食品調理用オーブン
食品調理用オーブン(10)は、調理室(100)と、調理室(100)内に設置され、調理室(100)内の食品を調理する少なくとも2つのヒータ(110及び120)と、ヒータ(110及び120)の個々の動作を、動作時間及び動作電力のうちの少なくとも1つにより制御する制御回路(400)とを備える。コンベヤ(130)は、調理室(100)内に設けられ、食品(9)を、ヒータを通過させて順次運ぶことにより調理する。制御回路(400)が、コンベヤ(130)が食品をヒータ(110及び120)を通過させて運ぶときのヒータ(110及び120)の動作を制御して、これにより食品(9)がどのように調理されるかを決定するための調理制御信号を、ユーザに入力させるユーザ制御装置(300)も含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を調理するオーブンに関する。より具体的に、かつ非排他的には、本発明は、商店で、回転する鳥肉片又はソーセージなどの他の食品を調理するオーブンに関する。
【背景技術】
【0002】
回転する串で食品を調理することが知られている。このような串は、オーブンの空間内又は放射熱源に隣接した場所で、固定された軸の周りを回転するように駆動される。所定の又は見積もられた調理時間の後、食品及び/又は串は手動で取り除かれ、又は、自動的に降ろされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
既知の装置において、食品は、食品がヒータゾーン内を移動する間に調理するために、好ましくは、ただし必須ではないが同時に回転されながら、所定の経路に沿って、ヒータゾーン又は調理室内の隣接する放射熱源を、ゆっくりと通過するように動かされる。食品は、ヒータゾーンの入口に到達する前に載せられ、ヒータゾーンの出口から出たときに降ろされる。移動速度は、大体は固定されており、このため、熱源の強度も固定されている。
【0004】
調理される食品の性質及び/又は好みの違いのために、食品の調理される程度は、しばしば満足なものではない。例えば、連続した調理をすると食品は乾燥して汁気を失い、このため、食欲をそそらないまずいものになる。
【0005】
本発明の目的は、上述した不都合又は欠点のうちの少なくとも1つを解決し又は実質的に改善することにある。
【0006】
本発明の目的は、食欲をそそりかつ良い味に食品を調理できる、食品のための食品調理用オーブンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、調理室と、上記調理室内に設置され、上記調理室内の食品を調理する少なくとも2つのヒータと、上記ヒータの個々の動作を、動作時間及び動作電力のうちの少なくとも1つにより制御する制御回路とを備えた食品調理用オーブンが提供される。コンベヤは、上記調理室内に設けられ、食品を、上記ヒータを通過させて順次運ぶことにより調理する。上記制御回路が、上記コンベヤが食品を上記ヒータを通過させて運ぶときの上記ヒータの動作を制御して、これにより食品がどのように調理されるかを決定するための調理制御信号を、ユーザに入力させるユーザ制御装置もまた含まれる。
【0008】
上記コンベヤは、一連の食品片を、上記ヒータを通過させて順次運ぶように構成され、上記制御回路は、一連の食品片が上記各ヒータの近くを運ばれるときに、上記ユーザ制御装置からの上記調理制御信号に従って、上記ヒータの動作を順次制御するように構成される。
【0009】
より好ましくは、上記制御回路は、食品片が上記ヒータの近くを順次運ばれるときに、上記ユーザ制御装置からの上記調理制御信号に従って、第1のヒータの動作を動作可能なように制御し、その後、上記ヒータのうちの第2のヒータを制御する。
【0010】
さらに好ましくは、上記制御回路は、上記ユーザ制御装置からの上記調理制御信号により決定された動作電力で、上記ヒータの個々の動作を動作可能なように制御する。
【0011】
さらに好ましくは、上記制御回路は、食品片が関連するヒータの近くを運ばれるときに、決定された動作時間で、上記ヒータの個々の動作を動作可能なように制御する。
【0012】
好ましい実施形態において、上記制御回路は、上記ユーザ制御装置からの上記調理制御信号に従って上記ヒータの動作電力を決定するために用いられる、上記調理室内の温度を検出する温度センサを含む。
【0013】
好ましい実施形態において、上記コンベヤ及び上記制御回路の動作を、当該動作が同期されるように関連させるトリガー装置を含む。
【0014】
より好ましくは、上記トリガー装置は、上記コンベヤの一部であり、上記コンベヤの動作を開始するために非動作位置から動作位置まで可動である。
【0015】
さらに好ましくは、上記トリガー装置は、上記コンベヤをオンに切り換え、それと同時に上記コンベヤに食品片に載せるように配置される。
【0016】
上記ユーザ制御装置は、複数の調理制御信号を提供するための少なくとも1つのスイッチを備えることが好ましい。
【0017】
上記ユーザ制御装置は複数の上記スイッチを備え、上記各スイッチは、各調理制御信号に関連することがさらに好ましい。
【0018】
好ましい実施形態において、上記コンベヤは、食品片を保持するための複数の食品ホルダを備え、上記食品ホルダは、上記調理室内での上記ヒータを順次通過させる回転のために支持される。
【0019】
添付の図面を参照して、単なる一例として本発明をより具体的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る食品調理用オーブンの実施形態の正面及び側面からの斜視図である。
【図2】カバーを開けて正面の内部のいくつかの部品を取り除いた、図1のオーブンの正面からの斜視図
【図3】図2のオーブンのユーザ制御装置の斜視図である。
【図4A】、図1のオーブンの内部で食品がどのように運ばれて調理されるかを示す連続した概略図のうちの一つである。
【図4B】、図1のオーブンの内部で食品がどのように運ばれて調理されるかを示す連続した概略図のうちの一つである。
【図4C】、図1のオーブンの内部で食品がどのように運ばれて調理されるかを示す連続した概略図のうちの一つである。
【図4D】、図1のオーブンの内部で食品がどのように運ばれて調理されるかを示す連続した概略図のうちの一つである。
【図4E】、図1のオーブンの内部で食品がどのように運ばれて調理されるかを示す連続した概略図のうちの一つである。
【図4F】、図1のオーブンの内部で食品がどのように運ばれて調理されるかを示す連続した概略図のうちの一つである。
【図4G】、図1のオーブンの内部で食品がどのように運ばれて調理されるかを示す連続した概略図のうちの一つである。
【図4H】、図1のオーブンの内部で食品がどのように運ばれて調理されるかを示す連続した概略図のうちの一つである。
【図4I】、図1のオーブンの内部で食品がどのように運ばれて調理されるかを示す連続した概略図のうちの一つである。
【図4J】、図1のオーブンの内部で食品がどのように運ばれて調理されるかを示す連続した概略図のうちの一つである。
