説明

顕微鏡システム

【課題】操作性向上とユーザーの負担低減を図ることができるようにする。
【解決手段】顕微鏡システムは、各種光学部材の駆動を行うことで第一の観察方法と第二の観察方法を切り換えて観察を行うものであり、観察体19を移動させる電動ステージ20と、観察体19の撮影を行うビデオカメラ3と、ビデオカメラ3により撮影された観察体19の画像を蓄積する画像データ記録部4と、観察体19の画像の表示を行うモニター5と、画像データ記録部4により蓄積された第一の観察方法における観察体19の画像から観察体19の指標画像を作成する事や観察体19の画像に指標画像を重ね合わせ表示する事などを行うホストシステム2等を備える。ここで、ホストシステム2は、第二の観察方法による観察時、観察体19の画像に指標画像を重ね合わせ表示し、指標画像が電動ステージ20の動きに連動して移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の対物レンズを有し、微小な試料の拡大観察を行う、各種光学部材がモータによって駆動される顕微鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
顕微鏡装置は、工業分野を始め、生物分野における研究や検査等において広く利用されている。このような顕微鏡装置を使用して検査を行う場合には、一般に拡大倍率の異なる複数の対物レンズを有し、対物レンズからの観察光路と直交する平面内で観察試料を移動できる電動ステージを操作し、観察、検査を行っている。
【0003】
顕微鏡装置については、各種の提案が為されている。
例えば、特許文献1には、多色蛍光観察においても各蛍光色を重ね合わせた重ね合わせ画像をほぼリアルタイムで表示、更新できる蛍光顕微鏡装置が提案されている。
【0004】
また、例えば、特許文献2には、観察体の顕微鏡画像が画像データの形式で提供されるいわゆるバーチャル顕微鏡システムにおいて、検鏡法(観察方法)の切り換えがスムーズに行えるようにした顕微鏡装置が提案されている。
【特許文献1】特開2007−17930号公報
【特許文献2】特開2005−331887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年は電子化が進み、観察画像をビデオカメラ等で撮影してモニターにて観察を行うことが多くなってきている。しかしながら、蛍光観察方法による観察においては、標本の輝度が低くなるために、カメラでの観察時に露出時間が長くなってしまう。このため、観察部位を検察するためにステージ等を移動させた場合には、露出不足のため、標本が見えづらくなってしまったり、又はぶれてしまったり、さらには見えなくかってしまい、標本がそこに存在するのかもわからない状態になることもあり、非常に操作性が悪くなってしまうという問題点が生じていた。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑み、特に蛍光観察時において、観察部位を検察するためにステージ等を移動させた場合に、露出不足のため、標本が見えづらくなってしまったり、ぶれてしまったり、又は標本が見えなくなってしまう場合においても、標本を見つけやすくすることが可能であり、操作性向上とユーザーの負担低減を図ることが可能な顕微鏡システム、その表示方法、表示プログラム、及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の態様に係る装置は、各種光学部材の駆動を行うことで第一の観察方法と第二の観察方法を切り換えて観察を行う顕微鏡システムであって、観察体を移動させるステージと、前記観察体の撮影を行う撮像手段と、前記撮像手段により撮影された前記観察体の画像を蓄積する画像蓄積手段と、前記観察体の画像の表示を行う画像表示手段と、前記画像蓄積手段により蓄積された前記第一の観察方法における前記観察体の画像から前記観察体の指標画像を作成する画像処理手段と、前記観察体の画像に前記指標画像を重ね合わせ表示する画像重ね合わせ手段と、を有し、前記画像重ね合わせ手段は、前記第二の観察方法による観察時、前記観察体の画像に前記指標画像を重ね合わせ表示し、前記指標画像が前記ステージの動きに連動して移動する、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の第2の態様に係る装置は、上記第1の態様において、観察倍率を変換する倍率変換手段を更に有し、前記画像重ね合わせ手段は、前記第二の観察方法による観察時において、前記観察体の画像に前記指標画像を重ね合わせ表示する際に、前記指標画像を前記第二の観察方法における観察倍率に連動して拡大縮小する、ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