食材焼き器
【課題】調理人の技量によらず、食材を短時間で且つ良好に焼き上げることができる食材焼き器を提供する。
【解決手段】本食材焼き器1は、燃焼手段(ガスバーナ3)と、該燃焼手段の上方に設けられ且つ該燃焼手段からの火炎を遮る遮炎手段(遮炎体13)と、該遮炎手段の上方に設けられ且つ遠赤外線発生部材(セラミックスチップ9)を収容する収容手段(収容ケース10)と、該収容手段の上方に設けられ且つ食材を載置する載置手段(串置台20)と、を備え、前記遮炎手段には、前記燃焼手段からの熱気を流通させるための熱気流通路Pと、該熱気流通路と外部とを連絡し且つ横方に開口する上下のスリット16a,16bとが設けられている。
【解決手段】本食材焼き器1は、燃焼手段(ガスバーナ3)と、該燃焼手段の上方に設けられ且つ該燃焼手段からの火炎を遮る遮炎手段(遮炎体13)と、該遮炎手段の上方に設けられ且つ遠赤外線発生部材(セラミックスチップ9)を収容する収容手段(収容ケース10)と、該収容手段の上方に設けられ且つ食材を載置する載置手段(串置台20)と、を備え、前記遮炎手段には、前記燃焼手段からの熱気を流通させるための熱気流通路Pと、該熱気流通路と外部とを連絡し且つ横方に開口する上下のスリット16a,16bとが設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材焼き器に関し、さらに詳しくは、調理人の技量によらず、食材を短時間で且つ良好に焼き上げることができる食材焼き器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、焼鳥等の串刺し食材を炭火で焼き上げることが行われている。しかし、この炭火焼きでは、温度のバラツキが大きいため素人が美味しく且つ見栄えよく焼き上げることが困難であった。また、炭の着火、消火及び消火後の保管等が煩雑である。さらに、高価な備長炭の替わりに、おがくずをタールで固めてなる安価なおが炭を用いる場合には、食材にタール臭が付着してしまう。
【0003】
そこで、上記問題を解決するために、従来の食材焼き器として、熱源14の上方に遠赤外線放射材20を載置した金網18を配置してなり、遠赤外線の放射によって串刺し食材12を焼き上げるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、上記特許文献1では、熱源14の火炎が金網18及び遠赤外線放射材20の隙間を通過してしまい、その火炎により食材の油分に火が着いて食材12の表面を焦がしてしまう恐れがある。一方、食材の焦げを防ぐために熱源14の火力を弱めると、食材の焼上げ時間が長くなってしまう。
【0004】
【特許文献1】特開2002−295843号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、調理人の技量によらず、食材を短時間で且つ良好に焼き上げることができる食材焼き器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の通りである。
1.燃焼手段と、該燃焼手段の上方に設けられ且つ該燃焼手段からの火炎を遮る遮炎手段と、該遮炎手段の上方に設けられ且つ遠赤外線発生部材を収容する収容手段と、該収容手段の上方に設けられ且つ食材を載置する載置手段と、を備え、
前記遮炎手段には、前記燃焼手段からの熱気を流通させるための熱気流通路と、該熱気流通路と外部とを連絡し且つ横方に開口する上下のスリットとが設けられていることを特徴とする食材焼き器。
2.前記遮炎手段は、互いに重ね合される上下のプレートを有しており、該上下のプレートは、該上下のプレートを重ね合せた状態で前記熱気流通路を形成する上下の流通路形成部を有しており、該上下の流通路形成部には前記上下のスリットが形成されている上記1.記載の食材焼き器。
3.前記遮炎手段の前記熱気流通路の横断面形状は、六角形、三角形又は四角形である上記2.の食材焼き器。
4.前記熱気流通路は、並列状の複数の主通路と、複数の該主通路のうちの隣接する該主通路を連絡する複数の連絡通路とからなっている上記1.又は3.に記載の食材焼き器。
5.前記遮炎手段は、前記収容手段の底壁部を構成している上記1.乃至4.のいずれか一項に記載の食材焼き器。
6.前記燃焼手段、前記遮炎手段、前記収容手段及び前記載置手段を支持する支持フレームを更に備え、前記収容手段は、該支持フレームに着脱自在に設けられている上記1.乃至5.のいずれか一項に記載の食材焼き器。
7.前記遠赤外線発生部材は、炭化石からなるセラミックスチップである上記1.乃至6.のいずれか一項に記載の食材焼き器。
8.前記セラミックスチップは、直径が8〜12mmの円柱状を有している上記7.記載の食材焼き器。
9.前記食材は串刺し食材である上記1.乃至8.のいずれか一項に記載の食材焼き器。
【発明の効果】
【0007】
本発明の食材焼き器によると、燃焼手段からの火炎は、遮炎手段により食材側へ流れることが遮られる。一方、燃焼手段からの熱気は、遮炎手段の下スリットを介して熱気流通路を流通して上スリットから食材側に流れる。そして、その熱気が遠赤外線発生部材の隙間を通って食材を加熱すると共に、その熱気によって遠赤外線発生部材が加熱されて遠赤外線が発生される。その結果、熱気による食材の加熱に加えて、遠赤外線発生部材からの遠赤外線によって、食材を短時間で且つ良好に焼き上げることができる。
また、前記遮炎手段が上下のプレートを有しており、該上下のプレートが、上下の流通路形成部を有しており、該上下の流通路形成部に前記上下のスリットが形成されている場合は、遮断手段をより簡易且つ安価に構成することができる。
また、前記遮炎手段の前記熱気流通路の横断面形状は、六角形、三角形又は四角形である場合は、遮断手段をより簡易且つ安価に構成することができる。
また、前記熱気流通路が、複数の主通路と、複数の連絡通路とを有している場合は、遮炎手段の平面全域により均等に熱気を流通させることができる。その結果、遠赤外線発生部材をより均一に加熱できると共に、食材をより均一に焼き上げることができる。
また、前記遮炎手段が、前記収容手段の底壁部を構成している場合は、収容手段をより簡易且つ安価に構成できる。また、熱気を伝える遮炎手段の上に遠赤外線発生部材を配置できるので、遠赤外線発生部材及び食材をより効率良く加熱できる。
また、支持フレームを更に備え、前記収容手段が、該支持フレームに着脱自在に設けられている場合は、遠赤外線発生部材の清掃、交換等をより簡易に行い得る。
また、前記遠赤外線発生部材が炭化石からなるセラミックスチップである場合は、焼き上げられた食材に炭の臭いを付着させることができる。
