説明

食物剥離包装

本発明は、熱くて湿った食物用の包装、及びそれを包装する方法、並びに食物剥離特性及び撥油脂性を紙又は板紙に付与する方法に関する。本発明の組成物及び方法は、熱くて湿ったパン、バンズ、又はポテト等の油性のデンプン質の食物のような食物の包装に用いる時に、特に価値がある。本発明の組成物及び方法は、食物と接触している紙が、パン、バンズ、又は油性のデンプン質の食物に張り付かず、破損及び破砕を引き起こさないことを確実にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食物剥離特性及び撥油脂性を有する水性ポリマーエマルションで被覆された板紙又は紙包装に関する。
【0002】
ハンバーガー及びフィッシュサンドイッチのようなファーストフードを配達するために設計された紙系クラムシェル型包装は、一般的に、ポリエチレン又は他の熱可塑性材料のようなポリマーにより押出被覆又は積層されている。プラスチックは、水、油/脂、及び水分の障壁として作用し、湿った食品がそのまま離れて、紙に張り付く可能性が低くなるように、平滑面を提供する。これらの障壁及び剥離特性は、包装の一体性を維持するために必要であり、最終的には包装された食料品の一体性を、食物が最適な形態で消費者に提示されることを保つような方法で維持するために必要である。透湿性障壁(WVTB)もこれらの包装用途において重要である。食物から放出される水蒸気の保持は、食物を熱く保つために包装内に保持される必要がある。
【0003】
撥油脂(OGR)障壁特性も、食物、例えばフレンチフライ、ハンバーガーパテ及び香辛料中に含有される油脂のために必要である。フルオロケミカルが過去にOGR特性のベンチマークとして使用された。フルオロケミカルは優れたOGR障壁であるが、バンズ又はパンのような食料品が包装の前に焼かれるのではなく蒸される場合、剥離被覆として有効ではない。暖かい湿ったパン、ラップパン、ポケットパンのような蒸されたバンズ又はパン及びフレンチフライのようなフライドポテトは、包装紙又は板紙に張り付く傾向があり、それによってその一体性を失う。電子レンジで調理されたサンドイッチ、ラップパン及びポケットパンの軟らかいパン又はバンズ表面も紙又は板紙包装に張り付く傾向がある。バンズ/食物が冷えると蒸気を発生し、積層表面上に凝縮して、バンズ又は食品をふやけさせ、積層に張り付かせ、したがってバンズを引裂くので、多積層紙又は板紙は理想的な解決法ではない。
【0004】
上記の問題を解決するために数多くの試みが行われてきた。米国特許第4,653,685号は、含有された食物の部分の張り付きに抵抗するため、容器の内面上に形成される複数個の鋸歯切欠きを提供することにより、この問題を解決しようと試みた。
【0005】
米国特許第5,131,551号は、食品が底に張り付くのを抑制するために、一般に同心状に形成された一連の隆起を有するトレーを記載している。
【0006】
米国特許第5,039,003号は、食物が消費のために取り出されるか又は包装を解かれる場合、食品が食物に張り付かないように、好ましくは、平滑面を提供するポリエチレン又は他の熱可塑性材料で紙を被覆する。
【0007】
スチレン−アクリレートコポリマーによる紙又は板紙の被覆は、文献により知られている。Michelman, J.S. et al, TAPPI J., April, pages159-163 (1989)及び米国特許第5,763,100号を参照すること。スチレン−アクリレートコポリマーは、良好な耐水性を有すると記載されている。スチレン−アクリレートポリマーエマルションを障壁被覆として記載する、Cooper, R., Paper Technology, (1990), 31(4), 34-36も参照すること。
【0008】
驚くべきことに、包装のOGRと食物剥離の両方の要件を、エチレン−アクリレートコポリマーの特定の非フルオロケミカル水性エマルションによって満たすことができることが発見された。したがって、本発明のスチレン−アクリレートコポリマーを、熱くて湿った食品、特に温かくて湿ったパンが、これらの食物を包む又は封じる紙又は板紙に張り付くのを防止するために使用してもよい。これらのスチレン−アクリレート障壁被覆は、単独か、乳化ポリマーと共に、場合によりデンプン、フルオロケミカル、ワックス又はこれらの混合物のような他の添加剤と共に、他の障壁特性を向上させるために使用することができる。
【0009】
本発明は、OGR障壁及び/又はWVTBが必要であるばかりでなく、熱くて湿った食物に対する包装の非張り付き特性も望ましい、食品用ラップ、調理済み食品用の持ち帰り容器のような他の紙系包装等級品に広げることができる。
【0010】
本発明は、
包装が、コーティング組成物で被覆された紙又は板紙であり、被覆が水性エマルションポリマーを含み、ポリマーが、
i)皮膜形成性コポリマーを得るために、1つの又は複数の(メタ)アクリレートモノマー及び1つの又は複数のビニルモノマーから形成されるコポリマー(ここで、皮膜形成性ポリマーは安定化ポリマーの存在下で形成され、安定化ポリマーは、(メタ)アクリル酸モノマー又は(メタ)アクリル酸モノマーの混合物を、(メタ)アクリル酸モノマー以外のビニルモノマー又はビニルモノマーの混合物と共重合することにより形成される酸含有コポリマーである)
及び
ii)場合により、他の添加剤又は添加剤の混合物
を含み、
コート紙又は板紙が、約3以下のバンズ剥離評価を有する
熱くて湿った食物用包装を包含する。
【0011】
好ましくは、バンズ剥離評価は、約2以下、特に2未満、例えば1である。バンズ剥離試験が本明細書で記載される。
【0012】
本発明は、耐油脂性を紙又は板紙に付与する方法であって、紙又は板紙材料を水性エマルションポリマーを含むコーティング組成物の有効量で処理することを含み、ポリマーが、
i)皮膜形成性コポリマーを得るために、1つの又は複数の(メタ)アクリレートモノマー及び1つの又は複数のビニルモノマーから形成されるコポリマー
(ここで、皮膜形成性ポリマーは安定化ポリマーの存在下で形成され、
