説明

非層流をともなう移植可能な人工弁

【課題】改善された流量特性を有する生体管路に移植するのに適した人工弁装置を提供する。
【解決手段】生体管路を通して目標位置までカテーテルを挿入するのに適した細長い構成に最初に圧着するように適応され、かつ目標位置で展開装置によって内部から略半径方向の力を働かせることによって展開状態に展開されるように適応された、展開可能な構成から成る支持ステント32と、支持ビーム34に取り付けられ、導管の出口24の圧潰可能なたるみ部分を提供する柔軟な材料から作られた、入口22および出口24を有する可撓性導管を含む弁組立体20とを備える。支持ステント32は固定長の複数の長手方向に剛性の支持ビーム34を具備する。流れが入口22から出口24へ人工弁装置を通過できるときに、弁組立体20は開状態に維持される一方、弁組立体20の圧潰可能なたるみ部分が内側に潰れて逆流に対する障害物になるため、逆流は防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、移植可能な人工弁に関する。さらに詳しくは、本発明は、改善された流量特性を有する、心臓移植用または他の生体管路内の移植用の人工弁に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
幾つかの人工弁が公知である。例えば、幾つかの相隔たる尖部を含む拡張可能な円筒形糸構造から作られたステントを備えた人工弁を開示した、「VALVE PROSTHESIS FOR IMPLANTATION IN THE BODY AND CATHETER FOR IMPLANTING SUCH VALVE PROSTHESIS」と称する特許文献1(Andersenら)を参照されたい。また、「VALVE
PROSTHESIS FOR IMPLANTATION IN THE BODY」と称する特許文献2(Andersenら)、「SYSTEM AND METHOD FOR IMPLANTING CARDIAC VALVES」と称する特許文献3(Andersenら)、および特許文献4として公開された「VALVE PROSTHESIS FOR IMPLANTATION IN BODY CHANNELS」と称するPCT出願第PCT/EP97/07337号(Letac、Cribierら)をも参照されたい。これらの全てを参照によって本書に組み込む。
【0003】
ステント弁の開発において、非常に望ましくかつしばしば好適な設計は、バルーン拡張型または自己拡張型金属設計のいずれかの円筒状ステントプラットフォームを利用する。通常、これらのステントは、巻線型プラットフォームより高い半径方向強度および低い短縮化を持つ傾向のあるセル状設計に従う。
【0004】
そのような円筒状ステントは、弁を取り付けるための安定かつ再現可能な拡張プラットフォームを提供し、ステンレス鋼、チタン合金、白金−イリジウム、ニッケル−チタン合金、クロム合金、またはタンタルを含め、多種多様な生体適合性金属から製造することができる。
【0005】
ポリマー、ウシ静脈、心膜、およびブタ弁構築物は、ステント弁設計の早期の開発努力につながった。全ての早期設計は二尖弁または三尖弁設計を利用してきた。
【0006】
ステント弁の長期機能性を決定する主要な因子の一つは逆行性流動特性である。逆行性流動特性は弁材料の剛性特性と共に、漏出および閉鎖圧要件を決定する。逆行性流動特性は、弁尖が低流量の逆行性層流の存在下で血栓を形成するおそれのある低流量/低圧システムでは最も重要である。
【0007】
ステント弁は受動装置である。該弁は圧力および流量の変化の結果機能する。大動脈ステント弁は、左心室の圧力が大動脈の圧力(に加えて弁を開くために必要な抵抗)を超えるときに受動的に開く。弁は、左心室の圧力が大動脈の圧力より低いときに閉じる。しかし、流量特性は大動脈弁の閉鎖を達成するのに決定的に重要であり、さもなくば逆流が起こる。
【0008】
層流は大部分の循環系で見られる正常な状態である。それは、長い血管を平行に下行する同心円状層の血液によって特徴付けられる。最高速度は血管の中心に見られる一方、最低速度は壁に沿って見られる。流量は定常流条件下で長い直線状血管内で放物線状である。
【0009】
非層流または乱流は循環系に有用である。例えば、大動脈弁は上行大動脈の下面のバルサルバ洞内に開く。この洞は二つの主要な機能を有する。第一に、拡張期に大動脈弁を閉じるように流量特性を最大にする。かつ、第二に、冠静脈洞流および灌流を最適化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,411,552号明細書
【特許文献2】米国特許第6,168,614号明細書
【特許文献3】米国特許第5,840,081号明細書
【特許文献4】国際公開第98/29057号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
層流は、弁の閉鎖の中核を成す壁に沿った流量が最小になるため、円筒状ステントに装着された弁の逆行性流動特性を難しい問題にする。付随する欠点を持つそのような層流は、公知のステント弁の特徴である。逆行性流動特性が非層状であり、かつ弁閉鎖に関して有利であるステント弁を持つ必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の要旨)
本発明では、生体管路に移植するのに適した人工弁装置は、
支持ビームを有する支持ステントと、
支持ビームに取り付けられた柔軟な材料から作られた入口端および出口端を有する可撓性導管を含む弁組立体と、
を備え、
入口端から出口端へ人工弁装置を流れが通過できるときに、弁組立体は開状態に維持され、弁組立体の一部分が内側に潰れて逆流に対する障害物になるため、逆流が防止され、かつ装置は、逆行性流動が層流から変化して尖弁の方向に向けられ、閉鎖を達成するように構成される。
【0013】
本発明の好適な実施形態では、生体管路への移植に適した人工弁装置は、
生体管路を通して目標位置までカテーテルを挿入するのに適した細長い構成に最初に圧着するように適応され、かつ目標位置で展開装置によって内部から略半径方向の力を働かせることによって展開状態に展開されるように適応された、展開可能な構成から成る支持ステントであって、固定長の複数の長手方向に一般的に剛性の支持ビームを備えた支持ステントと、
支持ビームに取り付けられ、導管の出口の圧潰可能なたるみ部分を提供する柔軟な材料から作られた、入口および出口を有する可撓性導管を含む弁組立体と、
を備え、
入口端から出口端へ人工弁装置を流れが通過できるときに、弁組立体は開状態に維持され、弁組立体の圧潰可能なたるみ部分が内側に潰れて逆流に対する障害物になるため、逆流が防止され、かつ装置は、逆行性流動が層流から変化して尖弁の方向に向けられ、閉鎖を達成するように構成される。
【0014】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、支持ステントは環状フレームを含む。
