説明

頭皮用の皮膚外用剤

【課題】 エタノールの含有量が、毛髪関連細胞に影響を与えない量であって、且つ、脱毛改善効果を有する、頭皮用の皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】 1)エタノール25〜35質量%と、2)1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオールから選択される1種乃至は2種以上3〜10質量%と3)二塩基酸のジエステルを0.01〜0.1質量%頭皮用の皮膚外用剤に含有させる。前記二塩基酸のジエステルは、セバシン酸ジイソプロピルが好ましく、界面活性剤フリーであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に関し、更に詳細には、頭皮に適用されるのに好適な、化粧料などの皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食生活の急激な欧米化と、社会的なストレス負荷量の急増等の要因から、脱毛や薄毛で悩む人が急増しており、この対策が急務となっている。脱毛の原因とされるものには、例えば、頭皮血流量の低下に伴う酸素、栄養供給の不足、脂質代謝異常、5−α−ジヒドロテストステロンなどの男性ホルモンの過剰分泌、FGF−5とFGF−5Sのバランスの異常、皮膚常在菌の代謝産物の影響などが挙げられている。(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4を参照)それ故、脱毛、薄毛の対策は、血流促進成分を含む頭皮用の皮膚外用剤を介在させて、マッサージ施術を行ったり、テストステロンレダクターゼ阻害剤を含有する皮膚外用剤を投与したりすることが行われている。この様な脱毛抑制のための頭皮用の皮膚外用剤に於いては、通常40質量%以上のエタノールが含有されている。これは、エタノールの溶剤効果によって、前記血流促進成分やテストステロンレダクターゼのような有効成分を、脂質の充填された毛包内へ到達させるためである。低アルコール含有量の製剤では、脂質に阻まれて皮膚外用剤が毛包に到達しにくいと言われている。
【0003】
その反面、頭皮用の皮膚外用剤の製剤に於いて、エタノールの含有量が増加することは、毛組織に対して好ましくない影響を与えることも報告されており、有効成分の効果を維持しながら、エタノールの含有量を減らす技術の開発が望まれていた。
【0004】
一方、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール或いは1,2−オクタンジオールを頭皮用の皮膚外用剤含有させる技術は既に知られている。(例えば、特許文献5、特許文献6、特許文献7を参照。)又、二塩基酸のジエステルを頭皮用の皮膚外用剤に含有せしめる技術も知られている。(例えば、特許文献8、特許文献9を参照)しかしながら、1)エタノール25〜35質量%と、2)1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオールから選択される1種乃至は2種以上3〜10質量%と3)二塩基酸のジエステルを0.01〜0.1質量%含有する頭皮用の皮膚外用剤は全く知られていないし、この様な構成の皮膚外用剤が、前記有効成分を毛包内に送達する能力に優れ、以て、優れた脱毛抑制効果を示すことも全く知られていなかった。
【0005】
【特許文献1】WO2004/048401
【特許文献2】特開2002−80328号公報
【特許文献3】特開平11−94832号公報
【特許文献4】特表2005−518389号公報
【特許文献5】特表2004−536840号公報
【特許文献6】特開平10−53510号公報
【特許文献7】特開2004−250332号公報
【特許文献8】特開2005−239625号公報
【特許文献9】特開平10−120532号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、エタノールの含有量が、毛髪関連細胞に影響を与えない量であって、且つ、脱毛改善効果を有する、頭皮用の皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、エタノールの含有量が、毛髪関連細胞に影響を与えない量であって、且つ、脱毛改善効果を有する、頭皮用の皮膚外用剤を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、1)エタノール25〜35質量%と、2)1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオールから選択される1種乃至は2種以上3〜10質量%と3)二塩基酸のジエステルを0.01〜0.1質量%含有する頭皮用の皮膚外用剤がその様な特性を有していることを見いだし、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
