説明

領域特定方法、これを用いた容積計測方法、領域特定装置および領域特定プログラム

【課題】往復運動のいずれかの死点での生体部位またはそれらの差分に対応する生体部位の領域を特定可能にする。
【解決手段】X線CTによるボリュームデータにおいて、生体部位の領域を特定する領域特定方法であって、往復運動する生体部位の領域を含む断面データにおいて、CT値に対する要素数の分布を算出する分布算出ステップ(R3)と、分布において、生体部位の運動を示す運動ピークに基づいて、CT値範囲を設定する範囲設定ステップ(R6、R8)と、を含み、設定されたCT値範囲の要素領域を、往復運動のいずれかの死点での生体部位またはそれらの差分に対応する生体部位の領域として特定する。これにより、たとえば息を止めない生体に対しても拡張期の肺の領域と収縮期の肺の領域を特定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線CTによるボリュームデータにおいて、生体部位の領域を特定する領域特定方法、これを用いた容積計測方法、領域特定装置および領域特定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
肺は、生体にとって重要な臓器であり、診察や治療、または研究のためにX線CTデータの解析が要求される。従来、肺を対象にX線CTデータを解析する技術が提案されている(たとえば、特許文献1、2参照)。特許文献1記載の肺領域抽出装置は、ラベリングされた画像領域のうち一定面積以下の領域と、入力画像の最上段、最下段、最右段、最左段に接する所定の領域とを除いた領域を抽出し、これを肺領域としている。また、特許文献2記載の換気分布計測方法は、3次元的に撮像された肺の吸気時CT画像および呼気時CT画像より肺領域を抽出し、肺の局所換気量を求め、体積積分により肺の総換気量を求めている。
【特許文献1】特開平11−151232号公報
【特許文献2】特開2005−28121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、肺は呼吸により形状が変化するため、観察が困難である。特に、意識的に息を止められない動物では運動する生体部位についてX線CTデータを解析し正確な結果を得るのは難しい。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、往復運動のいずれかの死点での生体部位またはそれらの差分に対応する生体部位の領域を特定可能にする領域特定方法、これを用いた容積計測方法、領域特定装置および領域特定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記の目的を達成するため、本発明に係る領域特定方法は、X線CTによるボリュームデータにおいて、生体部位の領域を特定する領域特定方法であって、往復運動する生体部位の領域を含む断面データにおいて、CT値に対する要素数の分布を算出する分布算出ステップと、前記分布において、前記生体部位の運動を示す運動ピークに基づいて、CT値範囲を設定する範囲設定ステップと、を含み、前記設定されたCT値範囲の要素領域を、前記往復運動のいずれかの死点での生体部位またはそれらの差分に対応する生体部位の領域として特定することを特徴としている。
【0006】
このように本発明の領域特定方法は、生体部位の運動を示すピークに基づいて、CT値範囲を設定し、その要素領域を、往復運動の一時点の生体部位またはそれらの差分に対応する生体部位の領域として特定する。これにより、たとえば息を止めない生体に対しても拡張期の肺の領域と収縮期の肺の領域を特定することができる。なお、死点とは、往復運動において加速度が一時的に零となる状態をいい、肺の運動では一回の呼吸において拡張が最大の状態または収縮が最小の状態を指す。
【0007】
(2)また、本発明に係る領域特定方法は、前記範囲設定ステップが、前記分布において、空気を示す空気ピークのCT値が大きい側の裾野に下限値を設定する下限値設定ステップと、前記運動ピークのCT値が大きい側の裾野に上限値を設定する上限値設定ステップと、を含み、前記設定された下限値および上限値により決まるCT値範囲の要素領域を、前記往復運動の上死点での生体部位の領域として特定することを特徴としている。
【0008】
これにより、往復運動する部分を含めた生体部位の領域を特定することができる。たとえば、拡張期の臓器を示す領域を特定することができる。なお、裾野とは、実質的にそのピークおよび他のピークの範囲に含まれない位置(CT値)をいい、たとえば各ピークの中心位置から2σ以上離れた位置である。3σ以上離れた位置であれば、さらに好ましい。
【0009】
