風力発電機の出力電力変動抑制装置
【課題】 風車と誘導発電機を備えた風力発電システムにおいて、新たな設備投資を伴わずに風力発電システムの出力電力変動を抑制する風力発電機の出力電力変動抑制装置を提供する。
【解決手段】 測定した風速から風車出力演算装置10が可採最大出力を算出し、平均器11により可採最大出力を時間積分して求めた指令出力と可採最大出力との差分エネルギーを風車回転エネルギーに変換し、回転速度演算装置12が指令出力と風車回転エネルギーを加えたエネルギーを生産する風車回転速度を算出して、かかる風車回転速度に追随するようにベクトル制御によりPWMコンバータの電圧を制御して風車回転速度を制御する。
【解決手段】 測定した風速から風車出力演算装置10が可採最大出力を算出し、平均器11により可採最大出力を時間積分して求めた指令出力と可採最大出力との差分エネルギーを風車回転エネルギーに変換し、回転速度演算装置12が指令出力と風車回転エネルギーを加えたエネルギーを生産する風車回転速度を算出して、かかる風車回転速度に追随するようにベクトル制御によりPWMコンバータの電圧を制御して風車回転速度を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然エネルギー発電装置の出力電力変動を抑制する制御装置に関し、特に風力発電装置における風力変動の影響による出力電力の変動を抑制する出力電力変動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止や化石燃料資源枯渇の観点から、風力エネルギーや太陽光エネルギーを利用する自然エネルギー発電設備が電力系統に多数接続されるようになってきた。
風力発電は、非枯渇性のクリーンエネルギーである風力エネルギーを利用した発電システムとして、世界各地で盛んに建設が行われている。また、離島や限られた地域内に電力を供給する小規模な配電網であるマイクログリッドに分散型電源として風力発電システムを配備することが検討されている。
【0003】
しかし、自然エネルギーは不規則に変動するため、自然エネルギー発電設備を電力系統に導入すると、電力系統周波数や系統電圧が変動することになる。特に、風力エネルギーは不規則であり、風力発電機出力電力は風速の3乗に比例して大きく変動するため、系統周波数も乱れやすい。マイクログリッドに導入した場合、電力系統の規模が小さいため、系統への影響がより顕著になる。
需要者からは電力品質を保持する要求があるので、風力発電設備を導入した電力系統も、系統周波数や系統電圧を一定に維持する必要がある。また、出力の平準化のために高風速時の大きな風車出力をみすみす無駄にすることになる。
【0004】
風力発電システムを導入することによる悪影響を避けるため、大容量のエネルギー貯蔵装置を導入して解決する方法が開発されてきた。風力発電設備の変動電力分を蓄電池やフライホイールなどのエネルギー貯蔵装置で吸収し、一定にした電力を系統に注入する方法である。
しかし、蓄電池は頻繁に充放電を繰り返すことによって蓄電効率や寿命が低下する。また、フライホイールは回転損失が大きく、エネルギー効率に劣る。
【0005】
そこで、例えば超伝導エネルギー貯蔵装置、電気二重層キャパシタなどの新たなエネルギー貯蔵技術が研究されている。特許文献1には、風力発電機に水素発生装置を併設して出力電力の変動を抑制する水素製造システムが開示されている。風力発電で得られる電気エネルギーの変動を、水素製造装置の水素製造量を変化させることで吸収して水素エネルギーとして貯蔵し、系統に供給する電力を一定に制御している。
しかし、このような貯蔵装置を用いた周波数変動対策は、非常に高価、大型であるため、設備コストの増大を招き採算性が問題になる。
【特許文献1】特開2007−249341号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、風車と誘導発電機を備えて、風速が増速したときに風車の回転速度を増速して風車自体の回転運動エネルギーとして蓄積し、風速が減速したときに風車の運動エネルギーを放出することによって出力電力を平準化する風力発電システムにおいて、大きな設備投資を伴わずに風力発電システムの出力電力変動を抑制することができる風力発電機の出力電力変動抑制装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の風力発電機の出力電力変動抑制装置は、風力を回転エネルギーに変換する風車と、風車の風車軸に接続された誘導発電機と、インバータとで構成される風力発電機に付属するものである。本発明の出力電力変動抑制装置は、風速測定器と、風車出力演算装置と、風車回転エネルギー演算装置と、回転速度演算装置と、インバータ制御装置とを備える。
【0008】
風速測定器が風車に当たる風の速度を測定し、風車出力演算装置が風速に対応する回収可能な最大値である瞬間可採風車出力と所定時間内の平均可採風車出力を算出してその差分を算定し、風車回転エネルギー演算装置が風車の回転速度から風車回転エネルギーを算定する。回転速度演算装置が瞬間可採風車出力と平均可採風車出力との差分と風車回転エネルギーとを加えたエネルギー量に対応する回転速度を指令回転速度として算定する。インバータ制御装置がベクトル演算により指令回転速度を実現するためのトルク指令電流を算出し、インバータについてトルク指令電流を発生するよう調整して発電機回転速度を制御する。すると、風車は余剰あるいは不足の風車エネルギーを加算した所定のエネルギーを保持しながら回転することになる。
【0009】
本発明におけるインバータ制御装置は、インバータのPWMコンバータを直接の制御対象として発電機回転速度を制御することができる。誘導発電機は、巻線型誘導発電機等を用いてもよいが、より安価、堅牢で従来から利用されているかご型誘導発電機を使用することができる。
【0010】
本発明の風力発電機の出力電力変動抑制装置は、風車に当たる風の風速を測定器で測定して、風速が増速したときに風車が風から採取した余剰のエネルギーを風車の回転速度を増速することによって風車自体の回転運動エネルギーとして蓄積し、風速が減速したときには風車の回転速度を減速して運動エネルギーを補填することによって、出力電力の平準化を実現する。
【0011】
本発明の出力電力変動抑制装置は、まず、風速情報を観測し、かかる風速において風車が回収することができる最大風車出力を瞬間可採風車出力として算出する。また、この瞬間可採風車出力を一定時間積算していわゆる移動平均を求めて、平均可採風車出力とする。この平均可採風車出力を、風車から電気エネルギーとして回収するための風車出力指令値とする。続いて、瞬間可採風車出力から平均可採風車出力を減算して差分を求める。風車あるいは発電機の回転速度を用いて風車の回転エネルギーを算出し、これに瞬間可採風車出力と平均可採風車出力の差分を加えたエネルギー量を発生する回転速度を算出して指令回転速度とし、指令回転速度で風車が回転するようインバータをベクトル制御する。
【0012】
風速が増速したときは、差分が正になって風車速度が平均可採風車出力を実現する回転速度より大きくなるが、電力エネルギーとして採取する風車出力は平均可採風車出力のみであるため、エネルギーが風車回転エネルギーとして風車自体に蓄積される。逆に、風速が減速した時は差分が負となるため、蓄積された風車回転エネルギーを消費して平均可採風車出力からの不足分を補償する。
