静電荷像現像用トナー並びに現像剤及び画像形成方法
【課題】高温高湿度下でのトナーの耐ブロッキング性と低温定着性とが共に優れ、かつ現像剤や感光体へのスペントがなく、現像剤耐久性が高く、経時の帯電安定性に優れたトナー、現像剤の提供を目的とする。
【解決手段】少なくとも結着樹脂と着色剤と荷電制御剤からなるトナーにおいて、当該結着樹脂が少なくとも重縮合ポリエステル樹脂を含有し、該ポリエステル樹脂が下記一般式(I)または(II)で表される少なくとも1種のチタン含有触媒(a)の存在下に形成されてなる静電荷像現像用結着樹脂であって、該結着樹脂におけるGPCにより測定される分子量分布において100万以上の面積比が3〜20重量%であり、重量平均分子量が50万〜200万の範囲にあることを特徴とする静電荷像現像用トナーである。
Ti(−X)m(−OH)n (I)
O=Ti(−X)p(−OR)q (II)
【解決手段】少なくとも結着樹脂と着色剤と荷電制御剤からなるトナーにおいて、当該結着樹脂が少なくとも重縮合ポリエステル樹脂を含有し、該ポリエステル樹脂が下記一般式(I)または(II)で表される少なくとも1種のチタン含有触媒(a)の存在下に形成されてなる静電荷像現像用結着樹脂であって、該結着樹脂におけるGPCにより測定される分子量分布において100万以上の面積比が3〜20重量%であり、重量平均分子量が50万〜200万の範囲にあることを特徴とする静電荷像現像用トナーである。
Ti(−X)m(−OH)n (I)
O=Ti(−X)p(−OR)q (II)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真法、静電記録法や静電印刷法等において、静電荷像または磁気潜像の現像に用いられる乾式トナー用として有用なポリエステル樹脂をバインダーとして用いたトナー、現像剤、カートリッジ(現像剤入り容器)、プロセスカートリッジ及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱ローラ定着方式はトナー像と加熱ローラが直接接触するため、極めて熱効率の良い定着方式であり、装置も小型化できるため、広く一般に用いられている。
しかしながら、近年の省エネルギー化により、定着時に使用できる熱エネルギーは非常に少なくなってきている。このため、このような定着装置に用いられるトナーはさらに低温定着化が求められている。この問題を解決する技術として、従来よりいくつかの提案がなされている。
特許文献1には、ポリオール成分とポリカルボン酸成分の重縮合触媒がジオールのチタン酸エステルからなる新規なポリエステル樹脂が、特許文献2には高軟化点と低軟化点のポリエステル樹脂を含有するトナーが考案されている。これらにより低温定着性は改善されているものの、一方でトナー低分子量化やワックスを含有することによるトナー流動性低下、転写性の悪化、また、現像剤や感光体へのスペントは充分に改善されず、現像剤耐久性については検討されていない。
特許文献3には無機スズを触媒として用いたトナーにより帯電性能が向上されているが、経時の帯電安定性については検討されていない。
【0003】
更に、電子写真方式による画像形成は、光導電性物質等の像担持体上に静電荷による潜像を形成し、この静電潜像に対して、帯電したトナーを付着させて可視像(トナー画像)を形成した後、該可視像を紙等の記録媒体に転写し、定着し、画像が出力される。
近年、電子写真方式を用いたコピーやプリンターの技術は、モノクロからフルカラーへの展開が急速になりつつあり、フルカラーの市場は拡大する傾向にある。フルカラー電子写真法によるカラー画像形成は一般に3原色であるイエロー、マゼンタ、及びシアンの3色のカラートナー、又はこれらに黒色を加えた4色のカラートナーを積層させて全ての色を再現するものである。従って、色再現性に優れ、鮮明なフルカラー画像を得るためには、定着されたトナー画像の表面をある程度平滑にして光散乱を減少させる必要がある。このため、従来のフルカラー複写機等の画像光沢は10〜50%の中光沢乃至高光沢のものが多かった。
【0004】
一般に、乾式のトナー像を記録媒体に定着する方法としては、平滑な表面を持ったローラやベルトを加熱してトナーと圧着する接触加熱定着方法が多用されている。この方法は熱効率が高く高速定着が可能であり、カラートナーに光沢や透明性を与えることが可能であるという利点がある反面、加熱定着部材表面と溶融状態のトナーとを加圧下で接触させた後剥離するために、トナー像の一部が定着ローラ表面に付着して別の画像上に転移する、いわゆるオフセット現象が生じるという問題がある。
このオフセット現象を防止することを目的として、離型性に優れたシリコーンゴムやフッ素樹脂で定着ローラ表面を形成し、更にその定着ローラ表面にシリコーンオイル等の離型オイルを塗布する方法が一般に採用されている。この方法によれば、トナーのオフセットを防止する点では極めて有効である。しかし、前記方法では、離型オイルを供給するための装置が必要であり、定着装置が大型化しマシンの小型化には不向きである。このため、モノクロトナーでは、溶融したトナーが内部破断しないように結着樹脂の分子量分布の調整等でトナーの溶融時の粘弾性を高め、更にトナー中にワックス等の離型剤を含有させ
ることにより、定着ローラに離型オイルを塗布しない(オイルレス化)、或いはオイル塗布量をごく微量とする方法が採用される傾向にある。
【0005】
一方、カラートナーにおいてもモノクロトナー同様、マシンの小型化、構成の簡素化の目的でオイルレス化の傾向が見られる。しかし、上述したようにカラートナーでは、色再現性を向上させるために定着画像の表面を平滑にする必要があるため、溶融時の粘弾性を低下させなければならず、光沢のないモノクロトナーよりオフセットし易く、定着装置のオイルレス化や微量塗布化がより困難となる。また、トナー中に離型剤を含有させると、トナーの付着性が高まり転写紙への転写性が低下する。更に、トナー中の離型剤がキャリア等の摩擦帯電部材を汚染して、帯電性を低下させることにより耐久性が低下してしまうという問題がある。
【0006】
また、キャリアに関しては、該キャリア表面へのトナー成分のフィルミング防止、キャリア均一表面の形成、表面酸化防止、感湿性低下の防止、現像剤の寿命の延長、感光体表面へのキャリア付着防止、感光体のキャリアによるキズや摩耗からの保護、帯電極性の制御、又は帯電量の調節等を目的として、芯材に樹脂材料を含む被覆層を設けることが行われている。例えば、特定の樹脂材料で被覆したもの(特許文献4参照)、更にその被覆層に種々の添加剤を添加するもの(特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10及び特許文献11参照)、キャリア表面に添加剤を付着させたもの(特許文献12参照)、被覆層厚よりも大きい導電性粒子を被覆層に含有させたもの(特許文献13参照)、などが提案されている。また、特許文献14には、ベンゾグアナミン−n−ブチルアルコール−ホルムアルデヒド共重合体を主成分とするキャリア被覆材を用いることが提案されている。また、特許文献15には、メラミン樹脂とアクリル樹脂の架橋物をキャリア被覆材として用いることが提案されている。
【0007】
しかしながら、これら先行技術では、依然として耐久性、キャリア付着抑制が不十分である。特に、耐久性については、トナーのキャリア表面へのスペント、それに伴う帯電量の不安定化、ならびに被覆樹脂の膜削れによる被覆層の減少及びそれに伴う抵抗低下等が問題である。特に、初期は良好な画像を得ることができるが、コピー枚数が増加するに連れて複写画像の画質が低下してしまうという問題がある。
【0008】
また、近時、より速く、より美しくという需要者からの要望を受けて、電子写真装置の高速化は著しい。これに伴って、現像剤が受けるストレスも飛躍的に増大しており、従来から高寿命とされたキャリアにおいても充分な寿命が得られなくなってきている。また、キャリアの抵抗調整剤としては、カーボンブラックが多用されているが、膜削れ及びカーボンブラックの脱離に起因するカーボンブラックのカラー画像中への移行による色汚れが懸念される。
その対策として、これまで様々な方法が提案されている。例えば、導電性材料(カーボンブラック)を芯材表面に存在させて、被覆層中に導電性材料を存在させないキャリアが提案されている(特許文献13参照)。また、被覆層がその厚み方向にカーボンブラックの濃度勾配を持ち、該被覆層は表面に向かうほどカーボンブラック濃度が低くなり、しかも、該被覆層の表面にはカーボンブラックが存在しないキャリアが提案されている(特許文献14参照)。また、芯材粒子表面に導電性カーボンを含有した内部被覆層を設け、更に、その上に白色系導電性材料を含有した表面被覆層を設けてなる2層コート型キャリアが提案されている(特許文献15参照)。しかし、これら提案についても、近年の高ストレス化には対応できず、色汚れが問題となる。
【0009】
このような色汚れの抜本的な対策として、色汚れの原因となっているカーボンブラックを排除することが何より一番効果があることは明らかである。しかし、単にカーボンブラックを除いた場合、該カーボンブラックはその電気抵抗が低いという性質を持つことから
、キャリアの抵抗が上がってしまうと同時に、帯電特性も上がってしまうという不具合が生じる。一般に、キャリアの帯電制御をする場合、コート材料による制御を常套手段としているが、カーボンブラックの有無による帯電のレベル差は著しいこと、材料を変えることによる副作用の発生等も多々あり、簡単にカーボンブラックを除く変更を実施できていないのが現状である。
【0010】
さらにトナーの低温定着性能を向上させる目的で、バインダーとしてポリエステル樹脂を用いる他のトナーが知られている(特許文献19、特許文献20)。しかし、トナーの低温定着性をさらに向上させるためには、分子量やガラス転移温度(以下「Tg」と略す。)下げる必要があるが、そうした場合、高温高湿度下でのトナーの耐ブロッキング性が劣るという問題点を有していた。
【0011】
【特許文献1】特開2002−148867号公報
【特許文献2】特開2002−287427号公報
【特許文献3】特許第3597835号公報
【特許文献4】特開昭58−108548号公報
【特許文献5】特開昭54−155048号公報
【特許文献6】特開昭57−40267号公報
【特許文献7】特開昭58−108549号公報
【特許文献8】特開昭59−166968号公報
【特許文献9】特公平1−19584号公報
【特許文献10】特公平3−628号公報
【特許文献11】特開平6−202381号公報
【特許文献12】特開平5−273789号公報
【特許文献13】特開平9−160304号公報
【特許文献14】特開平8−6307号公報
【特許文献15】特許第2683624号公報
【特許文献16】特開平7−140723号公報
【特許文献17】特開平8−179570号公報
【特許文献18】特開平8−286429号公報
【特許文献19】特開昭62−178278号公報
【特許文献20】特開平4−313760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、高温高湿度下でのトナーの耐ブロッキング性と低温定着性とが共に優れ、かつ現像剤や感光体へのスペントがなく、現像剤耐久性が高く、経時の帯電安定性に優れたトナー、現像剤、カートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成方法を提供することを目的とする。
さらにランニング経時でのベタ画像部にキャリア付着が生じることなく、キメの細かい画像を長期間にわたって形成することができ、色汚れの生じない、帯電制御性の良好な現像剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、これらの問題点を解決するべく鋭意検討した結果、特定の触媒の存在下で形成された重縮合ポリエステル樹脂からなるトナーバインダーを用い、特定の分子量を有することで解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、少なくとも結着樹脂と着色剤と荷電制御剤からなるトナーにおいて、結着樹脂が少なくとも重縮合ポリエステル樹脂を含有し、該ポリエステル樹脂が下記一般式(I)または(II)で表される少なくとも1種のチタン含有触媒(a)の存在下に形
成されてなる樹脂であって、該結着樹脂におけるGPCにより測定される分子量分布において 100万以上の面積比が3〜20重量%であり、重量平均分子量が50万〜200
万の範囲にあることを特徴とする静電荷像現像用トナーである。
Ti(−X)m(−OH)n (I)
O=Ti(−X)p(−OR)q (II)
[式中、Xは炭素数2〜12のモノもしくはポリアルカノールアミンから1個のOH基のHを除いた残基であり、ポリアルカノールアミンの他のOH基が同一のTi原子に直接結合したOH基と分子内で重縮合し環構造を形成していてもよく、他のTi原子に直接結合したOH基と分子間で重縮合し繰り返し構造を形成していてもよい。繰り返し構造を形成する場合の重合度は2〜5である。RはH、または1〜3個のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜8のアルキル基である。mは1〜4の整数、nは0〜3の整数、mとnの和は4である。pは1〜2の整数、qは0〜1の整数、pとqの和は2である。mまたはpが2以上の場合、それぞれのXは同一であっても異なっていてもよい。]
【0014】
本触媒がポリエステル樹脂中に分散されていることにより、帯電上昇が抑えられ、安定性が高まることが判明した。本ポリエステル樹脂を用い、GPCにより測定される分子量分布において100万以上の面積比が3〜20重量%であり、重量平均分子量が50万〜
200万の範囲にあることにより、トナーの経時における帯電上昇が抑えられ、安定性が高まり、耐ブロッキング性と低温定着性とが共に優れ、かつ現像剤や感光体へのスペントがなく、現像剤耐久性の高いトナーを得ることができる。
100万以上の面積比が3〜20重量%でない場合、または/および重量平均分子量が
50万未満の場合、耐ブロッキング性と現像剤や感光体へのスペント性に劣る。重量平均分子量が200万を超える場合は低温定着性に劣る。
【0015】
さらにスチレン系共重合体樹脂を適量含有し、かつ残存スチレンモノマー量が0.1〜50ppmであることにより、さらに現像剤耐久性の高いトナーを得ることができる。適量の範囲はスチレン系共重合体樹脂5〜50重量%およびポリエステル樹脂50〜95重量%、好ましくはスチレン系共重合体樹脂10〜40重量%およびポリエステル樹脂60〜90重量%さらに好ましくはスチレン系共重合体樹脂20〜30重量%およびポリエステル樹脂70〜80重量%である。
さらにトナーのMI(メルトインデックス)値が3〜40g/10分であることにより定着温度範囲の広いトナーを得ることができる。好ましくは5〜30g/10分、さらに好ましくは10〜20g/10分である。
【0016】
トナーの含水量が30℃、60%RHの雰囲気に24時間放置したとき3〜5000ppm(重量基準)であることによりトナーの環境安定性が高まる。好ましくは3〜1000ppm、さらに好ましくは3〜500ppmである。
トナーの含水量の測定方法は、まずトナーを30℃、60%RH環境下に24時間保存する。このトナーをカールフィッシャー水分滴定装置の気化装置(加熱炉温度:150℃、窒素気流下)を用いて測定する。
トナー組成物のレオロジー特性が周波数10Hzのもとで70℃において、貯蔵弾性率(G’)が5×105〜5×108dyne/cm2、130℃において損失弾性率(G”
)が1×102〜1×106dyne/cm2であることにより定着温度範囲が広く、かつ
現像剤や感光体へのスペントがなく、現像剤耐久性の高いトナーを得ることができる。
【0017】
トナー組成物のレオロジー特性において、貯蔵弾性率(G’)はこの組成物の凝集力に関するものであり、一方、損失弾性率(G”)は組成物の粘性に関するものである。G’が大きくなると凝集力が増大してオフセットは減少するが定着性が悪くなり、G”が大きくなると定着性は良好になるがオフセットが増大する。一方トナーの定着時の温度は現在定着ローラー表面温度で代用しているが、実際にはもっと低いトナー温度で定着している
ことが知られている。
【0018】
実際の定着温度範囲をカバーするには周波数10Hzのもとで70℃において、貯蔵弾性率(G’)が5×105〜5×108dyne/cm2の範囲であることがよい。ホット
オフセットを良好にするためにはトナーとローラー表面との境界温度、つまり、130℃において損失弾性率(G”)が1×102〜1×106dyne/cm2であることがよい
。さらにこの範囲であることによりトナーの強靭性に優れ現像剤や感光体へのスペントがなく、現像剤耐久性の高いトナーを得ることができる。
【0019】
荷電制御剤が下記式(III)で示されるクロム錯体化合物からなり、該荷電制御剤のX
線回折においてCuKα特性X線での測定角2シーターが5〜30度の範囲に、ブラッグ角2シーターの主要ピークが、ピークA:8.6度±0.3度にあり、このX線強度がスキャンスピード1度/分において8000〜15000cpsの範囲にあるトナーであることにより、帯電立ち上がり性がさらに向上する。かかる主要ピークを示した定性分析(ピークサーチ)の一例を図1に示す。
【0020】
【化1】
(式中、Xは水素原子、低級アルキル基、ニトロ基、ハロゲン原子等を示し、それぞれが同一または異なっていても良く、A+は水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオ
ン、アンモニウムイオン、脂肪族アンモニウムイオンを示す。)
【0021】
トナー組成物の100℃におけるトナーの揮発分が0.05〜0.3重量%、好ましくは0.05〜0.2重量%、さらに好ましくは0.05〜0.1重量%であることによりさらに感光体へのスペントを抑制することができる。
本発明に用いるチタン含有触媒(a)は、前記式(I)または(II)で表される化合物であり、2種以上を併用してもよい。
一般式(I)および(II)において、Xは炭素数2〜12のモノもしくはポリアルカノールアミンから1個のOH基のH原子を除いた残基であり、窒素原子の数、すなわち、1級、2級、および3級アミノ基の合計数は、通常1〜2個、好ましくは1個である。
【0022】
上記モノアルカノールアミンとしては、エタノールアミン、およびプロパノールアミンなどが挙げられる。ポリアルカノールアミンとしては、ジアルカノールアミン(ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、およびN−ブチルジエタノールアミンなど)、トリアルカノールアミン(トリエタノールアミン、およびトリプロパノールアミンなど)、およびテトラアルカノールアミン(N,N,N',N'−テトラヒドロキシエチルエ
チレンジアミンなど)が挙げられる。
ポリアルカノールアミンの場合、Ti原子とTi−O−C結合を形成するのに用いられるHを除いた残基となるOH基以外にOH基が1個以上存在し、それが同一のTi原子に直接結合したOH基と分子内で重縮合し環構造を形成していてもよく、他のTi原子に直接結合したOH基と分子間で重縮合し繰り返し構造を形成していてもよい。繰り返し構造を形成する場合の重合度は2〜5である。重合度が6以上の場合、触媒活性が低下するためオリゴマ一成分が増え、トナーのブロッキング性悪化の原因になる。
【0023】
Xとして好ましいものは、ジアルカノールアミン(とくにジエタノールアミン)の残基、およびトリアルカノールアミン(とくにトリエタノールアミン)の残基であり、特に好ましいものはトリエタノールアミンの残基である。
RはH、または1〜3個のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜8のアルキル基である。炭素数1〜8のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−へキシル基、n−オクチル基、β−メトキシエチル基、およびβ−エトキシエチル基などが挙げられる。これらRのうち好ましくは、H、およびエーテル結合を含まない炭素数1〜4のアルキル基であり、さらに好ましくは、H、エチル基、およびイソプロピル基である。
【0024】
式(I)中、mは1〜4の整数であり、好ましくは1〜3の整数である。nは0〜3の整数であり、好ましくは1〜3の整数である。mとnの和は4である。
式(II)中、pは1〜2の整数、qは0〜1の整数であり、pとqの和は2である。ただし、mまたはpが2以上であっても良い。その場合、複数存在するXは同一であっても異なっていてもよいが、すべて同一である方が好ましい。
【0025】
本発明における、上記チタン含有触媒(a)のうち、一般式(I)で表されるものの具体例としては、チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムトリヒドロキシトリエタノールアミネート、チタニウムジヒドロキシビス(ジエタノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(モノエタノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(モノプロパノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(N−メチルジエタノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(N−ブチルジエタノールアミネート)、テトラヒドロキシチタンとN,N,N',N'−テトラヒドロキシエチル
エチレンジアミンとの反応生成物、およびこれらの分子内または分子間重縮合物が挙げられ、とりわけ反応性に優れ、帯電安定性に顕著な効果をもつものはチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムトリヒドロキシトリエタノールアミネート、チタニウムジヒドロキシビス(ジエタノールアミネート)である。
【0026】
一般式(II)で表されるものの具体例としては、チタニルビス(トリエタノールアミネート)、チタニルビス(ジエタノールアミネート)、チタニルビス(モノエタノールアミネート)、チタニルヒドロキシエタノールアミネート、チタニルヒドロキシトリエタノールアミネート、チタニルエトキシトリエタノールアミネート、チタニルイソプロポキシトリエタノールアミネート、およびこれらの分子内または分子間重縮合物が挙げられる。
これらのうちで好ましいものは、チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(ジエタノールアミネート)、チタニルビス(トリエタノールアミネート)、これらの重縮合物、およびこれらの併用であり、さらに好ましくは、チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、その重縮合物、とくにチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)である。
これらのチタン含有触媒(a)は、例えば市販されているチタニウムジアルコキシビス(アルコールアミネート;Dupont製など)を、水存在下で70〜90℃にて反応させることで安定的に得ることができる。
【0027】
本発明のトナーバインダーを構成する重縮合ポリエステル樹脂としては、ポリオールと
ポリカルボン酸との重縮合物であるポリエステル樹脂(AX)、(AX)にさらにポリエポキシド(c)などを反応させて得られる変性ポリエステル樹脂(AY)などが挙げられる。(AX)、(AY)などは単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて混合物として使用してもよい。
ポリオールとしては、ジオール(g)および3価以上のポリオール(h)が、ポリカルボン酸としては、ジカルボン酸(i)および3価以上のポリカルボン酸(j)が挙げられ、それぞれ2種以上を併用してもよい。
【0028】
ポリエステル樹脂(AX)および(AY)としては、以下のものなどが挙げられ、これらのものを併用することもできる。
(AX1):(g)および(i)を用いた線状のポリエステル樹脂
(AX2):(g)および(i)とともに(h)および/または(j)を用いた非線状のポリエステル樹脂
(AY1):(AX2)に(c)を反応させた変性ポリエステル樹脂
【0029】
ジオール(g)としては、水酸基価180〜1900(mgKOH/g、以下同様)のものが好ましい。具体的には、炭素数2〜36のアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−プチレングリコールおよび1,6−ヘキサンジオールなど);炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロビレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリプチレングリコールなど);炭素数6〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび水素添加ビスフェノールAなど);上記脂環式ジオールの炭素数2〜4のアルキレンオキシド〔エチレンオキシド(以下EOと略記する)、プロピレンオキシド(以下POと略記する)およびプチレンオキシド(以下BOと略記する)など〕付加物(付加モル数1〜30);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールSなど)の炭素数2〜4のアルキレンオキシド(EO、POおよびBOなど)付加物(付加モル数2〜30)などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物およびこれらの併用であり、とくに好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物、炭素数2〜4のアルキレングリコールおよびこれらの2種以上の併用である。
【0030】
なお、上記および以下において水酸基価および酸価は、JIS K 0070に規定の方法で測定される。
3価以上(3〜8価またはそれ以上)のポリオール(h)としては、水酸基価150〜1900のものが好ましい。具体的には、炭素数3〜36の3〜8価またはそれ以上の脂肪族多価アルコール(アルカンポリオールおよびその分子内もしくは分子間脱水物、例えば、グリセリン、トリエチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン、およびジペンタエリスリトール;糖類およびその誘導体、例えば庶糖およびメチルグルコシド;など);上記脂肪族多価アルコールの炭素数2〜4のアルキレンオキシド(EO、POおよびBOなど)付加物(付加モル数1〜30);トリスフェノール類(トリスフェノールPAなど)の炭素数2〜4のアルキレンオキシド(EO、POおよびBOなど)付加物(付加モル数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラックおよびクレゾールノボラックなど:平均重合度3〜60)の炭素数2〜4のアルキレンオキシド(EO、PO、BOなど)付加物(付加モル数2〜30)などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、3〜8価またはそれ以上の脂肪族多価アルコールおよびノボラック樹脂のアルキレンオキシド付加物(付加モル数2〜30)であり、とくに好ましいものはノボラック樹脂のアルキレンオキシド付加物である。
【0031】
ジカルボン酸(i)としては、酸価180〜1250(mgKOH/g、以下同様)のものが好ましい。具体的には、炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、およびセバシン酸など)およびアルケニルコハク酸(ドデセニルコハク酸など);炭素数4〜36の脂環式ジカルボン酸[ダイマー酸(2量化リノール酸)など];炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、およびメサコン酸など);炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、およびナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケンジカルボン酸、および炭素数8〜20の芳香族ジカルポン酸である。なお、(i)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてもよい。
【0032】
3価以上(3〜6価またはそれ以上)のポリカルボン酸(j)としては、酸価150〜1250mgのものが好ましい。具体的には、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など);不飽和カルボン酸のビニル重合体[数平均分子量(以下Mnと記載、ゲルバーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による):450〜10000](スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸共重合体、α−オレフィン/マレイン酸共重合体、スチレン/フマル酸共重合体など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸であり、とくに好ましいものはトリメリット酸、およびピロメリット酸である。なお、3価以上のポリカルボン酸(j)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてもよい。
【0033】
また、(g)、(h)、(i)および(j)とともに炭素数4〜20の脂肪族または芳香族ヒドロキシカルボン酸(k)、炭素数6〜12のラクトン(l)を共重合することもできる。
ヒドロキシカルボン酸(k)としては、ヒドロキシステアリン酸、硬化ヒマシ油脂肪酸などが挙げられる。ラクトン(l)としては、カプロラクトンなどが挙げられる。
【0034】
ポリエポキシド(c)としては、ポリグリシジルエーテル[エチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、フェノールノボラック(平均重合度3〜60)グリシジルエーテル化物など];ジエンオキサイド(ペンタジエンジオキサイド、ヘキサジエンジオキサイドなど)などが挙げられる。これらの中で好ましくは、ポリグリシジルエーテルであり、さらに好ましくは、エチレングリコールジグリシジルエーテルおよびビスフェノールAジグリシジルエーテルである。
(c)の1分子当たりのエポキシ基数は、好ましくは2〜8、さらに好ましくは2〜6、とくに好ましくは2〜4である。
(c)のエポキシ当量は、好ましくは50〜500である。下限は、さらに好ましく70、とくに好ましくは80であり、上限は、さらに好ましく300、とくに好ましくは200である。エポキシ基数とエポキシ当量が上記範囲内であると、現像性と定着性が共に良好である。上述の1分子当たりのエポキシ基数およびエポキシ当量の範囲を同時に満たせばさらに好ましい。
【0035】
ポリオールとポリカルボン酸の反応比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、さらに好ましくは1.5/1〜1/1.3、とくに好ましくは1.3/1〜1/1.2である。また使
用するポリオールとポリカルボン酸の種類は、最終的に調整されるポリエステル系トナーバインダーのガラス転移点が45〜85℃となるよう分子量調整も考慮して選択される。
【0036】
トナーバインダーはフルカラー用、モノクロ用で各々異なる物性が求められており、ポリエステル樹脂の設計も異なる。
即ち、フルカラー用には高光沢画像が求められるため、低粘性のバインダーとする必要があるが、モノクロ用は光沢は特に必要なく、ホットオフセット性が重視されるため高弾性のバインダーとする必要がある。
【0037】
フルカラー複写機等に有用である高光沢画像を得る場合は、(AX1)、(AX2)、(AY1)およびこれらの混合物が好ましい。この場合、低粘性であることが好ましいことから、これらのポリエステル樹脂を構成する(h)および/または(j)の比率は、(h)と(j)のモル数の和が(g)〜(j)のモル数の合計に対して、好ましくは0〜20モル%、さらに好ましくは0〜15モル%、とくに0〜10モル%である。
【0038】
モノクロ複写機等に有用である高い耐ホットオフセット性を得る場合は、(AX2)、(AY1)およびこれらの混合物が好ましい。この場合、高弾性であることが好ましいことから、このポリエステル樹脂としては、(h)と(j)を両方用いたものがとくに好ましい。(h)および(j)の比率は、(h)と(j)のモル数の和が(g)〜(j)のモル数の合計に対して、好ましくは0.1〜40モル%、さらに好ましくは0.5〜25モル%、とくに1〜20モル%である。
【0039】
フルカラー用ポリエステル樹脂の場合、複素粘性率(η*)が100Pa・Sとなる温度(TE)は、好ましくは90〜170℃、さらに好ましくは100〜165℃、とくに105〜150℃である。170℃以下で十分な光沢が得られ、90℃以上で耐熱保存安定性が良好となる。
TEは、例えば樹脂をラボブラストミルを用いて130℃、70rpmで30分間溶融混練後のブロックを、市販の動的粘弾性測定装置を用いて、樹脂温度を変化させながら複素粘性率(η*)を測定することで求められる。
【0040】
また、フルカラー用ポリエステル樹脂のテトラヒドロフラン(THF)不溶分は、光沢度の観点から、好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。
上記および以下において%は、とくに断りのない限り、重量%を意味する。
【0041】
ここで、THF不溶分およびTHF可溶分は以下の方法で得られる。
200mlの共栓付きマイヤーフラスコに、試料約0.5gを精秤し、THF50mlを加え、3時間攪拌還流させて冷却後、グラスフィルターにて不溶分をろ別する。THF不溶分の値(%)は、グラスフィルター上の樹脂分を80℃で3時間減圧乾燥した後の重量と試料の重量比から算出する。
なお、後述する分子量の測定には、このろ液をTHF可溶分として使用する。
【0042】
モノクロ用ポリエステル樹脂の場合、耐ホットオフセット性の観点から、ポリエステル樹脂の貯蔵弾性率(G’)が6000Paとなる温度(TG)は、好ましくは130〜230℃、さらに好ましくは140〜230℃、とくに150〜230℃である。
TGは、例えば樹脂をラボブラストミルを用いて130℃、70rpmで30分間溶融混練後のブロックを、市販の動的粘弾性測定装置を用いて、樹脂温度を変化させながら貯蔵弾性率(G’)を測定することで求められる。
低温定着性および耐熱保存安定性の観点から、モノクロ用ポリエステル樹脂の複素粘性率(η*)が1000Pa・Sとなる温度(TE)は、好ましくは80〜140℃、さらに好ましくは90〜135℃、とくに105〜130℃が好ましい。
【0043】
モノクロ用ポリエステル樹脂は、THF不溶分を2〜70%含有していることが好ましく、さらに好ましくは5〜60%、とくに10〜50%である。THF不溶分が2%以上で耐ホットオフセット性が良好になり、70%以下で良好な低温定着性が得られる。
ポリエステル樹脂のピークトップ分子量(Mp)はモノクロ用、フルカラー用いずれの場合も、好ましくは1000〜30000、さらに好ましくは1500〜25000、とくに1800〜20000である。Mpが1000以上で、耐熱保存安定性および粉体流動性が良好となり、30000以下でトナーの粉砕性が向上し、生産性が良好となる。
【0044】
また本発明のポリエステル樹脂からなるトナーバインダー(A)を用いてトナーとしたときの、トナー中の分子量の比率は、1.8%以下が好ましく、さらに好ましくは1.3%以下、とくに好ましくは1.1%以下である。分子量1500以下の成分の比率が1.8%以下になることで、保存安定性がより良好となる。
【0045】
ポリエステル樹脂の酸価はモノクロ用、フルカラー用いずれの場合も、好ましくは0.1〜60、さらに好ましくは0.2〜50、特に0.5〜40である。酸価が0.1〜60の範囲では、帯電性が良好である。
ポリエステル樹脂の水酸基価はモノクロ用、フルカラー用いずれの場合も、好ましくは1〜70、さらに好ましくは3〜60、特に5〜55である。酸価が1〜70の範囲では、環境安定性が良好である。
ポリエステル樹脂のTgはモノクロ用、フルカラー用いずれの場合も、好ましくは40〜90℃、さらに好ましくは50〜80℃、とくに55〜75℃である。Tgが40℃〜90℃の範囲では耐熱保存安定性と低温定着性が良好である。
【0046】
本発明においてトナーバインダー(A)として用いるポリエステル樹脂は、通常のポリエステルの製造法と同様にして製造することができる。例えば、不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気中で、チタン含有触媒(a)の存在下、反応温度が好ましくは150〜280℃、さらに好ましくは160〜250℃、とくに好ましくは170〜240℃で反応させることにより行うことができる。また反応時間は、重縮合反応を確実に行う観点から、好ましくは30分以上、とくに2〜40時間である。反応末期の反応速度を向上させるために減圧する(例えば1〜50mmHg)ことも有効である。
(a)の添加量としては、重合活性などの観点から、得られる重合体の重量に対して、好ましくは0.0001〜0.8%、さらに好ましくは0.0002〜0.6%、とくに好ましくは0.0015〜0.55%である。
また、(a)の触媒効果を損なわない範囲で他のエステル化触媒を併用することもできる。他のエステル化触媒の例としては、スズ含有触媒(例えばジブチルスズオキシド)、三酸化アンチモン、(a)以外のチタン含有触媒(例えばチタンアルコキシド、シュウ酸チタニルカリウム、およびテレフタル酸チタン)、ジルコニウム含有触媒(例えば酢酸ジルコニル)、ゲルマニウム含有触媒、アルカリ(土類)金属触媒(例えばアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のカルボン酸塩:酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、安息香酸ナトリウム、および安息香酸カリウムなど)、および酢酸亜鉛等が挙げられる。これらの他の触蝶の添加量としては、得られる重合体に対して、0〜0.6%が好ましい。0.6%以内とすることで、ポリエステル樹脂の着色が少なくなり、カラー用のトナーに用いるのに好ましい。添加された全触媒中の(a)の含有率は、50〜100%が好ましい。
【0047】
線状のポリエステル樹脂(AX1)の製造方法としては、例えば、得られる重合体の重量に対して0.0001〜0.8%の触蝶(a)と、必要により他の触媒の存在下、ジオール(g)、およびジカルボン酸(i)を、180〜260℃に加熱し、常圧および/または減圧条件で脱水縮合させて、(AX1)を得る方法が挙げられる。
非線状のポリエステル樹脂(AX2)の製造方法としては、例えば、得られる重合体の重量に対して0.0001〜0.8%の触媒(a)と、必要により他の触媒の存在下、ジオール(g)、ジカルボン酸(i)、および3価以上のポリオール(h)を、180〜260℃に加熱し、常圧および/または減圧条件で脱水縮合させた後、さらに3価以上のポリカルボン酸(j)を反応させて、(AX2)を得る方法が挙げられる。(j)を、(g)、(i)および(h)と同時に反応させることもできる。
【0048】
変性ポリエステル樹脂(AY1)の製造方法としては、ポリエステル樹脂(AX2)にポリエポキシド(c)を加え、180〜260℃でポリエステルの分子伸長反応を行うことで、(AY1)を得る方法が挙げられる。
(c)と反応させる(AX2)の酸価は、好ましくは1〜60、さらに好ましくは5〜50である。酸価が1以上であると、(c)が未反応で残存して樹脂の性能に悪影響を及ぼす恐れがなく、60以下であると、樹脂の熱安定性が良好である。
また、(AY1)を得るのに用いる(c)の量は、低温定着性および耐ホットオフセット性の観点から、(AX2)に対して、好ましくは0.01〜10%、さらに好ましくは0.05〜5%である。
【0049】
また、本発明のトナーバインダー(A)中に、上記重縮合ポリエステル樹脂以外に、必要により、他の樹脂などを含有させることもできる。
他の樹脂としては、スチレン系樹脂[スチレンとアルキル(メタ)アクリレートの共重合体、スチレンとジエン系モノマーとの共重合体等]、エポキシ樹脂(ビスフェノールAジグリシジルエーテル開環重合物等)、ウレタン樹脂(ジオールおよび/または3価以上のポリオールとジイソシアネートの重付加物等)などが挙げられる。
他の樹脂の重量平均分子量は、好ましくは1000〜200万である。
トナーバインダー(A)における他の樹脂の含有量は、好ましくは0〜40%、さらに好ましくは0〜30%、特に好ましくは0〜20%である。
【0050】
ポリエステル樹脂を2種以上併用する場合、および少なくとも1種のポリエステル樹脂と他の樹脂を混合する場合、予め粉体混合または溶融混合してもよいし、トナー化時に混合してもよい。
溶融混合する場合の温度は、好ましくは80〜180℃、さらに好ましくは100〜170℃、特に好ましくは120〜160℃である。
混合温度が低すぎると充分に混合できず、不均一となることがある。2種以上のポリエステル樹脂を混合する場合、混合温度が高すぎると、エステル交換反応による平均化などが起こるため、トナーバインダーとして必要な樹脂物性が維持できなくなる場合がある。
【0051】
溶融混合する場合の混合時間は、好ましくは10秒〜30分、さらに好ましくは20秒〜10分、特に好ましくは30秒〜5分である。2種以上のポリエステル樹脂を混合する場合、混合時間が長すぎると、エステル交換反応による平均化などが起こるため、トナーバインダーとして必要な樹脂物性が維持できなくなる場合がある。
溶融混合する場合の混合装置としては、反応槽などのバッチ式混合装置、および連続式混合装置が挙げられる。適正な温度で短時間で均一に混合するためには、連続式混合装置が好ましい。連続混合装置としては、エクストルーダー、コンテイニアスニーダー、3本ロールなどが挙げられる。これらのうちエクストルーダーおよびコンテイニアスニーダーが好ましい。
粉体混合する場合は、通常の混合条件および混合装置で混合することができる。
粉体混合する場合の混合条件としては、混合温度は、好ましくは0〜80℃、さらに好ましくは10〜60℃である。混合時間は、好ましくは3分以上、さらに好ましくは5〜60分である。混合装置としては、へンシェルミキサー、ナウターミキサー、およびバンバリーミキサー等が挙げられる。好ましくはへンシェルミキサーである。
【0052】
本発明の静電荷像現像用トナーは、本発明のトナーバインダー(A)と着色剤(B)から構成され、必要に応じて離型剤(C)、荷電制御剤(D)、および流動化剤(E)等、種々の添加剤を含有する。
トナー中の(A)の含有量は、着色剤として染料または顔料を使用する場合は、好ましくは70〜98%、さらに好ましくは74〜96%であり、磁性粉を使用する場合は、好ましくは20〜85%、さらに好ましくは35〜65%である。
【0053】
着色剤(B)としては特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB、オイルピンクOP、マグネタイトおよび鉄黒等が挙げられる。
【0054】
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記着色剤の前記トナーにおける含有量は1〜15重量%が好ましく、3〜10重量%がより好ましい。
前記着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。該樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリブチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系
石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィン、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
トナー中の着色剤(B)の含有量は、染料または顔料を使用する場合は、好ましくは2〜15%であり、磁性粉を使用する場合は、好ましくは15〜70%、さらに好ましくは30〜60%である。
【0055】
離型剤(C)としては特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ワックス類、等が好適に挙げられる。
前記ワックス類としては、例えば、カルボニル基含有ワックス、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カルボニル基含有ワックスが好ましい。
前記カルボニル基含有ワックスとしては、例えば、ポリアルカン酸エステル、ポリアルカノールエステル、ポリアルカン酸アミド、ポリアルキルアミド、ジアルキルケトン、等が挙げられる。前記ポリアルカン酸エステルとしては、例えば、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート等が挙げられる。前記ポリアルカノー
ルエステルとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等が挙げられる。前記ポリアルカン酸アミドとしては、例えば、ジベヘニルアミド等が挙げられる。前記ポリアルキルアミドとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリルアミド等が挙げられる。前記ジアルキルケトンとしては、例えば、ジステアリルケトン等が挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスの中でも、ポリアルカン酸エステルが特に好ましい。
【0056】
前記ポリオレフィンワッックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等が挙げられる。
前記長鎖炭化水素としては、例えば、パラフィンワッックス、サゾールワックス等が挙げられる。
前記離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40〜160℃が好ましく、50〜120℃がより好ましく、60〜90℃が特に好ましい。
前記融点が、40℃未満であると、ワックスが耐熱保存性に悪影響を与えることがあり、160℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易いことがある。
【0057】
具体的には、石油系フィッシャートロプシュワックス(シューマン・サゾール社製/パラフリントH1、パラフリントH1N4およびラフリントC105など)、天然ガス系フィッシャートロプシュワックス(シェルMDS社製FT100など)、およびこれらフィッシャートロプシュワックスを分別結晶化などの方法で精製したもの[日本精蝋(株)製MDP−7000、MDP−7010など]などが、パラフィンワックスとしては、石油ワックス系のパラフィンワックス[日本精蝋(株)製パラフィンワックスHNP−5、HNP−9、HNP−11など]などが、ポリオレフィンワックスとしては、ポリエチレンワックス[三洋化成工業(株)製サンワックス171P、サンワックスLEL400Pなど]、およびポリプロピレンワックス[三洋化成工業(株)製ビスコール550P、ビスコール660Pなど]などが挙げられる。
