説明

音響レンズ、超音波探触子、および超音波診断装置

【課題】高い周波数の超音波を低損失で収束させることができる音響レンズ、該音響レンズを有する超音波探触子、および該超音波探触子を有する超音波診断装置を提供する。
【解決手段】超音波を第2のレンズ面の入射する位置に応じて異なる媒質の中を進行させるレンズ体と、全面が同じ媒質からなる第1のレンズ面の媒質と、第2のレンズ面で接合するレンズ体の複数の媒質との間で、超音波の伝播速度と音響インピーダンスがそれぞれ単調に変化するように構成された第1音響整合体と、全面が同じ媒質の媒質からなる第4のレンズ面の媒質と、第3のレンズ面で接合するレンズ体の複数の媒質との間で、超音波の伝播速度と音響インピーダンスがそれぞれ単調に変化するように構成された第2音響整合体と、を有することを特徴とする音響レンズ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響レンズ、超音波探触子、および超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は超音波パルス反射法により、体表から生体内の軟組織の断層像を低侵襲に得る医療用画像機器である。この超音波診断装置は、他の医療用画像機器に比べ、小型で安価、X線などの被爆がなく安全性が高い、ドップラー効果を応用して血流イメージングが可能等の特長を有している。そのため、循環器系(心臓の冠動脈)、消化器系(胃腸)、内科系(肝臓、膵臓、脾臓)、泌尿科系(腎臓、膀胱)、及び産婦人科系などで広く利用されている。
【0003】
このような医療用超音波診断装置に使用される超音波探触子は、高感度、高解像度の超音波の送受信を行うために、ジルコン酸チタン酸鉛を材料とした圧電素子が一般的に使用される。この場合、送信用圧電素子の振動モードとしては、単一型探触子であるシングル型または複数の探触子を2次元配置したアレイ型探触子がよく使用される。アレイ型は精細な画像を得ることができるので、診断検査のための医療用画像として広く普及している。
【0004】
一方、高調波信号を用いたハーモニックイメージング診断は、従来のBモード診断では得られない鮮明な診断像が得られることから標準的な診断方法となりつつある。
【0005】
ハーモニックイメージングを行うために十分な超音波信号を得るためには基本波よりも周波数が高く減衰しやすい高調波をいかに効率的に受信できる設計とするかが重要となる。
【0006】
また、従来から超音波探触子には、超音波のビームを収束させて分解能を向上させるため音響レンズが用いられている。音響レンズは被検体(生体)と密着させるので、被検体と密着させやすく、診断に使用する周波数において減衰率の小さい材料が求められている。
【0007】
従来からこのような材料としてシリコーンゴムが主に用いられている。シリコーンゴムは、被検体(生体)より音波の伝播速度(以下、音速ともいう)が遅いので、断面形状の中央部を凸状に形成し、超音波が中央の厚みの厚い部分を通過する時間を、厚みの薄い部分より長くして超音波を収束させるようにしていた。
【0008】
しかしながら、シリコーンゴムは超音波の伝播損失が大きいため、超音波探触子の受信感度を向上させることは難しい。特に、高周波の伝播損失が大きいため、高調波信号を用いたハーモニックイメージングには不向きな材料であると言える。
【0009】
一方、伝播損失の少ない材料としては、例えば樹脂材料であるポリメチルペンテンが知られているが、ポリメチルペンテンは被検体(生体)より音速が速いので、断面形状の中央部を凹状に形成し、超音波を収束させるようにする必要がある。
【0010】
しかしながら、凹状では被検体(生体)の表面との接触性が悪く、鮮明な画像が得られない。
【0011】
そのため、ポリメチルペンテンを用いた凹状の音響レンズの平坦な側を生体接触側、凹側を圧電素子側とし、シリコーンゴムで形成した音響媒体によって凹状の部分を埋めて空気層を介在しないようにする方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0012】
また、従来の超音波探触子では、圧電素子と音響素子の間に音響インピーダンスの異なる層を積層した整合層が設けられているが、整合層の各層の境界で音響インピーダンスが大きく異なるため、超音波の反射が発生し、超音波の送受信感度を低下させる原因になっていた。
【0013】
そのため、圧電素子から離間するにつれて含有割合が変化するように添加物を添加し、圧電素子と音響レンズとの間の音響インピーダンスを徐々に変化させるようにして超音波の送受信感度を向上させた音響整合レンズを備えた超音波プローブが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平6−254100号公報
【特許文献2】特開2006−263385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、特許文献1に開示されているように、音響レンズの凹状の部分を埋める音響媒体を設けると、音響レンズと音響媒体との境界で音響インピーダンスが大きく異なるため、超音波の反射が発生し、超音波の送受信感度が低下する問題がある。
【0016】
特に、音響媒体としてシリコーンゴムを用いると、シリコーンゴムによる超音波の伝播損失が大きく高次高調波を利用する場合は受信感度が不十分になってしまうという問題があった。
【0017】
特許文献2に開示されている音響整合レンズは、シリコーンゴムに添加物を添加した3つの整合層の一つに凸曲面を設け超音波を収束させている。しかし、高周波の伝播損失の少ない材料は一般に被検体より音速が速いため、凸曲面では超音波を収束できないのでこのような構成は高調波信号を用いる場合には適用できない。
【0018】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、高い周波数の超音波を低損失で収束させることができる音響レンズ、該音響レンズを有する超音波探触子、および該超音波探触子を有する超音波診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の課題を解決するため、本発明は以下のような特徴を有するものである。
【0020】
1.第1のレンズ面から入射した超音波を、第2のレンズ面と第3のレンズ面を通って、第4のレンズ面から放射し所定の距離に収束させる音響レンズであって、
前記第2のレンズ面と前記第3のレンズ面とを備え、前記超音波を前記第2のレンズ面の入射する位置に応じて異なる媒質の中を進行させ、前記第2のレンズ面から前記第3のレンズ面まで進行する間の時間が変わるように構成して前記超音波を所定の距離に収束させるレンズ体と、
前記第1のレンズ面を備え、前記第2のレンズ面で接合する前記レンズ体との界面で反射が生じないように構成された第1音響整合体と、
前記第4のレンズ面を備え、前記第3のレンズ面で接合する前記レンズ体との界面で反射が生じないように構成された第2音響整合体と、
を有することを特徴とする音響レンズ。
【0021】
2.前記第1音響整合体は、
