説明

頭部固定具および頸椎カラーのための交換可能なパッド組立品

負傷者の後頭部を支持するためのベースヘッドボードは、歯付きラックを備えた細長い溝穴を負傷者の頭部の両側に備えている。ヘッドボードは、背板に取り付けるためのストラップも備えている。2つのサイドヘッドブロックは、ヘッドボード中心部の両側にある細長い溝穴と係合するプランジャ形ロックを使用して、ヘッドボードに着脱可能に取り付けられる。各ロックはヘッドボードの溝穴に、対応ヘッドブロックの別個の細長い溝穴を介して係合される。ヘッドブロックの調節は、ヘッドボードおよびヘッドブロック内の互いに独立している各スロットに沿ってロックの係合部を移動させることによって行われることが有利である。また、ヘッドブロックをそのロックのまわりで回転させることもできる。ヘッドパッドおよびストラップ、ならびに患者に触れる頸椎カラー用のパッドおよびストラップを交換可能としてキットに入れてもよい。これによって、耐久性部品を無限に再使用できるようになり、清掃費が減少し、病原体にさらされる機会が最小限となる。そのような交換可能部品キットにより、耐久性部品(すなわち、頭部固定具)なしで全部が使い捨て部品である場合と比較して、材料の無駄を減少させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には、救急医療スタッフが負傷者の搬送に使用するタイプの背板に着脱可能な改良型の頭部固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
負傷者または動けない人の搬送に、医師および救急医療スタッフは長年にわたって背板を使用してきた。搬送される負傷者の頭と首を動かないようにために細心の注意が要求される。首(頸椎)に損傷がある場合、搬送中にこれを悪化させないために、頭部および頸椎を固定する必要がある。
【0003】
そのような固定は、負傷者が背板上に他が正しく固定された後に、速やかかつ正しく行われることが望ましい。したがって、頭部固定装置は、簡単に正しく装着できる直観的なデザインで高度の動作制限を行える必要がある。この装置は、負傷者にぴったり合わせられるように十分に調整可能でなくてはならない。また、救急車内の限られた空間を考えれば、この頭部固定装置は、収納しやすいように小型にすべきである。
【0004】
搬送のために負傷者を適切に固定した後、怪我の状態および範囲を正しく診断するために、救急医療スタッフが負傷者の目、耳、口、鼻および首を見たり触れたりするのに支障があってはならない。したがって、頭部固定装置は負傷者にそのように接近できるものでなくてはならない。背板に載せられたまま負傷者をX線撮影する必要がある場合もある。
【0005】
したがって、頭部固定具は高度のX線透過性を備えている必要がある。
【0006】
頭部固定装置については、下記を参照されたい。
【0007】
ボドマン(Bodman)の特許文献1は、左補助ブロックと右補助ブロックを備えた、頸部負傷などの他の怪我を防止するために頭部を動かないようにするための装置に関する。各ブロックは頭蓋骨支持面を備えている。両ブロックは、頭蓋骨と外方および上方に広がっている頭蓋骨支持面とを接触させ、割込み動作により、頭蓋骨を左右に動かないように固定し、それと同時に、頭蓋骨の高さを位置決めすることによって首の位置合わせを行う。しかし、頭蓋骨支持面が耳を覆うことはないので容易に判断できる。左右のブロックは1回だけ使用する使い捨てとしてもよいし、搬送台に恒久的に取り付けて再利用してもよい。
【0008】
マクレイノルズ(McReynolds)他の特許文献2は、処置医の手術または検査中に頭部を支持および固定するための装置に関するものである。ヘッドレストがベースサポートに固定されている。ヘッドレストは両側が開いており、患者頭部をはめるように形成されている。一対の固定ジョーが頭部を両側から押さえ、所定の位置に保持する。医師の腕を安定させるための、位置を変えられるアームプラットフォームが設けられている。
【0009】
パーク(Park)の特許文献3は、穏やかな牽引力をユーザーの頭部、首部および肩部にかけるための調整可能な治療用枕装置に関するものである。この装置は、ベースと、ユーザーに係合させるための、離れた凸状枕面を備える第1および第2の枕部材と、枕部材をベースに固着する手段とを備えている。この装置は、枕部材の横方向の間隔と枕部材の全長を調整できるという点で調整可能である。
【0010】
ラウリン(Laurin)他の特許文献4は、硬質ボード、複数の拘束ストラップ、頭部支持部、足部支持部および輸送用ハンドルを備えた脊髄固定装置の形態の、脊髄損傷の疑いがある患者を拘束するための装置を提供する。拘束ストラップはボード側部からボードの幅いっぱいに横方向に延び、縦方向に動かすことができ、横方向に引き込み可能となっている。頭部支持部は患者頭部を固定するようになっており、患者の後頭部を支持するためのセンターサポートと、2つのサイドサポートとを備えている。サイドサポートはセンターサポートの両側に1つずつ配され、支持位置と、サイドサポートがセンターサポートとほぼ同一高となる取付・保管位置との間で移動可能となっている。
【0011】
ダーラム(Durham)の特許文献5は、中心部と、間隔をあけて配置された側縁部とを有するメインボードを備えた頭部固定装置に関するものである。
【0012】
バッグボード係合用ストラップと頭部固定用ストラップを受け入れる穴が側縁部に沿って配置されている。バッグボード係合用ストラップは、救急医療時にメインボードをバックボードに固定するようになっている。
【0013】
頭部固定用ストラップは、頭部固定用ストラップを位置決めするための穴に応じてさまざまな位置に操作しやすく配置できる。取り外し可能な一対の頭部支持部が、面ファスナ材料を介してメインボードの中央部に操作しやすく取り付けられている。メインボードの最中央部にはヘッドクッションが配置されている。頭部固定具のメインボードは高強度の波形の使い捨て材料で形成されており、直立型クッションおよび枕は、患者頭部の外傷時の血液および体液を吸収するように連続気泡フォームで形成されている。
【0014】
ヘンリー・ジュニア(Henley,Jr.)の特許文献6は、負傷者を固定および搬送するためのバックボードと、そのようなバックボードと一緒に使用するための頭部拘束装置に関するものである。このバックボードは、硬質の支持部材と、この硬質の支持部材に取り付けられた軌道に滑るように受け入れられる2つの頭部係合部材と、頭部係合部材を硬質の支持部材に対して決まった位置に保持する係止組立品とを備えている。頭部支持部材は、バックボードに載せられた負傷者の頭部の両側に1つずつ頭部と隣接して配置されるように考案されている。頭部支持部材が、不使用時には軌道から完全に取り外すこともできる。係止組立品は、バネによる付勢によって軌道と係合するバネ付勢部材を備え、頭部係合部材を決まった位置に保持する。バックボードは、布製ストラップと、ストラップの一端に滑動および回転可能に保持されたリングと、および各リングに回転可能に連結されたスナップフックとを備えていてもよい。スナップフックは、支持ボードの取っ手に埋め込まれたロッドに連結することも、他のバンド掛け部材のリングに連結することも可能である。バックボードは、フットプレートと2つの延長部材とを備える足部支持組立体を備えていてもよい。フットプレートは2つの延長部材に回転可能に取り付けられ、さらには、2つの延長部材は支持ボードに滑動可能に取り付けられている。
【0015】
クリペル(Klippel)の特許文献7は、患者の背中および首の後ろに固定される短い上部ボード部材を備えた背板に関するものである。
【0016】
グレゴリー(Gregory)他の特許文献8は、患者が横たわる台のヘッド側の片面が、頭部下側をヘッドピースに係合させるようになっているヘッドピースに関するものである。頭部が決まった位置に保持されるように複数のパッドがヘッドピース支持部によって調節可能であり、脊柱指圧療法師が縦方向の調節を行う。
【0017】
パティル(Patil)他の特許文献9は、患者頭部を支持し、患者頭部の所定の位置に保持する領域を表面に備えるプラットフォームすなわち支持部を有するフレームを提供するものである。
【0018】
ブロック(Brock)の特許文献10は、担架に取り付けられる折りたためる入れ子式頭部支持部と、入れ子式頭部支持部に取り付けられる調節可能な胴部材を有している。
【0019】
ストラップは、頭部支持部および胴部材を通って延び、折れた首を動かないようにする。
【0020】
ダービー・ジュニア(Darby,Jr.)の特許文献11は、硬質の支持ボードを備えた子供用の拘束組立品に関するもので、支持ボードは、患者頭部の下にくるようにしたヘッド部と、このヘッド部に設けられ、横方向に調節可能なヘッド保持パッドとを備えている。
【0021】
ランキンの米国特許第3672364号明細書は、手術用の押し縮め可能な重量固定具に関するもので、負傷した患者が横たわっている間、患者手術部位をずれたりや外れたりしないように固定するようになっている整形外科用ストラップ緊張錘を有する。一実施形態において、携帯型整形外科用ストラップ緊張錘付き部品に頤部用補助ストラップが固定されている。この取付手段付き装置は、担架、病院のベッド、手術台に適用することもできるし、あるいは、患者の搬送、または検査、手術もしくは緊急移動の場合に患者を所定位置に保持するのにも使用できる。