【図5】図1のオーブンの制御回路の概略的な上面図である。
【図6】図5の制御回路の概略的な斜視図である。
【図7】図5の制御回路のMCU回路の概略的な上面図である。
【図8】図7のMCU回路の概略的な下面図である。
【図9】複数の機能回路により形成された図5の制御回路の機能ブロック図である。
【図10】図9の制御回路の主電源回路の回路図である。
【図11】図9の制御回路の出力チョッパ回路の回路図である。
【図12】図9の制御回路のインターフェース回路の回路図である。
【図13】図9の制御回路のMCU回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
初めに、図1乃至図5を参照して、本発明を具現する食品調理用オーブンを、食品9を連続的に調理するように設計された、以下で参照するように竹串に支持された鳥手羽肉9又はソーセージ又はフィッシュ/ミートボールなどの様々な食品のための肉焼き器の形式で示す。異なる食品9を、任意の順序及び時間で調理するためにオーブン10の中に載せてもよい。異なる種類の食品は、異なる調理温度及び調理の程度を必要とし、当然ながら、個人の好みはもう1つの要素である。
【0022】
オーブン10は、調理室100と、室100内の食品を炙る、室100内に設けられた1組の電気ヒータ110及び120と、ヒータ110及び120の個々の動作を制御するヒータ制御回路400と、室100内に設けられ、食品をヒータ110及び120を通過させて順次運ぶことにより炙るコンベヤとを有する。ユーザ制御装置300もまた含まれる。ユーザ制御装置300は、制御回路400が、コンベヤ130が食品9をヒータ110及び120を通過させて運ぶときのヒータ110及び120の動作を制御して、これにより食品9の種類に適した適切な意図された調理電力を提供し、かつ/又は食品9がどのように調理されるかを決定するための調理制御信号を、ユーザに入力させる。
【0023】
調理室100は、生の鳥手羽肉9を室100内に供給するために供給ステーション210が取り付けられた場所として示したように、右側に入り口を有し、調理されて室200から出る鳥手羽肉9を集めるためにスライダー220が設けられた左側に出口を有する。
【0024】
コンベヤ30は、駆動機構により水平な軸の周りを並列に、図示するように反時計回りに回転するように駆動される1組の前方及び後方垂直ディスク131により形成される(後方ディスクのみを図2に示す。)。駆動機構は、電動モータと、モータを制御する動作回路と、駆動力をモータからコンベヤディスク131及び他の駆動される部品に伝えるためのギヤトレインとを組み込んでいる。駆動機構は、調理室100のすぐ後ろのコンパートメント150の中に設置される。
【0025】
各ディスク131の内側の表面には、反対側のディスク131の各ペグ132に位置合わせされて6組を形成する、環状に配置された一連の(例えば)6個のクランプ又はペグ132が埋め込まれている。各クランプ又はペグ132は、鳥手羽肉9に関連する串の対向する端部をクランプすることにより当該鳥手羽肉9を保持するためにバネで付勢されている。回転時は、ペグ132により保持された鳥手羽肉9を、観覧車のように、垂直の円形の経路に沿って回転させる。
【0026】
全てのペグ132は、ペグ132がコンベヤディスク131により回転されるとき、惑星運動のようにそれ自身の軸の周りも回転するように、上述したギヤトレインに駆動係合した各歯車に、各水平軸の周りの同時の回転のために取り付けられている。
【0027】
コンベヤ130は、例えば鳥手羽肉9である一連の食品を、調理室100の入り口から出口まで、室100内ではヒータ110及び120を1つずつ順次通過させることにより炙りながら、片(ピース)の形で運ぶように設計されている。各鳥手羽肉9のできるだけ均等な調理を達成するように、鳥手羽肉9は、コンベヤディスク13により回転されると同時に、ペグ132によりその軸の周りを回転させられる。
【0028】
ヒータ110及び120は、清掃又は保守などのために調理室100の内部を見せるために上方への枢動(ピボット動作)のために枢着されたトップカバー101の下側に取り付けられている。ヒータ110及び120は、上述した円形の経路の上部までコンベヤ130により回転されてヒータ110及び120を順次通過する、上部の2個又は3個の鳥手羽肉9の上に熱を放射するように、トップカバー101の下側に並んで、コンベヤ130の直上に実質的に下方向を向いて、配置されている。
【0029】
6組のペグ132は、コンベヤ130の軸の周りに対称に(すなわち、60度間隔で)配置されている。2個のヒータ110及び120は、平らで、互いに対して約120度だけ傾斜しており、このため、ヒータ110及び120の法線は回転軸に対しておおよそ60度である。このように構成することにより、ヒータ110及び120は任意の2個の鳥手羽肉9に対して角度を持って並ぶことができる。これにより、第2の(下流側の)ヒータ120が1つの鳥手羽肉9を炙っているあいだに、第1の(上流側の)ヒータ110は直後に続く次の鳥手羽肉9を調理できる。
【0030】
固定されたローラー133は、ペグ132がローラー133によりつつかれて瞬間的に開き、ちょうど供給された鳥手羽肉9を、関連する串の対応する端部により受け取ってクランプするように、ディスク131により回転されたペグ132の1本に当たるために、室の入り国の内側に、供給ステーション210及び各コンベヤディスク131に隣接して、設置される。他の固定されたローラー134は、ペグ132がローラー134によりつつかれて瞬間的に開き、ちょうど調理された鳥手羽肉9を開放するように、ディスク131によりその後回転されたペグ132の同一の1本に当たるために、出口のスライダー220及び各コンベヤディスク131に隣接して設けられる。
【0031】
供給ステーション210は、水平軸の周りの制限された枢動のために枢着された1組の整列された垂直なフォーク板211を組み込んでいる。フォーク板211は、調理室100の入り口で、鳥手羽肉9を支持する串の対向する端部により鳥手羽肉9を保持するために、通常は上方を向くようにバネで付勢されている。電気的なトグルスイッチ215は、フォーク板211の下部内に設置されており、同時の枢動のためにフォーク板211に結合された動作レバー216を有する。
【0032】
トグルスイッチ215は、関連の動作を同期させるように、特に、所定の食品がコンベヤ130によりヒータ110及び120に近づいて順次運ばれたときに、ヒータ110及び120が1つずつ順次開始するように、コンベヤ130とヒータ110及び120とを同期させるように、ヒータ制御回路400と、コンベヤ130を駆動する駆動機構のための動作回路とに電気的に接続されている。
【0033】