前記第1のレンズ面の全面を形成する媒質と、前記第2のレンズ面で接合する前記レンズ体の複数の媒質との間で、超音波の伝播速度と音響インピーダンスがそれぞれ単調に変化するように構成され、
前記第2音響整合体は、
前記第4のレンズ面の全面を形成する媒質と、前記第3のレンズ面で接合する前記レンズ体の複数の媒質との間で、超音波の伝播速度と音響インピーダンスがそれぞれ単調に変化するように構成されていることを特徴とする前記1に記載の音響レンズ。
【0022】
3.前記音響レンズの減衰特性は、
周波数5MHzで10dB/cm以下であることを特徴とする前記1または2に記載の音響レンズ。
【0023】
4.前記音響レンズの形状は、直方体であることを特徴とする前記1から3の何れか1項に記載の音響レンズ。
【0024】
5.前記超音波が前記第1のレンズ面に入射する位置が、前記第1のレンズ面の中央から離間するにつれて、前記超音波が前記第1のレンズ面から前記第4のレンズ面まで進行する間の時間が短くなるように構成されていることを特徴とする前記1から4の何れか1項に記載の音響レンズ。
【0025】
6.前記レンズ体、前記第1音響整合体、および前記第2音響整合体は、
母材樹脂に添加物を添加した樹脂材料を用いて形成したことを特徴とする前記1から5の何れか1項に記載の音響レンズ。
【0026】
7.前記第1音響整合体、および前記第2音響整合体は、
母材樹脂に添加した添加物の含有割合の異なる複数の層からなることを特徴とする前記1から6の何れか1項に記載の音響レンズ。
【0027】
8.前記レンズ体は、
直方体の中央部と、
前記超音波の進行する方向と平行な前記中央部の対向する2面に、同形状の面がそれぞれ接するように配設された直方体の2つの周辺部と、
を有し、
前記周辺部は、
前記中央部の対向する2面と平行に形成された少なくとも1つのレンズ層から成り、前記中央部からの距離が遠い前記レンズ層ほど超音波の伝播速度が速い材料から形成されていることを特徴とする前記1から7の何れか1項に記載の音響レンズ。
【0028】
9.前記第1音響整合体は、
前記中央部と同じ音響インピーダンスの材料から形成され、前記中央部と接する第1中央音響整合部と、
2つの前記周辺部の前記レンズ層と両端がそれぞれ接し、接する前記レンズ層と同じ音響インピーダンスの材料から形成された少なくとも一つの第1音響整合層を有することを特徴とする前記8に記載の音響レンズ。
【0029】
10.前記第2音響整合体は、
前記中央部と同じ音響インピーダンスの材料から形成され、前記中央部と接する第2中央音響整合部と、
2つの前記周辺部の前記レンズ層と一端が接し、接する前記レンズ層と同じ音響インピーダンスの材料から形成された少なくとも二つの第2音響整合層を有することを特徴とする前記8または9に記載の音響レンズ。
【0030】
11.被検体に向けての超音波の送信、または被検体からの超音波の反射波の受信の少なくとも一方を行う超音波探触子において、
前記1から10の何れか1項に記載の音響レンズを有し、
前記音響レンズを介して超音波を送信および受信、または送信もしくは受信をすることを特徴とする超音波探触子。
【0031】
12.超音波を被検体に向けて送信し、該被検体から受信した該超音波の反射波に応じて画像を生成する超音波診断装置において、
前記11に記載の超音波探触子を有することを特徴とする超音波診断装置。
【発明の効果】
【0032】
本発明の音響レンズは、レンズ体と第1音響整合体と第2音響整合体とを有し、第1のレンズ面から第1音響整合体に入射した超音波を、レンズ体の第2のレンズ面と第3のレンズ面を通って、第2音響整合体の第4のレンズ面から放射し所定の距離に収束させる。
【0033】
第1音響整合体は、第1のレンズ面を備え、第2のレンズ面で接合するレンズ体との界面で反射が生じないように構成されている。
【0034】
第2音響整合体は、第4のレンズ面を備え、第3のレンズ面で接合するレンズ体との界面で反射が生じないように構成されている。
【0035】
このようにすると、それぞれのレンズ面の間の超音波の反射が少なく、低損失で高い周波数の超音波を収束させることができる。
【0036】
したがって、高い周波数の超音波を低損失で収束させることができる音響レンズ、該音響レンズを有する超音波探触子、および該超音波探触子を有する超音波診断装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施形態の音響レンズ7の斜視図である。
【図2】音響レンズ7のY軸に直交する面の断面図である。
【図3】超音波の進行する方向を示す音響レンズ7のY軸に直交する面の断面図である。
【図4】Z軸方向の距離と音響インピーダンスの関係を示すグラフである。
【図5】Z軸方向の距離と音速の関係を示すグラフである。
【図6】実施形態の第1音響整合体72と第2音響整合体70を形成する製造方法の積層工程までを説明する説明図である。
【図7】切断、研磨工程によって得られた第1音響整合体72と第2音響整合体70を説明する説明図である。
【図8】実施形態のレンズ体70を製造する製造方法の一例を説明する説明図である。
【図9】実施形態の超音波探触子のヘッド部の構成を示す断面図である。
【図10】実施形態における超音波診断装置の外観構成を示す図である。
【図11】実施形態における超音波診断装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【図12】他の実施形態に係る音響レンズ7の断面図である。
【図13】他の実施形態に係る音響レンズ7の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明に係る実施の一形態を図面に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限られない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
【0039】
図1は、実施形態の音響レンズ7の斜視図、図2は、音響レンズ7のY軸に直交する面の断面図である。
【0040】
以降の説明では図中のX、Y、Zで示す座標軸に基づいて説明する。X軸方向は音響レンズ7を接合する超音波探触子1(図1には図示せず)のエレベーション方向(ダイシングを行う方向)であり、Y軸方向は音響レンズ7の長手方向、Z軸正方向は超音波を送信する方向である。
【0041】
本実施形態の音響レンズ7の外観は図1のように直方体であることが好ましい。通常レンズの中央部が膨らんでいる湾曲形状やその他形状であっても良いが、切削切り出しによる量産は直方体が好ましい。バラツキが小さく安定して高性能が得られるレンズとなる。第1音響整合体72のZ軸と直交するZ軸負方向側の第1のレンズ面81は、平面であり図示せぬ圧電素子と接合する面である。また、第2音響整合体70のZ軸と直交するZ軸正方向側の第4のレンズ面84は、平面であり図示せぬ被検体と接触する面である。
【0042】
このように、被検体と接触する面が平面になっているので、被検体の表面との接触性が良く被検体と音響レンズ7を容易に密着させることができる。
【0043】
