説明

食品用包装体

【課題】本発明は、コロッケや、餃子、チキンや各種揚げ物などの食品を包装する分野に使用される食品用包装体において、消費者が臭気が他に移ることを懸念することなく、持ち帰りが可能であり、食材のいろいろな臭気がお互いに混ざり難く、高い保香性を有し、食品のおいしさを高いレベルで保持可能な、特に消臭性に優れる、耐油性と耐水性を有する食品用包装体を提供することを目的とするものである。
【解決手段】消臭成分を配合した厚紙容器と、100%バージンパルプからなる薄紙耐水・耐油袋を組み合わせてなることを特徴とする食品用包装体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に消臭性に優れる、耐水性と耐油性を有する食品用包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な食品用耐水・耐油紙としては、フッ素樹脂、アクリル樹脂コート紙、ポリビニルアルコール樹脂、澱粉などの天然高分子を紙の表層に塗布もしくは内添、サイズプレスなどにより全層に含浸させることにより耐水・耐油性能を付与されてある。
【0003】
ところで、一般的に耐水・耐油紙というものは、水や油を包装体の最外層に突き抜けるのを防止するという紙であるが、近年、消臭という機能が要求性能としてあがってきている。購入者が、コロッケや、餃子、チキンや各種揚げ物などの食品を持ち帰る際、臭いが車内に移ったり、服に移ったり、電車内で他の人の気分を害してないかなどを懸念しなくてもよい、包装体が望まれているということである。
【0004】
また、従来の包装体では、食品の臭い自体がどんどん薄れていくために、持ち帰ってレンジで加温した際に、食品の風味が揚げたてより劣るというような問題点があった。
【0005】
以下に特許文献を記す。
【特許文献1】特開2001−10660号公報
【特許文献2】特開平10−259595号公報。
【0006】
消臭機能をもたせ、耐水・耐油性の高い紙としては、例えばアクリル系エマルジョンに無機物である炭を含有させた樹脂を塗布した加工紙が特許文献1に開示されている。これは無機物の炭による脱臭と、調湿性を持たせたものである。また、フッ素系添加薬剤を内添した層と、消臭パルプからなる層を併せ持つ多層抄紙の板紙が特許文献2に開示されている。これら消臭機能をもたせ、耐水・耐油性の高い紙は、いずれも臭いが混じり合うことと、保香性については既に述べたような問題が残る。特に、アクリル系を使用した包装体においては、一般的に食材にはあわない臭気が食材に移り風味が変わってしまうという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、特に消臭性に優れる、耐油性と耐水性を有する食品用包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、
請求項1の発明は、消臭成分を配合した厚紙容器と、100%バージンパルプからなる薄紙耐水・耐油袋を組み合わせてなることを特徴とする食品用包装体である。
【0009】
請求項2の発明は、前記厚紙容器の表面コッブ吸水度が20g/m2以上であることを特徴とする請求項1記載の食品用包装体である。
【0010】
請求項3の発明は、前記薄紙耐水・耐油袋のガーレ通気度が3000秒未満であることを特徴とする請求項1または2記載の食品用包装体である。
【0011】
請求項4の発明は、前記薄紙耐水・耐油袋が、薄紙の両面にポリビニルアルコール(PVA)系樹脂層を各々10g/m2(乾燥状態)未満の塗布量で塗布形成したその薄紙を袋状に成形してなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の食品用包装体である。