説明

音声記録再生装置及び音声再生装置

【課題】 音声記録再生装置及び音声再生装置において、通話中で複数に分割して記録された音声を再生する場合、元の通話と同じ時間経過をたどった音声として出力する。
【解決手段】 音声記録再生装置及び音声再生装置において、音声データを再生して出力する音声出力手段と、音声出力手段が出力する音声データを通話毎に選択する操作を行う操作手段と、音声出力手段に無音を出力させる制御を行う無音出力制御手段と、操作手段によって選択操作された通話に該当する音声データをインデックスデータに記録された通話識別データに基づいて識別して音声出力手段に出力させるとともに、操作手段によって選択操作された通話に該当する音声データが複数存在する場合、インデックスデータの音声データ入力終了時刻及び音声データ入力開始時刻に基づいて当該通話の音声データが記録されていない時間に無音データを前記無音出力制御手段に出力させる制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話等の通信回線を介して送受信される音声データを記録し再生する音声記録再生装置、及び音声データを再生する音声再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の通信回線に接続され、各通信回線から入力される通話の音声信号を符号化し音声データとして記録し、記録された音声データを再生する音声記録再生装置がある。音声記録再生装置を備えた一般的な音声記録再生システムの構成を、図10、図11のブロック図に示す。このような音声記録再生システムは、例えば、多数のオペレータが電話の応対を行うコールセンタ等で用いられる。図10において、公衆電話等の通信回線網を介して着信した呼は、PBX(Private Branch eXchange)30により複数の回線端末33a、33b、33cのいずれかに接続される。
【0003】
PBX30の出力回線は、音声記録再生装置31a、31bにも並行して接続されていて、通話の音声信号が音声記録再生装置31a、31bに入力され記録される。通話管理記録装置32は、LAN(Local Area Network)を介して、PBX30、音声記録再生装置31a、31bに接続され、PBX30に着信した呼が、いつ、どの回線端末に接続され、いつ切断されたかという通話に関する情報(以下、呼情報と言う。)を記録する。
【0004】
図11において、図10と共通の構成要素には同符号を付して説明を省略する。図11は、図10の音声記録再生装置31a、31b、通話管理記録装置32を、それぞれ音声記録装置34a、34b、音声再生装置35に置き換えた構成である。音声再生装置35は、呼情報の記録機能を備える。
【0005】
図10、図11に示した音声記録再生システムに用いられる音声記録再生装置には、通話中の無音部分を省略して記録媒体の使用効率を向上させるものがある。そのような音声記録再生装置は、通信回線毎の通話の開始及び終了並びに通話中の音声の入力開始及び入力終了を検出手段によって検出し、通話の開始から終了までの音声を記録するとともに、通話の行われた日時、通話の行われた回線のチャンネル番号を通話毎のインデックスデータとして記録し、記録したインデックスデータに基づいて記録された音声データを検索して再生を行う機能を備える。
【0006】
通信回線毎の通話の開始から終了までの期間を検出するためには、接続されている通信端末(電話機)がオンフックかオフフックかによって変化する通信回線の直流電圧によって通話中であるか否かを判別する手段などが用いられる。また、通話中の音声の入力開始から入力終了までの期間を検出するためには、通信回線から入力される音声信号レベルが音声記録再生装置内に予め設定されたしきい値を越えた場合に音声有りと判別する手段などが用いられる。
【0007】
通信回線から入力される音声信号レベルが予め設定されたしきい値を越えた場合に音声有りと判別する場合、通話中に、話者がしきい値以下の音声信号レベルになるような小さな声で話した場合、又は、通話中に話者が調べものをするなどの理由で音声信号がない状態が続いた場合、音声記録再生装置は、音声の入力終了と判断して、音声データの記録を終了することがあった。記録終了後、再度、しきい値を越える音声信号レベルの入力があると、音声記録再生装置は、音声データの記録を再開するが、前の音声データのファイルとは別のファイルとして記録されるため、一通話の音声データが、複数のファイルに分割されて記録される。音声記録再生装置は、複数に分割された一通話の音声データを関連及び順序づけて記録し、一つの通話として連続して再生する(特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2001−203814号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に開示されている音声記録再生装置は、一通話の音声データを複数のファイルに分割して記録し、その複数のファイルの音声データを連続して再生することにより、使用者は、通話の内容を知ることができる。
