説明

音楽教材

【課題】幼児又は児童が自分自身で、音符マーカーを五線譜の線譜マーカー上に適当に付着するだけで、この音符マーカーから当該位置に応じた音高が発音するので、幼児や児童でもこの音を聞きながら、繰り返し遊ぶ事が出来、親の助けや音楽教師が不用で、一人で遊びながら絶対音感を身につける事ができる。
【解決手段】発音手段と位置検出用スイッチを内部に有する音符形状のマーカーを、五線譜ボードの各線、各間の位置を示す線譜マーカー220〜242に付着させる事により、金属電極等の電気接点を使用せず、音符マーカー100自身が発音する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は絶対音感を養うに最適の音楽教材または玩具に関する。
【0002】
絶対音感は、幼児から児童と謂われる年代に於いて、身につける事が肝要であると云う事がほぼ判明しているが、本発明はこの年代で絶対音感を養うのに最適の音楽教材または玩具に関する。
【背景技術】
【0003】
従来、表示ボード等に描いた線状電極等からなる五線譜上に、電子部品からなる音符の形をした音符マーカーを貼り付けたり、嵌合させることにより、この電子部品と上記線状電極が電気的にて接続し、電子回路を形成してこれに応じた音高の音を鳴らして音楽を奏でる音楽教材や音楽玩具が様々に提案されている。
【0004】
例えば、銅箔の五線譜上に、音符の形をした抵抗やコンデンサ等の電子部品からなるマーカーを何個か配置して電気的接続合をさせて、このパラメータの差異と付着位置の差違により、種々の音高や音価の音を発生させ音楽を奏でていた。
【0005】
特願平9−72775はその様な例であり、他の同様アイデアイも、上記したように、ボード等に描いた五線譜と音符の形をした電子部品とソフトウエアとの組み合わせで音楽を奏で、これを主に音楽教材として利用していた。
【0006】
しかし、この様な音楽教材では構造が複雑であり、取り扱いが難しく、幼児又は児童が自由に使って絶対音感を育む迄には至らず、音楽教材とし普及していななかった。
【0007】
近年に於いては、パソコンソフトで鍵盤と五線譜を対応させて絶対音感を養う音楽教材等が提案されているが、これも幼児又は児童が遊び感覚で使用するには難しく、ソフトを動かす操作に気を取られ、これらも絶対音感を身につけるには不適当であった。
【0008】
【特許文献1】特願平9−72775
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、従来のように、五線譜ボードと音符マーカーの電気的接続を電極で行い、これにより形成される電子回路とソフトウェアにより音を出すのでは無く、音符マーカー自身が発音手段と位置検出手段を有する事により、両者の間の電気接点が非接触にも拘わらず、音符マーカー自身が、この音符マーカーが五線譜ボード上に置かれた位置を検出してこれに対応する音高が発音されるようにする。
【0010】
五線譜が描かれた五線ボードには、各線と各間の位置を特定するための線譜マーカーがこの五線譜に沿って平行しに配置される。
【0011】
そして、線譜マーカー上に音符マーカーを簡単に付着させるため、帯状の磁石を上記と同様に線符マーカーに平行して配置する。底面が磁性材であるこの音符マーカーはこの帯状の磁石に吸着され、付着する。
【0012】
音符マーカーを線譜マーカーに付着させる手段としては、他にも面状ファスナーや、嵌合突起等を使っても可能である。
【0013】
線譜マーカー上に音符マーカーが付着されると、内蔵されたマイクロスイッチ群により、この線譜マーカーの数や種類に応じたオンオフの組み合わせによる検出がなされてこの付着位置を検出して、これに応じた音高をスピーカから発音する。
【0014】
発音は、符着させて瞬間にしても良いし、又は音符マーカーに取り付けたスタートスイッチを押下して、音を出す様にしても良い。
【発明の効果】
【0015】
幼児又は児童が自分自身で、音符マーカーを五線譜の線譜マーカー上に適当に付着するだけで、この音符マーカーから当該位置に応じた音高が発音するので、幼児や児童でもこの音を聞きながら、繰り返し遊ぶ事が出来るので、親の助けや音楽教師が不用で、一人で遊びながら絶対音感を身につける事が可能となるのである。
【0016】
音符マーカー同士を接続子で3個接続してこれを線譜マーカーに付着させれば、三和音が発音されるので、和音に対しても絶対音感を体得する事が可能になる。
【0017】