【0022】
上記各特許はさまざまな特徴を備えた背骨および頸部固定装置を提供する。しかし、これら特許はいずれも、部品を取り外さない簡単な調節のために、部品一体化、広範囲なサイズへの対応、X線の考慮、製造を簡単にするための対称部品の採用、安全ロック等を提供する固定装置を開示も示唆もしていない。したがって、上述の利点を備えた頭部固定具を交換することが望まれている。
【0023】
また、医学界ではこれらの頭部固定具について、装置廃棄か、環境保護責任、感染の危険および経済性の中でトレードオフを図るか、いずれを選択するかという点で議論が続いている。この議論の結果、基本的に再使用可能であるがひどく汚れた場合に処分できるように十分に低価格な頭部固定システムを開発することが望ましいことが分かった。
【特許文献1】米国特許第5265625号明細書
【特許文献2】米国特許第5207716号明細書
【特許文献3】米国特許第4771493号明細書
【特許文献4】米国特許第5154186号明細書
【特許文献5】米国特許第5657766号明細書
【特許文献6】米国特許第4794656号明細書
【特許文献7】米国特許第3566422号明細書
【特許文献8】米国特許第4221213号明細書
【特許文献9】米国特許第4463758号明細書
【特許文献10】米国特許第3449776号明細書
【特許文献11】米国特許第3650523号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
そこで本発明の目的は、従来技術の上記欠点を克服する頭部固定装置を提供することである。
【0025】
したがって、本発明の目的は、患者の頭部および頸部に対する高度の動作制限を備えた頭部固定具を提供することである。
【0026】
また、本発明の目的は、最小限の製品訓練だけですむ直観的なデザインを備えた頭部固定具を提供することである。
【0027】
本発明の別の目的は、目、耳、口、鼻、首を見たり触れたりするのに支障ない頭部固定具を提供することである。
【0028】
本発明のさらに別の目的は、高度のX線透過性を備えた頭部固定具を提供することである。
【0029】
本発明のさらに別の目的は、患者が、X線が空くのを待っている状態でギアが残されている場合の、病院における設備損の影響を小さくする頭部固定システムを提供することである。
【0030】
本発明のさらに別の目的は、耐久性部品を無限に再使用できるようにする、頭部固定システムの交換用パッドおよびストラップキットを提供することによって、清掃費を減少させ、病原体にさらされる機会を最小限にすることである。
【0031】
本発明のさらに別の目的は、使い捨ての頭部固定具と比較して材料の無駄を小さくした頭部固定システムを提供することである。
【0032】
本発明のさらに別の目的は、清掃および複数回の再使用が可能な耐久性部品を備えた頭部固定具を提供することである。
【0033】
本発明のさらに別の目的は、広範囲の患者に合うように自由に調節できる頭部固定具を提供することである。
【0034】
本発明のさらに別の目的は、速やかに装着および再調節できる頭部固定具を提供することである。
【0035】
本発明のさらに別の目的は、適切な固定法を助ける頭部固定具を提供することである。
【0036】
本発明のさらに別の目的は、保管を容易にするために小型でコンパクトな設計の頭部固定具を提供することである。
【0037】
本発明のさらに別の目的は、他の頭部固定システムと比較して低価格の頭部固定具を提供することである。
【0038】
本発明のさらに別の目的は、背板に簡単に着脱することができ、多種多様な背板タイプに合わせることができるようにした頭部固定具を提供することである。
【0039】
本発明のさらに別の目的は、基本的に再使用可能であるがひどく汚れた場合に処分できるように十分に低価格な頭部固定システムを提供することである。
【0040】
本発明の他のさまざまな目的、利点および特徴は、以下の詳細な説明からすぐに分かるであろうし、新規の特徴は添付されている請求の範囲に詳細に指摘される。
【課題を解決するための手段】
【0041】
本発明の実施形態は、身体部(例えば、頭部)の1つまたはそれ以上の側部を支持するように対応可能な1つまたそれ以上のサイドブロックを取り付けるための表面/境界面を形成するベースヘッドボード(「ヘッドボード」、「ベースボード」とも言う)を備えている。負傷者の頭部を快適に支持するために、ヘッドボードの中心部には発泡材パッドなどの軟質材料が取り付けられる。ヘッドボードの負傷者の頭部の両側には、歯付きラックを備えた細長い溝穴が配されている。ヘッドボードは、背板に取り付けるためのストラップも備えている。
【0042】
2つのサイドヘッドブロックは、ヘッドボード両側の細長い溝穴と係合するプランジャ形ロックを使用して、ヘッドボードに着脱可能にそれぞれ取り付けられている。
【0043】
これらのロックは、ヘッドボードの溝穴に垂直に位置合わせできるヘッドブロックの別々の細長い溝穴を介してヘッドボードの溝穴に係合される。
【0044】
ヘッドブロックは、ヘッドブロックをヘッドボードの溝穴セットおよびヘッドブロックの溝穴セットに沿って移動させることによってそれぞれ調節できることが有利である。また、ヘッドブロックはロックのまわりで回転させることもできる。
【0045】
したがって、本発明により、ベース上の所定動作範囲内の箇所であればどこにでもヘッドブロックを配置できる。このようにヘッドブロックは、特定の患者の頸椎の動きおよび頸椎に対する外傷の可能性を最小限にすることによって適切な固定法を助けつつ、患者のさまざまなサイズ特性に対応するように調節可能である。
【0046】
各ヘッドブロックは、左右のヘッドブロック間で違いのない普遍的な形状をしている。ヘッドボードに取付け時、各ヘッドブロックは、負傷者の側頭部にフィットさせるための軟質材料(発泡材パッド)が取り付けられた直立平面部と、ヘッドボードに係合させるための前述の溝穴を備えた水平部とを備えている。直立平面部は、救急医療スタッフが外傷を診察するために接近できるように、負傷者の側頭部をのぞかせる弓形の開口部を備えている。また、この弓形の開口部は負傷者の頭部のX線透過性を高めるものでもあり、したがって負傷者の頭部を固定しつつ救急医療スタッフが負傷者の頭部のX線撮影することが可能となる。
【0047】
直立平面部は、X線透過性を高めるために曲線からなる(釣鐘形の)断面を備えている。保管しやすくするために、不使用時にヘッドブロックのこれらの部分をベースから取り外し、分離して偏平な姿勢にすることもできる。
【0048】
この頭部固定装置は、どのような大きさ/年齢(少なくとも2歳)の患者にフィットさせる場合でも、どの部品も取り外さずに容易に調節できる。この部品一体化によって部品の紛失または誤取付を防止でき、個々の部品を探し出す必要なく患者を速やかに固定できる。ヘッドブロックを固定するロックは、少なくとも2つのロッキングステージを備えており、それによってヘッドブロックの各調節方向を所定の位置にロックでき、したがって患者によりよくフィットさせることが可能となる。
【0049】
ヘッドボードには、背板に取り付けるための取付ストラップも組み込まれている。頭部固定用のストラップは、負傷者の前頭部および頤部を横切ってヘッドブロック間に延ばすこともできる。本発明の実施形態にしたがえば、頭部固定用ストラップは、圧力が下顎骨関節に向けられるように傾けられ、それによって救急医療スタッフが負傷者の口を開けられるようにしつつ、不快を軽減する。
【0050】
協働する取付ストラップおよび/またはヘッドストラップは、協働するフックもしくはループ材または両面粘着性テープをさらに備えることもできる。そのような材料は、ヘッドパッド手段をヘッドボードに取り付けるためにヘッドパッド手段の底面に取り付けることもできるし、ヘッドブロックパッドをそれぞれのヘッドブロックに取り付けるためにヘッドブロックパッドの表面に取り付けることもできる。
【0051】
よって、ヘッドボードおよびヘッドブロックに好ましい軟質材料(発泡材パッド)をヘッドボードおよびヘッドブロックから容易に取り外すことができ、簡単に交換できる。本発明の実施形態にしたがえば、使い捨てキットには、2つのヘッドブロックパッド、ヘッドボードパッド、および2つのヘッドストラップが含まれている。頸椎カラーが、使い捨てキットに着脱可能に取り付けられる、頸部パッドおよび頤部パッドならびに取付ストラップを備えていてもよい。したがって、汚れたときに、ヘッドブロック、ヘッドボードまたは頸椎カラーのいずれを交換する必要なく、パッドおよびストラップを容易に取り外し、汚染除去および/または交換できる。
【0052】
ヘッドボードは、プラスチック成形物で形成され、細長い溝穴がヘッドボード中心部両側の側縁部と垂直なヘッドボードを横切って軸線方向に延びるように構成されることが好ましく、ヘッドボードを背板に取り付けることができるようにする背板ストラップをさらに備えていてもよい。
【0053】
ヘッドパッド手段は、普遍的に形成された一対のパッドをさらに備え、各パッドは間隔をあけて配置され、底部から垂直に延び、一対の端部において合流する、直立する側面を備えている。ヘッドパッド手段および頭部支持手段は、ヒトの血液の色と異なる色の発泡材で形成されることが好ましい。
【0054】