(3)また、本発明に係る領域特定方法は、前記範囲設定ステップが、前記分布において、空気を示す空気ピークのCT値が大きい側の裾野に下限値を設定する下限値設定ステップと、前記運動ピークのCT値が小さい側の裾野に上限値を設定する上限値設定ステップと、を含み、前記設定された下限値および上限値により決まるCT値範囲の要素領域を、前記往復運動の下死点での生体部位の領域として特定することを特徴としている。これにより、往復運動する部分を除いた生体部位の領域を特定することができる。たとえば、収縮期の臓器を示す領域を特定することができる。
【0010】
(4)また、本発明に係る領域特定装置は、前記範囲設定ステップが、前記分布において、前記運動ピークのCT値が小さい側の裾野に下限値を設定する下限値設定ステップと、前記運動ピークのCT値が大きい側の裾野に上限値を設定する上限値設定ステップと、を含み、前記設定された下限値および上限値により決まるCT値範囲の要素領域を、前記往復運動の差分に対応する生体部位の領域として特定することを特徴としている。これにより、往復運動する部分を示す領域を特定することができる。たとえば、臓器の拡張期と収縮期との差分を示す領域を特定することができる。
【0011】
(5)また、本発明に係る領域特定方法は、前記生体部位は肺であることを特徴としている。これにより、呼気時の肺や吸気時の肺を示す領域、あるいは呼吸による活動部位を示す領域を特定することができる。
【0012】
(6)また、本発明に係る領域特定方法は、前記生体部位は心臓であることを特徴としている。これにより、拡張時の心臓や収縮時の心臓を示す領域、あるいは鼓動による活動部位を示す領域を特定することができる。
【0013】
(7)また、本発明に係る容積計測方法は、上記の領域特定方法を用いて特定された領域を3次元的に積算することで、容積を計測することを特徴としている。これにより、拡張時や収縮時の臓器の容積、肺活量等を計測することができる。
【0014】
(8)また、本発明に係る領域特定装置は、X線CTによるボリュームデータにおいて、生体部位の領域を特定する領域特定装置であって、往復運動する生体部位の領域を含む断面データにおいて、CT値に対する要素数の分布を算出する分布算出部と、前記分布において、CT値範囲を設定する操作を受け付ける操作部と、前記生体部位の運動を示す運動ピークの裾野に、上限値または下限値を設定する操作を受け付けた場合に、前記上限値または下限値を前記裾野において極小値をとる位置に修正する設定修正部と、を備え、前記設定されたCT値範囲の要素領域を、前記往復運動のいずれかの死点での生体部位またはそれらの差分に対応する生体部位の領域として特定としている。このように本発明の領域特定装置は、CT値範囲を設定する操作を受け付け、その上限または下限位置をCT値の極小値をとる位置に修正する。これにより、往復運動する部分を含む生体部位あるいは除いた生体部位の領域を正確に特定することができる。また、往復運動する部分を示す領域を特定することも可能となる。
【0015】
(9)また、本発明に係る領域特定装置は、X線CTによるボリュームデータにおいて、生体部位の領域を特定する領域特定装置であって、往復運動する生体部位の領域を含む断面データにおいて、CT値に対する要素数の分布を算出する分布算出部と、前記分布において、前記生体部位の運動を示す運動ピークに基づいて、CT値範囲を設定する範囲設定部と、を備え、前記設定されたCT値範囲の要素領域を、前記往復運動のいずれかの死点での生体部位またはそれらの差分に対応する生体部位の領域として特定することを特徴としている。このように本発明の領域特定装置は、自動的に生体部位の運動を示す運動ピークに基づいて、CT値範囲を設定する。これにより、たとえば息を止められない生体に対しても容易に拡張期の肺の領域と収縮期の肺の領域を特定することができる。
【0016】
(10)また、本発明に係る領域特定装置は、X線透視機能により得られたボリュームデータを用いて、設定されたROI内で積算CT値の時間変化を算出する時間変化算出部と、前記時間変化のうち前記往復運動の一方の死点側を示すデューティー比が所定割合以下である場合には、X線CT撮影に対して調整を行う調整部と、を更に備えることを特徴としている。
【0017】
このように本発明の領域特定装置は、X線透視機能により得られたボリュームデータを用いて、一方の死点側の示す積算CT値のデューティー比が所定割合以下である場合には、X線CT撮影に対して調整を行う。調整方法としては、たとえば、麻酔量を自動的に抑制して生体部位の往復運動を活性化させることができる。なお、X線CT撮影をしないよう警告を表示してもよいし、強制的に撮影ができないようにしてもよい。
【0018】
(11)また、本発明に係る領域特定プログラムは、X線CTによるボリュームデータにおいて、生体部位の領域を特定する領域特定プログラムであって、往復運動する生体部位の領域を含む断面データにおいて、CT値に対する要素数の分布を算出する分布算出処理と、前記分布において、CT値範囲を設定する操作を受け付ける操作受付処理と、前記生体部位の運動を示す運動ピークの裾野に、上限値または下限値を設定する操作を受け付けた場合に、前記上限値または下限値を前記裾野において極小値をとる位置に修正する設定修正処理と、をコンピュータに実行させることで、前記設定されたCT値範囲の要素領域を、前記往復運動のいずれかの死点での生体部位またはそれらの差分に対応する生体部位の領域として特定することを特徴としている。