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、消臭成分を配合した厚紙容器と、100%バージンパルプからなる薄紙耐水・耐油袋を組み合わせた構成の包装体であることから、消費者が臭気が他に移ることを懸念することなく、持ち帰りが可能であり、食材のいろいろな臭気がお互いに混ざり難く、高い保香性を有することから、食品のおいしさを高いレベルで保持可能な、耐油性と耐水性を付与した、特に消臭性に優れる食品用包装体を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の食品用包装体の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の食品用包装体の一例を示す斜視模式図である。図2は、本発明における厚紙容器を構成する消臭成分を配合した厚紙の構成の一例を示す断面模式図である。また、図3は、本発明における薄紙耐水・耐油袋を構成する薄紙の構成の一例を示す断面模式図である。
【0014】
図1に示すように、本発明の食品用包装体は、消臭成分を配合した厚紙を成形してなる厚紙容器1と、100%バージンパルプからなる薄紙耐水・耐油袋2を組み合わせてなることを特徴とする食品用包装体である。すなわち、食材などの内容物3を収納密封した100%バージンパルプからなる薄紙耐水・耐油袋2を、厚紙容器1に収納してなる食品用包装体である。
【0015】
そして、本発明における厚紙容器を構成する消臭成分を配合した厚紙の構成の一例を図2に示すように、消臭成分を配合した消臭性パルプ繊維層を中間層として、中間層と外層が抄き合わされている。もちろん、消臭成分が厚紙層の内部全体にわたって保有されていてもよく、また厚紙層の一部に分散又は層状に少なくとも1層配置されていてもよい。
【0016】
また、図3には、本発明における薄紙耐水・耐油袋を構成する薄紙の構成の一例として、100%バージンパルプからなる薄紙の両面にポリビニルアルコール(PVA)系樹脂が10g/m2(乾燥状態)未満の塗布量で塗布されたものを使用することができる。
【0017】
本発明における消臭成分を配合した厚紙容器1としては、消臭成分を配合した厚紙を成形してなる厚紙容器である。
【0018】
本発明で用いられる消臭成分としては、目的とする環境に含まれる悪臭源を吸着、分解などにより除去することができる物質であれば使用できる。例えば、活性炭、活性炭繊維、鉄酸化物とアスコルビン酸との配合、銅化合物(水酸化銅、塩化銅、硫化銅、硝酸銅、酢酸銅)、亜鉛化合物(水酸化亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛)や、銀化合物(塩化銀、硫酸銀、硝酸銀、酢酸銀)などを含む消臭剤、鉄フタロシアニン錯体などが挙げられる。これら消臭成分は、単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0019】
金属の担持にあたっては、これらの金属塩の水溶液にパルプ、あるいはレーヨンなどの繊維を分散する。つぎに、この分散液にアルカリ水溶液を加えてpH7.0付近に調整し金属水酸化物のコロイドを得て、これをパルプに対し金属換算で0.1〜50重量%、好ましくは0.8〜1重量%担持させる。このようにして得られた金属消臭成分を担持した
消臭性パルプ又は繊維は、公知の抄紙方法によって紙に抄き消臭成分を含有する厚紙が製造される。
【0020】
消臭成分が厚紙層に層状に配置する場合は、抄き合わせ厚紙のことであり、抄き合わせの各層抄造装置には種々の方式のものがあるが、円網抄紙機を用いるのが主流である。円網による抄紙の場合、板紙が複数層で形成されている場合であっても、これら各層は1層ごとに抄き合わせのユニットを設けて形成するため、任意の層に消臭成分を内添することができる。
【0021】
本発明で使用される消臭成分を配合した厚紙の坪量としては、内容物の食材の重さによって求められる容器の強度から決定されれば良い。一般的には190g/m2〜310g/m2が使用されることが多い。
【0022】
次に、本発明における薄紙耐水・耐油袋2を構成する耐水・耐油紙としては、一般紙に使用されているポリビニルアルコール(PVA)系樹脂を主体すると塗工紙が用いれらる。耐水性能は脂肪酸をPVAと組み合わせることでもたせ、耐油性能はPVAの水素基および、樹脂の塗布量及び層構成によってもたせることができる。
【0023】
