説明

非接触通信装置、非接触ICカード及び形態情報端末

【課題】通信距離に応じて生成される直流電流の余剰分を考慮したクロック信号周波数の制御を回路規模を増大させずに且つ処理時間を短縮して実現してデータ処理効率を向上させる。
【解決手段】アンテナ端子(LA,LB)から入力される信号を整流して得られる直流電流から電源電圧(VDD)を生成する電圧生成部(20)で生成された電源電圧に対する直流電流の余剰の大きさを検出する検出部(5)を有し、電源電圧を動作電圧として送受信信号のデータ処理を行うデータ処理部(6)は、クロック信号(SCLK)の周波数が所定の基準周波数にされた状態で検出部によって検出された余剰電流の大きさに基づいてデータ処理のためのクロック信号の周波数を決めるクロック制御部(11)を備える。直流電流の余剰検出時にデータ処理部で消費される消費電力は特定の基準周波数で決まる消費電力になるから、検出される直流電流の余剰を絶対的な余剰として把握できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子マネーや交通機関の改札などに利用される非接触通信装置及び非接触ICカードに関し、例えば、ICカード用の半導体装置に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
国際規格ISO/IEC14443及び、ISO/IEC18092によれば、非接触インターフェースを有するICカードは、PICCと呼ばれ、PCDと呼ばれるリーダー/ライター装置とRF(Radio Frequency)通信を行うものである。尚、ISOはInternational Organization for Standardizationの略であり、IECはInternational Electrical Commissionの略である。また、PICCはProximity Cardの略であり、PCDはProximity Coupling Deviceの略である。
【0003】
PCDからPICCへの送信データを「下りデータ」、PICCからPCDへの送信データを「上りデータ」と定義する。非接触通信に共通することは、PICCがPCDからの下りデータを受信し、PICCが内部処理を行い、前記下りデータへの応答として、上りデータをPCDに送信する、というシーケンスである。前記の下りデータと上りデータを繰り返すことで、非接触通信を可能にしている。
【0004】
近年、アプリケーションの多様化に伴い、PICCによる内部処理の時間(トランザクションタイム)が増加の一途を辿っている。
【0005】
PICCの内部処理は、処理速度を上げることで、処理時間を短縮することができる。つまり、PICCの処理速度を上げることで、PICCの受信と送信間の時間中に、多様な処理を行うことができるようになる。しかし、PICCの内部処理の処理速度を上げた場合、PICCの消費電流は増加してしまう。PICCの電力は、PCDから供給される搬送波から電磁誘導で生成さているため、PICCの消費電流が増加すると、非接触通信が可能な通信距離が短くなってしまう。PICCの消費電流を抑えることで、通信距離を延ばすことは可能だが、消費電流を抑えるためにはPICCの内部処理の処理速度を遅くしなければならない。つまり、PICCの消費電流と処理速度、及び、非接触通信が可能な通信距離と処理速度はトレードオフの関係にある。
【0006】
PICCの適用される非接触通信装置は、アンテナ端子から入力される信号を整流し、整流して得られる直流電流をレギュレータに供給して所定レベルの電源電圧を生成する。特許文献1では、そのようなレギュレータである電圧制御部に流れる直流電流が所定の電流以上であることを判定したとき、コプロセッサなどの特定の回路の動作を可能に制御する。特許文献2では、ICカードによる受信電力レベルとICカード内の消費電力レベルとの相対的な大小関係によってICカード内の動作クロック周波数を制御する。例えば受信電力レベルに対して半導体集積回路内部の消費電力レベルが所定範囲よりも小さいときは動作クロック周波数を高くし、逆の場合には低くする。特許文献3ではアンテナ端子に入力される信号の受信電圧を参照して受信エネルギーを監視し、受信エネルギーの余裕度と制御ルールを照合して、所要の処理速度を割り出し、論理部の処理速度を制御することによって、非接触通信の通信距離の確保と高速処理との両立を図ろうとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】再公表WO03/091819号公報
【特許文献2】特開2005−191961号公報
【特許文献3】特開2006−119693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献に記載の技術は受信電力状態の検出結果に基づいて中央処理装置(CPU)等の動作速度を制御しようとするものであるが、特許文献1、2は受信電力状態の余裕度を検出できるが、それは相対的な余裕度でしかなく、クロック周波数を高くする場合にも比較的大きなマージンを持って周波数を変更しなければ、アクセラレータなどの周辺回路の動作状況に応じて十分な電力を供給できなくなることが想定される。特許文献3は受信電力の検出状態がCPU等の動作状態に影響されないように整流器やレギュレータなどの電力生成系とは異なる経路にそれとはまったく別のエネルギー監視部を設けなければならず、しかもサンプリングしたエネルギーを制御ルールと照合してCPU等の処理速度を決めるという新たな回路を追加しなければならないから、回路規模が増大し、それによる電力消費も増えてしまう。
【0009】
本発明者は、回路規模の増大を極力抑えるためにアンテナ端子からの入力に基づいて生成した直流電流の余剰検出の結果に基づいてCPU及びコプロセッサなどのデータ処理速度を決定するクロック信号の周波数を制御することについて検討した。特にここでは、特許文献3を考慮し、複数の検出回路によって異なる閾値を用いてレギュレータに流れる余剰電流を電源電圧に対する前記直流電流の余剰として検出するものとする。上記クロック信号の周波数制御としては、通信のキャリア周波数である13.56MHzを分周した複数種類の周波数を持つクロック信号の中から一つを選択する。この検討により以下の課題が見出された。
【0010】
第1の課題は、送受信データに対するデータ処理をCPUやコプロセッサなどを用いて行なう場合、直流電流の余剰は、検出動作中に動作しているCPUなどの動作周波数によって変化してしまうという点である。要するに、CPUなどの動作状況に従って相対的な余剰しか把握できないということである。例えば、非接触通信距離が一定で且つPCDからの供給電力が一定の場合、CPU周波数とレギュレータに流れる余剰電流との関係に着目すれば、CPUの周波数を上げればPICCの消費電流が増加するため、レギュレータに流れる余剰電流量は、PCDによる供給電流(IPCD)からPICCの消費電流を引算した値となり、CPUの周波数を上げれば上げるほど、少なくなる。このように、動作中のCPU周波数の設定値によって余剰電流の検出信号が変化してしまうため、動作中のCPUの周波数と、余剰電流の検出信号との双方を確認しながらCPUの周波数をどこまで上げることができるかを判別しなければならなくなり、その処理に時間を要し、CPUを用いて判別する場合にはCPUの負担が増し、そうでなければ特別な論理回路を設けなければならず回路規模が増大する。特に、動作中のCPUの周波数と、余剰電流の検出信号の双方を確認しながらCPUの周波数をどこまで上げることができるかの判別では、CPUの周波数を徐々に上げていかなければならない。CPUの周波数を高くすればその分だけCPUなどの消費電流が増えて余剰電流が減るから、周波数の変更は余剰電流の検出を繰り返しながら徐々に行わなければならない。この点で、CPUなどの周波数をどこまで上げることができるかの判別をCPUのソフトウェアを介して行おうとすると、そのソフトウェア開発はICカード提供者にとって大きな負担になる。
【0011】
第2の課題は、途中で通信距離が遠くなった場合にCPUの周波数を下げなければ正常な動作を保証することができなくなる。しかしながら、この場合も上記同様に処理負担の増大は避けられず、その上、処理時間を短くしなければ通信不能になる虞が増す。
【0012】
第3の課題は、余剰電流に応じてCPUなどの処理速度を最適化することが難しいということである。即ち他のCPUのデータ処理状況やPICCに搭載されるコプロセッサなどの他の回路モジュールの動作状況に応じて、余剰電流検出時の消費電流に対する変動分を見積もることが容易ではなく、比較的大きなマージンをもって周波数を決めなければならず、データ処理効率の向上という点で不充分であった。
【0013】
本発明の目的は、通信距離に応じて生成される直流電流の余剰分を考慮したクロック信号周波数の制御を回路規模を増大させずに且つ処理時間を短縮して実現でき、データ処理効率の向上に資することができる非接触通信装置、更にはICカードを提供することにある。
【0014】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0016】
すなわち、アンテナ端子から入力される信号を整流して得られる直流電流から電源電圧を生成する電圧生成部で生成された電源電圧に対する前記直流電流の余剰の大きさを検出する検出部を有し、前記電源電圧を動作電圧として送受信信号のデータ処理を行うデータ処理部は、前記クロック信号の周波数が所定の基準周波数にされた状態で前記検出部によって検出された前記余剰の大きさに基づいて前記データ処理のための前記クロック信号の周波数を決めるクロック制御部を備える。
【0017】
直流電流の余剰検出時にデータ処理部で消費される消費電力は特定の基準周波数で決まる消費電力になるから、検出される直流電流の余剰を絶対的な余剰として把握可能になる。検出時のクロック周波数を特定しないで相対的に余剰を把握する場合に比べて短時間で且つ無駄なく的確にデータ処理部のクロック信号周波数を決めることが可能になり、外部と非接触通信を行う非接触通信装置における内部のデータ処理時間(トランザクションタイム)を最小にすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0019】
