説明

静電式液体状態検知センサ

【課題】感度がよく、応答性がよい液体の状態を検知する液体レベルセンサの提供を目的とする。
【解決手段】液体レベルセンサ1は、互いが、所定間隔で水平方向に交差する伸延方向に延びるギャップを形成する形態に配置された第1電極32、第21電極33b及び第22電極33cと、誘電体からなり、上記伸延方向に延びる内部空間Gを含み、上記第1電極32、第21電極33b及び第22電極33cを上記内部空間G内に収容して包囲するセンサキャップ11とを有している。水平方向の仮想断面において、センサキャップ11は、第1ギャップ周囲部12bから離れるほど第21電極33bに近づく部分と、第2ギャップ周囲部12cから離れるほど第22電極33cに近づく部分を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の状態を検知する静電式液体状態検知センサに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなタイプの静電式液体状態検知センサとしては、特許文献1で示される容量型液面測定装置(センサ)が知られている。このセンサは、自動車の内燃機関内に潤滑オイルの液面測定に用いられる。
特許文献1のセンサは、長く延びた支持体上に同一平面上に並ぶようにして配置された一対の金属箔からなる測定電極を有している。このセンサでは、測定電極と、測定電極間のギャップとで構成される測定コンデンサを用いる。即ち、このセンサを浸漬している液位が変化して、電極間のギャップのうち空気中にあった部分が、液体に浸漬されると、電極間に発生する電気力線のうち空気中を通っていた電気力線が液体中を通ることになる。すると、この電気力線が通る部分の誘電率が変化するため、測定コンデンサの静電容量が変化する。このセンサでは、このような静電容量の変化を用いることで、液位の変化を検知している。
ところで、自動車の内燃機関の駆動により、内燃機関内のオイルは波立った状態、あるいは、泡立った状態になりがちである。
そこで、このセンサでは、略筒状の本体(電極包囲部材)で測定コンデンサを形成する測定電極やギャップを覆って、本体の下端で本体の内部と外部とのオイルの流通を行わせると共に、その液体の流通量を制限している。これにより、波による液位の変動や、泡による液位の誤検知を防止している。
(特許文献1)
【特許文献1】特開昭55−119018号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、エンジンの整備時におけるオイルの注入や排出の場合にも、このセンサを用いてオイルの液位の適否を判定したいとの要求がある場合がある。この場合には、電極包囲部材内の液位も速やかに追従することが求められている。このためには、オイルの注入、排出に伴う、大幅な液位の変動に対して、センサの電極包囲部材内部の容積を小さくし、少量のオイルの流通で、センサ外部における液位を電極包囲部材内の液位に反映可能とするとよい。
このような電極包囲部材の形態としては、例えば、電極包囲部材の内周面を電極の直近に配置する形態が挙げられる。
しかしながら、このように電極包囲部材を電極の直近に配置した形態のセンサでは、同一平面上に配置された電極間に発生する電気力線のうち電極及びギャップのうちで空気中に出ている部分で生じる電気力線について見ると、空気よりも誘電率の高い電極包囲部材が近くに存在するため、この電極包囲部材内を通過する経路を取る電気力線が増加する。すると、電極包囲部材が遠くに位置する場合よりも電極間に構成される測定コンデンサの静電容量が増加する。一方、液位が上がって、空気がオイルに置き換わった場合には、空気と電極包囲部材との誘電率の違いよりもオイルと電極包囲部材との誘電率の違いは少ないため、電極包囲部材の位置は、測定コンデンサの静電容量に影響しない。従って、電極包囲部材が電極の近くに存在すると、液位が低く、電極が空気で囲まれている場合と、液位が高く電極がオイルで囲まれている場合の測定コンデンサの静電容量の差(ダイナミックレンジ)が小さくなり、センサの液位変化の感度が低下して好ましくない。
【0004】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、センサの感度の低下を抑えつつ
、良好な応答性を有する静電式液体状態検知センサの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
その解決手段は、液体に少なくとも自身の一部を浸漬して、上記液体の状態を検知する静電式液体状態検知センサであって、互いが、所定間隔を有し水平方向に交差する伸延方向に延びるギャップを形成する形態に配置された第1電極及び第2電極と、誘電体からなり、上記伸延方向に延びる内部空間を含み、上記第1電極及び第2電極を上記内部空間内に収容して包囲する電極包囲部材と、を備え、上記電極包囲部材は、上記伸延方向に直交する仮想断面において、上記ギャップの周囲に位置するギャップ周囲部と、上記第1電極の周囲であって上記ギャップ周囲部に隣接する第1電極周囲部と、上記第2電極の周囲であって上記ギャップ周囲部に隣接する第2電極周囲部と、を有し、上記電極包囲部材は、上記仮想断面において、上記第1電極周囲部が、上記ギャップ周囲部に隣接して、このギャップ周囲部から離れるほど上記第1電極に近づく第1接近部を含むか、上記第2電極周囲部が、上記ギャップ周囲部に隣接して、このギャップ周囲部から離れるほど上記第2電極に近づく第2接近部を含むかの少なくともいずれかとした形態を有する静電式液体状態検知センサである。
【0006】
本発明の静電式液体状態検知センサでは、電極包囲部材は、仮想断面において、第1電極周囲部が、第1接近部を含むか、第2電極周囲部が、第2接近部を含むかの少なくともいずれかとした形態とされてなる。一般に電極間に生じる電気力線はギャップのうち両者の最も接近した部分に集中し、ギャップから離れるほど疎になる形で発生する。従って、電極包囲部材のうちギャップの周囲であるギャップ周囲部については、ギャップから遠ざけるように配置することで、この部分による静電容量の増加を防止できる。一方、第1電極と第1電極周囲部との間の空間においては、ギャップから離れるほど、電気力線は疎になる。従って、第1電極周囲部については、ギャップ周囲部に隣接して、このギャップ周囲部から離れるほど第1電極に近づく第1接近部を設けても、これによる静電容量の増加は少ない。一方、第1接近部を設けたことにより、電極包囲部材の内容積を減少させることが出来る。第2接近部についても同様である。かくして、センサの感度の低下を抑え、良好な応答性を有する静電式液体状態検知センサとなし得る。
【0007】
本発明の静電式液体状態検知センサで検知する液体の状態としては、液体の液位の高低及び誘電率の高低などが挙げられる。
【0008】
第1、第2電極としては、所定間隔を有し、水平方向に交差する伸延方向に延びるギャップを形成していれば、いずれの形態のものでも良い。例えば、ポリイミドなどのフィルム内や基板上に所定間隔で同一平面上に配置した一対の電極や所定間隔で配置された一対の棒状あるいは平板状の電極などが挙げられる。
【0009】
電極包囲部材としては、誘電体であればよいが、電極包囲部材の材質の誘電率が高くなると、電極包囲部材を電気力線が通りやすくなり、電気力線の分布に与える影響が大きくなるため、その誘電率は低いほうが好ましい。例えば、具体的には66ナイロンなどの樹脂からなるものが挙げられる。
【0010】
また、上記の静電式液体状態検知センサであって、前記第1電極から前記ギャップ周囲部までの距離、及び前記第2電極から上記ギャップ周囲部までの距離はいずれも上記第1電極と第2電極との間の電極間距離よりも大きい静電式液体状態検知センサとすると良い。
【0011】
電極包囲部材の誘電率は、空気の誘電率より大きく空気よりも電気力線が通りやすい。このため、電極間距離よりも第1電極あるいは第2電極とギャップ周囲部との間の距離が
小さくなるほど、第1電極と第2電極との間に生じる電気力線のうち、ギャップ周囲部など電極包囲部材を通る電気力線の量が極端に増え、ギャップ周囲部が近くに位置している場合には、逆に、内部空間のみを通る電気力線が少なくなる。このため、センサの感度が特に低くなる虞がある。
これに対して、この発明の静電式液体状態検知センサでは、第1電極からギャップ周囲部の距離、第2電極からギャップ周囲部の距離のいずれも第1電極と第2電極との間の電極間距離よりも大きい。このため、電極包囲部材が第1、第2電極間の電気力線の分布に与える影響を抑え、良好な感度を有する静電式液体状態検知センサとなし得る。
