説明

鞍乗型車両用電源接続部収納構造

【課題】日常の充電作業の煩わしさの低減と、電源接続部の優れた防水性とを、両立させることのできる鞍乗型車両用電源接続部収納構造を提供すること。
【解決手段】車体フレーム10と、車体フレームに操舵自在に保持される操舵装置20と、操舵装置に回転自在に支持される前輪25と、操舵装置の前方および側方を覆うフロントカウル51と、フロントカウルと前輪との間に配置されて、操舵装置に固定されるフロントフェンダ26と、車体フレームに搭載される電動モータ61と、車体フレームに搭載されるバッテリ64と、バッテリに車両外から電力を供給する電源接続部130と、を備え、電動モータを動力源とする鞍乗型車両において、フロントフェンダよりも上方におけるフロントカウルの前面側または上面側に、蓋部材120で閉塞可能な開口部110が配置され、開口部110の内部に電源接続部130が収納される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータを動力源とする鞍乗型車両に用いる鞍乗型車両用電源接続部収納構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、バッテリに蓄えた電力により駆動される電動モータを動力源とする鞍乗型車両が提案されている。この種の鞍乗型車両では、先端にプラグを備えた充電用ハーネスがバッテリに接続されて、いわゆるプラグインEVを構成している。このようなプラグインEV型の鞍乗型車両では、充電用ハーネスの収納スペースを設ける必要がある。
【0003】
そのため、従来は、乗員用のシートの下方に開閉可能な蓋部材(リッド)を設けて、この蓋部材を開けた内部に充電用ハーネスを収納するように構成されていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−278667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の充電用ハーネスの収納構造では、まずシートを上げて開き、続いて蓋部材を開いた後、充電用ハーネスを取り出さなければならないため、日常の充電作業に煩わしさがともなう。
【0006】
この煩わしさを解消するには、車両の外方から蓋部材を直接開閉できる位置に、充電用ハーネスの収納スペースを設置すればよいと考えられる。
ところが、充電用ハーネス、とくにその先端のプラグの収納には、防水性が要求される。そのため、例えば、走行時に跳ね上げる泥等が蓋部材に付着することで、蓋部材のシール性が低下する虞があるような場所には、充電用ハーネスの収納スペースを設けることは困難である。
【0007】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、日常の充電作業の煩わしさの低減と、電源接続部(すなわち、充電用ハーネスのとくに先端のプラグ)の収納における優れた防水性とを、両立させることのできる鞍乗型車両用電源接続部収納構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、車体フレームと、前記車体フレームに操舵自在に保持される操舵装置と、前記操舵装置に回転自在に支持される前輪と、前記操舵装置の前方および側方を覆うフロントカウルと、前記フロントカウルと前記前輪との間に配置されて、前記操舵装置に固定されるフロントフェンダと、前記車体フレームに搭載される電動モータと、前記車体フレームに搭載されるバッテリと、前記バッテリに車両外から電力を供給する電源接続部と、を備え、前記電動モータを動力源とする鞍乗型車両において、前記フロントフェンダよりも上方における前記フロントカウルの前面側または上面側に、蓋部材で閉塞可能な開口部が配置され、前記開口部の内部に前記電源接続部が収納される、ことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加えて、前記フロントカウルの前面側に、灯火器を備え、前記灯火器の照明光は、前記開口部に導かれる、ことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の構成に加えて、前記フロントカウルの前面側に、左右に並んで配置される一対の開口スペースを備え、前記一対の開口スペースのうちの一方を、前記開口部として利用し、他方を、前記バッテリまたは前記電動モータの冷却用開口部として利用する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の構成に加えて、前記電源接続部は、配線長を調整する巻き取り装置を備え、前記車体フレームは、前記フロントカウルを固定するための支持ステーを備え、前記支持ステーに前記巻き取り装置が固定される、ことを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加えて、前記開口部は、前記操舵装置に備えられるハンドルの近傍で、かつ、前記フロントカウルの上面側に、配置される、ことを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加えて、前記フロントカウルは、アウターカウルおよびインナーカウルの2枚を車幅方向に重ねるレイヤー部を備え、前記レイヤー部のアウターカウルとインナーカウルとの間隙においていずれか一方のカウルに上向きの壁部が形成され、前記上向きの壁部に前記開口部が配置される、ことを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、車体フレームと、前記車体フレームの上方に配置されるシートと、前記シートの前方に配置されるニーグリップ部と、前記ニーグリップ部の前方に突出して配置されるレッグシールドと、前記車体フレームに操舵自在に保持される操舵装置と、前記操舵装置に固定されるフロントフェンダと、前記車体フレームに搭載される電動モータと、前記車体フレームに搭載されるバッテリと、前記バッテリに車両外から電力を供給する電源接続部と、を備え、前記電動モータを動力源とする鞍乗型車両において、前記フロントフェンダよりも上方における前記レッグシールドの前面側に、蓋部材で閉塞可能な開口部が配置され、前記開口部の内部に前記電源接続部が収納される、ことを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の構成に加えて、前記車体フレームの車幅方向の一側に、サイドスタンド47を備え、前記車幅方向の他側における前記レッグシールドに、前記開口部が配置される、ことを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の構成に加えて、前記電源接続部は、前記バッテリ側に接続されて、先端にプラグを備えた充電用ハーネスを備え、前記蓋部材は、その裏面側に、前記電源接続部の前記プラグを着脱自在に保持するプラグ保持部と、前記プラグに連なる前記充電用ハーネスを摺動自在に保持するハーネス保持部と、を備え、前記蓋部材は、前記開口部に対して着脱可能に構成され、前記開口部に装着されることにより前記開口部を閉塞する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、フロントフェンダよりも上方におけるフロントカウルの前面側または上面側に、電源接続部が収納される開口部を配置する。これにより、電源接続部を取り出すことが必要な充電作業の作業性を向上できる。