【0058】
前記離型剤の溶融粘度としては、該ワックスの融点より20℃高い温度での測定値として、5〜1000cpsが好ましく、10〜100cpsがより好ましい。
前記溶融粘度が、5cps未満であると、離型性が低下することがあり、1000cpsを超えると、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果が得られなくなることがある。
前記離型剤の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜40重量%が好ましく、3〜30重量%がより好ましい。
前記含有量が、40重量%を超えると、トナーの流動性が悪化することがある。
荷電制御剤(D)としては、特に制限はなく、感光体に帯電される電荷の正負に応じて正又は負の荷電制御剤を適宜選択して用いることができる。
前記負の帯電制御剤としては、例えば、電子供与性の官能基を持つ樹脂又は化合物、アゾ染料、有機酸の金属錯体、などを用いることができる。具体的には、ボントロン(品番:S−31、S−32、S−34、S−36、S−37、S−39、S−40、S−44、E−81、E−82、E−84、E−86、E−88、A、1−A、2−A、3−A)(以上、オリエント化学工業社製))、カヤチャージ(品番:N−1、N−2)、カヤセットブラック(品番:T−2、004)(以上、日本化薬社製))、アイゼンスピロンブラック(T−37、T−77、T−95、TRH、TNS−2)(以上、保土谷化学工業社製)、FCA−1001−N、FCA−1001−NB、FCA−1001−NZ、(以上、藤倉化成社製)、などが挙げられる。
【0059】
前記正の荷電制御剤としては、例えば、ニグロシン染料等の塩基性化合物、4級アンモニウム塩等のカチオン性化合物、高級脂肪酸の金属塩等を用いることができる。具体的には、ボントロン(品番:N−01、N−02、N−03、N−04、N−05、N−07、N−09、N−10、N−11、N−13、P−51、P−52、AFP−B)(以上、オリエント化学工業社製)、TP−302、TP−415、TP−4040(以上、保土谷化学工業社製)、コピーブルーPR、コピーチャージ(品番:PX−VP−435、NX−VP−434)(以上、ヘキスト社製)、FCA(品番:201、201−B−1
、201−B−2、201−B−3、201−PB、201−PZ、301)(以上、藤
倉化成社製)、PLZ(品番:1001、2001、6001、7001)(以上、四国化成工業社製)、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記帯電制御剤の添加量は、結着樹脂の種類、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、前記結着樹脂100重量部に対し0.1〜10重量部が好ましく、0.2〜5重量部がより好ましい。前記添加量が10重量部を超えると、トナーの帯電性が大きすぎ、帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電気的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招くことがあり、0.1重量部未満であると、帯電立ち上り性や帯電量が十分でなく、トナー画像に影響を及ぼしやすいことがある。
流動化剤(E)としては、前記無機微粒子としては、例えば、シリカ、チタニア、アルミナ、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム等を用いることができ、シリコーンオイルやヘキサメチルジシラザンなどで疎水化処理されたシリカ微粒子や、特定の表面処理を施した酸化チタンを用いることがより好ましい。
【0060】
前記シリカ微粒子としては、例えば、アエロジル(品番:130、200V、200C
F、300、300CF、380、OX50、TT600、MOX80、MOX170、COK84、RX200、RY200、R972、R974、R976、R805、R811、R812、T805、R202、VT222、RX170、RXC、RA200、RA200H、RA200HS、RM50、RY200、REA200)(以上、日本ア
エロジル社製)、HDK(品番:H20、H2000、H3004、H2000/4、H
2050EP、H2015EP、H3050EP、KHD50)、HVK2150(以上
、ワッカーケミカル社製)、カボジル(品番:L−90、LM−130、LM−150、
M−5、PTG、MS−55、H−5、HS−5、EH−5、LM−150D、M−7D、MS−75D、TS−720、TS−610、TS−530)(以上、キャボット社製
)等を用いることができる。
前記無機微粒子の添加量としては、トナー母体粒子100重量部に対し0.1〜5.0重量部が好ましく、0.8〜3.2重量部がより好ましい。
【0061】
トナーの製造法としては、原材料を混合し、該混合物を溶融混練機に仕込んで溶融混練する。該溶融混練機としては、例えば、一軸、二軸の連続混練機や、ロールミルによるバッチ式混練機を用いることができる。例えば、神戸製鋼所社製KTK型二軸押出機、東芝機械社製TEM型押出機、ケイシーケイ社製二軸押出機、池貝鉄工所社製PCM型二軸押出機、ブス社製コニーダー等が好適に用いられる。この溶融混練は、バインダー樹脂の分子鎖の切断を招来しないような適正な条件で行うことが好ましい。具体的には、溶融混練温度は、バインダー樹脂の軟化点を参考にして行われ、該軟化点より高温過ぎると切断が激しく、低温すぎると分散が進まないことがある。
前記粉砕では、前記混練で得られた混練物を粉砕する。この粉砕においては、まず、混練物を粗粉砕し、次いで微粉砕することが好ましい。この際ジェット気流中で衝突板に衝突させて粉砕したり、ジェット気流中で粒子同士を衝突させて粉砕したり、機械的に回転するローターとステーターの狭いギャップで粉砕する方式が好ましく用いられる。
前記分級は、前記粉砕で得られた粉砕物を分級して所定粒径の粒子に調整する。前記分級は、例えば、サイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことにより行うことができる。
【0062】
前記粉砕及び分級が終了した後に、粉砕物を遠心力などで気流中に分級し、所定の粒径のトナーを製造する。
また、トナーの流動性や保存性、現像性、転写性を高めるために、以上のようにして製造されたトナー母体粒子に更に前記流動化剤(E)を添加混合してもよい。添加剤の混合は一般の粉体の混合機が用いられるがジャケット等装備して、内部の温度を調節できることが好ましい。なお、添加剤に与える負荷の履歴を変えるには、途中又は漸次添加剤を加えていけばよい。この場合、混合機の回転数、転動速度、時間、温度などを変化させてもよい。又はじめに強い負荷を、次に、比較的弱い負荷を与えてもよいし、その逆でもよい。使用できる混合設備としては、例えば、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサーなどが挙げられる。次いで、250メッシュ以上の篩を通過させ、粗大粒子、凝集粒子を除去し、トナーが得られる。
【0063】
例えば、上記トナー構成成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後、ジェットミル等を用いて微粉砕し、さらに風力分級し、粒径D50が通常2〜20μmの粒子として
得られる。なお、粒径D50は、コールターカウンター[例えば、商品名:マルチサイザーIII(コールター社製)]を用い測定される。
【0064】
本発明のトナーバインダーを用いた本発明のトナーは、必要に応じて磁性粉(鉄粉、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト等)、ガラスビーズおよび/または樹脂(アクリル樹脂、シリコン樹脂等)により表面をコーティングしたフェライト等のキャリアー粒子と混合されて、電気的潜像の現像剤として用いられる。また、キャリアー粒子のかわりに帯電ブレード等の部材と摩擦し、電気的潜像を形成することもできる。次いで、公知の熱ロール定着方法等により支持体(紙、ポリエステルフィルム等)に定着して記録材料とされる。
【0065】
次に本発明に係る現像剤について説明する。
本発明の現像剤は、少なくともキャリアとトナーとからなる現像剤であって、トナーとしては上記トナーが使用される。
キャリアは、芯材と該芯材を被覆する被覆層とを有してなり、該被覆層が少なくとも結着樹脂及び第1粒子を含み、該第1粒子の体積平均粒径D1(μm)と、前記被覆層の厚みh(μm)とが、次式、1<(D1/h)<10を満たし、かつ芯材表面から被覆層表
面までの厚みT(μm)が、0.1μm≦T≦3.0μmである。また必要に応じてその
他の層を有してなる。
【0066】
<被覆層>
前記被覆層は、少なくとも結着樹脂及び第1粒子を含んでなり、更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。
−第1粒子−
前記第1粒子の体積平均粒径D1(μm)と、前記被覆層の厚みh(μm)とは、次式、1<(D1/h)<10を満たし、さらに1<(D1/h)<5を満たすことがより好ましい。前記第1粒子が上記式の関係を満たすと、被覆層に比べて第1粒子の方が凸となるので、現像剤を摩擦帯電させるための攪拌により、トナーとの摩擦、又はキャリア同士の摩擦で、結着樹脂への強い衝撃を伴う接触を緩和することができ、帯電発生箇所である結着樹脂の膜削れを抑制することが可能となる。また、キャリア表面に被覆層に比べて凸となる粒子が多数存在するため、キャリア同士の摩擦接触によりキャリア表面に付着したトナーのスペント成分を効率よく掻き落とすクリーニング効果が生じて、トナースペントを防止することができる。
前記(D1/h)が1以下であると、第1粒子が結着樹脂中に埋もれてしまうため、著しく効果が低下してしまうことがあり、10以上であると、第1粒子と結着樹脂との接触面積が少ないため、充分な拘束力が得られず、該第1粒子が容易に脱離してしまうことがある。
【0067】
前記第1粒子の体積平均粒子径D1は、0.05〜3μmが好ましく、0.05〜1μmがより好ましい。
前記被覆層の厚みh(μm)は、0.04〜2μmが好ましく、0.04〜1μmがより好ましい。
前記被覆層の厚みhには、図2に示したように、芯材表面と粒子との間に存在する樹脂部の厚みhaと、粒子間に存在する樹脂部の厚みhbと、芯材や粒子上の樹脂部の厚みhcとがある。
前記被覆層の厚みhは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、キャリア断面を観察し、芯材表面と粒子との間に存在する樹脂部の厚みhaと、粒子間に存在する樹脂部の厚みhbと、芯材や粒子上の樹脂部の厚みhcとを、キャリア表面に沿って0.2μm間隔で50点測定し、得られた測定値を平均した値である。
【0068】
芯材表面から被覆層表面までの平均厚みT(μm)は、0.1≦T≦3.0であり、0.1≦T≦2.0が好ましい。芯材表面から被覆層表面までの平均厚みが0.1μm未満であると、膜の総厚が薄すぎるため、ランニング経時において芯材が剥き出しになりやすく、キャリアの耐久性が低下することがある。芯材から被覆層表面までの平均厚みが3.0μmを越えると、芯材上で形成する膜厚が厚くなりすぎるため、キャリアの磁化が下がりやすくなり、キャリア付着が生じることがある。
前記芯材表面から被覆層表面までの平均厚みTは、図2に示したように、前記被覆層の厚みhとは異なる厚みを表しており、芯材表面から被覆層表面までの厚みを示し、粒子の粒径が被覆層の厚みよりも大きい場合は、粒子の粒径を含んだ値を示す。
前記芯材表面から被覆層表面までの平均厚みTは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、キャリア断面を観察し、芯材表面から被覆層表面までの厚みTを、キャリア表面に沿って0.2μm間隔で50点測定し、得られた測定値を平均した値である。
【0069】
前記第1粒子の体積固有抵抗は、1.0×1012Ω・cm以上が好ましく、1.0×1012〜1.0×1016Ω・cmがより好ましい。前記体積固有抵抗が1.0×1012Ω・cm未満であると、第1粒子が被覆層よりも大きくなり、芯材と被覆層表面を1粒の第1粒子で結ぶことが起こりうるので、ベタ部でのキャリア付着が生じてしまうことがある。
ここで、前記第1粒子の体積固有抵抗は、例えば、以下のようにして測定することができる。内径1インチの円筒状の塩化ビニル管の中に試料を入れ、その上下を電極で挟む。これら電極をプレス機により、15kg/cm2の圧力を1分加える。続いて、この加圧
した状態で、LCRメータによる測定を行い、抵抗(r)を得る。得られた抵抗値を、下記数式1により計算して、体積固有抵抗を求めることができる。
<数式1>
体積固有抵抗(Ω・cm)=(2.54/2)2×(π/H×r)
ただし、前記数式1中、Hは試料の厚みを表す。rは抵抗値を表す。
【0070】
前記第1粒子としては、例えば、アルミナ粒子、シリカ粒子、などが挙げられ、これらの中でも、アルミナ粒子は、キャリアの被覆材料に用いられる結着樹脂との相性も良く、分散性、接着性の面でも優れているだけではなく、硬度が非常に高いので、現像機内でのストレスに対し、磨耗、割れが生じ難く、長期にわたって被覆層の保護効果、スペント物掻き取り効果を発揮できるので特に好ましい。
前記アルミナ粒子としては、粒径5μm以下のアルミナ粒子が好ましく、表面処理していないもの、疎水化処理など表面処理したもの全てを用いることができる。
前記シリカとしては、トナー用に用いられているもの、及びそれ以外のものも用いることができ、表面処理していないもの、疎水化処理など表面処理したもの全てを用いることができる。
【0071】
前記第1粒子の被覆層における含有量は10〜80重量%が好ましく、20〜60重量%がより好ましい。前記含有量が10重量%未満であると、キャリア粒子表面での結着樹脂の占める割合に比べ、第1粒子の占める割合が少ないため、結着樹脂への強い衝撃を伴う接触を緩和する効果が小さいので、十分な耐久性が得られないことがある。一方、80重量%を超えると、キャリア表面での結着樹脂の占める割合に比べ、第1粒子の占める割合が多すぎるため、帯電発生箇所である結着樹脂の占める割合が不十分となり、十分な帯電能力を発揮できないことがある。更に、結着樹脂量に比べ第1粒子量が多すぎるので、結着樹脂による第1粒子の保持能力が不十分となり、第1粒子が脱離し易くなり、帯電量や抵抗等の変動量が増えて、十分な耐久性が得られないことがある。
ここで、前記第1粒子の含有量は、下記数式2で表される。
<数式2>
第1粒子の含有量(重量%)=[第1粒子の含有量÷被覆層に含まれる材料の総量(
第1粒子+第2粒子+結着樹脂+その他の成分)]×100
【0072】
−第2粒子−
前記第2粒子の粒径D2(μm)と、前記被覆層の厚みh(μm)とは、次式、0.001<(D2/h)<1を満たし、0.01<(D2/h)<0.5を満たすことがより好ましい。また、前記第2粒子の体積固有抵抗は1.0×1012Ω・cm以下であり、1.0×1010Ω・cm以下が好ましく、1.0×108Ω・cm以下がより好ましい。な
お、前記第2粒子の体積固有抵抗は、第1粒子と同様にして測定することができる。
前記第2粒子の粒径が、被覆層の厚みよりも小さく、体積固有抵抗が1.0×1012Ω・cm以下と低いことにより、抵抗の低い第2粒子が芯材表面と被覆層表面を1粒で結ぶ点が生じることなく被覆層中に存在することができるので、キャリア抵抗の大幅な低下を生じさせずに、被覆層の帯電特性を平均的に下げることができるとともに、局所的な低抵抗個所のない被覆層を形成することができる。
前記(D2/h)が1以上であると、第2粒子が被覆層厚みよりも大きいため、芯材表面とキャリア表面を抵抗の低い1粒の第2粒子で結ぶことになり、被覆層中に局所的に抵抗の低い個所が生じ、ベタ画像部でのキャリア付着が生じることがある。前記(D2/h)が0.001以下であると、被覆層厚みに対する第2粒子の粒径が小さくなり過ぎるため、帯電制御機能の効果を発揮しにくく好ましくない。また、帯電制御効果を発揮させる
ために多量に投入した場合には、結着樹脂に対する第2粒子の割合が多くなり過ぎ、第2粒子の保持能力が不十分となることがある。
前記第2粒子の粒径D2は、0.005〜1μmが好ましく、0.01〜0.2μmがより好ましい。
【0073】
前記第2粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、表面処理された酸化チタン、表面処理された酸化亜鉛、及び表面処理された酸化スズから選択される少なくとも1種の粒子が好適である。これら粒子は、帯電制御効果を十分に発揮できるとともに、キャリアのコート材料に用いられる樹脂との相性もよく、分散性、接着性の面でも優れている。また、粒子母体が何にせよ、表面を例えば導電性処理、疎水化処理などの処理を施した粒子で、粒径と固有抵抗が上記の範囲であれば、前記と同様の理由で良好な効果を発揮することができる。
前記第2粒子の被覆層における含有量は2〜50重量%が好ましく、2〜30重量%がより好ましい。基本的には第2粒子の含有量が多いほど帯電制御効果は大きくなるが、50重量%を超えると被覆層中での分散状態が悪化し、第2粒子の凝集が増えて実質的に大粒径粒子と同様の効果を発揮し出してしまい、キャリア抵抗の低下が生じ、ベタ画像部でのキャリア付着が生じることがある。一方、2重量%未満であると、第2粒子の含有量が少ないため、効果を十分に発揮することができなくなることがある。
ここで、前記第2粒子の被覆層における含有量は、下記数式3で表される。
<数式3>
第2粒子の含有量(重量%)=[第2粒子の含有量÷被覆層に含まれる材料の総量(
第1粒子+第2粒子+結着樹脂+その他の成分)]×100
【0074】
−結着樹脂−
前記結着樹脂としては、アクリル樹脂とアミノ樹脂との反応物、及びシリコン樹脂のいずれかが好適に挙げられる。
前記アクリル樹脂とアミノ樹脂との反応物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アクリル樹脂とアミノ樹脂との架橋反応物が好適である。
前記アクリル樹脂としては、特に制限はなく、全てのアクリル樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができるが、これらの中でも、ガラス転移温度(Tg)は20〜100℃が好ましく、25〜80℃がより好ましい。前記アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)がこの範囲内であると、アクリル樹脂は適度な弾性を有しており、現像剤を摩擦帯電させるための攪拌における、トナーとキャリアとの摩擦あるいはキャリア同士の摩擦で、結着樹脂への強い衝撃を伴う接触の際、該衝撃を吸収することができ、被覆層を破損することなく維持することが可能となる。
【0075】
前記ガラス転移温度(Tg)が20℃未満であると、常温においても結着樹脂がブロッキングするため、保存性が悪く実用上使用できないことがある。一方、ガラス転移温度(Tg)が100℃を超えると、結着樹脂が硬く脆性が高くなり過ぎて衝撃を吸収することができず、その脆さから結着樹脂が削れると共に、該粒子を保持することができず、脱離しやすくなることがある。
また、前記アミノ樹脂としては、特に制限はなく、従来から知られているアミノ樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グアナミン、メラミンを用いることで、帯電量付与能力を著しく向上させることができる。
前記シリコン樹脂としては、特に制限はなく、一般的に知られているシリコン樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オルガノシロキサン結合のみからなるストレートシリコン樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などで変性したシリコン樹脂、などが挙げられる。
また被覆層が導電性微粉末を含有したシリコン樹脂で形成されていても良い。
【0076】
前記シリコン樹脂は、市販品を用いることができ、ストレートシリコン樹脂としては、信越化学工業社製のKR271、KR255、KR152;東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のSR2400、SR2406、SR2410、等が挙げられる。
前記変性シリコン樹脂としては、例えば、信越化学工業社製のKR206(アルキド変性)、KR5208(アクリル変性)、ES1001N(エポキシ変性)、KR305(ウレタン変性);東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のSR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキド変性)、などが挙げられる。
なお、シリコン樹脂単体で用いることも可能であるが、架橋反応する成分、帯電量調整成分等を同時に用いることも可能である。
前記結着樹脂としては、上記樹脂以外にも、必要に応じてキャリア用被覆樹脂として一般的に用いられているものを使用することができ、例えば、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0077】
前記被覆層は、例えば、前記第1粒子、第2粒子、結着樹脂等を溶剤に溶解させて塗布溶液を調製した後、該塗布溶液を前記芯材の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付を行うことにより形成することができる。前記塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、などが挙げられる。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブチルアセテート、などが挙げられる。
前記焼付としては、特に制限はなく、外部加熱方式であってもよいし、内部加熱方式であってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロウエーブを用いる方法、などが挙げられる。
【0078】
<芯材>
前記芯材は、静電潜像担持体へのキャリア付着(飛散)防止の点から、体積平均粒径が20μm以上の大きさのものが好ましく、キャリアスジ等の発生防止等画質低下防止の点から100μm以下のものが好ましく、特に、近年の高画質化に対しては、20〜50μmがより好ましい。
前記芯材としては、特に制限はなく、電子写真用二成分キャリアとして公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェライト、マグネタイト、鉄、ニッケルが好適に挙げられる。また、近年著しく進む環境面への配慮をし、フェライトであれば、従来の銅−亜鉛系フェライトではなく、例えば、Mn系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Mn−Mg−Srフェライト等を用いることが好適である。
前記芯材の体積平均粒径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、10〜200μmが好ましく、10〜60μmがより好ましい。
本発明における、トナーとキャリアの混合割合は、キャリア100重量部に対しトナー1〜10.0重量部が好ましい。
【0079】
また、スペント化防止のために、従来よりキャリア表面に種々の樹脂を被覆する方法が提案されているが、いまだ満足できるものは得られていない。例えば、スチレン−メタクリレート共重合体や、スチレン単独重合体等の樹脂で被覆されたキャリアは帯電特性が優れているが、表面の表面張力が比較的高いために繰り返し使用するとスペント化が起り、現像剤としての寿命がそれほど長くない。また、四フッ化エチレン重合体を被覆したキャリアは、表面張力が低いのでトナーのスペント化が起り難いが、四フッ化エチレン重合体
が摩擦帯電系列において最も負側に位置しているために、トナーを負極性に帯電しようとする場合には使えない。
低い表面張力をもつものとしては、シリコン樹脂を含む被覆層で被覆されたキャリアが提案されている。例えば、不飽和シリコーン樹脂とオルガノシリコーン、シラノール等をスチレン−アクリル樹脂と混合してキャリア表面を被覆したもの(米国特許第3562533号);ポリフェニレン樹脂とオルガノシリコーンターポリマー樹脂とで表面を被覆されたキャリア(米国特許第3847127号);スチレン−アクリレート−メタクリレート樹脂と、オルガノシラン、シラノール、シロキサン等で表面を被覆されたキャリア(米国特許第3627522号)、シリコン樹脂と正帯電特性を持つ窒素含有樹脂とで被覆されたキャリア(特開昭55−127567号公報);及び変性シリコン樹脂で表面を被覆されたキャリア(特開昭55−157751号公報)等が挙げられる。
【0080】
一般に、被覆キャリアに使われる芯材の抵抗は低く、被覆層に使われる材料の抵抗は高いから、キャリア表面の被覆で該キャリアの抵抗調節も可能である。そこで、被覆層の厚さで抵抗を調節するために、被覆層中にカーボンブラック(特開昭56−126843号、特開昭62−45984号公報等);酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物(特開昭64−35561号公報等);等を分散させて被覆層の抵抗を調整する方法でキャリアの抵抗を調節し、高バイアス現像時に現像領域のエッジ部へキャリアが付着するのを防ぐと共に、低バイアス現像時に画像領域へキャリアが付着するのを防ぐ方法が提案されている。しかしながら、このような方法で初期のキャリア抵抗を調節しても、長時間の使用中に被覆層が摩擦・脱落等で減少して行くから、キャリアの抵抗が徐々に低下したり、または、被覆層中の抵抗調整剤の分散性が悪く、局所的に抵抗低下が発生し、キャリアが付着してしまう問題が残されている。キャリアの抵抗が、10[Log(Ω・cm)]以上16[Log(Ω・cm)]以下であることで、改善効果が顕著である。これは、抵抗が10[Log(Ω・cm)]未満の場合、非画像部でのキャリア付着が生じ好ましくない。一方、体積固有抵抗が16[Log(Ω・cm)]を超える場合、エッジ効果が許容できないレベルに悪化して好ましくない。
【0081】
本発明は、現像剤の寿命とキャリアの抵抗及び帯電能力が密接な関係にあることから、現像剤を長期間使用してもキャリアの抵抗及び帯電能が常に安定し、そのために現像特性が劣化せずに安定的に高品位画像を形成し得る高耐久性の現像剤用キャリアを提供することをその課題とする。
本発明によれば、表面に少なくとも樹脂と抵抗調節剤からなる被覆層を持つ被覆キャ
リアにおいて、該被覆層を単一膜として抵抗調整剤が均一に分散されていることを特徴とする静電潜像現像剤用キャリアが提供される。なお、被覆キャリアの比抵抗とは、被覆キャリアの集合体を均質なブロックとして取扱った場合の比抵抗なので、被覆層の材質が全被覆層で均質な場合であっても、被覆層の膜厚によって測定される比抵抗値は変動する。被覆層の抵抗調節剤がカーボンブラックであることを特徴とする前記の静電潜像現像用被覆キャリアが提供される。
さらに本発明によれば、カーボンブラックを抵抗調節剤とする前記の被覆キャリアにおいて、被覆層がシランカップリング剤を含むシリコン樹脂で形成され、該シランカップリング剤の濃度が被覆層表面ほど高濃度に形成されていること及び/又は含まれていても良い。触媒用有機スズ化合物の濃度が被覆層の厚さ方向に対して濃度匂配を持つことを特徴とする静電潜像現像用被覆キャリアが提供される。また、被覆層にシリコーン樹脂を使うと共に、該樹脂で被覆層を形成する際に添加されるシランカップリング剤量や、該被覆層の形成に使われる有機スズ化合物触媒量を調節し、これによって被覆層が長期間の使用で摩耗してもキャリアの抵抗が変らないようにし、同時にトナーの摩擦帯電量等の帯電特性が変らないようにしている。
【0082】
本発明のキャリアは、被覆層をシリコン樹脂で形成すると、表面エネルギーが低下して
トナーのスペント化が抑制される。また、被覆層に抵抗調節剤を添加している場合には、シランカップリング剤を添加して抵抗調節剤の安定微分散化を行っている。従って、抵抗調節剤量を表面ほど多くした場合には、抵抗調節剤量に応じてシランカップリング剤量も表面ほど多くするのが望ましく、このようにすれば抵抗調節剤の微分散化がより安定的になって帯電能が安定化する。また、被覆層に抵抗調節剤が含まれている場合、その量が多くなると被覆層の抵抗が下がるために帯電能の絶対値が小さくなる。しかし、被覆層がシランカップリング剤を含むシリコン樹脂で形成されている場合は、有機スズ化合物触媒量を変えることで帯電能の絶対値を調整することができる。これは、遊離のシランカップリング剤がキャリアの帯電能を変え、シリコン樹脂と反応したシランカップリング剤はキャリアの帯電能に影響しないからであり、触媒量の増加で遊離のシランカップリング剤量が減るからである。従って、キャリアの正帯電性を増加させるアミノシランカップリング剤と負帯電性トナーより成る現像剤では、触媒量増加で負帯電性が向上し、負帯電性トナーと組み合せた場合は触媒量の減少で正帯電性が増える。一方、キャリアの不帯電性を増加させるクロロシランカップリング剤の使用時は、前記と逆の結果が得られる。それゆえ、使用するトナーの帯電性やシランカップリング剤の種類によって触媒量を変化させれば、帯電能を安定化させることができる。
【0083】
本発明のキャリアの被覆層形成に好適な樹脂は、トナーのスペント化防止の点で好ましい樹脂であるシリコン樹脂が好ましい。被覆層形成には既知のシリコン樹脂が使われるが、シリコン樹脂としては従来より知られるいずれのシリコン樹脂であってもよく、例えば市販品として入手できる信越シリコーン社製のKR155,KR282,KR211,KR216,KR213や東レシリコーン社製のAY42−170,SR2510,SR2406,SR2410,SR2405,SR2411等が用いられる。
【0084】
本発明で使われるシランカップリング剤は、r−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、r−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、r−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−r−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、r−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、r−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、r−クロルプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、r−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、r−クロルプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロルシラン、ジメチルジクロルシラン、トリメチルクロルシラン(以上、トーレ・シリコン社製)、アリルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、1,3−ジビニルテトラメチルジシラザン、メタクリルオキシエチルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド(以上、チッソ社製)等である。例えば市販品として入手できる東レシリコーン社製のAY43−059,SR6020,SZ6023,SH6026,SZ6032,SZ6050,AY43−310M,SZ6030,SH6040,AY43−026,AY43−031,sh6062、Z−6911,sz6300,sz6075,sz6079,sz6083,sz6070,sz6072,Z−6721,AY43−004,Z−6187,AY43−021,AY43−043,AY43−040,AY43−047,Z−6265,AY43−204M,AY43−048,Z−6403,AY43−206M,AY43−206E,Z6341,AY43−210MC,AY43−083,AY43−101,AY43−013,AY43−158E,Z−6920,Z−6940等が用いられる。
【0085】
シランカップリング剤の添加量は、シリコン樹脂固形分に対し0.1〜10重量%が好ましく、シランカップリング剤の含有量が0.1重量%より少ない場合には効果が発揮さ
れないために、核体粒子や抵抗調節剤とシリコン被覆層の接着性が低下して長期間の使用中に被覆層が脱落する。また、含有量が10重量%を超えるとシリコン樹脂の持つ耐スペント性が低下し、長期間の使用中にトナーのスペント化が起る。
【0086】
本発明では、シランカップリング剤を含むシリコン樹脂で被覆層を形成させる場合に、シリコン樹脂とシランカップリング剤との間の反応用触媒に有機スズ化合物を使うのが好ましい。該触媒は、シリコン樹脂の炭化水素基水素とシランカップリング剤との反応促進に有効である。有機スズ化合物の添加量は、シランカップリング剤添加量の1〜100重量倍、好ましくは2〜50重量倍であり、添加量過少では添加効果が発揮されず、過大の場合はシリコーン樹脂本来の性能が発揮されないために耐スペント性が低下する。また、前記のように有機スズ化合物触媒濃度を被覆層の厚み方向で変えれば、該触媒による帯電能調整とスペント化の進行による帯電能低下をバランスさせることが可能であり、これによって該被覆キャリアの帯電能を長期間安定的に保持することができるし、触媒添加量の変化で帯電量を変えることも可能である。
【0087】
本発明で使われる核体粒子は既存の磁性体でよく、鉄、コバルト等の強磁性金属;マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄;各種合金や化合物、これら磁性体の微粉を結着剤樹脂中に分散させた樹脂核体粒子等である。さらに、体積平均粒径が20μm以上85μm以下であることで、改善効果が顕著である。これは、体積平均粒径が20μm未満の場合は、粒子の均一性が低下することと、マシン側で充分使いこなす技術が確立できていないことにより、キャリア付着などの問題が生じ好ましくない。一方、85μmを越える場合には、画像細部の再現性が悪く精細な画像が得られないので、好ましくない。
さらに静電潜像現像剤用現像剤において、前記キャリアの1000(103/4π・A
/m)における磁気モーメントが、40(Am2/kg)以上90(Am2/kg)以下であることが好ましい。
【0088】
上述のようにして得られた本発明に係るトナー及び現像剤は、耐ブロッキング性と低温定着性とが共に優れ、かつ現像剤や感光体へのスペントがなく、現像剤耐久性が高く、経時の帯電安定性に優れているので、電子写真法によって画像を形成するための装置であれば限定せず、例えば複写機やプリンターなどに使用することができる。とりわけ耐久性が高いため、トナーリサイクルを有するシステムにおいて有効である。また該帯電工程が、帯電部材を被帯電体に接触させて外部より帯電部材に電圧を印加し、被帯電体を帯電する画像形成方法や、静電潜像担持体上の静電潜像を現像剤により現像し、転写装置を介して該現像画像を転写材へ静電転写する工程の際に、該静電潜像担持体と転写装置とが当接する画像形成方法においてもトナーの融着等の発生がない。
さらに低温定着性に優れているため該定着工程が、トナー像を胆持した支持体を、2本のローラの間を通過させる事によってトナー像の加熱定着を行う定着装置であり、トナー像支持面と接触する側の定着ローラの厚みが1.0mm以下、2本のローラ間に加える面圧(ローラ荷重/接触面積)が1.5×105Pa以下である画像形成方法においても十
分な定着温度幅を得ることができる。
【0089】
本発明に係るカートリッジの一例を、図3を参照して説明する。
(カートリッジ)
本発明のカートリッジは、本発明の前記現像剤を容器中に収容してなる。前記容器としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、現像剤容器本体とキャップとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
前記現像剤容器本体としては、その大きさ、形状、構造、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記形状としては、円筒状などが好ましく、内周面にスパイラル状の凹凸が形成され、回転させることにより内容物であるトナーが排出口側に移行可能であり、かつ該スパイラル部の一部又は全部が蛇腹機能を
有しているもの、などが特に好ましい。
前記現像剤容器本体の材質としては、特に制限はなく、寸法精度がよいものが好ましく、例えば、樹脂が好適に挙げられ、その中でも、例えば、ポリエステル樹脂,ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、などが好適に挙げられる。
【0090】
本発明のカートリッジは、保存、搬送等が容易であり、取扱性に優れ、後述する本発明のプロセスカートリッジ、画像形成装置等に、着脱可能に取り付けて現像剤の補給に好適に使用することができる。
ここで、図3は、本発明の現像剤を充填した本発明の前記カートリッジを搭載した画像形成装置についての一例を示す概略図である。画像形成装置本体内に装着された現像部1と、この現像部1に補給される本発明の前記現像剤を充填したカートリッジ2とが現像剤送流手段3、接続部材11により接続されている。図3中、4は現像ハウジング、5は攪拌スクリュー、6は攪拌スクリュー、7は現像ローラ、8は感光体、9はドクターブレードをそれぞれ示す。
【0091】
(プロセスカートリッジ)
本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像を担持する静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に担持された静電潜像を、現像剤を用いて現像し可視像を形成する現像手段とを、少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択した、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段などのその他の手段を有してなる。
前記現像手段としては、本発明の前記現像剤を収容する現像剤収容器と、該現像剤収容器内に収容された現像剤を担持しかつ搬送する現像剤担持体とを、少なくとも有してなり、更に、担持させる現像剤の層厚を規制するための層厚規制部材等を有していてもよい。
本発明のプロセスカートリッジは、各種電子写真装置、ファクシミリ、プリンターに着脱自在に備えさせることができ、後述する本発明の画像形成装置に着脱自在に備えさせるのが好ましい。
ここで上記プロセスカートリッジは、例えば、図4に示すように、感光体10を内蔵し、帯電手段12、露光手段13、現像手段14、クリーニング手段17を含み、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
【0092】
前記感光体10としては、後述する画像形成装置と同様のものを用いることができる。
前記帯電手段12としては、任意の帯電部材が用いられる。
前記露光手段13としては、高解像度で書き込みが行うことのできる光源が用いられる。
本発明の画像形成装置としては、前記静電潜像担持体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。又、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも1つを静電潜像担持体とともに一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としてもよい。
【0093】
(画像形成装置及び画像形成方法)
本発明に係る画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
本発明の画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程等を含む。
本発明の画像形成方法は、上記の画像形成装置により好適に実施することができ、前記静電潜像形成工程は前記静電潜像形成手段により行うことができ、前記現像工程は前記現像手段により行うことができ、前記転写工程は前記転写手段により行うことができ、前記定着工程は前記定着手段により行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
【0094】
−静電潜像形成工程及び静電潜像形成手段−
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。
前記静電潜像担持体(感光体)としては、その材質、形状、構造、大きさ、等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、その形状としてはドラム状が好適に挙げられ、その材質としては、例えばアモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体、などが挙げられる。これらの中でも、長寿命性の点でアモルファスシリコン等が好ましい。
前記静電潜像の形成は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段により行うことができる。
前記静電潜像形成手段は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電器と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
前記帯電は、例えば、前記帯電器を用いて前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
【0095】
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、などが挙げられる。
前記露光は、例えば、前記露光器を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。 前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系、などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
【0096】
−現像工程及び現像手段−
前記現像工程は、前記静電潜像を、本発明の前記現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を本発明の前記現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、本発明の前記現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、本発明の前記現像剤を収容し、前記静電潜像に該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられ、本発明の前記カートリッジを備えた現像器などがより好ましい。
【0097】
前記現像器は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、
磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体(感光体)近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体(感光体)の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該現像剤により現像されて該静電潜像担持体(感光体)の表面に該現像剤による可視像が形成される。
【0098】
−転写工程及び転写手段−
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記現像剤として二色以上、好ましくはフルカラー現像剤を用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記静電潜像担持体(感光体)を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記静電潜像担持体(感光体)上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
【0099】
前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、などが挙げられる。
なお、記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベース等も用いることができる。
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いて定着させる工程であり、各色の現像剤に対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色の現像剤に対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組み合わせ、などが挙げられる。
【0100】
前記加熱加圧手段における加熱は、通常、80〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
前記除電工程は、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
前記クリーニング工程は、前記静電潜像担持体上に残留する前記現像剤を除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体上に残留する前記電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
【0101】
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記電子写真用カラートナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
前記制御工程は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
【0102】
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する一の態様について、図5を参照しながら説明する。図5に示す画像形成装置20は、前記静電潜像担持体としての感光体ドラム10(以下「感光体10」という)と、前記帯電手段としての帯電ローラ21と、前記露光手段としての露光装置22と、前記現像手段としての現像装置23と、中間転写体24と、クリーニングブレードを有する前記クリーニング手段としてのクリーニング装置25と、前記除電手段としての除電ランプ26とを備える。