【0012】
また、上記のいずれかに記載の静電式液体状態検知センサであって、前記第2電極は、第21電極と、上記第21電極とは前記第1電極を挟んで互いに逆側に配置された第22電極とを含み、前記ギャップは、上記第1電極と第21電極とで形成される第1ギャップと、上記第1電極と第22電極とで形成される第2ギャップとを含み、上記第1電極と上記第21電極とは、所定間隔で前記伸延方向に延びる上記第1ギャップを形成するように配置されてなり、上記第1電極と上記第22電極とは、所定間隔で上記伸延方向に延びる上記第2ギャップを形成するように配置されてなり、前記仮想断面において、上記電極包囲部材のうち、前記ギャップ周囲部は、上記第1ギャップの周囲に位置する第1ギャップ周囲部と、上記第2ギャップの周囲に位置する第2ギャップ周囲部とを含み、前記第2電極周囲部は、上記第21電極の周囲であって上記第1ギャップ周囲部に隣接する第21電極周囲部と、上記第22電極の周囲であって上記第2ギャップ周囲部に隣接する第22電極周囲部とを含み、前記第2接近部は、第21接近部と、第22接近部とを含み、上記第21電極周囲部のうち、上記第1ギャップ周囲部に隣接して、この第1ギャップ周囲部から離れるほど上記第21電極に近づく上記第21接近部と、上記第22電極周囲部のうち、上記第2ギャップ周囲部に隣接して、この第2ギャップ周囲部から離れるほど上記第22電極に近づく上記第22接近部とを含む形態を有する静電式液体状態検知センサとすると良い。
【0013】
本発明の静電式液体状態検知センサでは、第2電極は、第21電極と、第21電極とは第1電極を挟んで互いに逆側に配置された第22電極とを含み、第1電極と第21電極とで第1ギャップを形成し、第1電極と第22電極とで第2ギャップを形成している。このため、本発明では、第1電極と第21電極及び第1ギャップとで構成されるコンデンサと、第1電極と第22電極及び第2ギャップとで構成されるコンデンサの2組のコンデンサを用いることができる。従って、これらを併せて用いることで、液位の変化に対する静電容量の変化量が増えるため、1組のコンデンサを用いる場合よりも感度を上げることができる。
【0014】
また、この静電式液体状態検知センサでは、電極包囲部材は、仮想断面において、第21電極周囲部が、第21接近部を含み、第22電極周囲部が、第22接近部を含む形態を有する。前述のように電極間に生じる電気力線はギャップのうち両者の最も接近した部分に集中し、ギャップから離れるほど疎になる形で発生する。従って、電極包囲部材のうち第1ギャップの周囲である第1ギャップ周囲部については、第1ギャップから遠ざけるように配置することで、この部分による静電容量の増加を防止できる。一方、第21電極と第21電極周囲部との間の空間においては、第1ギャップから離れるほど、電気力線は疎になる。従って、第21電極周囲部については、第1ギャップ周囲部に隣接して、この第1ギャップ周囲部から離れるほど第21電極に近づく第21接近部を設けても、これによる静電容量の増加は少ない。一方、第21接近部を設けたことにより、電極包囲部材の内容積を減少させることが出来る。第22接近部についても同様である。かくして、センサの感度の低下を抑え、良好な応答性を有する静電式液体状態検知センサとなし得る。
【0015】
さらに、上記のいずれか1項に記載の静電式液体状態検知センサであって、前記電極包囲部材は、前記ギャップ周囲部、及び、前記第1接近部と第2接近部のうち存在するものの形態を、または、前記第1ギャップ周囲部、第2ギャップ周囲部、第21接近部、及び第22接近部の形態を、前記伸延方向について同じに保ちつつ、自身の内周面形状が、前記第1電極と第2電極との間隔方向、または第1電極と第21電極との間隔方向について、上記伸延方向の上方ほど幅狭となる形態とされて、上記電極包囲部材の上記伸延方向単位寸法当たりの内容積が上記伸延方向の上方ほど小さくされてなる静電式液体状態検知センサとすると良い。
【0016】
本発明の静電式液体状態検知センサでは、電極包囲部材のうち、ギャップ周囲部、及び、第1接近部と第2接近部のうち存在するものの形態を、または、第1ギャップ周囲部、第2ギャップ周囲部、第21接近部、及び第22接近部の形態を、伸延方向について、同じに保ちっている。
このため、第1電極と第2電極との間との間に発生する電気力線が、キャップ周囲部及び第1,第2接近部から受ける影響、あるいは、第1電極と第21電極及び第22電極との間に発生する電気力線が、第1,第2ギャップ周囲部及び第21,22接近部から受ける影響は、伸延方向についての位置(伸延方向の高さ)によって変化しない。従って、電極包囲部材内に流入した液体の液位などの液体状態を計測する場合に、ギャップ周囲部や第1,第2接近部の影響の変化、あるいは、第1,第2ギャップ周囲部及び第21,22接近部から受ける影響の変化を考慮する必要が無く、容易に液位等の液体状態を計測することができる。
【0017】
しかも、この電極包囲部材の内周面形状が、第1電極と第2電極との、または第1電極と第21電極との間隔方向について、上方ほど幅狭となる形態とされて、伸延方向単位寸法当たり内容積が小さくされてなる。
このため、本発明の静電式液体状態検知センサによれば、このセンサを取り付けたオイルパンなどの液体容器に液体を注ぎ、この電極包囲部材内に液体を流入させると、センサ周囲の液位が高くなるほど、少量の液体が電極包囲部材内に流入しただけで液位が上がるから、液位が高くなった場合に応答性が特に良好になる。
【0018】
常温下や寒冷下において、粘度の高くなったオイルをエンジンのオイルパンに注入し、この静電式液体状態検知センサで、オイルの液位や特性を計測する場合には、オイルの粘性によって、このセンサの電極包囲部材内にオイルが流入しにくい状態となりがちである。このような場合でも本発明のセンサによれば、センサ周囲のオイルの液位が上がるほど、少量のオイルが電極包囲部材内に流入しただけで、電極包囲部材内の液位が追従して上がることとなり、センサの応答性が良好となる。特に液位が高くなって、適正な液位に近づいた場合(つまり、オイルの注入を止める時期が近づいた場合)など、液位が高くなった場合に、応答性が良好となるので、適切な液位などを検知しやすい静電式液体状態検知センサとなる。
【0019】
なお、「第1接近部及び第2接近部のうち存在するもの」とは、具体的には、第1接近部のみが存在する場合にはこの第1接近部を、第2接近部のみが存在する場合にはこの第2接近部を、また、第1接近部及び第2接近部の両者が存在する場合にはこの両者を、それぞれ指す。
【0020】
さらに、上記静電式液体状態検知センサであって、前記電極包囲部材は、自身の外周面形状が、前記第1電極と第2電極との間隔方向について、または上記第1電極と前記第21電極との間隔方向について、上記伸延方向の上方ほど幅狭となる形態とされてなる静電式液体状態検知センサとすると良い。
【0021】
本発明の静電式液体状態検知センサでは、電極包囲部材の外周面形状が、間隔方向について、伸延方向の上方ほど幅狭となる形態とされてなる。このため、電極包囲部材の外周面形状を間隔方向について、伸延方向のいずれの位置でも一定としたものに比して、センサの電極包囲部材をスリムな形態とすることができ、液体容器に対する取り付け位置の自由度をより高めることができる。
【0022】
また、他の解決手段は、液体に少なくとも自身の一部を浸漬して、上記液体の状態を検
知する静電式液体状態検知センサであって、第1電極と、第21電極及びこれと等電位の第22電極とを有し、上記第21電極、第1電極、及び第22電極がこの順に列置され、上記第21電極と上記第1電極とは、これらの間に、鉛直方向に延び所定間隔を有する第1ギャップを形成する形態に配置され、上記第1電極と上記第22電極とは、これらの間に、鉛直方向に延び所定間隔を有する第2ギャップを形成する形態に配置されてなり、誘電体からなり、鉛直方向に延びる内部空間内に、上記第1電極、第21電極及び第22電極を収容し、これらを包囲する電極包囲部材を有し、上記電極包囲部材は、水平方向に沿う仮想断面において、上記第1ギャップの周囲に位置する第1ギャップ周囲部と、上記第2ギャップの周囲に位置する第2ギャップ周囲部と、上記第21電極の周囲であって上記第1ギャップ周囲部に隣接する第21電極周囲部と、上記第22電極の周囲であって上記第2ギャップ周囲部に隣接する第22電極周囲部と、を有し、上記電極包囲部材は、上記仮想断面において、上記第21電極周囲部が、上記第1ギャップ周囲部に隣接して、この第1ギャップ周囲部から離れるほど上記第21電極に近づく第21接近部を含み、上記第22電極周囲部が、上記第2ギャップ周囲部に隣接して、この第2ギャップ周囲部から離れるほど上記第22電極に近づく第22接近部を含む形態を有する静電式液体状態検知センサである。