【0015】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、拡張した人工弁は弁組立体に隣接して洞領域を含む。
【0016】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、支持ステントは環状フレームを含み、拡張した環状フレームの中間部分は半径方向に延長し、弁組立体に隣接して洞を形成する。
【0017】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、支持ステントは、流動の向きを弁組立体の方向に変えるように弁組立体がその中に配設された環状フレームを含む。
【0018】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、前記弁組立体は三尖弁構成を有する。
【0019】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、弁組立体は生体適合性材料から作られる。
【0020】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、弁組立体は心膜組織または他の生体組織から作られる。
【0021】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、弁組立体は生体適合性ポリマーから作られる。
【0022】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、弁組立体はポリウレタンおよびポリエチレンテレフタレート(PET)から成る群から選択された材料から作られる。
【0023】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、弁組立体は、PET(ポリエチレンテレフタレート)から作られた本体と、ポリウレタンから作られた尖弁とを含む。
【0024】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、支持ステントはニッケルチタンから作られる。
【0025】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、支持ビームは、弁組立体のための足場を提供するように、略等距離かつ略平行である。
【0026】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、支持ビームは、弁組立体をビームに縫着または結束することができるように、孔を具備する。
【0027】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、支持ビームは支持ステントに化学的に接着される。
【0028】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、弁組立体は支持ビームにリベット止めされる。
【0029】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、前記弁組立体は支持ビームに縫合される。
【0030】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、ビームは射出成型によって、または機械加工によって製造される。
【0031】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、弁組立体は入口で支持ステント上に転回される。
【0032】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、弁装置は鍛造または浸漬技術を使用して製造される。
【0033】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、弁組立体の尖弁は出口をぴったり閉鎖するのに必要である長さより長く、したがってそれらが圧潰状態のときに、尖弁のかなりの部分が相互に重なり、より優れた密閉を形成する。
【0034】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、弁組立体は、同一ポリマーの被覆層によって被覆されたポリマーのコイルから作られる。
【0035】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、ポリマーはポリウレタンである。
【0036】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、支持ステントは重金属マーカを備え、弁装置の位置および向きの追跡および決定を可能にする。
【0037】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、重金属マーカは金、白金−イリジウム、およびタンタルから成る群から選択される。
【0038】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、弁組立体の尖弁は出口に放射線不透過性材料を備え、生体内での弁装置の作動を追跡するのに役立つ。
【0039】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、放射線不透過性材料は金糸を含む。
【0040】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、完全に展開されたときの支持ステントの直径は、約19mmから約26mmの範囲内である。
【0041】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、支持ステントの直径は、約4mmから約25mmまで拡張することができる。
【0042】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、支持ビームは孔を具備し、弁組立体は、弁組立体に固定されかつ支持ビームの整合する孔内に嵌合する突出部を具備するU字形の剛性部材によって、支持ビームに取り付けられる。
【0043】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、支持ビームはフレーム構成の形の剛性支持ビームを含み、弁組立体の柔軟な材料がフレームの間隙に挿入され、固定ロッドが柔軟な材料とフレームとの間に形成されたポケットに挿入されて、弁を所定の位置に保持する。
【0044】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、弁組立体の本体は被覆材で被覆されたコイルワイヤから作られる。
【0045】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、コイルワイヤおよび被覆材はポリウレタン製である。
