説明

面状発光装置

【課題】粘着材の形成領域が大きくなっても輝度の均一性の低下を防止できる面状発光装置の提供。
【解決手段】光源11と、光源11に近接配置されて光源11からの光がその一端縁13eから導入されるシート状のライトガイド13と、ライトガイド13の一方の面13a側にライトガイド13と対向して配置されたシートスイッチ20と、ライドガイド13とシートスイッチ20とを接着する粘着材15とが備えられた面状発光装置10。粘着材15は、少なくともライトガイド13に接する部分の屈折率が、ライトガイド13の屈折率より低くされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話、情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータなどの操作キーを見易くするための照明に用いて好適な面状発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等のキーボタン部を明るく照明するために面状発光装置が用いられている。面状発光装置としては、薄板状、フィルム状のライドガイドの一端側に光源を備えた側面発光方式のものが広く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
例えば、図6に示す面状発光装置は、上ケース101と下ケース102からなるケースの中に、基板103が配置されている。この基板103の上方には、複数個の操作キー104が配置されたキーパッド105が配置されている。
図6および図7に示すように、このキーパッド105の操作キー104の下方には、導光板106を介して、それぞれの操作キー104に対応する複数個のスイッチング素子107が基板103に保持されている。そして、キーパッド105に設けられた操作キー104は、上ケース101に設けられた挿通孔101aを挿通して上ケース101の表面に突出している。
【0004】
基板103には、液晶表示装置109が設けられており、この液晶表示装置109は、上ケース1に設けられた表示窓101bを介して視認可能となっている。
キーパッド105と基板3上のスイッチング素子107との間には、キーパッド105に配置された操作キー104を内側から照明する照明装置として、導光板106が設けられている。この導光板106は、透明で可撓性の材料によって形成されており、線状又は複数個の点状の発光体を有する光源108から入射された光をキーパッド105の下面に投射する。
【0005】
図8に示すように、上述の構造の面状発光装置において、光源108から導光板106の一側端に入射された光は、導光板106の表裏面とその周囲の空気層との界面で反射しながら導光板106に沿って伝搬していく。導光板106内を伝搬していく光は、導光板106の背面側において、各操作キー104に対応した位置に設けられた光取出部106Aで散乱し、漏れ光として外部に出射することで、各操作キー104に対応した位置が発光するようになっている。
【0006】
導光板106と基板103は、それぞれ、例えば矩形をなしたフィルム状、薄板状、シート状であり、これらは互いに対向した状態で、粘着材90により接着されている(例えば、特許文献2、3、4参照。)。
近年、この種の面状発光装置を備えた携帯電話などの電子機器の機械的強度を高めるために、導光板106と基板103とを粘着材90で接着する領域を広めることが要請されている。
この粘着材90の厚みは通常0.05mm程度とされ、ポリエステル系の透明樹脂基材の上下両面に粘着層を設けて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001ー167655号公報
【特許文献2】特開2007ー53063号公報
【特許文献3】特開2007ー305313号公報
【特許文献4】特開2008ー60058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記構造の面状発光装置にあっては、粘着材90における光の吸収等を原因として、粘着材90が形成された部分において局所的に輝度が高くなることなどにより、全体の輝度の均一性が低下するという問題があった。
面状発光装置においては、全体の輝度のバランスを考慮して予めシミュレーションを行っているが、前記粘着材90における光の吸収等は、シミュレーション結果と実際の装置での輝度分布の相違の原因となっている。上述のように、粘着材90の形成領域を大きくすると、実際の装置とシミュレーションとのずれはより大きくなってしまう。
