説明

食品調理用型

特に食品調理で用いるための型(10,30,40)は、ベース(11)と、下縁(16)をベース(11)に当接させてベースから立ち上がる連続壁(14)を有するカラー(12)とを備える。型は、ベース及びカラーをファイバーボードから形成して使い捨て用にすることができ、特定の形態では、連続壁はカラーを開くことを可能にする解除可能な接続部を組み込む。一つの形態では、カラーは、下縁(16)から延びるタブ(25)と、カラーの下縁(16)をベースの近傍に保持するようにベースに対してタブを保持するように動作する保持手段(18,19,31)とを有する。型はさらに、一つの形態では、空洞(17)内に位置付け可能なインサート(19)を有し、別の形態では、連続壁を支持するように支持機構(29,42,43)が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[技術分野]
本発明は、包括的には型に関し、より詳細には、食品調理用の使い捨て型に関する。本発明は、ケーキのような焼成製品に特に適用され、本明細書ではこれに関して説明する。しかしながら、本発明は、この用途に限定されず、ペストリーの外皮、ムース及びチーズケーキのような冷やし固めた食品、又は石膏及び蝋のような他の非食品の形成のような他の用途に用いてもよい。
【背景技術】
【0002】
[発明の背景]
型は、計量したこねものを型の空洞に入れる食品調理のための道具として用いられることが多い。このプロセスは、手作業で行ってもよいが、量産作業では、デポジターを用いてこのプロセスを自動化してもよい。さらに、フラン及びキッシュのようなペストリーを作る際には、オーバーヘッドプラテンは通常、ペストリーベースをベース上に平らに置く力で下降し、オーバーヘッドプラテンと型の縁との間の隙間においてペストリー混練(pastry mix up)を駆動してもよい。続いて、形成されたペストリーベース上にフィリングをのせてもよい。
【0003】
1つの非常に一般的なタイプの型は、ケーキ焼き型である。ケーキ焼き型は、固定された形の周壁を有してもよい。他には、ベースから分離可能であると共にケーキを焼き型から容易に出すことができるように開くことのできる壁構造を有するものもある。スプリングフォームとして知られているこれらの焼き型は、産業用途で広く用いられており、通常は金属製である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スプリングフォームの焼き型のような型は、多目的用に設計されているが、商業的環境では、使用前に洗浄が必要であるという点で量産速度を制限する傾向がある。さらに、型を再使用することにより、製品を焼いた後に製品を型内に残しておくことが普通は不可能である。したがって、型は製品の調理にのみ用いられ、製品の運搬及び販売に備えるさらなるパッケージが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[発明の概要]
第一の態様において、本発明は、型であって、ベースと、対向する上縁と下縁との間に延びる連続壁、及び前記下縁から延びる1つ又は複数のタブを有し、前記下縁を前記ベースに当接させて前記ベースから立ち上がるカラーと、前記カラーの前記下縁を前記ベースの近傍に保持するように、前記タブを前記ベースに対して保持するように動作する保持手段とを備える型を提供する。
【0006】
上記形態の型によれば、ベース上のカラーの位置は、こねもの又は他の固化可能な材料を入れることのできる空洞を画定する。
【0007】
一つの形態では、連続壁は、カラーを開けることを可能にするための解除可能な接続部を組み込む。このように、この型は、スプリングフォームの焼き型と同様に動作することができる。
【0008】
特定の構成では、カラーは、上縁と下縁とを相互に接続する対向する端縁を有するシート材料からなり、端縁は、連続壁を形成するために当接する構成又は重なり合う構成である。特定の実施形態では、解除可能な接続部は、カラーの対向する端縁間に形成される。
【0009】
特定の形態では、ベースからカラーを容易に解除できるように、タブと連続壁との間に脆弱接続部が形成される。この脆弱接続部は、接続部を穿孔することによって、又は接続部の材料の厚さを薄くすることによって、又は当該技術分野で既知の他の技術によって形成してもよい。
【0010】