【0046】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、弁組立体の圧潰可能なたるみ部分がその周りに折り返すことのできる断層線を画定するように、補強ワイヤが導管の出口で弁組立体に交絡される。
【0047】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、補強ワイヤはニッケルチタン合金製である。
【0048】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、生体管路に移植するのに適した人工弁装置であって、装置は入口および出口、ならびに出口に取り付けられた柔軟な尖弁を有する導管本体を備え、流れが入口から出口へ導管を通過することができるときに、尖弁が開位置にあって流れが出口から流出することができ、流れが逆転したときに、尖弁は圧潰して出口を閉塞するように構成され、本体がPETから作られ、圧潰可能な尖弁がポリウレタンから作られて成る人工弁装置を提供する。
【0049】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、ポリウレタンから作られた支持ビームが本体に設けられ、尖弁が本体の支持ビーム位置に取り付けられる。
【0050】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、前記支持ビームは本体に化学的に接着される。
【0051】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、生体管路に移植するのに適した人工弁装置であって、
生体管路を通して目標位置までカテーテルを挿入するのに適した細長い構成に最初に圧着するように適応され、かつ目標位置で展開装置によって内部から略半径方向の力を働かせることによって展開状態に展開されるように適応された、展開可能な構成から成る支持ステントであって、固定長の複数の長手方向に剛性の支持ビームを備えた支持ステントと、
支持ビームに取り付けられ、導管の出口の圧潰可能なたるみ部分を提供する柔軟な材料から作られた、入口端および出口を有する可撓性導管を含む弁組立体と、
長手方向に配設された、弁組立体材料のたるみ部分に交絡されるか取り付けられた略等距離にある剛性支持ビームと、
を備え、
逆行性流動が層流から変化し尖弁の方向に向けられ、閉鎖を達成するように構成された装置を提供する。
【0052】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、上述しまたは請求の範囲に記載する弁装置を圧着するための圧着装置であって、一般的なSLR(一眼レフ)カメラの可変絞り弁に類似し、各々にブレードを具備し、放射形対称に均等分散された複数の調整可能なプレートを含み、各プレートが中心の開口を外れて通過する線に沿って動き、全てのプレートがその中心開口から等距離にある、圧着装置を提供する。
【0053】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、複数のプレートは、レバーおよびトランスミッションによって同時に動くように適応される。
【0054】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、移植可能な人工弁装置を逆行性(下行大動脈から大動脈弁に接近する)アプローチから、または順行性(経中隔穿刺後に左心室から大動脈弁に接近する)アプローチから、患者の心筋の左心室の入口の自然大動脈弁位置に展開するための方法を提供する。この方法は、本願と同一譲受人に譲渡された、2001年10月11日出願の米国特許出願第09/975,750号および2002年5月2日出願の第10,139,741号に記載されており、各々を参照によって丸ごと本書に組み込む。
【0055】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、生体管路内の移植に適した人工弁装置は、
固定長の複数の長手方向に剛性の支持ビームを具備した拡張可能な支持フレームと、
支持ビームに取り付けられ、導管の出口の圧潰可能なたるみ部分を提供する柔軟な材料から作られた、入口端および出口を有する可撓性導管を含む弁組立体と
を備え、
流れが入口から出口へ人工弁装置を通過できるときに、弁組立体は開状態に維持され、弁組立体の圧潰可能なたるみ部分が内側に潰れて逆流に対する障害物になるため、逆流は防止され、該装置は、逆行性流動が層流から変化して尖弁の方向に向けられ、閉鎖を達成するように構成される。
【0056】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、支持フレームは、生体管路を通して目標位置までカテーテルを挿入するのに適した細長い構成に最初に圧着するように適応され、かつ目標位置で展開装置によって内部から略半径方向の力を働かせることによって展開状態に展開されるように適応された、展開可能な構成を含む。
【0057】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、支持ビームはU字形断面を有する。
【0058】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、柔軟な材料を支持ビームに固定するために保持器を使用する。
【0059】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、支持フレームは、組み立てられたときに円形組立体を形成する三つのセグメントを含む。
【0060】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、支持ビームは、装置の中心長手軸に対し内側に指向する。
【0061】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、装置は、それを圧着状態で収容するための窮屈なテーパ付きハウジングをさらに備える。
【0062】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、装置が展開された後、装置を所定の位置に固定するようにフックが設けられる。
【0063】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、支持ビームは、柔軟な材料の延長部がその中にきつく挿入されるように、交連アタッチメントとして使用される細長いスリットを有する長手バーを含む。
【0064】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、柔軟な材料の延長部は足場手段として働く剛性バーに巻き付けられる。
【0065】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、柔軟な材料の延長部は剛性バーに相互に縫合される。