の第3の態様に係る装置は、上記第1又は2の態様において、前記指標画像は、予め第一の観察方法において撮影されたマクロ画像から作成されたものである、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の第4の態様に係る装置は、上記第1乃至3の何れか一つの態様において、前記画像重ね合わせ手段は、前記ステージが移動中である時の前記第二の観察方法における前記観察体の画像に前記指標画像を重ね合わせ表示する、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の第5の態様に係る装置は、上記第1乃至4の何れか一つの態様において、前記第一の観察方法は、微分干渉観察方法又は位相差観察方法であり、前記第二の観察方法は、蛍光観察方法である、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の第6の態様に係る装置は、上記第5の態様において、前記画像重ね合わせ手段は、前記蛍光観察方法における観察波長に応じて、前記指標画像の表示色を可変させる、ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記態様の装置に限らず、方法、プログラム、及び記録媒体として構成することも可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、観察中の画像に対して、ステージの移動に連動して指標画像を重ね合わせ表示することで、特に蛍光観察時において、観察部位を検察するためにステージ等を移動させた場合に、露出不足のため、標本が見えづらくなってしまったり、ぶれてしまったり、又は標本が見えなくなってしまう場合においても、標本を見つけやすくすることが可能であり、操作性向上とユーザーの負担低減を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る顕微鏡システムの構成例を示す図である。
ここで、観察体の画像に指標画像を重ね合わせ表示する画像重ね合わせ手段は顕微鏡装置1に接続されたホストシステム2が、撮像手段はビデオカメラ3が、画像蓄積手段は画像データ記録部4が、画像表示手段はモニター5が、それぞれ対応する。
【0016】
顕微鏡装置1には、透過観察用光学系として、透過照明用光源6と、透過照明用光源6の照明光を集光するコレクタレンズ7と、透過用フィルタユニット8と、透過視野絞り9と、透過開口絞り10と、コンデンサ光学素子ユニット11と、トップレンズユニット12とが備えられている。また、落射観察光学系として、落射照明用光源13と、コレクタレンズ14と、落射用フィルタユニット15と、落射シャッタ16と、落射視野絞り17と、落射開口絞り18とが備えられている。
【0017】
また、これらの透過観察用光学系の光路と落射観察用光学系の光路とが重なる観察光路上には、観察体19が載置される、上下左右各方向に移動可能な電動ステージ20を備えている。この電動ステージ20の移動の制御はステージX−Y駆動制御部21とステージZ駆動制御部22とによって行われる。なお、電動ステージ20は原点センサによる原点検出機能(不図示)を有しており、電動ステージ20に載置した観察体19の各部に対して座標を設定することができる。
【0018】
また、観察光路上には、複数装着された対物レンズ23a、23b、…(以下、必要に応じて「対物レンズ23」と総称する)から観察に使用するものを回転動作により選択するレボルバ24と、観察方法(検鏡方法)を切り換えるキューブユニット25が備えられている。更に、微分干渉観察用のポラライザー28、DIC(Differential Interference Contrast)プリズム29、及びアナライザー30は観察光路に挿入可能となっている。なお、これらの各ユニットは電動化されており、その動作は後述する顕微鏡コントローラ31によって制御される。
【0019】
ホストシステム2に接続された顕微鏡コントローラ31は、顕微鏡装置1全体の動作を制御する機能を有するものであり、ホストシステム2からの制御信号に応じ、観察方法の変更(切り換え)、透過照明用光源6及び落射照明用光源13の調光を行うと共に、現在の顕微鏡装置1による現在の検鏡状態(観察状態)をホストシステム2へ送出する機能を有している。また、顕微鏡コントローラ31はステージX−Y駆動制御部21及びステージZ駆動制御部22にも接続されており、電動ステージ20の制御もホストシステム2で行うことができる。
【0020】