中間転写体24は、無端ベルトであり、その内側に配置されこれを張架する3個のローラ27によって、矢印方向に移動可能に設計されている。3個のローラ27の一部は、中間転写体24へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加可能な転写バイアスローラとしても機能する。中間転写体24には、その近傍にクリーニングブレードを有するクリーニング装置28が配置されており、また、最終転写材としての転写紙29に現像像(トナー像)を転写(二次転写)するための転写バイアスを印加可能な前記転写手段としての転写ローラ30が対向して配置されている。中間転写体24の周囲には、中間転写体24上のトナー像に電荷を付与するためのコロナ帯電器31が、該中間転写体24の回転方向において、感光体10と中間転写体24との接触部と、中間転写体24と転写紙29との接触部との間に配置されている。
【0103】
現像装置23は、前記現像剤担持体としての現像ベルト32と、現像ベルト32の周囲に併設したブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cとから構成されている。なお、ブラック現像ユニット45Kは、現像剤収容部42Kと現像剤供給ローラ43Kと現像ローラ44Kとを備えており、イエロー現像ユニット45Yは、現像剤収容部42Yと現像剤供給ローラ43Yと現像ローラ44Yとを備えており、マゼンタ現像ユニット45Mは、現像剤収容部42Mと現像剤供給ローラ43Mと現像ローラ44Mとを備えており、シアン現像ユニット45Cは、現像剤収容部42Cと現像剤供給ローラ43Cと現像ローラ44Cとを備えている。また、現像ベルト32は、無端ベルトであり、複数のベルトローラに回転可能に張架され、一部が感光体10と接触している。
【0104】
図5に示す画像形成装置20において、例えば、帯電ローラ21が感光体ドラム10を一様に帯電させる。露光装置22が感光ドラム10上に像様に露光を行い、静電潜像を形成する。感光ドラム10上に形成された静電潜像を、現像装置23からトナーを供給して現像して可視像(トナー像)を形成する。該可視像(トナー像)が、ローラ27から印加された電圧により中間転写体24上に転写(一次転写)され、更に転写紙29上に転写(二次転写)される。その結果、転写紙29上には転写像が形成される。なお、感光体10上の残存トナーは、クリーニング装置25により除去され、感光体10における帯電は除電ランプ26により一旦、除去される。
【0105】
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について、図6を参照しながら説明する。図6に示す画像形成装置40は、図5に示す画像形成装置20
において、現像ベルト32を備えてなく、感光体10の周囲に、ブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cが直接対向して配置されていること以外は、図5に示す画像形成装置20と同様の構成を有し、同様の作用効果を示す。なお、図6においては、図5におけるものと同じ機能を有するものは同符号で示した。
【0106】
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について、図7を参照しながら説明する。図7に示すタンデム画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置である。前記タンデム画像形成装置は、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。
複写装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。そして、中間転写体50は、支持ローラ51、52及び53に張架され、図7中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ52の近傍には、中間転写体50上の残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング装置54が配置されている。支持ローラ51と支持ローラ52とにより張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段55が対向して並置されたタンデム型現像器120が配置されている。タンデム型現像器120の近傍には、露光装置56が配置されている。中間転写体50における、タンデム型現像器120が配置された側とは反対側には、二次転写装置57が配置されている。二次転写装置57においては、無端ベルトである二次転写ベルト58が一対のローラ59に張架されており、二次転写ベルト58上を搬送される転写紙と中間転写体50とは互いに接触可能である。二次転写装置57の近傍には定着装置60が配置されている。定着装置60は、無端ベルトである定着ベルト61と、これに押圧されて配置された加圧ローラ62とを備えている。
なお、前記タンデム画像形成装置においては、二次転写装置57及び定着装置60の近傍に、転写紙の両面に画像形成を行うために該転写紙を反転させるためのシート反転装置63が配置されている。
【0107】
次に、前記タンデム画像形成装置を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。即ち、先ず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス67上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス67上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス67上に原稿をセットした時は直ちに、スキャナ300が駆動し、第1走行体68及び第2走行体69が走行する。このとき、第1走行体68により、光源からの光が照射されると共に原稿面からの反射光を第2走行体69におけるミラーで反射し、結像レンズ70を通して読取りセンサ71で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報とされる。
【0108】
そして、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像情報は、前記タンデム画像形成装置における各画像形成手段73(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)にそれぞれ伝達され、各画像形成手段において、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各トナー画像が形成される。即ち、前記タンデム画像形成装置における各画像形成手段73(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)は、図8に示すように、それぞれ、感光体10(ブラック用感光体10K、イエロー用感光体10Y、マゼンタ用感光体10M及びシアン用感光体10C)と、該感光体を一様に帯電させる帯電器74と、各カラー画像情報に基づいて各カラー画像対応画像様に前記感光体を露光(図8中、L)し、該感光体上に各カラー画像に対応する静電潜像を形成する露光器と、該静電潜像を各カラー現像剤(ブラック現像剤、イエロー現像剤、マゼンタ現像剤
及びシアン現像剤)を用いて現像して各カラー現像剤によるトナー像を形成する現像器76と、該トナー像を中間転写体75上に転写させるための転写帯電器77と、感光体クリーニング装置78と、除電器79とを備えており、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像)を形成可能である。こうして形成された該ブラック画像、該イエロー画像、該マゼンタ画像及び該シアン画像は、支持ローラ51、52及び53により回転移動される中間転写体50上にそれぞれ、ブラック用感光体10K上に形成されたブラック画像、イエロー用感光体10Y上に形成されたイエロー画像、マゼンタ用感光体10M上に形成されたマゼンタ画像及びシアン用感光体10C上に形成されたシアン画像が、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体50上に前記ブラック画像、前記イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
【0109】
一方、図7中の給紙テーブル200においては、給紙ローラ82の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク83に多段に備える給紙カセット84の1つからシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ85で1枚ずつ分離して給紙路86に送出し、搬送ローラ87で搬送して複写機本体150内の給紙路88に導き、レジストローラ65に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラ150を回転して手差しトレイ66上のシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ92で1枚ずつ分離して手差し給紙路93に入れ、同じくレジストローラ65に突き当てて止める。なお、レジストローラ65は、一般には接地されて使用されるが、シートの紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。
そして、中間転写体50上に合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ65を回転させ、中間転写体50と二次転写装置57との間にシート(記録紙)を送出させ、二次転写装置57により該合成カラー画像(カラー転写像)を該シート(記録紙)上に転写(二次転写)することにより、該シート(記録紙)上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体50上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置54によりクリーニングされる。
【0110】
カラー画像が転写され形成された前記シート(記録紙)は、二次転写装置57により搬送されて、定着装置60へと送出され、定着装置60において、熱と圧力とにより前記合成カラー画像(カラー転写像)が該シート(記録紙)上に定着される。その後、該シート(記録紙)は、切換爪95で切り換えて排出ローラ96により排出され、排紙トレイ97上にスタックされ、あるいは、切換爪95で切り換えてシート反転装置63により反転されて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ96により排出され、排紙トレイ97上にスタックされる。
上記の本発明に係る画像形成装置及び画像形成方法は、耐久性に優れ、ランニング経時でのベタ画像部にキャリア付着が生じなく、キメの細かい画像を長期間にわたって形成することができ、色汚れの生じない、帯電制御性の良好な電子写真用キャリアを含む本発明の前記現像剤を用いているので、鮮明な高画質画像を形成することができる。
【0111】
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施するさらに他の態様について図9を参照して説明する。図9のデジタル複写機は、周知の電子写真方式を用い内部にドラム状感光体10を備えている。感光体10の周囲には矢印Aで示す回転方向に沿って、電子写真複写行程を実施する帯電器122、露光手段123、現像手段124、転写手段125、クリーニング手段126、リサイクル手段135、および定着手段130が配置されている。
露光手段123は、複写機上面の原稿載置台127に置かれた原稿を読み取り手段128によって読み取られた画像信号を基に感光体10上に静電潜像を形成する。
感光体10上に形成された静電潜像は、現像手段124によってトナー像化され、そのトナー像が給紙装置129から給送されてくる転写紙に転写手段125によって静電転写される。トナー像が載った転写紙は、定着手段130に搬送、定着された後に、機外へ排
出される。
一方、未転写部や汚れの付着した感光体10はクリーニング手段126によりクリーニングされ、クリーニングにより回収されたトナーはリサイクル手段135によりトナーホッパー部へ回収され、補給トナーと混合後、現像剤容器に戻され、次の作像ステップに入る。
【0112】
該定着工程は、トナー像を胆持した支持体を、2本のローラの間を通過させる事によってトナー像の加熱定着を行う定着装置によって行われる。トナー像支持面と接触する側の定着ローラの厚みが1.0mm以下、2本のローラ間に加える面圧(ローラ荷重/接触面積)が1.5×105Pa以下である定着装置の例を図10に示す。141は定着ローラ
、142は加圧ローラをそれぞれ表している。定着ローラ141はアルミニウム、鉄、ステンレス又は真鍮のような、高熱伝導体から構成された金属シリンダー143の表面にRTV(常温にて加硫ゴム)、シリコンゴム、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアル
キルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなオフセット防止層144が被覆されている。定着ローラ141の内部には、加熱ランプ145が配置されている。加圧ローラ142の金属シリンダー146は定着ローラ141と同じ材質が用いられる場合が多く、その表面にはPFA、PTFAなどのオフセット防止層147が被覆されている。また、必ずしも必要ではないが、加圧ローラ142の内部には加熱ランプ148が配置されている。
定着ローラ141と加圧ローラ142は図示してはいないが、両端のバネにより圧接され回転する。この定着ローラ141と加圧ローラ142の間にトナー像Tの付着支持体S(紙などの転写紙)を通過させ定着を行う。
【0113】
本発明に用いられる定着装置は、定着ローラの金属シリンダーの厚みを1.0mm以下とすることにより、定着ローラの温度立ち上がり特性を改善したものであり、極めて短時間で所望の温度まで立ち上げることができる。
好ましい金属シリンダーの厚みは、用いる材料の強度、熱伝導率により異なるが0.2〜0.7mmが好ましい。
また、定着ローラと加圧ローラ間に加える荷重(面圧)は1.5×105Pa以下であ
ることが好ましい。面圧はローラ両端に加えられる荷重をローラ接触面積で割った値である。
ローラ接触面積は、定着可能温度まで加熱したローラ間にOHP用紙のような、加熱により表面性の大きく変化するシートを通過させ、途中で停止し数10秒間保持した後排出し、表面性の変化した箇所の面積を求める。
ローラー面圧は高い方がトナー像の定着には有利であるが、前記定着ローラの金属シリンダーの厚みを1.0mm以下とした定着装置では、ローラの歪みを招くため大荷重は加えられず、その荷重は1.5×105Pa以下であり、好ましくは0.5〜1.0×105Paである。
本発明のトナーは熱伝導性が良好のため、ローラー面圧が1.5×105Pa以下、好
ましくは0.5〜1.0×105Paであっても良好な定着性が得られる。
【0114】
[トナーの残スチレンモノマーの定量方法]
トナーの残スチレンモノマーの定量方法は、ガスクロマトグラフを用いて以下の条件で測定した。
2.55mgのDMFを内部標準とし、100mlのアセトンを加えて内部標準品入り溶媒を作る。次にトナー400mgを上記溶媒で10mlの溶液とする。30分間超音波振とう機にかけたあと、1時間放置する。次に0.5μmのフィルターで濾過する。打ち込み試料量は4μlとする。
ガスクロマトグラフの条件は、以下の通りである。
・キャピラリカラム(30m×0.249mm、DBWAX、膜厚0.25μm)
・検出器FID、窒素圧0.45kg/cm2
・インジェクション温度:200℃
・ディテクター温度:200℃
・カラム温度:50℃から5℃/1分の昇温速度で30分間昇温後、200℃にて10分間ホールドする。
・検量線作成
サンプル溶液と同量のDMF、アセトン溶液にスチレンモノマーを加えた標準サンプルについて同様にガスクロマトグラフ測定し、モノマーと内部標準品DMFの重量比/面積比を求める。
【0115】
[トナー中の100℃における揮発分の定量方法]
トナー中の100℃における揮発分の定量方法は、熱天秤により100℃において、加熱時の重量減少量として測定する熱重量測定により測定される。具体的には、TGA−7、PE7700(パーキンエルマー社製)を使用し、トナー3〜8mgを精秤し(i)とし、窒素気流下で30〜100℃まで昇温速度20℃/分で加熱後のトナー重量を(ii)とし、その後連続して、100℃まで昇温速度10℃/分で加熱し、100℃にて10分間ホールドした後の重量を(iii)とした。[(ii)−(iii)]÷(i)×100で算出された値がトナー中の100℃における揮発分(重量%)である。
【0116】
[トナーのMI値(メルトインデックス値)測定方法]
トナーのMI値(メルトインデックス値)測定はJIS−K7210に準じて、TOYOSEIKI FLOW RATE COUNTER TYPE C−5059D(東洋精機製)を用い、荷重2160g、測定温度150℃、試料量5gにて測定した。
なお、トナーのMI値が3〜40g/10分であることにより定着温度範囲の広いトナーを得ることができる。好ましくは5〜30g/10分、さらに好ましくは10〜20g/10分である。
[トナーの含水量の測定方法]
トナーの含水量の測定方法は、まずトナーを30℃、60%RH環境下に24時間保存する。このトナー0.2gをカールフィッシャー水分滴定装置の気化装置(加熱炉温度:150℃、窒素気流下)を用いて測定する。
【0117】
[トナーの貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)測定方法]
−貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)の求め方−
トナーを熱プレスにて、20mm×20mm四方で厚みが2mmのシートに成形して試料を作製する。(株)レオロジ製のDVE型レオスペクトラーを測定装置として使用し、前記試料を所定の温度に維持して、強制振動非共振法により剪断方向に正弦振動(測定周波数10Hz)を加え、超微小変位下での応力レスポンスを測定し、その動力と動歪とから、公知の算出法で貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)及び正接損失(tanδ)を求めた。
【0118】
[トナー粒径D50測定方法]
トナー粒径D50測定方法は、コールターカウンター[例えば、商品名:マルチサイザーIII(コールタ一社製)]を用い測定される。
コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)があげられる。以下に測定方法について述べる。
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁し
た電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの重量、個数を測定して、重量分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)を求めることができる。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
【0119】
[ポリエステル樹脂又はトナーのMn、Mw、Mp測定方法]
本発明において、樹脂成分のテトラヒドロフラン(THF)可溶分のTHFを溶媒としたGPC(ゲルパーメイションクロマトグラフィ)によるクロマトグラムの分子量分布は次の条件で測定される。測定は、GPC(Waters社製の高速液体クロマトグラフ150C)を用いて行った。
【0120】
測定試料は以下のようにして作製する。
試料とTHFとを約5mg/mlの濃度で混合し、室温にて5〜6時間放置した後、十分に振とうしTHFと試料を良く混ぜ(試料の合一体がなくなるまで)、更に室温にて24時間静置する。このとき試料とTHFの混合開始時点から、静置終了時点までの時間が24時間以上となるようにする。その後、サンプル処理フィルタ(ポアサイズ0.45μm、たとえば、マイショリディスクH−25−2 東ソー社製、エキクロディスク25C
R ゲルマン サイエンスジャパン社製などが好ましく利用できる)を通過させたものをGPCの試料とする。
【0121】
GPC測定装置において、40℃のヒートチャンバ中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、東ソー社製の分子量が102〜107程度のものを用い、10点の標準ポリスチレン試料を用いる。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。カラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、東ソー社製のTSKgel G1000H(HXL),G20
00H(HXL),G3000H(HXL),G4000H(HXL),G5000H(HXL),G6000H(HXL),G7000H(HXL),TSKguardcolumnを組み合わせた。
【0122】
GPCクロマトグラムの測定では、高分子量側はベースラインからクロマトグラムが立上がり開始点から測定を始め、低分子量側は分子量約400まで測定する。得られたクロマトグラムから、数平均分子量Mn、重量平均分子量Mwが得られ、クロマトグラムの100万以上の面積をクロマトグラムの総面積で割った比率を100万以上の面積比とする。
【0123】
またポリエステル樹脂またはトナーの、Mn、Mw、Mpおよび分子量1500以下の成分の比率の測定方法は、THF可溶分についてGPCを用いて以下の条件で測定される。
装置 : 東ソー製 HCL−8120
カラム : TSKgelGMHXL(2本)
TSKgelmultiporeHXL−M(1本)
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25%のTHF溶液
溶液注入量: 100μml
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : ポリスチレン
得られたクロマトグラムから、Mn、Mwが得られる。また、Mpとはクロマトグラム上の最大のピーク高さを示す分子量のことを指し、これをピークトップ分子量と称する。さらに分子量1500で分割したときのピーク面積の比率で低分子量物の存在比を評価する。
【0124】
[分子量10万以上におけるショルダー・ピーク有無測定方法]
ポリエステル樹脂又はトナーのMn、Mw、Mp及び分子量1500以下の成分比率測定方法と同様の方法で得られるクロマトグラム上で、分子量が10万以上の領域に、ショルダー又はピークが存在するのか確認をする。ここで言うショルダーがあるとは、分子量が10万以上の成分が存在するが、ピークが存在しない状態を指す。一方、ピークがあるとは、分子量が10万以上の位置に中心を持つピークが存在する状態を指す。また、分子量が10万以上の領域に何も存在しない状態は、ショルダーもピークもないことを意味する。
【0125】
[定着下限温度の評価方法]
図10に示される構成の定着器(面圧:0.7×105Pa.S)をimagio MF6550[(株)リコー製]に装着し、ヒーター温度を振ってコピーを行い定着画像を得る。定着後の画像にメンディングテープ(3M社製)を貼り、一定の圧力を掛けた後、ゆっくり引き剥がす。その前後の画像濃度をマクベス濃度計により測定し、次式にて定着率を算出する。定着ローラの温度を段階的に下げて、下記式で示す定着率が80%以下となるときの温度を定着温度とする。
定着率(%)=テープ付着画像濃度/画像濃度×100
【0126】
[ホットオフセット発生温度の評価方法]
定着下限温度の評価方法と同様の定着機を使用し、2cm×2cmの黒ベタ画像を、ヒーター温度を振ってコピーを行い定着画像を得たときに、ホットオフセットが発生した時の温度とする。
<X線回折測定条件>
機種 : 日本電子 JDX−3500
ターゲット:CuKα線
管電圧 : 40kV
管電流 : 20mA
発散スリット : 1゜
散乱スリット : 1゜
受光スリット : 0.2mm
ステップ角度 :1゜/分
計数時間 : 1秒/分
走査範囲:1゜〜50゜
以下、X線回折測定はすべて同一条件で実施した。
【0127】
[結着樹脂及びトナー中に含有されている結着樹脂のTHF不溶分の測定]
トナーサンプル0.5〜1.0gを秤量し(W1g)、円筒濾紙(例えば東洋濾紙社製No.86R)を入れてソックスレー抽出器にかけ、溶媒としてTHF200mlを用いて10時間抽出し、溶媒によって抽出された可溶成分溶液をエバポレートした後、100℃
で数時間真空乾燥し、THF可溶樹脂成分量を秤量する(W2g)。トナー中の樹脂成分以外の重さを求める(W3g)。トナー中に含有されている結着樹脂のTHF不溶分は下記式から求められる。
【0128】
【数1】
或いは、抽出残分(W4g)を秤量し、THF不溶分を下記式から求めてもよい。
【数2】
【0129】
トナー化する前の結着樹脂のTHF不溶分の測定は、サンプルとして結着樹脂を用いて上記と同様にして抽出を行い、抽出前のサンプルの重量(W5g)と抽出後の抽出残分の
重量(W6g)から下記式により求められる。
【数3】
【0130】
[原料結着樹脂の酸価測定方法]
基本操作はJIS K−0070に準ずる。
(1)試料は上記のTHF不溶分の測定で得られるソックスレー抽出器によるTHF溶媒によって抽出された可溶成分を試料として使用する。試料の粉砕品1.0(g)を精秤し、可溶成分の重さをW(g)とする。
(2)300mlのビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(4/1)の混合液150mlを加え溶解する。
(3)0.1mol/lのKOHのエタノール溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する[例えば、京都電子株式会社製の電位差滴定装置AT−400(win work
station)とABP−410電動ビュレットを用いての自動滴定が利用できる。]。
(4)この時のKOH溶液の使用量をS[ml]とする。また、同時に試料を用いないブランク試験を行い、この時のKOH溶液の使用量をB[ml]とする。
(5)次式により酸価を計算する。fはKOHのファクターである。
酸価(mgKOH/g)={(S−B)×f×5.61}/W
【0131】
[水酸基価の測定]
基本操作はJIS K−0070に準ずる。
<装置及び器具>
・メスシリンダー(100ml)
・全量ピペット(5ml)
・平底フラスコ(200ml)
・グリセリン浴
<試薬>
・アセチル化試薬(無水酢酸25gを全量フラスコ100mlに取り、ピリジンを加えて全量を100mlにし、十分に振り混ぜる。)
・フェノールフタレイン溶液
・0.5mol/l水酸化カリウムエタノール溶液
【0132】
<測定法>
(a)試料を2.0g平底フラスコに精秤し、これにアセチル化試薬5mlを全量ピペットを用いて加える。
(b)フラスコの口に小さな漏斗を置き、温度95〜100℃のグリセリン浴中に底部約1cmを浸して加熱する。フラスコの首がグリセリン浴の熱を受けて温度が上がるのを防ぐために、中に丸い穴をあけた厚紙の円板をフラスコの首の付け根にかぶせる。
(c)1時間後フラスコをグリセリン浴から取り出し、放冷後漏斗から水1mlを加えて振り動かして無水酢酸を分解する。
(d)更に、分解を完全にするため、再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱し、放冷後エタノール(95%)5mlで漏斗及びフラスコの壁を洗う。
(e)フェノールフタレイン溶液数滴を指示薬として加え、0.5mol/l水酸化カリ
ウムエタノール溶液で滴定し、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときを終点とする
。
(f)空試験は、試料を入れないで(a)〜(e)を行う。
(g)試料が溶解しにくい場合は、少量のピリジンを追加するか、キシレン又はトルエンを加えて溶解する。
【0133】
<計算>
A=[{(B−C)×28.05×f}/S]+D
ただし、
A:水酸基価(mgKOH/g)
B:空試験に用いた0.5mol/l水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)
C:滴定に用いた0.5mol/l水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)
f:0.5mol/l水酸化カリウムエタノール溶液のファクター
S:試料の質量(g)
D:酸価
28.05:水酸化カリウムの式量56.11×1/2
【0134】
[芯材及びキャリアの体積平均粒径の測定方法]
芯材及びキャリアの体積平均粒径の測定は、マイクロトラック粒度分析計(日機装株式会社)のSRAタイプを使用し、0.7μm以上、125μm以下のレンジ設定で行ったものを用いた。
【0135】
[ガラス転移点(TG)測定方法]
JIS K 7121に準拠する。
試料の状態調整として、試験前にJIS K 7100(プラスチックの状態調節及び試験場所の標準状態)の標準温度状態2級及び標準湿度状態2級(温度23ア2及び相対湿度50±5%)において24時間調湿する。その後試料10mgをDSC装置のアルミパン容器に詰める。詰め方は容器に平らにかつ均一に入れ、容器のふたを載せ固定する。このとき容器の底が平らになっていない場合はふたの中央部を押し平らにする。容器の装置への装着方法として一方の容器ホルダーに試料を詰めた容器を入れ、もう片方には瘁|
アルミナ粉を試料と同じ見掛け体積分詰めてふたをして装着する。その後30℃から150℃まで、昇温速度10℃/分にて加熱し、10分間保った後、20℃まで冷却速度10℃/分にて冷却後、昇温速度10℃/分にて200℃まで加熱し、DSC曲線を得、図11に示すように、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線とガラス転移の階段状変化部分の曲線が交わる点の温度をガラス転移点(TG)とする。
【0136】
[軟化点の測定方法]
フローテスターを用いて、下記条件で等速昇温し、その流出量が1/2になる温度をも
って軟化点とする。
装置 :島津(株)製 フローテスター CTF−500D
荷重 :20kgf/cm2
ダイ :1mmΦ−1mm
昇温速度:6℃/min
試料量 :1.0g
【発明の効果】
【0137】
本発明は、高温高湿度下でのトナーの耐ブロッキング性と低温定着性とが共に優れ、かつ現像剤や感光体へのスペントがなく、現像剤耐久性の高く、経時の帯電安定性に優れたトナー、現像剤、カートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成方法を提供するものである。
さらに本発明は、ランニング経時でのベタ画像部にキャリア付着が生じることなく、キメの細かい画像を長期間にわたって形成することができ、色汚れの生じない、帯電制御性の良好な現像剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0138】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。以下、部は重量部を示す。
(実施例1)
<トナー1の製作>
[チタン含有触媒(a)の合成]
冷却管、攪拌機及び液中バブリング可能な窒素導入管の付いた反応槽中に、チタニウムジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)1617部とイオン交換水126部を入れ、窒素にて液中バブリング下、90℃まで徐々に昇温し、90℃で4時間反応(加水分解)させることで、チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)を得た。
以降の実施例についても同様の合成法にて、それぞれ本発明に用いるチタン含有触媒(a)を得ることができる。
【0139】
[ポリエステル樹脂(P−1)の合成]
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAのEO2モル付加物250部、ビスフェノールAのPO3モル付加物480部、テレフタル酸160部、イソフタル酸80部及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)3部を入れ、230℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が5以下になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸62部を加え、常圧密閉下2時間反応後取り出し、室温まで冷却後、粉砕してポリエステル樹脂(P−1)を得た。
(P−1)はTHF不溶分を20%含有し、その酸価は4、水酸基価は37、Tgは65℃であった。
【0140】
−スチレンブチルアクリレート樹脂(ST−1)合成例−
スチレンモノマー 75部
ブチルアクリレート 15部
ジ−tert−ブチルパーオキサイド 10部
上記各成分を、還流温度まで加温したクメン200部中に4時間かけて滴下した。さらにクメン還流下(140〜160℃)で溶液重合を完了し、クメンを除去した。
このようにして得られた共重合体30部を下記単量体混合物に溶解し、混合溶液とした。
【0141】
スチレンモノマー 38部
ブチルアクリレート 22部
マレイン酸モノブチル 10部
ジビニルベンゼン 0.1部
ベンゾイルパーオキサイド 1部
tert−ブチルパーオキシ−2−エチル−ヘキサノエート 0.7部
上記溶液にポリビニルアルコール部分ケン化物0.1部を溶解した水170部を加え、懸濁分散液とした。水30部を入れ、窒素置換した反応器に上記懸濁分散液を添加し、反応温度90℃で7時間懸濁重合反応させた。反応終了後に濾別、脱水、乾燥し、樹脂組成物ST−1を得た。
ST−1の残スチレンモノマー量は200ppm、THF不溶分は0%であった。
ポリエステル樹脂(P−1) 72部
スチレンブチルアクリレート樹脂(ST−1) 13部
帯電制御剤(S−34、オリエント化学工業社製) 1.5部
NP−055(三井化学製ポリエチレンワックス) 5.5部
カーボンブラック #C−44(三菱化学) 8部
【0142】
上記処方にて材料をへンシェルミキサ[三井三池化工機(株)製FM10B]を用いて予備混合した後、ニ軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し体積平均粒径が9.5μmのトナー母体粒子1を得た。ついで、トナー母体粒子1を100部にコロイダルシリカ[H−2000:クラリアント(株)製]1.0部、を上記ヘンシェルミキサーにて混合して、「トナー1」を得た。
こうして得た「トナー1」を、分子量100万以上における面積比、Mw、残存スチレンモノマー量、MI、含水量、貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)、100℃における揮発分、定着下限温度、ホットオフセット発生温度について評価を行った結果を、表1に記す。
【0143】
(実施例2)
ポリエステル樹脂(P−1) 17部
スチレンブチルアクリレート樹脂(ST−1) 67部
帯電制御剤(S−34、オリエント化学工業社製) 1.5部
NP−055(三井化学製ポリエチレンワックス) 5.5部
カーボンブラック #C−44(三菱化学) 8部
上記処方にて材料をへンシェルミキサ[三井三池化工機(株)製FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し体積平均粒径が9.5μmのトナー母体粒子1を得た。ついで、トナー母体粒子1を100部にコロイダルシリカ[H−2000:クラリアント(株)製]1.0部、を上記ヘンシェルミキサーにて混合して、「トナー2」を得た。こうして得られたトナー2について実施例1と同様
の評価を実施した。その結果を表1に示す。
【0144】
(実施例3)
[ポリエステル樹脂(P−2)の合成]
オートクレーブ中にノボラックA1モル(455g)を入れて反応容器内の空気を窒素
で置換した。次いでチタニウムジヒドロキビストリエタノールアミネートを5部加えて、温度を120℃に保ちつつ、ビスフェノールA−PO PO3モル付加物を(261g)
徐々に圧入し、反応を完結させた。揮発物を除去してノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル(NE1)を得た。
温度計、トルク検知器の付いた攪拌機、冷却器および窒素導入管の付いた反応槽中にビスフェノールA−E02モル付加物(425部)、NE1を75部、アジピン酸376部を入れて、窒素気流下230℃で反応させた。反応物に透明感が出た時点から反応温度を200℃に下げて減圧下でポリエステル化反応を進めた。反応物の粘度が徐々に高くなり、酸価が38mgKOH/gの値を示す時点で反応を停止し、反応物を取り出し急冷し、本発明のポリエステル樹脂(P−2)を得た。ポリエステル樹脂(P−2)はTg59℃、THF不溶分38%、酸価31mgKOH/gだった。
ポリエステル樹脂(P−2) 82部
帯電制御剤(T−95、保土ヶ谷化学工業社製) 3部
WEP−1(日本油脂 エステルワックス) 5部
カーボンブラック #C−44(三菱化学) 10部
上記処方にて材料をへンシェルミキサ[三井三池化工機(株)製FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練温度120℃で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し体積平均粒径が9.5μmのトナー母体粒子1を得た。ついで、トナー母体粒子1を100部にコロイダルシリカ[H−2000:クラリアント(株)製]1.0部、を上記ヘンシェルミキサーにて混合して、「トナー3」を得た。こうして得られたトナー3について実施例1と同様の評価を実施した。その結果を表1に示す。
【0145】
(実施例4)
[ポリエステル樹脂(P−3)の合成]
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ジプロビレングリコール80部、ペンタエリスリトール150部、ビスフェノールAのPO3モル付加物320部、ドデセニルコハク酸210部、アジピン酸120部及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(モノプロパノールアミネート)2部を入れ、230℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸30部を加え、常圧密閉下2時間反応後取り出し、室温まで冷却後、粉砕してポリエステル樹脂(P−3)を得た。(P−3)はTHF不溶分を含有しておらず、その酸価は15、水酸基価は64、Tgは70℃であった。
ポリエステル樹脂(P−3) 77部
スチレンブチルアクリレート樹脂(ST−1)を30℃にて
8時間脱気乾燥した樹脂 5部
帯電制御剤(S−44、オリエント化学工業社製) 3部
WEP−6(日本油脂 エステルワックス) 5部
カーボンブラック #C−44(三菱化学) 10部
上記処方にて材料をへンシェルミキサ[三井三池化工機(株)製FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し体積平均粒径が
7.5μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部にコロイダルシリカ[H−2000:クラリアント(株)製]2.0部、をサンプルミルにて混合して、「トナー4」を得た。こうして得られたトナー4について実施例1と同様の評価を実施した。その結果を表1に示す。
【0146】
(実施例5)
ポリエステル樹脂(P−1) 72部
スチレンブチルアクリレート樹脂(ST−1) 13部
帯電制御剤(E−84、オリエント化学工業社製) 1.5部
NP−055(三井化学製ポリエチレンワックス) 5.5部
カーボンブラック #C−44(三菱化学) 8部
上記処方にて材料をへンシェルミキサ[三井三池化工機(株)製FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し体積平均粒径が9.5μmのトナー母体粒子1を得た。ついで、トナー母体粒子1を100部にコロイダルシリカ[H−2000:クラリアント(株)製]1.0部を上記ヘンシェルミキサーにて混合して、「トナー5」を得た。こうして得られたトナー5について実施例1と同様の評価を実施した。その結果を表1に示す。
【0147】
(比較例1)
[ポリエステル樹脂(C−1)の合成]
重縮合触媒を酢酸チタニルに代える以外は実施例1の(P−1)と同様に反応させた。ポリエステル樹脂(C−1)はTHF不溶分を10%含有し、その酸価は22、水酸基価は64、Tgは63℃であった。
このポリエステル樹脂(C−1)を、実施例1のポリエステル樹脂(P−1)の替わりに用いたこと以外は実施例1と同様とした。こうして得られた比較トナー1について実施例1と同様の評価を実施した。その結果を表1に示す。
【0148】
(実施例6)
[変性ポリエステル樹脂の合成]
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAプロピレンオキシド2モル付加物635部、ビスフェノールAプロピレンオキシド3モル付加物18部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物243部、フェノールノボラック(平均重合度約5)のエチレンオキシド5モル付加物20部、コハク酸340部、イソフタル酸19部、無水トリメリット酸15部及び縮合触媒としてチタニルエトキシトリエタノールアミネート4部を入れ、230℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が5以下になるまで反応させた。次いで無水トリメリット酸65部を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧化で反応させ軟化点が105℃になった時点で、グリセリントリグリシジルエーテル20部を加え、軟化点160℃で取り出し、室温まで冷却後、粉砕して変性ポリエステル樹脂(H−1)を得た。(H−1)の酸価は18、水酸基価は28、Tgは65℃、THF不溶分は45%であった。
このポリエステル樹脂(H−1)を、実施例1のポリエステル樹脂(P−1)の替わりに用いたこと以外は実施例1と同様にしてトナー6を得た。こうして得られたトナー6について実施例1と同様の評価を実施した。その結果を表1に示す。
【0149】
(比較例2)
[比較用変性ポリエステル樹脂の合成]
重縮合触媒をオクタンテトラカルボン酸チタニルに代える以外は実施例6と同様に反応
させて比較用変性ポリエステル樹脂(CH−1)を得た。(CH−1)の酸価は42、水酸基価は37、Tgは71℃、THF不溶分は0%であった。
こうして得たポリエステル樹脂(CH−1)を、実施例6の変性ポリエステル樹脂(H−1)の替わりに用いたこと以外は実施例6と同様にして比較トナー2を得た。
上記実施例1〜6及び比較例1,2の評価結果を以下の表1に示す。
【0150】
【表1】
【0151】
[画像評価方法]
27℃、85%の高湿度環境にて、imagio neo350にて2%画像面積チャートを使用し、1度に2枚出力、その後120秒待ち、動作が完全に停止してから、さらに同様に出力という、低画像面積、低コピー使用のモードにて初期と100000枚出力後、かぶり及び現像剤物性を測定し、以下の基準で評価した。
A:非常に良好。かぶりなし。
B:良好。わずかにかぶり発生。
C:可能。かぶり発生しているが現実的には問題なし。
D:悪い。かぶりひどい。
トナーの残スチレンモノマーの定量はガスクロマトグラフを用いて以下の条件で測定した。
2.55mgのDMFを内部標準とし、100mlのアセトンを加えて内部標準品入り溶媒を作る。次にトナー400mgを上記溶媒で10mlの溶液とする。30分間超音波振とう機にかけたあと、1時間放置する。次に0.5μmのフィルターで濾過する。打ち込み試料量は4μlとする。
ガスクロマトグラフの条件としては以下の通り。
・キャピラリカラム(30m×0.249mm、DBWAX、膜厚0.25μm)
・検出器FID、窒素圧0.45kg/cm2
・インジェクション温度:200℃
・ディテクター温度:200℃
・カラム温度:50℃から5℃/1分の昇温速度で30分間昇温する。
・検量線作成
サンプル溶液と同量のDMF、アセトン溶液にスチレンモノマーを加えた標準サンプルについて同様にガスクロマトグラフ測定しモノマーと内部標準品DMFの重量比/面積比を求める。
【0152】
本発明において、トナー中の100℃における揮発分の定量方法については熱天秤により100℃の間に加熱時の重量減少量として測定する熱重量測定により測定される。具体的には、TGA−7、PE7700(パーキンエルマー社製)を使用し、トナー3〜8mgを精秤し(i)とし、窒素気流下で100℃まで昇温速度20℃/分で加熱後のトナー重量を(ii)とし、その後連続して、100〜150℃まで昇温速度10℃/分で加熱し150℃にて10分間ホールド後の重量を(iii)とした。[(ii)−(iii)]÷(i)×100で算出された値がトナー中の100℃における揮発分(重量%)である。
トナーのMI値(メルトインデックス値)測定はJIS−K7210に準じて、TOYOSEIKI FLOW RATE COUNTER TYPE C-5059D(東洋精機製)を用い、荷重2160g、測
定温度150℃、試料量5gにて測定した。
【0153】
(実施例7)
実施例1で得られたトナー1と、下記キャリア1を用いて本発明に係る現像剤を作製した。
<キャリア1の製作>
下記組成をホモミキサーで10分間分散して、被覆層形成用溶液を調製した。
−被覆層形成用溶液の組成−
アクリル樹脂溶液(固形分濃度:50重量%) 1500重量部
グアナミン溶液(固形分濃度:70重量%) 450重量部
酸性触媒(固形分濃度:40重量%) 9重量部
アルミナ粒子(体積平均粒径:0.35μm、
体積固有抵抗:1.0×1014Ω・cm) 1500重量部
酸化チタン粒子(体積平均粒径:0.015μm、
体積固有抵抗:1.0×106Ω・cm) 500重量部
トルエン 6000重量部
【0154】
次に、芯材として体積平均粒径が35μmの焼成フェライト粉を用い、上記被覆層形成用溶液を芯材表面にスピラコーター(岡田精工社製)によりコーター内温度40℃で塗布し乾燥した。
得られたキャリアを電気炉中にて180℃で1時間放置して焼成した。冷却後、フェライト粉バルクを目開き63μmの篩を用いて解砕して、「キャリア1」を作製した。
得られた「キャリア1」の厚みhは、0.15μm、厚みTは0.2μm、第1粒子(アルミナ)の含有率は48重量%、D1/hは2.3、第2粒子(酸化チタン)含有率は16重量%、D2/hは0.10であった。
次に、上記「トナー1」17重量部と、「キャリア1」93重量部を混合攪拌し、トナー濃度7重量%の現像剤を作製した。
得られた現像剤について、以下のようにして、画像スジ、かぶり、感光体汚れ、画像の精細性、地肌部キャリア付着、耐久性(帯電低下量、抵抗変化量)、及びベタ画像キャリア付着を評価した。その結果を表2に示す。
【0155】
(実施例8)