トグルスイッチ215は通常は開いており、スイッチを閉じるように、かつ同時にフォーク板211を室100に向けて傾けてフォーク板21上の鳥手羽肉9を1組のガイドレール212に沿って室100内に降ろすように(図4B)、ユーザにより上方にくるりと回されるために、レバー216が配置されている。スイッチ215は、閉じるときに、コンベヤ130及びヒータ制御回路400の動作の開始をトリガーする。
【0034】
ガイドレール212の下端部には、鳥手羽肉9をその串の対向する端部により受け取って保持し(図4C)、鳥手羽肉9を、コンベヤ130により上方に回転されて第1のローラー133(図4D)の組によりつつかれてひらいた1組のペグ132の前方に回転させるための切欠部をそれぞれ有する1組の回転板213がある。
【0035】
鳥手羽肉9は、ペグ132により保持されて持ち上げられる(図4E及び4F)。その後、ペグ132は、それ自身の軸の周りを同時に回転させられながら、さらに上方に回転され、第1のヒータ110を通過し(図4G)、そして、第2のヒータ120を通過する(図4H)。その結果、鳥手羽肉9は、惑星運動で動かされるので、ヒータ110及び120により全ての側から炙られる。最後に、ペグ132は、他のローラー134の組によりつつかれて開いて鳥手羽肉9を放し(図4I及び4J)、これにより、鳥手羽肉9は調理室100の出口でスライダー220上に落ちて集められる。
【0036】
肉焼きオーブン10が調理するように設計された食品の種類に主に依存して、ヒータ110及び120は、15から50のレベルで調整可能な500℃から700℃までの範囲内の調理温度を提供するように構成され、調理時間は2.0から3.5分の範囲内にあらかじめ設定される。そのために、動作、つまりコンベヤ130の動きの速度は、制御を単純にするために一般的に固定されるが、これは、小さい範囲内で又はより細かい制御のための複数の値で変更又はプログラムされ得る。
【0037】
異なる種類の食品及び/又は個人の好みのために調理温度又は調理の程度を調整するために、ヒータ110及び120の動作は、ヒータ制御回路400を介してユーザ制御装置300により制御される。ユーザ制御装置300は、調理室100の前に配置され、低程度、中程度及び高程度の調理、すなわち、調理温度及び/又は時間のためにそれぞれ設計された一連の3個の制御ボタン310、320及び330により実施される。
【0038】
各ボタン310乃至330は、調理対象の食品のための又は所望の適切な調理電力を選択するための電気的な調理制御信号を出力するための押下のための押ボタンスイッチを組み込んでいる。適切な食品9がヒータ110及び120近づいて次々と運ばれるとき、ヒータ制御回路400は、調理信号に基づいて、ヒータ110及び120の個々の動作を順次制御する。
【0039】
なお、ヒータ110及び120の動作は、動作時間及び/又は動作電力により制御可能である。
【0040】
図5乃至図13を参照する。ヒータ制御回路400は、交流の180−240Vの主電源電圧を38Vの直流電圧に変換する主電源回路410と、主電源回路410の出力を制御しかつ各ヒータ110及び120に接続する出力チョッパ回路440と、出力チョッパ回路440の動作を制御するMCU回路430を有するインターフェース回路420とにより構成される。インターフェース回路420は、調理室100内の熱電対102の出力信号のみならずボタン310乃至330からの調理制御信号を収集し、MCU回路430又はその上のMCU U1は、これらのパラメータに基づいてヒータ110及び120にどのように通電するかを決定するようにプログラムされている。
【0041】
制御ボタン310乃至330は、主電源回路410の回路基板の左端部に沿った1列の3個の電気的なコネクタ411、412及び413を介して接続されている。
【0042】
少なくとも1つの熱電対102を、室100内の平均温度を測定しかつ/又は算出するために適した位置で用いてもよい。平均温度は、室100内を動いている食品9がヒータ110及び120に近づくように運ばれる前の、食品9の本体の温度の指標である。平均温度は、制御ボタン310乃至330を用いて選択された調理電力をヒータ110及び120を駆動して提供するために必要とされる電力(すなわち、電流)を決定するための基準として、MCU回路430のMCU U1により用いられる。
【0043】
肉焼きオーブン10(又は、特にヒータ110及び120)の通常の連続的な動作の間は、調理室100内の平均温度は約320℃であるように設計されている。
【0044】
トグルスイッチ215は、各ヒータ110及び120の動作時間、すなわち動作の開始及び終了を制御するように、インターフェース回路420に有線で接続されている。動作の開始及び終了は、コンベヤ130の動作及び動きの速度が一般的に上述したように固定されているということに基づいて、食品が調理室100に入るときを基準として決定される。
【0045】
上述したようにスイッチレバー216を上方にはじくことにより供給ステーション210のフォーク板211が傾斜したときに、食品は調理室100内に入れられ、同時に、スイッチレバー216はトグルスイッチ215に近づく。スイッチ215は、フォーク板211が放すときにバネで付勢されて自身で戻るときにのみ、瞬間的に閉じられる。
【0046】
インターフェース回路420は、スイッチ215が閉じたときをトリガー信号として動作を開始するように構成され、このとき、MCU回路430のMCU U1は、ヒータ110及び120の開始及び終了時刻、すなわち、出力チョッパ回路440が主電源回路410からの直流電力を各ヒータ110及び120にいつ供給するか、を決定するための時間をカウントする内部のカウンタを制御する。
【0047】
開始及び終了時刻は、食品をヒータ110及び120により順次調理するために食品がヒータ110及び120に順に近づいて離れるように運ばれるタイミングに対応している。これは、食品の位置、又は一般的にはコンベヤディスク131のヒータ110及び120に対する角度位置が時間に依存することを意味する。調理の期間、すなわち開始及び終了時刻間の時間期間もまた、制御ボタン310乃至330のうちのどれが押されたか又はユーザにより選択された調理の程度に依存する。
【0048】
主電源回路410は、事実上、交流から直流への電圧調整器である。出力チョッパ回路440は、主電源回路410から各ヒータ110及び120への直流電力のrms値を独立して制御する1組のスイッチングパワートランジスタQ7及びQ11を組み込んでいる。また、インターフェース回路420から12V(低電圧)の各制御信号を受信するための、オプションとして絶縁された入力回路441及び442も含む。インターフェース回路420は、制御ボタン310乃至330から12Vの制御信号をそれぞれ受信するための、3個のオプションとして絶縁された入力回路421、422及び423を含む。
【0049】
補助的な回路を含む上述した回路410、440及び420の基本的な回路設計及びMCU回路430の基本的な回路設計は、一般的に公知であるので、記述を明確にするために記載しない。
【0050】