開口部を、車輪による泥等の跳ね上げが少ない箇所に配置して、蓋部材で閉塞できるように構成する。これにより、簡易な防水構造によって、防水性を確保することができ、車両の軽量化を図ることができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、灯火器の照明光によって開口部を照らす。これにより、夜間における電源接続部の取り出し作業を容易に行うことができる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、フロントカウルの前面側に、左右に並んで一対の開口スペースを配置して、一方の開口スペースを、電源接続部が収納される開口部として利用する。これにより、電源接続部を車両の中心からオフセット配置することができ、充電作業が行いやすい側に電源接続部を収納することができる。
他方の開口スペースを、バッテリまたは電動モータ等の電装機器の冷却用開口部として利用する。これにより、デザイン上の左右対称性を確保しながら、各開口スペースをいずれも有効に利用することができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、フロントカウルを固定するための車体フレームの支持ステーに、巻き取り装置を固定する。これにより、フロントカウルと車体フレームとの間の空間を利用して、巻き取り装置を配置することができ、車両のコンパクト化を図ることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、ハンドルの近傍で、かつ、フロントカウルの上面側に、電源接続部が収納される開口部を配置する。これにより、運転者が充電作業を行う際に乗車状態であっても、電源接続部を開口部から取り出すことができ、充電作業の作業性を高めることができる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、フロントカウルのレイヤー部の、上向きの壁部に、開口部を配置する。これにより、開口部を外観的に目立たない位置に配置できるうえ、下方からの泥の跳ね上げ等の影響を可及的に低減して、防水性および充電作業性を高めることができる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、フロントフェンダよりも上方におけるレッグシールドの前面側に、電源接続部が収納される開口部を配置する。これにより、電源接続部を取り出すことが必要な充電作業の作業性を向上できる。
開口部を、車輪による泥等の跳ね上げが少ない箇所に配置して、蓋部材で閉塞できるように構成する。これにより、簡易な防水構造によって、防水性を確保することができ、車両の軽量化を図ることができる。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、車体フレームの車幅方向に関して、サイドスタンド47と開口部とを互いに反対側に配置する。これにより、鞍乗型車両をサイドスタンド47駐車した場合に、操舵装置がサイドスタンド47側に回動されることで、反対側のレッグシールドの開口部と、操舵装置との間の空間を広くとることができ、充電作業の作業性を向上できる。
【0025】
請求項9に記載の発明によれば、蓋部材を、開口部に対して着脱可能に構成する。これにより、開口部から取り外しできない開閉式の蓋部材の場合と比較して、蓋部材を簡易な構造とすることができる。開口部から蓋部材を引き抜くことで、バッテリ側に連なるプラグを取り出すことができるため、充電作業の作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電源接続部収納構造を備える鞍乗型車両を示す左側面図である。
【図2】図1に示す鞍乗型車両の平面図である。
【図3】図1に示す鞍乗型車両の正面図である。
【図4】図1に示す鞍乗型車両の車体カバーの主要部を除去して示す左側面図である。
【図5】図1に示す鞍乗型車両の電動システムを示すブロック図である。
【図6】図1に示す鞍乗型車両のフロント回りの一部切欠した横断平面図である。
【図7】図1に示す鞍乗型車両のフロント回りの縦断側面図である。
【図8】図7の要部の拡大断面図である。
【図9】図6〜図8に示す蓋部材の拡大図である。
【図10】図6、図7に示す巻き取り装置の拡大図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る電源接続部収納構造を備える鞍乗型車両を示す正面図である。
【図12】図11に示す鞍乗型車両のフロント回りの要部の斜視図である。
【図13】図11に示す鞍乗型車両のフロント回りの一部切欠した横断平面図である。
【図14】図11に示す鞍乗型車両のフロント回りの縦断側面図である。
【図15】図11〜図14に示す蓋部材の拡大図である。
【図16】本発明の第3実施形態に係る電源接続部収納構造を備える鞍乗型車両を示す正面図である。
【図17】図16に示す鞍乗型車両のフロント回りの一部切欠した横断平面図である。
【図18】図16に示す鞍乗型車両のフロント回りの縦断側面図である。
【図19】図16〜図18に示す蓋部材の拡大図である。
【図20】本発明の第4実施形態に係る電源接続部収納構造を備える鞍乗型車両を示す正面図である。
【図21】図20に示す鞍乗型車両のフロント回りの一部切欠した横断平面図である。
【図22】図20に示す鞍乗型車両のフロント回りの縦断側面図である。
【図23】本発明の第5実施形態に係る電源接続部収納構造を備える鞍乗型車両を示す左側面図である。
【図24】図23に示す鞍乗型車両の要部の拡大正面図である。
【図25】図23に示す鞍乗型車両の右側レッグシールドを除去した要部の右側面図である。
【図26】本発明の第6実施形態に係る電源接続部収納構造を備える鞍乗型車両を示す左側面図である。
【図27】図26に示す鞍乗型車両の正面図である。
【図28】図26に示す鞍乗型車両のフロント回りの要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
まず、図1〜図5を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る電源接続部収納構造を備える鞍乗型車両としての電動二輪車1の全体構成について説明する。
以下の説明において、前後、左右および上下の各方向については、特に断りがない限り、電動二輪車1に乗車する乗員(運転者)から見た方向に従う。また、図中、矢印FRは車両の前方を示し、矢印LHは車両の左側を示し、矢印RHは車両の右側を示し、矢印UPは車両の上方を示す。
