説明

音声発生玩具

【課題】地図上の任意の場所を指示するだけで、指示した国に関する様々な情報が音声で入手することができ、視覚の面からだけでは得られない情報を聴覚の面からも入手でき、年少者の学習意欲を高めることができる音声発生玩具を提供すること。
【解決手段】音声発生玩具を可視情報aとして地図が印刷された地図体Aと、該地図a上の任意の場所を指示する指示手段1及び、該指示手段1の指示した部分に関する情報を音声で出力する音声出力手段2からなる音声情報出力装置Bとで構成し、上記可視情報aに重ねて、該可視情報aを視覚的に損なわない二次元コードからなる不可視情報bを印刷し、上記指示手段1で指示した場所の不可視情報bは、該指示手段1で読み取られて上記音声出力手段2に入力され、該音声出力手段2は読み取った不可視情報bに基づいて指示した部分に関する情報を音声で出力するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声発生玩具、詳しくは地図が印刷された地図体の任意の場所を指示すると、指示した場所に関する情報が音声で入手することができる音声発生玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地球上の国名や首都名などを表示した地図や地球儀が広く利用されているが、単に地図を表示するだけではなく、学習する機能を付加した地球儀が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この地球儀は、小針を刺すことができる材質よりなる球体を芯とし、該芯の表面に、世界地図を印刷した伸縮性のある布地を貼着したもので、小針には地名、国名又は国旗等を記載した紙面を付けて小旗とし、この小旗をそれぞれ該当する位置に刺せるようにしたもので、地球儀表面にクロスを貼着し、このクロスに世界地図が描かれているため小旗を刺しても針孔は残らず、繰り返し小旗を刺すことができるようにしたものである。
【特許文献1】特開平8−16101号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする問題点は、上述の地球儀の場合、小旗に情報が記載されているため、異なる情報を同一場所に表示するためには小旗を同一場所に複数立てなければならず、狭い面積の国には複数の小旗を建てることは無理があり、その旗を立てる場所が判らなければ地図上に小旗を立てることができない点であった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決し、地図上の任意の場所を指示するだけで、指示した国に関する様々な情報が音声で入手することができ、視覚の面からだけでは得られない情報を聴覚の面からも入手でき、年少者の学習意欲を高めることができる音声発生玩具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために本発明に係る音声発生玩具は、以下の要件を備えることを特徴とする。
(イ)上記音声発生玩具は表面に可視情報として地図が印刷された地図体と、該地図上の任意の場所を指示する指示手段及び、該指示手段の指示した部分に関する情報を音声で出力する音声出力手段からなる音声情報出力装置とから構成されていること
(ロ)上記地図体の表面には上記可視情報に重ねて、該可視情報を損なわない不可視情報が印刷されていること
(ハ)上記不可視情報は二次元コードで構成されていること
(二)上記指示手段で指示した場所の不可視情報は、該指示手段で読み取られ、読み取られた不可視情報は上記音声出力手段に入力され、該音声出力手段は読み取った不可視情報に基づいて指示した部分に関する情報を音声で出力すること
【0007】
なお、前記地図体には、前記可視情報として地図に加えて、出力する音声情報を制御する制御情報が印刷され、該可視情報には上記制御情報を定義する不可視情報が重ねて印刷されていればよい。
【0008】
そして、前記地図体は地球儀の形状であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、可視情報として地図が印刷された地図体の任意の場所を指示手段で指示すると、可視情報に重ねて印刷された不可視情報が読み取られ、読み取った不可視情報に基づいて指示した部分に関する情報が音声で出力させるので、地図上に目で見ることができる、限られた情報以外の様々な情報を、入手することができる新しい発想の音声発生玩具を提供することができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、出力される音声情報を制御する制御情報が地図体に可視情報として印刷されているので、制御情報を指示手段で指示するだけで、地図上の同一の場所を指示しても異なる情報を入手することができ、情報の幅を広げることができる。
