説明

頭蓋内圧を低下させるための方法

本発明は、概して、被験者の頭蓋内圧を低下させるための方法に関する。さらに具体的には、本発明の方法は、有効量のサブスタンスP受容体アンタゴニストを該被験者に投与することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本国際特許出願は、2007年7月19日に出願されたオーストラリア仮特許出願番号2007903902に対する優先権を主張する。尚、上記文献の内容は、参照として本明細書に組み込むものとする。
【0002】
発明の背景
本発明は、頭蓋内圧を低下させるための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
頭蓋内圧(ICP)の上昇は、多くの臨床症状に関連する共通の重篤な合併症である。これは、発作、外傷性脳損傷、CNS感染および新生物などの急性神経学的病状において第1位の死因である。また、ICP亢進は、脳神経外科的介入後に起こる主要な合併症でもあり、肝不全、慢性閉塞性肺疾患、マラリアおよび高山病などの全身症状の主要な合併症、およびこれら疾患に関連する死亡の主因でもある。
【0004】
頭蓋内圧は、頭蓋の内容物によりかかる圧力である。脳は、正常時には脳を保護する役割の頭骨、すなわち頭蓋内に収納されている。正常時、脳組織はそれ自体で、血液および脳脊髄液からなる他の頭蓋内容物と一緒に、頭蓋内に微小の正圧を及ぼし、観察される正常な頭蓋内圧を高くしている。正常な頭蓋内圧は一般に0〜15mmHgの範囲である。
【0005】
しかし、頭蓋内構成分のいずれか1つの容積が増加すると、急速に合併症が起こる。脳組織の容積は、例えば、腫瘍、出血、感染、細胞傷害性または血管原性浮腫、および虚血により増加しうる。また、頭蓋内の脳脊髄液量の増加(例えば、閉塞性水頭症による)または血液量の増加(例えば、高血中CO2濃度、アシドーシスによる)が起こる可能性もある。このとき、脳を保護する役割を果たしていた頭蓋は、脳の損傷に寄与することになる。頭蓋は、硬質の閉塞系であるため、ICPの上昇が起こる前に容積の変化を受容する能力は極めて限られている。これにより、ICPの上昇を誘引する初期要因に関係なく、共通する一連の事象を招いてしまうのである。
【0006】
ICPが上昇するにつれ、血液灌流および組織酸素化は困難になる。これを補おうとして、灌流を増大するために動脈の血管拡張が起こるが、これは頭蓋内高血圧を招き、ICPをさらに上昇させる。ICPは上昇し続けると、動脈血圧に接近し始める。この段階で、脳組織は、高炭酸ガス血症を呈し始め、患者の状態は、意識レベルの低下、徐脈、瞳孔散大および瞳孔の反応が遅い(sluggish)症状を伴いながら急速に悪化する。容積がさらに増加すると、脳は低酸素症および乳酸アシドーシスを呈し始め、これによりさらなる血管拡張および容積増加が起こる。圧力が上昇し続けるにつれ、脳組織のヘルニア形成(移動)が起こり、これがヘルニア形成領域に虚血を引き起こす。最後に、ICPが収縮期動脈血圧と等しくなると、脳への血流は停止し、間もなく死に至る。
【0007】
このように、初期の微小なICPの上昇が、死亡または永久的脳損傷を招きうる事象の悪循環を誘引する可能性がある。
【0008】
ICP亢進に至る過程の重大な局面は、初期誘引、またはICPの初期上昇のいずれかに応答して起こる血管事象である。治療介入として、ICPを低下させる目的で、浸透圧利尿薬、主にマンニトールを用いるが、その効果は疑わしい。理論上、これらの薬剤は、脳組織から液体を抜き出すことができると思われるが、それを効果的に実施する能力は限られている。実際に、対照臨床実験では、浸透圧利尿薬の使用によって有意な臨床利益は得られないことが明らかにされている。
【0009】
別の治療介入は、主として、脳内の酸素供給および要求の平衡を改変する目的で行われる。基本的に、脳への血液および酸素供給を増加することができなければ、代わりの戦略は、脳の活性を低下させることにより、脳による酸素の要求を減らすことである。バルビツレートで昏睡を誘導する、または低温症を起こすなどの多数の手法を用いることができる。
【0010】
前記以外の最終的手段は、減圧頭蓋局部切除という形態での外科的介入である。この方法では、頭蓋の一部を外科手術で除去することにより圧力を解放し、その数週間から数カ月後、還納する。これは、費用が極めて高く、複雑かつ時間のかかかる方法であり、最後の介入手段として稀にしか行われない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、好ましくは、事象のサイクルの早期に、しかも別の損傷メカニズムが起こる前に、頭蓋内容積および圧力の両方を低減するのに役立つ有効な治療介入が臨床現場で切実に求められている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、サブスタンスP受容体アンタゴニストを被験者に投与することにより、頭蓋内圧を低下させる方法に関する。
【0013】
本明細書において、先行技術として記載する特許文書もしくはその他の内容への参照は、その文献もしくは内容が周知である、またはそれに含まれる情報が、特許請求の範囲のいずれかの優先日における、共通の一般的知識の一部であるという承認として解釈すべきではない。
【0014】
本発明は、脳血管系に関連する水チャネルの役割と、血管機能を調節する上でのサブスタンスPの役割について研究した結果得られたものである。
【0015】
本発明の研究では、サブスタンスP受容体のアンタゴニストの投与が、脳からの水の移動を促進することができ、これにより、脳外傷の2つの動物モデルにおける頭蓋内圧を低下させることができることが証明されている。従って、ICP亢進を低下させ、これにより、この重篤な合併症に関連する死亡率および罹患率を予防または低減することが可能である。
【0016】
従って、本発明は、被験者において頭蓋内圧を低下させるための方法を提供し、この方法は、有効量のサブスタンスP受容体アンタゴニストを被験者に投与することを含む。
【0017】
本発明はまた、被験者の頭蓋内圧を低下させる医薬の調製におけるサブスタンスP受容体アンタゴニストの使用も提供する。
【0018】
本発明はまた、被験者において頭蓋内圧亢進を予防および/または治療する方法も提供し、この方法は、有効量のサブスタンスP受容体アンタゴニストを被験者に投与することを含む。
【0019】
本発明はまた、被験者の頭蓋内圧亢進を予防および/または治療する医薬の調製におけるサブスタンスP受容体アンタゴニストの使用も提供する。
【0020】
本発明はまた、頭蓋内圧亢進に罹患している被験者において脳への血流を改善する方法も提供し、この方法は、有効量のサブスタンスP受容体アンタゴニストを被験者に投与することを含む。
【0021】
本発明はまた、頭蓋内圧亢進に罹患している被験者において脳への血流を改善する医薬の調製におけるサブスタンスP受容体アンタゴニストの使用も提供する。
【0022】
本発明はまた、頭蓋内圧亢進に罹患している被験者において脳への酸素送達を改善する、および/または脳の酸素化を改善する方法も提供し、この方法は、有効量のサブスタンスP受容体アンタゴニストを被験者に投与することを含む。
【0023】
本発明はまた、頭蓋内圧亢進に罹患している被験者において脳への酸素送達を改善する、および/または脳の酸素化を改善する医薬の調製におけるサブスタンスP受容体アンタゴニストの使用も提供する。
【0024】
本発明はまた、頭蓋内圧亢進に罹患しやすいまたは罹患している被験者の死亡または罹患の危険性を低減する方法も提供し、この方法は、有効量のサブスタンスP受容体アンタゴニストを被験者に投与することを含む。
【0025】
本発明はまた、頭蓋内圧亢進に罹患しやすいまたは罹患している被験者の死亡または罹患の危険性を低減する医薬の調製におけるサブスタンスP受容体アンタゴニストの使用も提供する。
【0026】
本発明はまた、被験者における頭蓋内圧亢進による神経学的合併症の危険性を低減する方法も提供し、この方法は、有効量のサブスタンスP受容体アンタゴニストを被験者に投与することを含む。
【0027】
本発明はまた、被験者における頭蓋内圧亢進による神経学的合併症の危険性を低減する医薬の調製におけるサブスタンスP受容体アンタゴニストの使用も提供する。
【0028】
本発明はまた、被験者の脳から循環への水の移動を改善する方法も提供し、この方法は、有効量のサブスタンスP受容体アンタゴニストを被験者に投与することを含む。
【0029】
本発明はまた、被験者の脳から循環への水の移動を改善する医薬の調製におけるサブスタンスP受容体アンタゴニストの使用も提供する。
【0030】
本発明はまた、頭蓋内圧亢進に罹患している被験者の予後または転帰を改善する方法も提供し、この方法は、有効量のサブスタンスP受容体アンタゴニストを被験者に投与することを含む。
【0031】
本発明はまた、頭蓋内圧亢進に罹患している被験者の予後または転帰を改善する医薬の調製におけるサブスタンスP受容体アンタゴニストの使用も提供する。
【0032】
本明細書全体を通して用いられる様々な用語は、当業者に十分理解される意味を有する。しかし、参照しやすいように、これらの用語のいくつかを以下のように定義する。
【0033】
本明細書全体を通して用いる用語「サブスタンスP受容体アンタゴニスト」とは、サブスタンスPとその受容体の1つとの結合を直接的または間接的に阻害する薬剤を意味すると理解すべきである。サブスタンスPは、興奮性神経伝達物質であり、構造RPKPEEFFGLM-NH2を有するペプチドである。サブスタンスP受容体アンタゴニストとして作用する薬剤の能力を決定する方法は当分野で知られている。
【0034】
本発明のサブスタンスP受容体アンタゴニストとは、サブスタンスPとその受容体の1つとの結合を直接的または間接的に阻害する薬剤であると理解されるが、サブスタンスP自体の直接的または間接的アンタゴニストも本発明の範囲に含まれる。
【0035】
本明細書全体を通して用いる用語「被験者」とは、ヒトまたは動物被験体を意味すると理解すべきである。
【0036】
これに関して、本発明はまた、その範囲に獣医学応用も含むことを理解されたい。例えば、動物被験体としては、哺乳動物、霊長類、家畜動物(例:ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、またはヤギ)、愛玩動物(例:イヌ、ネコ)、実験動物(例:マウス、ラット、モルモット、トリ、ウサギ)、獣医学に重要な動物、経済的に重要な動物などが挙げられる。