【0028】
図1に示すように、第1実施形態の電動二輪車1は、車体フレーム10と、車体フレーム10に操舵自在に保持される操舵装置20と、操舵装置20に回転自在に支持される前輪25と、前輪25の上方に配置されるフロントフェンダ26と、車体フレーム10に上下に揺動可能に懸架されるスイングアーム機構30と、スイングアーム機構30に回転自在に支持される後輪35と、後輪35の上方に配置されるリアフェンダ36と、車体フレーム10の前後に配置される灯火器40と、車体フレーム10の前方左右に配置されるミラー45と、車体フレーム10の上方に配置されるシート46と、サイドスタンド47と、車体フレーム10を覆う車体カバー50と、電動システム60と、電源接続部収納構造101(図6、図7参照)と、を備える。
【0029】
車体フレーム10は、ヘッドパイプ11と、左右一対のメインフレーム12と、左右一対のセンターフレーム13と、左右一対のシートステー14と、複数のクロスメンバ(図示せず)と、支持ステーとしての第1ステー15と、第2ステー16(図6参照)と、を含んで構成される。
【0030】
ヘッドパイプ11は、車体フレーム10の前端部に配置される。
左右一対のメインフレーム12は、前端部がヘッドパイプ11に連結される。一対のメインフレーム12は、上面視で、ヘッドパイプ11から互いに離隔しながら後方に延びている。一対のメインフレーム12は、側面視で、ヘッドパイプ11から斜め下後方に延びている。
左右一対のセンターフレーム13は、前端部がメインフレーム12の後端部に連結される。一対のセンターフレーム13は、側面視で、前端部のやや後方から屈曲してほぼ真下に延びている。
【0031】
ヘッドパイプ11、左右一対のメインフレーム12、および左右一対のセンターフレーム13は、センターフレーム13どうしを互いに連結する図示しないクロスメンバとともに、適宜の部分ごとに分割して形成され、これらが溶接接合されることによって、車体フレーム10の主要部として一体に構成される。
【0032】
左右一対のシートステー14は、前端部がセンターフレーム13の屈曲した部分に結合されて、後端側が斜め上後方に向かって延びている。一対のシートステー14は、図示しないクロスメンバによって、互いに連結して構成される。
【0033】
第1ステー15は、図6に示すように、ヘッドパイプ11に取り付けられて、ヘッドパイプ11から前方に延出する。第1ステー15の先端部には、後述するヘッドライト41が固定される。
第2ステー16は、第1ステー15の中間部から左右に延出する。第2ステー16の左右両端部には、後述するフロントカウル51と、ミラー45と、が固定される。
【0034】
操舵装置20は、ステアリングステム21と、左右一対のフロントフォーク22と、ハンドル23と、を含んで構成される。
ステアリングステム21は、車体フレーム10のヘッドパイプ11に回動自在に挿通されるステアリングシャフト21aと、ステアリングシャフト21aをヘッドパイプ11に対して長手方向に保持するとともに、ステアリングシャフト21aと一対のフロントフォーク22とを連結するボトムブリッジ21bおよびトップブリッジ21cと、を備える。
ハンドル23は、ステアリングシャフト21aの上端部に固定される。
【0035】
前輪25は、一対のフロントフォーク22の下端部に軸支される。
フロントフェンダ26は、一対のフロントフォーク22に固定されて、前輪25の上方に配置される。
【0036】
スイングアーム機構30は、スイングアーム31と、リアクッション(図示省略)と、を含んで構成される。
スイングアーム31は、前端部がセンターフレーム13の下端部から所定高さ上方に設けられたピボットポイント31aに取り付けられて、このピボットポイント31aを中心として上下に揺動可能に支持される。
スイングアーム31は、シートステー14との間に設置されるリアクッションによって、シートステー14に対して懸架される。
【0037】
後輪35は、スイングアーム31の後端部に軸支される。
リアフェンダ36は、シート46の下方で車両の前後方向に後輪35を覆うように配置され、シートステー14の後端部から下方に垂下されるように設けられる。
【0038】
灯火器40は、ヘッドライト41と、ポジションライト(図示省略)と、を含んで構成される。
ヘッドライト41は、図6に示すように、第1ステー15の先端部に固定される。
シート46は、シートステー14の上方に配置される。
【0039】
車体カバー50は、車体フレーム10の前面(すなわち、車両の前面)を覆うフロントカウル51と、フロントカウル51の後部に連なり車体フレーム10の前部の両側面を覆うサイドカウル52と、サイドカウル52の下部に連なり車体フレーム10の下部を覆うアンダーカバー53aと、シート46の下方で車両の側面を覆うサイドカバー53bと、車体フレーム10の後部を覆うリアカウル54と、を含んで構成される。
【0040】
フロントカウル51は、図6に示すように、第2ステー16の左右両端部に固定される。
フロントカウル51には、図6に示すように、ヘッドライト41の下方から左右一対のメインフレーム12の後方まで開口した、左右一対のダクト状の開口スペース55l、55rが備わる。開口スペース55l、55rは、エンジン(内燃機関)式の自動二輪車の場合に、燃料タンクの近辺に配置されるエアクリーナに吸気するための吸気ダクト内の吸気チャンバとして使用されるスペースである。
【0041】
電動システム60は、電動二輪車1の後輪を駆動させるための動力を発生する。
電動システム60は、図5のブロック図に示すように、電動二輪車1の動力源となる電動モータ61と、パワードライブユニット(PDU)62と、リレー(図5にはその接点としてのコンタクタを示す)63と、バッテリ64と、チャージャ(充電器)65と、バッテリマネージングユニットBMU66と、エレクトリックコントロールユニット(ECU)67と、スロットルセンサ68と、を含んで構成される。
電動システム60には、DC−DCコンバータ71と、サブバッテリ72と、ライト、インジケータ73と、が接続される。
【0042】
図4に示すように、バッテリ64は、エンジン(内燃機関)式の自動二輪車における燃料タンクの位置に配置される。
電動モータ61は、エンジンのクランクケースの位置に配置される。
PDU62、リレー63、ECU67は、電動モータ61の前方に配置される。
サブバッテリ72は、電動モータ61の下方に配置される。
【0043】
電動モータ61は、バッテリ64から供給される電力により駆動する。電動モータ61が駆動すると後輪35が駆動され、これにより、電動二輪車1は走行する。
PDU62は、バッテリ64から電動モータ61に至る電源経路に配置される。PDU62は、バッテリ64から電動モータ61に供給される電流および電圧を調整する。
コンタクタ63は、ECU67の制御に応じて、バッテリ64とPDU62とを電気的に接続または遮断する。