特定の実施形態では、型は、少なくともカラーが使い捨て用であるように作られ、型が焼成製品用である場合にはオーブン使用可能であるファイバーボードから作られる。ファイバーボードは、カートンボードであってもよく、又は波形ファイバーボードであってもよく、ポリエステル、ポリプロピレン、シリコーン、若しくはポリテトラフルオロエチレンを含む適当なオーブン使用可能な高分子コーティングでコーティングしてもよい。適したシートには、MeadWestvaco社製のPMPコーティングを有する固体漂白硫酸塩(SBS)又は波形ライナボードが含まれる。MeadWestvaco社の「Printcote Ovenable」は、オーブン使用可能な材料のボードの商品の一例であり得る。一つの代替的な形態では、カラーは、一つの形態ではオーブン使用可能であるコート紙から形成することができる。適したコート紙のシートには、クラフト紙が含まれる。
【0011】
一つの形態では、タブをベースの近傍に維持するように構成された保持手段は、タブの少なくともいくつかをベースに結合することによるものである。例えば、タブとベースとの間に接着剤を塗布してもよい。タブ及び/又はベースが高分子材料を含む別の形態では、結合は、熱及び圧力を加えて行ってもよい。別の形態では、タブをベースに固定する様式は、機械的締結機構によるものであってもよい。このような締結機構は、タブ及びベースの両方に噛み合い要素を形成することによって形成してもよい。
【0012】
特定の一つの形態では、タブがカラーの平面から外れて延びると共に、保持手段がタブ及びベースの上方に位置する少なくとも1つのオーバーレイ要素を備えることにより、オーバーレイ要素とベースの表面との間にタブを捕捉させるようにする。
【0013】
特定の一つの形態では、タブの近位端は、カラーの下縁の上方に配置してもよい。このように、タブは、カラーの連続壁の平面から曲げ出すことができ、タブは、曲げられると、カラーの全周に沿ってカラーとベースとの間の接触を維持するように、カラーの下縁と一致するように設計される。
【0014】
一つの形態では、タブの少なくともいくつかは、カラーの平面から外れて外側に延び、型は、カラーの周辺部のまわりに配置された内縁を有するロック部材をさらに備え、ロック部材は、外向きのタブがロック部材とベースとの間に捕捉されるように、オーバーレイ要素(又はオーバーレイ要素の少なくとも1つ)を形成する。
【0015】
特定の実施形態では、ロック部材は、ファイバーボードのようなシート材料から形成される。一つの形態では、ロック部材は、カラーに関して上述したもののようなオーブン使用可能なファイバーボードから作られる。
【0016】
一つの形態では、ロック部材は、単一構造から形成される。しかしながら、この単一構造は、他の実施形態では、一連のより小さな要素で置き換えてもよい。したがって、本明細書での「ロック部材」という用語は、1つの要素であるというだけでなく、このような要素のより短い部分から成る同等に機能する機構も構成する。
【0017】
特定の構成では、ロック部材はベースに結合される。ロック部材は、種々の方法でベースに固定してもよい。例えば、ロック部材とベースとの間に接着剤を塗布してもよい。ロック部材及び/又はベースが高分子材料を含む別の形態では、結合は、係合する部材に熱及び圧力を加えて行ってもよい。別の形態では、ロック部材をベースに固定する様式は、機械的締結機構によるものであってもよい。このような締結機構は、ロック部材及びベースの両方に噛み合い要素を形成することによって形成してもよい。
【0018】
一つの形態では、ロック部材は、ロック部材の内縁から外側に離隔した1つ又は複数の領域に沿ってベースに結合される。特定の形態では、結合は、ロック部材及びベースに圧力を加えることによって施される。この構成の利点は、結合部の形成が、ロック部材の内縁とベースとの間の隙間を広げる傾向があり得ることで、両者間にタブを入れ易くできることである。
【0019】
一つの形態では、型は、型の連続壁及びベースにぴったりと装着してカラー内に位置付け可能なインサートをさらに備える。一つの形態では、インサートは、シート材料から形成され、より特定の形態では、カラーに関して上述したもののようなオーブン使用可能なファイバーボード又は紙から作られる。
【0020】
一つの形態では、タブの少なくともいくつかは、カラーの平面から外れて内側に延び、インサートは、内向きのタブがインサートとベースとの間に捕捉されるように、オーバーレイ要素(又はオーバーレイ要素の少なくとも1つ)を形成する。
【0021】