【0066】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、柔軟な材料の底部が入口に取り付けられる。
【0067】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、支持ビームは各々、柔軟な材料が挿入されるループを形成する丸みを付けた柱を具備する。
【0068】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、柔軟な材料は、成形からの局所的応力を防止するために、支持フレームに取り付けるように割り当てられた位置で柔軟な材料に取り付けられる長手方向のバーを具備する。
【0069】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、装置は、柔軟な材料の孔に挿入される突起と、PETのシートと、支持ビームに設けられた貫通孔とを有する長手方向のバーをさらに具備する。
【0070】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、柔軟な材料は、縫合されないたるみ部分を残して縫合される。
【0071】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、柔軟な材料の尖弁を支持ビームに接続するために分割部付き接続部材が使用され、分割接続部材は柔軟な材料を所定の位置に圧迫する。
【0072】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、接続部材の一部分は分割部に対し垂直である。
【0073】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、支持フレームはステントに結合された金属部材を具備し、剛性部材が金属部材の二つの対向辺に配置され、相互に押し付けあって縫合された柔軟な材料をそれらの間に保持し、金属部材はPETを巻き付けられる。
【0074】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、装置は、柔軟な材料の磨耗を低減するためにばねをさらに具備する。
【0075】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、ばねは螺旋を備える。
【0076】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、ばねはステンレス鋼製である。
【0077】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、ばねは、支持フレームに設けられたスロットに取り付けられる。
【0078】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、柔軟な材料は支持フレームに縫合され、ポケットを形成する。
【0079】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、アタッチメントバーがステントの出口に近い部分でステント支持体に設けられ、その上に柔軟な材料が結合され、柔軟な材料は、たるんだ柔軟な材料を残して入口に周方向に取り付けられる。
【0080】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、出口は入口に対してテーパ付けられる。
【0081】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、支持フレームは出口における直径が、出口を形成する柔軟な材料より大きい。
【0082】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、柔軟な材料はPETを使用して補強される。
【0083】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、支持フレームは正弦波状折れ目を有する内壁を有する管であり、柔軟な材料は縫合線に沿って管の内壁に縫合される。
【0084】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、PETの別の一片が縫合線の下に追加される。
【0085】
さらに、本発明の別の好適な実施形態では、装置は血管形成術用バルーンを組み込む。
【0086】
最後に、本発明の別の好適な実施形態では、バルーンは装置内を通路に沿って走る中心長手軸および外周を有し、バルーンは四つの膨張可能な部分を含み、一つの部分は中心軸に沿って配置され、他の三つは外周に配置され、尖弁の形の柔軟な材料は外周付近に分配される。
より特定すれば、本願発明は以下の項目に関し得る。
(項目1)
生体管路に移植するのに適した人工弁装置であって、
支持ステントと、
入口端および出口端を有する可撓性導管を含む弁組立体と、
を備え、
流れが上記入口端から上記出口端へ上記人工弁装置を通過できるときに、上記弁組立体が開位置に維持され、上記弁組立体の圧潰可能なたるみ部分が内側に潰れて逆流に対する障害物になるため逆流が防止され、かつ逆行性流動が層流から変化して尖弁の方向に向けられて閉鎖を達成するように構成された人工弁装置。
(項目2)
上記支持ステントが、上記生体管路を通して目標位置までカテーテルを挿入するのに適した細長い構成に最初に圧着するように適応されかつ上記目標位置で展開装置によって内部から略半径方向の力を働かせることによって展開状態に展開されるように適応された、展開可能な構成を含む、項目1に記載の人工弁装置。
(項目3)
上記支持ステントが、固定長の複数の長手方向に剛性の支持ビームを具備する、項目1に記載の人工弁装置。
(項目4)
上記弁組立体が、上記支持ビームに取り付けられた柔軟な材料を含み、かつ上記出口で上記導管の圧潰可能なたるみ部分を提供する、項目1に記載の人工弁装置。
(項目5)
上記弁組立体に隣接して人工洞が形成されるように構成された、項目1に記載の人工弁装置。
(項目6)
上記逆行性流動が実質的に非層流である、項目1に記載の人工弁装置。
(項目7)
生体管路に移植するのに適した人工弁装置であって、
上記生体管路を通して目標位置までカテーテルを挿入するのに適した細長い構成に最初に圧着するように適応され、かつ目標位置で展開装置によって内部から略半径方向の力を働かせることによって展開状態に展開されるように適応された、展開可能な構成から成る支持ステントであって、固定長の複数の長手方向に剛性の支持ビームを備えた支持ステントと、
上記支持ビームに取り付けられ、導管の出口の圧潰可能なたるみ部分を提供する柔軟な材料から作られた、入口および出口を有する可撓性導管を含む弁組立体と、
を備え、
流れが上記入口から上記出口へ上記人工弁装置を通過できるときに、上記弁組立体が開位置に維持され、上記弁組立体の圧潰可能なたるみ部分が内側に潰れて逆流に対する障害物になるため逆流が防止され、かつ逆行性流動が層流から変化して尖弁の方向に向けられて閉鎖を達成するように構成された人工弁装置。