例えば、コールセンタ等では、音声記録再生装置が記録した音声データを再生し、顧客からの通話の応対に関して、顧客からの問合せ内容が何であるか、そして、いつ、誰が、どのように応対したかを確認するために使用されることがある。
【0010】
しかし、音声記録再生装置は、しきい値以下の音声信号レベルの音声データ(小さな声の通話や無音の部分)は記録されていないため、複数のファイルの音声データを連続して再生する場合、当該小さな声の通話や無音の部分は再生されない。従って、音声データの聴取者は、通話中に小さな声の通話や無音の部分があったことを知ることができず、通話の時間経過の状況を誤って認識する虞がある。
【0011】
具体的には、オペレータが顧客に応対している間に調べものなどをするために、顧客を待たせることがあるが、コールセンタを運営する管理者にとっては、オペレータが顧客を待たせる時間を管理する必要がある。そのため、音声記録再生装置に記録された通話の音声データを再生する場合、通話中の無音声の部分の時間を正しく認識できるようにすることが必要になる。
【0012】
本発明の目的は、音声記録再生装置及び音声再生装置において、記録媒体の使用効率を向上させるために一通話の音声データが分割されて記録された場合、元の通話と同じ時間経過をたどった音声データとして再生する機能を備えた装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の請求項1に記載の音声記録再生装置は、通信回線を介して入力される通話の音声データを記録及び再生する音声記録再生装置において、前記通信回線の通話の音声データの入力開始と入力終了を検出する音声検出手段と、前記通信回線から入力される音声データを前記音声検出手段が検出した音声データの入力開始から入力終了まで記録する音声データ記録手段と、現在時刻を計時し出力する時計と、前記通信回線の通話の開始及び終了を検出し前記時計が出力する時刻に基づいて通話開始時刻及び通話終了時刻を記録する通話管理記録手段と、前記音声データ記録手段に記録される音声データに関連するインデックスデータを記録するインデックスデータ記録手段と、前記音声検出手段が検出した音声データの入力開始及び入力終了の時刻を前記時計が出力する現在時刻データに基づいて前記インデックスデータ記録手段が記録するインデックスデータに記録させ、前記通話管理記録手段が記録した通信回線の通話開始時刻から通話終了時刻までに前記音声検出手段が検出した音声データに関連してインデックスデータ記録手段が記録するインデックスデータに通話を識別する通話識別データを記録させる記録制御手段と、前記音声データ記録手段に記録された音声データを再生して出力する音声出力手段と、前記音声出力手段が出力する音声データを通話毎に選択する操作を行う操作手段と、前記音声出力手段に無音データを出力させる制御を行う無音出力制御手段と、前記操作手段によって選択操作された通話に該当する音声データをインデックスデータに記録された通話識別データに基づいて識別して前記音声出力手段に出力させるとともに、前記操作手段によって選択操作された通話に該当する音声データが複数存在する場合、インデックスデータの音声データ入力終了時刻及び音声データ入力開始時刻に基づいて当該通話の音声データが記録されていない時間に無音データを前記無音出力制御手段に出力させる再生制御手段とを備えるものである。
【0014】
本発明の請求項2に記載の音声記録再生装置は、請求項1に記載の音声記録再生装置であって、前記音声出力手段が前記音声データ記録手段が記録した音声データを出力していること又は前記無音出力制御手段によって無音データを出力していることを表示する表示手段を備えるものである。
【0015】
本発明の請求項3に記載の音声再生装置は、通信回線を介して入力される通話の音声データ及び前記音声データに関連するインデックスデータが記録され、前記インデックスデータには音声データの入力開始時刻、音声データの入力終了時刻、及び通話を識別する通話識別データが記録された記録媒体を再生する音声再生装置であって、前記記録媒体に記録された音声データを再生して出力する音声出力手段と、前記音声出力手段が出力する音声データを通話毎に選択する操作を行う操作手段と、前記音声出力手段に無音データを出力させる制御を行う無音出力制御手段と、前記操作手段によって選択操作された通話に該当する音声データをインデックスデータに記録された通話識別データに基づいて識別して前記音声出力手段に出力させるとともに、前記操作手段によって選択操作された通話に該当する音声データが複数存在する場合、インデックスデータの音声データ入力終了時刻及び音声データ入力開始時刻に基づいて当該通話の音声データが記録されていない時間に無音データを前記無音出力制御手段に出力させる制御手段とを備えるものである。
【0016】
