説明

食品または飲料の容器のための印加電流防食

印加電流防食を使用して食品または飲料の容器(例えば、缶)を防食するための技法が本明細書で全般的に説明される。さまざまな実施形態では、容器は、少なくとも1つの導電性ベッドに受け入れられることが可能であり、各ベッドは補助アノードを有する。次いで、容器は、電源の第1の端子(例えば、負)に電気的に結合されてもよく、アノードは、電源の第2の端子(例えば、正)に電気的に結合されてもよい。その結果として、防食電流は、アノードによって容器に供給されることが可能になる。他の実施形態が開示され請求されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2009年11月25日に出願された「Enclosing Manufacture with a Magnesium Sacrificial Anode for Corrosion Protection」という名称の米国特許出願第12/625,962号に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書で別段示されない限り、本節に記載の材料は、本出願における特許請求の範囲より前の技術ではなく、本節に含まれることによって従来技術であることを認めているわけではない。
【0003】
スチールおよびアルミの食品/飲料の缶を腐食から保護するために、ビスフェノールA(BPA)ベースのフェノールエポキシコーティングを使用することができる。時間の経過につれて、BPAは食品/飲料内に放出され得る。この放出に関しては健康上の問題があり得る。
【0004】
長い間腐食条件にさらされる缶以外のスチール構造は、カソード防食されてきた。通常、スチール表面の電位は、表面の電位が均一になるまで、より負に分極され(プッシュされ)得る。その段階で、腐食反応の原動力が低減または停止され得る。印加電流カソード防食システムは、交流(AC)を直流(DC)に変換することによってスチールを防食することができる。例えば、パイプライン防食システムは、10〜50アンペアおよび50ボルトの最大定格DC出力を有するAC電力整流器を含むことができる。正のDC出力端子は、ケーブルを介して、地中に埋められたアノード(しばしば不活性黒鉛)のアレイ(接地されたアノード)に接続されてもよい。多くの用途では、アノードは、深さ60メートル(200フィート)、直径25センチメート(10インチ)の垂直の穴内に設置され、導電性コークスで埋め戻される。
【発明の概要】
【0005】
食品または飲料のいくつかの容器を電源によって供給される印加電流で防食するための方法および装置に関連する実施形態が本明細書で開示される。さまざまな実施形態では、食品または飲料のいくつかの容器を電源によって供給される印加電流で防食するための方法は、容器を電源の第1の端子に電気的に結合することと、導電性ベッドに関連付けられたアノードを電源の第2の端子に電気的に結合することとを含むことができる。各容器は、導電性ベッドの対応する開口に位置することができ、印加電流のための導電路が、容器の少なくとも一部を通って第1の端子と第2の端子との間に形成されてもよい。さまざまな実施形態では、容器を電気的に結合することは、1つの導電性ベッドに入れられた容器のサブセットを別の導電性ベッドに入れられた容器の別のサブセットに電気的に結合することを含むことができる。さまざまな実施形態では、いくつかの容器を電気的に結合することは、いくつかのスチール容器またはアルミ容器を電気的に結合することを含むことができる。さまざまな実施形態では、本方法は、導電性ベッドに関連付けられた別のアノードを電源の第2の端子に電気的に結合すること、容器を少なくとも1つの導電性ベッドの開口に入れること、または容器を少なくとも1つの導電性ベッドの開口に入れることをさらに含むことができる。
【0006】
さまざまな実施形態では、食品または飲料のいくつかの容器を電源によって供給される印加電流で防食する方法は、いくつかの開口および少なくとも1つのアノードを有する少なくとも1つの導電性ベッドを受け入れることと、いくつかの容器を少なくとも1つの導電性ベッドの対応する開口に入れることとを含むことができる。容器が電源の第1の端子に電気的に結合され、少なくとも1つのアノードが電源の第2の端子に結合されたとき、入れる動作は、容器が貯蔵中に防食されることを可能にすることができる。印加電流のための導電路が、容器の少なくとも一部を通って第1の端子と第2の端子との間に同様に形成されてもよい。さまざまな実施形態では、本方法は、容器を電源の第1の端子に、および少なくとも1つのアノードを電源の第2の端子に、電気的に結合することをさらに含むことができる。
【0007】