すなわち、通信距離に応じて生成される直流電流の余剰分を考慮したロック信号周波数の制御を回路規模を増大させずに且つ処理時間を短縮して実現でき、データ処理効率の向上に資することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は本発明の第1の実施の形態に係る非接触通信装置1の概略的な構成を例示するブロック図である。
【図2】図2は誘導起電力による動作電力の発生期間に非接触通信装置による受信、送信、及び内部処理の直列的な処理を例示する動作説明図である。
【図3】図3は非接触通信装置の状態遷移図である。
【図4】図4は電圧制御部及び電流検出部の具体例を示す回路図である。
【図5】図5はデータ生成回路の論理構成を例示するブロック図である。
【図6】図6は電流検出部による余剰電流の検出値に応じて周波数を最適化する処理の原理を説明するための説明図である。
【図7】図7はクロック信号周波数の最適化処理の動作タイミングを例示するタイミングチャートである。
【図8】図8は図7によるクロック信号周波数の最適化処理のシーケンスを例示するフローチャートである。
【図9】図9は図8におけるクロック周波数の選択制御の特化した制御フローを例示するフローチャートである。
【図10】図10はクロック生成器の基本的な構成を例示するブロック図である。
【図11】図11は入力されたキャリアクロックCLKを2分周から4分周に変更する場合の、クロック生成器の動作タイミングを例示するタイミングチャートである。
【図12】図12は入力されたキャリアクロックCLKを2分周から3分周に変更する場合の、クロック生成器の動作タイミングを例示するタイミングチャートである。
【図13】図13は本発明の第2の実施の形態に係る非接触通信装置の概略的な構成を例示するブロック図である。
【図14】図14は実施の形態2におけるデータ生成回路の詳細を例示するブロック図である。
【図15】図15は実施の形態2におけるクロック信号周波数の最適化処理の動作を示すタイミングチャートである。
【図16】図16は図15におけるクロック信号周波数の最適化処理のシーケンスを例示するフローチャートである。
【図17】図17は図16におけるクロック周波数の選択制御に特化した制御フローを例示するフローチャートである。
【図18】図18は実施の形態1によるクロック周波数最適化処理のための構成と実施の形態2のクロック周波数最適化処理のための構成との双方を採用して選択的に利用するように非接触通信装置を構成したときのデータ生成回路の一例を示すブロック図である。
【図19】図19は非接触通信装置を適用した非接触通信機器としてのICカードを例示する説明図である。
【図20】図20は非接触通信装置を適用した別の非接触通信機器としての携帯情報端末を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面中の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0022】
〔1〕<データ処理部の動作周波数に依存しない直流電流の余剰の測定結果に基づく周波数制御>
本発明の代表的な実施の形態に係る非接触通信装置(1,1M)は、アンテナ端子(LA,LB)から入力される信号を整流して得られる直流電流から所定の電源電圧(VDD)を生成する電圧生成部(20)と、前記電圧生成部で生成される電源電圧を受けて動作し、前記アンテナ端子を介する送受信動作を行う送受信部(2)と、前記電圧生成部で生成された電源電圧を動作電圧として受け、前記送受信部で受信した信号、送信する信号及びクロック信号(CLK)から、システムクロック信号(SCLK)に同期してデータ処理するデータ処理部(6,6M)と、前記電圧生成部で生成された電源電圧に対する前記直流電流の余剰の大きさを検出する検出部(5)と、を有する。前記データ処理部は、前記送受信部とのデータの受け渡しを行うインターフェース回路(7)と、前記システムクロック信号の周波数が基準周波数にされた状態で前記検出部によって検出された前記余剰の大きさに基づいて前記データ処理のための前記システムクロック信号の周波数を決めるクロック制御部(11,11M)を有する。
【0023】
直流電流の余剰検出を行うときデータ処理部のシステムクロック信号周波数は所定の基準周波数にされるから、直流電流の余剰検出時にデータ処理部で消費される消費電力は特定の基準周波数で決まる消費電力になる。したがって、検出される直流電流の余剰を絶対的な余剰として把握可能になる。検出時のシステムクロック周波数を特定しないで相対的に余剰を把握する場合に比べて短時間で且つ無駄なく的確にデータ処理部のシステムクロック信号周波数を決めることが可能になる。余剰電流の検出を繰り返しながら徐々に周波数を変更するという手順を要しないからである。これらにより、外部と非接触通信を行う非接触通信装置における内部のデータ処理時間(トランザクションタイム)を短縮することができる。また、検出部は電圧生成部で生成される直流電流の余剰に基づいてその大きさを検出するから、その検出のために大規模な回路の追加を必要としない。
【0024】
〔2〕<直流電流の余剰の範囲で選択可能な高い周波数の採用>
項1の非接触通信装置において、前記クロック制御部は、前記検出部によって検出された余剰の大きさによって許容される範囲で高い周波数のシステムクロック信号を選択する。
【0025】
データ処理部のデータ処理速度の高速化を優先させる事ができる。
【0026】
〔3〕<ルックアップテーブル参照>
項2の非接触通信装置において、前記クロック制御部は、前記検出部による検出結果に対応して選択する前記システムクロック信号の周波数データを検出結果毎に保持するルックアップテーブル(LUTBL)を有し、前記検出結果を用いて前記ルックアップテーブルから対応する周波数データを参照して前記システムクロック信号周波数を決める。
【0027】
システムクロック周波数を決定する制御を簡素化することができる。
【0028】
〔4〕<低消費電力状態でインターフェース回路からの指示により周波数制御を実行>
項1の非接触通信装置において、前記データ処理部(6)は前記インターフェース回路(7)からの指示により前記送受信回路を介して行う送受信動作中に前記システムクロック信号の周波数を低くした低消費電力状態を採る。低消費電力状態において前記インターフェース回路からの指示にしたがって前記クロック制御部(11)は前記検出部によって検出された前記電流の余剰の大きさに基づいて前記システムクロック信号の周波数を高くして、低消費電力状態を解除する。
【0029】
上記より、前記インターフェース回路からの低消費電力状態解除の指示に応答して前記直流電流の余剰の大きさを検出し、その大きさに応じてシステムクロック信号周波数を高くすることによって低消費電力状態から通常の動作可能な状態に抜けることができるから、低消費電力状態の解除処理の一環としてデータ処理部のシステムクロック信号周波数を最適化することができる。この場合には、送受信部を介して行われる送受信動作のインターバル毎に実行されるデータ処理部のデータ処理の先頭で受信電力に対するシステムクロック信号周波数の最適化が行われる。
【0030】
〔5〕<低消費電力状態のときのシステムクロック周波数を基準周波数とする>
項4の非接触通信装置において、前記データ処理部の低消費電力状態において前記システムクロック信号の周波数は前記基準周波数にされる。
【0031】
これにより、インターフェース回路からの低消費電力状態解除の指示に応答して基準周波数の状態のままで直流電流の余剰の大きさを容易に検出して低消費電力状態から通常の動作可能な状態に抜けることができる。
【0032】
〔6〕<CPUによる設定に従った周波数制御を実行>
項1の非接触通信装置において、前記データ処理部(6M)は命令を実行する中央処理装置(10)を有する。前記クロック制御部は、前記中央処理装置からの指示に応答して、前記システムクロック信号の周波数を基準周波数にした状態で前記検出部により前記余剰の大きさを検出し、検出した前記余剰の大きさに基づいて前記システムクロック信号の周波数を決める処理を行う。
【0033】
中央処理装置の動作プログラムにしたがって任意のタイミングで直流電流の余剰の大きさを検出してシステムクロック信号周波数を最適化することができる。
【0034】
〔7〕<受信処理終了の通知に応答するレジスタ設定>
項6の非接触通信装置において、前記中央処理装置は、前記インターフェース回路からの送受信処理の完了通知に応答して前記クロック制御部に制御データを設定し、前記クロック制御部は設定された制御データに従ったタイマ動作を行い、タイマ動作開始時点及びその後のタイムアウト発生時点で前記システムクロック信号の周波数を決める処理を行う。
【0035】
これにより、送受信部を介して行われる送受信動作のインターバル毎に実行されるデータ処理部のデータ処理の先頭及び設定されたタイムアウト毎に受信電力に対するシステムクロック信号周波数の最適化を複数回行うことができる。
【0036】
〔8〕<タイマイネーブル及びインターバル設定用レジスタ>
項7の非接触通信装置において、前記クロック制御部は、前記制御データとして前記タイマ動作のイネーブルビット(SIG6対応ビット)及び前記タイムアウトのインターバルが前記中央処理装置によって可変可能に設定されるレジスタ(13M)を有する。
【0037】
タイムアウトのタイミングや回数は中央処理装置の動作プログラムに従って任意に設定可能である。
【0038】
〔9〕<キャリアクロック信号の分周>
項1の非接触通信装置において、前記クロック制御部は、前記アンテナ端子から入力される信号からキャリア成分を抽出して生成されたキャリアクロック信号を入力し、入力されたキャリアクロック信号を分周して周波数の異なるシステムクロック信号を生成し、クロック選択データによって指定された周波数のシステムクロック信号を選択して出力するクロック生成器(14)と、保持したクロック選択データを前記クロック生成器に与えるレジスタ(13,13M)と、前記検出部によって検出された前記余剰の大きさに基づいてクロック選択データを生成するデータ生成回路(12,12M)と、を有する。前記レジスタは、中央処理装置又はデータ生成回路で生成されたクロック選択データが書き換え可能に設定される。
【0039】
