説明

非接触型IC媒体処理装置

【課題】 媒体の詰まりを防止するとともに、媒体の蓄積枚数を増加させる。
【解決手段】 媒体投入口4から投入された媒体Zは、媒体処理通路10内を自重によって径方向に転動し、第1のアンテナ基板20によって情報処理が行われる。価値情報が残存する媒体は媒体返却通路11から媒体返却口5に返却され、使用済みの媒体は媒体蓄積手段25に蓄積される。媒体蓄積手段25から媒体供給通路13内に供給された媒体Zは、自重によって径方向に転動し第2のアンテナ基板52によって価値情報が付与され媒体返却口5から発行される。媒体蓄積手段25は、モータ27によって間欠的に回転駆動され周部に媒体Zを蓄積する媒体蓄積用凹部35,39をそれぞれ4個設けた回転体28,29を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円板状に形成された非接触型IC媒体(以下、単に媒体という)に記録された情報を読み書きして処理する非接触型IC媒体処理装置(以下、単に媒体処理装置という)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の媒体処理装置は、円板状に形成され周面に4つの投入放出口を有し、時計・反時計方向に90°ずつ回動する保持ディスクからなる搬送プール部と、保持ディスクの投入放出口との間でICコインの補充およびICコインを戻す第2のプール部とを備えたものがある。この装置においては、利用者がICコインを投入放出口に投入すると、保持ディスクを時計方向へ90°だけ回動させてICコインを装置内に取込み、ICコインの価値情報の書き換えを行った後に再び保持ディスクを反時計方向へ90°だけ回動させて利用者に返却する。また、ICコインを発行する場合は、第2のプール部から保持ディスクの投入放出口にICコインを補充し、搬送プール部に使用済みのICコインを回収する場合には、保持ディスクの投入放出口から第2のプール部にICコインを戻す(例えば、特許文献1参照)。なお、本出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に密接に関連する先行技術文献を出願時までに見付け出すことはできなかった。
【特許文献1】特開2001−327747号公報(段落「0035」、「0039」、「0044」、「0061」および図8、図13、図14)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来の媒体処理装置においては、ICコインを処理する場合は保持ディスクを時計方向へ90°回動させてから行うために、このときには保持ディスクの3番目の投入放出口から第2のプール部にICコインを放出している。一方、処理が終了して利用者に返却する場合は保持ディスクを反時計方向へ90°回動させるため、このときには第2のプール部から保持ディスクの3番目の投入放出口に戻している。このように、保持ディスクの3番目の投入放出口と第2のプール部との間でICコインを頻繁に往復させる構造のため、コイン詰まりを起こしやすいという問題があった。
【0004】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、媒体の詰まりを防止することにある。また、多くの媒体が蓄積できる媒体処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、円板状に形成された非接触型IC媒体が投入される媒体投入口と、この媒体投入口から投入された非接触型IC媒体を自重によって径方向に転動させる媒体処理通路と、この媒体処理通路中に設けられ非接触型IC媒体の情報を処理する第1の媒体処理手段と、この第1の媒体処理手段によって処理され価値情報が残存する非接触型IC媒体を返却する媒体返却口と、前記第1の媒体処理手段によって処理され価値情報が残存しない非接触型IC媒体を蓄積する媒体蓄積手段とを備え、前記媒体蓄積手段を、回転自在に支持され周部に非接触型IC媒体を1枚ずつ蓄積する媒体蓄積用凹部を複数個設けた円板状に形成した回転体と、この回転体を間欠的に回動させるモータとによって構成したものである。