動作時は、上昇するペグ132の対が来て供給ステーション210から降ろされるとき、例えば串に刺された鳥手羽肉9である第1の食品はペグ132に保持され、その後、第1のヒータ110に向けて上方にゆっくりと回転される。続いて、例えば串に刺されたソーセージである次の食品片を、調理室100内に降ろすために供給ステーション210に載せてもよく、食品片は、次の又は後のペグ132の対により持ち上げられる。
【0051】
例えば、鳥手羽肉のための中程度のボタン320である、押された制御ボタンに従って、第1のヒータ110は中程度の電力レベル(例えば、1000W)で、鳥手羽肉が第1のヒータ110のそばを通過する間の期間にわたって通電される。鳥手羽肉が第2のヒータ120上に移動するとき、ソーセージが載せられて第1のヒータ110に近づくように回転するかもしれない。このとき、第2のヒータ120は、鳥手羽肉のためにすでに選択された1000Wの電力レベルと同一の電力レベルで通電されるが、一方、第1のヒータ110は、例えば低程度ボタン310を用いて選択された800Wである、ソーセージのために選択された異なる電力で通電される。
【0052】
従って、鳥手羽肉が第1のヒータ110から第2のヒータ120に回転するとき、1000Wの電力レベルは、第1のヒータ110から第2のヒータ120に切り替わり、これにより、鳥手羽肉はユーザにより選択された同一の調理電力レベルにさらされる。その後、ソーセージがヒータ110及び120に順に近づくように回転するとき、ソーセージも選択された電力レベルで独立して適切に調理されるように、800Wに選択された異なる電力レベルが第1のヒータ110から第2のヒータ120に切り替わる。
【0053】
当然ながら、ソーセージをより完全に調理することを希望する場合は、中程度ボタン320を押すことができ、より炙られた鳥手羽肉のためには高程度ボタン330を押すことができる。
【0054】
上述した動作は、食品を1つ調理してすぐに次の食品を調理する場合のように、調理室100の温度が一般的に変化しないままであるということを仮定して行われるが、そうでない場合は、所望の調理結果を達成するために適しているので、ヒータ110及び120の動作電力は熱電対102により測定された調理室温度に従って調整される
【0055】
ヒータ制御回路400内のMCU U1は、好ましくは、その内部メモリ内にテーブルを含むようにプログラムされる。テーブルは、(ユーザにより選択された)制御ボタン310乃至330に対応する調理電力でのヒータ110及び120の動作を制御するためのデータセットと、(熱電対102により検出された)室100の温度がとり得る範囲とを含む。
【0056】
調理温度の変化又は調理室100内の調理温度の分布に対する、より細かい又は多用途の制御のために、3個以上のヒータを組み込むことができることを想定できる。例えば4乃至6個の1連のヒータである、3個以上のヒータは、比較的大きく、食品が近くを通りすぎる各ヒータにより、同時により多くの食品を調理するための例えば8乃至12個までの5個以上の食品ホルダ(例えば、上述したペグ132)を組み込んだ肉焼きオーブンにおいて用いられる。
【0057】
串を用いる代わりに、コンベヤベルト又はエスカレータなどの他の種類の食品保持装置を用いることができることが想定できる。
【0058】
本発明を例のみによって示したが、添付の特許請求の範囲又は以上の記述内に開示された本発明の範囲から離れずに、当業者により、上述した実施形態に対する他の様々な変更及び/又は置き換えを行ってもよい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を調理するオーブンに関する。より具体的に、かつ非排他的には、本発明は、商店で、回転する鳥肉片又はソーセージなどの他の食品を調理するオーブンに関する。
【背景技術】
【0002】
回転する串で食品を調理することが知られている。このような串は、オーブンの空間内又は放射熱源に隣接した場所で、固定された軸の周りを回転するように駆動される。所定の又は見積もられた調理時間の後、食品及び/又は串は手動で取り除かれ、又は、自動的に降ろされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
既知の装置において、食品は、食品がヒータゾーン内を移動する間に調理するために、好ましくは、ただし必須ではないが同時に回転されながら、所定の経路に沿って、ヒータゾーン又は調理室内の隣接する放射熱源を、ゆっくりと通過するように動かされる。食品は、ヒータゾーンの入口に到達する前に載せられ、ヒータゾーンの出口から出たときに降ろされる。移動速度は、大体は固定されており、このため、熱源の強度も固定されている。
【0004】
調理される食品の性質及び/又は好みの違いのために、食品の調理される程度は、しばしば満足なものではない。例えば、連続した調理をすると食品は乾燥して汁気を失い、このため、食欲をそそらないまずいものになる。
【0005】
本発明の目的は、上述した不都合又は欠点のうちの少なくとも1つを解決し又は実質的に改善することにある。
【0006】
本発明の目的は、食欲をそそりかつ良い味に食品を調理できる、食品のための食品調理用オーブンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、調理室と、上記調理室内に設置され、上記調理室内の食品を調理する少なくとも2つのヒータと、上記ヒータの個々の動作を、動作時間及び動作電力のうちの少なくとも1つにより制御する制御回路とを備えた食品調理用オーブンが提供される。コンベヤは、上記調理室内に設けられ、食品を、上記ヒータを通過させて順次運ぶことにより調理する。上記制御回路が、上記コンベヤが食品を上記ヒータを通過させて運ぶときの上記ヒータの動作を制御して、これにより食品がどのように調理されるかを決定するための調理制御信号を、ユーザに入力させるユーザ制御装置もまた含まれる。
【0008】
上記コンベヤは、一連の食品片を、上記ヒータを通過させて順次運ぶように構成され、上記制御回路は、一連の食品片が上記各ヒータの近くを運ばれるときに、上記ユーザ制御装置からの上記調理制御信号に従って、上記ヒータの動作を順次制御するように構成される。
【0009】
より好ましくは、上記制御回路は、食品片が上記ヒータの近くを順次運ばれるときに、上記ユーザ制御装置からの上記調理制御信号に従って、第1のヒータの動作を動作可能なように制御し、その後、上記ヒータのうちの第2のヒータを制御する。
【0010】
さらに好ましくは、上記制御回路は、上記ユーザ制御装置からの上記調理制御信号により決定された動作電力で、上記ヒータの個々の動作を動作可能なように制御する。
【0011】
さらに好ましくは、上記制御回路は、食品片が関連するヒータの近くを運ばれるときに、決定された動作時間で、上記ヒータの個々の動作を動作可能なように制御する。
【0012】
好ましい実施形態において、上記制御回路は、上記ユーザ制御装置からの上記調理制御信号に従って上記ヒータの動作電力を決定するために用いられる、上記調理室内の温度を検出する温度センサを含む。