概して、カラーとベースとの間に、型からこねものが漏れすぎるのを阻止するのに適したシールを形成する必要がある。このようなシールの提供は、焼成製品において、焼成製品を焼いているときにこねものが型内で膨張することにより、ベースとカラーとの間の接合部における圧力が上昇するというさらに大きな問題を生じさせる。
【0022】
一つの形態では、保持手段は、カラーの下縁とベースとの係合が主要なシールをもたらすように、シールを提供するのに適している。別の形態では、連続壁の内面にぴったりと装着して位置付けられるインサートも、シールを提供するのに役立ち得る。
【0023】
一つの形態では、カラーとベースとの間のシールをさらに改善するために、ベースの上面は、カラーの下縁が位置する環状凹部を組み込む。
【0024】
さらなる一態様では、本発明は、型であって、ベースと、対向する上縁と下縁との間に延びる連続壁を有し、前記下縁を前記ベースに当接させて該ベースから立ち上がるカラーと、前記連続壁にぴったりと装着して前記カラー内に配置され、該カラーと前記ベースとの間から前記型内に材料が漏れるのを阻止するためのシールの少なくとも一部を提供するインサートとを備える型を提供する。
【0025】
一つの実施形態では、カラー、ベース、及びインサートは、上述の任意の形態であってもよい。さらに、本発明のこの後者の態様の一形態では、型は、上述のタブ及び保持手段をさらに備えてもよい。
【0026】
特定の実施形態では、上述の任意の形態の型は、連続壁を支持するように動作する支持手段をさらに備える。
【0027】
一つの形態では、ロック部材の内縁は、連続壁を支持するように構成された支持手段の少なくとも一部を形成するように、連続壁に押し当たるように構成される。
【0028】
一つの形態では、支持手段は、連続壁の下縁から離隔した領域に沿って連続壁を支持するように動作する。この後者の形態の特定の構成では、ベースは、離隔した上側部材及び下側部材を有し、該上側部材及び該下側部材のそれぞれは、シート材料から形成され、前記カラーの前記下縁は、前記下側部材上に配置され、前記上側部材は、前記カラーを受け入れる開口を有し、前記上側部材はさらに、前記連続壁を支持するように構成された前記支持手段の少なくとも一部を形成するように、前記カラーの中間領域に押し当たるように構成された当接面を有する。このタイプの適したベースは、「食品調理用及び配送用トレイ」と題する国際公開第2004/066735号明細書に開示されており、その内容は相互参照によって本明細書に援用される。この構成では、上側部材及び下側部材は、ベースが箱状構造を有するように、1つ又は複数の側壁によって相互に接続される。
【0029】
型の少なくとも一つの形態の利点は、ベース上に概して縁が配置されたシート材料からカラーが作られるという点で、多くの異なる形状で作ることができることである。しかしながら、場合によっては、特に鋭い角等がある場合には、カラーの形状を維持するのが難い。支持手段の使用は、カラーがその形状を保つことを可能にするのに役立つ。
【0030】
さらなる態様では、本発明は、型であって、ベースと、対向する上縁と下縁との間に延びる連続壁を有し、前記下縁を前記ベースに当接させて該ベースから立ち上がるカラーと、前記連続壁を支持するように動作する支持手段とを備える型を提供する。
【0031】
一つの実施形態では、カラー、ベース、及び支持手段は、上述の任意の形態であってもよい。
【0032】
この最後の態様のさらなる形態では、型は、上述のようなインサートを有する。
【0033】
上述の形態のいずれかの特定の実施形態では、ベースはシート材料から形成され、ロック部材及び/又はカラーと同じ材料であってもよく、通常は、一つの形態ではオーブン使用可能であってもよいファイバーボードである。一つの代替的な形態では、ベースは、一つの形態ではオーブン使用可能であるコーティングされた紙から形成してもよい。適したオーブン使用可能な高分子コーティングには、ポリエステル、ポリプロピレン、シリコーン、又はポリテトラフルオロエチレンが含まれる。
【0034】
本発明の型の実施の形態の利点は、ファイバーボードのような安価な材料から作ることができるため、型の製造費用が安いことである。したがって、型は、使い捨て製品として経済的に用いることができる。
【0035】
型のさらなる利点は、焼いた後、最初に焼成製品を型から取り出さずに、機械的な製品の分配(mechanical product portioning)を完了できることである。型をこのように用いれば、型は、搬送中に個々の部分を支持及び保護することができる。
【0036】
