説明

静電気拡散性物品

本開示は、コーティングを有する静電気拡散性物品を開示する。コーティングは、ナノ粒子の表面上に第四級アミン基を有する表面官能化ナノ粒子と、このナノ粒子が分散した結合剤とを含んで成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電気拡散性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
静電荷の蓄積が、多くの工業製品及び材料の製造過程及び使用における様々な問題の原因になる。静電荷は材料が相互に付着したり反発したりする原因となり得る。これは特に繊維及び繊維製品の製造過程で問題となる。更に、静電荷の蓄積により物体がほこりや塵を引きつけて製造又は汚染に関する問題を生じることがあり、製品の性能を悪化させ得る。
【0003】
静電荷の蓄積は材料の電気伝導度を増加させることで制御できる。これは、イオン又は電子伝導度を増大させることによって達成できる。静電気の蓄積を抑える現在最も一般的な手段は、水分吸着により電気伝導度を増大させることによるものである。これは、周りの空気に水分を与えることによって(加湿)、又はその有効性が大気中の水分の吸着によるものであるため一般に保湿剤と呼ばれる、吸湿性の静電気防止剤の使用によって達成されるのが一般的である。大部分の静電気防止剤は、静電荷が蓄積しているときにそれを拡散させることによって機能することで、故に静電気減衰速度及び表面伝導度が静電気防止剤の有効性の一般的な尺度となる。本明細書に参考として組み込まれる米国特許第6,372,829号(ラマンナ(Lamanna)ら)及び米国特許第6,395,149号(パルムグレン(Palmgren))には静電気防止剤及び組成物が更に記載されている。
【0004】
静電気防止剤は、ホーバスT(Horvath, T.)及びベルタI(Berta, I.)の静電除去:帯電適用及び帯電適用シリーズ(Static Elimination: Electrostatic Application and Electrostatic Application Series)、24〜26頁(リサーチ・スタディズ・プレス(Research Studies Press)(英国レッチワース、1982年)に記載されるように、表面に適用したり(外部帯電防止剤)、元々は絶縁材料であるバルクに組み込む(内部帯電防止剤)ことができる。内部帯電防止剤は普通は、プラスチックのようなポリマーに使用される。一般に、内部帯電防止剤は、溶融過程中、例えば成形、溶融ブロー、溶融紡糸、及び溶融押出成形中の溶融ポリマーに直接混合される。外部及び内部適用に使用される静電気防止剤としては、第四級アンモニウム塩、及びハロゲン化物又はメタンスルホン酸塩が挙げられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、コーティングを有する基材を含む静電気拡散性物品を対象とする。コーティングは、ナノ粒子の表面上に第四級アミン基を有する表面官能化ナノ粒子成分を含む。態様の1つでは、コーティングは、そのナノ粒子が分散した結合剤を更に含む。第四級アミン基は、物品を静電気拡散性にするのに充分な量で、ナノ粒子の表面上に存在する。ナノ粒子の表面上に存在する第四級アミン基は、単層の被覆又は単層に満たない被覆を形成するのに充分である。
【0006】
第四級アミン基を有するナノ粒子の表面は、アミンの混合物を更に含んでもよい。ナノ粒子の表面上のアミンとしては、第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミン基を挙げることができる。
【0007】
本開示の別の態様では、コーティング組成物は、ナノ粒子の表面上に第四級アミン基を有する表面官能化ナノ粒子成分を含む。ナノ粒子成分は結合剤中に分散し、このコーティング組成物は溶媒を更に含んでいてもよい。コーティング組成物のナノ粒子は本質的に凝集がない。
【0008】
本開示の別の態様では、静電気拡散性物品を製造する方法を記載する。この方法は、基材、ナノ粒子の表面上に第四級アミン基を有する表面官能化ナノ粒子成分を含むコーティング組成物を含んで成り、ナノ粒子は結合剤中に分散している。更に、このコーティングを基材に適用して、硬化できる。硬化したコーティングの厚さは、基材が静電気拡散性であり続けるように100μm未満であってもよい。
【0009】
本開示の別の態様では、コーティングを適用する方法を記載する。コーティングは、結合剤に分散した、ナノ粒子の表面上に第四級アミン基を有する表面官能化ナノ粒子成分を含む。コーティングを基材に適用して、硬化できる。
【0010】
外部又は内部帯電防止剤は、熱安定性が限られると共に、吸湿性特性である。添加剤として使用するこれらの剤は、表面コーティングに適用されてもよく、又は材料のバルクに組み込まれてもよい。しかし、通常小さい分子であるこれらの剤は表面に移動して帯電防止特性を提供し得るが、簡単に削り取られるか又は洗い流されてしまい、コーティング全体を通して帯電防止特性を維持できない場合がある。
【0011】
低分子量で中性の帯電防止剤の多くは非常に高い蒸気圧を有し、熱安定性が不充分であるため、ポリマーの溶融加工のような高温での使用には、蒸発により材料損失が生じるので不向きである。静電気防止剤又は帯電防止剤は、高い蒸気圧、不相溶性及びその他の成分との相互作用の結果としてコーティング又は基材の表面に移動又はブルームし得る。非金属性の静電気防止剤は、電荷拡散が水の吸着及び伝導度に依存する保湿剤である。これらの剤は水溶性であり、水に曝されると容易に取り除かれるので、耐久性が不充分である。
【0012】
本開示において、第四級アミン基はナノ粒子に共有結合するので、コーティング中の小分子の移動及びブルームを削減する。コーティング組成物のナノ粒子は、小分子帯電防止剤を含有するコーティングとは対照的に、コーティング全体にわたってナノ粒子が分散しているので、バルク帯電防止特性を有する。更に、無機ナノ粒子は表面上に第四級アミン基を有し、このナノ粒子は水及び他の溶媒に不溶性であり、高温にて加工可能である。
【0013】
別の態様において、本開示の静電気拡散性物品は、表面に共有結合した第四級アミン基を含むナノ粒子が結合剤に分散したコーティングを有する。表面改質されたナノ粒子はコーティングに添加剤として使用されて、帯電防止特性を提供する。添加剤は物品上のコーティング全体にわたって分散するが、ナノ粒子はそこに第四級アミン基の単層の被覆又は単層に満たない被覆のために充分大きな表面積を提供する。
【0014】
官能化ナノ粒子として第四級アミン基を有するナノ粒子は、コーティング組成物において帯電防止特性を達成するのに充分な25重量%未満の濃度、及びより好ましくは10重量%未満の濃度を有していてもよい。
【0015】
別の態様において、コーティング組成物中にて溶媒を含む結合剤の濃度は少なくとも20重量%である。
【0016】
別の態様において、ナノ粒子は結合剤及び/又は溶媒中に帯電防止添加剤として分散する。水性コーティングにて容易に分散可能であることに加えて、ナノ粒子は透明なコーティングにも使用できる。用語「透明な」は、感知できるほどに光を散乱することなく向こうに置かれた物体を明確に見ることができる光透過特性を有するものとして定義される。ナノ粒子の直径は、可視光線の長さより短く、ナノ粒子は100nm未満の平均粒子直径を有する。
【0017】
本開示の上記の「課題を解決するための手段」は本開示の各開示実施形態又はすべての実施を説明しようとするものではない。以下の図及び「発明を実施するための形態」は、説明に役立つ実施形態をより具体的に例示する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の定義された用語に関して、別の定義が特許請求の範囲又は本明細書の他の箇所において示されない限り、これらの定義が適用される。
【0019】