【0037】
本明細書全体を通して用いる用語「変異体」とは、1又は複数のアミノ酸により改変されたポリペプチドまたはタンパク質のアミノ酸配列を意味すると理解されたい。変異体は、置換アミノ酸が、置換されるアミノ酸と類似した構造的特性または化学的特性を有する、「保存的」変化(例えば、ロイシンをイソロイシンで置換)を含みうる。また、変異体は1又は複数のアミノ酸の「非保存的」変化(例えば、グリシンをトリプトファンで置換)を含むものであってもよい。この用語はまた、特定のポリペプチドまたはタンパク質についてのアミノ酸の挿入/欠失もその範囲に含む。変異体が、「機能的変異体」である場合もある。「機能的変異体」とは、基準タンパク質またはポリペプチドの機能的能力を保持する変異体を意味すると理解されたい。
【0038】
本明細書全体を通して用いる用語「予防(する)」とは、被験者における疾患、病状または状態の開始を予防する介入を意味すると理解されたい。本明細書全体を通して用いる用語「治療(する)」とは、被験者における疾患、病状または状態に関して被験者の予後および/または状態を改善する介入を意味すると理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】びまん性TBIから5時間後の血管周囲AQP-4免疫染色の電子顕微鏡写真を示す図である。疑似(非損傷)対照動物においては、血管周囲のアストロサイト終足突起の位置に電子濃密層(矢印で示す)としてAQP-4チャネルをはっきりと確認することができる(A)。損傷から5時間後(B)、ビヒクル(プラセボ)で処置した動物のAQP-4電子濃度に顕著な減少がみられる。孤立したAQP-4電子濃密層は依然としてみえる(矢印で示す)が、アストロサイトの膨張は明らかである(アスタリスク)。損傷から30分後にNK1アンタゴニスト(NAT)を投与したところ、損傷から5時間後までにAQP-4チャネルの急速な回復(矢印で示す)が起こった。
【図2】重度のびまん性外傷性脳損傷から5時間後のラット脳の拡散強調イメージングにより評価された脳浮腫に対するニューロキン-1(NK1)アンタゴニストの作用を示す図である。外傷性損傷後(左側パネル)、高強度の領域はADC増大を表しており、これは、この早期時点で血管原性浮腫の徴候を示すものである。脳損傷から30分後にNK1アンタゴニストで治療すると、投与から4時間以内に高強度の領域が明らかに減少している(右側パネル)。
【図3】びまん性外傷性脳損傷のヒツジモデルにおける頭蓋内圧に対するニューロキン-1(NK1)アンタゴニストの作用を示す図である。疑似(非損傷)ヒツジの場合、ICPは10〜15 mmHg(白丸)である。外傷性損傷の後、生理食塩水ビヒクル(プラセボ)のみを受けたヒツジは、外傷性損傷から30分後という早期にICPがすでに20 mmHg以上まで上昇し、時間の経過とともに上昇し続ける(白い四角)。20 mmHgの値は、ヒトの頭部損傷において問題があると考えられ、30 mmHgでは脳ヘルニアを伴う。損傷から30分後にNK1アンタゴニストを投与されたヒツジでは、直ちにICPが低下し、連続3時間かけて正常な疑似(対照)レベルまで戻った(黒い四角)。
【図4】びまん性外傷性脳損傷のヒツジモデルにおける脳内酸素レベルに対するニューロキン-1(NK1)アンタゴニストの作用を示す図である。疑似(非損傷)ヒツジの場合、脳内酸素レベルは典型的に45 mmHg前後(白丸)である。外傷性損傷の後、生理食塩水ビヒクル(プラセボ)のみを受けたヒツジは、脳内酸素レベルが有意に低下し、損傷から数時間で極めて低いレベルまで下降する(白い四角)。損傷から30分後にNK1アンタゴニストを投与された動物では、TBIから4時間後までに、脳内酸素状態が直ちに改善して、その値が正常な疑似(対照)レベルまで戻った(黒い四角)。
【図5】びまん性外傷性脳損傷のヒツジモデルにおける頭蓋内圧と脳内酸素レベルとの関係を示す図である。損傷後、頭蓋内圧と脳内酸素レベルを並行してモニターし、同じ時点で取得した値を相関させた。結果から、ICPが10〜25 mmHgの範囲にあるとき、これら2つの変数の間に線形の関係が存在することがわかる。ICPが25 mmHgを超えると、脳は明らかに酸素が極限まで欠乏した状態となる。
【図6】ラットの外傷後のICPに対するNK1アンタゴニストの作用を示す図である。びまん性外傷性脳損傷モデルを用いて、雄スプラーグドーリー(Sprague Dawly)ラットを損傷させてから、15分間低酸素状態にした後、通常の空気で換気した。Codman ICP圧力センサーを用いて連続4時間ICPをモニターした。損傷後、ICPは平均4.88±0.12 mmHgから平均9.23±0.28 mmHgまで上昇し、96%上昇したことになる。NK1アンタゴニストによる処置で、ICPは平均値21%で低下した。
【発明を実施するための形態】
【0040】
前述したように、一実施形態において、本発明は、被験者において頭蓋内圧を低下させる方法を提供し、この方法は、有効量のサブスタンスP受容体アンタゴニストを被験者に投与することを含む。
【0041】
本発明の様々な実施形態において被験者は、ヒトまたは動物被験体である。
【0042】
一実施形態では、前記方法を用いて、頭蓋内圧亢進に罹患しやすい患者において頭蓋内圧を低下させることができる。
【0043】
別の実施形態では、前記方法を用いて、頭蓋内圧亢進に罹患している患者において頭蓋内圧を低下させることができる。
【0044】
本発明は、頭蓋内圧が正常な範囲にある場合および/または頭蓋内圧が上昇した場合の頭蓋内圧の低下も含め、一般に頭蓋内圧を低下させるために用いることができることを理解されたい。
【0045】
これに関して、正常な頭蓋内圧は、一般に、0〜15 mm Hgの範囲内の圧力であると考えられ、従って、この範囲を超える圧力が、頭蓋内圧亢進とみなされる。しかし、「正常な」範囲内の圧力で、上昇した頭蓋内圧が臨床的に有意な状態もありうることから、そのような特定の状況においては頭蓋内圧を低下させるために本発明を用いてもよい。頭蓋内圧を測定するための間接的または直接的方法は当分野において周知である。
【0046】
本発明の様々な実施形態における頭蓋内圧亢進は、発作、急性脳損傷、脳外傷、脳神経外科的介入、頭蓋出血、細胞傷害性および/または血管原性浮腫、腫瘍周囲浮腫、虚血、中枢神経系の感染、新生物、肝不全、慢性閉塞性肺疾患、マラリア、高山病、ならびに閉塞性水頭症など、多種の疾患、病状および状態の結果として起こりうる。
【0047】
本発明の様々な実施形態におけるサブスタンスP受容体アンタゴニストは、サブスタンスPとその受容体の1つとの結合を直接的または間接的に阻害する薬剤である。
【0048】
これに関して、サブスタンスPは興奮性神経伝達物質であり、構造RPKPEEFFGLM-NH2を有するペプチドである。サブスタンスPは、NK1受容体(ニューロキニン1受容体)、NK2受容体およびNK3受容体などのいくつかの受容体に結合する。サブスタンスPアンタゴニストは、サブスタンスPとその受容体の1つとの結合を阻害する薬剤である。用語「サブスタンスP」は、例えば、米国特許第4,481,139号に記載のように、該ペプチドの種々の末端切断形態または類似体をその範囲に含む。
【0049】
サブスタンスP受容体アンタゴニストとしての物質の同定は、例えば、米国特許第5,990,125号に記載のように、当分野で公知の方法により決定することができる。
【0050】
例えば、NK1活性のアッセイは、ex vivo結合活性を含むこともある。このようなアッセイにおいて、推定アンタゴニスト(試験物質)が標識サブスタンスPと中枢および/または末梢NK1受容体との結合を阻害することができれば、この物質はNK1アンタゴニストの候補であると示される。このような結合アッセイを実施する方法は、当業者には周知である(例えば、Cascieriら、(1995) Mol. Pharmacol., 47: 660-665)。
【0051】
サブスタンスP受容体アンタゴニストの例を表1〜3に示す。
【表1】


【表2】

【表3】

【0052】
サブスタンスP受容体アンタゴニストの別の例は、米国特許第4,481,139号および第5,977,104号に記載のものが挙げられる。
【0053】
NK1受容体アンタゴニストの例として、米国特許第5,990,125号および第7,122,677号に記載のものが挙げられる。
【0054】
また、サブスタンスPアンタゴニストとして、タキキニンアンタゴニスト(米国特許第4,981,744号に記載の通り)を用いてもよい。サブスタンスP受容体アンタゴニストの別の例としては、ピペルジンおよびモルホリン誘導体(米国特許第4,985,896号に記載の通り)、ピペラジノ(米国特許第5,981,52号に記載の通り)、NK1またはNK2アンタゴニストとしてのピペリジニル化合物(米国特許第5,998,444号に記載の通り)、NK1受容体アンタゴニストとしてのN-ベンジル-4-トリルニコチンアミドおよび関連化合物(欧州特許出願EP-A-1035115に記載の通り)、NK1受容体アンタゴニストとしてのフェニルおよびピリジニル誘導体(国際特許出願WO 0050398号に記載の通り)、ならびに3-フェニルピリジン、ビフェニル誘導体、5-フェニル-ピリミジン誘導体および4-フェニル-ピリミジン誘導体(国際特許出願WO 00/50401号、WO 00/53572号、WO 00/73278号およびWO 00/73279号)が挙げられる。
【0055】
一実施形態では、サブスタンスP受容体アンタゴニストは、NK1受容体アンタゴニスト、NK2受容体アンタゴニスト、またはNK3受容体アンタゴニストからなる群の1つから選択される。
【0056】
一実施形態では、NK1受容体アンタゴニストは、CGP49823、CP-96,345、CP99,994、CP-122,721、FK88、GR203040、GR205171、GR82334、GR94800、HSP-117、L-703,606オキサレート、L-732,138(N-アセチル-L-トリプトファン)、L-733060、L-742,694、L-745,030、L-668,169、LY-303241、LY-303870、LY306740、MEN-11149、MK-869、PD-154075、R-544、RP-67580、RPR100893、センダイド(Sendide)、スパンタイド(Spantide)II、スパンタイド(Spantide)III、SR140333、WIN-41,7098、WIN-62,577からなる群の1以上から選択される。
