説明

頭髪用化粧料

【課題】良好なセット力を有し、べたつきのない頭髪用化粧料の提供。
【解決手段】(A1)下記式(I)で表わされるシリコーンワックスおよび(A2)下記式(II)で表わされるシリコーンワックスからなる群から選ばれる少なくとも1種のシリコーンワックス、(B)シリコーン非含有ワックスおよび(C)水を含有する。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭髪用化粧料に関する。詳しくは、良好なセット力を有しながら、べたつきを生じない頭髪用化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、頭髪用化粧料、特にヘアワックス剤には、良好なセット力を得るために、動植物性ワックス、炭化水素ワックス等の固形ワックス成分が多量に含まれており、べたつきの問題が生じていた。
【0003】
そこで、従来の固形ワックス成分に、シリコーンワックスと液状油を併せて用い、べたつきを低減したヘアワックスが知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、多量の液状油を使用するために、セット力が弱くなってしまっていた。また、本質的に水を含まないため、油性成分がその組成の大半を占めてしまい、手で伸ばして頭髪に塗布する際の伸びが好ましくない上、形成されたヘアスタイルに油性感が強く出てしまっていた。
【0004】
シリコーンワックスの用例としては、特許文献1には、ステアリルメチルジメチルシロキサンが用いられているが、しっとりとしたワックスであるため、他のワックス成分の効果を弱めることになり、セット力が弱かった。
【0005】
また、水分散性シリコーンワックスを低級アルコール、水および皮膜形成性ポリマーと併せてヘアスプレーとした例が知られている(例えば、特許文献2参照)。しかし、水性成分を多量に含むため、ヘアワックスのような強いセット力は得られなかった。
【0006】
また、アルキル変性シリコーンワックスとアルキル変性シリコーン油とを組み合わせて、高温安定性があり、さっぱりとした感触のメーキャップ化粧料とした例が知られている(例えば、特許文献3参照)。しかし、当該ワックスを、頭髪用化粧料におけるセット向上のために用いた例は知られていない。
【特許文献1】特開2005−213252号公報
【特許文献2】特開平8−34712号公報
【特許文献3】特許第3603157号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、良好なセット力を有し、べたつきのない頭髪用化粧料を提供することを目的とする。また、うるおい、ツヤを与え、ヘアスタイル持続性およびハンドリング性に優れる頭髪用化粧料を提供することを目的とする。さらに、強いセット力を有する頭髪用化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、特定の構造のシリコーンワックス、シリコーン非含有ワックスおよび特定の割合の水を含む頭髪用化粧料は、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、たとえば以下の[1]〜[10]である。
[1]シリコーンワックス(A)、シリコーン非含有ワックス(B)および水(C)を含有する頭髪用化粧料であって、
前記シリコーンワックス(A)が、下記式(I)で表わされる化合物(A1)および下
記式(II)で表わされる(A2)からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
前記水(C)が、頭髪用化粧料100重量%に対し、30〜55重量%の範囲で含まれることを特徴とする頭髪用化粧料。
【0010】
【化1】