(1)1)エタノール25〜35質量%と、2)1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオールから選択される1種乃至は2種以上3〜10質量%と3)二塩基酸のジエステルを0.01〜0.1質量%含有することを特徴とする、頭皮用の皮膚外用剤。
(2)前記二塩基酸のジエステルは、セバシン酸ジイソプロピルであることを特徴とする、(1)に記載の頭皮用の皮膚外用剤。
(3)界面活性剤フリーであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の頭皮の皮膚外用剤。
(4)薄毛の人が使用すべきものであることを特徴とする、(1)〜(3)何れか1項に記載の頭皮用の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、エタノールの含有量が、毛髪関連細胞に影響を与えない量であって、且つ、脱毛改善効果を有する、頭皮用の皮膚外用剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(1)本発明の皮膚外用剤の必須成分であるアルコール
本発明の皮膚外用剤は、エチルアルコールを25〜35質量%、より好ましくは27〜33質量%含有することを特徴とする。これは、この量範囲に於いて、エチルアルコールが、後記多価アルコール、二塩基酸ジエステルとの組み合わせ効果によって、後記実施例に示す如く、有効成分を毛周辺組織内に送達することができ、且つ、毛周辺組織に対して影響を与えないからである。即ち、有効成分の毛組織送達には、後記多価アルコール、二塩基酸ジエステルの存在下、エチルアルコールが、皮膚外用剤全量に対して、少なくとも25質量%が必要であり、より好ましくは27質量%以上である。又、毛周辺組織の細胞に影響を与えないためには、多くとも、35質量%以下にすることが必要であり、より好ましくは33質量%以下である。
【0010】
(2)本発明の皮膚外用剤の必須成分である多価アルコール
本発明の皮膚外用剤は、頭皮用のものであって、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオールから選択される1種乃至は2種以上3〜10質量%、より好ましくは4〜8質量%を含有することを特徴とする。これらの内では、1,2−ペンタンジオールを含有することが特に好ましい。かかる多価アルコール類は、前記エタノール、後記二塩基酸ジエステルとともに働いて、頭皮用の有効成分を毛周辺組織内に送達する。又、マッサージ施術に際して使用すると、後記二塩基酸のジエステルとの組み合わせ効果により、毛包内の脂質を溶出させて、クリーニングさせる作用も有する。これにより、脂質蓄積を原因とする毛母細胞傷害を予防することもできる。
【0011】
(3)本発明の皮膚外用剤の必須成分である二塩基酸ジエステル
本発明の皮膚外用剤は頭皮用であって、二塩基酸ジエステルを含有することを特徴とする。二塩基酸ジエステルを構成する二塩基酸としては、化粧料などの皮膚外用剤で使用されているものであれば、特段の限定無く使用することができ、例えば、アジピン酸、セバシン酸、酒石酸、コハク酸などが例示でき、エステル部としては、炭素数2〜5のアルキル基が好適に例示できる。該アルキル基は分岐構造を有していても良い。具体的には、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジブチル、酒石酸ジエチル、酒石酸ジプロピル、酒石酸ジイソプロピル、酒石酸ジブチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジプロピル、コハク酸ジイソプロピル、コハク酸ジブチル等が例示できる。かかる成分は唯一種含有することもできるし、二種以上を組み合わせて含有することもできる。好ましい組み合わせは、セバシン酸ジイソプロピルを単独で含有させることである。かかる成分は、前記エタノール、前記多価アルコールとともに働いて、有効成分の毛周辺組織への送達促進作用を発揮する。又、前記多価アルコールとともに働いて、毛包内の脂質を溶出させて、クリーニングさせる作用も有する。これにより、脂質蓄積を原因とする毛母細胞傷害を予防する作用を有する。この様な作用を発揮するためには、かかる成分を皮膚外用剤全量に対して、総量で0.01〜1質量%含有させることが好ましく、より好ましくは0.02〜0.2質量%である。
【0012】
(4)本発明の皮膚外用剤