固定用ストラップ手段は、固定用ストラップ手段の自由端部を差し込んで、その長さに合わせて取り付けられるように折り曲げることができるバックルをさらに備えることもできる。
【0055】
別の実施形態にしたがえば、ヘッドボードの特徴を背板に直接組み込むこともでき、よって独立型のヘッドボードを必要とせずにヘッドブロックを背板に取り付けることが可能となる。
【0056】
したがって、本発明は、以下の詳細な開示に十分に例示されている、構造の態様、構成部品の組み合わせ、および部品の配置を具現する装置を含むものであり、本発明の範囲は請求の範囲に示されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
本発明をさらに完全に理解するために、以下の説明および添付図面を参照されたい。図中、同様の構成部品および部品は同様の参照符号によって示されている。
【0058】
図1は、本発明の実施形態にしたがって背板102に取り付けるために組み立てられた頭部固定装置100を示す。図1に示されるように、頭部固定装置100は、負傷者の頭部の両側に1つずつ配置される2つのヘッドブロック105および110を備えている(図11参照)。本発明の実施形態にしたがえば、ブロック105および110は、負傷者の頭部の両側で互いに交換できるように同形設計のものであることに注意されたい。したがって、ブロック105および110のいずれかに関する以下の説明および対応図面が他方に該当することもあるが、重複する説明が省略されていることもある点に注意されたい。
【0059】
ブロック105および110は、プランジャ形のロック120および125を押し下げることによって、負傷者の後頭部を支持するためのヘッドボード(またはベース)115に固着される。
【0060】
ロック部材120および125上の各レバーを押下することによってブロック105および110を解放して再調節または取り外すことができるが、これについては後で詳述する。ブロック110にリベット135で取り付けられているストラップ130を、負傷者の前頭部を横切って、着脱可能なファスナ140によってブロック105に連結し、およびブロック105にリベット150で取り付けられている対応ストラップ145を、頤部の下を横切って、着脱可能なファスナ155によってブロック110に連結することによって、更なる頭部動作抑制が達成される(図11参照)。本発明にしたがえば、負傷者の前頭部および頤部を横切って結合されるストラップ130と145を傾斜させてより広範囲の頭部サイズに対応できるように、リベット135と150およびファスナ140と155を回転可能としてもよいし、所定の角度で配置してもよい。また、ストラップ130および145に角度を与えることにより、その圧力が下顎骨関節に向けられ、それによって救急医療スタッフが負傷者の口を開けられるようにしつつ、不快を軽減する。<ブロック105と110は、また、両耳を含む負傷者の頭部両側に接近できるようにするための弓形の開口部157と158をそれぞれ備えている。この弓形の開口部は負傷者の頭部のX線透過性を高めるものでもあり、したがって負傷者の頭部を固定しつつ救急医療スタッフが負傷者の頭部のX線撮影することが可能となる。具体例としての実施形態では、ファスナ140と155はそれぞれストラップ130と145を固着するための面ファスナ構造テープ式のファスナであり、ブロック110と105に取り付けられている。ボタン、付加的なストラップ等など、どのようなファスナを使用してもよいことに注意されたい。
【0061】
快適さを保証するために、ブロック105と110の患者と触れる表面に発泡材パッド160が鋲留めされる。後頭部を緩衝するとともに滑らないようにするために、別の発泡材パッド170が両面テープでヘッドボード115に取り付けられる。パッド160、165および170は、ヒトの血液の色と異なる色の発泡材で作ることもできる。使用済みのパッド(160、165、または170)は、汚染除去および/または交換のために識別および取り外しを容易に行えることが有利である。
【0062】
図1に示されているように、ヘッドボード115は3本のストラップ175、180、185によって背板102に取り付けてもよい(図6、7、12も参照)。
【0063】
図2Aおよび2Bは、それぞれロック部材125と120を使ってヘッドボード115に取り付けられるブロック110と105を図示するものであり、負傷者頭部にフィットするようにブロック110と105を調整する3通りの方法を示す。例として、図2Bに示されているように、ブロック105は、ロック部材120をブロック105の溝穴210を介してヘッドボード115の溝穴205に係合させることによって、ヘッドボード115に取り付けられる。ブロック105は、溝穴205に沿って横方向に(ヘッドボード115の中心へ、および中心から)滑らせたり、溝穴210に沿って縦方向に滑らせたり、およびロック部材120のまわりでヘッドボード115に対して5°刻み(±10°の範囲)で回転させることができる。同様に、ブロック110は、図2Aに示されるように、発泡材パッド170の反対側で、ヘッドボード115の溝穴215およびブロック110の溝穴220に沿って同様の態様で作用し得る。よって、ブロック105およびブロック110は、ヘッドボード115の発泡材パッド170の両側に設けられたそれぞれの単一溝穴205および215内でそれぞれ滑ることができる。
【0064】
図3、4Aおよび4Bは、合い具合調節ステージおよびロッキングステージを可能とする、ロック部材120の2部構造を示す。図2に示されている構成であるとき、ロック部材120を合い具合調節ステージまで押し下げることによって、ブロック105がヘッドボード115に物理的に連結されるが、それでもまだ、ロック105を溝穴210に沿って縦方向および横方向に調節することも可能であるし、ロック部材120のまわりで回転式に調節することも可能である。ロック部材120をさらに押し下げることによって使用可能となるロッキングステージは、ブロック105を所定の位置に固定する。
【0065】
図5および図6Aと6Bは、ブロック105をヘッドボード115にロックするためにロック部材120と相互作用する、ブロック105およびヘッドボード115の部品をそれぞれ示す。
【0066】
図4Aと4Bおよび図6Aと6Bを参照すると、合い具合調節ステージはヘッドボード115の溝穴205にそれぞれ係合する、ロック部材120の下半分にある可撓性の2つの指部405と410と係合され、したがってブロック105を所定の位置に縦方向にロックする。合い具合調節ステージでは、ブロック105はまだロック部材120の周りで回転でき、ブロック105の溝穴210に沿って縦方向に滑ることができ、およびヘッドボード115の溝穴205に沿って横方向に滑ることができる。
【0067】
ここで、図3、5および6Bを参照すると、ロッキングステージはロック部材120上部の歯列305および310と係合されているが、各歯列はブロック105上のそれぞれの歯付きラック505および510にそれぞれロックされているので、ブロック105は縦方向移動および回転しないように固定される。可撓性の指部405および410をさらに曲げさせて、ヘッドボード115の溝穴205内のそれぞれの歯付きラック605および610に入れることによって横方向の動きも固定される。
【0068】
ロッキングステージでは、図5に示されるロック部材120の上部ロック部のロック解除レバー515を押して上昇させることによって、取外しまたは再調節(調節ステージ内)のためにブロック105をロック解除することができる。レバー515を押すことによって、レバーがロック部材120内のロッキングタブ615(図6B記載)から外れ、ロック部材120を持ち上げるだけで各歯セット305、310、405、410がそのそれぞれのラック505、510、605、610から外れ、よって図2Aおよび2Bに示されているように、ブロック105はヘッドボード115の表面に沿った3自由度の動きが可能となる。ロック解除状態では、ブロック105を引き上げることによってブロック105をヘッドボード115から外すこともできる。同様に、ブロック110の動作は上述のブロック105の動作と同じである。
【0069】
図7〜11は、前述の本発明の実施形態にしたがう頭部固定装置100を使用した患者の固定を段階的に示す。図7に示されているように、第1の工程はベースヘッドボード115を背板102の一端に取り付けることである。ヘッドボード115の片側に鋲留めされたストラップ175と180は、背板102の下を回って輪を形成し、反対側のクリップ705および710を介して再びヘッドボード115に固定される。
【0070】
背板102はヘッドボード115が所定の位置にある状態で、清掃が必要となるまでヘッドボード115を取り外す必要なく、簡単に保管できる。図8に示されているように、患者は、患者頭部が発泡材パッド170の中心に配置される態様で背板102の上に置かれる。その後、ブロック(105と110)およびロック部材(120と125)から成る各組立品は、ヘッドボード115の頭部両側に1つずつ配置される。次に、図9に示されるように、頭部の動きを制限し耳を弓形開口部157の中心に置くようにブロックの調節が行われる。ブロック(105)の望ましい位置が見つかったら、ユーザーは図10に示されるようにロック部材(120)を押し下げてブロック(105)を所定の位置に固定する。ロック部材(120)が完全に係合されたことをユーザーに知らせるために、可聴音および/または視覚的合図を提供することが好ましい場合もある。
