説明

食品の状態変化方法

【課題】 簡単にしかもエネルギ効率よく食品の状態変化を行うことができる食品の状態変化方法を提供すること。
【解決手段】 食品Fの内部に少なくとも1本の中空針13を挿入し、この中空針13に形成されている供給口20を介して前記食品Fの内部に食品Fの状態を変化させうる流体を注入させるようにした方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を加熱、冷却、乾燥あるいは加湿させたりして食品の状態を変化させる食品の状態変化方法に係り、特に、食品をその内部から加熱、冷却、乾燥あるいは加湿させたりして食品の状態を変化させる食品の状態変化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から食品を加熱、冷却、乾燥あるいは加湿させたりして食品の状態を変化させるには、加熱源、冷却源、乾燥源あるいは加湿源内に食品を設置するか、あるいは、前述した各種源に食品を対向させるかして、食品の状態を変化させるようにしていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前述した従来の食品の状態変化方法においては、外部から食品の状態を変化させるようにしていたため、食品の状態を変化させるのに大がかりな装置を必要としたし、また、エネルギ効率が悪かった。
【0004】
そこで、本発明は、簡単にしかもエネルギ効率よく食品の状態変化を行うことができる食品の状態変化方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した目的を達成するため、本発明の食品の状態変化方法の特徴は、食品の内部に少なくとも1本の中空針を挿入し、この中空針に形成されている供給口を介して前記食品内部に食品の状態を変化させうる流体を注入させるようにした点にある。そして、このような構成を採用したことにより、食品に挿入した中空針の供給口から食品内部に食品の状態を変化させうる流体を注入して食品の状態を変化させることができる。
【0006】
本発明の他の食品の状態変化方法の特徴は、前記流体が加熱源とされている点にある。そして、このような構成を採用したことにより、加熱源により食品を内部から加熱することができる。
【0007】
本発明の他の食品の状態変化方法の特徴は、前記加熱源が蒸気または温水とされている点にある。そして、このような構成を採用したことにより、蒸気または温水により食品を内部から加熱することができる。
【0008】
本発明の他の食品の状態変化方法の特徴は、前記流体が冷却源とされている点にある。そして、このような構成を採用したことにより、冷却源により食品を内部から冷却することができる。
【0009】
本発明の他の食品の状態変化方法の特徴は、前記冷却源が食品を冷凍させないように冷却する冷媒とされている点にある。そして、このような構成を採用したことにより、食品を内部から冷凍させないように冷却することができる。
【0010】
本発明の他の食品の状態変化方法の特徴は、前記冷却源が食品を冷凍させるように冷却する冷媒とされている点にある。そして、このような構成を採用したことにより、食品を内部から冷凍させるように冷却することができる。
【0011】
本発明の他の食品の状態変化方法の特徴は、前記流体が乾燥源とされている点にある。そして、このような構成を採用したことにより、食品を内部から乾燥させることができる。
【0012】
本発明の他の食品の状態変化方法の特徴は、前記乾燥源が熱風または冷風とされている点にある。そして、このような構成を採用したことにより、熱風または冷風により食品を内部から乾燥させることができる。
【0013】
本発明の他の食品の状態変化方法の特徴は、前記流体が加湿源とされている点にある。そして、このような構成を採用したことにより、食品を内部から加湿することができる。
【0014】
本発明の他の食品の状態変化方法の特徴は、前記加湿源が蒸気とされている点にある。そして、このような構成を採用したことにより、蒸気により食品を内部から加湿することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る食品の状態変化方法によれば、簡単にしかもエネルギ効率よく食品の状態変化を行うことができる。
【0016】
すなわち、本発明の食品の状態変化方法によれば、食品に挿入した中空針の供給口から食品内部に食品の状態を変化させうる流体を注入して、食品の内部から効率よく食品の状態を変化させることができる。
【0017】
また、前記流体が加熱源とされていることにより、加熱源により食品を内部から効率よく加熱することができる。
【0018】
さらに、前記加熱源が蒸気または温水とされていることにより、蒸気または温水により食品を内部から効率よく加熱することができる。
【0019】
さらにまた、前記流体が冷却源とされていることにより、冷却源により食品を内部から効率よく冷却することができる。
【0020】