(項目8)
上記支持ステントが環状フレームを含む、項目7に記載の人工弁装置。
(項目9)
上記弁組立体が三尖弁構成を有する、項目7に記載の人工弁装置。
(項目10)
上記弁組立体が生体適合性材料から作られる、項目7に記載の人工弁装置。
(項目11)
上記弁組立体が心膜組織または他の生体組織から作られる、項目10に記載の人工弁装置。
(項目12)
上記弁組立体が生体適合性ポリマーから作られる、項目7に記載の人工弁装置。
(項目13)
上記弁組立体がポリウレタンおよびポリエチレンテレフタレートから選択された材料から作られる、項目12に記載の人工弁装置。
(項目14)
上記弁組立体が、ポリエチレンテレフタレートから作られた本体と、ポリウレタンから作られた尖弁とを含む、項目13に記載の人工弁装置。
(項目15)
上記支持ステントがニッケルチタンから作られる、項目7に記載の人工弁装置。
(項目16)
上記支持ビームが、上記弁組立体のための足場を提供するように略等距離かつ略平行である、項目7に記載の人工弁装置。
(項目17)
上記支持ビームが、上記弁組立体を上記ビームに縫着または結束することができるように孔を具備する、項目7に記載の人工弁装置。
(項目18)
上記支持ビームが上記支持ステントに化学的に接着される、項目7に記載の人工弁装置。
(項目19)
上記弁組立体が上記支持ビームにリベット止めされる、項目7に記載の人工弁装置。
(項目20)
上記弁組立体が上記支持ビームに縫着される、項目7に記載の人工弁装置。
(項目21)
上記ビームが型を使用する射出成形によって、または機械加工によって製造される、項目7に記載の人工弁装置。
(項目22)
上記弁組立体が入口で支持ステント上に転回される、項目7に記載の人工弁装置。
(項目23)
上記弁装置が鍛造または浸漬技術を使用して製造される、項目7に記載の人工弁装置。
(項目24)
上記弁組立体の尖弁が、上記出口をぴったり閉鎖するのに必要である長さより長く、したがってそれらが圧潰状態のときに、上記尖弁のかなりの部分が相互に重なり、より優れた密閉を形成する、項目7に記載の人工弁装置。
(項目25)
上記弁組立体が同一ポリマーの被覆層によって被覆されたポリマーのコイルから作られる、項目7に記載の人工弁装置。
(項目26)
上記ポリマーがポリウレタンである、項目25に記載の人工弁装置。
(項目27)
上記弁装置の位置および向きの追跡および決定を可能にするように、上記支持ステントが重金属マーカを備えた、項目7に記載の人工弁装置。
(項目28)
上記重金属マーカが金、白金−イリジウム、およびタンタルから成る群から選択される、項目27に記載の人工弁装置。
(項目29)
生体内での上記弁装置の作動を追跡するのに役立つように、上記弁組立体の尖弁が上記出口に放射線不透過性材料を備えた、項目7に記載の人工弁装置。
(項目30)
上記放射線不透過性材料が金糸を含む、項目29に記載の人工弁装置。
(項目31)
上記支持ステントの直径が完全に展開されたときに約19mmから約26mmの範囲である、項目7に記載の人工弁装置。
(項目32)
上記支持ステントの直径が約4mmから約26mmまで拡張することができる、項目7に記載の人工弁装置。
(項目33)
上記支持ビームが孔を具備し、上記弁組立体が、上記弁組立体に固定されかつ上記支持ビームの整合する孔内に嵌合する突出部を具備するU字形剛性部材によって上記支持ビームに取り付けられる、項目7に記載の人工弁装置。
(項目34)
上記支持ビームがフレーム構成の形の剛性支持ビームを含み、上記弁組立体の柔軟な材料が上記フレームの間隙に挿入され、固定ロッドが上記柔軟な材料と上記フレームとの間に形成されたポケットに挿入されて、上記弁を所定の位置に保持する、項目7に記載の人工弁装置。
(項目35)
上記弁組立体の上記本体が被覆材で被覆されたコイルワイヤから作られる、項目7に記載の人工弁装置。
(項目36)
上記コイルワイヤおよび上記被覆材がポリウレタン製である、項目35に記載の人工弁装置。
(項目37)
上記弁組立体の圧潰可能なたるみ部分がその周りに折り返すことのできる断層線を画定するように、補強ワイヤが上記導管の出口で上記弁組立体に交絡される、項目7に記載の人工弁装置。
(項目38)
上記補強ワイヤがニッケルチタン合金製である、項目37に記載の人工弁装置。
(項目39)
生体管路に移植するのに適した人工弁装置であって、入口および出口、ならびに上記出口に取り付けられた柔軟な尖弁を有する導管本体を備え、流れが上記入口から上記出口へ導管を通過するときに上記尖弁が開位置にあって流れが出口から流出することができ、流れが逆転したときに上記尖弁が圧潰して上記出口を閉塞するように構成され、上記本体がポリウレタンテレフタレートから作られ、圧潰可能な尖弁がポリウレタンから作られ、逆行性流動が層流から変化して上記尖弁の方向に向けられて閉鎖を達成するように構成された人工弁装置。
(項目40)
ポリウレタン製の支持ビームが上記本体に設けられ、上記尖弁が上記支持ビーム位置で上記本体に取り付けられる、項目39に記載の人工弁装置。
(項目41)
上記支持ビームが上記本体に化学的に接着される、項目39に記載の人工弁装置。
(項目42)
生体管路に移植するのに適した人工弁装置であって、
上記生体管路を通して目標位置までカテーテルを挿入するのに適した細長い構成に最初に圧着するように適応されかつ目標位置で展開装置によって内部から略半径方向の力を働かせることによって展開状態に展開されるように適応された、展開可能な構成から成る支持ステントであって、固定長の複数の長手方向に剛性の支持ビームを備えた支持ステントと、
上記支持ビームに取り付けられ、上記導管の出口の圧潰可能なたるみ部分を提供する柔軟な材料から作られた、入口端および出口を有する可撓性導管を含む弁組立体と、
長手方向に配設された、上記弁組立体材料のたるみ部分に交絡されるか取り付けられた略等距離にある剛性支持ビームと、
を備え、
逆行性流動が層流から変化し上記尖弁の方向に向けられて閉鎖を達成するように構成された人工弁装置。
(項目43)
生体管路に移植するのに適した人工弁装置であって、
固定長の複数の長手方向に剛性の支持ビームを具備した拡張可能な支持フレームと、
上記支持ビームに取り付けられ、導管の出口の圧潰可能なたるみ部分を提供する柔軟な材料から作られた、入口端および出口を有する可撓性導管を含む弁組立体と、
を備え、
流れが上記入口から上記出口へ上記人工弁装置を通過できるときに、上記弁組立体が開位置に維持され、弁組立体の圧潰可能なたるみ部分が内側に潰れて逆流に対する障害物になるため逆流が防止され、逆行性流動が層流から変化して尖弁の方向に向けられて閉鎖を達成するように構成された人工弁装置。
(項目44)
上記拡張可能な支持フレームが、上記生体管路を通して目標位置までカテーテルを挿入するのに適した細長い構成に最初に圧着するように適応されかつ目標位置で展開装置によって内部から略半径方向の力を働かせることによって展開状態に展開されるように適応された、展開可能な構成を含む、項目43に記載の人工弁装置。