【0071】
図11に示されているように、両ブロック(105と110)が患者頭部にぴったり固定された状態で、ループ材で形成された2つのヘッドストラップ(130と145)が頤部および前頭部を横切ってピンと張られ、固着材パッチ(140と155)が設けられた隣接するブロック(105と110)に固着される。この状態で、患者頭部はまったく動けない。
【0072】
図12は、本発明の実施形態にしたがう頭部固定装置100の分解図である。説明を分かりやすくするために、ブロック105およびロック部材120に対応しているという理解の元に、図12ではブロック110およびロック部材125が省力されている。図12に示されているように、ブロック105は、ロック部材120をブロック105の溝穴210を介してヘッドボード115の溝穴205に係合させることによって、ヘッドボード115に取り付けられる。
【0073】
図13A、13B、および13Cは、本発明の実施形態にしたがう、ヘッドブロック105(および110)の偏平な保管時姿勢(図13A)と直立した配備時姿勢(図13B)を示す。図13Aに示されるように、ヘッドブロック105は、ブロック105の上部1310を、図13Bに示される直立した配備時姿勢まで90°回転させることができるヒンジ部1305を備えている。
【0074】
図13Bの直立した配備時姿勢では、対応するスナップフック1315と1320およびスナップホール1325と1330が嵌め合わさって係合状態となり、ヘッドブロック105を図13Bの直立した配備時姿勢にロックする。
【0075】
スナップホール1325と1330へのスナップフック1315と1320の嵌め合わせ係合は、保管のためにブロック105を図13Aの偏平姿勢に戻すために外せることに注意されたい。
【0076】
再び図1を参照すると、ストラップ145、リベット150、および着脱可能なファスナ140が、ブロック110のストラップ130、リベット135、および着脱可能なファスナ155と同じ態様でブロック105上に配置されていることにも注意されたい。あるいは、図12、13Aおよび13Bに示されているように、ヘッドブロック105は、上述のストラップ130と145の同等物を受け入れるストラップブリッジ1205と1210を備えていてもよい。前述した通り、ブロック105と110は負傷者頭部の両側で交換することもできる。すなわち、本発明の実施形態にしたがえば、ヘッドブロック105と110は、左右ヘッドブロック間に違いのない、まったく同じものである。また、ブロック105と110を図13Aに示されるように偏平に形成し、図13Bに示されるように配備時に所定の位置に嵌め合わせてもよい。その結果、ヘッドブロック105と110の製造が簡素化される。図13Cは、ヘッドブロック105の上部1310を偏平な保管姿勢(図13Aと13Cに示される)から直立した配備姿勢(図13Bに示される)へ前述のように回転して係合するための、(図13Aに示されるスナップフック1315と1320およびスナップホー1325と1330と同様の態様で働く)着脱可能なスナップ嵌め構造1335および(図13Aに示されるヒンジ部1305に対応する)ヒンジ機構1340の別実施形態を示す。
【0077】
本発明の実施形態にしたがえば、ヘッドブロック105(および110)の上部1310は、弓形の開口部157(および図1に示された上述の158)を備え、断面が釣り鐘形で、先端に向かって薄くなる壁を有している。本発明にしたがう上部1310の形状により、患者の頸椎領域を最小限のアーチファクトでX線撮影することができ、また、弓形の開口部157(および図1に示される対応ヘッドブロックの開口部138)を通すことによってX線が妨げられないようすることができる。上部1310の釣り鐘形の断面の詳細およびX線アーチファクトの低減について、図19A、19Bおよび19Cを参照しながら以下に詳しく記載する。
【0078】
上述の通り、本発明の一実施形態にしたがえば、ブロック105と110は独立したベースヘッドボード115に取り付けられてロックされ、ベースヘッドボード115は、図1と図7に示されているように、ストラップ175、180および185を使って背板102に取り付けることができる。
【0079】
ストラップ170、180および185は、ヘッドブロック105をどのようなデザインまたは製造の背板(102)にも取り付けることができるような態様で配設されることが有利である。
【0080】
別の実施形態にしたがえば、ヘッドボード115の前述の特徴をそのまま背板102に組み入れてもよく、それによってヘッドブロック105と110を背板102に直接取り付けることもできる。図14は、ロック部材120およびロック部材125(図示せず)を使って背板1400に直接取り付けられたブロック105と110を示す。したがって、ベースヘッドボード115が除かれている。図15はブロック105と110が取り付けられていない状態の背板1400を示す。図15に示されているように、背板1400はそれぞれのヘッドブロックを係合するための単一の溝穴1405と1410を有する。これらの溝穴1405と1410はヘッドボード115の溝穴205および215の機能的同等物である。ブロック105は、ブロック105の溝穴210を介して背板1400の溝穴にロック部材120を係合させることによって、背板1400に取り付けることができる。ブロック105は、溝穴1405に沿って横方向に(ヘッドボード1400の中心へ、および中心から)滑らせたり、溝穴210に沿って縦方向に滑らせたり、およびロック部材120のまわりでヘッドボード115に対して5°刻み(±10°の範囲)で回転させることができる。同様に、ブロック110をスロット1410に沿って同様の態様で動かすことができる。よって、ブロック105およびブロック110は、背板1400の中心部の両側に設けられたそれぞれの単一溝穴1405および1410内でそれぞれ滑ることができる。本実施形態は、部品(ベースヘッドボード115)およびその付属品(ストラップ175、180、185)の総数を減らすことによって、所要収納空間を小さくし、X線の鮮明さおよび患者不動性を向上させた。
【0081】
ここまで説明した、ヘッドブロック(105と110)をベースヘッドボード(115または1400)に係合させるためのロック部材(120と125)は、歯車の歯同士の確実な噛み合いに基づくものである。(ロック部材の底部が、ヘッドブロックの溝穴を介してベースボードの溝穴に可動式に取り付けるための機構を備えている場合に)ロック部材(120と125)を使ってヘッドブロック(105と110)をベースボード(115または1400)に連結するとき、ヘッドブロックは、縦方向(バックボードの長軸に沿って)、横方向(ボードの中心線に向かって)、およびロック機構(120と125)のまわりの回転について調節できる。ユーザーは、ロック機構(120と125)を押し下げることによってこの3つの調節部品を所定の位置にロックできる。このロック工程により、2つのロック指部が曲げられてベースの歯列間の間隙に入り、ヘッドブロック(105と110)を横方向に所定の位置に保持する。
【0082】
このユーザーの行動は、ハンドル上の2組の歯をヘッドブロック(105と110)上の歯に噛み合わせ、ヘッドブロック(105と110)の縦方向移動および回転移動を効果的に阻止する。機械的な係合を利用するロック部材(120と125)は非常に強力で、湿潤環境、高温環境および低温環境においてもその機能を変わることなく実行する。
【0083】
別実施形態にしたがえば、摩擦によってヘッドブロック(105と110)を所定の位置にロックすることもできる。歯の干渉に依存して動きを制限するのではなく、歯の表面に対して垂直に働く十分な圧力を有する平坦な高摩擦面を使用して、その間の動きを無くすことも可能である。この代替ロック機構は、特にヘッドブロック(105と110)を横方向に動かないようにベースボード(115または1400)にロックするために使用してもよい。以下に詳述されるように、ユーザーがハンドルを押し下げると、歯を曲げて他の歯の間の空間に入れるのではなく、滑る可能性を排除するに十分な力で1つの平面が別の平面に押し付けられる。高摩擦の境界面を形成するように接触面を粗くしてもよいし、均質なグリップを保証するために合成ゴムまたは他のエラストマなどの圧縮可能材料を採用することもできる。微視的レベルでは、摩擦によるロックは、大きな歯付きラック装置に非常に似ている。すなわち、細密な「歯」が隣接する表面に噛み合うころによって動きを制限する。2つの技術の間の大きな違いは、接触面に垂直な大きな力の有無である。この別実施形態の場合、歯列が不要となるので部品の複雑さが大幅に緩和される。
【0084】