実施例4で得られたトナー4と実施例7で作製されたキャリア1を用いて、本発明に係る他の現像剤を作製した。こうして得られた現像剤について実施例7と同様の評価を実施した。その結果を表2に示す。
(比較例3)
比較例1で得られた比較トナー1と実施例7で作製されたキャリア1を用いて、本発明に係る他の現像剤を作製した。こうして得られた現像剤について実施例7と同様の評価を実施した。その結果を表2に示す。
(実施例9)
実施例6で得られたトナー6と実施例7で作製されたキャリア1を用いて、本発明に係る他の現像剤を作製した。こうして得られた現像剤について実施例7と同様の評価を実施した。その結果を表2に示す。
(比較例4)
比較例2で得られた比較トナー2と実施例7で作製されたキャリア1を用いて、本発明に係る他の現像剤を作製した。こうして得られた現像剤について実施例7と同様の評価を実施した。その結果を表2に示す。
【0156】
(実施例10)
実施例7において、被覆層の組成を以下のように変更した以外は、実施例7と同様にして、「キャリア2」を作製した。
−被覆層の組成−
アクリル樹脂溶液(固形分濃度50重量%) 640部
グアナミン溶液(固形分濃度70重量%) 200部
酸性触媒(固形分濃度40重量%) 3.6部
シリコン樹脂溶液[固形分20重量%(SR2410:
東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)] 3000部
アミノシラン[固形分100重量%(SH6020:
東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)] 6.8部
アルミナ粒子(体積平均粒径:0.35μm、
体積固有抵抗:1.0×1014Ω・cm) 1500部
酸化チタン粒子(体積平均粒径:0.015μm、
体積固有抵抗:1.0×106Ω・cm) 500部
トルエン 6000部
得られた「キャリア2」の厚みhは0.15μm、厚みTは0.2μm、第1粒子(アルミナ)の含有率は48重量%、D1/hは2.3、第2粒子(酸化チタン)の含有率は16重量%、D2/hは0.10であった。
次に、得られた「キャリア2」を用い、実施例7と同様にして、現像剤を作製し、実施例7と同様にして、画像の精細性、耐久性(帯電低下量、抵抗変化量)、地肌部のキャリア付着及びベタ画像キャリア付着等を評価した。その結果を表2に示す。
【0157】
(実施例11)
実施例10において、第2粒子を酸化亜鉛(体積平均粒径:0.02μm、体積固有抵抗:1.0×107Ω・cm)に変更した以外は、実施例4と同様にして「キャリア3」
を作製した。
得られた「キャリア3」の厚みhは0.15μm、厚みTは0.2μm、第1粒子(アルミナ)の含有率は48重量%、D1/hは2.3、第2粒子(酸化亜鉛)の含有率は16重量%、D2/hは0.13であった。
次に、得られた「キャリア3」を用い、実施例1と同様にして、現像剤を作製し、実施例7と同様にして、画像の精細性、耐久性(帯電低下量、抵抗変化量)、地肌部のキャリア付着及びベタ画像キャリア付着を評価した。その結果を表2に示す。
【0158】
(実施例12)
実施例10において、第2粒子を酸化スズ(体積平均粒径:0.02μm、体積固有抵抗:1.0×105Ω・cm)に変更した以外は、実施例10と同様にして「キャリア4
」を作製した。
得られた「キャリア4」の、厚みhは0.15μm、厚みTは0.2μm、第1粒子(アルミナ)の含有率は48重量%、D1/hは2.3、第2粒子(酸化スズ)の含有率は16重量%、D2/hは0.13であった。
次に、得られた「キャリア4」を用い、実施例7と同様にして、現像剤を作製し、実施例7と同様にして、画像の精細性、耐久性(帯電低下量、抵抗変化量)、地肌部のキャリア付着、及びベタ画像キャリア付着を評価した。その結果を表2に示す。
【0159】
(実施例13)
実施例10において、第2粒子(酸化チタン)の含有率を54重量%(処方;3000重量部)に変更した以外は、実施例10と同様にして「キャリア5」を作製した。
得られた「キャリア5」の厚みhは0.15μm、厚みTは0.18μm、第1粒子(アルミナ)含有率は27重量%、D1/hは2.3、D2/hは0.10であった。
次に、得られた「キャリア5」を用い、実施例7と同様にして、現像剤を作製し、実施例7と同様にして、画像の精細性、耐久性(帯電低下量、抵抗変化量)、地肌部のキャリア付着、及びベタ画像キャリア付着を評価した。その結果を表2に示す。
(実施例14)
実施例10において、第1粒子(アルミナ)の含有率を86重量%(処方;10000重量部)に変更した以外は、実施例10と同様にして「キャリア6」を作製した。
得られた「キャリア6」の厚みhは0.15μm、厚みTは0.23μm、D1/hは2.3、第2粒子(酸化チタン)の含有率は4.3重量%、D2/hは0.10であった。
次に、得られた「キャリア6」を用い、実施例7と同様にして、現像剤を作製し、実施例7と同様にして、画像の精細性、耐久性(帯電低下量、抵抗変化量)、地肌部のキャリア付着、及びベタ画像キャリア付着を評価した。その結果を表2に示す。
【0160】
(実施例15)
実施例10において、被覆層厚が2倍になるようにコーティング量を変更した以外は、実施例10と同様にして「キャリア7」を作製した。
得られた「キャリア7」の厚みhは0.15μm、Tは0.4μm、第1粒子(アルミナ)含有率は48重量%、D1/hは2.3、第2粒子(酸化チタン)の含有率は16重量%、D2/hは0.10であった。
次に、得られた「キャリア7」を用い、実施例7と同様にして現像剤を作製し、実施例7と同様にして、画像の精細性、耐久性(帯電低下量、抵抗変化量)、地肌部のキャリア付着、及びベタ画像キャリア付着を評価した。その結果を表2に示す。
【0161】
(実施例16)
実施例10おいて、被覆層厚が0.5倍になるようにコーティング量を変更した以外は、実施例10と同様にして「キャリア8」を作製した。
得られた「キャリア8」の厚みhは0.15μm、厚みTは0.10μm、第1粒子(アルミナ)含有率は48重量%、D1/hは2.3、第2粒子(酸化チタン)の含有率は16重量%、D2/hは0.10であった。
次に、得られた「キャリア8」を用い、実施例7と同様にして現像剤を作製し、実施例7と同様にして、画像の精細性、耐久性(帯電低下量、抵抗変化量)、地肌部のキャリア付着、及びベタ画像キャリア付着を評価した。その結果を表2示す。
(実施例17)
実施例10おいて、被覆層厚が15倍になるようにコーティング量を変更した以外は、実施例10同様にして「キャリア9」を作製した。
得られた「キャリア9」の厚みhは0.15μm、厚みTは3.0μm、第1粒子(アルミナ)含有率は48重量%、D1/hは2.3、第2粒子(酸化チタン)の含有率は1
6重量%、D2/hは0.10であった。
次に、得られた「キャリア9」を用い、実施例7と同様にして現像剤を作製し、実施例7と同様にして、画像の精細性、耐久性(帯電低下量、抵抗変化量)、地肌部のキャリア付着、及びベタ画像キャリア付着を評価した。その結果を表2示す。
【0162】
(実施例18)
実施例7において、第1粒子をアルミナ粒子(体積平均粒径:0.35μm、体積固有抵抗:1×1011Ω・cm)に変更した以外は、実施例7と同様にして「キャリア10」を作製した。
得られた「キャリア10」の厚みhは0.15μm、厚みTは0.2μm、第1粒子(アルミナ)の含有率は48重量%、D1/hは2.3、第2粒子(酸化スズ)の含有率は16重量%、D2/hは0.1であった。
次に、得られた「キャリア10」を用い、実施例7と同様にして現像剤を作製し、実施例7と同様にして、画像の精細性、耐久性(帯電低下量、抵抗変化量)、地肌部のキャリア付着、及びベタ画像キャリア付着を評価した。その結果を表2示す。
【0163】
(実施例19)
実施例7において、第1粒子をシリカ粒子(体積平均粒径:0.35μm、体積固有抵抗:1×1014Ω・cm)に変更した以外は、実施例7と同様にして「キャリア11」を作成した。
得られた「キャリア11」の、厚みhは0.15μm、厚みTは0.2μm、第1粒子(アルミナ)の含有率は48重量%、D1/hは2.3、第2粒子(酸化スズ)の含有率は16重量%、D2/hは0.1であった。
次に、得られた「キャリア11」を用い、実施例7と同様にして現像剤を作製し、実施例7と同様にして、画像の精細性、耐久性(帯電低下量、抵抗変化量)、地肌部のキャリア付着、及びベタ画像キャリア付着を評価した。その結果を表2示す。
(実施例20)
実施例7において、第2粒子を酸化亜鉛(体積平均粒径:0.02μm、体積固有抵抗:1.0×107Ω・cm)に変更した以外は、実施例7と同様にして、「キャリア12
」を作製した。
得られた「キャリア12」の、厚みhは0.15μm、厚みTは0.2μm、第1粒子(アルミナ)の含有率は48重量%、D1/hは2.3、第2粒子(酸化亜鉛)の含有率は16重量%、D2/hは0.13であった。
次に、得られた「キャリア12」を用い、実施例7と同様にして現像剤を作製し、実施例7と同様にして、画像の精細性、耐久性(帯電低下量、抵抗変化量)、地肌部のキャリア付着、及びベタ画像キャリア付着を評価した。その結果を表2示す。
【0164】
(実施例21)
実施例10おいて、第2粒子(酸化チタン)の含有率を74重量%(処方;3000重量部)に変更した以外は、実施例10と同様にして「キャリア13」を作製した。
得られた「キャリア13」の、厚みhは0.15μm、厚みTは0.18μm、第1粒子(アルミナ)含有率は27重量%、D1/hは2.3、D2/hは0.10であった。
次に、得られた「キャリア13」を用い、実施例7と同様にして、現像剤を作製し、実施例7と同様にして、画像の精細性、耐久性(帯電低下量、抵抗変化量)、地肌部のキャリア付着、及びベタ画像キャリア付着を評価した。その結果を表2に示す。
【0165】
(実施例22)
実施例10において、第1粒子(アルミナ)の含有率を90重量%(処方;10000重量部)に変更した以外は、実施例10と同様にして「キャリア14」を作製した。
得られた「キャリア14」の、厚みhは0.15μm、厚みTは0.23μm、D1/
hは2.3、第2粒子(酸化チタン)の含有率は4.3重量%、D2/hは0.10であった。
次に、得られた「キャリア14」を用い、実施例7と同様にして、現像剤を作製し、実施例7と同様にして、画像の精細性、耐久性(帯電低下量、抵抗変化量)、地肌部のキャリア付着、及びベタ画像キャリア付着を評価した。その結果を表2に示す。
【0166】
(比較例5)
実施例10において、第1粒子の体積平均粒子径を0.1μmに変更した以外は、実施例10と同様にして「キャリア15」を作製した。
得られた「キャリア15」の厚みhは0.15μm、厚みTは0.22μm、第1粒子(アルミナ)の含有率は48.0重量%、D1/hは0.7、第2粒子(酸化チタン)の含有率は16重量%、D2/hは0.10であった。
次に、得られた「キャリア15」を用い、実施例7と同様にして、現像剤を作製し、実施例7と同様にして、画像の精細性、耐久性(帯電低下量、抵抗変化量)、地肌部のキャリア付着、及びベタ画像キャリア付着を評価した。その結果を表2に示す。
【0167】
【表2】
【0168】
本発明の静電潜像現像用現像剤は、高温高湿度下でのトナーの耐ブロッキング性と低温定着性とが共に優れ、かつ感光体へのトナースペントは発生し難いため、安定して良好な画像が得られる。更に、キャリア表面へのトナースペントが発生し難いため、安定した帯電量を長期にわたり得られるとともに、結着樹脂膜の削れが発生し難いため、安定した電
気抵抗が長期にわたり得られる。更に、ランニング経時でのベタ画像上のキャリア付着も発生が非常に少ないので、キャリア付着による画像悪化が無く、現像剤量減少による画像悪化及び耐久性悪化が発生しない。更に、高精細な画像を得ることができる。更に、地肌部のキャリア付着が良好である。また、色汚れの原因となるカーボンブラックを含有しないため、色汚れの影響が出るカラー用のキャリアとして非常に良好な性質を有する。従って、コピー枚数が増加するにつれ発生する複写画像の画質劣化が大幅に改善され、長期にわたり良好な画像を維持することができるという優れた効果を奏するものである。
本発明の現像剤は、二成分現像方法等の公知の各種電子写真法による画像形成に好適に用いることができ、以下の本発明のカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に特に好適に用いることができる。
【0169】
[画像スジ、かぶり、感光体汚れ評価方法]
市販のデジタルフルカラープリンター(株式会社リコー製、IPSiO CX8200)改造機に現像剤をセットし、2%画像面積チャートを使用し、1度に2枚出力、その後120秒待ち、動作が完全に停止してから、さらに同様に出力という、低画像面積、低コピー使用のモードにて初期と100,000枚出力後、画像スジ、かぶり、感光体汚れを評価した。
画像スジは目視にて発生本数を数え評価値とし、3本以下は合格、4本以上は不合格とした。かぶりについても目視にて評価を行い、以下ランク付けを総合的に判断し、A、B、Cを合格とし、Dは不合格とした。
A:非常に良好。かぶりなし。
B:良好。わずかにかぶり発生。
C:可能。かぶり発生しているが現実的には問題なし。
D:悪い。かぶりひどい。
【0170】
更に、感光体汚れについても、目視にて評価を行い、以下ランク付けを総合的に判断し、◎、○を合格とし、△、×を不合格とした。
◎:感光体のトナー汚れはなく、画質も良好。
○:感光体に微量のトナーの付着があるものの、画質低下(白地汚れ)はほとんど無し。
△:感光体に微量のトナーの付着があり、画質低下(白地汚れ)も観察された。
×:感光体へのトナーの付着が多く、白地汚れに加え、画像に白スジが入るなど画質低下が顕著。
【0171】
[帯電量]
帯電量は、キャリア93重量%に対しトナー7重量%の割合で混合し摩擦帯電させたサンプルを、一般的なブローオフ法[東芝ケミカル(株)製、TB−200]にて測定した値をいう。
[体積固有抵抗]
体積固有抵抗は、キャリアを抵抗計測平行電極の電極間(ギャップ2mm)に投入し、DC1000Vを印加し、30sec後の抵抗値をハイレジスト計で計測した値を体積抵抗率に変換した値を求めた。
【0172】
[画像の精細性]
画像の精細性については、文字画像部の再現性によって評価した。評価方法は、市販のデジタルフルカラープリンター(株式会社リコー製、IPSiO CX8200)改造機に現像剤をセットし、画像面積5%の文字チャート(1文字の大きさが2mm×2mm程度)を出力し、その文字再現性を画像により評価し、次のようにランク分けした。
◎:非常に良好。
○:良好。
△:許容。
×:実用上使用できないレベル。
なお、◎○△を合格とし、×を不合格とした。
【0173】
[地肌部キャリア付着]
地肌部キャリア付着については、市販のデジタルフルカラープリンター(株式会社リコー製、IPSiO CX8200)改造機に現像剤をセットし、地肌ポテンシャルを150Vに固定し、画像面積1%のA3文字チャート(1文字の大きさが2mm×2mm程度)を出力し、その地肌部のキャリア付着発生個数により評価し、次のようにランク分けした。
◎:0個。
○:2個以上5個以下。
△:6個以上10個以下。
×:11個以上とした。
なお、◎○△を合格とし、×を不合格とした。
【0174】
[耐久性]
市販のデジタルフルカラープリンター(株式会社リコー製、IPSiO CX8200)改造機に現像剤をセットし、単色による100,000枚のランニング評価を行った。そして、このランニングを終えたキャリアの帯電低下量、及び抵抗低下量をもって耐久性を判断した。
ここで、前記帯電量低下量とは、初期のキャリア95重量%に対しトナー5重量%の割合で混合し摩擦帯電させたサンプルを、一般的なブローオフ法(東芝ケミカル株式会社製、TB−200)にて測定した帯電量(Q1)から、ランニング後の現像剤中のトナーを前記ブローオフ装置にて除去し得たキャリアを、前記方法と同様の方法で測定した帯電量(Q2)を差し引いた量を意味する。目標値は10.0μc/g以内である。また、帯電量の低下の原因はキャリア表面へのトナースペントであるため、このトナースペントを減らすことで、帯電量低下を抑えることができる。
ここで、前記抵抗変化量とは、初期のキャリアを抵抗計測平行電極の電極間(ギャップ2mm)に投入し、DC1000Vを印加して30sec後の抵抗値をハイレジスト計で計測した。得られた値を体積抵抗率に変換した値(R1)から、ランニング後の現像剤中のトナーを前記ブローオフ装置にて除去し得たキャリアを、前記抵抗測定方法と同様の方法で測定した値(R2)を差し引いた量のことを意味する。目標値は絶対値で3.0[Log(Ω・cm)]以内である。また、抵抗変化の原因は、キャリアの被覆層の削れ、トナー成分のスペント、キャリア被覆層中の大粒子脱離などであるため、これらを減らすことで、抵抗変化量を抑えることができる。
【0175】
[ベタ画像キャリア付着]
上記耐久性評価の後、同デジタルフルカラープリンターを用いて地肌ポテンシャルを150Vに固定し、A3サイズ用紙に前面ベタ画像を現像し得た画像上の白抜け個所や実際に付着しているキャリア個数をルーペ観察によりカウントし、そのトータル個数をもってベタ画像キャリア付着量とした。評価は、◎:0個、○:2個以上5個以下、△:6個以上10個以下、×:11個以上とした。なお、◎○△を合格とし、×を不合格とした。
【0176】
(実施例23)
実施例1のトナー1と下記の被覆層を有するキャリア16により現像剤を作製した。
−被覆層形成用溶液の組成−
シリコン樹脂(SR−2411:東レ・ダウコーニング
・シリコーン社製) 900部
トルエン 450部
カーボンブラック(BP−2000:キャボット社製) 18部
シランカップリング剤[3−(2−アミノエチル)
アミノプロピルトリメトキシシラン] 20部
有機スズ化合物(ジブチルスズジアセテート) 25部
上記の被覆層形成液調製用混合物をTKホモミクサーMARK2.5型(特殊機化工工業社製)で撹拌・混合して、被覆層形成用溶液を得た。
【0177】
別途、平均粒径50μm(F−300:パウダーテック社製 磁化65Am2/kg)
のフェライト核粒子7,500gを用意し、流動床型被覆層形成装置(SP−40:岡田精工社製)を使って被覆キャリアを作成した。すなわち、被覆層形成用溶液を撹拌しながら28g/分のスピードで前記のフェライト核粒子に供給し、フェライト核粒子の被覆を開始した。所要時間50分で被覆層形成を終了した。被覆層の形成終了後、被覆層が形成されているフェライト核粒子を乾燥して、膜厚0.8μmの被覆層を持つ被覆キャリアを得た。なお、希釈溶媒を除去するために、電気炉を用い300℃にて1時間乾燥させた。このときに被覆キャリアに十分熱が伝わるよう、厚さを3cm未満となるようにステンレスバットに敷き詰めた。乾燥後に被覆キャリアを解砕し、目開き90μのメッシュを通して粗大粉を取り除き「キャリア16」を得た。
実施例1で得られた「トナー1」5重量部と「キャリア16」95重量部をターブラー・シェーカー・ミキサー T2F型にて96min-1の回転数で1分間混合し、現像剤を得た。
【0178】
(実施例24)
実施例4で得られた「トナー4」5重量部と実施例23で得られた「キャリア16」95重量部をターブラー・シェーカー・ミキサー T2F型にて96min-1の回転数で1分間混合し現像剤を得た。こうして得られた現像剤について実施例23と同様の評価を実施した。その結果を表3に示す。
(比較例6)
比較例1で得られた「比較トナー1」5重量部と実施例23で得られた「キャリア16」95重量部をターブラー・シェーカー・ミキサー T2F型にて96min-1の回転数で1分間混合し現像剤を得た。こうして得られた現像剤について実施例23と同様の評価を実施した。その結果を表3に示す。
(実施例25)
実施例6で得られた「トナー6」5重量部と実施例23で得られた「キャリア16」95重量部をターブラー・シェーカー・ミキサー T2F型にて96min-1の回転数で1分間混合し、現像剤を得た。こうして得られた現像剤について実施例23と同様の評価を実施した。その結果を表3に示す。
【0179】
(比較例7)
比較例2で得られた「比較トナー2」5重量部と実施例23で得られた「キャリア16」95重量部をターブラー・シェーカー・ミキサー T2F型にて96min-1の回転数で1分間混合し現像剤を得た。こうして得られた現像剤について実施例23と同様の評価を実施した。その結果を表3に示す。
(比較例8)
実施例23において、被覆層の組成を以下のように変更した以外は、実施例23と同様にして「キャリア17」を作製した。
−被覆層形成用溶液の組成−
アクリル樹脂(BR−83:三菱レーヨン社製) 100部
トルエン 600部
カーボンブラック(BP−2000:キャボット社製) 18部
シランカップリング剤[3−(2−アミノエチル)
アミノプロピルトリメトキシシラン] 20部
上記の被覆層形成液調製用混合物をTKホモミクサーMARK2.5型(特殊機化工工業社製)で撹拌・混合して、被覆層形成用溶液を得た。その後の処理は実施例23のキャリア16と同様に処理を行い「キャリア17」を得た。
実施例1で得られた「トナー1」5重量部と「キャリア17」95重量部をターブラー・シェーカー・ミキサー T2F型にて96min-1の回転数で1分間混合し現像剤を得た。こうして得られた現像剤について実施例23と同様の評価を実施した。その結果を表3に示す。
【0180】
(実施例26)
実施例23において、被覆層の組成を以下のように変更した以外は、実施例23と同様にして「キャリア18」を作製した。
−被覆層形成用溶液の組成−
シリコン樹脂(SR−2411:東レ・ダウコーニング
・シリコーン社製) 100部
トルエン 450部
酸化チタン(ECT−52:チタン工業社製) 15部
シランカップリング剤[r−(2−アミノエチル)
アミノプロピルメチルトリメトキシシラン] 10部
有機スズ化合物(ジブチルスズジアセテート) 2部
上記の被覆層形成液調製用混合物をTKホモミクサーMARK2.5型(特殊機化工工業社製)で撹拌・混合して、被覆層形成用溶液を得た。その後の処理は実施例23のキャリア16と同様に処理を行い「キャリア18」を得た。
実施例1で得られた「トナー1」5重量部と「キャリア18」95重量部をターブラー・シェーカー・ミキサー T2F型にて96min-1の回転数で1分間混合し、現像剤7を得た。こうして得られた現像剤について実施例23と同様の評価を実施した。その結果を表3に示す。
【0181】
(実施例27)
実施例23において、被覆層の組成を以下のように変更した以外は、実施例23と同様にして「キャリア19」を作製した。
−被覆層形成用溶液の組成−
シリコン樹脂(SR−2411:東レ・ダウコーニング
・シリコーン社製) 100部
トルエン 450部
シランカップリング剤[r−(2−アミノエチル)
アミノプロピルメチルトリメトキシシラン] 5部
有機スズ化合物(ジブチルスズジアセテート) 2部
上記の被覆層形成液調製用混合物をTKホモミクサーMARK2.5型(特殊機化工工業社製)で撹拌・混合して被覆層形成用溶液を得た。その後の処理は実施例23のキャリア16と同様に処理を行い「キャリア19」を得た。
実施例1で得られた「トナー1」5重量部と「キャリア19」95重量部をターブラー・シェーカー・ミキサー T2F型にて96min-1の回転数で1分間混合し現像剤を得た。こうして得られた現像剤について実施例23と同様の評価を実施した。その結果を表3に示す。
【0182】
(実施例28)
実施例23において、被覆層の組成を以下のように変更した以外は、実施例23と同様にして「キャリア20」を作製した。
−被覆層形成用溶液の組成−
シリコン樹脂(SR−2411:東レ・ダウコーニング
・シリコーン社製) 900部
トルエン 450部
カーボンブラック(BP−2000:キャボット社製) 18部
有機スズ化合物(ジブチルスズジアセテート) 25部
上記の被覆層形成液調製用混合物をTKホモミクサーMARK2.5型(特殊機化工工業社製)で撹拌・混合して、被覆層形成用溶液を得た。その後の処理は実施例23のキャリア16と同様に処理を行い「キャリア20」を得た。
実施例1で得られた「トナー1」5重量部と「キャリア20」95重量部をターブラー・シェーカー・ミキサー T2F型にて96min-1の回転数で1分間混合し、現像剤9を得た。こうして得られた現像剤について実施例23と同様の評価を実施した。その結果を表3に示す。
【0183】
(実施例29)
実施例23において、被覆層の組成を以下のように変更した以外は、実施例23と同様にして「キャリア21」を作製した。
−被覆層形成用溶液の組成−
シリコン樹脂(SR−2411:東レ・ダウコーニング
・シリコーン社製) 900部
トルエン 450部
カーボンブラック(BP−2000:キャボット社製) 18部
シランカップリング剤[3-(2-アミノエチル)
アミノプロピルトリメトキシシラン] 20部
アルミニウムトリプロポキシド 25部
上記の被覆層形成液調製用混合物をTKホモミクサーMARK2.5型(特殊機化工工業社製)で撹拌・混合して、被覆層形成用溶液を得た。その後の処理は実施例23のキャリア16と同様に処理を行い「キャリア21」を得た。
実施例1で得られた「トナー1」5重量部と「キャリア21」95重量部をターブラー・シェーカー・ミキサー T2F型にて96min-1の回転数で1分間混合し現像剤を得た。こうして得られた現像剤について実施例23と同様の評価を実施した。その結果を表3に示す。
【0184】
(実施例30)
実施例23において、被覆層の組成を以下のように変更した以外は、実施例23と同様にして「キャリア22」を作製した。
−被覆層形成用溶液の組成−
シリコン樹脂(SR−2411:東レ・ダウコーニング
・シリコーン社製) 900部
トルエン 800部
カーボンブラック(BP−2000:キャボット社製) 36部
シランカップリング剤[3-(2-アミノエチル)
アミノプロピルトリメトキシシラン] 20部
有機スズ化合物(ジブチルスズジアセテート) 25部
上記の被覆層形成液調製用混合物をTKホモミクサーMARK2.5型(特殊機化工工業社製)で撹拌・混合して、被覆層形成用溶液を得た。その後の処理は実施例23のキャリア16と同様に処理を行い「キャリア22」を得た。
実施例1で得られた「トナー1」5重量部と「キャリア22」95重量部をターブラー・シェーカー・ミキサー T2F型にて96min-1の回転数で1分間混合し現像剤を得た。こうして得られた現像剤について実施例23と同様の評価を実施した。その結果を表3に示す。
【0185】
(実施例31)
平均粒径50μm(F−300:パウダーテック社製)のフェライト核粒子を篩い分け処理し、体積平均粒径18μmとした。
実施例23において、被覆層の組成を以下のように変更した以外は、実施例23と同様にして「キャリア23」を作製した。
−被覆層形成用溶液の組成−
シリコン樹脂(SR−2411:東レ・ダウコーニング
・シリコーン社製) 2250部
トルエン 1125部
カーボンブラック(BP−2000:キャボット社製) 45部
シランカップリング剤[3-(2-アミノエチル)
アミノプロピルトリメトキシシラン] 50部
有機スズ化合物(ジブチルスズジアセテート) 63部
上記の被覆層形成液調製用混合物をTKホモミクサーMARK2.5型(特殊機化工工業社製)で撹拌・混合して、被覆層形成用溶液を得た。その後の処理は上記の体積平均粒径18μmの芯材を用いて、実施例23のキャリア16と同様に処理を行い「キャリア23」を得た。
実施例1で得られた「トナー1」5重量部と「キャリア23」95重量部をターブラー・シェーカー・ミキサー T2F型にて96min-1の回転数で1分間混合し現像剤を得た。こうして得られた現像剤について実施例23と同様の評価を実施した。その結果を表3に示す。
【0186】
(実施例32)
平均粒径50μm(F−300:パウダーテック社製)のフェライト核粒子を篩い分け処理し、体積平均粒径88μmとした。
実施例23において、被覆層の組成を以下のように変更した以外は、実施例23と同様にして「キャリア24」を作製した。
−被覆層形成用溶液の組成−
シリコン樹脂(SR−2411:東レ・ダウコーニング
・シリコーン社製) 500部
トルエン 250部
カーボンブラック(BP−2000:キャボット社製) 10部
シランカップリング剤[3-(2-アミノエチル)
アミノプロピルトリメトキシシラン] 11部
有機スズ化合物(ジブチルスズジアセテート) 14部
上記の被覆層形成液調製用混合物をTKホモミクサーMARK2.5型(特殊機化工工業社製)で撹拌・混合して、被覆層形成用溶液を得た。その後の処理は上記の体積平均粒径88μmの芯材を用いて、実施例23のキャリア16と同様に処理を行い「キャリア24」を得た。
実施例1で得られた「トナー1」5重量部と「キャリア24」95重量部をターブラー・シェーカー・ミキサー T2F型にて96min-1の回転数で1分間混合し現像剤を得た。こうして得られた現像剤について実施例23と同様の評価を実施した。その結果を表3に示す。
【0187】
(実施例33)
平均粒径75μm(FSL−100:パウダーテック社製):磁化38のフェライト核粒子を用いた下記被覆層形成用溶液を用いて実施例23と同様に処理を行い「キャリア25」を得た。
−被覆層形成用溶液の組成−
シリコン樹脂(SR−2411:東レ・ダウコーニング
・シリコーン社製) 1350部
トルエン 675部
カーボンブラック(BP−2000:キャボット社製) 27部
シランカップリング剤[3-(2-アミノエチル)
アミノプロピルトリメトキシシラン] 30部
有機スズ化合物(ジブチルスズジアセテート) 38部
実施例1で得られた「トナー1」5重量部と「キャリア25」95重量部をターブラー・シェーカー・ミキサー T2F型にて96min-1の回転数で1分間混合し現像剤を得た。こうして得られた現像剤について実施例23と同様の評価を実施した。その結果を表3に示す。
【0188】
(実施例34)
平均粒径50μm(MF−50:パウダーテック社製):磁化100のフェライト核粒子を用いた以外は実施例23と同様に処理を行い「キャリア26」を得た。
実施例1で得られた「トナー1」5重量部と「キャリア26」95重量部をターブラー・シェーカー・ミキサー T2F型にて96min-1の回転数で1分間混合し現像剤を得た。こうして得られた現像剤について実施例23と同様の評価を実施した。その結果を表3に示す。
【0189】
【表3】
【0190】
[定着性の評価方法]
図10に示される構成の定着器(面圧:0.7×105Pa.S)をimagio M
F6550[(株)リコー製]に装着し、ヒーター温度を振ってコピーを行い定着画像を得る。定着後の画像にメンデイングテープ(3M社製)を貼り、一定の圧力を掛けた後、
ゆっくり引き剥がす。その前後の画像濃度をマクベス濃度計により測定し、次式にて定着率を算出する。定着ローラの温度を段階的に下げて、下記式で示す定着率が80%以下となるときの温度を定着温度とする。
定着率(%)=テープ付着画像濃度/画像濃度×100
【0191】
[ホットオフセット発生温度の評価方法]
上記定着性の評価方法同様の定着機を使用し黒べた2cm×2cmの画像原稿としヒーター温度を振ってコピーを行い定着画像を得たときに、ホットオフセットが発生したときの温度とする。
【0192】
[画像評価方法]
imagio neo350にて2%画像面積チャートを使用し、1度に2枚出力、その後120秒待ち、動作が完全に停止してから、さらに同様に出力という、低画像面積、低コピー使用のモードにて初期と100000枚出力後、画像スジ、かぶり及び現像剤物性を測定した。画像すじは目視には発生本数を数えた。かぶりは以下のランクにて目視にて総合的に判断した。
A:非常に良好。かぶりなし。
B:良好。わずかにかぶり発生。
C:可能。かぶり発生しているが現実的には問題なし。
D:悪い。かぶりひどい。
[感光体汚れ判定基準]
◎:感光体のトナー汚れはなく、画質も良好。
○:感光体に微量のトナーの付着があるものの、画質低下(白地汚れ)はほとんど無し。
△:感光体に微量のトナーの付着があり、画質低下(白地汚れ)も観察された。
×:感光体へのトナーの付着が多く、白地汚れに加え、画像に白スジが入るなど画質低下が顕著。
【0193】
[現像剤帯電量の測定方法]
東芝ケミカル(株)製のブローオフ粉体帯電量測定装置TB−200にて帯電量を測定した。
[キャリア抵抗]
図12に示すように、電極間距離2mm、表面積2×4cmの電極152a、電極152bを収容したフッ素樹脂製容器からなるセル151にキャリア153を充填し、三協パイオテク社製:タッピングマシンPTM−1型を用いて、タッピングスピード30回/minにて1分間タッピング操作を行う。両極間に1000Vの直流電圧を印加し、ハイレジスタンスメーター4329A(4329A+LJK5HVLVWDQFH 0HWHU
;横川ヒューレットパッカード株式会社製)により直流抵抗を測定して電気抵抗率Rル・cmを求め、LogRを算出する。
【0194】
[キャリアおよび芯材 体積平均粒径]
キャリアの体積平均粒子径は、マイクロトラック粒度分析計(日機装社製)のSRAタイプを用いて測定することができる。0.7μm以上、125μm以下のレンジ設定で行ったものを用いた。また、分散液にはメタノールを使用し屈折率1.33、キャリアおよび芯材の屈折率は2.42に設定する。
[磁化]
前記は磁気モーメントは、以下のようにして測定することができる。B−Hトレーサー(BHU−60/理研電子(株)製)を使用し、円筒セル(内径7mm、高さ10mm)にキャリア芯材粒子1.0gを詰めて装置にセットする。磁場を徐々に大きくし3000エルステッドまで変化させ、次に徐々に小さくして零にした後、反対向きの磁場を徐々に
大きくし3000エルステッドとする。更に徐々に磁場を小さくして零にした後、最初と同じ方向に磁場をかける。このようにして、B−Hカーブを図示し、その図より1000エルステッドの磁気モーメントを算出する。
【0195】
[キャリア付着]
(非画像部キャリア付着)
市販のデジタルフルカラープリンター(リコー社製imagio MF6550)に現像剤をセットし、帯電電位DC740V、現像バイアス600Vに設定(地肌ポテンシャルを140Vに固定)し、ドット形成ハーフトーンを現像した感光体表面に付着しているキャリア個数をルーペ観察により5視野カウントし、その平均の100cm2当たりのキ
ャリア付着個数をもってエッジキャリア付着量とした。
評価は、◎:20個以下、○:21個以上60個以下、△:61個以上80個以下、×:81個以上とし、◎○△を合格とし、×を不合格とした。
(画像部キャリア付着)
白抜け(画像部にキャリア付着すると画像が抜け、白抜けとなる)は帯電電位DC740V、現像バイアス600Vに設定(地肌ポテンシャルを140Vに固定)し、全面ベタ画像(A3サイズ)を出力し、画像上の白抜けした個数をカウントした。
評価は、◎:5個以下、○:6個以上10個以下、△:11個以上20個以下、×:21個以上とし、◎○△を合格とし、×を不合格とした。
【図面の簡単な説明】
【0196】
【図1】本発明に係る定性分析(ピークサーチ)を示す解析図である。
【図2】本発明の現像剤用キャリアの被覆層を示す説明図である。
【図3】本発明のトナー又は現像剤入り容器を搭載した画像形成装置の一例を示す概略説明図である。
【図4】本発明のプロセスカートリッジの一例を示す概略説明図である。
【図5】本発明の画像形成装置及び当該装置を用いる画像形成方法の一例を示す概略説明図である。
【図6】本発明の画像形成装置及び当該装置を用いる画像形成方法の他の例を示す概略説明図である。
【図7】本発明の画像形成装置(タンデム型カラー画像形成装置)及び当該装置を用いる画像形成方法の一例を示す概略説明図である。
【図8】図7に示す画像形成装置における部分拡大図である。
【図9】本発明のリサイクルシステムを有する画像形成装置及び当該装置を用いる画像形成方法の一例を示す概略説明図である。
【図10】本発明に用いられる定着装置の一例を示す図である。
【図11】ガラス転移点(TG)測定方法を説明するためのグラフである。
【図12】本発明の画像定着装置を説明するための概略説明図である。
【符号の説明】
【0197】
1 現像部
2 カートリッジ
3 現像剤送流手段
4 現像ハウジング
5,6 攪拌スクリュー
7 現像ローラ
8 感光体
9 ドクターブレード
10 感光体
11 接続部材
12 帯電手段12
13 露光手段
14 現像手段
17 クリーニング手段
20,40 画像形成装置
23 現像装置
24 中間転写体
29 転写紙
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真法、静電記録法や静電印刷法等において、静電荷像または磁気潜像の現像に用いられる乾式トナー用として有用なポリエステル樹脂をバインダーとして用いたトナー、現像剤、カートリッジ(現像剤入り容器)、プロセスカートリッジ及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱ローラ定着方式はトナー像と加熱ローラが直接接触するため、極めて熱効率の良い定着方式であり、装置も小型化できるため、広く一般に用いられている。
しかしながら、近年の省エネルギー化により、定着時に使用できる熱エネルギーは非常に少なくなってきている。このため、このような定着装置に用いられるトナーはさらに低温定着化が求められている。この問題を解決する技術として、従来よりいくつかの提案がなされている。
特許文献1には、ポリオール成分とポリカルボン酸成分の重縮合触媒がジオールのチタン酸エステルからなる新規なポリエステル樹脂が、特許文献2には高軟化点と低軟化点のポリエステル樹脂を含有するトナーが考案されている。これらにより低温定着性は改善されているものの、一方でトナー低分子量化やワックスを含有することによるトナー流動性低下、転写性の悪化、また、現像剤や感光体へのスペントは充分に改善されず、現像剤耐久性については検討されていない。
特許文献3には無機スズを触媒として用いたトナーにより帯電性能が向上されているが、経時の帯電安定性については検討されていない。
【0003】
更に、電子写真方式による画像形成は、光導電性物質等の像担持体上に静電荷による潜像を形成し、この静電潜像に対して、帯電したトナーを付着させて可視像(トナー画像)を形成した後、該可視像を紙等の記録媒体に転写し、定着し、画像が出力される。
近年、電子写真方式を用いたコピーやプリンターの技術は、モノクロからフルカラーへの展開が急速になりつつあり、フルカラーの市場は拡大する傾向にある。フルカラー電子写真法によるカラー画像形成は一般に3原色であるイエロー、マゼンタ、及びシアンの3色のカラートナー、又はこれらに黒色を加えた4色のカラートナーを積層させて全ての色を再現するものである。従って、色再現性に優れ、鮮明なフルカラー画像を得るためには、定着されたトナー画像の表面をある程度平滑にして光散乱を減少させる必要がある。このため、従来のフルカラー複写機等の画像光沢は10〜50%の中光沢乃至高光沢のものが多かった。
【0004】
一般に、乾式のトナー像を記録媒体に定着する方法としては、平滑な表面を持ったローラやベルトを加熱してトナーと圧着する接触加熱定着方法が多用されている。この方法は熱効率が高く高速定着が可能であり、カラートナーに光沢や透明性を与えることが可能であるという利点がある反面、加熱定着部材表面と溶融状態のトナーとを加圧下で接触させた後剥離するために、トナー像の一部が定着ローラ表面に付着して別の画像上に転移する、いわゆるオフセット現象が生じるという問題がある。
このオフセット現象を防止することを目的として、離型性に優れたシリコーンゴムやフッ素樹脂で定着ローラ表面を形成し、更にその定着ローラ表面にシリコーンオイル等の離型オイルを塗布する方法が一般に採用されている。この方法によれば、トナーのオフセットを防止する点では極めて有効である。しかし、前記方法では、離型オイルを供給するための装置が必要であり、定着装置が大型化しマシンの小型化には不向きである。このため、モノクロトナーでは、溶融したトナーが内部破断しないように結着樹脂の分子量分布の調整等でトナーの溶融時の粘弾性を高め、更にトナー中にワックス等の離型剤を含有させ
ることにより、定着ローラに離型オイルを塗布しない(オイルレス化)、或いはオイル塗布量をごく微量とする方法が採用される傾向にある。
【0005】
一方、カラートナーにおいてもモノクロトナー同様、マシンの小型化、構成の簡素化の目的でオイルレス化の傾向が見られる。しかし、上述したようにカラートナーでは、色再現性を向上させるために定着画像の表面を平滑にする必要があるため、溶融時の粘弾性を低下させなければならず、光沢のないモノクロトナーよりオフセットし易く、定着装置のオイルレス化や微量塗布化がより困難となる。また、トナー中に離型剤を含有させると、トナーの付着性が高まり転写紙への転写性が低下する。更に、トナー中の離型剤がキャリア等の摩擦帯電部材を汚染して、帯電性を低下させることにより耐久性が低下してしまうという問題がある。
【0006】
また、キャリアに関しては、該キャリア表面へのトナー成分のフィルミング防止、キャリア均一表面の形成、表面酸化防止、感湿性低下の防止、現像剤の寿命の延長、感光体表面へのキャリア付着防止、感光体のキャリアによるキズや摩耗からの保護、帯電極性の制御、又は帯電量の調節等を目的として、芯材に樹脂材料を含む被覆層を設けることが行われている。例えば、特定の樹脂材料で被覆したもの(特許文献4参照)、更にその被覆層に種々の添加剤を添加するもの(特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10及び特許文献11参照)、キャリア表面に添加剤を付着させたもの(特許文献12参照)、被覆層厚よりも大きい導電性粒子を被覆層に含有させたもの(特許文献13参照)、などが提案されている。また、特許文献14には、ベンゾグアナミン−n−ブチルアルコール−ホルムアルデヒド共重合体を主成分とするキャリア被覆材を用いることが提案されている。また、特許文献15には、メラミン樹脂とアクリル樹脂の架橋物をキャリア被覆材として用いることが提案されている。
【0007】
しかしながら、これら先行技術では、依然として耐久性、キャリア付着抑制が不十分である。特に、耐久性については、トナーのキャリア表面へのスペント、それに伴う帯電量の不安定化、ならびに被覆樹脂の膜削れによる被覆層の減少及びそれに伴う抵抗低下等が問題である。特に、初期は良好な画像を得ることができるが、コピー枚数が増加するに連れて複写画像の画質が低下してしまうという問題がある。
【0008】
また、近時、より速く、より美しくという需要者からの要望を受けて、電子写真装置の高速化は著しい。これに伴って、現像剤が受けるストレスも飛躍的に増大しており、従来から高寿命とされたキャリアにおいても充分な寿命が得られなくなってきている。また、キャリアの抵抗調整剤としては、カーボンブラックが多用されているが、膜削れ及びカーボンブラックの脱離に起因するカーボンブラックのカラー画像中への移行による色汚れが懸念される。
その対策として、これまで様々な方法が提案されている。例えば、導電性材料(カーボンブラック)を芯材表面に存在させて、被覆層中に導電性材料を存在させないキャリアが提案されている(特許文献13参照)。また、被覆層がその厚み方向にカーボンブラックの濃度勾配を持ち、該被覆層は表面に向かうほどカーボンブラック濃度が低くなり、しかも、該被覆層の表面にはカーボンブラックが存在しないキャリアが提案されている(特許文献14参照)。また、芯材粒子表面に導電性カーボンを含有した内部被覆層を設け、更に、その上に白色系導電性材料を含有した表面被覆層を設けてなる2層コート型キャリアが提案されている(特許文献15参照)。しかし、これら提案についても、近年の高ストレス化には対応できず、色汚れが問題となる。
【0009】
このような色汚れの抜本的な対策として、色汚れの原因となっているカーボンブラックを排除することが何より一番効果があることは明らかである。しかし、単にカーボンブラックを除いた場合、該カーボンブラックはその電気抵抗が低いという性質を持つことから
、キャリアの抵抗が上がってしまうと同時に、帯電特性も上がってしまうという不具合が生じる。一般に、キャリアの帯電制御をする場合、コート材料による制御を常套手段としているが、カーボンブラックの有無による帯電のレベル差は著しいこと、材料を変えることによる副作用の発生等も多々あり、簡単にカーボンブラックを除く変更を実施できていないのが現状である。
【0010】
さらにトナーの低温定着性能を向上させる目的で、バインダーとしてポリエステル樹脂を用いる他のトナーが知られている(特許文献19、特許文献20)。しかし、トナーの低温定着性をさらに向上させるためには、分子量やガラス転移温度(以下「Tg」と略す。)下げる必要があるが、そうした場合、高温高湿度下でのトナーの耐ブロッキング性が劣るという問題点を有していた。
【0011】
【特許文献1】特開2002−148867号公報
【特許文献2】特開2002−287427号公報
【特許文献3】特許第3597835号公報
【特許文献4】特開昭58−108548号公報
【特許文献5】特開昭54−155048号公報
【特許文献6】特開昭57−40267号公報
【特許文献7】特開昭58−108549号公報
【特許文献8】特開昭59−166968号公報
【特許文献9】特公平1−19584号公報
【特許文献10】特公平3−628号公報
【特許文献11】特開平6−202381号公報
【特許文献12】特開平5−273789号公報
【特許文献13】特開平9−160304号公報
【特許文献14】特開平8−6307号公報
【特許文献15】特許第2683624号公報
【特許文献16】特開平7−140723号公報
【特許文献17】特開平8−179570号公報
【特許文献18】特開平8−286429号公報
【特許文献19】特開昭62−178278号公報
【特許文献20】特開平4−313760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、高温高湿度下でのトナーの耐ブロッキング性と低温定着性とが共に優れ、かつ現像剤や感光体へのスペントがなく、現像剤耐久性が高く、経時の帯電安定性に優れたトナー、現像剤、カートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成方法を提供することを目的とする。
さらにランニング経時でのベタ画像部にキャリア付着が生じることなく、キメの細かい画像を長期間にわたって形成することができ、色汚れの生じない、帯電制御性の良好な現像剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、これらの問題点を解決するべく鋭意検討した結果、特定の触媒の存在下で形成された重縮合ポリエステル樹脂からなるトナーバインダーを用い、特定の分子量を有することで解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、少なくとも結着樹脂と着色剤と荷電制御剤からなるトナーにおいて、結着樹脂が少なくとも重縮合ポリエステル樹脂を含有し、該ポリエステル樹脂が下記一般式(I)または(II)で表される少なくとも1種のチタン含有触媒(a)の存在下に形
成されてなる樹脂であって、該結着樹脂におけるGPCにより測定される分子量分布において 100万以上の面積比が3〜20重量%であり、重量平均分子量が50万〜200
万の範囲にあることを特徴とする静電荷像現像用トナーである。
Ti(−X)m(−OH)n (I)
O=Ti(−X)p(−OR)q (II)
