音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減剤
【課題】音楽演奏及びその習得において、香気成分を一定量確実に人の嗅覚系に作用させて、ストレスを低減しかつ疲労感および疲労を緩和することのできるストレス低減剤を提供する。
【解決手段】
化学合成成分或いは植物の青葉由来の精油成分である（３Ｚ）−ヘキセノール、（３Ｚ）−ヘキセナール、（３Ｅ）−ヘキセノール、（３Ｅ）−ヘキセナール、（２Ｅ）−ヘキセノール、（２Ｅ）−ヘキセナール、ｎ−ヘキセノール、ｎ−ヘキセナールから選ばれる少なくとも一種の香気成分を用いたストレス低減剤である。また、前記香気成分が（３Ｚ）−ヘキセノール及び／または（２Ｅ）−ヘキセナールであるストレス低減剤である。さらに、前記ストレス低減剤を配合した食品、健康補助食品である。
【解決手段】
化学合成成分或いは植物の青葉由来の精油成分である（３Ｚ）−ヘキセノール、（３Ｚ）−ヘキセナール、（３Ｅ）−ヘキセノール、（３Ｅ）−ヘキセナール、（２Ｅ）−ヘキセノール、（２Ｅ）−ヘキセナール、ｎ−ヘキセノール、ｎ−ヘキセナールから選ばれる少なくとも一種の香気成分を用いたストレス低減剤である。また、前記香気成分が（３Ｚ）−ヘキセノール及び／または（２Ｅ）−ヘキセナールであるストレス低減剤である。さらに、前記ストレス低減剤を配合した食品、健康補助食品である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、音楽の演奏及びその習得時において生じるストレスの低減、緩和に有効な香気成分を発するストレス低減剤に関する。
【背景技術】
【０００２】
ヒトの体は、免疫機能が正常に働くことによって、多くの病気から身を守ることができる。免疫機能が活発に働いている人は病気に強く、その逆では感染に対する防御力の低下により病気にかかりやすい。
【０００３】
免疫による防御機構は非特異的防御機構と特異的防御機構に大別され、免疫を担う細胞には、マクロファージやリンパ球などがある。一度感染すると同じ病原体には再度感染しないように働く特異的防御機構はリンパ球が中心的な役割を果たしているが、リンパ球には、Ｔリンパ球（Ｔ細胞）とＢリンパ球（Ｂ細胞）という２種類のグループがある。Ｂ細胞は抗体を産生し、抗体は、特定の抗原を攻撃する。Ｂ細胞とＴ細胞は、１種類の抗原に特定して形成される。はじめて抗原による刺激を受けたＢ細胞の免疫応答は小さくて遅いにもかかわらず、二度目に抗原刺激を受けたときの免疫応答は大きくて持続的である。
【０００４】
ところで、音楽の演奏及びその習得時にはストレスがかかり、そのストレスが長く続く生活をしていると人の免疫力は低下する。ストレスが脳の視床下部を刺激することにより分泌される副腎皮質ホルモン（ステロイドホルモン）は、アレルギーや外傷性ショックを和らげる作用として働く一方で、免疫力を高めるのに有効なリンパ球の活性を低下させる。つまり、免疫力を低下させることがわかっている。
【０００５】
音楽の演奏及びその習得時におけるストレスには、物理的、生理的や、心理的なもの等多種多様である。また、そのストレスの感じ方も多様であり、同程度のストレスであってもある人にとっては適度なストレスであり、別の人にとっては過度のストレスであったりする。
【０００６】
したがって、そのストレスを軽減する方法も多種多様に試みられていて、芳香療法（アロマテラピー）はその代表例である（例えば、特許文献１参照）。ただし、ストレス軽減の度合い、あるいはストレス軽減による免疫機能の改善を実証できるまでのものではないのが実情である。この理由の一つとして、香気成分を一定量確実に人の嗅覚系に作用させ得る手段が十分でないことが考えられる。
【０００７】
また、近年、科学的に証明されはじめてきたストレス軽減成分としてのみどりの香り（青葉アルコール＝ｃｉｓ−３−ヘキセノール、青葉アルデヒド＝ｔｒａｎｓ−２−ヘキセナール、など）についても、いろいろな応用事例がある（例えば、特許文献２、特許文献３、非特許文献１）参照。
但し、これら先行文献には、本願発明の音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減効果は記載されていない。
【０００８】
他方、一般に香気成分は揮散しやすく、香気を如何に持続させるかというのが実用化上の技術課題であり、みどりの香り（青葉アルコール＝ｃｉｓ−３−ヘキセノール、青葉アルデヒド＝ｔｒａｎｓ−２−ヘキセナール、など）においても同様である。そこで香気成分をマイクロカプセルやシクロデキストリンに包接することにより徐放させる方法が知られている（例えば、特許文献４、５参照）。また、吸水性樹脂などにより包含することにより徐放させる方法などが考えられる。
【特許文献１】特開平１０−２２５５１０号公報
【特許文献２】特開２００６−２５６４３号公報
【特許文献３】特開２００６−３６７２６号公報
【特許文献４】特開２００６−６３１６８号公報
【特許文献５】特開２００１−２４０８９２号公報
【非特許文献１】ｈｔｔｐ：／／ｋａｉｈａｔｕ．ｏｋｏｍａｒｉ．ｎｅｔ／ｍｉｄｏｒｉ−ｎｏ−ｋａｏｒｉ／
【非特許文献２】Ｐｈｙｓｉｏｌｏｇｙ＆Ｂｅｈａｖｉｏｒ８０（２００４）４８１−４８８
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
本発明の目的は、音楽の演奏及びその習得時において感じるストレスを、香気成分を一定量確実に嗅覚系に作用させて、低減することのできるストレス低減剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
発明の要旨とするところは、植物の葉から採取するかまたは化学合成などによりそれと同等の香気成分を、単独で用いるかあるいはシクロデキストリンや吸水性樹脂などに包含させた音楽演奏及びその習得におけるストレス低減剤である。
なお、一般的なアロマセラピーに用いられる水あるいはオイルへの分散する方法、加熱して雰囲気中に飛散させる方法、繊維物（布地、紙など）に含侵させてそれを用いる方法などがある。
これは、バイオリン演奏時に顎を乗せるクッション材への応用なども考えられる。
【００１１】
前記香気成分は、（３Ｚ）−ヘキセノール、（３Ｚ）−ヘキセナール、（３Ｅ）−ヘキセノール、（３Ｅ）−ヘキセナール、（２Ｅ）−ヘキセノール、（２Ｅ）−ヘキセナール、ｎ−ヘキサノール、ｎ−ヘキサナールから選ばれる少なくとも一種の香気成分であり得る。
【００１２】
また、本発明の要旨とするところは、前記香気成分の主たる成分がｃｉｓ−３−ヘキセノール及び／またはｔｒａｎｓ−２−ヘキセナールを主成分とする音楽演奏及びその習得におけるストレス低減剤である。