【0044】
バッテリ64は、複数のバッテリセル(図示省略)が結合されて構成され、外部電源から供給される電力により繰り返し充電可能な二次電池である。
チャージャ65は、バッテリ64の一次側に接続される。チャージャ65は、充電用ハーネス(図示省略)を介して外部電源に接続される。チャージャ65は、外部電源から供給される交流電力を直流電力に変換してバッテリ65に充電する。チャージャ65は、バッテリ64の充電状態を制御する。チャージャ65は、ヘッドパイプ11の後方でかつメインフレーム12に挟まれた空間でかつバッテリ64の前方に配置される。
【0045】
BMU66は、バッテリ64に接続されて、バッテリ64の充放電状況やバッテリ64の温度等を監視する。
ECU67は、スロットルセンサ68から入力される信号に基づいて、電動システム60の動作を制御する。具体的には、ECU67は、コンタクタ63を制御して、バッテリ64からPDU62(電動モータ61)に対する電力の供給を実行または停止させる。ECU67は、PDU62を制御して、電動モータ61の駆動状態を制御する。
スロットルセンサ68は、ハンドル23に設けられる操作子(スロットルグリップ)の操作状態を検出する。
【0046】
DC−DCコンバータ71は、コンタクタ63に接続される。DC−DCコンバータ71は、バッテリ64から供給される高圧(例えば72V)の直流電力を、低圧(例えば12V)の直流電力に変換する。
サブバッテリ72は、DC−DCコンバータ71に接続され、DC−DCコンバータ71で変換された低圧の直流電力により充電される。
ライト、インジケータ73は、サブバッテリ72から供給される低圧の直流電力を使用して、光照射または光表示を行う。
【0047】
次に、図6〜図10を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る電源接続部収納構造101について説明する。
電源接続部収納構造101は、開口部110と、開口部110を閉塞可能な蓋部材120と、開口部110の内部に収納される電源接続部130と、開口部110の前方に設けられる入口スペース140と、を含んで構成される。
【0048】
開口部110は、フロントフェンダ26よりも上方におけるフロントカウル51の前面側に開口する。
電源接続部収納構造101では、開口部110として、フロントカウル51に備わる左右一対のダクト状の開口スペース55l、55rのうち、左側の開口スペース55lを利用する。これにより、開口部110は、乗員の下車位置に近い側に配置されることで、充電作業の作業性を確保できる。
右側の開口スペース55rは、チャージャ65、バッテリ64または電動モータ61の冷却用開口部として利用する。
【0049】
電源接続部130は、バッテリ64に車両外から電力を供給する。電源接続部130は、チャージャ65に一端部が接続された充電用ハーネス131と、充電用ハーネス131の先端部に接続されたプラグ132と、充電用ハーネス131の中間部に接続されて充電用ハーネス131の配線長を調整する巻き取り装置133と、を備える。
【0050】
巻き取り装置133は、第1ステー15に固定される。
巻き取り装置133は、図10(a)に133aで示すように、径方向に大である円筒状に形成され、車幅方向中央部にその径方向が上下を指向するように配置される。これにより、フロントフォーク22の回転範囲との干渉を抑制しながら、デッドスペースを利用して車両の大型化を抑制する。
なお、巻き取り装置133の設置場所の選定にあたり、図10(b)に133bで示すように、軸方向に大である円筒状に形成されたものが適切である場合には、そのような巻き取り装置133bを使用すればよい。
【0051】
巻き取り装置133は、開口部110(開口スペース55l)を構成するダクト状の樹脂部材(例えば、フロントカウル51自体の一部)の壁体の内部に収納されてもよい。この場合、巻き取り装置133を収納する壁体は、フロントカウル51の内側に固定されて、操舵装置20の回転範囲の外側に取り回される。これにより、巻き取り装置133の保護およびデッドスペースの活用が可能であり、フロントフォーク22との干渉は一切考慮する必要がない。
【0052】
図9に示すように、蓋部材120は、その裏面側に、充電用ハーネス131を挿通して摺動自在に保持するハーネス保持部121と、電源接続部130のプラグ132を着脱自在に保持するプラグ保持部122と、を備える。
蓋部材120は、その表面側に、把持部123を備える。
蓋部材120は、その周面に、全周に亘ってシール溝124を備える。シール溝124には、シール部材125が取り付けられる。
蓋部材120は、開口部110の入口に対して着脱可能に構成され、開口部110の入口に装着されることにより開口部110を閉塞する。
【0053】
蓋部材120は、開口部110に対してヒンジ式に開閉するのではなく、開口部110とは別体のもので開口部110に対して着脱される。
別体式の蓋部材120は、周囲にゴム等のシール部材125を1周取り付けておくことで、十分なシール性を確保できる。
別体式の蓋部材120は、開口部110の入口に対して抜き差しするだけでよく、密着性は高まる。前方から抜き差しするので、風圧によって外れにくい。
【0054】
開口部110は、開口スペース55lの前端部よりもやや後方に配置される。入口スペース140は、開口部110の前方に設けられる。
図8に示すように、入口スペース140の上面には、透光部材141が配置される。透光部材141の上部には反射板142が取り付けられ、ヘッドライト41の光の一部を反射する。そのため、ヘッドライト41の光の一部は、反射板142で反射された後、透光部材141を通って、蓋部材120の表面側を照射する。
【0055】
ヘッドライト41のレンズ面の一部を、入口スペース140の上面に露出させてもよい。この場合も、ヘッドライト41の光の一部は、蓋部材120の表面側を照射する。
ヘッドライト41のレンズ面の一部を、開口部110内に露出させてもよい。この場合、蓋部材120の全体または一部(例えば周辺部近辺)を透光性の材料で構成しておけば、ヘッドライト41から開口部110内に入射した光を、蓋部材120の前方から視認することができる。
【0056】
入口スペース140の下面は、後方から前方に向かって下り勾配に形成される。これにより、入口スペース140内に雨水が滞留しない。
【0057】
灯火器40(ヘッドライト41)が消灯するタイミングを、つぎのように設定することが好ましい。
メインキーがオフされるか、または運転モードから充電モードに切り換えられた後、所定時間(例えば、30〜90秒)の間は、ライトスイッチのみオン状態を持続させる。
これにより、夜間に運転を終了した後、充電作業を行う際に、開口部110の蓋部材120を容易に視認して、電源接続部130を容易に取り出すことができる。
したがって、この間点灯し続ける灯火器40は、開口部110との位置関係に応じて、ヘッドライト41、ポジションライト、その他任意のライトでよい。