[式中、Xは炭素数2〜12のモノもしくはポリアルカノールアミンから1個のOH基のHを除いた残基であり、ポリアルカノールアミンの他のOH基が同一のTi原子に直接結合したOH基と分子内で重縮合し環構造を形成していてもよく、他のTi原子に直接結合したOH基と分子間で重縮合し繰り返し構造を形成していてもよい。繰り返し構造を形成する場合の重合度は2〜5である。RはH、または1〜3個のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜8のアルキル基である。mは1〜4の整数、nは0〜3の整数、mとnの和は4である。pは1〜2の整数、qは0〜1の整数、pとqの和は2である。mまたはpが2以上の場合、それぞれのXは同一であっても異なっていてもよい。]
【0014】
本触媒がポリエステル樹脂中に分散されていることにより、帯電上昇が抑えられ、安定性が高まることが判明した。本ポリエステル樹脂を用い、GPCにより測定される分子量分布において100万以上の面積比が3〜20重量%であり、重量平均分子量が50万〜
200万の範囲にあることにより、トナーの経時における帯電上昇が抑えられ、安定性が高まり、耐ブロッキング性と低温定着性とが共に優れ、かつ現像剤や感光体へのスペントがなく、現像剤耐久性の高いトナーを得ることができる。
100万以上の面積比が3〜20重量%でない場合、または/および重量平均分子量が
50万未満の場合、耐ブロッキング性と現像剤や感光体へのスペント性に劣る。重量平均分子量が200万を超える場合は低温定着性に劣る。
【0015】
さらにスチレン系共重合体樹脂を適量含有し、かつ残存スチレンモノマー量が0.1〜50ppmであることにより、さらに現像剤耐久性の高いトナーを得ることができる。適量の範囲はスチレン系共重合体樹脂5〜50重量%およびポリエステル樹脂50〜95重量%、好ましくはスチレン系共重合体樹脂10〜40重量%およびポリエステル樹脂60〜90重量%さらに好ましくはスチレン系共重合体樹脂20〜30重量%およびポリエステル樹脂70〜80重量%である。
さらにトナーのMI(メルトインデックス)値が3〜40g/10分であることにより定着温度範囲の広いトナーを得ることができる。好ましくは5〜30g/10分、さらに好ましくは10〜20g/10分である。
【0016】
トナーの含水量が30℃、60%RHの雰囲気に24時間放置したとき3〜5000ppm(重量基準)であることによりトナーの環境安定性が高まる。好ましくは3〜1000ppm、さらに好ましくは3〜500ppmである。
トナーの含水量の測定方法は、まずトナーを30℃、60%RH環境下に24時間保存する。このトナーをカールフィッシャー水分滴定装置の気化装置(加熱炉温度:150℃、窒素気流下)を用いて測定する。
トナー組成物のレオロジー特性が周波数10Hzのもとで70℃において、貯蔵弾性率(G’)が5×105〜5×108dyne/cm2、130℃において損失弾性率(G”
)が1×102〜1×106dyne/cm2であることにより定着温度範囲が広く、かつ
現像剤や感光体へのスペントがなく、現像剤耐久性の高いトナーを得ることができる。
【0017】
トナー組成物のレオロジー特性において、貯蔵弾性率(G’)はこの組成物の凝集力に関するものであり、一方、損失弾性率(G”)は組成物の粘性に関するものである。G’が大きくなると凝集力が増大してオフセットは減少するが定着性が悪くなり、G”が大きくなると定着性は良好になるがオフセットが増大する。一方トナーの定着時の温度は現在定着ローラー表面温度で代用しているが、実際にはもっと低いトナー温度で定着している
ことが知られている。
【0018】
実際の定着温度範囲をカバーするには周波数10Hzのもとで70℃において、貯蔵弾性率(G’)が5×105〜5×108dyne/cm2の範囲であることがよい。ホット
オフセットを良好にするためにはトナーとローラー表面との境界温度、つまり、130℃において損失弾性率(G”)が1×102〜1×106dyne/cm2であることがよい
。さらにこの範囲であることによりトナーの強靭性に優れ現像剤や感光体へのスペントがなく、現像剤耐久性の高いトナーを得ることができる。
【0019】
荷電制御剤が下記式(III)で示されるクロム錯体化合物からなり、該荷電制御剤のX
線回折においてCuKα特性X線での測定角2シーターが5〜30度の範囲に、ブラッグ角2シーターの主要ピークが、ピークA:8.6度±0.3度にあり、このX線強度がスキャンスピード1度/分において8000〜15000cpsの範囲にあるトナーであることにより、帯電立ち上がり性がさらに向上する。かかる主要ピークを示した定性分析(ピークサーチ)の一例を図1に示す。
【0020】
【化1】
(式中、Xは水素原子、低級アルキル基、ニトロ基、ハロゲン原子等を示し、それぞれが同一または異なっていても良く、A+は水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオ
ン、アンモニウムイオン、脂肪族アンモニウムイオンを示す。)
【0021】
トナー組成物の100℃におけるトナーの揮発分が0.05〜0.3重量%、好ましくは0.05〜0.2重量%、さらに好ましくは0.05〜0.1重量%であることによりさらに感光体へのスペントを抑制することができる。
本発明に用いるチタン含有触媒(a)は、前記式(I)または(II)で表される化合物であり、2種以上を併用してもよい。
一般式(I)および(II)において、Xは炭素数2〜12のモノもしくはポリアルカノールアミンから1個のOH基のH原子を除いた残基であり、窒素原子の数、すなわち、1級、2級、および3級アミノ基の合計数は、通常1〜2個、好ましくは1個である。
【0022】
上記モノアルカノールアミンとしては、エタノールアミン、およびプロパノールアミンなどが挙げられる。ポリアルカノールアミンとしては、ジアルカノールアミン(ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、およびN−ブチルジエタノールアミンなど)、トリアルカノールアミン(トリエタノールアミン、およびトリプロパノールアミンなど)、およびテトラアルカノールアミン(N,N,N',N'−テトラヒドロキシエチルエ
チレンジアミンなど)が挙げられる。
ポリアルカノールアミンの場合、Ti原子とTi−O−C結合を形成するのに用いられるHを除いた残基となるOH基以外にOH基が1個以上存在し、それが同一のTi原子に直接結合したOH基と分子内で重縮合し環構造を形成していてもよく、他のTi原子に直接結合したOH基と分子間で重縮合し繰り返し構造を形成していてもよい。繰り返し構造を形成する場合の重合度は2〜5である。重合度が6以上の場合、触媒活性が低下するためオリゴマ一成分が増え、トナーのブロッキング性悪化の原因になる。
【0023】
Xとして好ましいものは、ジアルカノールアミン(とくにジエタノールアミン)の残基、およびトリアルカノールアミン(とくにトリエタノールアミン)の残基であり、特に好ましいものはトリエタノールアミンの残基である。
RはH、または1〜3個のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜8のアルキル基である。炭素数1〜8のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−へキシル基、n−オクチル基、β−メトキシエチル基、およびβ−エトキシエチル基などが挙げられる。これらRのうち好ましくは、H、およびエーテル結合を含まない炭素数1〜4のアルキル基であり、さらに好ましくは、H、エチル基、およびイソプロピル基である。
【0024】
式(I)中、mは1〜4の整数であり、好ましくは1〜3の整数である。nは0〜3の整数であり、好ましくは1〜3の整数である。mとnの和は4である。
式(II)中、pは1〜2の整数、qは0〜1の整数であり、pとqの和は2である。ただし、mまたはpが2以上であっても良い。その場合、複数存在するXは同一であっても異なっていてもよいが、すべて同一である方が好ましい。
【0025】
本発明における、上記チタン含有触媒(a)のうち、一般式(I)で表されるものの具体例としては、チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムトリヒドロキシトリエタノールアミネート、チタニウムジヒドロキシビス(ジエタノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(モノエタノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(モノプロパノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(N−メチルジエタノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(N−ブチルジエタノールアミネート)、テトラヒドロキシチタンとN,N,N',N'−テトラヒドロキシエチル
エチレンジアミンとの反応生成物、およびこれらの分子内または分子間重縮合物が挙げられ、とりわけ反応性に優れ、帯電安定性に顕著な効果をもつものはチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムトリヒドロキシトリエタノールアミネート、チタニウムジヒドロキシビス(ジエタノールアミネート)である。
【0026】
一般式(II)で表されるものの具体例としては、チタニルビス(トリエタノールアミネート)、チタニルビス(ジエタノールアミネート)、チタニルビス(モノエタノールアミネート)、チタニルヒドロキシエタノールアミネート、チタニルヒドロキシトリエタノールアミネート、チタニルエトキシトリエタノールアミネート、チタニルイソプロポキシトリエタノールアミネート、およびこれらの分子内または分子間重縮合物が挙げられる。
これらのうちで好ましいものは、チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムジヒドロキシビス(ジエタノールアミネート)、チタニルビス(トリエタノールアミネート)、これらの重縮合物、およびこれらの併用であり、さらに好ましくは、チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、その重縮合物、とくにチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)である。
これらのチタン含有触媒(a)は、例えば市販されているチタニウムジアルコキシビス(アルコールアミネート;Dupont製など)を、水存在下で70〜90℃にて反応させることで安定的に得ることができる。
【0027】
本発明のトナーバインダーを構成する重縮合ポリエステル樹脂としては、ポリオールと
ポリカルボン酸との重縮合物であるポリエステル樹脂(AX)、(AX)にさらにポリエポキシド(c)などを反応させて得られる変性ポリエステル樹脂(AY)などが挙げられる。(AX)、(AY)などは単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて混合物として使用してもよい。
ポリオールとしては、ジオール(g)および3価以上のポリオール(h)が、ポリカルボン酸としては、ジカルボン酸(i)および3価以上のポリカルボン酸(j)が挙げられ、それぞれ2種以上を併用してもよい。
【0028】
ポリエステル樹脂(AX)および(AY)としては、以下のものなどが挙げられ、これらのものを併用することもできる。
(AX1):(g)および(i)を用いた線状のポリエステル樹脂
(AX2):(g)および(i)とともに(h)および/または(j)を用いた非線状のポリエステル樹脂
(AY1):(AX2)に(c)を反応させた変性ポリエステル樹脂
【0029】
ジオール(g)としては、水酸基価180〜1900(mgKOH/g、以下同様)のものが好ましい。具体的には、炭素数2〜36のアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−プチレングリコールおよび1,6−ヘキサンジオールなど);炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロビレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリプチレングリコールなど);炭素数6〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび水素添加ビスフェノールAなど);上記脂環式ジオールの炭素数2〜4のアルキレンオキシド〔エチレンオキシド(以下EOと略記する)、プロピレンオキシド(以下POと略記する)およびプチレンオキシド(以下BOと略記する)など〕付加物(付加モル数1〜30);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールSなど)の炭素数2〜4のアルキレンオキシド(EO、POおよびBOなど)付加物(付加モル数2〜30)などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物およびこれらの併用であり、とくに好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物、炭素数2〜4のアルキレングリコールおよびこれらの2種以上の併用である。
【0030】
なお、上記および以下において水酸基価および酸価は、JIS K 0070に規定の方法で測定される。
3価以上(3〜8価またはそれ以上)のポリオール(h)としては、水酸基価150〜1900のものが好ましい。具体的には、炭素数3〜36の3〜8価またはそれ以上の脂肪族多価アルコール(アルカンポリオールおよびその分子内もしくは分子間脱水物、例えば、グリセリン、トリエチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン、およびジペンタエリスリトール;糖類およびその誘導体、例えば庶糖およびメチルグルコシド;など);上記脂肪族多価アルコールの炭素数2〜4のアルキレンオキシド(EO、POおよびBOなど)付加物(付加モル数1〜30);トリスフェノール類(トリスフェノールPAなど)の炭素数2〜4のアルキレンオキシド(EO、POおよびBOなど)付加物(付加モル数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラックおよびクレゾールノボラックなど:平均重合度3〜60)の炭素数2〜4のアルキレンオキシド(EO、PO、BOなど)付加物(付加モル数2〜30)などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、3〜8価またはそれ以上の脂肪族多価アルコールおよびノボラック樹脂のアルキレンオキシド付加物(付加モル数2〜30)であり、とくに好ましいものはノボラック樹脂のアルキレンオキシド付加物である。
【0031】
ジカルボン酸(i)としては、酸価180〜1250(mgKOH/g、以下同様)のものが好ましい。具体的には、炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、およびセバシン酸など)およびアルケニルコハク酸(ドデセニルコハク酸など);炭素数4〜36の脂環式ジカルボン酸[ダイマー酸(2量化リノール酸)など];炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、およびメサコン酸など);炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、およびナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケンジカルボン酸、および炭素数8〜20の芳香族ジカルポン酸である。なお、(i)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてもよい。
【0032】
3価以上(3〜6価またはそれ以上)のポリカルボン酸(j)としては、酸価150〜1250mgのものが好ましい。具体的には、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など);不飽和カルボン酸のビニル重合体[数平均分子量(以下Mnと記載、ゲルバーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による):450〜10000](スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸共重合体、α−オレフィン/マレイン酸共重合体、スチレン/フマル酸共重合体など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸であり、とくに好ましいものはトリメリット酸、およびピロメリット酸である。なお、3価以上のポリカルボン酸(j)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてもよい。
【0033】
また、(g)、(h)、(i)および(j)とともに炭素数4〜20の脂肪族または芳香族ヒドロキシカルボン酸(k)、炭素数6〜12のラクトン(l)を共重合することもできる。
ヒドロキシカルボン酸(k)としては、ヒドロキシステアリン酸、硬化ヒマシ油脂肪酸などが挙げられる。ラクトン(l)としては、カプロラクトンなどが挙げられる。
【0034】
ポリエポキシド(c)としては、ポリグリシジルエーテル[エチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、フェノールノボラック(平均重合度3〜60)グリシジルエーテル化物など];ジエンオキサイド(ペンタジエンジオキサイド、ヘキサジエンジオキサイドなど)などが挙げられる。これらの中で好ましくは、ポリグリシジルエーテルであり、さらに好ましくは、エチレングリコールジグリシジルエーテルおよびビスフェノールAジグリシジルエーテルである。
(c)の1分子当たりのエポキシ基数は、好ましくは2〜8、さらに好ましくは2〜6、とくに好ましくは2〜4である。
(c)のエポキシ当量は、好ましくは50〜500である。下限は、さらに好ましく70、とくに好ましくは80であり、上限は、さらに好ましく300、とくに好ましくは200である。エポキシ基数とエポキシ当量が上記範囲内であると、現像性と定着性が共に良好である。上述の1分子当たりのエポキシ基数およびエポキシ当量の範囲を同時に満たせばさらに好ましい。
【0035】
ポリオールとポリカルボン酸の反応比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、さらに好ましくは1.5/1〜1/1.3、とくに好ましくは1.3/1〜1/1.2である。また使
用するポリオールとポリカルボン酸の種類は、最終的に調整されるポリエステル系トナーバインダーのガラス転移点が45〜85℃となるよう分子量調整も考慮して選択される。
【0036】
トナーバインダーはフルカラー用、モノクロ用で各々異なる物性が求められており、ポリエステル樹脂の設計も異なる。
即ち、フルカラー用には高光沢画像が求められるため、低粘性のバインダーとする必要があるが、モノクロ用は光沢は特に必要なく、ホットオフセット性が重視されるため高弾性のバインダーとする必要がある。
【0037】
フルカラー複写機等に有用である高光沢画像を得る場合は、(AX1)、(AX2)、(AY1)およびこれらの混合物が好ましい。この場合、低粘性であることが好ましいことから、これらのポリエステル樹脂を構成する(h)および/または(j)の比率は、(h)と(j)のモル数の和が(g)〜(j)のモル数の合計に対して、好ましくは0〜20モル%、さらに好ましくは0〜15モル%、とくに0〜10モル%である。
【0038】
モノクロ複写機等に有用である高い耐ホットオフセット性を得る場合は、(AX2)、(AY1)およびこれらの混合物が好ましい。この場合、高弾性であることが好ましいことから、このポリエステル樹脂としては、(h)と(j)を両方用いたものがとくに好ましい。(h)および(j)の比率は、(h)と(j)のモル数の和が(g)〜(j)のモル数の合計に対して、好ましくは0.1〜40モル%、さらに好ましくは0.5〜25モル%、とくに1〜20モル%である。
【0039】
フルカラー用ポリエステル樹脂の場合、複素粘性率(η*)が100Pa・Sとなる温度(TE)は、好ましくは90〜170℃、さらに好ましくは100〜165℃、とくに105〜150℃である。170℃以下で十分な光沢が得られ、90℃以上で耐熱保存安定性が良好となる。
TEは、例えば樹脂をラボブラストミルを用いて130℃、70rpmで30分間溶融混練後のブロックを、市販の動的粘弾性測定装置を用いて、樹脂温度を変化させながら複素粘性率(η*)を測定することで求められる。
【0040】
また、フルカラー用ポリエステル樹脂のテトラヒドロフラン(THF)不溶分は、光沢度の観点から、好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。
上記および以下において%は、とくに断りのない限り、重量%を意味する。
【0041】
ここで、THF不溶分およびTHF可溶分は以下の方法で得られる。
200mlの共栓付きマイヤーフラスコに、試料約0.5gを精秤し、THF50mlを加え、3時間攪拌還流させて冷却後、グラスフィルターにて不溶分をろ別する。THF不溶分の値(%)は、グラスフィルター上の樹脂分を80℃で3時間減圧乾燥した後の重量と試料の重量比から算出する。
なお、後述する分子量の測定には、このろ液をTHF可溶分として使用する。
【0042】
モノクロ用ポリエステル樹脂の場合、耐ホットオフセット性の観点から、ポリエステル樹脂の貯蔵弾性率(G’)が6000Paとなる温度(TG)は、好ましくは130〜230℃、さらに好ましくは140〜230℃、とくに150〜230℃である。
TGは、例えば樹脂をラボブラストミルを用いて130℃、70rpmで30分間溶融混練後のブロックを、市販の動的粘弾性測定装置を用いて、樹脂温度を変化させながら貯蔵弾性率(G’)を測定することで求められる。
低温定着性および耐熱保存安定性の観点から、モノクロ用ポリエステル樹脂の複素粘性率(η*)が1000Pa・Sとなる温度(TE)は、好ましくは80〜140℃、さらに好ましくは90〜135℃、とくに105〜130℃が好ましい。
【0043】
モノクロ用ポリエステル樹脂は、THF不溶分を2〜70%含有していることが好ましく、さらに好ましくは5〜60%、とくに10〜50%である。THF不溶分が2%以上で耐ホットオフセット性が良好になり、70%以下で良好な低温定着性が得られる。
ポリエステル樹脂のピークトップ分子量(Mp)はモノクロ用、フルカラー用いずれの場合も、好ましくは1000〜30000、さらに好ましくは1500〜25000、とくに1800〜20000である。Mpが1000以上で、耐熱保存安定性および粉体流動性が良好となり、30000以下でトナーの粉砕性が向上し、生産性が良好となる。
【0044】
また本発明のポリエステル樹脂からなるトナーバインダー(A)を用いてトナーとしたときの、トナー中の分子量の比率は、1.8%以下が好ましく、さらに好ましくは1.3%以下、とくに好ましくは1.1%以下である。分子量1500以下の成分の比率が1.8%以下になることで、保存安定性がより良好となる。
【0045】
ポリエステル樹脂の酸価はモノクロ用、フルカラー用いずれの場合も、好ましくは0.1〜60、さらに好ましくは0.2〜50、特に0.5〜40である。酸価が0.1〜60の範囲では、帯電性が良好である。
ポリエステル樹脂の水酸基価はモノクロ用、フルカラー用いずれの場合も、好ましくは1〜70、さらに好ましくは3〜60、特に5〜55である。酸価が1〜70の範囲では、環境安定性が良好である。
ポリエステル樹脂のTgはモノクロ用、フルカラー用いずれの場合も、好ましくは40〜90℃、さらに好ましくは50〜80℃、とくに55〜75℃である。Tgが40℃〜90℃の範囲では耐熱保存安定性と低温定着性が良好である。
【0046】
本発明においてトナーバインダー(A)として用いるポリエステル樹脂は、通常のポリエステルの製造法と同様にして製造することができる。例えば、不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気中で、チタン含有触媒(a)の存在下、反応温度が好ましくは150〜280℃、さらに好ましくは160〜250℃、とくに好ましくは170〜240℃で反応させることにより行うことができる。また反応時間は、重縮合反応を確実に行う観点から、好ましくは30分以上、とくに2〜40時間である。反応末期の反応速度を向上させるために減圧する(例えば1〜50mmHg)ことも有効である。
(a)の添加量としては、重合活性などの観点から、得られる重合体の重量に対して、好ましくは0.0001〜0.8%、さらに好ましくは0.0002〜0.6%、とくに好ましくは0.0015〜0.55%である。
また、(a)の触媒効果を損なわない範囲で他のエステル化触媒を併用することもできる。他のエステル化触媒の例としては、スズ含有触媒(例えばジブチルスズオキシド)、三酸化アンチモン、(a)以外のチタン含有触媒(例えばチタンアルコキシド、シュウ酸チタニルカリウム、およびテレフタル酸チタン)、ジルコニウム含有触媒(例えば酢酸ジルコニル)、ゲルマニウム含有触媒、アルカリ(土類)金属触媒(例えばアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のカルボン酸塩:酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、安息香酸ナトリウム、および安息香酸カリウムなど)、および酢酸亜鉛等が挙げられる。これらの他の触蝶の添加量としては、得られる重合体に対して、0〜0.6%が好ましい。0.6%以内とすることで、ポリエステル樹脂の着色が少なくなり、カラー用のトナーに用いるのに好ましい。添加された全触媒中の(a)の含有率は、50〜100%が好ましい。
【0047】
線状のポリエステル樹脂(AX1)の製造方法としては、例えば、得られる重合体の重量に対して0.0001〜0.8%の触蝶(a)と、必要により他の触媒の存在下、ジオール(g)、およびジカルボン酸(i)を、180〜260℃に加熱し、常圧および/または減圧条件で脱水縮合させて、(AX1)を得る方法が挙げられる。
非線状のポリエステル樹脂(AX2)の製造方法としては、例えば、得られる重合体の重量に対して0.0001〜0.8%の触媒(a)と、必要により他の触媒の存在下、ジオール(g)、ジカルボン酸(i)、および3価以上のポリオール(h)を、180〜260℃に加熱し、常圧および/または減圧条件で脱水縮合させた後、さらに3価以上のポリカルボン酸(j)を反応させて、(AX2)を得る方法が挙げられる。(j)を、(g)、(i)および(h)と同時に反応させることもできる。
【0048】
変性ポリエステル樹脂(AY1)の製造方法としては、ポリエステル樹脂(AX2)にポリエポキシド(c)を加え、180〜260℃でポリエステルの分子伸長反応を行うことで、(AY1)を得る方法が挙げられる。
(c)と反応させる(AX2)の酸価は、好ましくは1〜60、さらに好ましくは5〜50である。酸価が1以上であると、(c)が未反応で残存して樹脂の性能に悪影響を及ぼす恐れがなく、60以下であると、樹脂の熱安定性が良好である。
また、(AY1)を得るのに用いる(c)の量は、低温定着性および耐ホットオフセット性の観点から、(AX2)に対して、好ましくは0.01〜10%、さらに好ましくは0.05〜5%である。
【0049】
また、本発明のトナーバインダー(A)中に、上記重縮合ポリエステル樹脂以外に、必要により、他の樹脂などを含有させることもできる。
他の樹脂としては、スチレン系樹脂[スチレンとアルキル(メタ)アクリレートの共重合体、スチレンとジエン系モノマーとの共重合体等]、エポキシ樹脂(ビスフェノールAジグリシジルエーテル開環重合物等)、ウレタン樹脂(ジオールおよび/または3価以上のポリオールとジイソシアネートの重付加物等)などが挙げられる。
他の樹脂の重量平均分子量は、好ましくは1000〜200万である。
トナーバインダー(A)における他の樹脂の含有量は、好ましくは0〜40%、さらに好ましくは0〜30%、特に好ましくは0〜20%である。
【0050】
ポリエステル樹脂を2種以上併用する場合、および少なくとも1種のポリエステル樹脂と他の樹脂を混合する場合、予め粉体混合または溶融混合してもよいし、トナー化時に混合してもよい。
溶融混合する場合の温度は、好ましくは80〜180℃、さらに好ましくは100〜170℃、特に好ましくは120〜160℃である。
混合温度が低すぎると充分に混合できず、不均一となることがある。2種以上のポリエステル樹脂を混合する場合、混合温度が高すぎると、エステル交換反応による平均化などが起こるため、トナーバインダーとして必要な樹脂物性が維持できなくなる場合がある。
【0051】
溶融混合する場合の混合時間は、好ましくは10秒〜30分、さらに好ましくは20秒〜10分、特に好ましくは30秒〜5分である。2種以上のポリエステル樹脂を混合する場合、混合時間が長すぎると、エステル交換反応による平均化などが起こるため、トナーバインダーとして必要な樹脂物性が維持できなくなる場合がある。
溶融混合する場合の混合装置としては、反応槽などのバッチ式混合装置、および連続式混合装置が挙げられる。適正な温度で短時間で均一に混合するためには、連続式混合装置が好ましい。連続混合装置としては、エクストルーダー、コンテイニアスニーダー、3本ロールなどが挙げられる。これらのうちエクストルーダーおよびコンテイニアスニーダーが好ましい。
粉体混合する場合は、通常の混合条件および混合装置で混合することができる。
粉体混合する場合の混合条件としては、混合温度は、好ましくは0〜80℃、さらに好ましくは10〜60℃である。混合時間は、好ましくは3分以上、さらに好ましくは5〜60分である。混合装置としては、へンシェルミキサー、ナウターミキサー、およびバンバリーミキサー等が挙げられる。好ましくはへンシェルミキサーである。
【0052】
本発明の静電荷像現像用トナーは、本発明のトナーバインダー(A)と着色剤(B)から構成され、必要に応じて離型剤(C)、荷電制御剤(D)、および流動化剤(E)等、種々の添加剤を含有する。
トナー中の(A)の含有量は、着色剤として染料または顔料を使用する場合は、好ましくは70〜98%、さらに好ましくは74〜96%であり、磁性粉を使用する場合は、好ましくは20〜85%、さらに好ましくは35〜65%である。
【0053】
着色剤(B)としては特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB、オイルピンクOP、マグネタイトおよび鉄黒等が挙げられる。
【0054】
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記着色剤の前記トナーにおける含有量は1〜15重量%が好ましく、3〜10重量%がより好ましい。
前記着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。該樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリブチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系
石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィン、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
トナー中の着色剤(B)の含有量は、染料または顔料を使用する場合は、好ましくは2〜15%であり、磁性粉を使用する場合は、好ましくは15〜70%、さらに好ましくは30〜60%である。
【0055】
離型剤(C)としては特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ワックス類、等が好適に挙げられる。
前記ワックス類としては、例えば、カルボニル基含有ワックス、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カルボニル基含有ワックスが好ましい。
前記カルボニル基含有ワックスとしては、例えば、ポリアルカン酸エステル、ポリアルカノールエステル、ポリアルカン酸アミド、ポリアルキルアミド、ジアルキルケトン、等が挙げられる。前記ポリアルカン酸エステルとしては、例えば、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート等が挙げられる。前記ポリアルカノー
ルエステルとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等が挙げられる。前記ポリアルカン酸アミドとしては、例えば、ジベヘニルアミド等が挙げられる。前記ポリアルキルアミドとしては、例えば、トリメリット酸トリステアリルアミド等が挙げられる。前記ジアルキルケトンとしては、例えば、ジステアリルケトン等が挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスの中でも、ポリアルカン酸エステルが特に好ましい。
【0056】
前記ポリオレフィンワッックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等が挙げられる。
前記長鎖炭化水素としては、例えば、パラフィンワッックス、サゾールワックス等が挙げられる。
前記離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40〜160℃が好ましく、50〜120℃がより好ましく、60〜90℃が特に好ましい。
前記融点が、40℃未満であると、ワックスが耐熱保存性に悪影響を与えることがあり、160℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易いことがある。
【0057】
具体的には、石油系フィッシャートロプシュワックス(シューマン・サゾール社製/パラフリントH1、パラフリントH1N4およびラフリントC105など)、天然ガス系フィッシャートロプシュワックス(シェルMDS社製FT100など)、およびこれらフィッシャートロプシュワックスを分別結晶化などの方法で精製したもの[日本精蝋(株)製MDP−7000、MDP−7010など]などが、パラフィンワックスとしては、石油ワックス系のパラフィンワックス[日本精蝋(株)製パラフィンワックスHNP−5、HNP−9、HNP−11など]などが、ポリオレフィンワックスとしては、ポリエチレンワックス[三洋化成工業(株)製サンワックス171P、サンワックスLEL400Pなど]、およびポリプロピレンワックス[三洋化成工業(株)製ビスコール550P、ビスコール660Pなど]などが挙げられる。
【0058】
前記離型剤の溶融粘度としては、該ワックスの融点より20℃高い温度での測定値として、5〜1000cpsが好ましく、10〜100cpsがより好ましい。
前記溶融粘度が、5cps未満であると、離型性が低下することがあり、1000cpsを超えると、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果が得られなくなることがある。
前記離型剤の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜40重量%が好ましく、3〜30重量%がより好ましい。
前記含有量が、40重量%を超えると、トナーの流動性が悪化することがある。
荷電制御剤(D)としては、特に制限はなく、感光体に帯電される電荷の正負に応じて正又は負の荷電制御剤を適宜選択して用いることができる。
前記負の帯電制御剤としては、例えば、電子供与性の官能基を持つ樹脂又は化合物、アゾ染料、有機酸の金属錯体、などを用いることができる。具体的には、ボントロン(品番:S−31、S−32、S−34、S−36、S−37、S−39、S−40、S−44、E−81、E−82、E−84、E−86、E−88、A、1−A、2−A、3−A)(以上、オリエント化学工業社製))、カヤチャージ(品番:N−1、N−2)、カヤセットブラック(品番:T−2、004)(以上、日本化薬社製))、アイゼンスピロンブラック(T−37、T−77、T−95、TRH、TNS−2)(以上、保土谷化学工業社製)、FCA−1001−N、FCA−1001−NB、FCA−1001−NZ、(以上、藤倉化成社製)、などが挙げられる。
【0059】
前記正の荷電制御剤としては、例えば、ニグロシン染料等の塩基性化合物、4級アンモニウム塩等のカチオン性化合物、高級脂肪酸の金属塩等を用いることができる。具体的には、ボントロン(品番:N−01、N−02、N−03、N−04、N−05、N−07、N−09、N−10、N−11、N−13、P−51、P−52、AFP−B)(以上、オリエント化学工業社製)、TP−302、TP−415、TP−4040(以上、保土谷化学工業社製)、コピーブルーPR、コピーチャージ(品番:PX−VP−435、NX−VP−434)(以上、ヘキスト社製)、FCA(品番:201、201−B−1
、201−B−2、201−B−3、201−PB、201−PZ、301)(以上、藤
倉化成社製)、PLZ(品番:1001、2001、6001、7001)(以上、四国化成工業社製)、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記帯電制御剤の添加量は、結着樹脂の種類、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、前記結着樹脂100重量部に対し0.1〜10重量部が好ましく、0.2〜5重量部がより好ましい。前記添加量が10重量部を超えると、トナーの帯電性が大きすぎ、帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電気的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招くことがあり、0.1重量部未満であると、帯電立ち上り性や帯電量が十分でなく、トナー画像に影響を及ぼしやすいことがある。
流動化剤(E)としては、前記無機微粒子としては、例えば、シリカ、チタニア、アルミナ、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム等を用いることができ、シリコーンオイルやヘキサメチルジシラザンなどで疎水化処理されたシリカ微粒子や、特定の表面処理を施した酸化チタンを用いることがより好ましい。
【0060】
前記シリカ微粒子としては、例えば、アエロジル(品番:130、200V、200C
F、300、300CF、380、OX50、TT600、MOX80、MOX170、COK84、RX200、RY200、R972、R974、R976、R805、R811、R812、T805、R202、VT222、RX170、RXC、RA200、RA200H、RA200HS、RM50、RY200、REA200)(以上、日本ア
エロジル社製)、HDK(品番:H20、H2000、H3004、H2000/4、H
2050EP、H2015EP、H3050EP、KHD50)、HVK2150(以上
、ワッカーケミカル社製)、カボジル(品番:L−90、LM−130、LM−150、
M−5、PTG、MS−55、H−5、HS−5、EH−5、LM−150D、M−7D、MS−75D、TS−720、TS−610、TS−530)(以上、キャボット社製
)等を用いることができる。
前記無機微粒子の添加量としては、トナー母体粒子100重量部に対し0.1〜5.0重量部が好ましく、0.8〜3.2重量部がより好ましい。
【0061】
トナーの製造法としては、原材料を混合し、該混合物を溶融混練機に仕込んで溶融混練する。該溶融混練機としては、例えば、一軸、二軸の連続混練機や、ロールミルによるバッチ式混練機を用いることができる。例えば、神戸製鋼所社製KTK型二軸押出機、東芝機械社製TEM型押出機、ケイシーケイ社製二軸押出機、池貝鉄工所社製PCM型二軸押出機、ブス社製コニーダー等が好適に用いられる。この溶融混練は、バインダー樹脂の分子鎖の切断を招来しないような適正な条件で行うことが好ましい。具体的には、溶融混練温度は、バインダー樹脂の軟化点を参考にして行われ、該軟化点より高温過ぎると切断が激しく、低温すぎると分散が進まないことがある。
前記粉砕では、前記混練で得られた混練物を粉砕する。この粉砕においては、まず、混練物を粗粉砕し、次いで微粉砕することが好ましい。この際ジェット気流中で衝突板に衝突させて粉砕したり、ジェット気流中で粒子同士を衝突させて粉砕したり、機械的に回転するローターとステーターの狭いギャップで粉砕する方式が好ましく用いられる。
前記分級は、前記粉砕で得られた粉砕物を分級して所定粒径の粒子に調整する。前記分級は、例えば、サイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことにより行うことができる。
【0062】
前記粉砕及び分級が終了した後に、粉砕物を遠心力などで気流中に分級し、所定の粒径のトナーを製造する。
また、トナーの流動性や保存性、現像性、転写性を高めるために、以上のようにして製造されたトナー母体粒子に更に前記流動化剤(E)を添加混合してもよい。添加剤の混合は一般の粉体の混合機が用いられるがジャケット等装備して、内部の温度を調節できることが好ましい。なお、添加剤に与える負荷の履歴を変えるには、途中又は漸次添加剤を加えていけばよい。この場合、混合機の回転数、転動速度、時間、温度などを変化させてもよい。又はじめに強い負荷を、次に、比較的弱い負荷を与えてもよいし、その逆でもよい。使用できる混合設備としては、例えば、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサーなどが挙げられる。次いで、250メッシュ以上の篩を通過させ、粗大粒子、凝集粒子を除去し、トナーが得られる。
【0063】
例えば、上記トナー構成成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後、ジェットミル等を用いて微粉砕し、さらに風力分級し、粒径D50が通常2〜20μmの粒子として
得られる。なお、粒径D50は、コールターカウンター[例えば、商品名:マルチサイザーIII(コールター社製)]を用い測定される。
【0064】
本発明のトナーバインダーを用いた本発明のトナーは、必要に応じて磁性粉(鉄粉、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト等)、ガラスビーズおよび/または樹脂(アクリル樹脂、シリコン樹脂等)により表面をコーティングしたフェライト等のキャリアー粒子と混合されて、電気的潜像の現像剤として用いられる。また、キャリアー粒子のかわりに帯電ブレード等の部材と摩擦し、電気的潜像を形成することもできる。次いで、公知の熱ロール定着方法等により支持体(紙、ポリエステルフィルム等)に定着して記録材料とされる。
【0065】
次に本発明に係る現像剤について説明する。
本発明の現像剤は、少なくともキャリアとトナーとからなる現像剤であって、トナーとしては上記トナーが使用される。
キャリアは、芯材と該芯材を被覆する被覆層とを有してなり、該被覆層が少なくとも結着樹脂及び第1粒子を含み、該第1粒子の体積平均粒径D1(μm)と、前記被覆層の厚みh(μm)とが、次式、1<(D1/h)<10を満たし、かつ芯材表面から被覆層表
面までの厚みT(μm)が、0.1μm≦T≦3.0μmである。また必要に応じてその
他の層を有してなる。
【0066】
<被覆層>
前記被覆層は、少なくとも結着樹脂及び第1粒子を含んでなり、更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。
−第1粒子−
前記第1粒子の体積平均粒径D1(μm)と、前記被覆層の厚みh(μm)とは、次式、1<(D1/h)<10を満たし、さらに1<(D1/h)<5を満たすことがより好ましい。前記第1粒子が上記式の関係を満たすと、被覆層に比べて第1粒子の方が凸となるので、現像剤を摩擦帯電させるための攪拌により、トナーとの摩擦、又はキャリア同士の摩擦で、結着樹脂への強い衝撃を伴う接触を緩和することができ、帯電発生箇所である結着樹脂の膜削れを抑制することが可能となる。また、キャリア表面に被覆層に比べて凸となる粒子が多数存在するため、キャリア同士の摩擦接触によりキャリア表面に付着したトナーのスペント成分を効率よく掻き落とすクリーニング効果が生じて、トナースペントを防止することができる。
前記(D1/h)が1以下であると、第1粒子が結着樹脂中に埋もれてしまうため、著しく効果が低下してしまうことがあり、10以上であると、第1粒子と結着樹脂との接触面積が少ないため、充分な拘束力が得られず、該第1粒子が容易に脱離してしまうことがある。
【0067】
前記第1粒子の体積平均粒子径D1は、0.05〜3μmが好ましく、0.05〜1μmがより好ましい。
前記被覆層の厚みh(μm)は、0.04〜2μmが好ましく、0.04〜1μmがより好ましい。
前記被覆層の厚みhには、図2に示したように、芯材表面と粒子との間に存在する樹脂部の厚みhaと、粒子間に存在する樹脂部の厚みhbと、芯材や粒子上の樹脂部の厚みhcとがある。
前記被覆層の厚みhは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、キャリア断面を観察し、芯材表面と粒子との間に存在する樹脂部の厚みhaと、粒子間に存在する樹脂部の厚みhbと、芯材や粒子上の樹脂部の厚みhcとを、キャリア表面に沿って0.2μm間隔で50点測定し、得られた測定値を平均した値である。
【0068】
芯材表面から被覆層表面までの平均厚みT(μm)は、0.1≦T≦3.0であり、0.1≦T≦2.0が好ましい。芯材表面から被覆層表面までの平均厚みが0.1μm未満であると、膜の総厚が薄すぎるため、ランニング経時において芯材が剥き出しになりやすく、キャリアの耐久性が低下することがある。芯材から被覆層表面までの平均厚みが3.0μmを越えると、芯材上で形成する膜厚が厚くなりすぎるため、キャリアの磁化が下がりやすくなり、キャリア付着が生じることがある。
前記芯材表面から被覆層表面までの平均厚みTは、図2に示したように、前記被覆層の厚みhとは異なる厚みを表しており、芯材表面から被覆層表面までの厚みを示し、粒子の粒径が被覆層の厚みよりも大きい場合は、粒子の粒径を含んだ値を示す。
前記芯材表面から被覆層表面までの平均厚みTは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、キャリア断面を観察し、芯材表面から被覆層表面までの厚みTを、キャリア表面に沿って0.2μm間隔で50点測定し、得られた測定値を平均した値である。
【0069】
前記第1粒子の体積固有抵抗は、1.0×1012Ω・cm以上が好ましく、1.0×1012〜1.0×1016Ω・cmがより好ましい。前記体積固有抵抗が1.0×1012Ω・cm未満であると、第1粒子が被覆層よりも大きくなり、芯材と被覆層表面を1粒の第1粒子で結ぶことが起こりうるので、ベタ部でのキャリア付着が生じてしまうことがある。