また、前記セラミックスチップが、直径が8〜12mmの円柱状を有している場合は、セラミックスチップの隙間を熱気の通過に適した大きさの空間とすることができる。
また、前記食材が串刺し食材である場合は、串刺し食材をより良好に焼き上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
1.食材焼き器
本実施形態に係る食材焼き器は、以下に述べる燃焼手段、遮炎手段、収容手段及び載置手段を備えている。この食材焼き器は、例えば、後述する支持フレームを更に備えることができる。
なお、上記「食材」の種類等は特に問わないが、肉類、魚介類、野菜類等を串刺ししてなる串刺し食材であることが好ましい。
【0009】
上記「燃焼手段」は、燃料を燃焼させる限り、その構造、燃焼形態等は特に問わない。
上記燃焼手段としては、例えば、バーナ、コンロ、ヒータ、炭火等を挙げることができる。これらのうち、より簡易且つ安価に構成できるといった観点から、バーナ(特に、ガスバーナ)であることが好ましい。
【0010】
上記「遮炎手段」は、上記燃焼手段の上方に設けられ且つ該燃焼手段からの火炎を遮る限り、その構造、遮炎形態等は特に問わない。この遮炎手段は、以下に述べる熱気流通路及び上下のスリットを有している。
【0011】
上記「熱気流通路」は、上記燃焼手段からの熱気を流通させるための通路である限り、その構造、形状、設置形態等は特に問わない。
上記熱気流通路としては、例えば、(1)並列状の複数の主通路と、隣接する主通路を連絡する複数の連絡通路とからなっている形態、(2)同心円状の複数の主通路と、隣接する主通路を連絡する複数の連絡通路とからなっている形態、(3)蛇腹状の主通路と、この主通路のうちの近接する部位を連絡する連絡通路とからなっている形態等を挙げることができる。これらのうち、上記遮炎手段の平面全域に熱気をより均等に流通させ得るといった観点から、上記(1)形態であることが好ましい。
【0012】
上記「上下のスリット」は、上記熱気流通路に連なり水平方向に開口する限り、その構造、形状、設置形態等は特に問わない。
上記上下のスリットは、例えば、上記主通路の長尺方向に沿って所定間隔で複数設けられていることができる。
【0013】
ここで、上記遮炎手段は、例えば、互いに重ね合される上下のプレートを有しており、これら上下のプレートは、その重合状態で上記熱気流通路を形成する上下の流通路形成部を有しており、これら上下の流通路形成部に上記上下のスリットが形成されていることができる。
上述の場合、上記上下のスリットは、例えば、上記上下の流通路形成部の基部に形成されていることができる。これにより、下スリットへの火炎の侵入をより確実に抑制できると共に、上下のスリットを介して熱気をより円滑に通過させることができる。
上記熱気流通路の横断面形状は、特に限定されないが、六角形、三角形又は四角形とすることができる。特に、この三角形の場合は、L字型アングル用いて作製できるので、遮断手段をより簡易且つ安価に構成することができる。
【0014】
上記「収容手段」は、上記遮炎手段の上方に設けられ且つ遠赤外線発生部材を収容する限り、その構造、収容形態等は特に問わない。
上記収容手段は、例えば、底壁部と、この底壁部の周縁から立ち上がる周壁部とを有していることができる。この底壁部は、例えば、上記遮炎手段によって構成されていることができる。
【0015】
上記「遠赤外線発生部材」は、加熱により遠赤外線を発生する限り、その形状、材質、使用量等は特に問わない。
上記遠赤外線発生部材としては、例えば、セラミックス、石、アルミナ、チタニア等を挙げることができる。
【0016】
上記遠赤外線発生部材は、例えば、炭化石からなるセラミックスチップであることができる。このセラミックスチップは、例えば、パウダー状の上記炭化石にバインダ(粘土等)を混合し、その混合物を焼結成形して得ることができる。
上述の場合、上記セラミックスチップは、その直径が8〜12mmの円柱状を有していることが好ましい。直径8mm未満であると、セラミックスチップの隙間が小さくなって熱気の通気性が低くなり、直径12mmを超えると、セラミックスチップの隙間が大きくなって火炎が通過してしまう恐れがあるためである。
【0017】
上記「載置手段」は、上記収容手段の上方に設けられ且つ食材が載置される限り、その構造、載置形態等は特に問わない。
上記載置手段としては、例えば、載置台、金網、枠状部材、孔付鉄板等を挙げることができる。
上記載置手段は、例えば、上記収容手段の上部に着脱自在に設けられていることができる。
【0018】
上記「支持フレーム」は、上記燃焼手段、上記遮炎手段、上記収容手段及び上記載置手段を支持する限り、その構造、支持形態等は特に問わない。
上記支持フレームには、例えば、上記収容手段が着脱自在に設けられていることができる。
上記支持フレームは、例えば、上記遮炎手段の下側の周囲を囲むスカート部を有していることができる。これにより、上記燃焼手段からの熱気を効率良く遮炎手段の熱気流通路に流通させることができる。従って、串焼き器の命である高温(約500〜550℃)が得られる。
【実施例1】
【0019】
以下、図面を用いて実施例1により本発明を具体的に説明する。
【0020】
(1)食材焼き器の構成
本実施例1に係る食材焼き器1は、図1〜3に示すように、枠状の支持フレーム2を備えている。この支持フレーム2の下部には、複数(図中12本)のガスバーナ3(本発明に係る「燃焼手段」として例示する。)が配設されている。また、この支持フレーム2には、ガスバーナ3の周囲を囲む周囲側の断熱部材5aと、ガスバーナ3の下方に配設される断熱部材5bとが設けられている。また、この支持フレーム2の周壁の対向面間には補強板6が懸架されている。また、この支持フレーム2には、後述の遮炎体の下側の周囲を囲むスカート部7が着脱自在に設けられている。
【0021】
上記支持フレーム2には、多数のセラミックスチップ9(本発明に係る「遠赤外線発生部材」として例示する。)を収容する収容ケース10(本発明に係る「収容手段」として例示する。)が着脱自在に設けられている(図3参照)。この収容ケース10は、底壁部10aと、この底壁部10aの周縁から立ち上がる周壁部10bとを有している。また、この収容ケース10の上部には、支持フレーム2から収容ケース10を取り外した際にセラミックスチップ9のこぼれを防止する金網11が着脱自在に設けられている。さらに、この収容ケース10の上部には、図3に示すように、食材F(例えば、焼鳥等の串刺し食材等)が載置される串置台20(本発明に係る「載置手段」として例示する。)が設けられている。
