説明

非接着性の弾性ゼラチンマトリックス

本発明は、実質的に非接着性の弾性ゼラチンマトリックスである。このマトリックスは、創傷、組織、および器官に対して非接着性であるとともに弾性でもあるために可撓性である。このマトリックスは、タンパク質、ポリマー、架橋剤、および任意選択の可塑剤の凍結乾燥された混合物である。本発明は、非接着性の弾性ゼラチンマトリックスを作製するための方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接着性の弾性マトリックスに関する。より詳細には、本発明は、非接着性の架橋弾性ゼラチンマトリックス、およびその作製方法に関する。このマトリックスは、創傷包帯、創傷バリア、組織および血管被覆に限らず様々な形態において提供できる。このマトリックスに、様々な医薬品、化学薬品、および他の薬剤を組み込ませることもできる。さらに、本発明の非接着性の弾性マトリックスは、単独で、または他の材料と連携して使用できる。
【背景技術】
【0002】
ゼラチンシート、コラーゲンシート、およびスポンジは、医学分野において広く使用されている一群のバイオマテリアルである。それらは、乾燥しており、大量の水を吸収および保持する。このグループのバイオマテリアルは、生体適合性および生分解性であり、ほとんどまたは全く炎症を引き起こさない。これらのバイオマテリアルは、創傷包帯、人工皮膚足場、および治療用薬物デリバリデバイスとして有用であり、本出願人の米国特許第6475516号に例示するように、このバイオマテリアルは、治療薬を保持し、そうした治療薬を適切な細胞、および組織に送達できる。
【0003】
従来技術により提供されるのと同様なゼラチンおよびコラーゲンシートは、通常、非弾性であり、毒性を有する場合がある。例えば、米国特許第3491760号には、空気泡を使用して「発泡」させられ、可塑剤(グリセロール)により処理され、4%グルタルアルデヒド溶液により架橋され、得られたゲルフィルムが接着被覆層により被覆されているコラーゲン、またはゼラチンからなる、しなやかであるが非弾性の接着性多層創傷被覆が記載されている。一般に知られているように、グルタルアルデヒドにより架橋されたコラーゲンおよびゼラチンマトリックスには残留毒性がある。
【0004】
ゼルフォーム(Gelfoam)(登録商標)など、ゼラチンスポンジ材料も周知である。これらの材料は、吸収性であり、無菌であり、水に不溶であり、手術中の出血を調整するのに使用され、粉末の形態で提供することもできる。この材料は非弾性である。現在使用されている他の非弾性ゼラチンスポンジは、Surgifoam(登録商標)である。ゼルフィルム(Gelfilm)(登録商標)は、ホルムアルデヒド架橋ゼラチン溶液から得られる非弾性材料である。
【0005】
ゼラチンとも呼ばれる加水分解されたコラーゲンは、本出願人の米国特許第6132765号および第6228393号に記載されているように、カテーテルやステントなどのチューブ状医療器具の表面に共有結合した場合に、治療薬の送達用の媒体として使用されている。この材料は、水和しており、最小の弾性しかない。
【0006】
例えば、米国特許第4703108号、第4970298号、第5550187号、第5744545号、第6132765号など、数種の特許には、架橋非弾性コラーゲン材料が記載されている。
【0007】
SehalおよびVijay(Anal.Biochem.、218(1994)、87〜91頁)には、1-エチル-3-[3-ジメチルアミノプロピルカルボジイミド(EDC)/N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を使用して水溶性カルボジイミド媒介によるアミド化を行うための方法が記載されている。この方法は、コラーゲン、ゼラチン、および他のタンパク質を架橋することが周知である。しかし、得られたマトリックスは、弾性でない。
【0008】
Choiら(Biomaterials、20(1999)、409〜41頁)には、ゼラチンおよびアルギネートを含み、EDCにより架橋されているゼラチン含有人工皮膚の製造が記載されている。可溶性スポンジを20〜100mgEDCを含むアセトン:水(容積で9:1)溶液中に浸漬し、24時間架橋させた。EDCは、水中に溶解すると、脱活性化され、その架橋能力を速やかに失うといわれており、したがってEDCは、90%アセトン中に溶解した。生成したマトリックス材料は本質的に非弾性である。
【0009】
医薬品業界では、柔軟な弾性ゼラチンカプセルまたは「ソフトゲル」は、プロピレングリコール、ソルビトール、グリセリン、または他の承認された混合物により可塑化されたゼラチン溶液から作製される。しかし、ソフトゲルカプセル中のゼラチンは、摂取時カプセルに可溶性を保持させる目的で、架橋されていない。さらに、ソフトゲルカプセルは、弾性、ならびに温度の上昇やマイルドな酵素作用などの分解プロセスの作用に対する耐性が欠如している。
【特許文献1】米国特許第6475516号
【特許文献2】米国特許第3491760号
【特許文献3】米国特許第6132765号
【特許文献4】米国特許第6228393号
【特許文献5】米国特許第4703108号
【特許文献6】米国特許第4970298号
【特許文献7】米国特許第5550187号
【特許文献8】米国特許第5744545号
【特許文献9】国際出願PCT CA第02/002464号
【非特許文献1】SehalおよびVijay、Anal.Biochem.、218(1994)、87〜91頁