特定の実施形態による型のさらなる利点は、型が製品のパッケージの一部も形成できることである。この点で、インサート及び/又はベースは、製品のための支持構造として用いることができる。別の構成では、ベース及びカラーの両方がそのまま残り、販売の時点で製品の保護を助け取り扱いを容易にする。この後者の構成では、必要であれば、カラーに印刷をしてもよい。
【0037】
焼き型にファイバーボードを用いることのさらなる利点は、熱分布に大きな影響を及ぼすほど金属の温度が上昇する従来の金属型と比較して、焼かれている製品に対する熱の均一な分布を可能にすることである。
【0038】
型は、シートから形成される場合、使用の時点でノックダウン形態で提供されて、現場で組み立ててもよい。この点で、さらなる形態では、本発明は、上述の任意の形態による型を形成するファイバーボードプリフォームを提供し、このプリフォームは、カラーと、カラーを受け入れるように構成されたベースとを備える。通常、これらの要素は、実質的にシート形態で提供されることにより、搬送及び保管を容易にする。
【0039】
便宜上、添付図面を参照して食品調理用型の実施形態を以下で説明する。図面及びそれに関連する記載の詳細は、上記の概略的な説明の一般性に取って代わるものではないと理解されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
[詳細な説明]
図1をまず参照すると、図示された形態では、焼成用に設計された型が、平坦なベース11と、ベース11の上面13(図4を参照)から上方に延びるカラー12とを備えている。カラー12は、上縁15と下縁16との間に延びる連続壁14を有している。カラーは、ベース11上に位置し、こねもの又は他の液体若しくは半液体材料を受け入れる空洞17を画定している。
【0041】
型10はさらに、環状リングの形態の切り抜き部を有するロック部材18を有し、(図5に示されるように)ベース11の上面13に結合され、より詳細に後述するようにカラーをベースに係合させて保持するように設計されている。ロック部材18は、ベース11からわずかに突出することにより、蓋(通常は熱成形蓋)をベースにロックするための縁面を提供するようなサイズにされている。ベース11の上面13に載るように空洞17内に位置するインサート19も設けられている。インサート19は、カラー12とベース11との間に液体シールの少なくとも一部を提供するように、連続壁14の内面に密着して位置する(図5を参照)ように設計されている。
【0042】
型10の構成要素は全て、シート材料から形成されている。図2及び図3を参照すると、図示された形態では、ベース11、ロック部材18、及びインサート19は全て、1枚のシートから形成することができる。さらに、これらの構成要素はそれぞれ、シートから切断されるだけである。この点で、インサート19は、環状のロック部材18に穴を形成する際に除去されるシートの部分から形成される。さらに、図示された実施形態では、ベース11は、シート材料の折り目によって形成されたヒンジ接続部20を介して、ロック部材18と一体的に形成されている。
【0043】
図3を参照すると、カラー12は、カラー12の連続壁を形成するようにカラーシートの両端21,22を相互に接続することで、シート材料から同様に形成されている。図示された構成では、相互に接続された両端21,22には、解除可能な連結部が形成されている。この構成では、一端21はスロット23を有し、他端22は、そのスロットに入る舌部24を有している。代替的に、解除可能な連結部は、カラー12の一端21の上縁15をカラー12の他端22の上縁15の上に重ねることによって形成されている。
【0044】
カラー12は、カラー12の下縁16から延びる複数のタブ25も有している。これらのタブは、カラーの連続壁14と一体的に形成され、脆弱接続部26によって連続壁に接続されている。これらの脆弱接続部26は、下縁16のわずかに内側に配置され、通常はシートに穴を開けることによって形成される。図示された実施形態では、タブ25は異なる長さを有し、タブ25はタブ25IIよりもわずかに長い。さらに、タブは、長い方のタブ25が短い方のタブ25IIと交互になるように構成されている。別の形態では、タブは均一な長さであってもよいことを理解されたい。
【0045】
図示された実施形態では、型は、MeadWestvaco社によって供給されるようなオーブン使用可能な食品用のコーティングされたボードから作られている。カラー12は、シリコンコーティングを含んでいてもよい。
【0046】
