面ファスナー付き空気入りタイヤ及びその製造方法
【課題】面ファスナーの係合素子が加硫時に潰れるのを防止するようにした面ファスナー付き空気入りタイヤ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】面ファスナー10の係合素子11間に未加硫ゴムを充填して該係合素子11を埋没させる保護ゴム層20を形成し、該保護ゴム層20を備えた面ファスナー11を係合素子面とは反対側の面がタイヤ内表面4と密着するように未加硫タイヤに設置し、該面ファスナー10を備えた未加硫タイヤをブラダーBを備えた加硫機で加硫する。
【解決手段】面ファスナー10の係合素子11間に未加硫ゴムを充填して該係合素子11を埋没させる保護ゴム層20を形成し、該保護ゴム層20を備えた面ファスナー11を係合素子面とは反対側の面がタイヤ内表面4と密着するように未加硫タイヤに設置し、該面ファスナー10を備えた未加硫タイヤをブラダーBを備えた加硫機で加硫する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸音材等の付属物の取り付けを容易にした面ファスナー付き空気入りタイヤ及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、面ファスナーの係合素子が加硫時に潰れるのを防止するようにした面ファスナー付き空気入りタイヤ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
吸音材等の付属物の取り付けを容易にするために、タイヤ内表面に面ファスナーを備え付けた空気入りタイヤが提案されている(例えば、特許文献1参照)。空気入りタイヤにおいては、空洞部内で生じる共鳴音を低減するために、空洞部内に吸音材を設置することが行われているが、上記面ファスナー付き空気入りタイヤによれば、吸音材等の付属物を必要に応じて簡単に着脱することができる。
【0003】
しかしながら、タイヤ内表面に面ファスナーを貼り付けた未加硫タイヤを成形し、該面ファスナーを備えた未加硫タイヤをブラダーを備えた一般的な加硫機で加硫しようとした場合、加硫時のブラダーの圧力で面ファスナーの係合素子が潰れてしまうことがある。そして、係合素子が潰れると、吸音材等の付属物の取り付け状態が不安定になり、場合によっては、取り付け不能になるという問題がある。
【特許文献1】特開2006−44503号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、面ファスナーの係合素子が加硫時に潰れるのを防止するようにした面ファスナー付き空気入りタイヤ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を解決するための本発明の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法は、面ファスナーの係合素子間に未加硫ゴムを充填して該係合素子を埋没させる保護ゴム層を形成し、該保護ゴム層を備えた面ファスナーを係合素子面とは反対側の面がタイヤ内表面と密着するように未加硫タイヤに設置し、該面ファスナーを備えた未加硫タイヤをブラダーを備えた加硫機で加硫することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、面ファスナーを備えた未加硫タイヤをブラダーを備えた加硫機で加硫するにあたって、面ファスナーに係合素子を埋没させる保護ゴム層を積層するようにしたので、加硫時のブラダーの圧力で面ファスナーの係合素子が潰れるのを防止することができる。保護ゴム層はタイヤ加硫後において必要に応じて面ファスナーから剥離させる。これにより、面ファスナーを介してタイヤ内表面に吸音材等の任意の付属物を取り付けることが可能になる。
【0007】
本発明においては、面ファスナーを未加硫タイヤに設置する前に保護ゴム層を予め加硫することが好ましい。これにより、保護ゴム層による面ファスナーの係合素子に対する保護効果を高めることができる。
【0008】
面ファスナーは係合素子面とは反対側の面にアンカー素子を備えた面ファスナーであって、該面ファスナーの未加硫タイヤへの設置時にアンカー素子をタイヤ内表面に食い込ませることが好ましい。これにより、面ファスナーをタイヤ内表面に対して強固に保持することができる。
【0009】
保護ゴム層はタイヤ子午線断面の形状が台形であり、該保護ゴム層の面ファスナーと接する面をその反対側の面よりも広くすることが好ましい。つまり、面ファスナーの係合素子面に保護ゴム層を積層した場合、保護ゴム層により形成される段差によってブラダーとタイヤ内表面との間にエアが残存し、それが加硫故障の原因になる可能性があるが、保護ゴム層の断面形状を上記の如く規定することでエア溜まりを抑制し、延いては、加硫故障を防止することができる。
【0010】
未加硫タイヤを加硫する際に該未加硫タイヤの内側で膨脹させるブラダーの面ファスナーに対応する部位での肉厚はその周辺部位よりも薄くすることが好ましい。つまり、面ファスナーの係合素子面に保護ゴム層を積層した場合、保護ゴム層が存在する部位において加硫時の熱がタイヤ側へ伝わり難くなるが、ブラダーの肉厚を上記の如く規定することでより保護ゴム層が存在する部位における熱伝導を良好にすることができる。
【0011】
面ファスナーを前記未加硫タイヤに設置する前に面ファスナーの係合素子面とは反対側の面にはタイヤのインナーライナー層と同一の未加硫ゴムからなる背面ゴム層を予め貼り付けることが好ましい。これにより、面ファスナーをタイヤ内表面に貼り付ける作業が容易になる。この場合、面ファスナーが設置される前の未加硫タイヤにおいて、インナーライナー層の肉厚を面ファスナーの設置部位で選択的に薄くするか、又は、インナーライナー層を面ファスナーの設置部位から選択的に排除することが好ましい。これにより、面ファスナーに背面ゴム層を積層した場合であっても、背面ゴム層が加算されたインナーライナー層の厚さを均一化し、タイヤの加硫状態を均一化することができる。
【0012】