【0058】
充電作業を行う際は、まず、蓋部材120を開口部110の入口から抜き取り、プラグ132をプラグ保持部122から抜いて蓋部材120から外し、充電用ハーネス131がハーネス保持部121に対して摺動可能になっているので、蓋部材120からプラグ132を延ばして、所定の充電設備側に差し込む。
充電作業を終了する際は、この作業を逆順に行えばよい。
【0059】
第1実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)フロントフェンダ26よりも上方におけるフロントカウル51の前面側(または上面側)に、電源接続部130が収納される開口部110を配置する。これにより、電源接続部130を取り出すことが必要な充電作業の作業性を向上できる。
開口部110を、車輪による泥等の跳ね上げが少ない箇所(すなわち、フロントフェンダ26よりも上方におけるフロントカウル51の前面側)に配置して、蓋部材120で閉塞できるように構成する。これにより、簡易な防水構造によって、防水性を確保することができ、車両の軽量化を図ることができる。
【0060】
(2)灯火器40(例えば、ヘッドライト41)の照明光によって開口部110(具体的には、蓋部材120の表面側)を照らす。これにより、夜間における電源接続部130の取り出し作業を容易に行うことができる。
【0061】
(3)フロントカウル51の前面側に、左右に並んで一対の開口スペース55l、55rを配置して、一方の開口スペース55lを、電源接続部130が収納される開口部110として利用する。これにより、電源接続部130を車両の中心からオフセット配置することができ、充電作業が行いやすい側に電源接続部130を収納することができる。
他方の開口スペース55rを、バッテリ64または電動モータ61等の電装機器の冷却用開口部として利用する。これにより、デザイン上の左右対称性を確保しながら、各開口スペース55l、55rをいずれも有効に利用することができる。
【0062】
(4)フロントカウル51を固定するための車体フレーム10の支持ステー15に、巻き取り装置133を固定する。これにより、フロントカウル51と車体フレーム10との間の空間を利用して、巻き取り装置133を配置することができ、車両のコンパクト化を図ることができる。
【0063】
(5)蓋部材120を、開口部110に対して着脱可能に構成する。これにより、開口部110から取り外しできない開閉式の蓋部材の場合と比較して、蓋部材120を簡易な構造とすることができる。開口部110から蓋部材120を引き抜くことで、バッテリ64側に連なるプラグ132を取り出すことができるため、充電作業の作業性を向上できる。
【0064】
<第2実施形態>
図11〜図15を参照しながら、本発明の第2実施形態に係る電源接続部収納構造102、および電源接続部収納構造102を備える電動二輪車2について説明する。
本実施形態に係る電源接続部収納構造102および電動二輪車2は、第1実施形態に係る電源接続部収納構造101および電動二輪車1とほぼ同様のものであるので、同様の部分には第1実施形態で用いた符号と同一の符号を付けたうえ、すべての符号の末尾にAを付けて示し、重複する説明は省略する。
【0065】
第2実施形態に係る電源接続部収納構造102と、第1実施形態に係る電源接続部収納構造101との相違点は、つぎのとおりである。
(a)電源接続部収納構造101では、開口部110が、ヘッドライト41の左下側から車幅方向の左側に配置されるのに対して、電源接続部収納構造102では、開口部110Aが、ヘッドライト41Aの右下側から車幅方向の右側に配置される。
(b)電源接続部収納構造101では、巻き取り装置133が、第1ステー15に固定されるのに対して、電源接続部収納構造102では、巻き取り装置133Aが、開口部110Aの側壁に固定される。
(c)電源接続部収納構造101では、巻き取り装置133からバッテリ64(チャージャ65)に至る充電用ハーネス131が、メインフレーム12の上側を通して配線されるのに対して、電源接続部収納構造102では、巻き取り装置133Aからバッテリ64A(チャージャ65A)に至る充電用ハーネス131Aが、メインフレーム12Aに形成された貫通孔12aAを通して配線される。
【0066】
電動二輪車2は、フロントカウル51Aの前面側に、左右に並んで配置される一対のヘッドライト41Aと、ヘッドライト41Aの下方に左右に離れて配置される一対の開口スペース55lA、55rAと、を備える。
右側の開口スペース55rAを、開口部110Aとして利用する。左側にあるサイドスタンド47Aを用いて駐車したとき、車両は左側に傾斜する。そのため、開口部110Aが左側にある場合に比べて、右側の開口部110Aの方がより高い位置になる。これにより、充電作業の作業性が向上する。
左側の開口スペース55lAは、チャージャ65A、バッテリ64Aまたは電動モータ61Aの冷却用開口部として利用する。
【0067】
ヘッドパイプ11Aの後方に左右一対のメインフレーム12Aが接続される。ヘッドパイプ11Aの後方でメインフレーム12Aとの間に、バッテリ64Aへの充電を行うチャージャ65Aが、ヘッドパイプ11Aの長手方向に沿うように縦長に配置される。
これにより、メインフレーム12Aに形成された貫通孔12aAを通して巻き取り装置133Aからバッテリ64A(チャージャ65A)に至る充電用ハーネス131Aの長さを短縮できる。また、ヘッドパイプ11Aの後方空間を有効活用できる。
【0068】
図11、12に示すように、蓋部材120Aの把持部123Aは、車幅方向に蓋部材120Aよりも延出して形成される。これにより、把持部123Aをルーバー風のデザインとして見せることができる。把持部123Aが長く形成されるため、把持部123Aを持って蓋部材120Aを取り扱う作業性が向上する。
【0069】
入口スペース140Aは、すぐ真上にヘッドライト41Aが配置される。そのため、ヘッドライト41Aの照明光によって開口部110A(具体的には、蓋部材120Aの表面側)を照らす。
この場合、ヘッドライト41Aのレンズ面を、入口スペース140Aまたは開口部110A内に露出させてもよい。
【0070】
第2実施形態によれば、上記(1)、(2)、(3)、(5)の効果がある。
【0071】
<第3実施形態>
図16〜図19を参照しながら、本発明の第3実施形態に係る電源接続部収納構造103、および電源接続部収納構造103を備える電動二輪車3について説明する。
本実施形態に係る電源接続部収納構造103および電動二輪車3は、第1実施形態に係る電源接続部収納構造101および電動二輪車1とほぼ同様のものであるので、同様の部分には第1実施形態で用いた符号と同一の符号を付けたうえ、すべての符号の末尾にBを付けて示し、重複する説明は省略する。
【0072】
第3実施形態に係る電源接続部収納構造103と、第2実施形態に係る電源接続部収納構造102との相違点は、つぎのとおりである。