安定化ポリマーは、(メタ)アクリル酸モノマー又は(メタ)アクリル酸モノマーの混合物を、(メタ)アクリル酸モノマー以外のビニルモノマー又はビニルモノマーの混合物と共重合することにより形成される酸含有コポリマーである)
及び
ii)場合により、他の添加剤又は添加剤の混合物
を含み、
コーティング組成物が、紙又は板紙材料に耐油脂性を付与するのに有効である
方法を包含する。
【0013】
好ましくは、エマルションポリマーは、コア−シェル粒子エマルションの形態である。
【0014】
本発明の別の実施態様は、熱くて湿った食物を包装する方法であって、
a)紙若しくは板紙容器、又は包装紙を、
i)皮膜形成性コポリマーを得るために、1つの又は複数の(メタ)アクリレートモノマー及び1つの又は複数のビニルモノマーから形成されるコポリマー
及び
ii)場合により、他の添加剤又は添加剤の混合物
を含む水性エマルションポリマーを含むコーティング組成物で被覆する工程と、
b)被覆を乾燥する工程と、
c)熱くて湿った食物を、コート紙若しくは板紙容器又は包装紙と接触させる工程と
を含み、
食物が、コート紙又は板紙の内にあって加熱されてもよく、あるいは食物が加熱された後にコート紙又は板紙に包まれてもよい
方法である。
【0015】
本発明は、また、紙又は板紙の表面から熱くて湿った食物を剥離させる方法であって、熱くて湿った食物を剥離させる方法が、
a)紙又は板紙を、水性エマルションポリマーを含むコーティング組成物で被覆する工程であり、ポリマーが、
i)皮膜形成性コポリマーを得るために、1つの又は複数の(メタ)アクリレートモノマー及び1つの又は複数のビニルモノマーから形成されるコポリマー
及び
ii)場合により、他の添加剤又は添加剤の混合物
を含む工程と、
b)被覆を乾燥する工程と、
c)コート紙又は板紙を食物と接触させる工程と、
d)コート紙又は板紙を食物との接触から外す工程と
を含む方法を包含する。
【0016】
本発明の第3の実施態様は、熱くて湿った食物を紙又は板紙で包装し、配送の間、これらの食料品の温度を保つ方法であって、食物を包装し、その温度を保つ方法が、
a)紙又は板紙を、
i)皮膜形成性コポリマーを得るために、1つの又は複数の(メタ)アクリレートモノマー及び1つの又は複数のビニルモノマーから形成されるコポリマー
及び
ii)場合により、他の添加剤又は添加剤の混合物
を含む水性エマルションポリマーを含むコーティング組成物で被覆する工程と、
b)被覆を乾燥する工程と、
c)熱くて湿った食物を、コート紙若しくは板紙容器又は包装紙で包むか又は封じる工程と
を含み、
食物が、コート紙又は板紙の内にあって加熱されてもよく、あるいは食物が加熱された後にコート紙又は板紙に包まれるか又は取り囲まれてもよい
方法である。
【0017】
上記の方法の別の実施態様は、皮膜形成性ポリマーを安定化ポリマーの存在下で重合することを更に含み、ここで安定化ポリマーは、(メタ)アクリル酸モノマーを(メタ)アクリル酸モノマー以外のビニルモノマーと共重合することによって形成される、酸含有コポリマーである。したがって水性エマルションポリマーは、皮膜形成性コポリマーと安定化ポリマーの両方を含む。
【0018】
上記で記載された方法において、食物を最初に加熱して、次に紙又は板紙と接触させてもよい。あるいは、食物を紙又は板紙の中又は上で加熱してもよい。最終結果は、食物の包装を解く試みが行われる場合、熱くて湿った食物が紙に張り付かないことである。
【0019】
上記で記載された方法及びコート紙又は被覆板紙組成物は、熱くて湿ったパン、バンズ、又はポテトを包装するために使用されるとき、熱くて湿った食物又は電子レンジで調理した食物を包むのに使用した紙が、食物に張り付かず、破損及び破砕を引き起こさないことを確実にするので、特に有益である。
【0020】
本発明は、熱くて湿った食物を包装するためのコート紙又は板紙、熱くて湿った食物を包装する方法、熱くて湿った食物を紙又は板紙から剥離する方法、及び耐油脂性を紙又は板紙に付与する方法を提供する。それぞれの実施態様において、紙又は板紙は、スチレン−(メタ)アクリレート樹脂を含有する水性エマルションにより被覆される。撥水性及び撥油脂性、並びに/又は透湿性障壁が必要であるばかりでなく、食物剥離特性も必要である場合に、コート紙が包装用途に使用される。
【0021】
本発明の目的において、食物剥離特性は、温かくて湿った食物の張り付きを防止するコート紙又は板紙の非張り付き特性として定義される。湿った食物は、好ましくは、湿って温かいときに紙又は板紙に張り付く傾向がある、パン、バンズ、ポケットパン又は食品ラップである。パンは、パンを紙から取り外そうと試みるときに破砕する傾向がある。
【0022】
OGR及びバンズ剥離の正しい特性を提供する水性エマルションは、皮膜形成特性を得るために、1つの又は複数の(メタ)アクリレートモノマーを1つの又は複数のビニル重合性モノマーと乳化共重合することにより調製される、有効量の皮膜形成性ポリマーを含有する。皮膜形成性ポリマーは、好ましくは、(メタ)アクリル酸を、酸含有モノマー以外のビニル重合性モノマーと共重合することにより作製される酸含有ポリマーから形成される、安定化ポリマーの存在下で重合される。安定化ポリマーの存在下での皮膜形成性ポリマーの乳化共重合によって、コア−シェル粒子エマルションを得る。コアは、皮膜形成性ポリマーを含む。シェルは、安定化ポリマーを含む。得られるコア−シェル粒子は、安定した水性エマルションを形成する。
【0023】
水性エマルションは、フルオロケミカルを添加することなくOGR用途に使用してもよい。驚くべきことに、紙又は板紙が有効量の水性エマルションで処理される場合、エマルションは高い撥油脂性を提供する。例えば、エマルションポリマーが、固形分の約20〜約40%、好ましくは固形分の約30〜約40%で使用される場合、有効な撥油脂性が観察される。
【0024】
