せを前記選択対象から除外することを特徴とする露光量制御方法。
【請求項8】
請求項6に記載の露光量制御方法であって、
前記露出条件判定ステップは、前記抽出した組合せの中に、前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段の両方が適正露出となる組合せがある場合には、その適正露出となる組合せの中からいずれかの組合せを選択して設定し、
前記抽出した組合せの中に、前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段の両方が適正露出となる組合せがない場合には、前記可視光撮像手段が適正露出となる組合せの中で最も開放側の変化量に係る組合せと、前記赤外光撮像手段が適正露出となる組合せの中で最も開放側の変化量に係る組合せのうち、より絞り込み側の変化量に係る組合せを選択して設定することを特徴とする露光量制御方法。
【請求項1】
絞り手段を介して入射する入射光から分光された可視光を受光し設定された露光時間にしたがって撮像する可視光撮像手段、および前記入射光から分光された赤外光を受光し設定された露光時間にしたがって撮像する赤外光撮像手段のそれぞれについて露出評価値を算出し、算出された露出評価値と、この露出評価値に係る前記可視光手段および前記赤外光撮像手段のそれぞれの前記露光時間とに基づいて前記絞り手段の変化量と前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段それぞれの露光時間との組合せを設定する露出条件判定手段と、
前記設定された組合せに係る前記絞り手段の変化量にしたがって前記絞り手段を制御する絞り制御手段と、
前記設定された組合せに係る前記可視光撮像の露光時間に基づいて、前記可視光撮像手段の露光時間を設定する可視光系露光時間設定手段と、
前記設定された組合せに係る前記赤外光撮像の露光時間に基づいて、前記赤外光撮像手段の露光時間を設定する赤外光系露光時間設定手段とを備えたことを特徴とする露光量制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の露光量制御装置であって、
前記露出条件判定手段は、算出した前記露出評価値に基づいて、前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段の少なくとも一方が適正露出となる前記絞り手段の変化量と前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段それぞれの露光時間との組合せを選択対象として抽出し、その選択対象の中からいずれかの組合せを選択して設定することを特徴とする露光量制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の露光量制御装置であって、
前記露出条件判定手段は、
前記絞り手段の絞り状態が開放側の絞り限界に達したことを検出した場合は、前記絞り手段の開放側の変化量に係る組合せを前記選択対象から除外し、
前記絞り手段の絞り状態が絞り込み側の絞り限界に達したことを検出した場合は、前記絞り手段の絞り込み側の変化量に係る組合せを前記選択対象から除外することを特徴とする露光量制御装置。
【請求項4】
請求項2に記載の露光量制御装置であって、
前記露出条件判定手段は、前記抽出した組合せの中に、前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段の両方が適正露出となる組合せがある場合には、その適正露出となる組合せの中からいずれかの組合せを選択して設定し、
前記抽出した組合せの中に、前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段の両方が適正露出となる組合せがない場合には、前記可視光撮像手段が適正露出となる組合せの中で最も開放側の変化量に係る組合せと、前記赤外光撮像手段が適正露出となる組合せの中で最も開放側の変化量に係る組合せのうち、より絞り込み側の変化量に係る組合せを選択して設定することを特徴とする露光量制御装置。
【請求項5】
絞り手段を介して入射する入射光から分光された可視光を受光し設定された露光時間にしたがって撮像する可視光撮像手段、および前記入射光から分光された赤外光を受光し設定された露光時間にしたがって撮像する赤外光撮像手段のそれぞれについて露出評価値を算出し、算出された露出評価値と、この露出評価値に係る前記可視光手段および前記赤外光撮像手段のそれぞれの前記露光時間とに基づいて前記絞り手段の変化量と前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段それぞれの露光時間との組合せを設定する露出条件判定ステップと、
前記設定された組合せに係る前記絞り手段の変化量にしたがって前記絞り手段を制御する絞り制御ステップと、
前記設定された組合せに係る前記可視光撮像の露光時間に基づいて、前記可視光撮像手段の露光時間を設定する可視光系露光時間設定ステップと、
前記設定された組合せに係る前記赤外光撮像の露光時間に基づいて、前記赤外光撮像手段の露光時間を設定する赤外光系露光時間設定ステップとを有することを特徴とする露光量制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の露光量制御方法であって、
前記露出条件判定ステップは、算出した前記露出評価値に基づいて、前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段の少なくとも一方が適正露出となる前記絞り手段の変化量と前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段それぞれの露光時間との組合せを選択対象として抽出し、その選択対象の中からいずれかの組合せを選択して設定することを特徴とする露光量制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の露光量制御方法であって、
前記露出条件判定ステップは、
前記絞り手段の絞り状態が開放側の絞り限界に達したことを検出した場合は、前記絞り手段の開放側の変化量に係る組合せを前記選択対象から除外し、
前記絞り手段の絞り状態が絞り込み側の絞り限界に達したことを検出した場合は、前記絞り手段の絞り込み側の変化量に係る組合せを前記選択対象から除外することを特徴とする露光量制御方法。
【請求項8】
請求項6に記載の露光量制御方法であって、
前記露出条件判定ステップは、前記抽出した組合せの中に、前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段の両方が適正露出となる組合せがある場合には、その適正露出となる組合せの中からいずれかの組合せを選択して設定し、
前記抽出した組合せの中に、前記可視光撮像手段および前記赤外光撮像手段の両方が適正露出となる組合せがない場合には、前記可視光撮像手段が適正露出となる組合せの中で最も開放側の変化量に係る組合せと、前記赤外光撮像手段が適正露出となる組合せの中で最も開放側の変化量に係る組合せのうち、より絞り込み側の変化量に係る組合せを選択して設定することを特徴とする露光量制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−19143(P2011−19143A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−163278(P2009−163278)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】
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