「アルキルアミン」という用語は、アンモニア(NH)の類縁体として定義され、ここでアンモニアの1つ、2つ又は3つの水素原子のいずれかが有機ラジカルによって置換される。一般式は:(1)第一級アミン、−N(R)、式中、R及びRは両方Hである;(2)第二級アミン、−N(R)、式中、RはHであり、Rはアルキル基である;及び(3)第三級アミン、−N(R、式中、Rはアルキル基である。アルキル基の結合は、アミン基のNに結合してもよい1つの基の代表的な例に過ぎない。
【0020】
「硬化」という用語は、化学的添加剤、紫外線、電子ビーム(EB)、化学線放射又は熱によって引き起こされるポリマー鎖の架橋によってポリマー材料を強化する又は固めることと定義される。「硬化」は、コーティングからの1又は複数の溶媒の除去によって架橋することなく固化又は強化の促進を更に包含してもよい。
【0021】
用語「ナノ粒子」は、本明細書で使用するとき、(個々の文脈が特に他のものを暗示しているのでなければ)、一般には具体的な幾何学形状が変化する可能性はあるが、ナノ寸法(すなわち、約100ナノメートル未満)で測定され得る有効直径若しくは平均直径を有する粒子、粒子の群、粒子状分子(すなわち、分子の小さな個々の群又は緩く結合した群)、粒子状の分子の群を指す。
【0022】
「ワンポット合成」という用語は、化学反応の効率を改善する方法であり、それによって1又は複数の反応体はただ1つの反応器にて連続的な化学反応に供される。この方策では、広範囲の分離プロセス及び中間化学化合物の精製を避け、化学収率を増大させつつ、時間と資源の両方を節約する。
【0023】
「粒子直径」及び「粒径」という用語は粒子の最大断面寸法として定義される。粒子が凝集物の形で存在する場合、「粒子直径」及び「粒径」という用語は凝集物の最大断面寸法を指す。
【0024】
用語「第四級アミン」基は、−N(Rとして定義され、式中、Nはカチオン性であり、Zはアニオン、又はカチオン性Nの対イオンを示し、各Rはアルキル基である。アルキル基の結合は、アミン基のNに結合してもよい1つの基の代表的な例に過ぎない。アミン基はカチオン性種を形成するために官能化されている。
【0025】
「表面改質されたナノ粒子」又は「表面官能化されたナノ粒子」という用語は、粒子の表面に結合する表面基を含む粒子として定義される。表面基は、ナノ粒子の表面上にて単層、望ましくは連続単層、又は単層に満たない層を形成するのに充分であるように粒子の特性を改質する。
【0026】
「導電性材料」という用語は、1×10Ω/sq未満の表面固有抵抗を有し、又は1×10Ωcm未満の体積固有抵抗を有するものとして定義される。低い電気抵抗のため、電子はこれらの材料の表面又はバルク中を通って容易に流れる。「静電気放電用語集のためのESD協会勧告(ESD Association Advisory for Electrostatic Discharge Terminology)」、ESE−ADV1.0−1994(静電気放電協会(Electrostatic Discharge Association)、ニューヨーク州ローム(Rome))にて参照されるように、電荷はアース、又は材料が接触するか若しくは接続した別の導電性物体に向かう。
【0027】
「拡散性材料」という用語は、1×10Ω/sq以上であるが、1×1012Ω/sq未満の表面固有抵抗、又は1×10Ω−cm以上であるが、1×1011Ω−cm未満の体積固有抵抗を有するものとして定義される。これらの材料に関して、電荷は「静電気放電用語集のためのESD協会勧告(ESD Association Advisory for Electrostatic Discharge Terminology)」、ESE−ADV1.0−1994(静電気放電協会(Electrostatic Discharge Association)、ニューヨーク州ローム(Rome))にて参照されるように、導電性材料よりゆっくり、そしてある程度のより制御された方法でアースに流れる。
【0028】
「絶縁材料」という用語は、少なくとも1×1012Ω/sqの表面固有抵抗又は少なくとも1×1011Ω−cmの体積固有抵抗を有するものとして定義される。絶縁材料は、その表面を横切る又はその体積中を通る電子の流れを妨げるか又は制限する。絶縁材料は、電気抵抗が高く、アースするのが難しい。「静電気放電用語集のためのESD協会勧告(ESD Association Advisory for Electrostatic Discharge Terminology)」、ESE−ADV1.0−1994(静電気放電協会(Electrostatic Discharge Association)、ニューヨーク州ローム(Rome))にて参照されるように、静電荷は、非常に長い時間これらの物質上の特定位置に留まる。
【0029】
「帯電防止材料」という用語は、抵抗又は固有抵抗によっては定義されない。帯電防止剤は、摩擦電気による荷電を阻止する材料特性について言及する。「静電気放電用語集のためのESD協会勧告(ESD Association Advisory for Electrostatic Discharge Terminology)」、ESE−ADV1.0−1994(静電気放電協会(Electrostatic Discharge Association)、ニューヨーク州ローム(Rome))にて参照されるように、帯電防止特性を有する材料は、その固有抵抗又は抵抗とは必ずしも相互関連していない。
【0030】
「表面固有抵抗」という用語は、材料の表面で測定される抵抗として定義される。材料の表面に電極を配置し、電圧を印加して電極間の抵抗を測定する。
【0031】
「体積固有抵抗」という用語は、バルク、又は体積、又は材料を通って測定される抵抗として定義される。電極を材料の上面及び下面上に配置し、電圧を印加して、電極間の抵抗を測定する。
【0032】
端点による数値範囲の列挙には、その範囲内に包括される全ての数が包含される(例えば、1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5が含まれる)。
【0033】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において包含されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を包含する。したがって、例えば「化合物(a compound)」を含有する組成物の言及は、2つ以上の化合物の混合物を包含する。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、用語「又は」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、一般的に「及び/又は」を包含する意味で用いられる。
【0034】
特に指示がない限り、明細書及び特許請求の範囲に使用されている量又は成分、特性の測定等を表す全ての数は、全ての例において、用語「約」により変更されることを理解されたい。したがって、反することが示されない限り、本明細書及び添付特許請求の範囲に記載の数値的パラメータは、本発明の教示を利用して当業者により得ることが求められる所望の性質に応じて変化する近似値である。最低でも、特許請求の範囲への同等物の原則の適用を限定する試みとしてではなく、少なくとも各数値的パラメータは、報告された有効数字の数を考慮して、通常の四捨五入の適用によって解釈されなければならない。本開示の広範囲で示す数値的範囲及びパラメータは近似値であることに束縛されず、具体例に記載の数値は可能な限り正確に報告する。しかし、いずれの数値もそれらの各試験測定値において見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本来包含する。
【0035】