このように、自然エネルギーである風力の変動を、風車ロータの回転エネルギーとして貯蓄、放出することで吸収し、発電量の変動を緩和することができる。
【0013】
本発明の風車発電機の出力電力変動抑制装置は、インバータにおけるPWMコンバータをベクトル制御する。インバータ制御装置が、指令回転数と実際の回転数の差から、平均可採風車出力に基づく指令回転数を実現するための指令トルクを算出し、トルク指令電流を決定してインバータに入力する。PWMコンバータの電流特性をベクトル制御することにより発電機のトルクと回転数を正確に制御し、発電機ロータとロータ同士が繋がっている風車の回転数を指令回転数に正確に追随させる。
【0014】
また、本発明の風車発電機の出力電力変動抑制装置は、二次磁束を制御し、電気的損失を極小化するようにしてもよい。一般的に、誘導発電機のベクトル制御では、二次磁束を一定として制御を行っている。このため、二次磁束を維持するために、不必要な励磁電力を消費し続けるという欠点を有している。そこで、入力トルクに応じて二次磁束を適切に制御することで効率を改善する。
インバータ制御装置により、トルク値に応じて電気的損失が極小になるような二次磁束指令値を算出し、座標変換を行ってd−q軸の指令電圧を決定する。
【0015】
本発明の風車発電機の出力電力変動抑制装置は、従来設備に特別の装置を付加しなくても、各構成機器に組み込まれた制御論理に必要な論理を追加ないし修正することによって十分構成することができる。本発明の風車発電機の出力電力変動抑制装置は、短時間に風速が変動した場合には良好な平準化効果を有する。本発明の出力電力変動抑制装置は、風車出力の変動を抑制するので、長時間にわたる出力平準化のために併設すべき設備の容量低減やコスト低減にも効果を発揮する。
なお、本発明の風車発電機の出力電力変動抑制装置は、ベクトル制御が適用できるような永久磁石同期発電機など他の種類の発電機や、風車と発電機の間に増速機を介装したものにも適用ができることは言うまでもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を用い実施例に基づいて本発明の風力発電機の出力電力変動抑制装置を詳細に説明する。
図1は本実施形態に用いる風力発電装置の概略図である。風車ブレード1の風車軸2に増速機3を介して誘導発電機4が接続されている。誘導発電機4はPWMコンバータ5とPWMインバータ6で構成されるインバータを経て電力系統7に電気的に接続されている。風車ブレード1の前方に風速計8が配されており出力制御系9に風速情報Vwを入力している。風車によって得られる風力エネルギーは増速機3を介して誘導発電機4に伝達される。誘導発電機4は、ロータリーエンコーダによってロータの位置・回転速度情報が正確に把握され、PWMコンバータによって速度制御されている。
【0017】
図1中に現れる他の記号の意味は次の通りである。R0:風車ブレード半径、Tw:風車トルク、Tlw:風車負荷トルク、Rn:増速比、Tlm:発電機負荷トルク、Tm:発電機トルク、ωw:風車回転速度、ωm:発電機回転速度、Pw:風車エネルギー、Pin:発電機入力エネルギー、Pout:発電機出力エネルギー、ia、ib:電流値、V*abc:指令電圧。
【0018】
図1に示す風力発電装置の挙動を式にしたがって説明する。
風車ブレード1の半径をR0とすると、ブレードの回転面積はπR02となる。風速Vwの風が風車を吹き抜けた場合、風の持つエネルギーが全て風車回転トルクに変換されたとすれば、空気密度をρとしてその入力エネルギーPwindは(1)式で表される。
Pwind =1/2・ρπR02Vw3・・・・・・・・・・(1)
このときの風車入力トルクTwindは(2)式で表される。
Twind=1/2・ρπR03Vw2・・・・・・・・・・(2)
【0019】
風車の一般的特性を表す指標として風車出力係数Cpや風車トルク係数Ctがあり、プロペラ型風車の場合には以下の式で近似できる。
Ct=αλ2+βλ+γ・・・・・・・・・・・・・(3)
Cp=λCt=Pw/Pwind ・・・・・・・・・・・・(4)
ただし、α、β、γ:ブレードの大きさや形状・枚数・ピッチ角により定まる係数、λ=R0ωw/Vw:周速比。
【0020】
風車トルク係数Ctを用いて実際に風車から取り出せるトルクTwを表すと(5)式となる。
Tw=1/2・CtρπR03Vw2・・・・・・・・・(5)
この風車トルクを受けたときの風車の運動方程式は(6)式で表される。
Tw=Twind−Tf
=Jwdωw/dt+Tlw ・・・・・・・・・・(6)
ただし、Tf:風車の損失トルク、Jw:風車の慣性モーメント。
【0021】
風車の損失トルクTfは風車損失係数K0、K1、K2を用いて(7)式で与えられる。
Tf=K0Vw2+K1Vwωw+K2ωw2・・・・・・・(7)
風車損失係数K0、K1、K2は(8)〜(10)式で表される。
K0=1/2・ρSR0(1−γ)・・・・・・・・(8)
K1=−1/2・ρSR02ζ ・・・・・・・・・・(9)
K2=−1/2・ρSR03ξ ・・・・・・・・・(10)
ただし、S=πR02:ブレード回転面積、γ、ζ、ξ:風車のブレードの大きさ、形、枚数、ピッチ角によって決まる係数。
K0、K1、K2は風車の形状によって決まる係数であり、風車損失トルクが下に凸になること、すなわち、風車損失トルクTfが極小値をとり効率が最高になる風車回転速度ωwが存在すること、を表す近似パラメータである。
【0022】
(2)、(5)式より、Tfは(11)式でも表せる。
Tf=Twind−Tw
=(1−Ct)Twind・・・・・・・・・・・・(11)
また、増速比Rnを用いると、風車と発電機の回転速度およびトルクの関係はそれぞれ(12)、(13)式となる。
ωm=Rnωw ・・・・・・・・・・・・・・・・(12)
Tlm=−1/Rn・Tlw ・・・・・・・・・・・(13)
【0023】
(6)式より、風車の運動方程式は(14)式として得られる。
Twind=Jwdωw/dt+Tf+Tlw・・・・・・(14)
最終的に、発電機への機械的入力Pwは(15)式となる。
Pw=Twωw=−Tmωm ・・・・・・・・・・・(15)
【0024】
本実施形態の風力発電機の出力電力変動抑制装置は、風速の変動に基づく出力変動を風車の慣性を利用して吸収し、電力系統に供給する電力を平準化する。風速が増速したときに風車の回転速度を増速することによって風車自体の回転運動エネルギーとして蓄積し、風速が減速したときには風車の回転速度を減速して(発電機の出力を増やして回転速度を減速させる)運動エネルギーを放出することによって、出力電力の平準化を実現する。
【0025】
図2は、本実施形態の風力発電機の出力電力変動抑制装置における、回転速度決定システムの構成図である。また、図3は、本実施形態の風力発電機の出力電力変動抑制装置における制御システム構成図である。
出力制御系は、風車出力演算装置10、平均値演算器11、回転速度演算装置12、風車回転エネルギー演算装置13、およびインバータ制御装置20で構成される。また、インバータ制御装置20は、速度制御部21、二次磁束制御部22、電流制御部23、座標変換器24により構成される。
【0026】