なお、上記セラミックスチップ9は、パウダー状の炭化石にバインダ(粘土等)を混合し、その混合物を焼結成形して得られたものである。また、上記セラミックスチップ9は、その直径が10mmで且つその軸長さが10mmの円柱状を有している。
【0022】
上記収容ケース10の底壁部10aは、図4〜7に示すように、平面矩形状の遮炎体13(本発明に係る「遮炎手段」として例示する。)を備えている。この遮炎体13は、上下のプレート14a,14bを接合してなされている。これら各上下のプレート14a,14bには、その接合状態で熱気流通路Pを形成する凹状の上下の流通路形成部15a,15bが設けられている。これら各上下の流通路形成部15a,15bの基部には、熱気流通路Pに連なり水平方向に開口する上下のスリット16a,16bが形成されている。また、上記熱気流通路Pは、並列状の複数(図4中で9本)の主通路P1と、隣接する主通路P1を連絡する複数の連絡通路P2とからなっている。これら主通路P1の長手方向に沿って所定間隔で多数の上下のスリット16a,16bが配設されている。
【0023】
(2)食材焼き器の作用
次に、上記食材焼き器1の作用について説明する。
上記ガスバーナ3を点火すると、ガスバーナ3からの火炎は、遮炎体13により食材F側へ流れることが遮られる。一方、ガスバーナ3からの熱気は、遮炎体13の下スリット16bを介して熱気流通路P(主通路P1及び連絡通路P2)を流通して上スリット16aから食材F側へ流れる。そして、その熱気がセラミックスチップ9の隙間を通って串置台20上の食材Fを加熱する。また、その熱気がセラミックスチップ9を加熱して遠赤外線が発生され、その遠赤外線によって串置台20上の食材Fが加熱される。なお、上記食材Fの加熱温度は約500〜550℃となっている。
【0024】
(3)実施例1の効果
以上より、本実施例1では、遮炎体13によって、ガスバーナ3からの火炎を食材F側へ流さないようにしたので、火炎による食材Fの過度の焦げを抑制できる。また、遮炎体13によって、ガスバーナ3からの熱気を食材F側に流すようにしたので、熱気による食材Fの加熱に加えて、セラミックスチップ9からの遠赤外線によって、食材Fを、短時間で、美味しく且つ見栄えよく焼き上げることができる。
【0025】
また、本実施例1では、上下のプレート14a,14bを接合して遮炎体13を構成するようにしたので、遮断体13をより簡易且つ安価に構成することができる。
また、本実施例1では、上下の流通路形成部15a,15bの基部に上下のスリット16a,16bを形成するようにしたので、下スリット16bへの火炎の侵入をより確実に抑制できると共に、上下のスリット16a,16bを介して熱気をより円滑に通過させることができる。
また、本実施例1では、並列状の複数の主通路P1と、隣接する主通路P1を連絡する複数の連絡通路P2とから熱気流通路Pを構成するようにしたので、遮炎体13の内部で平面全域により均等に熱気を流通させることができる。その結果、セラミックスチップ9全体をより均一に加熱できると共に、食材F全体をより均一に焼き上げることができる。
【0026】
また、本実施例1では、収容ケース10の底壁部10aを遮炎体13で構成するようにしたので、収容ケース10をより簡易且つ安価に構成できる。また、遮炎体13の上面にセラミックスチップ9が配置されるので、セラミックスチップ9及び食材Fをより効率良く加熱できる。
また、本実施例1では、収容ケース10の上部に金網11を着脱自在に固定すると共に、この収容ケース10を支持フレーム2に着脱自在に設けるようにしたので、セラミックスチップ9や金網11の清掃、交換等をより簡易に行い得る。
【0027】
また、本実施例1では、炭化石からなるセラミックスチップ9を採用したので、焼き上げられた食材Fに炭の臭いを付着させることができる。
また、本実施例1では、直径10mmで且つ軸長さ10mmの円柱状のセラミックスチップ9を採用したので、セラミックスチップ9の隙間を熱気の通過に適当な大きさの空間とすることができる。
【0028】
尚、本発明においては、上記実施例1に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例1では、平面矩形状の遮炎体13を例示したが、これに限定されず、例えば、平面円形状等の遮炎体としてもよい。
また、上記実施例1では、上下のスリット16a,16bを上下の流通路形成部15a,15bの基部に設けるようにしたが(図6参照)、これに限定されず、例えば、図8に示すように、上下のスリット16a,16bを上下の流通路形成部15a,15bの中間部に設けるようにしてもよい。
また、上記実施例1では、上下のスリット16a,16bを同じ平面位置に設けるようにしたが(図6参照)、これに限定されず、例えば、図8に示すように、上下のスリット16a,16bのうち一方のスリット16a(16b)を設けた部位には他方をスリット16b(16a)を設けないようにしてもよい。
【実施例2】
【0029】
以下、図面を用いて実施例2により本発明を具体的に説明する。
【0030】
(1)食材焼き器の構成
本実施例2に係る食材焼き器も実施例1と同様、図1に示すように、枠状の支持フレーム2を備えている。この支持フレーム2の下部には、複数(図中12本)のガスバーナ3(本発明に係る「燃焼手段」として例示する。)が配設されている。また、この支持フレーム2には、ガスバーナ3の周囲を囲む周囲側の断熱部材と、ガスバーナ3の下方に配設される断熱部材とが設けられている。また、この支持フレーム2の周壁の対向面間には補強板6が懸架されている。また、実施例1と同様この支持フレーム2には、後述の遮炎体の下側の周囲を囲むスカート部が着脱自在に設けられている。
【0031】
上記支持フレーム2には、実施例1と同様、多数のセラミックスチップ9を収容する収容ケース10が着脱自在に設けられている(図1参照)。また、この収容ケース10の上部には、実施例1と同様、着脱自在の金網11、及び食材(例えば、焼鳥等の串刺し食材等)が載置される串置台が設けられている。
【0032】
上記収容ケース10は、図9(a)に示すように、平面矩形状の遮炎体13(本発明に係る「遮炎手段」として例示する。)を備えている。この遮炎体13は、上の平面形状のプレート14cと、下の波型形状のプレート14dとを端面17で接合して形成されている(図12参照)。これら各上下のプレート14c,14dは、その接合状態で図9に示すように、横断面形状が三角形状の熱気流通路Pを形成する。