【0057】
別の実施形態では、NK2受容体アンタゴニストは、SR-48968、L-659877、GR103537、MGN-10627、SR144190およびGR94800からなる群の1以上から選択される。
【0058】
別の実施形態では、NK3受容体アンタゴニストは、SR-143,801、R820、R486、SB222200、L758,298およびNKP608からなる群の1以上から選択される。
【0059】
本発明はまた、被験者の頭蓋内圧を低下させるための医薬の調製に用いることもできる。
【0060】
従って、別の実施形態では、本発明は、被験者の頭蓋内圧を低下させるための医薬の調製におけるサブスタンスP受容体アンタゴニストの使用を提供する。
【0061】
本発明はまた、被験者において頭蓋内圧亢進を予防および/または治療するために用いることもできる。
【0062】
従って、別の実施形態では、本発明は、被験者において頭蓋内圧亢進を予防および/または治療する方法を提供し、この方法は、有効量のサブスタンスP受容体アンタゴニストを被験者に投与することを含む。
【0063】
一つの具体的な実施形態では、本発明は、頭蓋内圧亢進に罹患している被験者の頭蓋内圧亢進を治療するために用いることができる。
【0064】
また本発明は、被験者の頭蓋内圧亢進を予防および/または治療するための医薬の調製に用いることもできる。
【0065】
従って、別の実施形態では、本発明は、被験者の頭蓋内圧亢進を予防および/または治療するための医薬の調製におけるサブスタンスP受容体アンタゴニストの使用を提供する。
【0066】
また本発明は、頭蓋内圧亢進に罹患している被験者において血流を改善するのに用いることもできる。これに関し、頭蓋内圧上昇の結果の1つは、脳の血液灌流の低下である。従って、サブスタンスP受容体アンタゴニストの投与を用いて、脳の血液灌流を回復し、これにより、頭蓋内圧がいったん上昇し始めたら起こる事象のサイクルを予防および/または改善することができる。
【0067】
従って、別の実施形態では、本発明は、頭蓋内圧亢進に罹患している被験者の脳への血流を改善する方法を提供し、この方法は、有効量のサブスタンスP受容体アンタゴニストを被験者に投与することを含む。
【0068】
脳への血流の程度を決定する方法は、当分野において周知である。
【0069】
また、本発明は、頭蓋内圧亢進に罹患している被験者において脳への血流を改善する医薬の調製に用いてもよい。
【0070】
従って、別の実施形態では、本発明は、頭蓋内圧亢進に罹患している被験者において脳への血流を改善する医薬の調製におけるサブスタンスP受容体アンタゴニストの使用を提供する。
【0071】
本発明はまた、頭蓋内圧亢進に罹患している被験者において脳組織の酸素送達および/または酸素化を改善するために用いることもできる。これに関し、頭蓋内圧上昇の結果の1つは、脳組織の酸素化の低下である。従って、サブスタンスP受容体アンタゴニストの投与を用いて、脳組織の酸素化を回復し、これにより、頭蓋内圧が上昇し始めたときに起こる事象のサイクルを予防および/または改善することができる。
【0072】
従って、別の実施形態において、本発明は、頭蓋内圧亢進に罹患している被験者において脳への酸素送達および/または脳の酸素化を改善する方法も提供し、この方法は、有効量のサブスタンスP受容体アンタゴニストを被験者に投与することを含む。
【0073】
脳への酸素送達の程度を決定する方法、および脳組織酸素化の程度を決定する方法は、当分野において周知である。
【0074】
本発明はまた、頭蓋内圧亢進に罹患している被験者において脳への酸素送達または酸素化を改善する医薬の調製において用いることもできる。
【0075】
従って、別の実施形態では、本発明は、頭蓋内圧亢進に罹患している被験者において脳への酸素送達を改善する、および/または脳の酸素化を改善する医薬の調製におけるサブスタンスP受容体アンタゴニストの使用を提供する。
【0076】
本発明はまた、脳から循環への水の移動を改善するのに用いることもできる。
【0077】
従って、別の実施形態では、本発明は、被験者の脳から循環への水の移動を改善する方法を提供し、この方法は、有効量のサブスタンスP受容体アンタゴニストを被験者に投与することを含む。
【0078】
脳から循環への水の移動の程度を決定する方法は、当分野において周知である。
【0079】
本発明はまた、被験者の脳から循環への水の移動を改善する医薬の調製に用いてもよい。
【0080】
従って、別の実施形態では、本発明は、被験者の脳から循環への水の移動を改善する医薬の調製におけるサブスタンスP受容体アンタゴニストの使用も提供する。
【0081】
また、本発明を用いて、頭蓋内圧亢進に罹患しやすい、または罹患している被験者の死亡または罹患の危険性を低減することもできる。これに関し、頭蓋内圧上昇の最終結果の1つは、死亡または神経学的損傷である。従って、サブスタンスP受容体アンタゴニストの投与を用いて、頭蓋内圧亢進に関連する死亡または罹患の危険性を低減することができる。
【0082】
これに関して、用語「危険性」は、介入の非存在下で被験者がある事象を被る可能性を意味すると理解されたい。一般に、この危険性は、介入を受けている被験者の集団に起こる事象の割合と比較した、介入を受けていない被験者の集団に起こる事象の割合を測定することにより決定する。
【0083】
従って、別の実施形態において、本発明は、頭蓋内圧亢進に罹患しやすい、または罹患している被験者の死亡または罹患の危険性を低減する方法も提供し、この方法は、有効量のサブスタンスP受容体アンタゴニストを被験者に投与することを含む。
【0084】
本発明はまた、頭蓋内圧亢進に罹患しやすい、または罹患している被験者の死亡または罹患の危険性を低減する医薬の調製に用いることもできる。
【0085】
従って、別の実施形態では、本発明は、頭蓋内圧亢進に罹患しやすい、または罹患している被験者の死亡または罹患の危険性を低減する医薬の調製におけるサブスタンスP受容体アンタゴニストの使用も提供する。
【0086】
また本発明を用いて、被験者における頭蓋内圧亢進による神経学的合併症の危険性を低減することもできる。これに関し、頭蓋内圧上昇の結果の1つは、神経学的合併症である。従って、サブスタンスP受容体アンタゴニストの投与を用いて、頭蓋内圧亢進に関連する神経学的合併症の危険性を低減することができる。
【0087】
従って、別の実施形態では、本発明は、被験者における頭蓋内圧亢進による神経学的合併症の危険性を低減する方法を提供し、この方法は、有効量のサブスタンスP受容体アンタゴニストを被験者に投与することを含む。
【0088】
また、本発明は、頭蓋内圧亢進による神経学的合併症の危険性を低減する医薬の調製に用いることもできる。
【0089】
従って、別の実施形態では、本発明は、被験者における頭蓋内圧亢進による神経学的合併症の危険性を低減する医薬の調製におけるサブスタンスP受容体アンタゴニストの使用を提供する。
【0090】
また、本発明を用いて、頭蓋内圧亢進に罹患している被験者の予後または転帰を改善することもできる。
【0091】
従って、別の実施形態では、本発明は、頭蓋内圧亢進に罹患している被験者の予後または転帰を改善する方法を提供し、この方法は、有効量のサブスタンスP受容体アンタゴニストを被験者に投与することを含む。
【0092】
一実施形態では、予後または転帰の改善は、神経学的予後または転帰の改善である。
【0093】
また、本発明は、頭蓋内圧亢進に罹患している被験者の予後または転帰を改善する医薬の調製に用いることもできる。
【0094】
従って、別の実施形態では、本発明は、頭蓋内圧亢進に罹患している被験者の予後または転帰を改善する医薬の調製におけるサブスタンスP受容体アンタゴニストの使用も提供する。
【0095】
本発明の様々な実施形態におけるサブスタンスP受容体アンタゴニストの投与は、頭蓋内圧力またはその結果の1つに対する補助療法として用いることができる、1種以上の薬剤の投与をさらに含んでもよい。サブスタンスP受容体アンタゴニストと一緒に、例えば、浸透圧利尿薬、例えばマンニトールを併用してもよい。
【0096】
従って、別の実施形態では、本発明は、サブスタンスP受容体アンタゴニストと浸透圧利尿薬を含む医薬組成物を提供する。
【0097】
これに関して、本発明の様々な実施形態における1種以上の薬剤とサブスタンスP受容体アンタゴニストを同時または順次に投与し、送達してもよい。
【0098】
これに関し、同時投与とは、一般に、被験者においてこれらの活性薬剤が指定時間にわたり存在することを意味する。典型的には、第2の薬剤を第1の薬剤の半減期内に投与すれば、2種の薬剤が同時投与されたとみなされる。
【0099】
従って、本発明は、サブスタンスP受容体アンタゴニストと別の薬剤を含む併用薬に用いることもできる。
【0100】
別の実施形態では、本発明は、以下の成分:
サブスタンスP受容体アンタゴニストと、
浸透圧利尿薬
を含み、上記成分が、被験者に対する同時投与のための形態、または被験者への個別投与のための形態で供給される、併用薬を提供する。
【0101】
本発明の様々な実施形態におけるサブスタンスP受容体アンタゴニストの投与は、サブスタンスP受容体アンタゴニストを含む医薬組成物の投与を含んでもよい。この場合、サブスタンスP受容体アンタゴニストは、好適な医薬組成物に調製することができる。
【0102】
従って、別の実施形態では、本発明は、有効量のサブスタンスP受容体アンタゴニストを含む医薬組成物を提供する。このような医薬組成物は、頭蓋内圧を低下させる、ならびに/あるいはその結果の1つを予防および/または治療するのに用いることができる。
【0103】
頭蓋内圧を低下させる(ならびに/あるいはその結果の1つを予防および/または治療する)ためのサブスタンスP受容体アンタゴニストの好適な用量は、選択することができる。一般に、本発明の様々な実施形態において被験者に投与されるサブスタンスP受容体アンタゴニストの用量は、0.1 mg/kg〜100 mg/kgの範囲である。典型的には、この用量は0.25 mg/kg〜25 mg/kgの範囲である。例えば、N-アセチル-トリプトファンの好適な用量は2.5 mg/kgである。