風車出力演算装置10が、風速計8で観測した風速情報から以下の手順で瞬間可採風車出力Pmaxを算出する。定常状態における風車出力Pwは、(2)、(7)式の関係より風車回転速度ωwの3次関数となる。
Pw=(Twind−Tf)ωw
=(1/2・ρπR03−K0)Vw2ωw−K1Vwωw2−K2ωw3
・・・・(16)
【0027】
ここで(16)式において、dPw/dωw=0とすると、ある風速Vwのときに風車出力Pwが極大となるような風車の最適回転速度ωwoptが(17)式で求められる。
ωwopt=[−K1VW+{(K1VW)2
−3K2(1/2・ρπRo3−Ko)VW2}1/2]/3K2
・・・・・・(17)
このときの発電機最適回転速度ωmoptは、増速比をRnとすると(18)式になる。
ωmopt=Rnωwopt・・・・・・・・・・・・・・(18)
【0028】
風車の最適回転速度ωwoptを式(16)に代入することによって、風車の可採最大出力Pmaxが得られる。
Pmax=Twωwopt
=(1/2・ρωR03−K0)Vw2ωwopt−K1VWωwopt2−K2ωwopt3
・・・・・・・・・・(19)
平均値演算器11が可採最大出力Pmaxの積分区間Tにおける平均値、すなわち平均可採風車出力を算出して風車出力指令値P*とする。
P*=∫tt−TPmaxdt/T・・・・・・・・・・(20)
ただし、t:現在時間、T:積分区間
【0029】
瞬間可採風車出力Pmaxと平均可採風車出力P*との差ΔPを風車ロータの増速に使って回転運動エネルギーEとして蓄積し、または風車ロータの減速に使って風車ロータから取り出す。
現状における風車の運動エネルギーEは、風車と連動する発電機の回転角や回転速度を検出するセンサの出力を用い、風車回転エネルギー演算装置13により(21)式を使って求められる。
E=1/2・Jωw2・・・・・・・・・・・・・(21)
【0030】
風車回転速度指令値ωw*は、回転速度演算装置12において、瞬間可採風車出力Pmaxと平均可採風車出力P*の差ΔPと、風車回転速度の増減に伴って増減する風車回転エネルギーEの現在値とを加えて求めた回転運動エネルギー指令値E*に基づき(22)式により算定される。
ωw*=(2E*/J)1/2・・・・・・・・・・・(22)
さらに、発電機回転速度指令値ωm*は増速比Rnを用いて(23)式により決定される。
ωm*=Rn(2E*/J)1/2 ・・・・・・・・・(23)
インバータ制御装置20により、発電機の回転速度ωmを発電機回転速度指令値ωm*になるように制御することで、風車の回転速度ωwを回転速度指令値ωw*に追従させることができる。
【0031】
風車1で回収して回転運動に変換された風力エネルギーは増速機3を介してかご型誘導発電機4に伝達される。また、計測して得た風速情報と同定した風車損失係数とを用いて発電機ロータの最適回転速度ωmoptを決定し、PWMコンバータ5によって発電機4をベクトル制御する。
【0032】
ベクトル制御された誘導発電機4の運動方程式を等価直流機として表すと(24)式となる。
Jmdωm/dt+Dmωm+Tl'=Te=KTiqs*・・・(24)
ただし、Dm:誘導機の制動係数、Jm:慣性係数、Tl'=PTL−KTeiq:等価外乱トルク、KT=3/2・P/2・Lm/Lr(Lridr*+Lmids*):起電力係数。
【0033】
速度制御部21は、速度演算装置12から入力される指令速度ωm*に対する実際の速度ωmの偏差(eω=ωm−ωm*)に対し比例積分制御器(PI制御器)を作用させ(25)式に基づいて誘導発電機4に対する指令トルクTm*を決定する。
Tm*=kPωeω+kIω∫eωdt・・・・・・・・・(25)
ここで、kPω:比例係数、kIω:積分係数。
さらに、Tm*を用いてトルク指令電流iqs*を(26)式で決定する。
iqs*=1/KT(Jmdωm*/dt+Dωm*+Tlm−αeω)・・(26)
ただし、KT:トルク出力係数、α:フィードバックゲイン。
【0034】
また、二次磁束制御部22は、誘導発電機4の入力トルクを基に、二次磁束を発生させる励磁電流を制御し、電気的損失を極小化する機能を持つ。
一般に誘導器のベクトル制御では、二次磁束を一定として制御を行っている。しかし、このことは二次磁束を維持するために不必要な励磁電流を流し続けることによる損失が生じるという欠点を有している。そこで、入力トルクTeに応じて二次磁束を適切に制御することによって効率を改善する。電気的全損失Plossは式(27)で決まる。
Ploss=(Rs+Rm)/(Lm2+a2)・Ψr2
+2aRs/(Lm2+a2)・Te/P
+[{Rs(Lr2+a2)+Lr2Rm}/(M2+a2)+Rr]
・Te2/P2Ψr−2・・・・・・・・・・(27)
ただし、a=Rm/ωm
【0035】
ここでは、電気的損失Plossは一次銅損、二次銅損および鉄損の和とし、漂遊負荷損、機械損およびインバータ損は考慮していない。(27)式は二次磁束Ψrの関数となっており、この二次磁束Ψrを変化させることにより損失Plossを調整することができる。この損失を最小とする二次磁束の条件を求めると(28)式のようになる。
Ψropt=[{Rs(Lr2+a2)+RmLr2+Rr(Lm2+a2)}
/(Rs+Rm)]1/4(Te/P)1/2・・・・・・(28)
この最高効率条件を満たす二次磁束Ψroptを指令値として制御に用いる。
【0036】
回転座標変換器24において、2次鎖交磁束の方向がd軸と一致するようにθを定めると、Ψdr=Ψr、Ψqr=0となる。このときΨとidsの関係は(29)式となる。
ids=1/Lm・(1+Lr/Rr・P)Ψr ・・・・(29)
ここで、ids*=ids、Ψr*=Ψdrとして磁束指令電流の制御入力とする。
【0037】
電流制御部23において、速度制御部21にて求めたiqs*と二次磁束制御部22にて求めたids*および実際の電流値id、iqを入力とし、PI制御器によってd−q軸の指令電圧を次式のように得る。
vd*=kPieid+kIi∫eiddt・・・・・・・・(30)
vq*=kPieiq+kIi∫eiqdt・・・・・・・・(31)
ここで、kPi:電流誤差に対する比例ゲイン、kIi:積分ゲイン、eid=id*−id:d軸電流誤差、eiq=iq*−iq:q軸電流誤差。
この指令電圧vd*、vq*を回転座標変換器24で座標変換して得た指令電圧vabc*によりPWMコンバータ5を制御して発電機回転速度ωmを制御し、指令回転速度ωm*に追随させることにより、電気的損失Plossは最小になる。
【0038】
本実施形態の風力発電機の出力電力変動抑制装置を模擬システムに関してシミュレーションを行った結果を図4〜図14に示す。図15にパラメータ値を示す。図4〜図14はシミュレーション結果について、以下の指標をグラフ化したものである。図4:風速、図5:発電機回転速度、図6:風車運動エネルギー、図7:発電機トルク、図8:風車出力トルクと発電機トルクの差、図9:風車出力係数、図10:最大出力電力関数、図11:出力電力平準化関数、図12:出力変動、図13:出力電力、図14:風速と出力電力変動範囲の関係。
【0039】
なお、風力発電システムの平準化性能を評価する評価関数として、図10に表した最大出力電力関数*Pmaxと図11に表した出力電力平準化関数*Plevelはそれぞれ式(32)、(33)にて求められる。