これら各上下のプレート14c,14dには、熱気流通路Pに連なるように開口する上下のスリット16c,16dが形成されている(図10、11参照)。
また、上記熱気流通路Pは、その通路の長手方向に沿って所定間隔で多数配設されている。
尚、プレート14dは、図9(b)に示すように、複数のL字状金具を接合して形成してもよいが、図10(b)に示すように波形形状の1枚の板から形成されるものでもよい。
【0033】
(2)食材焼き器の作用
次に、実施例2に係る食材焼き器の作用について説明する。
実施例1と同様に、上記ガスバーナ3を点火すると、ガスバーナ3からの火炎は、遮炎体13により食材F側へ流れることが遮られる。
一方、ガスバーナ3からの熱気は、プレート14dのスリット16bを介して熱気流通路Pを流通してスリット16cから食材F側へ流れる。そして、その熱気がセラミックスチップ9の隙間を通って串置台上の食材Fを加熱する。また、その熱気がセラミックスチップ9を加熱して遠赤外線が発生され、その遠赤外線によって串置台上の食材Fが加熱される。なお、上記食材Fの加熱温度は約500〜550℃となっている。
【0034】
(3)実施例2の効果
以上より、本実施例2においても実施例1と同様、遮炎体13によって、ガスバーナ3からの火炎を食材F側へ流さないようにしたので、火炎による食材Fの過度の焦げを抑制できる。また、遮炎体13によって、ガスバーナ3からの熱気を食材F側に流すようにしたので、熱気による食材Fの加熱に加えて、セラミックスチップ9からの遠赤外線によって、食材Fを、短時間で、美味しく且つ見栄えよく焼き上げることができる。
【0035】
また、本実施例2においても、上下のプレート14c,14dを接合して遮炎体13を構成するようにしたので、遮断体13をより簡易且つ安価に構成することができる。
特に、本実施例2に係るプレート14dは、図9(a)に示すようにL字型金具を組み合わせたものであるため製造コストが安価であるという利点がある。
また、本実施例2においても、熱気流通路Pに連なるように開口する上下のスリット16c,16dを形成するようにしたので、上下のスリット16c,16dを介して熱気をより円滑に通過させることができる。
【0036】
また、本実施例2においても、収容ケース10の底部を遮炎体13で構成するようにしたので、収容ケース10をより簡易且つ安価に構成できる。また、遮炎体13の上面にセラミックスチップ9が配置されるので、セラミックスチップ9及び食材Fをより効率良く加熱できる。
また、本実施例2においても、収容ケース10の上部に金網11を着脱自在に固定すると共に、この収容ケース10を支持フレーム2に着脱自在に設けるようにしたので、セラミックスチップ9や金網11の清掃、交換等をより簡易に行い得る。
【0037】
また、本実施例2においても、炭化石からなるセラミックスチップ9を採用したので、焼き上げられた食材Fに炭の臭いを付着させることができる。
また、本実施例2においても、直径10mmで且つ軸長さ10mmの円柱状のセラミックスチップ9を採用したので、セラミックスチップ9の隙間を熱気の通過に適当な大きさの空間とすることができる。
【0038】
尚、本発明においては、上記実施例2に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例2では、平面矩形状の遮炎体13を例示したが、これに限定されず、例えば、平面円形状等の遮炎体としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
食材を焼き上げる技術として広く利用される。特に、焼鳥等の串刺し食材を焼き上げる技術として好適に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施例に係る食材焼き器の平面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】遮炎体の平面図である。
【図5】図4の要部拡大図である。
【図6】図5のVI−VI線断面図である。
【図7】図5のVII−VII線断面図である。
【図8】遮炎体の他の形態を説明するための説明図である。
【図9】本実施例2に係る食材焼き器の要部断面図(a)及びその一部拡大図(b)である。
【図10】本実施例2に係る食材焼き器の要部断面図(a)及びその一部拡大図(b)である。
【図11】本実施例2に係る食材焼き器の平面図及び一部破断図である。
【図12】本実施例2に係る食材焼き器の裏面図である。
【符号の説明】
【0041】
1;食材焼き器、2;支持フレーム、3;ガスバーナ、9;セラミックスチップ、10;収容ケース、11;金網、13;遮炎体、14a,14b,14c,14d;上下のプレート、15a,15b;上下の流通路形成部、16a,16b;上下のスリット、20;串置台、F;食材、P;熱気流通路、P1;主通路、P2;連絡通路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材焼き器に関し、さらに詳しくは、調理人の技量によらず、食材を短時間で且つ良好に焼き上げることができる食材焼き器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、焼鳥等の串刺し食材を炭火で焼き上げることが行われている。しかし、この炭火焼きでは、温度のバラツキが大きいため素人が美味しく且つ見栄えよく焼き上げることが困難であった。また、炭の着火、消火及び消火後の保管等が煩雑である。さらに、高価な備長炭の替わりに、おがくずをタールで固めてなる安価なおが炭を用いる場合には、食材にタール臭が付着してしまう。
【0003】
そこで、上記問題を解決するために、従来の食材焼き器として、熱源14の上方に遠赤外線放射材20を載置した金網18を配置してなり、遠赤外線の放射によって串刺し食材12を焼き上げるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、上記特許文献1では、熱源14の火炎が金網18及び遠赤外線放射材20の隙間を通過してしまい、その火炎により食材の油分に火が着いて食材12の表面を焦がしてしまう恐れがある。一方、食材の焦げを防ぐために熱源14の火力を弱めると、食材の焼上げ時間が長くなってしまう。
【0004】
【特許文献1】特開2002−295843号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、調理人の技量によらず、食材を短時間で且つ良好に焼き上げることができる食材焼き器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の通りである。
