説明

食品包装袋

【課題】 封止のためのシール材を一回一回貼る作業の手間と時間を掛ける必要が無く、しかも食品包装袋を吊り下げているときにミシン目が切断してしまうのを防止する。
【解決手段】 表フィルム材10と、裏フィルム材20とによって包装袋本体1を形成して成る食品包装袋であって、裏フィルム材20と表フィルム材10との間に形成された食品投入用の開口部3を閉塞するよう、当該裏フィルム材20上端片に形成した切断用のミシン目23よりも下側位置に接着面部24を備える。接着面部24には、裏フィルム材20側に形成した吊り掛け用の一対の貫通孔22a、22aに対応して一対の貫通孔25b、25bを形成して成る剥離材25を貼着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おにぎりやサンドイッチ等の食品を包装する食品包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から食品包装袋としては、図6に示すように、上端辺が幅広で下端辺が幅狭となるよう相対向する短尺な斜辺と相対向する長尺な斜辺とを有して成る略六角形状に切断され、且つ幅狭側下端辺から矩形状の下側延片部2を有して成る、例えばポリプロピレン等の合成樹脂製の表フィルム材10と、これと略同一の六角形に加え、幅広側上端辺から略台形状の上側延片部22を有し、且つ幅狭側下端辺から若干長目に延びた矩形状の下側延片部21に開封用の一対のカット部21a、21aを形成すべくカットテープを貼着して成る、例えばポリプロピレン等の合成樹脂製の裏フィルム材20とを備えている。そして、両フィルム材10、20の短尺な斜辺同士、長尺な斜辺同士、幅狭側下端辺同士それぞれを熱融着し、且つ幅広側上端辺同士を開口させて食品挿入用の開口部3とした袋状に包装袋本体1を形成している。
【0003】
使用に際しては、裏フィルム材20の幅広側上端辺から延びた略台形状の上側延片部22に形成されている一対の貫通孔22a、22aに棒状掛止体30、30を挿入して包装袋本体1を安定保持させている。
【0004】
そして、包装袋本体1を下方へ引っ張ることで、裏フィルム材20の幅広側上端辺から延びた略台形状の上側延片部22における貫通孔22a、22aよりも下側に形成されているミシン目23で切断した後、開口部3から食品Pを挿入し、裏フィルム材20の幅広側上端辺を前方へ折り込み、表フィルム材10表面に重ね合わせてからその上からシール材32を貼って固定するものであった。そして、食するときには、裏フィルム材20における矩形状の下側延片部21のカット部21a、21aにおけるカットテープを引き抜いて裏フィルム材20側を開封するのであった。
【特許文献1】特になし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の食品包装袋では、シール材を一回一回貼る作業が必要なため、手間と時間が掛ってしまう。また、食品包装袋を吊り下げているときに自重あるいは下方へ僅かに引っ張られるだけでミシン目が切断し易いという問題点もあった。
【0006】
そこで、本発明は、叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、封止のためのシール材を一回一回貼る作業の手間と時間を掛ける必要が無く、しかも食品包装袋を吊り下げているときにミシン目が切断してしまうのを防止することができる食品包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するため、本発明にあっては、請求項1は、表フィルム材と裏フィルム材とによって包装袋本体を形成して成る食品包装袋であって、裏フィルム材と表フィルム材との間に形成された食品投入用の開口部を折り込み閉塞するよう、当該裏フィルム材上側延片部に形成された切断用のミシン目よりも下側位置に接着面部を設け、この接着面部に剥離材を貼着したことを特徴とする。
【0008】