【００１３】
さらに、本発明の要旨とするところは、化学合成成分或いは植物の葉から採取するかまたはそれと同等の香気成分をシクロデキストリンに包接させた音楽演奏及びその習得時におけるストレス低減剤、疲労低減用食品、健康補助食品などにも応用出来る。
【発明の効果】
【００１４】
本発明によると、音楽演奏及びその習得時においてストレスを感じる場面で香気成分を所定量確実に嗅覚系に作用させて、ストレスを低減するばかりでなく、疲労感及び疲労軽減し、免疫機能を増進することのできるストレス解消剤などが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１５】
最近の研究成果により、植物の葉（青葉）に含まれる香気成分（緑の香り、ｇｒｅｅｎｏｄｏｒ）が、嗅覚系を介して、動物の自律性ストレス応答からの回復を早めることが見出されている（非特許文献２参照）。しかし、この文献には音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減効果は記載されていない。
本発明は、青葉から抽出して得られる成分を音楽演奏及びその習得時におけるストレス低減剤として利用するものであり、著しいストレス低減効果が認められる。
【００１６】
本発明において用いられる香気成分は、（３Ｚ）−ヘキセノール、（３Ｚ）−ヘキセナール、（３Ｅ）−ヘキセノール、（３Ｅ）−ヘキセナール、（２Ｅ）−ヘキセノール、（２Ｅ）−ヘキセナール、ｎ−ヘキサノール、ｎ−ヘキサナールから選ばれる少なくとも一種の香気成分であり得る。なかでも、（３Ｚ）−ヘキセノール（ｃｉｓ−３−ヘキセノール及び／または（２Ｅ）−ヘキセナール（ｔｒａｎｓ−２−ヘキセナール）が効果のうえでまた実用上好ましい。
【００１７】
本発明による音楽演奏及びその習得時におけるストレス低減剤は、これらの香気成分をシクロデキストリンあるいは吸水性樹脂などに包含させることにより得られるし、またこれら香気成分の単独使用も可能である。
シクロデキストリンとしては、α、β、γあるいは分岐シクロデキストリンいずれのタイプのシクロデキストリンであってもよいが、α型が効率的に包接され得る。また、シクロデキストリンは、α型あるいはα型を主体とした混合型または分岐型のシクロデキストリン等、水に対する溶解度が十分なものが好ましい。
【００１８】
本発明において用いられる香気成分をシクロデキストリンあるいは吸水性樹脂などに包含させる方法としては、本発明において用いられる香気成分とシクロデキストリンあるいは吸水性樹脂と水とを混合、攪拌後、乾燥する方法が挙げられる。攪拌により、液中の本発明において用いられる香気成分がシクロデキストリンなどに包接される。この方法によりシクロデキストリンなど１００重量部に対して約５〜１０重量部の香気成分が包接され、その液を乾燥すると、本発明において用いられる香気成分包接状態のシクロデキストリンなどの粉末が得られる。
【００１９】
攪拌の方法は限定されないが例えばホモジナイザを用いることが好ましい。また、乾燥の方法も限定されないが、スプレードライヤーによる噴霧乾燥の効率がよく好ましい。スプレードライヤーによる噴霧乾燥における入り口温度は１５０〜１６０℃、ホモジナイザ条件は５０００〜３００００ｒｐｍであると効率がよく好ましい。
【００２０】
このようにして得られた本発明の音楽演奏及びその習得時におけるストレス低減剤は、そのまま室内に置かれた状態ではヒトに分かる程度の香気が放出される。
【００２１】
さらに、得られた本発明の音楽演奏及びその習得時におけるストレス低減剤を水に溶いたのち、これを乾燥させるとヒトが嗅ぎ分けできないほどに香気の放出が抑制される。
【００２２】
しかしながら、これを、水分と接触させて吸水させると、吸水した状態の間は、ヒトが嗅ぐに十分な香気を放出する。
【００２３】
すなわち、本発明において用いられる香気成分を包接させたシクロデキストリンあるいは吸水性樹脂に対して２０重量％以上の水分を吸収しているときに本発明において用いられる香気成分が有効に揮散され、シクロデキストリンなどに対して２０重量％未満の水分しか吸収していないときに、ヒトが嗅いで判別できる程度には本発明において用いられる香気成分は揮散されない。なお、水分が特定の一部分だけに吸収されている場合でも、その部分のシクロデキストリンなどの重量に対して２０重量％以上の水分が吸収されていれば本発明において用いられる香気成分が有効に揮散される。この現象は、本発明において用いられる香気成分分を包接させたシクロデキストリンなどに賦形剤や結合剤、安定剤等を加えて錠剤状に成形した場合でも同様である。
【００２４】
音楽演奏及びその習得時におけるストレス低減剤の利用方法は、粉末のまま、あるいは水に溶かして口腔中に滞留させながら経口摂取してもよい。あるいは、他の食品や、菓子や、ガムのような嗜好品に添加して経口摂取する方法でもよい。さらには、歯磨き剤に添加する方法で使用することにより香気成分が放出されて嗅がれるようにしてもよい。
【００２５】
シクロデキストリンに包接された該香気成分を、乳糖、デキストリンなどに配合し、また、必要に応じて甘味料、香料、着色料、等を適宜添加したうえ、錠剤状またはトローチ状に成形した音楽演奏及びその習得時におけるストレス低減剤とする。これを口腔中に含むと、該香気成分が口腔中の唾液の作用で有効に揮散して嗅覚系に直接的かつ確実に作用し得る。
【００２６】
このようにして得られた音楽演奏及びその習得時におけるストレス低減剤は、粉末状の ままあるいは錠剤やトローチ状にして、食品、菓子、健康補助食品として音楽演奏及び その習得におけるストレスを感じる場面で簡便に食すか服用することができ、ストレス の低減に大きく寄与する。
【００２７】
実験例
本発明による音楽演奏及びその習得時におけるストレス低減剤の効果をラットへの投与により確認した。 拘束ストレスを与えた群と拘束ストレスを与えない群、それぞれの群につき、本発明によるストレス低減剤によりみどりの香りを嗅がした群と嗅がさない群に分けた、下記４群につき抗体価を測定した。
群−イ：拘束ストレスなし、みどりの香りを嗅がさない群
群−ロ：拘束ストレスあり、みどりの香りを嗅がさない群
群−ハ：拘束ストレスなし、みどりの香りを嗅がした群
群−ニ：拘束ストレスあり、みどりの香りを嗅がした群
【００２８】
この実験に用いた音楽演奏及びその習得時におけるストレス低減剤は、実施例１と同様の方法で得られたものである。但し、香気成分としては青葉アルコール（ｃｉｓ−３−ヘキセノール）と青葉アルデヒド（ｔｒａｎｓ−２−ヘキセナール）の等量混合物を用い、実施例１の（ｃ）の状態でラットの鼻先で３０分間直接的に嗅がせた。