ここで、前記第1粒子の体積固有抵抗は、例えば、以下のようにして測定することができる。内径1インチの円筒状の塩化ビニル管の中に試料を入れ、その上下を電極で挟む。これら電極をプレス機により、15kg/cm2の圧力を1分加える。続いて、この加圧
した状態で、LCRメータによる測定を行い、抵抗(r)を得る。得られた抵抗値を、下記数式1により計算して、体積固有抵抗を求めることができる。
<数式1>
体積固有抵抗(Ω・cm)=(2.54/2)2×(π/H×r)
ただし、前記数式1中、Hは試料の厚みを表す。rは抵抗値を表す。
【0070】
前記第1粒子としては、例えば、アルミナ粒子、シリカ粒子、などが挙げられ、これらの中でも、アルミナ粒子は、キャリアの被覆材料に用いられる結着樹脂との相性も良く、分散性、接着性の面でも優れているだけではなく、硬度が非常に高いので、現像機内でのストレスに対し、磨耗、割れが生じ難く、長期にわたって被覆層の保護効果、スペント物掻き取り効果を発揮できるので特に好ましい。
前記アルミナ粒子としては、粒径5μm以下のアルミナ粒子が好ましく、表面処理していないもの、疎水化処理など表面処理したもの全てを用いることができる。
前記シリカとしては、トナー用に用いられているもの、及びそれ以外のものも用いることができ、表面処理していないもの、疎水化処理など表面処理したもの全てを用いることができる。
【0071】
前記第1粒子の被覆層における含有量は10〜80重量%が好ましく、20〜60重量%がより好ましい。前記含有量が10重量%未満であると、キャリア粒子表面での結着樹脂の占める割合に比べ、第1粒子の占める割合が少ないため、結着樹脂への強い衝撃を伴う接触を緩和する効果が小さいので、十分な耐久性が得られないことがある。一方、80重量%を超えると、キャリア表面での結着樹脂の占める割合に比べ、第1粒子の占める割合が多すぎるため、帯電発生箇所である結着樹脂の占める割合が不十分となり、十分な帯電能力を発揮できないことがある。更に、結着樹脂量に比べ第1粒子量が多すぎるので、結着樹脂による第1粒子の保持能力が不十分となり、第1粒子が脱離し易くなり、帯電量や抵抗等の変動量が増えて、十分な耐久性が得られないことがある。
ここで、前記第1粒子の含有量は、下記数式2で表される。
<数式2>
第1粒子の含有量(重量%)=[第1粒子の含有量÷被覆層に含まれる材料の総量(
第1粒子+第2粒子+結着樹脂+その他の成分)]×100
【0072】
−第2粒子−
前記第2粒子の粒径D2(μm)と、前記被覆層の厚みh(μm)とは、次式、0.001<(D2/h)<1を満たし、0.01<(D2/h)<0.5を満たすことがより好ましい。また、前記第2粒子の体積固有抵抗は1.0×1012Ω・cm以下であり、1.0×1010Ω・cm以下が好ましく、1.0×108Ω・cm以下がより好ましい。な
お、前記第2粒子の体積固有抵抗は、第1粒子と同様にして測定することができる。
前記第2粒子の粒径が、被覆層の厚みよりも小さく、体積固有抵抗が1.0×1012Ω・cm以下と低いことにより、抵抗の低い第2粒子が芯材表面と被覆層表面を1粒で結ぶ点が生じることなく被覆層中に存在することができるので、キャリア抵抗の大幅な低下を生じさせずに、被覆層の帯電特性を平均的に下げることができるとともに、局所的な低抵抗個所のない被覆層を形成することができる。
前記(D2/h)が1以上であると、第2粒子が被覆層厚みよりも大きいため、芯材表面とキャリア表面を抵抗の低い1粒の第2粒子で結ぶことになり、被覆層中に局所的に抵抗の低い個所が生じ、ベタ画像部でのキャリア付着が生じることがある。前記(D2/h)が0.001以下であると、被覆層厚みに対する第2粒子の粒径が小さくなり過ぎるため、帯電制御機能の効果を発揮しにくく好ましくない。また、帯電制御効果を発揮させる
ために多量に投入した場合には、結着樹脂に対する第2粒子の割合が多くなり過ぎ、第2粒子の保持能力が不十分となることがある。
前記第2粒子の粒径D2は、0.005〜1μmが好ましく、0.01〜0.2μmがより好ましい。
【0073】
前記第2粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、表面処理された酸化チタン、表面処理された酸化亜鉛、及び表面処理された酸化スズから選択される少なくとも1種の粒子が好適である。これら粒子は、帯電制御効果を十分に発揮できるとともに、キャリアのコート材料に用いられる樹脂との相性もよく、分散性、接着性の面でも優れている。また、粒子母体が何にせよ、表面を例えば導電性処理、疎水化処理などの処理を施した粒子で、粒径と固有抵抗が上記の範囲であれば、前記と同様の理由で良好な効果を発揮することができる。
前記第2粒子の被覆層における含有量は2〜50重量%が好ましく、2〜30重量%がより好ましい。基本的には第2粒子の含有量が多いほど帯電制御効果は大きくなるが、50重量%を超えると被覆層中での分散状態が悪化し、第2粒子の凝集が増えて実質的に大粒径粒子と同様の効果を発揮し出してしまい、キャリア抵抗の低下が生じ、ベタ画像部でのキャリア付着が生じることがある。一方、2重量%未満であると、第2粒子の含有量が少ないため、効果を十分に発揮することができなくなることがある。
ここで、前記第2粒子の被覆層における含有量は、下記数式3で表される。
<数式3>
第2粒子の含有量(重量%)=[第2粒子の含有量÷被覆層に含まれる材料の総量(
第1粒子+第2粒子+結着樹脂+その他の成分)]×100
【0074】
−結着樹脂−
前記結着樹脂としては、アクリル樹脂とアミノ樹脂との反応物、及びシリコン樹脂のいずれかが好適に挙げられる。
前記アクリル樹脂とアミノ樹脂との反応物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アクリル樹脂とアミノ樹脂との架橋反応物が好適である。
前記アクリル樹脂としては、特に制限はなく、全てのアクリル樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができるが、これらの中でも、ガラス転移温度(Tg)は20〜100℃が好ましく、25〜80℃がより好ましい。前記アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)がこの範囲内であると、アクリル樹脂は適度な弾性を有しており、現像剤を摩擦帯電させるための攪拌における、トナーとキャリアとの摩擦あるいはキャリア同士の摩擦で、結着樹脂への強い衝撃を伴う接触の際、該衝撃を吸収することができ、被覆層を破損することなく維持することが可能となる。
【0075】
前記ガラス転移温度(Tg)が20℃未満であると、常温においても結着樹脂がブロッキングするため、保存性が悪く実用上使用できないことがある。一方、ガラス転移温度(Tg)が100℃を超えると、結着樹脂が硬く脆性が高くなり過ぎて衝撃を吸収することができず、その脆さから結着樹脂が削れると共に、該粒子を保持することができず、脱離しやすくなることがある。
また、前記アミノ樹脂としては、特に制限はなく、従来から知られているアミノ樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グアナミン、メラミンを用いることで、帯電量付与能力を著しく向上させることができる。
前記シリコン樹脂としては、特に制限はなく、一般的に知られているシリコン樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オルガノシロキサン結合のみからなるストレートシリコン樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などで変性したシリコン樹脂、などが挙げられる。
また被覆層が導電性微粉末を含有したシリコン樹脂で形成されていても良い。
【0076】
前記シリコン樹脂は、市販品を用いることができ、ストレートシリコン樹脂としては、信越化学工業社製のKR271、KR255、KR152;東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のSR2400、SR2406、SR2410、等が挙げられる。
前記変性シリコン樹脂としては、例えば、信越化学工業社製のKR206(アルキド変性)、KR5208(アクリル変性)、ES1001N(エポキシ変性)、KR305(ウレタン変性);東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のSR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキド変性)、などが挙げられる。
なお、シリコン樹脂単体で用いることも可能であるが、架橋反応する成分、帯電量調整成分等を同時に用いることも可能である。
前記結着樹脂としては、上記樹脂以外にも、必要に応じてキャリア用被覆樹脂として一般的に用いられているものを使用することができ、例えば、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0077】
前記被覆層は、例えば、前記第1粒子、第2粒子、結着樹脂等を溶剤に溶解させて塗布溶液を調製した後、該塗布溶液を前記芯材の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付を行うことにより形成することができる。前記塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、などが挙げられる。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブチルアセテート、などが挙げられる。
前記焼付としては、特に制限はなく、外部加熱方式であってもよいし、内部加熱方式であってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロウエーブを用いる方法、などが挙げられる。
【0078】
<芯材>
前記芯材は、静電潜像担持体へのキャリア付着(飛散)防止の点から、体積平均粒径が20μm以上の大きさのものが好ましく、キャリアスジ等の発生防止等画質低下防止の点から100μm以下のものが好ましく、特に、近年の高画質化に対しては、20〜50μmがより好ましい。
前記芯材としては、特に制限はなく、電子写真用二成分キャリアとして公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェライト、マグネタイト、鉄、ニッケルが好適に挙げられる。また、近年著しく進む環境面への配慮をし、フェライトであれば、従来の銅−亜鉛系フェライトではなく、例えば、Mn系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Mn−Mg−Srフェライト等を用いることが好適である。
前記芯材の体積平均粒径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、10〜200μmが好ましく、10〜60μmがより好ましい。
本発明における、トナーとキャリアの混合割合は、キャリア100重量部に対しトナー1〜10.0重量部が好ましい。
【0079】
また、スペント化防止のために、従来よりキャリア表面に種々の樹脂を被覆する方法が提案されているが、いまだ満足できるものは得られていない。例えば、スチレン−メタクリレート共重合体や、スチレン単独重合体等の樹脂で被覆されたキャリアは帯電特性が優れているが、表面の表面張力が比較的高いために繰り返し使用するとスペント化が起り、現像剤としての寿命がそれほど長くない。また、四フッ化エチレン重合体を被覆したキャリアは、表面張力が低いのでトナーのスペント化が起り難いが、四フッ化エチレン重合体
が摩擦帯電系列において最も負側に位置しているために、トナーを負極性に帯電しようとする場合には使えない。
低い表面張力をもつものとしては、シリコン樹脂を含む被覆層で被覆されたキャリアが提案されている。例えば、不飽和シリコーン樹脂とオルガノシリコーン、シラノール等をスチレン−アクリル樹脂と混合してキャリア表面を被覆したもの(米国特許第3562533号);ポリフェニレン樹脂とオルガノシリコーンターポリマー樹脂とで表面を被覆されたキャリア(米国特許第3847127号);スチレン−アクリレート−メタクリレート樹脂と、オルガノシラン、シラノール、シロキサン等で表面を被覆されたキャリア(米国特許第3627522号)、シリコン樹脂と正帯電特性を持つ窒素含有樹脂とで被覆されたキャリア(特開昭55−127567号公報);及び変性シリコン樹脂で表面を被覆されたキャリア(特開昭55−157751号公報)等が挙げられる。
【0080】
一般に、被覆キャリアに使われる芯材の抵抗は低く、被覆層に使われる材料の抵抗は高いから、キャリア表面の被覆で該キャリアの抵抗調節も可能である。そこで、被覆層の厚さで抵抗を調節するために、被覆層中にカーボンブラック(特開昭56−126843号、特開昭62−45984号公報等);酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物(特開昭64−35561号公報等);等を分散させて被覆層の抵抗を調整する方法でキャリアの抵抗を調節し、高バイアス現像時に現像領域のエッジ部へキャリアが付着するのを防ぐと共に、低バイアス現像時に画像領域へキャリアが付着するのを防ぐ方法が提案されている。しかしながら、このような方法で初期のキャリア抵抗を調節しても、長時間の使用中に被覆層が摩擦・脱落等で減少して行くから、キャリアの抵抗が徐々に低下したり、または、被覆層中の抵抗調整剤の分散性が悪く、局所的に抵抗低下が発生し、キャリアが付着してしまう問題が残されている。キャリアの抵抗が、10[Log(Ω・cm)]以上16[Log(Ω・cm)]以下であることで、改善効果が顕著である。これは、抵抗が10[Log(Ω・cm)]未満の場合、非画像部でのキャリア付着が生じ好ましくない。一方、体積固有抵抗が16[Log(Ω・cm)]を超える場合、エッジ効果が許容できないレベルに悪化して好ましくない。
【0081】
本発明は、現像剤の寿命とキャリアの抵抗及び帯電能力が密接な関係にあることから、現像剤を長期間使用してもキャリアの抵抗及び帯電能が常に安定し、そのために現像特性が劣化せずに安定的に高品位画像を形成し得る高耐久性の現像剤用キャリアを提供することをその課題とする。
本発明によれば、表面に少なくとも樹脂と抵抗調節剤からなる被覆層を持つ被覆キャ
リアにおいて、該被覆層を単一膜として抵抗調整剤が均一に分散されていることを特徴とする静電潜像現像剤用キャリアが提供される。なお、被覆キャリアの比抵抗とは、被覆キャリアの集合体を均質なブロックとして取扱った場合の比抵抗なので、被覆層の材質が全被覆層で均質な場合であっても、被覆層の膜厚によって測定される比抵抗値は変動する。被覆層の抵抗調節剤がカーボンブラックであることを特徴とする前記の静電潜像現像用被覆キャリアが提供される。
さらに本発明によれば、カーボンブラックを抵抗調節剤とする前記の被覆キャリアにおいて、被覆層がシランカップリング剤を含むシリコン樹脂で形成され、該シランカップリング剤の濃度が被覆層表面ほど高濃度に形成されていること及び/又は含まれていても良い。触媒用有機スズ化合物の濃度が被覆層の厚さ方向に対して濃度匂配を持つことを特徴とする静電潜像現像用被覆キャリアが提供される。また、被覆層にシリコーン樹脂を使うと共に、該樹脂で被覆層を形成する際に添加されるシランカップリング剤量や、該被覆層の形成に使われる有機スズ化合物触媒量を調節し、これによって被覆層が長期間の使用で摩耗してもキャリアの抵抗が変らないようにし、同時にトナーの摩擦帯電量等の帯電特性が変らないようにしている。
【0082】
本発明のキャリアは、被覆層をシリコン樹脂で形成すると、表面エネルギーが低下して
トナーのスペント化が抑制される。また、被覆層に抵抗調節剤を添加している場合には、シランカップリング剤を添加して抵抗調節剤の安定微分散化を行っている。従って、抵抗調節剤量を表面ほど多くした場合には、抵抗調節剤量に応じてシランカップリング剤量も表面ほど多くするのが望ましく、このようにすれば抵抗調節剤の微分散化がより安定的になって帯電能が安定化する。また、被覆層に抵抗調節剤が含まれている場合、その量が多くなると被覆層の抵抗が下がるために帯電能の絶対値が小さくなる。しかし、被覆層がシランカップリング剤を含むシリコン樹脂で形成されている場合は、有機スズ化合物触媒量を変えることで帯電能の絶対値を調整することができる。これは、遊離のシランカップリング剤がキャリアの帯電能を変え、シリコン樹脂と反応したシランカップリング剤はキャリアの帯電能に影響しないからであり、触媒量の増加で遊離のシランカップリング剤量が減るからである。従って、キャリアの正帯電性を増加させるアミノシランカップリング剤と負帯電性トナーより成る現像剤では、触媒量増加で負帯電性が向上し、負帯電性トナーと組み合せた場合は触媒量の減少で正帯電性が増える。一方、キャリアの不帯電性を増加させるクロロシランカップリング剤の使用時は、前記と逆の結果が得られる。それゆえ、使用するトナーの帯電性やシランカップリング剤の種類によって触媒量を変化させれば、帯電能を安定化させることができる。
【0083】
本発明のキャリアの被覆層形成に好適な樹脂は、トナーのスペント化防止の点で好ましい樹脂であるシリコン樹脂が好ましい。被覆層形成には既知のシリコン樹脂が使われるが、シリコン樹脂としては従来より知られるいずれのシリコン樹脂であってもよく、例えば市販品として入手できる信越シリコーン社製のKR155,KR282,KR211,KR216,KR213や東レシリコーン社製のAY42−170,SR2510,SR2406,SR2410,SR2405,SR2411等が用いられる。
【0084】
本発明で使われるシランカップリング剤は、r−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、r−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、r−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−r−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、r−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、r−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、r−クロルプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、r−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、r−クロルプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロルシラン、ジメチルジクロルシラン、トリメチルクロルシラン(以上、トーレ・シリコン社製)、アリルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、1,3−ジビニルテトラメチルジシラザン、メタクリルオキシエチルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド(以上、チッソ社製)等である。例えば市販品として入手できる東レシリコーン社製のAY43−059,SR6020,SZ6023,SH6026,SZ6032,SZ6050,AY43−310M,SZ6030,SH6040,AY43−026,AY43−031,sh6062、Z−6911,sz6300,sz6075,sz6079,sz6083,sz6070,sz6072,Z−6721,AY43−004,Z−6187,AY43−021,AY43−043,AY43−040,AY43−047,Z−6265,AY43−204M,AY43−048,Z−6403,AY43−206M,AY43−206E,Z6341,AY43−210MC,AY43−083,AY43−101,AY43−013,AY43−158E,Z−6920,Z−6940等が用いられる。
【0085】
シランカップリング剤の添加量は、シリコン樹脂固形分に対し0.1〜10重量%が好ましく、シランカップリング剤の含有量が0.1重量%より少ない場合には効果が発揮さ
れないために、核体粒子や抵抗調節剤とシリコン被覆層の接着性が低下して長期間の使用中に被覆層が脱落する。また、含有量が10重量%を超えるとシリコン樹脂の持つ耐スペント性が低下し、長期間の使用中にトナーのスペント化が起る。
【0086】
本発明では、シランカップリング剤を含むシリコン樹脂で被覆層を形成させる場合に、シリコン樹脂とシランカップリング剤との間の反応用触媒に有機スズ化合物を使うのが好ましい。該触媒は、シリコン樹脂の炭化水素基水素とシランカップリング剤との反応促進に有効である。有機スズ化合物の添加量は、シランカップリング剤添加量の1〜100重量倍、好ましくは2〜50重量倍であり、添加量過少では添加効果が発揮されず、過大の場合はシリコーン樹脂本来の性能が発揮されないために耐スペント性が低下する。また、前記のように有機スズ化合物触媒濃度を被覆層の厚み方向で変えれば、該触媒による帯電能調整とスペント化の進行による帯電能低下をバランスさせることが可能であり、これによって該被覆キャリアの帯電能を長期間安定的に保持することができるし、触媒添加量の変化で帯電量を変えることも可能である。
【0087】
本発明で使われる核体粒子は既存の磁性体でよく、鉄、コバルト等の強磁性金属;マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄;各種合金や化合物、これら磁性体の微粉を結着剤樹脂中に分散させた樹脂核体粒子等である。さらに、体積平均粒径が20μm以上85μm以下であることで、改善効果が顕著である。これは、体積平均粒径が20μm未満の場合は、粒子の均一性が低下することと、マシン側で充分使いこなす技術が確立できていないことにより、キャリア付着などの問題が生じ好ましくない。一方、85μmを越える場合には、画像細部の再現性が悪く精細な画像が得られないので、好ましくない。
さらに静電潜像現像剤用現像剤において、前記キャリアの1000(103/4π・A
/m)における磁気モーメントが、40(Am2/kg)以上90(Am2/kg)以下であることが好ましい。
【0088】
上述のようにして得られた本発明に係るトナー及び現像剤は、耐ブロッキング性と低温定着性とが共に優れ、かつ現像剤や感光体へのスペントがなく、現像剤耐久性が高く、経時の帯電安定性に優れているので、電子写真法によって画像を形成するための装置であれば限定せず、例えば複写機やプリンターなどに使用することができる。とりわけ耐久性が高いため、トナーリサイクルを有するシステムにおいて有効である。また該帯電工程が、帯電部材を被帯電体に接触させて外部より帯電部材に電圧を印加し、被帯電体を帯電する画像形成方法や、静電潜像担持体上の静電潜像を現像剤により現像し、転写装置を介して該現像画像を転写材へ静電転写する工程の際に、該静電潜像担持体と転写装置とが当接する画像形成方法においてもトナーの融着等の発生がない。
さらに低温定着性に優れているため該定着工程が、トナー像を胆持した支持体を、2本のローラの間を通過させる事によってトナー像の加熱定着を行う定着装置であり、トナー像支持面と接触する側の定着ローラの厚みが1.0mm以下、2本のローラ間に加える面圧(ローラ荷重/接触面積)が1.5×105Pa以下である画像形成方法においても十
分な定着温度幅を得ることができる。
【0089】
本発明に係るカートリッジの一例を、図3を参照して説明する。
(カートリッジ)
本発明のカートリッジは、本発明の前記現像剤を容器中に収容してなる。前記容器としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、現像剤容器本体とキャップとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
前記現像剤容器本体としては、その大きさ、形状、構造、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記形状としては、円筒状などが好ましく、内周面にスパイラル状の凹凸が形成され、回転させることにより内容物であるトナーが排出口側に移行可能であり、かつ該スパイラル部の一部又は全部が蛇腹機能を
有しているもの、などが特に好ましい。
前記現像剤容器本体の材質としては、特に制限はなく、寸法精度がよいものが好ましく、例えば、樹脂が好適に挙げられ、その中でも、例えば、ポリエステル樹脂,ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、などが好適に挙げられる。
【0090】
本発明のカートリッジは、保存、搬送等が容易であり、取扱性に優れ、後述する本発明のプロセスカートリッジ、画像形成装置等に、着脱可能に取り付けて現像剤の補給に好適に使用することができる。
ここで、図3は、本発明の現像剤を充填した本発明の前記カートリッジを搭載した画像形成装置についての一例を示す概略図である。画像形成装置本体内に装着された現像部1と、この現像部1に補給される本発明の前記現像剤を充填したカートリッジ2とが現像剤送流手段3、接続部材11により接続されている。図3中、4は現像ハウジング、5は攪拌スクリュー、6は攪拌スクリュー、7は現像ローラ、8は感光体、9はドクターブレードをそれぞれ示す。
【0091】
(プロセスカートリッジ)
本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像を担持する静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に担持された静電潜像を、現像剤を用いて現像し可視像を形成する現像手段とを、少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択した、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段などのその他の手段を有してなる。
前記現像手段としては、本発明の前記現像剤を収容する現像剤収容器と、該現像剤収容器内に収容された現像剤を担持しかつ搬送する現像剤担持体とを、少なくとも有してなり、更に、担持させる現像剤の層厚を規制するための層厚規制部材等を有していてもよい。
本発明のプロセスカートリッジは、各種電子写真装置、ファクシミリ、プリンターに着脱自在に備えさせることができ、後述する本発明の画像形成装置に着脱自在に備えさせるのが好ましい。
ここで上記プロセスカートリッジは、例えば、図4に示すように、感光体10を内蔵し、帯電手段12、露光手段13、現像手段14、クリーニング手段17を含み、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
【0092】
前記感光体10としては、後述する画像形成装置と同様のものを用いることができる。
前記帯電手段12としては、任意の帯電部材が用いられる。
前記露光手段13としては、高解像度で書き込みが行うことのできる光源が用いられる。
本発明の画像形成装置としては、前記静電潜像担持体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。又、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも1つを静電潜像担持体とともに一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としてもよい。
【0093】
(画像形成装置及び画像形成方法)
本発明に係る画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
本発明の画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程等を含む。
本発明の画像形成方法は、上記の画像形成装置により好適に実施することができ、前記静電潜像形成工程は前記静電潜像形成手段により行うことができ、前記現像工程は前記現像手段により行うことができ、前記転写工程は前記転写手段により行うことができ、前記定着工程は前記定着手段により行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
【0094】
−静電潜像形成工程及び静電潜像形成手段−
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。
前記静電潜像担持体(感光体)としては、その材質、形状、構造、大きさ、等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、その形状としてはドラム状が好適に挙げられ、その材質としては、例えばアモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体、などが挙げられる。これらの中でも、長寿命性の点でアモルファスシリコン等が好ましい。
前記静電潜像の形成は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段により行うことができる。
前記静電潜像形成手段は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電器と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
前記帯電は、例えば、前記帯電器を用いて前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
【0095】
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、などが挙げられる。
前記露光は、例えば、前記露光器を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。 前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系、などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
【0096】
−現像工程及び現像手段−
前記現像工程は、前記静電潜像を、本発明の前記現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を本発明の前記現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、本発明の前記現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、本発明の前記現像剤を収容し、前記静電潜像に該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられ、本発明の前記カートリッジを備えた現像器などがより好ましい。
【0097】
前記現像器は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、
磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体(感光体)近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体(感光体)の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該現像剤により現像されて該静電潜像担持体(感光体)の表面に該現像剤による可視像が形成される。
【0098】
−転写工程及び転写手段−
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記現像剤として二色以上、好ましくはフルカラー現像剤を用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記静電潜像担持体(感光体)を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記静電潜像担持体(感光体)上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
【0099】
前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、などが挙げられる。
なお、記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベース等も用いることができる。
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いて定着させる工程であり、各色の現像剤に対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色の現像剤に対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組み合わせ、などが挙げられる。
【0100】
前記加熱加圧手段における加熱は、通常、80〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
前記除電工程は、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
前記クリーニング工程は、前記静電潜像担持体上に残留する前記現像剤を除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体上に残留する前記電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
【0101】
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記電子写真用カラートナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
前記制御工程は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
【0102】
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する一の態様について、図5を参照しながら説明する。図5に示す画像形成装置20は、前記静電潜像担持体としての感光体ドラム10(以下「感光体10」という)と、前記帯電手段としての帯電ローラ21と、前記露光手段としての露光装置22と、前記現像手段としての現像装置23と、中間転写体24と、クリーニングブレードを有する前記クリーニング手段としてのクリーニング装置25と、前記除電手段としての除電ランプ26とを備える。
中間転写体24は、無端ベルトであり、その内側に配置されこれを張架する3個のローラ27によって、矢印方向に移動可能に設計されている。3個のローラ27の一部は、中間転写体24へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加可能な転写バイアスローラとしても機能する。中間転写体24には、その近傍にクリーニングブレードを有するクリーニング装置28が配置されており、また、最終転写材としての転写紙29に現像像(トナー像)を転写(二次転写)するための転写バイアスを印加可能な前記転写手段としての転写ローラ30が対向して配置されている。中間転写体24の周囲には、中間転写体24上のトナー像に電荷を付与するためのコロナ帯電器31が、該中間転写体24の回転方向において、感光体10と中間転写体24との接触部と、中間転写体24と転写紙29との接触部との間に配置されている。
【0103】
現像装置23は、前記現像剤担持体としての現像ベルト32と、現像ベルト32の周囲に併設したブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cとから構成されている。なお、ブラック現像ユニット45Kは、現像剤収容部42Kと現像剤供給ローラ43Kと現像ローラ44Kとを備えており、イエロー現像ユニット45Yは、現像剤収容部42Yと現像剤供給ローラ43Yと現像ローラ44Yとを備えており、マゼンタ現像ユニット45Mは、現像剤収容部42Mと現像剤供給ローラ43Mと現像ローラ44Mとを備えており、シアン現像ユニット45Cは、現像剤収容部42Cと現像剤供給ローラ43Cと現像ローラ44Cとを備えている。また、現像ベルト32は、無端ベルトであり、複数のベルトローラに回転可能に張架され、一部が感光体10と接触している。
【0104】
図5に示す画像形成装置20において、例えば、帯電ローラ21が感光体ドラム10を一様に帯電させる。露光装置22が感光ドラム10上に像様に露光を行い、静電潜像を形成する。感光ドラム10上に形成された静電潜像を、現像装置23からトナーを供給して現像して可視像(トナー像)を形成する。該可視像(トナー像)が、ローラ27から印加された電圧により中間転写体24上に転写(一次転写)され、更に転写紙29上に転写(二次転写)される。その結果、転写紙29上には転写像が形成される。なお、感光体10上の残存トナーは、クリーニング装置25により除去され、感光体10における帯電は除電ランプ26により一旦、除去される。
【0105】
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について、図6を参照しながら説明する。図6に示す画像形成装置40は、図5に示す画像形成装置20
において、現像ベルト32を備えてなく、感光体10の周囲に、ブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cが直接対向して配置されていること以外は、図5に示す画像形成装置20と同様の構成を有し、同様の作用効果を示す。なお、図6においては、図5におけるものと同じ機能を有するものは同符号で示した。
【0106】
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について、図7を参照しながら説明する。図7に示すタンデム画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置である。前記タンデム画像形成装置は、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。
複写装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。そして、中間転写体50は、支持ローラ51、52及び53に張架され、図7中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ52の近傍には、中間転写体50上の残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング装置54が配置されている。支持ローラ51と支持ローラ52とにより張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段55が対向して並置されたタンデム型現像器120が配置されている。タンデム型現像器120の近傍には、露光装置56が配置されている。中間転写体50における、タンデム型現像器120が配置された側とは反対側には、二次転写装置57が配置されている。二次転写装置57においては、無端ベルトである二次転写ベルト58が一対のローラ59に張架されており、二次転写ベルト58上を搬送される転写紙と中間転写体50とは互いに接触可能である。二次転写装置57の近傍には定着装置60が配置されている。定着装置60は、無端ベルトである定着ベルト61と、これに押圧されて配置された加圧ローラ62とを備えている。
なお、前記タンデム画像形成装置においては、二次転写装置57及び定着装置60の近傍に、転写紙の両面に画像形成を行うために該転写紙を反転させるためのシート反転装置63が配置されている。
【0107】
次に、前記タンデム画像形成装置を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。即ち、先ず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス67上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス67上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス67上に原稿をセットした時は直ちに、スキャナ300が駆動し、第1走行体68及び第2走行体69が走行する。このとき、第1走行体68により、光源からの光が照射されると共に原稿面からの反射光を第2走行体69におけるミラーで反射し、結像レンズ70を通して読取りセンサ71で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報とされる。
【0108】
そして、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像情報は、前記タンデム画像形成装置における各画像形成手段73(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)にそれぞれ伝達され、各画像形成手段において、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各トナー画像が形成される。即ち、前記タンデム画像形成装置における各画像形成手段73(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)は、図8に示すように、それぞれ、感光体10(ブラック用感光体10K、イエロー用感光体10Y、マゼンタ用感光体10M及びシアン用感光体10C)と、該感光体を一様に帯電させる帯電器74と、各カラー画像情報に基づいて各カラー画像対応画像様に前記感光体を露光(図8中、L)し、該感光体上に各カラー画像に対応する静電潜像を形成する露光器と、該静電潜像を各カラー現像剤(ブラック現像剤、イエロー現像剤、マゼンタ現像剤
及びシアン現像剤)を用いて現像して各カラー現像剤によるトナー像を形成する現像器76と、該トナー像を中間転写体75上に転写させるための転写帯電器77と、感光体クリーニング装置78と、除電器79とを備えており、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像)を形成可能である。こうして形成された該ブラック画像、該イエロー画像、該マゼンタ画像及び該シアン画像は、支持ローラ51、52及び53により回転移動される中間転写体50上にそれぞれ、ブラック用感光体10K上に形成されたブラック画像、イエロー用感光体10Y上に形成されたイエロー画像、マゼンタ用感光体10M上に形成されたマゼンタ画像及びシアン用感光体10C上に形成されたシアン画像が、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体50上に前記ブラック画像、前記イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
【0109】
一方、図7中の給紙テーブル200においては、給紙ローラ82の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク83に多段に備える給紙カセット84の1つからシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ85で1枚ずつ分離して給紙路86に送出し、搬送ローラ87で搬送して複写機本体150内の給紙路88に導き、レジストローラ65に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラ150を回転して手差しトレイ66上のシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ92で1枚ずつ分離して手差し給紙路93に入れ、同じくレジストローラ65に突き当てて止める。なお、レジストローラ65は、一般には接地されて使用されるが、シートの紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。
そして、中間転写体50上に合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ65を回転させ、中間転写体50と二次転写装置57との間にシート(記録紙)を送出させ、二次転写装置57により該合成カラー画像(カラー転写像)を該シート(記録紙)上に転写(二次転写)することにより、該シート(記録紙)上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体50上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置54によりクリーニングされる。
【0110】
カラー画像が転写され形成された前記シート(記録紙)は、二次転写装置57により搬送されて、定着装置60へと送出され、定着装置60において、熱と圧力とにより前記合成カラー画像(カラー転写像)が該シート(記録紙)上に定着される。その後、該シート(記録紙)は、切換爪95で切り換えて排出ローラ96により排出され、排紙トレイ97上にスタックされ、あるいは、切換爪95で切り換えてシート反転装置63により反転されて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ96により排出され、排紙トレイ97上にスタックされる。
上記の本発明に係る画像形成装置及び画像形成方法は、耐久性に優れ、ランニング経時でのベタ画像部にキャリア付着が生じなく、キメの細かい画像を長期間にわたって形成することができ、色汚れの生じない、帯電制御性の良好な電子写真用キャリアを含む本発明の前記現像剤を用いているので、鮮明な高画質画像を形成することができる。
【0111】
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施するさらに他の態様について図9を参照して説明する。図9のデジタル複写機は、周知の電子写真方式を用い内部にドラム状感光体10を備えている。感光体10の周囲には矢印Aで示す回転方向に沿って、電子写真複写行程を実施する帯電器122、露光手段123、現像手段124、転写手段125、クリーニング手段126、リサイクル手段135、および定着手段130が配置されている。
露光手段123は、複写機上面の原稿載置台127に置かれた原稿を読み取り手段128によって読み取られた画像信号を基に感光体10上に静電潜像を形成する。
感光体10上に形成された静電潜像は、現像手段124によってトナー像化され、そのトナー像が給紙装置129から給送されてくる転写紙に転写手段125によって静電転写される。トナー像が載った転写紙は、定着手段130に搬送、定着された後に、機外へ排
出される。
一方、未転写部や汚れの付着した感光体10はクリーニング手段126によりクリーニングされ、クリーニングにより回収されたトナーはリサイクル手段135によりトナーホッパー部へ回収され、補給トナーと混合後、現像剤容器に戻され、次の作像ステップに入る。
【0112】
該定着工程は、トナー像を胆持した支持体を、2本のローラの間を通過させる事によってトナー像の加熱定着を行う定着装置によって行われる。トナー像支持面と接触する側の定着ローラの厚みが1.0mm以下、2本のローラ間に加える面圧(ローラ荷重/接触面積)が1.5×105Pa以下である定着装置の例を図10に示す。141は定着ローラ