【0019】
このように本発明の領域特定プログラムは、CT値範囲を設定する操作を受け付け、その上限または下限位置をCT値の極小値をとる位置に修正する。これにより、往復運動する部分を含む生体部位あるいは除いた生体部位の領域を正確に特定することができる。また、往復運動する部分を示す領域を特定することも可能となる。
【0020】
(12)また、本発明に係る領域特定プログラムは、X線CTによるボリュームデータにおいて、生体部位の領域を特定する領域特定プログラムであって、往復運動する生体部位の領域を含む断面データにおいて、CT値に対する要素数の分布を算出する分布算出処理と、前記分布において、前記生体部位の運動を示す運動ピークに基づいて、CT値範囲を設定する範囲設定処理と、をコンピュータに実行させることで、前記設定されたCT値範囲の要素領域を、前記往復運動のいずれかの死点での生体部位またはそれらの差分に対応する生体部位の領域として特定することを特徴としている。
【0021】
このように本発明の領域特定プログラムは、自動的に生体部位の運動を示す運動ピークに基づいて、CT値範囲を設定する。これにより、たとえば息を止められない生体に対しても容易に拡張期の肺の領域と収縮期の肺の領域を特定することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、往復運動のいずれかの死点での生体部位またはそれらの差分に対応する生体部位の領域を特定できる。たとえば息を止められない生体に対しても拡張期の肺の領域、収縮期の肺の領域またはその差分の領域を特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0024】
(装置の構成)
図1は、X線CT装置5および領域特定装置10およびの構成を示す概略図である。X線CT装置5は、X線の焦点サイズがミクロン単位のマイクロフォーカスX線源、2次元X線検出器を有し、面で受光したX線を電気信号に変換して画像化する。検出において、断層データのピクセルサイズは、たとえば20μm〜135μmで設定可能である。X線源および検出器は、回転アームに設置され、所定の回転軸のまわりを360°回転する。X線CT装置5は、ラット、マウス等の被検体を載せる支持台を有し、支持台はスライドさせることでガントリ孔からX線CT装置5の内部に入れられる。X線CT装置5により被検体の3次元CTデータが測定される。
【0025】
領域特定装置10は、X線CT装置5に接続され、3次元CTデータ(以下、ボリュームデータ)を受信する。領域特定装置10は、撮影によるX線CTデータを蓄積するだけでなく、X線透視機能によりリアルタイムにROI(関心領域)内のCT値を計測することもできる。領域特定装置10は、ボリュームデータを処理し、各要素のCT値を算出し、ボリュームデータにおいて、往復運動に関する生体部位の領域を特定できる。次に、領域特定装置10の各部について詳細に説明する。
【0026】
図2は、領域特定装置10の機能的構成を示すブロック図である。図2に示すように、領域特定装置10は、送受信部11、記憶部12、操作部13、時間変化算出部14、調整部15、表示部16、分離部21、分布算出部22、設定修正部23、範囲設定部24、容積算出部25、レポート作成部26、制御部27および制御バスNを備えている。制御バスNは、各部間の信号やデータの送受に用いられる幹線を概念的に示したものである。送受信部11は、データ送受信のインタフェースであり、X線CT装置5からボリュームデータを受信する。
【0027】
記憶部12は、主記憶装置または外部記憶装置により構成され、受信したボリュームデータを記憶する。操作部13は、たとえばポインティングデバイスやキーボードを介した操作を受け付ける。このようにして、操作部13は、断面位置の指定用のカーソルの移動や確定の入力を受付け、CT値範囲(2値化範囲)の上限値や下限値の設定操作やROIの設定操作を可能にする。
【0028】
時間変化算出部14は、X線透視機能により得られたX線CTデータを用いて、設定されたROI内で積算CT値の時間変化を算出する。算出された積算CT値の時間変化は、生体部位の往復運動により波形として得られる。特に肺や心臓等の臓器の往復運動は、一定の周期をもつ運動となる。たとえば肺のX線CT撮影を行う場合には、予め上記のX線透視機能により得られたX線CTデータを用いて呼吸拍を観察することで所定値以上のデューティー比をもつことを確認できる。その際には、横隔膜付近にROIを設定することが好ましい。また、時間変化算出部14は、ROIの積算CT値をグラフ表示する機能を有し、ユーザはグラフを確認して呼吸拍の調整等を行うことができる。なお、上記の例では、時間変化算出部14は、X線透視により呼吸拍を算出するが、専用の呼吸量計測装置(心肺計測装置)、呼吸による胸部の動きを検知するセンサーまたはビデオカメラを領域特定装置10に接続し、呼吸量、変位量、明度の変化等を用いて呼吸拍を算出してもよい。