【0013】
好ましい実施形態において、上記コンベヤ及び上記制御回路の動作を、当該動作が同期されるように関連させるトリガー装置を含む。
【0014】
より好ましくは、上記トリガー装置は、上記コンベヤの一部であり、上記コンベヤの動作を開始するために非動作位置から動作位置まで可動である。
【0015】
さらに好ましくは、上記トリガー装置は、上記コンベヤをオンに切り換え、それと同時に上記コンベヤに食品片に載せるように配置される。
【0016】
上記ユーザ制御装置は、複数の調理制御信号を提供するための少なくとも1つのスイッチを備えることが好ましい。
【0017】
上記ユーザ制御装置は複数の上記スイッチを備え、上記各スイッチは、各調理制御信号に関連することがさらに好ましい。
【0018】
好ましい実施形態において、上記コンベヤは、食品片を保持するための複数の食品ホルダを備え、上記食品ホルダは、上記調理室内での上記ヒータを順次通過させる回転のために支持される。
【0019】
添付の図面を参照して、単なる一例として本発明をより具体的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る食品調理用オーブンの実施形態の正面及び側面からの斜視図である。
【図2】カバーを開けて正面の内部のいくつかの部品を取り除いた、図1のオーブンの正面からの斜視図
【図3】図2のオーブンのユーザ制御装置の斜視図である。
【図4A】、図1のオーブンの内部で食品がどのように運ばれて調理されるかを示す連続した概略図のうちの一つである。
【図4B】、図1のオーブンの内部で食品がどのように運ばれて調理されるかを示す連続した概略図のうちの一つである。
【図4C】、図1のオーブンの内部で食品がどのように運ばれて調理されるかを示す連続した概略図のうちの一つである。
【図4D】、図1のオーブンの内部で食品がどのように運ばれて調理されるかを示す連続した概略図のうちの一つである。
【図4E】、図1のオーブンの内部で食品がどのように運ばれて調理されるかを示す連続した概略図のうちの一つである。
【図4F】、図1のオーブンの内部で食品がどのように運ばれて調理されるかを示す連続した概略図のうちの一つである。
【図4G】、図1のオーブンの内部で食品がどのように運ばれて調理されるかを示す連続した概略図のうちの一つである。
【図4H】、図1のオーブンの内部で食品がどのように運ばれて調理されるかを示す連続した概略図のうちの一つである。
【図4I】、図1のオーブンの内部で食品がどのように運ばれて調理されるかを示す連続した概略図のうちの一つである。
【図4J】、図1のオーブンの内部で食品がどのように運ばれて調理されるかを示す連続した概略図のうちの一つである。
【図5】図1のオーブンの制御回路の概略的な上面図である。
【図6】図5の制御回路の概略的な斜視図である。
【図7】図5の制御回路のMCU回路の概略的な上面図である。
【図8】図7のMCU回路の概略的な下面図である。
【図9】複数の機能回路により形成された図5の制御回路の機能ブロック図である。
【図10】図9の制御回路の主電源回路の回路図である。
【図11】図9の制御回路の出力チョッパ回路の回路図である。
【図12】図9の制御回路のインターフェース回路の回路図である。
【図13】図9の制御回路のMCU回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
初めに、図1乃至図5を参照して、本発明を具現する食品調理用オーブンを、食品9を連続的に調理するように設計された、以下で参照するように竹串に支持された鳥手羽肉9又はソーセージ又はフィッシュ/ミートボールなどの様々な食品のための肉焼き器の形式で示す。異なる食品9を、任意の順序及び時間で調理するためにオーブン10の中に載せてもよい。異なる種類の食品は、異なる調理温度及び調理の程度を必要とし、当然ながら、個人の好みはもう1つの要素である。
【0022】
オーブン10は、調理室100と、室100内の食品を炙る、室100内に設けられた1組の電気ヒータ110及び120と、ヒータ110及び120の個々の動作を制御するヒータ制御回路400と、室100内に設けられ、食品をヒータ110及び120を通過させて順次運ぶことにより炙るコンベヤとを有する。ユーザ制御装置300もまた含まれる。ユーザ制御装置300は、制御回路400が、コンベヤ130が食品9をヒータ110及び120を通過させて運ぶときのヒータ110及び120の動作を制御して、これにより食品9の種類に適した適切な意図された調理電力を提供し、かつ/又は食品9がどのように調理されるかを決定するための調理制御信号を、ユーザに入力させる。
【0023】
調理室100は、生の鳥手羽肉9を室100内に供給するために供給ステーション210が取り付けられた場所として示したように、右側に入り口を有し、調理されて室200から出る鳥手羽肉9を集めるためにスライダー220が設けられた左側に出口を有する。
【0024】
コンベヤ30は、駆動機構により水平な軸の周りを並列に、図示するように反時計回りに回転するように駆動される1組の前方及び後方垂直ディスク131により形成される(後方ディスクのみを図2に示す。)。駆動機構は、電動モータと、モータを制御する動作回路と、駆動力をモータからコンベヤディスク131及び他の駆動される部品に伝えるためのギヤトレインとを組み込んでいる。駆動機構は、調理室100のすぐ後ろのコンパートメント150の中に設置される。
【0025】
各ディスク131の内側の表面には、反対側のディスク131の各ペグ132に位置合わせされて6組を形成する、環状に配置された一連の(例えば)6個のクランプ又はペグ132が埋め込まれている。各クランプ又はペグ132は、鳥手羽肉9に関連する串の対向する端部をクランプすることにより当該鳥手羽肉9を保持するためにバネで付勢されている。回転時は、ペグ132により保持された鳥手羽肉9を、観覧車のように、垂直の円形の経路に沿って回転させる。
【0026】
全てのペグ132は、ペグ132がコンベヤディスク131により回転されるとき、惑星運動のようにそれ自身の軸の周りも回転するように、上述したギヤトレインに駆動係合した各歯車に、各水平軸の周りの同時の回転のために取り付けられている。
【0027】
コンベヤ130は、例えば鳥手羽肉9である一連の食品を、調理室100の入り口から出口まで、室100内ではヒータ110及び120を1つずつ順次通過させることにより炙りながら、片(ピース)の形で運ぶように設計されている。各鳥手羽肉9のできるだけ均等な調理を達成するように、鳥手羽肉9は、コンベヤディスク13により回転されると同時に、ペグ132によりその軸の周りを回転させられる。
【0028】
ヒータ110及び120は、清掃又は保守などのために調理室100の内部を見せるために上方への枢動(ピボット動作)のために枢着されたトップカバー101の下側に取り付けられている。ヒータ110及び120は、上述した円形の経路の上部までコンベヤ130により回転されてヒータ110及び120を順次通過する、上部の2個又は3個の鳥手羽肉9の上に熱を放射するように、トップカバー101の下側に並んで、コンベヤ130の直上に実質的に下方向を向いて、配置されている。