音響レンズ7は、第1音響整合体72とレンズ体71と第2音響整合体70とから構成されている。音響レンズ7は、第1のレンズ面81から第1音響整合体72に入射した超音波を、レンズ体71の第2のレンズ面82と第3のレンズ面83を通って、第2音響整合体70の第4のレンズ面84から放射し、所定の距離に収束させる。本実施形態では、第1のレンズ面81のX軸方向の異なる位置から入力した超音波を収束させるように構成している。
【0044】
図2に示すように、レンズ体71は、直方体の中央部4と、超音波の進行する方向(Z軸方向)と直交する中央部4の対向する2面に、同形状の面がそれぞれ接するように配設された直方体の2つの周辺部8を有している。
【0045】
音響レンズ7の各部を形成する材料の音速と音響インピーダンスの例を表1に示す。なお、表1において第1音響整合体72、レンズ体71、第2音響整合体70の各部は部番で示している。
【0046】
【表1】

【0047】
それぞれの周辺部8は、図2の例では中央部4の対向する2面と平行に形成された紙面左側の7つのレンズ層8a〜8g、紙面右側の7つのレンズ層8k〜8qから成り、中央部4からの距離が遠いレンズ層ほど超音波の伝播速度(以下、音速ともいう)が速い材料から形成されている。例えば、8kより8lの方が、8lより8mの方がより超音波の伝播速度が速い材料から形成され、8qが最も超音波の伝播速度が速い材料から形成されている。また、中央部4の両側のレンズ層8aと8k、レンズ層8bと8l、レンズ層8cと8m、レンズ層8dと8n、レンズ層8eと8o、レンズ層8fと8k〜8p、レンズ層8gと8qは、同じ材料から形成され超音波の伝播速度と音響インピーダンスが同じである。
【0048】
すなわち、レンズ体71の第2のレンズ面82と第3のレンズ面83は、X軸方向の位置によって音速と音響インピーダンスが異なる材料から形成されている。表1の例では、中央部4の音響インピーダンスは2.5Pa・s・m−1、レンズ層8gと8qの音響インピーダンスは22.0Pa・s・m−1であり、大きな違いがある。
【0049】
第1音響整合体72と第2音響整合体70は、X軸方向の位置によって音響インピーダンスが異なる材料から形成されたレンズ体71との境界である第2のレンズ面82、第3のレンズ面83で発生する超音波の反射を抑制するためにそれぞれ設けたものである。
【0050】
第1音響整合体72は、全体形状は直方体であり、中央部4と接する第1中央音響整合部21と、第1中央音響整合部21を囲むように形成された7つの第1音響整合層6a、6b、6c、6d、6e、6f、6gから構成される。図2に示すように、第2のレンズ面82に接する7つの第1音響整合層6a〜6gはその両端がレンズ層8a〜8gとレンズ層8k〜8qにそれぞれ接している。
【0051】
例えば、第1音響整合層6aの一端はレンズ層8aと他の一端はレンズ層8kと接している。前述のように、レンズ層8aとレンズ層8kは同じ音響インピーダンスの材料からなるので、第1音響整合層6aをレンズ層8a、8kと同じ音響インピーダンスの材料から形成すると、第1音響整合層6aとレンズ層8a、8kとの境界では超音波の反射がおこらない。
【0052】
同様に、第1音響整合層6bをレンズ層8bと8lと、第1音響整合層6cをレンズ層8cと8mと、第1音響整合層6dをレンズ層8dと8nと、第1音響整合層6eをレンズ層8eと8oと、第1音響整合層6fをレンズ層8fと8k〜8pと、第1音響整合層6gをレンズ層8gと8qと、をそれぞれ同じ音響インピーダンスの材料から形成する。また、中央部4と接する第1中央音響整合部21も中央部4と同じ音響インピーダンスの材料から形成する。
【0053】
このようにすると、第1音響整合体72とレンズ体71との境界である第2のレンズ面82で超音波の反射がおこらないようにすることができる。
【0054】
一方、圧電素子などと接合する第1のレンズ面81は、第1音響整合層6gのみからなるので、第1のレンズ面81のどの位置でも音響インピーダンスは同じである。
【0055】
第1のレンズ面81と接合する圧電素子の音響インピーダンスは、一般に24〜36Pa・s・m−1程度であり、接合する第1音響整合層6gを形成する材料の音響インピーダンスを、表1に示すようなこれに近い値にすると接合面で発生する超音波の反射を抑制することができる。
【0056】
表1に示すように、第1音響整合層6gと第1中央音響整合部21を構成する材料の音響インピーダンスは大きく異なっているが、その間の第1音響整合層6f〜第1音響整合層6aは単調に変化するようにしている。このようにすると、第1音響整合層6gから入射した超音波は、第1中央音響整合部21に到達するまでに第1音響整合層6f〜第1音響整合層6aを通過するので、各層間の音響インピーダンスは単調に減少し、境界での差が少ないので境界面で発生する反射を抑制することができる。
【0057】
第2音響整合体70は、全体形状は直方体であり、中央部4と接する第2中央音響整合部22と、第2中央音響整合部22を囲むように形成された7つの第2音響整合層6a、6b、6c、6d、6e、6f、6gと7つの第2音響整合層6k、6l、6m、6n、6o、6p、6qから構成される。図2に示すように、第2中央音響整合部22の両側に形成された7つの第2音響整合層6a〜6gの一端がレンズ層8a〜8gと、7つの第2音響整合層6k〜6qの一端がレンズ層8k〜8qとそれぞれ接している。例えば、第2音響整合層6aの一端はレンズ層8aと接し、第2音響整合層6bの一端はレンズ層8lと接している。
【0058】
第1音響整合体72の場合と同様に、第2音響整合層6k〜6qはそれぞれが接するレンズ層8k〜8qと同じ材料から形成されている。また、第2音響整合層6a〜6gもそれぞれが接するレンズ層8a〜8gと同じ材料から形成されている。また、中央部4と接する第2中央音響整合部22も中央部4と同じ音響インピーダンスの材料から形成する。
【0059】
このようにすると、第2音響整合体70とレンズ体71との境界である第3のレンズ面83で超音波の反射がおこらないようにすることができる。
【0060】
一方、被検体と接する、第2音響整合体70の第3のレンズ面83は、第2中央音響整合部22のみからなるので、第3のレンズ面83のどの位置でも音響インピーダンスは同じである。
【0061】
被検体である人体の音響インピーダンスは、1.8Pa・s・m−1程度であり、接触する第2中央音響整合部22の音響インピーダンスを、表1に示すようなこれに近い値にすると第1のレンズ面81と同様に接触面で発生する超音波の反射を抑制することができる。
【0062】
表1に示すように、第2音響整合層6g、6qと第2中央音響整合部22を構成する材料の音響インピーダンスは大きく異なっているが、その間の第2音響整合層6f〜第2音響整合層6a、および第2音響整合層6p〜第2音響整合層6kは単調に変化するようにしている。このようにすると、第2音響整合層6gから入射した超音波は、第2中央音響整合部22に到達するまでに第2音響整合層6f〜第2音響整合層6aを通過するので、各層間の音響インピーダンスは単調に減少し、境界での差が少ないので境界面で発生する反射を抑制することができる。第2音響整合層6qから入射した超音波も同様である。
【0063】