【0009】
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、粘着材の形成領域が大きくなっても輝度の均一性の低下を防止できる面状発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の面状発光装置は、光源と、前記光源に近接配置されて前記光源からの光がその一端縁から導入されるとともに、その面方向に沿って前記光を導光するシート状のライトガイドと、前記ライトガイドの一方の面側に前記ライトガイドと対向して配置されたシートスイッチと、前記ライドガイドと前記シートスイッチとを接着する粘着材とが備えられ、前記粘着材は、少なくとも前記ライトガイドに接する部分の屈折率が、前記ライトガイドの屈折率より低くされている面状発光装置である。
前記粘着材と前記ライトガイドの屈折率の差は、0.05以上であることが好ましい。
前記ライトガイドは、アクリル系またはウレタン系の樹脂材料からなることが好ましい。
前記粘着材は、厚さ0.1mm以下であることが好ましい。
本発明の面状発光装置は、前記光源の一面側と、前記ライトガイドの他方の面とを跨ぐように、遮光性を有した遮光部材が設けられている構成としてよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、粘着材の少なくともライトガイドに接する部分の屈折率が、ライトガイドの屈折率より低くされている。
このため、ライトガイドと粘着材との界面における光の吸収を起こりにくくし、輝度を向上させることができる。また、光の吸収により粘着材形成部分の輝度が局所的に高くなるのを抑えることができる。
このように、輝度の低下や局所的上昇が起こらないため、粘着材の形成領域が大きくなっても、シミュレーション結果に沿った、均一性の高い輝度分布が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る面状発光装置の一実施形態を示す平面図である。
【図2】前図に示すA−A線に沿う断面図である。
【図3】光吸収率測定装置を示す構成図である。
【図4】屈折率差と光吸収率との関係を示すグラフである。
【図5】実施例および比較例の輝度分布および試験結果を示す図である。
【図6】面状発光装置を備えた携帯電話の従来構造の一例を示す斜視展開図である。
【図7】従来の面状発光装置の一例を示す平面図である。
【図8】従来の面状発光装置の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る面状発光装置の実施形態について以下に説明する。
なお、以下の実施形態は、本発明の主旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
図1および図2は、本発明の面状発光装置の一実施形態を示す概略図であり、図1は平面図、図2は図1のA−A線に沿う断面図である。
この実施形態の面状発光装置10は、例えば携帯電話において複数の操作キーが配列される部分に設けられるもので、光源11と、光源11の出射面11aに近接配置された平面視長方形のシート状のライトガイド13と、ライトガイド13の一方の面(下面)13a側に配置されたシートスイッチ20とから概略構成されている。
【0014】
シートスイッチ20は、粘着材15を介して、ライトガイド13に接着されている。この構造により、ライトガイド13とシートスイッチ20との間に間隙18が設けられている。即ち、ライトガイド13とシートスイッチ20とが接することなく、粘着材15の厚みに応じた間隙18をあけて両者が対向配置されている。
ライトガイド13とシートスイッチ20との間に設けられた間隙18の厚み、すなわち、ライトガイド13とシートスイッチ20との距離は特に限定されず、面状発光装置10が使用される状況において、ライトガイド13とシートスイッチ20が接しない程度であれば良いが、面状発光装置10の全体を薄型化するためには、0.1mm以下であることが好ましい。例えば、0.01mm以上、0.1mm以下であると、ライトガイド13とシートスイッチ20の接触やライトガイド13とシートスイッチ20の粘着力の低下がおこらず、かつ面状発光装置10の薄型化を図ることができる。
【0015】