さまざまな実施形態では、食品または飲料のいくつかの容器を電源によって供給される印加電流で防食する方法は、か焼粉コークス(calcined coke breeze)を有する材料で、食品または飲料のいくつかの容器を受け入れるように構成されたいくつかの開口を有する少なくとも1つの導電性ベッドを形成することと、少なくとも1つの導電性ベッドを織られた多孔性ジャケットで被覆することとを含むことができる。さまざまな実施形態では、本方法は、電源の第1の端子と第2の端子との間に印加電流のための導電路が形成されることを可能にするために、少なくとも1つの導電性ベッドに少なくとも1つのアノードを提供することをさらに含むことができる。容器は、電源の第1の端子に電気的に結合されてもよく、少なくとも1つのアノードは電源の第2の端子に結合される。少なくとも1つのアノードの作用を提供することは、少なくとも1つのアノードを黒鉛または白金被覆チタンの不活性材料で形成することと、少なくとも1つのアノードを導電性ポリマーで被覆することとを含むことができる。
【0008】
さまざまな実施形態では、食品または飲料のいくつかの容器を電源によって供給される印加電流で防食するための方法は、少なくとも1つのアノードを黒鉛または白金被覆チタンの不活性材料で形成することと、少なくとも1つのアノードを導電性ポリマーで被覆することとを含むことができる。少なくとも1つのアノードは、いくつかの容器を受け入れるためのいくつかの開口を有する少なくとも1つの導電性ベッドと共に使用されるように構成されてもよい。容器の少なくとも一部が電源の第1の端子に電気的に結合されたとき、印加電流のための導電路が、容器の一部を通って電源の第1の端子と第2の端子との間に形成されてもよく、少なくとも1つのアノードは電源の第2の端子に電気的に結合されてもよい。
【0009】
さまざまな実施形態では、食品または飲料のいくつかの容器を電源によって供給される印加電流で防食するための装置は、いくつかの容器を受け入れるように構成された少なくとも1つの導電性ベッドと、電源の第1の端子に電気的に結合されるように構成された少なくとも1つのアノードとを含むことができる。容器が電源の第2の端子に電気的に結合されたとき、印加電流のための導電路が、容器の少なくとも一部を通って第1の端子と第2の端子との間に形成される。さまざまな実施形態では、少なくとも1つの導電性ベッドは、容器を受け入れるように構成されたいくつかの開口を含むことができる。少なくとも1つの導電性ベッドは、か焼粉コークスの材料を含むことができる。導電性ベッドは、織られた多孔性ジャケットでさらに被覆されてもよい。少なくとも1つのアノードは、黒鉛または白金被覆チタンの不活性材料を含むことができる。少なくとも1つのアノードは、導電性ポリマーの被覆をさらに含むことができる。さまざまな実施形態では、装置は、容器を相互にまたは電源の第2の端子に電気的に結合するように構成されたいくつかのワイヤをさらに含むことができる。装置は、電源をさらに含むことができ、電源は、DC電源、またはAC電力をDC電力に変換するように構成された整流器のうちの選択されたものでよい。
【0010】
さまざまな実施形態では、食品または飲料のいくつかの容器を電源によって供給される印加電流で防食するための装置は、容器を受け入れるように構成された導電性ベッドを含むことができる。導電性ベッドは、容器を受け入れるためのいくつかの開口と、か焼粉コークスの材料と、織られた多孔性ジャケットの被覆とを含むことができる。導電性ベッドは、容器が電源の第1の端子に電気的に結合され、少なくとも1つのアノードが電源の第2の端子に電気的に結合されたとき、容器に印加電流防食(impressed current protection)を提供するために少なくとも1つのアノードと共に使用されるように構成されてもよい。さまざまな実施形態では、装置は、少なくとも1つのアノードをさらに含むことができる。アノードは、黒鉛または白金被覆チタンの不活性材料で構成され、導電性ポリマーで被覆されてもよい。
【0011】
さまざまな実施形態では、食品または飲料のいくつかの容器を電源によって供給される印加電流で防食するための装置は、少なくとも1つのアノードを含むことができる。アノードは、黒鉛または白金被覆チタンの不活性材料で構成され、導電性ポリマーで被覆されてもよい。少なくとも1つのアノードは、容器が電源の第1の端子に電気的に結合され、少なくとも1つのアノードが電源の第2の端子に結合されたとき、少なくとも1つの導電性ベッドに入れられた容器に印加電流防食を提供するために少なくとも1つの導電性ベッドと共に使用されるように構成される。少なくとも1つの導電性ベッドは、容器を受け入れるためのいくつかの開口を含むことができる。
【0012】
さまざまな実施形態では、食品または飲料の容器を防食するための装置は、第1の方向に配置されたいくつかの導電性ベッドを含むことができる。各導電性ベッドは、容器を受け入れるためのいくつかの開口と、か焼粉コークスの材料と、織られた多孔性ジャケットの被覆とを含むことができる。装置は、第1の方向と直角の第2の方向に配列され、容器が電源の負の端子に電気的に結合されたとき、容器に防食電流を供給するために電源の正の端子に結合されるように構成された、いくつかのアノードをさらに含むことができる。アノードは、黒鉛または白金被覆チタンの不活性材料および導電性ポリマーの被覆を含むことができ、導電性ベッドを通り抜ける。さまざまな実施形態では、装置は、容器を相互にまたは電源の負の端子および/または電源自体に電気的に結合するためにいくつかのワイヤをさらに含むことができる。電源は、DC電源、またはAC電力をDC電力に変換するように構成された整流器のうちの選択されたものを含むことができる。