(項目45)
上記支持ビームがU字形断面を有する、項目43に記載の人工弁装置。
(項目46)
上記柔軟な材料を上記支持ビームに固定するために保持器が使用される、項目45に記載の人工弁装置。
(項目47)
上記支持フレームが、組み立てられたときに円形組立体を形成する三つのセグメントを含む、項目43に記載の人工弁装置。
(項目48)
上記支持ビームが上記装置の中心長手軸に対し内側に指向する、項目43に記載の人工弁装置。
(項目49)
上記支持ビームが上記装置の中心長手軸に対し外側に指向する、項目47に記載の人工弁装置。
(項目50)
上記装置を圧着状態で収容するための窮屈なテーパ付きハウジングをさらに備える、項目43に記載の人工弁装置。
(項目51)
上記装置が展開された後、上記装置を所定の位置に固定するようにフックが設けられた、項目43に記載の人工弁装置。
(項目52)
上記支持ビームが、柔軟な材料の延長部をその中にきつく挿入するように交連アタッチメントとして使用される細長いスリットを有する長手バーを含む、項目43に記載の人工弁装置。
(項目53)
上記柔軟な材料の延長部が足場手段として働く剛性バーに巻き付けられる、項目52に記載の人工弁装置。
(項目54)
上記柔軟な材料の延長部が上記剛性バーに相互に縫合される、項目53に記載の人工弁装置。
(項目55)
上記柔軟な材料の底部が上記入口に取り付けられる、項目54に記載の人工弁装置。
(項目56)
上記支持ビームが各々、柔軟な材料が挿入されるループを形成する丸みを付けた柱を具備する、項目43に記載の人工弁装置。
(項目57)
上記柔軟な材料が、成形からの局所的応力を防止するために、上記支持フレームに取り付けるために割り当てられた位置で上記柔軟な材料に取り付けられる長手方向のバーを具備する、項目43に記載の人工弁装置。
(項目58)
上記柔軟な材料の孔に挿入される突起と、PETのシートと、上記支持ビームに設けられた貫通孔とを有する長手方向のバーをさらに具備する、項目43に記載の人工弁装置。
(項目59)
上記柔軟な材料が、縫合されないたるみ部分を残して縫合される、項目43に記載の人工弁装置。
(項目60)
上記柔軟な材料の尖弁を上記支持ビームに接続するために分割部付き接続部材が使用され、上記分割接続部材が上記柔軟な材料を所定の位置に圧迫する、項目43に記載の人工弁装置。
(項目61)
上記接続部材の一部分が上記分割部に対し垂直である、項目60に記載の人工弁装置。
(項目62)
上記支持フレームがステントに結合された金属部材を具備し、剛性部材が上記金属部材の二つの対向辺に配置され、相互に押し付けあって縫合された上記柔軟な材料をそれらの間に保持し、上記金属部材はPETを巻き付けられる、項目43に記載の人工弁装置。
(項目63)
上記柔軟な材料の磨耗を低減するためにばねをさらに具備する、項目3に記載の人工弁装置。
(項目64)
上記ばねが螺旋を備える、項目63に記載の人工弁装置。
(項目65)
上記ばねがステンレス鋼製である、項目63に記載の人工弁装置。
(項目66)
上記ばねが、上記支持フレームに設けられたスロットに取り付けられる、項目63に記載の人工弁装置。
(項目67)
上記柔軟な材料が上記支持フレームに縫合されてポケットを形成する、項目43に記載の人工弁装置。
(項目68)
アタッチメントバーが上記出口に近い上記ステントの部分で上記ステント支持体に設けられ、その上に上記柔軟な材料が結合され、上記柔軟な材料が、たるんだ柔軟な材料を残して上記入口に周方向に取り付けられる、項目67に記載の人工弁装置。
(項目69)
上記出口が上記入口に対してテーパ付けられる、項目43に記載の人工弁装置。
(項目70)
上記支持フレームの出口における直径が、上記出口を形成する上記柔軟な材料より大きい、項目69に記載の人工弁装置。
(項目71)
上記柔軟な材料がPETを使用して補強される、項目43に記載の人工弁装置。
(項目72)
上記支持フレームが正弦波状折れ目を有する内壁を有する管であり、上記柔軟な材料は縫合線に沿って管の内壁に縫合される、項目43に記載の人工弁装置。
(項目73)
PETの別の一片が縫合線の下に追加される、項目72に記載の人工弁装置。
(項目74)
上記装置が血管形成術用バルーンを組み込む、項目43に記載の人工弁装置。
(項目75)
上記バルーンが上記装置内を流路に沿って走る中心長手軸および外周を有し、上記バルーンが四つの膨張可能な部分を含み、一つの部分が中心軸に沿って配置され、他の三つが外周に配置され、尖弁の形の上記柔軟な材料が外周付近に分配される、項目74に記載の人工弁装置。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の一実施形態の斜視図である。
【図2】図1に示す実施形態の線2−2における断面図である。
【図3】本発明の別の実施形態の部分断面斜視図である。
【図4】図3に示す実施形態の線4−4における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0088】
本発明をよりよく理解し、その実際の適用を理解するために、次の図を提示し、以下で参照する。図は単なる例として掲げるものであって、添付する特許請求の範囲で規定する本発明の範囲を限定するものではないことに注目されたい。
【0089】
(発明の詳細な説明)
本発明の主要な態様は、移植可能な人工弁の幾つかの新規の設計の導入である。本発明の別の態様は、本発明に係る移植可能な人工弁の幾つかの製造方法の開示である。本発明のさらなる態様は、本発明の弁に適した新規の展開および配置技術の提供である。
【0090】
基本的に、本発明の移植可能な人工弁は、出口の圧潰可能な壁を供するように構成された柔軟な材料から作られ、入口端および出口を有する導管から成る尖弁組立体、好ましくは三尖弁を含むが、三尖弁のみに限定されない。弁組立体は、生体管路内の目標位置に配置されてバルーンカテーテルまたは同様の装置のような展開手段の使用によって弁組立体を展開するように適応されたステントのような、支持構造またはフレームに装着される。安全かつ便利な経皮的配置および展開に適した実施形態では、環状フレームは、提供される導管通路断面が小さいため装置をその目標位置に向かって前進させることができない圧着位置、および生体管路の壁に当てた支持をもたらし、弁を所定位置に固定し、それ自体を開いて導管内の流動が可能になるように、内部から(展開手段によって)働く力によってフレームが半径方向に拡張する展開位置の二つの位置を取ることができる。
【0091】
弁組立体は、自然組織、心膜組織、または他の生体組織のような生体物質から作ることができる。代替的に、弁組立体は、生体適合性ポリマーまたは同様の材料から作ることができる。同形異義語の生体弁は時々交換する必要があり(通常5ないし14年以内に)、これは、患者のタイプに応じて適切な弁移植を選択するときに、外科医が配慮しなければならない考慮事項である。より優れた耐久性品質を有する機械的弁は、長期抗凝固治療の関連リスクを伴う。
