説明

非接触型IC、改札装置、非接触型ICカード、携帯端末、支払処理方法及び支払処理システム

【課題】利用者の意図しない支払処理を防止することができる非接触型IC、非接触型ICカード、非接触型ICカード、携帯電話及び支払処理方法を提供する。
【解決手段】バリュー情報、入退場情報及び減算停止駅情報が記憶されるメモリ312と、無線通信によりこれらの情報を改札装置10に送信する制御部310とを備えた非接触型ICカード定期乗車券20と、非接触型ICカード定期乗車券20から受信した情報に基づき、非接触型ICカード定期乗車券20の運賃支払処理を行う改札装置10とで構成され、改札装置10は、この改札装置10が設置されている駅が、非接触型ICカード定期乗車券20から受信した減算停止駅である場合は、異常処理を行い、支払処理を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信により支払処理を行う非接触型IC、非接触型ICカード、支払処理方法及び支払処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車、バス、船等の公共交通機関等を利用するための乗車券として、磁気記録式乗車券が利用されているが、近年、このような乗車券として、非接触型ICカード乗車券が急速に普及してきた。この非接触型ICカード乗車券は、無線通信により改札装置と情報の書き込み/読み出しが行える。このため、非接触型ICカード乗車券を改札装置のリードライタにかざすだけで、駅構内への入出場記録が更新され、非接触型ICカード乗車券に蓄積されているバリュー(価値)から初乗り運賃相当額が減算されることで、駅構内への入場が可能となる(例えば、特許文献1)。
【0003】
この非接触型ICカード乗車券は、磁気記録式場車検と比べて内部の記憶容量が大きく、非接触型ICカードとして本来有するセキュリティ性能も高いため、事前支払型の普通乗車券(プリペイド乗車券)と定期乗車券とを兼ね備えた非接触型ICカード定期乗車券として使われることもある(例えば、特許文献2)。このような場合、定期乗車券として登録されている定期券区間では、定期乗車券として機能し、定期乗車券として登録されていない定期券区間では、普通乗車券として機能する。そして、定期券区間と定期券区間以外の区間とが混在した区間を乗車する場合、非接触型ICカード乗車券は、定期券区間以外の区間の運賃を計算し、蓄積されているバリューからこの運賃相当額を減算することで、適切な運賃の支払処理が行われる。
【0004】
ところで、複数の事業者が事業展開している都市部などの地域では、異なる事業者の駅構内を互いに行き来するために連絡改札口が設置されている。そして、異なる事業者の公共交通機関を乗り継いで旅行したい場合は、一旦改札口を通って駅構内から出場することなく、連絡改札口を通ることにより、非接触型ICカード乗車券の入出場記録が更新され、適切な運賃の支払処理が行われる。
【特許文献1】特開2003−242532号公報
【特許文献2】特開2000−200373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非接触型ICカード定期乗車券は、システム上の制約から、複数の事業者に跨る乗車区間や乗り継ぎ方法が制限されている。このため、定期券の利用者は、非接触型ICカード定期乗車券と磁気情報付定期券とを組み合わせて保持しなければならない場合がある。このような場合、非接触型ICカード定期乗車券の定期券区間内において、誤って磁気情報付定期券を改札装置に挿入すると、入出場誤りにより改札装置のゲートが閉ざされると共に警告音が発生され、利用者への注意喚起が為される。ところが、磁気情報付定期券の定期券区間内において、誤って非接触型ICカード定期乗車券を改札装置にかざしてしまうと、非接触型ICカード定期乗車券は普通乗車券としての機能を備えているため、蓄積されているバリューから初乗り運賃相当額が減算されてしまうという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、利用者の意図しない支払処理を防止することができる非接触型IC、改札装置、非接触型ICカード、非接触型ICカード、携帯電話、支払処理方法及び支払処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る非接触型ICは、改札装置との無線通信により支払処理が行われる非接触型ICであって、所定の支払処理停止場所が登録される記憶手段と、記憶手段に登録された支払処理停止場所に設置された改札装置と無線通信を行う場合は、支払処理を停止させる支払処理停止手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る非接触型ICによれば、支払処理停止場所を登録することで、登録された支払処理停止場所に設置された改札装置と無線通信を行っても、支払処理が停止されるため、利用者の意図しない支払処理を防止することができる。