【0013】
前述の概要は、単に例示的であり、決して限定的であることを意図するものではない。上記の例示的態様、実施形態、および特徴に加えて、さらなる態様、実施形態、および特徴が、添付の図面および以下の詳細な説明を参照することによって明らかになるであろう。
【0014】
主題は、本明細書の末尾において具体的に指摘され明確に特許請求される。本開示の上記および他の特徴は、添付の図面と併せて読めば、以下の説明および添付の特許請求の範囲から、より十分に明らかになるであろう。これらの図面は、本開示による例示的実施形態を示すのみであり、したがって、本開示の範囲を限定するとみなされるべきではないことを理解されたい。本開示は、添付の図面を使用することによってさらに具体的かつ詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本開示のさまざまな実施形態に従って用意された、食品または飲料の容器のための印加電流防食の概要を例示するブロック図である。
【図2】本開示のさまざまな実施形態に従って用意された、アノードを有する導電性ベッドを例示する図である。
【図3】本開示のさまざまな実施形態に従って用意された、アノードを有する導電性ベッドの配列を例示する図である。
【図4】本開示のさまざまな実施形態に従って用意された、アノードを有する他の導電性ベッドを例示する図である。
【図5】本開示のさまざまな実施形態に従って用意された、アノードを有する導電性ベッドの他の配列を例示する図である。
【図6】本開示のさまざまな実施形態に従って用意された、食品または飲料の容器のための印加電流防食の方法を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の説明は、特許請求された主題の徹底的な理解を提供するために具体的な詳細と共にさまざまな例を記述する。しかし、特許請求された主題は、本明細書で開示されるいくつかまたはそれ以上の具体的な詳細なしに実施され得ることが当業者には理解されるであろう。さらに、いくつかの状況では、よく知られている方法、手順、システム、構成要素および/または回路は、特許請求された主題を不必要に不明瞭にしないように詳細には説明されていない。「発明を実施するための形態」では、本明細書の一部を形成する添付の図面が参照される。それらの図面では、文脈により別段示されない限り、通常、同様の符号は同様の構成要素を識別する。「発明を実施するための形態」、図面、および特許請求の範囲に記載されている例示的実施形態は、限定的ではないものとする。本明細書で提示された主題の趣旨または範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用されてもよく、他の変更が行われてもよい。本明細書で全般的に説明され、図面に例示されているような本開示の態様は、多種多様な異なる構成で配列、置換、結合、および設計されてもよく、それらはすべて明示的に企図され、本開示の一部を成すことが容易に理解されるであろう。
【0017】
本明細書では、印加電流防食を使用して食品または飲料の容器(例えば、缶)を防食するための技法が全般的に説明される。さまざまな実施形態では、容器は少なくとも1つの導電性ベッドに受け入れられてもよく、各導電性ベッドは補助アノードを有する。次いで、容器は電源の第1の端子(例えば、負)に電気的に結合されてもよく、アノードは電源の第2の端子(例えば、正)に電気的に結合されてもよい。その結果として、以下でさらに説明されるように、防食電流がアノードによって容器に供給され得る。他の実施形態が開示され特許請求され得る。
【0018】
ここで図1を参照すると、これは、本開示の実施形態による食品または飲料の容器のための印加電流防食を例示するブロック図である。例示されているように、食品または飲料の容器110は、補助アノード(1つまたは複数)104を有する導電性ベッド(1つまたは複数)102によって受け入れられ得る。次に、食品または飲料の容器110は、電源108の端子、例えば負の端子に電気的に結合されてもよく、アノード(1つまたは複数)104は、電源108の他方の端子、例えば正の端子に電気的に結合されてもよい。その結果として、カソード(容器外面)およびアノードにおける反応によって、アノード(104)は、防食電流106を食品または飲料の容器110に供給することができる。
【0019】
カソードにおける反応(還元)(容器外面)は、化学式、
2HO+O+4e=4OH (1)
によって特徴づけられてもよいが、一方、アノードにおける反応(酸化)は、化学式、
2HO=O+4H+4e (2)
によって特徴づけられてもよい。
すなわち、カソードにおいて、容器外側に存在する水分(2HO)および酸素(O)は、4電子(4e)と結合して、容器外面上にヒドロキシルイオン(4OH)を還元し形成し得る(式(1))。一方、アノードにおいて、水分(2HO)は、容器外面上に存在する酸素(O)および水素(4H)の酸化によって容器外面上に形成され得る(式(2))。
【0020】