【0029】
6組のペグ132は、コンベヤ130の軸の周りに対称に(すなわち、60度間隔で)配置されている。2個のヒータ110及び120は、平らで、互いに対して約120度だけ傾斜しており、このため、ヒータ110及び120の法線は回転軸に対しておおよそ60度である。このように構成することにより、ヒータ110及び120は任意の2個の鳥手羽肉9に対して角度を持って並ぶことができる。これにより、第2の(下流側の)ヒータ120が1つの鳥手羽肉9を炙っているあいだに、第1の(上流側の)ヒータ110は直後に続く次の鳥手羽肉9を調理できる。
【0030】
固定されたローラー133は、ペグ132がローラー133によりつつかれて瞬間的に開き、ちょうど供給された鳥手羽肉9を、関連する串の対応する端部により受け取ってクランプするように、ディスク131により回転されたペグ132の1本に当たるために、室の入り国の内側に、供給ステーション210及び各コンベヤディスク131に隣接して、設置される。他の固定されたローラー134は、ペグ132がローラー134によりつつかれて瞬間的に開き、ちょうど調理された鳥手羽肉9を開放するように、ディスク131によりその後回転されたペグ132の同一の1本に当たるために、出口のスライダー220及び各コンベヤディスク131に隣接して設けられる。
【0031】
供給ステーション210は、水平軸の周りの制限された枢動のために枢着された1組の整列された垂直なフォーク板211を組み込んでいる。フォーク板211は、調理室100の入り口で、鳥手羽肉9を支持する串の対向する端部により鳥手羽肉9を保持するために、通常は上方を向くようにバネで付勢されている。電気的なトグルスイッチ215は、フォーク板211の下部内に設置されており、同時の枢動のためにフォーク板211に結合された動作レバー216を有する。
【0032】
トグルスイッチ215は、関連の動作を同期させるように、特に、所定の食品がコンベヤ130によりヒータ110及び120に近づいて順次運ばれたときに、ヒータ110及び120が1つずつ順次開始するように、コンベヤ130とヒータ110及び120とを同期させるように、ヒータ制御回路400と、コンベヤ130を駆動する駆動機構のための動作回路とに電気的に接続されている。
【0033】
トグルスイッチ215は通常は開いており、スイッチを閉じるように、かつ同時にフォーク板211を室100に向けて傾けてフォーク板21上の鳥手羽肉9を1組のガイドレール212に沿って室100内に降ろすように(図4B)、ユーザにより上方にくるりと回されるために、レバー216が配置されている。スイッチ215は、閉じるときに、コンベヤ130及びヒータ制御回路400の動作の開始をトリガーする。
【0034】
ガイドレール212の下端部には、鳥手羽肉9をその串の対向する端部により受け取って保持し(図4C)、鳥手羽肉9を、コンベヤ130により上方に回転されて第1のローラー133(図4D)の組によりつつかれてひらいた1組のペグ132の前方に回転させるための切欠部をそれぞれ有する1組の回転板213がある。
【0035】
鳥手羽肉9は、ペグ132により保持されて持ち上げられる(図4E及び4F)。その後、ペグ132は、それ自身の軸の周りを同時に回転させられながら、さらに上方に回転され、第1のヒータ110を通過し(図4G)、そして、第2のヒータ120を通過する(図4H)。その結果、鳥手羽肉9は、惑星運動で動かされるので、ヒータ110及び120により全ての側から炙られる。最後に、ペグ132は、他のローラー134の組によりつつかれて開いて鳥手羽肉9を放し(図4I及び4J)、これにより、鳥手羽肉9は調理室100の出口でスライダー220上に落ちて集められる。
【0036】
肉焼きオーブン10が調理するように設計された食品の種類に主に依存して、ヒータ110及び120は、15から50のレベルで調整可能な500℃から700℃までの範囲内の調理温度を提供するように構成され、調理時間は2.0から3.5分の範囲内にあらかじめ設定される。そのために、動作、つまりコンベヤ130の動きの速度は、制御を単純にするために一般的に固定されるが、これは、小さい範囲内で又はより細かい制御のための複数の値で変更又はプログラムされ得る。
【0037】
異なる種類の食品及び/又は個人の好みのために調理温度又は調理の程度を調整するために、ヒータ110及び120の動作は、ヒータ制御回路400を介してユーザ制御装置300により制御される。ユーザ制御装置300は、調理室100の前に配置され、低程度、中程度及び高程度の調理、すなわち、調理温度及び/又は時間のためにそれぞれ設計された一連の3個の制御ボタン310、320及び330により実施される。
【0038】
各ボタン310乃至330は、調理対象の食品のための又は所望の適切な調理電力を選択するための電気的な調理制御信号を出力するための押下のための押ボタンスイッチを組み込んでいる。適切な食品9がヒータ110及び120近づいて次々と運ばれるとき、ヒータ制御回路400は、調理信号に基づいて、ヒータ110及び120の個々の動作を順次制御する。
【0039】
なお、ヒータ110及び120の動作は、動作時間及び/又は動作電力により制御可能である。
【0040】
図5乃至図13を参照する。ヒータ制御回路400は、交流の180−240Vの主電源電圧を38Vの直流電圧に変換する主電源回路410と、主電源回路410の出力を制御しかつ各ヒータ110及び120に接続する出力チョッパ回路440と、出力チョッパ回路440の動作を制御するMCU回路430を有するインターフェース回路420とにより構成される。インターフェース回路420は、調理室100内の熱電対102の出力信号のみならずボタン310乃至330からの調理制御信号を収集し、MCU回路430又はその上のMCU U1は、これらのパラメータに基づいてヒータ110及び120にどのように通電するかを決定するようにプログラムされている。
【0041】
制御ボタン310乃至330は、主電源回路410の回路基板の左端部に沿った1列の3個の電気的なコネクタ411、412及び413を介して接続されている。
【0042】
少なくとも1つの熱電対102を、室100内の平均温度を測定しかつ/又は算出するために適した位置で用いてもよい。平均温度は、室100内を動いている食品9がヒータ110及び120に近づくように運ばれる前の、食品9の本体の温度の指標である。平均温度は、制御ボタン310乃至330を用いて選択された調理電力をヒータ110及び120を駆動して提供するために必要とされる電力(すなわち、電流)を決定するための基準として、MCU回路430のMCU U1により用いられる。
【0043】
肉焼きオーブン10(又は、特にヒータ110及び120)の通常の連続的な動作の間は、調理室100内の平均温度は約320℃であるように設計されている。
【0044】