1.燃焼手段と、該燃焼手段の上方に設けられ且つ該燃焼手段からの火炎を遮る遮炎手段と、該遮炎手段の上方に設けられ且つ遠赤外線発生部材を収容する収容手段と、該収容手段の上方に設けられ且つ食材を載置する載置手段と、を備え、
前記遮炎手段には、前記燃焼手段からの熱気を流通させるための熱気流通路と、該熱気流通路と外部とを連絡し且つ横方に開口する上下のスリットとが設けられていることを特徴とする食材焼き器。
2.前記遮炎手段は、互いに重ね合される上下のプレートを有しており、該上下のプレートは、該上下のプレートを重ね合せた状態で前記熱気流通路を形成する上下の流通路形成部を有しており、該上下の流通路形成部には前記上下のスリットが形成されている上記1.記載の食材焼き器。
3.前記遮炎手段の前記熱気流通路の横断面形状は、六角形、三角形又は四角形である上記2.の食材焼き器。
4.前記熱気流通路は、並列状の複数の主通路と、複数の該主通路のうちの隣接する該主通路を連絡する複数の連絡通路とからなっている上記1.又は3.に記載の食材焼き器。
5.前記遮炎手段は、前記収容手段の底壁部を構成している上記1.乃至4.のいずれか一項に記載の食材焼き器。
6.前記燃焼手段、前記遮炎手段、前記収容手段及び前記載置手段を支持する支持フレームを更に備え、前記収容手段は、該支持フレームに着脱自在に設けられている上記1.乃至5.のいずれか一項に記載の食材焼き器。
7.前記遠赤外線発生部材は、炭化石からなるセラミックスチップである上記1.乃至6.のいずれか一項に記載の食材焼き器。
8.前記セラミックスチップは、直径が8〜12mmの円柱状を有している上記7.記載の食材焼き器。
9.前記食材は串刺し食材である上記1.乃至8.のいずれか一項に記載の食材焼き器。
【発明の効果】
【0007】
本発明の食材焼き器によると、燃焼手段からの火炎は、遮炎手段により食材側へ流れることが遮られる。一方、燃焼手段からの熱気は、遮炎手段の下スリットを介して熱気流通路を流通して上スリットから食材側に流れる。そして、その熱気が遠赤外線発生部材の隙間を通って食材を加熱すると共に、その熱気によって遠赤外線発生部材が加熱されて遠赤外線が発生される。その結果、熱気による食材の加熱に加えて、遠赤外線発生部材からの遠赤外線によって、食材を短時間で且つ良好に焼き上げることができる。
また、前記遮炎手段が上下のプレートを有しており、該上下のプレートが、上下の流通路形成部を有しており、該上下の流通路形成部に前記上下のスリットが形成されている場合は、遮断手段をより簡易且つ安価に構成することができる。
また、前記遮炎手段の前記熱気流通路の横断面形状は、六角形、三角形又は四角形である場合は、遮断手段をより簡易且つ安価に構成することができる。
また、前記熱気流通路が、複数の主通路と、複数の連絡通路とを有している場合は、遮炎手段の平面全域により均等に熱気を流通させることができる。その結果、遠赤外線発生部材をより均一に加熱できると共に、食材をより均一に焼き上げることができる。
また、前記遮炎手段が、前記収容手段の底壁部を構成している場合は、収容手段をより簡易且つ安価に構成できる。また、熱気を伝える遮炎手段の上に遠赤外線発生部材を配置できるので、遠赤外線発生部材及び食材をより効率良く加熱できる。
また、支持フレームを更に備え、前記収容手段が、該支持フレームに着脱自在に設けられている場合は、遠赤外線発生部材の清掃、交換等をより簡易に行い得る。
また、前記遠赤外線発生部材が炭化石からなるセラミックスチップである場合は、焼き上げられた食材に炭の臭いを付着させることができる。
また、前記セラミックスチップが、直径が8〜12mmの円柱状を有している場合は、セラミックスチップの隙間を熱気の通過に適した大きさの空間とすることができる。
また、前記食材が串刺し食材である場合は、串刺し食材をより良好に焼き上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
1.食材焼き器
本実施形態に係る食材焼き器は、以下に述べる燃焼手段、遮炎手段、収容手段及び載置手段を備えている。この食材焼き器は、例えば、後述する支持フレームを更に備えることができる。
なお、上記「食材」の種類等は特に問わないが、肉類、魚介類、野菜類等を串刺ししてなる串刺し食材であることが好ましい。
【0009】
上記「燃焼手段」は、燃料を燃焼させる限り、その構造、燃焼形態等は特に問わない。
上記燃焼手段としては、例えば、バーナ、コンロ、ヒータ、炭火等を挙げることができる。これらのうち、より簡易且つ安価に構成できるといった観点から、バーナ(特に、ガスバーナ)であることが好ましい。
【0010】
上記「遮炎手段」は、上記燃焼手段の上方に設けられ且つ該燃焼手段からの火炎を遮る限り、その構造、遮炎形態等は特に問わない。この遮炎手段は、以下に述べる熱気流通路及び上下のスリットを有している。
【0011】
上記「熱気流通路」は、上記燃焼手段からの熱気を流通させるための通路である限り、その構造、形状、設置形態等は特に問わない。
上記熱気流通路としては、例えば、(1)並列状の複数の主通路と、隣接する主通路を連絡する複数の連絡通路とからなっている形態、(2)同心円状の複数の主通路と、隣接する主通路を連絡する複数の連絡通路とからなっている形態、(3)蛇腹状の主通路と、この主通路のうちの近接する部位を連絡する連絡通路とからなっている形態等を挙げることができる。これらのうち、上記遮炎手段の平面全域に熱気をより均等に流通させ得るといった観点から、上記(1)形態であることが好ましい。
【0012】
上記「上下のスリット」は、上記熱気流通路に連なり水平方向に開口する限り、その構造、形状、設置形態等は特に問わない。
上記上下のスリットは、例えば、上記主通路の長尺方向に沿って所定間隔で複数設けられていることができる。
【0013】
ここで、上記遮炎手段は、例えば、互いに重ね合される上下のプレートを有しており、これら上下のプレートは、その重合状態で上記熱気流通路を形成する上下の流通路形成部を有しており、これら上下の流通路形成部に上記上下のスリットが形成されていることができる。
上述の場合、上記上下のスリットは、例えば、上記上下の流通路形成部の基部に形成されていることができる。これにより、下スリットへの火炎の侵入をより確実に抑制できると共に、上下のスリットを介して熱気をより円滑に通過させることができる。