さまざまな実施形態では、食品または飲料の容器110は、トマトジュース、グレープフルーツジュースなどの酸性食品または飲料を含むがそれらに限定されないさまざまな食品または飲料を缶詰にするように設計されたスチール缶でもアルミ缶でもよい。スチール缶またはアルミ缶では、缶は、食品または飲料を保護するための被覆を有してもよく、有しなくてもよい。さまざまな実施形態では、電源102は、例示されているように、DC電源でよい。代替実施形態では、電源102は、AC電源をDC電源に変換する整流器でよい。導電性ベッド(1つまたは複数)102およびアノード(1つまたは複数)104の実施形態は、形成される配列および関連する方法を含めて、残余の図を参照しながら以下でさらに説明される。
【0021】
さまざまな実施形態では、容器のパレットは、約120mVのカソード分極が与えられる。その電圧レベルでは、スチール容器またはアルミ容器の補正率(correction rate)は、3桁(3x)程度(as much as three (3x) orders of magnitude)低減され得る。
【0022】
図2は、本開示の少なくともいくつかの実施形態によって配列された、アノードを有する導電性ベッドを例示する。例示された実施形態では、導電性ベッド202は、容器を受け入れるためのいくつかの開口206を備えてもよい。さまざまな実施形態では、開口206は、さまざまなサイズの容器に対応するためにさまざまな大きさを有してもよい。これらの実施形態では、導電性ベッド202はまた、図示されているように、導電性ベッド202の片側でアノード204と結合されてもよい。以下でさらに説明されるように、追加のアノード204が利用され、導電性ベッド202と結合されてもよい。
【0023】
さまざまな実施形態では、導電性ベッド202は、再利用可能でよい。さまざまな実施形態では、導電性ベッド202は、か焼粉コークスの材料で構成されてもよい。さまざまな実施形態では、導電性ベッド202の厚さは、もし所望の構造的強度があれば、それに応じてさまざまでよい。代替実施形態では、同様の構造的および/または電気的特性を有する他の材料が、代わりに利用されてもよい。さまざまな実施形態では、導電性ベッド202はまた、織られた多孔性ジャケットの被覆を備えてもよい。
【0024】
さまざまな実施形態では、アノード204は、黒鉛または白金被覆チタンの不活性材料で構成されてもよい。さまざまな実施形態では、アノード204の大きさは、所望の防食電流の量または強度に応じてさまざまでよい。所望の防食電流の量または強度は、容器のサイズおよび材料に依存してもよい。代替実施形態では、同様の構造的および/または電気的特性を有する他の材料が、代わりに利用されてもよい。さまざまな実施形態では、アノード204はまた、導電性ポリマーで被覆されてもよい。アノード204を導電性ポリマーで被覆することは、用途のために必要とされるアノードの数を低減することができる。
【0025】
図3は、本開示の少なくともいくつかの実施形態によって配列された、アノードを有する導電性ベッドの配列を例示する。例示されているように、これらの実施形態では、配列300は、いくつかの導電性ベッド302を含むことができる。導電性ベッド302は、導電性ベッド202に関して前に説明したように、いくつかの開口を備えてよく、材料で構成されてよく、および/または被覆されてよい。導電性ベッド302は、隣接するベッド間の垂直間隔で垂直に配列されてもよい。さまざまな実施形態では、垂直間隔は、図示されているように、ワイヤ308が容器306を電源310の端子のうちの1つに、例えば負の端子に電気的に結合するために使用されることを可能にするように構成されてもよい。ワイヤ308は、任意の1つまたはいくつかのやり方で、例えば、ワイヤ308を容器306に巻きつける、またはワイヤ308を容器306にテープ留めすることによって、容器306に電気的に結合されてもよい。さまざまな実施形態では、隣接するベッド302の容器306は、他の配列を介して、相互に電気的に結合されてもよい。例えば、さまざまな実施形態では、垂直間隔は、隣接するベッド302の受け入れられた容器306が金属シートを使用して相互に電気的に結合されることを可能にするために、金属シートの厚さであるように構成されてもよい。金属シートの厚さは、容器のサイズおよび/または重さに応じて変わることがある。さまざまな実施形態では、垂直間隔は、事実上存在せず、隣接するベッド302の受け入れられた容器306が接触し、それによって相互に結合され、次にその代わりに電源310の端子のうちの1つに電気的に結合されることを可能にするように構成されてもよい。
【0026】
図4は、本開示の少なくともいくつかの実施形態によって配列された、アノードを有する他の導電性ベッドを例示する。例示された実施形態では、導電性ベッド402は、容器を受け入れるためのいくつかの開口406を備えてもよい。さまざまな実施形態では、開口206と同様に、開口406は、さまざまなサイズの容器に対応するためにさまざまな大きさを有してもよい。これらの実施形態では、導電性ベッド402はまた、図示されているように導電性ベッド402上に配置されたいくつかのアノード404を備えてもよい。アノード404を除けば、導電性ベッド402は、導電性ベッド202に関して前に説明されたように、別のやり方で、材料で構成され、被覆されてもよい。
【0027】