保護ゴム層の面ファスナーと接する面において該面ファスナーから突き出した領域には離型フィルムを貼り付けることが好ましい。これにより、加硫工程を経た保護ゴム層がタイヤ内表面のインナーライナー層に対して一体的に貼り付いてしまうのを防止することができる。
【0013】
本発明によれば、上述した製造方法により面ファスナー付き空気入りタイヤが得られるが、その面ファスナー付き空気入りタイヤは保護ゴム層を面ファスナーに付けた状態、或いは、保護ゴム層を面ファスナーから除去した状態で提供される。
【0014】
即ち、本発明によれば、タイヤ内表面に面ファスナーを設置した空気入りタイヤであって、前記面ファスナーの係合素子面を前記タイヤ内表面と接する面とは反対側に配置し、前記係合素子面の係合素子間に保護ゴム層を充填したことを特徴とする面ファスナー付き空気入りタイヤが提供される。
【0015】
また、タイヤ内表面に面ファスナーを設置した空気入りタイヤであって、前記面ファスナーの係合素子面を前記タイヤ内表面と接する面とは反対側に配置し、前記係合素子面の係合素子間にタイヤ製造時に充填された保護ゴム層をタイヤ製造後に除去したことを特徴とする面ファスナー付き空気入りタイヤが提供される。
【0016】
保護ゴム層を面ファスナーに付けた状態でタイヤを出荷した場合、面ファスナーに吸音材等の付属物の取り付ける直前まで保護ゴム層を付けたままにすることで、糸くず等の異物が面ファスナーに付着することを確実に防止し、面ファスナーの係合力を良好に維持することができる。その一方で、保護ゴム層を面ファスナーから除去し、面ファスナーに吸音材等の付属物の取り付けた状態でタイヤを出荷することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明の実施形態からなる面ファスナー付き空気入りタイヤを示すものである。図1において、1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビード部である。トレッド部1のセンター領域において、タイヤ内表面4には面ファスナー10と、該面ファスナー10を覆う保護ゴム層20とが備え付けられている。これら面ファスナー10及び保護ゴム層20はタイヤ全周にわたって連続的に配置されていても良く、或いは、タイヤ周方向に間欠的に配置されていても良い。保護ゴム層20は面ファスナー10から引き剥がすことが可能である。そのため、保護ゴム層20を取り除いて面ファスナー10を露出させた状態においては、面ファスナー10に対して吸音材、ウェイト、温度センサ、圧力センサ等の任意の付属物を取り付けることが可能である。
【0019】
なお、面ファスナー10の位置はトレッド部1のセンター領域に限定されるものではなく、図2に示すようにトレッド部1のショルダー領域を選択したり、サイドウォール部2やビード部3を選択することも可能である。
【0020】
次に、上述した面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法について説明する。図3〜図11はそれぞれ本発明の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法を示すものである。これら図3〜図11は面ファスナーの周辺部分のタイヤ子午線断面を抽出して示すものである。
【0021】
図3は、タイヤ内表面4(即ち、インナーライナー層5の内表面)に貼り付けられた面ファスナー10及び保護ゴム層20をブラダーBにより押圧しようとする状態を示している。面ファスナー10は一方の面に複数本の係合素子11を備えている。
【0022】
上述した空気入りタイヤを製造する場合、面ファスナー10の係合素子11間に未加硫ゴムを充填して該係合素子11を埋没させる保護ゴム層20を形成し、該保護ゴム層20を備えた面ファスナー10を係合素子面とは反対側の面がタイヤ内表面4と密着するように未加硫タイヤに設置し、該面ファスナー10を備えた未加硫タイヤをブラダーBを備えた加硫機で加硫し、それと同時に面ファスナー10をタイヤ内表面4に加硫接着する。
【0023】
このように面ファスナー10を備えた未加硫タイヤをブラダーBを備えた加硫機で加硫するにあたって、面ファスナー10に係合素子11を埋没させる保護ゴム層20を積層することにより、加硫時のブラダーBの圧力で面ファスナー10の係合素子11が潰れるのを防止することができる。
【0024】
面ファスナー10を未加硫タイヤに設置する前に保護ゴム層20を予め加硫した場合、保護ゴム層20による面ファスナー10の係合素子11に対する保護効果を高めることができる。勿論、保護ゴム層20を未加硫状態のままにしつつ面ファスナー10を未加硫タイヤに設置することも可能である。
【0025】
面ファスナー10としては、例えば、樹脂成形体からなる面ファスナーを使用することができる。成形材料としては、ナイロンやポリエステルを使用することが可能であるが、耐熱性に優れたナイロンを使用することが好ましい。ナイロンとしては、6ナイロン、66ナイロン、及び、6ナイロンと66ナイロンの共重合ナイロンが挙げられる。面ファスナー10の形状及びタイプは特に限定されるものではない。係合素子11の高さは、0.5mm以上2mm未満とすることが好ましく、これにより係合効果が向上する。また、保護ゴム層20との接着性を低下させるために、面ファスナー10の係合素子11に離型剤による表面処理を施しても良い。一方、保護ゴム層20の材料としては、面ファスナー10の係合素子11との接着性が低いものを選択すると良く、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)が挙げられる。
【0026】
図4において、面ファスナー10は一方の面に複数本の係合素子11を備え、他方の面に複数本のアンカー素子12を備えている。この場合、面ファスナー10の未加硫タイヤへの設置時にアンカー素子12をタイヤ内表面4に食い込ませるようにする。これにより、面ファスナー10をタイヤ内表面4に対して強固に保持することができる。アンカー素子12は、先端に拡大部を有するものが好ましく、その拡大部の幅を0.3mm以上1mm未満とするのが良い。アンカー素子12に設ける拡大部の幅を0.3mm以上とすることでアンカー効果が増大するが、1mm以上であるとゴムに食い込み難くなる。