【0009】
この場合、定期券区間が設定されると、定期券区間を支払処理停止場所として記憶手段に登録する支払処理停止場所登録手段を更に備えることが好ましい。この非接触型ICによれば、定期券の定期券区間が支払処理停止場所として登録されるため、定期券区間で支払処理が行われるのを防止することができる。このため、例えば、非接触型ICに事前支払型普通乗車券の機能が備わっている場合、定期券区間では、非接触型ICを普通乗車券として機能させないため、非接触型ICに蓄積されている価値が誤って減算されるのを防止することができる。
【0010】
また、上記支払処理停止手段は、定期券が失効された後に定期券区間に設置された改札装置と無線通信を行った場合、支払処理を停止させることが好ましい。この非接触型ICによれば、失効した定期券の定期間区間に設置された改札装置と無線通信を行うと、支払処理が停止される。このため、例えば、非接触型ICに事前支払型乗車券の機能が備わっている場合、定期券区間では、非接触型ICを普通乗車券として機能させないため、非接触型ICに蓄積されている価値が誤って減算されるのを防止することができ、利用者に対して、蓄積された価値が減算される前に定期券を更新する機会を与えることができる。
【0011】
本発明に係る改札装置は、所定の支払処理停止が登録された非接触型ICと無線通信を行う改札装置であって、非接触型ICの支払処理を行う支払処理手段と、非接触型ICから受信した支払処理停止場所と改札装置の設置場所とが同じ場合、支払処理手段による支払処理を停止する支払処理停止処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る改札装置によれば、非接触型ICから受信した支払処理停止場所と改札装置の設置場所とが同じ場合は、非接触型ICの支払処理を停止するため、利用者の意図しない支払処理を防止することができる。
【0013】
本発明に係る非接触型ICカードは、上記何れかの非接触型ICを搭載したことを特徴とする。
【0014】
本発明に係る非接触型ICカードによれば、支払処理停止場所を登録することで、登録された支払処理停止場所に設置された改札装置と無線通信を行っても、支払処理が停止されるため、利用者の意図しない支払処理を防止することができる。しかも、カードに非接触型ICを搭載することで、外形を薄くすることができ、利用者の携帯性を向上させることができる。
【0015】
本発明に係る携帯端末は、上記何れかの非接触型ICを搭載したことを特徴とする。
【0016】
本発明に係る携帯端末によれば、支払処理停止場所を登録することで、登録された支払処理停止場所に設置された改札装置と無線通信を行っても、支払処理が停止されるため、利用者の意図しない支払処理を防止することができる。しかも、携帯端末に非接触型ICを搭載することで、携帯端末の利用範囲を広げることができる。
【0017】
本発明に係る支払処理方法は、改札装置との無線通信により支払処理が行われる支払処理方法であって、所定の支払処理停止場所を登録する登録ステップと、登録ステップで登録された支払処理停止場所に設置された改札装置と無線通信を行う場合は、支払処理を停止させる支払処理停止ステップと、を備えることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る支払処理方法によれば、支払処理停止場所を登録することで、登録された支払処理停止場所に設置された改札装置と無線通信を行っても、支払処理が停止されるため、利用者の意図しない支払処理を防止することができる。
【0019】