データ処理部に供給するシステムクロック信号の周波数は中央処理装置が設定するクロック選択データ又は前記直流電流の余剰の大きさに基づいてデータ生成回路が設定したクロック選択データの何れによっても決定することができ、前記直流電流の余剰の大きさに基づくシステムクロック周波数の決定に対して柔軟に対応可能になる。
【0040】
〔10〕<シームレスなクロック切換え>
項9の非接触通信装置において、前記クロック生成器は、クロック選択データで指定される分周比に従った値まで前記キャリアクロック信号のサイクル数を計数する計数動作を繰り返すカウンタ(41,44)と、クロック選択データで指定される分周比に従って前記カウンタの所定の計数値への変化に同期して当該分周比に応ずるシステムクロック信号を前記キャリアクロック信号のサイクル同期で生成するロジック回路(43,45〜48)と、を有する。
【0041】
分周比の異なる何れのシステムクロック信号の生成タイミングもキャリアクロック信号のサイクルに同期されるから、シームレスなクロック切換えが実現される。
【0042】
〔11〕<電圧生成部と検出部>
項1の非接触通信装置において、前記電圧生成部は、アンテナ端子から入力される信号を整流する整流回路(3)と、整流回路で整流して得られる直流電流を制御して前記電源電圧を生成するレギュレータ(4)とを有する。前記検出部は、前記レギュレータに流れる余剰電流の大きさを複数ビットで示す信号を前記余剰の大きさとして生成する。
【0043】
余剰電流の大きさを必要な精度をもって容易に得ることができる。
【0044】
〔12〕<低消費電力状態における直流電流の余剰の測定結果に基づく周波数制御>
本発明の別の実施の形態に係る非接触通信装置(1)は、アンテナ端子から入力される信号を整流して得られる直流電流から所定の電源電圧を生成する電圧生成部と、前記電圧生成部で生成される電源電圧を受けて動作し、前記アンテナ端子を介する送受信動作を行う送受信部と、前記電圧生成部で生成された電源電圧を動作電圧として受け、前記送受信部で受信した信号、送信する信号、及びクロック信号(CLK)を生成し、システムクロック信号(SCLK)に同期してデータ処理し、前記送受信部を介して行う送受信動作中に、前記インターフェース回路による前記システムクロック信号の周波数を低くした低消費電力状態にされるデータ処理部(6)と、前記電圧生成部で生成された電源電圧に対する前記直流電流の余剰の大きさを検出する検出部と、を有する。前記データ処理部は、前記低消費電力状態で前記インターフェース回路からの指示に応答することにより前記検出部で検出された前記余剰の大きさによって許容される範囲で前記システムクロック信号の周波数を高くして、低消費電力状態を解除する。
【0045】
直流電流の余剰検出を行うときデータ処理部のシステムクロック信号周波数は低消費電力状態における所定の低い周波数にされるから、直流電流の余剰検出時にデータ処理部で消費される消費電力はその周波数で決まる消費電力になり、検出される直流電流の余剰を絶対的な余剰として把握可能になる。したがって、項1と同様に、余剰電流の検出を繰り返しながら徐々に周波数を変更することを要せず、短時間で且つ無駄なく的確にデータ処理部のシステムクロック信号周波数を決めることが可能になる。更に、インターフェース回路からの低消費電力状態解除の指示に応答して前記直流電流の余剰の大きさを検出し、その大きさに応じてシステムクロック信号周波数を高くすることによって低消費電力状態から通常の動作可能な状態に抜けることができるから、項4と同様に、低消費電力状態の解除処理の一環としてデータ処理部のシステムクロック信号周波数を最適化することができ、送受信部を介して行われる送受信動作のインターバル毎に実行されるデータ処理部によるデータ処理の先頭で受信電力に対するシステムクロック信号周波数の最適化が行われる。これらにより、外部と非接触通信を行う非接触通信装置における内部のデータ処理時間(トランザクションタイム)を短縮することができる。また、検出部は電圧生成部で生成される直流電流の余剰に基づいてその大きさを検出するから、その検出のために大規模な回路の追加を必要としない。
【0046】
〔13〕<CPU指示による基準周波数下での直流電流の余剰の測定結果に基づく周波数制御>
本発明の更に別の実施の形態に係る非接触通信装置(1M)は、アンテナ端子から入力される信号を整流して得られる直流電流から所定の電源電圧を生成する電圧生成部と、前記電圧生成部で生成される電源電圧を受けて動作し、前記アンテナ端子を介する送受信動作を行う送受信部と、前記電圧生成部で生成された電源電圧を動作電圧として受け、前記送受信部で受信した信号、送信する信号、及びクロック信号を生成し、システムクロック信号(SCLK)に同期してデータ処理するデータ処理部(6M)と、前記電圧生成部で生成された電源電圧に対する前記直流電流の余剰の大きさを検出する検出部と、を有する。前記データ処理部は、命令を実行する中央処理装置を有し、データ処理中に、前記中央処理装置から指示されるタイミングで前記システムクロック信号の周波数を所定の基準周波数にして前記検出部から前記余剰の大きさを取得し、取得した余剰の大きさによって許容される範囲でシステムクロック信号に高い若しくは低い周波数を選択する。
【0047】
直流電流の余剰検出を行うときデータ処理部のシステムクロック信号周波数は所定の基準周波数にされるから、直流電流の余剰検出時にデータ処理部で消費される消費電力はその周波数で決まる消費電力になり、検出される直流電流の余剰を絶対的な余剰として把握可能になる。したがって、項1と同様に、余剰電流の検出を繰り返しながら徐々に周波数を変更することを要せず、短時間で且つ無駄なく的確にデータ処理部のシステムクロック信号周波数を決めることが可能になる。更に、項6と同様に中央処理装置の動作プログラムにしたがって任意にタイミングで直流電流の余剰の大きさを検出してシステムクロック信号周波数を最適化することができる。これらにより、外部と非接触通信を行う非接触通信装置における内部のデータ処理時間(トランザクションタイム)を短縮することができる。また、検出部は電圧生成部で生成される直流電流の余剰に基づいてその大きさを検出するから、その検出のために大規模な回路の追加を必要としない。
【0048】
〔14〕<ICカード>
本発明の更に別の実施の形態に係るICカード(60)は、基板(61)と、前記基板に形成されたアンテナと、前記アンテナにアンテナ端子が接続された非接触通信回路と、を有する。前記非接触通信回路は、アンテナ端子から入力される信号を整流して得られる直流電流から所定の電源電圧を生成する電圧生成部と、前記電圧生成部で生成される電源電圧を受けて動作し、前記アンテナ端子を介する送受信動作を行う送受信部と、前記電圧生成部で生成された電源電圧を動作電圧として受け、前記送受信部で受信した信号、送信する信号及びクロック信号を生成し、システムクロック信号(SCLK)に同期してデータ処理するデータ処理部と、前記電圧生成部で生成された電源電圧に対する前記直流電流の余剰の大きさを検出する検出部と、を有する。前記データ処理部は、前記システムクロック信号の周波数が所定の基準周波数にされた状態で前記検出部によって検出された前記余剰の大きさに基づいて前記データ処理のための前記システムクロック信号の周波数を決めるクロック制御部を有する。
【0049】
直流電流の余剰検出を行うときデータ処理部のシステムクロック信号周波数は所定の基準周波数にされるから、直流電流の余剰検出時にデータ処理部で消費される消費電力は特定の基準周波数で決まる消費電力になり、検出される直流電流の余剰を絶対的な余剰として把握可能になる。したがって、項1と同様に、余剰電流の検出を繰り返しながら徐々に周波数を変更することを要せず、短時間で且つ無駄なく的確にデータ処理部のシステムクロック信号周波数を決めることが可能になる。これらにより、外部と非接触通信を行う非接触通信装置における内部のデータ処理時間(トランザクションタイム)を短縮することができる。また、検出部は電圧生成部で生成される直流電流の余剰に基づいてその大きさを検出するから、その検出のために大規模な回路の追加を必要としない。
【0050】
〔15〕<携帯情報端末>
本発明の更に別の実施の形態に係る携帯情報端末(80)は、筐体(81)に、情報処理システム(82)、非接触通信装置(1,1M)、前記非接触通信装置に接続されたアンテナ(L1)と、を備える。前記非接触通信装置は、前記アンテナから入力される信号を整流して得られる直流電流から所定の電源電圧を生成する電圧生成部と、前記電圧生成部で生成される電源電圧を受けて動作し、前記アンテナ端子を介する送受信動作を行う送受信部と、前記電圧生成部で生成された電源電圧を動作電圧として受け、前記送受信部で受信した信号、送信する信号及びクロック信号を生成し、システムクロック信号(SCLK)に同期してデータ処理するデータ処理部と、前記電圧生成部で生成された電源電圧に対する前記直流電流の余剰の大きさを検出する検出部と、を有し、前記データ処理部は、前記システムクロック信号の周波数が所定の基準周波数にされた状態で前記検出部によって検出された前記余剰の大きさに基づいて前記データ処理のための前記システムクロック信号の周波数を決めるクロック制御部を有する。
【0051】
クロック信号周波数の最適化に際して項15と同様の作用効果を奏する。
【0052】
2.実施の形態の詳細
実施の形態について更に詳述する。
【0053】
〔実施の形態1〕
図1には本発明の第1の実施の形態に係る非接触通信装置1の概略的な構成が例示される。同図に示される非接触通信装置1は、特に制限されないが、単結晶シリコンのような1個の半導体基板にMOS集積回路製造技術を用いて形成される。この非接触通信装置1は図示を省略するリーダー/ライター装置のような外部装置との間でRF通信を行う装置であり、図2に例示されるように、外部装置に近接することによって得られる誘導起電力を動作電源として動作し、動作可能な電源が供給されている期間に、外部装置から非接触通信装置1に送信されるデータを受け取る「受信」、前記非接触通信装置1から外部装置にデータを送信する「送信」、及び受信データ及び送信データに対するデータ処理などの「内部処理」を行う。ここでは、特に制限されないが、受信、送信、及び内部処理は直列的に行われるものとされる。
【0054】