また、音符マーカーを多数個付着させて、これに従って順次発音させる事も可能で、その際には、第一番目のスタートスイッチを押下して、この発音をトリガーに隣の音符マーカーを発音させ、更にこれをトリガーに隣の音符マーカーを発音させる様にして、全ての音符マーカーが次々と連続して発音する。これにより音符マーカーの連続をメロディーとして把握する事が可能になるのである。
【0018】
また、発音した音高、音価をディスプレイ素子に文字として表示する事が可能となるので、視聴した音楽を文字表記して記録する事が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下図を使い、線譜マーカーが四本の深い溝と浅い溝の組み合わせであり、これに付着した音符マーカーのマイクロスイッチのアクチュエータがこの溝の深さの差異により、各線と各間の位置を検出して、これに応じた音高を発音する本発明について説明する。
【0020】
説明を判り易くするため、深い溝と浅い溝で説明するが、実際には溝ありと溝無しでもよい。或いは、磁性塗料等で音符マーカーを線描し、これをホールセンサースイッチで検出してもよい。
【0021】
図1に示す様に、五線譜ボード200には音符マーカーを付着させるためのベルト状磁石20Jを有していて、付着面が磁性材である音符マーカーが簡単に付着可能になっている。
【0022】
この五線譜ボード200にはインクで五線20Fが線描されていて、加線20F’は点線で描かれている。
【0023】
そしてこの五線20Fの各線と各間に、それぞれ四本の深い溝と浅い溝で構成される線譜マーカー220〜242を有する。この線譜マーカー220〜242は深い溝と浅い溝により構成されている。
【0024】
この深い溝と浅い溝の組み合わせを二進法表記に対応させて、発音する音高との関係に付いて、一オクターブ分を下表に表示する。
【表1】



上記は一オクターブ分しか示していないが、本実施例では4つの線譜マーカーがあるので16種類の音高が発音可能であり、2オクターブの音域を発音可能である。
【0025】
音符マーカー100は、図2に示す様に電池110、発振回路120、スピーカー130等の発音手段と、アクチュエータ部180Aがケーシング外に突出したマイクロスイッチ180を4個内蔵し、ケーシングされている。 この4個のマイクロイッチ180の、オンのオフの組み合わせにより、五線譜上の付着位置を検出する。また、和音を発音するために音符マーカー同士を結合する相互結合端子160を有する。
【0026】
そして、音符マーカー100には符頭部100Hに、符幹部100Kや、符尾部100B、又♯や♭の変化記号の描かれた変化記号部180C等の補助部品が音符マーカー補助部品接続端子150に着脱自在に接続する事が出来る様になっていて、この接続の有無を符頭100H内部の接続検出回路125が検出し、これに応じた半音や音価の発音が可能になる。
【0027】
図3は五線譜上の各線、各間の位置を示す各線譜マーカー220〜242に音符マーカーが付着している断面図であり、各音符マーカー100のマイクロスイッチ180の各アクチュエータ180Aが、各線譜マーカー220〜240の各溝に嵌合することにより、発振回路120が、上表に示す発振周波数で発振して、この音高の音がスピーカー130から発音するのである。
【0028】
図4は音符マーカー100が第一線の上に付着した例であるが、この第一線の位置を示す線譜マーカー232は上から順に、深い溝、浅い溝、深い溝、浅い溝の組み合わせになっていて、音符マーカー100の各マイクロスイッチ180の各アクチュエータ180Nがこの溝に嵌合して、二進法表記では1010となり、これに応じて上記表に示す通り330Hzの「ミ」の音が発音されるのであるが、発音の開始はこの音符マーカー100を付着させた瞬間でも良いし、発音スタートスイッチ190により開始されてもよい。
【0029】
図5に示す様に、相互結合用端子160に接続ピンジャックを介して音符マーカー100を三個連結し、これを図6に示す様に「ミ」、「ソ」、「シ」の線譜マーカー236、232、228の上に付着すれば、この3個が同時に発音し、三和音が発音される。これにより、和音に対しても絶対音感を体得する事が出来る。
【0030】
図7は音符マーカーを多数個付着した図である。この音符マーカー100同士を連続接続端子170に連続接続用コード300で、五線譜ボード200に付着した全ての音符マーカー100同士を接続して、第一番目の音符マーカーのスタートスイッチ190を押下すると、第一番目の音符マーカーが発音したあと、この発音がトリガーとなって、2番目の音符マーカーが発音し、以下連続して最後(最右端)の音符マーカーまで順次発音し、メロディーが奏でられるのである。 もし、隣合う音符マーカー同士で無線通信を行えば、接続コード等も不用になる。