タブは、カラーをベースに効果的に保持するように、ロック部材18又はインサート19とベース11との間に受け入れられるように設計されている。このように、ロック部材18及びインサート19は、カラーをベースの近傍に保持するためのオーバーレイ要素として作用する。これは、図4及び図5を参照して最もよく示されている。
【0047】
型10を組み立てると、図4に最もよく示されているように、カラー12の下縁16は、ベース11の上面13上に位置している。環状凹部27をベースに形成して、カラー12を所定位置に位置付けることを容易にするとともに、カラー12とベース11との接触を高めることができる。カラー12を所定位置に位置付ける際に、タブ25は、連続壁14の平面から曲げ出される。連続壁14とタブ25との間の脆弱接続部26が下縁16の上方にあるため、下縁16は、環状凹部27内に完全に位置するように、タブ25の下方に配置される。図示された形態では、短い方のタブ25IIは、ベース11の上面13とほぼ平行にこれと当接するように外側に延びており、長い方のタブ25は内側に延びている。
【0048】
図5に示されるように、ロック部材18は、タブ25IIがベース11とロック部材18との間に保持されるように、ベース11の上方に位置している。ロック部材18は、タブ25IIがロック部材18とベース11との間に確実に保持されるように、ベース11に固定されている。ロック部材18をベース11に固定する方法は、ベース及びロック部材の一方又は両方に塗布される粘着剤、又は音波溶接、又は高周波又はマイクロ波による接着剤の再活性化、又は機械的締結機構等によるものであってもよい。これは、タブが所定位置に位置付けられる前に行っても後に行ってもよい。
【0049】
図示された形態では、ロック部材18は、ベースの外周縁28に沿ってベースに結合されている。この結合は、連続したシールを形成すると共に内縁をベース11からわずかに持ち上げる圧力によって行われる。内縁29を持ち上げることで、ロック部材18とベース11との間にタブ25IIが位置し易くなる。また、ロック部材の内縁29が、カラー12の下縁16からわずかに離隔した場所で連続壁14に押し当たることも可能にする。
【0050】
カラー18の内縁29は、連続壁14を支持して焼成中にその形状を維持するのを助けるように、連続壁14に押し当たるように構成されている。ケーキは、焼かれるときに、膨張して連続壁に圧力を加えることで連続壁を変形させる傾向がある。この変形させる傾向は、この実施形態では、連続壁のための支持手段として作用するロック部材18の内縁29によって抑えられる。
【0051】
型10の組み立てを完了するために、インサート19を空洞17内に位置させて、ケーキのためのベースを提供する。インサート19は、連続壁14に対してぴったりと装着して位置することにより、連続壁をさらに支持する。さらに、インサートは、内向きのタブ25の上に重なることにより、カラーの下縁16をベース11と係合させて維持する保持手段の一部を形成する。インサート19は、カラー12とベース11との間のシールにも役立つ。
【0052】
図6〜図8を参照すると、型30の第2の実施形態が示されている。型30は、前の実施形態の特徴の多くを有しており、同じ特徴には同じ参照符号が付けてある。
【0053】
前の実施形態と一貫して、型のカラー12は、ベース11上に位置するように構成されている。この場合も、ベース及びカラーの両方が、オーブン使用可能なファイバーボードから作られている。さらに、カラー12は、カラー12の下縁16から下方に突出するタブ25を組み込んでいる。図示されているような型30の形態では、タブ25は、均一な長さを有している。
【0054】
型30と前の実施形態の型10との主な相違は、タブ25をベース11と係合させて保持するのに異なる手法が用いられることである。特に、前の実施形態で説明したようにロック部材18を用いるのではなく、タブは全て内側に曲げられ、図9及び図10に最もよく示されているように、接着剤31を用いてベース11に直接結合されている。ロック部材18が必要ないため、ベースは、カラー12の外周を大きく越えて突出していない。
【0055】
この場合も、前の実施形態のように、インサート19は、連続壁14の内面に対して密着して位置するように、空洞17内に位置している。さらに、インサートは、インサートとベースとの間にタブ25を捕捉する。
【0056】
前の実施形態とは異なり、連続壁14は、別個には支持されていない。したがって、型30は、製品の形成中に型内で過剰な圧力上昇がない状況に、より適している。したがって、型30は、低温固化製品に、又は焼成製品が比較的薄い場合に適している。