図16は、上述の摩擦を利用したロック機構の例示実施形態にしたがう、ヘッドブロック1600、連結ブロック1605および背板1610を示す。図16に示されているように、ヘッドブロック1600は、着脱可能な発泡材パッド1607(発泡材パッド160の同等物)と、テープ案内面1612および1613と、テープ受けホルダ1615と、カムロック1620と、連結ブロック1605を滑るように受け入れる切欠部1625とを備えている。テープ案内面1612の下にテープ繰り出し装置(図示せず)が配設される。本発明にしたがえば、連結ブロック1605をヘッドブロック1600に恒久的に取り付けてもよい。図16に詳しく記載されているように、ヘッドブロック1600は、連結ブロック1605を滑らせて背板1610の軌道1635に入れることによって背板1610に取り付けられる。ヘッドブロック1600は、カムロック1620を下げることによって背板1610上の所定の位置にロックされる前に、横方向(背板1610の中心へ、および中心から)、縦方向(ヘッドブロック1600を連結ブロック1605上で切欠部1625に沿って滑らせることによって)、および回転(連結ブロック1605のまわりで回転することによって5)について調節できる。ヘッドブロック1600は、耳を含む負傷者の側頭部に救急医療スタッフが接近できるようにするための弓形の開口部157の機能的同等物である、斜面1637も備えている。背板1610はヘッドパッド170と同様の着脱可能なヘッドパッド1640を備えている。図14と15に示される実施形態と同様に、ヘッドブロック1600が背板1610に直接取り付けられることに注意されたい。
【0085】
図17は、ヘッドブロック1600および対応ヘッドブロック1700を示す。ヘッドブロック1600および対応ヘッドブロック1700は、本発明の別実施形態にしたがって、ヘッドボード1705(ヘッドボード115と同様)を使って、負傷者の頭部を固定するように背板1610に取り付けられる。図17に示されているように、ヘッドブロック1700はテープ案内面1612の下の繰り出し装置と同様のテープ繰り出し装置1710を備える。ホルダ1615と同様のテープ受けホルダがヘッドブロック1700のテープ案内面1715の下に配設される。
【0086】
図17に示されているように、案内面1612の下の繰り出し装置からのテープ1720は患者前頭部を横切って延ばされ、ヘッドブロック1700の案内面1715の下の受けホルダに着脱可能に取り付けられる。同様に、繰り出し装置1710からのテープ1725は、患者頤部を横切って延ばされ、受けホルダ1615に着脱可能に取り付けられてもよい。したがって、テープ1720と1725は、ヘッドブロック1600と1700を患者の側頭部に合わせる働きをするが、これはストラップ130と145の働きと同様である。リベット135と150およびファスナ150と155と同様に、負傷者の前頭部および頤部を横切って結合されるストラップ1720と1725を傾斜させてより広範囲の頭部サイズに対応できるように、テープ繰り出し装置およびテープ受けを回転可能としてもよいし、所定の角度で配置してもよい。ブロック1600と1700に組み込まれたテープ1720と1725により、患者頭部のテープ掛けを簡単に行うことが可能となる。前述のように、ブロック1600を所定の位置にロックするためにカムロック1620が使用されるが、カムロック1620は、矢印1730の方向に持ち上げることによって外すことができる。図17に詳しく示されているように、ヘッドブロック1700の斜面1637および対応斜面1735により、救急医療スタッフが耳を含む患者の側頭部に接近できる。
【0087】
図18Aと18Bは、ヘッドブロック(105)をベース(115)上の所定の位置に保持するための、摩擦を利用したロック機構の別実施形態を示す。ロック機構120(図6Bに示される)と同様のロック機構のハンドル1805を押し下げることによって、ロック機構の内部ロック構造がロックセクション1810をベースヘッドボード115のベースの溝穴の壁1815に向かって広げ、ヘッドブロック105を所定の位置に保持する。図18Aと18Bに示される、摩擦を利用したロック機構は、図6Bに示されるロック機構120よりもずっと簡素であり、したがってそのための製造プロセスが簡素化される。
【0088】
前述のように、ヘッドブロック105と110は、X線のアーチファクトを最小限にするために釣り鐘形の断面を有し、先端に向かって薄くなる壁を備えていてもよい。X線のアーチファクトを最小限にすることについてさらに考察すると、ヘッドブロック105と110は、比較的X線透過性のある材料(および清掃可能な硬質の使い捨て材料)(例えば、非金属材料)で形成されることが好ましい。図19A、19B、19Cは、図13A、13B、13Cに示される(ヘッドブロック105と110の)上部1310のX線透過性の断面構造を示す。
【0089】
頭部を確実に動かないようにするために、ヘッドブロック105と110は、十分頑丈であるように形成されることが好ましい。しかし、X線源と撮像部(例えばX線フィルムまたはスライドなど)の間の被写体の急な密度(すなわち厚み)の変化によって、X線アーチファクトが引き起こされる。図19Aに示されているように、先細り状/羽根状の端部を備えた曲線形状(すなわち、釣り鐘形)では、U字形の溝部(垂直壁を備える)またはリブ付きといった他の固定形状よりも、X線アーチファクトがはるかに少なくなる。
【0090】
したがって、図19Bと19Cに示されるように、(ヘッドブロック105と110の)上部1310の断面は、先細り状/羽根状の端部を備えた曲線構成(すなわち、釣り鐘形)となっていて、リブや垂直壁を有しないことが好ましい。
【0091】
前述のように、負傷者の頭部、特に頸椎領域にX線が透過するように、(図1に示されているように)ヘッドブロック105と110の弓形の開口部157と158が設けられている。同様の理由から、ヘッドブロック105と110のすべてのファスナ(例えば、140と155)ならびに機構(例えば、120と125)が頸椎領域から離して配置されていることにも注意されたい。
【0092】
図20Aは、本発明の実施形態にしたがうヘッドブロック105の分解図である。図20Aに示されているように、パッド160の対応穴を介してリベット2005a、2005b、2005cならびにワッシャ2010a、2010b、2010cをヘッドブロック105に係合させることによって、パッド160をヘッドブロック105に着脱可能に取り付けることもできる。
【0093】
図20Bおよび20Cは、リベット2005a、2005b、2005cとワッシャ2010a、2010b、2010cを係合させる、パッド160上の穴2015a、2015b、2015cを示す図である。
【0094】
本発明の実施形態にしたがえば、ヘッドブロック110およびパッド165が同様の構造を備えていてもよい。これに関する説明は繰り返さない。図1を参照して前述したように、パッド160と165は、ブロック105と110の患者と触れる表面に鋲留めされる。後頭部を緩衝するとともに滑らないようにするために、別の発泡材パッド170がヘッドボード115に取り付けられてもよい。
【0095】
図20Dは、本発明の実施形態にしたがう追加パッド170の形状を示す図である。パッド160、165、170は、ヒトの血液の色と異なる色の発泡材で作ってもよく、それぞれヘッドブロック105、110およびヘッドボード115に着脱可能に鋲留めまたは取り付けられる。パッド160,165、170は、面ファスナ構造テープ式のファスナ、両面接着性ファスナ等によって、ヘッドブロック105と110およびヘッドボード115に固着されてもよい。ボタン、付加的なストラップ等など、どのようなファスナを使用してもよいことに注意されたい。患者との接触で汚れた場合、使用済みのパッド(160、165、または170)は、簡単に識別でき、汚染除去および/または交換のために、ヘッドブロック105と110およびヘッドボード115の全体を交換する必要なく簡単に取り外せることが有利である。
【0096】
図1を参照しながら詳述したように、ブロック110にリベット135で取り付けることができるストラップ130を、負傷者の前頭部を横切って、着脱可能なファスナ140によってブロック105に連結し、およびブロック105にリベット150で取り付けられている対応ストラップ145を、頤部の下を横切って、着脱可能なファスナ155によってブロック110に連結することによって、更なる頭部動作抑制が達成される(図11参照)。本発明にしたがえば、負傷者の前頭部および頤部を横切って連結されるストラップ130と145を傾斜させてより広範囲の頭部サイズに対応できるように、リベット135と150および固着具140と155を回転可能としてもよいし、所定の角度で配置してもよい。再び図20Aを参照すると、リベット135をファスナ140と同様のファスナに置き換えることもできる。同様に、リベット150(図1)をファスナ(図1)と同様のファスナ(図示せず)と置き換えることもできる。
【0097】
本発明の実施形態にしたがえば、ファスナ140,155、2020はそれぞれストラップ130と145を固着するため面ファスナ構造テープ式のファスナであり、ブロック110と105に取り付けられている。あるいは、面ファスナをブロックに対して着脱可能したり、嵌めたり外したりできるようにブロックに形成することも可能である。ボタン、両面接着式ファスナなど、どのようなファスナを使用してもよいことに注意されたい。
【0098】
使用済みのストラップ(130、145)またはファスナ(140、155、2020)は、汚染除去および/または交換のために、ヘッドブロック105と110およびヘッドボード115の全体を交換する必要なく取り外せることが有利である。