レンズ体71、第1音響整合体72、第2音響整合体70は、それぞれ周波数5MHzの超音波の伝播損失が10dB/cm以下の材料から形成されている。
【0064】
周波数5MHzの超音波の伝播損失が10dB/cm以下の材料としては、例えばポリエチルペンテン、スチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリプロピレンなどの重合体または共重合体を用いることができる。
【0065】
例えば、中央部4、第1中央音響整合部21、および第2中央音響整合部22は、スチレンとジビニルベンゼンとを質量比95:5の割合で架橋した共重合体から形成することができる。また、レンズ層8g、8q、第1音響整合層6a、および第2音響整合層6g、6qは、質量比5.8%のスチレンと質量比0.4%のジビニルベンゼンに親油性酸化亜鉛ナノ粒子を質量比93.7%の割合で添加した樹脂液を熱重合させて形成することができる。
【0066】
この例では、表1に示すように中央部4、第1中央音響整合部21、および第2中央音響整合部22を構成する材料の音速は2350m/s、音響インピーダンスは2.5Pa・s・m−1である。また、レンズ層8g、8q、第1音響整合層6a、および第2音響整合層6g、6qを構成する材料の音速は3600m/s、音響インピーダンスは22.0Pa・s・m−1である。
【0067】
圧電素子の音響インピーダンスは、一般に24〜36Pa・s・m−1程度であり、接合する第1音響整合層6aを構成する材料の音響インピーダンスを、この例のように近い値にすると接合面で発生する超音波の反射を抑制することができる。また、被検体である人体の音響インピーダンスは、1.8Pa・s・m−1程度であり、接触する第2中央音響整合部22を構成する材料の音響インピーダンスを、この例のように近い値にすると同様に接触面で発生する超音波の反射を抑制することができる。
【0068】
なお、レンズ層8の層数は7層に限られるものではなく、より多層にしても良いし、例えば1層でも良い。また、第1音響整合層、および第2音響整合層は、レンズ層8の層数に応じてレンズ層8と接するように設ければ良い。
【0069】
また、各レンズ層8と接する第1音響整合層、または第2音響整合層の対応する層は、超音波の進行方向に対し音響インピーダンスが単調に変化するのであれば必ずしもレンズ層8と同じ材料から形成する必要はない。
【0070】
図3、図4、図5を用いて、本発明の音響レンズ7が超音波を収束させる原理を説明する。図3は、超音波の進行する方向を示す音響レンズ7のY軸に直交する面の断面図、図4は、Z軸方向の距離と音響インピーダンスの関係を示すグラフ、図5は、Z軸方向の距離と音速の関係を示すグラフである。
【0071】
図3の矢印S1は、音響レンズ7のX軸方向の幅の断面を示し、矢印S3は、音響レンズ7のX軸方向の幅の周辺部の断面を、矢印S2は、矢印S3と矢印S1の中間付近の断面を示している。また、第1のレンズ面81は圧電素子と接合し、第4のレンズ面84は被検体に接しているものとする。
【0072】
Z1は、矢印S1で示すように進行する超音波が、第1音響整合層6fに到達する位置の第1のレンズ面81からの距離、Z2は、矢印S2で示すように進行する超音波が、第1音響整合層6fに到達する位置の第1のレンズ面81からの距離である。また、Z3は、矢印S3で示すように進行する超音波が、第2音響整合層6pに到達する位置の第1のレンズ面81からの距離、Z4は、矢印S2で示すように進行する超音波が、第2中央音響整合部22に到達する位置の第1のレンズ面81からの距離である。
【0073】
図4にS1で示すように音響レンズ7の中央では、第1のレンズ面81からZ1までは第1音響整合層6gの音響インピーダンスRgであり、第1音響整合層6fから第1音響整合層6aの区間では距離に応じて徐々に減少する。次に進行する第1中央音響整合部21、中央部4、第1中央音響整合部21、第2中央音響整合部22の区間の音響インピーダンスはR1である。
【0074】
また、図4にS2で示すように、第1のレンズ面81からZ2までは第1音響整合層6gの音響インピーダンスRgであり、第1音響整合層6f〜6cの区間では距離に応じて音響インピーダンスは徐々に減少し、レンズ層8mと第2音響整合層6mを進行する区間は一定の音響インピーダンスRcになる。次に、第2音響整合層6l〜6kの区間では距離に応じて音響インピーダンスは徐々に減少し、Z4の位置で第2中央音響整合部22の領域に入るとR1になる。
【0075】
同様に、図4にS3で示すように、第1のレンズ面81からZ3まで音響インピーダンスはRgであり、第2音響整合層6p〜6kの区間では距離に応じて音響インピーダンスは徐々に減少し、第2中央音響整合部22の領域に入るとR1になる。
【0076】
なお、図4では音響インピーダンスが連続的に減少しているように図示しているが、実際には層毎に異なる音響インピーダンスになるので段階的に減少する。
【0077】
音速は、図5にS1で示すように音響レンズ7の中央では、第1のレンズ面81からZ1までは第1音響整合層6gの音速Vgであり、第1音響整合層6f〜6cの区間では距離に応じて徐々に減少する。次に進行する第1中央音響整合部21、中央部4、第1中央音響整合部21、第2中央音響整合部22の区間の音速はV1である。
【0078】
また、図5にS2で示すように、第1のレンズ面81からZ2までは第1音響整合層6gの音速Vgであり、第1音響整合層6f〜6cの区間では距離に応じて音速は徐々に減少し、レンズ層8mと第2音響整合層6mを進行する区間は一定の音速Vcになる。次に、第2音響整合層6l〜6kの区間では距離に応じて音速は徐々に減少し、Z4の位置で第2中央音響整合部22の領域に入るとV1になる。
【0079】
同様に、図5にS3で示すように、第1のレンズ面81からZ3まで音速はVgであり、第2音響整合層6p〜6kの区間では距離に応じて音速は徐々に減少し、第2中央音響整合部22の領域に入るとV1になる。
【0080】
なお、図5では音速が連続的に減少しているように図示しているが、実際には層毎に異なる音速になるので段階的に減少する。
【0081】
このように、周辺部を進行するS3で示す超音波は、中央を進行するS1で示す超音波よりも音速Vgの領域を進む距離が長く、音速V1より速い音速Vgの領域を進む距離が長いので同時に第1のレンズ面81に入射したS1で示す超音波よりも早く第4のレンズ面84に接する被検体に達する。
【0082】
S3で示す周辺部を進行する超音波は、S1で示す中央を進行する超音波より早く被検体に入射するので、その時間差の分だけ多くの距離を進行し、第4のレンズ面84からの距離fで中央部を進行するS1で示す超音波と収束する。また、S2はS3とS1の間に被検体に入射し、距離fで中央部を進行するS1で示す超音波と収束する。
【0083】
音響レンズ7の焦点距離は、このように超音波が第1のレンズ面81に入射する位置と第1のレンズ面81から第4のレンズ面84まで進行する時間との関係によって変わる。入射する位置と進行する時間との関係は、第1音響整合体72、レンズ体71、および第2音響整合体70を構成する各部の媒質と形状を変えることにより設定することができる。