【非特許文献2】Choiら、Biomaterials、20(1999)、409〜41頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
弾性であり、十分な引張り強度があるものの固くて脆くはなりにくいゼラチン材料を製造する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、様々な臨床用途のための実質的に非接着性のタンパク質性弾性マトリックスを提供する。より詳細には、本発明は、限定されないが、創傷バリア、創傷包帯、手術包帯、ラップなど、様々な用途における使用、および治療用薬物および/または化学薬品送達における使用のための実質的に非接着性の弾性ゼラチンマトリックスを提供する。本発明は、本発明の非接着性の弾性ゼラチンマトリックスを作製するための新規な方法をも提供する。
【0012】
本発明の一態様によれば、非接着性の弾性ゼラチンマトリックスである。このマトリックスは、非接着性であり、弾性であるために可撓性である。このマトリックスは、実質的な量の溶媒を含まないように凍結乾燥され、コラーゲンもしくは変性コラーゲンと、生体適合性ポリマーと、架橋剤と、任意選択の可塑剤との混合物を含む。
【0013】
本発明の他の態様によれば、凍結乾燥された非接着性の弾性ゼラチンマトリックスである。
【0014】
本発明の他の態様によれば、非接着性の弾性タンパク質マトリックスであって、コラーゲンおよび/またはゼラチンを含むタンパク質と、生体適合性ポリマーと、1つまたは複数の架橋剤との混合物を含むマトリックスである。いくつかの態様では、この混合物は、1つまたは複数の可塑剤をさらに含むことができる。他の態様では、この混合物は、凍結乾燥される。
【0015】
いくつかの態様では、コラーゲンもしくは変性コラーゲン、即ちゼラチンは、マトリックスのタンパク質成分として単独で使用される。代替の態様では、コラーゲン、およびゼラチンは、マトリックスのタンパク質成分として組み合わせて使用される。
【0016】
本発明の他の態様によれば、非接着性の弾性ゼラチンマトリックスであって、コラーゲンおよび/またはゼラチンを含むタンパク質と;アルギネートと、ポリエチレングリコールと、ポリ-L-リジンとを含む生体適合性ポリマーとの混合物を含み、前記ポリマーが、1つまたは複数の架橋剤により架橋され、前記混合物が凍結乾燥されているマトリックスである。いくつかの態様では、この混合物は、1つまたは複数の可塑剤をさらに含むことができる。
【0017】
いくつかの態様では、コラーゲンは、単独で使用でき、あるいは変性コラーゲン、即ちゼラチンは、単独、または組合せで使用できる。
【0018】
本発明の他の態様によれば、非接着性の弾性ゼラチンマトリックスを作製するための方法であって、少なくとも1つのタンパク質と、少なくとも1つの生体適合性ポリマーと、少なくとも1つの架橋剤とを含む凍結溶液を、溶媒を実質的に除去するのに有効な時間凍結乾燥するステップを含む方法が提供される。いくつかの態様では、この溶液は、可塑剤をも含む。
【0019】
本発明のさらなる他の態様によれば、非接着性の弾性ゼラチンマトリックスを作製するための方法であって、
(a)タンパク質溶液を加熱するステップと、
(b)1つまたは複数の生体適合性ポリマーを(a)に加えるステップと、
(c)少なくとも1つの架橋剤を(b)に加えるステップと、
(d)(c)を冷却し、凍結乾燥するステップとを含む方法である。
【0020】
本発明の態様では、(a)のタンパク質は、ゼラチンであり、他の態様では、ゼラチンとコラーゲンの混合物である。可塑剤は、(b)および/または(c)にさらに添加できる。さらに、1つまたは複数の医薬物質、化学物質、または他の物質は、ステップ(c)の架橋反応の前および/または後で添加できる。例えば、銀イオン、金属銀、または銀塩は、火傷、または他の外傷を治療するためのマトリックスに添加して感染を最小化、および/または阻害することができる。このマトリックスは、創傷バリア、創傷包帯、血管ラップ、およびそれらの組合せなどの被覆として作製できる。このマトリックスは、スポンジとしても作製できる。さらに本発明のマトリックスは、使用して慢性炎症を縮小し、滲出液を吸収し、および/または創傷の水分環境を助長することができる。本発明のマトリックスは、哺乳動物における表皮剥奪、および加齢関連状態の治療の内の少なくとも1つのために、所望の組織に送達される化学薬品または他の薬剤をその中に組み込むこともできる。
【0021】
本発明の態様では、非接着性の弾性ゼラチンマトリックスは、クモの巣またはフィブリル状サポートの周りに形成できる。本発明のさらなる他の態様では、本発明のゼラチンマトリックスは、ポリマーシート、フィルム、糸、またはシリコーン膜およびシリコーンメッシュ、ポリウレタン、ポリエチレン、ダクロン(Dacron)(登録商標)、ナイロン、絹、セルロース、およびそれらの混合物と連携して使用できる。
【0022】
本発明の他の態様では、非接着性の弾性ゼラチンマトリックスは、閉鎖構造と、実質的に非接着性のゼラチンマトリックスとを含む閉鎖デバイスとして提供することができ、このマトリックスは、そのマトリックスの表面の一方の表面がこの閉鎖構造の1つの表面に貼られ、そのマトリックスの表面の他方の表面が組織を被覆し、組織と接触するように適合化された相対する表面を有する。こうした態様では、この閉鎖デバイスは、例えば、プラスチックフィルムでよい。