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記媒体蓄積手段から1枚ずつ供給される非接触型IC媒体を自重によって径方向に転動させる媒体供給通路と、この媒体供給通路中に設けられ非接触型IC媒体に情報を付与する第2の媒体処理手段とを備え、この第2の媒体処理手段によって処理された非接触型IC媒体を前記媒体返却口から発行するものである。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、2枚の前記回転体を回転方向に互いに位相を違えて同軸上に設け、これら回転体の一方に他方の回転体の媒体蓄積用凹部に非接触型IC媒体を案内するガイド部を設けたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、媒体投入口と媒体返却口とを設け、第1の情報処理手段によって情報処理された媒体を媒体返却通路と媒体蓄積手段とに分岐させるとともに、媒体蓄積手段に蓄積した媒体を発行するための媒体供給通路を設けたことにより、媒体処理通路と媒体蓄積手段との間や媒体蓄積手段と媒体給通路との間で媒体を往復させるようなことがないため媒体の詰まりを防止できる。また、媒体を自重によって径方向に転動させる構造としたことにより、媒体を搬送するためのモータや搬送ベルト等の搬送手段が不要になる。
【0009】
請求項3に係る発明によれば、媒体の蓄積枚数を増加させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は本発明に係る媒体処理装置の側面図、図2(A)は図1におけるII(A)矢視図、同図(B)は図1におけるII(B)-II(B) 線断面図、図3は要部を分解して示す斜視図、図4は要部を拡大して示す側面図、図5は媒体の蓄積動作を説明するための本発明に係る媒体処理装置の側面図である。
【0011】
図1に全体を符号1で示す媒体処理装置は、扁平で密閉状態に形成された筺体2を備え、この筺体2の前面板3の上下には、スリット状に形成された媒体投入口4と媒体返却口5とが設けられている。図2(B)に符号6で示すものは筺体2の一方の側板7に対向するように筺体2の上板8と下板9とに取り付けられた媒体軌道板であって、この媒体軌道板6と側板7との間に、媒体処理通路10、媒体返却通路11、媒体蓄積空間12、媒体供給通路13が設けられている。
【0012】
媒体処理通路10は、図1に示すように媒体投入口4に連通し、図中左下がりに傾斜しており、媒体投入口4から投入された円板状に形成された媒体Zが自重によって径方向に転動するように構成されている。この媒体処理通路10には、媒体Zの転動を支承するレールの一部に、媒体Zの径よりもわずかに大きい幅のスリット状に形成された媒体落下孔15が設けられており、この媒体落下孔15を介して媒体処理通路10と媒体返却通路11とが連通している。16は媒体投入口4の近傍に設けられた第1のシャッタピンであって、図示を省略したソレノイドの駆動によって媒体処理通路10に進退し、媒体処理通路10内に進出することにより、媒体投入口4からの媒体Zの媒体処理通路10への投入が規制される。
【0013】
17は媒体落下孔15に設けられた第1のシャッタ板であって、図示を省略したソレノイドの駆動によって媒体落下孔15において進退し、媒体落下孔15内に進出することにより媒体落下孔15を閉じ、媒体処理通路10内を転動する媒体Zの下端を支承する。一方、この第1のシャッタ板17が媒体落下孔15から後退することにより媒体落下孔15を開放し、媒体処理通路10内を転動する媒体Zは、媒体落下孔15から媒体返却通路11に導かれる。媒体返却通路11に導かれた媒体Zは、自重によって媒体返却通路11内を垂直下方に落下し、媒体返却通路11の下端と連通している媒体返却口5から返却される。
【0014】