【0099】
本発明の実施形態にしたがえば、動かないようにすべき患者の身体部位に触れる、ストラップ(130と145)、ファスナ(140、155、2020)およびパッド(160、165、170)を含むあらゆる構成部品を簡単に取り外し、汚染除去し、および/または交換することができる。これらの構成部品は、交換可能部品キットとして包装して販売してもよい。例えば、キットは、2つのブロックパッド、2つのヘッドストラップ、および1つのベースパッドから構成してもよい。その結果、ヘッドブロック105と110およびヘッドボード115(または図14に示されているような背板1400)は、接触する構成部品を交換するだけですぐに再使用できる。また、それぞれの接触する構成部品が汚れたからといって、ヘッドブロック105と110およびヘッドボード115(または図14に示されているような背板1400)を交換する必要がないため、ヘッドブロック105と110およびヘッドボード115(または図14に示されているような背板1400)の態様寿命が長くなる。したがって、頭部固定システムのパッドおよびストラップ交換キットにより、耐用性部品(ヘッドブロック105と110およびヘッドボード115など)が無限に再使用できるようになり、それによって清掃費が減少し、病原体にさらされる機会が最小限となる。
【0100】
このような交換可能部品キットにより、耐久性部品(すなわち、頭部固定具)なしで全部を捨てる使い捨て部品を備える場合と比較して材料の無駄を減少させることもできる。耐久性部品は、基本的に再使用可能であるがひどく汚れた場合に処分できるように十分に低価格とすることができる成形プラスチック材料で作ることもできる。
【0101】
ここで図21を参照すると、本発明の実施形態にしたがう交換可能部品は、(首を安定させる)頸椎カラーと一緒に使用することもできる。このカラーは、ネックバンド2110、下顎骨支持部2160、およびクッション2180を備えている。
【0102】
クッション2180は、装着者の快適さを向上させるために前述の部品に取り付けられている。クッション2180は、頸部用発泡材2180という部品と、頤部用発泡材2189という第2の部品で構成されている。頸部用発泡材2180は、頸部用発泡材2180が取り付けられるネックバンド2110とほぼ同じ形状を有しているが、ネックバンド2110の上下の縁から幾分かはみ出すような大きさに作られている。この発泡材は、この目的のために用意された複数のスナップ、リベット、または他の取付構造物によって取り付けられ、ネックバンドおよび下顎骨支持部へ恒久的または交換可能に取り付けることができる。示される実施形態では、リベットを介したネックパッドの取付けを容易にするために、ネックバンド2110に一連のファスナホールが設けられている。同様に、頤部用発泡材2189は、頤部ピース2130の上に重なって緩衝するように構成されている。図21に示されているように、頸部用発泡材2182は、頸部用発泡材2182の対応溝穴を介して、リベット2190a、2190b、2190c、2190d、2190eおよびスペーサ2191a、2191b、2191c、2191d、2191eをネックバンド2110に係合させることによって、ネックバンド2110に取り付けることもできる。同様に、頤部用発泡材2189は、頤部用発泡材2189の対応する溝穴を介して、スペーサ2192a、2192b、2192cおよびリベット2193a、2193b、2193cを頤部ピース2130に係合させることによって、頤部ピース2160に着脱可能に取り付けることもできる。
【0103】
ネックバンド2110は、それに限定するものではないが、高密度および低密度のポリエチレン、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリプロピレン等をはじめとする、さまざまな硬質可撓性プラスチックで形成できる。クッション、ストラップおよびストリップは、それに限定するものではないが、スナップファスナ、ステープル、接着剤をはじめとする適切な固着手段によってカラーに接合できる。首を囲む形態にカラーを保持するのに好ましい手段として面ファスナ式の固着材が使用されているが、同じ機能を実行するために、ストラップ、バックル、スナップ、ファスナ、コード、タブ付きストリップ、または本質的に非伸縮性で係止手段を備えたいずれかの材料など、他の手段も使用できる。
【0104】
頚椎カラーは、米国特許第5795315号明細書、米国特許第6090058号明細書、および米国意匠特許発明第393718号明細書に詳しく記載されており、文献引用によってその内容を本願明細書中の記載したものとする。
【0105】
図22は、本発明の別の実施形態にしたがう頚椎カラーを示す。カラーは、例えば、高密度および低密度のポリエチレン、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリプロピレン等、さまざまなプラスチックをはじめとする硬質の可撓性シート材で形成された細長いバンド2210を含む。発泡材ストリップ2221は、例えばスナップファスナおよび/またはステープルなどの適切な固着手段によって、バンド2210の下縁部2224に固定されることが好ましい。セメントまたは他の接着手段を使用することもできる。発泡材ストリップ2221は、示されるように、支持物2218の内面を覆う発泡材パッド2253を備えていることが好ましい。これにより、患者に更なる快適さが提供される。取付けバンド2234は発泡材パッド2253の短い部分2219の上に重なっている。本発明の実施形態にしたがえば、付属バンド2234ならびに発泡材ストリップ2221および/または発泡材パッド2253は、付属バンド2234ならびに発泡材ストリップ2221および/または発泡材パッド2253の対応溝穴を介して、リベット2225a、2225b、2225c、2225d、2225e、2225fおよび対応スペーサ(図示せず)をネックバンド2210に係合させることによって、ネックバンド2210に着脱可能に取り付けることができる。あるいは、ネックバンド2210をリベットに固定するかわりに、発泡材ストリップ2221および/または発泡材パッド2253をネックバンド2210に着脱可能に取り付けるために、フック(図示せず)をネックバンド2210の両端に設けることもできる。同様に、頤部支持補強材2250の内面全体に緩衝用パッド(発泡材)を入れることもできる。使用されるパッドは、ポリエチレンおよびポリウレタン等の発泡プラスチックとすることができる。患者を最大限に緩衝するために、発泡材ストリップは、示されているように、下縁部2224から僅かな長さ突出していることが最も好ましい。頤部支持補強材2250は、末端の穴2254および2256と中心の穴2251を有する略C字形のプレート2252である。穴2251、2254、2256および緩衝パッド内の対応穴を介して、リベット2255A、2255B、2255Cと対応ワッシャ(図示せず)を係合させることによって、緩衝パッド(発泡材)を頤部支持補強材(C字形プレート2252)に着脱可能に取り付けることもできる。図22の頚椎カラーの他の特徴は、米国特許第4413619号明細書および米国再発行特許第32,219号明細書に詳しく記載されており、文献引用によってその内容を本願明細書中の記載したものとする。
【0106】
このように、頚椎カラー(例えば、ネックバンド2110またはネックバンド2210)のパッドおよびストラップ交換キットにより耐久性部品を無限に再使用することが可能となり、それによって費用および病原体にさらされる機会が最小限となる。そのような交換可能部品キットにより、耐久性部品なしで全部が使い捨て部品である場合と比較して、材料の無駄を減少させることもできる。
【0107】
したがって、以上の説明から明らかになるであろうものの中で、とりわけ前述の目的が効果的に達成されることが分かるであろう。また、上記方法を実施する際および上記構造に対して、本発明の精神および範囲から逸脱せずに何らかの変更を施すことができるので、上記説明に含まれる事項および添付図面に含まれる事項はいずれも、例示のためのものと解釈されるべきであり、限定的な意味で解釈されるべきではない。例えば、記載されている実施形態は、負傷者の頭部を固定するために適用されているが、膝、骨盤等といった負傷者の他の身体部位を固定するために本発明を適用することもできる。
【0108】
また、添付されている請求の範囲は、本願明細書に記載されている本発明のすべての包括的および特定的特徴と、言語にかかわる問題として、その間にあると言われる本発明の範囲内のすべての記載を網羅するものと理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の実施形態にしたがって背板に取り付けるために組み立てられた頭部固定装置を示す。
【図2A】頭部固定装置のヘッドブロックをベース部に取り付ける状態を示す図である。
【図2B】本発明の実施形態にしたがってヘッドブロックをロックする前に調節する3通りの方法を示す図である。
【図3】本発明の実施形態にしたがう頭部固定装置のヘッドブロックを取り付けるロック装置を示す図である。
【図4A】本発明の実施形態にしたがう頭部固定装置のヘッドブロックを取り付けるためのロック装置の下側を示す図である。
【図4B】本発明の実施形態にしたがうロック装置とヘッドブロックの図である。