図5は、本開示の少なくともいくつかの実施形態によって配列された、アノードを有する導電性ベッドの他の配列を例示する。配列500は、いくつかの導電性ベッド502およびアノード504を含む。配列300と同様に、ワイヤ508は、容器506およびアノード504を電源510に電気的に結合して、アノード504が防食電流を容器506に供給することができるようにするために利用される。同様に、代替実施形態では、前に説明されたように、導電性ベッド502は、隣接するベッド502の受け入れられた容器506が、その代わりに物理的および電気的に結合されることを可能にするために、垂直間隔で、または事実上垂直間隔なしで、垂直に配列されてもよい。
【0028】
図6は、本開示の少なくともいくつかの実施形態による、食品または飲料の容器のための印加電流防食の方法を例示する。方法600は、ブロック602、604、606、および/または608によって例示されているような1つまたは複数の動作、機能または処理を含むことができる。方法600は、ブロック602、「アノード(1つまたは複数)を有する導電性ベッド(1つまたは複数)を形成する、または受け入れる」において開始してもよい。ブロック602において、本開示の実施者、例えばメーカまたはボトラーは、導電性ベッド、アノード、および/またはアノード(1つまたは複数)を有する導電性ベッドの配列の前述の実施形態を形成する、または受け入れることができる。ブロック602から、方法600は、ブロック604、「容器を導電性ベッド(1つまたは複数)に入れるまたは受け入れる」に進んでよい。ブロック604において、本開示の実施者、例えば、ボトラー、食料雑貨商、または食品/飲料店舗経営者は、導電性ベッド、アノードおよび/またはアノード(1つまたは複数)を有する導電性ベッドの配列の前述の実施形態に容器を入れる、あるいはそれらに入れられた容器を受け入れることができる。
【0029】
ブロック604から、方法600は、ブロック606、「容器を電気的に結合する」に進んでよい。ブロック606において、本開示の実施者、例えばボトラー、食料雑貨商、または食品/飲料店舗経営者は、容器を電源の端子のうちの1つ、例えば負の端子に電気的に結合することができる。いくつかの実施形態では、結合することは、例えば、巻きつけること、テープ留めすること、またはその他のやり方でワイヤの一端を容器に固定することによって、ワイヤの一端を容器と接触させておくことを含むことができる。他の実施形態では、結合することは、隣接する導電性ベッド内の容器を電気的に結合することを含むことができる。ブロック606から、方法600は、ブロック608、「アノード(1つまたは複数)を電気的に結合する」に進んでよい。ブロック608において、本開示の実施者、例えばボトラー、食料雑貨商、または食品/飲料店舗経営者は、アノード(1つまたは複数)を電源の他方の端子、例えば正の端子に電気的に結合することができ、それによって、防食電流がアノードから容器に供給されることを可能にする。
【0030】
特許請求された主題の範囲は、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されない。本明細書では、特許請求された主題のさまざまな態様が下記に記載されている。説明のために、特許請求された主題の徹底的な理解を提供するために、特定の数、システムおよび/または構成が記述された。しかし、特許請求された主題が特定の詳細なしに実施され得ることは、本開示の利益を受ける当業者には明らかなはずである。他の場合には、よく知られている特徴は、特許請求された主題を不明瞭にしないように省略および/または簡略化された。本明細書では、いくつかの特徴が例示および/または説明されてきたが、多くの修正形態、代替形態、変更形態および/または同等形態が、現在または将来、当業者には思いつかれるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、特許請求された主題の真の趣旨の範囲内に入るようなすべての修正形態および/または変更形態をカバーすることを意図するものであることが理解されるべきである。
【0031】
本明細書に記載された主題は、さまざまなコンポーネントをしばしば例示しており、これらのコンポーネントは、他のさまざまなコンポーネントに包含されるか、または他のさまざまなコンポーネントに接続される。そのように図示されたアーキテクチャは、単に例示にすぎず、実際には、同じ機能を実現する多くの他のアーキテクチャが実装可能であることが理解されよう。概念的な意味で、同じ機能を実現するコンポーネントの任意の構成は、所望の機能が実現されるように効果的に「関連付け」される。したがって、特定の機能を実現するために組み合わされた、本明細書における任意の2つのコンポーネントは、アーキテクチャまたは中間のコンポーネントにかかわらず、所望の機能が実現されるように、お互いに「関連付け」されていると見ることができる。同様に、そのように関連付けされた任意の2つのコンポーネントは、所望の機能を実現するために、互いに「動作可能に接続」または「動作可能に結合」されているとみなすこともでき、そのように関連付け可能な任意の2つのコンポーネントは、所望の機能を実現するために、互いに「動作可能に結合できる」とみなすこともできる。動作可能に結合できる場合の具体例には、物理的にかみ合わせ可能な、および/もしくは物理的に相互作用するコンポーネント、ならびに/またはワイヤレスに相互作用可能な、および/もしくはワイヤレスに相互作用するコンポーネント、ならびに/または論理的に相互作用する、および/もしくは論理的に相互作用可能なコンポーネントが含まれるが、それらに限定されない。
