説明

食品用サシェ

サシェは、水溶性の食用ポリマー材料からなる少なくとも1枚の可撓性薄膜(10、18)から製造され、この膜は、サシェを定めるように成形されて食材(16)が充填され、対向する電極(12、20)間のRF溶接によりシールされて周囲シールを形成する。膜は澱粉からなるものとすることができる。サシェ及びその内容物は、飲食又は調理前に切って開封する必要なく、水に加えられる。例えば、食材は、コーヒーの粉或いは乾燥スープ、又はパン製造用ミックスとすることができ、膜は簡単に溶解し、実質的に味がない。RF溶接は、膜の表面上のどのような粉にもかかわらず、信頼性の高いシールを与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサシェ製造方法に関し、具体的には、これに限定されるものではないが、食材を収容するサシェ、さらに、結果として得られるサシェに関する。
【背景技術】
【0002】
澱粉は食品成分として広く用いられている。現在は、澱粉から製造され、典型的には可塑剤が混合された透明膜が市販されており、例えば、英国マンチェスター所在のAdept Polymers Ltdにより開発されたものがある。そのような膜は、例えば米国特許第5,362,777号、又は米国特許第5,280,055号に記載されているように、熱可塑的に処理可能な澱粉から製造されたものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0003】
本発明によれば、水溶性の食用ポリマー材料からなる少なくとも1枚の可撓性薄膜を用い、この膜がサシェを定めるように成形されて食材が充填され、対向する電極間のRF溶接によりシールされてフランジシールが形成される、サシェ製造方法が提供される。
【0004】
本発明の第2の態様においては、澱粉を含む少なくとも1枚の可撓性薄膜を用い、この膜がサシェを定めるように成形され、対向する電極間のRF溶接によりシールされてフランジシールが形成される、サシェ製造方法が提供される。
【0005】
食材は、飲食前に、場合によっては他の材料とともに、水に加えられることが意図される。例えば、食材は、コーヒーの粉或いは乾燥スープ、又は香辛料、砂糖、又はパン或いはケーキ製造用ミックス、又は麺或いは炒飯のような乾燥食品とすることができる。食材はまた、オリーブ油のような非水性の液体を含むことができる。サシェは、数ミリリットルから約1リットルまでの間のサイズであると考えられ、主として、家庭内で用いられることが意図される。膜が水溶性ではない澱粉からなる場合には、内容物は水分を含有してもよい。さらに別の選択肢としては、空気のみを収容するものであってもよく、例えば、発泡ラップ包装材として用いる。
【0006】
そのような食品用サシェは、これ自体が何も残すことなく水相に溶解するため、開封せずに水又は他の成分に加えることができる。サシェが製造される材料は、実質的に味がなく、膜が薄いために、とにかく全質量が極めて小さい。膜は、場合によっては、安価な原料であり、さらに酸素透過性が非常に低いという利点を有するために、可塑剤とともに、澱粉を含むことが好ましい。基本的には、他の食用ポリマーを用いて、又は、澱粉と混合して、このような膜を形成してもよいが、このことは、費用を大幅に増加させる傾向がある。ポリマー材料は、いかなる有害な又は毒性のある添加物も含有してはならないが、グリセロール(E422)又はグリセロール・モノステアレート(E471)のような化合物を可塑剤として含有してよく、これらの化合物もまた摂取可能なものであり、水中で分散性を有する、すなわち水溶性である。これまでに知られている食用ポリマー材料を接合する方法は、特に、塵状の物質が、シールが必要とされる領域に付着する可能性が高い状況において、十分に信頼できる品質のシールを提供していない。
【0007】
誘電溶接を行うために、高周波の電気供給が電極に与えられる。この供給は、基本的には、1MHzから200MHzまでの間、通常は10MHzから100MHzまでの間であるが、いずれの放出電波にも厳しい制限が課される。従って、実際に選択できる周波数はさらに限定されることになる。例えば、供給周波数は27.12MHz、又は40.68MHzとすることができる。一方の電極が発生器に接続され、他方の電極は接地されることが好ましい。適合するネットワークは、発生器と電極との間に接続されることが好ましい。
【0008】
さらに別の態様においては、本発明は、本発明の方法により形成され、食材を収容するサシェを提供する。
【0009】
ここで、単なる一例に過ぎないものとして、添付の図面を参照して、本発明を、さらに、より具体的に説明する。
【実施例1】
【0010】
可塑剤を含有する厚さ50μmの澱粉膜を用いて、湯と混合してスープを作ることができる乾燥スープ用サシェを製造する。このサシェは、平台式方法によって形成され、この方法では、第1の膜シート10が、型として機能する48個の凹部14を有する平らなトレー12の上に置かれる。型14が真空吸引されることによって膜10がその中へと引っぱられる。次いで、適切な量の乾燥スープ・ミックス16が、膜10の各々の凹部に供給される。次いで、覆い膜18がトレー12全体にわたってかぶせられる。
【0011】
次いで、トレー12は第2の位置に移動されて、適合する凹部の組をもつ上部トレー20がトレー12の上に置かれ、圧力がそれらの間に加えられる。上部トレー20は、適合するネットワーク22を介してソリッドステート無線周波発生器24に接続され、下部トレー12は、適合するネットワーク22の接地線であることが好ましい接地線に接続される。適合するネットワーク22は、発生器24にかかるインピーダンスが50Ωなどの一定値のまま残るように作動する可変コンデンサ及びサーボモータを組み込む。これにより、負荷に変化があっても、電極(すなわち下部トレー12及び上部トレー20)間には過度の電圧が印加されないことが確実になる。