【００２９】
抗原にはＢＳＡ（Ｂｏｖｉｎｅ Ｓｅｒｕｍ Ａｌｂｕｍｉｎ）を用い、抗体価はラットの尾静脈より採取した血液をＥＬＩＳＡ法によりその免疫グロブリン（ｌｇＧ）を測定することにより評価した。
【００３０】
初回免疫として、実験開始日（第０日）午前９時にＢＳＡを常法により投与した。ストレスは第０日の午前１０〜１２時に与えた。また、香気成分は同日の午後１６：００〜１６：３０に嗅がせた。第２１日に追加免疫を投与した。
【００３１】
図１に示されるように、ＢＳＡを投与したラットの抗体価は、本発明による音楽演奏及びその習得におけるストレス低減剤を嗅がした群において著しく上昇しており、免疫能の増進が認められる。ストレスを与えた群における抗体価の上昇は僅かであり、比較対照（ストレスなし、免疫増進剤なし）と比較して著しく低下しており、これはストレスによる免疫機能の阻害を示している。これに対して、ストレスを与え免疫増進剤を嗅がした群においては抗体価が上昇、免疫応答が正常に近づいており、免疫能の増進が認められる。
【００３２】
以下、本発明具体化の例を説明するが、例示は発明思想の制限または限定を意味するものではない。
【実施例１】
【００３３】
（シクロデキストリンの種類および植物の葉から摂取するかまたはそれと同等の香気成分の種類）
試料：
シクロデキストリンとして、＜１＞横浜国際バイオ研究所社製：デキシパールＫ−１００、＜２＞シクロケム社製：β型シクロデキストリン、植物の葉から採取するかまたはそれと同等の香気成分として、（１）ｃｉｓ−３−ヘキセノール、（２）生茶葉を蒸留抽出して得た少なくともｃｉｓ−３−ヘキセノール及びｔｒａｎｓ−２−ヘキセナールを含有する抽出液を用いた。
包接物作製操作：
各香気成分とシクロデキストリンと水とを３：１２：８５の重量比率で混合し、それぞれホモジナイザ（６０００ｒ．ｐ．ｍ）で３０分間撹拌し混合液とした。＜１＞については、混合液をスプレードライヤーで噴霧乾燥（入口温度１６０℃、排風温度８０℃）して免疫増進剤を得た。＜２＞については、熱風乾燥機で１５０℃１時間乾燥して免疫増進剤を得た。
（ａ）。
官能検査：
得られた免疫増進剤（ａ）をそれぞれシャーレに０．１ｇ入れて、水を１．０ｃｃ加えて撹拌すると、水への溶解度の比較的高いデキシパールＫ−１００は透明、溶解度の低いβシクロデキストリンは白濁状態であった。これを１００℃で約１０分乾燥した状態（ｂ）、さらにこれに水分を付与した状態（ｃ）のそれぞれにつき、香気の揮散状態を（匂いを嗅ぐ）官能検査で調べた。官能検査は点数法で行い、５：顕著に匂う、４：かなり匂う、３：匂う、２：かすかに匂う、１：かなり注意深く嗅いでようやく匂う、０：匂わない、で判定した。官能検査の結果を表１に示す。表中、＜ ＞内の値は、（ａ）の状態で室内に２週間放置後のサンプルについての官能検査の結果である。
【実施例２】
【００３４】
（免疫増進剤の態様と効果）
試料：
実施例１で作製した＜１＞横浜国際バイオ研究所社製：デキシパールＫ−１００に、（１）ｃｉｓ−３−ヘキセノールを包接した免疫増進剤を用いた。
免疫増進剤の態様及び作製操作：
試料と賦形剤としての乳糖と白糖、結合剤としてのデキストリン、乳化安定剤としてのステアリン酸マグネシウムと水とを、５：５５（乳糖３０＋白糖２５）：２０：３：２：１５の重量比率でミキシング、造粒機で１００〜１０００μの顆粒にし、調湿後、打錠機に供し、直径約１２ｍｍ重量約５００ｍｇの錠剤状免疫増進剤を得た。
官能検査：
得られたストレス解消剤、疲労低減剤および免疫増進剤の香気の揮散状態を実施例１と同様に官能検査で調べた結果を表２−１に示す。表中、＜ ＞内の値は、（Ａ）の状態で室内に２週間放置後のサンプルについての官能検査の結果である。
この錠剤状ストレス解消剤、疲労低減剤および免疫増進剤を口腔中にしばらく滞留させ、あるいは噛み砕いたときの香気の揮散状態を実施例１と同様に官能結果で調べた結果を表２−２に示す。表中、＜ ＞内の値は、（Ａ）の状態で室内に２週間放置後のサンプルについての官能検査の結果である。
【００３５】
【表１】
【００３６】
【表２−１】
【００３７】
【表２−２】
【００３８】
本発明において用いられる香気成分を液体のままボトルやポット等の容器及び他の目的出使われている花瓶等の容器に入れ、その開封口を調節し、或いは徐放性のフィルム、毛細管現象を利用できる紙、木材、及び樹脂等を使い蓋をすることにより、音楽の演奏及びその習得者に適切量を嗅ぐ最良の環境が得られ、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減効果が得られる。
【００３９】
本発明において用いられる香気成分を吸水性樹脂及びＣＭＰ等のゲル化剤でゲル状にしボトルやポット等の容器及び他の目的出使われている花瓶等の容器に入れ、それを開封口を調節し、或いは徐放性のフィルム、毛細管現象を利用できる紙、木材、及び樹脂等を使い蓋をすることにより、音楽の演奏及びその習得者に適切量を嗅ぐ最良の環境が得られ、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。
【００４０】
本発明において用いられる香気成分を単独、あるいはシクロデキストリン、吸水性樹脂などに包含させたものをボトル、皿等の容器にいれ或いはブローチ、ペンダント、ピン、指輪等に入れ、マスク、テープ、リストバンド、ヘッドバンド等に内抱して或るは接着して使用することにより、音楽の演奏及びその習得者に適切量を嗅ぐ最良の環境が得られ、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。
【００４１】
本発明において用いられる香気成分を可溶化し状態で、或いはシクロデキストリンなどに包含させたもので、リップクリーム、口紅等の形態にして使用することにより、音楽の演奏及びその習得者に適切量を嗅ぐ最良の環境が得られ、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。
【００４２】
本発明において用いられる香気成分を使った香水、アロマオイル、アロマクリーム、保湿用オイル、保湿用クリーム、ハンドクリーム等の形態にして使用すすることにより音楽の演奏及びその習得者に適切量を嗅ぐ最良の環境が得られ、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。
【００４３】
本発明において用いられる香気成分を練り込むか、或いは塗った線香の形態にして使用することにより音楽の演奏及びその習得者に適切量を嗅ぐ最良の環境が得られ、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。