ライトガイド13のシートスイッチ20が配置された側の面、すなわち、ライトガイド13の一方の面13aには、携帯電話の各操作キー50に対応した所定の位置に、複数の光取出部19が形成されている。また、ライトガイド13の他方の面13bは、面状発光装置10の上面(表面、発光面)をなしている。
【0016】
光取出部19は、ライトガイド13を構成するシート状樹脂シートの一面の必要な領域に印刷パターン19Pを形成するなどの構造を採用することができる。
ライトガイド13にあっては、その一方の端面13e(端縁)に対し、光源11からの出射光が入射されると、その入射光がライトガイド13の一方の面13aと他方の面13bの間で反射を繰り返しながらライトガイド13の内部を伝搬してゆく。
ライトガイド13の内部を伝搬している光は、印刷パターン19Pで散乱し、外部に漏れ出る。これにより、印刷パターン19Pを形成した領域、すなわち各操作キー50に対応した領域から外側に光を出射することができる。
【0017】
光取出部19を構成する印刷パターン19Pは、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、パッド印刷法などの印刷法により、ライトガイド13の一方の面13aに形成された微小ドットである。
スクリーン印刷法とは、孔版印刷として版に化学繊維のスクリーンを張ったものを利用し、そのスクリーンに光学的に版膜を作って必要な画線以外の目を塞ぎ、版を作り、その版膜の孔を介してインキを擦りつけることにより版の下に設置した被印刷物の印刷面に印刷を行う方法である。インキはスクリーンの版膜の孔を通過して被印刷面に押し出されて印刷されるので、必要な大きさの印刷パターン19Pを形成することができる。
【0018】
グラビア印刷は、印刷しようとする凸などの部分が窪んでいる版を用い、この窪みにインキが入るように適当な方法で版全体にインキを付け、表面をドクターと呼ばれる装置で拭き取りながら余分なインキを掻き落とし、窪みに入っているインキだけを残し、そのインキを被印刷面に押し付けて移し、インキの盛り上がり部分を形成することで凹凸部を形成する印刷方法である。印刷の濃淡は、窪みの幅とインキの厚みで表現するため、精巧な凹凸形状を形成可能であり、ライトガイド13に所望の印刷パターン19Pを形成できる。
【0019】
パッド印刷は、凹版プレートの凹部にインキを盛りつけ、ブレードによって凹部以外の部分のインキを掻き取り、シリコン樹脂製などのパッドを凹版に押し付けてインキをパッドに写し取り、このパッドを被印刷物の印刷面に押し付けることで凹凸部を形成する方法である。なお、パッドは球形状やドラム状など、種々のものが適用できる。この方法により3次元形状の転写も正確にできるので、ライトガイド13に所望の印刷パターン19Pを形成できる。
【0020】
これらの印刷法により形成された印刷パターン19P(光取出部19)は、数字や文字として認識できるので、ライトガイド13上に、操作キーを備えたキーパッド等を別途設ける必要が無いから、その場合、面状発光装置10をよりいっそう薄型化することができ、ひいては、この面状発光装置10を適用した電子機器をよりいっそう薄型化することができる。
【0021】
これら複数の光取出部19には、シートスイッチ20に組み込まれた複数の感圧型のスイッチ素子30が平面視位置合わせされ、図2に示す如く、光取出部19とスイッチ素子30とが上下に対向するように配置されている。
シートスイッチ20は、PCB(Printed Circuit Board)もしくはFPC(Flexible Printed Circuit)などのプリント配線基板からなる基板21において、ライトガイド13と対向する面(以下、「一方の面」と言う。)21aに、複数のスイッチ素子30が設けられ、これらスイッチ素子30が抑えシート25により覆われた構成となっている。
【0022】
各スイッチ素子30は、基板21の一方の面21a上に所定間隔で設けられた導電性材料からなる接点部22と、接点部22を覆うように、接点部22との導通、非導通を切り替えるためのドーム形状のメタルプレート23とから構成されている。
メタルプレート23は、接点部22に接離可能な可撓性を備え、基板21の一方の面21aとは反対側に凸状をなす椀型のメタルドームとして構成されている。このメタルプレート23は、図示しない粘着材層を介して押えシート25に接着されている。
【0023】
操作者が指先やペンなどの操作子によりライドガイド13の操作キー50の部分を押圧すると、ライドガイド13および押さえシート25を介してメタルプレート23の凸状面23aが押圧される。すると、この凸状面23aが、基板21の一方の面21a側に向けて湾曲するように変形して接点部22に当接し、接点部22との導通がとれるようになっている。