【0104】
一般に、医薬組成物中のサブスタンスP受容体アンタゴニストの用量は、被験者当たり10〜5,000 mgの範囲でよく、典型的には、被験者当たり50〜2,000 mgの範囲である。
【0105】
好適な用量は、一般に、米国特許第4,990,125号および第5,977,104号に記載されている通りである。
【0106】
医薬組成物の調製方法は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences、第18版、1990, Mack Publishing Co.、ペンシルバニア州イーストンおよびU.S. Pharmacopeia: National Formulary, 1984, Mack Publishing Company、ペンシルバニア州イーストンに記載されているように、当分野において公知である。
【0107】
サブスタンスP受容体アンタゴニストの製剤の例は、一般に、米国特許5,990,125号および米国特許出願20070032491に記載されている通りである。
【0108】
サブスタンスP受容体アンタゴニストは、所望の作用部位に直接的または間接的に送達することができる。例えば、直接送達は、脳または脳血管系への注射により達成することもできる。
【0109】
あるいは、本発明の様々な実施形態において、例えば、被験者への全身投与により、サブスタンスP受容体アンタゴニストを被験者の所望の作用部位に間接的に送達することも可能である。
【0110】
本明細書で前述したように、サブスタンスP受容体アンタゴニストは、該薬剤が所望の作用部位に到達して、所望の効果を示すのに適した形態および濃度で送達することができる。
【0111】
本発明の様々な実施形態においてサブスタンスP受容体アンタゴニストの投与には、所望の効果を生み出すのに適した投与レジームを用いることができる。
【0112】
例えば、サブスタンスP受容体アンタゴニストは、頭蓋内圧上昇が起こる前、および/または頭蓋内圧上昇が起こった後に被験者に投与することができる。従って、本発明は、頭蓋内圧亢進に罹患しやすい被験者に対するサブスタンスP受容体アンタゴニストの予防的投与、および/または頭蓋内圧亢進に罹患している被験者へのサブスタンスP受容体アンタゴニストの治療的投与を含む。
【0113】
サブスタンスP受容体アンタゴニストの送達は、好適な手段、例えば、注射、経口、非経口、局所投与など、いずれの好適な手段により実施することができ、従って、薬剤の通過時間を考慮する必要がある。
【0114】
サブスタンスP受容体アンタゴニストは、被験者に投与するための医薬組成物に製剤化してもよく、このような組成物は、複数用量または単一用量剤形で、アンプル、瓶、またはバイアルのような適切に滅菌した容器にパッケージングしてもよい。一般に容器は密封される。医薬投与のための成分のパッケージング方法は当分野において公知である。
【0115】
本発明の様々な実施形態において被験者に投与すべきサブスタンスP受容体アンタゴニストの有効量は、それが、一般に、有用なまたは治療効果を発揮するような量および剤形である限り、特に限定されない。用語「治療に有効な量」とは、治療が必要な被験者に投与する際、被験者の予後および/または状態を改善する量である。被験者に投与すべき量は、臨床症状の具体的性質、投与方法、ならびに被験者の特徴、例えば、全身状態、他の疾患、年齢、性別、遺伝子型、体重および薬剤に対する耐容性に応じて異なる。当業者であれば、上記または他の要因に応じて適切な投与量を決定することができよう。
【0116】
本明細書で前述したように、本発明の組成物の投与および送達は、例えば、静脈内、腹腔内、皮下、筋内、経口、もしくは局所経路、または直接注射により実施することができる。ほとんどの症例における投与方法および経路は、治療を受ける被験者の臨床症状の性質に応じて異なる。
【0117】
投与剤形、頻度および投与量は、投与方法および投与経路に応じて異なる。
【0118】
サブスタンスP受容体アンタゴニストの投与は、投与しようとする薬剤の具体的な物理学的、微生物学的および化学的特性を考慮に入れながら、1種以上の薬学的に許容される添加剤、例えば、薬学的に許容される塩、アミノ酸、ポリペプチド、ポリマー、溶媒、バッファー、賦形剤、保存剤およびバルク剤の使用を含んでもよい。
【0119】
例えば、サブスタンスP受容体アンタゴニストは、例えば、水溶液、油性製剤、脂肪エマルション、エマルション、再構成用の凍結乾燥粉末などの形態をした多様な薬学的に許容される組成物に調製することができ、滅菌および発熱物質非含有の筋内または皮下注射または器官への注射として、または埋め込み製剤として、または鼻腔、直腸、子宮、膣、肺などを介した経粘膜製剤として投与することができる。組成物は、経口製剤(例えば、錠剤、カプレット、カプセル、顆粒または粉末などの固体製剤;シロップ、エマルション、分散液または懸濁液などの液体製剤)の形態で投与することもできる。
【0120】
また、サブスタンスP受容体アンタゴニストを含む組成物に、1種以上の薬学的に許容される保存剤、緩衝剤、希釈剤、安定剤、キレート剤、増粘剤、分散剤、pH調節剤、または等張剤を含有させてもよい。これらの賦形剤は、当業者には周知である。
【0121】
好適な保存剤の例は、パラ−ヒドロキシ安息香酸の安息香酸エステル、プロピレングリコール、フェノール、フェニルエチルアルコールまたはベンジルアルコールである。好適なバッファーの例として、リン酸ナトリウム塩、クエン酸、酒石酸などがある。好適な安定剤の例としては、α−トコフェロールアセテート、α−チオグリセリン、メタ重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、アセチルシステイン、8-ヒドロキシキノリンなどの抗酸化剤、エデト酸二ナトリウムなどのキレート剤がある。好適な増粘剤、懸濁剤または分散剤の例として、置換セルロースエーテル、置換セルロースエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、カルボマー、ポリオキシプロピレングリコール、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレン水素化ひまし油60がある。
【0122】
好適なpH調節剤の例としては、塩酸、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。好適な等張剤の例としては、グルコース、D-ソルビトールまたはD-マンニトール、塩化ナトリウムがある。
【0123】
また、本発明の様々な実施形態においてサブスタンスP受容体アンタゴニストの投与は、投与しようとする薬剤の物理的、化学的および微生物学的特性を考慮に入れながら、薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、懸濁剤、滑沢剤、佐薬、ビヒクル、送達系、乳化剤、崩壊剤、吸収剤、保存剤、界面活性剤、着色剤、流動促進剤、固結防止剤、結合剤、香味料または甘味料を含む組成物の形態で行ってもよい。
【0124】
これらの目的のために、経口、非経口経路、吸入スプレー、吸着、吸収、局所、直腸、鼻内、粘膜、経皮、口腔、膣内、脳室内、慣用的な無毒の薬学的に許容される担体を含む投与製剤の埋込みレザバーを介して、またはその他の好都合な投薬剤形により、投与することができる。本明細書で用いる用語「非経口」とは、皮下、静脈内、筋内、腹腔内、鞘内、脳室内、胸骨内、および頭蓋内注射もしくは注入方法を含む。
【0125】
非経口経路で投与する場合、組成物は、通常、単位用量で、滅菌の発熱物質非含有注射液形態(溶液、懸濁液またはエマルションであり、これらは使用前に再構成するものでもよい)をしており、これは、薬学的に許容可能な担体を用いて、レシピエントの血液と等張であるのが好ましい。このような滅菌の注射液形態の例として、滅菌の注射用水性または油性懸濁液がある。これらの懸濁液は、好適なビヒクル、分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて、当分野で公知の方法に従い製剤化してもよい。滅菌注射液形態は、無毒で、非経口投与に許容可能な希釈剤または溶媒における滅菌注射液または懸濁液、例えば、1,3-ブタンジオールの溶液であってもよい。使用が考えられる薬学的に許容可能なビヒクルおよび溶媒として、水、エタノール、グリセロール、生理食塩水、リンガー液、デキストロース溶液、等張性塩化ナトリウム溶液、ならびにハンクス液が挙げられる。加えて、溶媒または懸濁媒として、滅菌の固定油が通常用いられている。この目的で、無刺激性固定油を用いてもよく、そのようなものとして、合成モノ−またはジ−グリセリド、トウモロコシ油、綿実油、ラッカセイ油、およびゴマ油などが挙げられる。オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ならびにオレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸、例えば、オリーブ油およびひまし油、特にそのポリオキシエチル化形態が注射液の調製に有用である。また、これらの油性溶液または懸濁液は、長鎖アルコール希釈剤または分散剤を含んでいてもよい。
【0126】
この担体は、微量の添加剤、例えば、溶解度、等張性、および化学的安定性を増強する物質(例:抗酸化剤、バッファーおよび保存剤)を含んでいてもよい。
【0127】
さらに、本組成物は、投与前に再構成される形態であってもよい。そのような例として、投与前に、薬学的に許容される溶媒を用いた再構成に適した固体形態をもたらす凍結乾燥、噴霧乾燥などが挙げられる。
【0128】
組成物は、1以上のバッファー、バルク剤、等張剤、ならびに凍結保護剤および凍結乾燥保護剤を含んでいてもよい。賦形剤の例として、リン酸塩、クエン酸、非還元糖、例えば、スクロースまたはトレハロース、ポリヒドロキシアルコール、アミノ酸、メチルアミンが挙げられ、リオトロピック塩の方がマルトースまたはラクトースのような還元糖より好ましい。
【0129】
