説明

風力発電機の尾翼の製造方法

【課題】本発明は、空気流体力学に符号する外形をもつとともに、一体成形され軽量化された中空状の風力発電機の尾翼の製造方法を提供する。
【解決手段】金型の中間に金型空洞を設け、金型空洞の適切な箇所に、金型の外部まで貫通する少なくとも一つのゲートを設け、次に、ゲートから適量の溶融樹脂を金型の金型空洞内に流し込み、金型を回転させ、その遠心力を利用して樹脂を金型空洞の周縁の側壁に均一に付着させ、樹脂が冷卻して固化してから、金型を開けて型抜きをすると、空気流体力学に符号した外形をもち一体成形された中空状の風力発電機尾翼が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は風力発電機の尾翼の製造方法に関し、特に、空気流体力学に符号する外形をもつとともに、一体成形され軽量化された中空状の尾翼の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電機を使用する際、ファンの方向を常に風に向き合うように保つことで、その最良の効果を発揮することができ、最大エネルギーを得ることができる。また、そのファンの方向の制御方法は、能動式と受動式の二種類の方法がある。能動式は、風力発電機に風向き検出装置を設け、モーターでシステムを回転させることにより風力発電機の方向を変える。これらの設備の構造は複雑でありコストも高くなる。従って、大多数は大型の風力発電機に使用される。また、小型の風力発電機は、ほとんどが受動式の制御方法を採用しており、主に尾翼を利用してファンが風の方向に向くように調整し、最大の風力エネルギーを得る。尾翼の材料には、亜鉛めっき板を採用するか、樹脂で直立状の薄板を成型し機体に固定する。
【0003】
上述したように、小型風力発電機は、その尾翼が動くことにより、風向きが変化した時に風力発電機の方向が風に向かいあうように調整されるが、この尾翼は直立面の設計になっているため、風向きが変化したときの感知が遅く、従って風向きが安定している場所以外への使用は適さない。しかも、この尾翼をもつ風力発電機は、横から突風がきたときに、尾翼もその影響を受けて回転し、ファンの方向も瞬間的に変わり、ファンの回転が遅くなったり止まったりする。この欠点は、風力発電機の発電効果に大きな影響を及ぼす。
【0004】
この種の風力発電機は、その使用範囲が広く、幅広い消費者の支持を受けている。このため、小型風力発電機は生活圏の場所、例えば、街灯、庭園、ビルの屋上などに使用されているが、これらの場所はいずれも都会にあり、都会には障害物となる建築物が多いため、風向きが安定せず気流も乱れ、発電機の従来の尾翼構造では発電効果が低く理想的とはいえない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、空気流体力学に符号した外形をもち、風力発電機のファンが安定して風に向き合うように正確且つ素早く調整することができ、風力エネルギーの利用効率を向上させるとともに、風力発電機に最良の効果を発揮させる風力発電機の尾翼の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、軽量化された構造をもつことによって風力発電機の機体の前と後の重量バランスをとり、機体底部の回転軸受の負荷を軽くするとともに、軸受の使用効果と使用寿命を向上させることができる風力発電機の尾翼の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明の風力発電機の尾翼の製造方法は、金型の中間に金型空洞を設け、金型空洞の適切な箇所に、金型の外部まで貫通する少なくとも一つのゲートを設け、次に、ゲートから適量の溶融樹脂を金型の金型空洞内に流し込み、金型を回転させ、その遠心力を利用して樹脂を金型空洞の周縁の側壁に均一に付着させ、樹脂が冷卻して固化してから、金型を開けて型抜きをすると、空気流体力学に符号した外形をもち一体成形された中空状の風力発電機尾翼が形成される。そして、軽量化された尾翼を風力発電機機体の尾側に取り付けると、一体成形された尾翼と機体前方のファンの重量が均衡してバランスがよくなり、機体底部の回転軸受の負荷を軽くできるだけでなく、軸受の回転効果と使用寿命も向上させることができ、また、機体前方のファンが安定して風に向き合うように正確且つ素早く制御することができ、風力発電機に最良の効果を発揮させ、最大のエネルギーを得させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明を使用した状態を示した説明図である。
【図2】本発明の金型を制作する工程を示した分解図である。
【図3】本発明の金型を型締めした後の状態を示した斜視図である。
【図4】図2の断面図である。
【図5】本発明の射出成形の工程を示した説明図である。
【図6】射出成形の状態を示した断面図である。
【図7】本発明の型抜きの工程を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1から図7に示すように、本発明による風力発電機の尾翼の製造方法は、「金型製作」と、「射出成形」と、「型抜き」との工程からなる。以上の工程により、空気流体力学に符号した外形をもつ一体成形の尾翼3が形成される。本発明の好ましい実施例において、図1に示すように、尾翼3は、その前側に連結端部31が設けられ、後側に直立状の主翼32が設けられる。主翼32下方の両側はそれぞれ延伸して側翼33を形成し、連結端部31の後方には縮小段部34が設けられ、縮小段部34の外輪郭線は、主翼32及び側翼33と一続きに繋がっている。また、底部の両側翼33が相互に交差する箇所は、平滑な弧状溝35(図7に図示)を形成し、それにより空気流体力学に符号する流線構造をもつ尾翼が構成される。さらに、連結端部31の内側には凹部36が設けられ、凹部36の外縁には複数の凹溝37が設けられ、各凹溝37内には、それぞれ、凹部36まで貫通する螺合孔38が設けられる。それにより、本発明の尾翼3を、螺合部材を用いて風力発電機の機体4の後側の結合部41に固定することができ、その前側に設けられたファン5と相互に重量のバランスがとれた状態になる。さらに、機体4下方に設けられた回転軸部42と、支持柱6の上端の固定部61間内に設けられた軸受(図示せず)とを回転軸にすることで、尾翼3の整流作用により、ファン5を常に風に向かうように調整し、最大の風力エネルギーを得ることができる。また、それと同時に、機体4内部とファン5に連結された発電ユニット(図示せず)によって、ファン5が回転する際の機械エネルギーを電気エネルギーに変換して出力する。