、142は加圧ローラをそれぞれ表している。定着ローラ141はアルミニウム、鉄、ステンレス又は真鍮のような、高熱伝導体から構成された金属シリンダー143の表面にRTV(常温にて加硫ゴム)、シリコンゴム、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアル
キルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなオフセット防止層144が被覆されている。定着ローラ141の内部には、加熱ランプ145が配置されている。加圧ローラ142の金属シリンダー146は定着ローラ141と同じ材質が用いられる場合が多く、その表面にはPFA、PTFAなどのオフセット防止層147が被覆されている。また、必ずしも必要ではないが、加圧ローラ142の内部には加熱ランプ148が配置されている。
定着ローラ141と加圧ローラ142は図示してはいないが、両端のバネにより圧接され回転する。この定着ローラ141と加圧ローラ142の間にトナー像Tの付着支持体S(紙などの転写紙)を通過させ定着を行う。
【0113】
本発明に用いられる定着装置は、定着ローラの金属シリンダーの厚みを1.0mm以下とすることにより、定着ローラの温度立ち上がり特性を改善したものであり、極めて短時間で所望の温度まで立ち上げることができる。
好ましい金属シリンダーの厚みは、用いる材料の強度、熱伝導率により異なるが0.2〜0.7mmが好ましい。
また、定着ローラと加圧ローラ間に加える荷重(面圧)は1.5×105Pa以下であ
ることが好ましい。面圧はローラ両端に加えられる荷重をローラ接触面積で割った値である。
ローラ接触面積は、定着可能温度まで加熱したローラ間にOHP用紙のような、加熱により表面性の大きく変化するシートを通過させ、途中で停止し数10秒間保持した後排出し、表面性の変化した箇所の面積を求める。
ローラー面圧は高い方がトナー像の定着には有利であるが、前記定着ローラの金属シリンダーの厚みを1.0mm以下とした定着装置では、ローラの歪みを招くため大荷重は加えられず、その荷重は1.5×105Pa以下であり、好ましくは0.5〜1.0×105Paである。
本発明のトナーは熱伝導性が良好のため、ローラー面圧が1.5×105Pa以下、好
ましくは0.5〜1.0×105Paであっても良好な定着性が得られる。
【0114】
[トナーの残スチレンモノマーの定量方法]
トナーの残スチレンモノマーの定量方法は、ガスクロマトグラフを用いて以下の条件で測定した。
2.55mgのDMFを内部標準とし、100mlのアセトンを加えて内部標準品入り溶媒を作る。次にトナー400mgを上記溶媒で10mlの溶液とする。30分間超音波振とう機にかけたあと、1時間放置する。次に0.5μmのフィルターで濾過する。打ち込み試料量は4μlとする。
ガスクロマトグラフの条件は、以下の通りである。
・キャピラリカラム(30m×0.249mm、DBWAX、膜厚0.25μm)
・検出器FID、窒素圧0.45kg/cm2
・インジェクション温度:200℃
・ディテクター温度:200℃
・カラム温度:50℃から5℃/1分の昇温速度で30分間昇温後、200℃にて10分間ホールドする。
・検量線作成
サンプル溶液と同量のDMF、アセトン溶液にスチレンモノマーを加えた標準サンプルについて同様にガスクロマトグラフ測定し、モノマーと内部標準品DMFの重量比/面積比を求める。
【0115】
[トナー中の100℃における揮発分の定量方法]
トナー中の100℃における揮発分の定量方法は、熱天秤により100℃において、加熱時の重量減少量として測定する熱重量測定により測定される。具体的には、TGA−7、PE7700(パーキンエルマー社製)を使用し、トナー3〜8mgを精秤し(i)とし、窒素気流下で30〜100℃まで昇温速度20℃/分で加熱後のトナー重量を(ii)とし、その後連続して、100℃まで昇温速度10℃/分で加熱し、100℃にて10分間ホールドした後の重量を(iii)とした。[(ii)−(iii)]÷(i)×100で算出された値がトナー中の100℃における揮発分(重量%)である。
【0116】
[トナーのMI値(メルトインデックス値)測定方法]
トナーのMI値(メルトインデックス値)測定はJIS−K7210に準じて、TOYOSEIKI FLOW RATE COUNTER TYPE C−5059D(東洋精機製)を用い、荷重2160g、測定温度150℃、試料量5gにて測定した。
なお、トナーのMI値が3〜40g/10分であることにより定着温度範囲の広いトナーを得ることができる。好ましくは5〜30g/10分、さらに好ましくは10〜20g/10分である。
[トナーの含水量の測定方法]
トナーの含水量の測定方法は、まずトナーを30℃、60%RH環境下に24時間保存する。このトナー0.2gをカールフィッシャー水分滴定装置の気化装置(加熱炉温度:150℃、窒素気流下)を用いて測定する。
【0117】
[トナーの貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)測定方法]
−貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)の求め方−
トナーを熱プレスにて、20mm×20mm四方で厚みが2mmのシートに成形して試料を作製する。(株)レオロジ製のDVE型レオスペクトラーを測定装置として使用し、前記試料を所定の温度に維持して、強制振動非共振法により剪断方向に正弦振動(測定周波数10Hz)を加え、超微小変位下での応力レスポンスを測定し、その動力と動歪とから、公知の算出法で貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)及び正接損失(tanδ)を求めた。
【0118】
[トナー粒径D50測定方法]
トナー粒径D50測定方法は、コールターカウンター[例えば、商品名:マルチサイザーIII(コールタ一社製)]を用い測定される。
コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)があげられる。以下に測定方法について述べる。
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁し
た電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの重量、個数を測定して、重量分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)を求めることができる。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
【0119】
[ポリエステル樹脂又はトナーのMn、Mw、Mp測定方法]
本発明において、樹脂成分のテトラヒドロフラン(THF)可溶分のTHFを溶媒としたGPC(ゲルパーメイションクロマトグラフィ)によるクロマトグラムの分子量分布は次の条件で測定される。測定は、GPC(Waters社製の高速液体クロマトグラフ150C)を用いて行った。
【0120】
測定試料は以下のようにして作製する。
試料とTHFとを約5mg/mlの濃度で混合し、室温にて5〜6時間放置した後、十分に振とうしTHFと試料を良く混ぜ(試料の合一体がなくなるまで)、更に室温にて24時間静置する。このとき試料とTHFの混合開始時点から、静置終了時点までの時間が24時間以上となるようにする。その後、サンプル処理フィルタ(ポアサイズ0.45μm、たとえば、マイショリディスクH−25−2 東ソー社製、エキクロディスク25C
R ゲルマン サイエンスジャパン社製などが好ましく利用できる)を通過させたものをGPCの試料とする。
【0121】
GPC測定装置において、40℃のヒートチャンバ中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、東ソー社製の分子量が102〜107程度のものを用い、10点の標準ポリスチレン試料を用いる。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。カラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、東ソー社製のTSKgel G1000H(HXL),G20
00H(HXL),G3000H(HXL),G4000H(HXL),G5000H(HXL),G6000H(HXL),G7000H(HXL),TSKguardcolumnを組み合わせた。
【0122】
GPCクロマトグラムの測定では、高分子量側はベースラインからクロマトグラムが立上がり開始点から測定を始め、低分子量側は分子量約400まで測定する。得られたクロマトグラムから、数平均分子量Mn、重量平均分子量Mwが得られ、クロマトグラムの100万以上の面積をクロマトグラムの総面積で割った比率を100万以上の面積比とする。
【0123】
またポリエステル樹脂またはトナーの、Mn、Mw、Mpおよび分子量1500以下の成分の比率の測定方法は、THF可溶分についてGPCを用いて以下の条件で測定される。
装置 : 東ソー製 HCL−8120
カラム : TSKgelGMHXL(2本)
TSKgelmultiporeHXL−M(1本)
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25%のTHF溶液
溶液注入量: 100μml
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : ポリスチレン
得られたクロマトグラムから、Mn、Mwが得られる。また、Mpとはクロマトグラム上の最大のピーク高さを示す分子量のことを指し、これをピークトップ分子量と称する。さらに分子量1500で分割したときのピーク面積の比率で低分子量物の存在比を評価する。
【0124】
[分子量10万以上におけるショルダー・ピーク有無測定方法]
ポリエステル樹脂又はトナーのMn、Mw、Mp及び分子量1500以下の成分比率測定方法と同様の方法で得られるクロマトグラム上で、分子量が10万以上の領域に、ショルダー又はピークが存在するのか確認をする。ここで言うショルダーがあるとは、分子量が10万以上の成分が存在するが、ピークが存在しない状態を指す。一方、ピークがあるとは、分子量が10万以上の位置に中心を持つピークが存在する状態を指す。また、分子量が10万以上の領域に何も存在しない状態は、ショルダーもピークもないことを意味する。
【0125】
[定着下限温度の評価方法]
図10に示される構成の定着器(面圧:0.7×105Pa.S)をimagio MF6550[(株)リコー製]に装着し、ヒーター温度を振ってコピーを行い定着画像を得る。定着後の画像にメンディングテープ(3M社製)を貼り、一定の圧力を掛けた後、ゆっくり引き剥がす。その前後の画像濃度をマクベス濃度計により測定し、次式にて定着率を算出する。定着ローラの温度を段階的に下げて、下記式で示す定着率が80%以下となるときの温度を定着温度とする。
定着率(%)=テープ付着画像濃度/画像濃度×100
【0126】
[ホットオフセット発生温度の評価方法]
定着下限温度の評価方法と同様の定着機を使用し、2cm×2cmの黒ベタ画像を、ヒーター温度を振ってコピーを行い定着画像を得たときに、ホットオフセットが発生した時の温度とする。
<X線回折測定条件>
機種 : 日本電子 JDX−3500
ターゲット:CuKα線
管電圧 : 40kV
管電流 : 20mA
発散スリット : 1゜
散乱スリット : 1゜
受光スリット : 0.2mm
ステップ角度 :1゜/分
計数時間 : 1秒/分
走査範囲:1゜〜50゜
以下、X線回折測定はすべて同一条件で実施した。
【0127】
[結着樹脂及びトナー中に含有されている結着樹脂のTHF不溶分の測定]
トナーサンプル0.5〜1.0gを秤量し(W1g)、円筒濾紙(例えば東洋濾紙社製No.86R)を入れてソックスレー抽出器にかけ、溶媒としてTHF200mlを用いて10時間抽出し、溶媒によって抽出された可溶成分溶液をエバポレートした後、100℃
で数時間真空乾燥し、THF可溶樹脂成分量を秤量する(W2g)。トナー中の樹脂成分以外の重さを求める(W3g)。トナー中に含有されている結着樹脂のTHF不溶分は下記式から求められる。
【0128】
【数1】
或いは、抽出残分(W4g)を秤量し、THF不溶分を下記式から求めてもよい。
【数2】
【0129】
トナー化する前の結着樹脂のTHF不溶分の測定は、サンプルとして結着樹脂を用いて上記と同様にして抽出を行い、抽出前のサンプルの重量(W5g)と抽出後の抽出残分の
重量(W6g)から下記式により求められる。
【数3】
【0130】
[原料結着樹脂の酸価測定方法]
基本操作はJIS K−0070に準ずる。
(1)試料は上記のTHF不溶分の測定で得られるソックスレー抽出器によるTHF溶媒によって抽出された可溶成分を試料として使用する。試料の粉砕品1.0(g)を精秤し、可溶成分の重さをW(g)とする。
(2)300mlのビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(4/1)の混合液150mlを加え溶解する。
(3)0.1mol/lのKOHのエタノール溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する[例えば、京都電子株式会社製の電位差滴定装置AT−400(win work
station)とABP−410電動ビュレットを用いての自動滴定が利用できる。]。
(4)この時のKOH溶液の使用量をS[ml]とする。また、同時に試料を用いないブランク試験を行い、この時のKOH溶液の使用量をB[ml]とする。
(5)次式により酸価を計算する。fはKOHのファクターである。
酸価(mgKOH/g)={(S−B)×f×5.61}/W
【0131】
[水酸基価の測定]
基本操作はJIS K−0070に準ずる。
<装置及び器具>
・メスシリンダー(100ml)
・全量ピペット(5ml)
・平底フラスコ(200ml)
・グリセリン浴
<試薬>
・アセチル化試薬(無水酢酸25gを全量フラスコ100mlに取り、ピリジンを加えて全量を100mlにし、十分に振り混ぜる。)
・フェノールフタレイン溶液
・0.5mol/l水酸化カリウムエタノール溶液
【0132】
<測定法>
(a)試料を2.0g平底フラスコに精秤し、これにアセチル化試薬5mlを全量ピペットを用いて加える。
(b)フラスコの口に小さな漏斗を置き、温度95〜100℃のグリセリン浴中に底部約1cmを浸して加熱する。フラスコの首がグリセリン浴の熱を受けて温度が上がるのを防ぐために、中に丸い穴をあけた厚紙の円板をフラスコの首の付け根にかぶせる。
(c)1時間後フラスコをグリセリン浴から取り出し、放冷後漏斗から水1mlを加えて振り動かして無水酢酸を分解する。
(d)更に、分解を完全にするため、再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱し、放冷後エタノール(95%)5mlで漏斗及びフラスコの壁を洗う。
(e)フェノールフタレイン溶液数滴を指示薬として加え、0.5mol/l水酸化カリ
ウムエタノール溶液で滴定し、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときを終点とする
。
(f)空試験は、試料を入れないで(a)〜(e)を行う。
(g)試料が溶解しにくい場合は、少量のピリジンを追加するか、キシレン又はトルエンを加えて溶解する。
【0133】
<計算>
A=[{(B−C)×28.05×f}/S]+D
ただし、
A:水酸基価(mgKOH/g)
B:空試験に用いた0.5mol/l水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)
C:滴定に用いた0.5mol/l水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)
f:0.5mol/l水酸化カリウムエタノール溶液のファクター
S:試料の質量(g)
D:酸価
28.05:水酸化カリウムの式量56.11×1/2
【0134】
[芯材及びキャリアの体積平均粒径の測定方法]
芯材及びキャリアの体積平均粒径の測定は、マイクロトラック粒度分析計(日機装株式会社)のSRAタイプを使用し、0.7μm以上、125μm以下のレンジ設定で行ったものを用いた。
【0135】
[ガラス転移点(TG)測定方法]
JIS K 7121に準拠する。
試料の状態調整として、試験前にJIS K 7100(プラスチックの状態調節及び試験場所の標準状態)の標準温度状態2級及び標準湿度状態2級(温度23ア2及び相対湿度50±5%)において24時間調湿する。その後試料10mgをDSC装置のアルミパン容器に詰める。詰め方は容器に平らにかつ均一に入れ、容器のふたを載せ固定する。このとき容器の底が平らになっていない場合はふたの中央部を押し平らにする。容器の装置への装着方法として一方の容器ホルダーに試料を詰めた容器を入れ、もう片方には瘁|
アルミナ粉を試料と同じ見掛け体積分詰めてふたをして装着する。その後30℃から150℃まで、昇温速度10℃/分にて加熱し、10分間保った後、20℃まで冷却速度10℃/分にて冷却後、昇温速度10℃/分にて200℃まで加熱し、DSC曲線を得、図11に示すように、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線とガラス転移の階段状変化部分の曲線が交わる点の温度をガラス転移点(TG)とする。
【0136】
[軟化点の測定方法]
フローテスターを用いて、下記条件で等速昇温し、その流出量が1/2になる温度をも
って軟化点とする。
装置 :島津(株)製 フローテスター CTF−500D
荷重 :20kgf/cm2
ダイ :1mmΦ−1mm
昇温速度:6℃/min
試料量 :1.0g
【発明の効果】
【0137】
本発明は、高温高湿度下でのトナーの耐ブロッキング性と低温定着性とが共に優れ、かつ現像剤や感光体へのスペントがなく、現像剤耐久性の高く、経時の帯電安定性に優れたトナー、現像剤、カートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成方法を提供するものである。
さらに本発明は、ランニング経時でのベタ画像部にキャリア付着が生じることなく、キメの細かい画像を長期間にわたって形成することができ、色汚れの生じない、帯電制御性の良好な現像剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0138】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。以下、部は重量部を示す。
(実施例1)
<トナー1の製作>
[チタン含有触媒(a)の合成]
冷却管、攪拌機及び液中バブリング可能な窒素導入管の付いた反応槽中に、チタニウムジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)1617部とイオン交換水126部を入れ、窒素にて液中バブリング下、90℃まで徐々に昇温し、90℃で4時間反応(加水分解)させることで、チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)を得た。
以降の実施例についても同様の合成法にて、それぞれ本発明に用いるチタン含有触媒(a)を得ることができる。
【0139】
[ポリエステル樹脂(P−1)の合成]
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAのEO2モル付加物250部、ビスフェノールAのPO3モル付加物480部、テレフタル酸160部、イソフタル酸80部及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)3部を入れ、230℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が5以下になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸62部を加え、常圧密閉下2時間反応後取り出し、室温まで冷却後、粉砕してポリエステル樹脂(P−1)を得た。
(P−1)はTHF不溶分を20%含有し、その酸価は4、水酸基価は37、Tgは65℃であった。
【0140】
−スチレンブチルアクリレート樹脂(ST−1)合成例−
スチレンモノマー 75部
ブチルアクリレート 15部
ジ−tert−ブチルパーオキサイド 10部
上記各成分を、還流温度まで加温したクメン200部中に4時間かけて滴下した。さらにクメン還流下(140〜160℃)で溶液重合を完了し、クメンを除去した。
このようにして得られた共重合体30部を下記単量体混合物に溶解し、混合溶液とした。
【0141】
スチレンモノマー 38部
ブチルアクリレート 22部
マレイン酸モノブチル 10部
ジビニルベンゼン 0.1部
ベンゾイルパーオキサイド 1部
tert−ブチルパーオキシ−2−エチル−ヘキサノエート 0.7部
上記溶液にポリビニルアルコール部分ケン化物0.1部を溶解した水170部を加え、懸濁分散液とした。水30部を入れ、窒素置換した反応器に上記懸濁分散液を添加し、反応温度90℃で7時間懸濁重合反応させた。反応終了後に濾別、脱水、乾燥し、樹脂組成物ST−1を得た。
ST−1の残スチレンモノマー量は200ppm、THF不溶分は0%であった。
ポリエステル樹脂(P−1) 72部
スチレンブチルアクリレート樹脂(ST−1) 13部
帯電制御剤(S−34、オリエント化学工業社製) 1.5部
NP−055(三井化学製ポリエチレンワックス) 5.5部
カーボンブラック #C−44(三菱化学) 8部
【0142】
上記処方にて材料をへンシェルミキサ[三井三池化工機(株)製FM10B]を用いて予備混合した後、ニ軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し体積平均粒径が9.5μmのトナー母体粒子1を得た。ついで、トナー母体粒子1を100部にコロイダルシリカ[H−2000:クラリアント(株)製]1.0部、を上記ヘンシェルミキサーにて混合して、「トナー1」を得た。
こうして得た「トナー1」を、分子量100万以上における面積比、Mw、残存スチレンモノマー量、MI、含水量、貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)、100℃における揮発分、定着下限温度、ホットオフセット発生温度について評価を行った結果を、表1に記す。
【0143】
(実施例2)
ポリエステル樹脂(P−1) 17部
スチレンブチルアクリレート樹脂(ST−1) 67部
帯電制御剤(S−34、オリエント化学工業社製) 1.5部
NP−055(三井化学製ポリエチレンワックス) 5.5部
カーボンブラック #C−44(三菱化学) 8部
上記処方にて材料をへンシェルミキサ[三井三池化工機(株)製FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し体積平均粒径が9.5μmのトナー母体粒子1を得た。ついで、トナー母体粒子1を100部にコロイダルシリカ[H−2000:クラリアント(株)製]1.0部、を上記ヘンシェルミキサーにて混合して、「トナー2」を得た。こうして得られたトナー2について実施例1と同様
の評価を実施した。その結果を表1に示す。
【0144】
(実施例3)
[ポリエステル樹脂(P−2)の合成]
オートクレーブ中にノボラックA1モル(455g)を入れて反応容器内の空気を窒素
で置換した。次いでチタニウムジヒドロキビストリエタノールアミネートを5部加えて、温度を120℃に保ちつつ、ビスフェノールA−PO PO3モル付加物を(261g)
徐々に圧入し、反応を完結させた。揮発物を除去してノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル(NE1)を得た。
温度計、トルク検知器の付いた攪拌機、冷却器および窒素導入管の付いた反応槽中にビスフェノールA−E02モル付加物(425部)、NE1を75部、アジピン酸376部を入れて、窒素気流下230℃で反応させた。反応物に透明感が出た時点から反応温度を200℃に下げて減圧下でポリエステル化反応を進めた。反応物の粘度が徐々に高くなり、酸価が38mgKOH/gの値を示す時点で反応を停止し、反応物を取り出し急冷し、本発明のポリエステル樹脂(P−2)を得た。ポリエステル樹脂(P−2)はTg59℃、THF不溶分38%、酸価31mgKOH/gだった。
ポリエステル樹脂(P−2) 82部
帯電制御剤(T−95、保土ヶ谷化学工業社製) 3部
WEP−1(日本油脂 エステルワックス) 5部
カーボンブラック #C−44(三菱化学) 10部
上記処方にて材料をへンシェルミキサ[三井三池化工機(株)製FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練温度120℃で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し体積平均粒径が9.5μmのトナー母体粒子1を得た。ついで、トナー母体粒子1を100部にコロイダルシリカ[H−2000:クラリアント(株)製]1.0部、を上記ヘンシェルミキサーにて混合して、「トナー3」を得た。こうして得られたトナー3について実施例1と同様の評価を実施した。その結果を表1に示す。
【0145】
(実施例4)
[ポリエステル樹脂(P−3)の合成]
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ジプロビレングリコール80部、ペンタエリスリトール150部、ビスフェノールAのPO3モル付加物320部、ドデセニルコハク酸210部、アジピン酸120部及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(モノプロパノールアミネート)2部を入れ、230℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸30部を加え、常圧密閉下2時間反応後取り出し、室温まで冷却後、粉砕してポリエステル樹脂(P−3)を得た。(P−3)はTHF不溶分を含有しておらず、その酸価は15、水酸基価は64、Tgは70℃であった。
ポリエステル樹脂(P−3) 77部
スチレンブチルアクリレート樹脂(ST−1)を30℃にて
8時間脱気乾燥した樹脂 5部
帯電制御剤(S−44、オリエント化学工業社製) 3部
WEP−6(日本油脂 エステルワックス) 5部
カーボンブラック #C−44(三菱化学) 10部
上記処方にて材料をへンシェルミキサ[三井三池化工機(株)製FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し体積平均粒径が
7.5μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部にコロイダルシリカ[H−2000:クラリアント(株)製]2.0部、をサンプルミルにて混合して、「トナー4」を得た。こうして得られたトナー4について実施例1と同様の評価を実施した。その結果を表1に示す。
【0146】
(実施例5)
ポリエステル樹脂(P−1) 72部
スチレンブチルアクリレート樹脂(ST−1) 13部
帯電制御剤(E−84、オリエント化学工業社製) 1.5部
NP−055(三井化学製ポリエチレンワックス) 5.5部
カーボンブラック #C−44(三菱化学) 8部
上記処方にて材料をへンシェルミキサ[三井三池化工機(株)製FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し体積平均粒径が9.5μmのトナー母体粒子1を得た。ついで、トナー母体粒子1を100部にコロイダルシリカ[H−2000:クラリアント(株)製]1.0部を上記ヘンシェルミキサーにて混合して、「トナー5」を得た。こうして得られたトナー5について実施例1と同様の評価を実施した。その結果を表1に示す。
【0147】
(比較例1)
[ポリエステル樹脂(C−1)の合成]
重縮合触媒を酢酸チタニルに代える以外は実施例1の(P−1)と同様に反応させた。ポリエステル樹脂(C−1)はTHF不溶分を10%含有し、その酸価は22、水酸基価は64、Tgは63℃であった。
このポリエステル樹脂(C−1)を、実施例1のポリエステル樹脂(P−1)の替わりに用いたこと以外は実施例1と同様とした。こうして得られた比較トナー1について実施例1と同様の評価を実施した。その結果を表1に示す。
【0148】
(実施例6)
[変性ポリエステル樹脂の合成]
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAプロピレンオキシド2モル付加物635部、ビスフェノールAプロピレンオキシド3モル付加物18部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物243部、フェノールノボラック(平均重合度約5)のエチレンオキシド5モル付加物20部、コハク酸340部、イソフタル酸19部、無水トリメリット酸15部及び縮合触媒としてチタニルエトキシトリエタノールアミネート4部を入れ、230℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が5以下になるまで反応させた。次いで無水トリメリット酸65部を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧化で反応させ軟化点が105℃になった時点で、グリセリントリグリシジルエーテル20部を加え、軟化点160℃で取り出し、室温まで冷却後、粉砕して変性ポリエステル樹脂(H−1)を得た。(H−1)の酸価は18、水酸基価は28、Tgは65℃、THF不溶分は45%であった。
このポリエステル樹脂(H−1)を、実施例1のポリエステル樹脂(P−1)の替わりに用いたこと以外は実施例1と同様にしてトナー6を得た。こうして得られたトナー6について実施例1と同様の評価を実施した。その結果を表1に示す。
【0149】
(比較例2)
[比較用変性ポリエステル樹脂の合成]
重縮合触媒をオクタンテトラカルボン酸チタニルに代える以外は実施例6と同様に反応
させて比較用変性ポリエステル樹脂(CH−1)を得た。(CH−1)の酸価は42、水酸基価は37、Tgは71℃、THF不溶分は0%であった。
こうして得たポリエステル樹脂(CH−1)を、実施例6の変性ポリエステル樹脂(H−1)の替わりに用いたこと以外は実施例6と同様にして比較トナー2を得た。
上記実施例1〜6及び比較例1,2の評価結果を以下の表1に示す。
【0150】
【表1】
【0151】
[画像評価方法]
27℃、85%の高湿度環境にて、imagio neo350にて2%画像面積チャートを使用し、1度に2枚出力、その後120秒待ち、動作が完全に停止してから、さらに同様に出力という、低画像面積、低コピー使用のモードにて初期と100000枚出力後、かぶり及び現像剤物性を測定し、以下の基準で評価した。
A:非常に良好。かぶりなし。
B:良好。わずかにかぶり発生。
C:可能。かぶり発生しているが現実的には問題なし。
D:悪い。かぶりひどい。
トナーの残スチレンモノマーの定量はガスクロマトグラフを用いて以下の条件で測定した。
2.55mgのDMFを内部標準とし、100mlのアセトンを加えて内部標準品入り溶媒を作る。次にトナー400mgを上記溶媒で10mlの溶液とする。30分間超音波振とう機にかけたあと、1時間放置する。次に0.5μmのフィルターで濾過する。打ち込み試料量は4μlとする。
ガスクロマトグラフの条件としては以下の通り。
・キャピラリカラム(30m×0.249mm、DBWAX、膜厚0.25μm)
・検出器FID、窒素圧0.45kg/cm2
・インジェクション温度:200℃
・ディテクター温度:200℃
・カラム温度:50℃から5℃/1分の昇温速度で30分間昇温する。
・検量線作成
サンプル溶液と同量のDMF、アセトン溶液にスチレンモノマーを加えた標準サンプルについて同様にガスクロマトグラフ測定しモノマーと内部標準品DMFの重量比/面積比を求める。
【0152】
本発明において、トナー中の100℃における揮発分の定量方法については熱天秤により100℃の間に加熱時の重量減少量として測定する熱重量測定により測定される。具体的には、TGA−7、PE7700(パーキンエルマー社製)を使用し、トナー3〜8mgを精秤し(i)とし、窒素気流下で100℃まで昇温速度20℃/分で加熱後のトナー重量を(ii)とし、その後連続して、100〜150℃まで昇温速度10℃/分で加熱し150℃にて10分間ホールド後の重量を(iii)とした。[(ii)−(iii)]÷(i)×100で算出された値がトナー中の100℃における揮発分(重量%)である。
トナーのMI値(メルトインデックス値)測定はJIS−K7210に準じて、TOYOSEIKI FLOW RATE COUNTER TYPE C-5059D(東洋精機製)を用い、荷重2160g、測
定温度150℃、試料量5gにて測定した。
【0153】
(実施例7)
実施例1で得られたトナー1と、下記キャリア1を用いて本発明に係る現像剤を作製した。
<キャリア1の製作>
下記組成をホモミキサーで10分間分散して、被覆層形成用溶液を調製した。
−被覆層形成用溶液の組成−
アクリル樹脂溶液(固形分濃度:50重量%) 1500重量部
グアナミン溶液(固形分濃度:70重量%) 450重量部
酸性触媒(固形分濃度:40重量%) 9重量部
アルミナ粒子(体積平均粒径:0.35μm、
体積固有抵抗:1.0×1014Ω・cm) 1500重量部
酸化チタン粒子(体積平均粒径:0.015μm、
体積固有抵抗:1.0×106Ω・cm) 500重量部
トルエン 6000重量部
【0154】
次に、芯材として体積平均粒径が35μmの焼成フェライト粉を用い、上記被覆層形成用溶液を芯材表面にスピラコーター(岡田精工社製)によりコーター内温度40℃で塗布し乾燥した。
得られたキャリアを電気炉中にて180℃で1時間放置して焼成した。冷却後、フェライト粉バルクを目開き63μmの篩を用いて解砕して、「キャリア1」を作製した。
得られた「キャリア1」の厚みhは、0.15μm、厚みTは0.2μm、第1粒子(アルミナ)の含有率は48重量%、D1/hは2.3、第2粒子(酸化チタン)含有率は16重量%、D2/hは0.10であった。
次に、上記「トナー1」17重量部と、「キャリア1」93重量部を混合攪拌し、トナー濃度7重量%の現像剤を作製した。
得られた現像剤について、以下のようにして、画像スジ、かぶり、感光体汚れ、画像の精細性、地肌部キャリア付着、耐久性(帯電低下量、抵抗変化量)、及びベタ画像キャリア付着を評価した。その結果を表2に示す。
【0155】
(実施例8)
実施例4で得られたトナー4と実施例7で作製されたキャリア1を用いて、本発明に係る他の現像剤を作製した。こうして得られた現像剤について実施例7と同様の評価を実施した。その結果を表2に示す。
(比較例3)
比較例1で得られた比較トナー1と実施例7で作製されたキャリア1を用いて、本発明に係る他の現像剤を作製した。こうして得られた現像剤について実施例7と同様の評価を実施した。その結果を表2に示す。
(実施例9)
実施例6で得られたトナー6と実施例7で作製されたキャリア1を用いて、本発明に係る他の現像剤を作製した。こうして得られた現像剤について実施例7と同様の評価を実施した。その結果を表2に示す。
(比較例4)
比較例2で得られた比較トナー2と実施例7で作製されたキャリア1を用いて、本発明に係る他の現像剤を作製した。こうして得られた現像剤について実施例7と同様の評価を実施した。その結果を表2に示す。
【0156】
(実施例10)
実施例7において、被覆層の組成を以下のように変更した以外は、実施例7と同様にして、「キャリア2」を作製した。
−被覆層の組成−
アクリル樹脂溶液(固形分濃度50重量%) 640部
グアナミン溶液(固形分濃度70重量%) 200部
酸性触媒(固形分濃度40重量%) 3.6部
シリコン樹脂溶液[固形分20重量%(SR2410:
東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)] 3000部
アミノシラン[固形分100重量%(SH6020:
東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)] 6.8部
アルミナ粒子(体積平均粒径:0.35μm、
体積固有抵抗:1.0×1014Ω・cm) 1500部
酸化チタン粒子(体積平均粒径:0.015μm、
体積固有抵抗:1.0×106Ω・cm) 500部
トルエン 6000部
得られた「キャリア2」の厚みhは0.15μm、厚みTは0.2μm、第1粒子(アルミナ)の含有率は48重量%、D1/hは2.3、第2粒子(酸化チタン)の含有率は16重量%、D2/hは0.10であった。
次に、得られた「キャリア2」を用い、実施例7と同様にして、現像剤を作製し、実施例7と同様にして、画像の精細性、耐久性(帯電低下量、抵抗変化量)、地肌部のキャリア付着及びベタ画像キャリア付着等を評価した。その結果を表2に示す。
【0157】
(実施例11)
実施例10において、第2粒子を酸化亜鉛(体積平均粒径:0.02μm、体積固有抵抗:1.0×107Ω・cm)に変更した以外は、実施例4と同様にして「キャリア3」
を作製した。
得られた「キャリア3」の厚みhは0.15μm、厚みTは0.2μm、第1粒子(アルミナ)の含有率は48重量%、D1/hは2.3、第2粒子(酸化亜鉛)の含有率は16重量%、D2/hは0.13であった。
次に、得られた「キャリア3」を用い、実施例1と同様にして、現像剤を作製し、実施例7と同様にして、画像の精細性、耐久性(帯電低下量、抵抗変化量)、地肌部のキャリア付着及びベタ画像キャリア付着を評価した。その結果を表2に示す。
【0158】
(実施例12)
実施例10において、第2粒子を酸化スズ(体積平均粒径:0.02μm、体積固有抵抗:1.0×105Ω・cm)に変更した以外は、実施例10と同様にして「キャリア4
」を作製した。
得られた「キャリア4」の、厚みhは0.15μm、厚みTは0.2μm、第1粒子(アルミナ)の含有率は48重量%、D1/hは2.3、第2粒子(酸化スズ)の含有率は16重量%、D2/hは0.13であった。
次に、得られた「キャリア4」を用い、実施例7と同様にして、現像剤を作製し、実施例7と同様にして、画像の精細性、耐久性(帯電低下量、抵抗変化量)、地肌部のキャリア付着、及びベタ画像キャリア付着を評価した。その結果を表2に示す。
【0159】
(実施例13)
実施例10において、第2粒子(酸化チタン)の含有率を54重量%(処方;3000重量部)に変更した以外は、実施例10と同様にして「キャリア5」を作製した。
得られた「キャリア5」の厚みhは0.15μm、厚みTは0.18μm、第1粒子(アルミナ)含有率は27重量%、D1/hは2.3、D2/hは0.10であった。
次に、得られた「キャリア5」を用い、実施例7と同様にして、現像剤を作製し、実施例7と同様にして、画像の精細性、耐久性(帯電低下量、抵抗変化量)、地肌部のキャリア付着、及びベタ画像キャリア付着を評価した。その結果を表2に示す。
(実施例14)
実施例10において、第1粒子(アルミナ)の含有率を86重量%(処方;10000重量部)に変更した以外は、実施例10と同様にして「キャリア6」を作製した。
得られた「キャリア6」の厚みhは0.15μm、厚みTは0.23μm、D1/hは2.3、第2粒子(酸化チタン)の含有率は4.3重量%、D2/hは0.10であった。
次に、得られた「キャリア6」を用い、実施例7と同様にして、現像剤を作製し、実施例7と同様にして、画像の精細性、耐久性(帯電低下量、抵抗変化量)、地肌部のキャリア付着、及びベタ画像キャリア付着を評価した。その結果を表2に示す。
【0160】
(実施例15)
実施例10において、被覆層厚が2倍になるようにコーティング量を変更した以外は、実施例10と同様にして「キャリア7」を作製した。
得られた「キャリア7」の厚みhは0.15μm、Tは0.4μm、第1粒子(アルミナ)含有率は48重量%、D1/hは2.3、第2粒子(酸化チタン)の含有率は16重量%、D2/hは0.10であった。
次に、得られた「キャリア7」を用い、実施例7と同様にして現像剤を作製し、実施例7と同様にして、画像の精細性、耐久性(帯電低下量、抵抗変化量)、地肌部のキャリア付着、及びベタ画像キャリア付着を評価した。その結果を表2に示す。
【0161】
(実施例16)
実施例10おいて、被覆層厚が0.5倍になるようにコーティング量を変更した以外は、実施例10と同様にして「キャリア8」を作製した。
得られた「キャリア8」の厚みhは0.15μm、厚みTは0.10μm、第1粒子(アルミナ)含有率は48重量%、D1/hは2.3、第2粒子(酸化チタン)の含有率は16重量%、D2/hは0.10であった。
次に、得られた「キャリア8」を用い、実施例7と同様にして現像剤を作製し、実施例7と同様にして、画像の精細性、耐久性(帯電低下量、抵抗変化量)、地肌部のキャリア付着、及びベタ画像キャリア付着を評価した。その結果を表2示す。
(実施例17)
実施例10おいて、被覆層厚が15倍になるようにコーティング量を変更した以外は、実施例10同様にして「キャリア9」を作製した。
得られた「キャリア9」の厚みhは0.15μm、厚みTは3.0μm、第1粒子(アルミナ)含有率は48重量%、D1/hは2.3、第2粒子(酸化チタン)の含有率は1
6重量%、D2/hは0.10であった。
次に、得られた「キャリア9」を用い、実施例7と同様にして現像剤を作製し、実施例7と同様にして、画像の精細性、耐久性(帯電低下量、抵抗変化量)、地肌部のキャリア付着、及びベタ画像キャリア付着を評価した。その結果を表2示す。
【0162】
(実施例18)
実施例7において、第1粒子をアルミナ粒子(体積平均粒径:0.35μm、体積固有抵抗:1×1011Ω・cm)に変更した以外は、実施例7と同様にして「キャリア10」を作製した。
得られた「キャリア10」の厚みhは0.15μm、厚みTは0.2μm、第1粒子(アルミナ)の含有率は48重量%、D1/hは2.3、第2粒子(酸化スズ)の含有率は16重量%、D2/hは0.1であった。
次に、得られた「キャリア10」を用い、実施例7と同様にして現像剤を作製し、実施例7と同様にして、画像の精細性、耐久性(帯電低下量、抵抗変化量)、地肌部のキャリア付着、及びベタ画像キャリア付着を評価した。その結果を表2示す。
【0163】
(実施例19)
実施例7において、第1粒子をシリカ粒子(体積平均粒径:0.35μm、体積固有抵抗:1×1014Ω・cm)に変更した以外は、実施例7と同様にして「キャリア11」を作成した。
得られた「キャリア11」の、厚みhは0.15μm、厚みTは0.2μm、第1粒子(アルミナ)の含有率は48重量%、D1/hは2.3、第2粒子(酸化スズ)の含有率は16重量%、D2/hは0.1であった。
次に、得られた「キャリア11」を用い、実施例7と同様にして現像剤を作製し、実施例7と同様にして、画像の精細性、耐久性(帯電低下量、抵抗変化量)、地肌部のキャリア付着、及びベタ画像キャリア付着を評価した。その結果を表2示す。
(実施例20)
実施例7において、第2粒子を酸化亜鉛(体積平均粒径:0.02μm、体積固有抵抗:1.0×107Ω・cm)に変更した以外は、実施例7と同様にして、「キャリア12
」を作製した。
得られた「キャリア12」の、厚みhは0.15μm、厚みTは0.2μm、第1粒子(アルミナ)の含有率は48重量%、D1/hは2.3、第2粒子(酸化亜鉛)の含有率は16重量%、D2/hは0.13であった。
次に、得られた「キャリア12」を用い、実施例7と同様にして現像剤を作製し、実施例7と同様にして、画像の精細性、耐久性(帯電低下量、抵抗変化量)、地肌部のキャリア付着、及びベタ画像キャリア付着を評価した。その結果を表2示す。
【0164】
(実施例21)
実施例10おいて、第2粒子(酸化チタン)の含有率を74重量%(処方;3000重量部)に変更した以外は、実施例10と同様にして「キャリア13」を作製した。
得られた「キャリア13」の、厚みhは0.15μm、厚みTは0.18μm、第1粒子(アルミナ)含有率は27重量%、D1/hは2.3、D2/hは0.10であった。
次に、得られた「キャリア13」を用い、実施例7と同様にして、現像剤を作製し、実施例7と同様にして、画像の精細性、耐久性(帯電低下量、抵抗変化量)、地肌部のキャリア付着、及びベタ画像キャリア付着を評価した。その結果を表2に示す。
【0165】
(実施例22)
実施例10において、第1粒子(アルミナ)の含有率を90重量%(処方;10000重量部)に変更した以外は、実施例10と同様にして「キャリア14」を作製した。
得られた「キャリア14」の、厚みhは0.15μm、厚みTは0.23μm、D1/
hは2.3、第2粒子(酸化チタン)の含有率は4.3重量%、D2/hは0.10であった。
次に、得られた「キャリア14」を用い、実施例7と同様にして、現像剤を作製し、実施例7と同様にして、画像の精細性、耐久性(帯電低下量、抵抗変化量)、地肌部のキャリア付着、及びベタ画像キャリア付着を評価した。その結果を表2に示す。
【0166】
(比較例5)
実施例10において、第1粒子の体積平均粒子径を0.1μmに変更した以外は、実施例10と同様にして「キャリア15」を作製した。
得られた「キャリア15」の厚みhは0.15μm、厚みTは0.22μm、第1粒子(アルミナ)の含有率は48.0重量%、D1/hは0.7、第2粒子(酸化チタン)の含有率は16重量%、D2/hは0.10であった。
次に、得られた「キャリア15」を用い、実施例7と同様にして、現像剤を作製し、実施例7と同様にして、画像の精細性、耐久性(帯電低下量、抵抗変化量)、地肌部のキャリア付着、及びベタ画像キャリア付着を評価した。その結果を表2に示す。
【0167】
【表2】
【0168】
本発明の静電潜像現像用現像剤は、高温高湿度下でのトナーの耐ブロッキング性と低温定着性とが共に優れ、かつ感光体へのトナースペントは発生し難いため、安定して良好な画像が得られる。更に、キャリア表面へのトナースペントが発生し難いため、安定した帯電量を長期にわたり得られるとともに、結着樹脂膜の削れが発生し難いため、安定した電
気抵抗が長期にわたり得られる。更に、ランニング経時でのベタ画像上のキャリア付着も発生が非常に少ないので、キャリア付着による画像悪化が無く、現像剤量減少による画像悪化及び耐久性悪化が発生しない。更に、高精細な画像を得ることができる。更に、地肌部のキャリア付着が良好である。また、色汚れの原因となるカーボンブラックを含有しないため、色汚れの影響が出るカラー用のキャリアとして非常に良好な性質を有する。従って、コピー枚数が増加するにつれ発生する複写画像の画質劣化が大幅に改善され、長期にわたり良好な画像を維持することができるという優れた効果を奏するものである。
本発明の現像剤は、二成分現像方法等の公知の各種電子写真法による画像形成に好適に用いることができ、以下の本発明のカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に特に好適に用いることができる。
【0169】
[画像スジ、かぶり、感光体汚れ評価方法]