【0023】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかし、詳細な説明および具体的な実施例は、本発明の実施形態を示すものではあるが、例示のためにのみ提供されることを理解されたい。というのは、本発明の趣旨および範囲内の様々な変化および改変は、この詳細な説明により当業者には明白になるはずであるからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、生体適合性である、新規な実質的に非接着性の弾性タンパク質含有マトリックスである。本発明の実施形態では、このマトリックスは、それが様々な臨床条件において必要とされる様々な方式に合う形態をとり得るように、その弾性を保持する弾性ゼラチンマトリックスである。そういうものとして、本発明の弾性ゼラチンマトリックスは、可撓性であり、様々な状態を治療するための様々な臨床用途を有する。さらに、本発明のマトリックスは、様々なフォーマットに合う形態にすることができ、他のデバイスまたは構造と連携して使用できる。本発明のマトリックスは、様々な臨床用途用として望まれるのに応じて、マトリックス中に組み込まれている様々な医薬品、化学薬品、および/または他の薬剤をも含むことができる。本発明のゼラチンマトリックスには、そのマトリックスが、創傷、組織(限定されないが、皮膚、血管、および骨など)、および器官に実質的に接着しない実質的に非接着という意義がある。最後に、本発明のマトリックスは、生体内および生体外で安定な吸収剤であり、所望の臨床用途に対して必要とされる引張り強度および弾性を備えて作製することができる。
【0025】
本発明の弾性マトリックスは、タンパク質もしくはタンパク質の混合物と、生体適合性ポリマー(複数可)と、架橋剤(複数可)と、溶媒(複数可)と、任意選択の可塑剤(複数可)とを含む溶液から作製される。本発明において使用するためのタンパク質は、さらに1つまたは複数の生体適合性ポリマーと一緒に混合されるコラーゲン、変性コラーゲン(即ち、ゼラチン)、およびそれらの混合物から選択される。可塑剤は任意選択で添加できる。この溶液を凍結乾燥して本質的に全ての溶媒を除去し、本発明の非接着性の弾性ゼラチンマトリックスを提供する。
【0026】
本発明の態様では、本発明において使用するための生体適合性ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ-L-リジン、ポリ-D-リジン、アルギネート、キトサン、ヒアルロン酸、硫酸コンドロイチン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0027】
本発明の態様では、本発明において使用するための架橋剤は、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(EDC)、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、ポリアジリジン、ジグリシジルエーテル、およびそれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、EDCおよびNHSは、架橋剤として組み合わせて使用される。
【0028】
本発明の態様では、本発明において使用するための任意選択の可塑剤は、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0029】
本発明の態様では、本発明において使用するための溶媒は、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、硫化ジメチル(DMS)、およびそれらの混合物からなる群から選択される。本発明の態様では、溶媒は、水、あるいは、極性有機溶媒に加えて使用される場合、溶媒比は通常、最終混合物中で水:極性有機溶媒、約9:1である。
【0030】
コラーゲンおよび/またはゼラチンと生体適合性ポリマー、架橋剤、任意選択の可塑剤、および溶媒とを一緒にした溶液は、混合され、凍結され、次いでフリーズ-ドライされる(即ち、凍結乾燥される)。そのようにして生成したマトリックスは、実質的に非接着性であり、弾性である。
【0031】
組成物溶液中、および凍結乾燥最終組成物中における、タンパク質(コラーゲンまたはゼラチン)の量、生体適合性ポリマーの量、溶媒の量、および任意選択の可塑剤の量の範囲は、下記の通りであり得る:
【0032】
【表1】

【0033】
本発明の非接着性の弾性ゼラチンマトリックスは、適切な溶媒中のタンパク質溶液、生体適合性ポリマー溶液、および架橋剤溶液を合わせることにより作製される。実施例中において説明されたマトリックスの様々な成分の溶液は、水性であるが、本発明の態様では、生体適合性ポリマー、および架橋剤を、限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの極性有機溶媒中に最初に溶解でき、こうした場合、最終混合物の溶媒比は、通常、水の方が多く、9:1である。
【0034】
本発明の態様では、タンパク質溶液、および生体適合性ポリマー溶液を混合し、タンパク質が凝固、即ちゲルを形成しないような温度である時間インキュベートする。約55℃の温度が、そうしたインキュベーションに適している。生体適合性ポリマーとしてポリエチレングリコール(PEG)を使用する場合、PEGは通常、混合およびインキュベート中のタンパク質溶液に添加される。次いで、架橋剤溶液を加え、得られた混合物を、むらのないゲルが形成されるまで、ある一定期間混合する。次いで、ゲルを適切な型中に注ぎ、室温で約10分間保持し、続いて約4℃で、約30分〜最大約12時間の範囲の期間冷却する。混合物を洗浄して、残留PEGや架橋剤などの可溶性成分を除去し、非接着性の弾性ゼラチンマトリックスの最終水分含量が、約10%未満になるまで約24時間以上の期間凍結乾燥する。得られたマトリックス(凍結乾燥されたマトリックス)の最終水分含量は、マトリックスの最大約10重量%までの任意の値に調節できることは、当業者には理解されよう。