*Pmax=∫0tPout(t)dt・・・・・・・・・(32)
*Plevel=∫0t|dPout(t)/dt|dt・・・(33)
最大出力電力関数*Pmaxは風力発電システム出力電力Poutを積分したものであり、値が大きいほど出力電力効率が高いことを示す。一方、出力電力平準化関数*PlevelはPoutの微分値の絶対値を取って積分したものであり、値が小さいほど出力電力の変動量が少ない。
【0040】
図4に示した風速は実測値に基づくもので、風速計によって正確に測定されて遅れ無しに制御器に供給されているものとする。図7に示した発電機トルクは発電機の電気的トルクを示しており、図8で発電機トルクとの比較に用いた風車出力トルクは風車が風から得た機械的トルクである。図12に示した出力変動の値は出力電力を時間微分して求めている。図14の風速と出力電力変動範囲の関係は、各風速における出力電力の変動範囲を示したものであり、縦幅が小さいほど同じ風速における出力電力の変動が小さいことを示している。
【0041】
従来一般的に用いられている最大電力点追従制御(MPPT)により運転される風力発電システムと比較するため、各図中にMPPTについてシミュレーションした結果を破線で示している。実線は本実施形態の風量発電機の出力電力変動抑制装置による運転をシミュレーションした結果を示す。
【0042】
実測データに基づく風速(図4)を用いてシミュレーションを行った結果、図5より、本実施形態の風速発電機の出力電力変動抑制装置はMPPTを適用した場合と比較して風車回転速度を大きく変動させていることが確認できる。特に、風速が高くなった時に風車回転速度を大きく増速させている。このことから、風速が高い状態の時に風車が風から得たエネルギーをすぐに発電機へと送出せず風車運動エネルギーとしてエネルギーを蓄積していることがわかる。また図6より、風速が低くなってから回転速度を落として運動エネルギーを放出することによって風速に起因する出力変動を風車の運動エネルギーとして吸収していると考えられる。その結果、図11,12,13に見るように、出力電力の変動を抑制できていることがわかる。
【0043】
また、図8より、本実施形態の出力電力変動抑制装置はMPPTを使用した場合と比較して風車出力トルクと発電機トルクとの差が小さくなっていることが確認できる。したがって、本実施形態のシステムを使用した場合、風車と発電機を接続する風車軸および増速機にかかる剪断応力を軽減できる。
【0044】
図9より、風車出力係数はMPPTを適用した場合ほぼ0.4で一定であったのに対し、本実施形態では風速が大きくなった際にエネルギーを出力せずに回転エネルギーとして蓄えたことから出力係数が小さくなっている。また、図10より、本実施形態の手法を用いた場合でも最大出力電力量は大きく減少していないことがわかる。
【0045】
さらに、図14より、低速領域では出力電力の変動にさほど大きな差はないものの、高風速領域においては本実施形態の出力電力変動抑制装置を用いた場合に出力電力の変動範囲が狭くなっている。
以上のように、本実施形態の風力発電機の出力電力変動抑制装置により、風力発電システムの出力電力の変動を抑制することが確認できる。
【0046】
本発明の風力発電機の出力電力変動抑制装置は、従来の風力発電システムに特別の装置を追加することなく、制御装置の演算論理を変更するだけで風力発電システムの出力電力の変動を抑制することができる。したがって、併設する補償設備の容量を低減することができ、安価に生産電力の品質を向上することができる。
なお、本発明の出力電力変動抑制装置は、ベクトル制御が適用できる永久磁石同期発電機など他の種類の発電機や、風車と発電機の間に増速機を介装したものにも適用ができることは言うまでもない。
【0047】
本発明の出力電力変動抑制装置において、風車回転運動にエネルギー蓄積することによって得られる出力平準化効果は短時間の風速が変動した場合には十分有効であることがわかる。ただし、風車はその特性から最適回転速度以上の高速回転をするときには損失が大きくなるので、長時間に亘ってエネルギーを蓄積して平準化することは簡単ではない。しかし、本実施形態に係る出力電力変動抑制装置により出力変動が抑制できるので、より高度な出力電力平準化のために併設すべき設備について、容量低減やコスト低減などの利便をもたらすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本実施形態に用いる風力発電装置の概略図である。
【図2】本実施形態における、回転速度決定システムの構成図である。
【図3】本実施形態の風力発電機出力電力変動抑制装置のシステム構成図である。
【図4】シミュレーションに適用した風速変化のグラフである。
【図5】シミュレーションによる発電機回転速度のグラフである。
【図6】シミュレーションによる風車運動エネルギーのグラフである。
【図7】シミュレーションによる発電機トルクのグラフである。
【図8】シミュレーションによる風車出力トルクと発電機トルクの差のグラフである。
【図9】シミュレーションによる風車出力係数のグラフである。
【図10】シミュレーションによる最大出力電力関数のグラフである。
【図11】シミュレーションによる出力電力平準化関数のグラフである。
【図12】シミュレーションによる出力電力変動のグラフである。
【図13】シミュレーションによる出力電力のグラフである。
【図14】シミュレーションによる風速と出力電力変動範囲のグラフである。
【図15】シミュレーションに用いたパラメータ値を示す表である。
【符号の説明】
【0049】
1 風車ブレード
2 風車軸
3 増速機
4 誘導発電機
5 PWMコンバータ
6 PWMインバータ
7 電力系統
8 風速計
9 出力制御系
10 風車出力演算装置
11 平均器
12 回転速度演算装置
13 風車回転エネルギー演算装置
20 インバータ制御装置
21 速度制御部
22 二次磁束制御部
23 電流制御部
24 座標変換器
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然エネルギー発電装置の出力電力変動を抑制する制御装置に関し、特に風力発電装置における風力変動の影響による出力電力の変動を抑制する出力電力変動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止や化石燃料資源枯渇の観点から、風力エネルギーや太陽光エネルギーを利用する自然エネルギー発電設備が電力系統に多数接続されるようになってきた。
風力発電は、非枯渇性のクリーンエネルギーである風力エネルギーを利用した発電システムとして、世界各地で盛んに建設が行われている。また、離島や限られた地域内に電力を供給する小規模な配電網であるマイクログリッドに分散型電源として風力発電システムを配備することが検討されている。
【0003】
しかし、自然エネルギーは不規則に変動するため、自然エネルギー発電設備を電力系統に導入すると、電力系統周波数や系統電圧が変動することになる。特に、風力エネルギーは不規則であり、風力発電機出力電力は風速の3乗に比例して大きく変動するため、系統周波数も乱れやすい。マイクログリッドに導入した場合、電力系統の規模が小さいため、系統への影響がより顕著になる。