本発明の皮膚外用剤は、前記必須成分を含有し、頭皮用であることを特徴とする。特に、本発明の皮膚外用剤は、毛嚢内に蓄積した脂質を除去する作用も存するので、この様な作用を十分に発揮させるために、頭皮マッサージ施術時に用いられ、施術後は拭き取ることにより、毛嚢内の脂質を除去できる様な使用態様で使用することもできるし、マッサージをした後、塗りっぱなしにする態様で使用することもできる。又、皮膚外用剤としては、頭皮に外用で投与されるものであれば特段の限定無く適用可能であり、例えば、皮膚外用医薬、医薬部外品を包含する化粧料、雑貨などが好適に例示できる。これらの中では、医薬部外品を包含する化粧料が特に好ましい。本発明の皮膚外用剤に於いては、有効成分の優れた毛組織送達作用という特性があるため、毛組織に送達すべき、有効成分を含有することが好ましい。該有効成分としては、例えば、植物エキスであれば、セリ科トウキエキス、バラ科ワレモコウのエキス、ウコギ科ニンジン(コウライニンジン)のエキス、トチノキ科セイヨウトチノキのエキス、バラ科サンザシのエキス、サルノコシカケ科チョレイのエキスなどが好適に例示できる。これらのエキスは水乃至はエタノールの抽出物を、溶剤除去した後、1,3−ブタンジオールなどの多価アルコールを用いて可溶化、希釈したものが好ましい。又、動物性の成分では蚕の代謝物である、サンシャの1,3−ブタンジオールなどの多価アルコール抽出物、ローヤルゼリーの1,3−ブタンジオールなどの多価アルコール抽出物が好ましく例示できる。かかる成分の好ましい含有量は、それぞれ0.01〜5質量%である。更に、グリチルリチンジカリウムの様な成分も血流量改善作用が利用でき、好ましい。かかる成分の好ましい含有量は、0.03〜0.08質量%である。加えて、保湿性高分子を投与することも、頭皮全体を保護し、血流量増大効果を誘起するので好ましい。この様な保湿性高分子としては、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンをモノマーとするポリマー乃至はコポリマー、メタクリロイルリジンをモノマーとするポリマー、グルコシルエチルメタクリレートをモノマーとするポリマーなどが好適に例示できる。この様なポリマーの市販品としては、日本油脂株式会社から販売されている「リピジュアHM」(ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)、「リピジュアPMB」(メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・ブチルメタクリレートコポリマー)、岐阜シェラック株式会社から販売されている「PMリジン」(ポリメタクリロイルリジン)、日本精化株式会社から販売されている「p−GEMA」(ポリグルコシルエチルメタクリレート)等が存し、これらを使用することが好ましい。これらの成分の好ましい含有量は0.01〜0.5質量%である。更に、発毛成分であるパントテニルエチルエーテルなどの有効成分を含有することもできる。これらの好ましい含有量は、0.01〜1質量%である。
【0013】
本発明の皮膚外用剤においては、かかる成分以外に、通常皮膚外用剤で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類;レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤、;桂皮酸系紫外線吸収剤、;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノール等の抗菌剤などが好ましく例示できる。これらの内、界面活性剤を含有させると、毛包内より脂質が流出するのを阻害する場合があるので、含有しないことが好ましい。界面活性剤フリーは本発明の皮膚外用剤の好ましい態様である。この様に毛包より脂質を除去する作用に優れるので、本発明の皮膚外用剤は、予防的に使用されることも好ましく、予防と改善の両方が必要な薄毛の人に適用されることが好ましい。
【0014】
本発明の皮膚外用剤は、前記の成分を常法に従って処理することにより、製造することができる。
【0015】
以下に実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0016】
以下に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤を製造した。即ち、処方成分を80℃に加熱し、攪拌、可溶化し、攪拌冷却し、本発明の皮膚外用剤である化粧料(トーニングローション1)を得た。
【0017】
【表1】

【0018】
<試験例1>