図1において、非接触通信装置は、アンテナL1が接続される第1アンテナ接続端子LA及び第2アンテナ接続端子LBと、アンテナ端子LA,LBから入力される信号を整流して得られる直流電流から所定の電源電圧VDDを生成する電圧生成部20と、前記電圧生成部20で生成される電源電圧VDDを受けて動作し、前記アンテナ端子LA,LBを介する送受信動作を行う送受信部(RX/TX)2と、前記電圧生成部20で生成された電源電圧VDDを動作電圧として受け、前記送受信部2で受信した信号及び送信する信号をシステムクロック信号SCLKに同期してデータ処理するデータ処理部6と、前記電圧生成部20で生成された電源電圧VDDに対する前記直流電流の余剰の大きさを検出してデータ処理部6に供給する電流検出部(PWR)5と、を有する。
【0055】
電圧生成部20は、整流回路(RECT)3、レギュレータとしての電圧制御部(REG)4及び平滑容量C1を備える。整流回路3は、前記非接通信装置1に備えられたアンテナL1が受信した交流信号を整流し、平滑容量C1は整流回路3が整流した整流電圧を平滑化して直流電圧を生成する。電圧制御部4は、直流電圧に接続される回路を構成する素子の耐圧以上の電源電圧が供給されないように、直流電圧レベルを監視し、電源電圧VDDのレベルを制御する回路である。電圧制御部4で制御された電源電圧VDD、グランド電圧VSSが、データ処理部6、電流検出部5、及び送受信部2の動作電源として供給される。
【0056】
電流検出部5は、電圧制御部4に流れる電流SIG1が所定の電流以上であることを判定し、複数ビットの検出信号SIG2を出力する。検出信号SIG2は、データ処理部6のシステムクロック信号SCLKの周波数制御などに用いられる。データ処理部6は典型的にはシステムクロック信号SCLKに同期して動作し、送受信部2との受信データ・送信データ等のデータの受け渡しを行うインターフェース回路(I/F)7、プログラムを実行する中央演算装置(CPU)10、CPU10のワーク領域などに用いられるRAM9、CPU10が実行するプログラムや制御データなどを保有するROM、フラッシュメモリ又はEEPROMなどで構成されたメモリ部(MRY)9、タイマやDSP等のその他の論理機能を持つロジック部(LGC)8、及びクロック制御部11を有する。
【0057】
送受信部2は、受信部と送信部とを含む。受信部は、前記非接触通信装置に接続されたアンテナL1によって受信された交流信号に重畳された情報信号を復調してデジタルの情報信号としてインターフェース回路7に供給する。受信部は更に、受信信号からキャリア成分を抽出してキャリアクロック信号CLKを生成する機能を備える。これに対して送信部は、インターフェース回路7から出力されるデジタルの情報信号を受けてアンテナL1を介して外部に出力するための交流信号を形成する。
【0058】
図3には非接触通信装置1の状態遷移図が例示される。外部装置からの搬送波(キャリア)信号がない場合、非接触通信装置1は、「キャリアオフ状態」となる。アンテナL1から前記搬送波信号が供給された場合、電圧制御部4は前記搬送波信号の整流及び平滑により生成した電源電圧VDDを前記データ処理部6、送受信部2及び電流検出部5に供給する。前記搬送波信号が入力されていた場合であっても、前記電源電圧VDDが十分に安定していない場合、前記非接触通信装置1は「リセット状態」となり、前記電源電圧VDDが十分に安定した場合は前記データ処理部6のリセットが解除されて、「内部処理状態」へと遷移する。内部処理状態では、CPU10がデータ処理部6を受信動作させる内部状態に設定することで、外部装置が出力するデータ(下りデータ)を受信できる「受信状態」に遷移することができる。「受信状態」において、外部装置からの下りデータはインターフェース回路7を介して、一時的にメモリ部9のバッファ領域に格納される。受信完了後に、再度前記内部処理状態に遷移し、前記メモリ部9に格納された下りデータを前記CPU10が処理し、外部装置に送信する上りデータを生成し前記メモリ部9に格納する。そして、前記CPU10がデータ処理部6を送信動作させる内部状態に設定をすることで、非接触通信装置1は「送信状態」へと遷移し、外部装置へのデータ(上りデータ)を送信することができる。送信が完了すると、再度内部処理状態に遷移して1回目の非接触通信が完了する。これらの下りデータと上りデータの送受信を繰り返すことで、必要な非接触通信を行う。ただし、外部装置との非接触通信距離が離れれば、これに伴い十分な電力が供給されなくなるため、前記非接触通信装置1は、内部状態がどの状態であってもリセット状態に遷移する。
【0059】
図4には電圧制御部4及び電流検出部5の具体例が示される。アンテナL1が受信した交流信号がアンテナ端子LA、LBに印加され、この交流信号を整流回路3が整流し、電流IINを出力する。この電流IINは、平滑容量C1に蓄積されることで平滑化された直流電圧が電源電圧VDDとして生成され、電源電圧VDDはこれに接続される回路に動作電流ILOADを供給する。
【0060】
電圧制御部4は、抵抗R1、R2、基準電圧源VREF、演算増幅回路A1、及び電圧制御用MOSトランジスタMREGから構成され、電源電圧VDDが所定の電圧レベル(VREF×(R1+R2)/R2)を上回らないように、電圧制御用MOSトランジスタMREGに流れる電流を制御することで、電源電圧VDDの不所望なレベル上昇を抑制する。すなわち、整流回路3から供給される電流IINに比べて、電源電圧VDDに接続される回路の動作に必要な電流(IA+IB+ILOAD)が小さい場合には、電圧制御用MOSトランジスタMREGに流れる電流IREGが増えるように制御され、電源電圧VDDが所定の電圧レベルに維持されるように動作する。アンテナ端子LA,LBに供給される電力が大きいほど、整流回路3から出力される電流IINは大きくなることから、MOSトランジスタMREGに流れる電流IREGは増える。したがって、電流IREGは余剰電力に応ずる余剰電流を示すことになる。ここで、整流回路3から供給される電流IINは、電圧制御部4の消費電流IAと、電圧制御用MOSトランジスタMREGが流す電流IREGと、電流検出部5の消費電流IBと、電源電圧VDDが供給される回路の消費電流ILOADとの和で表すことができる。消費電流IA,IBは定常電流であり、ILOADはこれを受けて動作する回路の動作状態に応じて可変される電流であり、IREGは前述のごとく、電源電圧VDDを所定のレベルに維持するためにグランド電圧VSSに引き抜かれる過剰電流になる。
【0061】
電流検出部5は、特に制限されないが、4つの電流検出単位回路P0〜P3から構成され、電圧制御用MOSトランジスタMREGのゲート端子に供給される電圧を利用することで、電圧制御用MOSトランジスタMREGに流れる電流量を検出する回路である。夫々の検出単位回路P0〜P3による検出信号はSIG2[0]、SIG2[1]、SIG2[2]、SIG2[3]の4ビットとされる。それら検出信号はSIG2[0]〜SIG2[3]を総称して検出信号SIG2と表記する。
【0062】
電流検出単位回路P0は、電圧制御用MOSトランジスタMREGのゲート電圧をゲート端子に受けるMOSトランジスタM0が流す電流と基準電流源I0からの定電流とを比較し、検出信号SIG2[0]を生成する。具体的には、MOSトランジスタM0に流れる電流が基準電流I0に比べて小さければSIG2[0]=“L”(ローレベル)とされ、MOSトランジスタM0に流れる電流が基準電流I0に比べて大きければSIG2[0]=“H”(ハイレベル)とされる。INV0〜INV3はインバータである。ここで、MOSトランジスタM0が電圧制御用MOSトランジスタMREGのゲート端子に接続されたカレントミラー接続されていることから、電流検出単位回路P0は、電圧制御用MOSトランジスタMREGに流れる電流(余剰電流)IREGを検出対象とすることになる。即ち、MOSトランジスタM0のサイズが電圧制御用MOSトランジスタMREGのサイズの1/N倍とすれば、電流検出単位回路P0は電圧制御用MOSトランジスタMREGに流れる電流IREGと基準電流I0のN倍とを比較していることと等価である。したがって、電流IREGが定電流I0のN倍以上になったときに、検出信号SIG2[0]が“H”になる。
【0063】
電流検出単位回路P1〜P3も電流検出単位回路P0と同様に構成される。但し、基準電流I0〜I3の電流値及びMOSトランジスタM0〜M3のサイズを変更することで、検出信号SIG2[0]〜SIG2[3]の検出レベルを個別に設定できる。また、基準電流源I0、I1、I2、I3の電流量を微調整することで、電流検出信号の検出量を最適に調整することができる。4ビットの検出信号はSIG2[0]、SIG2[1]、SIG2[2]、SIG2[3]の値によって余剰電流の大きさが検出される。
【0064】
図1に示されるクロック制御部11は、クロック生成器14、レジスタ(CREG)13及びデータ生成回路12を備える。クロック生成器14は前記アンテナ端子LA,LBから入力される信号からキャリア成分を抽出して生成されたキャリアクロック信号CLKを入力し、入力されたキャリアクロック信号CLKを分周して周波数の異なる複数のクロック信号を生成し、クロック選択データによって指定された周波数のクロック信号を選択してシステムクロック信号SCLKとして出力する。例えばキャリアクロック信号CLKの周波数を13.56MHzとしたとき、クロック選択データによって指定可能なシステムクロック信号SCLKの周波数は、特に制限されないが、565KHzを最低とし、13.56MHzに至までの順次1.13MHの整数倍の周波数とされる。レジスタ13はクロック生成器14に供給するクロック選択データ及びデータ生成回路12に対するイネーブルビットなどを保持する。レジスタ13に対するクロック選択データの設定はCPU10又はデータ生成回路12が行う。例えばCPU10はプログラム記述に従ってクロック選択データをレジスタに設定する。低消費電力状態に移行するときCPU10はストア命令を実行して既定の低い周波数を設定するためのクロック選択データを設定する。CPU10はデータ生成回路12によるクロック選択データの生成及び設定動作を用いるとき前記イネーブルビットをセットし、これによってイネーブル信号SIG5が活性化される。
【0065】