本発明に係る支払処理システムは、改札装置と、改札装置と無線通信を行う非接触型ICとを備える支払処理システムであって、非接触型ICは、所定の支払処理停止場所が登録される記憶手段と、記憶手段に登録された支払処理停止場所を改札装置に送信する支払処理停止場所送信手段と、を備え、改札装置は、非接触型ICの支払処理を行う支払処理手段と、非接触型ICから受信した支払処理停止場所と改札装置の設置場所とが同じ場合、支払処理手段による支払処理を停止する支払処理停止処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る支払処理システムによれば、支払処理停止場所を登録することで、登録された支払処理停止場所に設置された改札装置と無線通信を行っても、支払処理が停止されるため、利用者の意図しない支払処理を防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、利用者の意図しない支払処理を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る非接触型IC、非接触型ICカード、支払処理方法及び支払処理システムの実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0023】
[第1実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る支払処理システムを示すシステム構成図である。図1に示すように、支払処理システム1は、改札装置10と、この改札装置10と無線通信を行う複数の非接触型ICカード定期乗車券20とにより構成されている。なお、図1では、便宜上、1つの非接触型ICカード定期乗車券20のみを示している。
【0024】
非接触型ICカード定期乗車券20は、改札装置10と無線通信が可能なカード状に形成されており、事前支払型の普通乗車券(プリペイド乗車券)と定期乗車券の機能を併せ持った鉄道の乗車券である。この非接触型ICカード定期乗車券20には、改札装置10と無線通信を行うことにより運賃の支払処理が行われる非接触型IC30が搭載されている。
【0025】
非接触型IC30には、改札装置10と無線通信を行う非接触ICC(IC Chip)部320と、非接触ICC部320に接続されたアンテナ部330と、非接触型IC30の全体制御を行う制御部310とが設けられている。
【0026】
制御部310は、機能的には、支払処理停止部310a及び支払処理停止場所送信部310bが含まれており、物理的には、非接触ICC部320と接続されて、主に、CPU311とメモリ312とにより構成されている。このメモリ312には、定期券情報、バリュー情報、入退場情報及び減算停止駅情報が記憶されている。定期券情報は、定期券区間の駅(又は定期券区間)の情報で構成されている。バリュー情報は、非接触型IC30に保持されているバリュー(例えば、電子マネー)の情報であって、事前支払したバリューの残高で構成されている。入退場情報は、改札装置10を通って駅構内に入退場した入場駅と退場駅の入退場記録で構成されている。減算停止駅情報は、改札装置10に対して運賃(初乗り運賃)の支払処理を停止させる減算停止駅の情報で構成されている。なお、このメモリ312に記憶される減算停止駅情報は、非接触型ICカード定期乗車券20のリーダライタ装置や非接触型ICカード定期乗車券20の発行機から登録され、また、変更及び削除が為される。
【0027】
そして、制御部310は、改札装置10と無線通信が行われると、改札装置10の要求に対して、メモリ312に記憶されている定期券情報、バリュー情報、入退場情報及び減算停止駅情報を改札装置10に送信する。このように、制御部310は、改札装置10に対して減算停止駅情報を送信するため、支払処理停止部310a及び支払処理停止場所送信部310bとして機能する。
【0028】
改札装置10は、駅構内の改札口(又は連絡改札口)に設置されており、非接触型ICカード定期乗車券20と無線通信を行うことにより、非接触型ICカード定期乗車券20の運賃の支払処理を行うものである。この改札装置10には、非接触型ICカード定期乗車券20の利用者の通行を妨げるゲート部120と、利用者の通行を検知するセンサ部130と、各種情報が表示される表示部140と、非接触型ICカード定期乗車券20と無線通信を行い非接触型ICカード定期乗車券20のメモリ312から各種情報を読み出すと共に書き込む非接触R/W(Read / Write)部150と、非接触R/W部150に接続されたアンテナ部160と、非接触型IC30の全体制御を行う制御部110とが設けられている。
【0029】