【００４４】
本発明において用いられる香気成分を練り込むか或いは塗った線香などの形態で使用すると音楽の演奏者及びその習得者が本発明の香気成分が無くなること、具体的には線香が燃え尽きることなどにより時間管理ができ、視覚、聴覚を使うことなく時間を管理出来且つ時間の目標を設定することが容易に出来る環境を作りだし、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。このことは本発明において用いられる香気成分を単独で使用した場合においても同様の音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。
【００４５】
本発明において用いられる香気成分を或いはシクロデキストリンあるいは吸水性樹脂などに包含させたものを座布団、クッション、テーブルクロス、ピアノのけん盤に置くクロス、バイオリンを演奏する時に顎を乗せるクッション、バイオリンのクロス、バイオリン等楽器ケース等の繊維、綿、布等を利用した製品に含ませる形態にして使用すすることにより音楽の演奏及びその習得者に適切量を嗅ぐ最良の環境が得られ、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。
【００４６】
本発明において用いられる香気成分を、或いはこの香気成分をシクロデキストリンや吸水性樹脂等で包含したものを汗取り製品に含ませる形態にして使用すすることにより音楽の演奏及びその習得者に適切量を嗅ぐ最良の環境が得られ、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。汗取り製品には含ませるだけではなく、塗る、貼り付ける等の方法で利用すると、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。
【００４７】
本発明において用いられる香気成分をあめ、ガム、グミ、チョコレート等の形態にして使用すすることにより音楽の演奏及びその習得者に適切量を嗅ぐ最良の環境が得られ、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。
【００４８】
本発明において用いられる香気成分をお茶、コーヒー、紅茶、ジュース、スポーツ飲料等の形態にして使用すすることにより音楽の演奏及びその習得者が飲食時に適切量を嗅ぐ最良の環境が得られ、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。
【００４９】
本発明において用いられる香気成分をスプレーにして、霧状、ガス状にして人に直接かける形態にして使用すすることにより音楽の演奏及びその習得者に適切量を嗅ぐ最良の環境が得られ、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。特に頭、顔、首、腕、手、手首等への応用は効果的である。
【００５０】
本発明において用いられる香気成分をスプレーにして、霧状、ガス状にしてマスク、衣服、クロス、マフラー、クッション、汗取り、マット、ピア用のクロス、リストバンド、ヘアーバンド、髪飾り、ヘッドバンド、バンド、ネックレス、帽子、指輪、座布団、クッションに直接かける形態にして使用すすることにより音楽の演奏及びその習得者に適切量を嗅ぐ最良の環境が得られ、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。
【００５１】
本発明において用いられる香気成分をスプレーにして、霧状、ガス状にして、ガラス等の結露防止剤として使用することで音楽の演奏及びその習得者に適切量を嗅ぐ最良の環境が得られた。また、シクロデキストリンや吸水性樹脂等に包接させたものや、ＣＭＰ等のゲル化剤に混合させたもの等で結露防止剤を作っても同様で、音楽の演奏及びその習得者に適切量を嗅ぐ最良の環境が得られ、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。
【００５２】
本発明において用いられる香気成分をスプレーにして、霧状、ガス状にして、演奏者が居る部屋を特に取り巻く空間に散布する形態にして使用すすることにより音楽の演奏及びその習得者に適切量を嗅ぐ最良の環境が得られ、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。その際スプレーの方法は直接散布することだけではなく、特に一定間隔で散布されるようにすることが効果的である。スプレー散布は手動であっても、装置を使ってもよい。
【００５３】
本発明において用いられる香気成分を湿度管理ようもちいる吸水性樹脂或るいは吸水性樹脂を使ったシートに包含させて使用することにより音楽の演奏及びその習得者に適切量を嗅ぐ最良の環境が得られ、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。
【００５４】
本発明において用いられる香気成分を楽譜などの紙に含浸させたものを使用することにより音楽の演奏及びその習得者に適切量を嗅ぐ最良の環境が得られ、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。また本発明において用いられる香気成分をシクロデキストリンなどに包含させ楽譜などの紙製品に練り込むことで同様の音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。
【００５５】
本発明において用いられる香気成分を一定量確実に嗅覚系に作用させて、上記の様々な形態にして使用することにより、ストレスが低減される。発汗作用も抑えることから音楽演奏及び音楽習得に対して指の動きや手の動きのミスが減少し、また綺麗な音がでる効果が得られ、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。
【００５６】
本発明において用いられる香気成分を一定量確実に嗅覚系に作用させて、牛、馬、豚、鳥等の動物の音や振動や狭空間にいることから起るストレスを低減することができる。特に輸送中のストレス低減に効果がある。適切量を嗅ぐ最良の環境が得られ、ストレス低減が得られる。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、音楽の演奏及びその習得時において生じるストレスの低減、緩和に有効な香気成分を発するストレス低減剤に関する。
【背景技術】
【０００２】