ビデオカメラ3内の撮像素子であるCCDによって撮像された観察体19の顕微鏡画像は、ビデオボード32を介してホストシステム2に取り込まれる。ホストシステム2は、ビデオカメラ3に対して、自動ゲイン制御のON/OFF、ゲイン設定、自動露出制御のON/OFF、及び露光時間の設定を、カメラコントローラ33を介して行うことができる。また、ホストシステム2は、ビデオカメラ3から送られてきた顕微鏡画像を、画像データファイルとして画像データ記録部4に保存することができる。画像データ記録部4に記録された画像データはホストシステム2によって読み出され、当該画像データで表わされている顕微鏡画像を、表示部であるモニター5で表示させることができる。
【0021】
更に、ホストシステム2は、ビデオカメラ3によって撮像された画像のコントラストに基づいて合焦動作を行う、いわゆるビデオAF機能も提供し、ビデオAF機能によって得られた合焦位置の座標を撮影座標記録部34に記録を行う機能も有している。
【0022】
なお、ホストシステム2は、制御プログラムの実行によって顕微鏡システム全体の動作制御を司るCPU(中央演算装置)、このCPUが必要に応じてワークメモリとして使用するメインメモリ、マウスやキーボードなどといったユーザーからの各種の指示を取得するための入力部、この顕微鏡システムの各構成要素との間で各種データの授受を管理するインタフェースユニット、及び各種のプログラムやデータを記憶しておく例えばハードディスク装置などの補助記憶装置を有している、ごく標準的な構成のコンピュータである。
【0023】
以下、図2乃至12を参照しながら、この顕微鏡システムの動作について説明する。
本実施形態では、第一の観察方法として微分干渉観察方法(DIC:Differential Interference Contrast)を、第二の観察方法として蛍光観察方法(FL:Fluorescence)を適用するものとし、第二の観察方法により標本観察を行う場合を例に、本動作を説明する。
【0024】
まず、図1に示した顕微鏡システムにて第一の観察方法における指標画像を取得する処理を説明する。
図2は、ホストシステム2によって行われる、その指標画像取得処理の処理内容を示すフローチャートである。なお、この処理は、ホストシステム2のCPUが所定の制御プログラムを実行することによって実現され、開始される。
【0025】
同図に示したように、標本である観察体19が電動ステージ20にセットされると(ステップ(以下単に「S」という)101)、顕微鏡装置1による観察方法を第一の観察方法である微分干渉観察方法へ切り換え(S102)、使用する対物レンズを低倍率(低解像度)の対物レンズへ切り換える(S103)。続いて、ビデオカメラ3にて第一の観察方法である微分干渉観察方法におけるマクロ画像の撮影(S104)及び作成(S105)を行う。ここで、マクロ画像は、例えば、図4に示すような観察体19が複数回(同図の例では6回)に分けて撮影された低倍率の画像(同図の画像41乃至46)を、図5に示すようなホストシステム2による画像処理によって張り合わせを行った合成画像となっており、このマクロ画像には電動ステージ20におけるXY座標情報も付加されたものとなっている。なお、S104にて複数回に分けて撮影された低倍率の画像は、一旦、画像データ記録部4に記録される。また、S105にて作成されるマクロ画像は、その画像データ記録部4に記録された低倍率の複数の画像から作成されるものである。
【0026】
なお、ここでは、複数回に分けて撮影された低倍率の画像を張り合わせてマクロ画像が作成される場合の例を示したが、1回の撮影により得られた低倍率の画像をマクロ画像とすることも可能である。
【0027】
続いて、S105にて作成された、第一の観察方法である微分干渉観察方法におけるマクロ画像から、ホストシステム2による画像処理によって指標画像の作成を行う(S106)。ここで、指標画像は、一般的な画像処理によって得ることができる観察体19のエッジを示した画像(フレーム画像)である。例えば、図5に示したマクロ画像からは、図6に示したような観察体19のエッジを示した画像である指標画像が作成される。そして、S106にて作成した指標画像を画像データ記録部4に記録し(S107)、この指標画像処理が終了する。
【0028】
次に、図1に示した顕微鏡システムにて指標画像の重ね合わせ表示を行う観察処理を説明する。
図3は、ホストシステム2によって行われる、その観察処理の処理内容を示すフローチャートである。なお、この処理も、ホストシステム2のCPUが所定の制御プログラムを実行することによって実現され、開始される。
【0029】
ここでは、観察体19の指標画像として図6に示した指標画像が得られているときに、第二の観察方法である蛍光観察方法により、図7に示すように、その観察体19のa地点を観察した後に、電動ステージ20の移動を行い、b地点を経由してc地点で停止するような観察を行う場合を例に説明する。
【0030】