制御部110は、機能的には、支払処理部110a及び支払処理停止処理部110bが含まれており、物理的には、ゲート部120、センサ部130、表示部140及び非接触R/W部150と接続されて、主に、CPU111とメモリ112とにより構成されている。このメモリ112には、改札装置10が設置されている駅の情報が記憶されている。そして、制御部110は、非接触型ICカード定期乗車券20と無線通信が行われると、この非接触型ICカード定期乗車券20から定期券情報、バリュー情報、入退場情報及び減算停止駅情報を読み出す。そして、制御部110は、定期券の有効性を判定し、メモリ112に記憶されている駅が定期券区間であるか否かを判定し、バリューが十分残っているか否かを判定し、メモリ112に記憶されている駅が減算停止駅であるか否かを判定する。そして、制御部110は、これらの判定結果に基づき、運賃の支払処理などの入場処理を行い、メモリ112に記憶されている駅が減算停止駅である場合は、運賃の支払処理を停止する。このため、制御部110は、支払処理部110a及び支払処理停止処理部110bとして機能する。
【0030】
次に、図2及び図3を参照して、本実施形態に係る支払処理システム1の動作について説明する。図2は、乗車券の処理動作を説明するためのフローチャートであり、図3は、改札装置の処理動作を説明するためのフローチャートである。
【0031】
まず、非接触型ICカード定期乗車券20のリーダライタ装置や非接触型ICカード定期乗車券20の発行機から、非接触型ICカード定期乗車券20のメモリ312に減算停止駅を登録する。その後、利用者が駅構内に入場するために非接触型ICカード定期乗車券20を改札装置10のアンテナ部160にかざすことで、支払処理システム1の処理が開始される。
【0032】
図2に示すように、非接触型ICカード定期乗車券20は、改札装置10との無線通信が発生すると(ステップS1:YES)、制御部310において、データ送信処理を行う(ステップS2)。ステップS2のデータ送信処理は、まず、メモリ312から定期券情報、バリュー情報、入退場情報及び減算停止駅情報を読み出す。そして、この読み出した定期券情報、バリュー情報、入退場情報及び減算停止駅情報を、非接触ICC部320及びアンテナ部330を介して、改札装置10に送信する。
【0033】
一方、図3に示すように、改札装置10は、非接触型ICカード定期乗車券20との通信が発生し(ステップS21:YES)、非接触型ICカード定期乗車券20から定期券情報、バリュー情報、入退場情報及び減算停止駅情報を受信すると(ステップS22)、定期券区間であるか否かの判定を行う(ステップS23)。ステップS23の判定は、非接触型ICカード定期乗車券20から送信された定期券情報の定期券区間と、メモリ112に記憶されている駅とを対比し、メモリ112に記憶されている駅が定期券区間に含まれていれば定期券区間であると判定し、メモリ112に記憶されている駅が定期券区間に含まれていなければ定期券区間外であると判定する。
【0034】
ステップS23において、定期券区間外であると判定した場合(ステップS23:NO)、制御部110は、ステップS25に進む。
【0035】
一方、ステップS23において、定期券区間であると判定した場合(ステップS23:YES)、制御部110は、ステップS24に進み、非接触型ICカード定期乗車券20の定期券の有効性判定を行う。ステップS24の有効性判定は、非接触型ICカード定期乗車券20から送信された定期券情報に基づき定期券の有効期限を調べ、有効期限内であれば有効であると判定し、有効期限を越えていれば失効していると判定する。なお、ステップS24の定期券が失効している場合として、利用者等により定期券が停止されている場合としてもよい。
【0036】
ステップS24において、定期券が有効であると判定した場合(ステップS24:YES)、制御部110は、ステップS27に進み、後述する入場処理を行う。
【0037】
一方、ステップS24において、定期券が失効していると判定した場合(ステップS24:NO)、制御部110は、ステップS25に進み、バリューが十分であるか否かの判定を行う。ステップS25の判定は、非接触型ICカード定期乗車券20から送信されたバリュー情報に基づき、バリューの残高と初乗り運賃相当額とを比較する。そして、バリューの残高が初乗り運賃相当額よりも少ない場合は、バリューが不十分であると判定し、バリューの残高が初乗り運賃相当額以上である場合は、バリューが十分であると判定する。
【0038】
ステップS25において、バリューが不十分であると判定した場合(ステップS25:NO)、制御部110は、ステップS28に進み、後述する異常処理を行う。
【0039】