【0011】
請求項3の発明によれば、地球儀という限られた大きさの中に、沢山の情報を擬似的に収容することができ、単に地球上の国の位置関係だけではなく、その国に関する様々な情報を入手することができる画期的な地球儀を構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
音声発生玩具を表面に可視情報として地図が印刷された地図体と、この地図上の任意の場所を指示する指示手段及び、指示手段で指示した部分に関する情報を音声で出力する音声出力手段からなる音声情報出力装置とから構成し、上記地図体の表面には上記可視情報に重ねて、可視情報を損なわない二次元コードからなる不可視情報を印刷し、上記指示手段で指示した場所の不可視情報は指示手段で読み取られ、読み取られた不可視情報は上記音声出力手段に入力され、音声出力手段は読み取った不可視情報に基づいて指示した部分に関する情報を音声で出力するようにした。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明に係る音声発生玩具の一例を示し、この音声発生玩具は表面に可視情報aとして地図が印刷された地図体Aと、この可視情報aの任意の場所を指示すると、指示した部分に関する情報を音声で出力する音声情報出力装置Bとから構成されている。
【0014】
地図体Aは紙やビニールなどのシート又は図示しない本等の表面に可視情報である地図aが印刷されたもので、外観上は一般の地図と同等であるが、可視情報aに重ねて不可視情報bが印刷されているものである。
【0015】
なお、上記地図体Aには、上記地図aに加えて、出力する音声情報を制御する制御情報a´が可視情報として印刷され、この可視情報には上記制御情報a´を定義する不可視情報bが重ねて印刷されている。本実施例では、上記制御情報a´は、地図aに関連した情報(本実施例では、国名、首都、人口、面積、特徴に設定)と、初期設定に関する情報(本実施例では、音量UP、音量DOWN、BGMのON/OFF、リセット)とで構成され、この制御情報a´は、図2に示すように、文字や図柄で印刷されている。この、制御情報a´である可視情報にも上述の可視情報と同様に不可視情報が重ねて印刷されている。
【0016】
可視情報aは、赤外線をほとんど吸収しないインク(例えば、基本の色インク、すなわちシアン、マゼンダ、イエローの組合せ)でカラー印刷され、不可視情報bは可視情報aの上に、赤外線を吸収するインク(例えば、黒の油性インク)で印刷された二次元コードで構成されている。
【0017】
不可視情報bは視覚上の邪魔にならないように容易に視認できないような小さなドット(0.5ミリ角内に6X6個)からなる二次元コード(以下、ドットコードという)で構成されるとともに、6X6のドットコードを1つのデータ単位とし、地図体1の可視情報a上に2次元的に連続して印刷されているもので、ヘッダ情報b1とデータ情報b2とから構成され、ヘッダ情報b1はドットコードbを他のドットコードbと切り分ける情報を備え、データ情報b2は可視情報aを特定する情報が表示されているものである(図2、3参照)。
【0018】
音声情報出力装置Bは、図4に示すように、指示手段であるペンを模して形成された指示部1と、音声情報を出力する音声出力手段である音声出力部2とから構成され、指示部1と音声出力部2とはケーブル3で着脱可能に接続されている。
【0019】
指示部1はドットコードbを読み取る読取装置4を備え、音声出力部2は読取装置4で読み取ったドットコードに基づいてメモリ5に記憶されている音声データを読み出してスピーカ6から音声を出力させる制御部7を備えている。
【0020】
なお、音声出力部2には、前カバー10が上下に回動可能に設けられ、この前カバー10を後方に回動するとメモリ5であるROMを内装したカートリッジ11を差し込む差込口12が開放され、この差込口12にカートリッジ11を差し込むとカートリッジ11のプラグ13が音声出力部2のソケット14に差し込まれるようになっている。
【0021】
図5に示すように、読取装置4は赤外線を照射する光源15と、導光体16aと一体に形成されたレンズ16、フィルター17、画像センサー18及び、処理プログラムを内蔵したドットパターン認識CPU19とから構成され、光源15から導光体16aを介して地図体の表面に照射された赤外線の一部はドットコードbで吸収され、吸収されずに反射した反射光はレンズ16で集光されてフィルター17を通し、画像センサー18に取り込まれ、取り込まれた画像はデジタル信号に変換され、デジタル信号はドットパターン認識CPU19でデータ情報b2からドットコードが解析され、そのドットコードbを構成するドットの組合せを数字コードに変換する。