ヒトの体は、免疫機能が正常に働くことによって、多くの病気から身を守ることができる。免疫機能が活発に働いている人は病気に強く、その逆では感染に対する防御力の低下により病気にかかりやすい。
【０００３】
免疫による防御機構は非特異的防御機構と特異的防御機構に大別され、免疫を担う細胞には、マクロファージやリンパ球などがある。一度感染すると同じ病原体には再度感染しないように働く特異的防御機構はリンパ球が中心的な役割を果たしているが、リンパ球には、Ｔリンパ球（Ｔ細胞）とＢリンパ球（Ｂ細胞）という２種類のグループがある。Ｂ細胞は抗体を産生し、抗体は、特定の抗原を攻撃する。Ｂ細胞とＴ細胞は、１種類の抗原に特定して形成される。はじめて抗原による刺激を受けたＢ細胞の免疫応答は小さくて遅いにもかかわらず、二度目に抗原刺激を受けたときの免疫応答は大きくて持続的である。
【０００４】
ところで、音楽の演奏及びその習得時にはストレスがかかり、そのストレスが長く続く生活をしていると人の免疫力は低下する。ストレスが脳の視床下部を刺激することにより分泌される副腎皮質ホルモン（ステロイドホルモン）は、アレルギーや外傷性ショックを和らげる作用として働く一方で、免疫力を高めるのに有効なリンパ球の活性を低下させる。つまり、免疫力を低下させることがわかっている。
【０００５】
音楽の演奏及びその習得時におけるストレスには、物理的、生理的や、心理的なもの等多種多様である。また、そのストレスの感じ方も多様であり、同程度のストレスであってもある人にとっては適度なストレスであり、別の人にとっては過度のストレスであったりする。
【０００６】
したがって、そのストレスを軽減する方法も多種多様に試みられていて、芳香療法（アロマテラピー）はその代表例である（例えば、特許文献１参照）。ただし、ストレス軽減の度合い、あるいはストレス軽減による免疫機能の改善を実証できるまでのものではないのが実情である。この理由の一つとして、香気成分を一定量確実に人の嗅覚系に作用させ得る手段が十分でないことが考えられる。
【０００７】
また、近年、科学的に証明されはじめてきたストレス軽減成分としてのみどりの香り（青葉アルコール＝ｃｉｓ−３−ヘキセノール、青葉アルデヒド＝ｔｒａｎｓ−２−ヘキセナール、など）についても、いろいろな応用事例がある（例えば、特許文献２、特許文献３、非特許文献１）参照。
但し、これら先行文献には、本願発明の音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減効果は記載されていない。
【０００８】
他方、一般に香気成分は揮散しやすく、香気を如何に持続させるかというのが実用化上の技術課題であり、みどりの香り（青葉アルコール＝ｃｉｓ−３−ヘキセノール、青葉アルデヒド＝ｔｒａｎｓ−２−ヘキセナール、など）においても同様である。そこで香気成分をマイクロカプセルやシクロデキストリンに包接することにより徐放させる方法が知られている（例えば、特許文献４、５参照）。また、吸水性樹脂などにより包含することにより徐放させる方法などが考えられる。
【特許文献１】特開平１０−２２５５１０号公報
【特許文献２】特開２００６−２５６４３号公報
【特許文献３】特開２００６−３６７２６号公報
【特許文献４】特開２００６−６３１６８号公報
【特許文献５】特開２００１−２４０８９２号公報
【非特許文献１】ｈｔｔｐ：／／ｋａｉｈａｔｕ．ｏｋｏｍａｒｉ．ｎｅｔ／ｍｉｄｏｒｉ−ｎｏ−ｋａｏｒｉ／
【非特許文献２】Ｐｈｙｓｉｏｌｏｇｙ＆Ｂｅｈａｖｉｏｒ８０（２００４）４８１−４８８
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
本発明の目的は、音楽の演奏及びその習得時において感じるストレスを、香気成分を一定量確実に嗅覚系に作用させて、低減することのできるストレス低減剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
発明の要旨とするところは、植物の葉から採取するかまたは化学合成などによりそれと同等の香気成分を、単独で用いるかあるいはシクロデキストリンや吸水性樹脂などに包含させた音楽演奏及びその習得におけるストレス低減剤である。
なお、一般的なアロマセラピーに用いられる水あるいはオイルへの分散する方法、加熱して雰囲気中に飛散させる方法、繊維物（布地、紙など）に含侵させてそれを用いる方法などがある。
これは、バイオリン演奏時に顎を乗せるクッション材への応用なども考えられる。
【００１１】
前記香気成分は、（３Ｚ）−ヘキセノール、（３Ｚ）−ヘキセナール、（３Ｅ）−ヘキセノール、（３Ｅ）−ヘキセナール、（２Ｅ）−ヘキセノール、（２Ｅ）−ヘキセナール、ｎ−ヘキサノール、ｎ−ヘキサナールから選ばれる少なくとも一種の香気成分であり得る。
【００１２】
また、本発明の要旨とするところは、前記香気成分の主たる成分がｃｉｓ−３−ヘキセノール及び／またはｔｒａｎｓ−２−ヘキセナールを主成分とする音楽演奏及びその習得におけるストレス低減剤である。
【００１３】
さらに、本発明の要旨とするところは、化学合成成分或いは植物の葉から採取するかまたはそれと同等の香気成分をシクロデキストリンに包接させた音楽演奏及びその習得時におけるストレス低減剤、疲労低減用食品、健康補助食品などにも応用出来る。
【発明の効果】
【００１４】
本発明によると、音楽演奏及びその習得時においてストレスを感じる場面で香気成分を所定量確実に嗅覚系に作用させて、ストレスを低減するばかりでなく、疲労感及び疲労軽減し、免疫機能を増進することのできるストレス解消剤などが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１５】
最近の研究成果により、植物の葉（青葉）に含まれる香気成分（緑の香り、ｇｒｅｅｎｏｄｏｒ）が、嗅覚系を介して、動物の自律性ストレス応答からの回復を早めることが見出されている（非特許文献２参照）。しかし、この文献には音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減効果は記載されていない。
本発明は、青葉から抽出して得られる成分を音楽演奏及びその習得時におけるストレス低減剤として利用するものであり、著しいストレス低減効果が認められる。
【００１６】
本発明において用いられる香気成分は、（３Ｚ）−ヘキセノール、（３Ｚ）−ヘキセナール、（３Ｅ）−ヘキセノール、（３Ｅ）−ヘキセナール、（２Ｅ）−ヘキセノール、（２Ｅ）−ヘキセナール、ｎ−ヘキサノール、ｎ−ヘキサナールから選ばれる少なくとも一種の香気成分であり得る。なかでも、（３Ｚ）−ヘキセノール（ｃｉｓ−３−ヘキセノール及び／または（２Ｅ）−ヘキセナール（ｔｒａｎｓ−２−ヘキセナール）が効果のうえでまた実用上好ましい。