ラット由来の毛乳頭細胞と、毛包細胞を共存培養し、検体を10−3%加え(最終濃度)チミジンの取り込みを調べ、これらの細胞に対する作用、毒性を調べた。検体はコントロールとしてPBSを用い、被験物質としてローション1及びローション1の水の10質量%をエタノールに置換した比較例1を用いた。培地は最初の4日間は20%FBS加イーグルの最少培地で培養 した。その後10%FBS加イーグルの最少培地で培養 した。継代培養 は、培養 4週間後に燐酸緩衝生理食塩水:カルシウム、マグネシウムフリー(以下、PBS(−))でディッシュ表面を1回洗浄した後0.25%トリプシン−1mM EDTAで37℃、1時間処理し、細胞を分散させて遠心分離で回収したものを用いた。毛包細胞は、外毛根鞘部を含む部分の毛包外殻をメス及び注射針で注意深く取り除き、1mg/mlコラゲナーゼ/ディスパーゼ中で37℃、30分間処理した後、結合織鞘を取り除き、0.05%トリプシン−0.53mM EDTAで1時間処理し、分散した細胞を遠心分離で集め、コラーゲンコートディッシュに播種し培養 した。培地は、ヒトリコンビナントEGF10ng/ml、ヒトリコンビナントインシュリン4μg/ml、ハイドロコルチゾン0.4μg/ml、15%FBS加イーグルの最少培地を用いた。継代培養 は、培養 2週間後に燐酸緩衝生理食塩水:カルシウム、マグネシウムフリー(以下、PBS(−))でディッシュ表面を1回洗浄した後0.25%トリプシン−1mM EDTAで37℃、1時間処理し、細胞を分散させて遠心分離で回収したものを用いた。培養 は全て5%炭酸ガス、95%エアーで37℃で行った。
【0019】
共存培養は、継代培養 2回目でサブコンフルエントになった、毛包細胞をIV型コラーゲンコートプレートに2×102個/cm2の割合で播種し、同じく継代培養 2回目のサブコフルエントになった、毛乳頭 細胞をI型コラーゲンコートセルカルチャーインサート(ポアサイズ3μm)に、4×103個/cm2の割合で播種した。培養 24時間にセルカルチャーインサートをプレートのウェルに移し、それぞれ共存させて培養 した。培地には前記検体を混合して培養を行った。共存培養3日後にセルカルチャーインサートを除き、3H−チミジン1μCi/mlを添加し更に5時間培養 を続けた。常法に従って細胞内に取り込まれた放射活性を測定し増殖活性とした。結果を表2に示す。これより、ローション1はコントロールに比してチミジンの取り込み量が増え、毛周囲細胞が活性化していることがわかる。比較例1では逆にチミジンの取り込みがコントロールに比して有意差はないが、減じており、頭皮用の化粧料としての効果が認められにくかった。
【0020】
【表2】

【0021】
<試験例2>
前記ローション1、前記比較例1、ローション1の1,2−ペンタンジオールをエタノールに置換した比較例2及びローション1のセバシン酸イソプロピルを1,2−ペンタンジオールに置換した比較例3を用いて、使用テストを行った。即ち、脱毛に悩むパネラー1群5名、計20名を集めて。5日間連日10時に頭を擦過し、脱落する毛髪数を計数した。その後、1ヶ月それぞれのサンプルを使用してもらい、最終の使用の翌日10時に再度頭を擦過してもらい、脱落する毛髪を集め、計数した。使用態様は、たっぷりのサンプルを頭皮上に投与し、手指で5分間擦過(頭皮マッサージ)する方法を指示した。使用前の平均脱落数と、使用テスト後の平均脱落数を表3に示す。更に、(使用前の平均脱落数−使用テスト後の平均脱落数)/(使用前の平均脱落数)×100の式に従って、脱落抑制率を算出した。これも表3に示す。これより、本発明の頭皮用の皮膚外用剤は脱毛抑制作用を有することがわかる。
【0022】
【表3】

【実施例2】
【0023】
実施例1と同様にローション2、3及び4を作成し、試験例2の手技に従って、毛髪の脱落抑制率を表5に示す。これより、これらの皮膚外用剤もローション1と同様の作用を有することがわかる。
【0024】
【表4】

【0025】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は化粧料など頭皮用の皮膚外用剤に応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)エタノール25〜35質量%と、2)1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオールから選択される1種乃至は2種以上3〜10質量%と3)二塩基酸のジエステルを0.01〜0.1質量%含有することを特徴とする、頭皮用の皮膚外用剤。
【請求項2】
前記二塩基酸のジエステルは、セバシン酸ジイソプロピルであることを特徴とする、請求項1に記載の頭皮用の皮膚外用剤。
【請求項3】
界面活性剤フリーであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の頭皮の皮膚外用剤。
【請求項4】
薄毛の人が使用すべきものであることを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の頭皮用の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2007−320922(P2007−320922A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−154091(P2006−154091)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】