【0057】
型40の第3の実施形態が、図9及び図10を参照して示されている。この場合も、型40の実施形態は、前の実施形態の特徴の多くを有しているため、便宜上同じ特徴には同じ参照符号が付けてある。
【0058】
前の実施形態とは対照的に、型40は、前の実施形態のような個別のケーキではなく、複数の独立したケーキ又はマフィン(図示された形態では6つ)を製造するように構成されている。さらに、ベース11は、より詳細に後述するように、カラー12(2つのみを示す)にさらなる支持を提供するように構成されたトレイ41の一部を形成する。このトレイ41もまたオーブン使用可能であり、「食品調理用及び配送用トレイ」と題する国際公開第2004/066735号明細書の主題であり、その内容は相互参照によって本明細書に援用される。しかしながら、上記出願に開示されているような個別の紙製の「パティー」カップを用いる代わりに、型10は、ベース11に対して保持されるカラー12を用いている。
【0059】
図10に最もよく示されているように、トレイ41は、下側部材(又はベース)11と、ベース11上に配置されたオーバーレイ要素42と、オーバーレイ要素42及びベース11の両方から離隔した上側部材43とを有している。オーバーレイ要素42及び上側部材43はいずれも、カラー12を受け入れるための切り抜き部(図示の形態では円形である)を有している。
【0060】
このようにして、カラー12は、その下縁16をベース部材11上にして位置することができる。さらに、カラーは、個々の型の空洞17内に内側に突出するタブを有している。インサート19は、タブ25がインサート19とベース11との間に上述と同様に捕捉されるように、空洞17内に位置している。図示された形態では、カラーは比較的小さな直径しか有さないため、タブ25をベース11に別々に結合する必要がないことが分かっている。タブ25をインサート19の内側に配置してインサート19の下に位置付けるだけで、下縁16をベース11と係合させて保持するのに十分である。インサート19が連続壁14にぴったりと装着して、オーバーレイ要素42が連続壁14に押し当たるため、カラー12とベース11との間からこねものが漏れるのを防止する十分なシールがある。
【0061】
この実施形態の型40の重要な特徴は、上側部材43が下縁16から離隔した関係で型40のカラーに押し当たることである。したがって、これは、型の使用中にカラー12を支持してその形状を保つ。
【0062】
型40は、その直径よりも長い高さの個々のケーキを製造するのに理想的である。さらに、型40は、複数のケーキを作るためのものであるが、使い捨て用途に変更できることを理解されたい。
【0063】
使用の際には、型10,30,40は、それらがノックダウン形態で提供されて現場で組み立てられるか、又は予め組み立てられている業務用厨房用に理想的である。組み立てられると、液体又は流動性形態であり得るペストリー生地又はこねものが空洞17に挿入され、その後、こねものが通常は加熱又は冷却によって固められる。
【0064】
製品が形成された後、カラーは、カラー12の端21及び22を離してカラーの連続壁14をタブ25から引き剥がすだけで、ベースから剥ぎ取ることができる。代替的に、カラーは、製品パッケージの一部として用いてもよく、製品が固まった後で所定位置に残される。
【0065】
型10,30,40の利点は、コーティングされたボード又は紙のみから作られるため、製造が安価であり、使い捨てに理想的であることである。さらに、全ての構成要素がシート材料から作られることにより、高価な成形装置が全く必要なくなる。これにより、製造プロセスが単純化され、特に型の寸法を顧客のニーズに合うように容易に変えることが可能になる。型は、ハート形のような複雑な形状に含まれるのにも理想的である。
【0066】
型10,30,40のさらなる利点は、元々のこねものがどの程度液状であるかに関係なく、提供されるシールが焼成製品及び低温固化製品の両方に申し分ないことが分かっていることである。したがって、型は、食品調理における広範囲に及ぶ製品に用いるのに適している。
【0067】
具体的な実施形態を参照して、食品調理用型を説明してきたが、型を多くの他の形態で具現することができることを理解すべきである。特に、型は、食品調理以外の用途で用いてもよい。
【0068】