本発明の請求項4に記載の音声再生装置は、請求項3に記載の音声再生装置であって、前記音声出力手段が音声データを出力していること又は前記無音出力制御手段によって無音データを出力していることを表示する表示手段を備えるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の音声記録再生装置及び音声再生装置によれば、一通話の中で分割されて記録された音声データを再生する場合、音声データが分割され音声データが記録されなかった時間は無音データを出力し、元の通話と同じ時間経過をたどった音声データとして出力することができる。
本発明の音声記録再生装置及び音声再生装置によれば、音声データの再生中、記録された音声データを出力しているか記録された音声データのない部分で無音データを出力しているかを表示して使用者に示すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明の音声記録再生装置の一実施例の構成を示すブロック図である。
信号入力部1は、音声検出部101、音声圧縮部102を備える。
音声検出部101は、通信回線から入力端子INを介して入力される音声信号の振幅電圧の実効値を検出し、音声検出部101内に予め設定された電圧値以上かどうかを判別して、音声の入力開始及び入力終了を検出し、検出信号を機器制御部201に出力する。
音声圧縮部102は、通信回線から入力端子INを介して入力される音声信号を圧縮符号化処理し、圧縮した音声データとして出力する。音声圧縮部102が出力した音声データは、記録再生部5の音声記録領域部501に記録される。
【0019】
音声検出部101が音声の入力開始を検出して音声データの記録を開始した後、通話中に、話者が予め定められた電圧値以下の音声信号になるような小さな声で話した場合、又は、通話中に話者が調べものをするなどの理由で音声信号がない状態が続いた場合、音声の入力終了と判断して、音声データの記録を終了することがあった。記録終了後、再度、予め設定された電圧値を越える音声信号の入力があると、音声データの記録を再開するが、前の音声データのファイルとは別のファイルとして記録されるため、一通話の音声データが、複数のファイルに分割されて記録される。
【0020】
制御部2は、機器制御部201、時計202、無音出力制御部203を備える。
機器制御部201は、操作部3に備えられた記録開始ボタンを操作者が操作することによって、信号入力部1に入力され音声圧縮部102で圧縮符号化された音声データを記録再生部5の音声記録領域部501に記録する制御を行う。
機器制御部201は、記録再生部5に記録されているインデックスデータを表示部4に表示し、当該インデックスデータに関連して音声記録領域部501に記録されている音声データを読み出して、音声出力部6に出力する制御を行う。
【0021】
機器制御部201は、音声検出部101から音声データの入力開始の検出信号を受信すると、信号入力部1から出力された音声データを記録するように記録再生部5を制御する。
時計202は、現在時刻を計時し、日時データを機器制御部201に出力する。機器制御部201は、時計202から入力される日時データを用いて、音声検出部101から音声データの入力の開始信号又は終了信号が入力されたときの開始日時又は終了日時を、記録再生部5に出力し、インデックス記録領域部502に記録する制御を行う。
無音出力制御部203は、複数の音声データに分割して記録された一通話の音声データを再生する場合、音声データの入力終了日時と入力開始日時に基づいて、分割された音声データの間の無記録時間に相当する無音データを音声伸張部601に出力する。
【0022】
操作部3は、記録開始ボタン、記録停止ボタン、音声データ検索・再生ボタン、スキップボタン等の操作ボタンを備え、通信回線から入力される通話の音声データ、インデックスデータの記録開始又は記録停止、記録された音声データの検索・再生の各操作を行う。
表示部4は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、以下、LCDと言う。)等の表示器であって、制御部2の制御により、記録再生部5に記録された情報、操作者が操作部3の操作ボタンによって入力した操作を示す情報等を表示する。
【0023】
記録再生部5は、ハードディスクドライブ(Hard Disc Drive、以下、HDDと言う。)等のデータ記録再生装置を用い、データ記録再生装置内の記録領域を、第1の記録再生手段として音声データを記録再生するための音声記録領域部501、第2の記録再生手段として音声データを検索するための見出し情報であるインデックスデータを記録再生するためのインデックス記録領域部502とに分けて構成し、制御部2の制御により各通話の音声データ及びインデックスデータの記録再生を行う。
【0024】
音声出力部6は、音声伸張部601、音声増幅部602、スピーカ603を備える。
音声伸張部601は、音声記録領域部501に記録されている圧縮された音声データを再生する場合、音声データを伸張処理しアナログ音声信号に変換して音声増幅部602に出力する。