【００１７】
本発明による音楽演奏及びその習得時におけるストレス低減剤は、これらの香気成分をシクロデキストリンあるいは吸水性樹脂などに包含させることにより得られるし、またこれら香気成分の単独使用も可能である。
シクロデキストリンとしては、α、β、γあるいは分岐シクロデキストリンいずれのタイプのシクロデキストリンであってもよいが、α型が効率的に包接され得る。また、シクロデキストリンは、α型あるいはα型を主体とした混合型または分岐型のシクロデキストリン等、水に対する溶解度が十分なものが好ましい。
【００１８】
本発明において用いられる香気成分をシクロデキストリンあるいは吸水性樹脂などに包含させる方法としては、本発明において用いられる香気成分とシクロデキストリンあるいは吸水性樹脂と水とを混合、攪拌後、乾燥する方法が挙げられる。攪拌により、液中の本発明において用いられる香気成分がシクロデキストリンなどに包接される。この方法によりシクロデキストリンなど１００重量部に対して約５〜１０重量部の香気成分が包接され、その液を乾燥すると、本発明において用いられる香気成分包接状態のシクロデキストリンなどの粉末が得られる。
【００１９】
攪拌の方法は限定されないが例えばホモジナイザを用いることが好ましい。また、乾燥の方法も限定されないが、スプレードライヤーによる噴霧乾燥の効率がよく好ましい。スプレードライヤーによる噴霧乾燥における入り口温度は１５０〜１６０℃、ホモジナイザ条件は５０００〜３００００ｒｐｍであると効率がよく好ましい。
【００２０】
このようにして得られた本発明の音楽演奏及びその習得時におけるストレス低減剤は、そのまま室内に置かれた状態ではヒトに分かる程度の香気が放出される。
【００２１】
さらに、得られた本発明の音楽演奏及びその習得時におけるストレス低減剤を水に溶いたのち、これを乾燥させるとヒトが嗅ぎ分けできないほどに香気の放出が抑制される。
【００２２】
しかしながら、これを、水分と接触させて吸水させると、吸水した状態の間は、ヒトが嗅ぐに十分な香気を放出する。
【００２３】
すなわち、本発明において用いられる香気成分を包接させたシクロデキストリンあるいは吸水性樹脂に対して２０重量％以上の水分を吸収しているときに本発明において用いられる香気成分が有効に揮散され、シクロデキストリンなどに対して２０重量％未満の水分しか吸収していないときに、ヒトが嗅いで判別できる程度には本発明において用いられる香気成分は揮散されない。なお、水分が特定の一部分だけに吸収されている場合でも、その部分のシクロデキストリンなどの重量に対して２０重量％以上の水分が吸収されていれば本発明において用いられる香気成分が有効に揮散される。この現象は、本発明において用いられる香気成分分を包接させたシクロデキストリンなどに賦形剤や結合剤、安定剤等を加えて錠剤状に成形した場合でも同様である。
【００２４】
音楽演奏及びその習得時におけるストレス低減剤の利用方法は、粉末のまま、あるいは水に溶かして口腔中に滞留させながら経口摂取してもよい。あるいは、他の食品や、菓子や、ガムのような嗜好品に添加して経口摂取する方法でもよい。さらには、歯磨き剤に添加する方法で使用することにより香気成分が放出されて嗅がれるようにしてもよい。
【００２５】
シクロデキストリンに包接された該香気成分を、乳糖、デキストリンなどに配合し、また、必要に応じて甘味料、香料、着色料、等を適宜添加したうえ、錠剤状またはトローチ状に成形した音楽演奏及びその習得時におけるストレス低減剤とする。これを口腔中に含むと、該香気成分が口腔中の唾液の作用で有効に揮散して嗅覚系に直接的かつ確実に作用し得る。
【００２６】
このようにして得られた音楽演奏及びその習得時におけるストレス低減剤は、粉末状の ままあるいは錠剤やトローチ状にして、食品、菓子、健康補助食品として音楽演奏及び その習得におけるストレスを感じる場面で簡便に食すか服用することができ、ストレス の低減に大きく寄与する。
【００２７】
実験例
本発明による音楽演奏及びその習得時におけるストレス低減剤の効果をラットへの投与により確認した。 拘束ストレスを与えた群と拘束ストレスを与えない群、それぞれの群につき、本発明によるストレス低減剤によりみどりの香りを嗅がした群と嗅がさない群に分けた、下記４群につき抗体価を測定した。
群−イ：拘束ストレスなし、みどりの香りを嗅がさない群
群−ロ：拘束ストレスあり、みどりの香りを嗅がさない群
群−ハ：拘束ストレスなし、みどりの香りを嗅がした群
群−ニ：拘束ストレスあり、みどりの香りを嗅がした群
【００２８】
この実験に用いた音楽演奏及びその習得時におけるストレス低減剤は、実施例１と同様の方法で得られたものである。但し、香気成分としては青葉アルコール（ｃｉｓ−３−ヘキセノール）と青葉アルデヒド（ｔｒａｎｓ−２−ヘキセナール）の等量混合物を用い、実施例１の（ｃ）の状態でラットの鼻先で３０分間直接的に嗅がせた。
【００２９】
抗原にはＢＳＡ（Ｂｏｖｉｎｅ Ｓｅｒｕｍ Ａｌｂｕｍｉｎ）を用い、抗体価はラットの尾静脈より採取した血液をＥＬＩＳＡ法によりその免疫グロブリン（ｌｇＧ）を測定することにより評価した。
【００３０】
初回免疫として、実験開始日（第０日）午前９時にＢＳＡを常法により投与した。ストレスは第０日の午前１０〜１２時に与えた。また、香気成分は同日の午後１６：００〜１６：３０に嗅がせた。第２１日に追加免疫を投与した。
【００３１】
図１に示されるように、ＢＳＡを投与したラットの抗体価は、本発明による音楽演奏及びその習得におけるストレス低減剤を嗅がした群において著しく上昇しており、免疫能の増進が認められる。ストレスを与えた群における抗体価の上昇は僅かであり、比較対照（ストレスなし、免疫増進剤なし）と比較して著しく低下しており、これはストレスによる免疫機能の阻害を示している。これに対して、ストレスを与え免疫増進剤を嗅がした群においては抗体価が上昇、免疫応答が正常に近づいており、免疫能の増進が認められる。
【００３２】
以下、本発明具体化の例を説明するが、例示は発明思想の制限または限定を意味するものではない。
【実施例１】
【００３３】
（シクロデキストリンの種類および植物の葉から摂取するかまたはそれと同等の香気成分の種類）
試料：
シクロデキストリンとして、＜１＞横浜国際バイオ研究所社製：デキシパールＫ−１００、＜２＞シクロケム社製：β型シクロデキストリン、植物の葉から採取するかまたはそれと同等の香気成分として、（１）ｃｉｓ−３−ヘキセノール、（２）生茶葉を蒸留抽出して得た少なくともｃｉｓ−３−ヘキセノール及びｔｒａｎｓ−２−ヘキセナールを含有する抽出液を用いた。
包接物作製操作：