上記熱気流通路の横断面形状は、特に限定されないが、六角形、三角形又は四角形とすることができる。特に、この三角形の場合は、L字型アングル用いて作製できるので、遮断手段をより簡易且つ安価に構成することができる。
【0014】
上記「収容手段」は、上記遮炎手段の上方に設けられ且つ遠赤外線発生部材を収容する限り、その構造、収容形態等は特に問わない。
上記収容手段は、例えば、底壁部と、この底壁部の周縁から立ち上がる周壁部とを有していることができる。この底壁部は、例えば、上記遮炎手段によって構成されていることができる。
【0015】
上記「遠赤外線発生部材」は、加熱により遠赤外線を発生する限り、その形状、材質、使用量等は特に問わない。
上記遠赤外線発生部材としては、例えば、セラミックス、石、アルミナ、チタニア等を挙げることができる。
【0016】
上記遠赤外線発生部材は、例えば、炭化石からなるセラミックスチップであることができる。このセラミックスチップは、例えば、パウダー状の上記炭化石にバインダ(粘土等)を混合し、その混合物を焼結成形して得ることができる。
上述の場合、上記セラミックスチップは、その直径が8〜12mmの円柱状を有していることが好ましい。直径8mm未満であると、セラミックスチップの隙間が小さくなって熱気の通気性が低くなり、直径12mmを超えると、セラミックスチップの隙間が大きくなって火炎が通過してしまう恐れがあるためである。
【0017】
上記「載置手段」は、上記収容手段の上方に設けられ且つ食材が載置される限り、その構造、載置形態等は特に問わない。
上記載置手段としては、例えば、載置台、金網、枠状部材、孔付鉄板等を挙げることができる。
上記載置手段は、例えば、上記収容手段の上部に着脱自在に設けられていることができる。
【0018】
上記「支持フレーム」は、上記燃焼手段、上記遮炎手段、上記収容手段及び上記載置手段を支持する限り、その構造、支持形態等は特に問わない。
上記支持フレームには、例えば、上記収容手段が着脱自在に設けられていることができる。
上記支持フレームは、例えば、上記遮炎手段の下側の周囲を囲むスカート部を有していることができる。これにより、上記燃焼手段からの熱気を効率良く遮炎手段の熱気流通路に流通させることができる。従って、串焼き器の命である高温(約500〜550℃)が得られる。
【実施例1】
【0019】
以下、図面を用いて実施例1により本発明を具体的に説明する。
【0020】
(1)食材焼き器の構成
本実施例1に係る食材焼き器1は、図1〜3に示すように、枠状の支持フレーム2を備えている。この支持フレーム2の下部には、複数(図中12本)のガスバーナ3(本発明に係る「燃焼手段」として例示する。)が配設されている。また、この支持フレーム2には、ガスバーナ3の周囲を囲む周囲側の断熱部材5aと、ガスバーナ3の下方に配設される断熱部材5bとが設けられている。また、この支持フレーム2の周壁の対向面間には補強板6が懸架されている。また、この支持フレーム2には、後述の遮炎体の下側の周囲を囲むスカート部7が着脱自在に設けられている。
【0021】
上記支持フレーム2には、多数のセラミックスチップ9(本発明に係る「遠赤外線発生部材」として例示する。)を収容する収容ケース10(本発明に係る「収容手段」として例示する。)が着脱自在に設けられている(図3参照)。この収容ケース10は、底壁部10aと、この底壁部10aの周縁から立ち上がる周壁部10bとを有している。また、この収容ケース10の上部には、支持フレーム2から収容ケース10を取り外した際にセラミックスチップ9のこぼれを防止する金網11が着脱自在に設けられている。さらに、この収容ケース10の上部には、図3に示すように、食材F(例えば、焼鳥等の串刺し食材等)が載置される串置台20(本発明に係る「載置手段」として例示する。)が設けられている。
なお、上記セラミックスチップ9は、パウダー状の炭化石にバインダ(粘土等)を混合し、その混合物を焼結成形して得られたものである。また、上記セラミックスチップ9は、その直径が10mmで且つその軸長さが10mmの円柱状を有している。
【0022】
上記収容ケース10の底壁部10aは、図4〜7に示すように、平面矩形状の遮炎体13(本発明に係る「遮炎手段」として例示する。)を備えている。この遮炎体13は、上下のプレート14a,14bを接合してなされている。これら各上下のプレート14a,14bには、その接合状態で熱気流通路Pを形成する凹状の上下の流通路形成部15a,15bが設けられている。これら各上下の流通路形成部15a,15bの基部には、熱気流通路Pに連なり水平方向に開口する上下のスリット16a,16bが形成されている。また、上記熱気流通路Pは、並列状の複数(図4中で9本)の主通路P1と、隣接する主通路P1を連絡する複数の連絡通路P2とからなっている。これら主通路P1の長手方向に沿って所定間隔で多数の上下のスリット16a,16bが配設されている。
【0023】
(2)食材焼き器の作用
次に、上記食材焼き器1の作用について説明する。
上記ガスバーナ3を点火すると、ガスバーナ3からの火炎は、遮炎体13により食材F側へ流れることが遮られる。一方、ガスバーナ3からの熱気は、遮炎体13の下スリット16bを介して熱気流通路P(主通路P1及び連絡通路P2)を流通して上スリット16aから食材F側へ流れる。そして、その熱気がセラミックスチップ9の隙間を通って串置台20上の食材Fを加熱する。また、その熱気がセラミックスチップ9を加熱して遠赤外線が発生され、その遠赤外線によって串置台20上の食材Fが加熱される。なお、上記食材Fの加熱温度は約500〜550℃となっている。
【0024】
(3)実施例1の効果
以上より、本実施例1では、遮炎体13によって、ガスバーナ3からの火炎を食材F側へ流さないようにしたので、火炎による食材Fの過度の焦げを抑制できる。また、遮炎体13によって、ガスバーナ3からの熱気を食材F側に流すようにしたので、熱気による食材Fの加熱に加えて、セラミックスチップ9からの遠赤外線によって、食材Fを、短時間で、美味しく且つ見栄えよく焼き上げることができる。
【0025】
また、本実施例1では、上下のプレート14a,14bを接合して遮炎体13を構成するようにしたので、遮断体13をより簡易且つ安価に構成することができる。
また、本実施例1では、上下の流通路形成部15a,15bの基部に上下のスリット16a,16bを形成するようにしたので、下スリット16bへの火炎の侵入をより確実に抑制できると共に、上下のスリット16a,16bを介して熱気をより円滑に通過させることができる。