【0032】
本明細書における実質的にすべての複数形および/または単数形の用語の使用に対して、当業者は、状況および/または用途に適切なように、複数形から単数形に、および/または単数形から複数形に変換することができる。さまざまな単数形/複数形の置き換えは、理解しやすいように、本明細書で明確に説明することができる。
【0033】
通常、本明細書において、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本体部)において使用される用語は、全体を通じて「オープンな(open)」用語として意図されていることが、当業者には理解されよう(例えば、用語「含む(including)」は、「含むがそれに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、用語「有する(having)」は、「少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、用語「含む(includes)」は、「含むがそれに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきである、など)。導入される請求項で具体的な数の記載が意図される場合、そのような意図は、当該請求項において明示的に記載されることになり、そのような記載がない場合、そのような意図は存在しないことが、当業者にはさらに理解されよう。例えば、理解の一助として、添付の特許請求の範囲は、導入句「少なくとも1つの(at least one)」および「1つまたは複数の(one or more)」を使用して請求項の記載を導くことを含む場合がある。しかし、そのような句の使用は、同一の請求項が、導入句「1つまたは複数の」または「少なくとも1つの」および「a」または「an」などの不定冠詞を含む場合であっても、不定冠詞「a」または「an」による請求項の記載の導入が、そのように導入される請求項の記載を含む任意の特定の請求項を、単に1つのそのような記載を含む発明に限定する、ということを示唆していると解釈されるべきではない(例えば、「a」および/または「an」は、通常、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味すると解釈されるべきである)。同じことが、請求項の記載を導入するのに使用される定冠詞の使用にも当てはまる。また、導入される請求項の記載で具体的な数が明示的に記載されている場合でも、そのような記載は、通常、少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきであることが、当業者には理解されよう(例えば、他の修飾語なしでの「2つの記載(two recitations)」の単なる記載は、通常、少なくとも2つの記載、または2つ以上の記載を意味する)。さらに、「A、BおよびC、などの少なくとも1つ」に類似の慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、およびCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBを共に、AおよびCを共に、BおよびCを共に、ならびに/またはA、B、およびCを共に、などを有するシステムを含むが、それに限定されない)。「A、B、またはC、などの少なくとも1つ」に類似の慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、またはCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBを共に、AおよびCを共に、BおよびCを共に、ならびに/またはA、B、およびCを共に、などを有するシステムを含むが、それに限定されない)。2つ以上の代替用語を提示する事実上いかなる離接する語および/または句も、明細書、特許請求の範囲、または図面のどこにあっても、当該用語の一方(one of the terms)、当該用語のいずれか(either of the terms)、または両方の用語(both terms)を含む可能性を企図すると理解されるべきであることが、当業者にはさらに理解されよう。例えば、句「AまたはB」は、「A」または「B」あるいは「AおよびB」の可能性を含むことが理解されよう。
【0034】