【0023】
この発明の静電式液体状態検知センサは、第1電極と、第21電極及びこれと等電位の第22電極とを有し、上記第21電極、第1電極、及び第22電極がこの順に列置され、第1電極と第21電極とで第1ギャップを形成し、第1電極と第22電極とで第2ギャップを形成している。このため、本発明では、第1電極と第21電極及び第1ギャップとで構成されるコンデンサと、第1電極と第22電極及び第2ギャップとで構成されるコンデンサの2組のコンデンサを用いることができる。従って、これらを併せて用いることで、液位の変化に対する静電容量の変化量が増えるため、1組のコンデンサを用いる場合よりも感度を上げることができる。
【0024】
また、この発明では、電極包囲部材は、仮想断面において、第21電極周囲部が、第21接近部を含み、第22電極周囲部が、第2接近部を含む形態を有する。前述のように電極間に生じる電気力線はギャップのうち両者の最も接近した部分に集中し、ギャップから離れるほど疎になる形で発生する。従って、電極包囲部材のうち第1ギャップの周囲である第1ギャップ周囲部については、第1ギャップから遠ざけるように配置することで、この部分による静電容量の増加を防止できる。一方、第21電極と第21電極周囲部との間の空間においては、第1ギャップから離れるほど、電気力線は疎になる。従って、第21電極周囲部については、第1ギャップ周囲部に隣接して、この第1ギャップ周囲部から離れるほど第21電極に近づく第21接近部を設けても、これによる静電容量の増加は少ない。一方、第21接近部を設けたことにより、電極包囲部材の内容積を減少させることが出来る。第22接近部についても同様である。かくして、センサの感度の低下を抑え、良好な応答性を有する静電式液体状態検知センサとなし得る。
【0025】
また、上記の静電式液体状態検知センサであって、前記第1電極から前記第1ギャップ周囲部までの距離、前記第1電極から前記第2ギャップ周囲部までの距離、前記第21電極から上記第1ギャップ周囲部までの距離、及び前記第22電極から上記第2ギャップ周囲部までの距離のいずれも上記第1電極と第21電極との間の第1電極間距離及び上記第1電極と第22電極との間の第2電極間距離より大きい静電式液体状態検知センサである。
【0026】
この発明の静電式液体状態検知センサでは、第1電極から第1ギャップ周囲部までの距離、第1電極から第2ギャップ周囲部までの距離、第21電極から第1ギャップ周囲部までの距離、及び第22電極から第2ギャップ周囲部までの距離のいずれも、第1電極と第21電極との間の電極間距離及び第1電極と第22電極との間の電極間距離より大きくされ
ている。このため、電極包囲部材の第1ギャップ周囲部が第1電極と第21電極との間に発生する電気力線に与える影響及び第2ギャップ周囲部が第1電極と第22電極との間に発生する電気力線に与える影響を抑えることができ、良好な感度を有する静電式液体状態検知センサとなし得る。
【0027】
さらに、請求項6または7に記載の静電式液体状態検知センサであって、前記電極包囲部材は、前記第1ギャップ周囲部、第2ギャップ周囲部、第21接近部、及び第22接近部の形態を、前記鉛直方向について同じに保ちつつ、自身の内周面形状が、前記第1電極と第21電極との間隔方向について、上方ほど幅狭となる形態とされて、上記電極包囲部材の前記鉛直方向単位寸法当たりの内容積が上方ほど小さくされてなる静電式液体状態検知センサとすると良い。
【0028】
本発明の静電式液体状態検知センサでは、電極包囲部材のうち、第1ギャップ周囲部、第2ギャップ周囲部、第21接近部、及び第22接近部の形態を、鉛直方向について、同じに保ちっている。
このため、第1電極と第21電極及び第22電極との間に発生する電気力線が、第1,第2ギャップ周囲部及び第21,22接近部から受ける影響は、鉛直方向についての位置(鉛直方向の高さ)によって変化しない。従って、電極包囲部材内に流入した液体の液位などの液体状態を計測する場合に、第1,第2ギャップ周囲部及び第21,22接近部から受ける影響の変化を考慮する必要が無く、容易に液位等の液体状態を計測することができる。
【0029】
しかも、この電極包囲部材の内周面形状が、第1電極と第21電極との間隔方向について、上方ほど幅狭となる形態とされて、鉛直方向単位寸法当たり内容積が小さくされてなる。このため、本発明の静電式液体状態検知センサによれば、このセンサを取り付けたオイルパンなどの液体容器に液体を注ぎ、この電極包囲部材内に液体を流入させると、センサ周囲の液位が高くなるほど、少量の液体が電極包囲部材内に流入しただけで液位が上がるから、液位が高くなった場合に、応答性が特に良好になる。
【0030】
常温や寒冷下において、粘度の高くなったオイルをエンジンのオイルパンに注入し、この静電式液体状態検知センサで、オイルの液位や特性を計測する場合には、オイルの粘性によって、このセンサの電極包囲部材内にオイルが流入しにくい状態となりがちである。このような場合でも本発明のセンサによれば、センサ周囲のオイルの液位が上がるほど、少量のオイルが電極包囲部材内に流入しただけで、電極包囲部材内の液位が追従して上がることとなり、センサの応答性が良好となる。特に液位が高くなって、適切な液位に近づいた場合など、液位が高くなった場合に、応答性が良好となるので、適切な液位などを検知しやすい静電式液体状態検知センサとなる。
【0031】
さらに上記静電式液体状態検知センサであって、前記電極包囲部材は、自身の外周面形状が、前記第1電極と第21電極との間隔方向について、上方ほど幅狭となる形態とされてなる静電式液体状態検知センサとすると良い。
【0032】
本発明のセンサでは、電極包囲部材の外周面形状が、間隔方向について、上方ほど幅狭となる形態とされてなるこのため、電極包囲部材の外周面形状を間隔方向について、鉛直方向のいずれの位置でも一定としたものに比して、センサの電極包囲部材をスリムな形態とすることができ、液体容器に対する取り付け位置の自由度をより高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の実施形態にかかる静電式液体状態検知センサについて図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0034】
本発明の第1の実施例を図1〜図7を参照して説明する。この液体レベルセンサ1は、液体に少なくとも自身の一部を浸漬して、液体または液体を含む空間について、電極とギャップで構成するコンデンサを用いて、液体の状態、具体的には、液体(エンジンオイル)の液位及び、オイル(液体)の誘電率を検知するセンサである。この液体レベルセンサ1は、例えば、図5に示すように、自動車エンジンのオイルタンク底部LTに、その軸線AXが鉛直方向Vと一致し、その先端1sが鉛直方向上向きになるように取り付けて使用され、オイルタンク内のオイルOLの液位や誘電率などを検知するのに用いられる。
【0035】
また、この液体レベルセンサ1は、図1及び図2に示すように、樹脂製のベース部材21と、このベース部材21から突出するように配置された略筒状のセンサキャップ11(電極包囲部材)とを含んでいる。中空の構造を有するこのセンサキャップ11は、コンデンサCP1、CP2、CP3をなす各電極32,33等を担持するフィルム電極基板31(図6(a)参照)と、このフィルム電極基板31を鉛直方向Vに保持する基板支持部材41(図7参照)とを包囲している。また、ベース部材21は、基板支持部材41及びセンサキャップ11を支持している。これらをオイルタンク内に挿入した状態でベース部材21をオイルタンク底部LTに固定することで、液体レベルセンサ1がオイルタンクに装着される(図5参照)。
【0036】
まず、本実施例1にかかる液体レベルセンサ1のうち、フィルム電極基板31について、図6(a)、(b)を参照して説明する。このフィルム電極基板31は、図6(a)に示すように、基端31k(図中下端)から先端31s(図中上端)にかけて、長手方向(図中、上下方向)に順に、比較的幅広の幅広矩形部31h、先細の台形状のテーパ部31p及び比較的幅狭の細長矩形部31nがこの順で並ぶ形状を有している。
【0037】