【0010】
図2から図7を参照しつつ、本発明の尾翼の製造における金型製作工程、射出成形工程、型抜き工程を以下に説明する。
【0011】
a、金型製作:まず、尾翼3の外形に応じた金型1を成型させる。本実施例における金型1は、上下の二つの金型ブロック11、11aによってなる。尾翼3の外形のパーティングラインに基づいて、各金型ブロック11、11aには、それぞれ金型空洞12、12aが設けられ、片側の金型空洞12には、少なくとも、金型ブロック11の外部まで貫通するゲート13が設けられ、金型1における尾翼3の連結端部31が成形される位置には挿入金型14が設けられ、それにより、連結端部31内側の凹部36と、凹部36周縁の凹溝37が形成され、凹溝37内には螺合孔38が形成される。また、金型1における尾翼3下方の両側翼33が成形される位置には挿入金型15が設けられ、それにより、両側翼33の底部は弧状溝35が形成される(図6に図示)。そして、金型ブロック11、11aと挿入金型14、15を組み合わせることにより、尾翼3を成形させる金型1が構成される(図2から図4に図示)。
【0012】
b、射出成形:金型1を型締めした後、適量の溶融樹脂2をゲート13から金型1の金型空洞12、12a内に流し込み、金型1を回転させ(図5に図示)、その遠心力によって樹脂2を金型空洞12、12a周縁の側壁に均一に付着させると、軽量化された中空状の尾翼3が形成される(図6に図示)。この製造過程において、流し込む溶融樹脂の量を変えることにより、成形される尾翼3の壁の厚さを調整することができ、ひいては尾翼3の強度と重量を調整することができる。
【0013】
c、型抜き:中空状の尾翼3の樹脂が冷却して固化された後、金型1を開き、尾翼3の樹脂を金型から外すことにより、空気流体力学に符号した外形をもつ一体成形の尾翼3が完成する(図7に図示)。
【0014】
以上から分かるように、本発明による風力発電機の尾翼構造は以下の利点をもつ。
【0015】
1、本発明の尾翼構造は、空気流体力学に符号した外形をもっているため、四方八方からくる風を受けた時に、風向きの変化を素早く感知し、ファンが安定して風に向かい合うように正確且つ素早く調整することができ、横からの突風の影響をうけない。したがって、風向きが一定でなく気流が安定しない場所で使用しても、最良の効果が得られる状態に保持することができる。
【0016】
2、本発明の尾翼構造は軽量化されているため、風力発電機の回転部の回転軸受の負荷が軽くなり、風力発電機が回転する時にさらに速く回転させることができ、軸受の回転効果を向上させることができる。また、尾翼とファンの重量を均等化させることにより、軸受が回転する際に更にバランスよくスムーズになり、軸受の使用寿命を向上させることができる。
【符号の説明】
【0017】
1 金型
11、11a 金型ブロック
12、12a 金型空洞
13 ゲート
14、15 挿入金型
2 樹脂
3 尾翼
31 連結端部
32 主翼
33 側翼
34 縮小段部
35 弧状溝
36 凹部
37 凹溝
38 螺合孔
4 機体
41 結合部
42 回転軸部
5 ファン
6 支持柱
61 固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型製作工程と、射出成形工程と、型抜き工程とからなる風力発電機の尾翼の製造方法において、
金型製作工程では、金型ブロックに、尾翼を成型させるための金型空洞を設け、金型ブロックの適切な箇所に、金型空洞内まで貫通するゲートを設け、
射出成形工程においては、適量の溶融樹脂を、金型のゲートから金型空洞内に流し込み、金型を回転させ、その遠心力を利用して樹脂を金型空洞の周縁の側壁に均一に付着させ、中空状の尾翼を形成させ、
型抜き工程では、樹脂を冷却させ固化させた後、さらに金型を開いて、樹脂からなる尾翼を金型から取り外し、
以上の工程により、空気流体力学に符号する外形をもち、中空状で軽量化された一体成型の尾翼が完成することを特徴とする、風力発電機の尾翼の製造方法。
【請求項2】
前記尾翼の金型は、上、下の二つの金型ブロックからなり、その金型によって製造される風力発電機の尾翼の前側には連結端部が設けられ、後側には直立状の主翼が設けられ、主翼下方の両側は延伸して側翼を形成し、連結端部の後方には縮小段部が設けられ、縮小段部の外輪郭線は主翼及び側翼と一続きに繋がっており、底部の両側翼が相互に交差する箇所は平滑な弧状溝を形成することを特徴とする、請求項1に記載の風力発電機の尾翼の製造方法。
【請求項3】
前記金型における尾翼の連結端部が成型される箇所には、挿入金型が設けられ、それにより、尾翼の連結端部には凹部が形成され、凹部の外側の周縁には複数の凹溝が形成され、各凹溝内には、凹部まで貫通する螺合孔が形成されることを特徴とする、請求項1に記載の風力発電機の尾翼の製造方法。
【請求項4】
前記金型における尾翼下方の両側翼が成型される箇所には挿入金型が設けられ、それにより、尾翼の後側の底部は平滑な弧状溝が形成されることを特徴とする、請求項2に記載の風力発電機の尾翼の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−236819(P2011−236819A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109196(P2010−109196)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(509285285)元皓能源股▲分▼有限公司 (2)
【Fターム(参考)】