【0029】
ガス麻酔は、マウス、ラットの呼吸拡張期を短くするため、本発明のように肺の運動を所定期間にわたって撮影する方法に適さない。肺や心臓等の臓器の拡張期と収縮期の比をそれぞれ50%程度に維持することが好ましい。したがって、肺の呼気時と吸気時の容積計算と機能部位比較を同時に行うには、ガス麻酔等による呼吸抑制を行わず、呼気、吸気の頻度が同程度の条件で撮影するのが好ましい。その方が、呼気時の肺を示す領域の面積と吸気の肺を示す領域の面積を特定しやすく、容積計算の精度が高くなる。
【0030】
調整部15は、時間変化のうち往復運動の一方の死点側を示すデューティー比が所定割合以下である場合には、X線CT撮影に対して調整を行う。たとえば、1周期中の平均吸気時間をtave、平均周期Taveとしたとき、デューティー比tave/Taveが25%以下である場合には、X線CT撮影に対して調整を行う。たとえば、麻酔量を自動的に抑制して生体部位の往復運動を活性化させることができる。なお、X線CT撮影をしないよう警告を表示してもよいし、強制的に撮影ができないようにしてもよい。
【0031】
表示部16は、各断面のボリュームデータやCT値に対する要素数(ピクセル数)分布を表示する。断面データはCT値に応じて色分けして表示することが可能であり、CT値に閾値が設定されている場合には、閾値の範囲に入っている測定値のみ色分けして2値化表示することも可能である。
【0032】
なお、X線CTデータの断面には、たとえば、アキシャル面(axial plane)、サジタル面(sagittal plane)、コロナル面(coronal plane)がある。アキシャル面とは、被検体の体軸方向に垂直な面である。サジタル面とは、被検体の体幅方向に垂直な面である。コロナル面とは、被検体の体厚方向に垂直な面である。体軸方向、コロナル面、サジタル面は、X線CT装置5の構成においてあらかじめ決めておき、X線CT撮影時に被検体を決められた軸に合わせて設置することが好ましい。そのように設置することで体軸方向が決まっているボリュームデータが得られる。
【0033】
分離部21は、分離線を設定し、計測対象の生体部位の領域を他の領域から分離する。計測対象となる生体部位には、肺、心臓等が挙げられる。たとえば、背骨および肋骨の領域を参照して、分離線を設定し、肺の領域を他の領域から分離する。具体的には、コロナル断面データに背骨の領域が途切れる付近にアキシャル断面を設定し、そのアキシャル断面データ上で肋骨の領域に沿って円状の閉曲線を設定する。このように肺の領域を分離することで、肺の往復運動領域のCT値と同程度の無関係なCT値データを除去することができる。
【0034】
分布算出部22は、往復運動する生体部位の領域を含む断面データにおいて、CT値に対する要素数の分布を算出する。算出の範囲は、分離部21で分離された範囲を対象とする。その分布を利用して、設定されたCT値範囲の要素領域を、拡張期もしくは収縮期の肺またはそれらの差分に対応する領域として特定することができる。
【0035】
設定修正部23は、生体部位の運動を示すピーク(運動ピーク)の裾野に、手動モードにて、上限値または下限値を設定する操作を受け付けた場合に、上限値または下限値を裾野において極小値をとる位置に修正する。そして、修正された範囲について2値化し、表示部16に表示させる。
【0036】
範囲設定部24は、CT値に対する要素数の分布において、自動で生体部位の運動を示すピークを検出して、CT値範囲を設定する。また、それに伴いCT値に対する要素数の分布において、空気を示すピーク(空気ピーク)の、CT値が大きい側の裾野に下限値を設定する。その際には、CT値−300付近で極大をとるピークを運動ピーク、CT値−1000付近で極大をとるピークを空気ピークと認識する。その結果、設定されたCT値範囲の要素領域を、拡張期もしくは収縮期の肺またはそれらの差分に対応する肺の領域として特定できる。設定された範囲に対して手動で修正操作がなされたときにはそれを反映させる。範囲設定部24は、確定した範囲について2値化し、表示させる。なお、範囲の設定を手動とするか自動とするかはユーザが操作により選択できる。
【0037】