このうち、樹脂製のフィルム31b、コンデンサの電極をなす導体層31d及び樹脂製のフィルム31cをこの順に積層して形成されている(図6(b)参照)。樹脂製のフィルム31b、31cは、共にポリイミドからなり、導体層31dを、所定の位置に保持すると共に、オイルOLを介した導通(リーク)やオイルOL及び大気による腐食を防止するため、オイルOLや大気から遮断している。
【0038】
また、導体層31dは、銅箔からなり、第1電極32、第2電極33(第21電極33b、第22電極33c)、ガード電極37、第1リファレンス電極38及び第2リファレンス電極39を含む。このうち、第1電極32は、フィルム電極基板31の細長矩形部31n及びテーパ部31pに配置されており、その電位の取り出し口であって四角形に形成された第1電極端子52tに、第1電極接続線52bを介して接続されている。また、第2電極33は、同様にフィルム電極基板31の細長矩形部31n及びテーパ部31pに配置されており、第2電極連結線53dを介して接続されて等電位とされた第21電極33b及び第22電極33cを含む。このうち第21電極33bも、第2電極33の電位の取り出し口であって四角形に形成された第2電極端子53tと、第2電極接続線53eを介して接続されている。
【0039】
フィルム電極基板31の幅方向(図6(a)中、左右方向)HKにおいて、第21電極33b、第1電極32及び第22電極33cは、この順に列置されている。また、第21電極33bと第1電極32とは、これらの間に、第1所定間隔35dでフィルム電極基板31の長手方向に延びる第1ギャップ35を形成するように配置されている。従って、第1電極32と、第21電極33bとは、この第1ギャップ35を介してコンデンサCP1を形成している。
同様に、第1電極32と第22電極33cとは、これらの間に、第2所定間隔36dでフィルム電極基板31の長手方向に延びる第2ギャップ36を形成するように配置されている。従って、第1電極32と、第22電極33cとは、この第2ギャップ36を介してコンデンサCP2を形成している。
【0040】
また、フィルム電極基板31のうち、第1電極32及び第2電極33よりも基端31k側には、クシ状の第1リファレンス電極38と第2リファレンス電極39とが、互いに噛み合うようにして、所定間隔のリファレンス電極ギャップ38gを形成する形態で配置されている。従って、第1リファレンス電極38と、第2リファレンス電極39とは、このリファレンス電極ギャップ38gを介してコンデンサCP3を形成している。
【0041】
また、この第1リファレンス電極38は、この電極の電位の取り出し口であり、四角形に形成された第1リファレンス電極端子58tに、第1リファレンス電極接続線58bを介して接続されている。同様に、第2リファレンス電極39についても、この電極の電位の取り出し口であって四角形に形成された第2リファレンス電極端子59tに、第2リファレンス電極接続線59bを介して接続されている。
【0042】
また、フィルム電極基板31の周縁には、各電極32,33等を囲むようにガード電極37が配置され、フィルム電極基板31の基端31kに沿って四角形に形成されたガード電極端子57tに接続されている。
なお、第1電極端子52t、第2電極端子53t、第1リファレンス電極端子58t、第2リファレンス電極端子59t及びガード電極端子57tの中央には、それぞれ、リード端子接続用の円形の貫通孔が設けられている。
【0043】
また、このフィルム電極基板31の先端31s近傍で、幅方向(図6(a)中、左右方向)HKの中央に位置する部分には、長手方向に長い楕円状の上部貫通孔31fが設けられている。この上部貫通孔31fは、このフィルム電極基板31を後述の基板支持部材41に組み付けるとき、このフィルム電極基板31の位置決めをし、フィルム電極基板31の先端31s側の部分を浮き上がらないように保持するためのものである。さらに、テーパ部31pにも、フィルム電極基板31の位置決めをするための円形の中央部貫通孔31eが同様に設けられている。
【0044】
次いで、本実施例1にかかる液体レベルセンサ1のうち基板支持部材41について図7を参照して説明する。この基板支持部材41は、66ナイロンからなり、フィルム電極基板31の周縁を支持可能なように、その平面形状に近似する枠の形状を有している。この基板支持部材41は、互いに内側に突出する一対の突起状の一面側支持部41b、上部支持ピン41d、中央部支持ピン41e及び下部挟持部41cを含んでいる。
【0045】
また、この基板支持部材41は、フィルム電極基板31をこの基板支持部材41に装着したときに、第1電極32、第21電極33b、第22電極33c、第1リファレンス電極38及び第2リファレンス電極39を覆わない形状とされた内方突出部41fを含む。
この基板支持部材41は、フィルム電極基板31の他面側の一部を、内方突出部41fに当接させると共に、フィルム電極基板31の一面側の一部を、一面側支持部41bに当接させて、交互に挟み込む形態でフィルム電極基板31を支持する。さらに、この基板
支持部材41は、フィルム電極基板31の上部貫通孔31fに上部支持ピン41dを、中央部貫通孔31eに中央部支持ピン41eを、それぞれ貫通させたうえで、超音波溶着により加締め、下部挟持部41cでフィルム電極基板31の基端31kを挟み込むことにより、フィルム電極基板31全体を支持している。
【0046】
次いで、本実施例1にかかる液体レベルセンサ1のうち、基板支持部材41で支持されたフィルム電極基板31を包囲するセンサキャップ11について、図1〜図5を参照して説明する。誘電体である66ナイロンからなり、軸線AXが鉛直方向Vと一致するように配置されるセンサキャップ11は、ベース部材21側に位置する基端部11k(図5参照)が開き、先端11sが閉じた筒状の形態を有する。具体的には、このセンサキャップ11は、基端部11k側から先端11sに向けて、幅方向(図1中、左右方向)HKに比較的幅広い幅広筒部11h、先細形状のテーパ筒部11p及び幅方向HKに比較的幅狭の細長筒部11nが、この順で構成された形態を有している。
【0047】
図3に示すように、このセンサキャップ11のうち細長筒部11nの筒内部には、軸線AX方向に延びるガイド溝11gが形成されている。図3に示すように、このセンサキャップ11と、基板支持部材41とは、基板支持部材41の外枠部41gがこのガイド溝11gに嵌合して結合している。
【0048】
また、図1に示すように、このセンサキャップ11の基端部11kには、周囲のオイルOLをセンサキャップ11の内外に流通が可能とする下部連通孔11cが形成されている。また、先端11s近傍には、空気抜き(空気流通)のための上部連通孔11bが形成されている。
【0049】
また、このセンサキャップ11は、そのうちの細長筒部11n内の内部空間G内に、第21電極33b、第1電極32及び第22電極33cの順で列置された電極を収容している。図3の一部を模式的に示す図4を参照して、センサキャップ11とこれらの各電極及び各ギャップとの関係について説明する。
なお、図3及び図4ではフィルム電極基板31のうちフィルム31b、31cを省略して示している。
【0050】
このセンサキャップ11の細長筒部11nは、図3に示す断面形状を有している。ここで、図4に模式的に示すようにこの細長筒部11nのうち、第1電極32に対向してその周囲に位置する部分を第1電極周囲部12aとする。また、第21電極33bに対向してその周囲に位置する部分を第21電極周囲部12dとする。さらに、第22電極33cに対向してその周囲に位置する部分を第22電極周囲部12eとする。
さらに、第1電極周囲部12aと第21電極周囲部12dの間に位置し、第1ギャップ35の周囲に位置する部分を第1ギャップ周囲部12bとする。また、第1電極周囲部12aと第22電極周囲部12eとの間に位置し、第2ギャップ36の周囲に位置する部分を第2ギャップ周囲部12cとする。
このセンサキャップ11は、図3に示すように幅方向(図中、左右方向)HKの中央部分が外側に、つまり、幅方向HKに直交する厚み方向(図中、上下方向。フィルム電極基板31の厚み方向)に膨出する形状を有している。
詳細には、図4に示すように、第1電極周囲部12a、第1、第2ギャップ周囲部12b、12c、第21、第22電極周囲部12d、12eの部分は、外方に向かう円弧状に膨らむ凸形状となっている。
なお、これらの部分から、幅方向(図4中、左右方向)HKについて離れた部分は、これらよりも、よりフィルム電極基板31に近づいた位置で断面直線状の直線部12h、12iとなっている。