なお、図7に示した観察体19におけるaw、bw、及びcwの点線枠で示す範囲は、a、b、及びc地点のそれぞれの座標において現在観察を行っている視野範囲に対応したものとなっており、モニター5に表示が行われる範囲となっている。また、図6に示した指標画像におけるaw’bw’、及びcw’の点線枠で示す範囲は、それぞれ図7に示した観察体19におけるaw、bw、及びcwの点線枠で示す範囲に対応したものとなっている。
【0031】
図3において、この観察処理では、まず、顕微鏡装置1による観察方法が第2の観察方法である蛍光観察方法であるか否かを判定し(S201)、その判定結果がYesの場合には、電動ステージ20が移動中であるか否かを判定する(S202)。
【0032】
S201又はS202の判定結果がNoの場合には、観察体19の観察画像のみをモニター5に表示する(S209)。例えば、上述のように、蛍光観察方法により観察が行われており、図7に示した観察体19におけるa地点において電動ステージ20が停止している場合には、図8に示すように、そのa地点の視野範囲awに対応した蛍光観察画像のみがモニター5に表示される。
【0033】
一方、S202の判定結果がYesの場合には、現在の電動ステージ20のステージ座標(XY座標)と現在選択(使用)されている観察倍率(対物レンズの倍率)を検出し(S203及び204)、現在ビデオカメラ3にて撮影されている観察体19の範囲、すなわちモニター5に表示されている観察体19の範囲に対応した指標画像の範囲(表示範囲となる範囲)を決定する(S205)。例えば、上述のように、図7に示した観察体19におけるa地点から電動ステージ20の移動が行われてb地点を通過中の場合には、そのb地点の視野範囲bwに対応する図6に示した指標画像における点線枠bw’に示した範囲が、指標画像の表示範囲となる範囲として決定される。
【0034】
続いて、S205にて決定された指標画像の範囲を読み出し(S206)、この範囲の画像を、ビデオカメラ3にて撮影されている観察体19の観察画像に重ね合わせて表示する(S207)。例えば、上述のように、図7に示した観察体19におけるa地点から電動ステージ20の移動が行われてb地点を通過中の場合には、そのb地点の視野範囲bwに対応する図9に示す蛍光観察画像と、その視野範囲bwに対応する指標画像における点線枠bw’に示した範囲の画像とが、図10に示すように、重ね合わせて表示される。このように、電動ステージ20の移動中は、観察体19の他の地点においても、図10に示したものと同様に、現在表示されている観察体19の蛍光観察画像に対応する範囲の指標画像が重ねて表示されることになる。
【0035】
S207又はS209の後は、観察処理を継続するか否かを判定し(S208)、その判定結果がYesの場合にはS201へ戻り、Noの場合には、この観察処理が終了する。なお、このS208の判定は、例えばホストシステム2が図示しない入力部を介してユーザーからの観察終了指示を検出したか否かによって行うことができる。
【0036】
例えば、ユーザーからの観察終了指示が為されないままで、上述のように、電動ステージ20がb地点を経由してc地点で再び停止した場合には、図11に示すように停止直前の視野範囲に対応する蛍光観察画像とそれに対応する指標画像の範囲の画像との重ね合わせ画像がモニター5に表示された状態から、図12に示すようにc地点の視野範囲cwに対応した蛍光観察画像のみがモニター5に表示された状態となる。
【0037】
なお、この観察処理中において、使用する対物レンズが切り換えられたことにより観察倍率が変更され、モニター5に表示される観察体19の視野範囲が変更された場合には、その視野範囲に対応する指標画像の範囲が読み出され、画像の重ね合わせが行われることとなる。但し、このときには、読み出された指標画像の範囲が、変更された観察倍率に連動して拡大又は縮小された上で、画像の重ね合わせが行われる。
【0038】
以上のように、本実施形態に係る顕微鏡システムによれば、現在観察中の画像に対して、電動ステージ20の移動に連動して指標画像を重ね合わせ表示することで、特に蛍光観察時において観察部位を検察するために電動ステージ20等を移動させた場合に、露出不足のため、標本が見えづらくなってしまったり、ぶれてしまったり、又は標本が見えなくなってしまう場合においても、標本を見つけやすくすることが可能であり、操作性向上とユーザーの負担低減を図ることが可能となる。
【0039】
なお、本実施形態に係る顕微鏡システムにおいては、第一の観察方法として微分干渉観察方法を適用し、その第一の観察方法である微分干渉観察方法において取得した画像情報をもとに指標画像を作成する場合の例を説明したが、もちろん、第一の観察方法として位相差観察方法を適用し、その第一の観察方法である位相差観察方法において取得した画像情報をもとに指標画像を作成するようにすることも可能である。
【0040】