請求項2にあっては、剥離材は、その下端に裏フィルム材の接着面部に貼着される折り込み部が形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3にあっては、剥離材および裏フィルム材は、その上側延片部に互いに対応するように一対の貫通孔がそれぞれ形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4にあっては、裏フィルム材の下側延片部に開封用の一対のカット部が上下方向へ切設されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5にあっては、裏フィルム材として一軸延伸処理がなされたポリプロピレン等製のフィルム材が使用され、カット部の切り込み方向への引き裂きが容易となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、封止のためのシール材を一回一回貼る作業の手間と時間を掛ける必要が無く、しかも食品包装袋を吊り下げているときにミシン目が簡単に切断してしまうのを防止することができる。
【0013】
すなわち、これは本発明が、裏フィルム材上側延片部を下方へ折り込んで表フィルム材との間に形成された食品投入用の開口部を折り込み閉塞するよう、当該裏フィルム材上側延片部に形成された切断用のミシン目よりも下側位置に接着面部を備え、この接着面部に剥離材が貼着されているからであり、これにより、剥離材と裏フィルム材の上端を吊持した状態で包装袋本体を下方へ引っ張って裏フィルム材のミシン目を切断すると共に、剥離材から剥してから、食品投入後裏フィルム材上側延片部を開口部を塞ぐようにして前方へ折り込み、表フィルム材表面に重ね合わせるだけで接着面部によって裏フィルム材を表フィルム材表面に容易に接着固定することができる。したがって、従来のようにシール材を一回一回貼る作業の手間と時間を掛ける必要が無くなる。
【0014】
また、剥離材は、その下端に裏フィルム材の接着面部に貼着される折り込み部が形成されているので、包装袋本体を下方へ引っ張った際に、剥離材下端の折り込み部が下方へ徐々に伸長されるため裏フィルム材の剥離材からの剥離が極めて円滑かつ簡単に行える。
【0015】
また、剥離材および裏フィルム材は、その上側延片部に互いに対応するように一対の貫通孔がそれぞれ形成されているため、両貫通孔に棒状掛止体を挿入して包装袋本体を安定保持させることができ、これによって食品包装袋を吊り下げているときにミシン目が不用意に切断してしまうのを防止することができる。
【0016】
さらに、裏フィルム材の下側延片部に開封用の一対のカット部が上下方向へ切設されているので、食品収納後の密封された袋をワンタッチで簡単に開封することができる。
【0017】
さらにまた、裏フィルム材として一軸延伸処理がなされたポリプロピレン等製のフィルム材が使用され、一対のカット部の切り込み方向への引き裂きが容易となっているので、カットテープを使用しなくともワンタッチで簡単に開封することができると共に、製品コストを廉価とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の一形態を説明すると、図において示される符号1は、例えばおにぎりやサンドイッチ等の食品Pを包装するための本発明の食品包装袋に係る包装袋本体であり、この包装袋本体1は、上端辺が幅広で下端辺が幅狭となるよう相対向する短尺な斜辺と相対向する長尺な斜辺とを有して成る略六角形状に切断され、且つ幅狭側下端辺から矩形状の下側延片部2を有して成る、例えばポリプロピレン等の透明合成樹脂製の表フィルム材10と、これと略同一の六角形に加え、幅広側上端辺から略台形部と略矩形部とから成る一連の上側延片部22を有し、且つ幅狭側下端辺から若干長目に延びた矩形状の下側延片部21に開封用の一対のカット部21a、21aを形成して成る透明合成樹脂製の裏フィルム材20とを備えている。尚、この裏フィルム材20には、一軸延伸処理がなされたポリプロピレン製のフィルム材が採用され、カット部21a、21aの切り込み方向への引き裂きが容易となっている。
【0019】
そして、両フィルム材10、20の短尺な斜辺同士、長尺な斜辺同士、幅狭側下端辺同士それぞれを熱融着し、且つ幅広側上端辺同士を開口させて食品挿入用の開口部3とした袋状に包装袋本体1が形成されている。
【0020】
また、裏フィルム材20の幅広側上端辺から延びた上側延片部22における略台形部と略矩形部との境目には切断用のミシン目23が形成されており、このミシン目23よりも下側で且つ裏フィルム材20の上側延片部22における略台形部の上側には、半固形状の粘着材が塗布されて成る接着面部24が帯状に形成され、この帯状の接着面部24に透明フィルム状の剥離材25を貼り付けてある。
【0021】