経口投与した場合、サブスタンスP受容体アンタゴニストは、当分野において公知の通常の装置および技術を用いて、錠剤、カプレット、カシェ剤、粉末、顆粒、ビーズ、チュアブルロゼンジ、カプセル、液体、水性懸濁液もしくは溶液などの単位投与剤形、または類似の投与剤形に製剤化する。このような製剤は具体的に、固体、半固体、または液体担体を含む。担体の例として、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、鉱油、カカオ脂、テオブロマ油、アルギニン酸塩、トラガカント、ゼラチン、シロップ、置換セルロースエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウムなどの賦形剤が挙げられる。
【0130】
場合により1種以上の補助成分を用いて、薬剤を圧縮または成形することにより錠剤を調製することができる。圧縮錠は、任意で結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、界面活性剤、または分散剤と混合して、粉末または顆粒のような流動性の形態の活性成分を好適な機械で圧縮することにより、調製することができる。成形錠剤は、粉末状の活性成分と、不活性の液体希釈剤で湿潤させた好適な担体との混合物を好適な機械で成形することにより、調製することができる。
【0131】
また、サブスタンスP受容体アンタゴニストの投与には、放出制御技術を用いてもよい。
【0132】
サブスタンスP受容体アンタゴニストは、徐放性医薬組成物として投与してもよい。徐放効果をさらに高めるために、植物油(例えば、ダイズ油、ゴマ油、ツバキ油、ヒマシ油、ラッカセイ油、ナタネ油);中鎖脂肪酸トリグリセリド;オレイン酸エチルのような脂肪酸エステル;ポリシロキサン誘導体;あるいは、水溶性高分子量化合物、例えば、ヒアルロン酸またはその塩、カルボキシメチルセルロースナトリウムヒドロキシプロピルセルロースエーテル、コラーゲンポリエチレングリコールポリエチレンオキシド、ヒドロキシプロピルメチルセルロースメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの別の成分と一緒に製剤化することもできる。
【0133】
上記以外にも、サブスタンスP受容体アンタゴニストを、数日にわたる放出制御のための疎水性ポリマーマトリックスに組み込んでもよい。次に、頻繁な再投薬を必要とせずに、長時間にわたり薬剤の有効濃度をもたらすのに適した固体埋込み物、または外用パッチに薬剤を成形することができる。このような放出制御フィルムは当分野において周知である。この目的で一般に使用されているポリマーのうち、用いることができる他の例として、非分解性エチレン−酢酸ビニルコポリマー、分解性乳酸−グリコール酸コポリマーが挙げられ、これらは外用または内用のいずれに用いてもよい。特定のヒドロゲル、例えばポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール)もまた有用であるが、前述したものなど他のポリマー放出系と比較して、短い放出サイクルに有用である。
【0134】
担体はまた、適切な時間放出特性と放出動態を備えた固体生分解性ポリマーまたは生分解性ポリマーの混合物であってもよい。次に、頻繁な再投薬を必要とせずに、長時間にわたり薬剤の有効濃度をもたらすのに適した固体埋込み物に薬剤を成形することができる。当業者には周知の任意の好適な方法で、生分解性ポリマーまたはポリマー混合物に薬剤を組み込むことができ、生分解性ポリマーで均質マトリックスを形成してもよいし、または何らかの方法でポリマー内に封入する、または固体埋込み物に成形してもよい。
【0135】
ポリペプチドをベースとする薬剤の投与の別の形態、例えば、薬剤送達を目的とするポリペプチドコード化核酸の使用なども考慮されることは理解されよう。例えば、生体分子の治療的送達は、Bladon, C (2002)”Pharmaceutical Chemistry: Therapeutic Aspects of Biomolecules”John Wiley & Sons Ltd.に記載されている通りである。
【実施例】
【0136】
具体的実施形態の説明
以下に本発明の前記一般原理を具現化する実験について説明する。しかし、以下の説明が、これまでの記載内容全般を制限するものではないことを理解すべきである。
【0137】
[実施例1]外傷性脳損傷後、アクアポリン-4発現が低減する
頭蓋内圧を低下させる目的で、マンニトールのような浸透圧利尿薬が慣用的に用いられているが、その効力は極めて限られていることが認識されている。これらの薬剤は、薬理学的に不活性な物質であって、血液のコロイド浸透圧を増大することにより作用し、組織から循環へと水を再吸収させるための駆動力を提供する。しかし、頭蓋内圧が上昇した状況下では、このような薬剤が脳から水を抜き出す能力は疑わしい。
【0138】
これは、損傷後、脳から水を戻す能力を制限する変化が脳血管系に起こっているに違いないことを示唆している。本発明者らは、脳血管系に関連する水チャネル、特にアクアポリン-4(AQP-4)を研究することにより、これらチャネルの発現に何らかの変化が起こったか否かを確かめることを決定した。この研究のために、ラットモデルを用いて、びまん性外傷性脳損傷によりICP亢進を誘導した。
【0139】
このモデルでは、衝撃加速モデルを用いて外傷性脳損傷を誘導した。簡単に説明すると、衝撃加速デバイスによりハロタンで麻酔した雄のSprague-Dawleyラット(380〜420g)の頭蓋骨の背側表面を中心に加速的打撃を送達する。衝撃の先端は、頭蓋骨骨折を防ぐため、ステンレス鋼製ディスクで保護し、その後、フォームまたはゲルを満たしたクッションを用いてヘッドを減速させた。重度の損傷を得るため、450gの真鍮重りを高さ2m地点から落下させる。この衝撃により、脳全体に広範なびまん性神経病学的ダメージが起こり、これは関連する神経学的欠損を伴うものである。
【0140】
免疫組織化学的標識を用いて、アクアポリン-4の発現を調べた(図1)。簡単に説明すると、AQP-4の電子顕微鏡でウサギポリクローナル抗体(Alpha Diagnostic International, Inc.、サンアントニオ)を一次抗体として用い、ビオチン化二次抗体(ヤギ抗ウサギIgG)およびストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ複合体(Rockland、ペンシルバニア州ギルバーツビル)を用いて免疫標識を完了した。次に、免疫標識したビブラトーム切片から、組織を長方形に切断し、オスミウムで処理し、樹脂加工した後、ペルオキシダーゼ反応産物を検出するために超薄切片を電子顕微鏡で調べた。
【0141】
対照動物においてAQP-4発現が明瞭に観察された(図1、左側パネル)。しかし、損傷後、血管系に関連する水チャネル数に極めて有意、かつ予想外の減少がみられる(図1、中央パネル)。
【0142】
この知見は、浸透圧利尿薬が脳からの水の抜き出しに有効ではないという一般的所見を説明するものと推測される。利尿薬は水の再吸収を駆動する浸透圧勾配を確立しうるが、水チャネルが血管系から失われていくと、水を循環に戻すのに使用できる経路がなくなってしまう。
【0143】
[実施例2]外傷性脳損傷後N-アセチル-L-トリプトファンを投与すると、アクアポリン4の発現が誘導される
本発明者らは、サブスタンスPが血管機能にこのような変化をもたらす上で何らかの役割を果たしている可能性があり、従って、例えば、NK1受容体アンタゴニストを用いて、サブスタンスPの作用を阻害すれば、これらの変化を逆転することができると仮定した。
【0144】
いくつかの商業用に合成されたサブスタンスP受容体アンタゴニストが、現在、標準的実験用化学薬品供給業者から入手可能である。本発明者らはNK1受容体アンタゴニストであるN-アセチル-L-トリプトファンを用いることを選択した。
【0145】
N-アセチル-L-トリプトファンを滅菌の通常の生理食塩水に溶解し、損傷の誘導から30分後に静脈内注射により投与した。損傷後N-アセチル-L-トリプトファンを投与すると、損傷前レベルまで、または実際にはそれ以上のレベルまで、アクアポリン-4の発現増大が起こることがわかった(図1、右側パネル)。損傷後、薬剤が血液−脳関門透過性を減じる能力に基づき、最適用量は2.5mg/kgであった。
【0146】
[実施例3]N-アセチル-L-トリプトファンの投与により、外傷性脳損傷のラットモデルにおいて循環への脳組織からの水の移動が促進される
アクアポリン-4発現の変化、ならびにサブスタンスP受容体アンタゴニストが通常の発現レベルを回復する能力は、これらの薬剤が脳からの水の移動を可能にし、頭蓋内圧を低下させる助けになりうることを示唆するものであった。
【0147】
サブスタンスP受容体アンタゴニストが脳からの水の移動を促進できるか否かを観察するために、外傷性脳損傷のラットモデルを用いて核磁気共鳴分光法(NMR)研究を実施した。外傷後に拡散強調NMR画像を作成した(図2、左側パネル)。
【0148】
損傷後、脳内にいくつかの「より明るい」領域がはっきりと見える。これらの「明るい」領域は、細胞外の水が脳内に集まってきた領域と相関している。
【0149】
10-5mol/kgの用量でN-アセチル-L-トリプトファンを損傷後投与すると、これらの領域に水の集まりは全く示されておらず(図2、右側パネル)、このことは、NK1受容体アンタゴニストが、循環に水が戻る移動を促進したことを示している。
【0150】
[実施例4]N-アセチルトリプトファンの投与により、外傷性脳損傷のヒツジモデルの頭蓋内圧が低下する
これらの知見の臨床適用の可能性を調べるために、通常、自動車事故に関連する脳外傷を模倣した大型動物(ヒツジ)モデルを用いてさらなる試験を実施した。大型動物モデルの使用により、ヒト患者の管理および予後について主要な臨床パラメーターを直接測定することができた。
【0151】
外傷性損傷後、標準的な脳神経外科用「ボルト」および圧力変換器を用いて、ヒツジの頭蓋内圧を測定した(図3)。
【0152】
簡単に説明すると、無痛スタンガンにより2歳の雄Merinoヒツジの左側頭領域に衝撃を与えた。ヒツジは酸素中2.5%イソフルラン(4L/分)を用いて連続的に麻酔および換気した。次に、ヒツジを腹臥位に配置した後、台に固定したが、身体に対して首と頭部は動かせるようにした。左眼窩上突起と左外耳道の中間地点に、7号レッドチャージを備えたCaptiveボルト式無痛スタンガン(モデルKML、Karl Schermer & Co.、ドイツ)を用いて衝撃性損傷を誘導した。この方法により発生させた損傷は十分に特性決定されており、ヒトTBI罹患者にみられるものを模倣している(Lewis, S.B., Finnie, J. W., Blumbergs, P.C. Scott, G., Manavis, J. Brown, C., Reilly, P.L., Jones, N.R., McLean, A., J. (1996) A head impact model of early axonal injury in the sheep. J Neurotrauma 13,505-514)。