需要者からは電力品質を保持する要求があるので、風力発電設備を導入した電力系統も、系統周波数や系統電圧を一定に維持する必要がある。また、出力の平準化のために高風速時の大きな風車出力をみすみす無駄にすることになる。
【0004】
風力発電システムを導入することによる悪影響を避けるため、大容量のエネルギー貯蔵装置を導入して解決する方法が開発されてきた。風力発電設備の変動電力分を蓄電池やフライホイールなどのエネルギー貯蔵装置で吸収し、一定にした電力を系統に注入する方法である。
しかし、蓄電池は頻繁に充放電を繰り返すことによって蓄電効率や寿命が低下する。また、フライホイールは回転損失が大きく、エネルギー効率に劣る。
【0005】
そこで、例えば超伝導エネルギー貯蔵装置、電気二重層キャパシタなどの新たなエネルギー貯蔵技術が研究されている。特許文献1には、風力発電機に水素発生装置を併設して出力電力の変動を抑制する水素製造システムが開示されている。風力発電で得られる電気エネルギーの変動を、水素製造装置の水素製造量を変化させることで吸収して水素エネルギーとして貯蔵し、系統に供給する電力を一定に制御している。
しかし、このような貯蔵装置を用いた周波数変動対策は、非常に高価、大型であるため、設備コストの増大を招き採算性が問題になる。
【特許文献1】特開2007−249341号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、風車と誘導発電機を備えて、風速が増速したときに風車の回転速度を増速して風車自体の回転運動エネルギーとして蓄積し、風速が減速したときに風車の運動エネルギーを放出することによって出力電力を平準化する風力発電システムにおいて、大きな設備投資を伴わずに風力発電システムの出力電力変動を抑制することができる風力発電機の出力電力変動抑制装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の風力発電機の出力電力変動抑制装置は、風力を回転エネルギーに変換する風車と、風車の風車軸に接続された誘導発電機と、インバータとで構成される風力発電機に付属するものである。本発明の出力電力変動抑制装置は、風速測定器と、風車出力演算装置と、風車回転エネルギー演算装置と、回転速度演算装置と、インバータ制御装置とを備える。
【0008】
風速測定器が風車に当たる風の速度を測定し、風車出力演算装置が風速に対応する回収可能な最大値である瞬間可採風車出力と所定時間内の平均可採風車出力を算出してその差分を算定し、風車回転エネルギー演算装置が風車の回転速度から風車回転エネルギーを算定する。回転速度演算装置が瞬間可採風車出力と平均可採風車出力との差分と風車回転エネルギーとを加えたエネルギー量に対応する回転速度を指令回転速度として算定する。インバータ制御装置がベクトル演算により指令回転速度を実現するためのトルク指令電流を算出し、インバータについてトルク指令電流を発生するよう調整して発電機回転速度を制御する。すると、風車は余剰あるいは不足の風車エネルギーを加算した所定のエネルギーを保持しながら回転することになる。
【0009】
本発明におけるインバータ制御装置は、インバータのPWMコンバータを直接の制御対象として発電機回転速度を制御することができる。誘導発電機は、巻線型誘導発電機等を用いてもよいが、より安価、堅牢で従来から利用されているかご型誘導発電機を使用することができる。
【0010】
本発明の風力発電機の出力電力変動抑制装置は、風車に当たる風の風速を測定器で測定して、風速が増速したときに風車が風から採取した余剰のエネルギーを風車の回転速度を増速することによって風車自体の回転運動エネルギーとして蓄積し、風速が減速したときには風車の回転速度を減速して運動エネルギーを補填することによって、出力電力の平準化を実現する。
【0011】
本発明の出力電力変動抑制装置は、まず、風速情報を観測し、かかる風速において風車が回収することができる最大風車出力を瞬間可採風車出力として算出する。また、この瞬間可採風車出力を一定時間積算していわゆる移動平均を求めて、平均可採風車出力とする。この平均可採風車出力を、風車から電気エネルギーとして回収するための風車出力指令値とする。続いて、瞬間可採風車出力から平均可採風車出力を減算して差分を求める。風車あるいは発電機の回転速度を用いて風車の回転エネルギーを算出し、これに瞬間可採風車出力と平均可採風車出力の差分を加えたエネルギー量を発生する回転速度を算出して指令回転速度とし、指令回転速度で風車が回転するようインバータをベクトル制御する。
【0012】
風速が増速したときは、差分が正になって風車速度が平均可採風車出力を実現する回転速度より大きくなるが、電力エネルギーとして採取する風車出力は平均可採風車出力のみであるため、エネルギーが風車回転エネルギーとして風車自体に蓄積される。逆に、風速が減速した時は差分が負となるため、蓄積された風車回転エネルギーを消費して平均可採風車出力からの不足分を補償する。
このように、自然エネルギーである風力の変動を、風車ロータの回転エネルギーとして貯蓄、放出することで吸収し、発電量の変動を緩和することができる。
【0013】
本発明の風車発電機の出力電力変動抑制装置は、インバータにおけるPWMコンバータをベクトル制御する。インバータ制御装置が、指令回転数と実際の回転数の差から、平均可採風車出力に基づく指令回転数を実現するための指令トルクを算出し、トルク指令電流を決定してインバータに入力する。PWMコンバータの電流特性をベクトル制御することにより発電機のトルクと回転数を正確に制御し、発電機ロータとロータ同士が繋がっている風車の回転数を指令回転数に正確に追随させる。
【0014】
また、本発明の風車発電機の出力電力変動抑制装置は、二次磁束を制御し、電気的損失を極小化するようにしてもよい。一般的に、誘導発電機のベクトル制御では、二次磁束を一定として制御を行っている。このため、二次磁束を維持するために、不必要な励磁電力を消費し続けるという欠点を有している。そこで、入力トルクに応じて二次磁束を適切に制御することで効率を改善する。
インバータ制御装置により、トルク値に応じて電気的損失が極小になるような二次磁束指令値を算出し、座標変換を行ってd−q軸の指令電圧を決定する。
【0015】
本発明の風車発電機の出力電力変動抑制装置は、従来設備に特別の装置を付加しなくても、各構成機器に組み込まれた制御論理に必要な論理を追加ないし修正することによって十分構成することができる。本発明の風車発電機の出力電力変動抑制装置は、短時間に風速が変動した場合には良好な平準化効果を有する。本発明の出力電力変動抑制装置は、風車出力の変動を抑制するので、長時間にわたる出力平準化のために併設すべき設備の容量低減やコスト低減にも効果を発揮する。
なお、本発明の風車発電機の出力電力変動抑制装置は、ベクトル制御が適用できるような永久磁石同期発電機など他の種類の発電機や、風車と発電機の間に増速機を介装したものにも適用ができることは言うまでもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を用い実施例に基づいて本発明の風力発電機の出力電力変動抑制装置を詳細に説明する。