さらに、第21電極周囲部12dは、その全部で第1ギャップ周囲部12bから離れるほど第21電極33bに近づく形態を有する。また、第22電極周囲部12eについても同様に、その全部で第2ギャップ周囲部12cから離れるほど第22電極33cに近づく形態を有している。
従って、この第21電極周囲部12dは、第1ギャップ周囲部12bに隣接して、この第1ギャップ周囲部12bから離れるほど第21電極33bに近づく第21接近部12fを有するが、本実施例1では、この第21接近部12fは、第21電極周囲部12dに一致している。また、同様に、第22電極周囲部12eは、第2ギャップ周囲部12cに隣接して、この第2ギャップ周囲部12cから離れるほど第22電極33cに近づく第22接近部12gを有するが、本実施例1では、この第22接近部は、第22電極周囲部12eに一致している。
【0051】
また、この液体レベルセンサ1では、第1電極32と第1ギャップ周囲部12bとの間で引きうる直線の長さ、第1電極32と第2ギャップ周囲部12cとの間で引きうる直線の長さは、いずれも、第1電極32と第21電極33bとの間の第1所定間隔35d、及び第1電極32と第22電極33cとの間の第2所定間隔36dよりも大きくされている。また、第21電極33bと第1ギャップ周囲部12bとの間で引きうる直線の長さ、及び第22電極33cと第2ギャップ周囲部12cとの間で引きうる直線の長さも、いずれも、第1所定間隔35d、及び第2所定間隔36dよりも大きくされている。
つまり、この液体レベルセンサ1では、第1電極32から第1ギャップ周囲部12bまでの最短距離である第11距離35b、第1電極32から第2ギャップ周囲部12cまでの最短距離である第12距離36bは、いずれも、第1所定間隔35d及び第2所定間隔36dよりも大きくされている。同様に、第21電極33bから第1ギャップ周囲部12bまでの最短距離である第21距離35c、及び第22電極33cから第2ギャップ周囲部12cまでの最短距離である第22距離36cは、いずれも、第1所定間隔35d及び第2所定間隔36dよりも大きくされている。
このため、図3に示すように、センサキャップ11が、電極間で発生する電気力線E1、E2、F1、F2に与える影響を抑え、良好な感度を有する液体レベルセンサ1となし得る。
【0052】
次いで、本実施例1にかかる液体レベルセンサ1のうちベース部材21について、図1、図2及び図5を参照して説明する。センサキャップ11を保持すると共に、自身をオイルタンク底部LTに固定するベース部材21は、ベース本体部22と、図示しない外部機器と接続するためのコネクタ端子23cを含むコネクタ部23と、各電極端子53t、58t、57t、52t、59tとコネクタ部23との間に介在する配線基板24とを含んでいる。このうちベース本体部22は、図2に示すようにオイルタンク底部LTに取り付ける際にネジを挿通するための取付ネジ穴22bと、先端1s側(図1中、上方)に突出した形状を有し、センサキャップ11を保持するためのガイド溝22hが内側に形成された取付ガイド部22gを含んでいる。
【0053】
このベース部材21と、センサキャップ11とは、図2に示すように、取付ガイド部22gの内側に形成されたガイド溝22hに、センサキャップ11の外側に形成された突起部11jを嵌合した状態で結合されている。
また、図1及び図5に示すように、第1電極端子52t、第2電極端子53t、ガード電極端子57t、第1リファレンス電極端子58t及び第2リファレンス電極端子59tと、配線基板24とは配線部材24bを介して接続されている。
【0054】
次いで、本実施例1にかかる液体レベルセンサ1をオイルタンク底部LTに取り付けてオイルOLの状態を検知する方法について説明する。
この液体レベルセンサ1は、図5に示すとおり、軸線AXを鉛直方向Vに一致させ、その先端1sが鉛直方向上向きで、オイルタンク底部LTに、リングパッキン25を介して液密に取り付けられる。なお、この取り付けに当たっては、ベース部材21の取付ネジ穴22bに図示しないネジ部材を挿通し、オイルタンク底部LTに設けられた図示しない雌ネジ穴に締め付けて行う。
【0055】
このようにオイルタンク底部LTに液密に液体レベルセンサ1が取り付けられた状態で、図示しない外部装置から、コネクタ端子23c、配線基板24及び配線部材24bを介して、第1電極端子52tと第2電極端子53tとの間に交流電圧を印加する。すると、液体レベルセンサ1のうち細長筒部11nの水平方向H(鉛直方向Vに直交する方向)の断面において、第1電極32と第21電極33bとの間、及び第1電極32と第22電極33cとの間に、図3に示される電気力線E1、E2、F1、F2が発生する。第1電極32と第21電極33b及び第1電極32と第22電極33cとの間に形成されるコンデンサCP1、CP2の静電容量は、このような電気力線E1、E2、F1、F2が通る空間の誘電率によって変化する。例えば、液体レベルセンサ1がオイルOLに浸漬された場合、空気にさらされている部分に比して、各電極のうちオイルOLに浸されている部分は、鉛直方向の単位長さあたりの静電容量が変化することとなる。このため、各電極間で形成されるコンデンサの静電容量は、その電極が長手方向についてオイルOLに浸漬されている部分とそうでない部分との割合に応じて変化する。つまり、各電極間の静電容量と、各電極がオイルOLに浸漬されている部分の割合との間には相関関係があるため、各電極間の静電容量に基づいて、各電極がオイルOLに浸漬されている部分の割合(浸漬されている部分の深さ)を求めることができる。かくして、この液体レベルセンサ1では、第1電極32、第21電極33b及び第22電極33cにより構成されたコンデンサCP1、CP2の静電容量の変化を用いてオイルOLの液位を検知することができる。
【0056】
なお、オイルOLは、経年変化や熱などによりその特性が変化したり、種類の異なったオイルを混合したりして、当初から存在するオイルに比べると誘電率が変化する場合が多い。このようにオイルOLの誘電率が変化すると、コンデンサCP1、CP2の静電容量と、液位との間の相関関係も変化するため、オイルOLの液位の測定精度が低下することとなる。
【0057】
そこで、本実施例1にかかる液体レベルセンサ1では、上述の第1電極32、第21電極33b及び第22電極33cに加えて、第1リファレンス電極38及び第2リファレンス電極39を含んでいる。これらのリファレンス電極38、39は、常に全体がオイルOLに浸漬された状態となるよう設けられている。これらのリファレンス電極間に生ずるコンデンサCP3の静電容量を測定することで、オイルOLの誘電率を計測し、これに基づいて、第1電極32等を用いて測定したコンデンサCP1、CP2の静電容量を補正し、正しい液位を得ることができる。
【0058】
次いで本実施例1の液体レベルセンサ1の利点について、比較例と対比して説明する。
(比較例1)
本比較例1の液体レベルセンサは、実施例1の液体レベルセンサ1と比較して、センサキャップ111の形状が異なり、その他については同様としたものである。
具体的には、センサキャップ111は、水平方向Hの断面において、図3に示すフィルム電極基板31に対向するセンサキャップ111の一面側内周面112及び他面側内周面113を有している。即ち、水平方向Hの断面において、このセンサキャップ111では、一面側内周面112は、断面においてフィルム電極基板31と平行に延びる直線となる形態に構成され、この一面側内周面112とフィルム電極基板31との距離は、実施例1におけるセンサキャップ11の第1ギャップ周囲部12b及び第2ギャップ周囲部12cとフィルム電極基板31との距離と略等しくされている。このため、発生する電気力線E1、E2、F1、F2は、実施例1の液体レベルセンサ1の場合と略同様の形態となる。また、他面側内周面113についても同様である。従って、実施例1の液体レベルセンサ1と、本比較例1の液体レベルセンサとは、液位変化に対し、略同等のセンサ感度を有することとなる。
【0059】
しかるに、実施例1にかかる液体レベルセンサ1では、図4に示すようにセンサキャップ11のうち、第21電極周囲部12d(第21接近部12f)は、第1ギャップ周囲部12bに隣接して、この第1ギャップ周囲部12bから離れるほど第21電極33bに近づく形状を有している。また、第22電極周囲部12e(第21接近部12f)も第2ギャップ周囲部12cに隣接して、この第2ギャップ周囲部12cから離れるほど第22電極33cに近づく形状を有している。このため、本実施例1の液体レベルセンサ1は、図3に示すように、比較例1の液体レベルセンサにおけるセンサキャップ111の内部空間G2に比して、センサキャップ11の内部空間Gの容積が小さくされている。