一方、ステップS25において、バリューが十分であると判定した場合(ステップS25:YES)、制御部110は、ステップS26に進み、減算停止駅であるか否かの判定を行う。ステップS26の判定は、非接触型ICカード定期乗車券20から送信された減算停止駅情報の減算停止駅とメモリ112に記憶されている駅とを対比し、メモリ112に記憶されている駅と減算停止駅とが一致すれば減算停止駅であると判定し、メモリ112に記憶されている駅と減算停止駅とが一致しなければ減算停止駅でないと判定する。
【0040】
ステップS26において、減算停止駅である判定した場合(ステップS26:YES)、制御部110は、ステップS27に進み、入場処理を行う。
【0041】
ステップS27の入場処理は、非接触R/W部150及びアンテナ部160を介して、非接触型ICカード定期乗車券20に対して、入場駅更新要求及び減算処理要求を行う。すなわち、制御部110は、メモリ112に記憶された駅を入場駅として更新させ、初乗り運賃相当額をバリューの残高から減算させる。そして、表示部140に初乗り運賃とバリューの残高を表示させて、ゲート部120を制御して改札装置10のゲートを開き、センサ部130で利用者が通過したことを検知した後、再度ゲート部120を制御して改札装置10のゲートを閉じる。
【0042】
一方、図2に示すように、非接触型ICカード定期乗車券20は、改札装置10から入場駅更新要求及び減算処理要求を受信すると(ステップS3:YES)、入退場記録の更新処理(ステップS4)とバリューの減算処理(ステップS5)が行われる。ステップS4の更新処理は、メモリ312に記憶されている入退場情報の入場駅を、無線通信を行った改札装置10のメモリ112に記憶されている駅に更新する。また、ステップS5の減算処理は、メモリ312に記憶されているバリュー情報のバリュー残高から、初乗り運賃相当額を減算する。
【0043】
図3に示すように、制御部110は、ステップS26において、減算停止駅であると判定した場合(ステップS26:NO)、ステップS28に進み、異常処理を行う。
【0044】
ステップS28の異常処理は、表示部140に異常である旨の案内を表示させる。すなわち、ステップS28では、非接触型ICカード定期乗車券20に対して、入場駅更新要求及び減算処理要求を行わずに、減算処理(支払処理)を停止し、改札装置10のゲートを閉じた状態に保持する。なお、ステップS28において、非接触型ICカード定期乗車券20に対して、入場駅更新要求及び減算処理要求を行わない旨の情報を送信するようにしてもよい。
【0045】
[第2実施形態]
次に、第2の実施形態に係る支払処理システムについて説明する。第2の実施形態に係る支払処理システムの構成は、第1の実施形態に係る支払処理システム1の構成と同一であり、改札装置10の処理動作のみ一部異なる。
【0046】
図4は、第2の実施形態に係る改札装置の処理動作を説明するためのフローチャートである。図4に示すように、改札装置は、第1の実施形態と同様にステップS21〜ステップS23の処理を行う。
【0047】
そして、ステップS24において、制御部110は、定期券の有効性判定を行う。なお、ステップS34の判定は、第1の実施形態のステップS24と同様である。そして、定期券区間であって、定期券が有効である判定した場合(ステップS34:YES)、制御部110は、ステップS27に進み、入場処理を行う。
【0048】
一方、定期券区間であるが、定期券が失効していると判定した場合(ステップS34:NO)、制御部110は、ステップS28に進み、異常処理を行う。
【0049】
そして、制御部110は、第1の実施形態と同様に、ステップS25〜ステップS28の処理を行う。
【0050】
[第3実施形態]
次に、第3の実施形態に係る支払処理システムについて説明する。図5は、第3の実施形態における携帯電話の構成を示した図である。図5に示すように、第3の実施形態に係る支払処理システム3は、第1の実施形態の非接触型ICカード定期乗車券20の代わりに、非接触型ICカード定期乗車券20に搭載された非接触型IC30を搭載した携帯電話40を用いている。
【0051】
この携帯電話40には、基地局と無線通信を行う無線通信部430と、無線通信部430に接続された無線通信アンテナ部420と、各種情報が表示される表示部440と、利用者が携帯電話40の操作を行うための操作部450とが設けられている。
【0052】
そして、携帯電話40には、非接触型ICカード定期乗車券20に搭載された非接触型IC30が搭載されている。このため、携帯電話40と改札装置10(図1参照)との支払処理動作は、第1の実施形態の支払い処理動作と同様である(図2及び図3参照)。