【0031】
図8は音符マーカー100を、五線譜ボード200上の各線の上や各間の上に正しく峻別して付着するが出来る様に、線譜マーカー案内凸部400を有する例である。
【0032】
五線譜ボード200の各線譜マーカー220〜242はこの案内凸部400に設置され、これに付着する音符マーカー100の嵌合凹部100Gにマイクロスイッチ180のアクチュエータがこの凹凸が適合して、線でもなく間でもない中途半端な位置に付着されるのを防ぐ。
【0033】
図9は、発音に伴い、ドレミファソラシドの音高や、四分音符、八分音符の音価等を表示する表示ディスプレイ素子100Dを有する図であり、このディスプレイ素子100Dにこの発音の音高や音価の文字表記をする。
【0034】
本案に於いては、符頭、符幹、符尾、シャープ、フラット、等の音楽符号の要素別に、いわばモジュール化した構成要素を着脱して発音する事により、この要素が持つそれぞれの役割を、絶対音感と共に体得する事が可能になるのであり、更に体得した絶対音感を文字表記として表現する事も可能にする音楽教材としての最善のツールである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】五線譜ボードの図
【図2】音符マーカーの内部を示した図
【図3】各線譜マーカーと音符マーカーのスイッチの組み合わせを付着している断面図
【図4】五線譜の第一線に音符マーカーを付着した図
【図5】三和音を発音させるように音符マーカーを三個連結した図
【図6】三個連結した音符マーカーを五線譜ボードに付着させた図
【図7】音符マーカーを多数個付着して、連続発音させてメロディーを奏でる図
【図8】五線譜ボードの凸部に、音符マーカーの凹部が嵌合して付着した図
【図9】発音した音高、音価等を文字する表記用ディスプレイを有する音符マーカーの図
【符号の説明】
【0036】
100 音符マーカー
100B 符尾部
100K 符幹部
100H 符頭部
100C 変化記号部
100G 五線譜マーカーの凹部に嵌合する凹部
110D 文字表記用ディスプレイ
110 電池
120 発信回路
125 接続検出回路
130 スピーカー
150 音符マーカー補助部品接続端子
160 相互結合端子
170 連結接続端子
180 マイクロスイッチ
180A マイクロスイッチのアクチュエータ
190 発音開始スイッチ
100D 発音した音を文字表記するディスプレイ
200 五線譜ボード
20F 描画された五線譜
20F’ 描画された加線
220 第五線を示す線譜マーカー
222 第四間を示す線譜マーカー
224 第四線を示す線譜マーカー
226 第三間を示す線譜マーカー
228 第三線を示す線譜マーカー
230 第二間を示す線譜マーカー
232 第二線を示す線譜マーカー
234 第一間を示す線譜マーカー
236 第一線を示す線譜マーカー
238 下第一間を示す線譜マーカー
240 下第一線を示す線譜マーカー
242 下第二間を示す線譜マーカー
250 線譜マーカー案内凸部
300 連続接続用コード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
五線譜が描かれた五線譜ボードに、発音手段と複数個のスイッチによる位置検出手段を内蔵する符頭の形をした音符マーカーを付着させ、この付着位置に応じた音高を発音させる音楽玩具又は音楽教材であって、五線譜ボードに描かれた五線譜の各線と各間の位置を指定するこの五線譜に平行する線譜マーカーを有し、上記音符マーカー内の上記スイッチが、この線譜マーカーを検出する事により、上記五線譜上の音符マーカーの付着位置を検出して、これに対応する音高を発音してなる音楽教材
【請求項2】
符幹及び、シャープ、フラットの形をした補助部材を符頭に接続して、この接続の有無と種類を音符マーカーに内蔵する電子回路で判別し、これに応じた音高と音価を発音する請求項1〜請求項2記載の音楽教材
【請求項3】
発音と共にこの音高に対応するドレミファソラシドの文字を譜頭又は五線譜ボードに表示する請求項1〜請求項3記載の音楽教材
【請求項4】
音符マーカーが各線又は各間のいずれかに峻別して配置されるための案内凹凸を線譜ボードに有し、この案内凹凸に嵌合する凹凸を音符マーカーに有する請求項1記載の音楽教材



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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