トグルスイッチ215は、各ヒータ110及び120の動作時間、すなわち動作の開始及び終了を制御するように、インターフェース回路420に有線で接続されている。動作の開始及び終了は、コンベヤ130の動作及び動きの速度が一般的に上述したように固定されているということに基づいて、食品が調理室100に入るときを基準として決定される。
【0045】
上述したようにスイッチレバー216を上方にはじくことにより供給ステーション210のフォーク板211が傾斜したときに、食品は調理室100内に入れられ、同時に、スイッチレバー216はトグルスイッチ215に近づく。スイッチ215は、フォーク板211が放すときにバネで付勢されて自身で戻るときにのみ、瞬間的に閉じられる。
【0046】
インターフェース回路420は、スイッチ215が閉じたときをトリガー信号として動作を開始するように構成され、このとき、MCU回路430のMCU U1は、ヒータ110及び120の開始及び終了時刻、すなわち、出力チョッパ回路440が主電源回路410からの直流電力を各ヒータ110及び120にいつ供給するか、を決定するための時間をカウントする内部のカウンタを制御する。
【0047】
開始及び終了時刻は、食品をヒータ110及び120により順次調理するために食品がヒータ110及び120に順に近づいて離れるように運ばれるタイミングに対応している。これは、食品の位置、又は一般的にはコンベヤディスク131のヒータ110及び120に対する角度位置が時間に依存することを意味する。調理の期間、すなわち開始及び終了時刻間の時間期間もまた、制御ボタン310乃至330のうちのどれが押されたか又はユーザにより選択された調理の程度に依存する。
【0048】
主電源回路410は、事実上、交流から直流への電圧調整器である。出力チョッパ回路440は、主電源回路410から各ヒータ110及び120への直流電力のrms値を独立して制御する1組のスイッチングパワートランジスタQ7及びQ11を組み込んでいる。また、インターフェース回路420から12V(低電圧)の各制御信号を受信するための、オプションとして絶縁された入力回路441及び442も含む。インターフェース回路420は、制御ボタン310乃至330から12Vの制御信号をそれぞれ受信するための、3個のオプションとして絶縁された入力回路421、422及び423を含む。
【0049】
補助的な回路を含む上述した回路410、440及び420の基本的な回路設計及びMCU回路430の基本的な回路設計は、一般的に公知であるので、記述を明確にするために記載しない。
【0050】
動作時は、上昇するペグ132の対が来て供給ステーション210から降ろされるとき、例えば串に刺された鳥手羽肉9である第1の食品はペグ132に保持され、その後、第1のヒータ110に向けて上方にゆっくりと回転される。続いて、例えば串に刺されたソーセージである次の食品片を、調理室100内に降ろすために供給ステーション210に載せてもよく、食品片は、次の又は後のペグ132の対により持ち上げられる。
【0051】
例えば、鳥手羽肉のための中程度のボタン320である、押された制御ボタンに従って、第1のヒータ110は中程度の電力レベル(例えば、1000W)で、鳥手羽肉が第1のヒータ110のそばを通過する間の期間にわたって通電される。鳥手羽肉が第2のヒータ120上に移動するとき、ソーセージが載せられて第1のヒータ110に近づくように回転するかもしれない。このとき、第2のヒータ120は、鳥手羽肉のためにすでに選択された1000Wの電力レベルと同一の電力レベルで通電されるが、一方、第1のヒータ110は、例えば低程度ボタン310を用いて選択された800Wである、ソーセージのために選択された異なる電力で通電される。
【0052】
従って、鳥手羽肉が第1のヒータ110から第2のヒータ120に回転するとき、1000Wの電力レベルは、第1のヒータ110から第2のヒータ120に切り替わり、これにより、鳥手羽肉はユーザにより選択された同一の調理電力レベルにさらされる。その後、ソーセージがヒータ110及び120に順に近づくように回転するとき、ソーセージも選択された電力レベルで独立して適切に調理されるように、800Wに選択された異なる電力レベルが第1のヒータ110から第2のヒータ120に切り替わる。
【0053】
当然ながら、ソーセージをより完全に調理することを希望する場合は、中程度ボタン320を押すことができ、より炙られた鳥手羽肉のためには高程度ボタン330を押すことができる。
【0054】
上述した動作は、食品を1つ調理してすぐに次の食品を調理する場合のように、調理室100の温度が一般的に変化しないままであるということを仮定して行われるが、そうでない場合は、所望の調理結果を達成するために適しているので、ヒータ110及び120の動作電力は熱電対102により測定された調理室温度に従って調整される
【0055】
ヒータ制御回路400内のMCU U1は、好ましくは、その内部メモリ内にテーブルを含むようにプログラムされる。テーブルは、(ユーザにより選択された)制御ボタン310乃至330に対応する調理電力でのヒータ110及び120の動作を制御するためのデータセットと、(熱電対102により検出された)室100の温度がとり得る範囲とを含む。
【0056】
調理温度の変化又は調理室100内の調理温度の分布に対する、より細かい又は多用途の制御のために、3個以上のヒータを組み込むことができることを想定できる。例えば4乃至6個の1連のヒータである、3個以上のヒータは、比較的大きく、食品が近くを通りすぎる各ヒータにより、同時により多くの食品を調理するための例えば8乃至12個までの5個以上の食品ホルダ(例えば、上述したペグ132)を組み込んだ肉焼きオーブンにおいて用いられる。
【0057】
串を用いる代わりに、コンベヤベルト又はエスカレータなどの他の種類の食品保持装置を用いることができることが想定できる。
【0058】
本発明を例のみによって示したが、添付の特許請求の範囲又は以上の記述内に開示された本発明の範囲から離れずに、当業者により、上述した実施形態に対する他の様々な変更及び/又は置き換えを行ってもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理室と、
上記調理室内に設置され、上記調理室内の食品を調理する少なくとも2つのヒータと、
上記ヒータの個々の動作を、動作時間及び動作電力のうちの少なくとも1つにより制御する制御回路と、
上記調理室内に設けられ、食品を、上記ヒータを通過させて順次運ぶことにより調理するコンベヤと、
上記制御回路が、上記コンベヤが食品を上記ヒータを通過させて運ぶときの上記ヒータの動作を制御して、これにより食品がどのように調理されるかを決定するための調理制御信号を、ユーザに入力させるユーザ制御装置とを備えた食品調理用オーブン。
【請求項2】
上記コンベヤは、一連の食品片を、上記ヒータを通過させて順次運ぶように構成され、
上記制御回路は、一連の食品片が上記各ヒータの近くを運ばれるときに、上記ユーザ制御装置からの上記調理制御信号に従って、上記ヒータの動作を順次制御するように構成された請求項1記載の食品調理用オーブン。