この撥油脂性は、第2水溶液ポリマーの添加により増加する場合がある。例えば、メタクリレート及び/又はメチルメタクリレートと、アクリル酸又はメタクリル酸とのコポリマーを使用して、撥油脂性を増加してもよい。これらのコポリマーは、通常、例えば塩の形態であり、その塩は、アルカリ塩又はアンモニウム塩であってもよい。
【0025】
第2水溶液ポリマーの平均分子量は、約2,000〜約30,000の範囲、好ましくは約5,000〜約15,000の範囲である。
【0026】
第2水性エマルションポリマーは、第1エマルションポリマーの約1重量%〜約10重量%で添加されてもよいが、好ましくは第1エマルションポリマーの約2重量%〜約5重量%で添加される。この重量%は、乾燥−乾燥重量に基づく。
【0027】
皮膜形成性ポリマー
紙系包装用途で使用される水性分散体又はエマルション被覆は、理想的には、皮膜形成し、言い換えれば、ピンホールのない連続的なポリマー皮膜を提供する。皮膜形成特性の一つの有用な測度は、構成成分ポリマーのガラス転移温度(Tg)であり、障壁皮膜の柔軟性の重要な測度である。包装用途において、障壁被覆は、折り目及び折り曲げ破壊を防止するために柔軟である必要がある。
【0028】
皮膜形成特性のために慣用的に使用される別の試験は、分散されたポリマー粒子が合体して、連続皮膜を形成し始める最低温度として定義される「最低皮膜形成温度」(MFFT)である。
【0029】
(メタ)アクリレートとビニルモノマーの組み合わせから形成される皮膜形成性ポリマーは、50℃未満、好ましくは30℃未満のガラス転移温度(Tg)のコポリマーを形成することができる。
【0030】
ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、Encyclopedia of Chemical Technology, Volume 19, fourth edition, page 891において、(1)分子全体の転移運動と(2)鎖の40〜50個の炭素原子セグメントの巻き込み及び巻き戻しの両方が凍結する温度よりも低いと定義される。したがって、ポリマーは、そのTgよりも低いと流動性又はゴム弾性を示さない。
【0031】
ポリマーのTgは、示差走査熱量測定(DSC)を使用して決定してもよい。
【0032】
MFFT温度は、ASTMの方法D2354−98により決定され、エマルションに適切に適用される。したがってMFFT温度は、被覆系に当てはまり、上記で参照された皮膜形成性ポリマーだけではなく他の成分も含まれる。
【0033】
本発明の目的において、50℃未満、好ましくは30℃未満のTgを与えるアルキル(メタ)アクリレートとのスチレン系コポリマーの全てを、スチレン−アクリレート皮膜形成性ポリマーとして使用することができる。
【0034】
皮膜形成性ポリマーを形成するのに使用される(メタ)アクリレートモノマーは、例えば、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、デシル又はラウリル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、マレエートのようなジカルボン酸エステルモノマー及びプロピル(メタ)アクリレートからなる群より選択される。好ましい(メタ)アクリレートモノマーは、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート及びt−ブチル(メタ)アクリレート又はこれらの混合物である。
【0035】
皮膜形成性ポリマーの1つの又は複数のビニル重合性モノマーは、メチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレンのようなスチレン誘導体、アルキル化スチレン、及びこれらの混合物からなる群より選択される。1つの又は複数の好ましいビニル重合性モノマーは、メチルメタクリレート、スチレン又はアルキル化スチレンである。
【0036】
皮膜形成性ポリマーのビニル重合性モノマーは、(メタ)アクリル酸のような酸官能基を含有しない上記で記載されたもののようなモノマーである。特に、スチレン、α−メチルスチレン及びアルキル化スチレンが好ましい。
【0037】
皮膜形成性ポリマー中の(メタ)アクリレートモノマーとビニル重合性モノマーの重量比は、約30/70〜約70/30の範囲であり、好ましくは(メタ)アクリレートモノマーとビニル重合性モノマーの重量比は、約35/60〜約60/35である。最も好ましくは、重量比は、皮膜形成性ポリマーの総重量に基づいて約40/60〜約60/40である。
【0038】
例えば、本発明の皮膜形成性ポリマーは、
n−ブチルアクリレートを50重量%及びスチレンを50重量%、
n−ブチルアクリレートを45重量%及びスチレンを55重量%、
2−エチルヘキシルアクリレートを40重量%及びスチレンを60重量%、
2−エチルヘキシルアクリレートを40重量%、メチルメタクリレートを30重量%及びスチレンを30重量%、
2−エチルヘキシルアクリレートを45重量%及びスチレンを55重量%
含む。
【0039】
これらの例は、それぞれ低いTg(50℃未満)を与え、皮膜形成する。例えば、55/45スチレン2−エチルヘキシルアクリレートは約22℃のTgを与える。
【0040】
皮膜形成性ポリマーの平均分子量は、GPCにより決定され、約150,000〜約350,000g/molである。好ましくは、ポリマーは約200,000〜約300,000g/molの平均分子量を有する。より好ましくは、マトリックスポリマーの最適分子量は、約200,000〜約275,000g/molである。
【0041】
これらのビニルモノマーから水性分散体を得るためには、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム又は過酸化水素水溶液のような親水性触媒、又はレドックス触媒を使用し、モノマーの乳化重合を周知の方法により実施して安定した分散体を生成するだけで十分である。
【0042】