【0035】
本発明の非接着性の弾性ゼラチンマトリックスは、限定されないが、皮膚、組織裂傷;皮膚、組織、および器官の手術創傷、血管、ならびに骨を含めての、組織、および器官に対する薬物溶離ができるように発展させることができる。この実施形態では、マトリックスは、医薬品、化学薬品、および/または他の薬剤をその中に組み込ませるように作製できる。一態様では、医薬品、化学薬品、および/または他の薬剤は、最初の配合段階のものの中に約0.1%〜約10%の量で、または、乾燥後約1.0%〜約25%で組み込むことができる。他の態様では、凍結乾燥マトリックスは、所望の医薬品、化学薬品、および/または他の薬剤の溶液中に浸漬でき、次いでマトリックスは凍結乾燥できる。本発明と連携して使用するための望ましい薬剤には、限定されないが、銀イオン、金属銀、または銀塩、クロルヘキシジン、トリクロサン、ポビドン-ヨウ素;銅、白金、金、ビスマス系化合物などの他の抗菌金属;リドカインなどの麻酔剤;抗生物質、免疫抑制剤、抗増殖剤、抗炎症剤、抗ウイルス剤、およびそれらの組合せが含まれる。本発明のマトリックスとともに使用するための薬剤の選択は、その最終用途で決まる。例えば、加齢関連の状態を治療するために使用する場合、抗老化剤を凍結乾燥の前および/または後でマトリックスに提供できる。こうした抗老化剤は、例えば、微細な線、しわ、および皮膚の脱色を治療するために選択できる。この態様では、適切な抗老化剤は、剥奪剤、ビタミンA、ビタミンCなどから選択できる。かっぱん病、または脱色を治療するために使用する場合、ハイドロキノンなどの薬剤が、マトリックス中への組込みとして適している。
【0036】
本発明の非接着性の弾性ゼラチンマトリックスは、フィルム、シート、チューブ、スポンジなど、様々な形態で作製できる。本発明のマトリックスは、例えば、限定されないが、創傷バリア、創傷包帯、血管ラップ、およびそれらの組合せとして使用できる。本発明のマトリックスは、慢性炎症を縮小し、滲出液を吸収し、および/または創傷の水分環境を助長するためにも使用できる。本発明のマトリックスは、限定されないが、ポリマーシート、フィルム、糸、シリコーン膜またはシリコーンメッシュ、ポリウレタン、ポリエチレン、ダクロン(Dacron)(登録商標)、ナイロン、絹、セルロース、およびそれらの組合せなどの他の材料と連携したデバイスとしても作製できる。これは、γ線照射、プラズマ、またはコロナ放電、および/またはUV光の方法により他の材料の表面を化学的に改変して反応基を材料の表面上に導入することにより行うことができる。次いで、この反応基は、本出願人の国際出願PCT CA第02/00246号(その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている)に記載の方法により本発明の非接着性の弾性マトリックス上に存在する相補的な反応基と共有結合することができる。
【0037】
上記の開示は、本発明を一般的に説明するものである。以下の具体的な実施例を参照することにより、より完全に理解することができる。これらの実施例は、例示のためにのみ説明されるのであり、本発明の範囲を限定しようとするものではない。状況により方策が示唆、または提供される場合は、形態の変化、および等価物の置換が企図される。本明細書では特定の用語が用いられるが、そうした用語は、説明的意味においての使用を意図するものであり、限定を意図するものではない。
【0038】
(実施例)
範囲を限定する意図を有するものではなく、以下の実施例は、本発明の様々な実施形態を例示する役割を有する。
【0039】
材料
ゼラチンは、Vyse Gelatin Company(5010 North Rose St., Schiller Park, IL60176)から購入した。ゼラチン(300Bloom)は、ブタ源:動物の皮膚、白色連結組織、および骨から誘導されたコラーゲンを部分的に加水分解することにより得られ、加工処理されて医薬級のゼラチンが生成した。Macrocystis pyriferaからのアルギン酸ナトリウム(ナトリウム塩)(高粘度であり、25℃の2%溶液で約14,000cps)は、Sigma Co. (St. Louis, MO)から購入した。ポリエチレングリコール(平均Mn=3,400)、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド塩酸(EDC)、およびN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、および乳酸銀は、Aldrich Co. (Milwaukee, WI53201)から購入した。
【0040】
(実施例1)
(ゼラチン+アルギネート+PEG3400)包帯
原料溶液:
ゼラチン: 20%(w/v)
アルギネート: 3.12%(w/v)
PEG3400: 63%(w/v)
EDC/NHS: それぞれ、40%(w/v)および6%(w/v)、(モル比:4/1)
【0041】
水飽和マトリックスの組成
ゼラチン: 10%(w/w)
アルギネート: 1.1%(w/w)
PEG: 7.2%(w/w)
【0042】
マトリックス合成(例えば、約200mlのゲルを形成するため)