このとき剥離材25は、この一端折り込み部25aを内側にした状態で貼り付けることにより、包装袋本体1を下方へ引っ張った際に、接着面部24から剥離材25がスムーズに捲られるようにして剥離されるようにしてある。また、この剥離材25には裏フィルム材20の幅広側上端辺から延びた上側延片部22の矩形部側に形成されている一対の貫通孔22a、22aに対応して、一対の貫通孔25b、25bが形成されている。
【0022】
次に、本構成による包装袋本体1の使用について説明すると、図3に示すように、裏フィルム材20の上側延片部22の一対の貫通孔22a、22aと、剥離材25の一対の貫通孔25b、25bとを互いに貫通するように、それぞれに棒状掛止体30を挿入して包装袋本体1を安定保持させている。
【0023】
そして、包装袋本体1を下方へ引っ張ることで、裏フィルム材20の上側延片部22における貫通孔22a、22aよりも下側に形成されているミシン目23を切断すると、図4に示すように、剥離材25が接着面部24から剥がれて当該接着面部24が露出した状態となる。その後、開口部3から食品Pを投入、図5に示すように、裏フィルム材20の幅広側上側延片部22の台形部を開口部3を塞ぐようにして前方へ折り込み、表フィルム材10表面に重ね合わせることで接着面部24によって裏フィルム材20の上側延片部22の台形部が表フィルム材10表面に接着固定される。
【0024】
そして、食するときには、裏フィルム材20における矩形状の下側延片部21のカット部21a、21aを引き抜いて裏フィルム材20側を開封すれば良い。
【0025】
尚、包装袋本体1における開口部3の開口にはブロアーを使うこともできるが、手動によることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明を実施するための最良の形態を示す包装袋本体の正面図である。
【図2】同じく包装袋本体の背面図である。
【図3】同じく包装袋本体の縦断面図である。
【図4】同じく食品投入状態を示す正面図である。
【図5】同じく食品の包装完成状態の正面図である。
【図6】従来例における包装袋本体を示すもので、(a)は開口部開封状態の正面図、(b)は開口部から食品を投入する状態の正面図、(c)は開口部側をシール材で封止した状態の正面図、(d)は包装完成状態の背面図である。
【符号の説明】
【0027】
P 食品
1 包装袋本体
2 下側延片部
3 開口部
10 表フィルム材
20 裏フィルム材
21 下側延片部
21a カット部
22 上側延片部
22a 貫通孔
23 ミシン目
24 接着面部
25 剥離材
25a 折り込み部
25b 貫通孔
30 棒状掛止体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表フィルム材と裏フィルム材とによって包装袋本体を形成して成る食品包装袋であって、裏フィルム材と表フィルム材との間に形成された食品投入用の開口部を折り込み閉塞するよう、当該裏フィルム材上側延片部に形成された切断用のミシン目よりも下側位置に接着面部を設け、この接着面部に剥離材を貼着したことを特徴とする食品包装袋。
【請求項2】
剥離材は、その下端に裏フィルム材の接着面部に貼着される折り込み部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の食品包装袋。
【請求項3】
剥離材および裏フィルム材は、その上側延片部に互いに対応するように一対の貫通孔がそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の食品包装袋。
【請求項4】
裏フィルム材の下側延片部に開封用の一対のカット部が上下方向へ切設されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の食品包装袋。
【請求項5】
裏フィルム材として一軸延伸処理がなされたポリプロピレン等製のフィルム材が使用され、カット部の切り込み方向への引き裂きが容易となっている請求項1または請求項2記載の食品包装袋。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−123980(P2006−123980A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−315384(P2004−315384)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(591094262)鈴茂器工株式会社 (74)
【Fターム(参考)】