本開示は静電気拡散性物品を記載する。この物品はコーティングを有する基材を含む。コーティングはナノ粒子の表面上に第四級アミン基を有する表面改質されたナノ粒子成分を含む。コーティングされた物品は、帯電防止剤として、ナノ粒子の表面上に付着した第四級アミン基を含有するコーティングを含む。より詳細には、第四級アミン基は、単層の被覆又は単層に満たない被覆を形成するのに充分な量で、ナノ粒子の表面に共有結合される。
【0036】
本開示の態様の1つでは、コーティングは、ナノ粒子が分散された結合剤を更に含む。
【0037】
ナノ粒子の表面上に存在する第四級アミン基は帯電防止特性を提供する。1つの態様において、基材はナノ粒子が溶媒中に更に分散したコーティング組成物でコーティングされる。コーティングの第四級アミン基が静電気を拡散させることで、1×10Ω/sq以上であるが、1×1012Ω/sq未満の表面固有抵抗測定値を得る。
【0038】
静電気減衰は、コーティングされた物品に電荷を与える際に測定され、電荷がその初期値の10%に減衰する時間を秒単位で記録する。測定可能な静電気の減衰がないということは、物品が静電気又は電荷を容易に拡散しないことを示す。秒単位の静電気減衰の数値は、本開示において基材上のコーティングの静電気拡散性特性の指標である。
【0039】
本開示の実施形態において、ナノ粒子成分は、第一級アミン、第二級アミン、及び第三級アミンを含んで成るナノ粒子の表面のアミン基の混合物を更に含む。
【0040】
本開示の物品のための基材はコーティング用媒体を提供する。通常、局所処理又は表面コーティングには絶縁材料又は非導電性材料が適している。これらの材料は比較的低い表面伝導度及びバルク伝導度を有し、静電気を蓄積し易い。このような材料としては、特性として有機又は無機のいずれかであることができる合成及び天然ポリマー(又はそれらの反応前駆体、例えば単−又は多官能性モノマー又はオリゴマー)、並びにセラミック、ガラス、セラマー(又はそれらの反応前駆体)が挙げられる。
【0041】
熱可塑性又は熱硬化性のいずれかである基材に好適な合成ポリマーとしては、汎用性ポリマー、例えばポリ(塩化ビニル)、ポリエチレン(高密度、低密度、超低密度)、ポリプロピレン、及びポリスチレン;エンジニアリングプラスチック、例えばポリエステル(例えば、ポリ(エチレンテレフタレート)及びポリ(ブチレンテレフタレート)を包含する)、ポリアミド(脂肪族、非晶質、芳香族)、ポリカーボネート(例えば、芳香族ポリカーボネート、例えばビスフェノールAから誘導されるもの)、ポリオキシメチレン、ポリアクリレート及びポリメタクリレート(例えば、ポリ(メチルメタクリレート))、特定修飾ポリスチレン(例えば、スチレン−アクリロニトリル(SAN)及びアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)コポリマー)、高衝撃ポリスチレン(SB)、フルオロプラスチック、並びにブレンド、例えばポリ(フェニレンオキシド)−ポリスチレン及びポリカーボネート−ABS;高性能プラスチック、例えば液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルケトン(PEEK),ポリスルホン、ポリイミド、及びポリエーテルイミド;熱硬化性、例えばアルキド樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂(例えば、メラミン及び尿素樹脂)、エポキシ樹脂、飽和ポリエステル(いわゆるビニルエステルを包含する)、ポリウレタン、アリル系(allyllics)(例えば、アリルジグリコールカルボネートから誘導されるポリマー)、フルオロエラストマー、及びポリアクリレートなど並びにこれらのブレンドが挙げられる。好適な天然ポリマーとしては、タンパク質様(proteinaceous)材料、例えば絹、毛、及び革;及びセルロース性材料、例えば綿及び木材が挙げられる。
【0042】
態様の1つでは、静電気拡散性物品は、成形材料、溶融ブロー材料、フィルム、織布、不織布、発泡体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される基材を含む。
【0043】
基材の表面調製をコーティングの適用前に行ってもよい。コーティングの性能は、基材材料に適切にを付着させる能力に大きな影響を受ける場合がある。表面の混入物質、油、油脂、及び酸化物の存在は、基材に対するコーティングの付着性を物理的に損ないかつ低減し得る。基材は、基材に対するコーティングの付着性を改善するために表面処理され得る又は洗浄され得る。
【0044】
本開示の実施形態の1つでは、基材の表面処理が可能である。表面処理の方法としては、真空蒸着、コロナ、レーザー、化学、熱、火炎、プラズマ、オゾン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0045】
静電気拡散性物品の基材用コーティングは静電気を拡散させるためのものである。コーティング組成物は、ナノ粒子の表面上に第四級アミン基を有する表面官能化ナノ粒子成分を含む。ナノ粒子は結合剤中に分散し、このナノ粒子は本質的に凝集がない。態様の1つでは、コーティング組成物は溶媒を含む。
【0046】
ナノ粒子は、その表面に第四級アミン基を有する無機物である。表面改質されたナノ粒子は、第一級、第二級、及び第三級アミン基を更に含む。更に、表面改質されたナノ粒子は乾燥させて、コーティング組成物の溶媒中に容易に分散できる。
【0047】
好適な無機ナノ粒子としては、シリカ、及びジルコニア、チタニア、セリア、アルミナ、酸化鉄、バナジア、酸化アンチモン、酸化スズ、アルミナ/シリカ、酸化鉄/チタニア、チタニア/酸化亜鉛、ジルコニア/シリカ、リン酸カルシウム、酸化ニッケル、酸化亜鉛、カルシウムヒドロキシルアパタイトを含む金属酸化物ナノ粒子、及びこれらの組み合わせが挙げられる。本発明の態様の1つでは、ナノ粒子は好ましくは100nm未満、好ましくは約50nm以下、より好ましくは約3nm〜約50nm、更により好ましくは約3nm〜約20nm、最も好ましくは約5nm〜約10nmの平均粒子直径を有する。ナノ粒子が凝集している場合、凝集粒子の最大断面寸法はこれらの好ましい範囲内のいずれかである。
【0048】
金属酸化物コロイド状分散体としては、コロイド状の酸化ジルコニウムが挙げられ、それらの好適な例は、米国特許第5,037,579号(マチェット(Matchett))に記載されている。更に、コロイド状の酸化チタンの例は、PCT国際公開特許WO 00/06495(アルネイ(Arney)ら)に見出すことができる。無機コロイド状分散体は、ナイアコール・ナノ・テクノロジーズ(Nyacol NanoTechnologies)(マサチューセッツ州アンドーバー(Andover))から入手可能である。
【0049】
代表的な実施形態において、未改質シリカ粒子を本開示のナノ粒子成分として使用してもよい。ナノ粒子は、製品名ナルコ(NALCO)2326、2327、1130、2359(ナルコ・ケミカル社(Nalco Chemical Company);イリノイ州ナパビレ(Naperville))として入手可能なコロイド状分散体の形態であってもよい。
【0050】
別の態様では、ナノ粒子は、実質的に個々に会合せず(すなわち凝集せず)、不可逆的な会合もなく分散している。「〜と会合する(associate with)」又は「〜と会合している(associating with)」という用語は、例えば、共有結合、水素結合、静電引力、ロンドン力、及び疎水性相互作用を含む。
【0051】
本開示のナノ粒子成分は、本明細書に記載される方法によって表面改質される。ナノ粒子成分の表面は、1種以上のアミン表面改質基で改質されてよい。表面改質されたナノ粒子は、粒子の表面に結合した表面基を含む粒子である。表面基は、粒子の疎水性又は親水性特性を改質し、その特性には、電気的、化学的、及び/又は物理的特性が包含されるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、表面基は、ナノ粒子をより疎水性にしてもよい。いくつかの実施形態において、表面基は、ナノ粒子をより親水性にしてもよい。表面基は、統計的に平均化され、無秩序に表面改質された粒子を提供するように選択されてもよい。いくつかの実施形態において、表面基は、粒子の表面上に、単層、好ましくは連続単層を形成するのに充分な量で存在する。