また、本実施例1では、並列状の複数の主通路P1と、隣接する主通路P1を連絡する複数の連絡通路P2とから熱気流通路Pを構成するようにしたので、遮炎体13の内部で平面全域により均等に熱気を流通させることができる。その結果、セラミックスチップ9全体をより均一に加熱できると共に、食材F全体をより均一に焼き上げることができる。
【0026】
また、本実施例1では、収容ケース10の底壁部10aを遮炎体13で構成するようにしたので、収容ケース10をより簡易且つ安価に構成できる。また、遮炎体13の上面にセラミックスチップ9が配置されるので、セラミックスチップ9及び食材Fをより効率良く加熱できる。
また、本実施例1では、収容ケース10の上部に金網11を着脱自在に固定すると共に、この収容ケース10を支持フレーム2に着脱自在に設けるようにしたので、セラミックスチップ9や金網11の清掃、交換等をより簡易に行い得る。
【0027】
また、本実施例1では、炭化石からなるセラミックスチップ9を採用したので、焼き上げられた食材Fに炭の臭いを付着させることができる。
また、本実施例1では、直径10mmで且つ軸長さ10mmの円柱状のセラミックスチップ9を採用したので、セラミックスチップ9の隙間を熱気の通過に適当な大きさの空間とすることができる。
【0028】
尚、本発明においては、上記実施例1に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例1では、平面矩形状の遮炎体13を例示したが、これに限定されず、例えば、平面円形状等の遮炎体としてもよい。
また、上記実施例1では、上下のスリット16a,16bを上下の流通路形成部15a,15bの基部に設けるようにしたが(図6参照)、これに限定されず、例えば、図8に示すように、上下のスリット16a,16bを上下の流通路形成部15a,15bの中間部に設けるようにしてもよい。
また、上記実施例1では、上下のスリット16a,16bを同じ平面位置に設けるようにしたが(図6参照)、これに限定されず、例えば、図8に示すように、上下のスリット16a,16bのうち一方のスリット16a(16b)を設けた部位には他方をスリット16b(16a)を設けないようにしてもよい。
【実施例2】
【0029】
以下、図面を用いて実施例2により本発明を具体的に説明する。
【0030】
(1)食材焼き器の構成
本実施例2に係る食材焼き器も実施例1と同様、図1に示すように、枠状の支持フレーム2を備えている。この支持フレーム2の下部には、複数(図中12本)のガスバーナ3(本発明に係る「燃焼手段」として例示する。)が配設されている。また、この支持フレーム2には、ガスバーナ3の周囲を囲む周囲側の断熱部材と、ガスバーナ3の下方に配設される断熱部材とが設けられている。また、この支持フレーム2の周壁の対向面間には補強板6が懸架されている。また、実施例1と同様この支持フレーム2には、後述の遮炎体の下側の周囲を囲むスカート部が着脱自在に設けられている。
【0031】
上記支持フレーム2には、実施例1と同様、多数のセラミックスチップ9を収容する収容ケース10が着脱自在に設けられている(図1参照)。また、この収容ケース10の上部には、実施例1と同様、着脱自在の金網11、及び食材(例えば、焼鳥等の串刺し食材等)が載置される串置台が設けられている。
【0032】
上記収容ケース10は、図9(a)に示すように、平面矩形状の遮炎体13(本発明に係る「遮炎手段」として例示する。)を備えている。この遮炎体13は、上の平面形状のプレート14cと、下の波型形状のプレート14dとを端面17で接合して形成されている(図12参照)。これら各上下のプレート14c,14dは、その接合状態で図9に示すように、横断面形状が三角形状の熱気流通路Pを形成する。
これら各上下のプレート14c,14dには、熱気流通路Pに連なるように開口する上下のスリット16c,16dが形成されている(図10、11参照)。
また、上記熱気流通路Pは、その通路の長手方向に沿って所定間隔で多数配設されている。
尚、プレート14dは、図9(b)に示すように、複数のL字状金具を接合して形成してもよいが、図10(b)に示すように波形形状の1枚の板から形成されるものでもよい。
【0033】
(2)食材焼き器の作用
次に、実施例2に係る食材焼き器の作用について説明する。
実施例1と同様に、上記ガスバーナ3を点火すると、ガスバーナ3からの火炎は、遮炎体13により食材F側へ流れることが遮られる。
一方、ガスバーナ3からの熱気は、プレート14dのスリット16bを介して熱気流通路Pを流通してスリット16cから食材F側へ流れる。そして、その熱気がセラミックスチップ9の隙間を通って串置台上の食材Fを加熱する。また、その熱気がセラミックスチップ9を加熱して遠赤外線が発生され、その遠赤外線によって串置台上の食材Fが加熱される。なお、上記食材Fの加熱温度は約500〜550℃となっている。
【0034】
(3)実施例2の効果
以上より、本実施例2においても実施例1と同様、遮炎体13によって、ガスバーナ3からの火炎を食材F側へ流さないようにしたので、火炎による食材Fの過度の焦げを抑制できる。また、遮炎体13によって、ガスバーナ3からの熱気を食材F側に流すようにしたので、熱気による食材Fの加熱に加えて、セラミックスチップ9からの遠赤外線によって、食材Fを、短時間で、美味しく且つ見栄えよく焼き上げることができる。
【0035】
また、本実施例2においても、上下のプレート14c,14dを接合して遮炎体13を構成するようにしたので、遮断体13をより簡易且つ安価に構成することができる。
特に、本実施例2に係るプレート14dは、図9(a)に示すようにL字型金具を組み合わせたものであるため製造コストが安価であるという利点がある。
また、本実施例2においても、熱気流通路Pに連なるように開口する上下のスリット16c,16dを形成するようにしたので、上下のスリット16c,16dを介して熱気をより円滑に通過させることができる。
【0036】
また、本実施例2においても、収容ケース10の底部を遮炎体13で構成するようにしたので、収容ケース10をより簡易且つ安価に構成できる。また、遮炎体13の上面にセラミックスチップ9が配置されるので、セラミックスチップ9及び食材Fをより効率良く加熱できる。
また、本実施例2においても、収容ケース10の上部に金網11を着脱自在に固定すると共に、この収容ケース10を支持フレーム2に着脱自在に設けるようにしたので、セラミックスチップ9や金網11の清掃、交換等をより簡易に行い得る。
【0037】
また、本実施例2においても、炭化石からなるセラミックスチップ9を採用したので、焼き上げられた食材Fに炭の臭いを付着させることができる。