添付の特許請求の範囲及び食品調理用型の上記説明において、文言による明示又は必然的な暗示により文脈上他の解釈が必要である場合を除き、「comprise」という単語又は「comprises」若しくは「comprising」等の変形は、包括的な意味で、すなわち、型の種々の実施形態のさらなる特徴の存在又は追加を除外するのではなく、記載の特徴の存在を明示するために用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】食品調理用型の展開斜視図である。
【図2】図1の型のロック部材及びベースの平面図である。
【図3】図1の型のカラーのプリフォームの平面図である。
【図4】図2の型のベース間の接合部の詳細断面図である。
【図5】インサート及びロック部材が所定位置にある、図4の接合部の詳細断面図である。
【図6】食品調理用型の第2の実施形態の展開斜視図である。
【図7】図6の型のカラーとベースとの間の接合部の詳細断面図である。
【図8】インサートが所定位置にある、図7の接合部の詳細断面図である。
【図9】食品調理用型の第3の実施形態の斜視図である。
【図10】図9の切断線X−Xに沿った断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
型であって、
ベースと、
対向する上縁と下縁との間に延びる連続壁、及び前記下縁から延びる1つ又は複数のタブを有し、前記下縁を前記ベースに当接させて前記ベースから立ち上がるカラーと、
前記カラーの前記下縁を前記ベースの近傍に保持するように、前記タブを前記ベースに対して保持するように動作する保持手段と
を備える型。
【請求項2】
前記連続壁は、前記カラーを開くことを可能にするための解除可能な接続部を組み込む、請求項1に記載の型。
【請求項3】
前記カラーは、前記上縁と前記下縁とを相互に接続する対向する端縁を有するシート材料からなり、
前記端縁は、前記連続壁を形成するために当接する構成又は重なり合う構成である、請求項1又は2に記載の型。
【請求項4】
前記解除可能な接続部は、前記カラーの前記対向する端縁間に形成される、請求項2に従属する場合の請求項3に記載の型。
【請求項5】
脆弱接続部が、前記タブと前記連続壁との間に形成される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の型。
【請求項6】
前記保持手段は、前記タブの少なくともいくつかと前記ベースとの間に形成された結合部を組み込む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の型。
【請求項7】
前記タブが前記カラーの平面から外れて延びると共に、前記保持手段が前記タブ及び前記ベースの上方に位置する少なくとも1つのオーバーレイ要素を備えることにより、該オーバーレイ要素と前記ベースの表面との間に前記タブを捕捉させるようにする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の型。
【請求項8】
前記タブの少なくともいくつかは、前記カラーの平面から外れて外側に延び、
前記型は、前記カラーの周辺部のまわりに配置された内縁を有するロック部材をさらに備え、
該ロック部材は、外向きの前記タブが前記ロック部材と前記ベースとの間に捕捉されるように、前記オーバーレイ要素を形成する、請求項7に記載の型。
【請求項9】
前記ロック部材は、シート材料から形成されると共に、前記ベースに結合される、請求項8に記載の型。
【請求項10】
前記ロック部材は、ファイバーボードから形成される、請求項9に記載の型。
【請求項11】
前記ロック部材は、該ロック部材の前記内縁から外側に離隔した1つ又は複数の領域に沿って前記ベースに結合される、請求項8〜10のいずれか一項に記載の型。
【請求項12】
前記連続壁にぴったりと装着して前記カラー内に位置付け可能なインサートをさらに備える、請求項1〜11のいずれか一項に記載の型。
【請求項13】
型であって、
ベースと、
対向する上縁と下縁との間に延びる連続壁を有し、前記下縁を前記ベースに当接させて該ベースから立ち上がるカラーと、
前記連続壁にぴったりと装着して前記カラー内に配置され、該カラーと前記ベースとの間から前記型内に材料が漏れるのを阻止するためのシールの少なくとも一部を提供するインサートと
を備える型。
【請求項14】
前記インサートは、シート材料から形成される、請求項12又は13に記載の型。
【請求項15】
前記インサートは、ファイバーボードから形成される、請求項14に記載の型。
【請求項16】