本明細書では、いくつかの例示的技法が、さまざまな方法、デバイスおよびシステムを使用して説明され示されてきたが、特許請求された主題から逸脱することなく、さまざまな他の修正が加えられてもよく、同等物が代替として使用されてもよいことは、当業者には理解されるはずである。さらに、本明細書に記載の中心概念から逸脱することなく、特定の状況を特許請求された主題の教示に適応させるために、多くの修正が加えられてもよい。したがって、特許請求された主題は、開示された特定の例に限定されるのではなく、そのような特許請求された主題は、添付の特許請求の範囲の範囲内に入るすべての実施形態、およびそれらの同等形態を含んでもよいことが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品または飲料の複数の容器を電源によって供給される印加電流で防食するための方法であって、
前記複数の容器を前記電源の第1の端子に電気的に結合することであって、前記複数の容器のそれぞれが導電性ベッドの対応する開口に位置する、ことと、
導電性ベッドに関連付けられたアノードを前記電源の第2の端子に電気的に結合することであって、前記印加電流のための導電路が、前記複数の容器の少なくとも一部を通って前記第1の端子と前記第2の端子との間に形成される、ことと
を含む方法。
【請求項2】
前記複数の容器を電気的に結合することは、1つの導電性ベッドに入れられた前記複数の容器のサブセットを別の導電性ベッドに入れられた前記複数の容器の別のサブセットに電気的に結合することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記導電性ベッドに関連付けられた別のアノードを前記電源の前記第2の端子に電気的に結合することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記容器を少なくとも1つの導電性ベッドの開口に入れることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
複数の容器を電気的に結合することは、複数のスチール容器またはアルミ容器を電気的に結合することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
食品または飲料の複数の容器を電源によって供給される印加電流で防食するための方法であって、
複数の開口および少なくとも1つのアノードを有する少なくとも1つの導電性ベッドを受け入れることと、
前記容器が電源の第1の端子に電気的に結合され前記少なくとも1つのアノードが前記電源の第2の端子に結合されたとき、前記容器が貯蔵中に防食されることを可能にするために、前記複数の容器を前記少なくとも1つの導電性ベッドの対応する開口に入れることであって、前記印加電流のための導電路が、前記複数の容器の少なくとも一部を通って前記第1の端子と前記第2の端子との間に形成される、ことと
を含む方法。
【請求項7】
前記容器を前記電源の前記第1の端子に、および前記少なくとも1つのアノードを前記電源の前記第2の端子に電気的に結合することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
食品または飲料の複数の容器を電源によって供給される印加電流で防食するための方法であって、
か焼粉コークスを含む材料で、食品または飲料の複数の容器を受け入れるように構成された複数の開口を有する少なくとも1つの導電性ベッドを形成することと、
前記少なくとも1つの導電性ベッドを織られた多孔性ジャケットで被覆することと、
前記容器が前記電源の前記第1の端子に電気的に結合され前記少なくとも1つのアノードが前記電源の前記第2の端子に結合されたとき、前記印加電流のための導電路が前記電源の第1の端子と第2の端子との間に形成されることを可能にするために、前記少なくとも1つの導電性ベッドのための少なくとも1つのアノードを提供することと
を含む方法。
【請求項9】
少なくとも1つのアノードを提供することは、
前記少なくとも1つのアノードを黒鉛または白金被覆チタンの不活性材料で形成することと、
前記少なくとも1つのアノードを導電性ポリマーで被覆することと
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
食品または飲料の複数の容器を電源によって供給される印加電流で防食するための方法であって、
少なくとも1つのアノードを黒鉛または白金被覆チタンの不活性材料で形成することと、
前記少なくとも1つのアノードを導電性ポリマーで被覆することとを含み、
前記少なくとも1つのアノードは、複数の容器を受け入れるための複数の開口を有する少なくとも1つの導電性ベッドと共に使用されるように構成され、前記複数の容器の少なくとも一部が前記電源の第1の端子に電気的に結合され前記少なくとも1つのアノードが前記電源の第2の端子に電気的に結合されたとき、前記印加電流のための導電路が、前記複数の容器の前記一部を通って前記電源の前記第1の端子と前記第2の端子との間に形成される、
方法。
【請求項11】
食品または飲料の複数の容器を電源によって供給される印加電流で防食するための装置であって、
複数の容器を受け入れるように構成された少なくとも1つの導電性ベッドと、
電源の第1の端子に電気的に結合されるように構成された少なくとも1つのアノードとを備え、前記容器が前記電源の第2の端子に電気的に結合されたとき、前記印加電流のための導電路が、前記複数の容器の少なくとも一部を通って前記第1の端子と前記第2の端子との間に形成される、