(式中、lおよびmは同一であっても、異なっていてもよく、それぞれ10〜25の整数を示す。)
【0011】
【化2】

(式中、Rは炭素数20〜50の直鎖または分岐のアルキル基を示し、nは3〜50の整数を示す。)
[2]さらに、液状油(D)を含有することを特徴とする[1]に記載の頭髪用化粧料。[3]さらに、テオブロマグランジフロルム種子脂(E)を含有することを特徴とする[1]または[2]に記載の頭髪用化粧料。
[4]さらに、ノニオンポリマー(F)を含有することを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の頭髪用化粧料。
[5]前記シリコーンワックス(A)が、頭髪用化粧料100重量%に対して、0.1〜3重量%の範囲で含まれることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の頭髪用化粧料。
[6]前記シリコーン非含有ワックス(B)が、頭髪用化粧料100重量%に対して、3〜45重量%の範囲で含まれることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の頭髪用化粧料。
[7]前記液状油(D)が、頭髪用化粧料100重量%に対して、3〜45重量%の範囲で含まれることを特徴とする[2]〜[6]のいずれかに記載の頭髪用化粧料。
[8]前記テオブロマグランジフロルム種子脂(E)が、頭髪用化粧料100重量%に対して、0.5〜5重量%の範囲で含まれることを特徴とする[3]〜[7]のいずれかに記載の頭髪用化粧料。
[9]前記ノニオンポリマー(F)が、頭髪用化粧料100重量%に対して、0.1〜15重量%の範囲で含まれることを特徴とする[4]〜[8]のいずれかに記載の頭髪用化粧料。
[10]ヘアワックスである[1]〜[9]のいずれかに記載の頭髪用化粧料。
【発明の効果】
【0012】
本発明の頭髪用化粧料は、良好なセット力を有し、かつ、べたつきを生じない。また、塗布した頭髪にうるおい、ツヤを与える。そして形成したヘアスタイルを持続させ、ハンドリング性もよい。さらに、強いセット力を有することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の頭髪用化粧料は、 シリコーンワックス(A)、シリコーン非含有ワックス(B)および水(C)を含有する頭髪用化粧料であって、
前記シリコーンワックス(A)が、下記式(I)で表わされる化合物(A1)および下記式(II)で表わされる(A2)からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
前記水(C)が、頭髪用化粧料100重量%に対し、30〜55重量%の範囲で含まれることを特徴とする。
【0014】
【化3】