【0027】
図5において、保護ゴム層20はタイヤ子午線断面の形状が台形であり、保護ゴム層20の面ファスナー10と接する面がその反対側の面よりも広くなっている。例えば、図3や図4に示すような矩形断面形状を有する保護ゴム層20を面ファスナー10の係合素子面に積層した場合、保護ゴム層20により形成される段差によってブラダーBとタイヤ内表面4との間にエアが残存し、それが加硫故障の原因になる可能性がある。しかしながら、図5に示すように台形断面形状を有する保護ゴム層20を面ファスナー10の係合素子面に積層した場合、エア溜まりを抑制し、その結果として、加硫故障を防止することができる。タイヤ子午線断面における保護ゴム層20の鋭角部の角度θは5°〜45°であると良い。この角度θを45°以下にすることでエア溜まりの抑制効果を十分に発揮することができる。
【0028】
図6において、未加硫タイヤを加硫する際に該未加硫タイヤの内側で膨脹させるブラダーBの面ファスナー10に対応する部位での肉厚T1はその周辺部位の肉厚T2よりも小さくなっている。面ファスナー10の係合素子面に保護ゴム層20を積層した場合、保護ゴム層20が存在する部位において加硫時の熱がタイヤ側へ伝わり難くなる。しかしながら、ブラダーBの面ファスナー10に対応する部位での肉厚T1を周辺部位の肉厚T2よりも小さくした場合、保護ゴム層20が存在する部位におけるブラダーBを通しての熱伝導が良好になり、加硫状態を均一化することができる。
【0029】
図7において、面ファスナー10を未加硫タイヤに設置する前に面ファスナー10の係合素子面とは反対側の面にはタイヤのインナーライナー層5と同一の未加硫ゴムからなる背面ゴム層30が予め貼り付けられている。より具体的には、面ファスナー10の係合素子面とは反対側の面に形成されたアンカー素子12を背面ゴム層30に食い込ませてある。このように面ファスナー10に対して保護ゴム層20と背面ゴム層30を一体化した予備成形体を用いることにより、面ファスナー10をタイヤ内表面に貼り付ける作業が容易になる。
【0030】
面ファスナー10と保護ゴム層20と背面ゴム層30との予備成形体は貼り付け作業性の点で有利であるが、背面ゴム層30を含むインナーライナー層5が局部的に厚くなるという欠点がある。そこで、図8に示すように、面ファスナー10が設置される前の未加硫タイヤにおいて、カーカス層6に積層されるインナーライナー層5の肉厚を面ファスナー10の設置部位で選択的に薄くしても良い。或いは、図9に示すように、面ファスナー10が設置される前の未加硫タイヤにおいて、カーカス層6に積層されるインナーライナー層5を面ファスナー10の設置部位から選択的に排除しても良い。これにより、面ファスナー10に背面ゴム層30を積層した場合であっても、背面ゴム層30を含むインナーライナー層5の厚さを均一化し、タイヤの加硫状態を均一化することができる。
【0031】
図10において、保護ゴム層20の面ファスナー10と接する面において該面ファスナー10から突き出した領域には離型フィルム40が貼り付けられている。保護ゴム層20がタイヤ内表面4に対して直接接触していると、加硫工程を経た保護ゴム層20がタイヤ内表面4のインナーライナー層5に対して一体的に貼り付いてしまう場合がある。しかしながら、保護ゴム層20とタイヤ内表面4との間に離型フィルム40を介在させることにより、保護ゴム層20とタイヤ内表面4のインナーライナー層5との相互接着を防止することができる。このような離型フィルム40は、台形断面形状を有する保護ゴム層20の一部が面ファスナー10から突き出した場合に有効である。
【0032】
なお、図11に示すように、面ファスナー10における係合素子11の形成領域をアンカー素子12の形成領域よりも狭くした場合、台形断面形状を有する保護ゴム層20を用いたとしても、その保護ゴム層20が面ファスナー10から突き出さないようになるので、離型フィルム40を使用する必要はない。
【実施例】
【0033】
タイヤ内表面に面ファスナーを備え付けたタイヤサイズ215/60R16の空気入りタイヤを製造するにあたって、その製造条件を種々異ならせた。実施例においては、面ファスナーの係合素子間に未加硫ゴムを充填して該係合素子を埋没させる保護ゴム層を形成し、該保護ゴム層を備えた面ファスナーを係合素子面とは反対側の面がタイヤ内表面と密着するように未加硫タイヤに設置し、該面ファスナーを備えた未加硫タイヤをブラダーを備えた加硫機で加硫した。面ファスナーは係合素子面とは反対側の面にアンカー素子を備えた面ファスナーであって、該面ファスナーの未加硫タイヤへの設置時にアンカー素子をタイヤ内表面に食い込ませた。従来例においては、保護ゴム層を使用しないこと以外は上記と同じ条件で面ファスナー付き空気入りタイヤを製造した。
【0034】
これら2種類の製造方法により得られた空気入りタイヤについて、面ファスナーの係合強さを評価した。面ファスナーの係合強さについては、JIS L3416の「剥離強さ」を測定し、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど係合強さが大きいことを意味する。
【0035】
【表1】
【0036】
この表1に示すように、実施例の製造方法により得られた空気入りタイヤでは面ファスナーの係合強さが従来例の場合に比べて大幅に増大していた。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態からなる面ファスナー付き空気入りタイヤを示す子午線断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態からなる面ファスナー付き空気入りタイヤを示す子午線断面図である。
【図3】本発明の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法における面ファスナーの周辺部分のタイヤ子午線断面の一例を示す断面図である。