【0052】
ナノ粒子が溶媒中で加工される特定の場合には、アミン表面改質基により粒子を加工溶媒に対して相溶性にできる。ナノ粒子が溶媒中で加工されない場合は、表面改質基又は部分が、ナノ粒子の不可逆性の凝集を妨げることが可能になる。
【0053】
本開示の代表的な実施形態において、ナノ粒子の80%未満の有効な表面官能基(例えば、Si−OH基)は、親水性及び分散性を保持するために親水性表面改質基で改質される。
【0054】
【化1】

【0055】
本開示の式(I)に示されるアミノオルガノシランは、表面改質剤と呼ばれる。表面改質剤は、少なくとも2つの反応性官能基を有する。反応性官能基の1つは、ナノ粒子の表面に共有結合でき、第2官能基はアルキルアミン基を形成するためにアルキル化できる。例えば、ナノ粒子がシリカである場合、ナノ粒子のSi−OH基はアミノオルガノシランのX基と反応性がある。
【0056】
1つの実施形態では、例えば、少なくとも1つのX基がナノ粒子の表面と反応できる。別の態様では、X基の数は1〜3の範囲であり、追加のX基の更なる反応がナノ粒子の表面上で生じてもよい。
【0057】
本開示の態様において、少なくとも1つのアミノオルガノシラン、及び複数のアミノオルガノシランが表面改質のために使用でき、或いはそれらを組み合わせても使用できる。
【0058】
ナノ粒子は、アミノオルガノシランで表面改質される。アミノオルガノシランは式(I)のものである。アミノオルガノシランは、モノアミン、ジアミン、及びトリアミン官能基を含んでいてもよく、アミノ基は鎖内又は末端基内にあってもよい。アミノオルガノシランは式(I)のものである:式中R及びRはそれぞれ独立して、水素、直鎖又は分枝鎖の有機基、約1〜約16個の炭素原子(平均)を有するアルキル基、フェニル、チオフェニル、ナフチル、ビフェニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジル、ピリダジニル、フリル、チエニル、ピリル、キノリニル、ビピリジルなどからなる群から選択されるもののようなアリール、トリルのようなアルカリール、又はベンジルのようなアラールキル基であり、R及びRは、ピリジン又はピロール部分によって表わされるような環が結合していてもよく;Rは直鎖又は分枝鎖の有機基(任意に、鎖又はペンダント中に1以上のカテナリー(caternary)N(アミン)基、例えば式(Ia)を含む)及びこれらの組み合わせから選択された2価の種であり、1〜16個の炭素原子(平均)を有するアルキル、アリール、シクロアルキル、アルキエーテル、アルキレンを含む;
【0059】
【化2】

【0060】
は、独立して、約1〜約16個の炭素原子(平均)を有するアルキル、アリール及びこれらの組み合わせからなる群から選択され;Xは、ハライド、アルコキシ、アシルオキシ、ヒドロキシル、及びこれらの組み合わせであり、zは1〜3の整数である。更に、アルキル基は直鎖又は分枝鎖であり得、アルキル及びアリール基は、アミノオルガノシランの官能基を妨げない非干渉置換基によって置換できる。反応混合物は、少なくとも1つのアミノオルガノシランを含むが、複数のアミノオルガノシラン又はそれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0061】
アミノオルガノシランは、無機ナノ粒子上の利用可能な官能基(例えば、シリカナノ粒子上の利用可能なヒドロキシル官能基の数)の1〜100%と反応するのに充分な量で使用される。利用可能な反応部位の全てが表面改質剤で官能化されるように、ある量のナノ粒子が過剰量の表面改質剤と反応する場合の官能基の数が実験的に決定される。次に、その結果から、より低いパーセントの官能化が計算され得る。代表的な実施形態において、アミノオルガノシランとナノ粒子との重量比は、1.5:100〜15:100の範囲である。
【0062】
アミノオルガノシランは、アミノアルキルシラン、アミノアリールシラン、アミノアルコキシシラン、アミノシクロアルキルシラン、及びこれらの組み合わせからなる群から更に選択される。アミノオルガノシランは、ナノ粒子の表面上にて少なくとも30%の官能基を官能化するために反応混合物中に存在する。アミノオルガノシランの例としては、3−アミノプロピルトリエトキシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、2−(4−ピリジルエチル)トリエトキシシラン、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)ピロール、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルシラントリオール、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルジイソプロピルエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノメチルトリメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−11−アミノウンデシルトリメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−3−[(アミノ(ポリプロピレンオキシ)]アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルシラントリオール、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノイソブチルメチルジメトキシシラン、(アミノエチルアミノ)3−イソブチルジメチルメトキシシラン、(3−トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン、n−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルトリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N−アリルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノメチルトリエトキシシラン、N−メチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ジエチルアミノメチルトリエトキシシラン、(N,N−ジエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、3−(N−N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0063】
代表的な実施形態において、3−(N,N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシランが、ナノ粒子の表面を改質するために使用されてもよい。
【0064】
アルキル化剤は、ナノ粒子とカップリングしたアミノオルガノシランのアミノ基との求核置換反応を介して反応し、アルキルアミン及び第四級アンモニウム塩を形成する。アルキル化剤は式(II)のものである:
【0065】
【化3】

【0066】