容積算出部25は、設定されたCT値範囲で特定された領域を3次元的に積算することで、容積を計測する。連続する断面データに対して容積算出部25により設定されたCT値範囲の面積算出を繰り返すことで積算する。たとえば、ボリュームデータの一つの断面データにおいて、容積算出部25は、範囲設定部24により設定されたCT値範囲により特定された肺の拡張期の領域の面積を求める。面積は、2値化された肺の拡張期を示す領域の要素数を計数することで算出する。そして、隣り合う断面データの肺の拡張期の領域についても同様に、設定されたCT値範囲により肺の拡張期の領域を特定し、容積算出部25が特定された領域の面積を求める。その際、原則的にCT値範囲は最初に設定された範囲を利用し、断面データごとには算出しない。また、隣り合う断面データの領域を特定する際には、領域の要素が接しているか否かを判定し、接しているときには肺の拡張期の領域と判定し、接していないときには、肺の拡張期の領域でないと判定する。このようにして、範囲設定と計数を繰り返し、容積算出部25が各断面データについて求めた肺の拡張期を示す領域の面積を積算することで、肺の拡張期の容積を求める。
【0038】
肺の収縮期を示す領域の容積も同様に、範囲設定部24が肺の収縮期のCT値範囲を設定し、それにより各断面データについて特定された領域の面積を容積算出部25が計数し面積を求め、これを繰り返して面積を積算することで肺の収縮期の容積を求める。また、容積算出部25は、肺の拡張期の容積と収縮期の容積の差分により肺活量を求めることができる。なお、差分の容積は、上記のようにそれぞれの状態に対応する容積を求めて、その差をとることで求めてもよいし、CT値の範囲設定時に差分に対応する上限下限を設定して直接求めてもよい。
【0039】
レポート作成部26は、肺の拡張期容積、収縮期容積および肺活量を表にまとめたレポートを作成する。作成されたレポートを表示部16に表示する。その際には3次元画像を構成してスケルトン表示することも可能である。これにより、生体部位で活動している部分が明確になる。また、レポート出力ボタンの押下等の操作があったときには、画像データおよび計測結果のレポートを出力させる。制御部27は、CPUにより構成され、各部の制御を行う。たとえば、制御部27は、撮影したX線CTデータをX線CT装置5から取得するための処理を行う。
【0040】
(容積計測方法)
次に、このように構成されている領域特定装置10を用いて、往復運動する生体部位の領域を特定する容積計測方法について動物の肺の呼吸運動を例として説明する。図3は、領域特定装置10を用いて肺の容積を計測する方法を示すフローチャートである。
【0041】
まず、マウス、ラット等のサンプルを麻酔する(ステップS1)。そして、X線透視機能を用いて、サンプルの呼吸が安定していることを確認する(ステップS2)。その際には、呼吸拍の表示をユーザが目視で確認してもよいし、領域特定装置10の補助機能を用いて呼吸時間のデューティー比を算出してもよい。
【0042】
準備が整ったらX線CT装置5を動作させて、X線CT撮影を行う(ステップS3)。領域特定装置10は、撮影されたX線CTデータをボリュームデータとして再構成する(ステップS4)。そして、そのボリュームデータを用いて、肺容積を計測する(ステップS5)。肺容積の計測は、領域特定装置10の動作により可能となる。以下に、領域特定装置10の動作を説明し、肺容積計測の詳細を説明する。
【0043】
(装置の動作)
図4は、領域特定装置10の特徴的動作を示すフローチャートである。図4に示すように、まず、領域特定装置10は、X線CTデータからアキシャル断面データを選択する(ステップR1)。その際には、背骨の位置から選択するアキシャル断面データを決定する。具体的には、コロナル断面データにおいてサンプルの体軸に沿って背骨を辿ったときに背骨が途絶える付近の位置で断面を設定する。次に、対象領域を分離線により分離する(ステップR2)。その際には背骨および肋骨に沿って円状に閉曲線を描き、その閉曲線を分離線とする。その分離線の内部の領域が計測対象領域となる。
【0044】
次に、その対象領域にわたりCT値に対する要素数の分布を算出する(ステップR3)。得られた結果は、ヒストグラムのグラフとして表示される。次に、領域特定装置10はユーザによる自動か手動かの選択を受け付ける(ステップR4)。そして、自動が選択されたか手動が選択されたかを判定する(ステップR5)。
【0045】
自動モードが選択された場合には、さらに各目的に応じてCT値範囲を自動で設定し(ステップR6)、設定されたCT値範囲を2値化して、アキシャル、コロナル、サジタルの各断面画像に表示する。CT値範囲の設定基準については後述する。次に、自動で設定されたCT値範囲について、必要に応じて手動での修正操作を受け付け(ステップR7)、ステップR10に進む。
【0046】
一方、手動モードが選択された場合には、CT値範囲の設定操作を受け付ける(ステップR8)。設定操作は、たとえば、CT値に対する画像要素数の分布のグラフ上で上限値または下限値として適当な位置をクリックし、指定することで行われる。手動の場合には、必ずしも指定位置が最適でないため、領域特定装置10は、指定された位置を修正する(ステップR9)。領域特定装置10は、確定したCT値範囲を、2値化して、アキシャル、コロナル、サジタルの各断面画像に表示する。その際には、アキシャル、コロナル、サジタルの各断面画像に拡張期の領域と収縮期の領域を2値化表示する。そして、それとともに各断面画像の拡張期および収縮期の領域の各面積を算出し表示する。また、各断面位置での肺の収縮率(収縮期の面積÷拡張期部の面積×100%)を算出し表示する。