(式中、lおよびmは同一であっても、異なっていてもよく、それぞれ10〜25の整数を示す。)
【0015】
【化4】

(式中、Rは炭素数20〜50の直鎖または分岐のアルキル基を示し、nは3〜50の整数を示す。)
【0016】
(A)シリコーンワックス
本発明のシリコーンワックス(A)は、上記式(I)で表わされる化合物(A1)(以下シリコーンワックス(A1)ともいう)および上記式(II)で表わされる化合物(A2)(以下シリコーンワックス(A2)ともいう)からなる群より選ばれる少なくとも1種である。これらのワックスは、室温で、ペースト状から固体状である。
【0017】
シリコーンワックス(A1)およびシリコーンワックス(A2)のいずれも、セット力に優れるため、他のワックス成分の配合量を低減する。またさっぱりとした感触であるとともに、他のワックス成分等のべたつきを低減する。さらに,シリコーンワックス(A1)は、水との親和性がよいため、洗い落ちがよい。また水分散性に優れ、頭髪用化粧料に水を用いた際に化粧料全体に均一に分散する。そして、融点が30℃と低いため、手の平で伸びやすく、お湯での洗い落ちがよい。シリコーンワックス(A2)は、アルキル鎖を有するので、他のワックス成分に用いられる炭化水素やポリオルガノシロキサンとの親和性がよい。
【0018】
上記式(I)において、lおよびmは同一であっても、異なっていてもよく、それぞれ10〜25の整数、好ましくは10〜20の整数、より好ましくは15〜20の整数である。lおよびmが前記範囲にあると、良好な水分散性が得られる。
【0019】
また、上記式(II)において、Rは、炭素数20〜50の直鎖または分岐のアルキル
基であり、好ましくは炭素数30〜45の直鎖または分岐のアルキル基である。nは、3〜50の整数である。Rおよびnが前記範囲内にあると、炭化水素との良好な親和性が得られる。
【0020】
シリコーンワックス(A)は、頭髪用化粧料100重量%に対して、好ましくは0.1〜3重量%、より好ましくは0.1〜2重量%、さらに好ましくは0.5〜1重量%の範囲で含まれる。シリコーンワックス(A)成分の含有量が上記範囲内にあると、他のワックス成分等のべたつきを低減するとともに、セット力を低下させることがない。
【0021】
(B)シリコーン非含有ワックス
シリコーン非含有ワックスは、室温で半固体から固体状であり、頭髪用化粧料に良好なセット力を与える。具体例としては特に限定されないが、例えば、動物性ワックス類、植物性ワックス類、鉱物性ワックス類、合成ワックス類、ミクロ結晶性ワックス類、パラフィンワックス類、オゾケライト、モンタンワックス類、フィッシャートロプシュワックス類、ポリエチレン等のポリオレフィンワックス類、蜜蝋、ウールワックス、ウールワックスアルコール類、キャンデリラロウ、カルナバロウ、日本蝋、硬化性脂肪類、脂肪酸エステル類、および脂肪酸グリセリド類が挙げられる。これらは1種類単独で用いても、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
【0022】
(B)成分は、頭髪用化粧料100重量%に対して、好ましくは3〜45重量%、より好ましくは5〜40重量%、さらに好ましくは10〜30重量%の範囲で含まれる。(B)成分が上記範囲内にあると、毛髪同士を束にし、動かしやすくする等のセット力を得ることができる一方で、べたつきが問題にならない。
【0023】
(C)水
水は、頭髪用化粧料の手の平にのばす際ののび等のハンドリング性を良くするとともに、べたつきおよび油性感を抑えてヘアスタイルの印象が重くなるのを防ぐ。また、頭髪用化粧料の洗い落ちを良くする。水としては、特に限定されないが、例えば精製水、水道水、イオン交換水、天然水が挙げられる。
【0024】
(C)成分は、頭髪用化粧料100重量%に対して、30〜55重量%、好ましくは35〜45重量%の範囲で含まれる。(C)成分が上記範囲内にあると、良好なセット力を損なうことなく、ハンドリング性の良い頭髪用化粧料とすることができる。
【0025】
(D)液状油
本発明の頭髪用化粧料は、好ましくは室温で液状の液状油を含む。液状油は、頭髪に塗布する際のワックス類ののびを良くするとともに、頭髪に潤いを与える。液状油としては特に限定されないが、例えば、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、流動イソパラフィン、流動パラフィン、重質流動イソパラフィンなどの炭化水素系オイル、リンゴ酸ジイソステアリル、イソノナン酸イソトリデシル、ジミリスチン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸・イソステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、コハク酸ジオクチル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ヒマシ油、マカデミアンナッツオイル等のエステルやトリグリセリド類、シクロメチコン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等のシリコーン油、ミネラルオイル、ホホバ油等が挙げられる。
【0026】
(D)成分は、頭髪用化粧料100重量%に対して、好ましくは3〜45重量%、より好ましくは10〜35重量%、さらに好ましくは15〜25重量%の範囲で含まれる。(D)成分が上記範囲内にあると、良好なセット力を損なうことなく、頭髪のぱさつきを防
止し、ワックス類の伸びを良くする。また、べたつきも生じない。
【0027】
(E)テオブロマグランジフロルム種子脂
本発明の頭髪用化粧料は、好ましくはテオブロマグランジフロルム種子脂を含む。テオブロマグランジフロルム種子脂とは、クパスの実からとれた種子脂をいい、頭髪に自然なツヤを出すために用いられる。テオブロマグランジフロルム種子脂は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸のバランスのよいトリグリセリドであり、融点が27℃であるため、お湯で洗い流すことが可能である。また、抱水性に優れるため、保湿効果がある。そのため、しっとりした感触を付与するとともに、髪の内側から潤っているような外観となり、自然なツヤとともに頭髪の美しい外観を長時間維持する。また、塗布された頭髪の滑りがよく、良好な指どおり感を与える。さらに、天然成分であるため、ツヤが自然な風合いであるとともに、人体および環境への悪影響もない。