このため、この液体レベルセンサ1の液位変化に対する感度に影響を与えずに、オイルOLの液位の変化に対する応答性が良好なセンサとなし得る。
【0060】
(比較例2)
本比較例2の液体レベルセンサは、実施例1の液体レベルセンサ1と比較して、センサキャップ211の形状が異なり、その他については同様としたものである。
具体的には、センサキャップ211は、水平方向Hの断面において、図3に示すフィルム電極基板31に対向するセンサキャップ211の一面側内周面212及び他面側内周面213を有している。即ち、水平方向Hの断面において、このセンサキャップ211では、一面側内周面212は、フィルム電極基板31と平行に延びる直線となる形態に構成されている。なお、この212とフィルム電極基板31との間の内部空間G3の断面積は、実施例1の液体レベルセンサ1における内部空間Gの断面積と等しくされている。このため、実施例1の液体レベルセンサ1と、変形例2の液体レベルセンサとは、液位変化に対し、略同等のセンサ応答性を有することとなる。
【0061】
しかるに、実施例1の液体レベルセンサ1においては内部空間Gのみを通っていた電気力線E1、E2、F1、F2のうち一部が、比較例2では、空気よりも誘電率の高いセンサキャップ211内部を通ることとなる。このため、内部空間G3内が空気の場合には、第1電極32と第21、22電極33b、33cとの間に構成されるコンデンサCP1、CP2の静電容量が増加する。一方、内部空間G3がオイルOLで満たされた場合、オイルOLの誘電率とセンサキャップ11を構成する66ナイロンの誘電率とは似通っているため、コンデンサCP1、CP2について、実施例1の液体レベルセンサ1と略同様な静電容量が得られる。従って、比較例2の液体レベルセンサでは、液位変化に対する静電容量の変化のダイナミックレンジが小さくなる。逆に言えば、実施例1の液体レベルセンサ1は、ダイナミックレンジを比較例2より広く取ることができる。
かくして、実施例1の液体レベルセンサ1は、比較例2の液体レベルセンサよりも、液位変化に対し、高いセンサ感度を有することとなる。
従って、上述のとおり、実施例1の液体レベルセンサ1は、比較例1及び比較例2との対比により、センサの応答性の面でも、センサの感度の面でも利点を有することは明らかである。
【0062】
次いで、本実施例1にかかる液体レベルセンサ1の製造方法について説明する。まず、液体レベルセンサ1の製造のうち、図6(a)に示すフィルム電極基板31の製造について図6(b)を参照して説明する。
まず、銅箔がその一面に貼り付けられたポリイミド基板に対して、公知のエッチング加工を行い、フィルム31b上に導体層31dが形成された状態とする(図6(b)中、下側部分)。次いで、このフィルム31b及び導体層31dの図中上方向から、他方の予めエポキシ樹脂ペーストEPが塗られたフィルム31cを貼り付け、これらを接着する。この状態で乾燥した後、公知の方法を用いて、上部貫通孔31f及び中央部貫通孔31eを穿孔すると共に、第1電極端子52t、第2電極端子53t、ガード電極端子57t、第1リファレンス電極端子58t及び第2リファレンス電極端子59tにも穴開け加工を行い、フィルム電極基板31を完成させる。
【0063】
次いで、このフィルム電極基板31を、図7に示すように、基板支持部材41に組付ける。具体的には、フィルム電極基板31の細長矩形部31nを、基板支持部材41の一面側支持部41bと内方突出部41fとの間に挟み込むと共に、フィルム電極基板31の上部貫通孔31fに、基板支持部材41の上部支持ピン41dを挿通する。また、フィルム電極基板31の幅広矩形部31hの基端31kを基板支持部材41の下部挟持部41cに挟み込むと共に、フィルム電極基板31の中央部貫通孔31eに基板支持部材41の中央部支持ピン41eを挿通し、加締める。これにより、フィルム電極基板31の基板支持部材41への組み付けが完了する。
【0064】
次いで、フィルム電極基板31が組み付けられた基板支持部材41を、図5に示すようにベース部材21に組付ける。具体的には、基板支持部材41の外枠部41gのうち底部(図7中、下方)に設けられた突出部41hと、ベース部材21の図示しない嵌合部とを嵌合させて、基板支持部材41とベース部材21とを結合させる。さらに、配線基板24と、フィルム電極基板31の各電極端子53t、58t、57t、52t、59tとを、それぞれ配線部材24bを介して接続させる。なお、配線基板24あるいは電極端子53t、58t、57t、52t、59tと、配線部材24bとの接続は公知のハンダ付けで行う。さらに、配線基板24を覆うように、ベース部材21の下方側に金属蓋を取り付けた後、ベース部材21のうち、オイルタンク底部LTに当接する面に設けられたパッキン組付部21pにリングパッキン25の組付けを行って、液体レベルセンサ1が完成する。
【実施例2】
【0065】
続いて、本発明の第2の実施例について、図8〜図12、及び、図4〜図6を参照して説明する。本実施例2の液体レベルセンサ301は、前述の実施例1に係る液体レベルセンサ1と、ほぼ同様の構成を有しており、液体レベルの測定方法、製造方法等も同様である。また、測定使用するフィルム電極基板31(図6参照)及びベース部材21(図8,図2参照)は、実施例1と共通である。
但し、センサキャップ311の形状、特に、その細長筒部311nの形状が先細状になっている点で実施例1と異なり、これに伴って、基板支持部材341の形状も異なっている。 そこで、以下では、実施例1と異なる部分を中心に説明し、同様な部分については、説明を省略あるいは簡略化する。
【0066】
本実施例2の液体レベルセンサ301を、図8示す。このうち、センサキャップ311は、ベース部材21側に位置する基端部311kが開き、先端311sが閉じた筒状の形態を有する。このセンサキャップ311は、基端部311kから先端311sに向かって、幅方向(図8中、左右方向)HKに比較的幅広い幅広筒部311h、先細形状のテーパ筒部311p、及び幅方向HKに比較的幅狭の細長筒部311nが、この順で構成された形態を有している。
このうち、細長筒部311nは、外周面311qの形状が、先端311sに向かうほど、即ち、鉛直方向Vの上方VUに向かうほど、幅方向HKの寸法が小さくなる先細形状を有している。
【0067】
センサキャップ311の内部の構造を、図9に示す。センサキャップ311の細長筒部311nは、その外周面311qが先細形状であるのみならず、その内周面311iも先細形状とされている。
なお、このセンサキャップ311は、そのうちの細長筒部311n内の内部空間G4内に、実施例1と同様、第21電極33b、第1電極32及び第22電極33cの順で列置されたフィルム電極基板31の細長矩形部31nを収容している。
【0068】
このフィルム電極基板31は、実施例1(図7参照)と同様、図10に示すようにして、基板支持部材341に支持されている。但し、基板支持部材341の形状が、実施例1における基板支持部材41とは若干異なる。
本実施例2にかかる基板支持部材341も、66ナイロンからなり、フィルム電極基板31の周縁を支持可能なように、その平面形状に近似する枠の形状を有している。この基板支持部材341は、フィルム電極基板31を取り囲む枠状に形成された外枠部341gと、この外枠部341gから内側に突出して、フィルム電極基板31の一方面(図10において見える面)を保持する一対の一面側支持部341bとを有している。また、基板支持部材341は、外枠部341gから内側に突出してこれを補強する内方突出部341f1,341f2と、このうちの内方突出部341f1から突出する中央部支持ピン341eと、内方突出部341f2から突出する上部支持ピン341dとを有している。さらに、この基板支持部材341は、フィルム電極基板31の基端31kを挟持して保持する下部挟持部341c、及び、この基板支持部材341をベース部材21に結合させるための突出部341hを有している。
【0069】
なお、基板支持部材341の先端部分に位置する内方突出部341f2は、その一部で、左右の外枠部341g(次述する外枠テーパ部341j)を互いに繋いでいる。