各香気成分とシクロデキストリンと水とを３：１２：８５の重量比率で混合し、それぞれホモジナイザ（６０００ｒ．ｐ．ｍ）で３０分間撹拌し混合液とした。＜１＞については、混合液をスプレードライヤーで噴霧乾燥（入口温度１６０℃、排風温度８０℃）して免疫増進剤を得た。＜２＞については、熱風乾燥機で１５０℃１時間乾燥して免疫増進剤を得た。
（ａ）。
官能検査：
得られた免疫増進剤（ａ）をそれぞれシャーレに０．１ｇ入れて、水を１．０ｃｃ加えて撹拌すると、水への溶解度の比較的高いデキシパールＫ−１００は透明、溶解度の低いβシクロデキストリンは白濁状態であった。これを１００℃で約１０分乾燥した状態（ｂ）、さらにこれに水分を付与した状態（ｃ）のそれぞれにつき、香気の揮散状態を（匂いを嗅ぐ）官能検査で調べた。官能検査は点数法で行い、５：顕著に匂う、４：かなり匂う、３：匂う、２：かすかに匂う、１：かなり注意深く嗅いでようやく匂う、０：匂わない、で判定した。官能検査の結果を表１に示す。表中、＜ ＞内の値は、（ａ）の状態で室内に２週間放置後のサンプルについての官能検査の結果である。
【実施例２】
【００３４】
（免疫増進剤の態様と効果）
試料：
実施例１で作製した＜１＞横浜国際バイオ研究所社製：デキシパールＫ−１００に、（１）ｃｉｓ−３−ヘキセノールを包接した免疫増進剤を用いた。
免疫増進剤の態様及び作製操作：
試料と賦形剤としての乳糖と白糖、結合剤としてのデキストリン、乳化安定剤としてのステアリン酸マグネシウムと水とを、５：５５（乳糖３０＋白糖２５）：２０：３：２：１５の重量比率でミキシング、造粒機で１００〜１０００μの顆粒にし、調湿後、打錠機に供し、直径約１２ｍｍ重量約５００ｍｇの錠剤状免疫増進剤を得た。
官能検査：
得られたストレス解消剤、疲労低減剤および免疫増進剤の香気の揮散状態を実施例１と同様に官能検査で調べた結果を表２−１に示す。表中、＜ ＞内の値は、（Ａ）の状態で室内に２週間放置後のサンプルについての官能検査の結果である。
この錠剤状ストレス解消剤、疲労低減剤および免疫増進剤を口腔中にしばらく滞留させ、あるいは噛み砕いたときの香気の揮散状態を実施例１と同様に官能結果で調べた結果を表２−２に示す。表中、＜ ＞内の値は、（Ａ）の状態で室内に２週間放置後のサンプルについての官能検査の結果である。
【００３５】
【表１】
【００３６】
【表２−１】
【００３７】
【表２−２】
【００３８】
本発明において用いられる香気成分を液体のままボトルやポット等の容器及び他の目的出使われている花瓶等の容器に入れ、その開封口を調節し、或いは徐放性のフィルム、毛細管現象を利用できる紙、木材、及び樹脂等を使い蓋をすることにより、音楽の演奏及びその習得者に適切量を嗅ぐ最良の環境が得られ、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減効果が得られる。
【００３９】
本発明において用いられる香気成分を吸水性樹脂及びＣＭＰ等のゲル化剤でゲル状にしボトルやポット等の容器及び他の目的出使われている花瓶等の容器に入れ、それを開封口を調節し、或いは徐放性のフィルム、毛細管現象を利用できる紙、木材、及び樹脂等を使い蓋をすることにより、音楽の演奏及びその習得者に適切量を嗅ぐ最良の環境が得られ、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。
【００４０】
本発明において用いられる香気成分を単独、あるいはシクロデキストリン、吸水性樹脂などに包含させたものをボトル、皿等の容器にいれ或いはブローチ、ペンダント、ピン、指輪等に入れ、マスク、テープ、リストバンド、ヘッドバンド等に内抱して或るは接着して使用することにより、音楽の演奏及びその習得者に適切量を嗅ぐ最良の環境が得られ、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。
【００４１】
本発明において用いられる香気成分を可溶化し状態で、或いはシクロデキストリンなどに包含させたもので、リップクリーム、口紅等の形態にして使用することにより、音楽の演奏及びその習得者に適切量を嗅ぐ最良の環境が得られ、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。
【００４２】
本発明において用いられる香気成分を使った香水、アロマオイル、アロマクリーム、保湿用オイル、保湿用クリーム、ハンドクリーム等の形態にして使用すすることにより音楽の演奏及びその習得者に適切量を嗅ぐ最良の環境が得られ、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。
【００４３】
本発明において用いられる香気成分を練り込むか、或いは塗った線香の形態にして使用することにより音楽の演奏及びその習得者に適切量を嗅ぐ最良の環境が得られ、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。
【００４４】
本発明において用いられる香気成分を練り込むか或いは塗った線香などの形態で使用すると音楽の演奏者及びその習得者が本発明の香気成分が無くなること、具体的には線香が燃え尽きることなどにより時間管理ができ、視覚、聴覚を使うことなく時間を管理出来且つ時間の目標を設定することが容易に出来る環境を作りだし、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。このことは本発明において用いられる香気成分を単独で使用した場合においても同様の音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。
【００４５】
本発明において用いられる香気成分を或いはシクロデキストリンあるいは吸水性樹脂などに包含させたものを座布団、クッション、テーブルクロス、ピアノのけん盤に置くクロス、バイオリンを演奏する時に顎を乗せるクッション、バイオリンのクロス、バイオリン等楽器ケース等の繊維、綿、布等を利用した製品に含ませる形態にして使用すすることにより音楽の演奏及びその習得者に適切量を嗅ぐ最良の環境が得られ、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。
【００４６】
本発明において用いられる香気成分を、或いはこの香気成分をシクロデキストリンや吸水性樹脂等で包含したものを汗取り製品に含ませる形態にして使用すすることにより音楽の演奏及びその習得者に適切量を嗅ぐ最良の環境が得られ、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。汗取り製品には含ませるだけではなく、塗る、貼り付ける等の方法で利用すると、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。