【0022】
音声出力部2に配置された制御部7はプログラマブル音声合成ICで構成されればよく、この制御部7は指示部1で変換された数字コードに基づいてカートリッジ11に内装されたメモリ5であるROMから音声データを読み出し、読み出した音声データを音声信号に変換してスピーカ6からドットコードbで定義された可視情報aに関連する音声情報を出力させるようになっている。
【0023】
次に、上記構成の音声発生玩具の使用態様について説明する。先ず、音声出力部2にカートリッジ11をセットし、電源スイッチ20をONする。次に、指示部1の先端を、地図体Aの表面に印刷された制御情報a´にタッチして、初期設定と情報の選択を行なう。
【0024】
初期設定では出力される音声情報の音量を大きくしたければ「UP」、音量を小さくしたければ「DOWN」、BGMを出力させるか否かは「ON/OFF」、設定をリセットする場合は「リセット」にタッチすればよい。
【0025】
上記初期設定の制御情報a´には、それぞれドットコードbが重ねて印刷されているので、指示部1の先端を希望する制御情報にタッチさせると、内装された読取装置4がドットコードを読み込み、ドットパターン認識CPU19でドットコードが数字コードに変換されて音声出力部2に入力されるので、音声出力部2の制御部7はその数字コードに基づいて初期設定を行なう。
【0026】
初期設定が済んだら、出力させる音声情報が、国名なのか、首都名なのか、人口なのか、面積なのか、その国の特徴なのかを選択する。この選択は、制御情報a´の「国名」、「首都」「人口」「面積」「特徴」の何れかに指示部1の先端をタッチさせればよい。
【0027】
指示部1の先端を希望する制御情報にタッチさせると、内装された読取装置4がドットコードを読み込み、ドットパターン認識CPU19でドットコードが数字コードに変換されて音声出力部2に入力されるので、音声出力部2の制御部7はその数字コードに基づいて出力される音声情報の分類を設定し、地図上の同じ位置を指示部1で指示しても指定した分類の音声情報をメモリ5から読み出すようにプログラミングされている。
【0028】
出力させる音声情報を選択したならば、指示部1の先端を地図体A上に印刷された地図a上の任意の場所にタッチすればよい。地図aには国ごとに異なるドットコードbが重ねて印刷されているので、指示部1に内装された読取装置4がドットコードを読み込み、ドットパターン認識CPU19でドットコードが数字コードに変換されて音声出力部2に入力されるので、音声出力部2の制御部7はその数字コードに基づいて指示部1が指定した場所(国)を認識し、予め設定された音声情報の分類の中から、その国に対応した音声データをメモリ5から読み出すようになっている。
【0029】
例えば、「国名」にタッチした後、地図体A上に印刷された地図aのエジプトにタッチすると、音声で国名が「エジプト」と出力され、「首都」にタッチした後、球体上に印刷された地図aのギリシャにタッチすると、音声で首都名が「ギリシャの首都は、アテネ」と出力され、「人口」にタッチした後、球体上に印刷された地図aのアメリカにタッチすると、音声で人口が「アメリカ合衆国の人口は、XXX億人」と出力され、「面積」にタッチした後、球体上に印刷された地図aのフランスにタッチすると、音声で「フランスの面積は、△△△万平方キロメートル」と出力され、「特徴」にタッチした後、球体上に印刷された地図aのバチカンにタッチすると、音声で「バチカン市国は、ローマ市内に存在する世界で一番小さな国です」と出力されされるようになっている。
【0030】
上述のように、指示部1で地図体A上に印刷された可視情報である地図aにタッチするだけで、タッチした部分の国に関する様々な情報が音声で出力されるので、外観的には単なる地図であるにもかかわらず、様々な情報が入手することができ、世界の国々に関心を持つとともに、学習意欲を高めることができる音声発生玩具を実現することができる。
【実施例2】
【0031】
図6は、音声発生玩具の他の例を示し、この音声発生玩具は地図体Aが地球儀で構成されたもので、地球儀体30の表面には可視情報として地図aが印刷され、基台31の上部前面には上述した制御情報a´が可視情報として印刷されたシール32、33が貼着され、シール32には初期設定に関する可視情報が印刷され、シール33には地図aに関連した情報(本実施例では、国名、首都、人口、面積、特徴に設定)がそれぞれ印刷され、これらの可視情報には上記制御情報a´を定義する不可視情報bが重ねて印刷されている。