本発明で使用される耐水・耐油紙の坪量としては、20g/m2〜50g/m2が望ましい。20g/m2未満は、高速で抄紙する為にはある程度の強度物性が必要であり、これ以上薄くすることは、本発明の樹脂(水溶性)の塗布量では塗った際の強度低下が大きい(湿潤引っ張り強度の低下)ため、困難であるからであり、50g/m2より大きい坪量は平米当たりのコストの増大から好ましくない。
【0024】
本発明で使用される耐水・耐油紙に、フッ素を使用せずに高い耐油性、耐水性をもたせるためには、PVA系樹脂で紙の両面を塗工し、かつその10g/m2(乾燥状態)未満の総塗布量を与えてやることが望ましい。PVAは水溶性高分子の中でも分子量が高く、塗工適性を持たせるには10%以下で使用されることが望ましい。2g/m2(乾燥状態)未満であると、フッ素薬剤を添加したものと比べて耐水耐油性能が非常に劣るものであり、また10g/m2(乾燥状態)以上であると、剛性が強すぎて袋を作成する際の製袋工程において問題(伸び性がなくなり、簡単に破れやすくなる)を起こす。また、製造上も10g/m2(乾燥状態)であると未乾燥、カールなどの問題がおきやすい。
【0025】
PVAは、耐水性が弱いためにけん化度が94.5%以上必要であり、好ましくは98%以上である方が望ましい。なお、けん化度が高いと、架橋させない場合の耐水性も高く、架橋させた場合の耐水性もより高いが、ゲル化しやすい傾向がある。このため、けん化度は、実際の生産状態により適宜決めればよい。なお、PVA樹脂は、低分子の分子量分布を持つと水による溶出量が増大して、特に食品分野での衛生的な観点から使用が困難になるため、4%/at20℃の温度にて、7(mPa・s)以上の粘度である必要がある。なお、PVA樹脂としては、変性PVA樹脂であってもよい。
【0026】
架橋剤は、PVA樹脂の官能基を架橋してPVA樹脂の耐油性と耐水性を向上させるものであり、水酸基と反応する一般的なものが使用できる。但し、架橋剤を用いた包装体を食品用途向けに使用する場合、架橋剤にも衛生性が要求される。このため、用途と性能を考慮して架橋剤を決める必要がある。
【0027】
架橋剤の反応基としては、カルボキシル基、アルデヒド基、水酸基、フェノール性水酸基、エポキシ基、金属塩、イソシアネート基、N−メチロール基などをもつもの、ホウ砂などが使用できる。
【0028】
架橋剤は、具体的には、イソシアネート系樹脂、アミノアルデヒド系樹脂、グリオキザール系樹脂、エポキシ系樹脂、カルボジイミド系樹脂、無機金属塩、フェノール樹脂、メラミン樹脂のいずれか単体もしくは複数が使用可能となっている。各架橋剤のうち、無機金属塩からなる架橋剤は、取り扱いの容易さと衛生的な観点から最も好ましいものであり、例えば炭酸ジルコニウムアンモニウム、硫酸亜鉛、サチンホワイト又はホウ砂などが適用可能となっている。
【0029】
アミノアルデヒド系の架橋剤としては、尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド・ポリ尿素樹脂、ポリアミド・エピクロルヒドリン等が好ましく使用可能である。グリオキザール系の架橋剤としては、グリオキザール、尿素・グリオキザール樹脂、ジアルデヒド澱粉などが挙げられる。エポキシ系の架橋剤としては、ポリアミド・エポキシ樹脂などが挙げられる。カルボジイミド系の架橋剤としては、次に示す如き、モノカルボジイミド化合物又はポリカルボジイミド化合物が使用可能である。
【0030】
ここで、モノカルボジイミド化合物としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ドデシルイソプロピルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ジo−トリルカルボジイミド、ジp−トリルカルボジイミド、シアナミド、ジt−ブチルカルボジイミド、1,3−ビス(トリメチルシリル)カルボジイミド、ジ−β−ナフチルカルボジイミド、ベンジルイソプロピルカルボジイミドなどが使用可能となっている。なお、モノカルボジイミド化合物のうち、ジシクロヘキシルカルボジイミド及びジイソプロピルカルボジイミドは、工業的に容易に入手可能な観点から好ましい。
【0031】