このため、メタルプレート23が設けられている操作キー50の存在を各光取出部19からの漏れ光により位置表示できるとともに、操作キー50を指などの操作子により押圧してメタルプレート23を変形させ、接点部22との導通を切り替えることで各スイッチ素子30のオンオフ(導通、非導通)操作を行うことができる。
【0024】
光源11としては、発光ダイオード(Light Emitting Diode、LED)などの発光素子、冷陰極管などの発光体などからなるものが用いられる。光源11がLEDからなるものである場合、箱状のケースの内部に発光素子チップが内蔵され、この発光素子チップが出射した光を光源11のケース側面の出射面11aから出射できるように構成されている。
また、光源11は、はんだ29によって、基板21の一方の面21a上の図示略の電気回路に接続されて設けられている。
【0025】
ライトガイド13は、シート状の樹脂からなり、例えば、平面視長方形をなしている。
ライトガイド13を構成する樹脂としては、光透過性の樹脂であり、かつ、弾性変形可能なものであれば特に限定されないが、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シリコーン系樹脂(シリコン系樹脂)、ポリスチレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリメタクリル酸メチル(ポリメチルメタクリレート、PMMA)のエラストマー、ウレタンアクリレートからなる群から選択されたいずれかが好ましい。
なかでも特に、アクリル系樹脂またはウレタン系樹脂は、弾性を有するため損傷を受けにくく、耐久性の点で優れている。
【0026】
ライトガイド13の厚みは特に限定されず、光源11からの出射光の透過率が高く、操作キー50を操作者が指先やペンなどの操作子で押圧した場合、メタルプレート23を下向きに湾曲させて変形させて接点部22に導通させることができるが、操作キー50を押圧しない場合、ライトガイド13とシートスイッチ20との間に設けられた間隙18の幅を一定に保つことができる(すなわち、ライトガイド13とシートスイッチ20が接しないようにすることができる)程度であればよく、面状発光装置10を薄型化するためには、0.01mm以上、0.5mm以下、好ましくは0.1mm以上、0.2mm以下とすることができる。
【0027】
粘着材15は、シート状の基材の両面に、粘着材料からなる粘着層が形成された両面テープ状とすることができる。
基材には、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂等を用いることができる。
粘着材料としては、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂(シリコン系樹脂)、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤などが挙げられる。
また、粘着材15は、両面テープ状とせず、1層構造としてもよい。すなわち、基材を使用せず、上記粘着材料により一体に形成されていてもよい。
【0028】
粘着材15は、少なくともライトガイド13に接する部分の屈折率が、ライトガイド13の屈折率より低くされている。
粘着材15が、基材両面に粘着層が形成された構造の場合は、ライトガイド13に当接する粘着層の屈折率が、ライトガイド13の屈折率より低くされる。
一方、粘着材15が、1層構造である場合には、この粘着材15を構成する粘着材料の屈折率が、ライトガイド13の屈折率より低くされる。
【0029】
屈折率がライトガイド13より低い粘着層を形成するには、低屈折率の粘着材料を用いればよい。具体的には、シリコーン系樹脂(シリコン系樹脂)を使用することができる。
また、屈折率を低下させる作用を有する材料を粘着材料に添加することによって、粘着材料の屈折率を調整することもできる。屈折率を低下させる作用を有する材料としては、シリコーン系フィラー(シリコン系フィラー)等があり、これを前記粘着材料、例えばアクリル系樹脂に添加することによって粘着材料の屈折率を低くできる。
【0030】
屈折率差(ライトガイドの屈折率から粘着材料の屈折率を減じた値)は0.05以上であることが好ましい。屈折率差をこの範囲とすることによって、光の吸収を防ぎ、より均一性の高い輝度分布が得られる。
【0031】