【0047】
次に、肺の拡張期(または収縮期)について設定されたCT値範囲により特定される領域の面積を各断面データについて算出し、それらを積算することで容積を算出する(ステップR10)。さらに肺活量の算出が必要な場合には肺活量についても算出する(ステップR11)。また、必要に応じて、3次元画像において活動部位をスケルトン表示し(ステップR12)、算出結果を表示する(ステップR13)。これにより、活動部位が明確になる。そして、レポート出力ボタンが押下されたときには、レポートを出力し(ステップR14)、終了する。次に、各ステップにおける判断基準について詳細を説明する。
【0048】
(呼吸拍についての判断基準)
図5(a)は、マウスを浅く麻酔した場合の呼吸拍を示すグラフ、図5(b)は、マウスを深く麻酔した場合の呼吸拍を示すグラフである。各図において、肺の拡張期間t、tに対する肺の収縮期間u、uは、ほぼ一定であり、それぞれ平均し、デューティー比を算出することができる。たとえば、注射麻酔を行うような場合には、図5(a)に示すように、呼吸拍が速くなる。肺の拡張期のデューティー比は、tの平均値をtave、t+uの平均値をTaveとしたとき、tave/Taveで表される。図5(a)に示すような場合では、デューティー比はおよそ50%であり、理想的である。一方、図5(b)に示すような場合では、デューティー比はおよそ17%であり、容積計測のための撮影には適さない状態である。デューティー比tave/Taveが25%以下か否かを確認し、25%以下ならデューティー比を向上させるように調整するか、撮影しないようにすることが好ましい。
【0049】
肺形体を正確に捉える手法として、すでに呼吸同期撮影が提案されているが、短時間撮影にて画像に捕らえられるのは肺の収縮期だけである。これは、マウス、ラットの呼吸拡張期が短いためである。このように、肺の収縮期の容積計測は容易であるが、拡張期の容積計測は困難である。人間であれば、意識的に息を止めることで、それぞれ吸気時と呼気時のCT画像を得ることもできるが、動物の場合には難しい。このような場合に本発明は非常に有効である。
【0050】
(対象領域の分離基準)
図6は、胴体部のX線CTによるコロナル断面データ画像を示す図である。図6に示すように、コロナル断面データ画像100には、空気110、体表120、骨130、肺140、横隔膜の変動部分150が示されている。図中の骨130は、一定方向のハッチングで区分して示されている。横隔膜の変動部分150は、骨とは逆方向のハッチングで示されている。呼吸により横隔膜の位置が変動するため、横隔膜の変動部分150の密度は、X線CT画像では、実体臓器より低く空気より高く表示される。上記の断面において、背骨130aから先は背骨の表示が途切れている。そして、背骨130aから少し戻った辺りでアキシャル断面を設定する。
【0051】
次に、このようにして設定されたアキシャル面で分離線を設定する。図7は、胴体部のX線CTによるアキシャル断面データ画像を示す図である。図7に示すように肋骨131はアキシャル断面上で円状に並んで形成されており、肺は必ずその内側にある。このような性質を利用し、肋骨131を辿り円状の閉曲線として分離線135を設定する。このようにして、分離線135を引くことができる。
【0052】
(CT値範囲の設定基準)
往復運動の下死点での生体部位の領域として特定する場合には、次のような基準でCT値の上限値および下限値を設定する。図8は、CT値に対する要素数の分布を示すグラフである。肺を例に、肺の収縮期を示す領域を特定する場合の基準を説明する。まず、空気を示す空気ピークP1のCT値が大きい側の裾野に下限値を設定する。そして、運動ピークのCT値が小さい側の裾野に上限値を設定する。このとき、空気のピークは−1000、運動ピークは−300、実質臓器は−200辺りにあることを利用する。そして、運動ピークP3と脂肪ピークP2との間の極小値を下限値として設定する。このようにして設定された下限値および上限値により決まるCT値範囲の要素領域を特定する。
【0053】
図9は、胴体部のX線CTによるアキシャル断面データ画像、図10は、コロナル断面データ画像、図11は、サジタル断面データ画像を示す図である。それぞれハッチングされている領域が肺の収縮期の領域およびそれと同等のCT値を有する領域170を示している。なお、台160に近いハッチング領域は、皮下脂肪180を示している。
【0054】
図12は、CT値に対する要素数の分布を示すグラフである。往復運動の上死点での生体部位の領域として特定する場合には、次のような基準でCT値の上限値および下限値を設定する。肺を例に、肺の拡張期を示す領域を特定する場合の基準を説明する。このとき、空気を示す空気ピークP1のCT値が大きい側の裾野に下限値を設定する。そして、運動ピークのCT値が大きい側の裾野に上限値を設定する。たとえば、運動ピークP3と実質臓器ピークP4との間の極小値を下限値として設定する。このようにして設定された下限値および上限値により決まるCT値範囲の要素領域を特定する。