ビニルモノマーの混合物を、アニオン性又は非イオン性界面活性剤の存在下、乳化状態で共重合して乳化剤を提供してもよい。一般に、低分子量界面活性剤の使用は、形成された被覆の撥水性及び撥湿性に悪影響を与えることが知られているので、アニオン性ポリマー安定剤が好ましい。これらのポリマー安定剤は、カルボン酸基を含有するアクリル酸又はメタクリル酸又はマレイン酸コポリマーのような従来のアルカリ溶解性樹脂の水溶液によって例示することができる。
【0043】
安定化ポリマー
皮膜形成性ポリマーの重合の際に存在する好ましい安定化ポリマーは、(メタ)アクリル酸を酸モノマー以外のビニル重合性モノマーと共重合して、約50℃〜約120℃、好ましくは約70℃〜約120℃の範囲のガラス転移温度(Tg)、最も好ましくはTgが約80℃〜約110であるコポリマーを形成することによって作製される。
【0044】
安定化ポリマーの1つの又は複数のビニル重合性モノマーは、(メタ)アクリル酸と、酸モノマー以外のビニルモノマーとを含有する。ビニルモノマーのうち少なくとも1つは、好ましくは、スチレン、アルキル化スチレン、α−メチルスチレン、ブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート及びこれらの混合物からなる群より選択される。
【0045】
安定化ポリマーは、(メタ)アクリル酸を、(メタ)アクリル酸以外のビニル重合性モノマーと共重合して作製される酸含有ポリマーであり、アクリル酸、メタクリル酸又は混合物の約10〜約50重量%、好ましくは約10〜約45重量%、及び(メタ)アクリル酸モノマー以外のビニル重合性モノマーの約90〜約50重量%、好ましくは約90〜約55重量%から形成される。モノマーの百分率は、モノマーの総重量に基づく。
【0046】
適切な安定化ポリマーの例は、
スチレン65%及びアクリル酸35%;
イソブチルメタクリレート43%、メチルメタクリレート43%及びアクリル酸14%;
ブチルアクリレート43%、メチルメタクリレート43%及びアクリル酸14%;
エチレン80%及びアクリル酸20%
である。
【0047】
安定化ポリマーの塩は、ポリマーがその乳化特性を維持する限りあらゆる塩であることができる。好ましくは、ポリマーは、揮発性塩、例えばアンモニウム塩である。
【0048】
安定化ポリマーのシェルポリマーは、約6,000〜約15,000g/molの分子量を有する。好ましくは、ポリマーは約6,000〜約12,000g/molの分子量を有する。最も好ましくは、ポリマーは約6,000〜約10,000g/molの分子量を有する。
【0049】
一般に粒子の平均粒径は、約300ナノメーター未満である。好ましくは平均粒径は、約200〜60ナノメーターの範囲、好ましくは150〜60ナノメーターである。平均粒径は、文献で十分に説明されている標準的手順に従ってCoulter粒度分析機により決定される。
【0050】
重合を開始するのに適切な技術は、例えば、モノマーの水性エマルションの温度を70又は80℃を超えて上げて、次に過硫酸アンモニウム又はアゾジイソブチロニトリルのようなアゾ化合物をモノマーの重量に基づいて50〜1000ppmで加えることである。あるいは、適切な過酸化物、例えば室温硬化過酸化物又は光開始剤を使用してもよい。好ましくは、開始剤は水溶性である。
【0051】
粒子はコア−シェル形状を有し、コアは、安定化ポリマーシェルに囲まれている皮膜形成性ポリマーを含む。より好ましくは、粒子は、皮膜形成性ポリマーを含むコアと、水溶性又は部分的に水溶性の安定化ポリマーを含むシェルとを含む。水溶性又は部分的に水溶性のポリマーは、皮膜形成性ポリマーのコアの周りに形成され、かつ重合の際に形成されることが、特に好ましい。
【0052】
コア−シェルポリマーは、水性エマルション中にもたらされ、増粘剤、脱泡剤又は消泡剤、顔料、滑剤、剥離剤、フルオロケミカル、デンプン、ワックス及び粘着防止剤のような他の添加剤を含んでもよい。フルオロケミカル、デンプン及びワックスのような成分も、油脂障壁特性、並びに撥水性及び透湿性障壁のような他の障壁特性を改善するために添加できる。
【0053】
ワックス成分は、パラフィンワックス、カンデリラ、カルナウバ、微結晶性ワックス、ポリエチレンワックス又はワックスの2つ以上のブレンドからなる群より選択することができる。スチレン−アクリレートエマルションとワックスの組み合わせは、この被覆が紙又は板紙に使用される場合、紙又は板紙が食品剥離特性を提供するばかりでなく、紙又は板紙で取り囲まれているか又は包まれている食物の温度を保つことを助けるので、特に好ましい。あらゆる理論に束縛されることを望まないが、スチレン−アクリレートエマルションとワックスの組み合わせは、水蒸気が包装から逃げるのを防ぐと考えられる。包装内の温かい水蒸気の保持が、温かい食物の温度を保つことを助ける。スチレン−アクリレートエマルション被覆とワックスの組み合わせは、食物の温かさを保つことを助け、温かい食物が紙に張り付くことを防ぐ。
【0054】
デンプンもまた食物剥離被覆に添加してもよい。
【0055】
デンプンの典型的な供給源には、穀類、塊茎、根、豆果及び果実が挙げられる。自然の供給源は、トウモロコシ、マメ、ジャガイモ、サツマイモ、バナナ、大麦、小麦、米、サゴ、アマランス、タピオカ、クズウコン、カンナ及びモロコシであることができる。
【0056】
有用なデンプンには、上記のデンプンの任意のものの変性型を挙げることもできる。変性は、基本のデンプンの物理的又は化学的な置換を介して達成してもよい。更に、2種以上の変性を単一の基本デンプンに使用してもよい。本明細書で使用するとき、変性デンプンには、限定することなく、架橋デンプン、安定化デンプン(すなわち、凍結融解条件下で劣化しないデンプン)、アセチル化及び有機的にエステル化されたデンプン、ヒドロキシエチル化及びヒドロキシプロピル化されたデンプン、リン酸化及び無機的にエステル化されたデンプン、カチオン性、アニオン性、非イオン性及び双性イオン性デンプン、並びにデンプンのコハク酸及び置換コハク酸が誘導体が挙げられる。そのような変性及びその組み合わせは既知であり、それらの調製は当該技術で記載されている。例えば、Whistler, R. L., BeMiller, J. N. and Paschall E. F., STARCH CHEMISTRY AND TECHNOLOGY, 2.sup.nd Ed., Academic Press, Inc., London, Chpt. 9, .sctn. 3, pp. 324-349 (1984) and MODIFIED STARCHES: PROPERTIES AND USES, Wurzburg, O. B., Editor, CRC Press, Inc., Florida (1986)を参照すること。