データ生成回路12は、イネーブル信号SIG5が活性化されているとき、信号SIG4の活性化タイミングに同期して電流検出信号SIG2を参照し、参照した値に応ずるクロック選択データを生成し、信号SIG8を用いてそのクロック選択データをレジスタ13に格納する。これによって、システムクロック信号SCLKは信号SIG8で指定された周波数に変更される。詳しくは、信号SIG8でレジスタ13に設定されたクロック設定データSIG8Aがクロック生成器14に与えられてシステムクロック信号SCLKの周波数が信号SIG8で指定された周波数に変更される。
【0066】
図5にはデータ生成回路12の論理構成が例示される。受信完了信号SIG4とイネーブル信号SIG5のアンドゲートによる論理積信号によって1パルス発生器31がクロック調整期間信号SIG7としてパルスを発生し、このパルスSIG7を受けるクロック制御回路32は、そのパルス期間に、電流検出信号SIG2を参照し、前記ルックアップテーブルLUTBLなどを用いてクロック設定信号SIG8を出力する。
【0067】
信号SIG4は図2に示される送信処理又は受信処理の終了通知データが送受信部2から信号SIG3でインターフェース回路7に通知されたとき、インターフェース回路7が受信完了を通知する信号である。送信動作又は受信動作中にデータ処理部6を低消費電力状態(スリープ状態)にして最小限の機能だけを維持させる場合に、送信処理又は受信処理が終了したときはデータ処理部6は低消費電力状態を解除して受信データ又は送信データのデータ処理を行うことが必要になる。前記信号SIG4は低消費電力状態を解除することが必要になったとき活性化(アサート)される。それによって動作されるデータ生成回路12がシステムクロック信号SCLKの周波数を変更するデータ設定をレジスタ13に行い、データ設定が完了したとき割り込みを要求してCPU10にデータ処理を開始させ、データ処理部6は低消費電力状態からデータ処理動作状態に復帰される。低消費電力状態からデータ処理状態に復帰(遷移)するとき、CPU10はインターフェース回路7にアクセスし、信号SIG4を非活性化(ネゲート)する。ここで、データ生成回路12が電流検出信号SIG2を参照して新たなクロック選択データを生成するとき、システムクロック信号SCLKの周波数は低消費電力状態のときに選択すべき所定の低い周波数(所定の基準周波数)、例えば1.13MHzに統一される。したがって、電流検出信号SIG2を参照するときにデータ処理部で消費される消費電力はその周波数で決まる消費電力になり、電流検出信号SIG2で検出される直流電流の余剰を絶対的な余剰として把握可能になる。これにより、データ生成回路12は、例えば電流検出信号SIG2のデコード値とこれに対応する周波数のクロック選択データとを予め格納したルックアップテーブルLUTBLを持ち、これにしたがって一義的にクロック選択データを決めることができる。検出時のクロック周波数を特定しないで相対的に余剰を把握するのとは異なるから、余剰電流の検出を繰り返しながら徐々に周波数を変更することを要せず、短時間で且つ無駄なく的確にデータ処理部6のクロック信号周波数を決めることが可能になる。短時間で済ますことができるので、外部と非接触通信を行う非接触通信装置1におけるデータ処理部6によるデータ処理時間(トランザクションタイム)を短縮することができる。また、電流検出部5は電圧生成部20で生成される直流電流の余剰信号SIG1に基づいてその大きさを検出するから、その検出のために大規模な回路の追加を必要としない。
【0068】
以下、低消費電力状態が解除されるときシステムクロック信号SCLKの周波数を変更する動作について更に詳述する。
【0069】
非接触通信装置1において、受信動作中はそれによるノイズの影響でデータ処理部6に誤動作などを生じないようにするためにもデータ処理部6は低消費電力状態としてのスタンバイ状態とされる。例えば、システムクロック信号SCLKには、受信動作完了通知に応答してデータ処理動作を再開したりするために必要な最低限の周波数、例えば1.13MHzが設定され、更に、スタンバイ状態において動作を全く必要としないロジック回路8の全部又は一部に対する動作電源電圧VDDを供給する経路の遮断などが行われる。スタンバイ状態への設定は、例えばCPU10がスタンバイ命令を実行することによって前記レジスタ13に1.13MHzの周波数を選択するクロック選択データを設定すると共に、一部の電源遮断制御を行うことによって実現される。これにより、非接触通信装置1の消費電流が抑えられ、且つ受信動作における消費電流ILOADを一定にすることができる。即ち、外部装置による送信電力を一定とすると、電流検出部5による電流検出はスタンバイ状態におけるシステムクロック信号SCLKの一定の周波数(1.13MHz)下で行われるため、図6に例示されるように、電流検出値は最大通信距離dmに対する余裕距離に応ずる電流値として把握することができる。非接触通信装置のクロック周波数をゼロとしたときの通信距離をD、非接触通信装置の1Hzあたりの消費電流をa、システムクロック信号SCLKの周波数をfとすると、非接触通信装置が非接触通信可能な距離dは、”d=−a×f+D”と表すことができる。通信距離と余剰電流の大きさとには相関があるから、クロック周波数調整動作(クロック調整期間)において、D−dを電流検出部5による検出値に対応させ、その検出値に応じて周波数fを決定することが可能である。システムクロック信号SCLKの周波数は、特に制限されないが、例えば、システムクロックを6.78MHzに設定したい場合、f=6.78MHzとなり、a=一定であるから、D−dの値は一意的に決まる。つまり、D−dの電流値より大きい値を電流検出部5に対応させることで、周波数fを決定することが出来る。この原理的な関係が図6に例示される。この原則的な関係性を利用し、受信動作終了直後に電流検出信号(SIG2)をラッチし、この電流検出信号に対応して、システムクロック信号SCLKの周波数を設定することで、非接触通信装置1は、CPU周波数に影響されずに余剰電流を検出して、システムクロック信号SCLKの周波数の最適化する事ができる。前述の通り、低消費電力の解除直前に電流検出部の検出結果を参照して、通常のデータ処理状態におけるクロック信号周波数を決定する動作モード(内部処理状態周波数調整モード、周波数調整モード、周波数最適化モード、自動クロック調整機能)はレジスタ13の設定状態を反映した信号SIG5によって決定される。SIG5=“H”のとき当該動作モードが選択、SIG5=“L”のとき当該動作モードが非選択にされる。
【0070】
図7には上記クロック信号周波数の最適化処理の動作タイミングが例示され、図8には上記クロック信号周波数の最適化処理のシーケンスフローチャートが例示され、図9にはクロック周波数の選択制御に特化した制御フローチャートが例示される。
【0071】
図7においてSLEEPは低消費電力状態を意味し、ACTIVEはデータ処理部6が通常の動作可能な状態を意味する。送受信中は誘導起電力が変化して低下すること考慮して、低消費電力状態において、データ処理部6のシステムクロック信号SCLKの周波数は特に制限されないが1.13MHzにされる。受信動作の終了が受信完了信号SIG4のハイレベルによってデータ生成回路12に与えられると(時刻t2)、このとき、イネーブル信号SIG5が“H”であることを条件に、1パルス発生器31が動作し、クロック調整期間信号SIG7がパルス変化され、クロック周波数調整動作が行われる(時刻t2〜t3)。クロック調整期間信号SIG7が“H”の期間が、クロック調整期間となる。これにより、ここでは周波数が6.78MHzに変更されて、低消費電力状態が解除され(時刻t4)、データ処理部6で受信データに対する内部処理が開始される。すなわち、受信動作が終了したとき、低消費電力状態を維持してクロック信号の最適化を行って、低消費電力状態を解除する。尚、受信完了後クロック調整信号SIG5が“L”のときクロック調整期間信号SIG7はネゲートされたままになる。1パルス発生器(U15)は動作しない。図7においてST1は内部処理状態、ST2は受信状態、ST3は内部処理状態を意味し、それらの何れに状態に応対して図8のステップS1乃至S6の処理が行われるかが示される。
【0072】
図8において、データ処理部6のリセット指示が解除されると内部処理状態(ST1)に遷移される。内部処理状態ST1においてクロック最適化処理に関係する処理として、CPU10によりレジスタ13に対して、イネーブルビットに受信完了後のクロック調整機能を許可する値をライトする処理(S1)が行われ、これによってクロック調整信号のイネーブル信号SIG5の出力が“H”にアサートされる(S2)。
【0073】
内部処理状態ST1から受信状態ST2へ遷移したときは、クロック最適化処理に関係する処理として、受信データを受信し終えると、受信完了信号SIG4が出力され(S3)、これによって1パルス発生器31が動作してクロック調整期間信号SIG7が出力される(S4)。更に、クロック制御回路32によるクロック周波数最適化処理が開始され(S5)、クロック制御回路32によるクロック周波数最適化処理によって変更したクロック周波数によるシステムクロック信号SCLKの安定化を待つ(S6)。安定化したところで、低消費電力状態が解除されて、受信状態ST2から内部処理状態ST3へと遷移する。
【0074】
図9に例示されるクロック周波数最適化処理S5は、クロック調整期間信号SIG7が“H”の期間に行われる。ここでは、特に制限されないが、電流検出信号(SIG2)を4ビットと仮定し、5種類の周波数の中から一つを選択してクロック周波数の最適化を行うものとする。
【0075】
クロック制御回路32は、クロック調整期間信号SIG7が“H”になることでクロック制御回路32が動作し始め(S10)、まず初めに電流検出部5から電流検出信号SIG2(SIG2[3]〜SIG2[0])をラッチする(S11)。そして、このラッチした信号から、どのビットが“H”になっているのかをデコードし(S12、S14,S16,S18)、このデコード値によって、最適な周波数を選択しクロック設定信号(SIG8)を出力しクロックを設定する(S13,S15,S17.S19,S21)。例えば、電流検出信号のビット3(SIG2[3])が“H”になっていれば、システムクロック信号SCLKの周波数を6.78MHzに設定し、電流検出信号のビット2(SIG2[2])が“H”になっていれば、システムクロック信号SCLKの周波数を4.52MHzに設定し、電流検出信号のビット1(SIG2[1])が“H”になっていれば、システムクロック信号SCLKの周波数を2.26MHzに設定し、電流検出信号のビット0(SIG2[0])が“H”になっていれば、システムクロック信号SCLKの周波数を1.13MHzに設定し、どの電流検出信号のビットも、“L”であれば、システムクロック信号SCLKの周波数を565kHzに設定する。つまり、電流検出信号SIG2の状態に応じてシステムクロック信号SCLKの周波数を高く、もしくは低く設定する。これで、クロック制御回路の動作は完了となる(S22)。