前記タブの少なくともいくつかは、前記カラーの平面から外れて内側に延び、
前記インサートは、内向きの前記タブが前記インサートと前記ベースとの間に捕捉されるように、前記オーバーレイ要素を形成する、請求項7に従属する場合の請求項12、14又は15のいずれか一項に記載の型。
【請求項17】
前記連続壁を支持するように動作する支持手段をさらに備える、請求項1〜16のいずれか一項に記載の型。
【請求項18】
型であって、
ベースと、
対向する上縁と下縁との間に延びる連続壁を有し、前記下縁を前記ベースに当接させて該ベースから立ち上がるカラーと、
前記連続壁を支持するように動作する支持手段と
を備える型。
【請求項19】
前記連続壁を支持するように構成された前記支持手段の少なくとも一部を形成するように、前記ロック部材の前記内縁は、前記連続壁に押し当たるように構成される、請求項8に従属する場合の請求項17に記載の型。
【請求項20】
前記支持手段は、前記連続壁の前記下縁から離隔した1つ又は複数の領域に沿って前記連続壁を支持するように動作する、請求項17〜19のいずれか一項に記載の型。
【請求項21】
前記ベースは、離隔した上側部材及び下側部材を有し、該上側部材及び該下側部材のそれぞれは、シート材料から形成され、前記カラーの前記下縁は、前記下側部材上に配置され、
前記上側部材は、前記カラーを受け入れる開口を有し、
前記上側部材はさらに、前記連続壁を支持するように構成された前記支持手段の少なくとも一部を形成するように、前記カラーの中間領域に押し当たるように構成された当接面を有する、請求項17〜20のいずれか一項に記載の型。
【請求項22】
前記上側部材及び前記下側部材は、前記ベースが箱状構造を有するように、1つ又は複数の側壁によって相互に接続される、請求項21に記載の型。
【請求項23】
前記カラーは、ファイバーボードから形成される、請求項1〜22のいずれか一項に記載の型。
【請求項24】
前記ベースは、シート材料から形成される、請求項1〜23のいずれか一項に記載の型。
【請求項25】
前記ベースは、ファイバーボードから形成される、請求項20に記載の型。
【請求項26】
前記ロック部材は、前記ベースと一体的に形成され、
前記ロック部材を前記ベースの上に重ねることを可能にするために、前記ロック部材と前記ベースとの間に折り目が形成される、請求項9に従属する場合の請求項24又は25に記載の型。
【請求項27】
前記ファイバーボードは、オーブン使用可能であり、カートンボード、波形ファイバーボード、又はコーティングされたファイバーボードから成る群より選択される、請求項10、15、23、又は25に記載の型。
【請求項28】
カラーと、
該カラーを受け入れるように構成されたベースと
を備える、請求項1〜27のいずれか一項に記載の型を形成するためのファイバーボードプリフォーム。
【請求項29】
請求項8〜11のいずれか一項に記載のロック部材をさらに備える、請求項28に記載のファイバーボードプリフォーム。
【請求項30】
前記ロック部材は、前記ベースに結合される、請求項29に記載のファイバーボードプリフォーム。
【請求項31】
請求項12〜15のいずれか一項に記載のインサートをさらに備える、請求項28〜30のいずれか一項に記載のファイバーボードプリフォーム。
【請求項32】
前記ファイバーボードプリフォームの包装及び搬送を容易にするために平坦な形態で製造される、請求項28〜31のいずれか一項に記載のファイバーボードプリフォーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−524989(P2008−524989A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547099(P2007−547099)
【出願日】平成17年12月23日(2005.12.23)
【国際出願番号】PCT/AU2005/001958
【国際公開番号】WO2006/066349
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(507211808)ケント・ペイパー・カンパニー・プロプライエタリー・リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】KENT PAPER CO PTY LTD
【住所又は居所原語表記】Unit9, 9/13 Hayes Street, Balgowah, NSW 2093, Australia
【Fターム(参考)】