ゼラチン溶液(100mL)とアルギネート溶液(71.2mL)を混合して、55℃で30分間インキュベートした。次いで、PEG3400溶液30mLを加えて、混合した。その後、新鮮なEDC/NHS溶液5mLを30秒間の混合中に上記混合物に加えた。ゲル約200mlを型内に注ぎ、室温で10分間保持し、続いて4℃で30分間冷却した。マトリックスを終夜水中で洗浄してPEGや架橋剤などの可溶性成分を除去した。最後に、マトリックスを凍結乾燥した。通常、ゲル混合物0.32mLから1cm2のマトリックス表面積が得られる。
【0043】
(実施例2)
(ゼラチン+アルギネート+PEG3400+グリセロール)包帯
原料溶液:
ゼラチン: 20%(w/v)
アルギネート: 3.12%(w/v)
PEG3400: 63%(w/v)
EDC/NHS: それぞれ、40%(w/v)および6%(w/v)、(モル比:4/1)
グリセロール: 10%(w/v)
【0044】
水飽和マトリックスの組成
ゼラチン: 10%(w/w)
アルギネート: 1.1%(w/w)
PEG: 7.2%(w/w)
ポリ-リジン: 0.1%(w/w)
【0045】
マトリックス合成(例えば、ゲル200ml)
ゼラチン溶液(100mL)とアルギネート溶液(71.2mL)を混合して、55℃で30分間インキュベートした。次いで、PEG3400溶液30mLを加えて、混合した。その後、新鮮なEDC/NHS溶液5mLを30秒間の混合中に上記混合物に加えた。ゲル約200mlを型内に注ぎ、室温で10分間保持し、続いて4℃で30分間冷却した。マトリックスを終夜水中で洗浄してPEGや架橋剤などの可溶性成分を除去した。通常、ゲル混合物0.32mLから1cm2のマトリックス表面積が得られる。マトリックスを10%グリセロール2.85L(ゲル1cm2につきグリセロール4.4ml)中に浸漬した。最後に、マトリックスを凍結乾燥した。
【0046】
(実施例3)
(ゼラチン+アルギネート+PEG3400+ポリ-L-リジン)包帯
原料溶液:
ゼラチン: 20%(w/v)
アルギネート: 3.12%(w/v)
PEG3400: 63%(w/v)
ポリ-L-リジン: 2%(w/v)
EDC/NHS: それぞれ、40%(w/v)および6%(w/v)、(モル比:4/1)
【0047】
水飽和マトリックスの組成
ゼラチン: 10%(w/w)
アルギネート: 1.1%(w/w)
PEG: 7.2%(w/w)
ポリ-リジン: 0.1%(w/w)
【0048】
マトリックス合成
ゼラチン溶液とアルギネート溶液をこれまでの実施例と同様に混合した。次いで、2%ポリ-L-リジン10mlを混合しながら加えた。30mlのPEG3400を混合物に加えて混合した。最終マトリックスを得るための残りの手順は、これまでの実施例と同一であった。
【0049】
(実施例4)
(ゼラチン+アルギネート+PEG3400+ポリ-L-リジン+グリセロール)包帯
原料溶液:
ゼラチン: 20%(w/v)
アルギネート: 3.12%(w/v)
PEG3400: 63%(w/v)
ポリ-L-リジン: 2%(w/v)
EDC/NHS: それぞれ、40%(w/v)および6%(w/v)、(モル比:4/1)
グリセロール: 10%(w/v)
【0050】
水飽和マトリックスの組成
ゼラチン: 10%(w/w)
アルギネート: 1.1%(w/w)
PEG: 7.2%(w/w)
ポリ-L-リジン: 0.1%(w/w)
【0051】
マトリックス合成
ゼラチン溶液とアルギネート溶液をこれまでの実施例と同様に混合した。次いで、2%ポリ-L-リジン10mlを混合しながら加えた。30mlのPEG3400を混合物に加えて混合した。水和および洗浄マトリックスを得るための残りの手順は、これまでの実施例と同一であった。最後に、マトリックスを10%グリセロール2.85L(ゲル1cm2につきグリセロール4.4ml)中に浸漬し、次いで凍結乾燥した。
【0052】
(実施例5)
(ゼラチン+アルギネート)包帯
原料溶液:
ゼラチン: 1%(w/v)
アルギネート: 1%(w/v)
EDC/NHS: それぞれ、40%(w/v)および6%(w/v)、(モル比:4/1)
【0053】
水飽和マトリックスの組成
ゼラチン: 0.9%(w/w)
アルギネート: 0.1%(w/w)
【0054】
マトリックス合成(例えば、ゲル200ml)
ゼラチン溶液(180mL)とアルギネート溶液(20mL)を混合して、55℃で30分間インキュベートした。その後、新鮮なEDC/NHS溶液1.4mlを1分間の混合中に上記混合物に加えた。混合物を型内に注ぎ(面積20cm2につき10ml)、次いで-20℃で終夜凍結した。最後に、マトリックスを凍結乾燥した。
【0055】
実施例1〜5におけるのと同様の様々なマトリックスは、実施例1〜5のマトリックス内にメッシュ、ネット、またはファイバを埋め込むために、治療薬、銀含有材料、または他の薬剤などの添加された物質を含んでも含まなくてもよい、限定されないが、ポリマーシート、フィルム、糸、シリコーン膜またはシリコーンメッシュ、ポリウレタン、ポリエチレン、ダクロン(Dacron)(登録商標)、ナイロン、絹、セルロース、およびそれらの組合せなどの他の材料上に直接(上記で要約したような改変なしで)注ぐことができる(最初の冷却/凍結ステップの前に)。
【0056】
(実施例6)
ゼラチンスポンジのコラゲナーゼによる生体外分解