【0076】
これらの動作により、クロック周波数最適化処理S5ではCPU10の動作クロック周波数を低消費電力状態における既定のクロック周波数の状態にしたままで、CPUの動作クロック周波数を低消費電力状態の解除後における所要の周波数に設定することができる。
【0077】
尚、クロック周波数の設定動作が完了すると、例えばデータインターフェース回路7がクロック周波数が安定化する時間の経過を待って、CPU10に割り込み要求を行うことによって低消費電力状態から動作可能状態に遷移する。
【0078】
図10にはクロック生成器14の基本的な構成が例示される。同図に示されるクロック生成器14はどのタイミングであってもハザードが出力されないように自由にシステムクロックSCLKの周波数を設定することができる機構になっている。
【0079】
クロック生成器14にはクロック設定データSIG8Aとキャリアクロック信号CLKが供給される。クロック設定データSIG8Aは、データ生成回路12が信号SIG8によってレジスタに設定したクロック設定データ又はCPU10がレジスタ13に設定したクロック設定データである。図10の例では、クロック設定データSIG8A=H’0によって2分周、SIG8A=H’1によって3分周、SIG8A=H’2によって4分周を指示する場合の構成が例示される。
【0080】
40はデータSIG8Aの遅延回路であり、遅延データSIG9の遅延はキャリアクロック信号CLKの1サイクル分である。カウンタ41はキャリアクロック信号CLKをカウントし、データSIG9=H’0(2分周)のときはカウント値H’1の次サイクルでゼロクリアされ、データSIG9=H’1(3分周)のときはカウント値H’2の次サイクルでゼロクリアされ、データSIG9=H’2(4分周)のときはカウント値H’3の次サイクルでゼロクリアされる。セットデコーダ43,リセットデコーダ44は供給される遅延データSIG9のデコード結果にしたがって、入力カウント信号SIG10の値に従って出力信号SIG11,SIG12のパルス波形を制御する。SIG11は、SIG9=H’0(2分周),SIG9=H’1(3分周)のときカウント値SIG10=H’0の期間にハイレベルにされ、SIG9=H’2(4分周)のときカウント値SIG10=H’1の期間にハイレベルにされる。フリップフロップ45は信号SIG11の立下り同期で立ち上がり、信号SIG12の立下り同期で立ち下がる出力SIG14を生成する。デコーダ42はデータSIG9が偶数(偶数分周比)のときローレベルを出力し、奇数(奇数分周比)のときハイレベルを出力する。偶数分周比の場合にはオアゲート46の出力がハイレベル固定になるのでアンドゲート48はシステムクロック信号SCLKとして信号SIG14のパルス波形を出力する。奇数分周比の場合は遅延回路47が信号SIG14をキャリアクロック信号CLKの半サイクル遅延させた遅延信号SIG15を生成し、アンドゲート48が信号SIG14とSIG15の論理積信号をシステムクロック信号SCLKのパルス波形として出力する。
【0081】
図11には入力されたキャリアクロックCLKを2分周から4分周に変更する場合の、クロック生成器14の動作タイミングが例示される。設定データSIG8Aが入力されると、入力データをクロック分周器14は、CLKの1クロック遅延してラッチし、遅延データSIG9を生成する。このタイミングでカウンタ41によるカウント動作がリスタートしてカウント値は初期値H’0にされる。このカウンタ41は遅延データSIG9の値によって、リセットされるときのカウント値が異なる。4分周では、カウント信号SIG10がH’1の値のときにセット信号SIG11として“H”が出力され、カウント値SIG10がH’3の値のときにリセット信号SIG12として“H”が出力される。4分周では、偶数分周なので、奇数分周検出信号SIG13は、“L”をキープする。これにより、奇数分周クロック信号SIG15も“L”をキープする。そして、セット信号SIG11とリセット信号SIG12により、同期セット・同期リセットFFとしてのフリップフロップ45の出力から、偶数分周クロック信号SIG14が出力される。最終段として、偶数分周クロック信号SIG14と奇数分周クロック信号SIG15の論理積をとり、ハザードが発生することなくシームレスにキャリアクロックCLKを4分周したシステムクロック信号SCLKを出力することができる。
【0082】
図12には入力されたキャリアクロックCLKを2分周から3分周に変更する場合の、クロック生成器14の動作タイミングが例示される。クロック設定データSIG8Aが入力されると、クロック分周期14は入力データをキャリアクロック信号CLKの1サイクル遅延してラッチし、遅延データSIG9を生成する。このタイミングでカウンタ41の計数値が初期値にクリアされる。3分周では、カウント値SIG10がH’0の値のときにセット信号SIG11として“H”が出力され、カウンタ値SIG10がH’2の値のときにリセット信号SIG12として“H”が出力される。3分周では、奇数分周なので、奇数分周検出信号SIG13が“H”にアサートされる。そして、セット信号SIG11とリセット信号SIG12により、同期セット・同期リセットFFとしてのフリップフロップ45の出力から、偶数分周クロック信号SIG14が出力される。この偶数分周クロック信号SIG14をキャリアクロックCLKの立下りで遅延回路47にラッチし、奇数分周クロック信号SIG15を出力する。最終段として、偶数分周クロック信号SIG14と奇数分周クロック信号SIG15の論理関をとり、ハザードが発生することなくシームレスにキャリアクロックCLKを3分周したシステムクロックSCLKを出力することができる。
【0083】
以上説明した実施の形態1によれば、電圧生成部20で生成される直流電流の余剰を電流検出部5で検出するときデータ処理部6のシステムクロック信号SCLKの周波数は低消費電力状態における所定の低い周波数(基準周波数)、例えば1.13MHzにされるから、直流電流の余剰検出時にデータ処理部6で消費される消費電力はその周波数で決まる消費電力になり、検出される直流電流の余剰を絶対的な余剰として把握可能になる。したがって、余剰電流の検出を繰り返しながら徐々に周波数を変更することを要せず、短時間で且つ無駄なく的確にデータ処理部6のシステムクロック信号SCLKの周波数を決めることが可能になる。更に、インターフェース回路7からの信号SIG4による低消費電力状態解除の指示に応答して前記直流電流の余剰の大きさを検出し、その大きさに応じてシステムクロック信号SCLKの周波数を高く変更することによって低消費電力状態から通常の動作可能な状態に抜けることができる。よって、低消費電力状態の解除処理の一環としてデータ処理部6のシステムクロック信号周波数を最適化することができ、送受信部を介して行われる送受信動作のインターバル毎に実行されるデータ処理部6によるデータ処理の先頭で受信電力に対するシステムクロック信号周波数SCLKの最適化が行われる。これらにより、外部と非接触通信を行う非接触通信装置1における内部のデータ処理時間(トランザクションタイム)を短縮することができる。また、電流検出部5は電圧生成部20で生成される直流電流の余剰に基づいてその大きさを検出するから、その検出のために大規模な回路の追加を必要としない。
【0084】
〔実施の形態2〕
図13には本発明の第2の実施の形態に係る非接触通信装置1Mの概略的な構成が例示される。同図に示される非接触通信装置1Mは、特に制限されないが、単結晶シリコンのような1個の半導体基板にMOS集積回路製造技術を用いて形成される。この非接触通信装置1Mは図示を省略するリーダー/ライター装置のような外部装置との間でRF通信を行う装置であり、図1とはクロック周波数最適化のための構成が相違され、図1の非接触通信装置1と同様のその他の構成についてはここでは詳細な説明を省略し、相違点について詳細な説明を行う。
【0085】
実施の形態1の非接触通信装置1におけるクロック周波数最適化の構成では、内部処理が長い場合、受信完了後以降、CPUの周波数を変更することを考慮していない。実施の形態2では、CPU10からの指示に基づいて内部処理を行っている期間の所要のタイミングでシステムクロック信号SCLKの周波数を最適化できるようにしたものである。このとき、システムクロック信号SCLKの周波数を既定の低い周波数(基準周波数)、例えば565KHzとし、この状態で電流検出信号SIG2をラッチし、これに基づいてクロック制御部11Mがシステムクロック信号SCLKの周波数を設定できるようにする。
【0086】
クロック周波数最適化処理の指示は、特に制限されないが、CPU10がレジスタのイネーブルビットをセットしてイネーブル信号SIG6がアサートされたとき、それがネゲートされるまでデータ生成回路12Mはその論理構成にしたがって所定のタイミングでクロック周波数の最適化処理を繰り返し行う。
【0087】
図14にはデータ生成回路12Mの詳細が例示される。周期パルス発生器50は、特に制限されないが、CPU10によってタイムアウトのインターバルが設定されたタイマ機能を備え、イネーブル信号SIG6がアサートされるのに同期してタイマ動作を開始し、タイムアウト毎に所定パルス期間のクロック調整期間信号SIG7を発生し、これを受けるクロック制御回路32は、そのパルス期間に、電流検出信号SIG2を参照し、前記ルックアップテーブルLUTBLなどを用いてクロック設定信号SIG8を出力する。クロック設定信号SIG8によってレジスタのクロック設定データSIG8Aが書き換えられることによってシステムクロック信号SCLKのクロック周波数が切り替えられる。特に制限されないが、ここでは、周期パルス生成器50はイネーブル信号SIG6がアサートされたとき、先ず最初にクロック調整期間信号SIG7を発生して、システムクロック信号SCLKのクロック周波数の最適化処理を行う。