【0084】
第1音響整合体72は、主に第1音響整合層6gの凹面の曲率、及び第1のレンズ面81から第2のレンズ面82までの距離を変更することにより、入射する位置に応じた第1のレンズ面81から第2のレンズ面82までの通過時間を設定することができる。
【0085】
レンズ体71は、中央部4、各レンズ層8の音速、第2のレンズ面82から第3のレンズ面83までの距離、および中央部4と各レンズ層8のX軸方向の長さ、を変更することにより、入射する位置に応じた第2のレンズ面82から第3のレンズ面83までの通過時間を設定することができる。
【0086】
第2音響整合体70は、主に第2中央音響整合部22の凸面の曲率、及び第3のレンズ面83から第4のレンズ面84までの距離を変更することにより、入射する位置に応じた第3のレンズ面83から第4のレンズ面84までの通過時間を設定することができる。
【0087】
このように本実施形態の音響レンズ7は、超音波が第1のレンズ面81に入射する位置に応じて、第1のレンズ面81から第4のレンズ面84まで進行する時間が異なるように構成し、第4のレンズ面84から放射する超音波を所定の距離に収束させている。このことにより、被検体より音速が速い樹脂材料を用いても、音響レンズ7を被検体と接触する面を被検体に密着させやすい平面形状にすることができる。
【0088】
また、本実施形態の音響レンズ7は、周波数5MHzで10dB/cm以下の樹脂材料から形成されているので、高調波信号の減衰が少なく、高調波信号を利用するアレイ型超音波探触子に好適である。
【0089】
さらに、樹脂材料から形成されているので、被検体と接触する面が磨耗しにくい。そのため、シリコーンゴムから成る音響レンズのように、超音波探触子を使用する際に塗布するゼリー状物質を使用後にふき取る際に音響レンズ面が徐々に磨耗し、フォーカス位置が当初の設計から合わなくなるという問題がおこりにくい。
【0090】
加えて、樹脂材料はガスや液体を透過しにくいので、音響レンズ7の被検体と接する側の面から消毒用ガス、または液体が侵入して、超音波探触子の特性が劣化することも少ない。
【0091】
次に、実施形態の音響レンズの製造方法を説明する。
【0092】
図6は、第1音響整合体72と第2音響整合体70を形成する製造方法の積層工程までを説明する説明図、図7は、切断、研磨工程によって得られた第1音響整合体72と第2音響整合体70を説明する説明図である。図8は、レンズ体70を製造する製造方法の一例を説明する説明図である。
【0093】
S1:第1音響整合体72と第2音響整合体70の製造工程
S1−1:樹脂基材の製造工程
図6(a)は、第1音響整合体72の第1中央音響整合部21と第2音響整合体70の第2中央音響整合部22の基になる樹脂基材25の一例である。樹脂基材25は、図3(a)に示すように一方の面が凸面になった蒲鉾状である。樹脂基材の大きさに特に限定はないが、一例としては、幅W1=10mm、奥行きL=100mm、高さH1=3mm、凸面の曲率半径50mmである。
【0094】
樹脂基材25を形成する材料には、各種樹脂材料を用いることができるが、超音波の減衰特性は、周波数5MHzで2dB/cm以下の樹脂材料が好ましい。例えば、メチルペンテン、スチレン、メチルメタクリレート、カーボネート、プロピレンなどの重合体または共重合体を用いることができる。
【0095】
樹脂基材25は、例えば金型に樹脂材料を注型して作製する。
【0096】
S1−2:積層工程
樹脂基材25の凸面に、樹脂基材25より高い音響インピーダンスと所定の音速が得られる割合で添加物を添加した樹脂液−1を所定の厚みになるよう塗布した後、加熱硬化を行う。次に、さらに速い所定の音速が得られる割合で添加物を添加した樹脂液−2を所定の厚みになるよう塗布した後、加熱硬化を行う。このように順次樹脂液の塗布と、加熱硬化を繰り返し、図6の層8f〜8aを順に形成する。最後に樹脂液−7を塗設厚みが所定の厚みになるまで塗布と、加熱硬化を繰り返し図6(b)のように6gの部分を形成する。
【0097】
母材の樹脂材料の音速を変えるため樹脂材料に添加する添加剤としては、例えば酸化亜鉛、アルミニウム、酸化アルミニウム、ジュラルミン、チタン、窒化ケイ素、炭化ボロン、モリブデン等が用いられる。これらの添加剤は、母材の樹脂材料に均一に添加し、母材と添加剤界面で音響不整合を生じないよう、波長に対して充分小さい粉末の状態で用いられることが好ましく、その粒径は10μm以下、さらに好ましくは0.5μm以下であることが好ましい。
【0098】
S1−3:切断、研磨工程
図6(b)のように樹脂材料を順次積層した物を、幅W2、高さH3の直方体と、幅W2、高さH4の直方体とになるように、X軸とY軸を含む面で分割するとともに側面を切断し、切断面の研磨を行い、図7(a)に示すような第2音響整合体70と図7(b)に示すような第1音響整合体72とを得る。
【0099】
切断法としては、ダイシングソー、レーザーカッター、超音波カッター、高圧水カッターなどを用いることができる。
【0100】
S2:レンズ体71の製造工程
S2−1:樹脂基板の製造工程
図8(a)は、中央部4を形成する樹脂基板の一例である。樹脂基板は、図8(a)に示すように幅L、高さH1、奥行きMの長方体である。樹脂基板の大きさに特に限定はないが、一例としては、L=100mm、M=150mm、H1=2mmである。
【0101】
樹脂基板を形成する材料には、各種樹脂材料を用いることができるが、超音波の減衰特性は、周波数5MHzで2dB/cm以下の樹脂材料が好ましい。例えば、メチルペンテン、スチレン、メチルメタクリレート、カーボネート、プロピレンなどの重合体または共重合体を用いることができる。
【0102】
図8(a)の樹脂基板は、例えば金型に樹脂材料を注型して作製する。
【0103】
S2−2:積層工程
中央部4を形成する樹脂基板の対向する両面に、中央部4より速い所定の音速が得られる割合で添加物を添加した樹脂液−1を所定の厚みwになるよう塗布した後、加熱硬化を行う。次に、さらに速い所定の音速が得られる割合で添加物を添加した樹脂液−2を所定の厚みwになるよう塗布した後、加熱硬化を行う。このように順次樹脂液の塗布と、加熱硬化を繰り返し、図8(b)のように次の工程で層8a〜8g、層8k〜8qになる層をそれぞれ形成する。なお、層の数は図8(b)の例に限定されるものではなく、音響レンズ7の仕様に応じて決定すれば良い。
【0104】
母材の樹脂材料の音速を変えるため樹脂材料に添加する添加剤としては、例えば酸化亜鉛、アルミニウム、酸化アルミニウム、ジュラルミン、チタン、窒化ケイ素、炭化ボロン、モリブデン等が用いられる。これらの添加剤は、母材の樹脂材料に均一に添加し、母材と添加剤界面で音響不整合を生じないよう、波長に対して充分小さい粉末の状態で用いられることが好ましく、その粒径は10μm以下、さらに好ましくは0.5μm以下であることが好ましい。
【0105】
添加剤を母材の樹脂材料に添加する体積割合Pは、添加剤の音速をVx、母剤の樹脂材料の音速をV、所定の音速Vαとすると、(1)式で求められる。
【0106】
P=(Vα−V)/(Vx−V)・・・・・・(1)