【0092】
フレームは、ニッケルチタン(例えばNitinolのブランド名で市販されているニッケルチタン形状記憶合金またはNiTi)のような形状記憶合金、または他の生体適合性金属から作ることができる。本発明の移植可能な弁の経皮的に移植可能な実施形態は、配置のために細長い構成に圧着するのに適し、かつ所望の目標位置で所定の位置に碇着するようにより広幅に拡張可能でなければならない。
【0093】
支持ステントは環状であることが好ましいが、所望の目標位置の流露の断面形状に応じて、他の形状で提供してもよい。
【0094】
本発明の移植可能な人工弁の製造は、心膜を使用することによって、または例えば浸漬成形、射出成形、静電紡糸、回転、アイロニング、またはプレス加工によって作成された人工材料を使用することによって、様々な方法で行うことができる。
【0095】
支持ステントへの弁組立体の取付は、支持フレームまたはステントの上に鋳造または成形される弁組立体を提供するように、支持フレームまたはステントの幾つかの碇着点への縫着、リベット止め、ピン止め、接着、または溶接のような幾つかの方法で達成し、または他の適切な取付方法を使用することができる。
【0096】
入口からの漏出を防止するために、入口の一部のたるんだ壁をフレームの縁上に巻き上げることが任意選択的に可能である。
【0097】
さらに、装置の安定性を増強し、かつそれが裏返しになるのを防止するために、浮動支持体を加えることができる。
【0098】
本発明の特定の実施形態の重要な態様は、支持ステント全体を長手方向または側方に延長することができる一方、その長手方向の寸法を維持する支持ステントを組み込んだ剛性支持ビームを提供することである。
【0099】
上述した実施形態のみならず、他の実施形態、製造方法、様々な設計および様々な型の装置について、以下で、添付の図面を参照しながら考察し、説明する。図面は本発明を理解し、かつ本発明の幾つかの好適な実施形態を提示する提示する目的のために掲げるのみであり、これは添付する請求の範囲に規定する本発明の範囲を限定するものではないことに注意されたい。
【0100】
図1および2は、展開状態で示された、拡張可能なステントまたは類似の展開手段を使用して経皮的に展開するのに適した本発明の好適な実施形態に係る一般的三尖弁の移植可能な人工弁10を示す。弁10は入口22および出口24を有する弁組立体20を含み、出口の壁は三尖弁構成で潰れるように配設された圧潰可能な柔軟な尖弁材料26から成る。弁組立体20は環状支持ステント32に取り付けられ、この図の弁組立体は、細長い構成を提供すべく均等に圧着され、かつ生体管路における移植のための目標位置の通路を占めるべく拡張するように半径方向に展開可能であるように設計された、網状フレームである。支持ビーム34が環状支持ステント32上に設けられ、弁組立体20への足場を提供する。支持ビーム34は、糸、ワイヤ、または他の取付手段によって弁組立体20を支持ビーム34に縫着することができるように、孔36を任意選択的に具備する。
【0101】
支持ステント32の近位部分38は、流動が入口22のみに流入するように、弁組立体20の近位部分にしっくりと嵌合または固定される。任意選択的に、各尖弁26の放射状断面は、狭隘な出口24に縫着するか、接着するか、または他の手段によって閉鎖される。支持ステント32の遠位部分42は、近位部分38より狭隘である。支持ステント32の狭隘化および出口24の狭隘化による流量特性に対する効果の組合せは、所望の効果または流量特性、すなわち尖弁26の閉鎖を助ける非層状逆行性流動を引き起こすのに充分である。
【0102】
本発明の別の実施形態を図3および4に示す。人工弁50は支持ステント54内に配置された弁組立体52を含む。支持ステント54の近位部分56および遠位部分58は、弁組立体52が配置される支持ステント54の中間部分60に比較して狭隘である。支持ステントの中間部分60内で、弁組立体52は、支持ステント54の内面64から例えば0.5ないし3cmの小さい距離に、同軸配置することが好ましい。弁組立体52は、ステント支持体68に膜66を接続することによって取り付けられ、該ステント支持体は、前記膜66を碇着させるために穴または突起70を持つことが最適である。内面64と弁組立体52との間の環状空間は、弁組立体52の周囲の流動を防止するために、適切な材料を充填される。閉位置72および開位置74の弁尖が図示されている。
【0103】
弁組立体52の有効断面積は、支持ステントの中間部60の断面積の約40ないし80%であることが好ましい。
【0104】
本発明に係る移植可能な人工弁を表す好適な実施形態は、製造工程の大部分が略平坦であり、弁組立体の他の要素を支持フレームに装着する最終段階になってようやく三次元形状が確立されるため、製造が比較的容易である。
【0105】
大動脈人工弁の典型的なサイズは、直径が約19ないし約26mmである。大腿動脈に挿入されるカテーテルの最大サイズは、直径9mm以下とする必要がある。本発明は、直径を約4mmから約26mmまで変化させる能力を有する装置を導入する。人工弁は新しいものではないが、本発明に係る人工弁は、送達の目的のために形状およびサイズを変化する能力を有し、そういうものとして新規である。これらの新しく設計された弁は、新しい製造方法、技術的発明、および改善を必要とし、それらの幾つかを本書に記載した。
【0106】
前に示した通り、弁が作られる材料は生体材料または人工材料のいずれかとすることができる。いずれの場合も、そのような弁を形成するために新しい技術が必要である。
【0107】
弁を身体に取り付けるために、血管によって送達中のサイズ、およびそれが効率的に働くための要件が決定され、小さいサイズに圧着し、より大きいサイズに拡張し、かつ弁機能のための支持体として働くのに充分に強くすることのできる圧潰可能な構成にそれを取り付ける必要がある。大きい「ステント」に多少類似したこの構成は、Nitinol、生体適合性ステンレス鋼、ポリマー材、または全ての組合せのような様々な材料から作ることができる。ステントの特殊要件は、本書に記載する一部の実施形態の主題である。
【0108】
圧潰可能なステントへの弁の装着は、新しい分野の問題である。この問題の解決策が本書に記載されている。
【0109】
本発明の弁の設計の別の主要な態様は、身体への取付である。
【0110】
従来の手順では、弁は複雑な縫合手順によって所定の位置に縫合される。経皮的手順の場合、移植部位への直接的なアクセスは無く、したがって異なる取付技術が必要である。
【0111】
本書で取り扱った別の新しい問題は、新しくかつ独自の送達手順である。体内で正確な位置および向きに装置を配置するには、本書に開示した装置および外科手術部位の特殊なマーキングおよび測定方法が必要である。
【0112】
人工ポリマー弁は、保管時のみならず、特殊滅菌手順時にも、特殊処理および特殊条件を必要とする。保管処理の結果の一つが、移植手順中に弁を圧着する必要性である。圧着手順を可能にする一連の装置および発明は本書に開示されている。