【0053】
[第4実施形態]
次に、第4の実施形態に係る支払処理システムについて説明する。図6は、第4の実施形態に係る支払処理システムを示すシステム構成図である。図6に示すように、第4の実施形態に係る支払処理システム4は、第1の実施形態の改札装置10の代わりに、パーソナルコンピュータシステム50を用いている。
【0054】
このパーソナルコンピュータシステム50には、利用者がパーソナルコンピュータシステム50を操作するための操作部520と、各種情報が表示される表示部530と、主にCPU511とメモリ512とで構成されてパーソナルコンピュータシステム50の各種処理を行うコンピュータ部510と、非接触R/W部150と、非接触R/Wに接続されるアンテナ部160とが設けられている。
【0055】
そして、コンピュータ部510には、第1の実施形態の制御部110(図1参照)と同様に、支払処理部510a(支払処理部110aに相当)及び支払処理停止処理部510b(支払処理停止処理部110bに相当)の機能が設けられている。このため、パーソナルコンピュータシステム50と非接触型ICカード定期乗車券20(図1参照)との支払処理動作は、第1の実施形態の支払い処理動作と同様である(図2及び図3参照)。
【0056】
[第5実施形態]
次に、第5の実施形態に係る支払処理システムについて説明する。図7は、第5の実施形態に係る支払処理システムを示すシステム構成図である。図7に示すように、第5の実施形態に係る支払処理システム5は、第1の実施形態の非接触型ICカード定期乗車券20に搭載された非接触型IC30の制御部310に、支払処理停止場所登録部310cの機能を設けている。
【0057】
この制御部310は、非接触型ICカード定期乗車券20に定期券区間が設定されると(メモリ312に記憶されると)、この設定された定期券区間の駅を減算停止駅として登録するものである。なお、第5の実施形態に係る支払処理システムの支払処理動作は、第1の実施形態の支払い処理動作と同様である(図2及び図3参照)。
【0058】
以上説明したように、本実施形態に係る支払処理システム1によれば、非接触型ICカード定期乗車券20に減算停止駅を登録することで、登録された減算停止駅に設置された改札装置10と非接触型ICカード定期乗車券20とが無線通信を行っても、支払処理が停止されるため、非接触型ICカード定期乗車券20を普通乗車券として機能させることなく、利用者の意図しない支払処理を防止することができる。
【0059】
そして、非接触型IC30を、非接触型ICカード定期乗車券20に搭載することで、外形を薄くすることができ、利用者の携帯性を向上させることができる。
【0060】
また、第2の実施形態に係る支払処理システムによれば、失効した定期券の定期間区間の駅に設置された改札装置10と非接触型ICカード定期乗車券20とが無線通信を行うと、異常処理となって支払処理が停止される。このため、定期券区間では、非接触型ICカード定期乗車券20を普通乗車券として機能させないため、非接触型ICカード定期乗車券20に蓄積されているバリューが誤って減算されるのを防止することができ、利用者に対して、蓄積されたバリューが減算される前に定期券を更新する機会を与えることができる。
【0061】
また、第3の実施形態に係る支払処理システムによれば、携帯電話40に非接触型IC30を搭載することで、携帯電話40には、本来の機能に加えて普通乗車券及び定期乗車券としての機能を追加することができるため、携帯電話40の利用範囲を広げることができる。
【0062】
また、第5の実施形態に係る支払処理システムによれば、定期券区間の駅が減算停止駅として登録されるため、定期券区間の駅で支払処理が行われるのを防止することができる。このため、定期券区間では、非接触型ICカード定期乗車券20を普通乗車券として機能させないため、非接触型ICカード定期乗車券20に蓄積されているバリューが誤って減算されるのを防止することができる。
【0063】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態の各処理動作は一部の処理動作を省略してもよく、また、順序を入れ替えてもよい。例えば、図3に示すステップS23、ステップS24、ステップS25及びステップS26や、図4に示すステップS23、ステップS34、ステップS25及びステップS26は、互いの順序を入れ替えてもよい。
【0064】