【図4】本発明の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法における面ファスナーの周辺部分のタイヤ子午線断面の一例を示す断面図である。
【図5】本発明の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法における面ファスナーの周辺部分のタイヤ子午線断面の一例を示す断面図である。
【図6】本発明の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法における面ファスナーの周辺部分のタイヤ子午線断面の一例を示す断面図である。
【図7】本発明の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法における面ファスナーの周辺部分のタイヤ子午線断面の一例を示す断面図である。
【図8】本発明の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法における面ファスナーの周辺部分のタイヤ子午線断面の一例を示す断面図である。
【図9】本発明の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法における面ファスナーの周辺部分のタイヤ子午線断面の一例を示す断面図である。
【図10】本発明の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法における面ファスナーの周辺部分のタイヤ子午線断面の一例を示す断面図である。
【図11】本発明の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法における面ファスナーの周辺部分のタイヤ子午線断面の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 タイヤ内表面
5 インナーライナー層
6 カーカス層
10 面ファスナー
11 係合素子
12 アンカー素子
20 保護ゴム層
30 背面ゴム層
40 離型フィルム
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸音材等の付属物の取り付けを容易にした面ファスナー付き空気入りタイヤ及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、面ファスナーの係合素子が加硫時に潰れるのを防止するようにした面ファスナー付き空気入りタイヤ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
吸音材等の付属物の取り付けを容易にするために、タイヤ内表面に面ファスナーを備え付けた空気入りタイヤが提案されている(例えば、特許文献1参照)。空気入りタイヤにおいては、空洞部内で生じる共鳴音を低減するために、空洞部内に吸音材を設置することが行われているが、上記面ファスナー付き空気入りタイヤによれば、吸音材等の付属物を必要に応じて簡単に着脱することができる。
【0003】
しかしながら、タイヤ内表面に面ファスナーを貼り付けた未加硫タイヤを成形し、該面ファスナーを備えた未加硫タイヤをブラダーを備えた一般的な加硫機で加硫しようとした場合、加硫時のブラダーの圧力で面ファスナーの係合素子が潰れてしまうことがある。そして、係合素子が潰れると、吸音材等の付属物の取り付け状態が不安定になり、場合によっては、取り付け不能になるという問題がある。
【特許文献1】特開2006−44503号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、面ファスナーの係合素子が加硫時に潰れるのを防止するようにした面ファスナー付き空気入りタイヤ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を解決するための本発明の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法は、面ファスナーの係合素子間に未加硫ゴムを充填して該係合素子を埋没させる保護ゴム層を形成し、該保護ゴム層を備えた面ファスナーを係合素子面とは反対側の面がタイヤ内表面と密着するように未加硫タイヤに設置し、該面ファスナーを備えた未加硫タイヤをブラダーを備えた加硫機で加硫することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、面ファスナーを備えた未加硫タイヤをブラダーを備えた加硫機で加硫するにあたって、面ファスナーに係合素子を埋没させる保護ゴム層を積層するようにしたので、加硫時のブラダーの圧力で面ファスナーの係合素子が潰れるのを防止することができる。保護ゴム層はタイヤ加硫後において必要に応じて面ファスナーから剥離させる。これにより、面ファスナーを介してタイヤ内表面に吸音材等の任意の付属物を取り付けることが可能になる。
【0007】
本発明においては、面ファスナーを未加硫タイヤに設置する前に保護ゴム層を予め加硫することが好ましい。これにより、保護ゴム層による面ファスナーの係合素子に対する保護効果を高めることができる。
【0008】
面ファスナーは係合素子面とは反対側の面にアンカー素子を備えた面ファスナーであって、該面ファスナーの未加硫タイヤへの設置時にアンカー素子をタイヤ内表面に食い込ませることが好ましい。これにより、面ファスナーをタイヤ内表面に対して強固に保持することができる。
【0009】
保護ゴム層はタイヤ子午線断面の形状が台形であり、該保護ゴム層の面ファスナーと接する面をその反対側の面よりも広くすることが好ましい。つまり、面ファスナーの係合素子面に保護ゴム層を積層した場合、保護ゴム層により形成される段差によってブラダーとタイヤ内表面との間にエアが残存し、それが加硫故障の原因になる可能性があるが、保護ゴム層の断面形状を上記の如く規定することでエア溜まりを抑制し、延いては、加硫故障を防止することができる。