例えば、Vx=6400m/sec、V=2500m/sec、Vα=2771m/secとするとP=0.0695であり、体積比で6.95%添加すれば良い。
【0107】
質量比Rは、添加剤の比重と母材の樹脂材料の比重の比重比Cとすると、(2)式で求められる。
【0108】
R=P×C/((1−P)+P×C)・・・・・(2)
例えば、比重比C=5.41、P=0.0695のとき質量比Rは0.288であり、質量比では28.8%添加すれば良い。
【0109】
S2−3:切断、研磨工程
図8(b)のように樹脂材料を順次積層した状態から、第1のレンズ面と第2のレンズ面との間隔が所定の厚みになるように、樹脂材料を積層した面に直交する面に沿って(本実施形態ではY軸方向の面)切断し、切断面の研磨を行い、図8(c)に示すようなレンズ体71を得る。図8(c)のレンズ体71は図1で説明したレンズ体71と同一形状であり、Z軸負方向から見た図である。
【0110】
切断法としては、ダイシングソー、レーザーカッター、超音波カッター、高圧水カッターなどを用いることができる。
【0111】
S3:レンズ体71と第1音響整合体72、第2音響整合体70の接合工程
図8(c)に示すレンズ体71のZ軸方向に対向する2つの面にそれぞれ、図7(a)に示す第2音響整合体70と図7(b)に示す第1音響整合体72とを接合し、図1のような音響レンズ7を得る。
【0112】
音響レンズ7の製造工程は以上である。
【0113】
図9は、実施形態の超音波探触子のヘッド部の構成を示す断面図である。
【0114】
本実施形態では、送信用圧電素子と受信用圧電素子とを別体とし、超音波の送信時と受信時における動作を分離したアレイ型超音波探触子に本発明を適用した例を説明するが、特に限定されるものではなく単一の圧電素子で送受信を行うシングル型超音波探触子にも適用できる。
【0115】
以降の説明では図中のX、Y、Zで示す座標軸に基づいて説明する。X方向は超音波探触子1のエレベーション方向(ダイシングを行う方向)であり、Z軸正方向は超音波を送信する方向である。また、Z軸方向は積層方向である。
【0116】
図9に示す超音波探触子1は、バッキング材5の上に第4電極15、送信素子層2、第3電極14、中間層13、第2電極10、受信素子層3、第1電極9、音響レンズ7の順に積層されている。
【0117】
以降、積層順に各構成要素を説明する。
【0118】
(送受信素子層)
送信素子層2は、ジルコン酸チタン酸鉛などの圧電材料から成る圧電素子であり、互いに厚み方向に対向する両面にそれぞれ第3電極14、第4電極15を備えている。送受信素子層2の厚みは320μm程度である。
【0119】
第3電極14、第4電極15は、図示せぬコネクタにより図4には図示せぬケーブル33と接続され、ケーブル33を介して送信回路42と接続する。第3電極14、第4電極15に電気信号を入力すると圧電素子が振動し、送受信素子層2からZ軸正方向に超音波を送信するように構成されている。
【0120】
第3電極14、第4電極15は、金、銀、アルミなどの金属材料を用いて、送受信素子層2の両面に蒸着法やフォトリソグラフィー法を用いて成膜する。
【0121】
送受信素子層3が被検体で反射した超音波の反射波を受信して振動すると、反射波に応じて圧電素子に第1電極9、第2電極10の間に電気信号が発生する。第1電極9、第2電極10の間に発生した電気信号は、ケーブル33を介して受信回路43で受信され、画像処理部44で画像化される。
【0122】
バッキング材5の上に、これまでに説明した第3電極14と第4電極15とが形成された送受信素子層2、接着剤により接着して図9のように積層する。積層後、送受信素子層3から超音波放射方向と反対の方向に向かってダイシングを行い、バッキング材5と第4電極15の接着層からさらにZ軸負方向に100μmの深さまでダイシングを行う。ダイシングによりできた溝部に、シリコン樹脂などから成る充填剤を充填した後、最上層に音響レンズ7を接着する。これ以外にも、音響レンズまで積層した後にダイシングを行い、溝部をシリコン樹脂などで充填したのちに音響レンズ上部と同様の材料からなる表面保護層を接着する態様でも良い。
【0123】
音響レンズ7は、送受信素子層2から送信された超音波を所定の距離に収束させる。
【0124】
(超音波診断装置および超音波探触子の各構成および動作)
図8は、実施形態における超音波診断装置の外観構成を示す図である。図9は、実施形態における超音波診断装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【0125】
超音波診断装置100は、図略の生体等の被検体に対して超音波(超音波信号)を送信し、受信した被検体で反射した超音波の反射波(エコー、超音波信号)から被検体内の内部状態を超音波画像として画像化し、表示部45に表示する。
【0126】
超音波探触子1は、被検体に対して超音波(超音波信号)を送信し、被検体で反射した超音波の反射波を受信する。超音波探触子1は、図8に示すように、ケーブル33を介して超音波診断装置本体31と接続されており、送信回路42、受信回路43と電気的に接続されている。
【0127】
送信回路42は、制御部46の指令により、超音波探触子1へケーブル33を介して電気信号を送信し、超音波探触子1から被検体に対して超音波を送信させる。
【0128】
受信回路43は、制御部46の指令により、超音波探触子1からケーブル33を介して、被検体内からの超音波の反射波に応じた電気信号を受信する。
【0129】
画像処理部44は、制御部46の指令により、受信回路43が受信した電気信号に基づいて被検体内の内部状態を超音波画像として画像化する。
【0130】
表示部45は、液晶パネルなどから成り、制御部46の指令により、画像処理部44が画像化した超音波画像を表示する。
【0131】
操作入力部41は、スイッチやキーボードなどから構成され、ユーザが診断開始を指示するコマンドや被検体の個人情報等のデータを入力するために設けられている。
【0132】
制御部46は、CPU、メモリなどから構成され、操作入力部41の入力に基づいてプログラムされた手順により超音波診断装置100各部の制御を行う。
【実施例】
【0133】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0134】
[実施例]
(音響レンズの作製)
実施例では、図1と同じ構成のX軸方向の幅W=7mm、Z軸方向の高さH=7mm、Y軸方向の長さL=100mm、の直方体で、焦点距離f=25mmの音響レンズを図6〜図8で説明した手順で作製した。
【0135】
<樹脂液製造工程>
音響レンズ7の各部を形成するのに用いる樹脂液の製造工程である。
【0136】
【表2】

【0137】
実施例では、スチレンとジビニルベンゼンに添加剤の親油性酸化亜鉛ナノ微粒子と熱重合開始剤とを表2の質量比で混合した樹脂液−1〜7を作製した。表2に示す樹脂液−1〜7に含まれる添加剤の質量比は、表1の音速V1〜Vgと音響インピーダンスR1〜Rgが得られるように、添加剤を母材の樹脂材料に添加する体積割合Pを求め、質量比に換算して求めた。スチレンとジビニルベンゼンとの共重合体と親油性酸化亜鉛ナノ微粒子との比重比C=5.41とした。