図1は本実施形態に用いる風力発電装置の概略図である。風車ブレード1の風車軸2に増速機3を介して誘導発電機4が接続されている。誘導発電機4はPWMコンバータ5とPWMインバータ6で構成されるインバータを経て電力系統7に電気的に接続されている。風車ブレード1の前方に風速計8が配されており出力制御系9に風速情報Vwを入力している。風車によって得られる風力エネルギーは増速機3を介して誘導発電機4に伝達される。誘導発電機4は、ロータリーエンコーダによってロータの位置・回転速度情報が正確に把握され、PWMコンバータによって速度制御されている。
【0017】
図1中に現れる他の記号の意味は次の通りである。R0:風車ブレード半径、Tw:風車トルク、Tlw:風車負荷トルク、Rn:増速比、Tlm:発電機負荷トルク、Tm:発電機トルク、ωw:風車回転速度、ωm:発電機回転速度、Pw:風車エネルギー、Pin:発電機入力エネルギー、Pout:発電機出力エネルギー、ia、ib:電流値、V*abc:指令電圧。
【0018】
図1に示す風力発電装置の挙動を式にしたがって説明する。
風車ブレード1の半径をR0とすると、ブレードの回転面積はπR02となる。風速Vwの風が風車を吹き抜けた場合、風の持つエネルギーが全て風車回転トルクに変換されたとすれば、空気密度をρとしてその入力エネルギーPwindは(1)式で表される。
Pwind =1/2・ρπR02Vw3・・・・・・・・・・(1)
このときの風車入力トルクTwindは(2)式で表される。
Twind=1/2・ρπR03Vw2・・・・・・・・・・(2)
【0019】
風車の一般的特性を表す指標として風車出力係数Cpや風車トルク係数Ctがあり、プロペラ型風車の場合には以下の式で近似できる。
Ct=αλ2+βλ+γ・・・・・・・・・・・・・(3)
Cp=λCt=Pw/Pwind ・・・・・・・・・・・・(4)
ただし、α、β、γ:ブレードの大きさや形状・枚数・ピッチ角により定まる係数、λ=R0ωw/Vw:周速比。
【0020】
風車トルク係数Ctを用いて実際に風車から取り出せるトルクTwを表すと(5)式となる。
Tw=1/2・CtρπR03Vw2・・・・・・・・・(5)
この風車トルクを受けたときの風車の運動方程式は(6)式で表される。
Tw=Twind−Tf
=Jwdωw/dt+Tlw ・・・・・・・・・・(6)
ただし、Tf:風車の損失トルク、Jw:風車の慣性モーメント。
【0021】
風車の損失トルクTfは風車損失係数K0、K1、K2を用いて(7)式で与えられる。
Tf=K0Vw2+K1Vwωw+K2ωw2・・・・・・・(7)
風車損失係数K0、K1、K2は(8)〜(10)式で表される。
K0=1/2・ρSR0(1−γ)・・・・・・・・(8)
K1=−1/2・ρSR02ζ ・・・・・・・・・・(9)
K2=−1/2・ρSR03ξ ・・・・・・・・・(10)
ただし、S=πR02:ブレード回転面積、γ、ζ、ξ:風車のブレードの大きさ、形、枚数、ピッチ角によって決まる係数。
K0、K1、K2は風車の形状によって決まる係数であり、風車損失トルクが下に凸になること、すなわち、風車損失トルクTfが極小値をとり効率が最高になる風車回転速度ωwが存在すること、を表す近似パラメータである。
【0022】
(2)、(5)式より、Tfは(11)式でも表せる。
Tf=Twind−Tw
=(1−Ct)Twind・・・・・・・・・・・・(11)
また、増速比Rnを用いると、風車と発電機の回転速度およびトルクの関係はそれぞれ(12)、(13)式となる。
ωm=Rnωw ・・・・・・・・・・・・・・・・(12)
Tlm=−1/Rn・Tlw ・・・・・・・・・・・(13)
【0023】
(6)式より、風車の運動方程式は(14)式として得られる。
Twind=Jwdωw/dt+Tf+Tlw・・・・・・(14)
最終的に、発電機への機械的入力Pwは(15)式となる。
Pw=Twωw=−Tmωm ・・・・・・・・・・・(15)
【0024】
本実施形態の風力発電機の出力電力変動抑制装置は、風速の変動に基づく出力変動を風車の慣性を利用して吸収し、電力系統に供給する電力を平準化する。風速が増速したときに風車の回転速度を増速することによって風車自体の回転運動エネルギーとして蓄積し、風速が減速したときには風車の回転速度を減速して(発電機の出力を増やして回転速度を減速させる)運動エネルギーを放出することによって、出力電力の平準化を実現する。
【0025】
図2は、本実施形態の風力発電機の出力電力変動抑制装置における、回転速度決定システムの構成図である。また、図3は、本実施形態の風力発電機の出力電力変動抑制装置における制御システム構成図である。
出力制御系は、風車出力演算装置10、平均値演算器11、回転速度演算装置12、風車回転エネルギー演算装置13、およびインバータ制御装置20で構成される。また、インバータ制御装置20は、速度制御部21、二次磁束制御部22、電流制御部23、座標変換器24により構成される。
【0026】
風車出力演算装置10が、風速計8で観測した風速情報から以下の手順で瞬間可採風車出力Pmaxを算出する。定常状態における風車出力Pwは、(2)、(7)式の関係より風車回転速度ωwの3次関数となる。
Pw=(Twind−Tf)ωw
=(1/2・ρπR03−K0)Vw2ωw−K1Vwωw2−K2ωw3
・・・・(16)
【0027】
ここで(16)式において、dPw/dωw=0とすると、ある風速Vwのときに風車出力Pwが極大となるような風車の最適回転速度ωwoptが(17)式で求められる。
ωwopt=[−K1VW+{(K1VW)2
−3K2(1/2・ρπRo3−Ko)VW2}1/2]/3K2
・・・・・・(17)
このときの発電機最適回転速度ωmoptは、増速比をRnとすると(18)式になる。
ωmopt=Rnωwopt・・・・・・・・・・・・・・(18)
【0028】
風車の最適回転速度ωwoptを式(16)に代入することによって、風車の可採最大出力Pmaxが得られる。
Pmax=Twωwopt
=(1/2・ρωR03−K0)Vw2ωwopt−K1VWωwopt2−K2ωwopt3
・・・・・・・・・・(19)
平均値演算器11が可採最大出力Pmaxの積分区間Tにおける平均値、すなわち平均可採風車出力を算出して風車出力指令値P*とする。
P*=∫tt−TPmaxdt/T・・・・・・・・・・(20)
ただし、t:現在時間、T:積分区間
【0029】
瞬間可採風車出力Pmaxと平均可採風車出力P*との差ΔPを風車ロータの増速に使って回転運動エネルギーEとして蓄積し、または風車ロータの減速に使って風車ロータから取り出す。
現状における風車の運動エネルギーEは、風車と連動する発電機の回転角や回転速度を検出するセンサの出力を用い、風車回転エネルギー演算装置13により(21)式を使って求められる。
E=1/2・Jωw2・・・・・・・・・・・・・(21)
【0030】
風車回転速度指令値ωw*は、回転速度演算装置12において、瞬間可採風車出力Pmaxと平均可採風車出力P*の差ΔPと、風車回転速度の増減に伴って増減する風車回転エネルギーEの現在値とを加えて求めた回転運動エネルギー指令値E*に基づき(22)式により算定される。
ωw*=(2E*/J)1/2・・・・・・・・・・・(22)
さらに、発電機回転速度指令値ωm*は増速比Rnを用いて(23)式により決定される。
ωm*=Rn(2E*/J)1/2 ・・・・・・・・・(23)
インバータ制御装置20により、発電機の回転速度ωmを発電機回転速度指令値ωm*になるように制御することで、風車の回転速度ωwを回転速度指令値ωw*に追従させることができる。