18は第1のシャッタ板17に対応して設けられた第2のシャッタピンであって、図示を省略したソレノイドの駆動によって媒体処理通路10において進退し、媒体処理通路10内に進出することにより、媒体処理通路10中を転動する媒体Zの転動を阻止する。20は第1の媒体処理手段としての第1のアンテナ基板であって、図2(B)に示すように筺体2の他方の側板21に一体に立設されたボス22に取り付けられており、第1のシャッタ板17と第2のシャッタピン18とによって係止された媒体Zの情報がこの第1のアンテナ基板20により処理される。すなわち、この第1のアンテナ基板20は、第1のシャッタ板17と第2のシャッタピン18とによって係止された媒体Zと対向するように設けられており、媒体Zの中央部に埋設されたアンテナ部(図示せず)と第1のアンテナ基板20に設けられたアンテナ部20aとの間で、無線による通信が行われ媒体Zの価値情報が処理される。
【0015】
媒体蓄積空間12の媒体軌道板6と筺体2の側板7の間隔は、媒体Zの2枚分の厚みよりも大きく形成されており、この媒体蓄積空間12内には、後述するように第1のアンテナ基板20によって情報が処理され価値情報が残存しなくなった媒体Zを8枚まで蓄積する媒体蓄積手段25が収納されている。この媒体蓄積手段25は、図3に示すように第1の回転体28、第2の回転体29および円板30からなる回転体26と、この回転体26を間欠的に回動させるモータ27とによって構成されている。
【0016】
第1の回転体28は、厚み方向の一方側に設けた円板部31と、厚み方向の他方側に設けた円板状の媒体蓄積部32とによって一体に形成されており、中央部に軸孔33が設けられている。円板部31の周部には、円周方向に互いに90°間隔をおいた部位から4個のガイド片34が放射方向に突設されており、これらガイド片34には、先端から円板部31の中心に向かって媒体蓄積部32側に傾斜したガイド部34aが設けられている。媒体蓄積部32の外周部には、4個の前記ガイド片34,34間、すなわちガイド片34と円周方向に45°位相をずらした部位に、円周方向に互いに90°間隔をおいて媒体Zの径よりもわずかに大きな径によって半円形に形成された4個の媒体蓄積用凹部35が設けられている。
【0017】
第2の回転体29は、厚み方向の一方側に設けた円板部36と、厚み方向の他方側に設けた円板状の媒体蓄積部37とによって一体に形成されており、中央部に軸孔38が設けられている。媒体蓄積部37の周部の円周方向に互いに90°間隔をおいた部位には、前記媒体蓄積用凹部35と同じ形状の半円形に形成された4個の媒体蓄積用凹部39が設けられている。これら第1の回転体28および第2の回転体29ならびに円板30は、第1の回転体28の媒体蓄積部32の端面と第2の回転体29の円板部36の端面とを互いに対接させるとともに、第2の回転体29の媒体蓄積部37の端面と円板30の端面とを対接させて、各軸孔33,38,40に軸着された軸41によって一体化されている。
【0018】
このように軸41によって一体化された第1の回転体28と第2の回転体29とは、図4に示すようにそれぞれの媒体蓄積用凹部35と媒体蓄積用凹部39とが互いに円周方向に45°位相をずらしており、第1の回転体28の4個のガイド部34aが第2の回転体29の4個の媒体蓄積用凹部39と位相が一致している。このように構成された回転体26は、図2に示すように軸41が筺体2の側板7と媒体軌道板6とに回転自在に支持されることにより、媒体蓄積空間12内に回転自在に収納される。このように媒体蓄積空間12内に収納された回転体26は、回転することにより第1の回転体28の媒体蓄積用凹部35とガイド部34aとが、交互に上述した媒体処理通路10の下端に臨むように位置付けられている。
【0019】
図4において、43は回転体26の円板30の径よりもわずかに大きい円環状に形成された媒体落下規制体であって、第1および第2の回転体28,29の媒体蓄積部32,37を囲むように媒体軌道板6に取り付けられている。この媒体軌道板6の上部および下部には、媒体Zの直径よりもわずかに大きい幅の媒体受入口43aと媒体排出口43bとが設けられており、媒体受入口43aが上記した媒体処理通路10の下端に連通し、媒体排出口43bが媒体供給通路13の上端に連通している。