市販のデジタルフルカラープリンター(株式会社リコー製、IPSiO CX8200)改造機に現像剤をセットし、2%画像面積チャートを使用し、1度に2枚出力、その後120秒待ち、動作が完全に停止してから、さらに同様に出力という、低画像面積、低コピー使用のモードにて初期と100,000枚出力後、画像スジ、かぶり、感光体汚れを評価した。
画像スジは目視にて発生本数を数え評価値とし、3本以下は合格、4本以上は不合格とした。かぶりについても目視にて評価を行い、以下ランク付けを総合的に判断し、A、B、Cを合格とし、Dは不合格とした。
A:非常に良好。かぶりなし。
B:良好。わずかにかぶり発生。
C:可能。かぶり発生しているが現実的には問題なし。
D:悪い。かぶりひどい。
【0170】
更に、感光体汚れについても、目視にて評価を行い、以下ランク付けを総合的に判断し、◎、○を合格とし、△、×を不合格とした。
◎:感光体のトナー汚れはなく、画質も良好。
○:感光体に微量のトナーの付着があるものの、画質低下(白地汚れ)はほとんど無し。
△:感光体に微量のトナーの付着があり、画質低下(白地汚れ)も観察された。
×:感光体へのトナーの付着が多く、白地汚れに加え、画像に白スジが入るなど画質低下が顕著。
【0171】
[帯電量]
帯電量は、キャリア93重量%に対しトナー7重量%の割合で混合し摩擦帯電させたサンプルを、一般的なブローオフ法[東芝ケミカル(株)製、TB−200]にて測定した値をいう。
[体積固有抵抗]
体積固有抵抗は、キャリアを抵抗計測平行電極の電極間(ギャップ2mm)に投入し、DC1000Vを印加し、30sec後の抵抗値をハイレジスト計で計測した値を体積抵抗率に変換した値を求めた。
【0172】
[画像の精細性]
画像の精細性については、文字画像部の再現性によって評価した。評価方法は、市販のデジタルフルカラープリンター(株式会社リコー製、IPSiO CX8200)改造機に現像剤をセットし、画像面積5%の文字チャート(1文字の大きさが2mm×2mm程度)を出力し、その文字再現性を画像により評価し、次のようにランク分けした。
◎:非常に良好。
○:良好。
△:許容。
×:実用上使用できないレベル。
なお、◎○△を合格とし、×を不合格とした。
【0173】
[地肌部キャリア付着]
地肌部キャリア付着については、市販のデジタルフルカラープリンター(株式会社リコー製、IPSiO CX8200)改造機に現像剤をセットし、地肌ポテンシャルを150Vに固定し、画像面積1%のA3文字チャート(1文字の大きさが2mm×2mm程度)を出力し、その地肌部のキャリア付着発生個数により評価し、次のようにランク分けした。
◎:0個。
○:2個以上5個以下。
△:6個以上10個以下。
×:11個以上とした。
なお、◎○△を合格とし、×を不合格とした。
【0174】
[耐久性]
市販のデジタルフルカラープリンター(株式会社リコー製、IPSiO CX8200)改造機に現像剤をセットし、単色による100,000枚のランニング評価を行った。そして、このランニングを終えたキャリアの帯電低下量、及び抵抗低下量をもって耐久性を判断した。
ここで、前記帯電量低下量とは、初期のキャリア95重量%に対しトナー5重量%の割合で混合し摩擦帯電させたサンプルを、一般的なブローオフ法(東芝ケミカル株式会社製、TB−200)にて測定した帯電量(Q1)から、ランニング後の現像剤中のトナーを前記ブローオフ装置にて除去し得たキャリアを、前記方法と同様の方法で測定した帯電量(Q2)を差し引いた量を意味する。目標値は10.0μc/g以内である。また、帯電量の低下の原因はキャリア表面へのトナースペントであるため、このトナースペントを減らすことで、帯電量低下を抑えることができる。
ここで、前記抵抗変化量とは、初期のキャリアを抵抗計測平行電極の電極間(ギャップ2mm)に投入し、DC1000Vを印加して30sec後の抵抗値をハイレジスト計で計測した。得られた値を体積抵抗率に変換した値(R1)から、ランニング後の現像剤中のトナーを前記ブローオフ装置にて除去し得たキャリアを、前記抵抗測定方法と同様の方法で測定した値(R2)を差し引いた量のことを意味する。目標値は絶対値で3.0[Log(Ω・cm)]以内である。また、抵抗変化の原因は、キャリアの被覆層の削れ、トナー成分のスペント、キャリア被覆層中の大粒子脱離などであるため、これらを減らすことで、抵抗変化量を抑えることができる。
【0175】
[ベタ画像キャリア付着]
上記耐久性評価の後、同デジタルフルカラープリンターを用いて地肌ポテンシャルを150Vに固定し、A3サイズ用紙に前面ベタ画像を現像し得た画像上の白抜け個所や実際に付着しているキャリア個数をルーペ観察によりカウントし、そのトータル個数をもってベタ画像キャリア付着量とした。評価は、◎:0個、○:2個以上5個以下、△:6個以上10個以下、×:11個以上とした。なお、◎○△を合格とし、×を不合格とした。
【0176】
(実施例23)
実施例1のトナー1と下記の被覆層を有するキャリア16により現像剤を作製した。
−被覆層形成用溶液の組成−
シリコン樹脂(SR−2411:東レ・ダウコーニング
・シリコーン社製) 900部
トルエン 450部
カーボンブラック(BP−2000:キャボット社製) 18部
シランカップリング剤[3−(2−アミノエチル)
アミノプロピルトリメトキシシラン] 20部
有機スズ化合物(ジブチルスズジアセテート) 25部
上記の被覆層形成液調製用混合物をTKホモミクサーMARK2.5型(特殊機化工工業社製)で撹拌・混合して、被覆層形成用溶液を得た。
【0177】
別途、平均粒径50μm(F−300:パウダーテック社製 磁化65Am2/kg)
のフェライト核粒子7,500gを用意し、流動床型被覆層形成装置(SP−40:岡田精工社製)を使って被覆キャリアを作成した。すなわち、被覆層形成用溶液を撹拌しながら28g/分のスピードで前記のフェライト核粒子に供給し、フェライト核粒子の被覆を開始した。所要時間50分で被覆層形成を終了した。被覆層の形成終了後、被覆層が形成されているフェライト核粒子を乾燥して、膜厚0.8μmの被覆層を持つ被覆キャリアを得た。なお、希釈溶媒を除去するために、電気炉を用い300℃にて1時間乾燥させた。このときに被覆キャリアに十分熱が伝わるよう、厚さを3cm未満となるようにステンレスバットに敷き詰めた。乾燥後に被覆キャリアを解砕し、目開き90μのメッシュを通して粗大粉を取り除き「キャリア16」を得た。
実施例1で得られた「トナー1」5重量部と「キャリア16」95重量部をターブラー・シェーカー・ミキサー T2F型にて96min-1の回転数で1分間混合し、現像剤を得た。
【0178】
(実施例24)
実施例4で得られた「トナー4」5重量部と実施例23で得られた「キャリア16」95重量部をターブラー・シェーカー・ミキサー T2F型にて96min-1の回転数で1分間混合し現像剤を得た。こうして得られた現像剤について実施例23と同様の評価を実施した。その結果を表3に示す。
(比較例6)
比較例1で得られた「比較トナー1」5重量部と実施例23で得られた「キャリア16」95重量部をターブラー・シェーカー・ミキサー T2F型にて96min-1の回転数で1分間混合し現像剤を得た。こうして得られた現像剤について実施例23と同様の評価を実施した。その結果を表3に示す。
(実施例25)
実施例6で得られた「トナー6」5重量部と実施例23で得られた「キャリア16」95重量部をターブラー・シェーカー・ミキサー T2F型にて96min-1の回転数で1分間混合し、現像剤を得た。こうして得られた現像剤について実施例23と同様の評価を実施した。その結果を表3に示す。
【0179】
(比較例7)
比較例2で得られた「比較トナー2」5重量部と実施例23で得られた「キャリア16」95重量部をターブラー・シェーカー・ミキサー T2F型にて96min-1の回転数で1分間混合し現像剤を得た。こうして得られた現像剤について実施例23と同様の評価を実施した。その結果を表3に示す。
(比較例8)
実施例23において、被覆層の組成を以下のように変更した以外は、実施例23と同様にして「キャリア17」を作製した。
−被覆層形成用溶液の組成−
アクリル樹脂(BR−83:三菱レーヨン社製) 100部
トルエン 600部
カーボンブラック(BP−2000:キャボット社製) 18部
シランカップリング剤[3−(2−アミノエチル)
アミノプロピルトリメトキシシラン] 20部
上記の被覆層形成液調製用混合物をTKホモミクサーMARK2.5型(特殊機化工工業社製)で撹拌・混合して、被覆層形成用溶液を得た。その後の処理は実施例23のキャリア16と同様に処理を行い「キャリア17」を得た。
実施例1で得られた「トナー1」5重量部と「キャリア17」95重量部をターブラー・シェーカー・ミキサー T2F型にて96min-1の回転数で1分間混合し現像剤を得た。こうして得られた現像剤について実施例23と同様の評価を実施した。その結果を表3に示す。
【0180】
(実施例26)
実施例23において、被覆層の組成を以下のように変更した以外は、実施例23と同様にして「キャリア18」を作製した。
−被覆層形成用溶液の組成−
シリコン樹脂(SR−2411:東レ・ダウコーニング
・シリコーン社製) 100部
トルエン 450部
酸化チタン(ECT−52:チタン工業社製) 15部
シランカップリング剤[r−(2−アミノエチル)
アミノプロピルメチルトリメトキシシラン] 10部
有機スズ化合物(ジブチルスズジアセテート) 2部
上記の被覆層形成液調製用混合物をTKホモミクサーMARK2.5型(特殊機化工工業社製)で撹拌・混合して、被覆層形成用溶液を得た。その後の処理は実施例23のキャリア16と同様に処理を行い「キャリア18」を得た。
実施例1で得られた「トナー1」5重量部と「キャリア18」95重量部をターブラー・シェーカー・ミキサー T2F型にて96min-1の回転数で1分間混合し、現像剤7を得た。こうして得られた現像剤について実施例23と同様の評価を実施した。その結果を表3に示す。
【0181】
(実施例27)
実施例23において、被覆層の組成を以下のように変更した以外は、実施例23と同様にして「キャリア19」を作製した。
−被覆層形成用溶液の組成−
シリコン樹脂(SR−2411:東レ・ダウコーニング
・シリコーン社製) 100部
トルエン 450部
シランカップリング剤[r−(2−アミノエチル)
アミノプロピルメチルトリメトキシシラン] 5部
有機スズ化合物(ジブチルスズジアセテート) 2部
上記の被覆層形成液調製用混合物をTKホモミクサーMARK2.5型(特殊機化工工業社製)で撹拌・混合して被覆層形成用溶液を得た。その後の処理は実施例23のキャリア16と同様に処理を行い「キャリア19」を得た。
実施例1で得られた「トナー1」5重量部と「キャリア19」95重量部をターブラー・シェーカー・ミキサー T2F型にて96min-1の回転数で1分間混合し現像剤を得た。こうして得られた現像剤について実施例23と同様の評価を実施した。その結果を表3に示す。
【0182】
(実施例28)
実施例23において、被覆層の組成を以下のように変更した以外は、実施例23と同様にして「キャリア20」を作製した。
−被覆層形成用溶液の組成−
シリコン樹脂(SR−2411:東レ・ダウコーニング
・シリコーン社製) 900部
トルエン 450部
カーボンブラック(BP−2000:キャボット社製) 18部
有機スズ化合物(ジブチルスズジアセテート) 25部
上記の被覆層形成液調製用混合物をTKホモミクサーMARK2.5型(特殊機化工工業社製)で撹拌・混合して、被覆層形成用溶液を得た。その後の処理は実施例23のキャリア16と同様に処理を行い「キャリア20」を得た。
実施例1で得られた「トナー1」5重量部と「キャリア20」95重量部をターブラー・シェーカー・ミキサー T2F型にて96min-1の回転数で1分間混合し、現像剤9を得た。こうして得られた現像剤について実施例23と同様の評価を実施した。その結果を表3に示す。
【0183】
(実施例29)
実施例23において、被覆層の組成を以下のように変更した以外は、実施例23と同様にして「キャリア21」を作製した。
−被覆層形成用溶液の組成−
シリコン樹脂(SR−2411:東レ・ダウコーニング
・シリコーン社製) 900部
トルエン 450部
カーボンブラック(BP−2000:キャボット社製) 18部
シランカップリング剤[3-(2-アミノエチル)
アミノプロピルトリメトキシシラン] 20部
アルミニウムトリプロポキシド 25部
上記の被覆層形成液調製用混合物をTKホモミクサーMARK2.5型(特殊機化工工業社製)で撹拌・混合して、被覆層形成用溶液を得た。その後の処理は実施例23のキャリア16と同様に処理を行い「キャリア21」を得た。
実施例1で得られた「トナー1」5重量部と「キャリア21」95重量部をターブラー・シェーカー・ミキサー T2F型にて96min-1の回転数で1分間混合し現像剤を得た。こうして得られた現像剤について実施例23と同様の評価を実施した。その結果を表3に示す。
【0184】
(実施例30)
実施例23において、被覆層の組成を以下のように変更した以外は、実施例23と同様にして「キャリア22」を作製した。
−被覆層形成用溶液の組成−
シリコン樹脂(SR−2411:東レ・ダウコーニング
・シリコーン社製) 900部
トルエン 800部
カーボンブラック(BP−2000:キャボット社製) 36部
シランカップリング剤[3-(2-アミノエチル)
アミノプロピルトリメトキシシラン] 20部
有機スズ化合物(ジブチルスズジアセテート) 25部
上記の被覆層形成液調製用混合物をTKホモミクサーMARK2.5型(特殊機化工工業社製)で撹拌・混合して、被覆層形成用溶液を得た。その後の処理は実施例23のキャリア16と同様に処理を行い「キャリア22」を得た。
実施例1で得られた「トナー1」5重量部と「キャリア22」95重量部をターブラー・シェーカー・ミキサー T2F型にて96min-1の回転数で1分間混合し現像剤を得た。こうして得られた現像剤について実施例23と同様の評価を実施した。その結果を表3に示す。
【0185】
(実施例31)
平均粒径50μm(F−300:パウダーテック社製)のフェライト核粒子を篩い分け処理し、体積平均粒径18μmとした。
実施例23において、被覆層の組成を以下のように変更した以外は、実施例23と同様にして「キャリア23」を作製した。
−被覆層形成用溶液の組成−
シリコン樹脂(SR−2411:東レ・ダウコーニング
・シリコーン社製) 2250部
トルエン 1125部
カーボンブラック(BP−2000:キャボット社製) 45部
シランカップリング剤[3-(2-アミノエチル)
アミノプロピルトリメトキシシラン] 50部
有機スズ化合物(ジブチルスズジアセテート) 63部
上記の被覆層形成液調製用混合物をTKホモミクサーMARK2.5型(特殊機化工工業社製)で撹拌・混合して、被覆層形成用溶液を得た。その後の処理は上記の体積平均粒径18μmの芯材を用いて、実施例23のキャリア16と同様に処理を行い「キャリア23」を得た。
実施例1で得られた「トナー1」5重量部と「キャリア23」95重量部をターブラー・シェーカー・ミキサー T2F型にて96min-1の回転数で1分間混合し現像剤を得た。こうして得られた現像剤について実施例23と同様の評価を実施した。その結果を表3に示す。
【0186】
(実施例32)
平均粒径50μm(F−300:パウダーテック社製)のフェライト核粒子を篩い分け処理し、体積平均粒径88μmとした。
実施例23において、被覆層の組成を以下のように変更した以外は、実施例23と同様にして「キャリア24」を作製した。
−被覆層形成用溶液の組成−
シリコン樹脂(SR−2411:東レ・ダウコーニング
・シリコーン社製) 500部
トルエン 250部
カーボンブラック(BP−2000:キャボット社製) 10部
シランカップリング剤[3-(2-アミノエチル)
アミノプロピルトリメトキシシラン] 11部
有機スズ化合物(ジブチルスズジアセテート) 14部
上記の被覆層形成液調製用混合物をTKホモミクサーMARK2.5型(特殊機化工工業社製)で撹拌・混合して、被覆層形成用溶液を得た。その後の処理は上記の体積平均粒径88μmの芯材を用いて、実施例23のキャリア16と同様に処理を行い「キャリア24」を得た。
実施例1で得られた「トナー1」5重量部と「キャリア24」95重量部をターブラー・シェーカー・ミキサー T2F型にて96min-1の回転数で1分間混合し現像剤を得た。こうして得られた現像剤について実施例23と同様の評価を実施した。その結果を表3に示す。
【0187】
(実施例33)
平均粒径75μm(FSL−100:パウダーテック社製):磁化38のフェライト核粒子を用いた下記被覆層形成用溶液を用いて実施例23と同様に処理を行い「キャリア25」を得た。
−被覆層形成用溶液の組成−
シリコン樹脂(SR−2411:東レ・ダウコーニング
・シリコーン社製) 1350部
トルエン 675部
カーボンブラック(BP−2000:キャボット社製) 27部
シランカップリング剤[3-(2-アミノエチル)
アミノプロピルトリメトキシシラン] 30部
有機スズ化合物(ジブチルスズジアセテート) 38部
実施例1で得られた「トナー1」5重量部と「キャリア25」95重量部をターブラー・シェーカー・ミキサー T2F型にて96min-1の回転数で1分間混合し現像剤を得た。こうして得られた現像剤について実施例23と同様の評価を実施した。その結果を表3に示す。
【0188】
(実施例34)
平均粒径50μm(MF−50:パウダーテック社製):磁化100のフェライト核粒子を用いた以外は実施例23と同様に処理を行い「キャリア26」を得た。
実施例1で得られた「トナー1」5重量部と「キャリア26」95重量部をターブラー・シェーカー・ミキサー T2F型にて96min-1の回転数で1分間混合し現像剤を得た。こうして得られた現像剤について実施例23と同様の評価を実施した。その結果を表3に示す。
【0189】
【表3】
【0190】
[定着性の評価方法]
図10に示される構成の定着器(面圧:0.7×105Pa.S)をimagio M
F6550[(株)リコー製]に装着し、ヒーター温度を振ってコピーを行い定着画像を得る。定着後の画像にメンデイングテープ(3M社製)を貼り、一定の圧力を掛けた後、
ゆっくり引き剥がす。その前後の画像濃度をマクベス濃度計により測定し、次式にて定着率を算出する。定着ローラの温度を段階的に下げて、下記式で示す定着率が80%以下となるときの温度を定着温度とする。
定着率(%)=テープ付着画像濃度/画像濃度×100
【0191】
[ホットオフセット発生温度の評価方法]
上記定着性の評価方法同様の定着機を使用し黒べた2cm×2cmの画像原稿としヒーター温度を振ってコピーを行い定着画像を得たときに、ホットオフセットが発生したときの温度とする。
【0192】
[画像評価方法]
imagio neo350にて2%画像面積チャートを使用し、1度に2枚出力、その後120秒待ち、動作が完全に停止してから、さらに同様に出力という、低画像面積、低コピー使用のモードにて初期と100000枚出力後、画像スジ、かぶり及び現像剤物性を測定した。画像すじは目視には発生本数を数えた。かぶりは以下のランクにて目視にて総合的に判断した。
A:非常に良好。かぶりなし。
B:良好。わずかにかぶり発生。
C:可能。かぶり発生しているが現実的には問題なし。
D:悪い。かぶりひどい。
[感光体汚れ判定基準]
◎:感光体のトナー汚れはなく、画質も良好。
○:感光体に微量のトナーの付着があるものの、画質低下(白地汚れ)はほとんど無し。
△:感光体に微量のトナーの付着があり、画質低下(白地汚れ)も観察された。
×:感光体へのトナーの付着が多く、白地汚れに加え、画像に白スジが入るなど画質低下が顕著。
【0193】
[現像剤帯電量の測定方法]
東芝ケミカル(株)製のブローオフ粉体帯電量測定装置TB−200にて帯電量を測定した。
[キャリア抵抗]
図12に示すように、電極間距離2mm、表面積2×4cmの電極152a、電極152bを収容したフッ素樹脂製容器からなるセル151にキャリア153を充填し、三協パイオテク社製:タッピングマシンPTM−1型を用いて、タッピングスピード30回/minにて1分間タッピング操作を行う。両極間に1000Vの直流電圧を印加し、ハイレジスタンスメーター4329A(4329A+LJK5HVLVWDQFH 0HWHU
;横川ヒューレットパッカード株式会社製)により直流抵抗を測定して電気抵抗率Rル・cmを求め、LogRを算出する。
【0194】
[キャリアおよび芯材 体積平均粒径]
キャリアの体積平均粒子径は、マイクロトラック粒度分析計(日機装社製)のSRAタイプを用いて測定することができる。0.7μm以上、125μm以下のレンジ設定で行ったものを用いた。また、分散液にはメタノールを使用し屈折率1.33、キャリアおよび芯材の屈折率は2.42に設定する。
[磁化]
前記は磁気モーメントは、以下のようにして測定することができる。B−Hトレーサー(BHU−60/理研電子(株)製)を使用し、円筒セル(内径7mm、高さ10mm)にキャリア芯材粒子1.0gを詰めて装置にセットする。磁場を徐々に大きくし3000エルステッドまで変化させ、次に徐々に小さくして零にした後、反対向きの磁場を徐々に
大きくし3000エルステッドとする。更に徐々に磁場を小さくして零にした後、最初と同じ方向に磁場をかける。このようにして、B−Hカーブを図示し、その図より1000エルステッドの磁気モーメントを算出する。
【0195】
[キャリア付着]
(非画像部キャリア付着)
市販のデジタルフルカラープリンター(リコー社製imagio MF6550)に現像剤をセットし、帯電電位DC740V、現像バイアス600Vに設定(地肌ポテンシャルを140Vに固定)し、ドット形成ハーフトーンを現像した感光体表面に付着しているキャリア個数をルーペ観察により5視野カウントし、その平均の100cm2当たりのキ
ャリア付着個数をもってエッジキャリア付着量とした。
評価は、◎:20個以下、○:21個以上60個以下、△:61個以上80個以下、×:81個以上とし、◎○△を合格とし、×を不合格とした。
(画像部キャリア付着)
白抜け(画像部にキャリア付着すると画像が抜け、白抜けとなる)は帯電電位DC740V、現像バイアス600Vに設定(地肌ポテンシャルを140Vに固定)し、全面ベタ画像(A3サイズ)を出力し、画像上の白抜けした個数をカウントした。
評価は、◎:5個以下、○:6個以上10個以下、△:11個以上20個以下、×:21個以上とし、◎○△を合格とし、×を不合格とした。
【図面の簡単な説明】
【0196】
【図1】本発明に係る定性分析(ピークサーチ)を示す解析図である。
【図2】本発明の現像剤用キャリアの被覆層を示す説明図である。
【図3】本発明のトナー又は現像剤入り容器を搭載した画像形成装置の一例を示す概略説明図である。
【図4】本発明のプロセスカートリッジの一例を示す概略説明図である。
【図5】本発明の画像形成装置及び当該装置を用いる画像形成方法の一例を示す概略説明図である。
【図6】本発明の画像形成装置及び当該装置を用いる画像形成方法の他の例を示す概略説明図である。
【図7】本発明の画像形成装置(タンデム型カラー画像形成装置)及び当該装置を用いる画像形成方法の一例を示す概略説明図である。
【図8】図7に示す画像形成装置における部分拡大図である。
【図9】本発明のリサイクルシステムを有する画像形成装置及び当該装置を用いる画像形成方法の一例を示す概略説明図である。
【図10】本発明に用いられる定着装置の一例を示す図である。
【図11】ガラス転移点(TG)測定方法を説明するためのグラフである。
【図12】本発明の画像定着装置を説明するための概略説明図である。
【符号の説明】
【0197】
1 現像部
2 カートリッジ
3 現像剤送流手段
4 現像ハウジング
5,6 攪拌スクリュー
7 現像ローラ
8 感光体
9 ドクターブレード
10 感光体
11 接続部材
12 帯電手段12
13 露光手段
14 現像手段
17 クリーニング手段
20,40 画像形成装置
23 現像装置
24 中間転写体
29 転写紙
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも結着樹脂と着色剤と荷電制御剤からなるトナーにおいて、当該結着樹脂が少なくとも重縮合ポリエステル樹脂を含有し、該ポリエステル樹脂が下記一般式(I)または(II)で表される少なくとも1種のチタン含有触媒(a)の存在下に形成されてなる樹脂であって、該結着樹脂におけるGPCにより測定される分子量分布において100万以上の面積比が3〜20重量%であり、重量平均分子量が50万〜200万の範囲にあることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
Ti(−X)m(−OH)n (I)
O=Ti(−X)p(−OR)q (II)
[式中、Xは炭素数2〜12のモノもしくはポリアルカノールアミンから1個のOH基のHを除いた残基であり、ポリアルカノールアミンの他のOH基が同一のTi原子に直接結合したOH基と分子内で重縮合し環構造を形成していてもよく、他のTi原子に直接結合したOH基と分子間で重縮合し繰り返し構造を形成していてもよい。繰り返し構造を形成する場合の重合度は2〜5である。RはH、または1〜3個のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜8のアルキル基である。mは1〜4の整数、nは0〜3の整数、mとnの和は4である。pは1〜2の整数、qは0〜1の整数、pとqの和は2である。mまたはpが2以上の場合、それぞれのXは同一であっても異なっていてもよい。]
【請求項2】
請求項1記載の静電荷像現像用トナーにおいて、前記結着樹脂がスチレン系共重合体樹脂5〜50重量%およびポリエステル樹脂50〜95重量%からなり、前記トナー中における残存スチレンモノマー量が0.1〜50ppm(重量基準)であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【請求項3】
請求項1又は2記載の静電荷像現像用トナーにおいて、該トナーのMI(メルトインデックス)値が3〜40g/10分であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の静電荷像現像用トナーにおいて、含水量が30℃、60%RH(相対湿度)の雰囲気に24時間放置したとき30〜5000ppm(重量基準)であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【請求項5】
トナー組成物のレオロジー特性が、周波数10Hzのもとで70℃において、貯蔵弾性率(G’)が5×105〜5×108dyne/cm2、130℃において損失弾性率(G”
)が1×102〜1×106dyne/cm2であることを特徴とする請求項1〜4記載の
いずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項6】
前記荷電制御剤が、下記一般式(III)で示されるクロム錯体化合物からなり、該荷電制
御剤のX線回折においてCuKα特性X線での測定角2シーターが5〜30度の範囲に、ブラッグ角2シーターの主要ピークが、ピークA:8.6度±0.3度にあり、このX線強度がスキャンスピード1度/分において8000〜15000cpsの範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
【化1】
(式中、Xは水素原子、低級アルキル基、ニトロ基、ハロゲン原子等を示し、それぞれが同一または異なっていても良く、A+は水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオ
ン、アンモニウムイオン、脂肪族アンモニウムイオンを示す。)
【請求項7】
トナー組成物の100℃における揮発分が、0.05〜0.3重量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項8】
前記式(I)または(II)中のXが、ジもしくはトリアルカノールアミンから1個のOH基のHを除いた残基であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項9】
前記式(I)または(II)中のmまたはpが2以上であり、Xがすべて同一の基である請求項1〜8記載のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項10】
前記ポリエステル樹脂の少なくとも一部がポリエポキシド(c)で変性されてなる請求項1〜9のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項11】
前記トナーが、離型剤、および1種以上の添加剤を含有する請求項1〜10のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項12】
少なくともキャリアとトナーとからなる現像剤であって、該キャリアは、芯材と該芯材を被覆する被覆層とを有してなり、該被覆層が少なくともキャリア用結着樹脂及び第1粒子を含み、該第1粒子の体積平均粒径D1(μm)と、前記被覆層の厚みh(μm)とが、次式、1<(D1/h)<10を満たし、かつ芯材表面から被覆層表面までの厚みT(μm)が、0.1≦T≦3.0μmであり、該トナーは請求項1〜11のいずれかに記載のものであることを特徴とする静電荷像現像用現像剤。
【請求項13】
前記キャリアの被覆層に含まれる第1粒子の含有量が10〜80重量%であることを特徴とする、請求項12に記載の静電荷像現像用現像剤。
【請求項14】
前記キャリアの被覆層に含まれるキャリア用結着樹脂が、アクリル樹脂とアミノ樹脂を架橋反応させたもの、或いは/及びシリコン樹脂であることを特徴とする、請求項12又は13に記載の静電荷像現像用現像剤。
【請求項15】
前記キャリアの被覆層に含まれる第1粒子の体積固有抵抗が、1.0×1012Ω・cm以上であることを特徴とする請求項12〜14のいずれか一項に記載の静電荷像現像用現像剤。
【請求項16】
前記キャリアの被覆層に含まれる第1粒子が、アルミナ粒子であることを特徴とする請求項12〜15のいずれか一項に記載の静電荷像現像用現像剤。
【請求項17】
前記キャリアの被覆層が前記第1粒子とは別に第2粒子を含み、該第2粒子の体積平均粒径D2(μm)と、被覆層の厚みh(μm)とが、次式、0.001<(D2/h)<1を満たすことを特徴とする請求項12〜16のいずれか一項に記載の静電荷像現像用現像剤。
【請求項18】
前記第2粒子の被覆層における含有量が、2〜50重量%であることを特徴とする、請求項17に記載の静電荷像現像用現像剤。
【請求項19】
前記第2粒子の体積固有抵抗が、1.0×1012Ω・cm以下であることを特徴とする請求項17又は18に記載の静電荷像現像用現像剤。
【請求項20】
前記第2粒子が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、表面処理された酸化チタン、表面処理された酸化亜鉛、及び表面処理された酸化スズから選択される少なくとも1種の粒子であることを特徴とする請求項17〜19のいずれか一項に記載の静電荷像現像用現像剤。
【請求項21】
前記被覆層が、導電性微粉末を含有したシリコン樹脂で形成されたものであることを特徴とする請求項12記載の静電荷像現像用現像剤。
【請求項22】
前記キャリアの被覆層に抵抗調節剤が含まれており、該抵抗調節剤がカーボンブラックであることを特徴とする請求項21に記載の静電潜像現像剤用現像剤。
【請求項23】
前記キャリアの被覆層のキャリア用結着樹脂が、シランカップリング剤を含むシリコン樹脂で形成されることを特徴とする請求項21又は22に記載の静電潜像現像剤用現像剤。
【請求項24】
前記キャリアの被覆層のキャリア用結着樹脂が、有機スズ化合物を触媒としてシランカップリング剤を含むシリコン樹脂で形成されることを特徴とする請求項21〜23のいずれか一項に記載の静電潜像現像剤用現像剤。
【請求項25】
前記キャリアの抵抗(体積固有抵抗)が、10[Log(Ω・cm)]以上16[Log(Ω・cm)]以下であることを特徴とする請求項21〜24のいずれか一項に記載の静電潜像現像剤用現像剤。
【請求項26】
前記キャリアの体積平均粒径が、20μm以上85μm以下であることを特徴とする請求項21〜25のいずれか一項に記載の静電潜像現像剤用現像剤。
【請求項27】
前記キャリアの1000(103/4π・A/m)における磁気モーメントが、40(A
m2/kg)以上90(Am2/kg)以下であることを特徴とする請求項21〜26のいずれか一項に記載の静電潜像現像剤用現像剤。
【請求項28】
請求項1〜11のいずれか一項に記載された静電荷像現像用トナー又は請求項12〜27のいずれか一項に記載された静電荷像現像用現像剤が充填されたことを特徴とするカートリッジ。
【請求項29】
感光体と、帯電手段と、現像手段と、クリーニング手段とより選ばれる少なくとも一つ以上の手段を一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、前記現像手段がトナー(現像剤)を保持し、該トナー(現像剤)が請求項1〜27のいずれか一項に記載のトナー又は現像剤を用いることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項30】
少なくとも、帯電手段と、現像手段と、転写手段と、を有する画像形成装置であって、現像手段が請求項1〜27のいずれか一項に記載のトナー又は現像剤を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項31】
請求項29に記載のプロセスカートリッジが、装置本体と着脱自在に搭載されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項32】
外部より帯電部材に電圧を印加し被帯電体に帯電を行う帯電工程と、帯電されている被帯電体に静電荷像を形成する工程と、該静電荷像をトナーによって現像してトナー画像を形成する現像工程と、外部より転写部材に電圧を印加しトナー画像を転写体上に転写する転写工程と、転写後の被帯電体表面をクリーニング部材でクリーニングするクリーニング工程と、トナー画像を記録材上に加熱定着する定着工程を有する画像形成方法において、該トナー又は現像剤が請求項1〜27のいずれか一項に記載のものを用いることを特徴とする画像形成方法。
【請求項33】
前記画像形成方法において、トナー画像が転写体上に転写された後の被帯電体表面をクリーニングして被帯電体表面上のトナーを回収し、回収したトナーを現像手段に供給して前記現像工程に使用するリサイクルシステムを有することを特徴とする請求項32に記載の画像形成方法。
【請求項34】
前記帯電工程が、帯電部材を被帯電体に接触させて外部より帯電部材に電圧を印加し、被帯電体を帯電することを特徴とする請求項32又は33に記載の画像形成方法。
【請求項35】
静電潜像担持体上の静電潜像を現像剤により現像し、転写装置を介して該現像画像を転写体へ静電転写する工程の際に、該静電潜像担持体と転写装置とが当接することを特徴とする請求項32〜34のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項36】
前記定着工程が、トナー像を胆持した支持体を、2本のローラの間を通過させる事によってトナー像の加熱定着を行う定着装置であり、トナー像支持面と接触する側の定着ローラの厚みが1.0mm以下、2本のローラ間に加える面圧(ローラ荷重/接触面積)が1.5×105Pa以下であることを特徴とする請求項32〜35のいずれか一項に記載の画
像形成方法。
【請求項1】
少なくとも結着樹脂と着色剤と荷電制御剤からなるトナーにおいて、当該結着樹脂が少なくとも重縮合ポリエステル樹脂を含有し、該ポリエステル樹脂が下記一般式(I)または(II)で表される少なくとも1種のチタン含有触媒(a)の存在下に形成されてなる樹脂であって、該結着樹脂におけるGPCにより測定される分子量分布において100万以上の面積比が3〜20重量%であり、重量平均分子量が50万〜200万の範囲にあることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
Ti(−X)m(−OH)n (I)
O=Ti(−X)p(−OR)q (II)
[式中、Xは炭素数2〜12のモノもしくはポリアルカノールアミンから1個のOH基のHを除いた残基であり、ポリアルカノールアミンの他のOH基が同一のTi原子に直接結合したOH基と分子内で重縮合し環構造を形成していてもよく、他のTi原子に直接結合したOH基と分子間で重縮合し繰り返し構造を形成していてもよい。繰り返し構造を形成する場合の重合度は2〜5である。RはH、または1〜3個のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜8のアルキル基である。mは1〜4の整数、nは0〜3の整数、mとnの和は4である。pは1〜2の整数、qは0〜1の整数、pとqの和は2である。mまたはpが2以上の場合、それぞれのXは同一であっても異なっていてもよい。]
【請求項2】
請求項1記載の静電荷像現像用トナーにおいて、前記結着樹脂がスチレン系共重合体樹脂5〜50重量%およびポリエステル樹脂50〜95重量%からなり、前記トナー中における残存スチレンモノマー量が0.1〜50ppm(重量基準)であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【請求項3】
請求項1又は2記載の静電荷像現像用トナーにおいて、該トナーのMI(メルトインデックス)値が3〜40g/10分であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の静電荷像現像用トナーにおいて、含水量が30℃、60%RH(相対湿度)の雰囲気に24時間放置したとき30〜5000ppm(重量基準)であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【請求項5】
トナー組成物のレオロジー特性が、周波数10Hzのもとで70℃において、貯蔵弾性率(G’)が5×105〜5×108dyne/cm2、130℃において損失弾性率(G”
)が1×102〜1×106dyne/cm2であることを特徴とする請求項1〜4記載の
いずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項6】
前記荷電制御剤が、下記一般式(III)で示されるクロム錯体化合物からなり、該荷電制
御剤のX線回折においてCuKα特性X線での測定角2シーターが5〜30度の範囲に、ブラッグ角2シーターの主要ピークが、ピークA:8.6度±0.3度にあり、このX線強度がスキャンスピード1度/分において8000〜15000cpsの範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
【化1】
(式中、Xは水素原子、低級アルキル基、ニトロ基、ハロゲン原子等を示し、それぞれが同一または異なっていても良く、A+は水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオ
ン、アンモニウムイオン、脂肪族アンモニウムイオンを示す。)
【請求項7】
トナー組成物の100℃における揮発分が、0.05〜0.3重量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項8】
前記式(I)または(II)中のXが、ジもしくはトリアルカノールアミンから1個のOH基のHを除いた残基であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項9】
前記式(I)または(II)中のmまたはpが2以上であり、Xがすべて同一の基である請求項1〜8記載のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項10】
前記ポリエステル樹脂の少なくとも一部がポリエポキシド(c)で変性されてなる請求項1〜9のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項11】
前記トナーが、離型剤、および1種以上の添加剤を含有する請求項1〜10のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項12】
少なくともキャリアとトナーとからなる現像剤であって、該キャリアは、芯材と該芯材を被覆する被覆層とを有してなり、該被覆層が少なくともキャリア用結着樹脂及び第1粒子を含み、該第1粒子の体積平均粒径D1(μm)と、前記被覆層の厚みh(μm)とが、次式、1<(D1/h)<10を満たし、かつ芯材表面から被覆層表面までの厚みT(μm)が、0.1≦T≦3.0μmであり、該トナーは請求項1〜11のいずれかに記載のものであることを特徴とする静電荷像現像用現像剤。
【請求項13】
前記キャリアの被覆層に含まれる第1粒子の含有量が10〜80重量%であることを特徴とする、請求項12に記載の静電荷像現像用現像剤。
【請求項14】
前記キャリアの被覆層に含まれるキャリア用結着樹脂が、アクリル樹脂とアミノ樹脂を架橋反応させたもの、或いは/及びシリコン樹脂であることを特徴とする、請求項12又は13に記載の静電荷像現像用現像剤。
【請求項15】
前記キャリアの被覆層に含まれる第1粒子の体積固有抵抗が、1.0×1012Ω・cm以上であることを特徴とする請求項12〜14のいずれか一項に記載の静電荷像現像用現像剤。
【請求項16】
前記キャリアの被覆層に含まれる第1粒子が、アルミナ粒子であることを特徴とする請求項12〜15のいずれか一項に記載の静電荷像現像用現像剤。
【請求項17】
前記キャリアの被覆層が前記第1粒子とは別に第2粒子を含み、該第2粒子の体積平均粒径D2(μm)と、被覆層の厚みh(μm)とが、次式、0.001<(D2/h)<1を満たすことを特徴とする請求項12〜16のいずれか一項に記載の静電荷像現像用現像剤。
【請求項18】
前記第2粒子の被覆層における含有量が、2〜50重量%であることを特徴とする、請求項17に記載の静電荷像現像用現像剤。
【請求項19】
前記第2粒子の体積固有抵抗が、1.0×1012Ω・cm以下であることを特徴とする請求項17又は18に記載の静電荷像現像用現像剤。
【請求項20】
前記第2粒子が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、表面処理された酸化チタン、表面処理された酸化亜鉛、及び表面処理された酸化スズから選択される少なくとも1種の粒子であることを特徴とする請求項17〜19のいずれか一項に記載の静電荷像現像用現像剤。
【請求項21】
前記被覆層が、導電性微粉末を含有したシリコン樹脂で形成されたものであることを特徴とする請求項12記載の静電荷像現像用現像剤。
【請求項22】
前記キャリアの被覆層に抵抗調節剤が含まれており、該抵抗調節剤がカーボンブラックであることを特徴とする請求項21に記載の静電潜像現像剤用現像剤。
【請求項23】
前記キャリアの被覆層のキャリア用結着樹脂が、シランカップリング剤を含むシリコン樹脂で形成されることを特徴とする請求項21又は22に記載の静電潜像現像剤用現像剤。
【請求項24】
前記キャリアの被覆層のキャリア用結着樹脂が、有機スズ化合物を触媒としてシランカップリング剤を含むシリコン樹脂で形成されることを特徴とする請求項21〜23のいずれか一項に記載の静電潜像現像剤用現像剤。
【請求項25】
前記キャリアの抵抗(体積固有抵抗)が、10[Log(Ω・cm)]以上16[Log(Ω・cm)]以下であることを特徴とする請求項21〜24のいずれか一項に記載の静電潜像現像剤用現像剤。
【請求項26】
前記キャリアの体積平均粒径が、20μm以上85μm以下であることを特徴とする請求項21〜25のいずれか一項に記載の静電潜像現像剤用現像剤。
【請求項27】
前記キャリアの1000(103/4π・A/m)における磁気モーメントが、40(A
m2/kg)以上90(Am2/kg)以下であることを特徴とする請求項21〜26のいずれか一項に記載の静電潜像現像剤用現像剤。
【請求項28】
請求項1〜11のいずれか一項に記載された静電荷像現像用トナー又は請求項12〜27のいずれか一項に記載された静電荷像現像用現像剤が充填されたことを特徴とするカートリッジ。
【請求項29】
感光体と、帯電手段と、現像手段と、クリーニング手段とより選ばれる少なくとも一つ以上の手段を一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、前記現像手段がトナー(現像剤)を保持し、該トナー(現像剤)が請求項1〜27のいずれか一項に記載のトナー又は現像剤を用いることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項30】
少なくとも、帯電手段と、現像手段と、転写手段と、を有する画像形成装置であって、現像手段が請求項1〜27のいずれか一項に記載のトナー又は現像剤を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項31】
請求項29に記載のプロセスカートリッジが、装置本体と着脱自在に搭載されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項32】
外部より帯電部材に電圧を印加し被帯電体に帯電を行う帯電工程と、帯電されている被帯電体に静電荷像を形成する工程と、該静電荷像をトナーによって現像してトナー画像を形成する現像工程と、外部より転写部材に電圧を印加しトナー画像を転写体上に転写する転写工程と、転写後の被帯電体表面をクリーニング部材でクリーニングするクリーニング工程と、トナー画像を記録材上に加熱定着する定着工程を有する画像形成方法において、該トナー又は現像剤が請求項1〜27のいずれか一項に記載のものを用いることを特徴とする画像形成方法。
【請求項33】
前記画像形成方法において、トナー画像が転写体上に転写された後の被帯電体表面をクリーニングして被帯電体表面上のトナーを回収し、回収したトナーを現像手段に供給して前記現像工程に使用するリサイクルシステムを有することを特徴とする請求項32に記載の画像形成方法。
【請求項34】
前記帯電工程が、帯電部材を被帯電体に接触させて外部より帯電部材に電圧を印加し、被帯電体を帯電することを特徴とする請求項32又は33に記載の画像形成方法。
【請求項35】
静電潜像担持体上の静電潜像を現像剤により現像し、転写装置を介して該現像画像を転写体へ静電転写する工程の際に、該静電潜像担持体と転写装置とが当接することを特徴とする請求項32〜34のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項36】
前記定着工程が、トナー像を胆持した支持体を、2本のローラの間を通過させる事によってトナー像の加熱定着を行う定着装置であり、トナー像支持面と接触する側の定着ローラの厚みが1.0mm以下、2本のローラ間に加える面圧(ローラ荷重/接触面積)が1.5×105Pa以下であることを特徴とする請求項32〜35のいずれか一項に記載の画
像形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−148301(P2007−148301A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−365725(P2005−365725)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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