式中、Yは水素、フッ素、ヒドロキシル、アリル、ビニルエーテル又はこれらの組み合わせであるか、又はアミノ基のアルキル化を邪魔しない他の基であり;Rは2価種であり、脂肪族(C〜C24)、脂環式、ベンジル基、アルキレン(1以上のカテナリーN(鎖又はペンダント中のアミン基)を含む)又はこれらの組み合わせから選択され;Zはハロゲン化物、トシレート、スルフェート、官能化スルホネート(例えば2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)、ホスフェート、ヒドロキシル基、又はこれらの組み合わせである。アミノオルガノシランの求核性NがY−R−Zの求電子性Cを攻撃し、Zを置換する。NとY−Rの求電子性Cとの間に新しい結合が形成され、こうして第四級アミン基のアルキル化種が形成される。アルキル化反応の脱離基であるZ基は、式(III)に示されるような第四級アンモニウム塩のアニオン種を形成する。
【0067】
より小さいハロゲン化アルキルによるアミノ基のアルキル化は、一般に第一級アミンから第四級アミンまで進行する。選択的なアルキル化は、アルキル化中の求核性を低下させ得るアミノ基上の立体的な込み合いによって達成可能である反応アミンが第三級である場合、第四級アンモニウムカチオンが生じ得る。第四級アンモニウム塩は、このルートにより、様々なY−R基及び多くのハロゲン化物及び擬似ハロゲン化物アニオンを用いて調製できる。
【0068】
代表的な実施形態において、ヨウ化アルキル、及び臭化アルキルはアミノオルガノシランをアルキル化するために使用されてもよい。
【0069】
更なる実施形態において、アルキル化剤はハロゲン化アルキルであり、例えば臭化ブチル又は塩化ラウリルである。
【0070】
アミン基は更にアルキル化でき、第一級、第二級、第三級、及び第四級アミン基の分布を含み、ナノ粒子の表面上にアルキルアミン及び第四級アミン官能化の連続的な単層の被覆、又は単層に満たない被覆を形成する。
【0071】
式(III)の第四級アミンは、イオン性種であり、式中、Zは、第四級アンモニウム基のカチオンNに対するアニオン性対イオンである。第四級アンモニウム基は、基Xにおいてナノ粒子
【0072】
【化4】

【0073】
と共有結合するが、ここでzは1〜3である。反応混合物は、少なくとも1つのアルキル化剤を含有するが、複数のアルキル化剤又はこれらの組み合わせを含むこともできる。
【0074】
シランに結合するX基は更に他のシランと反応してシロキサンを形成してもよく、同じ又は別のナノ粒子上の他の官能基と反応してもよいことが理解される。例えば、式(IIIa及びIIIb)は結合を示すX基の2つの可能な反応を示す。X基を用いた他の反応も考慮できる。
【0075】
【化5】

【0076】
代表的な実施形態において、本開示のアミノオルガノシラン官能化ナノ粒子は更にアルキル化剤と反応する。ワンポット合成において、アルキル化剤反応物はナノ粒子とカップリングしたオルガノシランのアミノ基と反応する。
【0077】
代表的な実施形態において、ハロゲン化アルキルは、アミンと反応して、アルキル置換アミンを形成し、その後引き続いてナノ粒子の表面を改質する。
【0078】
代表的な実施形態において、アルキル化剤とアミノオルガノシランとのモル比は5:1〜1:15の範囲である。混合物中のアルキル化剤の量は、アミノ基を第四級化するか、又はアミノオルガノシランのアミノ基の少なくとも一部をアルキル化するのに充分である。
【0079】
アルキルアミン及び第四級アミン基を含む表面改質されたナノ粒子は、好ましくは溶媒又は溶媒の組み合わせ内で分散する、個々の会合していない(凝集していない)ナノ粒子であり、このナノ粒子は互いに不可逆性の会合を生じない。表面改質されたナノ粒子は、粒子が粒子凝集も凝集も生じないように溶媒内で分散する。
【0080】
本開示の方法は更に、アミン基の単層を含む表面改質されたナノ粒子を記載する。ナノ粒子成分は、単層の被覆又は単層に満たない被覆で表面改質又は官能化されてもよい。表面改質のアミン基は、第一級、第二級、第三級及び第四級アミン基の分布を含んでいてもよい。代表的な実施形態において、第四級アミンと三級アミン基との比はナノ粒子の表面上で1:100〜100:1の範囲である。
【0081】
代表的な実施形態では、ナノ粒子の表面官能化がアルキルアミン表面改質基の連続単層であるような本開示の方法を更に記載できる。
【0082】
本開示の反応混合物は、ナノ粒子成分の分散のために1又は複数の溶媒を含有する。表面改質ナノ粒子を製造するのに有用な溶媒としては:水;エタノール、プロパノール、メタノール、2−ブトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール及びこれらの組み合わせから選択されるアルコール;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン及びこれらの組み合わせから選択されるケトン;エチレングリコール、プロピレングリコールから選択されるグリコール;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アセトニトリル及びこれらの組み合わせが挙げられる。ワンポット合成において、極性溶媒は未改質ナノ粒子及び表面改質ナノ粒子を分散させるために使用される。ナノ粒子の表面改質中、ワンポット合成における溶媒は粒子を分散させる。ナノ粒子のアルキルアミン及び/又は第四級アミン表面基は相溶性、例えば溶解性又は混和性を提供する。
【0083】
本開示の別の実施形態において、乾燥した表面改質ナノ粒子は、(1又は複数の)溶媒中で容易に分散し、粒子凝集及び凝集を生じない。乾燥した表面改質ナノ粒子に溶媒を添加すると、再分散時に透明な混合物がもたらされる。顕微鏡により、個々の粒子が溶媒内で分散するのがわかる。
【0084】
ナノ粒子に共有結合する親水性の表面基、例えばアルキルアミンが溶媒又は溶媒の組み合わせ中への再分散を可能にする。本開示の表面改質ナノ粒子の溶媒中における分散は、10〜50重量%固形分の範囲である。別の態様において、ナノ粒子の分散は15〜40重量%固形分の範囲である。更なる態様において、ナノ粒子の分散は15〜25重量%固形分の範囲である。
【0085】
溶媒中に再分散したナノ粒子の分散性が低下すると、濁った(hazy)又は曇った溶液が生じる。更に、溶媒中に分散したナノ粒子の分散性が低いと溶液粘度が上昇し得る。溶媒中に分散した表面改質粒子の相溶性(例えば混和性)は、ナノ粒子上の表面改質の量、ナノ粒子上の官能基と溶媒との相溶性、粒子上の基の立体的な込み合い、イオン相互作用、及びナノ粒子径といった要因(全てを含むわけではない)に影響を受ける場合がある。
【0086】
本開示の別の実施形態において、ナノ粒子はアルキルアミンで表面改質され、更に第四級アミン基も含む。ワンポット反応におけるアミノオルガノシランによるナノ粒子の表面の官能化及び第四級アミン基を得るためのアミノ基のアルキル化は、溶媒中の分散性を向上させることができる。多段階手順にてナノ粒子とは別に合成された第四級アミノシランによるナノ粒子の表面の官能化では、溶媒中の分散性が低くなる。多段階手順から得られるナノ粒子の分散性が低下するのは、粒子の低官能化、官能基の立体的な込み合い、シラン由来官能基のナノ粒子に対する利用性、及び溶媒中に分散したナノ粒子と第四級アミノシランの溶解性に起因する場合がある。これらの要因又は要因の組み合わせは、すべてを含むわけではないが、低い分散性による場合がある。
【0087】
表面改質されたナノ粒子は、溶媒中のナノ粒子の分散を助ける表面アミン基を有する。アルキルアミン及び第四級アミン表面基は、凝集せずに分散可能なナノ粒子をもたらすのに充分な量で表面に存在する。表面基は好ましくは、ナノ粒子の表面上に、単層、好ましくは連続単層を形成するのに充分な量で存在する。
【0088】