また、前記冷却源が食品を冷凍させないように冷却する冷媒とされていることにより、食品を内部から冷凍させないように効率よく冷却することができる。
【0021】
さらに、前記冷却源が食品を冷凍させるように冷却する冷媒とされていることにより、食品を内部から冷凍させるように効率よく冷却することができる。
【0022】
さらにまた、前記流体が乾燥源とされていることにより、食品を内部から効率よく乾燥させることができる。
【0023】
また、前記乾燥源が熱風または冷風とされていることにより、食品を内部から効率よく乾燥させることができる。
【0024】
さらに、前記流体が加湿源とされていることにより、食品を内部から効率よく加湿することができる。
【0025】
さらにまた、前記加湿源が蒸気とされていることにより、蒸気により食品を内部から効率よく加湿することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
まず、本発明の食品の状態変化方法の一例としての食品を加熱するとともに加湿する加熱加湿方法を実施するための加熱加湿装置により本発明を説明する。
【0027】
図1は、前記加熱加湿装置の全体の概略を示すものであり、この加熱加湿装置1は、水を加熱して蒸気を発生するためのボイラ2を有している。このボイラ2は、ケーシング3を有しており、このケーシング3内の下部には、図示しない燃料により燃焼されるバーナ4が配設されている。また、このバーナ4の上方となる前記ケーシング3の下部には、燃焼室5が形成されている。さらに、前記燃焼室5の上方の前記ケーシング3内には、前記燃焼室5と隔壁3aにより隔離されたタンク6が形成されている。
【0028】
前記タンク6には、前記ケーシング3に接続されている水供給管7が連通されており、この水供給管7には、この水供給管7を開閉する開閉弁8が介装されている。また、前記タンク6の上端部には、前記ケーシング3に接続されている蒸気供給管9が連通されており、この蒸気供給管9には、この蒸気供給管9を開閉する開閉弁10が介装されている。
【0029】
一方、食品を加熱および加湿する加熱加湿ヘッド11が前記ボイラ2の外側に配設されている。この加熱加湿ヘッド11は、ケーシング12を有しており、このケーシング12の下方には、整列配置され前記ケーシング12内に支持されている複数のほぼ円筒形状の中空針13,13…の先端部が臨んでいる。各中空針13は、その外径を比較的細く、特に好ましくは、2〜4mm程度とされ、食品に刺さりやすく形成されている。
【0030】
前記ケーシング12の上端には、このケーシング12を昇降させるための流体圧シリンダ14のピストンロッド15が接続されており、この流体圧シリンダ14を操作することにより前記ケーシング12が前記複数の中空針13とともに同期的に昇降されるようになっている。
【0031】
前記ケーシング12には、蒸気を前記各中空針13に供給するために前記蒸気供給管9の先端部が接続されており、この蒸気供給管9の先端部には、前記ケーシング12の昇降によっても蒸気が漏洩しないようにするため蛇腹管16が接続されている。
【0032】
前記各中空針13の上端部は、前記ケーシング12内においてカバー17により気密および液密に保持されており、前記蛇腹管16の先端は前記カバー17に接続され、蛇腹管16内の蒸気を前記カバー17内に供給するようになっている。
【0033】
なお、前記各中空針13は、前記カバー17の下方に配設されている基板18にそれぞれ保持されている。
【0034】
前記各中空針13の一例が図2に示されている。この図2の中空針13Aには、蒸気を供給する内部空所19が先端に至るまで形成されており、前記中空針13Aの先端には、蒸気供給口20Aが形成されている。なお、前記中空針13Aの先端は、軸線方向に対し斜めに削落され、食品に刺しやすいように尖端21Aとされている。
【0035】
前記各中空針13の他例が図3に示されている。この図3の中空針13Bには、蒸気を供給する内部空所19が先端にまで到達しないように形成されており、前記中空針13Bの先端部の周壁には、前記内部空所19とそれぞれ連通する複数の蒸気供給口20B,20B…が形成されている。なお、前記中空針13Bの先端は、食品に刺しやすいように円柱台形状の尖端21Bとされている。
【0036】
一方、前記加熱加湿ヘッド11の下方には、加熱ならびに加湿される食品Fを搬送するコンベア22が配設されており、このコンベア22上を搬送される食品Fを前記加熱加湿ヘッド11の下方において停止させてこの食品Fに蒸気を注入するようになっている。
【0037】
つぎに、前述した構成からなる本実施形態の作用について説明する。
【0038】
食品Fを加熱および加湿する前に、タンク6内の水をバーナ4の熱により蒸発させてタンク6の上部に蒸気を貯留しておく。
【0039】
このような状態において、食品Fが載置されているコンベア22を搬送して、加熱および加湿される食品Fが加熱加湿ヘッド11の直下に到達したら、コンベア22の走行を停止させる。そして、加熱加湿ヘッド11を支持している流体圧シリンダ14を駆動して加熱加湿ヘッド11を下降させ、加熱加湿ヘッド11から下方に臨んでいる中空針13の少なくとも一部を食品Fに刺す。前記中空針13は、中空針13A(図2)および中空針13B(図3)のいずれであってもよい。