【図5】本発明の実施形態にしたがう頭部固定装置の、ロック装置とヘッドブロックの間の相互作用を示す図である。
【図6A】本発明の実施形態にしたがって背板に取り付ける頭部固定装置のベース部を示す図である。
【図6B】本発明の実施形態にしたがう頭部固定装置の、ロック装置とヘッドブロックの間の相互作用を示す図である。
【図7】本発明の実施形態にしたがって、背板に載せられた負傷者に頭部固定装置を適用する工程を示す図である。
【図8】本発明の実施形態にしたがって、背板に載せられた負傷者に頭部固定装置を適用する別の工程を示す図である。
【図9】本発明の実施形態にしたがって、背板に載せられた負傷者に頭部固定装置を適用する別の工程を示す図である。
【図10】本発明の実施形態にしたがって、背板に載せられた負傷者に頭部固定装置を適用する別の工程を示す図である。
【図11】本発明の実施形態にしたがって、背板に載せられた負傷者に頭部固定装置を適用する別の工程を示す図である。
【図12】本発明の実施形態にしたがって背板に取り付けられる頭部固定装置の図である。
【図13A】本発明の実施形態にしたがう頭部固定装置のヘッドブロックの保管時姿勢を示す図である。
【図13B】本発明の実施形態にしたがう頭部固定装置のヘッドブロックの配備時姿勢を示す図である。
【図13C】本発明の別の実施形態にしたがう頭部固定装置のヘッドブロックの保管時姿勢を示す図である。
【図14】本発明の実施形態にしたがって背板に取り付けられた、組み立てられた頭部固定装置を示す図である。
【図15】本発明の実施形態にしたがう図14の背板の頭部固定具の取付部を示す図である。
【図16】本発明の実施形態にしたがう、取付手段を使用した背板へのヘッドブロックの取付けを示す図である。
【図17】本発明の一実施形態にしたがって、背板に載せられた負傷者に対する頭部固定装置の適用を示す図である。
【図18A】本発明の実施形態にしたがう、取付手段を使用した背板へのヘッドブロックの取付けを示す断面図である。
【図18B】本発明の実施形態にしたがう、取付手段を使用した背板へのヘッドブロックの取付けを示す断面図である
【図19A】本発明の実施形態にしたがうヘッドブロックのX線透過構造を示す図である。
【図19B】本発明の実施形態にしたがうヘッドブロックのX線透過構造を示す図である。
【図19C】本発明の実施形態にしたがうヘッドブロックのX線透過構造を示す図である。
【図20A】本発明の実施形態にしたがう頭部固定装置の交換可能部品を示す図である。
【図20B】本発明の実施形態にしたがう頭部固定装置の交換可能部品を示す図である。
【図20C】本発明の実施形態にしたがう頭部固定装置の交換可能部品を示す図である。
【図20D】本発明の実施形態にしたがう頭部固定装置の交換可能部品を示す図である。
【図21】本発明の原理にしたがって組み立てられた、マルチサイズすなわちマルチポジション式の頸椎カラーの実施形態を、カラーの内側から見た図である。
【図22】組み立てられていない偏平な姿勢の、本発明の一実施形態にしたがう頸椎カラーを示す図である。
【符号の説明】
【0110】
100 頭部不動化装置
102 背板
105、110 ヘッドブロック
115 ヘッドボード
120、125 ロック部材
130、145 ストラップ
135、150 リベット
140、155 ファスナ
145、175、180、185 ストラップ
160、165、170 パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個別位置係合手段を有する、身体部位の少なくとも片側を固定するための1つまたはそれより多くのサイドブロックと、
調節可能な係合手段を有する、前記1つまたはそれより多くのサイドブロックを取り付けるベースと、
前記調節可能な係合手段および前記個別位置係合手段を係合させることによって、前記1つまたはそれより多くのサイドブロックのそれぞれを前記ベースに調節可能に取り付ける個別取付手段と
を備える身体部位不動化装置であって、
前記1つまたはそれより多くのサイドブロックが、前記サイドブロックに着脱可能に取り付けられる、前記身体部位と接触する身体部位接触手段を備え、
前記1つまたはそれより多くのサイドブロックは、前記個別取付手段を前記個別位置係合手段および前記調節可能な係合手段に沿って動かすことによって、前記ベース上で横方向および縦方向に調節でき、
前記1つまたはそれより多くのサイドブロックは、前記1つまたはそれより多くのサイドブロックを前記個別取付手段のまわりで回転させることによって回転式に調節できる
ことを特徴とする身体部位不動化装置。
【請求項2】
前記身体部位接触手段が発泡材パッドを含むことを特徴とする請求項1に記載の身体部位不動化装置。
【請求項3】
前記身体部位接触手段が面ファスナ式のファスナを含むことを特徴とする請求項1に記載の身体部位不動化装置。
【請求項4】
前記の身体部位接触手段の形状は、前記身体部位接触手段が着脱可能に取り付けられる前記サイドブロックの合わせ面の形状とほぼ一致していることを特徴とする請求項1に記載の身体部位不動化装置。
【請求項5】
前記身体部位接触手段の色が、前記身体部位接触手段が着脱可能に取り付けられる前記サイドブロックの色と異なることを特徴とする請求項1に記載の身体部位不動化装置。
【請求項6】
前記身体部位接触手段が、両面接着式ファスナによって、対応する前記サイドブロックに着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の身体部位不動化装置。
【請求項7】
前記身体部位接触手段を交換可能とし、対応する前記サイドブロックを再使用できるようにすることを特徴とする請求項1に記載の身体部位不動化装置。
【請求項8】
前記1つまたはそれより多くのサイドブロックが、前記サイドブロックに着脱可能に取り付けられるストラップ固着手段であって、身体部位を横切って延びる拘束ストラップを着脱可能に固着するストラップ固着手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の身体部位不動化装置。
【請求項9】
前記ストラップ固着手段は、延ばされた前記ストラップの表面を特定角度に調節できるように回転可能であることを特徴とする請求項8に記載の身体部位不動化装置。
【請求項10】
前記ストラップ固着手段が面ファスナ式のファスナを含むことを特徴とする請求項8に記載の身体部位不動化装置。
【請求項11】
前記ストラップ固着手段は、延ばされた前記ストラップの表面が特定角度となるように、前記特定角度に配置されることを特徴とする請求項8に記載の身体部位不動化装置。
【請求項12】
前記身体部位接触手段および前記ストラップが、簡単に取外し、汚染除去および交換できることを特徴とする請求項8に記載の身体部位不動化装置。
【請求項13】
前記身体部位接触手段は、前記身体部位接触手段の対応開口部を通して固着手段を延ばし、対応する前記サイドブロックを係合することによって、対応する前記ブロックに着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の身体部位不動化装置。
【請求項14】
個別位置係合手段を有する、身体部位の少なくとも片側を固定するための1つまたはそれより多くのサイドブロックと、
調節可能な係合手段を有する、前記1つまたはそれより多くのサイドブロックを取り付けるベースと、
前記調節可能な係合手段および前記個別位置係合手段を係合させることによって、前記1つまたはそれより多くのサイドブロックのそれぞれを前記ベースに調節可能に取り付ける個別取付手段と
を備える身体部位不動化装置であって、
前記ベースが、前記ベースに着脱可能に取り付けられる、前記身体部位と接触する身体部位接触手段を備え、
前記1つまたはそれより多くのサイドブロックは、前記個別取付手段を前記個別位置係合手段および前記調節可能な係合手段に沿って動かすことによって、前記ベース上で横方向および縦方向に調節でき、
前記1つまたはそれより多くのサイドブロックは、前記1つまたはそれより多くサイドブロックを前記個別取付手段のまわりで回転させることによって回転式に調節できる
ことを特徴とする身体部位不動化装置。
【請求項15】
前記身体部位接触手段が、前記ベースに着脱可能に取り付けられる発泡材パッドを含むことを特徴とする請求項14に記載の身体部位不動化装置。
【請求項16】
前記身体部位接触手段が面ファスナ式のファスナを含むことを特徴とする請求項14に記載の身体部位不動化装置。
【請求項17】
個別位置係合手段を有する、身体部位の少なくとも片側を固定するための1つまたはそれより多くのサイドブロックと、
調節可能な係合手段を有する、前記1つまたはそれより多くのサイドブロックを取り付けるベースと、
前記調節可能な係合手段および前記個別位置係合手段を係合させることによって、前記1つまたはそれより多くのサイドブロックのそれぞれを前記ベースに調節可能に取り付ける個別取付手段と、
を備える身体部位不動化装置であって、
前記1つまたはそれより多くサイドブロックが、前記サイドブロックに着脱可能に取り付けられるストラップ固着手段であって、身体部位を横切って延ばされるストラップを固着するストラップ固着手段を備え、
前記1つまたはそれより多くのサイドブロックは、前記個別取付手段を前記個別位置係合手段および前記調節可能な係合手段に沿って動かすことによって、前記ベース上で横方向および縦方向に調節でき、