【0028】
(E)成分は、頭髪用化粧料100重量%に対し、好ましくは0.5〜5重量%、より好ましくは1〜3重量%の範囲で含まれる。(E)成分が、前記範囲内にあると、べたつきを生じることなく、ツヤを得ることができる。
【0029】
(F)ノニオンポリマー
本発明の頭髪用化粧料は、ハード系などの強いセット力を得るための態様とする場合は、ノニオンポリマーを含む。ノニオンポリマーは、形成したヘアスタイルを長時間維持する効果に優れるとともに、樹脂自体のべたつきもない。ノニオンポリマーとしては、特に限定されないが、例えばビニルピロリドンホモポリマーまたはビニルピロリドン共重合体が好ましく挙げられる。前記ビニルピロリドン共重合体としては、ビニルピロリドンと酢酸ビニルとの共重合体、ビニルピロリドン、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル等の酢酸ビニル以外のビニルエステルとの三元共重合体、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルとの共重合体、ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム及びメタクリル酸ジメチルアミノエチルの三元共重合体が挙げられる。
【0030】
(F)成分は、頭髪用化粧料100重量%に対し、好ましくは0.1〜15重量%、より好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ましくは1.0〜5.0重量%の範囲で含まれる。(F)成分が、前記範囲内にあると、樹脂自体のべたつきを生じることなく、強いセット力を得ることができ、ヘアスタイルの形成が容易となる。
【0031】
(G)その他の成分
本願発明の頭髪化粧料は、界面活性剤を含んでいてもよく、界面活性剤の種類としては特に限定されず、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれも用いることができる。
【0032】
上記陽イオン性界面活性剤としては、たとえば、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化トリ(ポリオキシエチレン)ステアリルアンモニウム(5E.O.)、塩化ジ(ポリオキシエチレン)オレイルメチルアンモニウム(2E.O.)、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウムなどの4級アンモニウム塩;脂肪酸アミドアミン塩;アルキルトリアルキレングリコールアンモニウム塩;ベンザルコニウム塩;ベンゼトニウム塩;ピリジウム塩;イミダゾリニウム塩などが挙げられる。
【0033】
陰イオン性界面活性剤としては、たとえば、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩;ポリオキシエチレン(以下、POEと略す)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、P
OEノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのPOEアルキル/アルキルアリルエーテル硫酸塩;スルホコハク酸塩;N−アシルスルホン酸塩;アルキルベンゼンスルホン酸塩;α−オレフィンスルホン酸塩;アルカンスルホン酸塩;N−アシルアミノ酸塩;POEアルキルエーテルリン酸およびその塩、ステアリン酸およびその塩などが挙げられる。
【0034】
非イオン性界面活性剤としては、たとえば、(POE)アルキルエーテル類;POEポリオキシプロピレンアルキルエーテル類;多価アルコール脂肪酸エステル類;グリセリン脂肪酸エステル類;ポリグリセリン脂肪酸エステル類;セスキオレイン酸ソルビタンなどのソルビタン脂肪酸エステル類;POEグリセリン脂肪酸エステル類;モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)などのPOEソルビタン脂肪酸エステル類;POEソルビット脂肪酸エステル類;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類;アルキルアルカノールアミド類;POE硬化ヒマシ油;ピログルタミン酸イソステアリン酸POE硬化ヒマシ油;POEエチレンラノリン;POEコレステロール;POEフィトステロール;POEコレスタノール;POEフィトスタノール、ステアリン酸エステル、PEG−30水添ヒマシ油、セタノールのポリエチレングリコールエーテルなどが挙げられる。
【0035】
両性界面活性剤としては、たとえば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのベタイン型;2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウムなどのイミダゾリン型;アミノ酸型などが挙げられる。
【0036】
本発明の頭髪用化粧料は、アラキルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコールなどの高級モノアルコールを含んでいてもよい。
【0037】
本発明の頭髪用化粧料は、テオブロマグランジフロルム種子脂以外に保湿剤を含んでいてもよい。このような保湿剤としては、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリセリン等のポリオール等が挙げられる。
【0038】
本願発明の頭髪用化粧料は、カルボキシビニルポリマー、カルボキシエチルセルロース、キサンタンガムなどのカチオン系またはノニオン系の増粘剤を含んでいてもよい。
また、本発明の頭髪用化粧料は、植物エキスを含んでいてもよい。このような植物エキスとしては、たとえばダイサンチクエキス、アルニカエキス、カモミラエキス、シコンエキス、シナノキエキス、スギナエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セージエキス、トウキエキス、ノバラエキス、ビワ葉エキス、マロニエエキス、モモ葉エキス、ヨクイニンエキス、ローズマリーエキスなどが挙げられる。
【0039】