また、前述したように、センサキャップ311の細長筒部311nが先細形状となっていることに伴い、この基板支持部材341の外枠部341gのうち、一面側支持部341bよりも上方VUでは、外枠部の厚みが先端側ほど徐々に薄くなる形状とされた外枠テーパ部341jとなっている。
また、外枠部341gのうち上方の部分が、外枠テーパ部341jを含め、実施例1の場合と同様、センサキャップ311のガイド溝311gに嵌合、保持されることで、基板支持部材341がセンサキャップ311に保持される。
【0070】
この基板支持部材341の内方突出部341f1,341f2は、フィルム電極基板31をこの基板支持部材341に装着したときに、第1電極32、第21電極33b、第22電極33c、第1リファレンス電極38及び第2リファレンス電極39を覆わない形状とされている。
また、この基板支持部材341では、実施例1と同じく、フィルム電極基板31の他面側の一部を、内方突出部341f1,341f2に当接させると共に、フィルム電極基板31の一面側の一部を、一面側支持部341bに当接させて、交互に挟み込む形態でフィルム電極基板31を支持する。さらに、この基板支持部材341は、フィルム電極基板31の上部貫通孔31fに上部支持ピン341dを、中央部貫通孔31eに中央部支持ピン341eを、それぞれ貫通させたうえで、超音波溶着により加締め、さらに、下部挟持部341cでフィルム電極基板31の基端31kを挟み込むことにより、フィルム電極基板31全体を支持している。
【0071】
センサキャップ311の細長筒部311n、及び基板支持部材341の形状が上述のようにされているため、図8におけるD−D矢視断面、及びE−E矢視断面は、図11及び図12に示すようになる。このうち、図11に示すD−D矢視断面は、実施例1におけるA−A矢視断面(図3参照)と同様の形態となる。一方、図12に示すE−E矢視断面は、幅方向HK(第1電極32と第21電極33bとの間隔方向)について、図11に示すものより、幅狭の形態となっている。これから容易に理解できるように、センサキャップ311の細長筒部311nの内部空間G4は、鉛直方向V(図11,12において紙面に垂直な方向)の単位寸法当たりの内容積が、先端側、即ち鉛直方向Vの上方VUほど、小さくなっている。
従って、本実施例2のセンサ301では、オイルパンに注入したオイルOLの液位が高くなるほど、センサキャップ311の下部連通孔311cから内部に流入するオイルOLの量が少なくても、内部の液位を、外部の液位と等しい高さにすることができる。つまり、実施例1のセンサ1に比して、液位変化に対する応答性を良好にできる。特に、液位が高くなった場合に、液位変化に対する応答性が、実施例1の場合に比して良好になる。
【0072】
さらに本実施例2のセンサ301では、図1(実施例1)と、図8(実施例2)とを比較すれば容易に理解できるように、センサキャップ311の細長筒部311nのうち、直線部312i,312hの幅方向HKの寸法を、鉛直方向Vの上方VUほど小さくすることで、細長筒部311nの幅方向HKについて先細の形状としている。
具体的には、細長筒部311nのうち、直線部312hと312iとの間に位置して、外方に円弧状に突出する突出部312tの形態を、鉛直方向Vについて同じに保っている。さらに具体的には、突出部312tのうちの、第1ギャップ周囲部312b、第2ギャップ周囲部312c、これらの間に位置する第1電極周囲部312a、第21接近部312f(第21電極周囲部312d)、及び第22接近部312g(第22電極周囲部312e)の形態を、鉛直方向Vについて同じに保つ。その一方で、直線部312h,312iの幅方向HKの寸法を小さくしている。
なお、第1ギャップ周囲部、第21接近部等について説明は、実施例1の該当部分を参照されたい。
【0073】
このようにすることで、図11及び図12とを比較すれば容易に理解できるように、本実施例2においても、第1電極32と第21電極及び第22電極との間に発生する電気力線E1,E2,F1,F2と、センサキャップ311の細長筒部311nとの間の位置や寸法関係は、鉛直方向Vの位置に拘わらず、同じとなっている。このため、第1電極32と第21電極33b及び第22電極33cとの間に生ずるコンデンサCP1,CP2の大きさは、センサキャップ311の細長筒部311nの形状を先細形状としたことに影響されない。つまり、本実施例2のセンサ301は、実施例1のセンサ1と同様のダイナミックレンジを持つ、感度の良好なセンサとなっていることが判る。
【0074】
以上において、本発明を実施例1,2に即して説明したが、本発明は上記実施例等に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施例1では、センサキャップ11の細長筒部11nの断面形状(図3参照)として、そのうちの第1、第2ギャップ周囲部12b、12cの付近が外側に凸の円弧状の形状を有する一方、第1、第2ギャップ周囲部12b、12cから離れた直線部12h、12iの位置では、内周面が略直線となる形状のものを例示した。実施例2も同様である。
しかしながら、フィルム電極基板31に沿う方向(幅方向HK、図3中、左右方向)のうち、片側のみ(例えば、図3のうち左側のみ)がこのような形状とされており、逆側(例えば右側)は、例えば比較例1で説明した矩形(図3における内周面形状112,113参照)としてもよい。
また、センサキャップ(電極包囲部材)の細長筒部の断面形状を、卵型や楕円、長円等の形状としてもよい。
さらには、発生する電気力線の形状を考慮したうえで、第1ギャップ周囲部12bと第2ギャップ周囲部12cとの間に位置する第1電極周囲部12a(図4参照)を、外側に凸ではなく、フィルム電極基板31側(内側)に凸となる形状とすることもできる。
【0075】
また、実施例1,2の液体レベルセンサでは、第2電極33を2つに分けて、第21電極33b及び第22電極33cとし、第1電極32と合わせて合計3つの電極により、2つのコンデンサCP1,CP2を構成する形態とした。しかしが、第2電極を2つに分けず、第1電極と第2電極の2つの電極を対向させて1つのコンデンサを構成する形態とすることもできる。
また、実施例1,2では、第1,第2リファレンス電極38,39により別途、コンデンサCP3を形成するものを示したが、このようなリファレンス電極を有さない液体レベルセンサとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】実施例1にかかる液体レベルセンサの正面図である。
【図2】実施例1にかかる液体レベルセンサの平面図である。
【図3】実施例1にかかる液体レベルセンサにおける第1,第2電極とセンサキャップとの関係を示す説明図であり、図1におけるA−A矢視断面図である。
【図4】実施例1,2にかかり、各電極と電極包囲部材との関係を模式的に示す説明図である。
【図5】実施例1,2にかかる液体レベルセンサを自動車エンジンのオイルタンクに取り付けた状態の説明図であり、図2におけるB−B矢視縦断面図である。
【図6】実施例1,2にかかる液体レベルセンサのうちフィルム電極基板の説明図であり、(a)はフィルム電極基板の平面図、(b)はフィルム電極基板の製造を説明するC−C矢視断面図である。
【図7】実施例1にかかる液体レベルセンサにかかり、電極支持部材にフィルム電極基板を組付けた状態を示す斜視図である。
【図8】実施例2にかかる液体レベルセンサの正面図である。
【図9】実施例2に係る液体レベルセンサのうち、センサキャップ内の構造を示す縦断面図である。
【図10】実施例2にかかる液体レベルセンサにかかり、電極支持部材にフィルム電極基板を組付けた状態を示す斜視図である。
【図11】実施例2にかかる液体レベルセンサにおける第1,第2電極とセンサキャップとの関係を示す説明図であり、図8におけるD−D矢視断面である。
【図12】実施例2にかかる液体レベルセンサにおける第1,第2電極とセンサキャップとの関係を示す説明図であり、図8におけるE−E矢視断面である。
【符号の説明】
【0077】
1,301 液体レベルセンサ(静電式液体状態検知センサ)
11,111,211,311 センサキャップ(電極包囲部材)
11n,311n 細長筒部
G,G4 (センサキャップの幅細筒部の)内部空間
311i (センサキャップの幅細筒部の)内周面
311q (センサキャップの幅細筒部の)外周面
12a,312a 第1電極周囲部
12b,312b 第1ギャップ周囲部(ギャップ周囲部)
12c,312c 第2ギャップ周囲部(ギャップ周囲部)
12d,312d 第21電極周囲部(第2電極周囲部)