一方、ポリカルボジイミド化合物は、特開昭59−187029号公報に記載されている公知の方法、例えばモノ,ジ,トリイソシアネート化合物を非反応性の有機溶剤中で適切な触媒、例えば3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレートオキサイドの存在下で加熱し脱炭酸により、イソシアネート基をカルボジイミド基に転化して製造される。なお、以上のカルボジイミド化合物は、1種、または2種以上の組合せで使用可能である。
【0032】
イソシアネート系の架橋剤としては、例えばフェニレンジイソシアネート(PDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、4,4’ジイソシアネートジフェニルメタン(MDI)等の芳香族ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)等の芳香族脂肪族ジイソシアネート、水添TDI、水添XDI、水添MDI、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂肪族若しくは脂環族ジイソシアネート及びこれらの誘導体であるポリオール付加物、ビュレット体、3量体である3官能以上のポリイソシアネート、リジントリイソシアネート(LTI)等の3官能イソシアネートの他、イソシアネートを含む各種のオリゴマー、ポリマーが使用可能である。
【0033】
なお、架橋剤の添加量は、PVA樹脂の固形分に対し、コンマ数%〜数%(0.1〜3%)添加すればよいが、架橋剤の種類等、反応するための官能基の数、反応率にもよるので、一概には言えない。
【0034】
この樹脂に混合される脂肪酸としては、長鎖脂肪酸塩が望ましく、例えばステアリン酸,ラウリン酸、ミリスチン酸などが好ましく、金属塩としては、クロム、カルシウム,マグネシウム,亜鉛,アルミニウム,ストロンチウムなどの塩類が好ましい。
【0035】
本発明における消臭成分を配合した厚紙容器を構成する消臭成分を配合した厚紙は、主に食品から発生する臭気成分を効率よく消臭する効果を奏するものである。主に食品から
発生する臭気成分は下記に示すようなものが存在することが知られている。乳製品…(生牛乳)ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸類、硫化メチル、硫化水素、メルカプタン類(バター)アルデヒド類、ケトン類、ブタノール(チーズ)カルボン酸類、アルコール類、アミン類、ケトン類。肉類…(牛乳、豚肉)ケトン類、アルデヒド類、硫化水素、アンモニア、カルボン酸類、アミン類(マトン)アンモニア、アミン類、硫化酸素。魚介類…アンモニア、アミン類。硫化酸素野菜類…(キャベツ)メチルメルカプタン、硫化水素、ジメチルサファイド(大根)チオシアネート類(セロリ)アルデヒド類、アルコール類、エステル類。果実類…(イチゴ)イソアミルアセテート類、カルボン硫類、エステル類(りんご)エステル類、アルデヒド類、アルコール類(バナナ)酢酸エチル、酢酸アミル、酢酸ブチル、エタノール(ナシ)酢酸アミル、ブチルアルコール。このうち、三大悪臭と呼ばれるものとして、硫化水素、アンモニア、メチルメルカプタンがあり、特に硫化水素や、メチルメルカプタンなどの、硫黄系の悪臭は非常に感知しやすいものとして知られている。このものは、ニラ、ニンニク、肉類からも発生するため、とくに餃子、シュウマイ、唐揚げ等の調理済み食品において問題となるものである。
【0036】
次に、本発明における消臭成分を配合した厚紙器容および薄紙耐水・耐油袋において、水蒸気がこもらないようにするためには、まず薄紙耐水・耐油袋を構成する薄紙耐水・耐油紙の通気度(JIS P8117 紙及び板紙の通気度試験方法)を3000秒以内にすることが望ましい。これにより食品直接接触されている包材内面へ水蒸気が結露をおこさずに、結露水による水のべたつきがない。
【0037】