【0010】
未加硫タイヤを加硫する際に該未加硫タイヤの内側で膨脹させるブラダーの面ファスナーに対応する部位での肉厚はその周辺部位よりも薄くすることが好ましい。つまり、面ファスナーの係合素子面に保護ゴム層を積層した場合、保護ゴム層が存在する部位において加硫時の熱がタイヤ側へ伝わり難くなるが、ブラダーの肉厚を上記の如く規定することでより保護ゴム層が存在する部位における熱伝導を良好にすることができる。
【0011】
面ファスナーを前記未加硫タイヤに設置する前に面ファスナーの係合素子面とは反対側の面にはタイヤのインナーライナー層と同一の未加硫ゴムからなる背面ゴム層を予め貼り付けることが好ましい。これにより、面ファスナーをタイヤ内表面に貼り付ける作業が容易になる。この場合、面ファスナーが設置される前の未加硫タイヤにおいて、インナーライナー層の肉厚を面ファスナーの設置部位で選択的に薄くするか、又は、インナーライナー層を面ファスナーの設置部位から選択的に排除することが好ましい。これにより、面ファスナーに背面ゴム層を積層した場合であっても、背面ゴム層が加算されたインナーライナー層の厚さを均一化し、タイヤの加硫状態を均一化することができる。
【0012】
保護ゴム層の面ファスナーと接する面において該面ファスナーから突き出した領域には離型フィルムを貼り付けることが好ましい。これにより、加硫工程を経た保護ゴム層がタイヤ内表面のインナーライナー層に対して一体的に貼り付いてしまうのを防止することができる。
【0013】
本発明によれば、上述した製造方法により面ファスナー付き空気入りタイヤが得られるが、その面ファスナー付き空気入りタイヤは保護ゴム層を面ファスナーに付けた状態、或いは、保護ゴム層を面ファスナーから除去した状態で提供される。
【0014】
即ち、本発明によれば、タイヤ内表面に面ファスナーを設置した空気入りタイヤであって、前記面ファスナーの係合素子面を前記タイヤ内表面と接する面とは反対側に配置し、前記係合素子面の係合素子間に保護ゴム層を充填したことを特徴とする面ファスナー付き空気入りタイヤが提供される。
【0015】
また、タイヤ内表面に面ファスナーを設置した空気入りタイヤであって、前記面ファスナーの係合素子面を前記タイヤ内表面と接する面とは反対側に配置し、前記係合素子面の係合素子間にタイヤ製造時に充填された保護ゴム層をタイヤ製造後に除去したことを特徴とする面ファスナー付き空気入りタイヤが提供される。
【0016】
保護ゴム層を面ファスナーに付けた状態でタイヤを出荷した場合、面ファスナーに吸音材等の付属物の取り付ける直前まで保護ゴム層を付けたままにすることで、糸くず等の異物が面ファスナーに付着することを確実に防止し、面ファスナーの係合力を良好に維持することができる。その一方で、保護ゴム層を面ファスナーから除去し、面ファスナーに吸音材等の付属物の取り付けた状態でタイヤを出荷することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明の実施形態からなる面ファスナー付き空気入りタイヤを示すものである。図1において、1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビード部である。トレッド部1のセンター領域において、タイヤ内表面4には面ファスナー10と、該面ファスナー10を覆う保護ゴム層20とが備え付けられている。これら面ファスナー10及び保護ゴム層20はタイヤ全周にわたって連続的に配置されていても良く、或いは、タイヤ周方向に間欠的に配置されていても良い。保護ゴム層20は面ファスナー10から引き剥がすことが可能である。そのため、保護ゴム層20を取り除いて面ファスナー10を露出させた状態においては、面ファスナー10に対して吸音材、ウェイト、温度センサ、圧力センサ等の任意の付属物を取り付けることが可能である。
【0019】
なお、面ファスナー10の位置はトレッド部1のセンター領域に限定されるものではなく、図2に示すようにトレッド部1のショルダー領域を選択したり、サイドウォール部2やビード部3を選択することも可能である。
【0020】
次に、上述した面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法について説明する。図3〜図11はそれぞれ本発明の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法を示すものである。これら図3〜図11は面ファスナーの周辺部分のタイヤ子午線断面を抽出して示すものである。
【0021】
図3は、タイヤ内表面4(即ち、インナーライナー層5の内表面)に貼り付けられた面ファスナー10及び保護ゴム層20をブラダーBにより押圧しようとする状態を示している。面ファスナー10は一方の面に複数本の係合素子11を備えている。
【0022】
上述した空気入りタイヤを製造する場合、面ファスナー10の係合素子11間に未加硫ゴムを充填して該係合素子11を埋没させる保護ゴム層20を形成し、該保護ゴム層20を備えた面ファスナー10を係合素子面とは反対側の面がタイヤ内表面4と密着するように未加硫タイヤに設置し、該面ファスナー10を備えた未加硫タイヤをブラダーBを備えた加硫機で加硫し、それと同時に面ファスナー10をタイヤ内表面4に加硫接着する。
【0023】
このように面ファスナー10を備えた未加硫タイヤをブラダーBを備えた加硫機で加硫するにあたって、面ファスナー10に係合素子11を埋没させる保護ゴム層20を積層することにより、加硫時のブラダーBの圧力で面ファスナー10の係合素子11が潰れるのを防止することができる。
【0024】
面ファスナー10を未加硫タイヤに設置する前に保護ゴム層20を予め加硫した場合、保護ゴム層20による面ファスナー10の係合素子11に対する保護効果を高めることができる。勿論、保護ゴム層20を未加硫状態のままにしつつ面ファスナー10を未加硫タイヤに設置することも可能である。
【0025】