【0153】
損傷後、ヒツジを安定化させ、頭部を作業台に固定することにより、外傷から15〜30分後、頭蓋内圧(ICP)および脳組織酸素化(PbtO2)プローブの挿入を容易にした。頭蓋骨の露出後、同側の縦中線に対し4cm横の地点に5.8mmの穿頭孔を施し、硬膜を開き、センサーの先端が左前頂葉の実質に1.5 cm入るように、較正したCodman Microsensor ICP変換器を挿入した。デジタル記録のために、このプローブをCodman ICP Expressモニター装置(Codman and Shurtleff Inc.、米国)に取り付けた。
【0154】
ヒツジは、ヒトと同様、正常な頭蓋内圧が0〜15 mm Hgの範囲にある。これは、白丸(疑似対照)により証明することができる。損傷を受けた後、頭蓋内圧の上昇があり、標準的臨床支持療法(ビヒクル)を受けたヒツジの場合、頭蓋内圧は上昇し続けた。ICPが30 mm Hgに達したとき、脳ヘルニアの臨床徴候が観察された。しかし、NK受容体アンタゴニストを投与したヒツジについては、薬剤の投与後、ICPが下降し始め、3〜4時間以内に正常な範囲内になった。個体間の変動はみられるものの、NK1受容体アンタゴニストを受けたヒツジではすべてICPが低下したのに対し、薬剤治療を受けなかったヒツジはすべてICPが上昇した。
【0155】
[実施例5]N-アセチルトリプトファンの投与により、外傷性脳損傷後、酸素レベルが正常にまで回復する
前述したように、頭蓋内圧の上昇に伴う主要な問題の1つは、それが、脳への血流および酸素送達に影響を及ぼすことである。最近の臨床的証拠は、患者の転帰の主要評価指標が脳内酸素レベルの低下であることを示唆している。従って、ICPのモニタリングに加えて、臨床酸素プローブを用いて、脳組織酸素化も測定した(図4)。
【0156】
前述のように、ヒツジに損傷を施した。ICPのモニタリングのための穿頭孔以外に、縦中線から横1 cm、左前頭頭頂骨縫合上に第2の穿頭孔を実施することにより、LICOX(登録商標)PbtO2プローブの遠位端を深さ2 cmまで挿入した。デジタル記録のために、このプローブをLICOX(登録商標)脳組織酸素モニタリング装置(Integra、米国)に取り付けた。プローブの挿入後、骨ろうで穿頭孔を閉鎖した。ICPとPbtO2を30分毎に4時間記録した。
【0157】
疑似対照で観察されたように、脳内の正常な組織酸素濃度は44 mmHg前後である。損傷後、組織酸素レベルの有意な低下があり、標準的臨床支持療法(ビヒクル)を受けたヒツジの場合、このレベルは低下し続けた。しかし、損傷後NK1受容体アンタゴニストを受けたヒツジについては、酸素レベルは急速に回復し始め、3〜4時間以内に正常な範囲に戻った。このことは、頭蓋内圧亢進の影響と脳内酸素レベルの間に直接相関関係があること、さらに、NK1受容体アンタゴニストは、頭蓋内圧を有意に低下させることができ、これにより、脳に対する正常な血液および酸素供給を回復させることができることを示している。
【0158】
[実施例6]ICP亢進と脳内酸素欠乏との相関
前述したように、頭蓋内圧亢進は、脳機能の統合性にいくつかの有意な影響をもたらす。その最も有意なものの1つは、脳血流、ならびに、これに続く脳への酸素送達に対する影響である。
【0159】
TBIのヒツジモデルを用いて、頭蓋内圧の変化と脳酸素化の関係を調べた(図5)。これらの研究から、ICPが10〜25 mmHgのとき、これら2つの変数の間に線形の関係が存在することがわかった。ICPが25 mmHgを超えると、明らかに脳は最大限に酸素が欠乏する。現在の臨床実験では、ICPが20〜25 mmHgになるまで、脳膨張に対する介入は提案されない。しかし、本発明の結果から、すべての頭部損傷患者に適切な脳酸素化が起こるのを確実にするためには、ICPが10 mmHgを超えたら、ICPを管理する介入を開始すべきであることを示している。ICPが上昇し始めたとき、NK1アンタゴニストによりICPがいくらかでも低下すれば、脳組織の酸素化が改善され、従って、二次的脳損傷が軽減される可能性がある。
【0160】
前記の実験結果は、サブスタンスP受容体アンタゴニストが、頭蓋内圧亢進を招く脳血管系における機能的変化を予防および/または逆転することができるという本発明者らの仮定を支持するものである。このように、これらの薬剤を投与することにより、頭蓋内圧の亢進を低下させることができる。その結果、これは、患者の予後不良の主要な要因である、脳への血液および酸素化供給の減少ならびにヘルニアによる脳組織への機械的損傷を予防する。本発明者らのデータは、サブスタンスP受容体アンタゴニストが、ICPを低下させるための有効な治療的介入となり、これにより、この重篤な合併症に関連する死亡および罹患を予防または低減するという発明を支持するものである。
【0161】
[実施例7]外傷性脳損傷のラットモデルにおけるNK1アンタゴニストによる治療
外傷後のICPに対するNK1アンタゴニストの効果を別の種(ラット)でも調べた。広く許容されられているびまん性外傷性脳損傷モデルを用いて、雄Sprague-Dawleyラットを損傷させてから、15分間低酸素状態にした後、通常の空気で換気した。Codman ICP圧力センサーを用いて連続4時間ICPをモニターした。損傷後、ICPは平均4.88±0.12 mmHgから平均9.23±0.28 mmHgまで上昇し、96%上昇したことになる。NK1アンタゴニストによる治療で、ICPは平均値として21%低下した(図6)。このICP低下により、ビヒクルで処置した対照と比較して、処置した動物すべてにおいて機能的転帰の有意な改善がみられた。
【0162】
最後に、本発明の前記方法および組成物の様々な改変および変更は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者には明らかであることを理解されたい。本発明を具体的実施形態に関して説明してきたが、特許請求の範囲に記載の本発明をこのような具体的実施形態に不当に限定すべきではない。実際に、本発明を実施するための記載した方法の様々な変更は、当業者には明らかであり、これらは本発明の範囲に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者において頭蓋内圧を低下させるための方法であって、有効量のサブスタンスP受容体アンタゴニストを被験者に投与することを含む、上記方法。
【請求項2】
前記サブスタンスP受容体アンタゴニストが、NK1受容体アンタゴニスト、NK2受容体アンタゴニスト、またはNK3受容体アンタゴニストである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記NK1受容体アンタゴニストが、CGP49823、CP-96,345、CP99,994、CP-122,721、FK88、GR203040、GR205171、GR82334、GR94800、HSP-117、L-703,606オキサレート、L-732,138、L-733060、L-742,694、L-745,030、L-668,169、LY-303241、LY-303870、LY306740、MEN-11149、MK-869、PD-154075、R-544、RP-67580、RPR100893、センダイド(Sendide)、スパンタイド(Spantide)II、スパンタイド(Spantide)III、SR140333、WIN-41,7098、WIN-62,577からなる群の1以上から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記NK2受容体アンタゴニストが、SR-48968、L-659877、GR103537、MGN-10627、SR144190およびGR94800からなる群の1以上から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記NK3受容体アンタゴニストが、SR-143,801、R820、R486、SB222200、L758,298およびNKP608からなる群の1以上から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記被験者が頭蓋内圧亢進に罹患しやすい、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記被験者が頭蓋内圧亢進に罹患している、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
頭蓋内圧亢進が、発作、急性脳損傷、脳外傷、脳神経外科的介入、頭蓋出血、細胞傷害性および/または血管原性浮腫、腫瘍周囲浮腫、虚血、中枢神経系の感染、新生物、肝不全、慢性閉塞性肺疾患、マラリア、高山病、ならびに閉塞性水頭症の結果として起こる、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記サブスタンスP受容体アンタゴニストが、0.25 mg/kg〜25 mg/kgの用量で被験者に投与される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
被験者の頭蓋内圧を低下させるための医薬の調製におけるサブスタンスP受容体アンタゴニストの使用。
【請求項11】
被験者において頭蓋内圧亢進を予防および/または治療する方法であって、有効量のサブスタンスP受容体アンタゴニストを該被験者に投与することを含む方法。
【請求項12】