また、上記実施形態において、非接触型ICカード定期乗車券20は、事前支払型の乗車券であるものとして説明したが、例えば、クレジット機能のように、運賃相当額を事後的に引き落としてもよく、別途利用者に請求するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】第1の実施形態に係る支払処理システムを示すシステム構成図である。
【図2】乗車券の処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】改札装置の処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】第2の実施形態における改札装置の処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】第3の実施形態における携帯電話の構成を示した図である。
【図6】第4の実施形態に係る支払処理システムを示すシステム構成図である。
【図7】第5の実施形態に係る支払処理システムを示すシステム構成図である。
【符号の説明】
【0066】
1,3,4,5…支払処理システム、10…改札装置、20…非接触型ICカード定期乗車券(非接触型ICカード)、30…非接触型IC、40…携帯電話(携帯端末)、50…パーソナルコンピュータシステム(改札装置)、110…制御部(支払処理手段、支払処理停止処理手段)、310…制御部(支払処理停止手段、支払処理停止場所送信手段、支払処理停止場所登録手段)、312…メモリ(記憶手段)、510…コンピュータ部(支払処理手段、支払処理停止処理手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
改札装置との無線通信により支払処理が行われる非接触型ICであって、
所定の支払処理停止場所が登録される記憶手段と、
前記記憶手段に登録された前記支払処理停止場所に設置された前記改札装置と無線通信を行う場合は、前記支払処理を停止させる支払処理停止手段と、
を備えることを特徴とする非接触型IC。
【請求項2】
定期券区間が設定されると、前記定期券区間を前記支払処理停止場所として前記記憶手段に登録する支払処理停止場所登録手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の非接触型IC。
【請求項3】
前記支払処理停止手段は、定期券が失効された後に定期券区間に設置された改札装置と無線通信を行った場合、前記支払処理を停止させることを特徴とする請求項1又は2に記載の非接触型IC。
【請求項4】
所定の支払処理停止が登録された非接触型ICと無線通信を行う改札装置であって、
前記非接触型ICの支払処理を行う支払処理手段と、
前記非接触型ICから受信した前記支払処理停止場所と前記改札装置の設置場所とが同じ場合、前記支払処理手段による前記支払処理を停止する支払処理停止処理手段と、
を備えることを特徴とする改札装置。
【請求項5】
請求項1〜3の何れか1項に記載された非接触型ICを搭載したことを特徴とする非接触型ICカード。
【請求項6】
請求項1〜3の何れか1項に記載された非接触型ICを搭載したことを特徴とする携帯端末。
【請求項7】
改札装置との無線通信により支払処理が行われる支払処理方法であって、
所定の支払処理停止場所を登録する登録ステップと、
前記登録ステップで登録された前記支払処理停止場所に設置された前記改札装置と無線通信を行う場合は、前記支払処理を停止させる支払処理停止ステップと、
を備えることを特徴とする支払処理方法。
【請求項8】
改札装置と、前記改札装置と無線通信を行う非接触型ICとを備える支払処理システムであって、
前記非接触型ICは、所定の支払処理停止場所が登録される記憶手段と、前記記憶手段に登録された前記支払処理停止場所を前記改札装置に送信する支払処理停止場所送信手段と、を備え、
前記改札装置は、前記非接触型ICの支払処理を行う支払処理手段と、前記非接触型ICから受信した前記支払処理停止場所と前記改札装置の設置場所とが同じ場合、前記支払処理手段による前記支払処理を停止する支払処理停止処理手段と、を備えることを特徴とする支払処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−134592(P2009−134592A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311038(P2007−311038)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】