【0040】
そして、蒸気供給管9に介装されている開閉弁10を開いて、蒸気を蒸気供給管9から加熱加湿ヘッド11のカバー17内に供給する。すると、この蒸気は、中空針13の上端から内部空所19内に導入され、中空針13の蒸気供給口13A,13Bを介して、食品F内に注入される。したがって、食品Fは、内部に供給された蒸気の熱により加熱されるとともに、蒸気の湿度により加湿されることになる。なお、前記中空針13の移動中あるいは静止中のいずれの状態で蒸気を食品Fに注入してもよい。
【0041】
このように本実施形態によれば、食品Fを手軽にしかもエネルギ効率よく短時間で内部から加熱および加湿することにより食品Fの状態を均一に変化させることができる。また、外径の細い中空針13を刺して蒸気を注入するので、食品F内からうまみ成分が流出するおそれがなく、食品Fの品質を維持することができる。
【0042】
なお、前述した実施形態においては、蒸気を用いて食品Fを加熱および加湿するように説明したが、食品Fを加熱する場合、食品Fの種類にもよるが、温水により加熱するようにしてもよい。また、場合によっては、中空針13を導電性材料により形成して、電流を食品Fに流して、電気的抵抗材料を具材として含む食品Fを加熱するようにしてもよい。この場合にも、食品F内からうまみ成分が流出するおそれがなく、食品Fの品質を維持することができる。
【0043】
さらに、食品Fを冷却する場合には、水、冷風などを中空針13を介して食品Fに注入することにより食品Fを内部から冷却することができる。食品F内からうまみ成分が流出するおそれがなく、食品Fの品質を維持することができる。
【0044】
さらにまた、食品Fを乾燥する場合には、熱風あるいは冷風などを中空針13を介して食品Fに注入することにより食品Fを内部から乾燥することができる。
【0045】
また、食品Fを冷凍する場合には、窒素ガスその他食品Fに影響を与えない冷媒を中空針13を介して食品Fに注入することにより食品Fを内部から冷凍することができる。
【0046】
さらに、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る食品の状態変化方法の一例としての食品の加熱加湿方法を実施するための加熱加湿装置の実施形態を示す概略説明図
【図2】図1の中空針の実施形態を示す正面図
【図3】図1の中空針の他の実施形態を示す正面図
【符号の説明】
【0048】
1 加熱加湿装置
2 ボイラ
3 ケーシング
4 バーナ
5 燃焼室
6 タンク
7 水供給管
8 開閉弁
9 蒸気供給管
10 開閉弁
11 加熱加湿ヘッド
12 ケーシング
13,13A,13B 中空針
14 流体圧シリンダ
15 ピストンロッド
16 蛇腹管
17 カバー
18 基板
19 内部空所
20A,20B 蒸気供給口
21A,21B 尖端
22 コンベア
F 食品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品の内部に少なくとも1本の中空針を挿入し、この中空針に形成されている供給口を介して前記食品内部に食品の状態を変化させうる流体を注入させるようにしたことを特徴とする食品の状態変化方法。
【請求項2】
前記流体が加熱源とされていることを特徴とする請求項1に記載の食品の状態変化方法。
【請求項3】
前記加熱源が蒸気または温水とされていることを特徴とする請求項2に記載の食品の状態変化方法。
【請求項4】
前記流体が冷却源とされていることを特徴とする請求項1に記載の食品の状態変化方法。
【請求項5】
前記冷却源が食品を冷凍させないように冷却する冷媒とされていることを特徴とする請求項4に記載の食品の状態変化方法。
【請求項6】
前記冷却源が食品を冷凍させるように冷却する冷媒とされていることを特徴とする請求項4に記載の食品の状態変化方法。
【請求項7】
前記流体が乾燥源とされていることを特徴とする請求項1に記載の食品の状態変化方法。
【請求項8】
前記乾燥源が熱風または冷風とされていることを特徴とする請求項7に記載の食品の状態変化方法。
【請求項9】
前記流体が加湿源とされていることを特徴とする請求項1に記載の食品の状態変化方法。
【請求項10】
前記加湿源が蒸気とされていることを特徴とする請求項9に記載の食品の状態変化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−209300(P2007−209300A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−35131(P2006−35131)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【出願人】(395014563)
【Fターム(参考)】