【0088】
図15には上記システムクロック信号周波数の最適化処理の動作タイミングが例示され、図16には上記システムクロック信号周波数の最適化処理のシーケンスフローチャートが例示され、図17には上記システムクロック周波数の選択制御に特化した制御フローチャートが例示される。
【0089】
図15において、送受信中は誘導起電力が変化して低下すること考慮して、低消費電力状態においてデータ処理部6Mのシステムクロック信号SCLKの周波数は特に制限されないが1.13MHzにされる。受信動作中にデータ処理部6Mは低消費電力状態にされており、受信動作が完了すると、送受信部2は信号SIG3によって送信又は受信動作の完了通知データをインターフェース回路7に与える。インターフェース回路7は、特に制限されないが、送受信動作完了通知を受けるのに応答して低消費電力状態の解除を要求する割り込み要求をCPU10に与える。CPU10はその割り込み要求に応答して、先ず、レジスタ13Mに565KHzの周波数を選択する周波数設定データを書き込むと共に、イネーブルビットをセットしてイネーブル信号SIG6をアサートする(t1)。これによって、データ生成回路12Mは、信号SIG7の最初のパルス期間でそのときサンプリングした電流検出信号SIG2から把握される絶対値的な余剰電流に基づいて周波数の最適化処理を行う。信号SIG7の期間、システムクロック信号は、一定の周波数(所定の基準周波数)である周波数565kHzに変更される。周波数の変更直後は、消費電力は不安定であるため、絶対値的な余剰電流を計測する周波数最適化処理は、周波数変更後の内部の動作状態が安定した一定期間経過後に開始されている。最適化処理を行った結果、時刻t2以降のシステムクロック信号SCLKの周波数を例えば6.78MHzに変更する。信号SIG7の次のパルス期間(t3〜t4)においても、上記同様にその先頭でシステムクロック信号SCLKの周波数が最低に565KHzに設定された状態でサンプリングされた電流検出信号SIG2から把握される絶対値的な余剰電流に基づいて周波数の最適化処理を行い、時刻t4以降のシステムクロック信号SCLKの周波数を例えば4.52MHzに変更する。イネーブル信号SIG6がアサートされている期間、信号SIG7のパルス期間が複数回発生することで、内部処理中に複数回の周波数の最適化処理を行うことが可能となる。よって、電流検出信号SIG2から把握される絶対値的な余剰電流に基づいて、直前のシステムクロック信号SCLKの周波数に比較し、高い周波数若しくは低い周波数を設定することが可能となる。つまり、絶対値的な余剰電流が多ければ高い周波数を設定し、余剰電流が少なければ低い周波数を設定することでその時の最適な周波数で動作することが可能となる。また、イネーブル信号SIG6がネゲートされるとその後の周波数最適化処理は行われない。
【0090】
図15において誘導起電力は時刻t2〜t3の期間に比べて時刻t4〜t5の期間のほうが小さくされる。この相違は、時刻t1〜t2でサンプリングされる電流検出結果から得られる余剰電流値Idaと、時刻t3〜t4でサンプリングされる電流検出結果から得られる余剰電流値Idbとの相違によって把握される。余剰電流値Ida,Idbを検出するときデータ処理部6Mのクロック信号周波数は共に最低に565KHzに統一されているので、検出された余剰電流値Ida,Idbは誘導起電力に対して絶対値的な余剰値として取り扱いことができるからである。したがって、内部処理状態(ACTIVE)において誘導起電力の変化に追従してシステムクロック信号SCLKの周波数を増減することができる。
【0091】
図15においてST10受信状態、ST11は内部処理状態を意味し、ST11の状態において図16のステップS1乃至S6の処理がどこで行われるかが示される。
【0092】
図16において受信動作の完了が通知されてCPU10に低消費電力状態の解除を要求する割り込みが要求されることによって内部処理状態ST11とされ、そこで、クロック周波数最適化のための処理として、先ず、CPU10がレジスタ13Mにイネーブルビットをセットし(S30)、それによって、信号SIG7がアサートされる(S31)。これに応答して周期パルス発生器50によるクロック調整期間信号SIG7の生成動作が開始される(S32)。信号SIG7のパルスが発生されると(S33)、クロック制御回路32によるクロック周波数最適化処理が開始され(S34)、クロック制御回路32によるクロック周波数最適化処理によって変更したクロック周波数によるシステムクロック信号SCLKの安定化を待つ(S35)。安定化したタイミングでCPU10は設定された周波数に同期するデータ処理を行う。信号SIG7が再度パルス変化されると、ステップS34,S35の処理が繰り返される。
【0093】
図17に例示されるクロック周波数最適化処理S34は、クロック調整期間信号SIG7が“H”の期間に行われる。ここでは、特に制限されないが、図9と同様に電流検出信号(SIG2)を4ビットと仮定し、5種類の周波数の中から一つを選択してクロック周波数の最適化を行うものとする。図9との相違点は、クロック調整期間信号SIG7が“H”になることでクロック制御回路32が動作し始めたとき(S10)、最初にシステムクロック信号SCLKの周波数を565KHzに変更し(S40)、変更した周波数のシステムクロック信号SCLKが安定化する期間を待つ(S41)処理が追加されていることである。周波数を基準周波数に変更した直後は、それ以前の周波数によって動作していた消費電流に影響される可能性が含まれる。そこでシステムクロック信号SCLKが安定化し、消費電流が安定化する期間を待つことで、より正確な余剰電流の測定が可能となる。その他は図9と同じであるからその詳細な説明は省略する。
【0094】
以上説明した実施の形態2によれば、電圧生成部20で生成される直流電流の余剰検出を電流検出部5で検出するときデータ処理部6の動作クロック信号SCLKの周波数は所定の基準周波数例えば最低の565KHzにされるから、直流電流の余剰検出時にデータ処理部6で消費される消費電力はその周波数で決まる消費電力になり、検出される直流電流の余剰を絶対的な余剰として把握可能になる。したがって、余剰電流の検出を繰り返しながら徐々に周波数を変更することを要せず、短時間で且つ無駄なく的確にデータ処理部6のクロック信号SCLKの周波数を決めることが可能になる。更に、CPU10の動作プログラムにしたがって任意にタイミングで直流電流の余剰の大きさを検出してクロック信号周波数を最適化することができる。これらにより、外部と非接触通信を行う非接触通信装置1Mにおける内部のデータ処理時間(トランザクションタイム)を短縮することができる。また、電流検出部5は電圧生成部20で生成される直流電流の余剰に基づいてその大きさを検出するから、その検出のために大規模な回路の追加を必要としない。
【0095】
〔実施の形態3〕
実施の形態1によるクロック周波数最適化処理のための構成(図1)と実施の形態2のクロック周波数最適化処理のための構成(図2)との双方を採用して選択的に利用するように非接触通信装置を構成することも可能である。その場合には図18に例示されるように、周期パルス発生器50からの出力又は1パルス発生器31からに出力を選択するセレクタ91を設けてデータ生成回路90を構成すればよい。セレクタ91の選択信号にはイネーブル信号SIG6を流用し、イネーブル信号SIG6がアサートされているとき周期パルス発生器50の出力をセレクタ91に選択させればよい。
【0096】
〔実施の形態4〕
図19には非接触通信装置1,1Mを適用した非接触通信機器としてのICカード60が例示される。ICカード60は、例えば、樹脂モールドされたプリント基板によってカードの形態を成す非接触型のICカードとして実現されている。外部装置70からの電磁波を受けるアンテナ61は、プリント基板62の配線により形成される渦巻き状のコイルによって構成される。1個のICチップで構成された半導体集積回路装置としての非接触通信装置1,1Mは、プリント基板62に実装され、当該ICチップにアンテナ61となるコイルが接続される。外部装置70からの電磁波を受けたアンテナ61は、アンテナ端子に高周波の交流信号を出力する。交流信号は、部分的に情報信号(データ)によって変調されている。典型的には外部と入出力端子をカードの表面に持たない非接触通信機器としての所謂非接触ICカードに適用される。勿論、非接触インターフェースと接触端子による入出力のための端子を持つデュアルタイプICカードに適用することも可能であることは言うまでもない。
【0097】
図19に例示される非接触ICカードやデュアルタイプICカードによれば、外部装置70とICカード60との非接触通信距離や、外部装置70からの電力の強度に合わせて、データ処理部6に最適なクロック周波数の設定を行うことができる。
【0098】
図20には非接触通信装置1,1Mを適用した別の非接触通信機器としての携帯情報端末80が例示される。携帯電話などの携帯情報端末80は、筐体81に、移動体通信制御と共にそれに付随する演算処理、表示処理、及び認証処理などを行う情報処理システム82と共に、非接触通信装置1又は1M及びアンテナ61を搭載する。携帯電話などの携帯情報端末80に非接触通信装置1,1Mを搭載することで、外部装置70とのの間での非接触通信が可能になる。手帳タイプのパーソナルコンピュータやノート型パーソナルコンピュータ等その他の携帯情報端末の全般に内蔵可能である。外部装置70と携帯情報端末80との非接触通信距離や、外部装置70の電力の強度に合わせ、最適なクロック周波数に設定できるため、携帯情報端末80のバッテリー電源を利用する非接触通信装置1,1Mの場合にも、バッテリーの浪費を防ぐことができると共に、バッテリーが消耗したときも信頼性の高い動作を保証することができる。
【0099】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0100】