【0057】
食物剥離被覆で使用されるデンプンの量は、通常、総被覆配合物の重量に基づいて0重量%〜10重量%の範囲である。好ましいデンプンは、ヒドロキシエチル化及びヒドロキシプロピル化トウモロコシデンプンのようなヒドロキシアルキル化トウモロコシデンプンである。
【0058】
市販の同様のエトキシル化トウモロコシデンプンは、Grain Processing Corp.(Muscatin, Iowa)からのCoatmaster K56F、A.E. Staley Mfg.(Decatur, Illinois)からのEthylex 2075、National Starch and Chemicals(Bridgewater, New Jersey)からのFilmkote 85:54、Penfort Products Co.(Cedar Rapids Iowa)からのPenford Gum 270である。同様のエトキシル化ジャガイモデンプンの例は、Avebe America Inc.により供給されるSolfarex A-55である。
【0059】
撥油脂性を紙基材に付与するためのペルフルオロアルキル置換化合物の使用は、当該技術において知られている。紙処理において、最も重要な生成物は、伝統的に、参照として本明細書に組み込まれる米国特許第4,485,251号、同第4,898,981号、同第5,491,261号及び同第6,436,235号に記載されている、ペルフルオロアルキルアルカノールのリン酸ジエステル又はジ−ペルフルオロアルキル置換カルボン酸である。これらの化合物は、ローラー、サイズプレス又他の手段により被覆として完成紙に適用される。またポリ−ペルフルオロアルキル(メタ)アクリレートのコポリマーは、ポリマーが、多くの食物包装及びファーストフード用途で望ましい特徴である耐水性の追加的な利益をもたらすので、外面の紙サイズ剤として使用してもよい。
【0060】
参照として組み込まれる米国特許第3,083,224号は、特定のポリフルオロアルキルホスフェートを開示し、これも紙及び繊維材料に撥油性を付与するのに有用である。
【0061】
コーティング組成物に使用されるペルフルオロ化された化合物の量は、被覆の乾燥重量に基づいて0重量%〜約1重量%の範囲である。OGR性能におけるペルフルオロ化化合物の有効性は、被覆に組み込まれたフッ素の総量に左右される。好ましくはペルフルオロ化化合物の範囲は、被覆の乾燥重量に基づいて0%〜0.3%で変わる。
【0062】
コア−シェルポリマーを含む形成された被覆エマルション又は食物剥離コーティング組成物、及び添加剤は、一般に、エマルションの総重量に基づいて固形分が約30〜約60%のいずれかである。好ましくは固形分は、エマルションの総重量に基づいて約40〜約50%の範囲の固形分である。
【0063】
エマルション中の皮膜形成性ポリマーと安定化ポリマーの重量比は、皮膜形成性ポリマーと安定化ポリマーの総重量に基づいて、皮膜形成性ポリマーが約40〜80重量%及び安定化ポリマーが約60〜20重量%の範囲、好ましくは皮膜形成性ポリマーと安定化ポリマーの比率は、皮膜形成性ポリマーが約50〜80重量%及び安定化ポリマーが約50〜約20重量%の範囲である。
【0064】
本発明で用いられる基材には、漂白又は非漂白、硬材又は軟材、未使用又は再生、被覆又は非被覆の形態の紙又は板紙を含む、被覆及び非被覆の紙及び板紙が挙げられる。基材の坪量は20〜450g/m2の範囲である。坪量の好ましい範囲は、約35〜約70g/m2である。
【0065】
本発明の水性エマルション被覆は、約1〜約10g/m2の範囲の乾燥被覆重量を有する。乾燥温度及びライン速度は、特定の被覆配合物の乾燥特性、例えば、固形分含有%、基材坪量及び吸収性、並びに装置特性により決定される。
【0066】
例えば、バンズ剥離特性が必要な熱くて湿った食物用途では、被覆重量は、フルオロケミカルが添加される場合では、一般に約1〜約5g/m2、好ましくは約1〜約3g/m2の範囲である。
【0067】
ポリマーエマルションがOGR用途に使用される場合、有効な被覆重量は、一般に約2〜約9g/m2、好ましくは約2〜約6g/m2の範囲である。例えば、約2g/m2以上の被覆重量が、有効な撥油脂性を得るために必要である。
【0068】
OGR用途の原紙は、好ましくは少なくとも約30g/m2の坪量を有する。好ましくは、紙は約4マイクロメーター(μm)未満のパーカプリントサーフ平滑度(Parker Print Surf Smoothness)を有する。好ましくはガーレー多孔度(Gurley Porosity)は、10秒を超えであり、最も好ましくは100以上である。
【0069】
パーカプリントサーフ平滑度及びガーレー多孔度は、当該技術でよく知られており、それぞれTAPPI法のT-555 om-99及びT-536 om-96を使用して決定することができる。
【0070】
本発明の目的に有効な撥油脂性は、テレビン油試験(下記のTAPPI T454 om-94を参照すること)による1時間半の値又はRALSTON-PURINA試験(下記のRP-2を参照すること)に従って約5%未満の値である。
【0071】
RP2試験は、ペットフード試験である。ペットフードは、ヒト用の食物よりもはるかに油がしつこいので、RP2試験で成績の良い処理済基材は、ヒト用の食物で良好に機能する。
【0072】