【0020】
上記したモータ27は、図2(B)に示すように筺体2の一方の側部7の内側に取り付けられており、このモータ27の出力軸に軸着された小径プーリ45と、軸41に軸着された大径プーリ46との間には伝達ベルト47が張架されている。このような構成において、モータ27を駆動し伝達ベルト47を介して回転体26を回動させ、図1に示すように第1の回転体28の媒体蓄積部32の4個の媒体蓄積用凹部35のうちのいずれかが媒体落下規制体43の媒体受入口43aに対応させる。この状態で、第1のアンテナ基板20によって情報が処理され価値情報が残存しなくなった、いわゆる使用済みの媒体Zが媒体処理通路10を転動してくると、この使用済みの媒体Zは媒体落下規制体43の媒体受入口43aを通過して第1の回転体28の媒体蓄積部32の4個の媒体蓄積用凹部35のうちのいずれかに蓄積される。
【0021】
次に、モータ27を駆動し回転体26を90°回動させると、上述した歯板Zが蓄積された媒体蓄積用凹部の隣の媒体蓄積用凹部35が媒体落下規制体43の媒体受入口43aに対応するから、この媒体蓄積用凹部35に媒体Zが蓄積される。順次、モータ27を駆動し第1の回転体28を90°ずつ2度回動させると、第1の回転体28の4個の媒体蓄積用凹部35のそれぞれに媒体Zが蓄積されるから、第1の回転体28でのこれ以上の蓄積は不可能になる。
【0022】
この状態からモータ27を駆動し回転体26を45°回動させると、図5に示すように、第1の回転体28の4個のガイド部34aのうちのいずれかが媒体落下規制体43の媒体受入口43aに位置付けられる。したがって、媒体処理通路10を転動してきた媒体Zは、ガイド部34aに案内されて媒体Zの厚み方向、すなわち第2の回転体29側に移動する。上述したように、第1の回転体28の4個のガイド部34aが第2の回転体29の4個の媒体蓄積用凹部39と位相が一致しているから、ガイド部34aによって第2の回転体29側に移動した媒体Zは、第2の回転体29の4個の媒体蓄積用凹部39のうちのいずれかに蓄積される。この後、順次、モータ27を駆動し回転体26を90°ずつ3度回動させると、第2の回転体29の4個の媒体蓄積用凹部39のそれぞれに媒体Zが蓄積される。
【0023】
図1において、50は第2のシャッタ板であって、図示を省略したソレノイドの駆動によって、媒体落下規制体43の媒体排出口43bに進退し、進出することにより媒体排出口43bを閉じ、第1の回転体28の媒体蓄積用凹部35および第2の回転体29の媒体蓄積用凹部39に蓄積されている媒体Zの媒体供給通路13への供給が規制される。一方、第2のシャッタ板50が媒体落下規制体43の媒体排出口43bから後退することにより、第1の回転体28の媒体蓄積用凹部35および第2の回転体29の媒体蓄積用凹部39に蓄積されている媒体Zの媒体供給通路13への供給を可能にする。
【0024】
すなわち、第1の回転体28の媒体蓄積用凹部35のうちのいずれかが媒体排出口43bに対向していると、媒体蓄積用凹部35に蓄積されている媒体Zが媒体排出口43bを通過して媒体供給通路13へ供給される。この後、順次、モータ27を駆動し回転体26を90°ずつ3度回動させると、第1の回転体28の3個の媒体蓄積用凹部35のそれぞれに蓄積されている媒体Zが媒体供給通路13へ供給される。
【0025】
一方、この状態からモータ27を駆動し回転体26を45°回動させると、第2の回転体29の媒体蓄積用凹部39のうちのいずれかが媒体排出口43bに対向するため、媒体蓄積用凹部39に蓄積されている媒体Zが自重によって落下し、ガイド部34aに案内されて媒体排出口43bを通過して媒体供給通路13へ供給される。この後、順次、モータ27を駆動し回転体26を90°ずつ3度回動させると、第2の回転体29の3個の媒体蓄積用凹部39のそれぞれに蓄積されている媒体Zが媒体供給通路13へ供給される。
【0026】