図1に示すように、粘着材15は、ライトガイド13の一方の面13aの外周縁部に沿って設けられた枠状部15Aと、携帯電話において互いに間隔を隔てて複数列に配列された各操作キー、すなわち光取出部19の列の間に設けられた帯状部15Bとに設けることができる。
粘着材15の厚みは特に限定されないが、0.1mm以下とすると、面状発光装置10を薄型化する点で好適である。例えば、0.01mm以上、0.1mm以下であると、ライトガイド13とシートスイッチ20の接触がおこらず、かつ面状発光装置10の薄型化を図ることができる。
【0032】
また、光源11の上面11bと、ライトガイド13の一方の面13aとにわたり、シート状の遮光部材40が設けられている。
遮光部材40は、遮光性を有する材料からなり、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シリコーン系樹脂(シリコン系樹脂)、ポリスチレン系樹脂等の樹脂、各種金属からなる群から選択されたいずれかを用いることができる。
遮光性を高めるために、これらの材料に顔料を含有させたり、これらの材料からなるシートの表面に塗料を塗布するのが好ましい。その色は、十分な遮光性を有するのであれば特に限定されず、白色等でもよいが、最も光を吸収して遮光性の高い黒色とするのが好ましい。
【0033】
また、遮光部材40に光反射機能を付与することもできる。
この場合には、遮光部材40の表面に、例えばアルミニウムや銀などの金属を表面に蒸着したり塗布したりすることで反射層を形成することができる。また、遮光部材40を前記アルミニウム等の金属で形成することで、遮光部材40に光反射機能を与えることもできる。
【0034】
上記構成の面状発光装置10では、ライトガイド13の一方の端面13eに対して光源11からの出射光が入射されると、その入射光がライトガイド13の一方の面13aと他方の面13bの間で反射しながらライトガイド13の内部を伝搬して、その一部が光取出部19で散乱し、外部に漏れ出る。
【0035】
面状発光装置10では、粘着材15の少なくともライトガイド13に接する部分の屈折率が、ライトガイド13の屈折率より低くされている。
このため、ライトガイド13と粘着材15との界面における光の吸収を起こりにくくし、輝度を向上させることができる。また、光の吸収により粘着材15形成部分の輝度が局所的に高くなるのを抑えることができる。
このように、輝度の低下や局所的上昇が起こらないため、粘着材の形成領域が大きくなっても、シミュレーション結果に沿った、均一性の高い輝度分布が得られる。
【0036】
また、面状発光装置10では、光源11の上面11bとライトガイド13の一方の面13bとに渡ってこれらを部分的に覆う遮光部材40を備えることで、光源11とライトガイド13との隙間部分から漏光するのを防止することができる。
これにより、操作キー50が配置されたライトガイド13を照明したときの輝度分布の更なる均一化を図ることができる。
【0037】
なお、上記実施形態では、ライトガイド13に印刷パターン19Pからなる光取出部19が設けられた面状発光装置10を例示したが、本発明の面状発光装置はこれに限定されない。本発明の面状発光装置にあっては、ライトガイド13の他方の面13b、すなわち、ライトガイド13のシートスイッチ20と対向する面とは反対側の面に光取出部が設けられていてもよい。
この場合、ライトガイド13の他方の面13bに設けられた光取出部19を覆うように光透過性の樹脂からなる保護膜を設けてもよい。このようにすれば、光取出部19を傷付き難くすることができる。
【0038】
また、粘着材15として、ライトガイド13の一方の面13aの外周縁部に沿って設けられた枠状部15Aと、光取出部19の列の間に設けられた帯状部15Bとを設ける例を挙げたが、これに限るものではなく、粘着材15の設置レイアウトはいかなるものとしてもよい。
本実施形態において例示した以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、他の構成に適宜変更することが可能である。
【実施例】
【0039】
(試験例1〜4)
図3に示す光吸収率測定装置を用いて、粘着材の光吸収率を測定した。
幅10mm、奥行き50mm、厚さ200μmの短冊状のライトガイド33の上下面に白色のPET(ポリエチレンテレフタレート)からなる遮蔽材34、34を設け、上面側の遮蔽材34とライトガイド33との間に幅1mmの粘着材35を設けた。光源31からライトガイド33を通ってフォトダイオード32に達した光の強度から、次に示す式により、粘着材35による光吸収率(%)を算定した。結果を表1に示す。