【0032】
さらに、上記基台31には引き出し34が設けられ、この引き出しには、図7に示すように、カートリッジ11が収納されるとともに、バルカン半島周辺拡大図35が収容されている。バルカン半島周辺拡大図はバルカン半島周辺が密集しているため、地球儀体30上に印刷された地図からは正確にドットコードを読み取ることができないために使用するもので、拡大図上にも不可視情報であるドットコードが印刷されている。
【0033】
上記構成の音声発生玩具によれば、図8(a)に示すように、基台31上に貼付されたシール32、シール32の可視情報a´に指示部1の先端をタッチさせて前述の地図体Aと同様に初期設定を行なうとともに、出力させる音声の分類を設定すればよい。
【0034】
出力させる音声情報を選択したならば、指示部1の先端を地球儀体30上に印刷された地図a上の任意の場所にタッチすればよい。地図aには国ごとに異なるドットコードbが重ねて印刷されているので、指示部1に内装された読取装置4がドットコードbを読み込み、ドットパターン認識CPU19でドットコードが数字コードに変換されて音声出力部2に入力されるので、音声出力部2の制御部7はその数字コードに基づいて指示部1が指定した場所(国)を認識し、予め設定された音声情報の分類の中から、その国に対応した音声データをメモリ5から読み出し、読み出した音声データはスピーカから音声情報として出力されるので、ユーザーは知りたい国の様々な情報を地球儀体上の知りたい国の位置に指示部1の先端を接触させることにより、簡単に入手することができる。
【0035】
なお、人口や特徴など年々変化する情報は、新しい情報を書き込んだカートリッジ11を提供すればよく、ユーザーは情報の更新されたカートリッジを購入すれば、新しい情報を入手することができるとともに、カートリッジを入れ替えることにより過去の情報と新しい情報とを比較することもでき、固定的な情報しか提供できない従来の地球儀との差別化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る音声発生玩具の構成を説明する斜視図(実施例1)
【図2】可視情報の一例とその可視情報に重ねて印刷された不可視情報との説明図
【図3】地図体上に印刷された可視情報と不可視情報との説明図
【図4】音声情報出力装置の斜視図
【図5】上記音声情報出力装置のブロック図
【図6】音声発生玩具の他の例を説明する斜視図(実施例2)
【図7】上記他の例の音声発生玩具における地図体の説明図
【図8】(a)(b)は上記他の例の音声発生玩具の使用状態説明図
【符号の説明】
【0037】
1 指示手段(指示部)
2 音声出力手段(音声出力部)
A 地図体
a 可視情報(地図)
B 音声情報出力装置
b 不可視情報(ドットコード)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の要件を備えることを特徴とする音声発生玩具。
(イ)上記音声発生玩具は表面に可視情報として地図が印刷された地図体と、該地図上の任意の場所を指示する指示手段及び、該指示手段の指示した部分に関する情報を音声で出力する音声出力手段からなる音声情報出力装置とから構成されていること
(ロ)上記地図体の表面には上記可視情報に重ねて、該可視情報を視覚的に損なわない不可視情報が印刷されていること
(ハ)上記不可視情報は二次元コードで構成されていること
(二)上記指示手段で指示した場所の不可視情報は、該指示手段で読み取られ、読み取られた不可視情報は上記音声出力手段に入力され、該音声出力手段は読み取った不可視情報に基づいて指示した部分に関する情報を音声で出力すること
【請求項2】
前記地図体の表面には、前記可視情報として地図に加えて、出力する音声情報を制御する制御情報が印刷され、該可視情報には上記制御情報を定義する不可視情報が重ねて印刷されている、請求項1記載の音声発生玩具。
【請求項3】
前記地図体は地球儀の形状である、請求項1又は2記載の音声発生玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−43093(P2006−43093A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−227724(P2004−227724)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 
【出願人】(000132998)株式会社タカラ (35)
【Fターム(参考)】