実施形態の1つでは、アルキルアミン及び第四級アミンは式、例えば−N(R(一級);−N(R)(二級);−N(R(三級);及び−N((RYR))(第四級)で表されるが、式中R及びRはそれぞれ独立して、水素、直鎖又は分枝鎖の有機基、約1〜約16個の炭素原子(平均)を有するアルキル基、フェニル、チオフェニル、ナフチル、ビフェニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジル、ピリダジニル、フリル、チエニル、ピリル(pyrryl)、キノリニル、ビピリジルなどからなる群から選択されるもののようなアリール、トリルのようなアルカリール、又はベンジルのようなアラールキル基であり、R及びRはピリジン又はピロール部分によって表わされるような環が結合していてもよく、Rは2価種であり、脂肪族(C〜C24)、脂環式、ベンジル基、アルキレン(1以上のカテナリーN(鎖又はペンダント中のアミン基)を含む)又はこれらの組み合わせから選択され、Yは水素、フッ素、ヒドロキシル、アリル、ビニルエーテル及びこれらの組み合わせであり、Zはアミンのアルキル化反応からのイオン種である。アミン表面基はナノ粒子の表面上にアミン基の官能性分布を示す。
【0089】
代表的な実施形態において、アルコール、水及びこれらの組み合わせは表面改質されたナノ粒子を製造するための溶媒として使用される。
【0090】
代表的な実施形態において、混合物を攪拌し、ナノ粒子と混合物との混合及び反応を確実にするのに充分な温度にて1.5〜28時間加熱する。未改質ナノ粒子成分は水に分散する。アミノオルガノシラン、及びアルキル化剤は溶媒と共に添加し、反応混合物を構成する。ナノ粒子成分を表面改質した後、表面改質されたナノ粒子をアミン基組成について分析する。
【0091】
反応混合物の攪拌は、振盪、攪拌、振動、超音波、及びこれらの組み合わせによって達成できる。
【0092】
ナノ粒子の表面を改質する温度は、ワンポット合成(ワンポット反応)を行うのに充分である。1つの態様において、反応温度は80℃〜110℃の範囲である。
【0093】
本開示の代表的な実施形態において、表面改質されたナノ粒子は、溶媒、水、及び未反応成分を除去するために80〜160℃で2〜24時間乾燥することが可能である。溶媒洗浄は、本開示のナノ粒子を更に精製するために達成されてもよい。
【0094】
反応混合物の加熱及び表面改質ナノ粒子の乾燥は、熱、マイクロ波、電気及びこれらの組み合わせによって達成できる。
【0095】
本開示のコーティング組成物は、25重量%未満の表面改質ナノ粒子を含む。別の態様では、組成物は10重量%未満のナノ粒子を含む。更なる態様において、組成物は1重量%未満のナノ粒子を含む。
【0096】
別の態様では、コーティング組成物は表面改質されたナノ粒子を分散させるための溶媒を含む。コーティング組成物において表面改質されたナノ粒子を分散するのに有用な溶媒としては、水;エタノール、プロパノール、メタノール、2−ブトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール及びこれらの組み合わせから選択されるアルコール;テトラヒドロフラン;アセトン;アセトニトリル及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0097】
1つの態様において、表面官能化されたナノ粒子は溶媒中に分散でき、基材上にコーティングできる。ナノ粒子は溶媒除去後に基材上に留まり、静電気拡散性物品を提供する。更に、ナノ粒子コーティングは、多層コーティング組成物の中間体層として機能してもよい。ナノ粒子層は、別の層で又はコーティングで積層又は上塗りされてもよい。
【0098】
1つの実施形態において、本開示のコーティング組成物のための、熱可塑性又は熱硬化性であってもよい結合剤としてのポリマー材料としては、(メタ)アクリレート、アクリレート、エポキシ、ポリオール、イソシアネート、スチレン、ウレタン、アミド、オキシメチレン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。水/アルコール又は極性溶媒系に可溶性である他の好適な結合剤が補われてもよい。1つの実施例において、コーティング組成物に結合剤を添加し、コーティング全体を通してナノ粒子を分布し、コーティング表面に耐久性を付与してもよい。
【0099】
実施形態の1つでは、表面官能化ナノ粒子の濃度はコーティング組成物の10重量%未満である。
【0100】
別の実施形態において、組成物はコーティング組成物を含有する溶媒にて少なくとも20重量%の結合剤を含む。
【0101】
一般に、開示のコーティング溶液は、コーティング条件にて固体である材料を更に含んでいてもよい。これらの材料としては、例えば有機及び無機充填剤(例えば、粒子及び繊維)、粘土、シリカ、酸化防止剤、微小球(例えば、ガラス及びポリマー微小球)、染料、顔料、樹脂、ポリマー、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0102】
態様の1つでは、コーティング溶液は他の添加剤を更に含んでいてもよく、そうした添加剤としては、例えば硬化剤、反応開始剤、促進剤、架橋剤、界面活性剤、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0103】
本開示のコーティング組成物又はコーティング溶液は、基材のコーティングのために使用されてもよい。特定の実施形態において、溶液は、例えば、少なくとも1つの結合剤、表面改質ナノ粒子、及びいずれかの任意材料を混合又はブレンドすることによって調製されてもよい。例えば攪拌、振盪、高せん断及び低剪断攪拌を包含する、いずれか既知の混合及び/又はブレンド装置又は技術が使用されてもよい。特定の実施形態において、コーティング溶液は、混合後に均質になる。
【0104】
実施形態の1つでは、本開示のコーティングは、ナノ粒子の表面に結合剤により第四級アミン基を分散させた、表面官能化ナノ粒子を含む。結合剤の選択は、表面官能化ナノ粒子の分散に寄与し得る。1つの例では、結合剤及びナノ粒子は、不相溶性により凝集を生じたり、ゲル状になったりする可能性がある。別の例では、結合剤及びナノ粒子は、ナノ粒子が結合剤内に分散するような相溶性のものであってもよい。
【0105】
コーティング組成物用の結合剤中でのナノ粒子の分散は、コーティングの性能に影響し得る。凝集が生じたコーティングは、基材上にコーティングするのが困難な場合があり、静電気拡散性特性が低下又は静電気拡散性特性がほどんどないコーティング物品を生じる可能性がある。基材上にコーティングされた樹脂内で分散したナノ粒子を有する相溶性のコーティング組成物では、静電気拡散性特性を有する物品が得られる。
【0106】
実施形態の1つでは、コーティング組成物の相溶性の結合剤及びナノ粒子により静電気拡散性物品が提供される。
【0107】
本開示において、次いでコーティング溶液は基材の表面に適用される。ロールコーティング、カーテンコーティング、バーコーティング、噴霧、ディッピング、パッディング及びこうしたアプリケーションの他の変更又は組み合わせを包含する、当該技術分野において既知のコーティング方法が、使用されてもよい。少なくとも1つの液体をコーティングされた溶液から除去し、フィルムを基材表面に形成する。特定の実施形態において、液体は蒸発によって除去される。
【0108】
コーティングされた基材は、基材に適用後に硬化又は強化されてもよい。1つの態様では、溶媒はコーティングから除去され、フィルムは結合剤を架橋することなく硬化することによって基材表面に形成される。特定の実施形態において、溶媒は蒸発によって除去される。別の態様において、1以上のコーティングされた材料は、例えば熱化学線放射(例えば、赤外線、可視光線、又は紫外線、及びこれらの組み合わせ)、電子ビーム、水分、及びこれらの組み合わせによって硬化(架橋)されてもよい。
【0109】
態様の1つでは、基材上に適用されたコーティングは、基材上に実質的に連続な帯電防止コーティング組成物を形成するのに充分に厚い。湿式コーティングの厚さは400μm未満である。別の態様において、湿式コーティングの厚さは250μm未満である。記載されたように、溶媒蒸発又は結合剤のポリマー鎖の架橋によってコーティングを硬化すると、フィルムの厚さを低減できる。
【0110】
代表的な実施形態において、基材はロールコーティング方法によってコーティングできる。