音声増幅部602は、入力されたアナログ音声信号を増幅し、スピーカ603を介して外部に音声出力する。
【0025】
通話管理記録部7は、HDD等のデータ記録再生装置を用い、通話検出部701、通話管理記録領域部702を備える。
通話検出部701は、通信回線に接続されている通信端末(電話機)がオンフックかオフフックかによって変化する直流電圧値によって通話の開始及び終了を検出し、時計202から出力される日時データを用いて、通話毎の開始時刻及び終了時刻をデータ記録装置内の通話管理記録領域部702に記録する。
【0026】
図2は、本発明の音声記録再生装置の一実施例の記録動作を示すフローチャートである。
装置の電源を入れた後、操作部3の記録開始ボタンを操作すると、音声記録再生装置は通話の音声データを記録開始可能な状態で待機し、通話開始の有無を検出する(S1)。
音声記録再生装置に接続されたいずれかの回線端末で通話が開始されると、通話検出部701が通話の開始を検出し(S1でYes)、通話管理記録部7は、通話管理記録領域部702に通話開始時刻を記録する(S2)。
【0027】
続けて、音声検出部101は、入力される音声信号の電圧により音声データの入力が開始したか否かを検出する(S3)。音声検出部101が、音声データの入力の開始を検出すると(S3でYes)、機器制御部201に検出信号を出力する。機器制御部201は、検出信号が入力されると、音声入力部1に入力され音声圧縮部102によって圧縮処理された音声データを音声記録領域部501に記録開始するように記録再生部5を制御する(S4)。機器制御部201は、音声データの記録を開始したチャンネル番号、音声入力開始時刻をインデックスデータとしてインデックス記録領域部502に記録するように記録再生部5を制御する(S5)。
【0028】
音声検出部101は、音声信号の入力電圧により終了を検出すると(S6でYes)、検出信号を機器制御部201に出力する。機器制御部201は、音声データの記録を停止するように記録再生部5を制御する(S7)。機器制御部201は、音声入力終了時刻をインデックスデータとしてインデックス記録領域部502に記録するように記録再生部5を制御する(S8)。通話検出部701が通話の終了を検出しなければ(S9でNo)、S3の音声データの入力が開始したか否かの検出処理に戻って、S3以後の処理を繰り返し行う。通話検出部701が通話の終了を検出した場合(S9でYes)、通話管理記録部7は、通話管理記録領域部702に通話終了時刻を記録する(S10)。機器制御部201は、通話管理記録部7から通話開始時刻及び通話終了時刻を読み出し、通話開始時刻から通話終了時刻までに音声記録領域部501に記録した音声データのインデックスデータに、通話識別データとして用いる呼情報識別値を記録させる制御を記録再生部5に行い(S11)、終了する。
【0029】
図3は、本実施例の音声記録再生装置が記録するインデックスデータの構成の例を示す図である。インデックスデータは、音声が記録された通話回線のチャンネル番号、インデックスデータ毎の管理番号、音声データのファイル名、音声入力開始日時、音声入力終了日時、呼情報識別値の各項目で構成される。音声データが記録される毎にインデックスデータが作成されてインデックス記録領域部502に記録される。
【0030】
管理番号は、制御部2が記録した音声データを管理するための通し番号である。ファイル名は、音声データ毎に重複しないファイル名であり、制御部2が、音声記録領域部501に音声データを記録するとき、付与して記録する。本実施例では、チャンネル番号と音声入力開始日時の数字列をファイル名として用いて記録する。音声データのファイル名の形式はcc_yyyymmddhhmm.WAVとする。ここで、ccはチャンネル番号、yyyymmddは音声入力開始年月日(yyyy年mm月dd日)、hhmmは音声入力開始時刻(hh時mm分)である。ここで、音声入力開始年月日及び時刻は、時計202が機器制御部201に出力する日時データを用いる。
【0031】
音声入力開始日時、音声入力終了日時は、音声データの記録の開始日時、終了日時であり、音声検出部101が音声データの入力開始、入力終了を検出したときに時計202が出力する日時データに基づいて記録する。呼情報識別値は、記録した音声データがどの通話に相当するものであるかを識別するために用いる値であって、制御部2によって通話毎に重複しない値が付与され、同じ通話の音声データのファイルには同じ値が付与される。
【0032】
図3において、(a)は第2チャンネルの音声データの記録開始前の状態を示し、(b)は第2チャンネルの音声データの入力された記録開始後の状態を示す。
(a)に示す記録開始前の状態では、管理番号00004691までのインデックスデータが既に記録されている状態を示す。(b)に示す記録開始後の状態では、記録開始後、管理番号00004692から管理番号00004693までのインデックスデータが記録された状態を示す。また、通話終了前であって、呼情報識別値がNULLとなっている状態を示す。