面ファスナー10としては、例えば、樹脂成形体からなる面ファスナーを使用することができる。成形材料としては、ナイロンやポリエステルを使用することが可能であるが、耐熱性に優れたナイロンを使用することが好ましい。ナイロンとしては、6ナイロン、66ナイロン、及び、6ナイロンと66ナイロンの共重合ナイロンが挙げられる。面ファスナー10の形状及びタイプは特に限定されるものではない。係合素子11の高さは、0.5mm以上2mm未満とすることが好ましく、これにより係合効果が向上する。また、保護ゴム層20との接着性を低下させるために、面ファスナー10の係合素子11に離型剤による表面処理を施しても良い。一方、保護ゴム層20の材料としては、面ファスナー10の係合素子11との接着性が低いものを選択すると良く、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)が挙げられる。
【0026】
図4において、面ファスナー10は一方の面に複数本の係合素子11を備え、他方の面に複数本のアンカー素子12を備えている。この場合、面ファスナー10の未加硫タイヤへの設置時にアンカー素子12をタイヤ内表面4に食い込ませるようにする。これにより、面ファスナー10をタイヤ内表面4に対して強固に保持することができる。アンカー素子12は、先端に拡大部を有するものが好ましく、その拡大部の幅を0.3mm以上1mm未満とするのが良い。アンカー素子12に設ける拡大部の幅を0.3mm以上とすることでアンカー効果が増大するが、1mm以上であるとゴムに食い込み難くなる。
【0027】
図5において、保護ゴム層20はタイヤ子午線断面の形状が台形であり、保護ゴム層20の面ファスナー10と接する面がその反対側の面よりも広くなっている。例えば、図3や図4に示すような矩形断面形状を有する保護ゴム層20を面ファスナー10の係合素子面に積層した場合、保護ゴム層20により形成される段差によってブラダーBとタイヤ内表面4との間にエアが残存し、それが加硫故障の原因になる可能性がある。しかしながら、図5に示すように台形断面形状を有する保護ゴム層20を面ファスナー10の係合素子面に積層した場合、エア溜まりを抑制し、その結果として、加硫故障を防止することができる。タイヤ子午線断面における保護ゴム層20の鋭角部の角度θは5°〜45°であると良い。この角度θを45°以下にすることでエア溜まりの抑制効果を十分に発揮することができる。
【0028】
図6において、未加硫タイヤを加硫する際に該未加硫タイヤの内側で膨脹させるブラダーBの面ファスナー10に対応する部位での肉厚T1はその周辺部位の肉厚T2よりも小さくなっている。面ファスナー10の係合素子面に保護ゴム層20を積層した場合、保護ゴム層20が存在する部位において加硫時の熱がタイヤ側へ伝わり難くなる。しかしながら、ブラダーBの面ファスナー10に対応する部位での肉厚T1を周辺部位の肉厚T2よりも小さくした場合、保護ゴム層20が存在する部位におけるブラダーBを通しての熱伝導が良好になり、加硫状態を均一化することができる。
【0029】
図7において、面ファスナー10を未加硫タイヤに設置する前に面ファスナー10の係合素子面とは反対側の面にはタイヤのインナーライナー層5と同一の未加硫ゴムからなる背面ゴム層30が予め貼り付けられている。より具体的には、面ファスナー10の係合素子面とは反対側の面に形成されたアンカー素子12を背面ゴム層30に食い込ませてある。このように面ファスナー10に対して保護ゴム層20と背面ゴム層30を一体化した予備成形体を用いることにより、面ファスナー10をタイヤ内表面に貼り付ける作業が容易になる。
【0030】
面ファスナー10と保護ゴム層20と背面ゴム層30との予備成形体は貼り付け作業性の点で有利であるが、背面ゴム層30を含むインナーライナー層5が局部的に厚くなるという欠点がある。そこで、図8に示すように、面ファスナー10が設置される前の未加硫タイヤにおいて、カーカス層6に積層されるインナーライナー層5の肉厚を面ファスナー10の設置部位で選択的に薄くしても良い。或いは、図9に示すように、面ファスナー10が設置される前の未加硫タイヤにおいて、カーカス層6に積層されるインナーライナー層5を面ファスナー10の設置部位から選択的に排除しても良い。これにより、面ファスナー10に背面ゴム層30を積層した場合であっても、背面ゴム層30を含むインナーライナー層5の厚さを均一化し、タイヤの加硫状態を均一化することができる。
【0031】
図10において、保護ゴム層20の面ファスナー10と接する面において該面ファスナー10から突き出した領域には離型フィルム40が貼り付けられている。保護ゴム層20がタイヤ内表面4に対して直接接触していると、加硫工程を経た保護ゴム層20がタイヤ内表面4のインナーライナー層5に対して一体的に貼り付いてしまう場合がある。しかしながら、保護ゴム層20とタイヤ内表面4との間に離型フィルム40を介在させることにより、保護ゴム層20とタイヤ内表面4のインナーライナー層5との相互接着を防止することができる。このような離型フィルム40は、台形断面形状を有する保護ゴム層20の一部が面ファスナー10から突き出した場合に有効である。
【0032】
なお、図11に示すように、面ファスナー10における係合素子11の形成領域をアンカー素子12の形成領域よりも狭くした場合、台形断面形状を有する保護ゴム層20を用いたとしても、その保護ゴム層20が面ファスナー10から突き出さないようになるので、離型フィルム40を使用する必要はない。
【実施例】
【0033】
タイヤ内表面に面ファスナーを備え付けたタイヤサイズ215/60R16の空気入りタイヤを製造するにあたって、その製造条件を種々異ならせた。実施例においては、面ファスナーの係合素子間に未加硫ゴムを充填して該係合素子を埋没させる保護ゴム層を形成し、該保護ゴム層を備えた面ファスナーを係合素子面とは反対側の面がタイヤ内表面と密着するように未加硫タイヤに設置し、該面ファスナーを備えた未加硫タイヤをブラダーを備えた加硫機で加硫した。面ファスナーは係合素子面とは反対側の面にアンカー素子を備えた面ファスナーであって、該面ファスナーの未加硫タイヤへの設置時にアンカー素子をタイヤ内表面に食い込ませた。従来例においては、保護ゴム層を使用しないこと以外は上記と同じ条件で面ファスナー付き空気入りタイヤを製造した。