一方、消臭成分を配合した厚紙器容を構成する厚紙の通気性であるが、同じくクレーコート層を引きはがした、繊維層のガーレー通気は上の3000秒以内に一致させることが望ましいが、通常は印刷層としてクレーコートがありバリアされガーレー通気では10000秒以上となってしまう。厚紙でありもともと剛性があるので、剛性は若干低下するが、水蒸気は繊維中で保持されればよい。薄紙の包装体と厚紙との接触面で結露水が発生することを防ぐために、コッブ吸水度が20g/m2以上であれば、繊維中に水蒸気もしくは水が入っていく為に水のべたつきがない。
【0038】
以下、本発明の食品用包装体の具体的な実施例について説明する。実施例で得られた食品用包装体の性能について下記試験法および評価方法に基づいて行った。
【0039】
<蒸気等による包装紙面上での結露水の発生有無>
紙基材をカートン形状に打ち抜き、箱形の容器を作成する。食材には、サラダ油で揚げたの揚げたてのチキンを各包装体に包んだ。包んで直後と10分後、30分後、1時間後に包装体および、食材の接触面を目視で確認および、疑いのある場合は、包装体の接触面を触診で調べ、結露水の発生の有無を確認した。
【0040】
<吸水度試験>
JISP8140(1976)紙および板紙の吸水度試験方法(コッブ法)でおこなった。
【0041】
<通気度試験>
JISP8117 紙及び板紙の通気度試験方法に従っておこなった。
【0042】
<臭気試験>
厚紙容器としては、260g/m2の坪量にて容器を作成した。薄紙容器としては、50g/m2の坪量にて食材をつつみ、直後から、5分後、10分後、30分後、1時間経過時点で官能にて漏れ出す臭気を評価し、1時間経過後に容器毎レンジアップし、食材からでる香りをかぐことで、保香性の優劣をつけた。
【実施例1】
【0043】
図1に示す本発明の食品用包装体として、消臭成分を配合した消臭性パルプ繊維層を中間層とし、通常一般に使用される紙基材を外層として、中間層と外層が抄き合わせた、坪量260g/m2、表面コップ吸水度が24g/m2・2分の厚紙を使用し、25cm(底縦)×20cm(底横)×15cm(容器深さ)の箱状に成形した厚紙容器1を作成した。一方、薄紙耐水・耐油袋を構成する薄紙として、100%バージンパルプからなる薄紙の両面にポリビニルアルコール(PVA)系樹脂が2〜10g/m2(乾燥状態)程度の塗布量で塗布された、坪量50g/m2、ガーレ通気度が2900秒の耐水・耐油薄紙を使用し、一般公知の製袋加工機で6cm(底縦)×3cm(底横)×8cm(袋深さ)の大きさの薄紙耐水・耐油袋を製袋し、内容物として、食材には、サラダ油で揚げたの揚げたてのチキンを収納して密封した薄紙耐水・耐油袋2を上記の厚紙容器1に収納して、本発明の食品用包装体を作成した。
【実施例2】
【0044】
本発明の食品用包装体と性能を比較するための比較例として、実施例1において、薄紙耐水・耐油袋を使用しないで、厚紙容器を構成する厚紙として、表面にフッ素系樹脂をポリビニルアルコール(PVA)に対して、添加量9重量%添加してなるフッ素系耐油剤を約2g/m2(乾燥状態)程度の塗布量で塗布された、坪量260g/m2、表面コップ吸水度が18g/m2・2分の厚紙を使用した箱状に成形した厚紙容器に直接内容物を収納した以外は実施例1と同様して、図4に示すような食品用包装体を作成した。
【実施例3】
【0045】
本発明の食品用包装体と性能を比較するための比較例として、実施例1において、薄紙耐水・耐油袋を使用しないで、厚紙容器を構成する厚紙として、実施例1で用いた消臭成分を配合した消臭性パルプ繊維層を中間層とし、通常一般に使用される紙基材を外層として、中間層と外層が抄き合わせたその外層表面にフッ素系樹脂をポリビニルアルコール(PVA)に対して、添加量18重量%添加してなるフッ素系耐油剤を約2g/m2(乾燥状態)程度の塗布量で塗布された、坪量260g/m2、表面コップ吸水度が10g/m2・2分の厚紙を使用した箱状に成形した厚紙容器に直接内容物を収納した以外は実施例1と同様して、図5に示すような食品用包装体を作成した。
【0046】
上記の実施例1〜3で得られた食品用包装体の性能について上記の試験法および評価方法に基づいて評価した。その結果を表1に示す。
【0047】
【表1】

【0048】