【0138】
なお、表2の酸化亜鉛は、親油性酸化亜鉛ナノ微粒子(デグサ社製VP AdNano Z805)であり、平均粒径は250nmである。また、熱重合開始剤はアゾビスイソブチロニトリルを用いた。
【0139】
表2には、本実施例において、それぞれの樹脂液−1〜7によって形成される部材の部番を記載している。例えば、1行目の樹脂液−1からは第1音響整合体72の第1音響整合層6aと、第2音響整合体70の第2音響整合層6a、6kと、レンズ体71のレンズ層8a、8kが形成されることがわかる。
【0140】
S1:第1音響整合体72と第2音響整合体70の製造工程
S1−1:樹脂基材の製造工程
スチレンとジビニルベンゼンとを質量比95:5の割合で架橋した共重合体を材料として金型に注型し、図6(a)に示すようなL=100mm、W1=10mm、H1=3mmで曲率半径50mmの蒲鉾状の樹脂基材25を作製した。樹脂基材25の音速V1と音響インピーダンスR1を測定したところそれぞれ2350m/sec、2.5Ps・s・m−1であった。
【0141】
S1−2:積層工程
中央音響整合部20の凸面に樹脂液−1をディップ塗布法を用いて厚さ3μmになるように塗布し、直ちに強熱乾燥して架橋強化し、音響整合層6aを形成した。同様に、樹脂液−2〜6についても同じ手順で塗布及び加熱硬化を行い、音響整合層6b〜6fを形成した。
【0142】
音響整合層6gは、音響整合層6fの上に樹脂液−7の塗布及び加熱硬化を繰り返し、図6(b)のような形状にした。塗設厚みは最大6mmになるようにした。
【0143】
S1−3:切断、研磨工程
図6(b)のように樹脂材料を順次積層した物を、幅W2、高さH3の直方体と、幅W2、高さH4の直方体とになるように、X軸とY軸を含む面で分割するとともに側面を切断し、切断面の研磨を行い、図7(a)に示すような第2音響整合体70と図7(b)に示すような第1音響整合体72とを作製した。
【0144】
音響整合層6a〜6g、6k〜6qのZ軸負方向側から見たそれぞれのX軸方向の幅は0.5mmである。また、音響整合層6a〜6gのZ軸正方向側から見たそれぞれのX軸方向の幅は0.5mmである。
【0145】
S2:レンズ体71の製造工程
S2−1:樹脂基板の製造工程
スチレンとジビニルベンゼンとを質量比95:5の割合で架橋した共重合体を材料として金型に注型し、図8(a)に示すようなL=100mm、M=150mm、H1=2mmの長方形の中央部4を形成する樹脂基板を作製した。中央部4を形成する樹脂基板の音速V1を測定したところ2350m/secであった。
【0146】
S2−2:積層工程
樹脂液−1〜7を用いて層8a〜8g、層8k〜8lになる層をそれぞれ形成した。
【0147】
中央部4を形成する樹脂基板の対向する両面に、常温で樹脂液−1を加熱硬化後に厚み0.5mmになるよう塗布した後、オーブンに入れ120℃で5分加熱し、硬化させた。次に、常温で樹脂液−2を加熱硬化後に厚み0.5mmになるよう塗布した後、同じ条件で加熱硬化を行った。その後、同じ条件で順次樹脂液の塗布と、加熱硬化とを繰り返し、樹脂液−7まで塗布と、加熱硬化を行った。
【0148】
S2−3:切断、研磨工程
図8(b)のように積層した状態から、Z軸方向の幅3mm毎に樹脂材料を積層した面に直交する面に沿ってY軸方向に切断した後、切断面の研磨を行ってH=1.0mmとし、L=100mm、W=7mmの図8(c)に示すようなレンズ体71を作製した。
【0149】
S3:レンズ体71と第1音響整合体72、第2音響整合体70の接合工程
レンズ体71のZ軸方向に対向する2つの面にそれぞれ第2音響整合体70と第1音響整合体72とを接合し、図1のような音響レンズ7を得た。
【0150】
(超音波探触子の作製)
試作した超音波探触子1は、次のように作製した。
【0151】
送受信素子層2は、ジルコン酸チタン酸鉛を材料として、X方向の長さ10mm、Y方向の長さ55mm、Z方向の長さ(厚み)320μmのシート状にラップ仕上げで作製した。
【0152】
次に、送受信素子層2の両面に、金を真空蒸着して0.3μm厚の第3電極14と第4電極15とを作製した。
【0153】
バッキング材5の上に、第3電極14と第4電極15とが形成された送信素子層2、中間層13、第1電極9と第2電極10とが形成された受信素子層3の順に、接着剤により接着して図3のように積層する。積層後、受信素子層3からZ軸負方向に向かってダイシングを行い、バッキング材と第4電極の接着層からさらにZ軸負方向に100μmの深さまでダイシングを行った。
【0154】
最後に最上層に、音響レンズ7を接着し、実施例、実施例2の超音波探触子1を各5個作製した。
【0155】
[比較例]
(音響レンズの作製)
X軸方向の幅W=6mm、Y軸方向の幅L=100mm、Z軸方向に曲率半径6mmの凸面形状のレンズ面を有する焦点距離25mmの音響レンズを、シリコーンゴムを成型して作製した。Z軸方向の最大幅H=460μmである。
【0156】
(超音波探触子の作製)
実施例と同じ手順で各層を積層し、最後に最上層に、シリコーンゴムから成る音響レンズを接着し、比較例の超音波探触子1を5個作製した。
【0157】
[評価方法]
実施例と比較例のそれぞれの超音波探触子の焦点距離と減衰量を測定し、平均値を求めた。焦点距離の測定は水中ハイドロフォン法で行い、減衰量の測定はシングルアラウンド法で行った。
【0158】
また、実施例と比較例の音響レンズ表面を不織布ワイパー(BEMCOT M−3II(商品名)、旭化成(株)製)に50gの荷重をかけて500回の摩擦試験を行った後、再度焦点距離を測定した。
【0159】
[結果]
【0160】
【表3】

【0161】
摩擦試験を行う前の実施例、比較例の焦点距離は表3のようにどちらも25mmであった。
【0162】
減衰量は表3に示すように、実施例の超音波探触子の中央では、周波数5MHzで1.2dB、周波数15MHzで8.3dB、端部では周波数5MHzで2.3dB、周波数15MHzで12.1dBであった。
【0163】
一方、比較例は、表3に示すように減衰量が周波数5MHzで4.1dB、周波数15MHzで21、3dBであり、周波数5MHzで約3dB、周波数15MHzで9dBも実施例より減衰が多くなっている。このように、本発明では、同一の焦点距離で、伝播損失の少ない音響レンズが得られることが確認できた。
【0164】
摩擦試験を行った後の実施例の焦点距離は表3のように変化が無かったが、比較例の焦点距離は12mm遠方に変化していた。このことから、本発明の音響レンズは対摩耗性に優れ、耐久性が高いことが確認できた。
【0165】
次に、第1音響整合体72とレンズ体71の接合面、および第2音響整合体70とレンズ体71の接合面で発生する反射を抑制する他の実施形態を説明する。
【0166】
図12は、他の実施形態の音響レンズ7の断面図である。
【0167】
図12の例では、第1音響整合体72のレンズ体71と対向する面と、第2音響整合体70のレンズ体71と対向する面にそれぞれ溝51が設けられている。溝51には音響整合材52を充填して接合している。溝51は超音波の反射を吸収できる程度のサイズになっている。