装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの導電性ベッドは、前記容器を受け入れるように構成された複数の開口を備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの導電性ベッドは、か焼粉コークスの材料を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
導電性ベッドは、織られた多孔性ジャケットでさらに被覆される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つのアノードは、黒鉛または白金被覆チタンの不活性材料を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つのアノードは、導電性ポリマーの被覆を含む、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記容器を相互にまたは前記電源の前記第2の端子に電気的に結合するように構成された複数のワイヤをさらに備える、請求項11に記載の装置。
【請求項18】
前記電源をさらに備え、前記電源が、DC電源、またはAC電力をDC電力に変換するように構成された整流器のうちの選択されたものである、請求項11に記載の装置。
【請求項19】
食品または飲料の複数の容器を電源によって供給される印加電流で防食するための装置であって、
前記複数の容器を受け入れるように構成された導電性ベッドを備え、前記導電性ベッドは、
前記容器を受け入れるための複数の開口と、
か焼粉コークスの材料と、
織られた多孔性ジャケットの被覆とを備え、
前記導電性ベッドは、前記容器が前記電源の第1の端子に電気的に結合され、少なくとも1つのアノードが前記電源の第2の端子に電気的に結合されたとき、前記少なくとも1つのアノードと共に使用され、印加電流防食を前記容器に提供するように構成される、
装置。
【請求項20】
前記少なくとも1つのアノードをさらに備え、アノードは、黒鉛または白金被覆チタンの不活性材料で構成され、導電性ポリマーで被覆される、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
食品または飲料の複数の容器を電源によって供給される印加電流で防食するための装置であって、
少なくとも1つのアノードを備え、
アノードは、黒鉛または白金被覆チタンの不活性材料で構成され、導電性ポリマーで被覆され、
前記少なくとも1つのアノードは、容器が前記電源の第1の端子に電気的に結合され、前記少なくとも1つのアノードが前記電源の第2の端子に電気的に結合されたとき、少なくとも1つの導電性ベッドと共に使用され、前記少なくとも1つの導電性ベッドに入れられた前記容器に前記印加電流防食を提供するように構成される、
装置。
【請求項22】
前記少なくとも1つの導電性ベッドは、前記容器を受け入れるための複数の開口を備える、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
食品または飲料の容器を防食するための装置であって、
第1の方向に配列される複数の導電性ベッドであって、各導電性ベッドが、前記容器を受け入れるための複数の開口と、か焼粉コークスの材料と、織られた多孔性ジャケットの被覆とを備える、複数の導電性ベッドと、
前記第1の方向と直角の第2の方向に配列され、前記容器が電源の負の端子に電気的に結合されたとき、前記容器に防食電流を供給するために前記電源の正の端子に結合されるように構成された複数のアノードとを備え、アノードは、黒鉛または白金被覆チタンの不活性材料と、導電性ポリマーの被覆とを備え、前記複数の導電性ベッドを通り抜ける、
装置。
【請求項24】
前記容器を相互にまたは前記電源の前記負の端子に電気的に結合するために複数のワイヤをさらに備える、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記電源をさらに備え、前記電源が、DC電源、またはAC電力をDC電力に変換するように構成された整流器のうちの選択されたものを含む、請求項23に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−510950(P2013−510950A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539088(P2012−539088)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【特許番号】特許第5145484号(P5145484)
【特許公報発行日】平成25年2月20日(2013.2.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/058038
【国際公開番号】WO2011/066411
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(509348786)エンパイア テクノロジー ディベロップメント エルエルシー (117)
【Fターム(参考)】