この媒体供給通路13は図中右下がりに傾斜し下端が媒体返却口5に連通しており、この媒体供給通路13には、図示を省略したソレノイドによって媒体供給通路13に進退する第3のシャッタピン51が設けられている。したがって、媒体蓄積部25からこの媒体供給通路13に供給された媒体Zは、媒体供給通路13中を自重によって径方向に転動し、媒体供給通路13中に進出した第3のシャッタピン51によって媒体Zの転動が規制されて係止される。
【0027】
52は第2の媒体処理手段としての第2のアンテナ基板であって、図2(B)に示すように筺体2の他方の側板21に一体に立設されたボス53に取り付けられており、第3のシャッタピン51によって係止された媒体Zの情報を処理する。すなわち、この第2のアンテナ基板52は、第3のシャッタピン51によって係止された媒体Zと対向するように設けられており、媒体Zの中央部に設けられたアンテナ部(図示せず)と第2のアンテナ基板52に設けられたアンテナ部52aとの間で、無線による通信が行われ媒体Zに価値情報を付与する。
【0028】
次に、このように構成された媒体処理装置1において媒体を処理する動作について説明する。予め、第1のシャッタピン16が媒体処理通路10から後退し、第1のシャッタ板15が媒体落下孔15に進出し、第2のシャッタピン18が媒体処理通路10内に進出し、第2のシャッタ板50が媒体落下規制体43の媒体排出口43bに進出し、第3のシャッタピン51が媒体供給通路13に進出している。また、第1の回転体28の4個の媒体蓄積用凹部35のうちのいずれかが、図1に示すように媒体落下規制体43の媒体受入口43aに臨んでいる。
【0029】
この状態で、媒体投入口4から媒体Zが投入されると、媒体Zは媒体処理通路10内を自重によって径方向に転動し、第2のシャッタピン18と第1のシャッタ板17とによって係止される。媒体Zが媒体処理通路10内に投入されると、図示を省略したセンサによって投入が検知され、第1のシャッタピン16が媒体処理通路10内に進出し、2枚目以降の媒体Zの媒体投入口4からの投入が規制される。
【0030】
第2のシャッタピン18と第1のシャッタ板17とによって係止された媒体Zは、この媒体処理装置1が付設されたサービス提供機器(図示せず)のサービスの内容に応じて第1のアンテナ基板20によって情報処理が行われる。情報処理の結果、媒体Zに価値情報が残存している場合は、第1のシャッタ板17が媒体落下口15から後退し、媒体Zは媒体落下口17から媒体返却通路11内を落下し、媒体返却口5から返却される。同時に、第1のシャッタ板17が媒体落下口15に進出するとともに、第1のシャッタピン16が媒体処理通路10から後退し、次の媒体Zを媒体投入口4から投入可能な状態になる。
【0031】
一方、第2のシャッタピン18と第1のシャッタ板17とによって係止された媒体Zが第1のアンテナ基板20によって情報処理され、情報処理の結果、媒体Zに価値情報が残存していない、いわゆる使用済みの媒体になった場合は、第2のシャッタピン18が媒体処理通路10から後退する。したがって、使用済みの媒体Zは媒体処理通路10内を自重によって径方向に転動し、媒体落下規制体43の媒体受入口43aから第1の回転体28の4個の媒体蓄積用凹部35のうちのいずれかに蓄積される。
【0032】
媒体Zが第1の回転体28の4個の媒体蓄積用凹部35のうちのいずれかに蓄積されたことを図示を省略したセンサで検知すると、モータ27が駆動し、第1の回転体28が90°時計方向に回動し、隣の媒体蓄積用凹部35が媒体落下規制体43の媒体受入口43aに臨む。したがって、第1のアンテナ基板20によって使用済みとなった媒体Zは、第1の回転体28の媒体蓄積用凹部35に順次蓄積され、全て(4個)の媒体蓄積用凹部35に媒体Zが蓄積されると、モータ27の駆動によって第1の回転体28が45°回動する。この回動によって、第1の回転体28のガイド部34aが、図5に示すように媒体落下規制体43の媒体受入口43aに臨み、第2の回転体29の媒体蓄積用凹部39のうちのいずれかが媒体受入口43aに臨む。
【0033】