【0031】
風車1で回収して回転運動に変換された風力エネルギーは増速機3を介してかご型誘導発電機4に伝達される。また、計測して得た風速情報と同定した風車損失係数とを用いて発電機ロータの最適回転速度ωmoptを決定し、PWMコンバータ5によって発電機4をベクトル制御する。
【0032】
ベクトル制御された誘導発電機4の運動方程式を等価直流機として表すと(24)式となる。
Jmdωm/dt+Dmωm+Tl'=Te=KTiqs*・・・(24)
ただし、Dm:誘導機の制動係数、Jm:慣性係数、Tl'=PTL−KTeiq:等価外乱トルク、KT=3/2・P/2・Lm/Lr(Lridr*+Lmids*):起電力係数。
【0033】
速度制御部21は、速度演算装置12から入力される指令速度ωm*に対する実際の速度ωmの偏差(eω=ωm−ωm*)に対し比例積分制御器(PI制御器)を作用させ(25)式に基づいて誘導発電機4に対する指令トルクTm*を決定する。
Tm*=kPωeω+kIω∫eωdt・・・・・・・・・(25)
ここで、kPω:比例係数、kIω:積分係数。
さらに、Tm*を用いてトルク指令電流iqs*を(26)式で決定する。
iqs*=1/KT(Jmdωm*/dt+Dωm*+Tlm−αeω)・・(26)
ただし、KT:トルク出力係数、α:フィードバックゲイン。
【0034】
また、二次磁束制御部22は、誘導発電機4の入力トルクを基に、二次磁束を発生させる励磁電流を制御し、電気的損失を極小化する機能を持つ。
一般に誘導器のベクトル制御では、二次磁束を一定として制御を行っている。しかし、このことは二次磁束を維持するために不必要な励磁電流を流し続けることによる損失が生じるという欠点を有している。そこで、入力トルクTeに応じて二次磁束を適切に制御することによって効率を改善する。電気的全損失Plossは式(27)で決まる。
Ploss=(Rs+Rm)/(Lm2+a2)・Ψr2
+2aRs/(Lm2+a2)・Te/P
+[{Rs(Lr2+a2)+Lr2Rm}/(M2+a2)+Rr]
・Te2/P2Ψr−2・・・・・・・・・・(27)
ただし、a=Rm/ωm
【0035】
ここでは、電気的損失Plossは一次銅損、二次銅損および鉄損の和とし、漂遊負荷損、機械損およびインバータ損は考慮していない。(27)式は二次磁束Ψrの関数となっており、この二次磁束Ψrを変化させることにより損失Plossを調整することができる。この損失を最小とする二次磁束の条件を求めると(28)式のようになる。
Ψropt=[{Rs(Lr2+a2)+RmLr2+Rr(Lm2+a2)}
/(Rs+Rm)]1/4(Te/P)1/2・・・・・・(28)
この最高効率条件を満たす二次磁束Ψroptを指令値として制御に用いる。
【0036】
回転座標変換器24において、2次鎖交磁束の方向がd軸と一致するようにθを定めると、Ψdr=Ψr、Ψqr=0となる。このときΨとidsの関係は(29)式となる。
ids=1/Lm・(1+Lr/Rr・P)Ψr ・・・・(29)
ここで、ids*=ids、Ψr*=Ψdrとして磁束指令電流の制御入力とする。
【0037】
電流制御部23において、速度制御部21にて求めたiqs*と二次磁束制御部22にて求めたids*および実際の電流値id、iqを入力とし、PI制御器によってd−q軸の指令電圧を次式のように得る。
vd*=kPieid+kIi∫eiddt・・・・・・・・(30)
vq*=kPieiq+kIi∫eiqdt・・・・・・・・(31)
ここで、kPi:電流誤差に対する比例ゲイン、kIi:積分ゲイン、eid=id*−id:d軸電流誤差、eiq=iq*−iq:q軸電流誤差。
この指令電圧vd*、vq*を回転座標変換器24で座標変換して得た指令電圧vabc*によりPWMコンバータ5を制御して発電機回転速度ωmを制御し、指令回転速度ωm*に追随させることにより、電気的損失Plossは最小になる。
【0038】
本実施形態の風力発電機の出力電力変動抑制装置を模擬システムに関してシミュレーションを行った結果を図4〜図14に示す。図15にパラメータ値を示す。図4〜図14はシミュレーション結果について、以下の指標をグラフ化したものである。図4:風速、図5:発電機回転速度、図6:風車運動エネルギー、図7:発電機トルク、図8:風車出力トルクと発電機トルクの差、図9:風車出力係数、図10:最大出力電力関数、図11:出力電力平準化関数、図12:出力変動、図13:出力電力、図14:風速と出力電力変動範囲の関係。
【0039】
なお、風力発電システムの平準化性能を評価する評価関数として、図10に表した最大出力電力関数*Pmaxと図11に表した出力電力平準化関数*Plevelはそれぞれ式(32)、(33)にて求められる。
*Pmax=∫0tPout(t)dt・・・・・・・・・(32)
*Plevel=∫0t|dPout(t)/dt|dt・・・(33)
最大出力電力関数*Pmaxは風力発電システム出力電力Poutを積分したものであり、値が大きいほど出力電力効率が高いことを示す。一方、出力電力平準化関数*PlevelはPoutの微分値の絶対値を取って積分したものであり、値が小さいほど出力電力の変動量が少ない。
【0040】
図4に示した風速は実測値に基づくもので、風速計によって正確に測定されて遅れ無しに制御器に供給されているものとする。図7に示した発電機トルクは発電機の電気的トルクを示しており、図8で発電機トルクとの比較に用いた風車出力トルクは風車が風から得た機械的トルクである。図12に示した出力変動の値は出力電力を時間微分して求めている。図14の風速と出力電力変動範囲の関係は、各風速における出力電力の変動範囲を示したものであり、縦幅が小さいほど同じ風速における出力電力の変動が小さいことを示している。
【0041】
従来一般的に用いられている最大電力点追従制御(MPPT)により運転される風力発電システムと比較するため、各図中にMPPTについてシミュレーションした結果を破線で示している。実線は本実施形態の風量発電機の出力電力変動抑制装置による運転をシミュレーションした結果を示す。
【0042】
実測データに基づく風速(図4)を用いてシミュレーションを行った結果、図5より、本実施形態の風速発電機の出力電力変動抑制装置はMPPTを適用した場合と比較して風車回転速度を大きく変動させていることが確認できる。特に、風速が高くなった時に風車回転速度を大きく増速させている。このことから、風速が高い状態の時に風車が風から得たエネルギーをすぐに発電機へと送出せず風車運動エネルギーとしてエネルギーを蓄積していることがわかる。また図6より、風速が低くなってから回転速度を落として運動エネルギーを放出することによって風速に起因する出力変動を風車の運動エネルギーとして吸収していると考えられる。その結果、図11,12,13に見るように、出力電力の変動を抑制できていることがわかる。
【0043】
また、図8より、本実施形態の出力電力変動抑制装置はMPPTを使用した場合と比較して風車出力トルクと発電機トルクとの差が小さくなっていることが確認できる。したがって、本実施形態のシステムを使用した場合、風車と発電機を接続する風車軸および増速機にかかる剪断応力を軽減できる。
【0044】