本発明の水性エマルション被覆を、水性被覆に適切なあらゆる被覆方法によって基材の表面に適用してもよい。適切な表面処理方法の例には、エアナイフ塗布、ブレード塗布、計量ロール塗布、ロッド塗布、流し塗り、吹き付け塗り、インクジェット印刷、フレキソ及びグラビア印刷、サイズプレス適用及び水箱(water box)のような多様な従来の塗布方法が挙げられる。
【0073】
一般に、許容される生産速度で水性エマルション被覆を乾燥するために、ある種の高温乾燥が必要である。適切な乾燥方法には、熱風乾燥、赤外線乾燥、直火乾燥及び蒸気ロールとの接触による乾燥が挙げられる。
【0074】
下記の例は本発明を説明するのであり、本発明の範囲及び精神をどのようにも制限することを意図しない。
【0075】
コアシェルポリマーの形成
実施例1
供給モノマー
スチレン 1294g
2−エチルヘキシルアクリレート 1058g
反応器投入物
アンモニウム塩として
65/35スチレン/アクリル酸コポリマー 988g
水 3497g
1TETRALON B 1.5g
反応器初期開始剤投入物
水 23g
過硫酸アンモニウム 3.4g
供給開始剤
水 210g
過硫酸アンモニウム 9g
供給モノマーラインフラッシュ
水 50g
添加後
2ACTICIDE LG 7g
水 130g
【0076】
供給モノマーを反応器に3時間かけて添加し、供給開始剤を4時間かけて添加した。反応器を、重合の全体を通して85℃に維持した。
【0077】
スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート皮膜形成性ポリマーが、安定化65/35スチレン/アクリル酸ポリマーの存在下で形成され、固形分が約46%のエマルションであるコア−シェルポリマーを得た。粒子の組成は、スチレン/2−エチルヘキシルアクリレートコポリマー(55/45)コア70部及びスチレン/アクリル酸(65/35)シェル30部であった。コア−シェルの粒径は、典型的には約80nm〜約120nmであった。
1.TETRALON Bは金属イオン封鎖剤である。
2.ACTICIDE LGは、殺生剤である。
【0078】
適用試験
下記のバンズ剥離及びオイルキットは、実施例1の固形分46%のエマルションを使用して実施した。エマルションを使用する種々の配合物を下記の表1に提示する。特に指示のない限り、全ての数字は総エマルションの重量%に基づく。
【0079】
【表1】


1.Grain Processing Corp.(Muscatin, Iowa)からCOATMASTER K56Fとして供給されたヒドロキシエトキシル化トウモロコシデンプン。
2.フッ素化両性有機酸アンモニア塩。Ciba Specialty Chemical Corp, Tarrytown, NYから供給された。
3.乾燥被覆重量は、実施例1において乾燥後に形成された固形分46%のエマルションに基づく。
【0080】
バンズ剥離試験
坪量50g/m2の紙のシートを、上記の配合物を用いて実験室でサイズプレスにより被覆し、マクドナルドのクラムシェル型包装の内部の底に置いた。マクドナルドの、上と下(crown and heel)の一組のハンバーガー用バンズを蒸気チャンバで2分間蒸し、次に上と下の一組のバンズをクラムシェル型包装の中で逆さまにして、紙サンプルの処理面に直接接触させた。砂65gを有する50mlのビーカーを(作ったハンバーガーの重量をシミュレートするため)バンズの上に置き、クラムシェル型包装を閉じて、180°Fの加熱チャンバの中に2分間置いた。クラムシェル型包装を加熱チャンバから取り出し、上のバンズを試験紙から穏やかに引っ張った。評価は、張り付きなしの1から、非常に僅かな張り付きを示すから、湿ったバンズを裂くことを表す評価7までであった。
【0081】
オイルキット試験
表面の撥油性は、TAPPI UM 557 OIL KIT TESTを使用して決定し、それは、減少する表面張力を有する12個のヒマシ油−ヘプタン−トルエン混合物のうち、浸透が15秒以内に起きるものを決定することからなり、評価は、1を最低として、12までとした。
【0082】
【表2】

【0083】
紙被覆の撥油脂(OGR)試験
OGR試験における被覆は、実施例1で形成されたエマルションの総重量に基づいて30〜40%の固形分で作製された。実施例13〜15には、4%固形分(実施例1のエマルションとの乾燥−乾燥の関係)の追加の第2溶液ポリマーが配合された。被覆を、フィルムプレスアプリケーターにより適用した。乾燥は、熱風又はIRにより、約100メートル/分の塗布速度で実施した。ロッド圧を調整して、異なる被覆重量を得た。被覆重量は、重量測定により決定した。
【0084】
原紙は、キャンディラップ用途で38gsm(グラム/m2)であった。
【0085】
耐油脂性試験
RALSTON-PURINA(RP2)試験
耐油脂性は、ペットフード材料のRALSTON-PURINA試験(RP-2 Test, Ralston-Purina Company, Packaging Reference Manual Volume 06, Test Methods)により決定した。要約すると、十字に折り目を付けた及び折り目を付けない試験紙を、正方形が100個印刷された方眼紙上に置いた。折り目試験のために、砂5gを折り目の中央に置いた。合成油と視覚化のための染料の混合物をピペットで砂上に滴下し、サンプルを60℃で24時間保持した。評価は、少なくとも2個のサンプルを使用して、着色された方眼部分の比率により決定した。折り目を付けない試験は、折り目試験と同一であったが、紙には折り目を付けなかった。
【0086】
テレビン油試験
TAPPI T454om-94によると、油又は脂肪が紙に浸透することを予測できる率を決定する予備試験である。下記の表2は、これらの結果のまとめを表す。
【0087】
【表3】


1.実施例13〜15の被覆は、また、被覆総重量の乾燥重量に基づいて、メチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸 65/25/10アンモニウム塩を4%含む