前記サブスタンスP受容体アンタゴニストが、NK1受容体アンタゴニスト、NK2受容体アンタゴニスト、またはNK3受容体アンタゴニストである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記NK1受容体アンタゴニストが、CGP49823、CP-96,345、CP99,994、CP-122,721、FK88、GR203040、GR205171、GR82334、GR94800、HSP-117、L-703,606オキサレート、L-732,138、L-733060、L-742,694、L-745,030、L-668,169、LY-303241、LY-303870、LY306740、MEN-11149、MK-869、PD-154075、R-544、RP-67580、RPR100893、センダイド(Sendide)、スパンタイド(Spantide)II、スパンタイド(Spantide)III、SR140333、WIN-41,7098、WIN-62,577からなる群の1以上から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記NK2受容体アンタゴニストが、SR-48968、L-659877、GR103537、MGN-10627、SR144190およびGR94800からなる群の1以上から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記NK3受容体アンタゴニストが、SR-143,801、R820、R486、SB222200、L758,298およびNKP608からなる群の1以上から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記被験者が頭蓋内圧亢進に罹患しやすい、請求項11〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記被験者が頭蓋内圧亢進に罹患している、請求項11〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記被験者が、発作、急性脳損傷、脳外傷、脳神経外科的介入、頭蓋出血、細胞傷害性および/または血管原性浮腫、腫瘍周囲浮腫、虚血、中枢神経系の感染、新生物、肝不全、慢性閉塞性肺疾患、マラリア、高山病、ならびに閉塞性水頭症の結果として起こる頭蓋内圧亢進に罹患しやすいまたは罹患している、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記サブスタンスP受容体アンタゴニストが、0.25 mg/kg〜25 mg/kgの用量で被験者に投与される、請求項11〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
被験者の頭蓋内圧亢進を予防および/または治療するための医薬の調製におけるサブスタンスP受容体アンタゴニストの使用。
【請求項21】
頭蓋内圧亢進に罹患している被験者において脳への血流を改善するための方法であって、有効量のサブスタンスP受容体アンタゴニストを被験者に投与することを含む方法。
【請求項22】
前記サブスタンスP受容体アンタゴニストが、NK1受容体アンタゴニスト、NK2受容体アンタゴニスト、またはNK3受容体アンタゴニストである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記NK1受容体アンタゴニストが、CGP49823、CP-96,345、CP99,994、CP-122,721、FK88、GR203040、GR205171、GR82334、GR94800、HSP-117、L-703,606オキサレート、L-732,138、L-733060、L-742,694、L-745,030、L-668,169、LY-303241、LY-303870、LY306740、MEN-11149、MK-869、PD-154075、R-544、RP-67580、RPR100893、センダイド(Sendide)、スパンタイド(Spantide)II、スパンタイド(Spantide)III、SR140333、WIN-41,7098、WIN-62,577からなる群の1以上から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記NK2受容体アンタゴニストが、SR-48968、L-659877、GR103537、MGN-10627、SR144190およびGR94800からなる群の1以上から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記NK3受容体アンタゴニストが、SR-143,801、R820、R486、SB222200、L758,298およびNKP608からなる群の1以上から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記頭蓋内圧亢進が、発作、急性脳損傷、脳外傷、脳神経外科的介入、頭蓋出血、細胞傷害性および/または血管原性浮腫、腫瘍周囲浮腫、虚血、中枢神経系の感染、新生物、肝不全、慢性閉塞性肺疾患、マラリア、高山病、ならびに閉塞性水頭症の結果として起こる、請求項21〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記サブスタンスP受容体アンタゴニストが、0.25 mg/kg〜25 mg/kgの用量で被験者に投与される、請求項21〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
頭蓋内圧亢進に罹患している被験者において脳への血流を改善するための医薬の調製におけるサブスタンスP受容体アンタゴニストの使用。
【請求項29】
頭蓋内圧亢進に罹患している被験者において脳への酸素送達および/または脳の酸素化を改善するための方法であって、有効量のサブスタンスP受容体アンタゴニストを被験者に投与することを含む方法。
【請求項30】
前記サブスタンスP受容体アンタゴニストが、NK1受容体アンタゴニスト、NK2受容体アンタゴニスト、またはNK3受容体アンタゴニストである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記NK1受容体アンタゴニストが、CGP49823、CP-96,345、CP99,994、CP-122,721、FK88、GR203040、GR205171、GR82334、GR94800、HSP-117、L-703,606オキサレート、L-732,138、L-733060、L-742,694、L-745,030、L-668,169、LY-303241、LY-303870、LY306740、MEN-11149、MK-869、PD-154075、R-544、RP-67580、RPR100893、センダイド(Sendide)、スパンタイド(Spantide)II、スパンタイド(Spantide)III、SR140333、WIN-41,7098、WIN-62,577からなる群の1つから選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記NK2受容体アンタゴニストが、SR-48968、L-659877、GR103537、MGN-10627、SR144190およびGR94800からなる群の1以上から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記NK3受容体アンタゴニストが、SR-143,801、R820、R486、SB222200、L758,298およびNKP608からなる群の1以上から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記頭蓋内圧亢進が、発作、急性脳損傷、脳外傷、脳神経外科的介入、頭蓋出血、細胞傷害性および/または血管原性浮腫、腫瘍周囲浮腫、虚血、中枢神経系の感染、新生物、肝不全、慢性閉塞性肺疾患、マラリア、高山病、ならびに閉塞性水頭症の結果として起こる、請求項29〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記サブスタンスP受容体アンタゴニストが、0.25 mg/kg〜25 mg/kgの用量で被験者に投与される、請求項29〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
頭蓋内圧亢進に罹患している被験者において脳への酸素送達および/または脳の酸素化を改善するための医薬の調製におけるサブスタンスP受容体アンタゴニストの使用。
【請求項37】
頭蓋内圧亢進に罹患しやすいまたは罹患している被験者の死亡または罹患の危険性を低減する方法であって、有効量のサブスタンスP受容体アンタゴニストを被験者に投与することを含む方法。
【請求項38】
前記サブスタンスP受容体アンタゴニストが、NK1受容体アンタゴニスト、NK2受容体アンタゴニスト、またはNK3受容体アンタゴニストである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記NK1受容体アンタゴニストが、CGP49823、CP-96,345、CP99,994、CP-122,721、FK88、GR203040、GR205171、GR82334、GR94800、HSP-117、L-703,606オキサレート、L-732,138、L-733060、L-742,694、L-745,030、L-668,169、LY-303241、LY-303870、LY306740、MEN-11149、MK-869、PD-154075、R-544、RP-67580、RPR100893、センダイド(Sendide)、スパンタイド(Spantide)II、スパンタイド(Spantide)III、SR140333、WIN-41,7098、WIN-62,577からなる群の1つから選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記NK2受容体アンタゴニストが、SR-48968、L-659877、GR103537、MGN-10627、SR144190およびGR94800からなる群の1以上から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記NK3受容体アンタゴニストが、SR-143,801、R820、R486、SB222200、L758,298およびNKP608からなる群の1以上から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記頭蓋内圧亢進が、発作、急性脳損傷、脳外傷、脳神経外科的介入、頭蓋出血、細胞傷害性および/または血管原性浮腫、腫瘍周囲浮腫、虚血、中枢神経系の感染、新生物、肝不全、慢性閉塞性肺疾患、マラリア、高山病、ならびに閉塞性水頭症の結果として起こる、請求項37〜41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記サブスタンスP受容体アンタゴニストが、0.25 mg/kg〜25 mg/kgの用量で被験者に投与される、請求項37〜42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