【請求項3】
上記制御回路は、食品片が上記ヒータの近くを順次運ばれるときに、上記ユーザ制御装置からの上記調理制御信号に従って、第1のヒータの動作を動作可能なように制御し、その後、上記ヒータのうちの第2のヒータを制御する請求項2記載の食品調理用オーブン。
【請求項4】
上記制御回路は、上記ユーザ制御装置からの上記調理制御信号により決定された動作電力で、上記ヒータの個々の動作を動作可能なように制御する請求項3記載の食品調理用オーブン。
【請求項5】
上記制御回路は、食品片が関連するヒータの近くを運ばれるときに、決定された動作時間で、上記ヒータの個々の動作を動作可能なように制御する請求項3記載の食品調理用オーブン。
【請求項6】
上記制御回路は、上記ユーザ制御装置からの上記調理制御信号に従って上記ヒータの動作電力を決定するために用いられる、上記調理室内の温度を検出する温度センサを含む請求項1乃至5のうちのいずれか1つに記載の食品調理用オーブン。
【請求項7】
上記コンベヤ及び上記制御回路の動作を、当該動作が同期されるように関連させるトリガー装置を含む請求項1乃至5のうちのいずれか1つに記載の食品調理用オーブン。
【請求項8】
上記トリガー装置は、上記コンベヤの一部であり、上記コンベヤの動作を開始するために非動作位置から動作位置まで可動である請求項7記載の食品調理用オーブン。
【請求項9】
上記トリガー装置は、上記コンベヤをオンに切り換え、それと同時に上記コンベヤに食品片に載せるように配置された請求項8記載の食品調理用オーブン。
【請求項10】
上記ユーザ制御装置は、複数の調理制御信号を提供するための少なくとも1つのスイッチを備えた請求項1乃至5のうちのいずれか1つに記載の食品調理用オーブン。
【請求項11】
上記ユーザ制御装置は複数の上記スイッチを備え、
上記各スイッチは、各調理制御信号に関連した請求項10記載の食品調理用オーブン。
【請求項12】
上記コンベヤは、食品片を保持するための複数の食品ホルダを備え、
上記食品ホルダは、上記調理室内での上記ヒータを順次通過する回転のために支持された請求項1乃至5のうちのいずれか1つに記載の食品調理用オーブン。
【請求項1】
調理室と、
上記調理室内に設置され、上記調理室内の食品を調理する少なくとも2つのヒータと、
上記ヒータの個々の動作を、動作時間及び動作電力のうちの少なくとも1つにより制御する制御回路と、
上記調理室内に設けられ、食品を、上記ヒータを通過させて順次運ぶことにより調理するコンベヤと、
上記制御回路が、上記コンベヤが食品を上記ヒータを通過させて運ぶときの上記ヒータの動作を制御して、これにより食品がどのように調理されるかを決定するための調理制御信号を、ユーザに入力させるユーザ制御装置とを備えた食品調理用オーブン。
【請求項2】
上記コンベヤは、一連の食品片を、上記ヒータを通過させて順次運ぶように構成され、
上記制御回路は、一連の食品片が上記各ヒータの近くを運ばれるときに、上記ユーザ制御装置からの上記調理制御信号に従って、上記ヒータの動作を順次制御するように構成された請求項1記載の食品調理用オーブン。
【請求項3】
上記制御回路は、食品片が上記ヒータの近くを順次運ばれるときに、上記ユーザ制御装置からの上記調理制御信号に従って、第1のヒータの動作を動作可能なように制御し、その後、上記ヒータのうちの第2のヒータを制御する請求項2記載の食品調理用オーブン。
【請求項4】
上記制御回路は、上記ユーザ制御装置からの上記調理制御信号により決定された動作電力で、上記ヒータの個々の動作を動作可能なように制御する請求項3記載の食品調理用オーブン。
【請求項5】
上記制御回路は、食品片が関連するヒータの近くを運ばれるときに、決定された動作時間で、上記ヒータの個々の動作を動作可能なように制御する請求項3記載の食品調理用オーブン。
【請求項6】
上記制御回路は、上記ユーザ制御装置からの上記調理制御信号に従って上記ヒータの動作電力を決定するために用いられる、上記調理室内の温度を検出する温度センサを含む請求項1乃至5のうちのいずれか1つに記載の食品調理用オーブン。
【請求項7】
上記コンベヤ及び上記制御回路の動作を、当該動作が同期されるように関連させるトリガー装置を含む請求項1乃至5のうちのいずれか1つに記載の食品調理用オーブン。
【請求項8】
上記トリガー装置は、上記コンベヤの一部であり、上記コンベヤの動作を開始するために非動作位置から動作位置まで可動である請求項7記載の食品調理用オーブン。
【請求項9】
上記トリガー装置は、上記コンベヤをオンに切り換え、それと同時に上記コンベヤに食品片に載せるように配置された請求項8記載の食品調理用オーブン。
【請求項10】
上記ユーザ制御装置は、複数の調理制御信号を提供するための少なくとも1つのスイッチを備えた請求項1乃至5のうちのいずれか1つに記載の食品調理用オーブン。
【請求項11】
上記ユーザ制御装置は複数の上記スイッチを備え、
上記各スイッチは、各調理制御信号に関連した請求項10記載の食品調理用オーブン。
【請求項12】
上記コンベヤは、食品片を保持するための複数の食品ホルダを備え、
上記食品ホルダは、上記調理室内での上記ヒータを順次通過する回転のために支持された請求項1乃至5のうちのいずれか1つに記載の食品調理用オーブン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図4H】
【図4I】
【図4J】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図4H】
【図4I】
【図4J】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2011−519597(P2011−519597A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−506553(P2011−506553)
【出願日】平成21年4月29日(2009.4.29)
【国際出願番号】PCT/CN2009/000471
【国際公開番号】WO2009/132522
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(510288909)
【氏名又は名称原語表記】CHEUNG Chun Kong Ian
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月29日(2009.4.29)
【国際出願番号】PCT/CN2009/000471
【国際公開番号】WO2009/132522
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(510288909)
【氏名又は名称原語表記】CHEUNG Chun Kong Ian
【Fターム(参考)】
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