【0034】
これら2種類の製造方法により得られた空気入りタイヤについて、面ファスナーの係合強さを評価した。面ファスナーの係合強さについては、JIS L3416の「剥離強さ」を測定し、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど係合強さが大きいことを意味する。
【0035】
【表1】
【0036】
この表1に示すように、実施例の製造方法により得られた空気入りタイヤでは面ファスナーの係合強さが従来例の場合に比べて大幅に増大していた。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態からなる面ファスナー付き空気入りタイヤを示す子午線断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態からなる面ファスナー付き空気入りタイヤを示す子午線断面図である。
【図3】本発明の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法における面ファスナーの周辺部分のタイヤ子午線断面の一例を示す断面図である。
【図4】本発明の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法における面ファスナーの周辺部分のタイヤ子午線断面の一例を示す断面図である。
【図5】本発明の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法における面ファスナーの周辺部分のタイヤ子午線断面の一例を示す断面図である。
【図6】本発明の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法における面ファスナーの周辺部分のタイヤ子午線断面の一例を示す断面図である。
【図7】本発明の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法における面ファスナーの周辺部分のタイヤ子午線断面の一例を示す断面図である。
【図8】本発明の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法における面ファスナーの周辺部分のタイヤ子午線断面の一例を示す断面図である。
【図9】本発明の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法における面ファスナーの周辺部分のタイヤ子午線断面の一例を示す断面図である。
【図10】本発明の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法における面ファスナーの周辺部分のタイヤ子午線断面の一例を示す断面図である。
【図11】本発明の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法における面ファスナーの周辺部分のタイヤ子午線断面の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 タイヤ内表面
5 インナーライナー層
6 カーカス層
10 面ファスナー
11 係合素子
12 アンカー素子
20 保護ゴム層
30 背面ゴム層
40 離型フィルム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面ファスナーの係合素子間に未加硫ゴムを充填して該係合素子を埋没させる保護ゴム層を形成し、該保護ゴム層を備えた面ファスナーを係合素子面とは反対側の面がタイヤ内表面と密着するように未加硫タイヤに設置し、該面ファスナーを備えた未加硫タイヤをブラダーを備えた加硫機で加硫することを特徴とする面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法。
【請求項2】
前記面ファスナーを前記未加硫タイヤに設置する前に前記保護ゴム層を予め加硫することを特徴とする請求項1に記載の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法。
【請求項3】
前記面ファスナーは係合素子面とは反対側の面にアンカー素子を備えた面ファスナーであって、該面ファスナーの未加硫タイヤへの設置時に前記アンカー素子をタイヤ内表面に食い込ませることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法。
【請求項4】
前記保護ゴム層はタイヤ子午線断面の形状が台形であり、該保護ゴム層の面ファスナーと接する面をその反対側の面よりも広くしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法。
【請求項5】
前記未加硫タイヤを加硫する際に該未加硫タイヤの内側で膨脹させるブラダーの面ファスナーに対応する部位での肉厚をその周辺部位よりも薄くしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法。
【請求項6】
前記面ファスナーを前記未加硫タイヤに設置する前に前記面ファスナーの係合素子面とは反対側の面にタイヤのインナーライナー層と同一の未加硫ゴムからなる背面ゴム層を予め貼り付けることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法。
【請求項7】
前記面ファスナーが設置される前の未加硫タイヤにおいて、インナーライナー層の肉厚を面ファスナーの設置部位で選択的に薄くするか、又は、インナーライナー層を面ファスナーの設置部位から選択的に排除したことを特徴とする請求項6に記載の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法。
【請求項8】