頭蓋内圧亢進に罹患しやすいまたは罹患している被験者の死亡または罹患の危険性を低減するための医薬の調製におけるサブスタンスP受容体アンタゴニストの使用。
【請求項45】
被験者における頭蓋内圧亢進による神経学的合併症の危険性を低減する方法であって、有効量のサブスタンスP受容体アンタゴニストを該被験者に投与することを含む方法。
【請求項46】
前記サブスタンスP受容体アンタゴニストが、NK1受容体アンタゴニスト、NK2受容体アンタゴニスト、またはNK3受容体アンタゴニストである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記NK1受容体アンタゴニストが、CGP49823、CP-96,345、CP99,994、CP-122,721、FK88、GR203040、GR205171、GR82334、GR94800、HSP-117、L-703,606オキサレート、L-732,138、L-733060、L-742,694、L-745,030、L-668,169、LY-303241、LY-303870、LY306740、MEN-11149、MK-869、PD-154075、R-544、RP-67580、RPR100893、センダイド(Sendide)、スパンタイド(Spantide)II、スパンタイド(Spantide)III、SR140333、WIN-41,7098、WIN-62,577からなる群の1以上から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記NK2受容体アンタゴニストが、SR-48968、L-659877、GR103537、MGN-10627、SR144190およびGR94800からなる群の1以上から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記NK3受容体アンタゴニストが、SR-143,801、R820、R486、SB222200、L758,298およびNKP608からなる群の1以上から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
頭蓋内圧亢進が、発作、急性脳損傷、脳外傷、脳神経外科的介入、頭蓋出血、細胞傷害性および/または血管原性浮腫、腫瘍周囲浮腫、虚血、中枢神経系の感染、新生物、肝不全、慢性閉塞性肺疾患、マラリア、高山病、ならびに閉塞性水頭症の結果として起こる、請求項45〜49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記サブスタンスP受容体アンタゴニストが、0.25 mg/kg〜25 mg/kgの用量で被験者に投与される、請求項45〜50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
被験者における頭蓋内圧亢進による神経学的合併症の危険性を低減するための医薬の調製におけるサブスタンスP受容体アンタゴニストの使用。
【請求項53】
被験者の脳から循環への水の移動を改善する方法であって、有効量のサブスタンスP受容体アンタゴニストを該被験者に投与することを含む方法。
【請求項54】
前記サブスタンスP受容体アンタゴニストが、NK1受容体アンタゴニスト、NK2受容体アンタゴニスト、またはNK3受容体アンタゴニストである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記NK1受容体アンタゴニストが、CGP49823、CP-96,345、CP99,994、CP-122,721、FK88、GR203040、GR205171、GR82334、GR94800、HSP-117、L-703,606オキサレート、L-732,138、L-733060、L-742,694、L-745,030、L-668,169、LY-303241、LY-303870、LY306740、MEN-11149、MK-869、PD-154075、R-544、RP-67580、RPR100893、センダイド(Sendide)、スパンタイド(Spantide)II、スパンタイド(Spantide)III、SR140333、WIN-41,7098、WIN-62,577からなる群の1以上から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記NK2受容体アンタゴニストが、SR-48968、L-659877、GR103537、MGN-10627、SR144190およびGR94800からなる群の1以上から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記NK3受容体アンタゴニストが、SR-143,801、R820、R486、SB222200、L758,298およびNKP608からなる群の1以上から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
前記被験者が頭蓋内圧亢進に罹患しやすい、請求項53〜57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記被験者が頭蓋内圧亢進に罹患している、請求項53〜57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
頭蓋内圧亢進が、発作、急性脳損傷、脳外傷、脳神経外科的介入、頭蓋出血、細胞傷害性および/または血管原性浮腫、腫瘍周囲浮腫、虚血、中枢神経系の感染、新生物、肝不全、慢性閉塞性肺疾患、マラリア、高山病、ならびに閉塞性水頭症の結果として起こる、請求項53〜59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記サブスタンスP受容体アンタゴニストが、0.25 mg/kg〜25 mg/kgの用量で被験者に投与される、請求項53〜60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
被験者の脳から循環への水の移動を改善するための医薬の調製におけるサブスタンスP受容体アンタゴニストの使用。
【請求項63】
頭蓋内圧亢進に罹患している被験者の予後または転帰を改善する方法であって、有効量のサブスタンスP受容体アンタゴニストを該被験者に投与することを含む方法。
【請求項64】
前記サブスタンスP受容体アンタゴニストが、NK1受容体アンタゴニスト、NK2受容体アンタゴニスト、またはNK3受容体アンタゴニストである、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記NK1受容体アンタゴニストが、CGP49823、CP-96,345、CP99,994、CP-122,721、FK88、GR203040、GR205171、GR82334、GR94800、HSP-117、L-703,606オキサレート、L-732,138、L-733060、L-742,694、L-745,030、L-668,169、LY-303241、LY-303870、LY306740、MEN-11149、MK-869、PD-154075、R-544、RP-67580、RPR100893、センダイド(Sendide)、スパンタイド(Spantide)II、スパンタイド(Spantide)III、SR140333、WIN-41,7098、WIN-62,577からなる群の1以上から選択される、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記NK2受容体アンタゴニストが、SR-48968、L-659877、GR103537、MGN-10627、SR144190およびGR94800からなる群の1以上から選択される、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
前記NK3受容体アンタゴニストが、SR-143,801、R820、R486、SB222200、L758,298およびNKP608からなる群の1以上から選択される、請求項64に記載の方法。
【請求項68】
頭蓋内圧亢進が、発作、急性脳損傷、脳外傷、脳神経外科的介入、頭蓋出血、細胞傷害性および/または血管原性浮腫、腫瘍周囲浮腫、虚血、中枢神経系の感染、新生物、肝不全、慢性閉塞性肺疾患、マラリア、高山病、ならびに閉塞性水頭症の結果として起こる、請求項63〜67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記サブスタンスP受容体アンタゴニストが、0.25 mg/kg〜25 mg/kgの用量で被験者に投与される、請求項63〜68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記予後または転帰の改善が、神経学的予後または転帰の改善である、請求項63〜69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
頭蓋内圧亢進に罹患している被験者の予後または転帰を改善するための医薬の調製におけるサブスタンスP受容体アンタゴニストの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−533655(P2010−533655A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516328(P2010−516328)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【国際出願番号】PCT/AU2008/001033
【国際公開番号】WO2009/009829
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(508034901)アデレイド リサーチ アンド イノベーション ピーティーワイ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】