【0033】
図4は、本実施例の音声記録再生装置が記録するインデックスデータの構成の例を示す図であり、図5(b)に示した管理番号00004692から00004693までの記録の後、通話が終了し、呼情報識別値が記録された状態を示す。チャンネル番号2に関する呼情報を受信し、2001年1月4日の13時42分に通話を開始し同日14時に通話を終了したことにより、当該通話時間内に音声データが記録された管理番号00004692と00004693のインデックスデータに同じ呼情報識別値0103007を記録した状態を示す。
【0034】
図5は、本発明の音声記録再生装置及び音声再生装置の一実施例の再生動作を示すフローチャートである。
装置の電源が入れられた状態で、操作部3の再生開始操作を待つ状態であり、操作部3の音声データ検索・再生開始ボタンによって、再生しようとするインデックスデータ(チャンネル番号、音声開始日時、呼情報識別値等)が入力されて(ST1)、再生を開始する操作がされた場合(ST2でYes)、機器制御部201は、インデックス記録領域部502に記録されたインデックスデータを読み出す(ST3)。
【0035】
機器制御部201は、ST1で入力されたインデックスデータとST3で読み出したインデックスデータとを比較する(ST4)。比較した結果、一致するインデックスデータがあれば(ST5でYes)、機器制御部201は、比較の結果が一致したインデックスデータの呼情報識別値を参照し、同じ呼情報識別値が記録されたインデックスデータを読み出す(ST6)。ST5で、一致したインデックスデータがなければ、該当データがない旨を表示部4に表示して、終了する。
【0036】
同じ呼情報識別値が記録されたインデックスデータが1個であれば(ST7でNo)、当該インデックスデータに記録されている通話開始日時、通話終了日時を読み出し、通話時間を算出して、表示部4に表示し(ST8)、音声データ記録領域部501に記録された音声データを読み出し音声出力部6を介して出力し(ST9)、音声データを出力している旨を表示部4に表示する(ST10)。音声データを最後まで再生した後(ST11でYes)、終了する。
【0037】
同じ呼情報識別値が記録されたインデックスデータが複数であれば(ST7でYes)、機器制御部201は、当該複数のインデックスデータは同じ通話に関して記録されたものと判別し、音声入力開始日時、音声入力終了日時を参照して、同じ呼情報識別値が記録されたインデックスデータのうち、最も早い音声入力開始日時及び最も遅い音声入力終了日時を当該通話の開始日時及び終了日時であると判断し、通話時間を算出して、表示部4に表示する(ST12)。ここで、複数のインデックスデータを、音声入力開始日時、音声入力終了日時の順に並べて表示部4に表示しても良い。また、音声データの音声入力開始日時、音声入力終了日時から、音声データが記録されていない区間を算出して、当該区間の数、各区間の時間を表示部4に表示しても良い。
【0038】
機器制御部201は、インデックスデータに記録されたファイル名を基に音声データ記録領域部501から音声データを読み出し、音声出力部6に出力する(ST13)。機器制御部201は、表示部4に、音声データ記録領域部501から読み出した音声データを再生している旨を表示する(ST14)。
【0039】
音声データの再生を終了すると(ST15でYes)、機器制御部201は、再生を終了した音声データと同じ呼情報識別値がインデックスデータに記録された音声データであって、音声入力開始日時、音声入力終了日時の順に並べたとき次にあたる音声データがあれば(ST16でYes)、再生を終了した音声データの音声入力終了時刻から次の音声データの音声入力開始時刻までの時間、無音出力制御部203から音声出力部6に無音データを出力する。音声伸張部601は無音データをアナログ音声信号に変換して音声増幅部602に出力し、音声増幅部602、スピーカ603を介して出力する (ST17)。機器制御部201は、表示部4に、無音出力制御部203によって無音データを出力している旨を表示する(ST18)。
【0040】
ここで、音声出力部6は、無音出力制御部203から入力された無音データをアナログ音声信号に変換して出力する構成としたが、別の実施方法として、無音出力制御部203から音声出力部6に無音データが入力されたとき、音声出力部6は出力を消音する構成として実施しても良い。消音するには、例えば、音声増幅部602の増幅率を0にする又は最低に下げる方法、音声増幅部602の出力にリレーを備え出力をオフする方法などがある。
【0041】
無音データの出力後(ST19)、ST13に戻ってST13以後の処理を行う。即ち、機器制御部201は、音声データ記録領域部501から次の音声データのファイルを読み出し音声出力部6に出力し(ST13)、表示部4に、音声データ記録領域部501から読み出した音声データを再生している旨を表示する(ST14)。