また、第一の観察方法の下で取得した画像情報をもとに指標画像を作成し、第二の観察方法の下で観察を行うという観点では、もちろん、第一の観察方法及び第二の観察方法は例示した観察方法に限定されるものではなく、その他の観察方法に置き換えることも可能である。
【0041】
また、第2の観察方法として適用した蛍光観察方法による観察では、一種類の波長の励起光のみ(例えばB励起光のみ)を用いて観察を行うようにすることも可能であるし、複数種類の波長の励起光(例えばB励起光とG励起光)を順次切り換えて観察を行うようにすることも可能である。また、複数種類の波長の励起光を順次切り換えて観察を行うようにした場合には、励起光の波長毎、すなわち、観察波長毎に、指標画像の表示色(例えば指標画像における観察体19のエッジの色)を可変させるように構成することも可能である。
【0042】
また、本実施形態に係る顕微鏡システムにおいて、電動ステージ20の移動速度を検出するステージ速度検出手段を備えるようにし、電動ステージ20の移動速度が所定速度以上である場合に観察画像と指標画像との重ね合わせ画像をモニター5に表示し、それが所定速度未満である場合に観察画像のみを表示するように構成することも可能である。
【0043】
ところで、図2及び図3のフローチャートで示した処理を、前述したような標準的な構成のコンピュータのCPUに行わせるための制御プログラムを作成してコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録させておき、そのプログラムを記録媒体からコンピュータに読み込ませてCPUで実行させるようにしても、本発明の実施は可能である。
【0044】
記録させた制御プログラムをコンピュータで読み取ることの可能な記録媒体としては、例えば、コンピュータに内蔵若しくは外付けの付属装置として備えられるROMやハードディスク装置などの記憶装置、コンピュータに備えられる媒体駆動装置へ挿入することによって記録された制御プログラムを読み出すことのできるフレキシブルディスク、MO(光磁気ディスク)、CD−ROM、DVD−ROMなどといった携帯可能記録媒体等が利用できる。
【0045】
また、記録媒体は通信回線を介してコンピュータと接続される、プログラムサーバとして機能するコンピュータシステムが備えている記憶装置であってもよい。この場合には、制御プログラムを表現するデータ信号で搬送波を変調して得られる伝送信号を、プログラムサーバから伝送媒体である通信回線を通じてコンピュータへ伝送するようにし、コンピュータでは受信した伝送信号を復調して制御プログラムを再生することでこの制御プログラムをコンピュータのCPUで実行できるようになる。
【0046】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良・変更が可能である。
例えば、上述した実施形態に係る顕微鏡システムにおいては、顕微鏡装置1として正立顕微鏡装置を採用していたが、その代わりに、倒立顕微鏡装置を採用することももちろん可能であり、また、顕微鏡装置を組み込んだライン装置といった各種システムに本実施形態を適応することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】一実施の形態に係る顕微鏡システムの構成例を示す図である。
【図2】一実施の形態に係る指標画像取得処理の処理内容を示すフローチャートである。
【図3】一実施の形態に係る観察処理の処理内容を示すフローチャートである。
【図4】複数回に分けて撮影された低倍率の画像の一例を示す図である。
【図5】図4に示した低倍率の複数の画像が張り合わされて作成されたマクロ画像の一例を示す図である。
【図6】図5に示したマクロ画像から作成された指標画像の一例を示す図である。
【図7】観察体の一例を示す図である。
【図8】図7に示した観察体におけるa地点の視野範囲awに対応した蛍光観察画像の一例を示す図である。
【図9】図7に示した観察体におけるb地点の視野範囲bwに対応した蛍光観察画像の一例を示す図である。
【図10】図9に示した蛍光観察画像と、図7に示した観察体におけるb地点の視野範囲bwに対応する図6に示した指標画像における点線枠bw’に示した範囲の画像との、重ね合わせ画像の一例を示す図である。
【図11】電動ステージが停止する直前の、視野範囲に対応する蛍光観察画像とそれに対応する指標画像の範囲の画像との重ね合わせ画像の一例を示す図である。
【図12】図7に示した観察体におけるc地点の視野範囲cwに対応した蛍光観察画像の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1 顕微鏡装置
2 ホストシステム
3 ビデオカメラ
4 画像データ記録部
5 モニター
6 透過照明用光源
7 コレクタレンズ