細菌性コラゲナーゼを使用して、架橋ゼラチン系材料の分解を調査した。本調査で使用されたコラゲナーゼは、Clostridium(EC 3.4.24.3)からのものであり、活性が362U/mg固体であった。試料(50mg)は、0.005M CaCl2および0.05mg/mLアジ化ナトリウムを含む0.1Mトリス-HCL緩衝液中(pH=7.4)で濃度15.35U/mgを有するコラゲナーゼ溶液10ml中37℃でインキュベートした。各インキュベーション間隔の後、試料を脱イオン水で注意深く3回洗浄し、終夜凍結乾燥した。分解度を、分解後残っている重量%として表した。
【0057】
本発明によるゼラチン系の包帯の生物分解は、予期されたようにコラゲナーゼの存在下において速やかであった。ほとんど全てのマトリックスについて、ゼラチンスポンジの約80%が最初の24時間で分解した。ゼラチンおよびアルギネートを含むゼラチンマトリックスは、コラゲナーゼの作用の影響がより少ないように見えた(表1)。
【0058】
【表2】

【0059】
(実施例7)
水取込み能力の決定
包帯の水取込み能力を求めるために、約40mgの包帯を20mlガラスビン中に入れ、水またはPBS(0.01M、pH=7.4)15mlを加えた。室温で5分間水和した後、試料の重量を測定し、次いで37℃で4時間および24時間インキュベートした。試料の重量を両方のインキュベーション間隔で測定した。水取込み能力は、乾燥包帯に対する吸収水の重量比で表される(表2)。特に可塑剤のないマトリックスは、全て非常に吸収性が大きく、約24時間でそれ自体の最大約30〜35倍の重量の水を吸収できる。
【0060】
【表3】

【0061】
(実施例8)
水に対する溶解度の決定
包帯の水に対する溶解度を求めるために、既知の重量を有する試料をガラスビン内に置き、水15mlを加えた。これを40℃で24時間インキュベートし、次いで水を除去し、試料を2回水で洗浄した。次いで、恒量まで100℃のオーブンで乾燥し、次いで再秤量した。水に対する溶解度は、通常、水処理後失われた量のパーセンテージで表される(表3)。マトリックスは、良好な水に対する溶解度を示したが、これにより臨床で長寿命であることが示された。より低い溶解度は、体温でのより安定なマトリックスをもたらした。したがって、こうしたマトリックスは、例えば1枚のシートとして24時間以上経過しても患者に与える不快感が最小で創傷から除去できる。マトリックスは全て良好な安定性を示したが、可塑剤のないものはもっと安定であった。
【0062】
【表4】

【0063】
(実施例9)
機械特性の決定
0.01M、pH=7.4のPBS緩衝溶液中に室温で1時間浸漬しておいた水和ゼラチンマトリックス(4.5cm×1cm)を破壊した時の引張り強度および伸びを求めて機械特性を決定した。0.5kgロードセルを延伸速度5mm/minで使用した(表4)。この実施例は、マトリックスの引張り強度および弾性を、マトリックス成分の量の変更および組合せにより調整できることを示す。これは、人工皮膚や創傷包帯など、様々な臨床用途のためのマトリックスを提供する上で重要である。
【0064】
【表5】

【0065】
(実施例10)
シロリムスのゼラチン系包帯への添加
実施例1〜5は、組織および器官の表面へ送達するための、抗増殖および抗炎症薬物シロリムス(ラパマイシン)などの様々な薬物用のキャリアとして使用できるレンジ材料の製造を対象とする。この実施例では薬物シロリムスを使用するが、他の薬剤を単独または組合せで使用して組織および器官の表面へ送達できることに留意されたい。
【0066】
原料溶液:
ゼラチン: 水に対して1%
アルギネート: 0.05N NaOHに対して1%
EDC/NHS:10mM Mes生理食塩水(pH=4.5)1mlあたり400mg/60mg
グリセロール: 1%(水中)
【0067】
マトリックス中の配合
ゼラチン: 0.9%(w/v)
アルギネート:0.1%(w/v)

【0068】
手順
原料溶液の調製
溶液1:ゼラチン2gを水180mlに加えた;ゼラチンが水中で完全に水和した後、混合物を50℃でインキュベートしてゼラチンを溶解した。
溶液2:アルギネート0.2gを0.05N NaOH20ml中に加え、50℃でインキュベートしてアルギネートを溶解した。
溶液3:EDC400mg+NHS60mgを10mM Mes生理食塩水(pH=4.5)1ml中に加えた。
溶液4:グリセロール2gを水200ml中に加えた。
【0069】
マトリックス合成(例えば、ゲル200ml)
1.溶液1および溶液2を混合し、55℃で30分間インキュベートした。その後、新鮮なEDC/NHS溶液1.379mlを1分間攪拌しながら混合物に加えた。この混合物を型中に注ぎ(20cm2につき9ml)、次いで-20℃で終夜凍結した。
2.架橋ゲルをマトリックスあたり500mlのMilli-Q水で4回洗浄した(1時間ごとに新鮮な水);このマトリックスを室温で再凍結し、ゲル20cm2あたり1%グリセロール9ml中に浸漬した。次いで-20℃で再凍結し、凍結乾燥した。このマトリックスを薄いフィルムとして調製することもできる。
【0070】
上記のマトリックス(または実施例1〜5の任意のマトリックス)を1×4cm正方形に切断した。その後、薬物溶液(1mg/80μlエタノール)80μlを材料の表面上に添加し、または材料を薬物溶液中に浸漬した。フィルム中に薬物を装填した後、そのフィルムを乾燥させ、薬物装填フィルムを8時間(25KGy)γ線照射した。
【0071】
生体外薬物放出の調査
手順
1.試料の調製
1)1つのマトリックスを等しい3片に切断した。
2)薬物1mgをエタノール90μl中に溶解した。
3)薬物溶液30μlをステップ1の各マトリックス片中に加えた。
4)エタノールを蒸発させた。
2.薬物放出調査
1)15ml Falcon管中に試料を入れた。