なお、ST16で次に出力すべき音声データがなければ(ST16でNo)、終了する。
【0042】
例えば、図4に示したインデックスデータにおいて、管理番号00004692と00004693は、同じ呼情報識別値0103007が記録されている。機器制御部201は、呼情報識別値0103007の通話の音声データを再生する場合、音声入力開始日時が先である管理番号00004692の音声データをまず再生させ、次に、その音声入力終了日時(2001年1月4日13時55分)から管理番号00004693の音声入力開始日時(2001年1月4日13時56分)までの1分間、無音出力制御部203に無音データを出力させた後、管理番号00004693の音声データを再生させて終了する。
【0043】
以上のようにして、一通話の音声データが複数ファイルに分割されて記録され、通話の音声データを再生する場合、記録されていない無音部分も含めて出力することができるため、聴取者は、通話全体の音声データの時間経過状況を把握することができる。
従って、本実施例の音声記録再生装置を、例えば、コールセンタで使用する装置に適用すれば、コールセンタを運営する管理者が、オペレータが顧客を待たせた時間を知ることができ、オペレータの応対について管理することができる。
なお、無音出力制御部203による無音データの出力中に、使用者は無音について認識しさえすれば、そのまま無音データを再生し続ける必要がない場合もあるため、操作部3にスキップボタンを備え、スキップボタンを操作することによって、次の音声データの先頭にとばして再生する構成として実施することもできる。
【0044】
音声記録再生装置と通話管理記録装置とをLANによって接続する構成とした実施例について説明する。図6は、本発明の音声記録再生装置の一実施例の構成を示すブロック図である。なお、音声記録再生装置31は、図10の音声記録再生システムの音声記録再生装置31a、31bとして使用され、通話管理記録装置32は、図10の通話管理記録装置32として使用される。図1と共通の構成要素には同符号を付して説明を省略する。
【0045】
音声記録再生装置31は、信号入力部1、制御部2、操作部3、表示部4、記録再生部5、音声出力部6、データ入出力部8を備える。
データ入出力部8は、入出力制御部801、インタフェース部802を備える。
入出力制御部801は、機器制御部201、記録再生部5と、インタフェース部802によってLANを介して通話管理記録装置32と送受信されるデータの入出力を制御する。
インタフェース部802は、通話管理記録装置32のデータ入出力部8aのインタフェース部802aとの間で接続されたLANを介してデータの送受信を行う。
【0046】
通話管理記録装置32は、通話検出部9、制御部2a、表示部4a、通話管理記録部7、データ入出力部8aを備える。
通話検出部9は、通信回線から入力端子INを介して入力される通話の開始及び終了を検出する。
制御部2aは、機器制御部201a、時計202aを備える。時計202aは、現在時刻を計時し、日時データを機器制御部201aに出力する。機器制御部201aは、通話検出部9から通話開始又は通話終了の検出信号を受信すると、時計202aから出力される日時データを用いて、通話の開始時刻又は終了時刻を通話管理記録領域部702に記録する制御を行う。
【0047】
表示部4aは、LCD等の表示器であって、制御部2aの制御により、通話管理記録部702に記録された情報を表示する。
データ入出力部8aは、入出力制御部801a、インタフェース部802aを備える。
入出力制御部801aは、機器制御部201a、通話管理記録部7と、インタフェース部802aによってLANを介して音声記録再生装置31と送受信されるデータの入出力を制御する。
インタフェース部802aは、音声記録再生装置31のデータ入出力部8のインタフェース部802との間で接続されたLANを介してデータの送受信を行う。
【0048】
音声記録装置と音声再生装置とをLANによって接続する構成とした実施例について説明する。図7は、本発明の音声記録再生装置の一実施例の構成を示すブロック図である。なお、音声記録装置34は、図11の音声記録再生システムの音声記録再生装置34a、34bとして使用され、音声再生装置35は、図11の音声再生装置35として使用される。図1、図2と共通の構成要素には同符号を付して説明を省略する。
【0049】
音声記録装置34は、信号入力部1、制御部2、操作部3、表示部4、記録再生部5、データ入出力部8を備える。
音声再生装置35は、通話検出部9、制御部2a、操作部3a、表示部4a、通話管理記録部7、データ入出力部8aを備える。
制御部2aは、機器制御部201a、時計202a、無音出力制御部203aを備える。
無音出力制御部203aは、複数の音声データに分割して記録された一通話の音声データを再生する場合、分割された音声データの間の無記録時間に相当する無音データを音声伸張部601に出力する。