この状態で、第1のアンテナ基板20によって使用済みとなった媒体Zは、第1の回転体28のガイド部34aによって厚み方向に移動するようにして案内され、第2の回転体29の媒体蓄積用凹部39のうちのいずれかに蓄積される。媒体Zが第2の回転体29の4個の媒体蓄積用凹部39のうちのいずれかに蓄積されたことを図示を省略したセンサが検知すると、モータ27が駆動し、第2の回転体29が90°時計方向に回動し、隣の媒体蓄積用凹部39が媒体落下規制体43の媒体受入口43aに臨む。したがって、第1のアンテナ基板20によって使用済みとなった媒体Zは、第2の回転体29の媒体蓄積用凹部39に順次蓄積される。
【0034】
次に、媒体の発行動作について説明する。モータ27が駆動し、第1の回転体28の媒体蓄積用凹部35のうちのいずれかが、図1に示すように媒体落下規制体43の媒体排出口43bに臨む。この状態で、第2のシャッタ板50が媒体排出口43bから後退することにより、第1の回転体28の媒体蓄積用凹部35のうちのいずれかから使用済みの媒体Zが媒体供給通路13に供給される。供給された媒体Zは、媒体供給通路13内を自重によって転動し、第3のシャッタピン51に係止され、第2のアンテナ基板52によって所定の価値情報が付与される。媒体Zに価値情報が付与されると、第3のシャッタピン51は媒体供給通路13から後退するので、価値情報が付与された媒体Zは媒体供給通路13中を自重によって径方向に転動し媒体返却口5から発行される。
【0035】
引き続き媒体を発行する場合は、モータ27の駆動によって第1の回転体28を90°回動させ、第1の回転体28の他の媒体蓄積用凹部35を媒体落下規制体43の媒体排出口43bに臨ませる。この後、上記の発行動作と同様に、第2のシャッタ板50が媒体排出口43bから後退し、第2のアンテナ基板52によって媒体Zに所定の価値情報が付与されて媒体返却口5から発行される。第1の回転体28の4個のすべての媒体蓄積用凹部35に蓄積された媒体Zがなくなると、モータ27の駆動によって第1の回転体28が45°回動し、第1の回転体28のガイド部34aが、図5に示すように媒体落下規制体43の媒体排出口43bに臨み、第2の回転体29の媒体蓄積用凹部39のうちのいずれかが媒体排出口43bに臨む。この状態で、上記の発行動作と同様に、第2のシャッタ板50を媒体排出口43bから後退すると、媒体蓄積用凹部39に蓄積されていた媒体Zは、媒体排出口43bを通って第1の回転体28のガイド部43bに案内されて媒体供給通路13に供給され、第2のアンテナ基板52によって所定の価値情報を付与して媒体返却口5から発行する。
【0036】
このように、本願発明では、媒体投入口4と媒体返却口5とを設け、第1のアンテナ基板20によって情報処理された媒体Zを、媒体返却通路11と媒体蓄積手段25とに分岐させるとともに、媒体蓄積手段25に蓄積した媒体Zを発行するための媒体供給通路13を設けたものである。このため、媒体処理通路10と媒体蓄積手段25との間や媒体蓄積手段25と媒体給通路13との間で媒体Zを往復させるようなことがなく、媒体Zを上方から下方へ一方向に搬送するようにしたため媒体の詰まりを防止できる。また、媒体投入口4から投入された媒体Zを媒体処理通路10内を自重によって径方向に転動させ、第1のアンテナ基板20によって情報処理された媒体Zを媒体処理通路10内または媒体返却通路11内を自重によって径方向に転動させる構造としたことにより、媒体Zを搬送するためのモータや搬送ベルト等の搬送手段が不要になる。
【0037】
また、2枚の第1および第2の回転体28,29を回転方向に互いに位相を違えて同軸上に設け、第1の回転体28に第2の回転体29の媒体蓄積用凹部39に媒体Zを案内するガイド部34aを設けたことにより、媒体蓄積手段25に蓄積できる媒体Zの枚数を増加させることができる。また、第1および第2の回転体28,29の媒体蓄積用凹部35,39に蓄積する媒体Zを、径方向が上下方向を指向するように蓄積したことにより、媒体処理装置1の厚み方向を薄型化することができる。
【0038】