(d)電源接続部収納構造102では、開口部110Aが、右側ヘッドライト41Aの下側から車幅方向の右側に配置されるのに対して、電源接続部収納構造103では、開口部110Bが、左右のヘッドライト41Bの中間においてポジションライト42Bの下側から車幅方向の中央部に配置される。
(e)電源接続部収納構造102では、蓋部材120Aが、ヘッドライト41Aの下側に配置されるのに対して、電源接続部収納構造103では、蓋部材120Bが、ポジションライト42Bの下側に配置される。
【0073】
電動二輪車3は、メインフレーム12Bが、ヘッドパイプ11Bよりも前方に前方延出部12bBを備える。前方延出部12bBは、前後、左右、上下に所要の大きさを有し、前後間を貫通する貫通孔12aBを有し、貫通孔12aBの内部に、ヘッドパイプ11Bと連結する連結部を有する。
つまり、メインフレーム12Bは、車幅方向の中央において、ヘッドパイプ11Bの前後を貫通する貫通孔12aBを有する。この貫通孔12aBは、後述する開口スペース55aBと連通する開口スペース55bBとして機能する。
【0074】
フロントカウル51Bには、車幅方向の中央に配置されたポジションライト42Bの下方から真っ直ぐ後方に延びるダクト状の開口スペース55aBが備わる。開口スペース55aBの後端部は、メインフレーム12Bの貫通孔12aBすなわち開口スペース55bBの前端部に接続される。
開口スペース55aB、55bBは、エンジン(内燃機関)式の自動二輪車の場合に、燃料タンクの近辺に配置されるエアクリーナに吸気するための吸気ダクト内の吸気チャンバとして使用されるスペースである。
【0075】
巻き取り装置133Bは、開口スペース55aBの側壁に固定される。
巻き取り装置133Bからバッテリ64B(チャージャ65B)に至る充電用ハーネス131Bは、開口スペース55aB、55bB(すなわち、開口部110B)を通して配線される。この場合、充電用ハーネス131Bは、ヘッドパイプ11Bを避けて、その左側または右側を通す。
【0076】
入口スペース140Bは、すぐ真上にポジションライト42Bが配置される。そのため、ポジションライト42Bの照明光によって開口部110B(具体的には、蓋部材120Bの表面側)を照らす。
この場合、ポジションライト42Bのレンズ面を、入口スペース140Bまたは開口部110B内に露出させてもよい。
【0077】
入口スペース140Bの下面は、開口部110Bの入口位置すなわち、蓋部材120Bのすぐ手前に隆起部143Bが形成され、隆起部143Bから前端部に向けて下り勾配部144Bが形成される。これにより、入口スペース140B内に雨水が滞留しない。
【0078】
フロントカウル51Bの開口部110Bと、車体フレーム10Bとを連結するダクトユニット内に、巻き取り装置133Bを配置し、巻き取り装置133Bのユニットを組み立てた後に組み付ける。これにより、組み立て性が向上する。
【0079】
第3実施形態によれば、上記(1)、(2)、(5)の効果がある。
【0080】
<第4実施形態>
図20〜図22を参照しながら、本発明の第4実施形態に係る電源接続部収納構造104、および電源接続部収納構造104を備える電動二輪車4について説明する。
本実施形態に係る電源接続部収納構造104および電動二輪車4は、第1実施形態に係る電源接続部収納構造101および電動二輪車1とほぼ同様のものであるので、同様の部分には第1実施形態で用いた符号と同一の符号を付けたうえ、すべての符号の末尾にCを付けて示し、重複する説明は省略する。
【0081】
第4実施形態に係る電源接続部収納構造104と、第3実施形態に係る電源接続部収納構造103との相違点は、つぎのとおりである。
(f)電源接続部収納構造103では、開口部110Bが、左右のヘッドライト41Bの中間においてポジションライト42Bの下側から車幅方向の中央部に配置されるのに対して、電源接続部収納構造104では、開口部110Cが、ヘッドライト41Cの下側から車幅方向の中央部に配置される。
(g)電源接続部収納構造103では、巻き取り装置133Bが、開口部110Bの側壁に固定されるのに対して、電源接続部収納構造104では、巻き取り装置133Cが、メインフレーム12Cの前方延出部12bC内に固定される。
(h)電源接続部収納構造103では、巻き取り装置133Bが、回転軸線を横向きにして取り付けられるのに対して、電源接続部収納構造104では、巻き取り装置133Cが、回転軸線を縦向きにして取り付けられる。
【0082】
フロントカウル51Cには、ヘッドライト41Cの下側において、車幅方向の中央に配置された横長の入口スペース140Cから真っ直ぐ後方に延びるダクト状の開口スペース55aCが備わる。開口スペース55aCの後端部は、メインフレーム12Cの前方延出部12bCに形成された貫通孔12aC(開口スペース55bC)の前端部に接続される。開口スペース55aC、55bC(すなわち、開口部110C)は、横長に形成される。
【0083】
巻き取り装置133Cは、径方向をほぼ水平に指向させて、横長の貫通孔12aC(開口スペース55bC)内に固定される。これにより、車体のコンパクト化を図ることができ、また、支持剛性が向上する。
【0084】
入口スペース140Cは、すぐ真上にヘッドライト41Cが配置される。そのため、ヘッドライト41Cの照明光によって開口部110C(具体的には、蓋部材120Cの表面側)を照らす。
この場合、ヘッドライト41Cのレンズ面を、入口スペース140Cまたは開口部110C内に露出させてもよい。
【0085】
第4実施形態によれば、上記(1)、(2)、(5)の効果がある。
【0086】
<第5実施形態>
図23〜図25を参照しながら、本発明の第5実施形態に係る電源接続部収納構造105、および電源接続部収納構造105を備える電動二輪車5について説明する。
本実施形態に係る電源接続部収納構造105および電動二輪車5は、第1実施形態に係る電源接続部収納構造101および電動二輪車1とほぼ同様のものであるので、同様の部分には第1実施形態で用いた符号と同一の符号を付けたうえ、すべての符号の末尾にDを付けて示し、重複する説明は省略する。
【0087】
第5実施形態に係る電源接続部収納構造105と、第1実施形態に係る電源接続部収納構造101との相違点は、つぎのとおりである。
(i)電源接続部収納構造101では、開口部110が、フロントカウル51において、ヘッドライト41の左下側から車幅方向の左側に配置されるのに対して、電源接続部収納構造105では、開口部110Dが、右側のレッグシールド56Dの内側に配置される。
【0088】
電動二輪車5は、シュラウドタイプのカウルを備える車両である。電動二輪車5は、シート46Dの前方に配置されるニーグリップ部48Dが側方から見て露出していて、ニーグリップ部48Dの前方にレッグシールド56Dが突出して配置されている。
【0089】