【0168】
このようにすると、第1音響整合体72とレンズ体71との間、また第2音響整合体70のレンズ体71で超音波の反射がおこらないようにすることができる。
【0169】
媒質層53は、被検体と同程度の音響インピーダンスを持つ材料から形成され、媒質層50は、接合される送受信層と同程度の音響インピーダンスを持つ材料から形成されている。
【0170】
図13は、図12の変形例であり、第1のレンズ面81に溝51を設けた例である。このようにすると、第1のレンズ面81と接合する送受信層との間で発生する反射を抑制することができる。
【0171】
なお、超音波の反射を防止する構造はこの例に限られるものではなく、例えば特開平11−89835公報に開示されているような先細柱状体を用いても良い。
【0172】
また、図12,13の溝51は平面(直線)形状となっているが、通常のレンズの様に中央部が膨らんでいる湾曲形状であっても良い。湾曲形状の場合、中心と外側で通常のレンズ効果を考慮して、設計することが好ましい。
【0173】
以上このように、本発明によれば、高い周波数の超音波を低損失で収束させることができる音響レンズ、該音響レンズを有する超音波探触子、および該超音波探触子を有する超音波診断装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0174】
1 超音波探触子
2 送信素子
3 受信素子
4 中央部
5 バッキング材
6 音響整合層
6a〜6g 第1音響整合層
6a〜6g 第2音響整合層
6k〜6q 第2音響整合層
7 音響レンズ
8 周辺部
9 第1電極
10 第2電極
13 中間層
14 第3電極
15 第4電極
20 中央音響整合部
21 第1中央音響整合部
22 第2中央音響整合部
25 樹脂基材
31 超音波診断装置本体
33 ケーブル
41 操作入力部
42 送信回路
43 受信回路
44 画像処理部
45 表示部
46 制御部
100 超音波診断装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のレンズ面から入射した超音波を、第2のレンズ面と第3のレンズ面を通って、第4のレンズ面から放射し所定の距離に収束させる音響レンズであって、
前記第2のレンズ面と前記第3のレンズ面とを備え、前記超音波を前記第2のレンズ面の入射する位置に応じて異なる媒質の中を進行させ、前記第2のレンズ面から前記第3のレンズ面まで進行する間の時間が変わるように構成して前記超音波を所定の距離に収束させるレンズ体と、
前記第1のレンズ面を備え、前記第2のレンズ面で接合する前記レンズ体との界面で反射が生じないように構成された第1音響整合体と、
前記第4のレンズ面を備え、前記第3のレンズ面で接合する前記レンズ体との界面で反射が生じないように構成された第2音響整合体と、
を有することを特徴とする音響レンズ。
【請求項2】
前記第1音響整合体は、
前記第1のレンズ面の全面を形成する媒質と、前記第2のレンズ面で接合する前記レンズ体の複数の媒質との間で、超音波の伝播速度と音響インピーダンスがそれぞれ単調に変化するように構成され、
前記第2音響整合体は、
前記第4のレンズ面の全面を形成する媒質と、前記第3のレンズ面で接合する前記レンズ体の複数の媒質との間で、超音波の伝播速度と音響インピーダンスがそれぞれ単調に変化するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の音響レンズ。
【請求項3】
前記音響レンズの減衰特性は、
周波数5MHzで10dB/cm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の音響レンズ。
【請求項4】
前記音響レンズの形状は、直方体であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の音響レンズ。
【請求項5】
前記超音波が前記第1のレンズ面に入射する位置が、前記第1のレンズ面の中央から離間するにつれて、前記超音波が前記第1のレンズ面から前記第4のレンズ面まで進行する間の時間が短くなるように構成されていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の音響レンズ。
【請求項6】
前記レンズ体、前記第1音響整合体、および前記第2音響整合体は、
母材樹脂に添加物を添加した樹脂材料を用いて形成したことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の音響レンズ。
【請求項7】
前記第1音響整合体、および前記第2音響整合体は、
母材樹脂に添加した添加物の含有割合の異なる複数の層からなることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の音響レンズ。
【請求項8】
前記レンズ体は、
直方体の中央部と、
前記超音波の進行する方向と平行な前記中央部の対向する2面に、同形状の面がそれぞれ接するように配設された直方体の2つの周辺部と、
を有し、
前記周辺部は、
前記中央部の対向する2面と平行に形成された少なくとも1つのレンズ層から成り、前記中央部からの距離が遠い前記レンズ層ほど超音波の伝播速度が速い材料から形成されていることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の音響レンズ。
【請求項9】
前記第1音響整合体は、
前記中央部と同じ音響インピーダンスの材料から形成され、前記中央部と接する第1中央音響整合部と、
2つの前記周辺部の前記レンズ層と両端がそれぞれ接し、接する前記レンズ層と同じ音響インピーダンスの材料から形成された少なくとも一つの第1音響整合層を有することを特徴とする請求項8に記載の音響レンズ。
【請求項10】
前記第2音響整合体は、
前記中央部と同じ音響インピーダンスの材料から形成され、前記中央部と接する第2中央音響整合部と、
2つの前記周辺部の前記レンズ層と一端が接し、接する前記レンズ層と同じ音響インピーダンスの材料から形成された少なくとも二つの第2音響整合層を有することを特徴とする請求項8または9に記載の音響レンズ。
【請求項11】
被検体に向けての超音波の送信、または被検体からの超音波の反射波の受信の少なくとも一方を行う超音波探触子において、
請求項1から10の何れか1項に記載の音響レンズを有し、
前記音響レンズを介して超音波を送信および受信、または送信もしくは受信をすることを特徴とする超音波探触子。
【請求項12】
超音波を被検体に向けて送信し、該被検体から受信した該超音波の反射波に応じて画像を生成する超音波診断装置において、
請求項11に記載の超音波探触子を有することを特徴とする超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−182223(P2011−182223A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−45177(P2010−45177)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】