【0050】
音声記録領域部501に記録されている圧縮された音声データは、データ入出力部8、LAN、データ入出力部8aを介して、音声伸張部601に入力され、音声増幅部602、スピーカ603を介して出力される。音声データに関係してインデックス記録領域部502に記録されているインデックスデータは、データ入出力部8、LAN、データ入出力部8aを介して、機器制御部201aに入力される。
【0051】
図8は、本発明の音声再生装置の一実施例の構成を示すブロック図である。図4において、図1と共通の構成要素には同符号を付して説明を省略する。
図8に示す音声再生装置と図1の音声記録再生装置との相違点は、図8の音声再生装置は、入力端子IN、信号入力部1、時計202、記録再生部5、通話管理記録部7を備えないこと、記録媒体11の再生を行う再生部10を備えることである。
【0052】
再生部10は、データが記録された光ディスク、磁気ディスク等の記録媒体11を再生する装置を用い、制御部2の制御により各通話の音声データ及びインデックスデータの再生を行う。
機器制御部201は、記録媒体11に記録されているインデックスデータを再生部10を介して読み出して表示部4に表示し、当該インデックスデータに関連して音声記録領域部501に記録されている音声データを読み出して、音声出力部6に出力する制御を行う。
図8の音声再生装置は、図5の再生動作を示すフローチャートに従って再生動作を行う。
【0053】
図9は、図8の音声再生装置が再生する記録媒体の記録を行う音声記録装置の構成の一例を示すブロック図である。図9において、図1と共通の構成要素には同符号を付して説明を省略する。
図9に示す音声記録装置と図1の音声記録再生装置との相違点は、図9に示す音声記録装置は、無音出力制御部203、音声出力部6、記録再生部5を備えないこと、記録媒体11に記録を行う記録部12を備えることである。
【0054】
記録部12は、光ディスク、磁気ディスク等の記録媒体11にデータを記録する装置を用い、記録媒体11の記録領域を、第1の記録再生手段として音声データを記録再生するための音声記録領域部1101、第2の記録再生手段として音声データを検索するための見出し情報であるインデックスデータを記録再生するためのインデックス記録領域部1102とに分けて構成し、制御部2の制御により各通話の音声データ及びインデックスデータの記録を行う。
【0055】
機器制御部201は、操作部3に備えられた記録開始ボタンを操作者が操作することによって、音声入力部1に入力され音声圧縮部102で圧縮符号化された音声データを記録媒体111の音声記録領域部1101に記録する制御を行う。
機器制御部201は、音声検出部101から音声データの入力開始の検出信号を受信すると、信号入力部1からの音声データを記録媒体11に記録するように記録部12を制御する。機器制御部201は、時計202から入力される日時データを用いて、音声検出部101から音声データの入力の開始信号又は終了信号が入力されたときの開始日時又は終了日時を、記録部12に出力し、記録媒体11のインデックス記録領域部1102に記録する制御を行う。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の音声記録再生装置の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の音声記録再生装置の一実施例の記録動作を示すフローチャートである。
【図3】本実施例の音声記録再生装置が記録するインデックスデータの構成の例を示す図である。
【図4】本実施例の音声記録再生装置が記録するインデックスデータの構成の例を示す図である。
【図5】本発明の音声記録再生装置及び音声再生装置の一実施例の再生動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の音声記録再生装置の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の音声記録再生装置の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の音声再生装置の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の音声再生装置が再生する記録媒体の記録を行う音声記録装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図10】本発明の音声記録再生装置が接続される音声記録再生システムの構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の音声再生装置が接続される音声記録再生システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0057】
1 信号入力部
2、2a 制御部
3、3a 操作部
4、4a 表示部
5 記録再生部