【0111】
更なる実施形態において、静電気拡散性物品の硬化又は乾燥したコーティング厚さは100μm未満である。実施形態の1つでは、硬化又は乾燥したコーティング厚さは、75μm未満であり、更なる実施形態において40μm未満であり、物品に静電気拡散性を付与するのに充分である。
【0112】
本発明の目的及び利点を以下の実施例で更に例示する。これらの実施例において列挙されるその特定の材料及び量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を過度に制限しないと解釈されるべきである。
【実施例】
【0113】
溶媒及び試薬は全て、特に断りのない限り、ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee)のシグマ−アルドリッチ・ケミカル社(Sigma-Aldrich Chemical Company)から入手した。ナルコ(Nalco)2326コロイダルシリカは、ナルコ・ケミカル社(Nalco Chemical Company)(イリノイ州ベッドフォード・パーク(Bedford Park))から得た。2軸配向ポリプロピレンフィルム(BOPP)は、東レ・プラスチックス(アメリカ)社(Toray Plastics America) Inc.)ノース・キングスタウン(North Kingstown)、ロードアイランド(Rhode Island)から商標名TREAX−TX−Gとして入手可能であった。ネオレズ(NeoRez)R960、ネオレズ(NeoRez)XK−90、及びネオクリル(Neocryl)CX−100は、アベシア(Avecia Limited)(英国マンチェスター)から得た。すべてのパーセント及び量は、特に指定のない限り、重量である。
【0114】
核磁気共鳴分光器分析は、400MHzのバリアン(Varian)NOVA固体分光計(カリフォルニア州パロ・アルト(Palo Alto))を用いて行った。試料は5mmのローターに詰めた。15N及び13C CP/MASは5mmのMAS NMRプローブを用いて収集した。15Nのスペクトルを、15N標識グリシンの二次基準物質を通して液体アンモニアを基準とした。13Cスペクトルは、ヘキサメチルベンゼンの二次基準物質を通してTMSを基準とした。55ppmの四次ピーク及び45ppmの三次ピークは、第四級化の程度を測定するために使用した。
【0115】
表面固有抵抗試験は、ASTM標準D−257:「絶縁材料のDC抵抗又はコンダクタンス(D.C. Resistance or Conductance of Insulating Materials)」の手順に従って行った。表面固有抵抗は、ETSモデル406C表面固有抵抗/抵抗メーター(エレクトロ−テック・システムズ社(Electro-Tech Systems, Inc.)(ペンシルベニア州グレンサイド(Glenside))を用いて測定した。表面固有抵抗は「Ω/cm」による単位で材料表面にわたって測定した。全ての測定値は5kVの電荷を用いて行われた。
【0116】
静電気拡散性測定は、静電気減衰メーター(エレクトロ−テック・システムズ社(Electro-Tech Systems, Inc.)(ペンシルベニア州グレンサイド(Glenside)からのモデル406C)を用いて行った。測定用試料は、およそ32cm(5インチ平方)の試料を切断し、次いでマグネットを用いてメーター電極間に装着することによって調製した。試料は、+/−5kVに荷電し、初期値の10%まで電荷が減衰する時間(秒)を測定し、記録した。
【0117】
コーティングされていないフィルム又は基材の表面固有抵抗及び静電気減衰測定を、22℃及び約27%相対湿度で行い、記録した。ポリエステルフィルムの測定された表面固有抵抗は、1×1012Ω/cmを超え、10秒の観察時間の間BOPPフィルムの電荷減衰は測定できなかった。
【0118】
調製例1
ナルコ(Nalco)2326コロイダルシリカ(100g)、N,N−ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン(5.88g;ゲレスト社(Gelest, Incorporated)、米国ペンシルベニア州モリスビレ(Morrisville))の、エチルアルコール(90g)及びメチルアルコール(23g)からなる溶媒混合物中の混合物を、機械的撹拌機を備えた3ツ口丸底フラスコにて80℃で1時間攪拌した。エチルアルコール(10g)中の臭化ブチル(3.88g)をこの混合物に添加し、80℃の温度で更に18時間攪拌した。生成物は、130℃にてオーブンで乾燥することによって単離した(22.7g)。表面改質ナノ粒子は、20重量%を超えて水に可溶性であり、観測可能な粘度上昇を伴わずに溶液が得られた。
【0119】
調製例2
ナルコ(Nalco)2326コロイダルシリカ(100g)、N,N−ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン(8.12g)の、エチルアルコール(90g)及びメチルアルコール(23g)からなる溶媒混合物中の混合物を、機械的撹拌機を備えた3ツ口丸底フラスコにて80℃で1時間攪拌した。エチルアルコール(10g)中の臭化ブチル(5.37g)をこの混合物に添加し、80℃の温度で更に18時間攪拌した。生成物は、130℃にてオーブンで乾燥することによって単離した(25.8g)。表面改質ナノ粒子は、20重量%を超えて水に可溶性であり、観測可能な粘度上昇を伴わずに溶液が得られた。
【0120】
調製例3
ナルコ(Nalco)2326コロイダルシリカ(100g)、N,N−ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン(5.88g)、塩化ラウリル(5.8g)及びメトキシプロパノール(112.5g)の混合物を、水冷却還流冷却器及び機械的撹拌機を備えた3ツ口丸底フラスコにて80℃で19.5時間攪拌した。生成物は、150℃にてオーブンで乾燥することによって単離した。
【0121】
(実施例1)
イソプロパノール/水(それぞれ92/4部)中の調製例1の表面改質されたナノ粒子(4部)からなるコーティング組成物又は溶液を、ガラス瓶にて室温で18時間混合した。次いで溶液をマイヤーバー(Meyer bar)#6(RDスペシャルティーズ(RD Specialties)、ニューヨーク州ウェブスター(Webster))を用いてポリエステルフィルム上にコーティングし、約14μmの湿潤コーティングの厚さを有する基材を得た。コーティングされたフィルムを分析前にオーブンにて130℃で1時間乾燥させた。コーティングされたフィルムの表面固有抵抗は5.50E+08Ω/cmと測定された。
【0122】
(実施例2)
イソプロパノール/水(それぞれ92/4部)中の調製例2の表面改質されたナノ粒子(4部)からなるコーティング組成物又は溶液を、ガラス瓶にて室温で18時間混合した。次いでこの溶液を、ワイヤバーコーターのマイヤーバー(Meyer bar)#6(RDスペシャルティーズ(RD Specialties)、ニューヨーク州ウェブスター(Webster))を用いてポリエステルフィルム上にコーティングし、約14μmの湿潤コーティングの厚さを有する基材を得た。コーティングされたフィルムを130℃で1時間、分析前にオーブンで乾燥させた。コーティングされたフィルムの表面固有抵抗は6.30E+09Ω/cmと測定された。
【0123】
(実施例3)