【0055】
図13は、胴体部のX線CTによるアキシャル断面データ画像を示す図、図14は、胴体部のX線CTによるコロナル断面データ画像を示す図、図15は、胴体部のX線CTによるサジタル断面データ画像を示す図である。それぞれハッチングされている領域170が肺の拡張期の領域およびそれと同等のCT値を有する領域を示している。
【0056】
往復運動の差分に対応する生体部位の領域として特定する場合には、次のような基準でCT値の上限値および下限値を設定する。肺の場合には、肺の拡張期および収縮期のそれぞれを示す領域を特定する。このとき、運動ピークP3のCT値が小さい側の裾野に下限値を設定する。そして、運動ピークP3のCT値が大きい側の裾野に上限値を設定する。このようにして設定された下限値および上限値により決まるCT値範囲の要素領域を特定する。上記の動作は領域特定装置10上でのプログラムの実行により行われる。
【0057】
なお、上記の実施形態では、サンプルをマウス、ラット等の動物としているが、人間を計測対象とすることも可能である。その場合には、意識的に呼吸を止めることなく肺活量を正確に測定することができる。また、主に肺を計測対象として説明しているが、本発明は心臓等の臓器にも適用でき、その他往復運動する生体部位の計測に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の領域特定装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の領域特定装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の領域特定装置を用いて肺の容積を計測する方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の領域特定装置の特徴的動作を示すフローチャートである。
【図5】それぞれ(a)マウスを浅く麻酔した場合(b)マウスを深く麻酔した場合の呼吸拍を示すグラフである。
【図6】胴体部のX線CTによるコロナル断面データ画像を示す図である。
【図7】胴体部のX線CTによるアキシャル断面データ画像を示す図である。
【図8】CT値に対する要素数の分布を示すグラフである。
【図9】胴体部のX線CTによるアキシャル断面データ画像を示す図である。
【図10】胴体部のX線CTによるコロナル断面データ画像を示す図である。
【図11】胴体部のX線CTによるサジタル断面データ画像を示す図である。
【図12】CT値に対する要素数の分布を示すグラフである。
【図13】胴体部のX線CTによるアキシャル断面データ画像を示す図である。
【図14】胴体部のX線CTによるコロナル断面データ画像を示す図である。
【図15】胴体部のX線CTによるサジタル断面データ画像を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
5 X線CT装置
10 領域特定装置
11 送受信部
12 記憶部
13 操作部
14 時間変化算出部
15 調整部
16 表示部
21 分離部
22 分布算出部
23 設定修正部
24 範囲設定部
25 容積算出部
26 レポート作成部
27 制御部
100 コロナル断面データ画像
110 空気
120 体表
130 骨
130a 背骨
131 肋骨
135 分離線
140 肺
150 変動部分
160 台
170 収縮期を示す領域
180 皮下脂肪
N 制御バス
P1 空気ピーク
P2 脂肪ピーク
P3 運動ピーク
P4 実質臓器ピーク
、t 拡張期
、u 収縮期

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線CTによるボリュームデータにおいて、生体部位の領域を特定する領域特定方法であって、
往復運動する生体部位の領域を含む断面データにおいて、CT値に対する要素数の分布を算出する分布算出ステップと、
前記分布において、前記生体部位の運動を示す運動ピークに基づいて、CT値範囲を設定する範囲設定ステップと、を含み、
前記設定されたCT値範囲の要素領域を、前記往復運動のいずれかの死点での生体部位またはそれらの差分に対応する生体部位の領域として特定することを特徴とする領域特定方法。
【請求項2】
前記範囲設定ステップは、前記分布において、
空気を示す空気ピークのCT値が大きい側の裾野に下限値を設定する下限値設定ステップと、
前記運動ピークのCT値が大きい側の裾野に上限値を設定する上限値設定ステップと、を含み、
前記設定された下限値および上限値により決まるCT値範囲の要素領域を、前記往復運動の上死点での生体部位の領域として特定することを特徴とする請求項1記載の領域特定方法。
【請求項3】
前記範囲設定ステップは、前記分布において、