なお、本実施の形態においては、第1および第2の回転体28,29に蓄積できる媒体Zの枚数を4枚としたが5枚以上としてもよい。また、第1のアンテナ基板20で処理され価値情報が残存する媒体Zについては媒体返却通路11を通して媒体返却口5から返却するようにしたが、第1のアンテナ基板20で処理され価値情報を第2のアンテナ基板52に移行させる移行手段を設ければ、第1のアンテナ基板20で処理する内容を、第2のアンテナ基板52によって第3のシャッタピン51に係止された媒体Zに処理することにより、第1のアンテナ基板20によって情報処理された媒体は、情報が残存している、いないにかかわらず全て媒体蓄積手段25に蓄積することができ、この場合には媒体返却通路11が不要になる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る媒体処理装置の側面図である。
【図2】同図(A)は図1におけるII(A)矢視図、同図(B)は図1におけるII(B)-II(B) 線断面図である、
【図3】本発明に係る媒体処理装置の要部を分解して示す斜視図である。
【図4】本発明に係る媒体処理装置の要部を拡大して示す側面図である。
【図5】本発明に係る媒体処理装置において、媒体の蓄積動作を説明するための本発明に係る媒体処理装置の側面図である。
【符号の説明】
【0040】
1…非接触型IC媒体処理装置(媒体処理装置)、4…媒体投入口、5…媒体返却口、10…媒体処理通路、11…媒体返却通路、12…媒体蓄積空間、13…媒体供給通路、16…第1のシャッタピン、17…第1のシャッタ板、18…第2のシャッタピン、20…第1のアンテナ基板(第1の情報処理手段)、25…媒体蓄積手段、26…回転体、27…モータ、28…第1の回転体、29…第2の回転体、30…円板、34a…ガイド部、35,39…媒体蓄積用凹部、43a…媒体受入口、43b…媒体排出口、50…第2のシャッタ板、51…第3のシャッタピン、52…第2のアンテナ基板(第2の情報処理手段)、Z…非接触型IC媒体(媒体)。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板状に形成された非接触型IC媒体が投入される媒体投入口と、この媒体投入口から投入された非接触型IC媒体を自重によって径方向に転動させる媒体処理通路と、この媒体処理通路中に設けられ非接触型IC媒体の情報を処理する第1の媒体処理手段と、この第1の媒体処理手段によって処理され価値情報が残存する非接触型IC媒体を返却する媒体返却口と、前記第1の媒体処理手段によって処理され価値情報が残存しない非接触型IC媒体を蓄積する媒体蓄積手段とを備え、前記媒体蓄積手段を、回転自在に支持され周部に非接触型IC媒体を1枚ずつ蓄積する媒体蓄積用凹部を複数個設けた円板状に形成した回転体と、この回転体を間欠的に回動させるモータとによって構成したことを特徴とする非接触型IC媒体処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の非接触型IC媒体処理装置において、前記媒体蓄積手段から1枚ずつ供給される非接触型IC媒体を自重によって径方向に転動させる媒体供給通路と、この媒体供給通路中に設けられ非接触型IC媒体に情報を付与する第2の媒体処理手段とを備え、この第2の媒体処理手段によって処理された非接触型IC媒体を前記媒体返却口から発行することを特徴とする非接触型IC媒体処理装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の非接触型IC媒体処理装置において、2枚の前記回転体を回転方向に互いに位相を違えて同軸上に設け、これら回転体の一方に他方の回転体の媒体蓄積用凹部に非接触型IC媒体を案内するガイド部を設けたことを特徴とする非接触型IC媒体処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−190025(P2006−190025A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−670(P2005−670)
【出願日】平成17年1月5日(2005.1.5)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】