2)各管にPBS(10mM、pH=7)5mlを加えた。
3)管を37℃で10日間インキュベートした。
4)3時間、1日、3日、5日、7日、9日の間隔で試料2.5mlを取り出し、取り出した試料の代わりに新鮮なPBS2.5mlで置き換えた。
5)試料をHPLC分析した。
カラム:Hypersil ODS、100×2.1mm
流速:0.2ml/分
検出:UV、278nm
移動相:600mlアセトニトリルおよび水400ml
温度:50℃
注射容積:10μl
シロリムス標準液:0μg/ml、1μg/ml、2.5μg/ml、5μg/ml、10μg/ml
分析:各試料を分析のために2回注射した。
各データの点は、6回の反復試験の平均である。
【0072】
【表6】

【0073】
【表7】

【0074】
【表8】

【0075】
本発明の好ましい実施形態を本明細書中で詳細に説明したが、本発明の趣旨、または添付の特許請求の範囲の範囲を逸脱することなく、それらの変形形態が作成できることは当業者には理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数のタンパク質と、
1つまたは複数の生体適合性ポリマーと、
1つまたは複数の架橋剤と
を含み、実質的に非接着性であることを特徴とする弾性タンパク質マトリックス。
【請求項2】
1つまたは複数の可塑剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のマトリックス。
【請求項3】
前記タンパク質が、コラーゲン、変性コラーゲン、およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のマトリックス。
【請求項4】
前記生体適合性ポリマーが、ポリエチレングリコール、ポリ-L-リジン、アルギネート、キトサン、ヒアルロン酸、硫酸コンドロイチン、およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のマトリックス。
【請求項5】
前記架橋剤が、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(EDC)、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、ポリアジリジン、ジグリシジルエーテル、およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のマトリックス。
【請求項6】
前記架橋剤が、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(EDC)とN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)の混合物であることを特徴とする請求項5に記載のマトリックス。
【請求項7】
約10%未満の水分を含むことを特徴とする請求項1に記載のマトリックス。
【請求項8】
前記タンパク質が、前記マトリックスの約50〜約90重量%の量において提供されることを特徴とする請求項1に記載のマトリックス。
【請求項9】
前記生体適合性ポリマーが、前記マトリックスの最大約40重量%までの量において提供されることを特徴とする請求項1に記載のマトリックス。
【請求項10】
前記架橋剤が、前記マトリックスの約0.5〜約5重量%の量において提供されることを特徴とする請求項1に記載のマトリックス。
【請求項11】
前記可塑剤が、前記マトリックスの最大約10重量%の量において提供されることを特徴とする請求項2に記載のマトリックス。
【請求項12】
1つまたは複数の医薬品、化学薬品、および他の薬剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のマトリックス。
【請求項13】
前記1つまたは複数の医薬品、化学薬品、および他の薬剤が、抗生物質、抗ウイルス剤、クロルヘキシジン、トリクロサン、ポビドン-ヨウ素、抗菌金属、ビスマス系化合物、免疫抑制剤、抗増殖剤、抗炎症剤、麻酔剤、抗老化剤、およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項12に記載のマトリックス。
【請求項14】
前記抗菌金属が、銀イオン、金属銀、銀塩、銅、白金、金、およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項13に記載のマトリックス。
【請求項15】
前記麻酔剤が、リドカインであることを特徴とする請求項13に記載のマトリックス。
【請求項16】
前記1つまたは複数の医薬品、化学薬品、および他の薬剤が、前記マトリックスの約1〜約25重量%の量において提供されることを特徴とする請求項12に記載のマトリックス。
【請求項17】
フィルム、シート、チューブ、またはスポンジとして提供されることを特徴とする請求項1に記載のマトリックス。
【請求項18】
ポリマーシート、ポリマーフィルム、糸、シリコーン膜、シリコーンメッシュ、ポリウレタン、ポリエチレン、ダクロン(登録商標)、ナイロン、絹、セルロース、およびそれらの組合せからなる群から選択される材料と一緒に提供されることを特徴とする請求項1に記載のマトリックス。
【請求項19】
創傷包帯、創傷バリア、組織被覆、および/または血管被覆として提供されることを特徴とする請求項1に記載のマトリックス。
【請求項20】
慢性炎症を縮小させることを特徴とする請求項1に記載のマトリックス。
【請求項21】
滲出液を吸収することを特徴とする請求項1に記載のマトリックス。