電源接続部収納構造105は、フロントフェンダ26Dよりも上方におけるレッグシールド56Dの前面側に、蓋部材120Dで閉塞可能な開口部110Dが配置され、開口部110Dの内部に電源接続部130Dが収納される。
【0090】
電動二輪車5は、車体フレーム10Dの車幅方向の一側(例えば左側)に、サイドスタンド47Dを備える。車幅方向の他側(例えば右側)におけるレッグシールド56Dに、開口部110Dが配置される。
開口部110Dの下方に延出するレッグシールド56Dの内方側空間に、巻き取り装置133Dが配置される。
【0091】
サイドスタンド47Dで駐車すると、車両は左側に傾く。すると、ヘッドパイプ11Dに対して2本のフロントフォーク22Dは、左側に操舵した状態になる。そのため、右側にある開口部110Dは、操舵していない状態に比べてよく見える位置になる。これにより、サイドスタンド47Dとは反対側に設けた開口部110D内の電源接続部130Dの操作性は、非常に良好である。
【0092】
第5実施形態によれば、上記(5)の効果に加えて、以下のような効果がある。
【0093】
(6)フロントフェンダ26Dよりも上方におけるレッグシールド56Dの前面側に、電源接続部130Dが収納される開口部110Dを配置する。これにより、電源接続部130Dを取り出すことが必要な充電作業の作業性を向上できる。
開口部110Dを、車輪による泥等の跳ね上げが少ない箇所に配置して、蓋部材120Dで閉塞できるように構成する。これにより、簡易な防水構造によって、防水性を確保することができ、車両の軽量化を図ることができる。
【0094】
(7)車体フレーム10Dの車幅方向に関して、サイドスタンド47Dと開口部110Dとを互いに反対側に配置する。これにより、電動二輪車5をサイドスタンド47Dで駐車した場合に、操舵装置20Dがサイドスタンド47D側に回動されることで、反対側のレッグシールド56Dの開口部110Dと、操舵装置20Dとの間の空間を広くとることができ、充電作業の作業性を向上できる。
【0095】
<第6実施形態>
図26〜図28を参照しながら、本発明の第6実施形態に係る電源接続部収納構造106、および電源接続部収納構造106を備える電動二輪車6について説明する。
本実施形態に係る電源接続部収納構造106および電動二輪車6は、第1実施形態に係る電源接続部収納構造101および電動二輪車1とほぼ同様のものであるので、同様の部分には第1実施形態で用いた符号と同一の符号を付けたうえ、すべての符号の末尾にEを付けて示し、重複する説明は省略する。
【0096】
第6実施形態に係る電源接続部収納構造106と、第1実施形態に係る電源接続部収納構造101との相違点は、つぎのとおりである。
(j)電源接続部収納構造101では、開口部110が、フロントカウル51の前面側に配置されるのに対して、電源接続部収納構造106では、開口部110Eが、フロントカウル51Eの上面側に配置される。
【0097】
電動二輪車6は、左右に回り込むフロントカウル51Eを備える。フロントカウル51Eは、アウターカウル57aEおよびインナーカウル57bEの2枚を車幅方向に重ねるレイヤー部57Eを備える。レイヤー部57Eのアウターカウル57aEとインナーカウル57bEとの間隙において、いずれか一方のカウル57aEまたは57bEに上向きの壁部58Eが形成されて、この上向きの壁部58Eに開口部110Eの入口が配置される。
【0098】
換言すれば、開口部110Eは、操舵装置20Eに備えられるハンドル23Eの近傍で、かつ、フロントカウル51Eの上面側に開口する。
蓋部材120Eは、上側に引き抜く。側方からは見えない。前方から見てもそれほど目立たない。
巻き取り装置133Eは、レイヤー部57Eのアウターカウル57aEに固定される。
【0099】
第6実施形態によれば、上記(1)、(5)の効果に加えて、以下のような効果がある。
【0100】
(8)ハンドル23Eの近傍で、かつ、フロントカウル51Eの上面側に、電源接続部130Eが収納される開口部110Eを配置する。これにより、運転者が充電作業を行う際に乗車状態であっても、電源接続部130Eを開口部110Eから取り出すことができ、充電作業の作業性を高めることができる。
【0101】
(9)フロントカウル51Eのレイヤー部57Eの、上向きの壁部58Eに、開口部110Eの入口を配置する。これにより、開口部110Eを外観的に目立たない位置に配置できるうえ、下方からの泥の跳ね上げ等の影響を可及的に低減して、防水性および充電作業性を高めることができる。
【0102】
<変形例>
鞍乗型車両において、例えば、ツアラーと呼ばれる大型モーターサイクルの場合は、ハンドルの下回りに平坦なエリアがあり、ここに鍵付きの蓋を備える収納空間が存在する。通常は小物入れとして利用されている。このような収納空間を開口部110として利用して、その内部に電源接続部130を収納してもよい。
【0103】
充電用ハーネス131として、例えば電話機の本体と受話器とを結ぶ螺旋状コードのような、螺旋状の充電用ハーネスを用いてもよい。このような螺旋状の充電用ハーネスを用いれば、巻き取り装置133を廃止することができ、これにより、部品点数を削減して、軽量化を図ることができる。螺旋状の充電用ハーネスは、開口部110の内部に自在に配置できるため、十分なハーネス配置空間を創出できる。
【符号の説明】
【0104】
10、10A、10B、10C、10D…車体フレーム
15…第1ステー(支持ステー)
16…第2ステー(支持ステー)
20、20A、20B、20C、20D、20E…操舵装置
23E…ハンドル
25、25A、25B、25C、25D、25E…前輪
26、26A、26B、26C、26D、26E…フロントフェンダ
40、40A、40B、40C…灯火器
46D…シート
47D…サイドスタンド
48D…ニーグリップ部
51、51A、51B、51C、51D、51E…フロントカウル
55l、55r、55lA、55rA…開口スペース
56D…レッグシールド
57E…レイヤー部
57aE…アウターカウル
57bE…インナーカウル
58E…壁部
61、61D、61E…電動モータ
64、64A、64B、64C、64D、64E…バッテリ
110、110A、110B、110C、110D、110E…開口部
120、120A、120B、120C、120D、120E…蓋部材
121、121A、121B…ハーネス保持部
122、122A、122B…プラグ保持部
130、130A、130B、130C、130D、130E…電源接続部
131、131A、131B、131C、131D、131E…充電用ハーネス
132、132A、132B、132C、132D、132E…プラグ
133、133A、133B、133C、133D、133E…巻き取り装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレーム(10、10A、10B、10C)と、
前記車体フレーム(10、10A、10B、10C)に操舵自在に保持される操舵装置(20、20A、20B、20C、20E)と、