前記保護ゴム層の面ファスナーと接する面において該面ファスナーから突き出した領域に離型フィルムを貼り付けることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8に記載の製造方法で得られる面ファスナー付き空気入りタイヤであって、前記保護ゴム層を前記面ファスナーに付けた状態にあることを特徴とする面ファスナー付き空気入りタイヤ。
【請求項10】
請求項1〜8に記載の製造方法で得られる面ファスナー付き空気入りタイヤであって、前記保護ゴム層を前記面ファスナーから除去した状態にあることを特徴とする面ファスナー付き空気入りタイヤ。
【請求項11】
タイヤ内表面に面ファスナーを設置した空気入りタイヤであって、前記面ファスナーの係合素子面を前記タイヤ内表面と接する面とは反対側に配置し、前記係合素子面の係合素子間に保護ゴム層を充填したことを特徴とする面ファスナー付き空気入りタイヤ。
【請求項12】
タイヤ内表面に面ファスナーを設置した空気入りタイヤであって、前記面ファスナーの係合素子面を前記タイヤ内表面と接する面とは反対側に配置し、前記係合素子面の係合素子間にタイヤ製造時に充填された保護ゴム層をタイヤ製造後に除去したことを特徴とする面ファスナー付き空気入りタイヤ。
【請求項1】
面ファスナーの係合素子間に未加硫ゴムを充填して該係合素子を埋没させる保護ゴム層を形成し、該保護ゴム層を備えた面ファスナーを係合素子面とは反対側の面がタイヤ内表面と密着するように未加硫タイヤに設置し、該面ファスナーを備えた未加硫タイヤをブラダーを備えた加硫機で加硫することを特徴とする面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法。
【請求項2】
前記面ファスナーを前記未加硫タイヤに設置する前に前記保護ゴム層を予め加硫することを特徴とする請求項1に記載の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法。
【請求項3】
前記面ファスナーは係合素子面とは反対側の面にアンカー素子を備えた面ファスナーであって、該面ファスナーの未加硫タイヤへの設置時に前記アンカー素子をタイヤ内表面に食い込ませることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法。
【請求項4】
前記保護ゴム層はタイヤ子午線断面の形状が台形であり、該保護ゴム層の面ファスナーと接する面をその反対側の面よりも広くしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法。
【請求項5】
前記未加硫タイヤを加硫する際に該未加硫タイヤの内側で膨脹させるブラダーの面ファスナーに対応する部位での肉厚をその周辺部位よりも薄くしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法。
【請求項6】
前記面ファスナーを前記未加硫タイヤに設置する前に前記面ファスナーの係合素子面とは反対側の面にタイヤのインナーライナー層と同一の未加硫ゴムからなる背面ゴム層を予め貼り付けることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法。
【請求項7】
前記面ファスナーが設置される前の未加硫タイヤにおいて、インナーライナー層の肉厚を面ファスナーの設置部位で選択的に薄くするか、又は、インナーライナー層を面ファスナーの設置部位から選択的に排除したことを特徴とする請求項6に記載の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法。
【請求項8】
前記保護ゴム層の面ファスナーと接する面において該面ファスナーから突き出した領域に離型フィルムを貼り付けることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の面ファスナー付き空気入りタイヤの製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8に記載の製造方法で得られる面ファスナー付き空気入りタイヤであって、前記保護ゴム層を前記面ファスナーに付けた状態にあることを特徴とする面ファスナー付き空気入りタイヤ。
【請求項10】
請求項1〜8に記載の製造方法で得られる面ファスナー付き空気入りタイヤであって、前記保護ゴム層を前記面ファスナーから除去した状態にあることを特徴とする面ファスナー付き空気入りタイヤ。
【請求項11】
タイヤ内表面に面ファスナーを設置した空気入りタイヤであって、前記面ファスナーの係合素子面を前記タイヤ内表面と接する面とは反対側に配置し、前記係合素子面の係合素子間に保護ゴム層を充填したことを特徴とする面ファスナー付き空気入りタイヤ。
【請求項12】
タイヤ内表面に面ファスナーを設置した空気入りタイヤであって、前記面ファスナーの係合素子面を前記タイヤ内表面と接する面とは反対側に配置し、前記係合素子面の係合素子間にタイヤ製造時に充填された保護ゴム層をタイヤ製造後に除去したことを特徴とする面ファスナー付き空気入りタイヤ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−272954(P2008−272954A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−115963(P2007−115963)
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【出願人】(591017939)クラレファスニング株式会社 (43)
【出願人】(000104906)クラレプラスチックス株式会社 (52)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【出願人】(591017939)クラレファスニング株式会社 (43)
【出願人】(000104906)クラレプラスチックス株式会社 (52)
【Fターム(参考)】
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