【請求項22】
水分環境を助長することを特徴とする請求項1に記載のマトリックス。
【請求項23】
前記医薬品が、シロリムスであることを特徴とする請求項12に記載のマトリックス。
【請求項24】
コラーゲンおよび/またはゼラチンと、
1つまたは複数の生体適合性ポリマーと、
1つまたは複数の架橋剤と、
溶媒と、
任意選択の可塑剤と
の混合物を含むことを特徴とする弾性ゼラチンマトリックス組成物。
【請求項25】
前記コラーゲンおよび/またはゼラチンが、約0.5〜約30重量%の量において提供されることを特徴とする請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記生体適合性ポリマーが、最大約10重量%の量において提供されることを特徴とする請求項24に記載の組成物。
【請求項27】
前記架橋剤が、約0.1〜約2重量%の量において提供されることを特徴とする請求項24に記載の組成物。
【請求項28】
前記溶媒が、約50〜約99重量%の量において提供されることを特徴とする請求項24に記載の組成物。
【請求項29】
前記可塑剤が、約0〜約5重量%の量において提供されることを特徴とする請求項24に記載の組成物。
【請求項30】
凍結乾燥して溶媒を除去し、水分含量が最大約10重量%であることを特徴とする請求項24に記載の組成物。
【請求項31】
1つまたは複数の医薬品、化学薬品、および他の薬剤をさらに含むことを特徴とする請求項24に記載の組成物。
【請求項32】
前記1つまたは複数の医薬品、化学薬品、および他の薬剤が、抗生物質、抗ウイルス剤、クロルヘキシジン、免疫抑制剤、抗増殖剤、抗炎症剤、トリクロサン、ポビドン-ヨウ素、抗菌金属、ビスマス系化合物、麻酔剤、抗老化剤、およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記抗菌金属が、銀イオン、金属銀、銀塩、銅、白金、金、およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記麻酔剤が、リドカインであることを特徴とする請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記医薬品が、シロリムスであることを特徴とする請求項31に記載の組成物。
【請求項36】
前記1つまたは複数の医薬品、化学薬品、および他の薬剤が、前記組成物の約0.1〜約10重量%の量において提供されることを特徴とする請求項31に記載の組成物。
【請求項37】
実質的に非接着性の弾性ゼラチンマトリックスを作製するための方法であって、
少なくとも1つのタンパク質と、少なくとも1つの生体適合性ポリマーと、少なくとも1つの架橋剤とを含む凍結溶液を、溶媒を実質的に除去するのに有効な時間凍結乾燥するステップ
を含むことを特徴とする方法。
【請求項38】
非接着性の弾性ゼラチンマトリックスを作製するための方法であって、
(a)コラーゲンおよび/またはゼラチンを含むタンパク質溶液を加熱するステップと、
(b)1つまたは複数の生体適合性ポリマーを(a)に加えるステップと、
(c)少なくとも1つの架橋剤を(b)に加えるステップと、
(d)(c)を冷却し、凍結乾燥するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項39】
1つまたは複数の可塑剤を(b)および/または(c)に加えることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項40】
1つまたは複数の医薬品、化学薬品、または他の薬剤をステップ(c)の前および/または後に加えてもよいことを特徴とする請求項37または38に記載の方法。
【請求項41】
前記1つまたは複数の医薬品、化学薬品、および他の薬剤が、抗生物質、抗ウイルス剤、クロルヘキシジン、トリクロサン、ポビドン-ヨウ素、抗菌金属、抗炎症剤、抗増殖剤、ビスマス系化合物、免疫抑制剤、麻酔剤、抗老化剤、およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記抗菌金属が、銀イオン、金属銀、銀塩、銅、白金、金、およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記麻酔剤が、リドカインであることを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記医薬品が、シロリムスであることを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記1つまたは複数の医薬品、化学薬品、および他の薬剤が、前記マトリックスの約0.1〜約10重量%の量において提供されることを特徴とする請求項40に記載の方法。

【公表番号】特表2008−514316(P2008−514316A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−533836(P2007−533836)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【国際出願番号】PCT/CA2005/000925
【国際公開番号】WO2006/034568
【国際公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(507103732)コヴァロン・テクノロジーズ・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】