本願の頭髪用化粧料は、その効果を損なわない範囲で、紫外線吸収剤、キレート剤、防腐剤、清涼剤、トリエタノールアミンのようなpH調整剤、ビタミン類、蛋白質、香料、
抗菌剤、酸化防止剤、抗炎症剤、色素等の添加剤を含有することができる。
【0040】
(H)用途
本発明の頭髪用化粧料の剤型としては、特に限定されないが、たとえばヘアワックス、ヘアミルク、ヘアクリーム等が挙げられる。ヘアワックスの態様としては、ソフトワックス、ハードワックス、スーパーハードワックスの態様が挙げられる。
【0041】
(I)製造方法
本発明の頭髪用化粧料は、上述した各成分を、公知の方法で、撹拌、混合、加熱、溶解
、分散等することによって製造することができ、製造方法はとくに限定されない。
【実施例】
【0042】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0043】
[実施例1〜37、比較例1〜6]
表1〜6に示す組成の頭髪用化粧料を、全成分を配合した後、均一になるまで充分に攪拌して調製し、以下の項目、方法および基準で評価した。評価結果を表1〜6に示す。なお、配合量の単位は、重量%である。
【0044】
表1〜6において、ビスPEG−18メチルエーテルジメチルシランは商品名2501コスメティックワックス(東レ・ダウコーニング社製、上記式(I)においてlおよびmがそれぞれ平均18の構造)、
アルキル(C30−45)メチコンは商品名AMS−C30コスメティックワックス(東レ・ダウコーニング社製、上記式(II)においてRが炭素数30〜45の直鎖または分岐アルキル基であり、nが3〜50の構造)、
ステアリルジメチコンは商品名2503コスメティックワックス(東レ・ダウコーニング社製)、
セテアリルメチコンは商品名SF1632(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、上記式(II)においてRが炭素数16〜18の直鎖または分岐アルキル基である構造)、
シクロメチコンは商品名トーレ・シリコーンSH245(トーレ・ダウコーニングシリコーン社製)、
テオブロマグランジフロルム種子脂は商品名CROPURE CUPUASS(クロピュア クパス)(クローダジャパン株式会社製)、
セテス−20はセタノールのポリエチレングリコールエーテル、商品名エマレックス120(日本エマルジョン社製)、
ポリソルベート60はモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)、商品名レオドールTW−S120V(花王株式会社製)、
カルボキシビニルポリマーは商品名カーボポール934(B.F.グッドリッチ社製、重量平均分子量 約300万)、
(ビニルピロリドン/VA)コポリマーは、VAは酢酸ビニルを示し、商品名PVA−6450(大阪有機化学工業株式会社製、50%エタノール溶液)である。
【0045】
<評価項目>
(1)セット力
(2)べたつき
(3)ハンドリング性(のびの良さ)
(4)スタイル持続性
(5)洗い落ち
(6)うるおい感
(7)ツヤ
【0046】
<評価方法>
黒色人毛(30cm×30g)にシャンプー、トリートメント処理を行い、ドライ後に各試料0.5gを塗布し、全体になじませた毛束について下記の通り評価を行った。評価は、美容
師のパネラー10名により実施した。
【0047】
(1)セット力
ワックスをなじませ、手ぐしを通したり、手で握りこむようにしたりしてセットをした際の毛先のまとまりや毛の立ち上がりなど、ヘアスタイルの形成力の程度を下記基準で官能評価し、各パネラーごとに評点を出した。
5点:非常にセット力がある。
4点:セット力がある。
3点:ややセット力がある。
2点:セット力がほとんど無い。
1点:セット力が全く無い。
【0048】
次いで、上記評点に基づき以下のように判定した。
◎:評点の平均点 が4.5以上である。
〇:評点の平均点 が3以上4.5未満である。
△:評点の平均点 が2以上3未満である。
×:評点の平均点 が2未満である。
【0049】
(2)べたつき
毛束にワックスをなじませた後、毛束を整髪する際のべたつきを下記の基準で官能評価し、各パネラーごとに評点を出した。
5点:べたつきがなく、手触りがよい。
4点:べたつきがない。
3点:べたつきが少ない。
2点:べたつきがある。
1点:べたつきがあり、不快を感じる。
【0050】
次いで、上記評点に基づき以下のように判定した。
◎:評点の平均点 が4.5以上である。
〇:評点の平均点 が3以上4.5未満である。
△:評点の平均点 が2以上3未満である。
×:評点の平均点 が2未満である。
【0051】
(3)ハンドリング性(のびの良さ)
ワックスを手に取って、手の上でのばす際の、ワックスののびの良さをハンドリング性として下記の基準で官能評価し、判定した。
◎:ハンドリング性がとても良い。
○:ハンドリング性が良い。
△:ハンドリング性がやや悪い。
×:ハンドリング性が悪い。
【0052】
(4)スタイル持続性
ワックスをなじませて、整髪した後、温度25℃、70%RHの条件下で、8時間放置
し、形成したヘアスタイルの持続性を観察し、下記の基準で評価し、判定した。
◎:持続性がとてもある。
○:持続性がある。
△:持続性がややない。
×:持続性がない。
【0053】
(5)洗い落ち
ワックスをなじませて、毛束が十分乾いた後にシャンプーを0.5gつけて30秒間洗い、1
分間水洗した(水温38℃)。その際の毛束のヌルつき等から洗い落ちを下記基準で官能評価し、判定した。
◎:洗い落ちがとても良い。
○:洗い落ちが良い。
△:洗い落ちが悪い。
×:洗い落ちがとても悪い。
【0054】
(6)うるおい感
毛束にワックスを塗布した際のぱさつきおよび毛束を整髪した後3時間後に再整髪する
際のぱさつきを、毛束を手で触れた触感に基づき、下記基準で評価し、判定した。
◎:ぱさつきがなく、潤いがある。
○:ぱさつきがない。
△:ぱさつきがややある。
×:ぱさつきがあり、乾燥している。
【0055】
(7)ツヤ
毛束にワックスをなじませた後、毛束のツヤを目視で観察し、下記の基準で評価し、判定した。
◎:みずみずしいツヤがある。
○:ツヤがある。
△:ツヤが少ない。
×:ツヤがない。
【0056】
評価項目(1)セット力および(2)べたつきの評価がいずれも◎または○であるものを、実施例とした。
【0057】
【表1】