【００４７】
本発明において用いられる香気成分をあめ、ガム、グミ、チョコレート等の形態にして使用すすることにより音楽の演奏及びその習得者に適切量を嗅ぐ最良の環境が得られ、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。
【００４８】
本発明において用いられる香気成分をお茶、コーヒー、紅茶、ジュース、スポーツ飲料等の形態にして使用すすることにより音楽の演奏及びその習得者が飲食時に適切量を嗅ぐ最良の環境が得られ、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。
【００４９】
本発明において用いられる香気成分をスプレーにして、霧状、ガス状にして人に直接かける形態にして使用すすることにより音楽の演奏及びその習得者に適切量を嗅ぐ最良の環境が得られ、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。特に頭、顔、首、腕、手、手首等への応用は効果的である。
【００５０】
本発明において用いられる香気成分をスプレーにして、霧状、ガス状にしてマスク、衣服、クロス、マフラー、クッション、汗取り、マット、ピア用のクロス、リストバンド、ヘアーバンド、髪飾り、ヘッドバンド、バンド、ネックレス、帽子、指輪、座布団、クッションに直接かける形態にして使用すすることにより音楽の演奏及びその習得者に適切量を嗅ぐ最良の環境が得られ、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。
【００５１】
本発明において用いられる香気成分をスプレーにして、霧状、ガス状にして、ガラス等の結露防止剤として使用することで音楽の演奏及びその習得者に適切量を嗅ぐ最良の環境が得られた。また、シクロデキストリンや吸水性樹脂等に包接させたものや、ＣＭＰ等のゲル化剤に混合させたもの等で結露防止剤を作っても同様で、音楽の演奏及びその習得者に適切量を嗅ぐ最良の環境が得られ、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。
【００５２】
本発明において用いられる香気成分をスプレーにして、霧状、ガス状にして、演奏者が居る部屋を特に取り巻く空間に散布する形態にして使用すすることにより音楽の演奏及びその習得者に適切量を嗅ぐ最良の環境が得られ、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。その際スプレーの方法は直接散布することだけではなく、特に一定間隔で散布されるようにすることが効果的である。スプレー散布は手動であっても、装置を使ってもよい。
【００５３】
本発明において用いられる香気成分を湿度管理ようもちいる吸水性樹脂或るいは吸水性樹脂を使ったシートに包含させて使用することにより音楽の演奏及びその習得者に適切量を嗅ぐ最良の環境が得られ、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。
【００５４】
本発明において用いられる香気成分を楽譜などの紙に含浸させたものを使用することにより音楽の演奏及びその習得者に適切量を嗅ぐ最良の環境が得られ、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。また本発明において用いられる香気成分をシクロデキストリンなどに包含させ楽譜などの紙製品に練り込むことで同様の音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。
【００５５】
本発明において用いられる香気成分を一定量確実に嗅覚系に作用させて、上記の様々な形態にして使用することにより、ストレスが低減される。発汗作用も抑えることから音楽演奏及び音楽習得に対して指の動きや手の動きのミスが減少し、また綺麗な音がでる効果が得られ、音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減が得られる。
【００５６】
本発明において用いられる香気成分を一定量確実に嗅覚系に作用させて、牛、馬、豚、鳥等の動物の音や振動や狭空間にいることから起るストレスを低減することができる。特に輸送中のストレス低減に効果がある。適切量を嗅ぐ最良の環境が得られ、ストレス低減が得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
（３Ｚ）−ヘキセノール、（３Ｚ）−ヘキセナール、（３Ｅ）−ヘキセノール、（３Ｅ）−ヘキセナール、（２Ｅ）−ヘキセノール、（２Ｅ）−ヘキセナール、ｎ−ヘキサノール、ｎ−ヘキサナールから選ばれる少なくとも一種の香気成分を用いた音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減剤。
【請求項２】
前記香気成分が、（３Ｚ）−ヘキセノール、（２Ｅ）−ヘキセナールから選ばれた少なくとも一種の香気成分を主力とする請求項１に記載のストレス低減剤。
【請求項１】
（３Ｚ）−ヘキセノール、（３Ｚ）−ヘキセナール、（３Ｅ）−ヘキセノール、（３Ｅ）−ヘキセナール、（２Ｅ）−ヘキセノール、（２Ｅ）−ヘキセナール、ｎ−ヘキサノール、ｎ−ヘキサナールから選ばれる少なくとも一種の香気成分を用いた音楽の演奏及びその習得時におけるストレス低減剤。
【請求項２】
前記香気成分が、（３Ｚ）−ヘキセノール、（２Ｅ）−ヘキセナールから選ばれた少なくとも一種の香気成分を主力とする請求項１に記載のストレス低減剤。
【公開番号】特開２００９−２５６２９９（Ｐ２００９−２５６２９９Ａ）
【公開日】平成２１年１１月５日（２００９．１１．５）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−１３２４９９（Ｐ２００８−１３２４９９）
【出願日】平成２０年４月１８日（２００８．４．１８）
【出願人】（５０９１４６７４６）
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年１１月５日（２００９．１１．５）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年４月１８日（２００８．４．１８）
【出願人】（５０９１４６７４６）
【Ｆターム（参考）】
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