前記1つまたはそれより多くのサイドブロックは、前記1つまたはそれより多くサイドブロックを前記個別取付手段のまわりで回転させることによって回転式に調節できる
ことを特徴とする身体部位不動化装置。
【請求項18】
前記ストラップ固着手段は、延ばされた前記ストラップの表面を特定角度に調節できるように回転可能であることを特徴とする請求項17に記載の身体部位不動化装置。
【請求項19】
前記ストラップ固着手段が面ファスナ式のファスナを含むことを特徴とする請求項17に記載の身体部位不動化装置。
【請求項20】
前記ストラップ固着手段は、延ばされた前記ストラップの表面が特定角度となるように、前記特定角度に配置されることを特徴とする請求項17に記載の身体部位不動化装置。
【請求項21】
身体部位を動かないようにする身体部位不動化装置を形成するためにベースに取り付けることができるサイドブロックであって、
サイドブロックに着脱可能に取り付けられる第1のストラップ固着手段であって、前記身体部位を横切って延ばすことができるストラップを、前記ベースに取り付けられた対応サイドブロックに固着する第1のストラップ固着手段と、
前記サイドブロックに着脱可能に取り付けられる第2のストラップ固着手段であって、前記対応サイドブロックから前記身体部位を横切って延ばされる対応ストラップを固着する第2のストラップ固着手段と
を備え、
前記第1のストラップ固着手段は、前記延ばされたストラップの表面を特定角度に調節できるように回転可能であり、
前記第2のストラップ固着手段は、前記対応ストラップの表面を、前記身体部位に合わせるための前記特定角度に対応する角度に調節できるように、調節可能であることを特徴とするサイドブロック。
【請求項22】
前記第1および第2のストラップ固着手段が面ファスナ式のファスナを含むことを特徴とする請求項21に記載のサイドブロック。
【請求項23】
個別位置係合手段を有する、身体部位の少なくとも片側を固定するための1つまたはそれより多くのサイドブロックと、
その一部分で少なくとも身体部位を支持する、調節可能な係合手段を有する背板と、
前記調節可能な係合手段および前記個別位置係合手段を係合させることによって、前記1つまたはそれより多くのサイドブロックを前記背板に調節可能に取り付ける個別取付手段と
を備える身体部位不動化装置であって、
前記1つまたはそれより多くのサイドブロックが、前記サイドブロックに着脱可能に取り付けられる、前記身体部位と接触する身体部位接触手段を備え、
前記1つまたはそれより多くのサイドブロックは、前記個別取付手段を前記個別位置係合手段および前記調節可能な係合手段に沿って動かすことによって、前記背板上で横方向および縦方向に調節でき、
前記1つまたはそれより多くのサイドブロックは、前記個別取付手段のまわりで回転させることによって回転式に調節できる
ことを特徴とする身体部位不動化装置。
【請求項24】
個別位置係合手段を有する、身体部位の少なくとも片側を固定するための1つまたはそれより多くのサイドブロックと、
その一部分で少なくとも身体部位を支持する、調節可能な係合手段を有する背板と、
前記調節可能な係合手段および前記個別位置係合手段を係合させることによって、前記1つまたはそれより多くのサイドブロックを前記背板に調節可能に取り付ける個別取付手段と
を備える身体部位不動化装置であって、
前記背板が、前記背板に着脱可能に取り付けられる、前記身体部位と接触する身体部位接触手段を備え、
前記1つまたはそれより多くのサイドブロックは、前記個別取付手段を前記個別位置係合手段および前記調節可能な係合手段に沿って動かすことによって、前記背板上で横方向および縦方向に調節でき、
前記1つまたはそれより多くのサイドブロックは、前記個別取付手段のまわりで回転させることによって回転式に調節できる
ことを特徴とする身体部位不動化装置。
【請求項25】
それぞれが細長い個別溝穴を有する、身体部位の少なくとも片側を固定するための1つまたはそれより多くのサイドブロックと、
前記少なくとも1つまたはそれより多くのサイドブロックに対応する少なくとも1つの細長い軌道を備える、前記1つまたはそれより多くサイドブロックを取り付けるベースと、
前記細長い個別溝穴と前記少なくとも1つの細長い軌道を係合させることによって、前記1つまたはそれより多くのサイドブロックのそれぞれを前記ベースに調節可能に取り付ける個別ロック部材と、
を備える身体部位不動化装置であって、
前記1つまたはそれより多くのサイドブロックのそれぞれが、前記サイドブロックに着脱可能に取り付けられる、前記身体部位と接触する接触パッドを備え、
前記1つまたはそれより多くのサイドブロックは、前記個別ロック部材を前記細長い個別溝穴および前記少なくとも1つの細長い軌道に沿って動かすことによって、前記ベース上で横方向および縦方向に調節でき、
前記1つまたはそれより多くのサイドブロックは、前記1つまたはそれより多くサイドブロックを前記個別ロック部材のまわりで回転させることによって回転式に調節できる
ことを特徴とする身体部位不動化装置。
【請求項26】
身体部位の少なくとも片側を固定する1つまたはそれより多くサイドブロックと、前記1つまたはそれより多くサイドブロックを取り付けるベースとを備える身体部位不動化装置用のキットであって、
前記1つまたはそれより多くサイドブロックに着脱可能に取り付けられる、前記身体部位と接触する第1の身体部位接触手段と、
前記ベースに着脱可能に取り付けられる、身体部位と接触する第2の身体部位接触手段と、
前記第1および第2のサイドブロックに着脱可能に取り付けられる、身体部位を横切って延びるストラップを固定するストラップ固着手段と
を含むキット。
【請求項27】
前記第1および第2の身体部位接触手段が発泡材パッドを含むことを特徴とする請求項26に記載のキット。
【請求項28】
前記第1および第2の身体部位接触手段が面ファスナを含むことを特徴とする請求項26に記載のキット。
【請求項29】
前記第1の身体部位接触手段が両面接着性ファスナを含むことを特徴とする請求項26に記載のキット。
【請求項30】
前記第1の身体部位接触手段の形状は、前記身体部位接触手段が着脱可能に取り付けられる前記サイドブロックの合わせ面の形状とほぼ一致していることを特徴とする請求項26に記載のキット。
【請求項31】
前記第1および第2の身体部位接触手段の色が、前記第1および第2の身体接触手段が着脱可能に取り付けられるべき前記サイドブロックの色と異なることを特徴とする請求項26に記載のキット。
【請求項32】
前記第1および第2の身体部位接触手段を前記1つまたはそれより多くのサイドブロックに着脱可能に取り付ける第1および第2の固着手段をさらに備えることを特徴とする請求項26に記載のキット。
【請求項33】
身体部位を拘束する拘束手段と、
前記身体部位に接触させるために前記拘束手段に着脱可能に取り付けられる身体部位接触手段と
を備えることを特徴とする身体部位不動化装置。
【請求項34】
患者の頸部を支持するためのネックバンドと、
前記患者の頤部を支持するための頤部ピースを備える、患者の下顎骨を支持するための下顎骨支持部と、
前記患者の頸部および頤部に接触させるために前記ネックバンドおよび前記頤部ピースにそれぞれ着脱可能に取り付けられる第1および第2の身体部位接触手段と
を備えることを特徴とする身体部位不動化装置。
【請求項35】
前記第1の身体部位接触手段の形状が前記ネックバンドの形状とほぼ同じであることを特徴とする請求項34に記載の身体部位不動化装置。
【請求項36】
前記第1の身体部位接触手段が第1の固着手段によって前記ネックバンドに着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項34に記載の身体部位不動化装置。
【請求項37】
前記第2の身体部位接触手段が前記頤部ピースの一部分を覆うことを特徴とする請求項34に記載の身体部位不動化装置。
【請求項38】
前記第1および第2の身体部位接触手段が発泡材のパッドであることを特徴とする請求項34に記載の身体部位不動化装置。
【請求項39】
前記第2の身体部位接触手段が第2の固着手段によって前記頤部ピースに着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項34に記載の身体部位不動化装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【図20D】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2007−508853(P2007−508853A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521140(P2006−521140)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/022891
【国際公開番号】WO2005/007028
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(506020403)レアダル メディカル コーポレイション (1)
【氏名又は名称原語表記】LAERDAL MEDICAL CORPORATION
【Fターム(参考)】