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装が、コーティング組成物で被覆された紙又は板紙であり、被覆が水性エマルションポリマーを含み、ポリマーが、
i)皮膜形成性コポリマーを得るために、1つの又は複数の(メタ)アクリレートモノマー及び1つの又は複数のビニルモノマーから形成されるコポリマー
(ここで、皮膜形成性ポリマーは安定化ポリマーの存在下で形成され、
安定化ポリマーは、(メタ)アクリル酸モノマー又は(メタ)アクリル酸モノマーの混合物を、(メタ)アクリル酸モノマー以外のビニルモノマー又はビニルモノマーの混合物と共重合することにより形成される酸含有コポリマーである)
及び
ii)場合により、他の添加剤又は添加剤の混合物
を含み、
コート紙又は板紙が、約3以下のバンズ剥離評価を有する
熱くて湿った食物用包装。
【請求項2】
他の添加剤又は添加剤の混合物が、増粘剤、脱泡剤又は消泡剤、顔料、滑剤、剥離剤、フルオロケミカル、デンプン、ワックス及び粘着防止剤からなる群より選択される、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項3】
フルオロケミカルが、ペルフルオロアルキルアルカノールのリン酸ジエステル、ジ−ペルフルオロアルキル置換カルボン酸、両性ペルフルオロアルキル置換カルボン酸、及びポリ−ペルフルオロアルキル(メタ)アクリレートのコポリマーからなる群より選択される、請求項2記載のコーティング組成物。
【請求項4】
デンプンが、架橋デンプン、安定化デンプン、アセチル化デンプン又は有機的にエステル化されたデンプン、ヒドロキシエチル化デンプン又はヒドロキシプロピル化されたデンプン、リン酸化デンプン又は無機的にエステル化されたデンプン、カチオン性デンプン、アニオン性デンプン、非イオン性デンプン、双性イオン性デンプン、及びコハク酸デンプン又は置換コハク酸デンプンからなる群より選択される、請求項2記載のコーティング組成物。
【請求項5】
皮膜形成性の1つの又は複数の(メタ)アクリレートモノマーが、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、デシル又はラウリル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ジカルボン酸エステルモノマー及びプロピル(メタ)アクリレートからなる群より選択される、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項6】
皮膜形成性の1つの又は複数のビニルモノマーが、メチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、アルキル化スチレン及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項7】
コーティング組成物が、約25℃以下の最低皮膜形成温度を有する、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項8】
コーティング組成物が、約50℃未満のガラス転移温度を有する、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項9】
熱くて湿った食物が、パン、バンズ、ラップパン、サンドイッチ、フライドポテト及びポケットパンからなる群より選択される、請求項1記載のコーティング組成物。
【請求項10】
熱くて湿った食物を包装する方法であって、
a)紙若しくは板紙容器、又は包装紙を、
i)皮膜形成性コポリマーを得るために、1つの又は複数の(メタ)アクリレートモノマー及び1つの又は複数のビニルモノマーから形成されるコポリマー
及び
ii)場合により、他の添加剤又は添加剤の混合物
を含む水性エマルションポリマーを含むコーティング組成物で被覆する工程と、
b)被覆を乾燥する工程と、
c)熱くて湿った食物を、コート紙若しくは板紙容器又は包装紙と接触させる工程と
を含み、
食物が紙又は板紙の内にあって加熱されてもよく、あるいは食物が加熱された後に包まれてもよい
方法。
【請求項11】
1つの又は複数の(メタ)アクリレートモノマーが、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、デシル又はラウリル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ジカルボン酸エステルモノマー及びプロピル(メタ)アクリレートからなる群より選択される、請求項10記載の方法。
【請求項12】
1つの又は複数の(メタ)アクリレートモノマーが、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート及びt−ブチル(メタ)アクリレート又はこれらの混合物からなる群より選択される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
皮膜形成性コポリマーの1つの又は複数のビニルモノマーが、メチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、アルキル化スチレン及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項10記載の方法。
【請求項14】
他の添加剤又は添加剤の混合物が、増粘剤、脱泡剤又は消泡剤、顔料、滑剤、剥離剤、フルオロケミカル、デンプン、ワックス及び粘着防止剤からなる群より選択される、請求項10記載の方法。
【請求項15】
添加剤又は添加剤の混合物が、フルオロケミカル、デンプン、ワックス及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
フルオロケミカルが、ペルフルオロアルキルアルカノールのリン酸ジエステル、ジ−ペルフルオロアルキル置換カルボン酸、両性ペルフルオロアルキル置換カルボン酸、及びポリ−ペルフルオロアルキル(メタ)アクリレートのコポリマーからなる群より選択される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