例えば、電流検出信号(SIG2)は4ビットに限定されずより多いビット数であっても、少ないビット数であっても適宜変更可能である。また、上記の例ではキャリアクロック(CLK)を基にシステムクロック(SCLK)を生成するものとしたが、位相同期回路PLL、内蔵発振器、又は水晶発振器を用いて生成したクロック信号を元に上記同様の周波数最適化を行うことも可能である。非接触通信装置1,1Mを1チップで構成する場合を説明したがマルチチップで構成されてもよい。電流検出信号に基づく最適周波数の決定にルックアップテーブルを用いる場合を説明したがその全部又は一部を演算式に従ってCPUの演算処理で行うようにしてもよい。クロック生成データはデータ生成回路からクロック生成器に直接与えられるようにしてもよい。図1では割り込みコントローラを図示していないがCPUに対する割り込みは割り込み要求元から割り込みコントローラを介してCPUに与えられる構成を採用可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0101】
C1 平滑容量
L1 アンテナ
LA、LB アンテナ接続端子
1,1M 非接触通信装置
2 送受信部
3 整流回路
4 電圧制御部
5 電流検出部
6、6M データ処理部
7 インターフェース回路
8 ロジック部
9 メモリ部
10 CPU
11,11M クロック制御部
12,12M データ生成回路
13,13M レジスタ
14 クロック生成
20 電圧生成部
IREG 余剰電流
SIG2 電流検出信号
SIG4 受信完了信号
SIG5 イネーブル信号
SIG6 イネーブル信号
SIG8 クロック設定信号
SIG8A クロック設定データ
CLK キャリアクロック信号
SCLK システムクロック信号
31 1パルス発生器
32 クロック制御回路
50 周期パルス発生器
60 ICカード
61 アンテナ
62 プリント基板
80 携帯情報端末
81 筐体
82 情報処理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ端子から入力される信号を整流して得られる直流電流から所定の電源電圧を生成する電圧生成部と、
前記電圧生成部で生成される電源電圧を受けて動作し、前記アンテナ端子を介する送受信動作を行う送受信部と、
前記電圧生成部で生成された電源電圧を動作電圧として受け、前記送受信部で受信した信号及び送信する信号をクロック信号に同期してデータ処理するデータ処理部と、
前記電圧生成部で生成された電源電圧に対する前記直流電流の余剰の大きさを検出する検出部と、を有し、
前記データ処理部は、前記クロック信号の周波数が所定の基準周波数にされた状態で前記検出部によって検出された前記余剰の大きさに基づいて前記データ処理のための前記クロック信号の周波数を決めるクロック制御部を有する、非接触通信装置。
【請求項2】
前記クロック制御部は、前記検出部によって検出された余剰の大きさによって許容される範囲で高い周波数のクロック信号を選択する、請求項1記載の非接触通信装置。
【請求項3】
前記クロック制御部は、前記検出部による検出結果に対応して選択する前記クロック信号の周波数データを検出結果毎に保持するルックアップテーブルを有し、前記検出結果を用いて前記ルックアップテーブルから対応する周波数データを参照して前記クロック信号周波数を決める、請求項2記載の非接触通信装置。
【請求項4】
前記データ処理部は、前記送受信部とのデータの受け渡しを行うインターフェース回路を有し、
前記送受信部を介して行う送受信動作中に前記クロック信号の周波数を低くした低消費電力状態を採り、低消費電力状態において前記インターフェース回路からの指示にしたがって前記クロック制御部は前記検出部によって検出された前記余剰の大きさに基づいて前記クロック信号の周波数を高くして、低消費電力状態を解除する、請求項1記載の非接触通信装置。
【請求項5】
前記データ処理部の低消費電力状態において前記クロック信号の周波数は前記基準周波数にされる、請求項4記載の非接触通信装置。
【請求項6】
前記データ処理部は命令を実行する中央処理装置を有し、
前記クロック制御部は、前記中央処理装置からの指示に応答して、前記クロック信号の周波数を基準周波数にした状態で前記検出部により前記余剰の大きさを検出し、検出した前記余剰の大きさに基づいて前記クロック信号の周波数を決める処理を行う、請求項1記載の非接触通信装置。
【請求項7】
前記中央処理装置は、前記インターフェース回路からの送受信処理の完了通知に応答して前記クロック制御部に制御データを設定し、
前記クロック制御部は設定された制御データに従ったタイマ動作を行い、タイマ動作開始時点及びその後のタイムアウト発生時点で前記クロック信号の周波数を決める処理を行う、請求項6記載の非接触通信装置。
【請求項8】
前記クロック制御部は、前記制御データとして前記タイマ動作のイネーブルビット及び前記タイムアウトのインターバルが前記中央処理装置によって可変可能に設定されるタイマ制御レジスタを有する請求項7記載の非接触通信装置。
【請求項9】
前記クロック制御部は、前記アンテナ端子から入力される信号からキャリア成分を抽出して生成されたキャリアクロック信号を入力し、入力されたキャリアクロック信号を分周して周波数の異なるクロック信号を生成し、クロック選択データによって指定された周波数のクロック信号を選択して出力するクロック生成器と、
保持したクロック選択データを前記クロック生成器に与えるクロック選択データレジスタと、
前記検出部によって検出された前記余剰の大きさに基づいてクロック選択データを生成するデータ生成回路と、を有し、
前記クロック選択データレジスタは、中央処理装置又はデータ生成回路で生成されたクロック選択データが書き換え可能に設定される、請求項1記載の非接触通信装置。
【請求項10】
前記クロック生成器は、クロック選択データで指定される分周比に従った値まで前記キャリアクロック信号のサイクル数を計数する計数動作を繰り返すカウンタと、
クロック選択データで指定される分周比に従って前記カウンタの所定の計数値への変化に同期して当該分周比に応ずるクロック信号を前記キャリアクロック信号のサイクル同期で生成するロジック回路と、を有する請求項9記載の非接触通信装置。
【請求項11】
前記電圧生成部は、アンテナ端子から入力される信号を整流する整流回路と、整流回路で整流して得られる直流電流を制御して前記電源電圧を生成するレギュレータとを有し、
前記検出部は、前記レギュレータに流れる余剰電流の大きさを複数ビットで示す信号を前記余剰の大きさとして生成する、請求項1記載の非接触通信装置。
【請求項12】
アンテナ端子から入力される信号を整流して得られる直流電流から所定の電源電圧を生成する電圧生成部と、
前記電圧生成部で生成される電源電圧を受けて動作し、前記アンテナ端子を介する送受信動作を行う送受信部と、
前記電圧生成部で生成された電源電圧を動作電圧として受け、前記送受信部で受信した信号及び送信する信号をクロック信号に同期してデータ処理し、前記送受信部を介して行う送受信動作中に、前記インターフェース回路による前記クロック信号の周波数を低くした低消費電力状態にされるデータ処理部と、
前記電圧生成部で生成された電源電圧に対する前記直流電流の余剰の大きさを検出する検出部と、を有し、
前記データ処理部は、前記低消費電力状態で前記インターフェース回路からの指示に応答することにより前記検出部で検出された前記余剰の大きさによって許容される範囲で前記クロック信号の周波数を高くして、低消費電力状態を解除する、非接触通信装置。
【請求項13】
アンテナ端子から入力される信号を整流して得られる直流電流から所定の電源電圧を生成する電圧生成部と、
前記電圧生成部で生成される電源電圧を受けて動作し、前記アンテナ端子を介する送受信動作を行う送受信部と、
前記電圧生成部で生成された電源電圧を動作電圧として受け、前記送受信部で受信した信号及び送信する信号をクロック信号に同期してデータ処理するデータ処理部と、
前記電圧生成部で生成された電源電圧に対する前記直流電流の余剰の大きさを検出する検出部と、を有し、
前記データ処理部は、命令を実行する中央処理装置を有し、データ処理中に、前記中央処理装置から指示されるタイミングで前記クロック信号の周波数を所定の基準周波数にして前記検出部から前記余剰の大きさを取得し、取得した余剰の大きさによって許容される範囲でクロック信号に高い周波数を選択する、非接触通信装置。
【請求項14】
基板と、
前記基板に形成されたアンテナと、
前記アンテナにアンテナ端子が接続された非接触通信回路と、を有し、前記非接触通信回路は、
アンテナ端子から入力される信号を整流して得られる直流電流から所定の電源電圧を生成する電圧生成部と、
前記電圧生成部で生成される電源電圧を受けて動作し、前記アンテナ端子を介する送受信動作を行う送受信部と、
前記電圧生成部で生成された電源電圧を動作電圧として受け、前記送受信部で受信した信号及び送信する信号をクロック信号に同期してデータ処理するデータ処理部と、
前記電圧生成部で生成された電源電圧に対する前記直流電流の余剰の大きさを検出する検出部と、を有し、
前記データ処理部は、前記クロック信号の周波数が所定の基準周波数にされた状態で前記検出部によって検出された前記余剰の大きさに基づいて前記データ処理のための前記クロック信号の周波数を決めるクロック制御部を有する、非接触ICカード。
【請求項15】
筐体に、情報処理システム、非接触通信装置、前記非接触通信装置に接続されたアンテナと、を備える携帯情報端末であって、前記非接触通信装置は、
前記アンテナから入力される信号を整流して得られる直流電流から所定の電源電圧を生成する電圧生成部と、
前記電圧生成部で生成される電源電圧を受けて動作し、前記アンテナ端子を介する送受信動作を行う送受信部と、
前記電圧生成部で生成された電源電圧を動作電圧として受け、前記送受信部で受信した信号及び送信する信号をクロック信号に同期してデータ処理するデータ処理部と、
前記電圧生成部で生成された電源電圧に対する前記直流電流の余剰の大きさを検出する検出部と、を有し、
前記データ処理部は、前記クロック信号の周波数が所定の基準周波数にされた状態で前記検出部によって検出された前記余剰の大きさに基づいて前記データ処理のための前記クロック信号の周波数を決めるクロック制御部を有する、携帯情報端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−108729(P2012−108729A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257057(P2010−257057)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】