また、本実施例2においても、直径10mmで且つ軸長さ10mmの円柱状のセラミックスチップ9を採用したので、セラミックスチップ9の隙間を熱気の通過に適当な大きさの空間とすることができる。
【0038】
尚、本発明においては、上記実施例2に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例2では、平面矩形状の遮炎体13を例示したが、これに限定されず、例えば、平面円形状等の遮炎体としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
食材を焼き上げる技術として広く利用される。特に、焼鳥等の串刺し食材を焼き上げる技術として好適に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施例に係る食材焼き器の平面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】遮炎体の平面図である。
【図5】図4の要部拡大図である。
【図6】図5のVI−VI線断面図である。
【図7】図5のVII−VII線断面図である。
【図8】遮炎体の他の形態を説明するための説明図である。
【図9】本実施例2に係る食材焼き器の要部断面図(a)及びその一部拡大図(b)である。
【図10】本実施例2に係る食材焼き器の要部断面図(a)及びその一部拡大図(b)である。
【図11】本実施例2に係る食材焼き器の平面図及び一部破断図である。
【図12】本実施例2に係る食材焼き器の裏面図である。
【符号の説明】
【0041】
1;食材焼き器、2;支持フレーム、3;ガスバーナ、9;セラミックスチップ、10;収容ケース、11;金網、13;遮炎体、14a,14b,14c,14d;上下のプレート、15a,15b;上下の流通路形成部、16a,16b;上下のスリット、20;串置台、F;食材、P;熱気流通路、P1;主通路、P2;連絡通路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼手段と、該燃焼手段の上方に設けられ且つ該燃焼手段からの火炎を遮る遮炎手段と、該遮炎手段の上方に設けられ且つ遠赤外線発生部材を収容する収容手段と、該収容手段の上方に設けられ且つ食材を載置する載置手段と、を備え、
前記遮炎手段には、前記燃焼手段からの熱気を流通させるための熱気流通路と、該熱気流通路と外部とを連絡し且つ横方に開口する上下のスリットとが設けられていることを特徴とする食材焼き器。
【請求項2】
前記遮炎手段は、互いに重ね合される上下のプレートを有しており、該上下のプレートは、該上下のプレートを重ね合せた状態で前記熱気流通路を形成する上下の流通路形成部を有しており、該上下の流通路形成部には前記上下のスリットが形成されている請求項1記載の食材焼き器。
【請求項3】
前記遮炎手段の前記熱気流通路の横断面形状は、六角形、三角形又は四角形である請求項2記載の食材焼き器。
【請求項4】
前記熱気流通路は、並列状の複数の主通路と、複数の該主通路のうちの隣接する該主通路を連絡する複数の連絡通路とからなっている請求項1又は3に記載の食材焼き器。
【請求項5】
前記遮炎手段は、前記収容手段の底壁部を構成している請求項1乃至4のいずれか一項に記載の食材焼き器。
【請求項6】
前記燃焼手段、前記遮炎手段、前記収容手段及び前記載置手段を支持する支持フレームを更に備え、前記収容手段は、該支持フレームに着脱自在に設けられている請求項1乃至5のいずれか一項に記載の食材焼き器。
【請求項7】
前記遠赤外線発生部材は、炭化石からなるセラミックスチップである請求項1乃至6のいずれか一項に記載の食材焼き器。
【請求項8】
前記セラミックスチップは、直径が8〜12mmの円柱状を有している請求項7記載の食材焼き器。
【請求項9】
前記食材は串刺し食材である請求項1乃至8のいずれか一項に記載の食材焼き器。
【請求項1】
燃焼手段と、該燃焼手段の上方に設けられ且つ該燃焼手段からの火炎を遮る遮炎手段と、該遮炎手段の上方に設けられ且つ遠赤外線発生部材を収容する収容手段と、該収容手段の上方に設けられ且つ食材を載置する載置手段と、を備え、
前記遮炎手段には、前記燃焼手段からの熱気を流通させるための熱気流通路と、該熱気流通路と外部とを連絡し且つ横方に開口する上下のスリットとが設けられていることを特徴とする食材焼き器。
【請求項2】
前記遮炎手段は、互いに重ね合される上下のプレートを有しており、該上下のプレートは、該上下のプレートを重ね合せた状態で前記熱気流通路を形成する上下の流通路形成部を有しており、該上下の流通路形成部には前記上下のスリットが形成されている請求項1記載の食材焼き器。
【請求項3】
前記遮炎手段の前記熱気流通路の横断面形状は、六角形、三角形又は四角形である請求項2記載の食材焼き器。
【請求項4】
前記熱気流通路は、並列状の複数の主通路と、複数の該主通路のうちの隣接する該主通路を連絡する複数の連絡通路とからなっている請求項1又は3に記載の食材焼き器。
【請求項5】
前記遮炎手段は、前記収容手段の底壁部を構成している請求項1乃至4のいずれか一項に記載の食材焼き器。
【請求項6】
前記燃焼手段、前記遮炎手段、前記収容手段及び前記載置手段を支持する支持フレームを更に備え、前記収容手段は、該支持フレームに着脱自在に設けられている請求項1乃至5のいずれか一項に記載の食材焼き器。
【請求項7】
前記遠赤外線発生部材は、炭化石からなるセラミックスチップである請求項1乃至6のいずれか一項に記載の食材焼き器。
【請求項8】
前記セラミックスチップは、直径が8〜12mmの円柱状を有している請求項7記載の食材焼き器。
【請求項9】
前記食材は串刺し食材である請求項1乃至8のいずれか一項に記載の食材焼き器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−55131(P2008−55131A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−335054(P2006−335054)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(591135358)愛技産業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(591135358)愛技産業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]