デンプンが、架橋デンプン、安定化デンプン、アセチル化デンプン又は有機的にエステル化されたデンプン、ヒドロキシエチル化デンプン又はヒドロキシプロピル化されたデンプン、リン酸化デンプン又は無機的にエステル化されたデンプン、カチオン性デンプン、アニオン性デンプン、非イオン性デンプン、双性イオン性デンプン、及びコハク酸デンプン又は置換コハク酸デンプンからなる群より選択される変性デンプンである、請求項15記載の方法。
【請求項18】
ワックスが、パラフィンワックス、カンデリラ、カルナウバ、微結晶性ワックス、ポリエチレンワックス又はワックスの2つ以上のブレンドからなる群より選択される、請求項15記載の方法。
【請求項19】
コーティング組成物が、約25℃以下の最低皮膜形成温度を有する、請求項10記載の方法。
【請求項20】
コート紙が約3以下のバンズ剥離評価を有する、請求項10記載の方法。
【請求項21】
熱くて湿った食物が、パン、バンズ、ラップパン、サンドイッチ、フレンチフライ及びポケットパンからなる群より選択される、請求項10記載の方法。
【請求項22】
皮膜形成性ポリマーが安定化ポリマーの存在下で重合され、安定化ポリマーが、(メタ)アクリル酸モノマー又は(メタ)アクリル酸モノマーの混合物を、(メタ)アクリル酸モノマー以外のビニルモノマー又はビニルモノマーの混合物と共重合することにより形成される酸含有コポリマーである、請求項10記載の方法。
【請求項23】
ビニルモノマーのうち少なくとも1つが、スチレン、アルキル化スチレン、α−メチルスチレン、ブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項10記載の方法。
【請求項24】
安定化ポリマーが、約70℃から約120℃のTgを有する、請求項22記載の方法。
【請求項25】
紙又は板紙の表面から熱くて湿った食物を剥離させる方法であって、
熱くて湿った食物を剥離させる方法が、
a)紙又は板紙を、水性エマルションポリマーを含む組成物で被覆する工程であり、ポリマーが、
i)皮膜形成性コポリマーを得るために、1つの又は複数の(メタ)アクリレートモノマー及び1つの又は複数のビニルモノマーから形成されるコポリマー
及び
ii)場合により、他の添加剤又は添加剤の混合物
を含む工程と、
b)被覆を乾燥する工程と、
c)コート紙又は板紙を食物と接触させる工程と、
d)コート紙を食物との接触から外す工程と
を含む方法。
【請求項26】
コーティング組成物が、ペルフルオロアルキルアルカノールのリン酸ジエステル、ジ−ペルフルオロアルキル置換カルボン酸、両性ペルフルオロアルキル置換カルボン酸、及びポリ−ペルフルオロアルキル(メタ)アクリレートのコポリマーからなる群より選択されるフルオロケミカルを更に含む、請求項25記載の方法。
【請求項27】
熱くて湿った食物を包装し、配送の間、これらの食料品の温度を保つ方法であって、食物を包装し、その温度を保つ方法が、
a)紙又は板紙を、
i)皮膜形成性コポリマーを得るために、1つの又は複数の(メタ)アクリレートモノマー及び1つの又は複数のビニルモノマーから形成されるコポリマー
及び
ii)場合により、他の添加剤又は添加剤の混合物
を含む水性エマルションポリマーを含むコーティング組成物で被覆する工程と、
b)被覆を乾燥する工程と、
c)熱くて湿った食物をコート紙若しくは板紙容器又は包装紙で包むか又は封じる工程とを含み、食物が、コート紙又は板紙の内にあって加熱されてもよく、あるいは食物が加熱された後にコート紙又は板紙に包まれてもよい
方法。
【請求項28】
水性エマルションポリマーが、パラフィンワックス、カンデリラ、カルナウバ、微結晶性ワックス、ポリエチレンワックス又はワックスの2つ以上のブレンドからなる群より選択されるワックスを追加的に含む、請求項27記載の方法。
【請求項29】
水性エマルションポリマーが、パラフィンワックス、カンデリラ、カルナウバ、微結晶性ワックス、ポリエチレンワックス又はワックスの2つ以上のブレンドからなる群より選択されるワックスを追加的に含み、コート紙又は板紙が、約3以下のバンズ剥離評価を有する、請求項28記載の方法。
【請求項30】
耐油脂性を紙又は板紙に付与する方法であって、紙又は板紙材料を水性エマルションポリマーを含むコーティング組成物の有効量で処理することを含み、ポリマーが、
i)皮膜形成性コポリマーを得るために、1つの又は複数の(メタ)アクリレートモノマー及び1つの又は複数のビニルモノマーから形成されるコポリマー
(ここで皮膜形成性ポリマーは、安定化ポリマーの存在下で形成され、安定化ポリマーは、(メタ)アクリル酸モノマー又は(メタ)アクリル酸モノマーの混合物を、(メタ)アクリル酸モノマー以外のビニルモノマー又はビニルモノマーの混合物と共重合することにより形成される酸含有コポリマーである)
及び
ii)場合により、他の添加剤又は添加剤の混合物
を含む方法。
【請求項31】
エマルションポリマーが、コア−シェル粒子エマルションの形態である、請求項30記載の方法。

【公表番号】特表2008−520508(P2008−520508A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541920(P2007−541920)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【国際出願番号】PCT/EP2005/055837
【国際公開番号】WO2006/053849
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(592006855)チバ スペシャルティ ケミカルズ ウォーター トリートメント リミテッド (19)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Water Treatments Limited
【Fターム(参考)】