【0113】
本明細書に記載した実施形態および添付の図の説明が、特許請求の範囲に記載されるその請求範囲を制限することなく、発明をよりよく理解するのに役立つことは明白である。
【0114】
また、当業者が本明細書を読んだ後、添付の図および上述した実施形態に調整または補正を施すことができ、それらが依然として請求範囲に含まれることも明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体管路中の標的位置での移植に適した人工弁装置であって、
ステント近位端(38)およびステント遠位端(42)を備える支持ステント(32)であって、第1の細長い構成に圧着され、そして第2の拡張された構成に半径方向に拡張可能であるように適合され、該身体管路中での移植のための該標的位置における通路を占領する網状環状フレームを備え、該第2の拡張された構成において、該支持ステントが、該ステント近位端の下流の第2の直径に向かってテーパー状になる、該ステント近位端における第1の直径を有し、該第2の直径が該第1の直径より小さい、支持ステント;および
導管入口(22)および導管出口(24)を有する可撓性導管を備える弁組立体(20)であって、該可撓性導管が該導管入口における入口直径から該導管出口における出口直径までテーパー状であり、該可撓性導管が、流体が該導管入口から該導管出口まで流れることを可能にするために開くよう整列され、そして流体が該導管出口から該導管入口まで流れることを防ぐために潰れる圧潰可能な柔軟な尖弁(26)を含む、弁組立体;を備え、
該可撓性導管が該支持ステント内に位置決めされ、該導管入口が該ステント近位端に固定され、該導管出口の選択された部分が該支持ステントに固定され、該導管出口で該圧潰可能な柔軟な尖弁を形成し、そして該可撓性導管がさらに、該支持ステント内で、該支持ステント遠位端が該導管出口の下流にあるように位置決めされる、人工弁装置。
【請求項2】
前記圧潰可能な柔軟な尖弁が、三尖弁配列に潰れるように配列される、請求項1に記載の人工弁装置。
【請求項3】
前記第2の拡張された構成において、前記支持ステントが、前記可撓性導管に隣接する洞を生成する、請求項1に記載の人工弁装置。
【請求項4】
前記第2の拡張された構成において、前記導管出口に隣接する前記支持ステントの直径が、前記導管出口を形成する柔軟な材料の直径より大きい、請求項1に記載の人工弁装置。
【請求項5】
前記導管入口に隣接する前記可撓性導管が、前記支持ステントの近位端上で転回される、請求項1に記載の人工弁装置。
【請求項6】
前記弁組立体が、心膜組織、またはその他の生物学的組織から作製される、請求項1に記載の人工弁装置。
【請求項7】
前記圧潰可能な柔軟な尖弁が前記出口を正確に閉めるために必要であるより長く、それらが圧潰状態にあるとき、該尖弁の実質的部分が互いの上に当たり改良された閉鎖を生成する、請求項1に記載の人工弁装置。
【請求項8】
前記支持ステントに重金属マーカーが提供され、前記弁装置の位置および配向を追跡および決定することを可能にする、請求項1に記載の人工弁装置。
【請求項9】
前記支持ステントが、ニッケルチタンを含む、請求項1に記載の人工弁装置。
【請求項10】
前記可撓性導管が、前記支持ステント上の複数の係留点で該支持ステントに固定される、請求項1に記載の人工弁装置。
【請求項11】
前記可撓性導管が、前記複数の係留点で前記支持ステントに縫合される、請求項10に記載の人工弁装置。
【請求項12】
身体管路中の心臓移植に適切な人工弁装置であって:
ニッケルチタンの網状フレームを備える支持フレーム(32)であって、近位端(38)および遠位端(42)を備え、該遠位端が該近位端の下流にあり、そして該近位端の下流がテーパー状である支持フレーム;および
入口(22)および出口(24)を有する可撓性導管を備える弁組立体(20)であって、該出口で該導管の圧潰可能な尖弁(26)を提供する、該支持フレームに取り付けられた柔軟な材料から作製され、該出口が該入口に対してテーパー状であり、そして該支持フレームの遠位端が該弁組立体の入口の下流にあり、心膜組織を含む弁組立体;を備え、
流れが、該装置を該弁組立体の該入口から該出口まで通過するとき、該弁組立体が開放位置に維持され、該弁組立体の圧潰可能なたるみ部分が内方に逆流に対する障害物を提供するとき逆流が防止され、そして逆行性流動が層流から改変され、そして圧潰可能な尖弁の方向に向けられて該可撓性導管の閉鎖を行うように構成された、人工弁装置。
【請求項13】
前記弁組立体の前記入口における前記可撓性導管の部分が、前記支持フレームの前記近位端に取り付けられる、請求項12に記載の人工弁装置。
【請求項14】
前記柔軟な材料が前記支持フレームに縫合されてポケットを形成する、請求項12に記載の人工弁装置。
【請求項15】
前記弁組立体の出口に隣接する前記支持フレームの直径が、該弁組立体の出口を形成する前記柔軟な材料の直径より大きい、請求項12に記載の人工弁装置。
【請求項16】
前記支持フレームが、最初に、前記身体管路を通り標的位置までのカテーテル法に適した細長い構成で圧着されるよう適合され、そして該標的位置における展開状態まで、展開装置によって該展開装置内から実質的に半径方向の力を奏することによって展開されるよう適合された展開可能な構成を備える、請求項12に記載の人工弁装置。
【請求項17】
前記装置が、拡張可能なバルーンを備えるバルーンカテーテル上に細長い構成で取り込まれる、請求項16に記載の人工弁装置。
【請求項18】
前記バルーンが、前記装置を通る流れ通路に沿って走る中央長手方向軸を有する、請求項17に記載の人工弁装置。
【請求項19】
前記装置が、前記弁組立体が前記開放位置にあるとき、人工洞が該弁組立体と前記ステント部分の隣接する部分との間に形成されるように構成される、請求項12に記載の人工弁装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−172969(P2011−172969A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−103782(P2011−103782)
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【分割の表示】特願2006−534149(P2006−534149)の分割
【原出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(500218127)エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション (93)
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
【住所又は居所原語表記】One Edwards Way, Irvine, CALIFORNIA 92614, U.S.A.
【Fターム(参考)】