【0012】
従って、膜10及び18の各凹部14周辺の領域は、誘電加熱及び圧力を受け、ポリマー澱粉材料が、2枚の膜10と18との間の界面で溶融する。溶接が行われた後、上部トレー20は除去され、(今や互いに接合されて、48個のサシェを形成している)膜10及び18は下部トレー12から除去される。次いで、各サシェの周囲の接合された膜は、この接合された膜のフランジが突出した状態で切断されて、サシェが取り出される。
【0013】
そのようなサシェを、沸騰した湯が入ったカップの中に落としてかき混ぜるだけで、スープを作ることができる。膜10及び18は、迅速な溶解を与えるように選択された厚さであるが、取り扱うのに十分な強さをもったものである。膜は、互いに接合された場所においても、依然として迅速に溶解する。
【実施例2】
【0014】
厚さ35μmの熱可塑性澱粉膜が、前述の例に関連して説明されたのと同様な方法により、対向する直線電極を用いて、ストリップの両側の縁を互いに溶接することによって、直径14cmのチューブに形成される。チューブを垂直に保持し、2つの直線電極間でRF溶接を行うことにより、その底部がシールされる。所定の量(例えば750g)のパンミックスがチューブの底部に供給され、次いで、このパンミックスの上方でチューブがシールされる。このシールは、幅6mmの2つの直線電極を用いて行われる。次いで、結果として得られる、パンミックスを収容するサシェがチューブから切り離されて、幅3mmの接合された膜のフランジを生成するようにシールの半分までの部分を切断する。
【0015】
今度は、シールの残り半分がチューブの底部を形成し、所定の量のパンミックスが再びチューブの底部に供給され、チューブは再びパンミックスの上方でシールされ、結果として得られるサシェが切り離される。この方法は、チューブの全長が使い切られるまで、繰り返される。
【0016】
家庭内では、そのようなサシェを水と混合して、(イーストを含有しないミックスの場合には)焼くことができ、又は(イーストを含有するミックスの場合には)発酵させ、練り、発酵させ、次いで焼くことができる。サシェは水に溶けるため、これを開封する必要がないのは明らかである。
【実施例3】
【0017】
一人前のコーヒーの粉が、対向する凹部を有する回転ダイの間に形成された小さいサシェの中に包まれる。各々の厚さが20μmの2つの膜ストリップがダイの間に与えられ、ダイの間でサシェが形成されるのに伴って、コーヒーの粉がサシェに投入される。膜は、前述した例で説明されたのと類似する方法により接合され、2つのダイの間に無線周波信号が適用され、この信号は、静電結合を用いてダイに結合することができる。次いで、個々のサシェが切り離されて、各サシェの周囲には接合された膜の突出フランジが残る。
【0018】
これら3つの例は全て、包まれる材料が、接合される膜の表面に塵状又は粉末状の付着物を残す可能性が高い状況にある。それにもかかわらず、そのようないずれの塵状の付着物が存在しても、良好な接合が形成される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】スープ用サシェ製造のための装置の概略断面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性の食用ポリマー材料からなる少なくとも1枚の可撓性薄膜を用い、前記膜がサシェを定めるように成形されて食材が充填され、対向する電極間のRF溶接によりシールされてフランジシールが形成されるサシェ製造方法。
【請求項2】
澱粉を含む少なくとも1枚の可撓性薄膜を用い、前記膜がサシェを定めるように成形されて食材が充填され、対向する電極間のRF溶接によりシールされてフランジシールが形成されるサシェ製造方法。
【請求項3】
前記膜が50μmより厚くない、請求項1又は請求項2に記載のサシェ製造方法。
【請求項4】
前記RF溶接がソリッドステートRF信号発生器及び適合するネットワークを用いる、前記請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のサシェ製造方法。
【請求項5】
飲食前に水に加えられることが意図される食材を収容する、前記請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の方法で製造されたサシェ。
【請求項6】
前記食材が湯に加えられることが意図された、請求項5に記載のサシェ。
【請求項7】
前記食材が調理前に水に加えられることが意図されるものである、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の方法で製造されるサシェ。
【請求項8】
家庭内で用いるための、請求項5から請求項7までのいずれか1項に記載のサシェ。

【図1】
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【公表番号】特表2007−504969(P2007−504969A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525874(P2006−525874)
【出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【国際出願番号】PCT/GB2004/003732
【国際公開番号】WO2005/023668
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(505429027)スタネルコ アールエフ テクノロジーズ リミテッド (3)
【Fターム(参考)】