6 音声出力部
7 通話管理記録部
8、8a データ入出力部
9 通話検出部
10 再生部
11 記録媒体
12 記録部
30 PBX
31、31a、31b 音声記録再生装置
32 通話管理記録装置
33a、33b、33c 回線端末
34、34a、34b 音声記録装置
35 音声再生装置
101 音声検出部
102 音声圧縮部
201、201a 機器制御部
202、202a 時計
203、203a 無音出力制御部
501、1101 音声記録領域部
502、1102 インデックス記録領域部
601 音声伸張部
602 音声増幅部
603 スピーカ
701 通話検出部
702 通話管理記録領域部
801、801a 入出力制御部
802、802a インタフェース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信回線を介して入力される通話の音声データを記録及び再生する音声記録再生装置において、前記通信回線の通話の音声データの入力開始と入力終了を検出する音声検出手段と、前記通信回線から入力される音声データを前記音声検出手段が検出した音声データの入力開始から入力終了まで記録する音声データ記録手段と、現在時刻を計時し出力する時計と、前記通信回線の通話の開始及び終了を検出し前記時計が出力する時刻に基づいて通話開始時刻及び通話終了時刻を記録する通話管理記録手段と、前記音声データ記録手段に記録される音声データに関連するインデックスデータを記録するインデックスデータ記録手段と、前記音声検出手段が検出した音声データの入力開始及び入力終了の時刻を前記時計が出力する現在時刻データに基づいて前記インデックスデータ記録手段が記録するインデックスデータに記録させ、前記通話管理記録手段が記録した通信回線の通話開始時刻から通話終了時刻までに前記音声検出手段が検出した音声データに関連してインデックスデータ記録手段が記録するインデックスデータに通話を識別する通話識別データを記録させる記録制御手段と、前記音声データ記録手段に記録された音声データを再生して出力する音声出力手段と、前記音声出力手段が出力する音声データを通話毎に選択する操作を行う操作手段と、前記音声出力手段に無音データを出力させる制御を行う無音出力制御手段と、前記操作手段によって選択操作された通話に該当する音声データをインデックスデータに記録された通話識別データに基づいて識別して前記音声出力手段に出力させるとともに、前記操作手段によって選択操作された通話に該当する音声データが複数存在する場合、インデックスデータの音声データ入力終了時刻及び音声データ入力開始時刻に基づいて当該通話の音声データが記録されていない時間に無音データを前記無音出力制御手段に出力させる再生制御手段とを備えることを特徴とする音声記録再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の音声記録再生装置であって、前記音声出力手段が前記音声データ記録手段が記録した音声データを出力していること又は前記無音出力制御手段によって無音データを出力していることを表示する表示手段を備えることを特徴とする音声記録再生装置。
【請求項3】
通信回線を介して入力される通話の音声データ及び前記音声データに関連するインデックスデータが記録され、前記インデックスデータには音声データの入力開始時刻、音声データの入力終了時刻、及び通話を識別する通話識別データが記録された記録媒体を再生する音声再生装置であって、前記記録媒体に記録された音声データを再生して出力する音声出力手段と、前記音声出力手段が出力する音声データを通話毎に選択する操作を行う操作手段と、前記音声出力手段に無音データを出力させる制御を行う無音出力制御手段と、前記操作手段によって選択操作された通話に該当する音声データをインデックスデータに記録された通話識別データに基づいて識別して前記音声出力手段に出力させるとともに、前記操作手段によって選択操作された通話に該当する音声データが複数存在する場合、インデックスデータの音声データ入力終了時刻及び音声データ入力開始時刻に基づいて当該通話の音声データが記録されていない時間に無音データを前記無音出力制御手段に出力させる制御手段とを備えることを特徴とする音声再生装置。
【請求項4】
請求項3に記載の音声再生装置であって、前記音声出力手段が音声データを出力していること又は前記無音出力制御手段によって無音データを出力していることを表示する表示手段を備えることを特徴とする音声再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−25174(P2006−25174A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−201473(P2004−201473)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(301066006)株式会社デノン (61)
【Fターム(参考)】