空気を示す空気ピークのCT値が大きい側の裾野に下限値を設定する下限値設定ステップと、
前記運動ピークのCT値が小さい側の裾野に上限値を設定する上限値設定ステップと、を含み、
前記設定された下限値および上限値により決まるCT値範囲の要素領域を、前記往復運動の下死点での生体部位の領域として特定することを特徴とする請求項1記載の領域特定方法。
【請求項4】
前記範囲設定ステップは、前記分布において、
前記運動ピークのCT値が小さい側の裾野に下限値を設定する下限値設定ステップと、
前記運動ピークのCT値が大きい側の裾野に上限値を設定する上限値設定ステップと、を含み、
前記設定された下限値および上限値により決まるCT値範囲の要素領域を、前記往復運動の差分に対応する生体部位の領域として特定することを特徴とする請求項1記載の領域特定方法。
【請求項5】
前記生体部位は肺であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の領域特定方法。
【請求項6】
前記生体部位は心臓であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の領域特定方法。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の領域特定方法を用いて特定された領域を3次元的に積算することで、容積を計測することを特徴とする容積計測方法。
【請求項8】
X線CTによるボリュームデータにおいて、生体部位の領域を特定する領域特定装置であって、
往復運動する生体部位の領域を含む断面データにおいて、CT値に対する要素数の分布を算出する分布算出部と、
前記分布において、CT値範囲を設定する操作を受け付ける操作部と、
前記生体部位の運動を示す運動ピークの裾野に、上限値または下限値を設定する操作を受け付けた場合に、前記上限値または下限値を前記裾野において極小値をとる位置に修正する設定修正部と、を備え、
前記設定されたCT値範囲の要素領域を、前記往復運動のいずれかの死点での生体部位またはそれらの差分に対応する生体部位の領域として特定することを特徴とする領域特定装置。
【請求項9】
X線CTによるボリュームデータにおいて、生体部位の領域を特定する領域特定装置であって、
往復運動する生体部位の領域を含む断面データにおいて、CT値に対する要素数の分布を算出する分布算出部と、
前記分布において、前記生体部位の運動を示す運動ピークに基づいて、CT値範囲を設定する範囲設定部と、を備え、
前記設定されたCT値範囲の要素領域を、前記往復運動のいずれかの死点での生体部位またはそれらの差分に対応する生体部位の領域として特定することを特徴とする領域特定装置。
【請求項10】
X線透視機能により得られたボリュームデータを用いて、設定されたROI内で積算CT値の時間変化を算出する時間変化算出部と、
前記時間変化のうち前記往復運動の一方の死点側を示すデューティー比が所定割合以下である場合には、X線CT撮影に対して調整を行う調整部と、を更に備えることを特徴とする請求項8または請求項9記載の領域特定装置。
【請求項11】
X線CTによるボリュームデータにおいて、生体部位の領域を特定する領域特定プログラムであって、
往復運動する生体部位の領域を含む断面データにおいて、CT値に対する要素数の分布を算出する分布算出処理と、
前記分布において、CT値範囲を設定する操作を受け付ける操作受付処理と、
前記生体部位の運動を示す運動ピークの裾野に、上限値または下限値を設定する操作を受け付けた場合に、前記上限値または下限値を前記裾野において極小値をとる位置に修正する設定修正処理と、をコンピュータに実行させることで、
前記設定されたCT値範囲の要素領域を、前記往復運動のいずれかの死点での生体部位またはそれらの差分に対応する生体部位の領域として特定することを特徴とする領域特定プログラム。
【請求項12】
X線CTによるボリュームデータにおいて、生体部位の領域を特定する領域特定プログラムであって、
往復運動する生体部位の領域を含む断面データにおいて、CT値に対する要素数の分布を算出する分布算出処理と、
前記分布において、前記生体部位の運動を示す運動ピークに基づいて、CT値範囲を設定する範囲設定処理と、をコンピュータに実行させることで、
前記設定されたCT値範囲の要素領域を、前記往復運動のいずれかの死点での生体部位またはそれらの差分に対応する生体部位の領域として特定することを特徴とする領域特定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−110352(P2010−110352A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282915(P2008−282915)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(000250339)株式会社リガク (206)
【Fターム(参考)】