調製例3の表面改質されたナノ粒子(0.8グラム)を乳鉢及び乳棒を用いて微粉末に粉砕した。A部−ネオレズ(NeoRez)R960(1.25グラム)及びB部−ネオクリル(Neocryl)CX−100(1.25グラム)をナノ粒子に添加し、その後ガラスバイアル瓶にて水(2mL)と混合し、コーティング組成物を形成した。この混合物を均質になるまで機械的に振盪し、その後直ぐにBOPPフィルム上に(17.8cm×30.5cm(7×12インチ))マイヤーバー(Meyer bar)#14(RDスペシャルティーズ(RD Specialties)、ニューヨーク州ウェブスター(Webster))を用いてコーティングし、湿潤コーティングの厚さが約20μmの基材を得た。コーティングされたBOPPシートをオーブン中で55℃にて5分間乾燥した。静電気拡散測定は、静電気減衰メーター(エレクトロ−テック・システムズ社(Electro-Tech Systems, Inc.)ペンシルベニア州グレンサイド(Glenside)からのモデル406C)を用いて行った。測定用の試料は、約32cm(5インチ平方)の試料を切断し、マグネットを用いてメーター電極間に装着させることによって調製した。試料を+/−5kVに荷電し、電荷が初期値の10%まで減衰する時間を記録した。記録した結果は0.023秒(+)及び0.01秒(−)であった。
【0124】
(実施例4)
調製例3の表面改質された又は官能化されたナノ粒子(0.8グラム)を乳鉢及び乳棒を用いて微粉末に粉砕した。A部−ネオレズ(NeoRez)XK−90(1.25グラム)及びB部−ネオクリル(Neocryl)CX−100(1.25グラム)をナノ粒子に添加し、その後ガラスバイアル瓶にて水(2mL)と混合し、コーティング組成物を形成した。この混合物を均質になるまで機械的に振盪し、その後直ぐにBOPPフィルム上(17.8cm×30.5cm(7×12インチ))に、マイヤーバー(Meyer bar)#14(RDスペシャルティーズ(RD Specialties)、ニューヨーク州ウェブスター(Webster))を用いてコーティングし、湿潤コーティングの厚さが約20μmの基材を得た。コーティングされたBOPPシートは、オーブン中で55℃にて5分間乾燥した。静電気拡散測定は、静電気減衰メーター(エレクトロ−テック・システムズ社(Electro-Tech Systems, Inc.)ペンシルベニア州グレンサイド(Glenside)からのモデル406C)を用いて行った。測定用試料は、およそ32cm(5インチ平方)の試料を切断し、次いでマグネットを用いてメーター電極間に装着することによって調製した。試料は+/−5kVに荷電したが、いずれの極にも10秒間の観測時間中に電荷減衰は測定できなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ粒子の表面上に第四級アミン基を有する表面官能化ナノ粒子成分を含むコーティングを有する基材を含む、静電気拡散性物品。
【請求項2】
前記コーティングが、結合剤を更に含む、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記ナノ粒子が、シリカ、チタニア、アルミナ、酸化ニッケル、ジルコニア、バナジア、セリア、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化亜鉛、アルミナ/シリカ、酸化鉄/チタニア、チタニア/酸化亜鉛、ジルコニア/シリカ、リン酸カルシウム、カルシウムヒドロキシアパタイト及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記結合剤が、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、セルロース、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項2に記載の物品。
【請求項5】
前記第四級アミン基が、単層の被覆又は単層に満たない被覆を形成するのに充分な量で、前記ナノ粒子表面上に存在する、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
前記基材が、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、セルロース材料、ガラス、セラミック、セラマー及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の物品。
【請求項7】
前記基材が、成形材料、溶融ブロー材料、フィルム、織布、不織布、発泡体、及びこれらの組み合わせからなる群から更に選択される、請求項6に記載の物品。
【請求項8】
前記表面官能化ナノ粒子が、前記ナノ粒子の前記表面上に、式:
【化1】

(式中、R及びRはそれぞれ独立して、水素、直鎖又は分枝鎖の有機基及びこれらの組み合わせであり;Rは、直鎖又は分枝鎖の有機基及びこれらの組み合わせから選択された2価の種であり;Rは、独立して、アルキル、アリール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され;Xは、ハロゲン化物、アルコキシ、アシルオキシ、ヒドロキシル及びこれらの組み合わせであり;Rは、脂肪族、脂環式、ベンジル基、アルキレン、及びこれらの組み合わせから選択された2価の種であり;Yは、水素、フッ素、ヒドロキシル、アリル、ビニルエーテル、及びこれらの組み合わせであり;Zは、ハロゲン化物、トシレート、スルフェート、官能化スルホネート、ホスフェート、ヒドロキシル基、及びこれらの組み合わせであり;zは1〜3の整数である。)
で表された、−N(R基;−N(R)基;−N(R基;及び−N((RYR))基の混合物を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項9】
a)ナノ粒子の表面上に、第四級アミン基を有する表面官能化ナノ粒子成分と、
b)前記ナノ粒子が分散した結合剤と、
を含んで成る、コーティング組成物。
【請求項10】
前記組成物が、溶媒を更に含む、請求項9に記載のコーティング組成物。
【請求項11】
前記表面官能化ナノ粒子の濃度が、25重量%未満である、請求項9に記載のコーティング組成物。
【請求項12】
前記ナノ粒子は、本質的に凝集がない、請求項9に記載のコーティング組成物。
【請求項13】
前記結合剤の濃度が、少なくとも20%である、請求項10に記載のコーティング組成物。
【請求項14】
a)基材を用意する工程と、
b)i)ナノ粒子の表面上に、第四級アミン基を有する表面官能化ナノ粒子成分、及び
ii)前記ナノ粒子が分散した結合剤を含む、コーティングを提供する工程と、
c)前記コーティングを前記基材上に適用する工程と、
を含んで成る、静電気拡散性物品の製造方法。
【請求項15】
前記基材上の前記コーティングを硬化するステップを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記硬化したコーティングの厚さが、100μm未満である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記基材が、表面処理された基材を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記表面処理が、真空蒸着、コロナ、レーザー、化学、熱、火炎、プラズマ、オゾン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
a)i)ナノ粒子の表面上に、第四級アミン基を有する表面官能化ナノ粒子成分、及び
ii)前記ナノ粒子が分散した結合剤を含むコーティングを提供する工程と、
b)前記コーティングを基材上に適用する工程と、
c)前記基材上の前記コーティングを硬化する工程と、
を含んで成る、コーティングを適用する方法。

【公表番号】特表2010−503756(P2010−503756A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528469(P2009−528469)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/078372
【国際公開番号】WO2008/033988
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】