表1より、実施例1で得られた本発明の食品用包装体は、消臭成分を配合した厚紙容器と、100%バージンパルプからなる薄紙耐水・耐油袋を組み合わせてた構成であることから、消臭性、保香性のいずれの性能にも優れている。これに対して、本発明の食品用包装体の性能と比較するための比較例としての実施例2で得られた食品用包装体は、消臭性に問題があり、本発明の食品用包装体の性能と比較するための比較例としての実施例3で得られた食品用包装体は、保香性が劣るものであった。本発明の食品用包装体は、消臭性、保香性のみならず保温性も高いことが分かった。このため、食材を従来のものよりおいしく食べることが可能である。また、薄紙耐水・耐油袋を構成する薄紙の両面をPVA樹脂コートしているために、サンドイッチ効果から、剛性がたかく、デッドホールド性の高い(例えば、取り出し口をあけたらそのままの形状を保つことができる。)包装袋になることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の食品用包装体は、特に優れた耐油性を耐水性が要求され、特に消臭性を付与した包装体であって、消費者は臭いが他に移ることを懸念することなく、持ち帰りが可能であり、包装形態から、食材のいろいろな臭いがお互いに混ざりにくく、保香性も高いため、食品の買った時のままのおいしさを、高いレベルで保持できる、特に食品分野の包装体として使用される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の食品用包装体の一例を示す斜視模式図である。(a)は、消臭成分を配合した厚紙を成形してなる厚紙容器である。(b)は、内容物を収納した薄紙耐水・耐油袋である。(c)は、内容物を収納した薄紙耐水・耐油袋を厚紙容器に収納してなる食品用包装体である。
【図2】本発明における厚紙容器を構成する消臭成分を配合した厚紙の構成の一例を示す断面模式図である。
【図3】本発明における薄紙耐水・耐油袋を構成する薄紙の構成の一例を示す断面模式図である。
【図4】実施例2で作成した食品用包装体の一例を示す斜視模式図である。(a)は、内容物を厚紙容器に収納してなる食品用包装体である。(b)は、(a)に示した厚紙容器を構成する厚紙の構成を示す断面模式図である。
【図5】実施例3で作成した食品用包装体の一例を示す斜視模式図である。(a)は、内容物を厚紙容器に収納してなる食品用包装体である。(b)は、(a)に示した厚紙容器を構成する厚紙の構成を示す断面模式図である。
【符号の説明】
【0051】
1・・・厚紙容器
2・・・薄紙耐水・耐油袋
3・・・内容物(食材)
10・・・厚紙容器を構成する消臭成分を配合した厚紙
11・・・消臭成分を配合した消臭パルプ繊維層
12、21、31・・・紙基材
20・・・薄紙耐水・耐油袋を構成する薄紙
22・・・耐水・耐油剤層(ポリビニルアルコール系樹脂層)
32・・・耐水・耐油剤層(フッ素系樹脂とポリビニルアルコール系樹脂とからなる層)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消臭成分を配合した厚紙容器と、100%バージンパルプからなる薄紙耐水・耐油袋を組み合わせてなることを特徴とする食品用包装体。
【請求項2】
前記厚紙容器の表面コッブ吸水度が20g/m2以上であることを特徴とする請求項1記載の食品用包装体。
【請求項3】
前記薄紙耐水・耐油袋のガーレ通気度が3000秒未満であることを特徴とする請求項1または2記載の食品用包装体。
【請求項4】
前記薄紙耐水・耐油袋が、薄紙の両面にポリビニルアルコール(PVA)系樹脂層を各々10g/m2(乾燥状態)未満の塗布量で塗布形成したその薄紙を袋状に成形してなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の食品用包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−62696(P2006−62696A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−246289(P2004−246289)
【出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】