【0058】
【表2】

【0059】
【表3】

【0060】
【表4】

【0061】
【表5】

【0062】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンワックス(A)、シリコーン非含有ワックス(B)および水(C)を含有する頭髪用化粧料であって、
前記シリコーンワックス(A)が、下記式(I)で表わされる化合物(A1)および下記式(II)で表わされる(A2)からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
前記水(C)が、頭髪用化粧料100重量%に対し、30〜55重量%の範囲で含まれることを特徴とする頭髪用化粧料。
【化1】

(式中、lおよびmは同一であっても、異なっていてもよく、それぞれ10〜25の整数を示す。)
【化2】

(式中、Rは炭素数20〜50の直鎖または分岐のアルキル基を示し、nは3〜50の整数を示す。)
【請求項2】
さらに、液状油(D)を含有することを特徴とする請求項1に記載の頭髪用化粧料。
【請求項3】
さらに、テオブロマグランジフロルム種子脂(E)を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の頭髪用化粧料。
【請求項4】
さらに、ノニオンポリマー(F)を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の頭髪用化粧料。
【請求項5】
前記シリコーンワックス(A)が、頭髪用化粧料100重量%に対して、0.1〜3重量%の範囲で含まれることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の頭髪用化粧料。
【請求項6】
前記シリコーン非含有ワックス(B)が、頭髪用化粧料100重量%に対して、3〜45重量%の範囲で含まれることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の頭髪用化粧料。
【請求項7】
前記液状油(D)が、頭髪用化粧料100重量%に対して、3〜45重量%の範囲で含まれることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の頭髪用化粧料。
【請求項8】
前記テオブロマグランジフロルム種子脂(E)が、頭髪用化粧料100重量%に対して、0.5〜5重量%の範囲で含まれることを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載の頭髪用化粧料。
【請求項9】
前記ノニオンポリマー(F)が、頭髪用化粧料100重量%に対して、0.1〜15重量%の範囲で含まれることを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載の頭髪用化粧料。
【請求項10】
ヘアワックスである請求項1〜9のいずれかに記載の頭髪用化粧料。

【公開番号】特開2010−70534(P2010−70534A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243276(P2008−243276)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(595082283)株式会社アリミノ (38)
【Fターム(参考)】