図9より、風車出力係数はMPPTを適用した場合ほぼ0.4で一定であったのに対し、本実施形態では風速が大きくなった際にエネルギーを出力せずに回転エネルギーとして蓄えたことから出力係数が小さくなっている。また、図10より、本実施形態の手法を用いた場合でも最大出力電力量は大きく減少していないことがわかる。
【0045】
さらに、図14より、低速領域では出力電力の変動にさほど大きな差はないものの、高風速領域においては本実施形態の出力電力変動抑制装置を用いた場合に出力電力の変動範囲が狭くなっている。
以上のように、本実施形態の風力発電機の出力電力変動抑制装置により、風力発電システムの出力電力の変動を抑制することが確認できる。
【0046】
本発明の風力発電機の出力電力変動抑制装置は、従来の風力発電システムに特別の装置を追加することなく、制御装置の演算論理を変更するだけで風力発電システムの出力電力の変動を抑制することができる。したがって、併設する補償設備の容量を低減することができ、安価に生産電力の品質を向上することができる。
なお、本発明の出力電力変動抑制装置は、ベクトル制御が適用できる永久磁石同期発電機など他の種類の発電機や、風車と発電機の間に増速機を介装したものにも適用ができることは言うまでもない。
【0047】
本発明の出力電力変動抑制装置において、風車回転運動にエネルギー蓄積することによって得られる出力平準化効果は短時間の風速が変動した場合には十分有効であることがわかる。ただし、風車はその特性から最適回転速度以上の高速回転をするときには損失が大きくなるので、長時間に亘ってエネルギーを蓄積して平準化することは簡単ではない。しかし、本実施形態に係る出力電力変動抑制装置により出力変動が抑制できるので、より高度な出力電力平準化のために併設すべき設備について、容量低減やコスト低減などの利便をもたらすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本実施形態に用いる風力発電装置の概略図である。
【図2】本実施形態における、回転速度決定システムの構成図である。
【図3】本実施形態の風力発電機出力電力変動抑制装置のシステム構成図である。
【図4】シミュレーションに適用した風速変化のグラフである。
【図5】シミュレーションによる発電機回転速度のグラフである。
【図6】シミュレーションによる風車運動エネルギーのグラフである。
【図7】シミュレーションによる発電機トルクのグラフである。
【図8】シミュレーションによる風車出力トルクと発電機トルクの差のグラフである。
【図9】シミュレーションによる風車出力係数のグラフである。
【図10】シミュレーションによる最大出力電力関数のグラフである。
【図11】シミュレーションによる出力電力平準化関数のグラフである。
【図12】シミュレーションによる出力電力変動のグラフである。
【図13】シミュレーションによる出力電力のグラフである。
【図14】シミュレーションによる風速と出力電力変動範囲のグラフである。
【図15】シミュレーションに用いたパラメータ値を示す表である。
【符号の説明】
【0049】
1 風車ブレード
2 風車軸
3 増速機
4 誘導発電機
5 PWMコンバータ
6 PWMインバータ
7 電力系統
8 風速計
9 出力制御系
10 風車出力演算装置
11 平均器
12 回転速度演算装置
13 風車回転エネルギー演算装置
20 インバータ制御装置
21 速度制御部
22 二次磁束制御部
23 電流制御部
24 座標変換器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力を回転エネルギーに変換する風車、該風車の風車軸に接続された誘導発電機、該誘導発電機をベクトル制御するインバータで構成される風力発電機において、風速測定器、風車出力演算装置、風車回転エネルギー演算装置、回転速度演算装置およびインバータ制御装置を備え、該風速測定器が該風車に当たる風の風速を測定して風速測定値を出力し、該風車出力演算装置が該風速測定値に基づいて該風車が該風力から回収可能な最大値である瞬間可採風車出力を算出し該瞬間可採風力出力の一定時間内の平均可採風車出力との差分を算出し、該風車回転エネルギー演算装置が該風車の回転速度から風車回転エネルギーを算定し、該回転速度演算装置が該風車回転エネルギーと該差分を加えたエネルギー量を発生する回転速度を指令回転速度として算定し、該インバータ制御装置がベクトル演算により該指令回転速度を実現するためのトルク指令電流を算出し該インバータを該トルク指令電流を発生するよう調整して発電機回転速度を制御することを特徴とする風力発電機の出力電力変動抑制装置。
【請求項2】
前記誘導発電機がかご型誘導発電機であることを特徴とする請求項1記載の風力発電機の出力電力変動抑制装置。
【請求項3】
前記インバータ制御装置が、ベクトル制御により電気的損失を極小化するように二次磁束を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の風力発電機の出力電力変動抑制装置。
【請求項1】
風力を回転エネルギーに変換する風車、該風車の風車軸に接続された誘導発電機、該誘導発電機をベクトル制御するインバータで構成される風力発電機において、風速測定器、風車出力演算装置、風車回転エネルギー演算装置、回転速度演算装置およびインバータ制御装置を備え、該風速測定器が該風車に当たる風の風速を測定して風速測定値を出力し、該風車出力演算装置が該風速測定値に基づいて該風車が該風力から回収可能な最大値である瞬間可採風車出力を算出し該瞬間可採風力出力の一定時間内の平均可採風車出力との差分を算出し、該風車回転エネルギー演算装置が該風車の回転速度から風車回転エネルギーを算定し、該回転速度演算装置が該風車回転エネルギーと該差分を加えたエネルギー量を発生する回転速度を指令回転速度として算定し、該インバータ制御装置がベクトル演算により該指令回転速度を実現するためのトルク指令電流を算出し該インバータを該トルク指令電流を発生するよう調整して発電機回転速度を制御することを特徴とする風力発電機の出力電力変動抑制装置。
【請求項2】
前記誘導発電機がかご型誘導発電機であることを特徴とする請求項1記載の風力発電機の出力電力変動抑制装置。
【請求項3】
前記インバータ制御装置が、ベクトル制御により電気的損失を極小化するように二次磁束を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の風力発電機の出力電力変動抑制装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−25028(P2010−25028A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−188922(P2008−188922)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【出願人】(504145308)国立大学法人 琉球大学 (100)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【出願人】(504145308)国立大学法人 琉球大学 (100)
【Fターム(参考)】
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