前記操舵装置(20、20A、20B、20C、20E)に回転自在に支持される前輪(25、25A、25B、25C、25E)と、
前記操舵装置(20、20A、20B、20C、20E)の前方および側方を覆うフロントカウル(51、51A、51B、51C、51E)と、
前記フロントカウル(51、51A、51B、51C、51E)と前記前輪(25、25A、25B、25C、25E)との間に配置されて、前記操舵装置(20、20A、20B、20C、20E)に固定されるフロントフェンダ(26、26A、26B、26C、26E)と、
前記車体フレーム(10、10A、10B、10C)に搭載される電動モータ(61、61E)と、
前記車体フレーム(10、10A、10B、10C)に搭載されるバッテリ(64、64A、64B、64C、64E)と、
前記バッテリ(64、64A、64B、64C、64E)に車両外から電力を供給する電源接続部(130、130A、130B、130C、130E)と、を備え、前記電動モータ(61、61A、61B、61C、61E)を動力源とする鞍乗型車両において、
前記フロントフェンダ(26、26A、26B、26C、26E)よりも上方における前記フロントカウル(51、51A、51B、51C、51E)の前面側または上面側に、蓋部材(120、120A、120B、120C、120E)で閉塞可能な開口部(110、110A、110B、110C、110E)が配置され、前記開口部(110、110A、110B、110C、110E)の内部に前記電源接続部(130、130A、130B、130C、130E)が収納される、
鞍乗型車両用電源接続部収納構造。
【請求項2】
前記フロントカウル(51、51A、51B、51C)の前面側に、灯火器(40、40A、40B、40C)を備え、
前記灯火器(40、40A、40B、40C)の照明光は、前記開口部(110、110A、110B、110C)に導かれる、
請求項1に記載の鞍乗型車両用電源接続部収納構造。
【請求項3】
前記フロントカウル(51、51A)の前面側に、左右に並んで配置される一対の開口スペース(55l、55r、55lA、55rA)を備え、
前記一対の開口スペース(55l、55r、55lA、55rA)のうちの一方を、前記開口部(110、110A)として利用し、他方を、前記バッテリ(64、64A)または前記電動モータ(61)の冷却用開口部として利用する、
請求項1または2に記載の鞍乗型車両用電源接続部収納構造。
【請求項4】
前記電源接続部(130)は、配線長を調整する巻き取り装置(133)を備え、
前記車体フレーム(10)は、前記フロントカウル(51)を固定するための支持ステー(15、16)を備え、
前記支持ステー(15、16)に前記巻き取り装置(133)が固定される、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の鞍乗型車両用電源接続部収納構造。
【請求項5】
前記開口部(110E)は、前記操舵装置(20E)に備えられるハンドル(23E)の近傍で、かつ、前記フロントカウル(51E)の上面側に、配置される、
請求項1に記載の鞍乗型車両用電源接続部収納構造。
【請求項6】
前記フロントカウル(51E)は、アウターカウル(57aE)およびインナーカウル(57bE)の2枚を車幅方向に重ねるレイヤー部(57E)を備え、前記レイヤー部(57E)のアウターカウル(57aE)とインナーカウル(57bE)との間隙においていずれか一方のカウルに上向きの壁部(58E)が形成され、前記上向きの壁部(58E)に前記開口部(110E)が配置される、
請求項1に記載の鞍乗型車両用電源接続部収納構造。
【請求項7】
車体フレーム(10D)と、
前記車体フレーム(10D)の上方に配置されるシート(46D)と、
前記シート(46D)の前方に配置されるニーグリップ部(48D)と、
前記ニーグリップ部(48D)の前方に突出して配置されるレッグシールド(56D)と、
前記車体フレーム(10D)に操舵自在に保持される操舵装置(20D)と、
前記操舵装置(20D)に固定されるフロントフェンダ(26D)と、
前記車体フレーム(10D)に搭載される電動モータ(61D)と、
前記車体フレーム(10D)に搭載されるバッテリ(64D)と、
前記バッテリ(64D)に車両外から電力を供給する電源接続部(130D)と、を備え、前記電動モータ(61D)を動力源とする鞍乗型車両において、
前記フロントフェンダ(26D)よりも上方における前記レッグシールド(56D)の前面側に、蓋部材(120D)で閉塞可能な開口部(110D)が配置され、前記開口部(110D)の内部に前記電源接続部(130D)が収納される、
鞍乗型車両用電源接続部収納構造。
【請求項8】
前記車体フレーム(10D)の車幅方向の一側に、サイドスタンド(47D)を備え、
前記車幅方向の他側における前記レッグシールド(56D)に、前記開口部(110D)が配置される、
請求項7に記載の鞍乗型車両用電源接続部収納構造。
【請求項9】
前記電源接続部(130、130A、130B、130C、130D、130E)は、前記バッテリ(64、64A、64B、64C、64D、64E)側に接続されて、先端にプラグ(132、132A、132B、132C、132D、132E)を備えた充電用ハーネス(131、131A、131B、131C、131D、131E)を備え、
前記蓋部材(120、120A、120B、120C、120D、120E)は、その裏面側に、前記電源接続部(130、130A、130B、130C、130D、130E)の前記プラグ(132、132A、132B、132C、132D、132E)を着脱自在に保持するプラグ保持部(122、122A、122B)と、前記プラグ(132、132A、132B、132C、132D、132E)に連なる前記充電用ハーネス(131、131A、131B、131C、131D、131E)を摺動自在に保持するハーネス保持部(121、121A、121B)と、を備え、
前記蓋部材(120、120A、120B、120C、120D、120E)は、前記開口部(110、110A、110B、110C、110D、110E)に対して着脱可能に構成され、前記開口部(110、110A、110B、110C、110D、110E)に装着されることにより前記開口部(110、110A、110B、110C、110D、110E)を閉塞する、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の鞍乗型車両用電源接続部収納構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2012−176695(P2012−176695A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40858(P2011−40858)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】