12e,312e 第22電極周囲部(第2電極周囲部)
12f,312f 第21接近部(第2接近部)
12g,312g 第22接近部(第2接近部)
31 フィルム電極基板
32 第1電極
33 第2電極
33b 第21電極
33c 第22電極
35 第1ギャップ
36 第2ギャップ
V 鉛直方向(伸延方向)
VU 鉛直方向の上方(伸延方向の上方)
H 水平方向
HK 幅方向(第1電極と第21電極との間隔方向、第1電極と第2電極の間隔方向)
35d 第1所定間隔(第1電極間距離、第1電極と第2電極との間の電極間距離)
36d 第2所定間隔(第2電極間距離、第1電極と第2電極との間の電極間距離)
35b 第11距離(第1電極から第1ギャップ周囲部までの距離、第1電極からギャップ周囲部までの距離)
36b 第12距離(第1電極から第2ギャップ周囲部までの距離、第1電極からギャップ周囲部までの距離)
35c 第21距離(第21電極から第1ギャップ周囲部までの距離、第2電極からギャップ周囲部までの距離)
36c 第22距離(第22電極から第2ギャップ周囲部までの距離、第2電極からギャップ周囲部までの距離)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体に少なくとも自身の一部を浸漬して、上記液体の状態を検知する静電式液体状態検知センサであって、
互いが、所定間隔を有し水平方向に交差する伸延方向に延びるギャップを形成する形態に配置された第1電極及び第2電極と、
誘電体からなり、上記伸延方向に延びる内部空間を含み、上記第1電極及び第2電極を上記内部空間内に収容して包囲する電極包囲部材と、
を備え、
上記電極包囲部材は、上記伸延方向に直交する仮想断面において、
上記ギャップの周囲に位置するギャップ周囲部と、
上記第1電極の周囲であって上記ギャップ周囲部に隣接する第1電極周囲部と、
上記第2電極の周囲であって上記ギャップ周囲部に隣接する第2電極周囲部と、を有し、
上記電極包囲部材は、上記仮想断面において、
上記第1電極周囲部が、上記ギャップ周囲部に隣接して、このギャップ周囲部から離れるほど上記第1電極に近づく第1接近部を含むか、
上記第2電極周囲部が、上記ギャップ周囲部に隣接して、このギャップ周囲部から離れるほど上記第2電極に近づく第2接近部を含むかの少なくともいずれかとした形態を有する
静電式液体状態検知センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の静電式液体状態検知センサであって、
前記第1電極から前記ギャップ周囲部までの距離、及び前記第2電極から上記ギャップ周囲部までの距離はいずれも
上記第1電極と第2電極との間の電極間距離よりも大きい
静電式液体状態検知センサ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の静電式液体状態検知センサであって、
前記第2電極は、第21電極と、上記第21電極とは前記第1電極を挟んで互いに逆側に配置された第22電極とを含み、
前記ギャップは、上記第1電極と第21電極とで形成される第1ギャップと、上記第1電極と第22電極とで形成される第2ギャップとを含み、
上記第1電極と上記第21電極とは、所定間隔で前記伸延方向に延びる上記第1ギャップを形成するように配置されてなり、
上記第1電極と上記第22電極とは、所定間隔で上記伸延方向に延びる上記第2ギャップを形成するように配置されてなり、
前記仮想断面において、上記電極包囲部材のうち、
前記ギャップ周囲部は、上記第1ギャップの周囲に位置する第1ギャップ周囲部と、上記第2ギャップの周囲に位置する第2ギャップ周囲部とを含み、
前記第2電極周囲部は、上記第21電極の周囲であって上記第1ギャップ周囲部に隣接する第21電極周囲部と、上記第22電極の周囲であって上記第2ギャップ周囲部に隣接する第22電極周囲部とを含み、
前記第2接近部は、第21接近部と、第22接近部とを含み、
上記第21電極周囲部のうち、上記第1ギャップ周囲部に隣接して、この第1ギャップ周囲部から離れるほど上記第21電極に近づく上記第21接近部と、
上記第22電極周囲部のうち、上記第2ギャップ周囲部に隣接して、この第2ギャップ周囲部から離れるほど上記第22電極に近づく上記第22接近部とを含む形態を有する静電式液体状態検知センサ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電式液体状態検知センサであって、
前記電極包囲部材は、
前記ギャップ周囲部、及び、前記第1接近部と第2接近部のうち存在するものの形態を、
または、前記第1ギャップ周囲部、第2ギャップ周囲部、第21接近部、及び第22接近部の形態を、前記伸延方向について同じに保ちつつ、
自身の内周面形状が、前記第1電極と第2電極との間隔方向、または第1電極と第21電極との間隔方向について、上記伸延方向の上方ほど幅狭となる形態とされて、上記電極包囲部材の上記伸延方向単位寸法当たりの内容積が上記伸延方向の上方ほど小さくされてなる
静電式液体状態検知センサ。
【請求項5】
請求項4に記載の静電式液体状態検知センサであって、
前記電極包囲部材は、
自身の外周面形状が、前記第1電極と第2電極との間隔方向について、または上記第1電極と前記第21電極との間隔方向について、上記伸延方向の上方ほど幅狭となる形態とされてなる
静電式液体状態検知センサ。
【請求項6】
液体に少なくとも自身の一部を浸漬して、上記液体の状態を検知する静電式液体状態検知センサであって、
第1電極と、第21電極及びこれと等電位の第22電極とを有し、
上記第21電極、第1電極、及び第22電極がこの順に列置され、
上記第21電極と上記第1電極とは、これらの間に、鉛直方向に延び所定間隔を有する第1ギャップを形成する形態に配置され、
上記第1電極と上記第22電極とは、これらの間に、鉛直方向に延び所定間隔を有する第2ギャップを形成する形態に配置されてなり、
誘電体からなり、鉛直方向に延びる内部空間内に、上記第1電極、第21電極及び第22電極を収容し、これらを包囲する電極包囲部材を有し、
上記電極包囲部材は、水平方向に沿う仮想断面において、
上記第1ギャップの周囲に位置する第1ギャップ周囲部と、
上記第2ギャップの周囲に位置する第2ギャップ周囲部と、
上記第21電極の周囲であって上記第1ギャップ周囲部に隣接する第21電極周囲部と、
上記第22電極の周囲であって上記第2ギャップ周囲部に隣接する第22電極周囲部と、を有し、
上記電極包囲部材は、上記仮想断面において、
上記第21電極周囲部が、上記第1ギャップ周囲部に隣接して、この第1ギャップ周囲部から離れるほど上記第21電極に近づく第21接近部を含み、
上記第22電極周囲部が、上記第2ギャップ周囲部に隣接して、この第2ギャップ周囲部から離れるほど上記第22電極に近づく第22接近部を含む形態を有する
静電式液体状態検知センサ。
【請求項7】
請求項6に記載の静電式液体状態検知センサであって、
前記第1電極から前記第1ギャップ周囲部までの距離、前記第1電極から前記第2ギャップ周囲部までの距離、前記第21電極から上記第1ギャップ周囲部までの距離、及び前記第22電極から上記第2ギャップ周囲部までの距離のいずれも
上記第1電極と第21電極との間の第1電極間距離及び上記第1電極と第22電極との間の第2電極間距離より大きい
静電式液体状態検知センサ。
【請求項8】
請求項6または7に記載の静電式液体状態検知センサであって、
前記電極包囲部材は、
前記第1ギャップ周囲部、第2ギャップ周囲部、第21接近部、及び第22接近部の形態を、前記鉛直方向について同じに保ちつつ、
自身の内周面形状が、前記第1電極と第21電極との間隔方向について、上方ほど幅狭となる形態とされて、上記電極包囲部材の前記鉛直方向単位寸法当たりの内容積が上方ほど小さくされてなる
静電式液体状態検知センサ。
【請求項9】
請求項8に記載の静電式液体状態検知センサであって、
前記電極包囲部材は、
自身の外周面形状が、前記第1電極と第21電極との間隔方向について、上方ほど幅狭となる形態とされてなる
静電式液体状態検知センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−105953(P2006−105953A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−374017(P2004−374017)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】