8 透過用フィルタユニット
9 透過視野絞り
10 透過開口絞り
11 コンデンサ光学素子ユニット
12 トップレンズユニット
13 落射照明用光源
14 コレクタレンズ
15 落射用フィルタユニット
16 落射シャッタ
17 落射視野絞り
18 落射開口絞り
19 観察体
20 電動ステージ
21 ステージX−Y駆動制御部
22 ステージZ駆動制御部
23 対物レンズ
24 レボルバ
25 キューブユニット
28 微分干渉観察用のポラライザー
29 DICプリズム
30 アナライザー
31 顕微鏡コントローラ
32 ビデオボード
33 カメラコントローラ
34 撮影座標記録部
41、42、43、44、45、46 画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種光学部材の駆動を行うことで第一の観察方法と第二の観察方法を切り換えて観察を行う顕微鏡システムであって、
観察体を移動させるステージと、
前記観察体の撮影を行う撮像手段と、
前記撮像手段により撮影された前記観察体の画像を蓄積する画像蓄積手段と、
前記観察体の画像の表示を行う画像表示手段と、
前記画像蓄積手段により蓄積された前記第一の観察方法における前記観察体の画像から前記観察体の指標画像を作成する画像処理手段と、
前記観察体の画像に前記指標画像を重ね合わせ表示する画像重ね合わせ手段と、
を有し、
前記画像重ね合わせ手段は、前記第二の観察方法による観察時、前記観察体の画像に前記指標画像を重ね合わせ表示し、前記指標画像が前記ステージの動きに連動して移動する、
ことを特徴とする顕微鏡システム。
【請求項2】
観察倍率を変換する倍率変換手段を更に有し、
前記画像重ね合わせ手段は、前記第二の観察方法による観察時において、前記観察体の画像に前記指標画像を重ね合わせ表示する際に、前記指標画像を前記第二の観察方法における観察倍率に連動して拡大縮小する、
ことを特徴とする請求項1記載の顕微鏡システム。
【請求項3】
前記指標画像は、予め第一の観察方法において撮影されたマクロ画像から作成されたものである、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の顕微鏡システム。
【請求項4】
前記画像重ね合わせ手段は、前記ステージが移動中である時の前記第二の観察方法における前記観察体の画像に前記指標画像を重ね合わせ表示する、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の顕微鏡システム。
【請求項5】
前記第一の観察方法は、微分干渉観察方法又は位相差観察方法であり、
前記第二の観察方法は、蛍光観察方法である、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の顕微鏡システム。
【請求項6】
前記画像重ね合わせ手段は、前記蛍光観察方法における観察波長に応じて、前記指標画像の表示色を可変させる、
ことを特徴とする請求項5記載の顕微鏡システム。
【請求項7】
各種光学部材の駆動を行うことで第一の観察方法と第二の観察方法を切り換えて観察を行う顕微鏡システムの表示方法であって、
第一の観察方法において撮影された観察体の一つ以上の画像から指標画像を作成し、
前記第二の観察方法による観察時に、前記第二の観察方法において撮影された前記観察体の画像に前記指標画像を重ね合わせ表示する、
ことを特徴とする顕微鏡システムの表示方法。
【請求項8】
各種光学部材の駆動を行うことで第一の観察方法と第二の観察方法を切り換えて観察を行う顕微鏡システムに用いられるコンピュータに、
第一の観察方法において撮影された観察体の一つ以上の画像から指標画像を作成する機能と、
前記第二の観察方法による観察時に、前記第二の観察方法において撮影された前記観察体の画像に前記指標画像を重ね合わせ表示する機能と、
を実現させるための表示プログラム。
【請求項9】
各種光学部材の駆動を行うことで第一の観察方法と第二の観察方法を切り換えて観察を行う顕微鏡システムに用いられるコンピュータに、
第一の観察方法において撮影された観察体の一つ以上の画像から指標画像を作成する機能と、
前記第二の観察方法による観察時に、前記第二の観察方法において撮影された前記観察体の画像に前記指標画像を重ね合わせ表示する機能と、
を実現させるための表示プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−60791(P2010−60791A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−225744(P2008−225744)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】