粘着材35による光吸収率=粘着材35を設けたことによる光強度変化量/粘着材35がない場合の光強度
「粘着材35を設けたことによる光強度変化量」とは、粘着材35がない場合の光強度と、粘着材35がある場合の光強度との差である。
【0040】
試験例1では、ポリエステル系樹脂からなる基材の両面に、シリコーン系樹脂(シリコン系樹脂)からなる粘着層(屈折率は1.43)を形成した粘着材15を使用した。
試験例2では、ポリエステル系樹脂からなる基材の両面に、アクリル系樹脂からなる粘着層(屈折率は1.474)を形成した粘着材15を使用した。
試験例3では、ポリエステル系樹脂からなる基材の両面に、アクリル系樹脂からなる粘着層(屈折率は1.488)を形成した粘着材15を使用した。
試験例4では、ポリエステル系樹脂からなる基材の両面に、アクリル系樹脂からなる粘着層(屈折率は1.6)を形成した粘着材15を使用した。
【0041】
【表1】

【0042】
図4は、試験例1〜4に準ずる試験により、ライトガイド33の屈折率と粘着材15の粘着層の屈折率との差(ライトガイド33の屈折率−粘着材15の粘着層の屈折率)が、光吸収率に及ぼす影響を調べた結果を示すグラフである。
表1および図4より、ライトガイドの屈折率に比べ粘着材の屈折率を低くすると、光吸収率を顕著に小さくできることがわかる。
【0043】
(実施例1)
試験例1で用いたものと同様の粘着材(粘着層の屈折率は1.43)と、屈折率1.488のライトガイドを用いて、図1および図2に示す構造の面状発光装置を作製した。
【0044】
(比較例1)
試験例2で用いたものと同様の粘着材(粘着層の屈折率は1.488)と、屈折率1.488のライトガイドを用いて、図1および図2に示す構造の面状発光装置を作製した。
【0045】
(比較例3)
試験例3で用いたものと同様の粘着材(粘着層の屈折率は1.6)と、屈折率1.488のライトガイドを用いて、図1および図2に示す構造の面状発光装置を作製した。
【0046】
各実施例および比較例の面状発光装置について、輝度分布および平均輝度を調べた結果を図5に示す。
【0047】
図5より、ライトガイドの屈折率に比べ粘着材の屈折率を低くした実施例1では、粘着材の屈折率がライトガイドの屈折率に等しいか、またはライトガイドの屈折率より高い比較例1、2に比べ、高い輝度が得られたことが確認できた。
【符号の説明】
【0048】
10・・・面状発光装置、11・・・光源、13・・・ライトガイド、13a・・・一方の面、13e・・・端面(端縁)、15・・・粘着材、20・・・シートスイッチ、40・・・遮光部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源に近接配置されて前記光源からの光がその一端縁から導入されるとともに、その面方向に沿って前記光を導光するシート状のライトガイドと、
前記ライトガイドの一方の面側に前記ライトガイドと対向して配置されたシートスイッチと、
前記ライドガイドと前記シートスイッチとを接着する粘着材とが備えられ、
前記粘着材は、少なくとも前記ライトガイドに接する部分の屈折率が、前記ライトガイドの屈折率より低くされていることを特徴とする面状発光装置。
【請求項2】
前記粘着材と前記ライトガイドの屈折率の差は、0.05以上であることを特徴とする請求項1に記載の面状発光装置。
【請求項3】
前記ライトガイドは、アクリル系またはウレタン系の樹脂材料からなることを特徴とする請求項1に記載の面状発光装置。
【請求項4】
前記粘着材は、厚さ0.1mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の面状発光装置。
【請求項5】
前記光源の一面側と、前記ライトガイドの他方の面とを跨ぐように、遮光性を有した遮光部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の面状発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−159442(P2011−159442A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18634(P2010−18634)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】